説明

炭素捕捉および隔離のシステムならびに方法

実質的に非水性の溶媒およびアルカリを混合し、その結果、溶媒とアルカリとが溶媒懸濁液を形成するステップと、水、および二酸化炭素を含有する燃焼排ガスを、溶媒懸濁液と共に混合し、その結果、反応が起こり、反応が、炭酸塩、水および熱の形成をもたらすステップとを含む二酸化炭素を捕捉および隔離するシステムならびに方法。本発明は、その多くの実施形態において、炭酸の形態の二酸化炭素をアルカリと反応させて、水と溶液から沈殿する容易に除去できる乾燥炭酸塩とを形成する化学プロセスを提供することによって、公知の炭素捕捉および隔離方法の不利点を大いに軽減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2008年10月8日に出願された米国特許出願第12/247,902号に対する優先権を主張し、この出願は本明細書においてその全体が参照として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、炭素捕捉および隔離のシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
二酸化炭素(CO)放出(emission)の捕捉および隔離は、かかる放出の気候変動の結果が制御または縮小できる場合は著しく改善される必要がある。燃焼および産業プロセス、特に発電所の燃焼排ガス(flue gas)から生ずるCOは、恐らく最大の単独の温室効果ガスの放出である。ほとんどの現存する炭素捕捉および隔離方法は、2ステップの取り組みをしている。第1は、燃焼排ガスまたはその他のガス放出源からCOを分離するための方法が探求される。これらには、液体の溶媒、固体のゼオライトまたはさまざまな膜中へのCOの捕捉が挙げられ得る。しかし、その捕捉媒体は、そのCOを大気中に放出(release)することなく再生される必要があり、これは標準的な物理的分離プロセスで達成するのは困難である。
【0004】
第2のステップは、そのCOガスまたは液体を地下の地質構造中または深海の層中にそれを挿入することによって隔離するステップである。しかし、非常に特殊な地質学的な構造がこのCOの処理(disposal)には必要であり、これらはCO放出場所では通常は利用可能でない。したがって、輸送による大きなコストと困難とが加わる。その上、COを恒久的に地下に隔離することができるかどうかは不明である。多くの場合COは大量の燃焼排ガスのわずかな割合に相当するのみであり、大きな流量の流れを処理してそのほんの一部をCOとして回収するのは無駄が多く費用がかかるため、その2ステップの取り組みはまた、経済的ではない。
【0005】
別のCO捕捉および隔離に対する取り組みは、岩石を採掘、粉砕してその放出現場に輸送し、そこでその粉砕した岩石を使用してCOを吸収することを含む。しかしこれは多量の熱と圧力とを必要とする。岩石を採掘し、それを、CO発生源に対して、またはCO発生源から輸送するエネルギー入力および環境コスト、ならびに粉砕した岩石を受け入れそのCOを吸収させるエネルギーのコストは非常に高い。
【0006】
COを捕捉するその他のやり方としては、アミンまたは塩基の水溶液等の液体を使用する化学的吸収、適切な溶液中の物理吸収および膜分離が挙げられる。これらの方法は、すべて、吸収媒体を、COを逃がさないで再生させる必要があるという問題を有する。物理吸着および深冷分離等のその他の捕捉方法は、熱または圧力の形でのかなりの量のエネルギーを必要とする。
【0007】
あるCO捕捉方法は、CO(または水とCOとから形成された炭酸)をアルカリの水溶液と反応させて炭酸塩を形成する。しかしその取り組みの重大な欠点は、その炭酸塩が水との溶液状態のそのプロセスから出て行くには、さらに、その固体とその水とを分離するためのエネルギー大量消費型の処理を必要とすることであり、または、それは、エネルギー大量消費型の乾燥および得られた乾燥生成物の大きさ、形態、および重量を制御するための機械システムを必要とする、大容量の重く、湿ったセメントのようなペーストをもたらすことである。
【0008】
ある者は周囲空気からCOを捕捉および隔離する技術を試しているが、周囲空気と燃焼排ガスとの間のCO濃度の大きな違いのため、それらは、発電所からのCO放出に対しては適切ではない。周囲空気は、一般に、約0.03%と約0.04%との間のCOを含有しているが、一方、燃焼排ガスは、3.0%以上の濃度のCOを含有する。非常に大量の大気から非常に少量のCOを除去することは、COがより高濃度である燃焼排ガス等の流れからの大量のCOの捕捉および隔離のように実行可能ではなく、生産的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それ故、工業規模で機能し、および完全かつ永続的である商業的に実行可能な炭素捕捉および隔離プロセスに対する必要性が存在する。特に、複雑かつエネルギー大量消費型の再生を必要とする捕捉媒体を使用せず、ならびにエネルギーを大量消費する乾燥およびその他の捕捉後の処理を必要とする重たくて湿った最終生成物を生じない炭素捕捉システムに対する必要性が存在する。CO放出の現場で恒久的にCOを隔離する炭素捕捉および隔離プロセスに対するさらなる必要性が存在する。要約すれば、費用効率が高く、エネルギー大量消費型でなく、およびCOの恒久的な隔離をもたらす炭素捕捉および隔離システムに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、その多くの実施形態において、炭酸の形態の二酸化炭素をアルカリと反応させて、水と溶液から沈殿する容易に除去できる乾燥炭酸塩とを形成する化学プロセスを提供することによって、公知の炭素捕捉および隔離方法の不利点を大いに軽減する。二酸化炭素の隔離は、得られた炭酸塩の地上での廃棄により達成される。このプロセスは、比較的低コストでの工業規模のCO捕捉および隔離を可能にする。本発明の実施形態は、また、必要とするエネルギー消費が比較的低い、恒久的な現場でのCO捕捉および隔離を提供する。
【0011】
本発明の実施形態において、Vandorの炭素捕捉および隔離サイクル(Vandor’s Carbon Capture and Sequestration Cycle)(VCCS)として公知の、実質的に非水性の溶媒およびアルカリを混合し、その結果、溶媒とアルカリとが溶媒懸濁液を形成する、二酸化炭素を捕捉または隔離する方法が提供される。この混合ステップは、任意の適当な混合槽中で行うことができる。その実質的に非水性の溶媒は、好ましくはアルコールであり、最も好ましい実施形態においてはメタノールである。したがって、そのアルカリは、メタノールと反応してメトキシドを形成し、それはまた溶媒和化した金属水酸化物を含むこともできる。水、および二酸化炭素を含有する燃焼排ガスは、溶媒懸濁液と共に混合され、その結果、反応が起こり、その反応が、炭酸塩、水および熱の形成をもたらす。用語の「溶媒」および「非水性溶媒」は、いくつかの相当量のアルカリがその中に溶解することを許容し、および標準的な酸+塩基の反応において生成する任意の塩の沈殿を強いる任意の実質的に非水性の溶媒を意味するために本明細書では互換的に使用される。その非水性溶媒は、50%未満の水、および最も好ましくは10%未満の水を含む。
【0012】
前記ガスは、好ましくは発電所からの燃焼排ガスであるが、任意の産業プロセスからのCOを含有する任意のタイプの排ガスであり得る。そのガスは窒素(N)をその上含有する。用語の「燃焼排ガス」は、二酸化炭素および窒素または空気のいずれかを含有する任意の排ガスの流れを意味するために本明細書では使用され、その排ガスは、石炭燃料、天然ガス燃料、石油燃料、および埋立地ガス(LFG)燃料または嫌気性消化装置(ADG)燃料の発電所を含めた発電所の燃焼排管からか、または、キルン中のセメント製造、ガラス、鋼鉄、ゴム、紙、またはその他の材料の製造、エタノールの生成が挙げられるがこれらに限定されない任意の産業プロセスから、および燃焼排ガスとプロセスガスとの任意の組合せからのものである。
【0013】
一実施形態においては、灰が溶媒中に導入され、そしてアルカリがその灰の成分である。本明細書において使用される用語「灰」は、フライアッシュ、ボトムアッシュならびに石炭燃焼、木材燃焼およびその他のバイオマス燃焼からを含めた任意の発生源からのすべてのタイプのアルカリ含有灰を意味するために使用される。
【0014】
該炭素捕捉および隔離の化学プロセスは、水と、二酸化炭素を含有する燃焼排ガスとを溶媒中に懸濁させたアルカリ、好ましくはメトキシドと混合し、固体の炭酸塩、水および熱の生成を実質的にもたらす反応を起こすようにすることを含む。少量の炭酸もその反応においては形成され、その炭酸は、そのアルカリと直ちに反応する。これらの反応は、任意の適当な反応槽中で行うことができる。好ましい実施形態において、該炭酸塩は、溶液から沈殿し、およびその槽から除去される。その沈殿した炭酸塩の除去は、同じ位置の槽に何らの液体も残さないで固体の除去を可能にするオーガーまたは別の適切な機械装置を用いて好ましくは機械的に行う。その炭酸塩と共に残留している任意のメタノールは、適度の量の低位熱(low−grade heat)を加えると蒸発する。
【0015】
その反応槽中の反応に由来する水は、該溶媒との溶液を形成し、そして該方法は、その水と溶媒との溶液を除去し、およびその水をその溶媒から分離することをさらに含む。その水と溶媒とが分離した後、その分離した溶媒は、アルカリと再度混合され、その結果、その溶媒とアルカリとが、さらなる炭酸捕捉のために使用することができる溶媒懸濁液を再び形成する。その分離された水は、反応槽中の溶媒懸濁液に戻され、そこでそれは燃焼排ガスとメトキシドとに加えられ、反応を継続する。好ましい実施形態において、その水は、低温乾燥槽中でその水と溶媒との溶液を冷やすことによってその溶媒から分離する。その溶液が冷やされるとき、その水はその低温乾燥槽の底部に実質的に沈降し、そしてその溶媒は、その低温乾燥槽の上部に実質的に上昇する。いくつかの実施形態において、ある炭酸塩はその水と溶媒との溶液と共に移動し、および該低温乾燥槽中のその溶液から沈殿する。フィルターを使用して、その反応槽中のより大きい固体を捕捉して、それらのより大きい固体を低温乾燥槽に移動させないようにすることができる。
【0016】
残留している水は、高温蒸留槽(hot distillation vessel)を用いてその水と溶媒との溶液にその溶媒を少なくとも部分的に蒸発させるために熱を加えることによってその溶媒から分離することができる。部分真空を使って蒸気状態の溶媒を該蒸留装置から取り除くことができ、そしてその蒸気状態の溶媒は、該炭素捕捉および隔離反応における再使用に適するように冷却されることによって液体に凝縮される。
【0017】
本発明の実施形態は、該燃焼排ガスからの窒素を用いて該炭素捕捉および隔離プロセスに対して冷却を提供する方法を含み得る。その方法は、その窒素を液化し、およびその液化した窒素から冷却を回収することを含む。その窒素から回収した冷却は、次に該溶媒を冷却するために使用し、および溶媒再生ステップのための冷却を提供する。冷却のためのこの窒素の使用は、本発明の実施形態のエネルギー効率を高める。
【0018】
好ましい実施形態において、該燃焼排ガスは、窒素をさらに含有し、そしてその窒素は3通りに使用される。その窒素の第1部分は、溶媒再生プロセス中の冷却のために使用され、第2部分は、発電所の出力を高めるために使用され、そして第3部分は現場から離れた顧客に販売される。すべての窒素は、最初圧縮される。冷却のために使用される部分に対しては、冷媒源が熱交換器に冷媒を供給し、そして該窒素はその熱交換器中で、それが実質的に液化するように冷やされる。冷却は、それが燃焼排ガスの発生源である発電所の出力を高めるためにポンプで加圧されて動力サイクルに送られた後、その実質的に液化した窒素から回収する(recover)ことができる。その回収した冷却は、以下で述べる水を溶媒から分離する低温溶媒除去プロセスに対して冷却を提供するために使用される。
【0019】
その窒素の第2部分は、発電所の出力を高めるために使用することができる。好ましい実施形態において、この実質的に液化した窒素の第1部分は、圧縮されて加熱される。その加熱され、圧縮された窒素は、発電所の蒸気サイクルに指し向けられその発電所の出力を高める。この実質的に液化された窒素の第2部分は、保存装置内に保存することができる。その実質的に液化された窒素の第2部分は、ポンプにより加圧される。それを次に蒸発させて高温ガスエキスパンダを通して指し向け、発電所の出力を高める。この液化した窒素の第3部分は、冷媒としてならびに油井およびガス井の回収を高めるための流体として、を含めたさまざまな用途のために現場から離れた顧客に販売される。好ましい実施形態において、その液化した窒素は、回収した窒素流のほぼ0.9%の容積であり、市場で同様に販売することができる高価値の製品である液体アルゴンを除去することによってさらに精製する。
【0020】
本発明の実施形態は、炭素捕捉アセンブリおよび溶媒再生アセンブリを含む炭素捕捉および隔離システムを含む。その炭素捕捉アセンブリは、混合槽および少なくとも1つの反応槽を含み、ならびにその反応槽に流体接続している溶媒凝縮装置をさらに含むことができる。その混合槽中でアルカリが実質的に非水性の溶媒と混合されて懸濁液を形成する。一実施形態においては、灰がその溶媒中に導入され、そしてそのアルカリがその灰の成分である。その非水性の溶媒は、好ましくはアルコールであり、および最も好ましい実施形態においてはメタノールである。したがって、そのアルカリは、該反応槽中でそのメタノールと反応してメトキシドと恐らくいくらかの金属水酸化物とを形成する。少量の炭酸ジメチル(DMC)も形成し得るが、そのアルカリ性の条件によって速やかに分解する。
【0021】
上記反応槽は、その混合槽に流体接続しており、それ故、それは混合槽から第1の投入によりアルカリと実質的に非水性の溶媒との懸濁液を受ける。その反応槽は、また、第2の投入により熱と二酸化炭素とを含有する燃焼排ガスおよび第3の投入により水を受け、その結果、炭酸、炭酸塩、水および熱がその反応槽中に形成される。より具体的には、その二酸化炭素と水とその反応槽中の反応に由来するいくらかの少量の炭酸とは、その槽中で該アルカリと反応して、炭酸塩、水および熱の形成をもたらす。その燃焼排ガスは、その上窒素を含有する。いくつかの実施形態において、該炭素捕捉アセンブリは、反応槽に流体接続している溶媒凝縮装置をさらに含み、そこで冷却が用いられて、ほとんど窒素からなる流出する溶媒部分を凝縮する。
【0022】
上記溶媒再生アセンブリは、該反応槽に流体接続しており、少なくとも1つの熱交換器、その熱交換器に流体接続している低温乾燥槽、およびその低温乾燥槽に流体接続している高温蒸留槽を含む。その溶媒再生アセンブリは、その高温蒸留槽に到着するほとんどの水の流れを温め、およびその高温蒸留槽を離れるメタノール蒸気を冷却するいくつかの中間の熱回収ステップを行うために、好ましくは複数の熱交換器を有している。
【0023】
上記反応において形成された炭酸塩は、溶液から沈殿し、その反応槽から除去される。その炭素捕捉アセンブリは、その沈殿した炭酸塩を反応槽から除去するためのオーガーまたはその他の適切な装置をさらに含むことができる。その反応に由来する水は、その反応槽中で該溶媒と溶液を形成し、この水と溶媒との溶液は、その反応槽から除去されて溶媒再生アセンブリに指し向けられる。その水は、溶媒再生アセンブリによってその溶媒から分離され、そしてその分離された溶媒は、混合槽に戻され、そこでそれはアルカリと再混合されて溶媒懸濁液を形成する。同様に、その分離された水は、その反応を続けるためにその反応槽に戻される。
【0024】
いくつかの実施形態において、該炭酸塩のほんの一部(例えば、10容量%未満)が、その溶媒中に留まり、およびその溶媒懸濁液と共に該溶媒再生アセンブリ中を移動する。選択されたアルカリがCaOである場合、水と溶媒との溶液はいかなる炭酸塩も含まない。選択されたアルカリがKHである場合、いくらかの炭酸塩が、その水+溶媒の溶液を形成する。その炭酸塩のほんの一部は、その溶媒懸濁液から、それから分離した水と共に沈降する。最初に、その分離プロセスは、低温乾燥槽を使用し、その中で該水と溶媒との溶液が冷やされ、そのため、その水は、その低温乾燥槽の底部に実質的に沈降し、そしてその溶媒は、その低温乾燥槽の上部に実質的に上昇する。この分離プロセスの一部(またはよりエネルギー大量消費型のオプションにおいては全部)は、高温蒸留槽を使用し、その場合、熱がその水と溶媒との溶液に加えられ、部分真空が、蒸気状態の溶媒をその高温蒸留槽から取り除き、そしてその蒸気状態の溶媒が凝縮される。
【0025】
いくつかの実施形態は、燃焼排ガス中に含有されている窒素を実質的に液化し、およびその実質的に液化した窒素から冷却を回収する窒素液化アセンブリを含むことができる。その窒素から回収した冷却は、溶媒を冷却し、溶媒再生アセンブリに対する冷却を提供するために使用することができる。液体窒素のその一部は、低温ポンプによってポンプ加圧されている加圧下の該再生アセンブリに送られる。その溶媒再生アセンブリは、実質的に液化した窒素の第1部分を加熱し、およびその加熱した窒素を発電所の蒸気サイクルに導いてその発電所の出力を高める。保存装置は、該実質的に液化した窒素の第2部分を保存し、その実質的に液化した窒素の第2部分を放出(release)し、およびそれを、高温ガスエキスパンダに指し向けて発電所の出力を高める。
【0026】
本発明の実施形態は、実質的に非水性の溶媒とアルカリとを混合し、その結果、溶媒とアルカリとが溶媒懸濁液を形成することを含む燃焼排ガスの化学成分(CO、相対的に大部分のN、およびはるかに小さい部分のアルゴンを含有する)を分離するための方法を含む。水と、二酸化炭素および窒素を含有する燃焼排ガスとが溶媒懸濁液に導入される。溶媒懸濁液中のアルカリは、燃焼排ガス中の水および二酸化炭素と接触し、その結果、一連の急速な化学反応が起こる。その反応は、炭酸塩、水および熱の形成をもたらし、反応しないほとんどが窒素の部分は、ガスとしてその反応槽中に留まり、それには少量の蒸発した溶媒を伴う。
【0027】
その大部分が窒素の流れを、メタノール+アルカリ混合槽に戻されるその少量の溶媒部分を液化するために、溶媒凝縮器中で冷やす。その残留している大部分が窒素のガス流は、その窒素を圧縮しおよび冷やすことにより液化する。好ましい実施形態において、その実質的に液化された窒素の冷却分は、回収され、その溶媒からその水を分離するための冷却を提供するために使用される。その冷却のために使用される窒素部分は、最初にそれを、低温液体ポンプを使用し、ポンプにより圧縮して加圧され、および次に、溶媒再生アセンブリ中で回収された熱によって加熱される。その窒素は、次に、発電所の出力を高めるために、発電所の蒸気サイクル、または発電機を装備した高温ガスエキスパンダに指し向けられる。その実質的に液化された窒素の第2部分は、保存され、次いで、蒸発されて、発電所の出力を高めるために高温ガスエキスパンダを通して指し向けられ得る。その実質的に液化された窒素の第3部分は現場から離れた顧客に販売される。
【0028】
それ故、現場で大規模に、安全にかつコスト効率よく二酸化炭素を捕捉および隔離する化学プロセスが提供され、ここで溶液中で炭酸の形態の二酸化炭素がアルカリと反応して、炭酸塩、水および熱を形成することが分かる。本発明のこれらおよびその他の特徴は、同じ参照番号が全体にわたって同じ部分を指す添付の図面とともに、以下の本発明の詳細な説明の検討から理解されよう。
【0029】
本発明の前述のまたはその他の目的は、添付の図面と関連付けられている以下の詳細な説明を考慮することによって明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明による炭素捕捉および隔離システムの実施形態のプロセス図である。
【図2】図2は、本発明による溶媒再生アセンブリの実施形態のプロセス図である。
【図3】図3は、発電所と一体化した本発明による炭素捕捉および隔離システムの実施形態のプロセス図である。
【図4】図4は、本発明による窒素液化アセンブリの実施形態のプロセス図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(詳細な説明)
以下の段落において、本発明の実施形態を、縮尺通りには描かれておらず、説明されているコンポーネントが必ずしも互いに比例して描かれてはいない添付の図面を参照しながら例として詳細に説明する。この説明を通して、示されている実施形態および例は、本発明についての限定としてよりはむしろ例示として考えるべきである。本明細書で使用される「本発明」とは、本明細書に記載されている本発明の実施形態の任意の1つおよび任意の均等物を指す。さらに、この文書を通して、本発明のさまざまな態様への言及は、すべての特許請求された実施形態または方法が言及した態様を含まなければならないことを意味するものではない。温度、圧力、密度およびその他のパラメーターへの言及は、本発明の実施形態の能力の代表および実例として考えるべきであり、そして実施形態は多種多様なそのようなパラメーターによって操作することができる。注意すべきは、図が、すべての設備、またはさまざまな流れの圧力、温度および流速を示していないことである。
【0032】
本発明のさまざまな実施形態によって生成される気体、液体、および固体生成物の例は、包括的であることは意図されない。一時的に生じてその後消滅するものを含めた本発明の実施形態のいくつかの微量生成物は、以下で綿密に議論はされないが、本発明の範囲に含まれると理解される。発熱のすべての点は、以下で言及されないが、本発明の実施形態において生じるすべての価値のある熱は、熱回収に対する可能性および潜在的用途を有しており、当該プロセスによって必要となる全体のエネルギー入力を減少することが理解される。
【0033】
図1は、本発明の実施形態の2つの主要なサブシステム、炭素捕捉アセンブリ100、および溶媒再生アセンブリ200を示す。炭素捕捉アセンブリ100は、反応槽101および混合槽102を含み、好ましくは溶媒凝縮装置103を含む。該溶媒再生アセンブリ200は、図2に関連して本明細書で詳細に説明する。示されている該システムは、任意の発電所および任意のタイプの排ガスとともに使用することができ、石炭火力発電所からの燃焼排ガスからの二酸化炭素を捕捉および隔離するために特に適切である。LFG作業現場等のエンジンからの燃焼排ガスは、900°Fに近い排ガスを生ずる。ほとんどのそのようなエンジン駆動システムは、熱回収アタッチメントを有していないが、その燃焼排ガスの低位熱含量は、本システムおよび方法の実施形態に対する重要なエネルギー源である。
【0034】
該炭素捕捉および隔離の化学プロセスは、沈殿する炭酸塩6、水−メタノール溶液10および熱の形成をもたらす反応が存在するように、CO+水およびいくらかの一時的に形成された(少量の)炭酸14を、メトキシド5中に懸濁しているアルカリ2と接触させることを含む。先ず、COを含む燃焼排ガス1と水4とが、メトキシド5中に導入され、両方の流れが反応槽101に別々に同時に入る。その別々に入ることによって、両方の流れの流速に関して完全な制御が可能となり、水流4を、該燃焼排ガス中に含有されているどんなわずかな量の水蒸気にも対応して調節することが可能となる。反応槽101は、アルカリ2と実質的に非水性の溶媒12とからなるメトキシド懸濁液5を、混合槽102から好ましくは投入バルブである第1の投入口113を通して受ける。反応槽101は、燃焼排ガス1を、第2の投入口111を通して、および水を第3の投入口112を通して受け、両方とも好ましくは投入バルブである。該CO+水(および少量の一時的な炭酸14)と該メトキシド5中に含有されている該アルカリ2との間の反応は、急速に(時々1秒未満で)起こり、該気体のCOを固体の炭酸塩ならびに副生成物の水および熱に完全に変換する。
【0035】
好ましい実施形態において、該炭酸塩6は、溶液から沈殿し、オーガー104または炭酸塩の沈殿を機械的に除去するために適切な任意のその他の装置またはシステムを用いて反応槽101から機械的に除去する。いくつかの実施形態において、反応槽101中に残っている約10%までの容積の水−メタノール溶液10は、その反応槽の底部に沈降しないがメタノール再生プロセスの間に溶液から沈降する懸濁した炭酸塩を含有する。その酸+塩基の反応に由来する水は、その溶媒と溶液を形成する。その水−溶媒の溶液10は、フィルター114により除去され、それにより、より大きな固体が反応槽から出るのを防ぎ、それはその槽の底部に沈降し、そこでそれらは機械的に除去される。その方法は、水−溶媒の溶液10を反応槽101から除去することおよびその水をその溶媒から分離することをさらに含む。炭酸塩をその水−溶媒の溶液10中で運ぶそれらの実施形態において、その炭酸塩はその水とともに析出する。この水とメタノールとの溶液10は、該反応のために必要な時間を最小限にするその反応の最適温度を反映する温かい温度で反応槽101の上部近くに引き抜かれる。
【0036】
予備ステップとして、懸濁液5を形成するために、アルカリ2を溶媒12と混合槽102中で混合する。当技術分野で公知の任意の多数のアルカリを、燃焼排ガス中のCOを中和してそれらのそれぞれの炭酸塩を生成させるために選択することができる。そのアルカリは、強塩基または弱塩基であり得、粉末形態の水酸化ナトリウム(NaOH)もしくは水酸化カリウム(KOH)等の通常の塩基、または水素化マグネシウム、水素化カリウムもしく水素化はナトリウム(MgH、KH、NaH)等の水素化物、または無水アンモニア、または石炭火力もしくはバイオマス発電所およびボイラーの別の副生成物であるフライアッシュ(およびボトムアッシュ)中に見出される酸化カルシウム(CaO)、またはCOと反応する任意のその他の天然もしくは合成の適当なアルカリを挙げることができる。
【0037】
本発明の実施形態の1つの利点は、それを使用して、大きな工業規模で炭素捕捉および隔離を実施することができることである。本明細書に記載されているシステムおよび方法をすべての規模の施設で採用することにより、複数のアルカリを使用してそれらのそれぞれの炭酸塩をもたらすことが可能となる。各アルカリと後に続くその化学記号およびCOと反応したとき生成する炭酸塩ならびに各炭酸塩の化学記号の説明用のリストをここで提示する:
アンモニア(無水)、NH → 炭酸アンモニウム、(NHCO
水素化リチウム、LiH → 炭酸リチウム、LiCO
水酸化リチウム、LiOH → 炭酸リチウムLiCO
水素化マグネシウム、MgH → 炭酸マグネシウム、MgCO
水酸化マグネシウム、Mg(OH) → 炭酸マグネシウム、MgCO
水素化カリウム、KH → 炭酸カリウム、KCO
水酸化カリウム、KOH → 炭酸カリウム、KCO
水素化ナトリウム、NaH → 炭酸ナトリウム、NaCO
水酸化ナトリウム、NaOH → 炭酸ナトリウム、NaCO
一実施形態は、場合により他のアルカリとの組合せで水素化カリウム(KH)を使用する。MgHおよび灰を、CO捕捉率を増すためにそのKHと組み合わせて使用することができる。カリウム、ナトリウム、マグネシウムの水素化物(それぞれ、KH、NaH、およびMgH)は、それらの水酸化物の相当物(KOH、NaOH、Mg(OH))より安上がりであり、それらの水素化物より水素化物単位当たりより多量の炭酸塩を生じて、それらの水素化物をより経済的にする。そのようなアルカリの組合せは、複数の混合槽および複数の反応槽を必要とする。いくらかの水素が、また、特定の水素化物使用の副生成物として生じ得る。例えば、メタノールに溶解した水素化物2ポンド毎に、NaHからは約930Lの水素が生じ、KHからは約560Lの水素が生じる。そのようなH流は、放出はしないで、本発明の実施形態におけるいくつかの可能な場所の1つにおける燃料として使用される。例えば、そのH流は、発電所の燃焼室に直接送ることができ、または、それは出力を高めるために使用されるN流に対して付加的な熱を提供する補助ヒーター中で燃焼させることができる。そのアルカリおよび得られる炭酸塩の選択は、それらの炭酸塩に対する市場およびその炭酸塩の価値と対比したときのそのアルカリの相対的なコストに依存する。
【0038】
好ましい実施形態は、フライアッシュ中に存在するアルカリ、石炭火力およびバイオマス発電所または石炭火力およびバイオマスボイラーにおける燃焼排ガスから、その燃焼排ガスを大気中に放出する前に回収される細かい粉末を使用する。同様に、煙道を上に移動しない石炭またはバイオマスの残滓に由来するボトムアッシュは、それについて用途が探求されているが依然として重大なごみの流れとなっている産物である。灰についての以下の議論は、同様の化学成分を有するフライアッシュおよびボトムアッシュの両方および任意の発生源からのすべてのアルカリ性灰を包含する。
【0039】
石炭火力発電所で生成する灰の多くは、用途を有さない。そのほとんどは、廃棄のために埋立地に運ばれるかその他の価値の低い用途に向けられる。広範に使用されるタイプの石炭の褐炭からの灰は、最大5%までの燃焼しなかった炭素とともに、15〜45%のSiO(砂)、20〜25%のAlO(酸化アルミニウム)、4〜15%のFe(酸化鉄)および15〜40%のCaO(酸化カルシウム)を含有する。亜瀝青炭は、アルカリ源として使用することもできるCaOの割合のより少ない(5〜30%)フライアッシュを生成するが、同じ結果を生じるためにはより多量の灰を必要とする。好ましくは該灰がメタノール中に懸濁しているときの、磁気的手段による該酸化鉄の除去は、該メトキシド中のCaOの量を濃縮するために役立ち、別の有益な副生成物(酸化鉄)を生じ、比較的重い鉄の除去によって最終の炭酸塩を含む固体生成物流の重量および輸送コストを減少させる。フライアッシュ中に含まれているCaOは、石灰として一般に購入できるものと同じアルカリであるが、この文脈では炭酸カルシウムを含む石炭の燃焼の副生成物である。したがって、そのCaOは、該発電所が通常放出するものを超える追加的CO排出のない灰から得られる。それに反して、製造されたCaOを購入するのは、CaOの製造が、多量のCOの放出をもたらすので、このプロセスの炭素の足跡を増すことになろう。
【0040】
該炭素捕捉および隔離方法の一実施形態は、メタノール12中の灰およびCO含有燃焼排ガス1をホスト(host)して、反応槽101中の水の量を大幅に制限する。これにより、その反応は、より乾燥しておりおよびより制御可能な(大きさおよび配置に関して)最終生成物を生ずることが可能となる。この好ましい実施形態において、その最終生成物は、ドライヤー後の粉砕をほとんどまたはまったく必要とせずに、そのプロセスによって必要となる投入エネルギーの量を最小限にしながら適切な農業用石灰の代用品を生じる、均一なサイズの顆粒である。
【0041】
そのガラス様の灰は、微視的な灰粒子を砕く急速な冷却プロセスからの恩恵を受け、かくして、その灰中のアルカリと、その反応槽への流れ1および4によって送達されるCOおよび水との反応を促進することができる。その急速な冷却は、好ましくは、先ずその灰を温め、次にそれを徹底的に冷やしたメタノール中で急速に冷却し、このようにしてっそれぞれの微視的な灰のガラス様のビーズを砕くことを含む。その反応が温かいメタノール中で起こる場合は(あり得るように)、その灰の流れのクエンチを1つの槽の中で起こし、続いて、別の反応槽中でそのメタノール+灰の溶液を、温めたメタノールと混合することができる。急速な冷却の前にその灰を温めるために必要な熱は、このプロセスの多くの熱回収地点の1つから送達することができる。
【0042】
上記酸+塩基の反応は、そのアルカリ、または塩基を溶液中に有するホスト液中で起こり、COおよび水がアルカリを含む溶媒に導入されるときに形成されるその塩基とCO+水(+少量の一時的な炭酸)との間の容易な接触を可能にすることが好ましい。それ故、好ましい実施形態は、その反応をホストするために、実質的に非水性の溶媒を使用する。これは、反応槽101の上部から水−メタノール溶液10を、その反応が水を生成するのと同じ速さで引き抜き、その水−メタノール溶液10を等容積の濃い(すなわち、実質的に水を含まない)メトキシド5と置き換えることによって達成される。その反応槽への水の流入量は、該燃焼排ガスの水含有量および燃焼排ガスの流入前からのメタノール中に溶液状態で残存しているかもしれない水の量に依存する。
【0043】
加えて、上記酸+塩基反応の生成物である水は、メトキシド5が加水分解することを防ぐために、反応槽101から十分な速さで引き抜く必要がある。ほとんど乾燥している燃焼排ガス1は、適当量の水(流れ4)とともにメトキシド5を通して泡立てられ、そのCOが該アルカリと反応し、少量の炭酸14を一時的に形成することを可能にし、同様に該溶媒12によって溶液5中に保持されているアルカリ2と反応する。該燃焼排ガス1は、十分な圧力、例えば、約16.5psiaで反応槽101に入り、その結果、その燃焼排ガス1が、該ホストのメトキシド5を通って上昇し、その燃焼排ガスの未反応部分(ほとんどN)が、ほとんどがNおよび溶媒凝縮装置103中での凝縮によって回収される蒸発したメタノール流8として反応槽101を去ることを可能にすることが好ましい。該燃焼排ガスの冷却前経路に沿った圧力低下のために、本発明は、燃焼排ガスを約17psiaで受けることを追求する。
【0044】
好ましい実施形態において、該非水性溶媒はアルコールで、最も好ましくは、メタノールである。しかし、いくらかの十分な量のアルカリがその中に溶解することを許容し、標準的な酸+塩基反応において生成する任意の塩も沈殿させる任意の適当な非水性溶媒を使用することができる。エタノールは、例えば、そのプロセスがエタノール工場で生成したCOを捕捉および隔離するために使用される場合に選択することができる幾分高価な代替物である。その意味で、該エタノールは、卸売り価格相当で利用でき、補給エタノールは発送する必要がない。その溶媒の目的は、その酸+塩基の反応を実質的に乾燥状態の液体中で生じさせることであり、かくして、塩水または水中に懸濁した炭酸塩の形成を避け、追い払わなければならない高い割合の水を含む最終生成物を避けることである。
【0045】
該アルカリ2は、メタノール溶媒12と混ざって、メトキシド5、メタノールの溶液および任意の適切な水素化物または水酸化物塩基を形成し、ここで塩基は懸濁状態である。以下は、アルカリ(KH、または水素化カリウム)とメタノールとの混合に対する一般的な化学反応式の1つの例である:2KH+MeOH → 2MeOK+H。このメトキシドは、いくらかのアルカリをメタノール中に導入したときに発生する反応の熱を回収および打ち消すために冷却することができる。そのメトキシドがどの程度の冷たさであるべきかの選択は、どのアルカリが選択され、どの炭酸塩がその反応の最終生成物であるかに依存し、反応槽101の温度を制御するため、したがって、その反応槽からのメタノールの蒸発損を抑えるために選択される方法による。
【0046】
混合槽102中で該アルカリ2を周囲温度のメタノール12と混合することによって、その2つの化合物が相互作用して熱を生じ、溶媒和化した金属水酸化物を含有し得るメトキシド5のイオン性溶液を生成する。一般的には約225°F〜約300°Fの範囲にあるその得られた溶液中の反応熱は、回収してそのプロセスのその他の部分を温めるために使用することができる。注目すべきは、いくらかの炭酸ジメチル(DMC)も混合槽102中に生ずるがその後分解することである。熱回収後、そのメトキシド5は、入ってくる水4の流れおよびメトキシド5の中を通って泡立つほとんど乾燥した燃焼排ガス1の流れをホストするために、反応槽101に送られる。そのメトキシド5の反応槽101中への、ならびに、水−メタノール溶液10の反応槽101から低温乾燥槽202(第1の熱交換器201を経由する)への、および高温蒸留塔205への流出の流速は、第1に、該燃焼排ガス1の流速およびその燃焼排ガスのCO含量によって決まる。第2に、その流速は、より多くの水分含量を有するメトキシド媒体が、該炭酸塩を容易には沈殿させないために、その反応槽中で約10%を超える水は決して許容しないように厳しく制御される。
【0047】
メトキシド5は、該燃焼排ガスの流れ1および水4が導入される反応槽101に入る。実施形態によっては、燃焼排ガスの一定の流れを可能にする連続した複数の反応槽を使用することができる。好ましい反応槽は、約40フィートの高さを有しており、ステンレス鋼または適切に被覆されている炭素鋼、あるいは、酸、塩基、水および熱に腐食無しで耐えることができる任意のその他の材料から作製され得る。反応槽101は、アルカリ−溶媒懸濁液、ここではメトキシド、が第1の投入によってその反応槽に入るように混合槽102に流体接続されている。本明細書でより詳細に論じられるように、燃焼排ガスの流れ1は、該メタノールの再生と関連する高温蒸留ステップにおいてその熱含量のいくらかが手放されている第2の投入によって反応槽101に達する。その反応槽における化学プロセスは、次の式によりとりまとめることができる:
(1)COガス←→CO溶液+HO←→HCO←→HCOまたはCO2−
上の(1)における第1のステップは、二酸化炭素ガスの実質的に非水性の溶媒中への物理的溶解である。この溶解は、双頭の矢印によって示されているように可逆的である。(1)における第2ステップは、水または少量の炭酸塩を形成する塩基による、遊離形(炭酸、HCO)および炭酸イオンでのCOの捕捉である。イオン形成は、その溶液のアルカリ度によって決まる。その反応は早く、ほとんど瞬間的である。その炭酸イオンは、底部に沈殿する金属塩(例えば、炭酸カルシウムまたは炭酸カリウム)としてその槽から除去され、したがってその反応の継続を可能にする。その溶液のアルカリ度およびその金属炭酸塩のその溶媒中の溶解性がその炭酸塩の形成および沈殿の速度を決定する。それ故、その反応の実際の操作は、その溶媒のアルカリ度、および選択された炭酸塩生成物の溶解性と関係するさまざまな流れの温度、圧力および流速を制御することによって最適化される。
【0048】
好ましくは、該酸−塩基反応から生成する水は、反応槽中のメタノールの量の約10容積%を超えてはならない。水の制御は、その反応槽から水−溶媒溶液10を絶え間なく取り除き、それを純粋な再生したメタノールと置き換えることによって達成される。この溶媒再生プロセスについては以下で詳細に議論する。
【0049】
アルカリ2と炭酸14との反応は、反応槽101の底部に沈殿する炭酸塩6を生成し、そこでそれは、オーガー104または沈殿した炭酸塩を機械的に除去することができる任意のその他の装置またはシステムによって除去される。そのアルカリとしてKHが使用される場合、炭酸塩6のある部分はメタノール中に溶液状態で恐らくは留まり、水−メタノール溶液10と一緒になって残り、および後の低温乾燥の間に沈降することになる。その除去された材料は、そのプロセスの他の場所から回収した熱による乾燥を受けることができ、細かい粉末またはペレットを生ずる。反応槽101の底部に沈降する炭酸塩6は、それと一緒に少量のメタノールを運ぶことができるが、好ましくは、水は運ばない。その反応は、水−メタノール溶液生成物10が反応槽101中で上昇することを引き起こし、一方で、沈殿する炭酸塩6は、底部に向かって沈降する。
【0050】
したがって、該反応槽の設計は、上昇する液体および燃焼排ガスと沈降する炭酸塩とをうまく利用する。例えば、メトキシド5および冷たい燃焼排ガス1は、反応槽101の底部近くに入り、その一方で、より温かい水−メタノール溶液10は、上部近くで、図3で示され図4でより詳細に示されている窒素液化アセンブリ300におけるさらなるプロセスステップに進む不活性ガス(N、およびある場合にはO)と共に引き抜かれる。炭酸塩と共に反応槽101を離れる任意のメタノール(水−メタノール溶液10の形態)は蒸発させてもよい。その乾燥炭酸塩は、肥料、鉱山の埋め立て、道路埋め立て、またはその他の産業用途における石灰の代用品として使用するためにエンドユーザーに送られる。該燃焼排ガスの流れの中に含まれているかなりの割合の窒素の酸性酸化物が、該メトキシド中のアルカリと同様に反応して、窒化物を含むがそれらに限定されないさまざまな窒素含有塩を生じ、かくして、該発電所からの放出を減少する。
【0051】
炭酸14とアルカリ2との反応から生ずる炭酸塩6は、選択されるアルカリによって決まる。1つの可能性は、農業用肥料におけるか、または製鋼、石油の掘削、おむつ、およびガラス製造における石灰の代用品として使用することができる炭酸カルシウムである。別の可能性のある製品は、炭酸マグネシウムであり、これは、ドロマイト質石灰石に対する代用品としての肥料として使用することができ、石灰づけの回避を可能にして、石灰生成中に放出されるCOを減少することによってCO放出の回避をもたらす。炭酸カリウムは、肥料として使用することができ、同様に石灰づけを避ける別の可能性のある製品である。本発明の実施形態のその他の可能性のある最終製品としては、金属が純粋な窒素中で焼かれる場合は、窒化ケイ素(Si)、窒化カルシウム(Ca)、または窒化マグネシウム(Mg)を挙げることができる。液体窒素製品流からのアルゴン(液体アルゴンとして)の分離は、該燃焼排ガス中の1%近いアルゴン含量が、冷たい蒸留塔がLN生成ループ中に含まれている場合、高価値の液体アルゴン流を生ずるために、特に魅力的である。
【0052】
該燃焼排ガス1から除去され、化学的に炭酸塩6に変換されたCOにより、その燃焼排ガスの残留部分はほとんど窒素である。窒素およびいくらかのメタノールを含有する流れ8は、該反応槽101の上部を離れる。その反応が高温であればあるほど、より多くの蒸発したメタノールがNガスと共に去るであろう。150°Fを超える反応温度は、過度のメタノールがその槽をNと共に去ることを引き起こすであろう。したがって、その反応熱は制御する必要がある。例えば、反応槽101への注入口のメトキシド流5は、事前に冷却することができる。別法では、反応槽101は、その槽の上部近くにつるした熱交換器により、例えば、冷たいN流9を使って内部で冷却し、その反応槽中の液体を冷却してそのメタノール含量を凝縮(液体)状態で維持し、残留しているN気体を液化のための窒素液化アセンブリ300に向けて先に進めることができる。好ましくは、その反応は、150°F近くに達するままにして、いくらかのメタノールが蒸発することを許すが、そのメタノールはそれが反応槽101を離れた後直ちに溶媒凝縮装置103中で回収する。
【0053】
反応槽中の温度を制御する方法としては、注入口の流れ(メトキシド、水など)を冷却すること、および/または反応槽中の液体を内部の熱交換器によって冷却すること、および/またはそれらの技術の組合せを挙げることができる。それらの選択肢は図1には示されていない。そのような熱制御システムの技術に精通している者であれば、最適な方法を選択するであろう。その反応槽がどの程度まで150°Fより低いことが必要であるかは、過剰なメタノールがその反応槽から蒸発することを引き起こさずに反応の速度を最適化することを熱力学計算することによって決定される。
【0054】
溶媒凝縮装置103を出て行く流れは、ほとんどがN7の燃焼排ガスであるが、それは、また、その燃焼排ガスの源によってはアルゴン、および少量のOを含み得る。痕跡量の水またはCO(百万分の1の単位)が以下で述べるようにN流7の液化の前に分子篩305(図4に示されている)で除去される。大部分の該Nをコスト効率よく圧縮して冷やし、ひいては技術的に公知のプロセスによって液化して、比較的高純度の液体窒素(LN)を、しかも標準的な空気分離装置で製造することができるよりはるかに低いコストで生成することができる。このプロセスは図3および図4に示されている窒素液化アセンブリ300によって実施することができる。
【0055】
次に図2を見ると、溶媒再生アセンブリ200が、より詳細に示されている。溶媒再生アセンブリ200は、反応槽101に流体接続しており、第1熱交換器201、その第1熱交換器に流体接続している低温乾燥槽202、およびその第1熱交換器に流体接続している高温蒸留槽205を含む。さらなる熱交換器を使用することができ、以下に説明する。水−メタノール溶液10を第1の熱交換器201に送り、そこでそれを、高圧、例えば約800psia、または、以下で述べる出力増強の特性に対して適切な任意のその他の圧力までポンプ輸送(低温ポンプ、図示せず)してある液体N9を用いて、熱交換により徹底的に冷やす。その徹底的に冷やした水−メタノール溶液10を次に低温乾燥槽202に送り、そこでそれが含有する今新たに氷結した水(少量のメタノールを含む「半解け」の水)がその低温乾燥槽202の底部に落下し、そのほとんどが水の流れ11をその低温乾燥槽202の底部212から取り除くことを可能にし、ほとんどがメタノールの流れはその槽の上部211から取り除かれるように残す。KHがアルカリとして使用される場合、いくらかの炭酸塩がその低温乾燥槽202内に出てくる。
【0056】
いくつかの実施形態において、水−メタノール流10は、メタノールと共に溶液状態の炭酸塩を持っている。それらの固体は、該低温乾燥槽202の底部212に向かって沈殿し、その槽の底部から機械的手段によって除去され、水−メタノール流11は、ほとんどが水として槽212の高めの点から除去される。流れ11または12のいずれも、それらがそのサイクルを進むときそれらと共に何らかの固体を運ぶことはない。
【0057】
次に、ほとんどが水の流れ11は、好ましくは温めるための周囲空気熱交換器である第2の熱交換器203に移動する。その他の熱源としては、さまざまな熱を運ぶ流れ、例えば、図1における溶媒凝縮装置103を離れた後の流れ7を挙げることができる。その選択は、N流を、それが液化のための窒素液化アセンブリ300に到着する前に予め冷却するのに役立つ。そのほとんどが水の流れ11は、第2の熱交換器203から第3の熱交換器204に入り、そこでそれは、高温蒸留槽205から出されるメタノール蒸気3によってさらに温められる。分かりやすいように、第3の熱交換器204は、第2の熱交換器203と蒸留塔205との間に直接示されている。このプロセスの十分に設計された形は、おそらく、第3の熱交換器204を蒸留塔205の上に置き、制御弁207を通って移動する還流溶媒流がその塔の中に重力によって落ちることを可能にするであろう。別法では、小型のポンプが該還流の流れを204から205に移動させる。
【0058】
第3の熱交換器204で使用されるメタノール蒸気3は、好ましくは約150°Fおよびそれより高温であり、実質的に純粋なメタノール蒸気である。水は、高温蒸留槽205から回収し、ならびにN流を、それが、発電所400におけるその出力増強機能、すなわち、燃焼排ガスを最初に生成し、窒素液化アセンブリ300に動力を供給する動力サイクルの途中に、第1の熱交換器201を離れるとき、温めるために使用することができる。この時点で気体であるメタノール流3は、ほとんどが水の流れ11により液体に凝縮され、回収されたメタノール12が、さらなるメトキシド生成のための混合槽102に送り返されることを可能にする。その得られたメトキシド懸濁液は、いくらかの水を含有し得る。
【0059】
流れ12(非常に少ない水分含量を有する)は、低温乾燥槽202の上部から乾燥メタノールとして除去され、第1の熱交換器201(その冷たさを回収する)を経て戻され、次に、第3の熱交換器204を出る返還流であって、混合槽102に送り返される一体化したほとんどがメタノールの流れ12を含む返還流に加わる。還元流の流れ12(ほとんどが乾燥メタノール)は、第1の熱交換器201を通って移動し、液体Nが、反応槽101からの水−メタノール流10を冷却するのを助ける。
【0060】
低温乾燥槽202を離れ、第2の熱交換器203および第3の熱交換器204で温められるほとんどの水の流れ11は、高温蒸留槽205で加熱され、その限られた含量のメタノール蒸気を追い払い、純粋な水がその高温蒸留槽205の底部から離れることを可能にする。この蒸留のための熱源は、高温蒸留槽205の底部にあるリボイラー206を通って移動する高温の燃焼排ガス41である。その高温の燃焼排ガスは、この段階でその熱の多くを譲り渡すが、他のところで使用するために回収することができる十分な残留熱を依然として有している。高温蒸留槽205を離れる回収水4のほとんどは、図1に示されているように、燃焼排ガス中のCOが、炭酸14を形成することができるように反応槽101に送り返される。生成するかもしれない余分な水は、それが高温蒸留槽205を離れた後、1つまたは複数の層の活性炭濾過を通して送り、その水を飲料に適したものにすることができる。別法では、過剰の回収水は、その発電所の蒸気サイクルに補給水の源として送り、その蒸気サイクルにおいて失われた水と置き換えることができる。天然ガス火力発電所からの燃焼排ガスは、より高い水分含有量を有し、反応槽101に戻して燃焼排ガス中のCOにより炭酸を形成するために必要な高温蒸留槽205から回収する水4は少ない。
【0061】
低圧メタノール蒸気3が、蒸留槽205(蒸留塔としても知られる)の上部から離れる。その蒸気の熱は、その高温蒸留槽205に送られる冷たい(ほとんどが水の)流れ11を予め温めるために使用される。その熱交換は、メタノール蒸気3が凝縮することを引き起こす。その凝縮されたメタノール流の一部が、一種の還流の流れとしてその高温蒸留槽205の上部に送り戻され、それがその下のほとんどが水の混合物中のメタノールを蒸発させる助けをする。好ましくは、その高温蒸留槽205の上部に送り戻される凝縮したメタノール流の部分は、その流れの約10%である。バルブ207が、その流れのその槽への入り口の前の還流ライン上に示されている。
【0062】
液体のN流9は、水−メタノール流10を徹底的に冷やしながら(約−50°Fと−80°Fの間まで)、第1の熱交換器201を通って移動する。その液体N9の第1の熱交換器201を通る流速は、蒸発した液体N(今はN)の出口温度を制御する。好ましい実施形態において、その蒸発したNは、反応槽101を離れるほとんどがN流中に含有されているメタノールを凝縮する溶媒凝縮装置103中の冷却剤として十分に役立つ(図1で見られるように)。反応槽101からの外への流れ8の中のメタノールの凝縮を助けたそのサイドループのNは、第1の熱交換器201を離れる高圧のN流に再び加わり、基本的な発電サイクルにおける出力増強の働きをするように転送される。溶媒凝縮装置103は、温かい反応槽101を離れるN+メタノール流れ8の熱含量を回収し、その熱を、第1の熱交換器201を離れる冷たいNの副流9に移し、それは動力サイクルに向かう途中でNの本流7に再び加わる。これによりその槽中での該酸+塩基反応が最も高温条件で起こることが可能となり、熱交換器201を離れたN本流に再び加わることが示されているN流7に移される重要な低位熱を生じる。201からサブシステム400に向かって移動しているそのN流の加温は、溶媒冷却装置103を離れるN流7のサブシステム300におけるそれの液化の途中の冷却によって達成される。
【0063】
注目すべきは、反応槽101から取り除かれる水−メタノール溶液10の蒸留は、熱(例えば、該燃焼排ガスの熱含量からの)によるか、高温蒸留槽205からのメタノール蒸気を取り除く不完全真空により増加した熱によるか、または蒸気再圧縮法によるかを含めたさまざまな方法で起こり得ることである。しかし、それらの方法はすべて、該燃焼排ガス中で得られるよりも多くの熱を必要とする。本発明は、その代わりに、より高密度の水が容器の底部に移動し、飽和メタノール流が、上記の方法の任意の1つまたは組合せによってさらに蒸留されるように、湿ったメタノール流を「予備蒸留」し、水−メタノール溶液10を徹底的に冷やす。
【0064】
図2に示されている好ましい実施形態は、水−メタノール溶液10の蒸留(再生)を成し遂げるために、液体Nの形態の中に蓄えられているオフピークの電力を頼りにしている。低温蒸留ステップは、ほとんどが水の流れを生じ、そこから残留しているメタノールを熱により蒸留する。好ましい2段階(低温および高温)再生プロセスは、高温蒸留槽205に送られるほとんど水の流れ11に到達する場合のように、水の比率がメタノールの比率と比較して非常に高い場合には、水−メタノール溶液10を蒸留するために必要な熱が非常に少ない。該メタノールを再生するために必要な正味エネルギーは、本発明の実施形態に冷却が含まれる場合、そのより広い温度範囲(高温側と低温側の間の温度)により、かなり多くの熱および冷却回収の効果があるので、より少ないものとなる。さらに、液体Nの製造は、かなり多くの低コストの冷却を生じる。注目すべきは、図2が、該プロセスの効率を最適化することができるすべての可能な熱回収ステップを示しておらず、1つの制御バルブを示しているのみであることである。その他の、バルブ、ゲージ、センサー、機器およびポンプは、示されていない。
【0065】
図3は、炭素捕捉および隔離プロセスおよび発電所に流入および発電所から流出する流れを含めたいくつかのサブシステム、ならびにそのサブシステムの間の流れを統合するシステムの実施形態を示している。これらとしては、炭素捕捉アセンブリ100、溶媒再生アセンブリ200、窒素液化アセンブリ300および発電アセンブリ400が挙げられる。この最後の部分は、石炭燃焼およびバイオマス蒸気サイクル、天然ガス燃料複合サイクル、埋立地ガス燃焼または嫌気性消化装置の燃焼プラント、および任意のその他の炭化水素を燃料とするCO放出発電システムを挙げることができる。
【0066】
LN生成は、ほとんどがNの供給ガスを用いる窒素液化アセンブリ300において発生する。1つの例において、500MWの石炭を燃料とする火力発電所におけるLN生成の流れは、一日当たり約30,000トンである。その一日当たり30,000トンは、同様に有益である約0.9%のアルゴンを含み、それはLNから分離されて収入を生じるように使用される。好ましい実施形態において、該LNは、3つの部分に分けられる。第1の部分は、現場から離れたエンドユーザーに価値の高い製品として、冷却用途のためおよび油田およびガス田においてそのような資源を油井側(および上)に移動させるために使用される製品として販売される。
【0067】
第2の部分は、図2に示されているように低温乾燥によってメタノールを再生するために使用される。その同じNが、それが熱交換によって気化された後、高圧流として発電所の蒸気サイクル中に送られ、蒸気タービンを通る質量流量を増すか、または発電機装備の別の高温ガスエキスパンダに送り、それによって追加燃料の使用なしでざっと6.5%ほど出力を高める。高圧のN流は、先ず該LNをポンプで圧送することによって得られ、その熱は、図2に示されており、本明細書に述べられているさまざまな熱回収ステップにより、その高圧の流れの中で吸収される。
【0068】
高圧N気体を温めるための本発明の実施形態によって提供される熱源としては、次のもの:図1に示されている、再生の途中で反応槽101を離れる温かい水−溶媒溶液10、その場合、熱交換は、熱交換器201中でN流9と水−溶媒溶液流10との間で起こる;図1に示されている、反応槽101を離れる温かいN、その場合、N流9は、溶媒凝縮装置103中でメタノール含有N流8によって温められる;燃焼排ガス1中に、それが高温蒸留塔205中でその熱のいくらかを提供した後に残っている熱;高温蒸留塔205から回収した水4に含まれている熱;混合槽102中でメトキシド5を製造する間に選択されたアルカリ2とメタノール12との間のイオン反応によって生じる熱;冷たいN流によって置き換えられた通常は冷却塔で行われる動力サイクルにおけるスチームの凝縮;および、天然ガス燃焼複合サイクル発電所においては、ガスタービンへの外気を冷却するための冷却流として冷たいNを使用することにより吸収される熱、が挙げられる。
【0069】
日常のLN生成の第3の部分は、1つまたは複数の低温貯蔵タンク307に貯蔵され、電力需要がピークの時間中発電サイクルをさらに高めるために放出する。その貯蔵エネルギーの放出は、先ず、好ましくは低温ポンプを使用して該LNをポンプで圧送し、次にそれをそのプロセス内のほかの所からの廃熱によりそれを蒸発させ、次にその高圧高温のN流を、発電機を装備した高温ガスエキスパンダを通して送る。その出力は、その日のほかの時間中に生じる6.5%の出力増加と組み合わされる別の約5%によってピーク時間の出力を増し、その出力が最も価値のあるときのピークの発電量の時間中、合計約11%の出力増大を生ずる。その出力増強実施形態のために使用されるLNは、好ましくは夜オフピーク電力を用いて製造し、のちほどの電力放出のためのその貯蔵は、バッテリー、フライホイールまたは圧縮空気の岩石空洞貯蔵システムなしで、実用規模の電力貯蔵モードを構成する。
【0070】
電力需要がピークの時間中に流出するこの貯蔵および放出モードは、CO捕捉プロセスの副産物として生成した低コストの液体窒素を変換し、その回収した窒素流を高価値のピーク時の電力に変える電力貯蔵戦略を構成する。高温の加圧した窒素ガスを電力に変換する発電機を装備した高温ガスエキスパンダは、メタノール再生プロセスにおいて温められた窒素の第1の部分を変換する同じエキスパンダであり得る。
【0071】
窒素流7は、発電所400で使用される燃料を燃やすために最初に使用された空気(その燃料を燃やすために使用される空気でOを含有する)から既に分離されており、空気中でのその燃料の燃焼に由来する燃焼排ガス中に含有されているCOからも分離されている。反応槽101を離れる窒素流8中に残っている痕跡量の水およびCOは、好ましくはゼオライトを含有する分子篩305によって除去することができる。そのN流の水およびCO含量は、周囲空気のそれより実質的に少なく、必要とするのは小さいモル数の篩吸収体、または再生の頻度が低いものである。
【0072】
図4に言及すると、窒素液化アセンブリ300がより詳細に示されている。図4は、低温熱交換器306中の炭素捕捉アセンブリ100を離れるN流を冷却する冷媒としての別のNループを使用するN液化を示している。N流7は、駆動軸309によってつながっているモーター301により駆動する多段式圧縮器302により示されているように、先ずいくつかの段階で、中圧、例えば、約80psiaに圧縮される。1つまたは複数の中間および後部冷却器303における熱回収の後、圧縮されたNは、分子篩305を通って移動する。図4は、圧縮熱が熱交換器(中間および後部冷却器)において回収され、該炭素捕捉および隔離プロセスのその他の部分に対して熱を供給するために使用されるいくつかの場所を示している。圧縮されたN流は、低温熱交換器306に送られ、そこで、それは、9として示されている冷媒のN流による熱交換によって約−280°Fまで冷される。その冷却によりその流れがほとんど液相を形成することを引き起こし、それは低温熱交換器306と貯蔵装置307の間の圧力減少/制御バルブ207を通って好ましくは低温液体貯蔵タンクに送られ、そこで得られたLNは貯蔵される。
【0073】
バルブ204を通過する圧力減少は、濃密で冷たい(約−280°F)気体35として勢いよく流れる10%より少ない流れと共に、90%を超える徹底的に冷やしたN9が液体として貯蔵タンクに入ることを可能にする。その気体部分(フラッシュガス)は、その貯蔵タンクにそのまま残され、入り口のN流を冷やす本熱交換器における冷却源のごく一部として使用される。その冷たさを入り口流に与えた後、フラッシュ流35は、他の流れ(図4には示されていない)との熱交換によってさらに温められて、篩中に捕捉された水およびCOを取り除くためにスイープガスとして分子篩305に送られ、次いで排出口308を通して大気中に排出される。その排出口流れは良質である。というのは、それが含んでいるのはほとんどN(空気の主成分)であり、水とCOは少量だからである。
【0074】
流を液化する主要な冷却ループは、冷媒として乾燥N(または乾燥空気、または任意のその他の適当な流体)も使用するが、その冷媒流を液化すべきN流と混合することはしない。その独立した冷却ループはいくつかの圧縮の段階といくつかの拡張の段階(すべて単一の軸309上かまたは2つ以上の別々の軸上にある)からなり、電機モーター301が、圧縮段階302、および拡張段階304が、以下で説明するような冷却をもたらす働きをするように駆動する。さまざまな段階の圧縮機および拡張機に対して示されている単一軸の構造は、そのような低温冷却システムの1つの説明のための例にすぎない。複数の軸ならびに圧縮および拡張機能の位置に関する変動を伴うその他のレイアウトは、当業者によって設計され得る。
【0075】
その圧縮段階は、低温熱交換器306(Nの入り口の流れを徹底的に冷やした)を離れる低圧の「温められた」冷媒をとり、他の場所で使うために、その冷媒の流れをいくつかの段階の圧縮において中間および後部冷却器303中で回収した圧縮熱により高圧(例えば、約800psia)にもっていく。その周囲温度に近い高圧の冷媒は、次に多段階拡張機304中で拡張される。それらの拡張は、その冷媒を約−300°Fに冷やすが、その圧力は約80psiaに下げている。その約−300°Fの冷媒は、熱交換器306中で約50°FのN流を約−280°Fに冷却する。順次、その入ってくるN流7は、その冷媒を約40°Fに温めて、それが連続ループで、上記のように、再び圧縮され、拡張によって冷されることを必要とする。ここで説明したサイクルは、上で述べた可能性のある変動以外の変動を有し得る。例えば、入り口のNは、さまざまな段階でより高い圧力まで圧縮されて、該LN貯蔵タンクに入る異なる割合の流れる液体を生じ、異なる量の回収可能な圧縮熱を生じることができる。圧縮の廃熱およびその他の本発明の実施形態からの廃熱源による吸収式冷却器は、N流の予備冷却を提供することができる。
【0076】
同様の出力増強が天然ガス火力複合サイクル発電所において可能であるが、以下の違いがある。すなわち、それは、該N流は、天然ガス火力発電所がより少ないCOを生成するために、燃焼排ガス流がCO流に対してより大きい割合であること、そして、冷たいNを、最初に送ってガスタービンの入り口の空気を冷却することができ、次に、そのNが、温まりきった時点で、それを、本発明の実施形態における廃熱源からより多くの熱を獲得し、次に複合サイクルの蒸気部分に送ることができることである。
【0077】
この液化サイクルは、N流圧縮機および冷媒流圧縮機におけるモーター301に対する電源入力、ならびに、さまざまなポンプ、機器およびバルブに対する少量の電源入力を必要とする。しかし、その電力要件は、本明細書に記載の出力増強によって実質的に相殺され、それ以上に、炭酸塩、液体窒素および液体アルゴンの販売、回収されるH、および灰からの酸化鉄の可能性のある回収ならびに燃焼排ガスから分離されるN流から製造されうる任意のその他の副産物の全体の価値によって償われる。いくつかの実施形態において、LN液化は、オフピークの電力需要の時間のみに行い、低価値の電力を使用してメタノール再生および出力増強シーケンスで使用するための十分なLN、ならびに現場から離れた販売のための付加的なLNを製造することが適当である。冷たい蒸留塔が含まれる場合(図4には示されていない)、液体アルゴンをそのLNから取り除くことができ、別の収益の流れが生ずる。
【0078】
このようにして、炭素捕捉および隔離のシステムおよび方法が提供されることが分かる。当然のことながら、任意の前述の構造および特殊な成分または化合物は、先行する実施形態の任意のシステムにより互換的に使用することができる。本発明の説明に役立つ好ましい実施形態が上文に記載されているが、さまざまな変更および修正を本発明の範囲から逸脱することなくそれに加えることができることは当業者には明らかであろう。添付の特許請求の範囲には、本発明の真の精神および範囲に含まれるすべてのそれらの変更および修正を対象にすることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を捕捉または隔離する方法であって、
実質的に非水性の溶媒およびアルカリを混合し、その結果、前記溶媒とアルカリとが溶媒懸濁液を形成するステップと、
水、および二酸化炭素を含有する燃焼排ガスを前記溶媒懸濁液と共に混合し、その結果、反応が起こり、前記反応が、炭酸塩、水および熱の形成をもたらすステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記反応に由来する前記水が、前記溶媒と共に溶液を形成し、
水と溶媒との前記溶液を除去するステップと、
前記水を前記溶媒から分離するステップと、
分離した前記溶媒を前記アルカリと再度混合して、その結果、前記溶媒とアルカリが溶媒懸濁液を形成するステップと、
分離した前記水を前記溶媒懸濁液に戻して前記反応を継続するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炭酸塩が溶液から沈殿する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
沈殿した前記炭酸塩を機械的に除去する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記溶媒がアルコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アルコールがメタノールである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アルカリが、前記メタノールと反応してメトキシドを形成する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記溶媒中に灰を導入するステップをさらに含み、前記アルカリが前記灰の成分である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記水を前記溶媒から分離するステップが、水と溶媒との前記溶液を冷やし、その結果、前記水が低温乾燥槽の底部に実質的に沈降し、そして前記溶媒が、前記低温乾燥槽の上部に実質的に上昇するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記水を前記溶媒から分離するステップが、水と溶媒との前記溶液に熱を加えるステップと、部分真空を用いて蒸気状態の溶媒を高温蒸留槽から取り除くステップと、前記蒸気状態の溶媒を凝縮させるステップとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記燃焼排ガスが、窒素をさらに含有し、
前記窒素を圧縮するステップと、
熱交換器に冷媒を供給するステップと、
前記熱交換器中の前記窒素を冷やして、その結果、前記窒素が実質的に液化するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
実質的に液化した前記窒素から冷却を回収するステップと、
回収した前記冷却を用いて前記水を前記溶媒から分離するために冷却することを提供するステップと
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
実質的に液化した前記窒素の第1部分を圧縮するステップと、
実質的に液化した前記窒素の前記第1部分を加熱するステップと、
加熱した圧縮された前記窒素を発電所の蒸気サイクルに指し向けて前記発電所の出力を高めるステップと、
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
実質的に液化した前記窒素の第2部分を保存するステップと、
実質的に液化した前記窒素を加圧するステップと、
加圧した実質的に液化した前記窒素を蒸発させるステップと、
加圧し蒸発させた前記窒素を、高温ガスエキスパンダを通して指し向けて発電所の出力を高めるステップと
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
炭素捕捉および隔離システムであって、
アルカリが実質的に非水性の溶媒と混合されて懸濁液を形成する混合槽と少なくとも1つの反応槽とを含む炭素捕捉アセンブリであって、前記反応槽が前記混合槽と流体接続されており、その結果、前記反応槽は、第1の投入により前記混合槽からアルカリと溶媒との前記懸濁液を受け、第2の投入により二酸化炭素を含有する燃焼排ガスを受け、ならびに第3の投入により水を受け、その結果、炭酸、炭酸塩、水および熱が前記反応槽内に形成される、炭素捕捉アセンブリ、および
前記反応槽に流体接続されている溶媒再生アセンブリであって、前記溶媒再生アセンブリは、少なくとも1つの熱交換器、前記熱交換器と流体接続している低温乾燥槽、および前記低温乾燥槽と流体接続している高温蒸留槽を含む、溶媒再生アセンブリ
を含むシステム。
【請求項16】
前記炭素捕捉アセンブリが、前記反応槽に流体接続している溶媒凝縮装置をさらに含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記炭酸塩が、溶液から沈殿する、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記炭素捕捉アセンブリが、沈殿した前記炭酸塩を前記反応槽から除去するための機械装置をさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記溶媒がメタノールであり、前記アルカリが、前記メタノールと反応してメトキシドを形成する、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記水が、前記反応槽中で前記溶媒と溶液を形成し、
水と溶媒との前記溶液が、前記反応槽から除去されて、前記溶媒再生アセンブリに指し向けられ、
前記水が、前記溶媒再生アセンブリによって前記溶媒から分離され、
分離された前記溶媒および分離された前記水が、前記混合槽に戻され、そして
前記分離された水が、前記反応槽に戻されて前記反応が継続される、
請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記溶媒再生アセンブリが、水と溶媒との前記溶液を冷やすことによって前記溶媒から前記水を分離し、その結果、前記水が前記低温の乾燥槽の底部に実質的に沈降し、そして前記溶媒が、前記低温乾燥槽の上部に実質的に上昇する、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記溶媒再生アセンブリが、水と溶媒との前記溶液に熱を加え、部分真空を用いて蒸気状態の溶媒を前記高温蒸留槽から取り除き、および前記蒸気状態の溶媒を凝縮させることによって前記溶媒から前記水を分離する、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
灰が、前記溶媒中に導入され、そして前記アルカリが、前記灰の成分である、請求項15に記載のシステム。
【請求項24】
前記燃焼排ガスが、窒素をさらに含有する、請求項15に記載のシステムであって、前記システムが、
前記窒素を実質的に液化し、実質的に液化した前記窒素から冷却を回収する窒素液化アセンブリ
をさらに含み、
回収した前記冷却が、前記溶媒再生アセンブリのための冷却を提供するために使用される、
システム。
【請求項25】
前記溶媒再生アセンブリが、前記実質的に液化した窒素の第1部分を加熱し、および加熱した前記窒素を発電所の蒸気サイクルに指し向けて前記発電所の出力を高め、
保存装置が、前記実質的に液化した窒素の第2部分を保存し、前記実質的に液化した窒素の前記第2部分を放出し、および前記実質的に液化した窒素の前記第2部分を、高温ガスエキスパンダを通して指し向けて発電所の前記出力を高める、
請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
燃焼排ガスの化学成分を分離する方法であって、
実質的に非水性の溶媒とアルカリとを混合し、その結果、前記溶媒とアルカリとが溶媒懸濁液を形成するステップと、
水と、二酸化炭素および窒素を含有する燃焼排ガスとを前記溶媒懸濁液に導入するステップと、
前記溶媒懸濁液中の前記アルカリを前記水および前記燃焼排ガス中の前記二酸化炭素と接触させ、その結果、反応が起こり、前記反応が、炭酸塩、水および熱の形成をもたらすステップと、
前記窒素を圧縮および冷やすことによって、前記窒素の一部を実質的に液化するステップと
を含む方法。
【請求項27】
実質的に液化した前記窒素から冷却を回収するステップと、
前記回収した冷却を用いて前記水を前記溶媒から分離するために冷却することを提供するステップと
をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
実質的に液化した前記窒素の第1部分を圧縮するステップと、
実質的に液化した前記窒素の前記第1部分を加熱するステップと、
加熱した圧縮された前記窒素を発電所の蒸気サイクルに指し向けて、前記発電所の出力を高めるステップと、
実質的に液化した前記窒素の第2部分を保存するステップと、
前記実質的に液化した窒素の前記第2部分を蒸発させるステップと、
前記実質的に液化した窒素の前記第2部分を、高温ガスエキスパンダを通して指し向けて発電所の出力を高めるステップと
をさらに含む、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−505145(P2012−505145A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531050(P2011−531050)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【特許番号】特許第4880098号(P4880098)
【特許公報発行日】平成24年2月22日(2012.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/056857
【国際公開番号】WO2010/042294
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(511088667)エクスパンション エナジー, エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】