説明

炭素担持触媒及びその製造方法

【課題】少ない白金量で水素の脱水素生成を良好に行なえる炭素担持触媒およびその製造方法を提供する。
【解決手段】活性炭担持Ni−Ru触媒およびη−(1,5−シクロオクタジエン)Pt(II)ジメチルの混合物を窒素雰囲気下で撹拌後、水素雰囲気に置換して加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デカリンやテトラリンなどの有機ハイドライドの脱水素反応に好適に使用できる炭素担持触媒及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自由に貯めて運べる化学物質としての水素は、電気と並びクリーンな二次エネルギーである。近年では、地球温暖化など環境保護に対する意識が高まっており、ガソリン等の化石燃料に代わる燃料として、水素は二酸化炭素削減の期待できる燃料として期待されている。
【0003】
そのため、水素を燃料として駆動する水素自動車や燃料電池車が注目されている。ところが、水素の安全で安価に貯蔵法、輸送法については、未だ確立されるに至っていない。
例えば、現在の燃料電池車は、車両の駆動力を得るための電源としての燃料電池、およびこの燃料電池を用いて発電を行なうための燃料である水素または水素生成用の原燃料を搭載している。水素は一般に、水素ガスを圧縮して充填したボンベ、または水素を吸蔵する水素吸蔵合金や水素吸着材料により搭載されている。一方、原燃料を搭載する場合、燃料電池車は原燃料としてのメタノールまたはガソリン等の炭化水素とこの原燃料を水蒸気改質して水素リッチガスを生成する水素生成装置とを搭載している。
【0004】
しかしながら、水素吸蔵合金や水素吸着材料では、燃料電池車に必要とされる水素貯蔵密度が不充分であり、水素の吸蔵や吸着等を制御するのが困難である。一方、原燃料を搭載する場合は、水素を搭載する場合に比し、1回の燃料補給で走行可能な距離が長いという利点があるほか、炭化水素等の原燃料は水素ガスに比較して輸送等の取り扱いが容易で安全であるという利点もある。
【0005】
例えば、脂環式炭化水素の1つであるデカリン(デカヒドロナフタレン)は、常温では殆ど蒸気圧がゼロ(沸点が200℃近傍)で取り扱いし易いことから、上記の原燃料としての使用の可能性が期待されている。
【0006】
デカリンの脱水素化方法としては、デカリンをコバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、ニッケル、および白金の中から選ばれる少なくとも1種の遷移金属を含有する遷移金属錯体の存在下で光照射し、デカリンから水素を離脱させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、有機リン化合物のロジウム錯体の存在下、または有機リン化合物とロジウム化合物との存在下に、デカリンに光照射することによりデカリンから水素を製造する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
このようなデカリン等の有機ハイドライドは、水素の貯蔵、運搬が容易であるほか、例えばデカリンなどの脂環式炭化水素を原燃料とした場合、水素濃度の高い水素ガスが得られる有用な燃料となる。
【特許文献1】特公平3−9091号公報
【特許文献2】特公平5−18761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、脱水素用の触媒として広く知られる白金触媒では、多量の白金を使用しない限り、デカリン等の有機ハイドライドに対する脱水素活性が小さく、短時間で多量の水素が得られない課題がある。
【0009】
また、白金等の貴金属は、高価で希少な金属であるため、白金の使用量を低減できる技術の確立や代替触媒に対する期待も大きい。
【0010】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、少ない白金量で水素の脱水素生成を良好に行なえる炭素担持触媒およびその製造方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、X−Y触媒の金属Xおよび/または金属Y上(例えば、Ni−Ru触媒のNiおよび/またはRu上)に白金(Pt)を修飾したPt/X−Y触媒(例えばPt/Ni−Ru触媒)は、炭素担持X−Y触媒の表面に存在するPtとX−Y(例えばNi−Ru)とで有機ハイドライドに対する作用が異なり、Ptによる作用を経た後にX−Y触媒(例えばNi−Ru触媒)の作用を受けることで、有機ハイドライドからの脱水素転化率を向上させ得るとの知見を得、かかる知見に基づいて達成されたものである。
【0012】
上記目的を達成するために、第1の発明である炭素担持触媒の製造方法は、炭素担持X−Y触媒〔XはNi、CoまたはCuを表し、YはCr、Mo、W、Mn、Re、Ru、Fe、Co、Rh、またはPdを表す。但し、XとYが同じ元素を表すことはない。〕およびπ結合型炭化水素配位子を有する白金錯体を混合する工程と、混合により得られた混合物を不活性雰囲気下で撹拌する工程と、不活性雰囲気を水素雰囲気に換え、水素雰囲気下で前記撹拌後の前記混合物を加熱する工程とを設けて構成されたものである。
【0013】
第1の発明である炭素担持触媒の製造方法においては、炭素担持X−Y触媒と白金錯体とを混合し、不活性雰囲気下で撹拌して得た混合物を水素雰囲気下で加熱することで、炭素担体上に担持されている金属Xおよび/または金属Y上で水素分子が解離し、金属Xおよび/または金属Yの表面に解離した水素は吸着状態で存在し、その還元反応性は極めて高い。そのため、解離吸着した水素は、吸着するあるいは新たに吸着してくる白金錯体に金属Xおよび/または金属Yの表面で作用し、炭素−Pt結合が切れてPtを金属状態とするので、結合が切れて離れた金属Ptを金属Xおよび/または金属Y上に存在させることができる。これより、X−Y触媒のうち選択的に金属Xおよび/または金属Yの表面がPtで修飾された炭素担持Pt/X−Y触媒が得られる。
【0014】
第1の発明においては、白金錯体として、ジエン化合物を配位子とするジアルキル白金錯体を用いることできる。中でも、好ましいのは1,5−シクロオクタジエン(COD;以下同様)を配位子とするジアルキル白金錯体(例えば、η−(1,5−シクロオクタジエン)Pt(II)ジメチル〔PtMe(COD)〕)である。
【0015】
例えばPtMe(COD)は、常温常圧下で比較的安定であり、粉末状にして用いることができる。また、PtMe(COD)を用いた場合、炭素担体上に担持されている金属Xおよび/または金属Yの表面で解離、吸着した水素がPtMe(COD)に作用し、炭素−Pt結合が切れ、Ptに配位する1,5−シクロオクタジエンが離れて、金属Ptが金属Xおよび/または金属Y上に残り、金属Xおよび/または金属Yの表面は選択的にPtで修飾される。
【0016】
炭素担持X−Y触媒としては、XがNiであり、YがRu、Mo、またはWである触媒を好適に用いることができる。
【0017】
第1の発明においては、混合物を撹拌する際の不活性雰囲気を窒素雰囲気とすることができる。窒素雰囲気の形成は容易であり、不純物の吸着を伴なわずに、炭素担持X−Y触媒と白金錯体との混合を均一に行なえる。
また、水素雰囲気下での加熱は、200℃以上400℃以下で行なうことが好ましい。例えば、有機ハイドライドの一つであるデカリンを用いて脱水素反応を行なう場合、デカリンから脱水素できる温度環境は200〜350℃程度であり、かかる温度環境下に置かれた際に組成変動を起こさない安定性を付与する点で望ましい。
【0018】
第2の発明である炭素担持触媒は、炭素担持X−Y触媒〔XはNi、CoまたはCuを表し、YはCr、Mo、W、Mn、Re、Ru、Fe、Co、Rh、またはPdを表す。但し、XとYが同じ元素を表すことはない。〕の金属Xおよび金属Yの少なくとも一方の表面の一部にPtを存在させたものである。
【0019】
第2の発明においては、X−Y触媒の金属Xおよび/または金属Yの表面の一部を白金(Pt)で修飾することで、有機ハイドライドに対し、炭素担持X−Y触媒の表面に存在するPtとX−Y触媒とで異なる作用を得ることができるので、Ptによる作用とその後のX−Y触媒の作用とによって、有機ハイドライドの脱水素転化率が高められ、水素生成量を向上させることができる。
【0020】
第2の発明においても、炭素担持X−Y触媒としては、XがNiであり、YがRu、Mo、またはWである触媒を好適に用いることができる。
また、Pt量を減らしつつ、脱水素反応を良好に行なって水素量を確保する観点から、PtとXおよびYとの質量比(Pt/X-Y)は1/20〜1/1であることが好ましい。
【0021】
さらに、Pt量を減らしつつ、脱水素反応性を向上させる観点から、X−Y触媒上に存在するPtの粒子サイズは、0.3nm以上2.0nm以下の範囲内が望ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、少ない白金量で水素の脱水素生成を良好に行なえる炭素担持触媒およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の炭素担持触媒の製造方法について詳細に説明すると共に、該説明を通じて、本発明の炭素担持触媒の詳細についても述べる。
【0024】
本発明の炭素担持触媒の製造方法は、炭素担持X−Y触媒〔XはNi、CoまたはCuを表し、YはCr、Mo、W、Mn、Re、Ru、Fe、Co、Rh、またはPdを表す。但し、XとYが同じ元素を表すことはない。〕、およびπ結合型炭化水素配位子を有する白金錯体を混合する工程(以下、混合工程ともいう。)と、混合により得られた混合物を不活性雰囲気下で撹拌する工程(以下、撹拌工程ともいう。)と、不活性雰囲気を水素雰囲気に換え、水素雰囲気下で前記撹拌後の前記混合物を加熱する工程(以下、加熱工程ともいう。)とを有してなり、必要に応じて、炭素担持X−Y触媒を真空加熱する前処理工程などの他の工程を有してもよい。
【0025】
本発明の炭素担持触媒の製造方法においては、均一に分散された炭素担持X−Y触媒の金属Xおよび/または金属Yの表面が金属Ptで均一に修飾され、炭素担持X−Y触媒の上に金属Xおよび金属Yに比べて少量のPtを存在させた炭素担持Pt/X−Y触媒を安定的に作製することができる。この炭素担持Pt/X−Y触媒は、有機ハイドライド(例えばデカリン等の飽和6員環を有する化合物)の脱水素反応を効率良く行なうことができる。
【0026】
−混合工程−
本発明における混合工程は、炭素担持X−Y触媒、およびπ結合型炭化水素配位子を有する白金錯体を混合する。なお、炭素担持X−Y触媒の作製方法については後述する。
【0027】
炭素担持X−Y触媒は、炭素材の表面に金属Xおよび金属Yが担持された触媒であり、粒子状、粉末状等の粒子の形態で好適に用いることができる。
【0028】
炭素担持X−Y触媒を構成する炭素材としては、多孔性の炭素材料が好ましく、例えば、活性炭顆粒、活性炭繊維、活性炭繊維織布などが好適である。
【0029】
炭素担持X−Y触媒の触媒金属であるXは、Ni、Co、またはCuを表し、有機ハイドライドのβ位の炭素−水素結合を切るβ開裂を良好に行なう観点から、NiまたはCuが好ましく、より好ましくはNiである。また、他方の触媒金属であるYは、Cr、Mo、W、Mn、Re、Ru、Fe、Co、Rh、またはPdを表し、飽和炭化水素のC−H結合開裂によって生じた有機ハイドライドのα位炭素を良好に配位する観点から、Ru、Mo、またはWが好ましい。そして、配位不飽和となったα炭素のsp混成不対電子軌道を受けいれる金属表面サイトは部分的に空のd軌道を持つと良く、かかる点でRuはより好ましい。なお、XとYは、同時に同じ元素を表すことはない。
【0030】
炭素担持X−Y触媒のX,Yはそれぞれ異なる役割を担うものと推定される。すなわち、Xは、配位炭素に隣接するC−H結合を切るβ開裂を行なう逆供与性(軌道の拡がりと対称性がC−Hのσ反結合性軌道への電子非局在化をもたらす)に特徴を有するのに対して、YはPtが済ませた飽和炭化水素のC−H結合解離(α開裂)を受けて配位不飽和となった炭素原子とY金属原子の間に密度高く非局在化させる役割を担う。特に、炭素配位子のβ開裂に関して現れる。
【0031】
XとYの組合せとしては、本発明の効果がより奏される点で、好ましくは、(1)NiまたはCuとRuとの組合せ、(2)NiまたはCuとWとの組合せ、(3)NiまたはCuとMoとの組合せである。
【0032】
π結合型炭化水素配位子は、安定性を有する一方、解離吸着水素と間では反応性が大きい。以下、このπ結合型炭化水素配位子を有する白金錯体の例を列挙する。
【0033】
例えば、(1)アルキル系炭化水素η又はη配位子を有する白金錯体(例:(1,5−シクロオクタジエン)ビス(フェニルメチル)白金、(1,5−シクロオクタジエン)ビス(ネオペンチル)白金、ジメチル(ノルボルナジエン)白金、μ−シクロオクタテトラエンビス(ジメチル白金)、(1,5−シクロオクタジエン)−1,4−テトラメチレン白金、(1,5−シクロオクタジエン)−3,3−ジメチル−1−プラチナシクロブタン、ジシクロペンタジエニル(ノルボルナジエン)白金、ジシクロペンタジエニル(1,5−シクロオクタジエン)白金など)、
【0034】
(2)カルボニル系炭化水素η又はη配位子を有する白金錯体(例:ジカルボニルジシクロペンタジエニルジ白金、ジカルボニルビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジ白金、ジカルボニル(1,5−シクロオクタジエン)白金など)、
(3)モノエン系炭化水素η配位子を有する白金錯体(例:トリス(ノルボルネン)白金など)、
【0035】
(4)ジエン系炭化水素η配位子〔例:シクロオクタジエン(1,5-cyclooctadiene)、シクロペンタジエン(1,3-cyclopentadiene)及びその誘導体、ジシクロペンタジエンなどの環状ジエン化合物、プロパジエンなどの非環状ジエン化合物〕を有する白金錯体(例:(1,5−シクロオクタジエン)白金ジメチル、ビス(1,5−シクロオクタジエン)白金など)、
【0036】
(5)シクロペンタジエン系炭化水素η又はη配位子を有する白金錯体(例:トリメチル(シクロペンタジエニル)白金、トリメチル(メチルシクロペンタジエニル)白金、トリメチル(ペンタメチルシクロペンタジエニル)白金など)、
(6)モノイン系炭化水素η配位子を有する白金錯体(例:ビス(ジフェニルアセチレン)白金など)、
(7)アリール系炭化水素η配位子を有する白金錯体(例:ビス(2−メチルアリール)白金、ビス(2−ブテニル)白金、シクロペンタジエニル(アリール)白金、シクロペンタジエニル(2−メチルアリール)白金など)、または
【0037】
(8)フェニル系炭化水素η又はη配位子を有する白金錯体(例:ジフェニル(ノルボルナジエン)白金、ジフェニル(1,5−シクロオクタジエン)白金、ジ(o−トリル)(1,5−シクロオクタジエン)白金、ジ(m−トリル)(1,5−シクロオクタジエン)白金、ジ(p−トリル)(1,5−シクロオクタジエン)白金、ビス(1−ナフタレニル)(1,5−シクロオクタジエン)白金、ビス(9−アントラセニル)(ノルボルナジエン)白金、(1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)(ノルボルナジエン)白金などの芳香族化合物)、
などが挙げられる。
【0038】
更には、本発明における白金錯体は、前記π結合型炭化水素配位子を有しながら、脱水素触媒作用を阻害する可能性のあるハロゲン、酸素、窒素、硫黄を含む16族元素、リンを含む15族元素、ケイ素を含む14族元素、およびホウ素を含む13族元素を配位元素として含む配位子を有しない錯化合物であることが好ましい。また更に、本発明における白金錯体は、電気的に中性で、白金の原子価が0(ゼロ)または2の錯化合物であることが、分子性錯体の炭素担体表面拡散性並びに錯体安定性の点で好ましい。
【0039】
上記のうち、π結合型炭化水素配位子を有する白金錯体としては、π結合型炭化水素配位子を有するジアルキル白金錯体が好ましい。この場合、ジアルキル白金錯体のアルキル部位の炭素数としては、安定性と反応性とを両立させる観点から、1〜7が好ましく、より好ましくは1〜5である。
【0040】
更には、錯体安定性並びに反応性の点で、配位子がジエン化合物(特に1,5−シクロオクタジエンもしくはノルボルナジエン)であって、かつアルキル部位の炭素数が1または2である錯化合物が好ましく、より好ましくは、ジエン化合物を配位子とするジメチル白金錯体、ビス(ネオペンチル)白金錯体である。中でも、それ自体安定で粒子の形態で炭素担持金属触媒の修飾処理に供し得る点で、(1,5−シクロオクタジエン)白金(II)ジメチル錯体は特に好ましい。
【0041】
炭素担持X−Y触媒とπ結合型炭化水素配位子を有する白金錯体の混合比率としては、後述するように有機ハイドライドのα位の炭素−水素σ結合を切るα開裂の開始、すなわちPt量を減らしつつ、脱水素反応を良好に行なって水素量を確保する観点から、Ptと金属Xおよび金属Yとの質量比(Pt/X-Y)が1/20〜1/1の範囲が好ましく、より好ましくは1/10〜1/2の範囲である。
【0042】
−撹拌工程−
本発明における撹拌工程は、混合工程での混合により得られた混合物を不活性雰囲気下で撹拌する。
【0043】
本工程では、混合物を反応性の低い不活性雰囲気下で充分に撹拌することにより、不純物や反応を伴なうことなく、炭素担持X−Y触媒とπ結合型炭化水素配位子を有する白金錯体とを均一に混合でき、後の加熱により、金属Xおよび金属Yの上に均一に存在させることができる。
【0044】
不活性雰囲気としては、ヘリウム,ネオン,アルゴン等の希ガス、窒素などによる雰囲気が好適であり、好ましくは窒素雰囲気である。
【0045】
撹拌は、加熱下で行なうことが可能である。加熱は、公知の加熱手段を適宜選択して行なえる。撹拌時に加熱する場合の加熱温度としては、分子性結晶の分子間力を上回る熱駆動力を得て、白金錯体分子が分解することなく炭素担体表面を自由に移動することができる点で、30〜200℃が好ましい。
また、撹拌は、マグネチックスターラーや、棒、板、プロペラ状の攪拌子を回転させるもの等、公知の撹拌装置を適宜選択して行なうことができる。
【0046】
−加熱工程−
本発明における加熱工程は、撹拌工程での不活性雰囲気を水素雰囲気に換え、水素雰囲気下で、撹拌工程で撹拌した後の混合物を加熱する。本工程において、混合物を水素雰囲気下で加熱することにより、水素との反応性が高いNi、Ruの表面で水素分子が解離し、解離した水素(原子)の作用を受けて白金錯体〔例えばPtMe(COD)〕の炭素−Pt結合が切れ、Ni、Ruの表面にPtを存在させることができる。
【0047】
不活性雰囲気から水素雰囲気への置換は、必要に応じて真空脱気した後、不活性雰囲気中に水素ガスを供給することにより行なえる。
【0048】
加熱温度は、錯体白金原子−配位子炭素原子間の結合に解離水素が関与して錯体分解の端緒を与えると共に、白金原子を残し配位子全てが排除される温度以上とする一方、白金原子の金属表面移動・ナノサイズ成長に止まらず粗大粒子集団へと凝集し過ぎぬ温度以下に設定する観点から、200℃以上400℃以下が好ましく、220〜300℃がより好ましい。
また、前記加熱温度への昇温速度としては、錯体分解反応速度、白金原子移動速度、白金粒子凝集速度並びに各々の温度依存性との兼ね合いの点で、1〜4℃/分が好ましい。
例えば、有機ハイドライドの脱水素反応での使用を考慮する場合は、脱水素反応下に置いた際の触媒の安定性の点で、脱水素反応温度以上の温度で加熱されることが好ましい。
【0049】
−他の工程−
本発明の炭素担持触媒の製造方法においては、上記工程以外に必要に応じて、炭素担持Ni−Ru触媒を作製する作製工程や、前記混合工程以前に炭素担持Ni−Ru触媒を前処理する前処理工程などの他の工程を含んでもよい。
【0050】
炭素担持Ni−Ru触媒の作製は、公知の方法により行なえる。例えば図1に示すように、炭素担持Ni−Ru触媒を作製することができる。すなわち、
触媒担体として用いる活性炭を用意し、まずこれを容器内に入れて真空脱気し、160℃下で1時間加熱する。これにより、活性炭に吸着している水分や二酸化炭素等の不純物を除去する。その後、図1に示すように、活性炭を室温に戻し、室温下、活性炭をNiClおよびRuClの混合水溶液中に含浸させた状態で24時間撹拌する。撹拌下、これにNaBH水溶液を加えて還元し、NiとRuを活性炭表面に析出、担持させる。これを濾過し、さらに蒸留水で洗浄する。真空下、70℃で10時間真空乾燥させることにより、炭素担持Ni−Ru触媒が得られる。
【0051】
前処理工程は、使用する炭素担持Ni−Ru触媒に付着した不純物を除去する工程である。例えば、所望の炭素担持Ni−Ru触媒を容器に投入し、真空脱気すると共にあるいはしないで、加熱(例えば160℃下で1時間)する工程を設けることができる。加熱条件は、場合に応じて選択すればよい。
【0052】
本発明の炭素担持触媒の製造方法について、一例を図2を参照して説明する。
ここでは、Ni−Ru触媒およびPtMe(COD)〔1,5−シクロオクタジエン(COD)を配位子に持つジメチル白金(II)錯体〕を用いた場合を示す。
【0053】
図2に示すように、容器内に炭素担持Ni−Ru触媒を入れて真空脱気し、160℃下で1時間加熱した後、室温に戻す(前処理工程)。これにより、まず炭素担持Ni−Ru触媒中の活性炭などの炭素担体に吸着している水分や二酸化炭素等の不純物を除去する。次に、炭素担持Ni−Ru触媒の入っている中に、PtMe(COD)粉末(白金錯体)を加えて混合し(混合工程)、さらに窒素を導入して窒素雰囲気とし、窒素雰囲気下、160℃で1時間撹拌して均一化する(撹拌工程)。その後、窒素雰囲気を水素で置換して水素雰囲気とし、この水素雰囲気下で2℃/分の昇温速度にて250℃まで昇温する(加熱工程)。このとき、Ni,Ruは水素との反応性が高いため、Ni,Ruはその表面で水素分子を解離させ、解離した水素の作用によりPtMe(COD)(白金錯体)からPtが得られ、PtをNi−Ru触媒表面に存在させることができる。その後は、水素を吹き込んで水素雰囲気を形成し、温度を維持して例えば1時間継続して水素の流れを維持することで、解離した水素による白金錯体への作用を効果的に進行する。そして、160℃下で1時間真空脱気し、Pt/Ni−Ru触媒が得られる。
【0054】
次に、本発明の炭素担持触媒について詳細に説明する。
本発明の炭素担持触媒は、炭素担持X−Y触媒の金属Xおよび金属Yの少なくとも一方の表面の一部にPtを有してなるものであり、好ましくは、既述の本発明の炭素担持触媒の製造方法により作製される。
【0055】
なお、炭素担持X−Y触媒において、XはNi、CoまたはCuを表し、YはCr、Mo、W、Mn、Re、Ru、Fe、Co、Rh、またはPdを表し(但し、XとYは同時に同じ元素を表すことはない)、好ましい態様については既述した通りである。
【0056】
Ptの粒子サイズとしては、後述のようにPtがX−Y金属の表面に存在して有機ハイドライドのα位の炭素−水素σ結合を切るα開裂の開始が容易に行なえる点で、0.3nm以上2.0nm以下の範囲が好ましい。
【0057】
本発明の炭素担持触媒における白金(Pt)と金属Xおよび金属Yとの質量比(Pt/X-Y)としては、有機ハイドライドのα位の炭素−水素σ結合を切るα開裂の開始が良好、すなわちPt量を減らしつつ、脱水素反応を良好に行なって水素量を確保できる観点から、1/20〜1/1の範囲が好ましく、1/10〜1/2の範囲がより好ましい。
【0058】
X−Y触媒の金属Xおよび/または金属Y上(例えば、Ni−Ru触媒のNiおよび/またはRu上)に白金(Pt)を修飾したPt/X−Y触媒(例えばPt/Ni−Ru触媒)は、炭素担持X−Y触媒の表面に存在するPtとX−Y触媒とで有機ハイドライドに対して異なる作用を与えることが可能であり、Ptによる作用を経た後にX−Y触媒(例えばNi−Ru触媒)の作用により、有機ハイドライドからの脱水素転化率を向上させることができる。
【0059】
本発明の炭素担持触媒は、有機ハイドライドを用いた脱水素生成反応に好適に用いることができる。
有機ハイドライドには、脂環式炭化水素(例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の単環式化合物、デカリン、メチルデカリン、テトラリン(テトラヒドロナフタレン)等の二環式化合物、テトラデカヒドロアントラセン等の三環式化合物)、および脂肪族アルコール(例えば、2−プロパノール、メタノール、エタノール等)が含まれる。特に、脱水素転化率の向上、並びに水素の貯蔵/生成速度と芳香族化合物の安全性の観点から、メチルシクロヘキサン等の単環式化合物、デカリン、メチルデカリン、テトラリン等の二環式化合物が好ましい。
【0060】
以下、有機ハイドライドの一つであるデカリンの脱水素反応について、炭素担持Pt/Ni−Ru触媒を用いて行なう場合を例に説明する。
【0061】
デカリンを炭素担持Pt/Ni−Ru触媒上に液膜状態となるように(例えば噴射または添加等して)供給する。このとき、デカリンは、触媒表面上に液膜状態で保持されている。
供給されたデカリンは、まず図3−(a)に示すように、Ptがα位の水素に作用してPt金属上でα開裂を起こす。ここで、NiおよびRuはいずれもα開裂にほとんど寄与しないため、従来は脱水素反応が進行しにくかったのに対し、本発明のようにPtをNi−Ru触媒の上に分散して存在させることで、Ptの存在が脱水素反応の起点となり、その後のNi,Ruによる反応が進行し易くなるので、従来以上にデカリンの脱水素反応を促進できる。
これにより、Ptの使用量を減らすことが可能であり、Ptを減らしても脱水素量を確保することができる。そして、本発明の炭素担持触媒の製造方法によれば、起点となるPtがNiおよび/またはRuの表面に広く散らばって存在できるので、反応が広範囲で進行し、脱水素反応効率を飛躍的に向上させることができ、Pt量をより一層低減できる。
このα開裂後、Pt以外の金属触媒でも進行しやすいβ開裂に移ることができる。
【0062】
次に、図3−(b)のように、α開裂後のデカリンに対してNi−Ru触媒が作用し、α開裂に続いてNi−Ru表面でデカリンβ位の炭素−水素結合が切れるβ開裂が起きる。一旦α開裂が起きると、β開裂は進行しやすく、隣接の金属Ni、金属Ruもしくは金属原子対Ni−Ruの上で進行する。その後、デカリンのβ開裂が次々に繰り返され(図3−(c))、水素は脱離し、最終的に安定な不飽和炭化水素である芳香族化合物のナフタレンが生成される(図3−(d))。
【0063】
ここで、液膜状態は、Pt/Ni−Ru触媒の表面がデカリンによって僅かに湿潤した状態であり、過熱(デカリンの沸点を越える温度での加熱)・液膜状態での脱水素反応のとき水素ガス生成量は最大になる。これは、デカリンの蒸発速度が、基質液量(デカリンの液量)が少ない程小さくなり、蒸発速度が小さくかつ高温の状態で脱水素反応させることにより転化率が向上するからである。すなわち、蒸発速度は液量・伝熱面積・加熱源と沸点との温度差の各々に比例するので、液体デカリンの量が少なければ蒸発速度が小さくなる。液体デカリンは、加熱されたPt/Ni−Ru触媒上(例えば200〜350℃)でも液膜状態で存在するので、触媒活性サイトは液相からのデカリンの速やかな吸着により充分に高い被覆度で補填される。しかも、液は沸騰加熱下にあるため、過熱度を高めるほど気泡が激しく発生し、それが生成物吸着種の気泡への脱離を促進し、結果的に空いた活性サイト数を増大させる。よって、触媒表面上で過熱・液膜状態で脱水素反応させることにより、触媒表面上で気体で反応させるよりも優れた反応性を得ることができる。
【実施例】
【0064】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
【0065】
(実施例1)
−Ni−Ru触媒の作製−
触媒担体として、平均粒径7μmの顆粒状・高表面積多孔性活性炭(BET比表面積:3100m/g、細孔径:2mm、細孔容積:1.78cm/g)980mgを用意し、これを容器内に入れて真空脱気し、160℃下で1時間加熱した。その後、室温に戻し、得られた活性炭を室温下、NiCl(50モル%)およびRuCl(50モル%)の混合水溶液中に含浸させて24時間撹拌した。撹拌下、これにNaBH水溶液を室温で10分間かけて滴下して還元し、さらに30分間保持して、NiとRuを活性炭表面に付着させた。その後、濾過し、さらに多量の蒸留水で洗浄し、真空下70℃で10時間真空乾燥させて、目的とする活性炭担持Ni−Ru触媒を得た。
Ni−Ru量は活性炭に対し2%であり、Ni/Ru比[質量比]は1/1.72であった。
【0066】
−Pt/Ni−Ru触媒の作製−
上記より得られたNi−Ru触媒の一部を容器内に入れて真空脱気し、160℃下で1時間加熱した(前処理工程)。その後、室温に戻し、活性炭担持Ni−Ru触媒291mg(活性炭285mg)が入っている中に、η−(1,5−シクロオクタジエン)Pt(II)ジメチル〔PtMe(COD)〕粉末(白金錯体の粉末)を活性炭(炭素担体)に対し0.2%、1.0%となる量加えて混合し(混合工程)、さらに窒素を導入して窒素雰囲気に置換した。そして、窒素雰囲気下、160℃で1時間撹拌して均一化した(撹拌工程)。その後、窒素雰囲気を水素で置換して水素雰囲気とし、この水素雰囲気下で2℃/分の昇温速度にて250℃まで昇温し、1時間保持、撹拌した(加熱工程)。
以上のようにして、PtおよびNi−Ruの比率(対全質量)が2.2%、3.0%のPt/Ni−Ru触媒を得た。
このとき、Pt量は活性炭に対し0.2%、1.0%であり、Pt/(Ni+Ru)比[質量比]は1/10、1/2であった。
【0067】
−Pt触媒の作製−
触媒担体として、平均粒径7μmの顆粒状・高表面積多孔性活性炭(BET比表面積:3100m/g、細孔径:2mm、細孔容積:1.78cm/g)291mgを用意し、水酸化ナトリウム水溶液(pH14)500mlと共に室温下で24時間撹拌した後、濾過し、蒸留水1000mlを用いて洗浄して塩基前処理を施した。この活性炭をKPtCl水溶液中に48時間含浸させて撹拌した。これにNaBH水溶液を90℃で30分間かけて滴下して還元し、さらに30分間保持して、Ptを活性炭表面に付着させた。その後、濾過し、さらに多量の蒸留水で洗浄し、70℃で10時間乾燥させ、Pt触媒を得た。このとき、Pt量が活性炭に対し0.2%、1.0%となるようにした。
【0068】
−評価1−
上記で得た各触媒について、下記方法により活性を評価した。評価結果は図4に示す。
Pt触媒288mg、Ni−Ru触媒291mg、またはPt/Ni−Ru触媒294mgと、メチルシクロヘキサン1mlとを回分式反応器に入れ、沸騰還流条件(外部加熱240〜250℃、冷却5℃)を課したときの生成水素の経時を追跡して評価した。
【0069】
図4に示すように、Pt触媒およびNi−Ru触媒では触媒活性が極めて小さいのに対し、Pt/Ni−Ru触媒は大きな触媒活性を示した。
これは、炭素−水素α開裂で反応が開始するメチルシクロヘキサン等の飽和炭化水素に対しては、Ptの単独触媒およびNi−Ru触媒ではα開裂が困難であり、Pt/Ni−Ru触媒ではPt活性サイトがα開裂し、このα開裂が起きると隣接のsp3炭素の炭素−水素結合のβ開裂が速やかに進行するためと考えられる。
すなわち、バルクのNi−Ruを少量のPtで修飾し、一般にNi−Ruの触媒などでは困難なα開裂をPtに行なわせ、隣接のNi−Ru表面でβ開裂を行なうようにするので、脱水素転化率を大幅に向上させることができる。ひいては、触媒中のPt量を減らすことが可能であり、Pt量を減らしても速やかに脱水素反応が行なえる触媒活性を保持できる。
【0070】
なお、本実施例では、有機ハイドライドとしてメチルシクロヘキサンを用いた場合を示したが、デカリン、テトラリン等の飽和6員環を含む炭化水素など他の有機ハイドライドによる場合も同様の結果を得ることができる。
【0071】
(実施例2)
−Ni−Ru触媒の作製−
実施例1と同様にして、Ni−Ru触媒を作製した。Ni−Ru量は、活性炭に対し2%である。
【0072】
−Pt/Ni−Ru触媒Aの作製−
実施例1の「Pt/Ni−Ru触媒の作製」の混合工程において、η−(1,5−シクロオクタジエン)Pt(II)ジメチル〔PtMe(COD)〕粉末を、活性炭(炭素担体)に対し2%となる量加えて混合したこと以外は、実施例1と同様にして、Pt/Ni−Ru触媒A(Pt:2%、Ni−Ru:2%)を得た。
このとき、Pt量は活性炭に対し2%であり、Pt/(Ni+Ru)比[質量比]は1/1であった。
【0073】
−Pt/Ni−Ru触媒Bの作製−
実施例1で得たNi−Ru触媒(Pt量(対活性炭):2%)と、実施例1で得た白金触媒と、をNi−Ru量とPt量とが1:1となるようにそれぞれ200mgを秤りとり、なす型フラスコに入れて窒素雰囲気下で30分間よくかき混ぜることにより物理混合し、Pt/Ni−Ru触媒B(Pt:2%、Ni−Ru:2%)を得た。
【0074】
−評価2−
得られた各触媒について、前記評価1と同様にして活性を評価した。評価結果は図5に示す。
図5に示すように、本発明の炭素担持触媒の製造方法により作製したPt/Ni−Ru触媒Aは、物理混合により同じ触媒金属である白金とNi−Ruとが担持されたPt/Ni−Ru触媒B)に比べ、良好な触媒活性を示した。
【0075】
上記の実施例では、炭素担持X−Y触媒として活性炭担持Ni−Ru触媒を用いた場合を中心に説明したが、X=Ni、Y=Ru以外の既述の他の金属元素およびその組合せを利用した場合も同様の結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】炭素担持X−Y触媒を作製する反応スキームを示す図である。
【図2】本発明の炭素担持触媒の製造方法により炭素担持Pt/Ni−Ru触媒を作製する反応スキームを示す図である。
【図3】Pt/Ni−Ru触媒によるデカリンの脱水素機構を説明するための反応スキームを示す図である。
【図4】Pt/Ni−Ru触媒の触媒活性を示すグラフである。
【図5】本発明の炭素担持触媒の製造方法による場合と物理混合による場合の触媒活性の差を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素担持X−Y触媒〔XはNi、CoまたはCuを表し、YはCr、Mo、W、Mn、Re、Ru、Fe、Co、Rh、またはPdを表す。但し、XとYが同じ元素を表すことはない。〕、およびπ結合型炭化水素配位子を有する白金錯体を混合する工程と、
前記混合により得られた混合物を不活性雰囲気下で撹拌する工程と、
前記不活性雰囲気を水素雰囲気に換え、水素雰囲気下で前記撹拌後の前記混合物を加熱する工程と、
を有する炭素担持触媒の製造方法。
【請求項2】
前記白金錯体が、ジエン化合物を配位子とするジアルキル白金錯体であることを特徴とする請求項1に記載の炭素担持触媒の製造方法。
【請求項3】
前記ジエン化合物が、1,5−シクロオクタジエンであることを特徴とする請求項2に記載の炭素担持触媒の製造方法。
【請求項4】
前記XがNiであり、前記YがRu、Mo、またはWであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭素担持触媒の製造方法。
【請求項5】
前記不活性雰囲気が窒素雰囲気であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭素担持触媒の製造方法。
【請求項6】
水素雰囲気下での前記加熱は、200℃以上400℃以下で行なうことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭素担持触媒の製造方法。
【請求項7】
炭素担持X−Y触媒〔XはNi、CoまたはCuを表し、YはCr、Mo、W、Mn、Re、Ru、Fe、Co、Rh、またはPdを表す。但し、XとYが同じ元素を表すことはない。〕のXおよびYの少なくとも一方の表面の一部にPtを有する炭素担持触媒。
【請求項8】
前記XがNiであり、YがRu、Mo、またはWであることを特徴とする請求項7に記載の炭素担持触媒。
【請求項9】
PtとXおよびYとの質量比(Pt/X-Y)が1/20〜1/1であることを特徴とする請求項7又は8に記載の炭素担持触媒。
【請求項10】
Ptの粒子サイズが0.3nm以上2.0nm以下であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の炭素担持触媒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−188519(P2008−188519A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−24395(P2007−24395)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(507037563)株式会社新エネルギー研究所 (1)
【Fターム(参考)】