説明

炭素繊維強化プラスチックからの炭素繊維の脱落防止方法及びその方法を用いて得られる金属被覆炭素繊維強化プラスチック

【課題】炭素繊維強化プラスチックに外形加工を施し、加工によって露出した炭素繊維の脱落や飛散を防止する技術を提供する。
【解決手段】炭素繊維の露出部を有する炭素繊維強化プラスチック表面に金属皮膜を形成して炭素繊維の脱落を防止する方法を採用する。そして、前記金属皮膜は、工程A:炭素繊維強化プラスチックを表面処理し、炭素繊維強化プラスチックの表面を粗化する粗化処理工程、及び、工程B:工程Aで得られた炭素繊維強化プラスチックの表面に無電解めっき法を用いて金属皮膜を形成する無電解めっき工程を経て形成する。また、必要に応じて、前記金属皮膜に機械加工を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、炭素繊維強化プラスチックからの炭素繊維の脱落防止方法及びその方法を用いて得られる金属被覆炭素繊維強化プラスチックに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックに繊維等のフィラーを混在させて成型した繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics:以下、「FRP」と称する。)は、強度や剛性が同等であれば、鉄やアルミニウム等の金属材料に比べると軽量である。また、FRPは、対応できる製品の形状に対する自由度も大きいことから、その用途が拡大している。そして、FRPの中でも、炭素繊維を用いた炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics:以下、「CFRP」と称する。)は、種々の特性要求に対して、繊維の配向方向や層厚さ等の積層構成で対応することが出来るものである。この炭素繊維には、ポリアクリルニトリル繊維を原料とするPAN系炭素繊維と、石油ピッチやタール等を原料とするPITCH系炭素繊維がある。しかし、CFRPは炭素繊維、特に機械強度に優れたPAN系炭素繊維が高価であるため、需要の拡大が遅れている。即ち、CFRPの用途は、コスト吸収力のある、釣り竿、ゴルフクラブや自転車等のスポーツ用品、そしてレーシングカーや航空機等に限定されていた。
【0003】
ところで、自動車の分野では、地球温暖化防止対策として、燃料消費効率の向上が課題となっている。そして、その1つの手段として、車体の軽量化が計画されている。また、工作機械の分野でも、加工効率の向上等を目的として、装置の大型化と高機能化を目指している。そして、今後とも同様の傾向が続くことは明らかである。
【0004】
しかし、上記動向に於いて、自動車用途では、車体の軽量化による機械強度の低下が許容されることは無い。また、工作機械を大型化すると、加工精度を良好に維持するためには、工作機械を安定した基礎の上に設置する必要がある。即ち、大型の工作機械を設置するためには、該機械の質量に応じて設置場所の耐荷重を大きくする必要がある。しかし、耐荷重を大きくするために基礎工事で大量のコンクリートパイルを埋設すると、投資金額が増大してしまう。そこで、大型の工作機械の構造材にも、自動車用途と同様に、軽量化と機械強度維持との両立が要求される。そして、自動車の車体と工作機械の構造材のどちらにも、機械強度の経時変化が許容されることはない。
【0005】
上記、軽量化と機械強度維持との両立を課題としている分野では、CFRPの特性が注目を浴びている。最近のCFRPには、鉄やプラスチックに匹敵する設計ノウハウの蓄積があり、量産性にも問題が無くなっている。構造材料にCFRPを用いると、金属を用いた場合と同等の機械強度を備えながら、質量は2/3以下になる。しかし、CFRPは、炭素繊維を重ねたり巻き付けたりした後で樹脂モールドするレジン・トランスファー・モールディング方式、炭素繊維に樹脂を含浸させたプリプレグを重ね巻きして加熱硬化させる方式、そしてプリプレグを用いてホットプレスする方式等で製品の形状を整えるため、出来上がった製品の寸法精度や表面状態は、金属加工品よりも劣っている。
【0006】
そこで特許文献1には、CFRPの表面硬度、耐磨耗性等の機械的強度を補強することを目的として、CFRPの脱脂処理を十分に行い、導電性をチェックして導電性が不十分な場合には導電性処理を行い、CFRPと密着性が良く、比較的硬度が低く、CFRP−クロムメッキ間でクッションになり、熱膨張係数がCFRPに近いものとして鉄メッキを施し、更に上層メッキとしてクロムメッキ或いはニッケルメッキの上にクロムメッキを施し、表面研磨する方法が開示されている。
【0007】
この特許文献1に開示の実施例では、CFRP素管を用い、界面活性剤溶液による洗浄、水洗を行い、最後に温水洗をし、導電性が確認されたCFRP素管にメッキ厚さ0.3〜1.0mmの電気鉄メッキを行い、更にその上層へ電気クロムメッキを施してその表面を研磨している。そして、このCFRP−金属(鉄)間の密着はサーマルテストや剥離テストでは異常なく、十分実用に耐え、従来のCFRPに銅メッキしたものに比べ遙に優れたものであり、CFRPの表面硬度、耐磨耗性を向上させたもので、CFRP単独で設備材料として使用可能であることが開示されている。
【0008】
そして、特許文献1には、CFRP上への金属めっき素材として鉄を選択した理由の1つとして、ニッケルめっきは、めっき当初はCFRPとの密着性が良好であるが、めっき皮膜が硬いため、冷熱サイクルを加えると、めっき皮膜の剥離が起こりやすいことが開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、CFRPパイプ製の車輪側チューブを備えた二輪車等のフロントフォークにおいて、車輪側チューブの一層の軽量化を図り、且つ、車輪側チューブと車軸ブラケット又はロッドガイドとの結合強度の強化を図ることを目的として、車体側チューブと車輪側チューブを摺動自在に嵌合した二輪車等のフロントフォークにおいて、前記車輪側チューブがCFRPパイプ製の本体部を有してなり、該本体部の基端部の外周に、金属製の車軸ブラケットを接着剤を介して嵌着し、該車軸ブラケットと本体部を径方向に貫通する貫通孔を形成し、該貫通孔内にピンを挿入し、該車軸ブラケットと本体部を軸方向及び径方向に結合したものが開示されている。
【0010】
この特許文献2に開示の実施例によれば、アウタチューブの本体部は、CFRP材のプリプレッグシートを芯型上に巻き回して形成した内径が同一のパイプを定寸に切断して用いている。本体部は、CFRPパイプの内周をホーニング等により機械研磨して平滑にした後、無電解ニッケルめっき(約10μm)を施し、外周については下ブラケットに支持される部分が軸方向で大外径となるような山形状(中心軸を含む縦断面の外形輪郭)に切削加工した後、外径仕上げクロスを巻き回し加工し、加熱処理して固めている。即ち、CFRP表面を切削加工したために炭素繊維が露出した部分には、薄手のプリプレッグを重ね張りして炭素繊維の脱落を防止している。
【0011】
即ち、CFRPに切削加工等を施し、加工によって露出した炭素繊維の破壊や飛散を防止する技術としては、樹脂を用いて被覆する方法が一般的であった。
【0012】
【特許文献1】特開平7−207460号公報
【特許文献2】特開2005−265129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述の特許文献1では、CFRPをロールとして用いる場合、硬度が低く、熱膨張率がCFRPに近い鉄の皮膜を電気めっき法を用いて形成することで、冷熱サイクルによる剥離の発生を防止しつつ、CFRPの機械強度を補強している。しかし、特許文献1で形成している金属皮膜は、機械強度の向上と耐摩耗性の向上を目的として形成しており、最終的に得られる製品の寸法精度は、原型であるCFRPの成形精度如何で決まってしまう。また、特許文献1に開示の技術は、電気めっき法を用いる故に、ロールのような単純な形状の製品には適用できるが、金属材料をプレス加工したり、切削加工した製品の形状や、金属製品と同レベルの寸法精度を要求される用途には対応できない技術である。
【0014】
また、特許文献2に開示の技術は、外形加工を施したCFRPを構造材料として用い、必要部分に最適サイズに切断したプリプレグを貼り付け、加熱硬化させて仕上げている。しかし、この方法では仕上げ用のプリプレグであっても補強材を備えるため、その厚みが影響して仕上げ可能な寸法精度には限界がある。そして、更に加工精度を上げるためには、当該仕上げ部分を研磨し、表面に樹脂を塗布してから再仕上げを施すことになる。従って、特許文献2に開示の方法は、寸法精度を良好に仕上げるために必要な工程数は多く、人手に頼る部分も多いため、コストダウンが困難な方法である。
【0015】
従って、鋼板をプレス加工したり、金属を切削加工して得られる複雑な形状を備える構造材とほぼ同等の寸法精度と良好な表面状態とを備えるCFRPに対する要求は潜在的にあった。即ち、プレス鋼板等の代替品として使用可能なCFRPと、それをプレス鋼板等と同等の製造コストで得るための加工方法が要求されていた。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そこで、鋭意研究の結果本件発明者等は、CFRPに外形加工を施す等をして炭素繊維が露出したCFRPの表面に金属皮膜を形成して炭素繊維の脱落を防止すれば、上記課題を解決できることに想到したのである。
【0017】
上記課題を解決するための手段について以下述べる。
【0018】
本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法: 本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法は、炭素繊維の露出部を有するCFRP表面に金属皮膜を形成することで炭素繊維の脱落を防止することを特徴としている。
【0019】
本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法においては、前記金属皮膜は、以下の工程A及び工程Bを経て形成するものであることも好ましい。
【0020】
工程A: CFRPを表面処理し、CFRPの表面を粗化する粗化処理工程。
工程B: 工程Aで得られたCFRPの表面に無電解めっき法を用いて金属皮膜を形成する無電解めっき工程。
【0021】
本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法においては、前記工程Aの表面処理は、物理的表面処理及び化学的表面処理のいずれか一方又は双方を用いるものであることも好ましい。
【0022】
本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法においては、前記工程Bは、金属皮膜として厚さが1μm〜500μmのニッケル皮膜を形成するものであることも好ましい。
【0023】
本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法においては、工程Cとして、前記工程Bで形成された金属皮膜表面に、電気めっき法により電気めっき金属皮膜を形成する工程を付加したことも好ましい。
【0024】
本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法においては、前記工程Cは、電気めっき金属皮膜として厚さが4μm〜500μmのニッケル皮膜を形成するものであることも好ましい。
【0025】
本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法においては、工程Dとして、前記工程C及び/又は工程Bで形成された金属皮膜を機械加工する工程を付加したことも好ましい。
【0026】
本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法においては、前記工程Dは、前記機械加工として切削加工又は研磨加工のいずれか一方又は双方を用いるものであることも好ましい。
【0027】
本件発明に係る金属被覆CFRP: 本件発明に係る金属被覆CFRPは、前記CFRPからの炭素繊維脱落防止方法を用いて得られる金属被覆CFRPである。
【発明の効果】
【0028】
本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法では、部分的に炭素繊維が露出したCFRPの、露出した炭素繊維表面にも金属皮膜を形成することにより炭素繊維の脱落を防止する。従って、寸法調整のために外形加工を施したCFRPであっても、炭素繊維の脱落が無くなり、炭素繊維は飛散しない。そして、外形加工したCFRPに厚い金属皮膜を形成し、この金属皮膜に更に機械加工を施せば、寸法精度は更に向上する。即ち、軽量でありながら、金属の加工品と同等の強度と寸法精度と外観とを備えたCFRPを得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法: 本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法においては、炭素繊維の露出部を有するCFRPの表面に金属皮膜を形成することで炭素繊維の脱落を防止する。PAN系炭素繊維の断面の一例を図1に示す。図1に示すように、炭素繊維は、マイクロポアを備えており、比表面積が大きい。そして、炭素繊維を用いたCFRPでは、マトリックス樹脂は、炭素繊維を包み込むように形成されている。即ち、マトリックス樹脂は、炭素繊維のマイクロポアの内部にまでは浸透していない。それ故に、CFRPに外形加工を施すと炭素繊維が露出し、当該露出した炭素繊維から炭素繊維の破片が脱落する現象が発生する。外形加工前のCFRP表層部の模式断面を、図2(a)に示す。このように、炭素繊維2は、その外側をマトリックス樹脂3でモールドされている。これをCFRPの加工予定面4に沿って外形加工すると、図2(b)に示す模式断面のように、CFRPの加工端面5に炭素繊維2が露出する。
【0030】
図2(b)に示す露出した炭素繊維から、微細な炭素繊維屑の脱落を確実に防止するためには、脱落防止機能を発揮する物質が、炭素繊維の破断面を覆っていなければならない。そして、マイクロポアの内部までが充填された状態がより好ましい。このような目的に樹脂を用いても、樹脂ワニスの粘度が大きいため、マイクロポア内部までには浸透できない。その結果、炭素繊維との接着力が得られず、炭素繊維の破断面に樹脂の蓋をした状態にしかならない。樹脂を用いて炭素繊維の脱落防止を施した場合の模式断面を図3(c)に示す。図3(c)では、CFRPの加工端面5は、被覆樹脂6の接着面とほぼ一致する。
【0031】
しかし、後述する無電解めっき法により金属皮膜を形成すれば、無電解めっき液は炭素繊維との濡れ性も良好で、前記マイクロポア内部にも浸透してゆく。従って、露出した炭素繊維のCFRP表面付近のマイクロポア内部にも金属皮膜が形成され、更に、時間の経過に従ってマイクロポアが金属で充填されてゆく。その結果、炭素繊維の露出面に金属皮膜を形成した場合には、炭素繊維内部が金属で固着した状態となり、炭素繊維の脱落が防止できる。そして、金属皮膜を厚くして機械加工を施しても、炭素繊維が脱落しない。金属皮膜を形成して炭素繊維の脱落防止を施した場合の模式断面を図3(d)に示す。図3(d)に示すように、金属皮膜7は、CFRPの加工端面5よりも内部の炭素繊維2にまで浸透した状態で形成される。
【0032】
そして、本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法においては、前記金属皮膜は、以下の工程A及び工程Bを経て形成する。
【0033】
工程Aは、炭素繊維の露出部を有するCFRPを表面処理し、CFRPの表面を粗化する粗化処理工程である。CFRPは、熱硬化性樹脂ワニスと炭素繊維とを目的とする形状に整え、当該樹脂を熱硬化して得ることが多い。即ち、CFRPの表面は、熱硬化性樹脂が流動化した後に硬化しているため、後の実施例で用いたCFRPの表面を示す図5のように、ミクロ的には滑らかな表面になっている。そして、このような滑らかな表面に金属皮膜を形成しても、金属皮膜とCFRPとの間には、良好な密着性が得られない。従って、特許文献1に記載があるように、冷熱サイクルによる剥離が発生する。そこで、CFRP表面を粗化処理して凹凸形状を形成し、アンカー効果により密着性を改善する。しかし、粗化処理によりCFRPの表面に形成される凹凸形状は、用いる表面処理手法により異なる。従って、目的に応じて、表面処理手法を選択したり、組み合わせて用いることが好ましい。
【0034】
そのため、前記工程Aの表面処理は、物理的表面処理及び化学的表面処理から選択されるいずれか一方又は双方を用いる。即ち、物理的表面処理又は化学的表面処理の一方又は双方を組み合わせて用いてCFRPの表面を粗化し、アンカー効果を発揮させて金属皮膜とCFRPとの密着性を改善する。尚、ここで言っている物理的表面処理とはスパッタリングエッチング等を含み、化学的表面処理とは紫外線照射処理による表面改質等を含んでいる。そして、ブラスト処理等の物理的表面処理手法のみを用いて粗化処理しても、めっき皮膜とCFRPとの安定した密着性が得られない場合には、化学的表面処理手法を併用すれば良好な密着性が得られることがある。上記のように、粗化処理の手法は、費用対効果を考えて処理方法の組み合わせを選択すれば良い。
【0035】
そして、前記物理的表面処理にはブラスト処理を用いることが出来る。このブラスト処理は、流体を用いて研磨剤を流動化させ、被加工面に衝突させて処理する手法であり、ドライブラスト処理とウェットブラスト処理とがある。そして、ドライブラスト処理では、ウェットブラスト処理に比べて被加工面に与える加工応力が大きいのが通常である。従って、CFRPの表面処理にドライブラスト処理を用いた場合には、CFRP表面に衝突した研磨剤が、衝突部近傍に存在する炭素繊維を破壊してしまうことがある。炭素繊維が破壊されれば、CFRPの機械強度が低下し、炭素繊維の脱落に伴う粉塵の発生が多くなるため好ましくない。ドライブラスト処理を用いる場合には、#100〜#1000程度の切削用の砂を0.03Pa〜0.50Pa程度の圧力で噴出させれば、炭素繊維の破壊を抑制した状態で、CFRP表面を粗化することが出来る。
【0036】
しかし、炭素繊維の破壊を回避する必要がある場合には、ウェットブラスト処理を採用することが好ましい。ウェットブラスト処理であれば、研磨剤を水等の溶媒に分散させて用いるため、被処理面に与えるダメージは、ドライブラスト処理に比べて小さくなる。従って、前記物理的表面処理といっても一概に適正な条件を設定することは困難であり、実験を行なった上で目的とする表面状態に適合した研磨メディアの選択とブラスト条件の設定をする必要がある。
【0037】
また、化学的表面処理には過マンガン酸を用いたエッチング処理を用いることが出来る。このエッチング処理では、CFRPのマトリックス樹脂を、過マンガン酸を含むアルカリの高濃度溶液を高温にして用いて溶解する(以下、「過マンガン酸処理」と称する)。CFRPを過マンガン酸処理すると、プラスチックの溶けやすさに応じて溶解が進行するため、粗化表面が得られる。
【0038】
例えば、過マンガン酸処理として、以下に示す工程を用いることができる。まず、NaOH濃度30g/L〜70g/Lとした液を用い、液温を60℃〜80℃として10分間〜60分間CFRPを浸漬して脱脂処理を施す。その後、奥野製薬工業(株)製OPC−1400ニュートライザー等を用い、液温を80℃程度として5分間〜20分間膨潤処理を施す。膨潤処理したCFRPは、奥野製薬工業(株)製OPC−1540MNとOPC−1200エポエッチを混合して調製した溶液等を用い、液温60℃〜80℃で10分間〜120分間処理し、表面を粗化する。粗化処理したCFRPは、液温を40℃〜80℃とした奥野製薬工業(株)製OPC−1080コンディショナー等を用いた溶液に5分間〜30分間浸漬して中和し、水洗する。
【0039】
また、化学的表面処理手法として紫外線照射処理を施せば、めっき皮膜とCFRPとの密着性は更に優れたものになる。化学的表面処理としての紫外線照射処理では、紫外線が、紫外線を吸収したプラスチックの、分子結合のみを破壊する性質を利用している。即ち、前記ブラスト処理や前記過マンガン酸処理を施すことで得られた、比較的大きな凹凸を備えるCFRPの粗化表面は、紫外線を照射することにより、小さな、サブミクロンオーダーの凹凸も備える表面になる。金属皮膜を、このサブミクロンオーダーの凹凸を備えるCFRP表面に形成すると、金属皮膜は当該微細な凹凸に埋没したアンカーを備えることになる。そして、この微細なアンカーはプラスチックから抜け難いため、金属皮膜とCFRPとの密着性は、更に良好なものとなるのである。
【0040】
紫外線照射処理では、主波長180nm〜400nmの紫外線を用い、CFRP被めっき物表面における紫外線強度は1mw/cm〜500mw/cmで、0.5分間以上照射すれば改質することが出来る。ここで選択する紫外線の波長は、処理対象とするプラスチックの吸収率が大きい波長範囲から選択することが好ましい。
【0041】
本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法においては、工程Bは、工程Aで得られたCFRP被めっき物表面に、無電解めっき法を用いて金属皮膜を形成する無電解めっき工程である。本件発明では、工程Aで得られたCFRP被めっき物の表面には、粗化されたプラスチック表面と炭素繊維が露出した部分とがあり、露出した炭素繊維表面を覆うように金属皮膜を形成する。この露出した炭素繊維とプラスチック表面とを金属皮膜で被覆するためには、無電解めっき法を用いることが好ましい。無電解めっき法を用いれば、無電解めっき液がマイクロポアを備える炭素繊維の内部まで浸透する。その結果、炭素繊維の内部にも金属皮膜が形成され、炭素繊維の脱落が無くなる。しかも、炭素繊維の内部を充填するように金属皮膜が成長する。従って、金属皮膜を備えるCFRPの金属皮膜に機械加工を施しても、炭素繊維が脱落することが無くなる。
【0042】
また、本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法においては、前記工程Bは、金属皮膜として厚さが1μm〜500μmのニッケル皮膜を形成するものであることも好ましい。ニッケルは、耐食性が良好な金属であり、装飾用から電子回路まで広汎な用途に対応できる金属である。そのため、めっき方法も多岐に亘り開発されている。従って、無電解ニッケルめっきを選択すると、厚膜を形成する用途においても、安定しためっき操作が可能である。
【0043】
ここで、本件発明で言っているニッケル皮膜の厚さとは、粗化処理などにより増大した比表面積を無視し、CFRPの表面を平滑面と見なしたときの厚さであることを断っておく。前述のように、CFRPの被めっき面は、プラスチック部分は粗化されており、炭素繊維が露出した部分の比表面積は大きい。この様な、ミクロ的に見れば広い表面であっても、1μm厚さのニッケル皮膜が形成されていれば、炭素繊維の脱落が防止できる。そして、4μm厚さのニッケルめっき皮膜が形成されると、被めっき面全体には同レベルの導電性が付与されることになり、電気めっきを施すことが容易になる。しかし、工程Bで形成するニッケル皮膜厚さは、最終的に得るめっき皮膜の形状や、後工程の設計によって決めれば良い。
【0044】
そして、500μmの厚さを超えて無電解ニッケルめっきを施すには長時間を要する。また、消費する無電解めっき液量も多くなってコストがかさみ、工業的な生産性を維持できなくなる。従って、500μmを超える、過大な厚さとすることは好ましくない。また、CFRPには一旦外形加工を施してあるため、500μm厚さのニッケル皮膜を備えていれば、機械加工を施すことにより、寸法精度を容易に微調整出来る。
【0045】
工程Bで無電解ニッケルめっきを施すには、市販の無電解ニッケルめっき液を用いた公知の方法が採用できる。しかし、ニッケルめっき皮膜とCFRPとの密着性を安定させるためには、内部応力(引張り応力)が小さいニッケルめっき皮膜が得られるめっき方法を選択することが好ましい。例えば、以下の工程を用いて無電解ニッケル皮膜を得ることが出来る。CFRPを水洗後、定法でアルカリ脱脂処理する。そしてこのCFRPに、SnCl濃度を0.01g/L〜0.50g/Lとした塩化第一錫水溶液と、PdCl濃度を0.01g/L〜0.50g/Lとした塩化パラジウム水溶液とに交互に浸漬処理する、感受性・活性化法で触媒付与処理を施す。その後、無電解ニッケルめっき液として日本カニゼン製SK−100等を用い、液温を40℃〜90℃として、触媒が付与されたCFRPを、所定のメッキ厚さが得られるまでの時間浸漬する。
【0046】
また、本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法においては、工程Cとして、前記工程Bで形成された金属皮膜表面に、電気めっき法により電気めっき金属皮膜を形成する工程を付加したことも好ましい。前述のように、無電解めっき法のみを用いて厚い金属層を形成することは、工業的な生産性の面で不利である。また、異種金属を組み合わせた複合金属層を形成することもある。複合金属層を形成するのであれば、無電解めっき法を用いて第1の金属皮膜を形成してCFRP表面の導電性を均一にし、電気めっき法を用いて第2の電気めっき金属皮膜を形成することが、生産性の面からは好ましい。そして、工程Cにおいても、下地である無電解めっき皮膜との密着性を良好にするためには、内部応力(引張り応力)が小さいめっき皮膜が得られるめっき方法を選択することがより好ましい。
【0047】
更に、本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法においては、前記工程Cは、電気めっき金属皮膜として厚さが4μm〜500μmのニッケル皮膜を形成するものであることも好ましい。電気ニッケルめっき法は、無電解ニッケルめっきと同様、装飾用から電子回路まで広汎な用途に対応しているため、めっき方法も多岐に亘り開発されている。そして、用いるめっき液の組成や電流密度の選択により、その表面状態を、黒色から光沢までの広い範囲に作り込むことが出来る。
【0048】
また、炭素繊維表面へ金属皮膜を形成するには、工程Bでは、つき廻り性の良好な無電解ニッケルめっきを施すことが好ましい。従って、工程Cにおいても電気めっき金属皮膜としてニッケル皮膜を形成すれば、金属皮膜間の密着性も良好になる。ここで形成する電気めっきニッケル皮膜の厚さについては、ニッケル皮膜の外観調整を行うのであれば、4μmの厚さで十分である。一方、電気めっきニッケル皮膜の厚さが500μmあれば、寸法調整を目的とした機械加工を施すことが出来る。
【0049】
工程Cで電気ニッケルめっきを施すには、無電解めっきの場合と同様、市販の電気ニッケルめっき液を用いることが出来る。しかし、ワット浴やスルファミン酸浴等を、自身で調製して用いることも可能である。例えば、ワット浴を用いるのであれば、硫酸ニッケル7水塩300gと塩化ニッケル7水塩50gをイオン交換水に溶解し、ホウ酸等を用いてpHを4.5程度に調整する。そして、このめっき液を用い、液温を55℃として陰極電流密度3A/dmで電解すると、ニッケルの電気めっき皮膜を得ることが出来る。
【0050】
更に、本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法においては、工程Dとして、前記工程C及び/又は工程Bで形成された金属皮膜を機械加工する工程を付加したことも好ましい。CFRPの成形後に外形加工が施され、露出した炭素繊維が金属で被覆されているCFRPの寸法精度を向上させるには、加工精度が良好な、機械加工を施すことが好ましい。機械加工で寸法調整すれば、寸法精度の作り込みが出来る。また、表面仕上げを施す場合でも、各種金属素材に対する加工経験が豊富であり、目的に対して最適な手法を選択すれば、金属皮膜の表面を、狙いの状態に仕上げることが出来る。そして、本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法を用いた金属被覆CFRPであれば、CFRPを被覆している金属皮膜に機械加工を施しても、炭素繊維の脱落が起こることは無い。
【0051】
前記工程Dは、前記機械加工として切削加工又は研磨加工のいずれか一方又は双方を用いるものであることも好ましい。形状や寸法精度の調整を行うのであれば、旋盤加工や、フライス盤加工等の切削加工を用いることが好ましい。
【0052】
また、金属皮膜の表面を光沢面に加工する場合には、主に研磨加工を施す。光沢面を得ることを目的とすれば、金属皮膜として光沢ニッケル皮膜を形成しておくことが好ましい。しかし、電子回路分野における光沢ニッケルめっきは、金めっきの下地めっきとして施すことが多く、ニッケルめっき皮膜の表面状態は、あえて鏡面にはしていない。しかし、この光沢ニッケル面は、バフを用いて研磨加工を施したり、狭い範囲に対してはウェットブラスト処理を用いて研磨加工を施すことにより、鏡面に近い光沢面に仕上げることが出来る。
【0053】
本件発明に係る金属被覆CFRP: 本件発明に係る金属被覆CFRPは、前記CFRPからの炭素繊維脱落防止方法を用いて得られる金属被覆CFRPである。前述のように、金属皮膜を形成する前のCFRPには、一旦外形加工を施している。従って、通常の製造方法から得られるCFRPに比べると、寸法精度は良好である。この良好な寸法精度を備えるCFRPに、炭素繊維の脱落防止を目的として金属皮膜を形成すれば、寸法精度に優れた金属被覆CFRPが得られる。そして、金属としてニッケルを選択すれば、耐食性にも優れたものとなる。また、前記金属被覆層に更に外形加工を施した金属被覆CFRPは、金属を加工して得られる構造体とほぼ同等の寸法精度を備える金属被覆CFRPである。
【0054】
また、研磨加工を施した金属被覆CFRPであれば、例えば、従来は軽合金等を使用していた液晶表示部のバックパネルに用いることが出来る。例えば、まず液晶のバックパネルを、反射鏡と一体化した形状にCFRPを成型して機械加工を施す。そして、形状を整えた該バックパネルの反射鏡部分に、例えばニッケルめっきを施して研磨し、鏡面仕上げした金属被覆CFRPとするのである。この金属被覆CFRPを用いて製作されたバックライトの反射鏡は、加工工程数が少なくて低コストでありながら軽量で、且つ、十分な実用性を備えるものとなる。そして、鏡面仕上げを施した前記ニッケルめっきの上に更にクロムめっきを施した金属被覆CFRPは、鏡面の反射率と耐久性が更に向上する。このような反射鏡は、軽量であるため大型化が可能であり、産業用設備の照明装置の反射鏡として用いることが出来る。
【実施例1】
【0055】
実施例1では、PAN系炭素繊維を用いたCFRP板を、被めっき材として用いた。この被めっき材に、粗化処理として過マンガン酸処理を120分間施し、その後60μm厚さの無電解ニッケルめっきを施した。試験条件を、実施例2、実施例3及び比較例の条件と合わせて、後の表1に示す。
【0056】
過マンガン酸処理は、イオン交換水に奥野製薬工業(株)製OPC−1540MNを100g/L、OPC−1200エポエッチを100g/Lとなるよう加えて調製した過マンガン酸処理液を用い、図2に示す工程で処理した。過マンガン酸処理前の被めっき材表面を図5に、120分間の過マンガン酸処理後の被めっき材表面を図6に示す。
【0057】
前記で得られた被めっき材に、図7に示す工程で無電解ニッケルめっきを施した。得られたニッケル皮膜は、試験材CFRPの固定治具部分に僅かにフクレが観察されたため、膨れ評価は△とした。そして、このニッケル皮膜とCFRPとの密着強度を評価したところ、8.2kgf/cmであった。上記評価結果を、実施例2及び比較例の結果と併せて、後の表2に示す。
【実施例2】
【0058】
実施例2では、過マンガン酸処理を60分間とした以外は実施例1と同じ条件で無電解ニッケルめっきを施した。試験条件を、実施例1、実施例3及び比較例の条件と合わせて、後の表1に示す。
【0059】
得られたニッケル皮膜には膨れが観察されず、評価は○とした。そして、このニッケル皮膜とCFRPとの密着強度は、9.1kgf/cmであった。上記評価結果を、実施例1及び比較例の結果と併せて、後の表2に示す。また、ここで得られたニッケルめっきCFRPの外観写真を図8に、ニッケル皮膜剥離試験後のCFRPの表面の外観写真を図9に示す。
【実施例3】
【0060】
実施例3では、端面を切削加工したCFRPに実施例2と同様の粗化処理と無電解ニッケルめっきとを施し、露出した炭素繊維の被覆状態を観察した。CFRPを炭素繊維織布に対して直角に切削加工した部分の表面状態を図10に示す。そして、前記炭素繊維の露出部分に無電解ニッケルめっきを施した部分の断面を図11に示す。図11に見られるように、炭素繊維の周囲及び破断面にニッケルめっきが施されている。また、CFRPの外形加工表面近傍のニッケルめっき状態を示す断面の拡大写真を図12に示す。図12左上に観察されている炭素繊維の断面は、図1の示す炭素繊維の断面形状とは明らかに異なっており、炭素繊維の内部表面の全面にニッケルめっき皮膜が形成されている。この状態であれば、炭素繊維の脱落は起こらない。
【比較例】
【0061】
比較例では、実施例で用いたと同様の被めっき材に、粗化処理を施さないまま、実施例と同様の工程を用いて、60μm厚さの無電解ニッケルめっきを施した。試験条件を実施例1、実施例2及び実施例3の試験条件と併せて、以下の表1に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
比較例では、得られたニッケルめっき被膜に密着不良が観察されたため、膨れの評価は×とした。従って、ニッケルめっき皮膜のCFRPへの密着強度は、測定しなかった。上記評価結果を、実施例1及び実施例2の結果と併せて、以下の表2に示す。また、上記にてニッケルめっきを施したCFRPの外観写真を、図13に示す。
【0064】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0065】
外形加工を施す等して部分的に炭素繊維が露出したCFRPに、本件発明に係るCFRPからの炭素繊維の脱落防止方法を用いて金属皮膜を形成すると、炭素繊維の脱落が無くなる。また、厚い金属皮膜を形成し、この金属皮膜に切削加工等を施せば、加工品の寸法精度は更に向上する。即ち、軽量でありながら、金属の加工品と同等の強度と寸法精度と外観とを備えるCFRPを得ることが出来る。また、反射鏡等所定の形状に成型して外形加工等を施した後、ニッケルめっき皮膜を形成して露出した炭素繊維の脱落を防止し、めっき表面を機械加工して鏡面に仕上げれば、液晶表示装置のバックパネル等、光の反射を制御する用途に使用できる。更に、露光装置の光源等に用いる大型の反射鏡とすれば、軽量故に操作性が良好であり、繰り返しの移動操作を行う場合には、移動速度を速くしても位置合わせ精度に優れたものとなる。また、全面に金属皮膜を備えるCFRPは、屋外で使用してもマトリックス樹脂が直接紫外線の照射を受けることが無く、マトリックス樹脂の劣化が抑制される。従って、屋外でも長期間の使用に耐えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】PAN系炭素繊維の断面写真である。
【図2】CFRPにおける炭素繊維の状態を示す模式断面模式図である。
【図3】露出した炭素繊維の被覆状態を示す断面模式図である。
【図4】過マンガン酸処理工程を示す図である。
【図5】無処理のCFRP被めっき材の表面状態を示すSEM写真である。
【図6】過マンガン酸処理後のCFRP被めっき材の表面状態を示すSEM写真である。
【図7】無電解ニッケルめっき工程を示す図である。
【図8】ニッケル被覆CFRPの外観を示す写真である。
【図9】ニッケル被覆CFRPのニッケル皮膜剥離試験後の外観を示す写真である。
【図10】切削加工したCFRPの炭素繊維の露出状態を示す写真である。
【図11】炭素繊維の露出部分に施した無電解ニッケルめっき皮膜の形成状態を示す断面写真である。
【図12】炭素繊維の露出部分に施した無電解ニッケルめっき皮膜の形成状態を示す断面写真である。
【図13】比較例で得られたニッケル被覆CFRPの外観を示す写真である。
【符号の説明】
【0067】
1 CFRP
2 炭素繊維
3 マトリックス樹脂
4 CFRPの加工予定面
5 CFRPの加工端面
6 樹脂皮膜
7 金属皮膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素繊維の露出部を有する炭素繊維強化プラスチックから炭素繊維の脱落を防止する方法において、
当該炭素繊維強化プラスチック表面に金属皮膜を形成することで炭素繊維の脱落を防止することを特徴とする炭素繊維強化プラスチックからの炭素繊維の脱落防止方法。
【請求項2】
前記金属皮膜は、以下の工程A及び工程Bを経て形成するものである請求項1に記載の炭素繊維強化プラスチックからの炭素繊維の脱落防止方法。
工程A: 炭素繊維強化プラスチックを表面処理し、炭素繊維強化プラスチックの表面を粗化する粗化処理工程。
工程B: 工程Aで得られた炭素繊維強化プラスチックの表面に無電解めっき法を用いて金属皮膜を形成する無電解めっき工程。
【請求項3】
前記工程Aの表面処理は、物理的表面処理及び化学的表面処理のいずれか一方又は双方を用いるものである請求項1又は請求項2に記載の炭素繊維強化プラスチックからの炭素繊維の脱落防止方法。
【請求項4】
前記工程Bは、金属皮膜として厚さが1μm〜500μmのニッケル皮膜を形成するものである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の炭素繊維強化プラスチックからの炭素繊維の脱落防止方法。
【請求項5】
工程Cとして、前記工程Bで形成された金属皮膜表面に電気めっき法により電気めっき金属皮膜を形成する工程を付加した請求項1〜請求項4のいずれかに記載の炭素繊維強化プラスチックからの炭素繊維の脱落防止方法。
【請求項6】
前記工程Cは、電気めっき金属皮膜として厚さが4μm〜500μmのニッケル皮膜を形成するものである請求項5に記載の炭素繊維強化プラスチックからの炭素繊維の脱落防止方法。
【請求項7】
工程Dとして、前記工程C及び/又は工程Bで形成された金属皮膜を機械加工する工程を付加した請求項1〜請求項6のいずれかに記載の炭素繊維強化プラスチックからの炭素繊維の脱落防止方法。
【請求項8】
前記工程Dは、前記機械加工として切削加工又は研磨加工のいずれか一方又は双方を用いるものである請求項7に記載の炭素繊維強化プラスチックからの炭素繊維の脱落防止方法。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載の炭素繊維強化プラスチックからの炭素繊維脱落防止方法を用いて得られる金属被覆炭素繊維強化プラスチック。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−52091(P2009−52091A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220260(P2007−220260)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(591046722)株式会社ブラザー (3)
【出願人】(507288693)
【Fターム(参考)】