説明

点検器具

【課題】建造物に接近する手段を要せず、建造物に書き込みができる点検器具を提供する。
【解決手段】点検器具1は、黒板本体2と、黒板本体2に一方の端部がジグ6によって着脱可能に取付けられると共に、第1の棒体3Aと第2の棒体3Bによって伸縮可能に構成された棒体3と、棒体3の他方の端部にチョークホルダー4Aによって取付けられるチョーク4と、一端が黒板本体2に取付けられると共に他端がカラビナ状軽量金具9によって着脱可能に第1の棒体3Aに取付けられるロック式落下防止ロープ8とを備える。黒板本体2の第1の辺および第1の辺と略直角に交わる第2の辺に目盛り10が設けられ、第1の棒体3Aにも目盛り10が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は点検器具に関する。詳しくは、工事現場において、工事名等が記載されて現場写真に写しこまれる点検器具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物、橋梁、道路などの各種建造物を点検及び調査する際に、現況や損傷状況またはその際の作業状況を記録して審査確認の資料とするため、工事現場を写真撮影することが行なわれている。具体的には、工事名、撮影箇所、その他特記事項を明示した工事用黒板を各種建造物と共に写真撮影する。
この写真撮影は、役所など管轄官庁の各種審査用資料を得るためにも行われており、作業の各工程で頻繁に行なわれ、比較的小規模な工事では数百回、大規模な工事では数千回以上もの写真撮影が行なわれている。
【0003】
例えば、特許文献1には、図3に示すような工事用黒板が記載されている。即ち、特許文献1には、縦方向を測定するメジャー102と、横方向を測定するメジャー103と、寸法表示をするためのカーソル(104、105)と、黒板を測定対象物106に支持固定するための伸縮自在の支持棒107とを備える工事用黒板101が記載されている。
特許文献1の工事用黒板は、メジャー自体が黒板に装着されているため、メジャーを保持固定するための補助者を要せず、撮影者が一人で測定対象物の寸法表示の保持固定ができ、かつ写真撮影ができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3113327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、建造物を点検する際、建造物の部材に色々な情報を書き込むが、例えば損傷箇所の範囲やその大きさなどを書き込む場合に、特許文献1の工事用黒板では、建造物の部材に書き込みができる距離まで接近しなければ、書き込み作業は困難である。また、接近するための手段として梯子や高所作業車などが必要であり、また、接近する用具を設置したり、その用具を持ち運びするために専用の車両などが必要だったりして、経費が高くなってしまっていた。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、建造物に接近する手段を要せず、建造物に書き込みができる点検器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の点検器具は、黒板本体と、該黒板本体に一方の端部が取付けられると共に伸縮可能に構成された棒体と、該棒体の他方の端部に取付けられる筆記具とを備える。
【0008】
ここで、伸縮可能な棒体の端部に取付けられる筆記具によって、遠方から筆記具を建造物に接近させて建造物に書き込むことや、建造物に接近できないときや足場が必要なときも容易に棒体を伸ばして建造物に書き込むことができる。
【0009】
また、本発明の点検器具は、一端が黒板本体に取付けられると共に他端が着脱可能に棒体に取付けられる綱体を備える場合、作業中に、黒板本体に衝撃が加わって棒体から黒板本体が外れてしまっても、綱体と棒体が連結されているので、完全に黒板本体と棒体が分離することを防ぐことができる。
【0010】
さらに、本発明の点検器具において、棒体は、黒板本体に着脱可能に取付けられる場合、黒板本体と、棒体とを分けて持ち運ぶことが出来る。
【0011】
また、本発明の点検器具において、黒板本体の第1の辺および第1の辺と略直角に交わる第2の辺に目盛りが設けられ、棒体に目盛りが設けられる場合、測定対象物の計測を簡単に行なうことができる。
【0012】
また、本発明の点検器具において、黒板本体の少なくとも表面は樹脂製である場合、例えば雨によって黒板本体の表面が濡れても、黒板本体に書き込むことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る点検器具によって、建造物に接近する手段を要せず、建造物に書き込みができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の点検器具の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の点検器具の黒板本体とジグとの結合を示す概略断面図である。
【図3】従来の工事用黒板を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明の点検器具の一例を示す概略図である。図1において、本発明の点検器具1は、橋梁名、部材名、損傷の種類、備考などが記載される黒板本体2と、黒板本体2に一方の端部がジグ6によって着脱可能に取付けられると共に、第1の棒体3Aと第2の棒体3Bによって伸縮可能に構成された棒体3と、棒体3の他方の端部にチョークホルダー4Aによって取付けられるチョーク(白墨)(筆記具の一例である。)4と、一端が黒板本体2に取付けられると共に他端がカラビナ状軽量金具9によって着脱可能に第1の棒体3Aに取付けられるロック式落下防止ロープ(綱体の一例である。)8とを備える。
【0016】
また、黒板本体2は、所定以上の衝撃(負荷)を受けると、棒体3から外れる。
また、黒板本体2の少なくとも表面は、耐候性及び可撓性を有する合成樹脂製である。
また、第1の棒体3Aの内部には空洞が形成されており、第2の棒体3Bがこの空洞内をスライドすることで棒体3が伸縮する。また、第1の棒体3Aに取付けられた回転ロック部5は、所定の位置で第2の棒体3Bを固定させる。
また、第1の棒体3Aのジグ6付近には、ロック穴7が形成されており、ロック式落下防止ロープ8のカラビナ状軽量金具9が、ロック穴7に通される。
また、黒板本体2の第1の辺および第1の辺と略直角に交わる第2の辺に目盛り10が設けられ、第1の棒体3Aにも目盛り10が設けられる。
【0017】
ここで、本発明の点検器具が、黒板本体と、黒板本体に一方の端部が取付けられると共に伸縮可能に構成された棒体と、棒体の他方の端部に取付けられる筆記具とを備えていれば、必ずしもロック式落下防止ロープを備えていなくてもよいが、ロック式落下防止ロープを備えていれば、ロック式落下防止ロープと棒体が連結されているので、黒板本体が何らかの負荷を受けて意図せずして棒体から外れても、完全に黒板本体と棒体が分離することを防ぐことができ、さらに、作業員は、棒体を黒板本体やロック式落下防止ロープから外して手に持ち、ロック式落下防止ロープのカラビナ状軽量金具を、例えば作業員の安全帯に取付ければ、点検器具を持ち運びやすいので好ましい。
【0018】
また、本発明の点検器具が、黒板本体と、黒板本体に一方の端部が取付けられると共に伸縮可能に構成された棒体と、棒体の他方の端部に取付けられる筆記具とを備えていれば、必ずしも棒体は、黒板本体に着脱可能に取付けられていなくてもよいが、棒体が、黒板本体に着脱可能に取付けられていれば、黒板本体と、棒体とを分けて持ち運ぶことができ、好ましい。
【0019】
また、本発明の点検器具が、黒板本体と、黒板本体に一方の端部が取付けられると共に伸縮可能に構成された棒体と、棒体の他方の端部に取付けられる筆記具とを備えていれば、必ずしも黒板本体の第1の辺、第1の辺と略直角に交わる第2の辺、及び棒体に目盛りが設けられていなくてもよいが、黒板本体の第1の辺、第1の辺と略直角に交わる第2の辺、及び棒体に目盛りが設けられていれば、測定対象物の計測を簡単に行なうことができるので好ましい。
【0020】
また、本発明の点検器具が、黒板本体と、黒板本体に一方の端部が取付けられると共に伸縮可能に構成された棒体と、棒体の他方の端部に取付けられる筆記具とを備えていれば、必ずしも黒板本体の少なくとも表面は、耐候性及び可撓性を有する合成樹脂製でなくてもよいが、黒板本体の少なくとも表面は、耐候性及び可撓性を有する合成樹脂製であれば、雨によって黒板本体の表面が濡れても、黒板本体に書き込むことができるので好ましい。
【0021】
図2は、本発明の点検器具の黒板本体とジグとの結合を示す概略断面図である。
負荷方向11に沿って所定以上の負荷が黒板本体2に加えられると、ジグ6を固定して押える伸縮ボルト12とナット13のうち伸縮ボルト12がバネ(図示せず。)によって伸び、黒板本体2とジグ6との間で余裕が生じ、黒板本体2が外れる。
【0022】
以上のように、本発明の点検器具は、伸縮可能な棒体の端部に取付けられるチョークを備えているので、作業員は、チョークを地面から建造物例えば高い位置にある橋梁の下面や側面に接近させて橋梁の下面や側面に書き込むことや、橋梁の下面や側面に接近できないときや足場が必要なときも容易に棒体を伸ばして橋梁の下面や側面に書き込むことができ、よって、建造物に接近する手段を要せず、建造物に書き込みができる。
【0023】
また、伸縮可能な棒体が黒板本体に取付けられているので、作業員は、梯子や高所作業車などを用いることなく、棒体を持って高い位置にある橋梁の下面や側面に黒板本体を近づけて、一人で工事現場の写真撮影を行なうことができる。これにより、一人での作業が可能となり作業時間短縮を図ることができると共に、人件費の削減や高所作業車などの準備費用を削減できる。
【0024】
また、所定以上の負荷が黒板本体2に加えられても、黒板本体2が外れるので、黒板本体2の破損を回避することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 点検器具
2 黒板本体
3 棒体
3A 第1の棒体
3B 第2の棒体
4 チョーク
4A チョークホルダー
5 回転ロック部
6 ジグ
7 ロック穴
8 ロック式落下防止ロープ
9 カラビナ状軽量金具
10 目盛り
11 負荷方向
12 伸縮ボルト
13 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒板本体と、
該黒板本体に一方の端部が取付けられると共に伸縮可能に構成された棒体と、
該棒体の他方の端部に取付けられる筆記具とを備える
点検器具。
【請求項2】
一端が前記黒板本体に取付けられると共に他端が着脱可能に前記棒体に取付けられる綱体を備える
請求項1に記載の点検器具。
【請求項3】
前記棒体は、前記黒板本体に着脱可能に取付けられる
請求項1または請求項2に記載の点検器具。
【請求項4】
前記黒板本体の第1の辺および該第1の辺と略直角に交わる第2の辺に目盛りが設けられ、
前記棒体に目盛りが設けられる
請求項1〜3のいずれか1つに記載の点検器具。
【請求項5】
前記黒板本体の少なくとも表面は樹脂製である
請求項1〜3のいずれか1つに記載の点検器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−270566(P2010−270566A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125658(P2009−125658)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(509146665)有限会社フォーテック (3)
【Fターム(参考)】