説明

炭化水素からの水素製造用触媒の製造方法、該製造方法により製造された触媒、及び該触媒を用いた水素製造方法

【課題】灯油等の重質炭化水素を原料とした水素製造反応に適した高活性を有し、実用的な強度も有する炭化水素の水蒸気改質触媒の製造方法、該製造方法で得られた触媒、及び該触媒を用いた水素製造方法を提供すること。
【解決手段】α−アルミナ担体上に、少なくとも1種のアルカリ金属を含む化合物を含有する溶液を用いてアルカリ金属を触媒基準、金属換算で0.5〜10質量%担持させて800℃〜950℃で焼成した後、ルテニウムを含む化合物を含有する溶液を用いてルテニウムを触媒基準、金属換算で0.5〜10質量%担持させ、アルカリ水溶液にて処理した後、純水で洗浄することで前記アルカリ金属を除去し、次いで120℃以下で乾燥を行い、その後少なくとも1種のアルカリ金属を含む化合物を含有する溶液を用いてアルカリ金属を触媒基準、金属換算で0.5〜10質量%担持させた後、120℃以下で乾燥することを特徴とする水素製造用触媒の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素から水素を製造するための触媒、特に燃料電池に使用される水素製造用触媒の製造方法、及び該製造方法によって製造された水素製造用触媒、さらには該触媒を用いた水素製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、炭化水素からの水素製造方法として、ニッケル又はルテニウム触媒を用い、都市ガスやLPG、ナフサ留分を原料にする方法が多く行われてきた。
しかしながら、小型水素製造設備や燃料電池発電システムを想定した場合、天然ガス、LPGなどの軽質炭化水素は発熱量あたりのコストが高く、経済的観点から灯油等のコストの安い重質炭化水素を原料に用いた水素製造方法が望まれている。しかし、炭化水素の分子量の増加と共に触媒上への炭素析出が著しくなるため、分子量の高い低廉な灯油等の炭化水素を原料とする場合、触媒床の閉塞による差圧上昇のために長期間反応を継続できないという問題があった。
【0003】
また、水素を製造するための炭化水素の水蒸気改質反応は下記式(I)に示すような吸熱反応であるため、触媒は、外熱式反応炉内の細長いリアクターチューブ(tubular reactor)に充填される場合が多い。このような場合、触媒には、反応器下部では充填触媒の重量が掛かり、また反応器での差圧も掛かるため、これらに耐え得る強度が必要になる。触媒強度がこれらに耐えられない場合、触媒の破損や粉化が起こり、この結果、さらに差圧が増して装置の運転が困難になる。しかも、触媒片や触媒粉が下流機器に到達すると、流量制御、圧力制御に支障を生じ、機器故障に繋がることも予想される。
+2nHO→(m/2+2n)H+nCO……………(I)
△H(吸熱量)=40kcal/c−mol
【0004】
一般に、炭化水素の水蒸気改質反応に用いるアルミナ担体の触媒では、破損や粉化を避けるために、予め担体を反応温度以上の温度で焼成して強度を向上させることが一般的であるが、水蒸気改質触媒では、水蒸気存在下に長期間曝されることや、装置の停止や運転開始時に急激な温度変化が起こること等により、強度の低下が見られる。これを避けるためには、アルミナをさらに高温で焼成し、α−アルミナ化させてから成型した担体を使用することが考えられるが、このα−アルミナ担体は比表面積が極端に小さくなるため、活性金属を高分散させることが難しくなり、高活性な触媒を製造することが困難である。
【0005】
また、炭化水素の水蒸気改質反応において、触媒への炭素析出を抑制する有効な方法としては、水蒸気改質反応時の下記式(II)で表される水蒸気/炭素比(以下、「S/C」と記す)を高くする方法があるが、運転操作が煩雑になるほか、水蒸気原単位(製品単位量当たりの水蒸気使用量)が増加するため、できるだけこのS/Cを低くすることが望ましい。
S/C=反応器に供給される水蒸気のモル数/〔反応器に供給される炭化水素(CnHm)のモル数×n〕………(II)
【0006】
そして、従来のニッケル触媒を用い、灯油のような重質炭化水素を原料とした水蒸気改質反応を行った場合には、反応温度、S/Cの条件に関わらず、触媒上に激しい炭素析出が起こり、触媒床の閉塞により差圧が上昇し、反応が継続できなくなるという問題が発生する。
一方、比較的炭素析出の少ない触媒としてルテニウム系の水蒸気改質触媒がいくつか研究されている。特許文献1には、ルテニウムを活性成分とし、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属を1質量%以下添加した触媒が開示されている。また、特許文献2には、ルテニウム等の触媒活性成分及び耐熱性酸化物からなる助触媒成分を含む触媒と、触媒担体成分及び該触媒担体成分の酸性点を中和する成分を含む担体とを含むことを特徴とする炭化水素改質触媒が開示されている。しかしながら、上記従来のルテニウム触媒には、灯油などの重質な原料を用いた水素製造条件下での高活性維持や炭素析出抑制効果、及び十分な強度維持は期待できない。
【0007】
また、炭化水素の水蒸気改質反応条件下における強度維持に優れたα−アルミナ担体を使用して、ルテニウム系触媒を製造する場合、通常の方法でルテニウムを担持するとルテニウムが担体中に均一に分布してしまうが、水蒸気改質反応は線速度の速い高温ガス反応であるため、反応のほとんどが担体外表面近傍で進行し、担体内部に存在するルテニウムはほとんど反応に寄与しない。
そこで、特許文献3には、α−アルミナ担体を使用して改質活性を効率的に向上せしめる触媒の製造方法として、担体の吸水量以下の量のルテニウム含浸液を担体に含浸させることにより、活性成分であるルテニウムを触媒外表面から触媒中心までの1/3までの部分に全ルテニウム担持量の50%以上を担持させる触媒の製造方法が開示されている。
【特許文献1】特開昭57−4232号公報
【特許文献2】特開2002−126522号公報
【特許文献3】特開2001−276623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献3に記載のルテニウム触媒の製造方法では、触媒全体に平均的に含浸液を行き渡らせることが極めて難しいため、所望通りに外表面にルテニウム成分が偏在した触媒が得られ難いという問題があり、結局、炭化水素の水蒸気改質反応において所望の活性を示す触媒を得ることが難しい。
【0009】
以上要するに、従来α−アルミナ担体を使用して水蒸気改質反応の実用に耐える強度を維持しつつ、灯油等の重質炭化水素の水蒸気改質用に望まれる高活性な触媒を製造することは極めて難しかった。
【0010】
本発明の目的は、上記従来の状況に鑑み、灯油等の重質炭化水素を原料とした水素製造反応に適した高活性を有し、実用的な強度も有する炭化水素の水蒸気改質触媒の製造方法、該製造方法により製造された触媒、及び該触媒を用いた水素製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、一定の触媒の製造方法により上記目的を達成できることを見出して本発明を完成した。
即ち、本発明は、上記目的を達成するために、以下の炭化水素からの水素製造用触媒の製造方法、該製造方法によって製造された水素製造用触媒、及び該触媒を用いた水素の製造方法を提供する。
(1)α−アルミナ担体上に、少なくとも1種のアルカリ金属を含む化合物を含有する溶液を用いてアルカリ金属を触媒基準、金属換算で0.5〜10質量%担持させて800℃〜950℃で焼成した後、ルテニウムを含む化合物を含有する溶液を用いてルテニウムを触媒基準、金属換算で0.5〜10質量%担持させ、アルカリ水溶液にて処理した後、純水で洗浄することで前記アルカリ金属を除去し、次いで120℃以下で乾燥を行い、その後少なくとも1種のアルカリ金属を含む化合物を含有する溶液を用いてアルカリ金属を触媒基準、金属換算で0.5〜10質量%担持させた後、120℃以下で乾燥することを特徴とする水素製造用触媒の製造方法。
(2)前記アルカリ金属がカリウムであることを特徴とする上記(1)に記載の水素製造用触媒の製造方法。
(3)上記(1)又は(2)に記載の水素製造用触媒の製造方法によって製造された水素製造用触媒であって、α−アルミナ担体上に、ルテニウムを触媒基準、金属換算で0.5〜10質量%と、アルカリ金属を触媒基準、金属換算で0.5〜10質量%含み、EPMA(エレクトロンプローブマイクロアナライザー)により、触媒断面の中心を通るように触媒外表面から他の外表面まで一方向にアルカリ金属及びルテニウムについて線分析測定したときに、触媒外表面から触媒中心までの距離をrとすると、触媒外表面から(1/2)rまでの距離の間に検出されたルテニウムの特性X線(Lα線)強度の和の割合が、全領域のルテニウムの特性X線強度の和に対して80〜100%であり、ルテニウムが存在する領域に存在するアルカリ金属の特性X線強度の和の割合が、全領域のアルカリ金属の特性X線強度の和に対して60〜70%であることを特徴とする水素製造用触媒。
(4)上記(3)に記載の触媒の存在下に、沸点が30〜350℃の範囲にある留分が90質量%以上存在する炭化水素と水蒸気とを、反応温度400〜900℃、反応圧力0〜5MPa−G、S/C(水蒸気/炭素モル比)=2.5〜5.0の条件下で、反応させることを特徴とする水素の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製造方法により製造された触媒は、高活性で、長時間水蒸気改質反応条件下に曝されても強度低下が生じ難く、該触媒を用いた水素製造方法は、灯油などの重質炭化水素からの水素製造を行うプロセスにおいて、低S/C=2.5〜5.0という触媒にとって過酷な反応条件下においても高活性を維持しつつ水素を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の触媒製造方法、該製造方法により製造された触媒、及びそれを用いた水素の製造方法について詳しく説明する。
本発明の触媒製造方法では、担体として、α-アルミナ担体を用いる。このα-アルミナ担体は、α-アルミナの前駆体、例えば水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム等を、酸素雰囲気、例えば空気中で、600〜1300℃で加熱焼成することによって調製することができる。焼成時間は特に限定されないが、通常、1〜20時間である。
【0014】
α-アルミナ担体の形状は、球状、楕円球状、角柱状、円柱状、中空状、リング状、打錠状等の種々の粒状体の他、任意の形状でよく、特に限定されないが、一般の水蒸気改質反応に用いられている円柱状、球状の粒状体が好ましく、球状が特に好ましい。また、担体の大きさは特に限定されないが、円柱状、球状の場合、通常その直径が1〜6mm、好ましくは1〜4mmであることが好ましい。この場合、成形された担体原料を用いて焼成し、担体を調製することができる。
本発明で得られる触媒は、担体としてαアルミナ担体を用いることにより、長期間水蒸気改質反応条件下に曝されたり、装置の運転開始時や停止時の急激な温度変化を受けることによる強度劣化が生じ難い。
【0015】
本発明の触媒製造方法では、まず、第一段階のアルカリ金属担持工程を行う。ここでは、上記α-アルミナ担体にアルカリ金属を触媒基準、金属換算で0.5〜10質量%、好ましくは1〜5質量%担持させる。アルカリ金属の担持量が0.5質量%以上であれば、EPMAにより触媒断面の中心を通るように触媒外表面から触媒中心までの距離をrとしたときに、触媒外表面から(1/2)rまでの距離の間に検出されるルテニウムの特性X線(Lα線)強度の和の割合が全ルテニウムの特性X線強度の和に対して80%以上となるようにルテニウムを担持させることができ、反応にほとんど寄与しない担体内部のルテニウム量を減少させてルテニウムを有効利用することにより高活性な触媒を得ることができ、10質量%以下であれば、ルテニウムが担体外表面に偏析しすぎて分散性が悪くなり、触媒活性が低下することを防ぐことができる。アルカリ金属としては、例えばLi、Na、K、Rb、Cs、Frを挙げることができるが、Na、Kが好ましく、特にKが好ましい。これらのアルカリ金属は、いずれか1種を単独で用いてもよく、また2種以上を組み合せて用いてもよい。担体への担持の際には、アルカリ金属を含む化合物を含有する溶液、一般に水溶液を用いる。該化合物としては、アルカリ金属の前駆体であれば限定されないが、アルカリ金属塩が好ましく、例えば硝酸塩、炭酸塩又は水酸化物が好ましい。特に、Kの前駆体に関しては水酸化物、重炭酸塩、炭酸塩が好ましく、水酸化物が最も好ましい。また、アルカリ金属の担体への担持方法としては、例えば沈殿法、イオン交換法、共沈法、混練法、含浸法等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。
【0016】
続いて、前記アルカリ金属を担持した担体を800℃〜950℃、好ましくは850℃〜950℃、さらに好ましくは900〜950℃で焼成する。950℃を超える温度で焼成を行うと、この焼成工程の後のルテニウム担持工程において、反応にほとんど寄与しない担体内部にまでルテニウムが侵入してしまい、担持されたルテニウムを有効利用しきれずに触媒活性が低下する。また、800℃未満の温度で焼成した場合であって、アルカリ金属の担持量が多い場合には、この焼成工程の後のルテニウム担持工程において、ルテニウムが担体外表面に偏析しすぎて分散性が悪くなって触媒活性が低下するおそれがある。800℃未満の温度で焼成した場合であって、アルカリ金属の担持量が少ない場合には反応にほとんど寄与しない担体内部にまでルテニウムが侵入して触媒活性が低下するおそれがある。焼成時間は特に限定されないが、通常、3〜10時間である。また、この焼成は、酸素雰囲気、例えば空気中で行われる。
【0017】
次に、上記焼成した担体にルテニウムを担持させる。このルテニウムの担持には、例えば、沈殿法、イオン交換法、共沈法、混練法、含浸法等の通常の担持方法を適用できるが、含浸法が好ましい。また、このルテニウムの担持は、ルテニウムの担持量が触媒基準、金属換算で0.5〜10質量%、好ましくは1〜4質量%となるようにルテニウム化合物を含有する溶液、一般に水溶液を調製し、それを担体に浸透、吸収させる。ルテニウムの担持量が0.5質量%以上であれば、実用に耐え得る水蒸気改質活性を得ることができ、10質量%以下であれば、ルテニウムを十分に分散させることができてルテニウムの凝集による活性低下を抑制することができる。ルテニウム化合物としては、塩化ルテニウム水和物、塩化ルテニウム(IV価)、塩化ルテニウム無水物、ルテニウム酸カリウム等のルテニウム酸塩、硝酸ルテニウム等のルテニウム塩等を用いることができる。ルテニウム化合物を含有する溶液の温度は、ルテニウム化合物の分解を避けるため、50℃未満、特に室温が好ましい。また、浸透時間は特に限定されないが、0.1〜1時間が好ましい。浸透時間が0.1時間以上であれば、溶液が触媒全体に行き渡らず、不均一となることを防ぐことができる。浸透時間がこの範囲にあれば、溶液が触媒全体に均一に行き渡る。
【0018】
担体にルテニウムを担持させた後は、必要に応じて、120℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは50℃以下にて乾燥を行うことが好ましい。この乾燥は、ヘリウム、アルゴン等の希ガスあるいは窒素等の不活性ガス気流中で行うことが理にかなうが、120℃以下で操作をすれば、空気中であっても、酸化物の生成量は僅少であり問題にならない。そして120℃以下であれば、酸化ルテニウムが生成することなく、後記の本発明の製造方法で得られた触媒を水素製造反応に供する前に行う還元工程が容易に進む。また、乾燥方法は特に限定されないが、迅速に乾燥できる減圧乾燥が特に好ましい。
【0019】
続いて、上記ルテニウムを担持させた担体を、必要に応じて120℃以下で乾燥させた後、アルカリ水溶液にて処理する。このアルカリ水溶液処理は、通常、担持させたルテニウム量に対してモル換算で3倍以上のアルカリ水溶液中にルテニウムを担持させた担体を浸して行われる。このアルカリ水溶液処理により、担持されているルテニウムを、水酸化ルテニウムに変換して、担体上に不溶・固定化する。このルテニウムの不溶・固定化に用いるアルカリ水溶液としては、例えばアンモニア水、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウム等の水溶液を用いることができる。
次いで、純水による洗浄を行う。上記アルカリ水溶液処理の際、担持に用いたルテニウム塩のカウンターアニオンは水溶性のアンモニウム塩や無機塩となるため、この純水による洗浄の過程で溶出し、除去することができる。洗浄は、例えば純水をブフナー漏斗上の試料に充分加えて行う。なお、この純水による洗浄の際、先の第一段階で担持したアルカリ金属も除去される。
【0020】
次いで、上記アルカリ水溶液処理により担体上にルテニウムを水酸化ルテニウムとして不溶・固定化した担体を、120℃以下、好ましくは80℃以下で乾燥する。乾燥温度を120℃以下とするのは、担体上の水酸化ルテニウムの酸化を抑制するためである。酸化ルテニウムの生成を抑制すれば、後記の本発明の製造方法で得られた触媒を水素製造反応に供する前に行う還元工程が容易に進む。この乾燥は、減圧又は常圧下で行うことができる。また、この乾燥は、ヘリウム、およびアルゴン等の希ガス、並びに窒素等の不活性ガス気流中で行うことが理にかなうが、120℃以下で操作すれば、空気中であっても、酸化物の生成量は僅少であり問題にならない。空気中での乾燥では、乾燥温度は低ければ低いほど、酸化物の生成を抑制する点で有利になるが、乾燥温度が低すぎると、乾燥時間が著しく長くなるため、50℃程度以上とすることが好ましい。また、乾燥時間は、乾燥温度、乾燥対象物の量等の条件に応じて適宜に選定すればよいが、通常は、1〜20時間程度が好ましい。
【0021】
さらに次いで、上記乾燥を行ったアルカリ水溶液処理済のルテニウム担持担体に、アルカリ金属を担持させる(第二段階のアルカリ金属担持工程)。このアルカリ金属の担持には、沈殿法、イオン交換法、共沈法、混練法、含浸法等の通常の担持方法を適用できるが、含浸法が好ましい。また、このアルカリ金属の担持は、アルカリ金属の担持量が触媒基準、金属換算で0.5〜10質量%、好ましくは0.5〜2質量%となるようにアルカリ金属化合物を含有する溶液、一般に水溶液を調製し、それをルテニウム担持担体に浸透、吸収させる。アルカリ金属の担持量が0.5質量%以上であれば、アルカリ金属添加による炭素析出抑制効果により触媒活性向上効果を得ることができ、10質量%以下であれば、アルカリ金属が過剰となることによる触媒活性の低下を防ぐことができる。浸透時間は特に限定されないが、0.1〜30時間が好ましい。より好ましくは1〜30時間であり、通常、1〜5時間で実施する。0.1時間以上とすることにより、溶液を触媒の所望の部位に行き渡らせ、均一に浸透、吸収させることができる。また、30時間以内とすることで調製時間の短縮が図れる。上記範囲内では、浸透時間が長いほど、得られる触媒の活性が高い傾向にある。担持させるアルカリ金属としては、上記第一段階のアルカリ金属担持工程のアルカリ金属と同様のものを挙げることができ、また、アルカリ金属を担持させるために用いるアルカリ金属化合物も、上記第一段階のアルカリ金属担持工程の際に用いるアルカリ金属化合物と同様のものを挙げることができる。
【0022】
上記アルカリ金属の担持を行った後、アルカリ水溶液処理済のルテニウム担持担体を、120℃以下、好ましくは80℃以下で乾燥する。乾燥温度を120℃以下とするのは、担体上の水酸化ルテニウムの酸化を抑制するためである。酸化ルテニウムの生成を抑制すれば、後記の本発明の製造方法で得られた触媒を水素製造反応に供する前に行う還元工程が容易に進む。この乾燥は、減圧又は常圧下で行うことができる。また、この乾燥は、ヘリウム、アルゴン等の希ガス、あるいは窒素等の不活性ガス気流中で行うことが理にかなうが、120℃以下で操作すれば、空気中であっても、酸化物の生成量は僅少であり問題にならない。空気中での乾燥では、乾燥温度は低ければ低いほど、酸化物の生成を抑制する点で有利になるが、乾燥温度が低すぎると、乾燥時間が著しく長くなるため、50℃程度以上とすることが好ましい。また、乾燥時間は、乾燥温度、乾燥対象物の量等の条件に応じて適宜に選定すればよいが、通常は、1〜20時間程度が好ましい。また、本発明の触媒製造方法では、上記アルカリ水溶液処理済のルテニウム担持担体へのアルカリ金属担持後は、焼成を行わない。
以上述べたように、本発明の触媒製造方法により、本発明の所望の水素製造用触媒を得ることができる。
【0023】
本発明の製造方法によって得られた本発明の水素製造用触媒は、水素製造反応に供す前に、担体に不溶・固定化された水酸化ルテニウムを還元して使用するのが好ましい。水酸化ルテニウムは、60〜80℃程度の低い温度領域で金属ルテニウムまで還元されるが、極めて微粒子状の活性金属の場合、極一部の活性点が熱による変化を受けることも考えられる。本発明に係る触媒は、長期間安定した触媒性能を保持させるため、水素製造反応に供する前に、好ましくは400〜950℃、より好ましくは400〜800℃の温度にて還元する。触媒の還元温度が上記範囲内であれば、ルテニウムの凝集やシンタリングによる金属表面積の減少が少なく、さらに、担体の細孔が閉塞することもなく、所望の触媒活性を維持できる。還元用ガスは、水素ガス、水素・水蒸気混合ガス、一酸化炭素等を用いることができる。中でも、水素ガスや水素・水蒸気混合ガスが好ましく、水素ガスが特に好ましい。還元時間は、還元温度、還元用ガスの通気量等の条件に応じて適宜選択すればよいが、1〜20時間程度が実用的である。
【0024】
本発明に係る触媒は、EPMA(エレクトロンプローブマイクロアナライザー)により、触媒断面の中心を通るように触媒外表面から他の外表面までに一方向にルテニウム及びアルカリ金属について線分析測定したときに、触媒外表面から中心までの距離をrとすると、触媒外表面から(1/2)rまでの距離の間に検出されたルテニウムの特性X線(Lα線)強度の和の割合が、全領域のルテニウムの特性X線強度の和に対して80〜100%、好ましくは90〜100%の範囲となる。また、ルテニウムが存在する領域に存在するアルカリ金属の特性X線強度の和の割合が、全領域のアルカリ金属の特性X線強度の和に対して60〜70%、好ましくは62〜70%の範囲である。本発明に係る触媒においては、活性成分であるルテニウムを反応への寄与が大きい触媒の外表面にほどよく偏在させることにより、有効な活性点数を増やすことができる。
なお、ここで、全領域とは、触媒外表面から中心を通り他の外表面までの距離、すなわち2rを意味する。X線強度とは、触媒断面に電子線を照射したときに1秒間当たりに検出されるX線光量子の数(cps)を意味する。ルテニウムが存在する領域とは、EPMAにより触媒外表面から中心を通り他の外表面までに一方向に線分析測定したときにテニウムの特性X線(Lα線)が検出される領域を意味する。また、EPMAによる線分析測定は、例えば、日本電子株式会社製E P M A 、J X A ― 8 2 0 0を用いて行うことができる。
【0025】
本発明に係る触媒を用いて水素を製造する方法においては、原料として、硫黄含有量が0.1質量ppm以下、炭素数1以上、常圧における蒸留範囲が350℃以下の炭化水素が好適に用いられ、沸点範囲が30〜350℃にある留分が90質量%以上存在する炭化水素がより好ましく用いられ、特に灯油留分を好ましく用いることができる。このとき、反応圧力0〜5MPa−G、S/C(水蒸気/炭素モル比)=2.5〜5とし、反応温度は、400〜900℃、好ましくは600〜850℃が適している。反応方式は、特に限定されるものではないが、例えば、固定床または移動床反応装置を利用するバッチ式、半連続式、および連続式操作が好ましい。本発明の水素製造方法では、本発明の触媒を単独で使用してもよいし、本発明の触媒以外の触媒と併用してもよい。
【0026】
本発明に係る触媒は、反応温度が600〜900℃の比較的高い場合の水蒸気改質反応に適している。したがって、水蒸気改質反応帯域に、反応温度が比較的高い帯域と比較的低い帯域がある場合、本発明に係る触媒を反応温度が比較的高い帯域に適用し、反応温度が比較的低い帯域には、反応温度が比較的低い場合に適した触媒を適用するようにして水蒸気改質反応を行えば、より一層効果的に水蒸気改質反応を行うことができる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例、比較例により更に具体的に本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0028】
〔生成ガス分析〕
以下の実施例において、生成ガス分析は、ステンレス(SUS)製管(内径3mm、長さ2m)に、60〜80メッシュの充填剤(Unibeads−C、GLサイエンス社製)を充填し、これを分離カラムとして取り付けた熱伝導型検出器(TCD)付きガスクロマトグラフ(GC−390、GLサイエンス製)にて、H、CO、CO、CHについて行った。
【0029】
〔C〜C分析〕
また、生成ガス中のC〜Cの分析は、Al/KClのキャピラリーカラムを分離カラムとして取り付けた水素炎イオン化検出器(FID)付きガスクロマトグラフ(GC−390、GLサイエンス製)にて行った。触媒の金属担持量は、誘導結合プラズマ発光分析(ICP分析)によって確認した。触媒への炭素析出量は、赤外線検出式炭素分析装置(Model EMIA−810、堀場製作所製)で測定した。
【0030】
〔CO吸着量〕
触媒上へのCO吸着量は、TCDガスクロマトグラフを内蔵した自動吸着装置(R6015、大倉理研製)により、測定した。CO吸着量の測定手順は、触媒を試料管に入れ、キャリアガスにHeガスを用い、還元ガスに水素を用いて、先ず、水素ガスを流して還元温度である400℃まで1時間で昇温し、1時間400℃で還元を行った。次いでHeガスに切り替えて50℃まで冷却し、その後、COガスを試料管に一定量流してCO吸着量を測定した。
【0031】
〔EPMA線分析〕
触媒中心を通る一方向のルテニウム及びカリウムのEPMA線分析測定は、電子プローブマイクロアナライザー(日本電子株式会社製EPMA、JXA―8600MX)を用いて測定した。測定条件は加速電圧15kV、照射電流1×10−7A、測定点間のインターバル15〜18μm、計数時間30msecで行った。測定触媒の断面は、触媒をMMA(methyl methacrylate)に包埋し、研磨装置を用いて研磨し、カーボン蒸着することにより作製した。触媒の外表面から中心の距離をrとしたとき、触媒外表面から(1/2)rまでの距離の間に検出されたルテニウムの特性X線強度の和の割合Xは下記数式1で求めた。
〔数式1〕
X=[触媒外表面(1/2)rに存在するルテニウムの特性X線強度の積分値/全領域のルテニウムの特性X線強度の積分値]×100
また、ルテニウムが存在する領域に存在するアルカリ金属の特性X線強度の和の割合Yは下記数式2で求めた
〔数式2〕
Y=[ルテニウムが存在する領域に存在するアルカリ金属の特性X線強度の積分値/全領域のアルカリ金属の特性X線強度の積分値]×100
【0032】
〔原料C転化率〕
原料C転化率は、下記数式3から求めた。
〔数式3〕
原料C転化率(%)=〔M/M〕×100
(M:単位時間当りの供給原料炭化水素の炭素モル数、M:単位時間当りの生成ガス中のC化合物(CO、CO、CH)の炭素モル数 )
【0033】
実施例1
水酸化カリウム1.04g(和光純薬製特級、純度85%)をイオン交換水10.74gに溶解し、この水溶液を直径3mmの球状α−アルミナ担体30gに滴下した。担体全体に水酸化カリウム水溶液が均一に行き渡るよう攪拌した後、室温で1時間静置した。続いてこの担体をロータリーエバポレーターを用いて、約2.7kPa(約20mmHg)程度の真空下、湯浴で50℃に加熱して乾燥後、マッフル炉にて空気中、900℃で3時間焼成した。
次いで、塩化ルテニウム・水和物(RuCl・nHO、ルテニウム含量39質量%)1.55gを9.72gのイオン交換水に溶解し、この水溶液を上記担体30gに滴下した。担体全体に塩化ルテニウム水溶液が均一に行き渡るよう攪拌した後、室温で1時間静置した。続いて担体をロータリーエバポレーターを用いて、約2.7kPa(約20mmHg)程度の真空下、湯浴で50℃に加熱して、乾燥した。
次いで、上記担体を7mol/Lアンモニア水約100mL(市販試薬特級の約2倍希釈)中に移し、スターラーで1時間ゆっくり攪拌して、ルテニウムを不溶・固定化した。この担体を、ブフナー漏斗を用いてアンモニア水から回収した。回収した担体をイオン交換水で充分洗浄した。洗浄終了は、濾液の一部に硝酸銀水溶液を滴下し、塩化銀の白色沈殿が生じなくなる点とした。洗浄した担体を乾燥機中80℃で15時間乾燥した。
次いで水酸化カリウム0.51g(和光純薬製特級、純度85%)をイオン交換水9.3gに溶解し、30.0gの上記担体に滴下し、担体全体に水酸化カリウム水溶液が均一になるように攪拌し、室温で1時間静置後、80℃にて乾燥し、触媒Aを得た。触媒Aのルテニウム濃度(金属換算)、カリウム濃度(金属換算)、及び外表面から(1/2)rの間に存在するルテニウムの特性X線強度の和の割合X、ルテニウムが存在する領域に存在するカリウムの特性X線強度の和の割合Yを表1に示した。
反応器に触媒Aを2.5ml充填し、0.005MPa−G、650℃、GHSV=400(v/v)h−1で1時間、マスフローコントローラで流量調整した水素で還元した。続いて、この反応器に原料油として、表2記載の脱硫灯油を水蒸気と共に導入し、水蒸気改質反応を、反応温度650℃、0.88MPa−G、S/C=3.0、LHSV=5(v/v)h−1の条件下で行った。反応結果(原料C転化率)を表1に示した。
【0034】
実施例2
実施例1において、α−アルミナ担体に水酸化カリウムを担持した後の焼成温度を950℃としたこと以外は、実施例1と同様にして触媒Bを調製し、触媒Bを実施例1と同様に評価した。この触媒Bのルテニウム濃度(金属換算)、カリウム濃度(金属換算)、及び外表面から(1/2)rの間に存在するルテニウムの特性X線強度の和の割合X、ルテニウムが存在する領域に存在するカリウムの特性X線強度の和の割合Y、ならびに評価結果(原料C転化率)を表1に示した。
【0035】
実施例3
実施例1において、α−アルミナ担体に水酸化カリウムを担持した後の焼成温度を850℃としたこと以外は、実施例1と同様にして触媒Cを調製し、触媒Cを実施例1と同様に評価した。この触媒Cのルテニウム濃度(金属換算)、カリウム濃度(金属換算)、及び外表面から(1/2)rの間に存在するルテニウムの特性X線強度の和の割合X、ルテニウムが存在する領域に存在するカリウムの特性X線強度の和の割合Y、ならびに評価結果(原料C転化率)を表1に示した。
【0036】
比較例1
塩化ルテニウム・水和物(RuCl・nHO、ルテニウム含量39質量%)1.57gを10.74gのイオン交換水に溶解し、この水溶液を直径3mmの球状α−アルミナ担体30gに滴下した。担体全体に塩化ルテニウム水溶液が均一に行き渡るよう攪拌した後、室温で1時間静置した。続いてこの担体をロータリーエバポレーターにより、約2.7kPa(約20mmHg)程度の真空下、湯浴で50℃に加熱して、乾燥した。
次いで、上記担体を7mol/Lアンモニア水約100mL(市販試薬特級の約2倍希釈)中に移し、スターラーで1時間ゆっくり攪拌して、ルテニウムを不溶・固定化した。この担体を、ブフナー漏斗を用いてアンモニア水から回収した。回収した担体をイオン交換水で充分洗浄した。洗浄終了は、濾液の一部に硝酸銀水溶液を滴下し、塩化銀の白色沈殿が生じなくなる点とした。洗浄した担体を乾燥機中80℃で15時間乾燥し、触媒Dを調製した。この触媒Dを実施例1と同様にして評価した。触媒Dのルテニウム濃度(金属換算)、カリウム濃度(金属換算)、及び外表面から(1/2)rの間に存在するルテニウムの特性X線強度の和の割合X、ルテニウムが存在する領域に存在するカリウムの特性X線強度の和の割合Y、ならびに評価結果(原料C転化率)を表1に示した。
【0037】
比較例2
水酸化カリウム0.51g(和光純薬製特級、純度85%)をイオン交換水9.51gに溶解し、触媒D30.0gに滴下した。触媒D全体に水酸化カリウム水溶液が均一に行き渡るよう攪拌した後、室温で1時間静置した。次いで80℃にて乾燥し、触媒Eを得た。この触媒Eを実施例1と同様にして評価した。触媒Eのルテニウム濃度(金属換算)、カリウム濃度(金属換算)、及び外表面から(1/2)rの間に存在するルテニウムの特性X線強度の和の割合X、ルテニウムが存在する領域に存在するカリウムの特性X線強度の和の割合Y、ならびに評価結果(原料C転化率)を表1に示した。
【0038】
比較例3
実施例1において、α−アルミナ担体に水酸化カリウムを担持後にマッフル炉による焼成を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして触媒Fを調製し、触媒Fを実施例1と同様に評価した。この触媒Fのルテニウム濃度(金属換算)、カリウム濃度(金属換算)、及び外表面から(1/2)rの間に存在するルテニウムの特性X線強度の和の割合X、ルテニウムが存在する領域に存在するカリウムの特性X線強度の和の割合Y、ならびに評価結果(原料C転化率)を表1に示した。
【0039】
比較例4
実施例1において、α−アルミナ担体に水酸化カリウムを担持後の焼成の温度を600℃とし、ルテニウムを担持した後の水酸化カリウムの担持を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして触媒Gを調製し、触媒Gを実施例1と同様に評価した。この触媒Gのルテニウム濃度(金属換算)、カリウム濃度(金属換算)、及び外表面から(1/2)rの間に存在するルテニウムの特性X線強度の和の割合X、ルテニウムが存在する領域に存在するカリウムの特性X線強度の和の割合Y、ならびに評価結果(原料C転化率)を表1に示した。
【0040】
比較例5
実施例1において、α−アルミナ担体に水酸化カリウムを担持後の焼成の温度を1000℃としたこと以外は、実施例1と同様にして触媒Hを調製し、触媒Hを実施例1と同様に評価した。この触媒Hのルテニウム濃度(金属換算)、カリウム濃度(金属換算)、及び外表面から(1/2)rの間に存在するルテニウムの特性X線強度の和の割合X、ルテニウムが存在する領域に存在するカリウムの特性X線強度の和の割合Y、ならびに評価結果(原料C転化率)を表1に示した。
【0041】
比較例6
実施例1において、ルテニウムを担持した後の水酸化カリウムの担持を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして触媒Iを調製し、触媒Iを実施例1と同様に評価した。この触媒Iのルテニウム濃度(金属換算)、カリウム濃度(金属換算)、及び外表面から(1/2)rの間に存在するルテニウムの特性X線強度の和の割合X、ルテニウムが存在する領域に存在するカリウムの特性X線強度の和の割合Y、ならびに評価結果(原料C転化率)を表1に示した。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
表1に示した実施例1〜3、比較例1〜6の結果から明らかなように、本発明に従ってα−アルミナ担体にアルカリ金属を担持、焼成した後、ルテニウム金属を担持し、その後アルカリ金属を再担持して製造した触媒は、脱硫灯油など重質炭化水素を原料とした水蒸気改質反応においても、高い原料C1転化率を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α−アルミナ担体上に、少なくとも1種のアルカリ金属を含む化合物を含有する溶液を用いてアルカリ金属を触媒基準、金属換算で0.5〜10質量%担持させて800℃〜950℃で焼成した後、ルテニウムを含む化合物を含有する溶液を用いてルテニウムを触媒基準、金属換算で0.5〜10質量%担持させ、アルカリ水溶液にて処理した後、純水で洗浄することで前記アルカリ金属を除去し、次いで120℃以下で乾燥を行い、その後少なくとも1種のアルカリ金属を含む化合物を含有する溶液を用いてアルカリ金属を触媒基準、金属換算で0.5〜10質量%担持させた後、120℃以下で乾燥することを特徴とする水素製造用触媒の製造方法。
【請求項2】
前記アルカリ金属がカリウムであることを特徴とする請求項1に記載の水素製造用触媒の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水素製造用触媒の製造方法によって製造された水素製造用触媒であって、α−アルミナ担体上に、ルテニウムを触媒基準、金属換算で0.5〜10質量%と、アルカリ金属を触媒基準、金属換算で0.5〜10質量%含み、EPMA(エレクトロンプローブマイクロアナライザー)により、触媒断面の中心を通るように触媒外表面から他の外表面まで一方向にアルカリ金属及びルテニウムについて線分析測定したときに、触媒外表面から触媒中心までの距離をrとすると、触媒外表面から(1/2)rまでの距離の間に検出されたルテニウムの特性X線(Lα線)強度の和の割合が、全領域のルテニウムの特性X線強度の和に対して80〜100%であり、ルテニウムが存在する領域に存在するアルカリ金属の特性X線強度の和の割合が、全領域のアルカリ金属の特性X線強度の和に対して60〜70%であることを特徴とする水素製造用触媒。
【請求項4】
請求項3に記載の触媒の存在下に、沸点が30〜350℃の範囲にある留分が90質量%以上存在する炭化水素と水蒸気とを、反応温度400〜900℃、反応圧力0〜5MPa−G、S/C(水蒸気/炭素モル比)=2.5〜5.0の条件下で、反応させることを特徴とする水素の製造方法。

【公開番号】特開2009−148688(P2009−148688A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328275(P2007−328275)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)(出願人による申告)国等の委託研究成果に係る特許出願(平成19年度、新燃料油研究開発調査「将来型燃料高度利用研究開発」、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(590000455)財団法人石油産業活性化センター (249)
【Fターム(参考)】