説明

無人契約システムおよびその無人契約機

【課題】無人契約機を用いて複数の証明書を必要とする契約を行う場合に、その取引時間を短縮する手段を提供する。
【解決手段】無人契約機1が、記憶部12に一般的な証明書に対応させて証明書のサイズ情報を記した証明書サイズ情報テーブルを格納しておき、顧客により入力された複数の証明書の選択入力を受付けたときに、証明書サイズ情報テーブルから、それぞれの証明書のサイズ情報を読出し、これらのサイズ情報を基にそれぞれの証明書画像を読取る座標領域を設定し、設定した座標領域を表示して複数の証明書がスキャナ14にセットされたときに、複数の証明書の証明書画像を読取って複合証明書画像を取得し、これにそれぞれの座標領域を添付した証明書情報をオペレータ端末2へ送信し、オペレータ端末2は無人契約機1からの証明書情報を受信したときに、受信した証明書情報の複合証明書画像を添付されている座標領域を基にそれぞれの証明書画像に切分けて表示部23に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関に設置されている無人契約機を用いて口座開設やローンの申込み等契約を行う場合に用いる無人契約システムおよびその無人契約機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無人契約システムは、金融機関のセンタにオペレータが操作するオペレータ端末を設置して各営業店等に設置された無人契約機に接続し、通信により無人契約機を用いて顧客との契約を行う場合において、顧客の身分を証明する証明書の画像を読取るときに、無人契約機は、顧客に持参した証明書を選択させ、選択された証明書の種類をオペレータ端末へ送信し、オペレータは、通常用いられる免許証等の証明書の場合はオペレータ端末の選択画面から該当する証明書のサイズを選択し、証明書が社員証等の通常用いられる証明書でない場合は、オペレータが顧客と通話してその種類およびサイズを確認し、確認したサイズを選択してオペレータ端末に入力し、これを受付けたオペレータ端末は選択されたサイズに対応した読取範囲を記憶部から読出し、これを無人契約機へ送信し、無人契約機は受信した読取範囲に基づいて証明書の画像の読取りを行っている。
【0003】
この場合に、複数の証明書を読取るときは、それぞれの証明書について前記の動作を繰り返している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−130407号公報(主に、第4頁段落0015−第5頁段落0023、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、複数の証明書を読取るときに、無人契約機は、複数の証明書について、それぞれ顧客に証明書の種類を選択させ、オペレータが入力したサイズに対応した読取範囲を受信して、1枚ずつ証明書の画像を読取っているため、複数の証明書の提出を義務付けている金融機関の場合には、複数の証明書毎に読取動作を繰り返すことが必要になり、契約における取引時間が増加して無人契約機の稼動効率が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、無人契約機を用いて複数の証明書を必要とする契約を行う場合に、その取引時間を短縮する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、オペレータが操作するオペレータ端末と、顧客が操作する無人契約機とを接続した無人契約システムにおいて、前記無人契約機は、一般的な証明書に対応させて、その証明書のサイズ情報を格納する証明書サイズ情報格納手段と、顧客の身分を証明する複数の証明書の選択入力を受付ける手段と、該選択された複数の証明書を基に、前記証明書サイズ情報格納手段から、それぞれの証明書のサイズ情報を読出す手段と、該読出したそれぞれのサイズ情報を基に、それぞれの証明書画像を読取る座標領域を設定する手段と、該設定した座標領域を表示する手段と、該表示された座標領域に従ってセットされた複数の証明書の証明書画像を読取って複合証明書画像を取得する手段と、該取得した複合証明書画像に、前記設定したそれぞれの座標領域を添付した証明書情報を前記オペレータ端末へ送信する手段とを備え、前記オペレータ端末は、前記無人契約機からの前記証明書情報を受信する手段と、該受信した証明書情報の複合証明書画像を、前記座標領域を基にそれぞれの証明書画像に切分ける手段と、該切分けた複数の証明書画像をそれぞれ表示する手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明は、証明書画像の読取り回数を減少させることができると共に、一般的な証明書の読取領域を設定するためのオペレータ端末との交信時間を不要にすることができ、複数の証明書を必要とする契約処理の取引時間を短縮することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、図面を参照して本発明による無人契約システムの実施例について説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は実施例1のシステム構成を示すブロック図、図2は無人契約機の外観を示す斜視図である。
図1、図2において、1は無人契約機であり、銀行や消費者金融等の金融機関の営業店の無人コーナーや無人ブース等の店舗に設置されており、顧客が操作して金融機関との契約や、契約後の借入れ等の各種の取引を行うために使用する。
【0010】
2はオペレータ端末であり、金融機関のセンタに設置されており、金融機関の応対担当者等のオペレータが操作して顧客との取引およびその際の通話等を行うために使用する。
オペレータ端末2は専用回線やISDN(Integrated Service Digital Network)、電話回線等の通信ネットワーク3を介して無人契約機1と接続しており、相互にデータ通信可能に構成されている。
【0011】
11は無人契約機1の制御部であり、通信ネットワーク3を介してオペレータ端末2と接続しており、無人契約機1の各部を制御して顧客との間の契約処理等を実行する共にデータ通信等も制御する。
12は記憶部であり、制御部11が実行するプログラムや制御部11による処理結果等が格納される。
【0012】
13は操作表示部であり、CRTまたはLCD等の表示画面13aとタッチパネル等の入力手段の組合せ等で構成されており、各種の選択画面や入力画面、顧客の処置を促す画面等を表示する一方、入力手段により顧客からの入力を受付ける。
14は証明書読取部としてのスキャナであり、免許証や健康保険証等の顧客の身分を証明する証明書の画像を読取る機能を有している。
【0013】
本実施例のスキャナ14は、その読取面14aがA4判の大きさに形成され、読取面14aを保護するためのカバーが設けられており、顧客がカバーの閉作動させたことにより制御部11は証明書がセットされたことを認識するようになっている。
なお、図2に示すスキャナ14は、カバーを取外した状態で示してある。
15は帳票読取印刷部であり、申込書や契約書等の帳票の画像を読取る機能および契約書の写し等を印刷する機能を有している。
【0014】
16はカード発行部であり、新規口座を開設した顧客に取引に使用するカードを作成して発行する機能を有している。
17は撮影部であり、無人契約機1に設置され、顧客の顔画像等を撮影することができるカメラを備えている。
18は顧客通話部であり、オペレータからの呼掛け等を報知するためのスピーカ18aとオペレータとの対話を行うためのマイクとスピーカを有するハンドセット18b等で構成されている。
【0015】
21はオペレータ端末2の制御部であり、通信ネットワーク3を介して無人契約機1と接続しており、オペレータ端末2の各部を制御する共にデータ通信等も制御する。
22は記憶部であり、制御部21が実行するプログラムや制御部21による処理結果等が格納される。
23は表示部であり、CRTまたはLCD等の表示画面が設けられており、無人契約機1から送信される顧客の顔画像や証明書や帳票の画像を表示すると共にオペレータが行う業務の選択画面等を表示する機能を有している。
【0016】
24は入力部であり、キーボードやマウス等によって構成されており、オペレータが操作して選択入力や契約等に必要な必要事項の入力等を行う。
25はオペレータ通話部であり、オペレータが顧客と対話するためマイクとスピーカを有するヘッドセット等で構成されている。
上記の無人契約機1の記憶部12には、顧客が選択した取引の入力を受付け、これを基にオペレータ端末と交信して顧客との取引を自動で行う機能等を有する通常の業務処理プログラムに、契約時の証明書の画像を読取るときに、顧客が持参した複数種類(本実施例では、2種類)の証明書画像の座標領域を設定し、これに従ってセットされた2種類の証明書の証明書画像を同時に読取って複合証明書画像を取得し、これをオペレータ端末2へ送信する機能等を有する証明書画像読取処理プログラム等が追加された無人機処理実行プログラムが予め格納されており、制御部11が実行する無人機処理実行プログラムのステップにより本実施例の無人契約機1のハードウェアとしての各機能手段が形成される。
【0017】
また、記憶部12には、免許証や健康保険証、キャッシュカード等の一般的な証明書の証明書名に対応させて、その大きさを示すサイズ情報を記した証明書サイズ情報テーブルが予め格納されている。
本実施例の証明書サイズ情報テーブルには、証明書の証明書名が4つの証明書サイズに分類されて記されており、証明書サイズとしてのカードサイズには、一般にカード型として用いられる、免許証、健康保険証、社員証、キャッシュカード、クレジットカード等が分類され、証明書サイズとしての保険証3面サイズには、3つ折り型としても用いられる健康保険証が分類され、証明書サイズとしてのパスポートサイズには、パスポートが分類され、証明書サイズとしてのA4サイズには、給与明細が分類されている。
【0018】
また、カードサイズには、そこに分類された全ての証明書を含む大きさを示すサイズ情報(本実施例では、その大きさを構成する矩形の短辺および長辺の長さ)、保険証3面サイズには3つ折りの健康保険証を広げたときの大きさを示すサイズ情報、パスポートサイズにはパスポートを広げた大きさを示すサイズ情報、A4サイズにはA4判の大きさを示すサイズ情報がそれぞれ記されている。
【0019】
前記のように、本実施例の健康保険証には、カードサイズと保険証3面サイズの2種類のサイズ情報が設定されている。
上記のオペレータ端末2の記憶部22には、取引を行う顧客の顔画像の表示や、無人契約機1から送信された申込書や証明書の画像の表示、顧客との通話等を行うと共に、無人契約機1から送信された複合証明書画像をそれぞれの証明書画像に切分ける機能等を有する端末処理実行プログラムが予め格納されており、制御部21が実行する端末処理実行プログラムのステップにより本実施例のオペレータ端末2のハードウェアとしての各機能手段が形成される。
【0020】
また、記憶部22には、カードサイズ等の証明書サイズに対応させて、無人契約機1の記憶部12に格納されている証明書サイズ情報テーブルと同様のサイズ情報を記した証明書サイズテーブルが予め格納されている。
上記の構成の作用について説明する。
本実施例の無人契約システムにおいて、無人契約機1の制御部11は、「口座開設」ボタンや「ローン申込」ボタン等の取引選択ボタン等を表示した取引選択画面を操作表示部13の表示画面13aに表示して待機しており、顧客は取引選択画面から所望の取引を選択してその取引選択ボタンを押下する。
【0021】
本実施例では、顧客が新規口座の開設を選択し、その契約のために「口座開設」ボタンを押下した場合の契約処理について説明する。
「口座開設」ボタンが押下されると、これを操作表示部13の入力手段により受付けた無人契約機1の制御部11は、押下された取引選択ボタンによりその取引名を認識すると共に、センタのオペレータ端末2との通信ネットワーク3を介した通信を接続し、認識した取引名および撮影部17が撮影した顧客の映像を送信し、これを受信したオペレータ端末2の制御部21は、その取引名および顧客の映像を表示部23の画面に表示して契約処理が開始される。
【0022】
契約処理が開始されると、無人契約機1の制御部11は、操作表示部13に顧客の氏名や生年月日、性別等の個人情報を入力するための個人情報入力画面を表示し、顧客が入力した個人情報をオペレータ端末2へ送信する。
次いで、制御部11は、操作表示部13に申込書の記入要領や記入後の申込書の送付要領等を表示し、顧客はこれに従って申込書に必要事項を記入して帳票読取印刷部15にセットし、制御部11は帳票読取印刷部15によってその申込書の画像を読取り、これをオペレータ端末2へ送信し、オペレータ端末2の制御部21は、これを表示部23に表示し、オペレータは入力部24により申込書の記入内容を入力して確認操作を行う。
【0023】
この確認操作を認識した制御部21は、申込書の確認を終えた旨を申込書確認通知として無人契約機1へ送信し、受信した無人契約機1の制御部11は、証明書画像読取処理プログラムにより、本実施例の無人契約システムにおける証明書画像取得処理を開始する。
以下に、図3に示す流れ図を用い、ステップに従って本実施例の無人契約システムの証明書画像取得処理について説明する。
【0024】
なお、ステップ名は、無人契約機1の場合をSで、オペレータ端末2の場合をSAで示す。
S1、証明書画像取得処理を開始した無人契約機1の制御部11は、操作表示部13の表示画面13aに、図4に示す持参証明書選択画面を表示する。
持参証明書選択画面には、そのボタン表示エリア31に、免許証(自動車運転免許証)、健康保険証、パスポート、社員証、キャッシュカード、クレジットカード、給与明細等の一般的な証明書のボタン、住民票や納税証明書等の一般的でない証明書を持参したときに押下する「その他」ボタン等の証明書選択ボタン、および証明書の選択を訂正するときに押下する「やり直し」ボタン等が表示されると共に、選択された証明書の表示欄32および選択の終了を指示するための「確認」ボタン等が表示される。
【0025】
顧客は、持参した2種類の証明書の証明書選択ボタンを順に押下し、「確認」ボタンを押下する。
S2、「確認」ボタンの押下により証明書の選択入力を受付けた制御部11は、押下された証明書選択ボタンによりそれぞれの証明書名を認識し、これらを基に記憶部12に格納されている証明書サイズ情報テーブルから該当する証明書が分類された証明書サイズのサイズ情報を読出す。
【0026】
S3、選択された証明書のそれぞれのサイズ情報を読出した制御部11は、健康保険証のように2つ以上の証明書サイズに分類されている証明書や、「その他」として入力された証明書が存在する場合は、サイズ不明の証明書の存在を判定してステップS4へ移行する。
選択された証明書のそれぞれのサイズ情報が全て設定されている場合は、選択された証明書のサイズ情報を全て認識してステップS9へ移行する。
【0027】
S4、サイズ不明の証明書の存在を判定した制御部11は、選択された証明書の中に「その他」の証明書が含まれている場合はステップS5へ移行する。選択された証明書の中に「その他」の証明書が含まれていない場合は、ステップS8へ移行する。
S5、選択された証明書の中に「その他」の証明書が含まれていることを認識した制御部11は、その証明書のサイズ情報を取得するために、証明書のサイズ設定を要求する旨を記したサイズ設定要求を、通信ネットワーク3を介してオペレータ端末2へ送信する。
【0028】
SA1、無人契約機1からのサイズ設定要求の着信を待って待機していたオペレータ端末2の制御部21は、サイズ設定要求を受信したときにステップSA2へ移行する。サイズ設定要求を受信しない場合は、前記およびステップSA3の待機を継続する。
SA2、サイズ設定要求を受信した制御部21は、その旨を表示部23に表示する。
オペレータがその表示内容を確認して入力部24により確認操作を行うと、これを検知した制御部21は、表示部23の画面に、カードサイズ、保険証3面サイズ、パスポートサイズ、A4サイズのそれぞれの証明書サイズの選択ボタンを表示すると共に、オペレータ通話部25と無人契約機1の顧客通話部18とを通信可能に接続する。
【0029】
オペレータは、オペレータ端末2のオペレータ通話部25のヘッドセットにより無人契約機1の顧客通話部18のスピーカ18aから音声等で顧客にハンドセット18bを用いるように指示し、顧客に「その他」と入力した証明書の種類とその大きさを問合せ、その大きさに該当する証明書サイズを入力部24により選択する。この場合に証明書サイズがカードサイズ、保険証3面サイズ、パスポートサイズに該当しない場合は、A4サイズが選択される。
【0030】
オペレータが選択した証明書サイズの入力を受付けた制御部21は、入力された証明書サイズを基に、記憶部22に格納されている証明書サイズテーブルから、該当する証明書サイズのサイズ情報を読出し、これを通信ネットワーク3を介して送信元の無人契約機1へ送信する。
S6、オペレータ端末2からのサイズ情報の着信を待って待機していた無人契約機1の制御部11は、サイズ情報を受信したときにステップS7へ移行する。サイズ情報を受信しない場合は、前記の待機を継続する。
【0031】
S7、「その他」の証明書のサイズ情報を受信した制御部11は、「その他」の証明書のサイズ情報を記憶部12に一時保存し、証明書サイズが2つ以上設定されているサイズ不明の証明書が存在する場合は、ステップS8へ移行する。サイズ不明の証明書が存在しない場合は、選択された証明書のサイズ情報を全て認識してステップS9へ移行する。
S8、証明書サイズが2つ以上設定されているサイズ不明の証明書が存在することを認識した制御部11は、操作表示部13の表示画面13aに、図5に示す証明書サイズ選択画面を表示する。
【0032】
証明書サイズ選択画面には、サイズを選択すべき証明書の名称(図5の例では健康保険証)、ボタン表示エリア31に、カードサイズ、保険証3面サイズ、パスポートサイズ、A4サイズのそれぞれの証明書サイズのサイズ選択ボタン、および証明書の選択を訂正するときに押下する「やり直し」ボタン等が表示されると共に、選択された証明書サイズの表示欄33および選択の終了を指示するための「確認」ボタン等が表示される。
【0033】
顧客は、表示された証明書のサイズ選択ボタンを押下して「確認」ボタンを押下する。
「確認」ボタンの押下により、証明書サイズの選択入力を受付けた制御部11は、押下されたサイズ選択ボタンによりその証明書サイズを認識し、これを基に記憶部12の証明書サイズ情報テーブルから該当する証明書サイズのサイズ情報を読出し、選択された証明書のサイズ情報を全て認識してステップS9へ移行する。
【0034】
S9、選択された証明書のサイズ情報を全て認識した制御部11は、スキャナ14により選択された複数の証明書を読取るための読取面の座標領域の設定を行う。
すなわち、制御部11は、選択された2つの証明書のサイズ情報を比較し、大小が存在する場合は、大きい方のサイズ情報の短辺、長辺により構成される矩形の周囲に所定の余裕代(本実施例では5mm)を加え、その矩形の長辺をスキャナ14の読取面14aの長手方向に沿わせて、4隅のそれぞれの座標を算出し、スキャナ14の読取面の手前側右隅を基点として、そこに算出された一の隅の座標を一致させ、座標変換により他の3隅の座標を求めて4隅の座標からなる座標領域を設定し、同様にして小さい方の基点をスキャナ14の読取面の奥側右隅としてその座標領域を設定する(図6〜図8参照)。
【0035】
S10、そして、制御部11は、設定された各座標領域の短辺の長さを加えた複合長さと、スキャナ14の読取面14aの短辺長さとを比較し、複合長さが短辺長さ以下の場合は同時読取可能と判定してステップS13へ移行する。複合長さが短辺長さを超える場合は同時読取不可能と判定してステップS11へ移行する。
S11、証明書の同時読取が不可能と判定した制御部11は、証明書を1枚毎に読取る毎葉読取を実行する。
【0036】
すなわち、制御部11は、操作表示部13の表示画面13aに、一つ目の証明書(例えば大きい方)の読取要領およびその証明書の名称等を表示し、顧客がこれに従って表示された証明書をスキャナ14にセットすると、スキャナ14により証明書の証明書画像を読取る。
S12、証明書画像を読取った制御部11は、それが2枚目でない場合はステップ11へ戻って他の証明書画像を読取る。それが2枚目の場合は毎葉読取を終了させてステップS14へ移行する。
【0037】
S13、証明書の同時読取が可能と判定した制御部11は、2つの証明書を同時に読取る同時読取を実行する。
すなわち、制御部11は、操作表示部13の表示画面13aに、スキャナ14の読取面14aと相似形状の読取面34に、健康保険証の3面と免許証との座標領域、および読取要領等を表示した図6に示す同時読取指示画面を表示し、顧客が表示された座標領域に従って持参した2種類の証明書をスキャナ14の読取面14aにセットすると、制御部11はスキャナ14により2種類の証明書の証明書画像を同時に読取って複合証明書画像を取得する。
【0038】
本実施例では、スキャナ14の読取面14aはA4判の大きさであるので、同時読取が可能な組合せは、図6に示す保険証3面サイズとカードサイズの組合せ、図7に示すカードサイズ同士の組合せ、図8に示すパスポートサイズとカードサイズの組合せの場合に同時読取が行われる。
なお、図6〜図8に破線で示す矩形は、スキャナ14のスキャニング範囲を示す。
【0039】
S14、複合証明書画像、または2つの証明書画像を取得した制御部11は、複合証明書画像を所得した場合は、その複合証明書画像にそれぞれの座標領域を添付した証明書情報を作成し、2つの証明書画像をそれぞれ所得した場合は、それらからなる証明書情報を作成し、作成した証明書情報を、通信ネットワーク3を介してオペレータ端末2へ送信して無人契約機1における証明書画像取得処理を終了し、オペレータ端末2からの審査結果の着信を待って待機する。
【0040】
SA3、無人契約機1からの証明書情報の着信を待って待機していたオペレータ端末2の制御部21は、証明書情報を受信したときにステップSA4へ移行する。証明書情報を受信しない場合は、前記およびステップSA1の待機を継続する。
SA4、証明書情報を受信した制御部21は、2つの証明書画像からなる証明書情報を受信した場合は、表示部23の画面にそれぞれの証明書画像をマルチウィンドウ形式で表示する。
【0041】
複合証明書画像とそれぞれの座標領域からなる証明書情報を受信した場合は、制御部21は表示部23の画面に、複合証明書画像とこれらを切分けて表示するための「切分け」ボタン等が表示された図9に示す複合証明書画像表示画面を表示する。
オペレータが、証明書の詳細画像を表示するために「切分け」ボタンを押下すると、これを検知した制御部21は、証明書情報の座標領域を基に複合証明書画像を切分け、これらを図9の画面上にマルチウィンドウ形式で表示した図10に示す切分け証明書画像表示画面を表示する。
【0042】
2つの証明書画像の表示、または証明書画像表示画面の表示を終えた制御部21は、オペレータ端末2における証明書画像取得処理を終了し、図示しないホストコンピュータ等との審査処理を開始する。
このようにして、本実施例の無人契約システムにおける証明書画像取得処理が行われた後に、オペレータ端末2の制御部21は、ホストコンピュータ等からの審査結果を受信すると、その内容を表示部23に表示し、オペレータがこれを基に取引限度額等を入力部24により入力すると、入力された取引限度額を添付した取引許可通知を無人契約機1へ送信する。
【0043】
取引許可通知を受信した無人契約機1の制御部11は、操作表示部13に審査が終了した旨や取引限度額等を表示し、顧客がその内容を確認して確認操作を行うと、制御部11は操作表示部13に契約書の記入要領や記入後の契約書の送付要領等を表示し、顧客がこれに従って契約書に氏名、住所等を記入して捺印し、これを帳票読取印刷部15にセットすると、制御部11は帳票読取印刷部15によって契約書の画像を読取り、この読取画像をオペレータ端末2へ送信し、オペレータ端末2から契約書確認通知を受信すると、カード発行部16によって顧客が使用するカードを作成して発行し、オペレータ端末2との通信ネットワーク3を介した通信を切断し、操作表示部13の表示画面13aに取引選択画面を表示して待機する。
【0044】
このようにして、本実施例の契約処理が行われる。
上記のように、本実施例の証明書画像取得処理においては、スキャナ14の読取面14aの大きさに納まる範囲の複数の証明書は、これらを同時に読取って複合証明書画像を取得し、これをオペレータ端末2で切分けて表示するので、証明書画像の読取り回数を減少させることができ、複数の証明書を必要とする契約処理の取引時間を短縮して無人契約機1の稼動効率を向上させることができる。
【0045】
また、一般的な証明書を読取るための読取領域である座標領域を自動的に設定するので、一般的な証明書の読取領域を設定するためのオペレータ端末2との交信時間が不要になり、無人契約機1の稼動効率を更に向上させることができる。
以上説明したように、本実施例では、無人契約機が、一般的な証明書に対応させて、その証明書のサイズ情報を格納する証明書サイズ情報格納手段を備え、顧客により入力された複数の証明書の選択入力を受付けたときに、証明書サイズ情報格納手段から、それぞれの証明書のサイズ情報を読出し、これらのサイズ情報を基にそれぞれの証明書画像を読取る座標領域を設定し、設定した座標領域を表示して複数の証明書がスキャナにセットされたときに、複数の証明書の証明書画像を同時に読取って複合証明書画像を取得し、これにそれぞれの座標領域を添付した証明書情報をオペレータ端末へ送信し、オペレータ端末は無人契約機からの証明書情報を受信したときに、受信した証明書情報の複合証明書画像を添付されている座標領域を基にそれぞれの証明書画像に切分けて表示するようにしたことによって、証明書画像の読取り回数を減少させることができると共に、一般的な証明書の読取領域を設定するためのオペレータ端末との交信時間を不要にすることができ、複数の証明書を必要とする契約処理の取引時間を短縮して無人契約機の稼動効率を向上させることができる。
【0046】
なお、上記実施例においては、サイズ情報は、矩形の短辺および長辺であるとして説明したが、それぞれの証明書サイズを構成する矩形の4隅の座標等であってもよい。
また、上記実施例においては、複合証明書画像は、同時に読取られた2種類の証明書画像により構成するとして説明したが、同時に読取った3種類以上の証明書画像により構成するようにしてもよい。
【0047】
更に、上記実施例においては、スキャナの読取面の大きさは、A4判の大きさであるとして説明したが、B4判やA3判の大きさ等であってもよい。要は同時に読取ることが必要な証明書の数や大きさに応じて適宜に定めればよい。
更に、上記実施例においては、証明書読取部はスキャナであるとして説明したが、複数の証明書の画像を同時に撮影することが可能なカメラ等であってもよい。
【0048】
更に、上記実施例においては無人契約機における口座開設の場合を例に説明したが、新規ローンの申込等の他の証明書画像の取得を要する取引の場合も同様である。
更に、無人契約機は金融機関に設置された無人契約機であるとして説明したが、保険業務やクレジット業務、商品購入等に用いる無人契約機であってもよい。要は複数の証明書の証明書画像の取得を要する取引を行う無人契約機であればどのような無人契約機を用いても、本発明と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施例のシステム構成を示すブロック図
【図2】実施例の無人契約機の外観を示す斜視図
【図3】実施例の証明書画像取得処理を示す流れ図
【図4】実施例の持参証明書選択画面の表示例を示す説明図
【図5】実施例の証明書サイズ選択画面の表示例を示す説明図
【図6】実施例の同時読取指示画面の表示例を示す説明図
【図7】実施例の同時読取指示画面の他の表示例を示す説明図
【図8】実施例の同時読取指示画面の他の表示例を示す説明図
【図9】実施例の複合証明書画像表示画面の表示例を示す説明図
【図10】実施例の切分け証明書画像表示画面の表示例を示す説明図
【符号の説明】
【0050】
1 無人契約機
2 オペレータ端末
3 通信ネットワーク
11 制御部
12 記憶部
13 操作表示部
13a 表示画面
14 スキャナ
14b 読取面
15 帳票読取印刷部
16 カード発行部
17 撮影部
18 顧客通話部
18a スピーカ
18b ハンドセット
21 制御部
22 記憶部
23 表示部
24 入力部
25 オペレータ通話部
31 ボタン表示エリア
32、33 表示欄
34 読取面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータが操作するオペレータ端末と、顧客が操作する無人契約機とを接続した無人契約システムにおいて、
前記無人契約機は、
一般的な証明書に対応させて、その証明書のサイズ情報を格納する証明書サイズ情報格納手段と、
顧客の身分を証明する複数の証明書の選択入力を受付ける手段と、
該選択された複数の証明書を基に、前記証明書サイズ情報格納手段から、それぞれの証明書のサイズ情報を読出す手段と、
該読出したそれぞれのサイズ情報を基に、それぞれの証明書画像を読取る座標領域を設定する手段と、
該設定した座標領域を表示する手段と、
該表示された座標領域に従ってセットされた複数の証明書の証明書画像を読取って複合証明書画像を取得する手段と、
該取得した複合証明書画像に、前記設定したそれぞれの座標領域を添付した証明書情報を、前記オペレータ端末へ送信する手段と、を備え、
前記オペレータ端末は、
前記無人契約機からの前記証明書情報を受信する手段と、
該受信した証明書情報の複合証明書画像を、前記座標領域を基にそれぞれの証明書画像に切分ける手段と、
該切分けた複数の証明書画像をそれぞれ表示する手段と、を備えることを特徴とする無人契約システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記無人契約機は、
前記選択された複数の証明書の少なくとも一つが、複数のサイズ情報が設定された一般的な証明書の場合に、該証明書のサイズの選択入力を受付ける手段を備えることを特徴とする無人契約システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記無人契約機は、
前記選択された複数の証明書の少なくとも一つが、一般的でない証明書の場合に、該証明書のサイズ情報の設定を要求するサイズ設定要求を、前記オペレータ端末へ送信する手段と、
前記オペレータ端末から、前記一般的でない証明書のサイズ情報を受信する手段と、を備え、
前記オペレータ端末は、
前記無人契約機からの前記サイズ設定要求を受信する手段と、
該サイズ設定要求を基に設定された証明書サイズの入力を受付ける手段と、
該受付けた前記一般的でない証明書のサイズ情報を、前記無人契約機へ送信する手段と、を備えることを特徴とする無人契約システム。
【請求項4】
オペレータが操作するオペレータ端末に接続し、顧客が操作して無人による契約取引を行う無人契約機において、
一般的な証明書に対応させて、その証明書のサイズ情報を格納する証明書サイズ情報格納手段と、
顧客の身分を証明する複数の証明書の選択入力を受付ける手段と、
該選択された複数の証明書を基に、前記証明書サイズ情報格納手段から、それぞれの証明書のサイズ情報を読出す手段と、
該読出したそれぞれのサイズ情報を基に、それぞれの証明書画像を読取る座標領域を設定する手段と、
該設定した座標領域を表示する手段と、
該表示された座標領域に従ってセットされた複数の証明書の証明書画像を読取って複合証明書画像を取得する手段と、
該取得した複合証明書画像に、前記設定したそれぞれの座標領域を添付した証明書情報を、前記オペレータ端末へ送信する手段と、を備えることを特徴とする無人契約機。
【請求項5】
請求項4において、
前記選択された複数の証明書の少なくとも一つが、複数のサイズ情報が設定された一般的な証明書の場合に、該証明書のサイズの選択入力を受付ける手段を備えることを特徴とする無人契約機。
【請求項6】
請求項4において、
前記選択された複数の証明書の少なくとも一つが、一般的でない証明書の場合に、該証明書のサイズ情報を、前記オペレータ端末から取得する手段を備えることを特徴とする無人契約機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−197833(P2008−197833A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31028(P2007−31028)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】