説明

点灯装置、点灯制御装置、照明装置及びプロジェクター

【課題】簡易な構成で高電圧パルスの印加タイミングを設定できる点灯装置、点灯制御装置、照明装置及びプロジェクターを提供すること。
【解決手段】直流電流を交流電流に変換する変換回路62と、高電圧パルスを生成するパルス生成回路63と、トリガー回路64とを備え、パルス生成回路63は、一次巻線6321の入力電流に応じて、二次巻線6322の入力電流を昇圧して高電圧パルスを生成し、トリガー回路64は、変換回路62の第1及び第2スイッチング素子621,622の中点と接続され、所定周波数以上の交流電流を導通させ、所定周波数未満の交流電流を遮断するハイパスフィルター641と、当該フィルター641を介した電荷を蓄積及び放出するコンデンサー6426と、コンデンサー6426からの出力電圧が閾値以上であるとコンデンサー6426の出力電流を一次巻線6321に出力する第3スイッチング素子6427,6428とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯を点灯させる点灯装置、点灯制御装置、照明装置及びプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源と、当該光源から出射される光束を変調して、画像情報に応じた画像を形成する光変調装置と、当該画像を投射する投射光学装置とを備えたプロジェクターが知られている。このような光源として、内部に一対の電極及び放電物質が封入される放電空間が形成された超高圧水銀ランプ等の放電灯が採用されることが多く、この場合には、当該放電灯の点灯を制御する点灯制御装置が採用される。このような点灯制御装置として、放電灯にランプ電力を供給して当該放電灯を点灯させる点灯装置と、当該点灯装置の駆動を制御する制御装置とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の点灯制御装置では、出力電流及び出力電力を調整する変換回路と、直流電流を交流電流に変換するインバーター回路と、イグナイター回路と、当該イグナイター回路に接続される一次巻線、及び、インバーター回路に接続される二次巻線を有するトランスと、当該各回路を複数の駆動回路を介して制御する制御回路(マイクロコンピューター)とを備える。そして、この点灯制御装置では、当該制御回路が駆動回路にシグナルを出力することで、イグナイター回路が高電圧のイグニッションパルスをトランスの一次巻線に供給する。これにより、当該トランスの二次巻線に生じた高電圧パルスが、放電灯に印加され、当該放電灯にて放電が開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5463287号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の特許文献1に記載の点灯制御装置では、制御回路及び駆動回路とイグナイター回路とが制御線で接続されているため、当該制御線に高電圧が印加される可能性があり、これにより、制御回路が損傷する場合がある。このため、制御回路に耐高電圧対策を施す必要があり、点灯制御回路の構成が複雑化するという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、簡易な構成で高電圧パルスの印加タイミングを設定できる点灯装置、点灯制御装置、照明装置及びプロジェクターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するために、本発明の点灯装置は、放電灯の電極に電力を供給して、前記放電灯を点灯させる点灯装置であって、それぞれ直流電流が入力される一対の第1スイッチング素子及び一対の第2スイッチング素子を有し、前記一対の第1スイッチング素子及び前記一対の第2スイッチング素子のうちの一方が導通状態となり他方が非導通状態となる状態変化が交互に切り替わることで、前記直流電流を交流電流に変換する変換回路と、前記変換回路から入力される交流電流から高電圧パルスを生成し、当該高電圧パルスを前記電極に印加するパルス生成回路と、前記パルス生成回路に前記高電圧パルスを生成させるトリガー回路とを備え、前記パルス生成回路は、前記トリガー回路に接続される一次巻線と、前記変換回路に接続される二次巻線とを有し、前記一次巻線に入力される電流に応じて、前記二次巻線に入力される電流を昇圧して前記高電圧パルスを生成し、前記トリガー回路は、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の中点と接続され、前記変換回路から所定周波数以上の交流電流が入力されると当該交流電流を導通させ、前記所定周波数未満の交流電流が入力されると当該交流電流を遮断するハイパスフィルターと、前記ハイパスフィルターを介して入力される電荷を蓄積及び放出するコンデンサーと、前記コンデンサーからの出力電圧が閾値以上であると、当該コンデンサーからの出力電流を前記一次巻線に出力する第3スイッチング素子と、を有することを特徴とする。
【0008】
なお、第1スイッチング素子及び第2スイッチングとしては、トランジスターの他、FET(Field Effect Transistor)を例示でき、また、FETとしては、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor FET)等を例示できる。
【0009】
本発明によれば、ハイパスフィルターを導通する交流電流の周波数(以下、「導通周波数」という場合がある)以上の駆動周波数で変換回路を駆動させることにより、コンデンサーに電荷が蓄積され、当該コンデンサーから出力される電圧が第3スイッチング素子に設定された閾値を超えると、パルス生成回路が、電極に印加される高電圧パルスを発生させる。
ここで、コンデンサーに電荷が蓄積されてから放出されるまでの期間は、ハイパスフィルターを介してコンデンサーに入力される交流電流の積分値、当該コンデンサーの静電容量及び充電時定数により算出することができる。このため、任意の高電圧パルスの出力タイミングから当該期間の分だけ前のタイミングで変換回路を高周波駆動させることで、当該任意の出力タイミングで高電圧パルスを出力できる。従って、所望のタイミングで高電圧パルスを放電灯の電極に印加できる。
【0010】
また、導通周波数未満の駆動周波数で変換回路を駆動させると、コンデンサーに電荷が蓄積されないので、高電圧パルスが発生しない。このため、変換回路の駆動周波数を、導通周波数以上に設定して高電圧パルスを発生させる場合と、当該導通周波数未満に設定して高電圧パルスを発生させない場合とを切り替えることができる。
これにより、前述の特許文献1に記載の点灯制御装置のように、制御装置(制御回路及び駆動回路)とイグナイター回路とを制御線で接続して、イグナイター回路による高電圧パルスの印加タイミングを制御する必要がない。従って、制御装置の耐高電圧対策のための点灯装置の構成を簡略化でき、簡易な構成で高電圧パルスの印加タイミングを設定できる。
【0011】
本発明の点灯装置では、前記第3スイッチング素子は、前記コンデンサーに接続されるダイアックと、前記ダイアックの出力端に接続されるゲート、前記コンデンサーに接続されるカソード、及び、前記一次巻線に接続されるアノードを有するサイリスターと、を備えることが好ましい。
【0012】
なお、ダイアックは、入力される電圧が閾値未満であるときは非導通状態であり、当該電圧が閾値以上となると速やかに導通状態となる素子である。また、サイリスターは、ゲートからカソードへゲート電流が入力されていないときはカソード−アノード間が非導通状態であり、当該ゲート電流が入力されているときはカソード−アノード間が導通状態となる素子である。
本発明によれば、第3スイッチング素子が、ダイアック及びサイリスターで構成されていることにより、コンデンサーの電荷放出に速やかに応答して、一次巻線に電流を供給することができる。従って、コンデンサーの電荷放出から高電圧パルスの発生までの期間を短縮することができ、前述の任意のタイミングで高電圧パルスを確実に印加できる。
また、このようなサイリスターは大電流を導通させることができるので、コンデンサーの静電容量が大きくても、電流を確実に導通させることができる。
【0013】
また、本発明の点灯制御装置は、前述の点灯装置と、前記一対の第1スイッチング素子及び前記一対の第2スイッチング素子の導通状態及び非導通状態を制御する制御信号を出力して、前記変換回路を駆動させる制御装置と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、前述の点灯装置と同様の効果を奏することができるほか、制御装置が制御信号を出力することで、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の導通状態及び非導通状態を確実に制御でき、ひいては、変換回路を高周波及び低周波で駆動させることができる。従って、高電圧パルスを発生及び印加させる場合と、発生及び印加させない場合とを適切に制御できる。また、高電圧パルスの発生及び印加を高い頻度で行うようにして放電灯の点灯を促進したり、或いは、低い頻度で行うようにして回路素子の劣化を抑制し、点灯制御装置の長寿命化を図ることも可能となる。
【0014】
本発明の点灯制御装置では、前記制御装置は、前記パルス生成回路により前記高電圧パルスを前記電極に印加するタイミングに基づいて、前記変換回路の駆動周波数を、前記所定周波数以上の第1周波数と、当該所定周波数未満の第2周波数とに切り替えることが好ましい。
【0015】
本発明によれば、制御装置が、所定周波数である導通周波数以上の第1周波数に変換回路の駆動周波数を変更することで、ハイパスフィルターを導通した電荷がコンデンサーに蓄積され、ひいては、高電圧パルスが電極に印加される。一方、制御装置が、導通周波数未満の第2周波数に変換回路の駆動周波数を変更することで、当該変換回路から出力される交流電流がハイパスフィルターを導通しないようにできる。そして、制御装置が、当該第1周波数での変換回路の駆動と第2周波数での変換回路の駆動とを、高電圧パルスの印加タイミングに基づいて切り替えることで、任意のタイミングで、電極に高電圧パルスを印加することができる。
このような制御装置による変換回路の駆動周波数の切替(第1周波数と第2周波数との切替)は、各第1スイッチング素子及び各第2スイッチング素子にゲート電圧を印加する周波数を変更することにより行うことができるので、当該制御装置の構成を比較的簡易な構成とすることができる。従って、簡易な構成で高電圧パルスの印加タイミングを確実に設定できる。
【0016】
また、本発明の照明装置は、前述の点灯制御装置と、電極を有し、前記点灯制御装置により供給される電力により点灯される放電灯と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、前述の点灯制御装置と同様の効果を奏することができる。また、前述のように、不要な高電圧パルスの電極に対する印加を抑制できるので、放電灯の長寿命化、ひいては、照明装置の長寿命化を図れる。
【0017】
また、本発明のプロジェクターは、前述の照明装置と、当該照明装置から出射された光束を変調する光変調装置と、変調された前記光束を投射する投射光学装置と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、前述の照明装置と同様の効果を奏することができ、更には、放電灯の交換等のプロジェクターのメンテナンスを簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るプロジェクターの構成を示す模式図。
【図2】前記実施形態における点灯制御装置の構成を示す図。
【図3】前記実施形態における変換回路、コンデンサー及びパルス生成回路からの出力電流の波形を示す図。
【図4】前記実施形態における制御装置の機能及び構成を示すブロック図。
【図5】前記実施形態における点灯制御装置により実行される放電灯の点灯制御処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の構成を示す模式図である。
プロジェクター1は、内部に設けられた光源から出射された光束を変調して、画像情報に応じた画像を形成し、当該画像をスクリーン等の被投射面上に拡大投射するものである。このプロジェクター1は、図1に示すように、外装筐体2、投射光学装置3及び画像形成装置4を備える。この他、プロジェクター1は、当該プロジェクター1内部を冷却する冷却ファン等で構成される冷却ユニット91、商用交流電流を変換した直流電流をプロジェクター1内部の各構成部材に供給する電源ユニット92、及び、プロジェクター1全体を制御する制御ユニット93等を備える。
【0020】
〔外装筐体及び投射光学装置の構成〕
外装筐体2は、合成樹脂又は金属により全体略直方体状に形成された筐体であり、前述の各装置3,4及び各ユニット91〜93等を内部に収納する。
投射光学装置3は、後述する画像形成装置4にて形成された画像を被投射面上に結像させるとともに、当該画像を拡大投射する。この投射光学装置3は、図示を省略するが、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成されている。
【0021】
〔画像形成装置の構成〕
画像形成装置4は、前述の制御ユニット93による制御の下、画像情報に応じた画像を形成する光学装置である。この画像形成装置4は、照明装置5、照明光学装置41、色分離光学装置42、リレー光学装置43及び電気光学装置44と、これらを内部に設定された照明光軸A上の所定位置に収納配置するほか、投射光学装置3を支持する光学部品用筐体45とを備える。
【0022】
照明装置5は、光束を出射する。この照明装置5の構成は、後に詳述する。
照明光学装置41は、一対のレンズアレイ411,412、偏光変換素子413及び重畳レンズ414を備える。
色分離光学装置42は、ダイクロイックミラー421,422及び反射ミラー423を備え、リレー光学装置43は、入射側レンズ431、リレーレンズ433及び反射ミラー432,434を備える。
電気光学装置44は、フィールドレンズ441と、光変調装置としての3つの液晶パネル442(赤色光用、緑色光用及び青色光用の液晶パネルを、それぞれ442R,442G,442Bとする)と、それぞれ3つの入射側偏光板443、視野角補償板444及び出射側偏光板445と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム446とを備える。
【0023】
このような画像形成装置4では、照明光学装置41により、照明装置5(光源装置51)から出射された光束の照明領域内の照度が略均一化され、当該光束は、色分離光学装置42により、赤(R),緑(G),青(B)の3つの色光に分離される。これら分離された各色光は、各液晶パネル442にて画像情報に応じてそれぞれ変調され、色光毎の画像が形成される。そして、当該色光毎の画像は、クロスダイクロイックプリズム446にて合成され、投射光学装置3により被投射面上に拡大投射される。
【0024】
〔照明装置の構成〕
照明装置5は、光源としての放電灯511、主反射鏡512、副反射鏡513、平行化レンズ514、及び、これらを内部に収納するハウジング515を有する光源装置51と、放電灯511の点灯を制御する点灯制御装置52とを備える。
このうち、放電灯511は、内部に形成された放電空間内に一対の電極E(E1,E2)(図2参照)及び放電物質が封入された略球状を有する発光部5111と、当該発光部5111の両端から互いに離間する方向に延出する一対の封止部5112,5113とを有する。このような放電灯511として、例えば、超高圧水銀ランプ等を採用できる。
【0025】
主反射鏡512は、レンズアレイ411から離間する側の封止部5112に接着剤により固定される。この主反射鏡512の内側には、凹曲面状の反射面が形成されており、当該反射面により発光部5111から入射された光を反射させて、照明光軸A上の第2焦点に収束させる。
副反射鏡513は、発光部5111における封止部5113側(主反射鏡512側とは反対側)を覆うガラス製の成形品である。この副反射鏡513は、発光部5111の外形に沿う形状を有し、当該発光部5111と対向する面には、反射面が形成されている。そして、副反射鏡513は、発光部5111から出射された光のうち、主反射鏡512側とは反対側に射出された光を、当該反射面により反射させて、主反射鏡512の反射面に入射させる。これにより、発光部5111から光源装置51の光束出射方向の先端側に直接射出され、かつ、レンズアレイ411に入射しない光の発生を抑えることができる。
平行化レンズ514は、主反射鏡512にて反射されて収束される光束を照明光軸Aに対して平行化する。
【0026】
〔点灯制御装置の構成〕
図2は、点灯制御装置52の構成を示す図である。
点灯制御装置52は、図2に示すように、前述の電源ユニット92から供給される直流電流を交流電流に変換して放電灯511の電極E(E1,E2)に出力し、当該放電灯511を点灯させる点灯装置6と、前述の制御ユニット93の制御下で点灯装置6を制御する制御装置7とを備える。
【0027】
〔点灯装置の構成〕
点灯装置6は、降圧回路61、変換回路62、パルス生成回路63及びトリガー回路64を備えるほか、抵抗R1,R2及びコンデンサー(キャパシター)C1を備える。
【0028】
〔降圧回路の構成〕
降圧回路61は、ダウンチョッパー回路であり、制御装置7による制御の下、電源ユニット92に接続される直流電源Vinから入力される略380Vの直流電圧を、放電灯511の点灯に適した電圧(例えば、略50V〜150V)に降下させる回路である。この降圧回路61は、詳しい図示を省略するが、例えば、直列接続されるスイッチング素子としてのFET(Field Effect Transistor)及びコイルと、これらの素子から分岐して接続されるダイオード及びコンデンサーとを備える。これらのうち、FETは、制御装置7により印加されるゲート電圧に応じて、入力される放電灯への直流電流を制御して、放電灯に供給される電力を一定に保つ。また、コイル、ダイオード及びコンデンサーは、入力される直流電流の高周波成分の除去、整流及び定電力化を行う。そして、後述する制御装置7が、ランプの点灯状態に応じて当該ゲート電圧を制御することで、降圧回路61は、放電灯511の点灯時にランプ電圧を出力する。
なお、降圧回路61の出力端は制御装置7と接続され、当該制御装置7により、降圧回路61から変換回路62に入力される電流値及び電圧値が検出される。
【0029】
〔変換回路の構成〕
変換回路62は、インバーター回路であり、入力される直流電流を交流電流に変換する。この変換回路62は、Nチャネル型の一対のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor FET:絶縁ゲート型FET)621及び一対のMOSFET622を備えたブリッジ回路として構成されている。このブリッジ回路には、降圧回路61を経て整流された直流電流が入力される。そして、制御装置7により、MOSFET621及びMOSFET622に制御信号としてのゲート電圧が印加されると、一対のMOSFET621を含む経路と一対のMOSFET622を含む経路とが交互に短絡して電流が流れ、これにより、交流電流が生成される。なお、各MOSFET621,622には、ドレインからソースに向けて電流が導通することを防止するダイオードが、それぞれ設けられている。
【0030】
この変換回路62は、パルス生成回路63により放電灯511を点灯させるための高電圧パルスを電極Eに印加するタイミングより前の所定期間(後述する期間T)、高周波駆動(例えば50kHzで駆動)され、当該高周波駆動期間の後の一定期間、低周波駆動(例えば500Hzで駆動)される。そして、放電灯511が点灯された場合には、当該変換回路62は、更に低周波駆動(例えば200Hzで駆動)される。
なお、このような変換回路62の駆動については、後に詳述する。
【0031】
抵抗R1,R2及びコンデンサーC1は、一対のMOSFET621のうちの一方のソース及び他方のドレインと接続されるとともに、一対のMOSFET622のうちの一方のソース及び他方のドレインと接続される。このうち、コンデンサーC1は、後述するパルス生成回路63を構成するトランス632の二次巻線6322に供給される電荷が蓄積される。
【0032】
〔パルス生成回路の構成〕
パルス生成回路63は、イグナイター回路であり、放電灯511の点灯始動時に動作する。具体的に、パルス生成回路63は、ランプコネクターLCを介して電極Eに高電圧パルスを出力して当該電極E間の絶縁破壊を行い、放電灯511の点灯始動を促す回路である。このパルス生成回路63は、降圧回路61及び変換回路62と、放電灯511(電極E1,E2)との間に、当該放電灯511と並列となるように接続される。
このようなパルス生成回路63は、カップリングコンデンサーであるコンデンサー631と、一次巻線6321及び二次巻線6322を有するイグナイタートランス(以下、「トランス」と略す場合がある)632と、コンデンサー633,634とを有する。
【0033】
このうち、コンデンサー633,634は互いに直列に接続され、二次巻線6322に対して電極Eと並列に接続される。これらコンデンサー633,634は、変換回路62のMOSFET621,622のスイッチングに応じて、二次巻線6322とともに、導通する交流電流に自由振動(オーバーシュート)を生じさせることで、1kV程度の中電圧の振動電圧を印加する。このようなコンデンサー633,634と二次巻線6322の出力端は、ランプコネクターLCを介して放電灯511の電極Eに接続されている。
なお、2つのコンデンサー633,634を用いることにより、耐高電圧特性を持たせることができるほか、一方が故障した場合でも、他方により交流電流を昇圧できる。
【0034】
トランス632は、前述のように、一次巻線6321及び二次巻線6322とを有する。このうち、一次巻線6321は、一端が抵抗R2とコンデンサーC1との間に接続され、他端が後述するトリガー回路64に接続される。また、二次巻線6322は、一端がMOSFET621,622のソース−ドレイン間(当該ソースとドレインとの接続点)に接続され、他端がランプコネクターLCに接続される。
【0035】
このようなトランス632は、一次巻線6321に流れる電流に応じて、二次巻線6322に流れる電流を変圧する。このため、一次巻線6321に、後述するトリガー回路64から電流が流れると、二次巻線6322に高電圧パルスが生じる。この高電圧パルスは、コンデンサー633,634により更に昇圧されて電極Eに印加される。これにより、電極E1,E2間の絶縁が破壊されて、当該電極E1,E2間の電気的導通が確保されることで放電灯511が点灯する。
このようにして放電灯511が点灯すると、当該放電灯511は定電圧負荷(略70V)で動作し、制御装置7が、検出された降圧回路61の出力電圧及び出力電流に基づいて、定電力で放電灯511の点灯を制御する。
【0036】
〔トリガー回路の構成〕
トリガー回路64は、変換回路62の駆動周波数の変動に応じたタイミングで一次巻線6321に電流を出力し、二次巻線6322に高電圧パルスを生じさせるものである。換言すると、トリガー回路64は、パルス生成回路63による電極Eへの高電圧パルスの印加タイミングを調整するものである。このトリガー回路64は、変換回路62に対して、パルス生成回路63と並列に接続される。
このようなトリガー回路64は、ハイパスフィルター641と、電流出力部642とを有する。
【0037】
ハイパスフィルター641は、変換回路62から入力される交流電流の周波数が、設定された周波数(以下、「導通周波数」という場合がある)以上である場合に、交流電流を電流出力部642に導通させる。このハイパスフィルター641は、1つのコンデンサー6411と、3つの抵抗6412〜6414とから構成されている。なお、本実施形態では、ハイパスフィルター641の導通周波数は、20kHz以上に設定されている。
【0038】
このようなハイパスフィルター641は、一端が一方のMOSFET621のソースとMOSFET622のドレインとの間(当該ソースとドレインとの接続点)に接続され、他端が当該MOSFET622及び他方のMOSFET621の各ソースに接続される。これは、電極Eの+極側に高電圧パルスを出力する方が放電灯511の点灯確率が高いと考えられており、当該+極側に接続されるパルス生成回路63のラインと同じ側にハイパスフィルター641を設けることが好ましいためである。しかしながら、ハイパスフィルター641は、他方のMOSFET621のドレインとMOSFET622のソースとの間に接続されていてもよく、変換回路62の駆動周波数の変動を検出できれば、接続点は他の部位でもよい。
【0039】
電流出力部642は、ハイパスフィルター641を導通した交流電流の電荷を蓄積し、当該電荷に応じた電流を一次巻線6321に出力する。この電流出力部642は、ダイオード6421、抵抗6422〜6425、コンデンサー6426、ダイアック6427及びサイリスター6428を有する。
このうち、コンデンサー6426は、抵抗6423とともに、ダイオード6421及び抵抗6422に対して並列に接続され、これらを介してハイパスフィルター641から入力される交流電流の電荷を蓄積する。このコンデンサー6426に蓄積される電荷は、一次巻線6321に供給される電荷であり、当該電荷が静電容量を超えた場合に、コンデンサー6426は、当該電荷を放出する。
【0040】
ダイアック6427及びサイリスター6428は、本発明の第3スイッチング素子を構成し、コンデンサー6426から入力される電圧が閾値以上であると、一次巻線6321に電流を供給する。
これらのうち、ダイアック6427の出力端は、抵抗6424を介してサイリスター6428のゲートに接続される。このダイアック6427は、入力される電圧が当該ダイアック6427に設定された閾値以上であると、当該コンデンサー6426からの電流を導通させて、ゲート電流としてサイリスター6428に供給する。
【0041】
サイリスター6428は、ゲート、カソード及びアノードを有し、当該ゲートからカソードにゲート電流が供給されると、カソード−アノード間が導通する。このカソードは、ダイアック6427及び抵抗6424に対して、抵抗6425と並列に接続され、アノードは一次巻線6321に接続されている。なお、サイリスター6428のカソード及びアノードには、当該アノードからカソードに向けて電流が導通することを防ぐためにダイオードが接続されている。
【0042】
〔高電圧パルスの印加タイミング〕
図3は、変換回路62、コンデンサー6426及び二次巻線6322からの出力電流の波形を示す図である。詳述すると、図3(A)は、変換回路62から出力される交流電流の波形を示す図であり、図3(B)は、コンデンサー6426に蓄積される電荷量を示す図である。また、図3(C)は、二次巻線6322から出力される高電圧パルスの波形を示す図である。なお、図3(A)〜(C)に、変換回路62の駆動周波数が高周波数で維持された場合(変換回路62が連続して高周波駆動される場合)の各電流の波形を点線で示す。
【0043】
ここで、変換回路62の高周波駆動時及び低周波駆動時と、高電圧パルスの生成について説明する。
変換回路62が高周波駆動されると、図3(A)における「高周波期間」に示すように、当該変換回路62により高周波の交流電流が発生する。この交流電流の周波数は導通周波数より高く、当該交流電流はハイパスフィルター641を導通するため、当該期間では、図3(B)に示すように、コンデンサー6426に電荷が蓄積される。このコンデンサー6426に蓄積された電荷量が静電容量を超えると、当該コンデンサー6426から電荷が放出される。この電荷の放出によるダイアック6427への入力電圧が閾値以上であると、当該ダイアック6427が導通してサイリスター6428にゲート電流が供給される。このゲート電流により、コンデンサー6426からの出力電流が、サイリスター6428を介して一次巻線6321に出力される。
一次巻線6321に電流が入力されると、二次巻線6322を導通する電流が昇圧され、図3(C)に示すように、高電圧パルスが発生する。この高電圧パルスは、ランプコネクターLCを介して電極Eに印加される。
【0044】
一方、変換回路62が低周波駆動されると、図3(A)における「低周波期間」に示すように、当該変換回路62にて低周波の交流電流が発生する。この交流電流の周波数は導通周波数より低く、当該交流電流はハイパスフィルター641を導通しないため、当該期間では、図3(B)に示すように、コンデンサー6426に電荷は蓄積されない。このため、ダイアック6427及びサイリスター6428は非導通状態(オフ状態)となり、一次巻線6321に電流が供給されず、ひいては、高電圧パルスも生じない。
【0045】
なお、放電灯511の点灯始動時に低周波期間がない場合(換言すると、変換回路62が高周波数で駆動され続ける場合)には、図3(A)〜(C)に点線で示すように、変換回路62で生じた高周波の交流電流が、コンデンサー6426に入力され続ける。このため、コンデンサー6426は、蓄積された電荷量が静電容量を超えるごとに電荷を放出し、これに応じて、高電圧パルスが出力され続けることとなる。このような高電圧パルスは電圧が非常に高いため、不必要に連続して発生及び出力されると、点灯装置の回路構成、及び、電極Eを劣化させる要因となる。
【0046】
これに対し、点灯装置6では、変換回路62を低周波駆動させることで高電圧パルスが生じない期間を設けることができる。従って、放電灯511の点灯に際して、変換回路62を高周波駆動させて高電圧パルスの発生及び印加を行う場合と、低周波駆動させて高電圧パルスの発生及び印加を行わない場合とを切り替えることができる。
そして、変換回路62の低周波期間は、高電圧パルスの発生に伴うノイズの発生もないので、この期間内に点灯装置6の駆動状態に関する情報(例えば、降圧回路61の出力電流及び出力電圧)を取得することで、正しい情報を確実に取得できる。
また、当該低周波期間に、コンデンサーC1に、二次巻線6322に供給する電荷を蓄積させることができる。
【0047】
このほか、当該低周波期間を設けることで、二次巻線6322及びコンデンサー633,634によって生じる自由振動を収束させる期間を設けることができ、サイリスター6428を確実に非導通状態(オフ状態)とすることができる。これにより、二次巻線6322で生じた高電圧が、一次巻線6321及びサイリスター6428を介して、トリガー回路64の回路素子に悪影響を及ぼすことを防止できる。このため、低周波期間での変換回路62の駆動周波数は、サイリスター6428が完全な非導通状態(オフ状態)となるのに十分な期間であることが望まれる。
【0048】
なお、コンデンサー6426への充電が開始されてから電荷を放出するまでの期間Tは、ハイパスフィルター641を介して入力される交流電流の積分値、当該コンデンサー6426の静電容量及び充電時定数により算出することが可能である。このため、予定されるパルス出力タイミング(任意のパルス出力タイミング)に対して期間Tの分だけ前のタイミングで、導通周波数以上に変換回路62の駆動周波数を切り替えることにより、当該パルス出力タイミングで、高電圧パルスを電極Eに印加することができる。
【0049】
〔制御装置の構成〕
図4は、制御装置7の機能及び構成を示すブロック図である。
制御装置7は、前述のように、点灯装置6の駆動を制御し、ひいては、放電灯511の点灯を制御する。具体的に、制御装置7は、降圧回路61から入力される電圧及び電流に基づいて放電灯511の点灯状態を判定し、当該点灯状態に基づいて、変換回路62にゲート電圧を印加して点灯装置6を駆動させる。
このような制御装置7は、図4に示すように、駆動状態取得部71、点灯状態判定部72、タイミング判定部73、高周波駆動部74、低周波駆動部75及び定常駆動部76を有する。
【0050】
駆動状態取得部71は、点灯装置6の駆動状態を示す情報(駆動状態情報)として、降圧回路61からの出力電流の電流値及び電圧値を取得する。
点灯状態判定部72は、駆動状態取得部71により取得された各値に基づいて、放電灯511が点灯しているか否かを判定する。
タイミング判定部73は、点灯状態判定部72により、放電灯511が点灯していないと判定された場合に、変換回路62を高周波駆動させるタイミング(高周波駆動タイミング)に達したか否かを判定する。この高周波駆動タイミングは、予定されるパルス出力タイミングから前述の期間Tの分だけ遡ったタイミングである。
【0051】
高周波駆動部74は、タイミング判定部73により高周波駆動タイミングに達したと判定された場合に、変換回路62のMOSFET621,622に制御信号であるゲート電圧を印加して、変換回路62を高周波駆動させる。この際の変換回路62の駆動周波数(本発明の第1周波数に相当)は、前述のように、ハイパスフィルター641の導通周波数を超える周波数に設定され、当該駆動周波数は、本実施形態では50kHzに設定されている。
【0052】
低周波駆動部75は、タイミング判定部73により高周波駆動タイミングに達していないと判定された場合に、同様に制御信号であるゲート電圧を印加して、変換回路62を低周波駆動させる。この際の変換回路62の駆動周波数(本発明の第2周波数に相当)は、ハイパスフィルター641の導通周波数より低い周波数に設定され、当該駆動周波数は、本実施形態では500Hzに設定されている。
定常駆動部76は、点灯状態判定部72により、放電灯511が点灯したと判定された場合に、同様にゲート電圧を印加して、変換回路62を更に低周波駆動させる。この際の変換回路62の駆動周波数は、本実施形態では200Hzに設定されている。
なお、この放電灯511が点灯している状態(定常点灯状態)では、パルス生成回路63の駆動は停止され、電極Eに高電圧パルスが印加されることはない。
【0053】
〔点灯制御処理〕
図5は、点灯制御装置52による放電灯511の点灯制御処理を示すフローチャートである。
点灯制御装置52は、前述の制御ユニット93から放電灯511を点灯させる制御信号が入力されると、以下に示す点灯制御処理を実行する。この点灯制御処理は、図示しない記憶部に記憶された点灯制御プログラムに沿って行われる。
この点灯制御処理では、図5に示すように、まず、制御装置7の駆動状態取得部71が、前述の駆動状態情報を取得する(ステップS1)。
この後、点灯状態判定部72が、当該駆動状態情報に基づいて、放電灯511が点灯しているか否かを判定する(ステップS2)。
ここで、点灯状態判定部72により、放電灯511が点灯していないと判定されると、タイミング判定部73が、前述の高周波駆動タイミングに達したか否かを判定する(ステップS3)。
【0054】
このステップS3での判定にて、タイミング判定部73により、高周波駆動タイミングに達したと判定されると、高周波駆動部74が、変換回路62を高周波駆動させる(ステップS4)。このため、当該変換回路62から高周波の交流電流が出力され、当該交流電流は、トリガー回路64のハイパスフィルター641を導通して、コンデンサー6426に電荷が蓄積される。
そして、前述のように、蓄積された電荷がコンデンサー6426の静電容量を超え、更に、コンデンサー6426からの入力電圧がダイアック6427の閾値を越えたタイミングで、当該ダイアック6427を介してサイリスター6428にゲート電流が出力される。これにより、コンデンサー6426からの出力電流が、当該サイリスター6428を介して一次巻線6321に供給され、二次巻線6322から電極Eに高電圧パルスが印加される(ステップS5)。
この後、点灯制御装置52は、処理をステップS3に戻し、再度、タイミング判定部73による高周波駆動タイミングの判定を行う。
【0055】
一方、ステップS3での判定にて、タイミング判定部73により、高周波駆動タイミングに達していないと判定されると、低周波駆動部75が、変換回路62を低周波駆動させる(ステップS6)。これにより、変換回路62から出力される低周波の交流電流は、ハイパスフィルター641を導通せず、コンデンサー6426への蓄電、及び、サイリスター6428における電流の導通が停止される。このため、コンデンサー633,634により自由振動が生じて昇圧された交流電流が、一次巻線6321を介して、サイリスター6428を逆流することが防止され、トリガー回路64が保護される。
【0056】
更に、変換回路62の低周波駆動時には、一次巻線6321への電流の供給が行われないため、前述のように、パルス生成回路63での高電圧パルスの発生に伴うノイズが発生しない。このため、制御装置7は、当該低周波駆動時に処理をステップS1に戻し、駆動状態取得部71が、前述の駆動状態情報を取得する。これにより、ノイズの影響を受けていない駆動状態情報を確実に取得することができる。
【0057】
一方、ステップS2での判定にて、点灯状態判定部72により、放電灯511が点灯したと判定されると、定常駆動部76が、変換回路62を低周波駆動時よりも更に低い周波数で駆動させ、点灯装置6を定常駆動させる(ステップS7)。これにより、放電灯511が定常点灯状態に達する。
以上により、点灯制御処理が終了する。
【0058】
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1によれば、以下の効果がある。
点灯装置6において、導通周波数以上の駆動周波数で変換回路62を駆動させることで、コンデンサー6426に電荷が蓄積される。この電荷はコンデンサー6426の静電容量を超えると放出され、ひいては、二次巻線6322にて高電圧パルスが発生する。このコンデンサー6426において電荷が蓄積されてから放出されるまでの期間Tは予め算出できるので、任意のタイミングから当該期間T分だけ前のタイミング(高周波駆動タイミング)で変換回路62を高周波駆動させることにより、当該任意のタイミングで高電圧パルスを確実に発生及び印加させることができる。
【0059】
一方、導通周波数未満の駆動周波数で変換回路62を駆動させると、コンデンサー6426に電荷が蓄積されないので、高電圧パルスが発生しない。このため、変換回路62の駆動周波数を、導通周波数以上に設定して高電圧パルスを発生させる場合と、当該導通周波数未満に設定して高電圧パルスを発生させない場合とを切り替えることができる。
これにより、制御装置7とパルス生成回路63とを制御線により接続して、当該制御装置7が高電圧パルスを電極Eに印加させる制御信号を出力する構成に比べて、点灯装置6及び制御装置7の耐高電圧対策の構成を簡略化できる。従って、簡易な構成で高電圧パルスの印加タイミングを設定できる。
【0060】
コンデンサー6426から一次巻線6321への電流の導通状態を制御するスイッチング素子が、ダイアック6427及びサイリスター6428で構成されている。これによれば、コンデンサー6426から電荷が放出され、ダイアック6427への入力電圧が閾値を超えた際に、当該ダイアック6427が速やかに導通状態となり、ひいては、サイリスター6428が導通状態となるので、一次巻線6321に電流を速やかに供給できる。従って、コンデンサー6426の電荷放出から高電圧パルスの発生までの期間を短縮することができ、前述の任意のタイミングで高電圧パルスを確実に印加できる。
また、サイリスター6428は、大電流(電流値が大きな電流)を導通させることができるので、コンデンサー6426の静電容量が大きくても、確実に当該電流を導通させることができる。
【0061】
制御装置7が、導通周波数以上の駆動周波数に応じた変換回路62の駆動と、導通周波数未満の駆動周波数に応じた変換回路62の駆動とを、高電圧パルスの印加タイミング(高周波駆動タイミング)に基づいて切り替えることで、任意のタイミングで、電極Eに高電圧パルスを印加することができる。このような制御装置7による変換回路62の駆動周波数の変更は、各MOSFET621,622にゲート電圧を印加する周波数を変更することにより行うことができるので、当該制御装置7の構成を比較的簡易な構成とすることができる。従って、簡易な構成で高電圧パルスの印加タイミングを確実に設定できる。
【0062】
〔実施形態の変形〕
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。特に、点灯装置を構成する各回路素子の数、配置及び構成については、前記実施形態に限定されるものではない。
前記実施形態では、第3スイッチング素子として、ダイアック6427及びサイリスター6428を採用したが、本発明はこれに限らない。例えば、ダイアック6427に代えてコンパレーターを採用することもでき、サイリスター6428に代えてFETを採用してもよい。すなわち、コンデンサー6426からの電荷の放出に対して、速やかに非導通状態から導通状態に変化することができ、かつ、大電流を導通可能な構成であればよい。また、当該第3スイッチング素子を、1つの素子で構成してもよい。
【0063】
前記実施形態では、ハイパスフィルター641の導通周波数を20kHzとし、高周波期間及び低周波期間における変換回路62の駆動周波数をそれぞれ50kHz及び500Hzとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、これらの値は適宜設定可能である。
前記実施形態では、変換回路62は、一対のMOSFET621及び一対のMOSFET622を備えたブリッジ回路として構成されているとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、MOSFETに代えてトランジスターや他のFETを採用してもよい。
【0064】
前記実施形態では、プロジェクター1は、3つの液晶パネル442R,442G,442Bを備えるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、2つ以下、あるいは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクターにも、本発明を適用可能である。
前記実施形態では、画像形成装置4は平面視略L字形状を有した構成を説明したが、これに限らず、例えば、平面視略U字形状を有した構成を採用してもよい。
前記実施形態では、光束入射面と光束射出面とが異なる透過型の液晶パネル442を用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。
【0065】
前記実施形態では、光変調装置として液晶パネル442を備えたプロジェクター1を例示したが、入射光束を変調して画像情報に応じた画像を形成可能な光変調装置であれば、他の構成の光変調装置を採用してもよい。例えば、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調装置を用いたプロジェクターにも、本発明を適用することも可能である。このような光変調装置を用いた場合、光束入射側及び光束射出側の偏光板443,445は省略できる。
【0066】
前記実施形態では、プロジェクター1は、被投射面に対する画像の投射方向と、当該画像の観察方向とが略同じであるフロントタイプのプロジェクターとして構成したが、本発明はこれに限らない。例えば、投射方向と観察方向とがそれぞれ反対方向となるリアタイプのプロジェクターにも適用できる。
【0067】
前記実施形態では、放電灯511及び点灯制御装置52を備えた照明装置5を、プロジェクター1に採用したが、本発明はこれに限らない。すなわち、このような照明装置5を、スタンド等の機器として構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、高圧水銀ランプ等の放電灯の点灯装置に利用することができ、特に、照明装置及びプロジェクターに採用される放電灯の点灯装置及び点灯制御装置に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0069】
1…プロジェクター、3…投射光学装置、5…照明装置、6…点灯装置、7…制御装置、52…点灯制御装置、511…放電灯、62…変換回路、63…パルス生成回路、64…トリガー回路、442(442R,442G,442B)…液晶パネル(光変調装置)、621…MOSFET(第1スイッチング素子)、622…MOSFET(第2スイッチング素子)、641…ハイパスフィルター、6321…一次巻線、6322…二次巻線、6426…コンデンサー、6427…ダイアック(第3スイッチング素子)、6428…サイリスター(第3スイッチング素子)、E(E1,E2)…電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電灯の電極に電力を供給して、前記放電灯を点灯させる点灯装置であって、
それぞれ直流電流が入力される一対の第1スイッチング素子及び一対の第2スイッチング素子を有し、前記一対の第1スイッチング素子及び前記一対の第2スイッチング素子のうちの一方が導通状態となり他方が非導通状態となる状態変化が交互に切り替わることで、前記直流電流を交流電流に変換する変換回路と、
前記変換回路から入力される交流電流から高電圧パルスを生成し、当該高電圧パルスを前記電極に印加するパルス生成回路と、
前記パルス生成回路に前記高電圧パルスを生成させるトリガー回路とを備え、
前記パルス生成回路は、前記トリガー回路に接続される一次巻線と、前記変換回路に接続される二次巻線とを有し、前記一次巻線に入力される電流に応じて、前記二次巻線に入力される電流を昇圧して前記高電圧パルスを生成し、
前記トリガー回路は、
前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の中点と接続され、前記変換回路から所定周波数以上の交流電流が入力されると当該交流電流を導通させ、前記所定周波数未満の交流電流が入力されると当該交流電流を遮断するハイパスフィルターと、
前記ハイパスフィルターを介して入力される電荷を蓄積及び放出するコンデンサーと、
前記コンデンサーからの出力電圧が閾値以上であると、当該コンデンサーからの出力電流を前記一次巻線に出力する第3スイッチング素子と、を有する
ことを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の点灯装置において、
前記第3スイッチング素子は、
前記コンデンサーに接続されるダイアックと、
前記ダイアックの出力端に接続されるゲート、前記コンデンサーに接続されるカソード、及び、前記一次巻線に接続されるアノードを有するサイリスターと、を備える
ことを特徴とする点灯装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の点灯装置と、
前記一対の第1スイッチング素子及び前記一対の第2スイッチング素子の導通状態及び非導通状態を制御する制御信号を出力して、前記変換回路を駆動させる制御装置と、を備える
ことを特徴とする点灯制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の点灯制御装置において、
前記制御装置は、前記パルス生成回路により前記高電圧パルスを前記電極に印加するタイミングに基づいて、前記変換回路の駆動周波数を、前記所定周波数以上の第1周波数と、当該所定周波数未満の第2周波数とに切り替える
ことを特徴とする点灯制御装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の点灯制御装置と、
電極を有し、前記点灯制御装置により供給される電力により点灯される放電灯と、を備える
ことを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項5に記載の照明装置と、
当該照明装置から出射された光束を変調する光変調装置と、
変調された前記光束を投射する投射光学装置と、を備える
ことを特徴とするプロジェクター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−204385(P2011−204385A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68296(P2010−68296)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】