説明

炭素繊維及びその原糸、プレ酸化繊維の製造方法

本発明は、炭素繊維及びその原糸、プレ酸化繊維の製造方法を提供する。本発明の一つの実施形態において、低分子ゲル化剤を採用することにより、ポリアクリロニトリル原糸のゲル紡糸法を実現し、炭素繊維の引張り強度を15%-40%向上させ、靱性を20%-35%向上させた。本発明の別の実施形態において、可塑剤としてイミダゾール型イオン液体を使用しポリアクリロニトリルを溶融紡糸することにより、環境汚染を減少し、産業化生産に適し、且つ製造された繊維の強度が向上した。本発明のまた別の実施形態において、溶融紡糸でポリアクリロニトリルプレ酸化繊維を製造することにより、ポリアクリロニトリルの低コスト及び制御可能なプレ酸化を実現した。本発明のさらなる別の実施形態において、高分子増粘剤を使用することにより、高強度炭素繊維を製造できた。本発明のもう一つの実施形態において、紡糸する前にプレ酸化を行うことにより、ポリアクリロニトリルの低コスト及び制御可能なプレ酸化を実現し、芯鞘構造を減少させ、高性能炭素繊維を生産し、且つ当該製造方法により炭素繊維の生産コストを大きく低減させることができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炭素繊維の加工技術分野に属し、具体的には、本発明は炭素繊維及びその原糸、プレ酸化繊維の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維は、低密度、高強度、高弾性率、耐高温、耐腐食、耐摩擦、耐疲労など一連の優れた性能を有し、ハイテク産業分野で広く応用されている。特に、航空宇宙飛行分野において、非常に大きな応用前景がある。炭素繊維の製造は通常、紡糸、プレ酸化、炭化の三大工程プロセスを含む。
【0003】
炭素繊維の性能の大部分は原糸によって決まり、長い間、PAN原糸の品質が標準に達しないことは、もうわが国の炭素繊維産業の発展を制約するボトルネックとなっている。PAN原糸の品質、更に炭素繊維の性能をどう効果的に改善するかということは、もう急務になっている。原糸の品質が上がらないのは、わが国の炭素繊維産業の発展を制約する要因の一つであり、国産の原糸を国外の原糸と比べると、繊度が大きい、強度が低い、分散係数が大きい、欠陥、クラック及び空孔が多い、結晶配向が比較的に小さい等の差があり、これらの差は国産の原糸の製造において最も厳しい問題となっている。原糸の品質と生産量に関して言えば、品質が目前の重要な問題である。国内の原糸で生産した炭素繊維の強度はほとんど3.5GPa程度であり、目前の使用要求を満足せず、その応用は制限されている。同時に、原糸品質の安定性の差は規模化の生産を阻害している。
【0004】
ポリアクリロニトリル樹脂の主な性質の一つは、高融点(317℃)であり、加熱する際に、溶融する前に分解されてしまうため、溶液紡糸のみによりポリアクリロニトリル繊維を生産することしかできない。産業化された湿式紡糸及び乾式紡糸は、いずれも毒性又は腐食性がある化学溶媒を多量に使用し、また、生産過程において、溶媒の回収と浄化、繊維の水洗いと乾燥、及び「三廃」処理を行わなければならない。ポリアクリロニトリル繊維の溶融紡糸が実現できれば、溶媒の消耗を節約できる上、溶媒の回収工程と設備、及び水洗い過程を省くことができ、生産コストを大きく低減させ、溶媒の使用による深刻な環境汚染問題を解消することができる。
【0005】
1952年に、Coxeが最初、ポリアクリロニトリル類共重合体に、少量の水を添加することにより、その融点を溶融紡糸に必要な温度まで降下させることができると報道した。この報道はポリアクリロニトリル繊維の溶融紡糸のために一つの可能性を提供した。それから、特にこの20年、国外で、例えば、アメリカのサイアナミッド社、デュポン社、BP Chemical社、日本の三菱レイヨン社、EXLON社、旭化成社等では、ポリアクリロニトリル繊維の溶融紡糸について多くの研究が行われている。
【0006】
概括すれば、PAN溶融紡糸には、1.可塑化溶融紡糸、2.非可塑化溶融紡糸との2つの手段がある。その中で、可塑化溶融紡糸には主に以下いくつかの点を含む。(1)溶媒可塑化:DMSO、PC等を使用する。PAN 粉末はPC可塑化で、溶融し、連続押出成形できる。例えば、質量比が50:50のPANとPCの混合物の180℃及び240℃におけるレオロジー特性に対する研究から、そのブレンド流体がずり減粘流体であり、その粘度は通常の押出成形レベルのPEより小さいことが示された。(2)非同類の重合体可塑化:文献によりPEGが報道されており、Asahi Chemical Co.Ltd は、ポリアクリロニトリルとPEGを混合し溶融紡糸によりポリアクリロニトリル繊維を製造したところ、繊維の強度は4.68cN /dtexに達した。(3)低分子量ポリアクリロニトリル可塑化:三菱レイヨン社は以前に、91 部のアクリロニトリルとメチルアクリレート(共重合混合比は質量比で85:15、還元粘度は0.68である) との共重合体、及び9部の別のアクリロニトリルとメチルアクリレート(共重合混合比は質量比で85:15 、分子量は4800である)との共重合体を、215℃で溶融押出し、1200m/min の速度で紡糸して、沸騰水で4倍に延伸した。得られた繊維の糸密度は1.17dtex、強力は5.26cN /dtex、破断伸びは12.3%であった。同時に、可塑化用の低分子量ポリアクリロニトリルのAN単位含有量を適宜低下させることもでき、またある程度の要求に達した繊維を溶融紡糸することもできた。(4)水可塑化:この方法は最も多く研究されている。ポリアクリロニトリル及び定量の水が一定の圧力と温度で溶融体になり、それを押出機で紡糸アセンブリに押し込み、ダクトに噴射し延伸した。溶融体中の水分が急激に蒸発し糸条を発泡させるのを防ぐために、ダクトを水蒸気で満たした。この方法の顕著な特徴は、安価で無毒な水のみを使用して、溶媒回収工程及び設備を省くことができ、環境に対する汚染が非常に少ないことである。ある文献には、水可塑化溶融紡糸で紡いだポリアクリロニトリル繊維は炭素繊維原糸とすることができ、分子量は10万から25万で、強度は3.6cN/dtexに達し、ヤング率は97cN/dtexで、炭化して得られた炭素繊維の平均強力は15cN/dtexで、ヤング率は1080〜1310cN/dtexで、音波係数は1000cN/dtexより大きいと報道した。最近、アメリカCelion炭素繊維会社も水可塑化溶融紡糸したポリアクリロニトリル繊維を原糸として構成された宇宙飛行レベルの炭素繊維を開発した。しかし、このような方法にも、以下のいくつかの問題がある。a.水和物溶融体の流動性がよくないので、スクリューの押出圧力が比較的に大きい。b.硬化過程において、水の蒸発が速くなりすぎることによって繊維の表面を粗くさせたり、微細孔を生じさせたりしており、繊維の力学的性質を悪くしたことを避けるために、紡糸ダクトで一定圧力の飽和水蒸気を保持する必要があり、これにはある程度の設備が要求されている。c. 水和物溶融体の溶融紡糸できる温度範囲は比較的に狭く、工程は比較的に制御しにくい。従って、未だに産業化を果たせない。
【0007】
炭素繊維の製造過程において、プレ酸化処理は、キーステップで且つ最も時間が長くかかる工程であり、その構造の転換は最終の炭素繊維の構造と性能をほぼ決める。プレ酸化過程は強烈な構造転換時期であるため、欠陥が生じやすく、炭素繊維の力学的性質を降下させる。従って、プレ酸化過程における構造転換及び制御は、炭素繊維の構造と性能の制御に対して非常に重要である。
【0008】
現在、文献に報道された炭素繊維前駆体であるポリアクリロニトリル原糸をプレ酸化する方法は、いずれも空気中で原糸をプレ酸化する。すなわち、ポリアクリロニトリル基炭素繊維はいずれも紡糸、プレ酸化、炭化の三大工程プロセスにより完成されているが、このような工程順番に従うといくつかの欠点が生じてしまう。その一つは、ポリアクリロニトリル原糸をプレ酸化する過程において、繊維の横断面のプレ酸化レベルに勾配差があれば、繊維の形態構造が不均一になる。例えば、通常の芯鞘構造が、繊維断面で繊維の径方向に沿って不均一な収縮を起こし、優先配向が比較的に劣っており、延伸性能が低下し、最終の炭素繊維性能を低下させる。もう一つは、プレ酸化過程の時間が長くかかり、温度が高く、プレ酸化技術の設備が複雑であって、プレ酸化過程のコストが上がり、最終的には炭素繊維の生産過程全体のコストが大きく上がる。このため、PAN繊維のプレ酸化処理は非常に重要である。プレ酸化は、システム工程であり、プレ酸化設備とプレ酸化方式に関するだけではなく、プレ酸化技術パラメーター(例えば温度、時間、伸長、媒体、媒体の流量及び流向等)、PAN繊維のプレ酸化過程における反応及び変化、プレ酸化繊維の構造及びプレ酸化レベルの評価指標などに関する。
【0009】
近年、国内外学者たちはポリアクリロニトリル原糸のプレ酸化についての研究をどんどん進めているが、彼らはいずれも紡糸過程後にポリアクリロニトリル原糸に行ったプレ酸化を研究している。その中には、日本東レ、東邦、三菱を含む国際的に炭素繊維を生産した三大大手会社も、ポリアクリロニトリル原糸にプレ酸化を行っている。プレ酸化過程は二重拡散過程であり、酸素が表面から繊維内部に拡散している。プレ酸化反応の進行とともに、まずは、繊維の表面層に緻密な台形構造の薄層が形成され、内部への酸素拡散を阻害し、芯鞘構造が形成され、炭素繊維の欠陥を生じさせる。
【0010】
中国特許02136722.1、200810036189.4では、6-12ゾーン加熱、伸長の層状熱安定化炉生産工程を採用できることを明らかにした。このような方法では品質が高いプレ酸化繊維を製造できるが、この方法は設備が極めて複雑で、温度を制御しにくいし、またコストも非常に高い。
【0011】
炭素繊維を生産する産業目標は、コストを低減し、炭素繊維の性能と生産效率を上げることである。プレ酸化を促進し、良質な酸化繊維を得るために、プレ酸化工程を最適化する必要がある。プレ酸化時間を短縮するのは炭素繊維の生産コストを低減するキーであるが、時間が短いと、芯鞘構造がひどくなり、炭化段階で大きい空孔及び欠陥が生じ、炭素繊維の力学的性質を低下させる。プレ酸化温度を下げ、またプレ酸化時間を延長すれば、プレ酸化繊維の芯鞘構造がはっきりしないものとなり、炭素繊維性能の向上に役立つが、生産效率を下げる。そのため、今でも、まだ優れたプレ酸化工程が研究されてない。
【0012】
加工生産において、炭素繊維(またはグラファイト繊維)、特にポリアクリロニトリル原糸を原料として加工生産した炭素繊維は、原糸自身の欠陥及び加工過程における均一性のため、表面に空孔を形成させる。これらの空孔は、繊維が力を受けた際の応力集中現象を起こし、またモノ糸が破断する主要な要素でもある。これらの表面空孔を修復することはずっと炭素繊維の生産分野において非常に注目される課題であるが、未だに良い方法がないため、いまのところは、空孔があるモノ糸を犠牲にするしかなく、炭素繊維全体の力学的性質指標を顕著に下げてしまう。
【0013】
中国特許02121070.5では、集束電磁誘導加熱により、アセチレン反応環境を作って、アセチレンを高温の炭素繊維の付近で水素と炭素原子に分解させる。炭素原子は炭素繊維の表面に堆積され、欠陥を修復し炭素繊維を強化する目的を達成する。しかし、この方法は設備が極めて複雑で、コストが高く、作業が不便で、また効率も低い。
【発明の概要】
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、炭素繊維及びその原糸、プレ酸化繊維の製造方法を提供し、従来の炭素繊維の生産技術における原糸の品質が悪い、プレ酸化繊維及び炭素繊維の製造コストが高い、環境汚染が大きい等の問題を解消することである。
【0015】
一つの実施形態において、本発明は、
a) 水がない状態まで乾燥させたポリアクリロニトリル粉末と溶媒を5:100-20:100の質量比で混合し、温度が70℃-110℃になるように、ポリアクリロニトリル粉末が完全に溶解するまでにこの混合物を加熱するステップと、
b) ステップa)で得られた混合溶液に、低分子ゲル化剤2%-5%(溶液の質量を占める部数)を加え、機械で1時間攪拌し、均一に混合させて、紡糸液を得るステップと、
c)ステップb)で得られた紡糸液を湿式紡糸機に移し、ポリアクリロニトリル原糸を製造する通常の湿式紡糸法を用いて紡糸して、ポリアクリロニトリル原糸を得るステップと、
を含むポリアクリロニトリル原糸を製造するゲル紡糸法を提供する。
【0016】
ステップa)に記載の溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド (DMSO)、チオシアン酸ナトリウム(NaSCN)、硝酸(HNO3)、塩化亜鉛(ZnCl2)から選ばれる一種であり、DMFまたはDMSOが好ましい。
【0017】
ステップa)における加熱方式は油浴又は砂浴である。
【0018】
ステップb)に記載の低分子ゲル化剤は、HO、グリセロール、エチレングリコール、尿素、チオ尿素から選ばれる1種又は2種以上である。
【0019】
本実施形態は、紡糸液に非溶媒を少し加え、冷やした空気層で加熱ゲル化することにより、直接紡糸液を三次元網目構造に転換させる。このような構造が一旦形成されたら、凝固浴には溶媒及び非溶媒の二重拡散過程しかなく、お互いに分離することはないので、芯鞘構造を避ける。これによりポリアクリロニトリル基炭素繊維原糸の引張り強度を向上させることができる。
【0020】
一つの実施形態において、本発明は、
a)水がない状態まで乾燥させたポリアクリロニトリル粉末とイオン液体を、1:1〜:1:0.25の質量比で均一に混合するステップと、
b)ステップa)で得られた混合物を、2軸スクリュー紡糸機のホッパーに仕込み、スクリュー回転速度を40-120r/minに調整し、紡糸温度を170-220℃として、溶融紡糸し、紡糸口金から紡ぎ出した糸は水浴を経由せず、直接に延伸温度が80-180℃、延伸倍率が1-8倍である乾熱延伸を行うステップ、
c)延伸後の繊維を水洗し、その後ヒートセットし、巻き取ってポリアクリロニトリルPAN繊維を得るステップと、
を含む可塑剤としてイオン液体を使用したポリアクリロニトリル(PAN)の溶融紡糸法を提供する。
【0021】
上記可塑剤は二置換イミダゾール型イオン液体であり、その構造形式は以下の通りである。

その中、Rはメチル又はブチル、Rはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、n−ブチル、sec−ブチル或イソブチル、Xは塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、テトラフルオロホウ酸塩(BF)、ヘキサフルオロりん酸塩(PF)である。
【0022】
上記の二置換イミダゾール型イオン液体は、塩化1-エチル-3-メチルイミダゾリウム([EMIM]Cl)、塩化1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム([BMIM]Cl)、臭化1-エチル-3-メチルイミダゾリウム([EMIM]Br)、1-メチル-3-ヘキシルイミダゾリウムテトラフルオロボラート([EMIM]BF4)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート([BMIM]BF4)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート([EMIM]PF6)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート([BMIM]PF6)から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0023】
ステップc)において、延伸後の繊維の水洗い温度は70-90℃に制御される。
【0024】
本実施形態は、溶融紡糸を採用することにより、多量の毒性又は腐食性がある化学溶媒の使用を避け、また生産過程において、溶媒の回収と浄化、及び「三廃」処理を行う必要がないため、溶媒の消耗を節約するだけではなく、溶媒の回収工程と設備、及び水洗い過程を省くことができ、生産コストを大きく低減し、溶媒の使用による深刻な環境汚染問題を解消することができる。イオン液体の可塑化作用により、PAN繊維の延伸に有利で、且つ得られたPAN繊維がイオン液体を洗い、除去した後も空孔構造が非常に少なく、とても緻密で、溶液紡糸により得られた原糸のように二重拡散による多量の空孔を形成しないので、原糸強度の向上にも有利である。
【0025】
一つの実施形態において、本発明は、
a)ポリアクリロニトリルプレ酸化触媒を1:100-0.01:100の重量比で、イオン液体に溶解し、ポリアクリロニトリル粉末とイオン液体の重量比が1:1〜1:0.25になるように、再びポリアクリロニトリル粉末を加えるステップと、
b) ステップa)で得られた混合物を、2軸スクリュー紡糸機に仕込し溶融紡糸する同時に、酸素含有ガスの流量は1ml/min-5ml/min、スクリュー回転速度は40-120r/min、仕込みゾーンの温度は170-185℃、可塑化ゾーンの温度は185-220℃、溶融ゾーンの温度は185-220℃である条件で、2軸スクリュー紡糸機の溶融ゾーンに酸素含有ガスを導入するステップと、
c)紡ぎ出した糸を直接、延伸温度が110-140℃、合計延伸倍率が1-8倍になるように乾熱延伸し、延伸後の繊維を70-90℃の水で洗った後、120-150℃の乾熱空気中でヒートセットして、ポリアクリロニトリルプレ酸化繊維を得るステップと、
を含む溶融紡糸によりポリアクリロニトリルプレ酸化繊維を製造する方法を提供する。
【0026】
ステップa)に記載のポリアクリロニトリルプレ酸化触媒は、過マンガン酸カリウム、ジクロロコバルト、硫酸コバルト、過硫酸カリウム、過酸化ベンゾイル、スクシニック酸、過酸化水素、アンモニア、又は塩酸ヒドロキシルアミンから選ばれる1種又は2種以上である。
【0027】
ステップa)に記載のイオン液体第二置換イミダゾール型イオン液体は、塩化1-エチル-3-メチルイミダゾリウム([EMIM]Cl)、塩化1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム([BMIM]Cl)、臭化1-エチル-3-メチルイミダゾリウム([EMIM]Br)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート([EMIM]BF4)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート([BMIM]BF4)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート([EMIM]PF6)、又は1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート([BMIM]PF6)から選ばれる1種又は2種以上である。
【0028】
上記酸素含有ガスは、酸素又は空気が好ましい。
【0029】
触媒としてKMnOを選択して使用し、プレ酸化時間を短縮し、炭素繊維の最終性能を改善した。CoCl、CoSO選択して使用し、変性ポリアクリロニトリルの構造と性能を促すこともできる。BPO、スクシニック酸等を、ポリアクリロニトリルプレ酸化過程の環化反応における触媒とすることもできる。これらの触媒又はこれらの混合触媒はいずれも酸化反応の活性化能力を低下させ、散熱を緩和させ、プレ酸化時間を減少し、また最終のプレ酸化温度を下げて、炭素繊維の力学的性質を向上させた。
【0030】
本実施形態は以下のような有益な効果がある。
(1)芯鞘構造を減少し、プレ酸化繊維の緻密性を大きく向上させた。酸素含有量は、プレ酸化繊維の緻密性に対する貢献が非常に大きく、特に酸素が繊維の径方向に沿って分布することと、芯ー鞘外観構造の特徴と必然的な繋がりがある。プレ酸化繊維の芯鞘構造を解消することは、プレ酸化段階における技術のキーであり、2軸スクリューの溶融ゾーンに酸素を導入し、酸素が表面から溶融体内部に均一に拡散することで、プレ酸化繊維の芯ー鞘構造を大きく減少させる。
【0031】
(2)エネルギー消費を削減し、プレ酸化段階のコストを大きく低減した。この方法のプレ酸化過程は2軸スクリューで行い、また2軸スクリューが回転する条件で、溶融体が均一に酸化できる。これにより、従来のプレ酸化技術に比べて、エネルギー消費を削減し、プレ酸化段階のコストを大きく低減し、さらに炭素繊維の生産コストを低減する。
【0032】
(3)ポリアクリロニトリルの制御可能なプレ酸化を実現した。この方法で、プレ酸化温度は170℃−220℃で、また一定比率の触媒を加えプレ酸化を促進する。溶融体が2軸スクリューに滞留する時間、プレ酸化温度、及び触媒比率によって、ポリアクリロニトリルプレ酸化繊維の酸化度を効果的に制御した。この方法は、工程条件を変更することにより、酸化反応を厳しく制御し、即ち酸化反応過程における時間、温度及び触媒含有量を制御することにより、ポリアクリロニトリルの制御可能なプレ酸化を実現して、プレ酸化度を向上させ、架橋など副反応を減少させる。
【0033】
(4)設備がシンプルで、且つ環境に対して汚染がない。この方法のプレ酸化過程は2軸スクリューで行い、制御可能なプレ酸化過程を実現し、また酸化を十分に進行させることにより、従来の高価で複雑なプレ酸化技術設備を避け、且つ、この方法において、溶融紡糸法でポリアクリロニトリルプレ酸化繊維を製造することにより、多量の毒性又は腐食性がある化学溶媒の使用を避け、また生産過程において、溶媒の回収と浄化、及び「三廃」処理を行う必要がない。そのため、溶媒の消耗を節約するだけではなく、溶媒の回収工程と設備、及び水洗い過程を省くことができ、生産コストを大きく低減し、溶媒の使用による深刻な環境汚染問題を解消することができる。
【0034】
本実施形態を採用して製造したプレ酸化繊維を炭化した後に得られる炭素繊維の引張り強度は、元の3.3-3.5Gpaから4.0-4.6Gpaに向上し、また現在市販されている高強度炭素繊維と比べて、コストが低い長所がある。
【0035】
一つの実施形態において、本発明は、
a)0.01-2重量部カーボンナノチューブと100重量部溶媒を混合し、超音波細胞破砕装置を用い、300w-600wの出力で、1.5-3時間超音波処理をするステップと、
b)ステップa)で得られた混合溶液に、0.01-5重量部高分子増粘剤を加え、超音波細胞破砕装置を用い、300w-600wの出力で、1-2h超音波処理をするステップと、
c)プレ酸化後の紡糸用繊維に、ステップb)で得られた混合溶液で、厚みが100-300nmのコート層を形成し、その後炭化して高強度炭素繊維を得るステップと、
を含む高強度炭素繊維の製造方法を提供する。
【0036】
ステップa)に記載のカーボンナノチューブはカルボキシル化された多層カーボンナノチューブである。
【0037】
ステップb)に記載の溶媒は、ジメチルスルホキシド 、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、又は蒸留水から選ばれる。
【0038】
ステップb)に記載の高分子増粘剤は、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、又はα-シアノアクリレートから選ばれる。増粘剤の選択は使用する溶媒次第である。
【0039】
ステップc)におけるプレ酸化後の紡糸用繊維にコート層を形成する方法において、プレ酸化後の紡糸用繊維を、1:3-1:2の固液比で、ステップb)で得られた混合溶液に浸して、1-2 h静置した。
【0040】
上記ステップc)におけるプレ酸化後の紡糸用繊維にコート層を形成する方法において、ステップb)で得られた混合溶液を、静電スプレーにより、スプレー電圧80kv-120kv、スプレー距離25cm-40cm、且つスプレーガンの回転速度2800r/min-3000r/minの条件で、繊維表面にスプレーする。
【0041】
本実施形態を採用すれば、以下のような有益な効果がある。
【0042】
(1)表面を修復した後、表面の欠陥を減少させ、有効に応力集中を解消して、炭素繊維の引張り強度を15%-30%向上させ、靱性を30%を向上させる。
(2)処理時間が短く、インラインでの組み合わせ使用可能で、投資が少なく、処理費用が低い。
(3)炭素繊維の缺陷の程度により、カーボンナノチューブ /溶媒の比率及び走行速度を適宜調整して、より良い強化効果を実現する。
【0043】
(4)処理効果がよく、生産效率が高い。
【0044】
(5)作業が簡単で、容易に産業化して使用する。
【0045】
一つの実施形態において、本発明は、
a)ポリアクリロニトリルと溶媒を、固形分含有量が0.1%-25%の割合で混合し、反応器で加熱攪拌して完全に溶解させるステップと、
b)ステップa)で得られた溶液に、ポリアクリロニトリル質量の0.05%-0.1%を占める触媒KMnOを加え、5ml/minの速度で酸素含有ガスを導入し、紡糸液を90℃-250℃プレ酸化温度で、1h -2.5hプレ酸化するステップと、
c)ステップb)の紡糸スラリーを紡糸機で紡糸してから、水洗い、伸長、ヒートセットを経て、プレ酸化レベルの良いプレ酸化糸を得て、その後炭化工程を経て、高性能炭素繊維を得るステップと、
を含むポリアクリロニトリル基炭素繊維の製造方法を提供する。
【0046】
ステップa)に記載の溶媒は、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、塩化1−アリル−3−メチルイミダゾール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド (DMSO)、チオシアン酸ナトリウム(NaSCN)、硝酸(HNO3)、塩化亜鉛(ZnCl2)から選ばれる1種である。
【0047】
ステップb)に記載の触媒は、過マンガン酸カリウム(KMnO)、塩化コバルト(CoCl)、硫酸コバルト(CoSO)、過酸化ベンゾイル(BPO)、スクシニック酸、過酸化水素(HO)、アンモニア、低分子アミンから選ばれる1種又は2種以上である。
【0048】
触媒としてKMnOを選択して使用し、プレ酸化時間を短縮し、炭素繊維の最終性能を改善する。CoCl、CoSO選択して使用し、変性ポリアクリロニトリルの構造と性能を促すこともできる。BPO、スクシニック酸等を、ポリアクリロニトリルプレ酸化過程の環化反応における触媒とすることもできる。これらの触媒又はこれらの混合触媒はいずれも酸化反応の活性化能力を低下させ、散熱を緩和させ、プレ酸化時間を減少し、また最終のプレ酸化温度を下げて、炭素繊維の力学的性質を向上させる。
【0049】
ステップb)に記載の酸素含有ガスは酸素又は空気である。
【0050】
ステップb)に記載の酸化反応後に、酸化生成物に対して、フーリエ変換赤外分光計、TG、DSC、NMRで構造と性能に特徴づけを行い、紡糸スラリーの特性をさらに確定できる。
【0051】
ステップc)に記載のプレ酸化糸の構造と性能は、ステップb)におけるプレ酸化の温度と時間の選択に関連する。ステップc)におけるプレ酸化温度は60℃-160℃、時間は1h-1.5hで、これは低いプレ酸化の温度と時間帯に属し、この条件では、プレ酸化度が比較的に低く、家庭用糸として使用できる。
【0052】
ステップc)におけるプレ酸化温度は165℃-250℃、時間は1.5h-2hで、これは高いプレ酸化の温度と時間帯に属し、この条件では、プレ酸化度が比較的に高く、工業用糸として使用できる。
【0053】
ステップc)における紡糸法は、湿式紡糸、乾湿式紡糸、ゲル紡糸、液晶紡糸又は凍結ゲル紡糸。
【0054】
本実施形態を採用して得られた炭素繊維の引張り強度は4.0-4.6Gpaである。
【0055】
本実施形態を採用すれば、以下のような有益な効果がある。
(1)繊維が均一に酸化でき、芯鞘構造を減少する。
攪拌状態で、酸素が表面から繊維内部に均一に拡散し、プレ酸化反応の進行につれて、色が徐々に深くなり、繊維中の酸化レベルを均一にし、従来の方法のように不均一な酸化が発生して、芯鞘構造が生じることがない。
【0056】
(2)エネルギー消費を削減し、コストを低減する。
プレ酸化過程は反応器で行うことができ、プレ酸化温度が160℃−220℃の時、プレ酸化時間2hr内に良いプレ酸化効果を実現することができ、また攪拌状態で、プレ酸化が十分に行われ、従来のプレ酸化技術に比べて、エネルギー消費を削減し、プレ酸化段階のコストを大きく低減し、さらに炭素繊維の生産のコストを大きく低減する。
【0057】
(3)ポリアクリロニトリルの制御可能なプレ酸化を実現する。
反応条件により、酸化反応を厳密に制御し、即ち酸化反応過程における時間、温度及び触媒含有量を制御することにより、ポリアクリロニトリルの制御可能なプレ酸化を実現して、プレ酸化度を向上させ、架橋など副反応を減少させる。
【0058】
(4)工程設備がシンプルである。
プレ酸化過程は反応器で行うことにより、制御可能なプレ酸化過程を容易に実現し、プレ酸化過程が比較的に十分で、従来の高価で複雑なプレ酸化工程設備を避ける。
【0059】
従来の炭素繊維の生産ラインに対して工程改善することにより、プレ酸化段階の複雑な工程プロセスを減少し、プレ酸化を直接に反応器で行ってから、紡糸する。該工程により生産された炭素繊維は芯鞘構造を減少し、その引張り強度を元の3.3-3.5Gpaから4.0-4.6Gpaに向上させただけではなく、現在市販されている高強度炭素繊維と比べて、コストが低い長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0060】
以下、本発明について図面と具体的な実施形態を結合して詳細に説明する。
【図1】ゲル化剤が溶液全体に占める質量比が2%である場合の、紡糸して得られたポリアクリロニトリル基炭素繊維原糸のSEM断面図である。
【図2】ゲル化剤が溶液全体に占める質量比が3%である場合の、紡糸して得られたポリアクリロニトリル基炭素繊維原糸のSEM断面図である。
【図3】ゲル化剤が溶液全体に占める質量比が4%である場合の、紡糸して得られたポリアクリロニトリル基炭素繊維原糸のSEM断面図である。
【図4】ゲル化剤が溶液全体に占める質量比が5%である場合の、紡糸して得られたポリアクリロニトリル基炭素繊維原糸のSEM断面図である。
【図5−1】PAN/[BMIM]Clが1:1である場合の水洗い後のPAN繊維断面のSEM写真である。
【図5−2】PAN//[BMIM]Clが1:1である場合の水洗い後のPAN繊維断面のSEM写真である。
【図6】PAN/[BMIM]Clが1:1である場合のPAN繊維のDMA曲線である。
【図7−1】PAN/[BMIM]Clが1.2:1である場合の水洗い後のPAN繊維断面のSEM写真である。
【図7−2】PAN/[BMIM]Clが1.2:1である場合の水洗い後のPAN繊維断面のSEM写真である。
【図8】PAN/[BMIM]Cl系で製造された繊維の水洗い前のTgとPAN含有量との関係の曲線図である。
【図9】PAN/[BMIM]Clが1:1、KMnO/[BMIM]Clが0.01:100 である場合の水洗い後のSEM断面図である。
【図10】PAN//[BMIM]Clが1:1、KMnO/[BMIM]Clが0.1:100である場合の水洗い後の部分SEM断面図である。
【図11】PAN/[BMIM]Clが1:1、BPO/[BMIM]Clが0.01:100である場合の水洗い後のSEM断面図である。
【図12】PAN/[BMIM]Clが1:1、BPO/ [BMIM]Clが0.1:100 である場合の水洗い後の部分SEM断面図である。
【図13】PAN/[BMIM]Clが1:1、KMnO/[BMIM]Clが0.1:100である場合の赤外スペクトル図である。
【図14】PAN/[BMIM]Clが1:1、BPO/[BMIM]Clが0.1:100 である場合の赤外スペクトル図である。
【図15】質量比がポリアクリロニトリル:多層カーボンナノチューブ : ジメチルスルホキシド =0.05:0.05:100である表面処理剤で処理した炭素繊維の拡大倍率が10000倍の電界放出電子顕微鏡図である。
【図16】質量比がポリビニルアルコール:多層カーボンナノチューブ : N,N-ジメチルホルムアミド=0.05:0.5:100である表面処理剤で処理した炭素繊維の拡大倍率が10000倍の電界放出電子顕微鏡図である。
【図17】質量比がポリビニルアルコール:多層カーボンナノチューブ :水=5:0.05:100である表面処理剤で処理した炭素繊維の拡大倍率が10000倍の電界放出電子顕微鏡図である。
【図18】質量比がα-シアノアクリレート:多層カーボンナノチューブ :水=5:0.05:100である表面処理剤で処理した炭素繊維の拡大倍率が10000倍の電界放出電子顕微鏡図である。
【図19−1】従来のポリアクリロニトリル基炭素繊維の生産工程フロー図である。
【図19−2】改善されたポリアクリロニトリル基炭素繊維の生産工程フロー図である。
【図20−1】PAN/ILの170℃で異なるプレ酸化時間における赤外スペクトル図で、1は原糸のスペクトル図、2は20minにおけるスペクトル図、3は40minにおけるスペクトル図、4は60minにおけるスペクトル図、5は90minにおけるスペクトル図である。
【図20−2】PAN/ILの160℃で異なるプレ酸化時間における赤外スペクトル図、1は20minにおけるスペクトル図、2は40minにおけるスペクトル図、3は60minにおけるスペクトル図、4は90minにおけるスペクトル図、5は120minにおけるスペクトル図、6は150minにおけるスペクトル図である。
【図21】PAN/DMSOの175℃で異なるプレ酸化時間における赤外スペクトル図、1は4hにおけるスペクトル図、2は5hにおけるスペクトル図、3は原糸のスペクトル図である。
【図22】酸化炉でプレ酸化したポリアクリロニトリル原糸の赤外スペクトル図、1は250℃におけるスペクトル図、2は原糸のスペクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、本発明が実現する技術手段、創作特徴、達成しようとする目的及び効果を分かりやすくするために、具体例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0062】
実施例1
先ず、無水ポリアクリロニトリル粉末5gと、DMSO溶媒95gとを三つ口フラスコで均一に混合し、油浴で加熱しその温度を70℃に制御し、攪拌してポリアクリロニトリル粉末を完全に溶解させる。溶解後、蒸留水2gを加え、1時間機械攪拌した後に、スラリーを紡糸機に移して紡糸した。ゲル紡糸法(紡糸温度60℃、凝固浴温度10-20℃、1次水洗い75℃、2次水洗い100℃)で製造されたポリアクリロニトリル原糸の引張り強度は4.31Gpaである。図1はゲル化剤が溶液全体に占める質量比が2%である場合の、紡糸して得られたポリアクリロニトリル基炭素繊維原糸のSEM図であり、その拡大倍数は1.5万倍である。図1から分かるように、ポリアクリロニトリル原糸の断面は円形構造で、断面にはほとんど空孔がなく、構造が緻密であり、これによりポリアクリロニトリル基炭素繊維原糸の引張り強度を大きく向上させた。
【0063】
実施例2
先ず、無水ポリアクリロニトリル粉末10gと、DMF溶媒90gとを三つ口フラスコで均一に混合し、油浴で加熱しその温度を90℃に制御し、攪拌してポリアクリロニトリル粉末を完全に溶解させる。溶解後、エチレングリコール3gを加え、1時間機械攪拌した後に、スラリーを紡糸機に移して紡糸した。ゲル紡糸法(紡糸条件は実施例1と同様)で製造されたポリアクリロニトリル原糸の引張り強度は4.4GPaである。図2はゲル化剤が溶液全体に占める質量比が3%である場合の、紡糸して得られたポリアクリロニトリル基炭素繊維原糸のSEM図であり、その拡大倍数は1.5万倍である。図2から分かるように、ポリアクリロニトリル原糸の断面は円形構造で、断面にはほとんど空孔がなく、構造が緻密で、芯鞘構造がない。
【0064】
実施例3
先ず、無水ポリアクリロニトリル粉末10gと、DMAc溶媒90gとを三つ口フラスコで均一に混合し、砂浴で加熱しその温度を90℃に制御し、攪拌してポリアクリロニトリル粉末を完全に溶解させる。溶解後、グリセロール4gを加え、1時間機械攪拌した後に、スラリーを紡糸機に移して紡糸した。ゲル紡糸法(紡糸条件は実施例1と同様)で製造されたポリアクリロニトリル原糸の引張り強度は4.2GPaである。図3はゲル化剤が溶液全体に占める質量比が4%である場合の、紡糸して得られたポリアクリロニトリル基炭素繊維原糸のSEM図であり、その拡大倍数は2.5万倍である。図3から分かるように、ポリアクリロニトリル原糸の断面は円形構造で、断面にはほとんど空孔がなく、構造が緻密である。
【0065】
実施例4
先ず、無水ポリアクリロニトリル粉末5gと、NaSCN溶媒95gとを三つ口フラスコで均一に混合し、油浴で加熱しその温度を100℃に制御し、攪拌してポリアクリロニトリル粉末を完全に溶解させる。溶解後、尿素5gを加え、1時間機械攪拌した後に、スラリーを紡糸機に移して紡糸した。ゲル紡糸法(紡糸条件は実施例1と同様)で製造されたポリアクリロニトリル原糸の引張り強度は4.5GPaである。図4はゲル化剤が溶液全体に占める質量比が5%である場合の、紡糸して得られたポリアクリロニトリル基炭素繊維原糸のSEM図であり、その拡大倍数は1.5万倍である。図4から分かるように、ポリアクリロニトリル原糸の断面構造が均一で、芯鞘構造がなく、断面にはほとんど空孔がないし、構造が緻密であり、これによりポリアクリロニトリル基炭素繊維原糸の引張り強度を大きく向上させた。
【0066】
実施例5
先ず、無水ポリアクリロニトリル粉末5gと、ZnCl溶媒95gとを三つ口フラスコで均一に混合し、油浴で加熱しその温度を100℃に制御し、攪拌してポリアクリロニトリル粉末を完全に溶解させる。溶解後、チオ尿素2gを加え、1時間機械攪拌した後に、スラリーを紡糸機に移して紡糸した。ゲル紡糸法(紡糸条件は実施例1と同様)で製造されたポリアクリロニトリル原糸の引張り強度は4.51GPaである。
【0067】
実施例6
先ず、ポリアクリロニトリル粉末と[BMIM]BFとを質量比で1:1の割合で、高速混合機で均一に混合し、その後、2軸スクリュー紡糸機に移して溶融紡糸した。2軸スクリュー紡糸機のスクリュー回転速度は50r/min、仕込みゾーン温度を185℃、可塑化ゾーン温度を190℃、溶融ゾーン温度を185℃とし、紡糸口金のアスペクト比が1:3、孔径が0.5mmである。紡ぎ出した糸を初期乾熱延伸、二次乾熱延伸、水洗い、ワニス仕上げ、ヒートセット(延伸倍率2-10倍、温度90℃-120℃、水洗い温度25℃-40℃)して、PAN繊維を製造した。PAN繊維の強度は2.8cN/dtex、破断伸び率は19.0%であった。
【0068】
実施例7
先ず、ポリアクリロニトリル粉末と[EMIM]BFとを質量比で1.2:1の割合で、高速混合機で均一に混合し、その後、2軸スクリュー紡糸機に移して溶融紡糸した。2軸スクリュー紡糸機のスクリュー回転速度を75r/minに調整し、仕込みゾーン温度を180℃、可塑化ゾーン温度を185℃、溶融ゾーン温度を180℃とし、紡糸口金のアスペクト比が1:3、孔径が0.5mmである。紡ぎ出した糸を初期乾熱延伸、二次乾熱延伸、水洗い、ワニス仕上げ、ヒートセットして、PAN繊維を製造した。PAN繊維の強度は3.6cN/dtex、破断伸び率は8.9%であった。
【0069】
実施例8
先ず、ポリアクリロニトリル粉末と[BMIM]Clとを質量比で1:1の割合で、高速混合機で均一に混合し、その後、2軸スクリュー紡糸機に移して溶融紡糸した。2軸スクリュー紡糸機のスクリュー回転速度を70r/minに調整し、仕込みゾーン温度を185℃、可塑化ゾーン温度を190℃、溶融ゾーン温度を190℃とし、紡糸口金のアスペクト比が1:3、孔径が0.5mmである。紡ぎ出した糸を初期乾熱延伸、二次乾熱延伸、水洗い、ワニス仕上げ、ヒートセットして、PAN繊維を製造した。PAN繊維の強度は4.0cN/dtex、破断伸び率は16.9%であった。図5は水洗い後のPAN繊維断面のSEM写真である。SEM写真の分析によれば、繊維断面の構造が円形で、芯鞘空孔構造がない。図6はPAN/[BMIM]Clが1:1である場合のPAN繊維のDMA曲線である。図6から、可塑剤を添加した後、ポリアクリロニトリルのガラス転移温度が低下して、高分子鎖の伸長に有利であることが分かる。
【0070】
実施例9
先ず、ポリアクリロニトリル粉末と[BMIM]Clとを質量比で1.2:1の割合で、高速混合機で均一に混合し、その後、2軸スクリュー紡糸機に移して溶融紡糸した。2軸スクリュー紡糸機のスクリュー回転速度を60r/minに調整し、仕込みゾーン温度を180℃、可塑化ゾーン温度を185℃、溶融ゾーン温度を185℃とし、紡糸口金のアスペクト比が1:3、孔径が0.5mmである。紡ぎ出した糸を初期乾熱延伸、二次乾熱延伸、水洗い、ワニス仕上げ、ヒートセットして、PAN繊維を製造した。PAN繊維の強度は4.0cN/dtex、破断伸び率は14.3%であった。図7は水洗い後のPAN繊維断面のSEM写真である。当該写真によれば、繊維の断面が円形に近く、芯部構造が緻密で、ポリアクリロニトリル原糸に優れた物理・機械的性質を持たせた。図8はPAN/[BMIM]Cl系で製造された繊維の水洗い前のTgとPAN含有量との関係の曲線図である。該曲線図の分析により、PANの含有量の減少につれて、ガラス転移温度が低下し、即ち溶融紡糸過程において[BMIM]Clが可塑剤として機能し、[BMIM]Clの含有量が多いほど、溶融体のガラス転移温度が低く、次の過程における繊維の伸長に有利であるこが分かる。
【0071】
実施例10
先ず、ポリアクリロニトリルプレ酸化触媒のジクロロコバルトを1:100の重量比で、イオン液体(1-ブチル-3メチル-イミダゾリウムクロリド)に溶解し、ポリアクリロニトリル粉末とイオン液体の重量比が1:1になるように、乾燥したポリアクリロニトリル粉末を加えた。得られた混合物を2軸スクリュー紡糸機に加え溶融紡糸する同時に、2軸スクリュー紡糸機の溶融ゾーンに空気を導入した。その中、空気流量は1ml/min、スクリュー回転速度は400r/min、仕込みゾーンの温度は170℃、可塑化ゾーンの温度は185℃、溶融ゾーンの温度は185℃で、紡糸口金のアスペクト比が1:3、孔径が0.5mmである。紡ぎ出した糸を直接、延伸温度が110℃、合計延伸倍率が4倍になるように乾熱延伸し、延伸後の繊維を70℃の水で洗った後、150℃の乾熱空気中でヒートセットして、プレ酸化度が31%であるポリアクリロニトリルプレ酸化繊維を得た。
【0072】
実施例11
先ず、ポリアクリロニトリルプレ酸化触媒のジクロロコバルトを0.01:100の重量比で、イオン液体(1-ブチル-3メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート)に溶解し、ポリアクリロニトリル粉末とイオン液体の重量比が1:1になるように、乾燥したポリアクリロニトリル粉末を加えた。得られた混合物を2軸スクリュー紡糸機に加え溶融紡糸する同時に、2軸スクリュー紡糸機の溶融ゾーンに酸素を導入した。その中、酸素流量は5ml/min、スクリュー回転速度は120r/min、仕込みゾーンの温度は185℃、可塑化ゾーンの温度は220℃、溶融ゾーンの温度は220℃で、紡糸口金のアスペクト比が1:3、孔径が0.5mmである。紡ぎ出した糸を直接、延伸温度が140℃、合計延伸倍率が6倍になるように乾熱延伸し、延伸後の繊維を90℃の水で洗った後、150℃の乾熱空気中でヒートセットして、プレ酸化度が31%であるポリアクリロニトリルプレ酸化繊維を得た。
【0073】
実施例12
先ず、過マンガン酸カリウム粒子と[BMIM]Clを、重量比で0.01:100の割合で三つ口フラスコで均一に混合し、過マンガン酸カリウムを完全に溶解させた後、乾燥したポリアクリロニトリル粉末と[BMIM]Clとを重量比で1:1の割合で、高速混合機で均一に混合し、その後、2軸スクリュー紡糸機に移して溶融紡糸し、2軸スクリューの溶融ゾーンに流量2ml/minで酸素を導入した。2軸スクリュー紡糸機のスクリュー回転速度は50r/min、仕込みゾーンの温度を185℃、可塑化ゾーンの温度を190℃、溶融ゾーンの温度を185℃とし、紡糸口金のアスペクト比が1:3、孔径が0.5mmである。紡ぎ出した糸を、延伸温度が120℃、合計延伸倍率が45倍になるように乾熱延伸し、延伸後の繊維を80℃の水で洗った後120-150℃の乾熱空気中でヒートセットして、プレ酸化度が31%であるポリアクリロニトリルプレ酸化繊維を得た。図9はPAN/[BMIM]Clが1:1、KMnO/[BMIM]Clが0.01:100 である場合の水洗い後のSEM断面図である。図9から、プレ酸化糸の断面構造が非常に緻密で、繊維の横断面の形状が円形に近く、芯部にはほとんど空孔構造がなく、密度が向上して、そのプレ酸化糸は優れた物理・機械的性質を持っていることが分かる。
【0074】
実施例13
先ず、過マンガン酸カリウム粒子と[BMIM]Clを、重量比で0.01:100の割合で三つ口フラスコで均一に混合し、過マンガン酸カリウムを完全に溶解させた後、乾燥したポリアクリロニトリル粉末と[BMIM]Clとを重量比で1:1の割合で、高速混合機で均一に混合し、その後、2軸スクリュー紡糸機に移して溶融紡糸し、2軸スクリューの溶融ゾーンに流量2ml/minで酸素を導入した。2軸スクリュー紡糸機のスクリュー回転速度は50r/min、仕込みゾーンの温度を185℃、可塑化ゾーンの温度を190℃、溶融ゾーンの温度を185℃とし、紡糸口金のアスペクト比が1:3、孔径が0.5mmである。紡ぎ出した糸を、延伸温度が120℃、合計延伸倍率が45倍になるように乾熱延伸し、延伸後の繊維を80℃の水で洗った後150℃の乾熱空気中でヒートセットして、プレ酸化度が67%であるポリアクリロニトリルプレ酸化繊維を得た。図10はPAN//[BMIM]Clが1:1、KMnO/[BMIM]Clが0.1:100である場合の水洗い後の部分SEM断面図である。図13はPAN/[BMIM]Clが1:1、KMnO/[BMIM]Clが0.1:100である場合の赤外スペクトル図で、その中、曲線1がプレ酸化糸のスペクトル図、曲線2が原糸のスペクトル図である。図13の曲線対比分析により、酸化した後にシアノグループの吸収ピーク(2240cm-1)は減少するが、−C=Nの吸収ピーク(1630cm-1)は強くなることが分かり、これはプレ酸化後にシアノグループの一部が−C=Nに転換して、分子内での環化構造の形成を促進することを示した。図10から、プレ酸化糸の断面構造が非常に緻密で、芯鞘構造と空孔の缺陷がなく、プレ酸化糸の構造は表面から内部まで構造が均一で、湿式紡糸のように芯鞘構造が生じないことが分かる。
【0075】
実施例14
先ず、過酸化ベンゾイルと[BMIM]Clを、重量比で0.01:100の割合で三つ口フラスコで均一に混合し、過酸化ベンゾイルを完全に溶解させた後、乾燥したポリアクリロニトリル粉末と[BMIM]Clとを重量比で1:1の割合で、高速混合機で均一に混合し、その後、2軸スクリュー紡糸機に移して溶融紡糸し、2軸スクリューの溶融ゾーンに流量2ml/minで酸素を導入した。2軸スクリュー紡糸機のスクリュー回転速度は50r/min、仕込みゾーンの温度を185℃、可塑化ゾーンの温度を190℃、溶融ゾーンの温度を185℃とし、紡糸口金のアスペクト比が1:3、孔径が0.5mmである。紡ぎ出した糸を、延伸温度が120℃、合計延伸倍率が45倍になるように乾熱延伸し、延伸後の繊維を80℃の水で洗った後150℃の乾熱空気中でヒートセットして、プレ酸化度が47%であるポリアクリロニトリルプレ酸化繊維を得た。図11はPAN/[BMIM]Clが1:1、BPO/[BMIM]Clが0.01:100である場合の水洗い後のSEM断面図である。この図から、プレ酸化糸の断面が円形に近く、芯部構造が緻密で、そのプレ酸化糸は優れた物理機械的性質を持っていることが分かる。
【0076】
実施例15
先ず、過酸化ベンゾイルと[BMIM]Clを、重量比で0.01:100の割合で三つ口フラスコで均一に混合し、過酸化ベンゾイルを完全に溶解させた後、乾燥したポリアクリロニトリル粉末と[BMIM]Clとを重量比で1:1の割合で、高速混合機で均一に混合し、その後、2軸スクリュー紡糸機に移して溶融紡糸し、2軸スクリューの溶融ゾーンに流量2ml/minで酸素を導入した。2軸スクリュー紡糸機のスクリュー回転速度は50r/min、仕込みゾーンの温度を185℃、可塑化ゾーンの温度を190℃、溶融ゾーンの温度を185℃とし、紡糸口金のアスペクト比が1:3、孔径が0.5mmである。紡ぎ出した糸を、延伸温度が120℃、合計延伸倍率が45倍になるように乾熱延伸し、延伸後の繊維を80℃の水で洗った後150℃の乾熱空気中でヒートセットして、プレ酸化度が73%であるポリアクリロニトリルプレ酸化繊維を得た。図12はPAN/[BMIM]Clが1:1、BPO/ [BMIM]Clが0.1:100 である場合の水洗い後の部分SEM断面図である。この図から、プレ酸化糸の断面構造が非常に緻密で、芯鞘構造と空孔の缺陷がなく、プレ酸化糸の構造は表面から内部まで構造が均一で、湿式紡糸のように芯鞘構造が生じないことが分かる。図14はPAN/[BMIM]Clが1:1、BPO/[BMIM]Clが0.1:100 である場合の赤外スペクトル図である。その中、曲線1がプレ酸化糸のスペクトル図、曲線2が原糸のスペクトル図である。図14の曲線対比分析により、酸化した後にシアノグループの吸収ピーク(2240cm-1)は減少するが、−C=Nの吸収ピーク(1620cm-1)は強くなることが分かり、これはプレ酸化後にシアノグループの一部が−C=Nに転換して、分子内での環化構造の形成を促進することを示した。
【0077】
実施例16-20
以下の表1の通り、用いるポリアクリロニトリルプレ酸化触媒及びイオン液体が異なっている以外は、実施例15と同様である。
【表1】

【0078】
実施例21
カルボキシル化された多層カーボンナノチューブ (中国科学院成都有機化学研究所、長さ10-30μm、内径10-20nm、外径5-10nm)0.05重量部と、溶媒ジメチルスルホキシド 100重量部を混合し、超音波細胞破砕装置を用い、300wの出力で、3時間超音波処理をする。得られた混合溶液に、高分子増粘剤ポリアクリロニトリル(重合度が8.8万、粒径が230nm-250nmである)0.05重量部を加え、超音波細胞破砕装置を用い、300wの出力で、2時間超音波処理をする。酸化後の紡糸用繊維を、1:3の固液比で、得られた混合溶液に浸して、1h静置し、プレ酸化後の紡糸用繊維の表面に、厚みが200nmのコート層を形成し、その後摂氏1000度で炭化して高強度炭素繊維を得た。図15は質量比がポリアクリロニトリル:多層カーボンナノチューブ : ジメチルスルホキシド =0.05:0.05:100である表面処理剤で処理した炭素繊維の拡大倍率が10000倍の電界放出電子顕微鏡図である。この図から、カーボンナノチューブが均一に繊維表面に付着し、繊維表面の空孔を修復できることで、炭素繊維の引張り強度を効果的に向上させたことが分かる。
【0079】
実施例22
【0080】
カルボキシル化された多層カーボンナノチューブ (中国科学院成都有機化学研究所、長さ10-30μm、内径10-20nm、外径5-10nm)0.05重量部と、溶媒N,N-ジメチルホルムアミド100重量部を混合し、超音波細胞破砕装置を用い、600wの出力で、1.5時間超音波処理をする。得られた混合溶液に、高分子増粘剤ポリビニルアルコール(重合度が8.8万、粒径が230nm-250nmである)0.05重量部を加え、超音波細胞破砕装置を用い、600wの出力で、1時間超音波処理をする。酸化後の紡糸用繊維を、1:2の固液比で、得られた混合溶液に浸して、2h静置し、プレ酸化後の紡糸用繊維に、厚みが200nmのコート層を形成し、その後摂氏1000度で炭化して高強度炭素繊維を得た。図16は質量比がポリビニルアルコール:多層カーボンナノチューブ : N,N-ジメチルホルムアミド=0.05:0.5:100である表面処理剤で処理した炭素繊維の拡大倍率が10000倍の電界放出電子顕微鏡図である。図16から、多層カーボンナノチューブが炭素繊維表面に均一に付着し、炭素繊維の表面欠陥を修復し、炭素繊維の引張り強度を向上させることに有利であることが分かる。
【0081】
実施例23
カルボキシル化された多層カーボンナノチューブ (中国科学院成都有機化学研究所、長さ10-30μm、内径10-20nm、外径5-10nm)0.05重量部と、溶媒水100重量部を混合し、超音波細胞破砕装置を用い、500wの出力で、2時間超音波処理をする。得られた混合溶液に、高分子増粘剤ポリビニルアルコール(重合度が8.8万、粒径が230nm-250nmである)5重量部を加え、超音波細胞破砕装置を用い、600wの出力で、1.5時間超音波処理をする。得られた混合溶液を、静電スプレーにより、スプレー電圧80kv、スプレー距離25cm、且つスプレーガンの回転速度2800r/minの条件で、酸化後のポリアクリロニトリルプレ酸化繊維表面にスプレーして、厚みが300nmのコート層を形成し、その後摂氏1000度で炭化して高強度炭素繊維を得た。図17は質量比ポリビニルアルコール:多層カーボンナノチューブ :水=5:0.05:100である表面処理剤で処理した炭素繊維の拡大倍率が10000倍の電界放出電子顕微鏡図である。
【0082】
実施例24
カルボキシル化された多層カーボンナノチューブ (中国科学院成都有機化学研究所、長さ10-30μm、内径10-20nm、外径5-10nm)0.05重量部と、溶媒水100重量部を混合し、超音波細胞破砕装置を用い、500wの出力で、1.5時間超音波処理をする。得られた混合溶液に、高分子増粘剤α-シアノアクリレート(分子量400-800、メーカー:上海諾泰化工有限会社)5重量部を加え、超音波細胞破砕装置を用い、500wの出力で、1h超音波処理をする。得られた混合溶液を、静電スプレーにより、スプレー電圧120kv、スプレー距離40cm、且つスプレーガンの回転速度3000r/minの条件で、酸化後のポリアクリロニトリルプレ酸化繊維表面にスプレーして、厚みが100nmのコート層を形成し、その後摂氏1000度で炭化して高強度炭素繊維を得た。図18は質量比α-シアノアクリレート:多層カーボンナノチューブ :水=5:0.05:100である表面処理剤で処理した炭素繊維の拡大倍率が10000倍の電界放出電子顕微鏡図である。図18から、多層カーボンナノチューブが炭素繊維表面に均一に付着し、炭素繊維の表面欠陥を修復し、炭素繊維の引張り強度を向上させることに有利であることが分かる。
【0083】
実施例25
カルボキシル化された多層カーボンナノチューブ (中国科学院成都有機化学研究所、長さ10-30μm、内径10-20nm、外径5-10nm)0.01重量部と、溶媒蒸留水100重量部を混合し、超音波細胞破砕装置を用い、500wの出力で、1.5時間超音波処理をする。得られた混合溶液に、高分子増粘剤α-シアノアクリレート0.01重量部を加え、超音波細胞破砕装置を用い、500wの出力で、1h超音波処理をする。得られた混合溶液を、静電スプレーにより、スプレー電圧100kv、スプレー距離30cm、且つスプレーガンの回転速度2900r/minの条件で、酸化後のポリアクリロニトリルプレ酸化繊維表面にスプレーして、厚みが100nmのコート層を形成し、その後摂氏1000度で炭化して高強度炭素繊維を得た。
【0084】
実施例26
カルボキシル化された多層カーボンナノチューブ (中国科学院成都有機化学研究所、長さ10-30μm、内径10-20nm、外径5-10nm)2重量部と、ジメチルアセトアミド100重量部を混合し、超音波細胞破砕装置を用い、500wの出力で、1.5時間超音波処理をする。得られた混合溶液に、高分子増粘剤α-シアノアクリレート2重量部を加え、超音波細胞破砕装置を用い、500wの出力で、1h超音波処理をする。得られた混合溶液を、静電スプレーにより、スプレー電圧120kv、スプレー距離30cm、且つスプレーガンの回転速度2900r/minの条件で、酸化後のポリアクリロニトリルプレ酸化繊維表面にスプレーして、厚みが100nmのコート層を形成し、その後摂氏1000度で炭化して高強度炭素繊維を得た。
【0085】
実施例21-26で得られた炭素繊維の力学的性質は以下の表2の通りである。
【表2】

【0086】
実施例27
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド型イオン液体と、ポリアクリロニトリル粉末を、機械的攪拌機を具備した反応器に添加し、重合体が完全に溶解した後、触媒KMnOを加え、ポリアクリロニトリルの環化を促進した。添加する原料の質量分率は、ポリアクリロニトリルが5%、溶媒が95%である。KMnOはポリアクリロニトリル質量の0.05%を占める。混合物を、170℃で攪拌し反応させ、また一定流量の酸素を導入して、プレ酸化反応の温度及び時間を制御し、20min、40min、60min、90minにおける試料を採取して、プレ酸化レベルが異なるポリアクリロニトリル紡糸液を得た。図19-2は改善されたポリアクリロニトリル基炭素繊維の生産工程フロー図であり、即ちこの実施例が改善された工程に従って行った実験である。図20-1は PAN/ILの170℃で異なるプレ酸化時間における赤外スペクトル図である。赤外スペクトル図の分析により、時間の経過につれて、-C≡Nグループの吸収ピークの強度が弱くなり、−C=N基の吸収ピークの強度が強くなって、高分子内での環化度が増加したことが分かる。
【0087】
実施例 28
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド型イオン液体と、ポリアクリロニトリル粉末を、機械的攪拌機を具備した反応器に添加し、重合体が完全に溶解した後、触媒KMnOを加え、ポリアクリロニトリルの環化を促進した。添加する原料の質量分率は、ポリアクリロニトリルが5%、溶媒が95%である。KMnOはポリアクリロニトリル質量の0.05%を占める。混合物を、160℃で攪拌し反応させ、また5ml/minの速度で酸素含有ガスを導入して、プレ酸化反応の温度及び時間を制御し、20min、40min、60min、90min、120min、150minにおける試料を採取して、プレ酸化レベルが異なるポリアクリロニトリル紡糸液を得た。図20-2は PAN/ILの160℃で異なるプレ酸化時間における赤外スペクトル図である。赤外スペクトル図の分析により、時間の経過につれて、-C≡Nグループの吸収ピークの強度が弱くなり、−C=N基の吸収ピークの強度が強くなって、高分子内での環化度が増加したが、160℃での環化レベルは170℃での環化レベルより弱いことが分かる。
【0088】
実施例 29
DMSOとポリアクリロニトリルを、機械的攪拌機を具備した反応器に添加し、重合体が完全に溶解した後、触媒KMnOを加え、ポリアクリロニトリルの環化を促進した。添加する原料の質量分率は、ポリアクリロニトリルが10%、DMSOが90%である。KMnOはポリアクリロニトリル質量の0.05%を占める。混合物を、175℃で攪拌し反応させ、また5ml/minの速度で酸素含有ガスを導入して、プレ酸化反応の温度及び時間を制御し、約4−5時間の時、ポリアクリロニトリル紡糸液を得た。図21はPAN/DMSOの175℃で異なるプレ酸化時間における赤外スペクトル図である。赤外スペクトル図の分析により、時間の経過につれて、-C≡Nグループの吸収ピークの強度が弱くなり、−C=N基の吸収ピークの強度が強くなって、高分子内での環化度が増加したことが分かる。
【0089】
比較例1
従来の方法を用いて、先ずPAN/DMSO紡糸液に対して湿式紡糸を行い、その後一連の後処理を経てポリアクリロニトリル原糸を得て、PAN原糸に対して6個の加熱ゾーンがあるプレ酸化炉でプレ酸化を行った。温度を170℃に設定してから、10min毎に温度を10℃上昇させ、一区切りの酸化糸を取り出し、最後に260℃で0.5h放置した。糸を取り出した後、赤外分析を行い、上記2つの系でのプレ酸化レベルと比較した。その結果、先ず紡糸液をプレ酸化し、その後紡糸する新しい工程により、従来の工程と同様なプレ酸化度に達することができることを見つけた。また、新しい工程により、プレ酸化のコストを大きく低減し、さらに炭素繊維の生産コストを低減できた。図22は酸化炉でプレ酸化したポリアクリロニトリル原糸の赤外スペクトル図である。実施例27、28、29に比べて、比較例の酸化レベルは実施例の酸化レベルに相当するが、実施例の酸化効果がより優れ、酸化方法がより簡単であり、これにより、次の炭素繊維の生産においてコストを低減することができる。
【0090】
以上に本発明の基本的な原理、主な特徴及び本発明の長所を示しつつ記載した。当業者は、本発明は上記の実施例に制限されず、上記の実施例及び明細書に記載した内容は本発明の原理にすぎないものであって、本発明の精神と範囲を逸脱しない限り、本発明は、また様々な変化及び改善ができ、これらの変化及び改善のすべてが特許請求している本発明の範囲に含まれることを理解すべきである。本発明が特許請求している範囲は添付の特許請求の範囲及びその均等物に限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 水がない状態まで乾燥させたポリアクリロニトリル粉末と溶媒を5:100-20:100の質量比で混合し、温度が70℃-110℃になるように、ポリアクリロニトリル粉末が完全に溶解するまでにこの混合物を加熱するステップと、
b) ステップa)で得られた混合溶液に、低分子ゲル化剤2%-5%(溶液の質量を占める部数)を加え、機械で1時間攪拌し、均一に混合させて、紡糸液を得るステップと、
c)ステップb)で得られた紡糸液を湿式紡糸機に移し、ポリアクリロニトリル原糸を製造する通常の湿式紡糸法を用いて紡糸して、ポリアクリロニトリル原糸を得るステップと
を含むことを特徴とするポリアクリロニトリル原糸を製造するゲル紡糸法。
【請求項2】
ステップa)に記載の溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド (DMSO)、チオシアン酸ナトリウム(NaSCN)、硝酸(HNO3)、塩化亜鉛(ZnCl2)から選ばれる一種であることを特徴とする請求項1に記載のゲル紡糸法。
【請求項3】
ステップa)における加熱方式は油浴又は砂浴であることを特徴とする請求項1に記載のゲル紡糸法。
【請求項4】
ステップb)に記載の低分子ゲル化剤は、HO、グリセロール、エチレングリコール、尿素、チオ尿素から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のゲル紡糸法。
【請求項5】
a)水がない状態まで乾燥させたポリアクリロニトリル粉末とイオン液体を、1:1〜1:0.25の質量比で均一に混合するステップと、
b)ステップa)で得られた混合物を、2軸スクリュー紡糸機のホッパーに仕込み、スクリュー回転速度を40-120r/minに調整し、紡糸温度を170-220℃として、溶融紡糸し、紡糸口金から紡ぎ出した糸は水浴を経由せず、直接に延伸温度が80-180℃、延伸倍率が1-8倍である乾熱延伸を行うステップと、
c)延伸後の繊維を水洗し、その後ヒートセットし、巻き取ってポリアクリロニトリル(PAN)繊維を得るステップと
を含むことを特徴とする可塑剤としてイオン液体を使用したポリアクリロニトリル(PAN)の溶融紡糸法。
【請求項6】
ステップa)に記載の可塑剤は二置換イミダゾール型イオン液体であることを特徴とする請求項5に記載のポリアクリロニトリルの溶融紡糸法。
【請求項7】
上記の二置換イミダゾール型イオン液体は、塩化1-エチル-3-メチルイミダゾリウム([EMIM]Cl)、塩化1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム([BMIM]Cl)、臭化1-エチル-3-メチルイミダゾリウム([EMIM]Br)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート([EMIM]BF4)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート([BMIM]BF4)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート([EMIM]PF6)、又は1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート([BMIM]PF6)から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項6に記載のポリアクリロニトリルの溶融紡糸法。
【請求項8】
ステップc)において、延伸後の繊維の水洗い温度は70-90℃に制御されることを特徴とする請求項5に記載のポリアクリロニトリルの溶融紡糸法。
【請求項9】
a)ポリアクリロニトリルプレ酸化触媒を1:100-0.01:100の重量比で、イオン液体に溶解し、ポリアクリロニトリル粉末とイオン液体の重量比が1:1~1:0.25になるように、再びポリアクリロニトリル粉末を加えるステップと、
b)ステップa)で得られた混合物を、2軸スクリュー紡糸機に仕込し溶融紡糸する同時に、酸素含有ガスの流量は1ml/min-5ml/min、スクリュー回転速度は40-120r/min、仕込みゾーンの温度は170-185℃、可塑化ゾーンの温度は185-220℃、溶融ゾーンの温度は185-220℃である条件で、2軸スクリュー紡糸機の溶融ゾーンに酸素含有ガスを導入するステップと、
c)紡ぎ出した糸を直接、延伸温度が110-140℃、合計延伸倍率が4-6倍になるように乾熱延伸し、延伸後の繊維を70-90℃の水で洗った後、120-150℃の乾熱空気中でヒートセットして、ポリアクリロニトリルプレ酸化繊維を得るステップと
を含むことを特徴とする溶融紡糸によりポリアクリロニトリルプレ酸化繊維を製造する方法。
【請求項10】
ステップa)に記載のポリアクリロニトリルプレ酸化触媒は、過マンガン酸カリウム、ジクロロコバルト、硫酸コバルト、過硫酸カリウム、過酸化ベンゾイル、スクシニック酸、過酸化水素、アンモニア、又は塩酸ヒドロキシルアミンから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップa)に記載の可塑剤は二置換イミダゾール型イオン液体であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
上記の二置換イミダゾール型イオン液体は、塩化1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、塩化1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、臭化1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、又は1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファートから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップb)における上記酸素含有ガスは、酸素又は空気であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
a)0.01-2重量部カーボンナノチューブと100重量部溶媒を混合し、超音波細胞破砕装置を用い、300w-600wの出力で、1.5-3時間超音波処理をするステップと、
b)ステップa)で得られた混合溶液に、0.01-5重量部高分子増粘剤を加え、超音波細胞破砕装置を用い、300w-600wの出力で、1-2h超音波処理をするステップと、
c)プレ酸化後の紡糸用繊維に、ステップb)で得られた混合溶液で、厚みが100-300nmのコート層を形成し、その後炭化して高強度炭素繊維を得るステップと
を含むことを特徴とする高強度炭素繊維の製造方法。
【請求項15】
ステップa)に記載のカーボンナノチューブはカルボキシル化された多層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
ステップb)に記載の溶媒は、ジメチルスルホキシド 、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、又は蒸留水から選ばれることを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項17】
ステップb)に記載の高分子増粘剤は、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、又はα-シアノアクリレートから選ばれることを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項18】
ステップc)におけるプレ酸化後の紡糸用繊維にコート層を形成する方法は、プレ酸化後の紡糸用繊維を、1:3-1:2固液比で、ステップb)で得られた混合溶液に浸して、1-2h静置することを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項19】
上記ステップc)におけるプレ酸化後の紡糸用繊維にコート層を形成する方法は、ステップb)で得られた混合溶液を、静電スプレーにより、スプレー電圧80kv-120kv、スプレー距離25cm-40cm、且つスプレーガンの回転速度2800r/min-3000r/minの条件で、繊維表面にスプレーすることを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項20】
a)ポリアクリロニトリルと溶媒を、固形分含有量が0.1%-25%の割合で混合し、反応器で加熱攪拌して完全に溶解させるステップと
b)ステップa)で得られた溶液に、ポリアクリロニトリル質量の0.05%-0.1%を占める触媒KMnOを加え、5ml/minの速度で酸素含有ガスを導入し、紡糸液を90℃-250℃プレ酸化温度で、1h -2.5hプレ酸化するステップと
c)ステップb)の紡糸スラリーを紡糸機で紡糸してから、水洗い、伸長、ヒートセットを経て、プレ酸化レベルの良いプレ酸化糸を得て、その後炭化工程を経て、高性能炭素繊維を得るステップと
を含むポリアクリロニトリル基炭素繊維の製造方法。
【請求項21】
ステップa)に記載の溶媒は、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、塩化1−アリル−3−メチルイミダゾール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド (DMSO)、チオシアン酸ナトリウム(NaSCN)、硝酸(HNO3)、塩化亜鉛(ZnCl2)から選ばれる1種であることを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
ステップb)に記載の触媒は、過マンガン酸カリウム(KMnO)、塩化コバルト(CoCl)、硫酸コバルト(CoSO)、過酸化ベンゾイル(BPO)、スクシニック酸、過酸化水素(HO)、アンモニア、低分子アミンから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
【請求項23】
ステップb)に記載の酸素含有ガスは酸素又は空気であることを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
【請求項24】
ステップb)におけるプレ酸化温度は60℃-160℃、時間は1h-1.5hであることを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
【請求項25】
ステップb)におけるプレ酸化温度は165℃-250℃、時間は1.5h-2hであることを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
【請求項26】
ステップc)における紡糸法は、湿式紡糸、乾湿式紡糸、ゲル紡糸、液晶紡糸又は凍結ゲル紡糸であることを特徴とする請求項20に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19−1】
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【図19−2】
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【図20−1】
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【図20−2】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2012−522142(P2012−522142A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502426(P2012−502426)
【出願日】平成22年1月11日(2010.1.11)
【国際出願番号】PCT/CN2010/000036
【国際公開番号】WO2010/111882
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(511234585)ドンファ ユニバーシティー (1)
【Fターム(参考)】