説明

無機濾過助剤を含む顔料粒状物

【課題】無機濾過助剤を含む顔料粒状物を提供する。
【解決手段】本発明は、無機濾過助剤を含む顔料粒状物、およびそれらを製造するための方法、ならびに石灰仕上げおよび/またはセメント仕上げ建築材料、アスファルト、塗料、表面仕上げ材、紙またはプラスチックを着色するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機濾過助剤を含む顔料粒状物、およびそれらを調製するための方法、および石灰系および/またはセメント系建築材料、アスファルト、塗料、表面仕上げ材(finishes)、紙またはプラスチックを着色するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
顔料粒状物を加工する際には、最適の着色印象を達成するために、顔料を摩砕して一次粒子にする必要がある。そうして得られた粉体は、極めて大量のダストを発生し、また、それらが微細に粉砕されているために、包装材、機械部品および計量装置に付着したり粘着したりする傾向がある。したがって、有毒有害物質の場合においては、その加工の際に、発生するダストからの作業者および環境に対する危険性を避けるための手段を講じることが必要となる。しかしながら、安全で不活性な物質たとえば、酸化鉄顔料の場合においてさえも、市場においては、ダスト汚染を回避することがますます望まれるようになってきている。
【0003】
したがって、建築材料および有機媒体の中で使用するときに、質的に均一な着色印象を与えるために、ダストを回避し、良好な流動性に基づいて計量性を改良することは、顔料の取扱いにおける目標である。この目標は、顔料に対して粒状化法を適用することによって、多少なりとも達成される。
【0004】
原則的には、市場は、顔料粒状物に対して、それが得られた調製法とは無関係に、二つの矛盾する性質、すなわちその粒状物の機械的な安定性と、使用する媒体中における良好な分散性とを要求している。機械的な安定性は、メーカーからユーザーへの輸送の際の良好な輸送性と、その顔料を使用する際の良好な計量性および流動性との両方に関係する。それは、高い付着力によってもたらされ、たとえば、バインダーの量およびバインダーのタイプに依存する。その一方で、分散性に影響を与えるのは、粒状化の前の良好な摩砕(湿式および乾式摩砕)、それぞれの塗布媒体の中に組み込む場合の機械的エネルギー(剪断力)、ならびにその粒状物を媒体の中に組み込む際にその付着力を直ちに低下させる分散剤である。最適の着色印象を得るためには、顔料粒状物を微粉砕して一次粒子にすることが必要である。無機顔料の場合においては、助剤/顔料のコスト比の関係から、比較的大量の分散剤を使用することには限度がある。さらに、助剤の割合が高いと、色強度または散乱能に相応の低下が起きる。たとえば建築材料の着色においては、色強度の変動は、一般的に±5%未満であるので、添加剤の使用は、たとえそれが接着性強化剤および分散剤として同時に機能するとしても、やはり限定される。さらに、添加剤は、それを用いて着色した最終製品たとえば、建築材料、アスファルト、プラスチック、塗料および表面仕上げ材の性能特性に悪影響を与えてはならないが、そのような性能特性は、たとえばコンクリートの場合においては圧縮強度または硬化挙動であり、アスファルトの場合においては圧縮強度または耐摩耗性であり、プラスチックの場合においては強度またはノッチ付き衝撃強度であり、エラストマー(ポリマー)の場合においては弾性であり、そして、塗料および表面仕上げ材の場合においてはレオロジー特性である。顔料の場合においては極めて一般的に、そして顔料粒状物の場合においては特に、水溶性画分を極めて低くするべきであるが、その理由は、事実上全ての適用媒体において、水溶性画分が問題を引き起こす可能性があるからである。
【0005】
建築材料、たとえばコンクリート製品を着色する場合、いくつかのケースでは、粉体の状態で顔料を使用する。摩砕された形態において、それらは分散性が良いという利点を有している。コンクリートミキサーの中ではそのような顔料粉体では、短時間、通常は数分の間に完全かつ均質な分散が起きる。このような微細な粉体の欠点は、それらが良好な流動挙動を示さず、多くの場合貯蔵している間に凝集して塊を形成することである。それらは包装材および機械部品に対して粘着し、その結果として、加工の際の正確な計量が困難になる。それらの粉体のさらなる欠点は、それらがダストを形成しやすいことである。
【0006】
建築材料を着色するために顔料を使用しているときの、ダストを回避することおよび計量性を改良することが、第一の目標である。1980年代の末以来、この目標は、顔料に対して粒状化法を適用することによって多少なりとも達成されてきた。そのような粒状化法としては、たとえば、ペレット化またはスプレー乾燥法による粒状化などがある。
【0007】
スプレー乾燥法による粒状化は、顔料の懸濁液から出発して、それに粒状化バインダーを添加する。スプレー乾燥法による粒状化では、一成分ノズルまたは二成分ノズルを介するか、あるいは噴霧乾燥機を介して並流的または向流的に実施するが、50〜500μmの平均粒子サイズを有する粒状物が得られる。これに相当する方法は、多くの特許に記載されていて、当業者には公知である。これらの方法においては、主として水溶性バインダーが使用される。したがって、たとえば(特許文献1)においては、有機物質、たとえば、リグニンスルホン酸塩、ホルムアルデヒド縮合物、グルコン酸、スルホン化ポリグリコールエーテルが出発物質として使用されている。前記の物質は、コンクリート混合物における高性能減水剤として機能する。それらは水/セメント比に影響を与え、コンクリートのコンシステンシーに影響する。
【0008】
(特許文献2)の教示によれば、無機塩、たとえば元素周期律表の最初の二つの主族のカチオンのリン酸塩、塩化物および硫酸塩を使用することも可能である。添加される易溶性塩の量は、顔料を基準にして、0.05〜5重量%である。すでに先に説明したように、顔料粒状物の水溶性画分は、可能な限り低くするべきである。したがって、易溶性塩(これは、ほとんど完全に水溶性画分の中に入ることになる)を、あからさまに添加することは不利となる。鉄筋コンクリートを着色するために顔料粒状物を使用するならば、塩化物を添加することはさらに不利となるが、その理由は、塩化物イオンが腐食を促進するからである。
【0009】
液滴を形成させるので、スプレー粒状化法では、易流動性の、すなわち低粘度の懸濁液を使用する必要がある。乾燥プロセスでは、比較的大量の水を蒸発させなければならないので、この方法はエネルギー消費型であり、特に、粒状化させるべき顔料が顔料調製プロセスの結果として湿式相たとえば水性懸濁液またはペースト中に存在しているような場合に、有利に使用することができる。たとえば強熱プロセスのような乾式調製プロセスで調製された顔料の場合には、スプレー粒状化は追加のプロセス工程の存在を意味しているが、その理由は、すでに乾燥された状態で得られている顔料をもう一度水の中に懸濁させて、乾燥させなければならないからである。
【0010】
(顔料粉体から出発する)ペレット化は、高攪流のミキサー中、流動床プロセス中、または回転ディスク(ペレット化ディスク)もしくは回転ドラム(ペレット化ドラム)中で実施することができる。これらのプロセス全部に共通しているのは、バインダー(一般的には水)の必要性が高く、そのために、追加のプロセス工程としてその後で乾燥をしなければいけないということである。特に、粉体の量に対して十分なバインダーが使用されなかったり、実際の配分が最適でなかったりした場合には、さらに、ペレット化においては様々なサイズの粒状物が得られる。そのために、粒状粒子のある程度の画分が大きすぎたり、それに対してもう一方では小さすぎるためにダストを発生させる画分が存在したりする。したがって、得られた粒状物を分級して、大きいもの(オーバーサイズ)および小さいもの(アンダーサイズ)をリサイクルさせる必要がある。回転ディスク(ペレット化ディスク)における粒状化では、粒子サイズの分布が広くなる。このことが、大きすぎる粒状粒子の分散性が悪いために望ましくないという場合には、粒状化プロセスに続けて、人手による徹底的なチェックをしなければならず、また、粒状物の調製は核の量を作業者が調節することによって最適化させなければならない。この場合通常は、分級して大きいものと小さいものをリサイクルさせることも有効である。
【0011】
ペレット化およびスプレー乾燥による粒状化に加えて、従来技術ではその他の粒状化プロセスについての記載もある。したがって、たとえば(特許文献3)には、スプレー乾燥およびペレット化を組み合わせた粒状化が記載されている。近年になって、粒状物をブリケッティング法および圧縮法によって製造することが可能となってきて、建築材料を着色するための市場に定着してきた。(特許文献4)および(特許文献5)には、乾燥顔料を含む無機顔料粒状物たとえば仕上げをした材料(finished material)が記載されており、これらは、1種または複数の助剤と混合する工程、圧縮する工程、ならびにそれに続くさらなる工程たとえば微粉砕、篩別、および篩上(オーバーサイズ)および/または微細物のリサイクルによって得られる。得られた粒状物は、安定性を向上させたり、あるいは加工助剤として役立ったりするさらなる層を用いて覆ってもよい。これらの粒状物は、今のところ、建築材料の着色においてかなりの商業的成功を得てきた。使用される助剤は、無機助剤、有機助剤のいずれであってもよい。使用される無機助剤は、実質的に水溶性の塩であるが、その一方で、各種のタイプのオイルが有機助剤としては適している。これらの添加剤はすべて、水を用いることによって、早かれ遅かれ洗い出す(抽出または溶出する)ことができる。当然のことながら、このような状況は望ましいものではないが、その理由は、特にこれは助剤としてオイルが使用された場合には、放出された助剤が環境または使用したそれぞれの媒体の中のいずれかに入り、その結果不都合が起きることが避けられないからである。
【0012】
(特許文献6)には、乾燥顔料を含む無機顔料粒状物たとえば仕上げした材料が記載されており、これらは、バインダーと混合する工程、圧縮する工程、ならびにそれに続くさらなる工程たとえばスクリーングラニュレーター上での粒状化、それに続く回転ディスク上または回転ドラム内でのペレット化によって得られる。このようにして製造された顔料粒状物は、たとえばコンクリートまたはアスファルトのような建築材料を着色するのに適している。このプロセスにおいては、水または水溶液がバインダーとして使用される。水不溶性バインダー、たとえばオイルを使用することも可能である。
【0013】
(特許文献7)には、オイルを添加することによって、乾燥顔料を含む無機顔料粒状物を製造するための多段プロセスが記載されている。この方法で製造された顔料粒状物は、プラスチックの着色および粉体コーティングの製造に適している。
【0014】
プラスチックまたは表面仕上げ材を着色するため、ならびに水性エマルション塗料または着色ペーストを製造するために好適な無機顔料粒状物が、(特許文献8)にも記載されている。それには、とりわけ建築材料、表面仕上げ材およびプラスチックを着色するため、ならびに水性エマルション塗料、着色ペーストおよびスラリーを製造するための無機顔料粒状物が記載されている。その粒状物には、1種または複数の、25℃で液状である水溶性、親水性もしくは疎水性/親水性の助剤、または、水溶性、親水性もしくは疎水性/親水性助剤の混合物であってその混合物が25℃で液体であるものが、0.1重量%〜10重量%の量で含まれている。これらの粒状物を製造するための、各種の製造プロセス、とりわけ、ペレット化およびスプレー乾燥による粒状化、ならびに圧縮プロセスが記載されている。この場合もまた、後で粒状物の上に残り、かつ水溶性画分に入る水溶性助剤を添加することが不利となる。
【0015】
(特許文献9)には、非極性媒体、たとえばアスファルト、ビチューメン、ビチューメン系物質、タールおよびプラスチックを着色するための顔料粒状物が開示されているが、それらは、顔料、非極性媒体の中で顔料の着色および分散を促進させる少なくとも1種の組成物、および/または極性の系のための少なくとも1種の分散剤、ならびに場合によっては溶媒、を含む混合物から製造される。着色および非極性媒体中への顔料の分散を促進する組成物は、好ましくは、ワックスからなる群より選択されるべきである。それらは、天然由来または合成由来のワックスである。合成ワックス、たとえばポリアルキレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレングリコールワックス、パラフィンワックス、スチレン−アクリレートワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックスなどを使用するのが好ましい。(特許文献8)の場合と同様に、(特許文献9)にも、粒状物を製造するための複数のプロセスが記載されている。しかしながら、既に前に述べたプロセス、たとえば、圧縮法およびブリケッティング法プロセス、スプレー乾燥法プロセスによる粒状化、流動床粒状化またはペレット化しか記載されていない。原理的には、(特許文献9)に記載されているワックスは、その化学的な性質の観点からは、既に他の特許で言及されているものである。それらは有機化合物であって、製造された粒状物は、非極性媒体を着色するためだけに使用することが可能である。
【0016】
このように、初期の従来技術には、各種のプロセスによって製造することが可能な多くの顔料粒状物が記載されている。ほとんどすべての場合において、粒状化のために固体または液体の有機助剤が使用されている。多くの場合、それらの有機助剤は水溶性でもある。しかしながら、無機助剤を添加した場合であってさえも、それらは通常、水性の塩溶液の形態で添加される。それらの物質の欠点は、水を用いることによって、それらが早かれ遅かれ洗い出される(抽出または溶出される)点にある。当然のことながら、このような状況は望ましいものではないが、その理由は、抽出または溶出された助剤が環境または使用したそれぞれの媒体の中のいずれかに入り、次いで不都合が起きることが避けられないからである。純粋に無機の系たとえば、コンクリートの場合においては、有機助剤は異物であり、それは、性質または効果に悪影響を与える可能性があるが、そのことについての予想は不可能である。
【0017】
(特許文献10)には、建築材料を着色するための微小粒状物が開示されているが、その微小粒状物は、1種または複数の顔料と、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、チタン、亜鉛および/またはスズの化合物との水性懸濁液から製造される。好ましくは、それらの化合物が酸化物および/または水酸化物の形態で存在し、それらはホウ酸塩、アルミン酸塩、ケイ酸塩、チタン酸塩、亜鉛酸塩またはスズ酸塩である。それらの化合物は、それらの溶液の形態、コロイドとして、もしくは懸濁液として、粒状物を製造するためのプロセスのどこでも、たとえば実際に顔料を形成している工程そのものの間においてさえも、添加することができる。しかしながら、開示されている実施例においては、水溶性化合物は通常、それらの溶液たとえば、ソーダ水ガラスもしくはアルミン酸ナトリウムの形態で使用されるか、または液状化合物たとえば、ケイ酸テトラエチルもしくはオルトチタン酸テトラエチルが使用される。ソーダ水ガラス溶液またはアルミン酸ナトリウムまたはケイ酸テトラエチル(このものは、先に述べたスプレー乾燥プロセスにおいて水溶液中で分解して、ケイ酸を与え、次いでそれが縮合する)を添加することは、それらの粒状物が極めて顕著なエージング効果を示すために、不利である。数週間または数ヶ月の内に、分散性が低下する。このエージング効果は、ほとんど予測不可能であるが、その理由は、そのことがとりわけ、粒状物の貯蔵温度に依存するからである。
【0018】
極めて最近になって、水不溶性の無機バインダーを含む粒状物が提案された。(特許文献11)では、親水性クレー、好ましくはポゾランがバインダーとして添加されている。
【0019】
(特許文献12)には、とりわけ建築材料、たとえばコンクリートを着色するための分散性顔料濃縮物が開示されているが、それには、少なくとも1種の顔料ならびに任意成分のバインダー、分散剤および湿潤剤を含み、ある程度の量の解砕剤を含むが、その解砕剤は、(十分な量の)水と接触させると、機械的な力を加えなくても1分以内に、濃縮物の一次構造を実質的に完全に解砕させて、顔料を放出させる。(特許文献12)の教示に従えば、そのような顔料濃縮物は極めて急速かつ完全に分散する。使用される解砕剤は好ましくは、10〜2000μmの間の粒子サイズを有する水不溶性のセルロース繊維である。得られた顔料粒状物は、建築材料たとえばコンクリート、プラスチックおよび合成樹脂、ならびに塗料および表面仕上げ材を着色させるのに適していると言われている。しかしながら、大きなセルロース繊維粒子を含む顔料粒状物は、塗料、表面仕上げ材およびプラスチックを着色するという実務的な観点からは、まったく不適切である。大きな不溶性のセルロース繊維は、スプレー乾燥プロセスによる粒状化を困難にするが、その理由は、そのセルロース繊維含有顔料懸濁液が極めて細いノズルを通してスプレーされるからである。このことは閉塞を招き、長期間の使用では詰まりが生じることになるであろう。したがって、セルロース繊維を添加する方法は、どのような製造プロセスにも一様に適しているとは言えない。セルロースを使用することに伴うさらなる欠点は、粉塵爆発の危険性を有する物質としてそれらが分類されることである。セルロースは、粉塵爆発の1類(class 1)に分類されており、そのため、粒状化プロセスにおいては、それらの貯蔵およびそれらの取扱いでは、高い安全規定に適合していなければならない。この安全に関する見解は、すべての微細に粉砕された有機固体に関係する。顔料粒状物の製造において解砕剤を使用することに関しては、すでに(特許文献13)に開示されている。そこでは、粒状物を製造する際に解砕剤を使用することが記載されていて、それが、建築材料またはアスファルトを着色するためには適しているとされている。解砕剤には通常、強親水性のポリマーが含まれ、それは相応の水に対する強い吸収性を有している。そのような粒状物は、アスファルト混合物の中では、十分に急速かつ良好に分散しないであろうと考えられるが、その理由は、アスファルトの加工に際しては、水がまったく存在していないからである。(特許文献14)および(特許文献15)にも、粒状物を製造する際に解砕剤を使用することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】独国特許出願公開第3 619 363A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第41 19 667A1号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0 507 046A1号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第196 38 042A1号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第196 49 756A1号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第43 36 613A1号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第43 36 612A1号明細書
【特許文献8】独国特許出願公開第197 04 943A1号明細書
【特許文献9】独国特許出願公開第100 03 248A1号明細書
【特許文献10】独国特許出願公開第39 18 694A1号明細書
【特許文献11】米国特許第6,596,072B1号明細書
【特許文献12】独国特許出願公開第103 19 483A1号明細書
【特許文献13】独国特許出願公開第197 31 698A1号明細書
【特許文献14】独国特許第100 02 559B4号明細書
【特許文献15】独国特許第100 66 190B4号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、不利となる添加剤を使用することなく、流動性があり、粉塵飛散がなく、容易に分散させることが可能な顔料粒状物を得ることであった。好ましくは、それらの顔料粒状物は、(十分な量の)水と接触させたときに、機械的な力を加えなくても極めて短時間の内に解砕され、それらの粒状粒子の一次構造の実質的に完全な解砕が起きて、顔料が放出される。
【課題を解決するための手段】
【0022】
驚くべき事には、この目的は、1種または複数の無機および/または有機顔料ならびに少なくとも1種の無機濾過助剤を含む顔料粒状物によって、極めて傑出した方法で達成される。
【0023】
好ましくは、本発明による顔料粒状物は、(十分な量の、すなわち実質的に過剰な)水と接触させると、1分以内、特に好ましくは30秒以内に解砕され、機械的な力を加えなくても、それらの粒状粒子の一次構造の実質的に完全な解砕が起きて、顔料が放出される。
【0024】
本発明の文脈においては、「粒状物」という用語は、処理工程によって、その平均粒子サイズが出発物質に比較して大きくなっているようなすべての物質の意味合いと理解されたい。したがって、「粒状物」にはスプレー法粒状物および圧縮粒状物(圧縮法またはブリケッティング法により製造された粒状物)だけではなく、たとえば、湿式(wetまたはmoist)処理とそれに続く微粉砕による生成物、乾燥工程または実質的に乾燥加工工程の生成物、たとえば乾燥条件下で製造された粒状物、ブリケットなどもまた含まれる。
【0025】
「濾過助剤」とは、極めて微細に粉砕されるか、濾過困難である懸濁液を濾過する際に、可能な限りでフィルターケーキの迅速な生成を可能とする物質を意味していると理解されたい。それらが存在することによって、フィルターケーキの内部に多くの毛細管が形成されることとなるが、それらの毛細管は、固形を保持するのに十分に小さいだけではなく、最適な透過率を与えるのに十分な数でもある。
【0026】
20℃では水中に事実上不溶性であるような無機濾過助剤が特に適している。20℃での中性の水の中へのそれらの水溶解度は、好ましくは3重量%未満、特に好ましくは0.5重量%未満である。したがって、それらの無機濾過助剤は事実上水不溶性であり、そのため、顔料粒状物中の水溶性画分の増加に寄与することはない。
【0027】
本発明による顔料粒状物には、無機濾過助剤として、シリカゲル、珪藻土および/またはパーライトが含まれるのが好ましい。それらの無機濾過助剤は、独国特許出願公開第103 19 483A1号明細書に記載されている解砕剤よりは実質的に細かく粉砕されており、粉塵爆発の危険を伴わない。さらに、それは実質的により低コストである。いくつかの場合においては、市場で入手可能な無機濾過助剤の価格は、セルロース系解砕剤の価格の25%未満である。
【0028】
好ましい濾過助剤としては、珪藻土を使用する。珪藻土(kieselguhr、別名、diatomaceous earth、infusorial earth、またはmountain flour)は、ケイ質岩に属する、極めて細かく粉砕され、疎で、軽量で、チョーク様で、一般的には淡灰色の沈降物である。珪藻土は、三畳紀以後、淡水、汽水、および塩水中の微細な珪藻生物の各種の形状のシリカ骨格からなる。化学分析からは、いくつかのケースにおいては、鉄、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、チタン、ナトリウム、カリウム、リンおよび硫黄の含量が極めて低い。
【0029】
濾過助剤としてシリカゲルを使用することも同様に好ましい。シリカゲル(ケイ酸ゲルと呼ばれることもある)は、弾性体〜固形物のコンシステンシーの、コロイド形成または非形成ケイ酸であって、疎〜密な細孔構造と、ガス、蒸気および液体に対して強い吸着性を有している。SiClを火炎熱分解させることにより調製される、微粉砕された「熱分解法」SiOグレードはシリカゲルには分類されず、ケイ酸に分類される。たとえばEvonik Industries(旧社名、Degussa)からAerosil(登録商標)の商品名で市場で入手可能なそれらの製品は、本発明の文脈においては、濾過助剤ではない。
【0030】
濾過助剤としてパーライトを使用することも同様に好ましい。パーライト(真珠岩)は、通常は淡灰色、さらには黒色の流紋岩組成の火山ガラスであって、その組成は70〜76%のSiO、11〜18%のAl、4〜6%のKO、7%までの水である。その呼び名は、貝殻状の屈折を示す、その岩の真珠様の外観から来ており、そのように見えるのは、mm〜cmのサイズの小さなガラス球と、同心的な貝殻状の構造のためである。この産物は、不燃性であり、耐風化作用性であって、腐敗したりぼろぼろになったりすることなく、そのために濾過助剤としては極めて顕著に適している。
【0031】
顔料粒状物には、無機濾過助剤が、顔料粒状物の全量を基準にして、合計量で0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜7.5重量%、特に極めて好ましくは0.1〜3.5重量%で含まれているのが好ましい。
【0032】
無機濾過助剤は、自明のことではあるが、各種の、とりわけ、それらの比表面積において微粉砕された形態を有することが可能であり、比表面積は、DIN 66 131に従ったBET一点法によって測定することができる。無機濾過助剤の比表面積は、2から最大800m/gまでの間であってもよいが、この範囲内であるのが好ましい。使用される無機濾過助剤が、2〜5m/gの比表面積を有するパーライトであるのが好ましい。好ましく使用される、か焼またはフラックスか焼された(flux−calcined)珪藻土は、25〜50m/gの比表面積を有している。好ましく使用されるシリカゲルは、100〜400m/gの比表面積を有している。
【0033】
比表面積に加えて、平均粒子サイズおよび粒子サイズ分布もまた、濾過助剤の微粉砕された性質についての情報を与える。それらの無機濾過助剤が一般的には水不溶性の化合物であるので、それらの粒子サイズはレーザー回折計を使用すれば、極めて迅速に、利便性良く、正確に測定することができる。
【0034】
顔料粒状物は、開示された測定法に従って、80μm未満、特に好ましくは40μm未満のD50値を有する無機濾過助剤を含んでいるのが好ましい。D50値は、測定した粒子の50%がその数値よりも小さくなるような粒子サイズ(中央粒子サイズ;メジアン径)を示しており、同様にD90値は、測定した粒子の90%がその数値よりも小さくなるような粒子サイズを示している。パーライトは、無機濾過助剤の内でも最も粗いものである。パーライト濾過助剤を代表する二つの典型的なものである、Dicalite(登録商標)478およびDicalite(登録商標)4208(Dicalite Europe NVからの市販品)では、いずれのD50値も26μmであり、D90値はそれぞれ55μmと56μmである。したがって、それらの粒子サイズ分布はきわめて狭い。したがって、それらのパーライトは、独国特許出願公開第103 19 483A1号明細書に記載の解砕剤として使用可能なセルロースよりも、実質的に微粉砕されている。そのD50値は一般的には100μmまたは実質的にはそれよりも大きく、それらのD90値は350μmであるが、1000μm以上となることもありうる。珪藻土は、好ましくは40μm未満、特に好ましくは30μm未満のD50値を有する。シリカゲルは、さらに細かく微粉砕されていることも可能である。
【0035】
無機濾過助剤は同様に、ある程度の透過率および透過ケーキ密度(permeability cake density、PCD)を有しているのが好ましい。
【0036】
各種の無機濾過助剤は、一般的には、PCD値の違いによって区別される。本発明による顔料粒状物には、好ましくは0.10〜0.52g/mL、特に好ましくは0.15〜0.46g/mLの範囲の、本明細書に開示の測定方法に従った透過ケーキ密度(PCD)を有する無機濾過助剤が含まれる。好適に使用されるパーライトは、そのPCD値に関しては0.15〜0.43g/mLの範囲にあるのが好ましい。濾過助剤としてのパーライトは、珪藻土よりも密度の低いフィルターケーキを形成する。好適に使用される珪藻土は、そのPCD値に関しては0.37〜0.46g/mLの範囲にあるのが好ましい。
【0037】
濾過助剤におけるさらなる重要な特性は、それらの透過率である。濾過助剤の透過率はダルシー(Darcy)の単位であらわされ、標準化された試験装置で測定することができる。1ダルシーは、圧力差が1気圧の下で、1秒間に1cmの面積を通して、1cPの粘度を有する液体1cmを流すことが可能な、厚み1cmの濾過材を通した透過率に相当する。無機濾過助剤の透過率は、極めて広い範囲に及びうる。好適に使用される珪藻土は、0.02〜30.0ダルシーの間の透過率を有している。0.025〜8.0ダルシーの透過率を有する珪藻土を使用するのが特に好ましい。好適に使用されるパーライトは、0.02〜10ダルシーの間の透過率を有している。0.06〜8.0ダルシーの透過率を有するパーライトを使用するのが特に好ましい。
【0038】
本発明による顔料粒状物には、有機着色顔料および無機着色顔料の両方、または無彩顔料(黒色顔料および白色顔料)を含まれていてもよい。酸化鉄、二酸化チタン、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化マンガン、ルチル混合相顔料およびカーボンブラック(炭素顔料)ならびにそれらの混合物が、無機顔料として好適に使用される。アゾ、キナクリドン、フタロシアニンおよびペリレン顔料ならびにインジゴイド、またはそれらの混合物が、有機顔料として好適に使用される。1種または複数の有機顔料との混合物として、1種または複数の無機顔料を使用することもまた考えられる。金属光沢顔料または効果顔料を使用することも可能ではあるが、あまり好ましくはない。
【0039】
場合によっては、本発明による顔料粒状物にさらなる助剤が含まれていてもよい。本発明による顔料粒状物には、助剤として以下のものを含むのが好ましい:湿潤剤、または分散用添加剤、または水、またはリン酸塩、ホスホン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、アルミン酸塩、ホウ酸塩、チタン酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、ステアリン酸塩、酢酸塩からなる群からの塩、セルロース誘導体たとえば、特に、セルロースエーテルもしくはセルロースエステル、ホスホノカルボン酸、変性シラン、シリコーン油、生物学的栽培からの油(特に、ナタネ油、ダイズ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヤシ油、ヒマワリ油)、精製パラフィン系および/またはナフテン系鉱油、または合成的に製造された油。
【0040】
湿潤剤は好ましくは以下のものである:グルコン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族アルコール硫酸塩、脂肪族アルコールエーテル硫酸塩、スルホン化ポリグリコールエーテル、脂肪族アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、アルキルフェノール、グリコール、ポリエーテル、ポリグリコール、ポリグリコール誘導体、エチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマー、分岐および/または直鎖のアルカンスルホン酸塩もしくはオレフィン−スルホン酸塩、分岐および/または直鎖のアルカン硫酸塩もしくはオレフィン−硫酸塩、およびスルホコハク酸塩、またはそれらの溶液もしくは混合物もしくは懸濁液もしくはエマルション。本発明による顔料粒状物がポリエチレングリコールを含んでいるのが好ましい。
【0041】
分散用添加剤としては以下のものが好ましい:リグニンスルホン酸塩、メラミンスルホン酸塩、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレン−ホルムアルデヒド縮合物、セッケン、金属セッケン、部分加水分解または完全加水分解したポリビニルアルコール、ポリビニルスルフェート、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボキシレートエーテル、ポリヒドロキシ化合物、ポリヒドロキシアミノ化合物、中鎖および長鎖アルカン硫酸塩もしくはアルカンスルホン酸塩もしくはアルカンスルホコハク酸塩、ならびに中鎖および長鎖アルカンリン酸塩もしくはアルカンホスホン酸塩。本発明による顔料粒状物がリグニンスルホン酸塩を含んでいるのが好ましい。
【0042】
本発明による顔料粒状物は、顔料粒状物を基準にして、助剤を、合計量として、好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%含む。
【0043】
充填剤は、充填組成物、増量組成物、あるいは増量剤とも呼ばれる。これらのものは一般的には、比較的安価な物質であって、顔料粒状物に混合して、その容積および/または重量を増やしたり、さらにはその技術的性能を改良したりするためのものである。原理的には、充填剤の混合は、粒状化の前後いずれでも可能である。充填剤の混合は、単一または複数の無機濾過助剤および任意のさらなる助剤と共に、粒状化の前に実施するのが好ましく、それによって充填剤粒子が個々の粒状粒子の中に均質に分散される。そのようにすることで、徹底的に均質な顔料粒状物を得ることができる。
【0044】
充填剤は、無色の無機または合成の薄片状もしくは非薄片状の粒子であるのが好ましく、以下のものから選択するのが特に好ましい:タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ナイロン粉体、ポリ(β−アラニン)粉体、ポリエチレン粉体、Teflon(登録商標)、ラウロイルリシン、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、ポリテトラフルオロエチレン粉体、ポリメタクリル酸メチル粉体、ポリウレタン粉体、ポリスチレン粉体、ポリエステル粉体、合成中空マイクロスフェア、マイクロスポンジ、シリコーン樹脂を含むマイクロスフェア、ジルコニウムおよびセリウムの酸化物、沈降炭酸カルシウムもしくはチョーク、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、ヒドロキシルアパタイト、ケイ酸を含む中空マイクロスフェア、ガラスを含むかもしくはセラミックを含むマイクロカプセル、8〜22個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する有機カルボン酸から誘導される金属セッケン、たとえばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ならびに薄片状のポリエチレンテレフタレート/ポリメタクリレートポリマー。
【0045】
本発明による顔料粒状物には、顔料粒状物を基準にして、全量で40重量%以下、特に好ましくは10重量%以下の充填剤を含んでいるのが好ましい。
【0046】
本発明による顔料粒状物は、顔料粒状物の少なくとも85%が、60〜3000μmの範囲、特に好ましくは80〜1500μmの範囲の粒子サイズを有していることを特徴としているのが好ましい。
【0047】
本発明による顔料粒状物は、ビーズ状の粒状物として存在させるのが好ましい。そのようなビーズ状の粒状物は、顔料懸濁液または顔料ペーストから出発して、スプレー乾燥法によって得るのが好ましい。具体的には、スプレーディスクまたはスプレーノズルを用いて向流法または並流法で運転されるスプレー乾燥機(噴霧乾燥機)を使用する。このプロセスによって得られる顔料粒状物は、一般的には、80〜250μmの範囲の平均粒子サイズを有する。
【0048】
本発明による顔料粒状物を、圧縮化またはブリケット化粒状物として存在させるのもまた好ましい。そのような粒状物はさらに、乾燥顔料たとえば、仕上げた材料から出発して製造することもまた可能である。その製造プロセスには、少なくとも1段の圧縮法もしくはブリケッティング法工程と、それに続く、たとえば微粉砕、篩別、および粗物質および/または微細物質のリサイクルなどのさらなる工程が含まれる。得られた粒状物は、追加の層を用いて覆うことも可能であり、その層は安定性を向上させたり、あるいは加工助剤として役立ったりする。圧縮化またはブリケット化粒状物は、場合によっては、コーティングの前もしくは後に、丸め工程によって丸めてもよく、その結果として、流動挙動がさらに改良される。
【0049】
本発明による顔料粒状物は、好ましくは5重量%未満、特に好ましくは4重量%未満の残存水分含量を有する。これは、場合によっては、それに続く乾燥工程で達成することができる。
【0050】
本発明はさらに、公知の方法で調製された1種または複数の無機および/または有機顔料を、少なくとも1種の無機濾過助剤および場合によってはさらなる助剤および/または充填剤と混合し、その混合物を粒状化プロセスにかけることを特徴とする、顔料粒状物を製造するための方法にも関する。
【0051】
本発明による顔料粒状物の製造は、乾燥顔料から、あるいは湿式相(懸濁液またはペースト)中のいずれから出発しても実施することができる。
【0052】
湿式相から出発して本発明による顔料粒状物を製造するのが特に有利であるが、その理由は、合成的に調製された顔料の多くのものが、湿式相中で合成されるからである。次いで、液体から固体を分離することが、一般的には濾過によって実施されるが、ほとんどすべての場合、洗い流して顔料から塩を除去するための洗浄工程がそれに続く。顔料粒子が最適の着色印象を達成するためには、可視光線の波長の長さのオーダーでなければならないので、顔料は一般に、極めて微粉砕された製品である。顔料の一次粒子は、約1μmのオーダーの大きさである。そのために、そのように微粉砕された製品は、濾過が困難であり、したがって顔料調製における総合的な仕上げプロセスにおいては、その濾過および洗浄プロセスが極めて重要となる。したがって、不適切な濾過材が選択された場合には、極めて大量の固形物がそのフィルターを通過することが可能であり、その後では、フィルター通過材料としてロスとなるか、あるいは複雑な方法を用いてリサイクルしなければならないかのいずれかとなる。いずれの場合でも、製造プロセスの経済性および能力に著しい犠牲を与えることとなるであろう。極めて大量の物質がフィルターを通過したということは、たとえば、あまりにも粗い孔構造を有する濾過材を選択したことの結果である可能性がある。その着色性が粒子のサイズおよび粒子の形状に極めて大きく依存する着色顔料の場合においては、顔料懸濁液中の微粉砕された顔料粒子が濾過材を通過してしまって、フィルター通過物質として失われ、その一方で粗い粒子が残る可能性がある。しかしながら、その結果として、その顔料ペーストの全体としての組成が変化し、それによって、実質的な好ましくない色の変化が多少なりとももたらされる。その一方で、あまりにも細かい孔構造を有する濾過材を使用すると、濾過および洗浄にかかる時間が極端に長くなる。最悪の場合には、短時間の内に濾過材が目詰まりを起こし、濾過プロセスを停止させなければならなくなる。濾過することが困難な、特に細かく粉砕された固体粒子の濾過を容易とするためには、濾過助剤を使用することができる。顔料の濾過および/または洗浄の前または途中に無機濾過助剤の混合を実施すると、固液分離や、場合によってはさらに洗浄において、濾過助剤の極端に有効な効果をさらに利用することができる。濾過および/または洗浄の際にそれらが存在することによって、フィルターを通過する物質の結果としての顔料のロスを実質的に低下させることができ、さらに場合によっては、濾過および洗浄の時間を短縮することも可能である。
【0053】
無機濾過助剤を1種または複数の無機または有機顔料と混合することが、好ましいことには湿式相に効果を与え、その後で、その湿潤混合物を粒状化プロセスにかける。その湿式相が、顔料調製プロセスからの水性懸濁液またはペーストであるのが好ましい。その顔料懸濁液を、分散にかけた後に濾過助剤と混合するのも好ましい。その分散工程の間に、好ましくは、顔料が二つの表面の間で摩砕されたり、顔料凝集物が急速回転ディスクによって生じる衝撃および剪断力によって破壊されたりする。それら2種の手順を組み合わせることもまた可能である。それらの原理に従って運転され、固体顔料を液体相の中に分散させるのに好適な分散装置はいずれも当業者には公知である。この方法で調製された顔料懸濁液は次いで、濾過助剤と混合して、濾過工程へフィードすることができる。
【0054】
原理的には、湿式相中で無機濾過助剤を1種または複数の無機または有機顔料と混合することをまず実施し、次いで、そうして得られた混合物を分散工程にかけることもまた可能である。次いで、顔料凝集物のみならず同時に無機濾過助剤の凝集物または粒子を、その分散工程の間に破壊することもできる。その分散工程のためには、先に説明したのと同じユニットを使用することができる。次いで、そうして調製された顔料/濾過助剤懸濁液を濾過工程にフィードすることができる。
【0055】
原理的には、無機濾過助剤を懸濁させて、次いで液体の形状で、顔料懸濁液または顔料ペーストに計量仕込みすることも可能である。懸濁液媒体としては、水が好適に使用される。次いで、分散工程の間に、無機濾過助剤の凝集物を破壊することもできる。分散工程のためには、先に説明したものと同一のユニットを使用することができる。一般的には、分散工程のために撹拌ユニットを使用すれば、完全に十分である。次いで、そうして調製された顔料/濾過助剤懸濁液を濾過工程にフィードすることができる。そのため、この場合においては、濾過助剤の懸濁液は、濾過の前またはまさに濾過の途中に、顔料懸濁液または顔料ペーストの中にそれを計量仕込みすることによって、湿式相中で、顔料と混合される。たとえば、最初に導入された濾過混合物の中へ直接的に計量仕込みするか、またはフィルターフィードの中もしくはフィルタートレイの中に計量仕込みすることができる。濾過よりも前もしくは濾過中に湿式相の中で、無機濾過助剤を顔料と混合する場合には、その濾過助剤が、いわゆるボディフィード法(連続計量仕込み法)に従って機能する。そうすると、ゆっくりと成長するフィルターケーキが締まることなく、透過性を保持し、そのフィルター寿命が実質的に長くなる。
【0056】
濾過には、連続法またはバッチ法濾過装置を使用することができる。その濾過は、加圧下で実施することも、減圧して実施することも可能である。
【0057】
連続法濾過においては、たとえば、真空ドラムフィルターの助けを借りて実施することも可能であるが、濾過助剤の助けを借りて、いわゆるプレコート法によって濾過を実施するのが特に有利である。その場合には、まず濾過助剤の薄層(プレコート)を濾過材に適用してから、顔料懸濁液を実際に濾過する。これは、たとえば、濾過の開始時に、フィルターの上でまず上述の濾過助剤懸濁液を濾過させることによって実施することができる。それによって、一般的には1.0〜3.0mmの濾過助剤の層が濾過材の上に形成される。このことによって、その後に、濾過材が保護され、その表面上に顔料粒子を保持することによって、透明な濾液が確実に排出されるようになる。そのプレコート層を最も簡単に形成させるには、濾過助剤懸濁液を濾過材の上にポンプ循環させる。そうすると、粗い粒子がまず濾過材の上に堆積し、次いで細かい粒子が堆積する。プレコート層の適用は、約40L/m/分の速度で実施するのが好ましいが、この数値は単なる目安の値にすぎない。濾過助剤の懸濁液が実際のところ極めて高粘度であるような場合には、実質的にもっと低い速度とするのが有利である。
【0058】
ボディフィード法によるかまたはプレコート法によって、顔料懸濁液の濾過が無機濾過助剤の影響を受けるか否かとは関係なく、原理的には、それによって改良された性質を有する顔料粒状物が得られるのならば、添加する濾過助剤の量を、純粋な濾過の場合に必要とされるレベルよりも高くすることが有利となりうる。当然のことながら、濾過プロセスにおいては、濾過プロセスおよび/または洗浄プロセスを改良するために必要な濾過助剤の量だけを添加することもまた可能である。濾過プロセスにおいては、必要とされるだけの量の無機濾過助剤を添加するのが好ましい。濾過および/または洗浄の直後に、それぞれのさらなるプロセス工程において、さらなる無機濾過助剤を次いで添加することも可能である。このものは、濾過を実施するのに使用したものと同一の無機濾過助剤である必要はない。1種または複数のその他の無機濾過助剤を添加して、様々な濾過助剤を含む顔料粒状物が最終的に得られるようにするのが極めて有利となることもあり得る。
【0059】
一般的には、1種のみの濾過助剤を添加するのならば、無機濾過助剤を用いて顔料懸濁液を濾過すれば十分である。このことは、プレコート法による濾過およびボディフィード法による濾過の両方にあてはまる。まったく同様に、ある種の顔料の濾過および/または洗浄においては、複数の無機濾過助剤の混合物を使用することが有利となることもあり得る。それらの濾過助剤混合物の添加量は、それによって改良された性質を有する顔料粒状物を得ることができるのならば、純粋な濾過の場合に必要とされるレベルより多くてもよい。当然のことながら、濾過プロセスの場合においては、濾過および/または洗浄プロセスを改良するのに必要な量だけの濾過助剤混合物を添加することも可能である。濾過プロセスにおいては、無機濾過助剤の混合物の必要とされる量だけを添加するのが好ましい。濾過および/または洗浄の直後に、それぞれのさらなるプロセス工程において、1種または複数のさらなる無機濾過助剤を次いで添加することも可能である。
【0060】
濾過および任意工程の洗浄プロセスの後にフィルターから取り出される顔料には、その前に添加された1種または複数の無機濾過助剤が含まれる。ボディフィード法によって濾過を実施したとすると、濾過材から取り出される顔料/濾過助剤混合物は実質的に均質である。プレコート法による濾過の場合には、そのような想定をすることはできない。したがって、この場合には、フィルターケーキに対してさらに均質化工程を実施するのが好ましい。これは、たとえば、ミキサー、スクリュー、ニーダー、ロールミル、ボールミルまたは撹拌ボールミルを使用することによって、ペースト状のフィルターケーキに直接実施することもできる。そのようにして得られたペースト状の顔料/濾過助剤のフィルターケーキを、押出加工粒状物またはペレットを製造するために使用することができるが、次いで乾燥工程も実施しなければならない。しかしながら、得られたペースト状の顔料/濾過助剤のフィルターケーキを、乾燥させ、場合によっては摩砕し、次いで乾燥顔料/濾過助剤混合物として粒状化プロセスにかけることも可能である。そのような場合には、乾燥した粉状の顔料/濾過助剤混合物から出発して顔料粒状物を製造するために、圧縮法またはブリケッティング法プロセスも可能である。しかしながら、たとえば、スプレー粒状化、または流動床乾燥させてビーズ状の粒状物に転換するために、得られたペースト状の顔料/濾過助剤のフィルターケーキを、さらなる加工工程において、水またはその他の液体を用いて再度希釈するような場合には、その均質化は、水または液体を添加した後に実施するのが好ましいが、その理由は、それによって粘度が低下して、均質な懸濁液を調製するための撹拌ユニットまたは溶解機を問題なく使用できるようになるからである。本発明による顔料粒状物を製造するための粒状化プロセスは、スプレー乾燥法または流動床乾燥法によって実施するのが好ましい。
【0061】
無機濾過助剤と1種または複数の無機または有機顔料との混合は湿式相で行うことが好ましく、その湿潤混合物を粒状化プロセスにかける。その湿式相が、凝集された粒子のさらなる分散体であるのが好ましい。すでに凝集された粒子をさらに分散させる手段によって、1種または複数の有機濾過助剤と反応させるための顔料懸濁液または顔料ペーストを、顔料粉体から出発して、目標とする方法で調製することができる。顔料懸濁液または顔料ペーストを分散させた後に、濾過助剤と混合させるのもまた好ましい。その湿式相が、上記顔料調製プロセスからの懸濁液またはペーストである場合には、原理的には、既に先に述べたのと同じユニットを使用することができる。既に先に述べたように、濾過助剤は、直接固形物として、または顔料懸濁液または顔料ペーストの予め調製しておいた懸濁液の形態で、計量仕込みすることができる。その湿式相が、凝集された粒子のさらなる分散体、すなわち、たとえば処理の終わった材料であるのならば、もはやさらなる濾過および洗浄は必要なく、そのため、顔料/濾過助剤混合物の乾燥を直接実施することができる。乾燥工程のために既に先に述べたようなユニットを、当業者は使用することができる。乾燥は、スプレー乾燥法または流動床乾燥法によって実施するのが好ましい。スプレーディスクまたはスプレーノズルを用い、並流法または向流法により運転されるスプレー乾燥機(噴霧乾燥機)を使用するのが好ましく、その手段によってビーズ状の粒状物を得ることができる。
【0062】
容易に濾過することが可能であって、それに対して無機濾過助剤を添加することによって濾過および洗浄プロセスを改良することが必ずしも必要でないような顔料の場合においては、1種または複数の無機濾過助剤の添加を濾過の後だけに実施することも可能である。フィルターケーキをまず乾燥させ、1種または複数の無機濾過助剤との混合を乾燥状態で実施するような場合においては、その方法が特に有利である。乾燥工程のためには、当業者は各種のユニットを利用することができる。乾燥は、スプレー乾燥法または流動床乾燥法またはベルト乾燥機の助けを借りて実施するのが好ましい。選択した乾燥ユニットに依存するが、摩砕工程がその後で必要となることもあり得る。摩砕の前または後に、追加としてさらなる無機濾過助剤を添加して、混ぜ込んでもよい。混合には、慣用される工業装置はどのようなものでも使用することができる。ほんの少量の1種または複数の無機濾過助剤を大量の顔料と混合する場合には、プレミックスを調製しておくのが有利となるかもしれない。次いで場合によっては、そうして得られた顔料/濾過助剤混合物を摩砕させてもよい。
【0063】
適切な粒状化プロセスの選択は、とりわけ、1種または複数の無機濾過助剤が湿式相そのもの(懸濁液またはペースト)の中に添加されるのか、あるいは予め乾燥された顔料に添加されるのか、に依存する。無機濾過助剤を1種または複数の無機または有機顔料と混合することが、好ましいことには乾燥相に効果を与え、その後で、その乾燥混合物を粒状化プロセスにかける。この場合には、圧縮法もしくはブリケッティング法プロセスまたはペレット化が有利である。本発明による顔料粒状物を製造するための粒状化プロセスは、圧縮法またはブリケッティング法プロセスであるのが好ましい。そのような粒状化プロセスには、1種または複数の圧縮法またはブリケッティング法工程と、それに続くたとえば篩別/摩砕のような工程、篩別並びに粗物質および/または微細物質のリサイクル工程、場合によっては、回転ディスク(ペレット化ディスク)上、コーティングパン中、または回転ドラム(ペレット化ドラム)中、篩ユニット中もしくは流動化床中もしくは流動床中での丸め工程またはペレット化工程が含まれる。従来から、回転ディスク(ペレット化ディスク)または回転ドラム(ペレット化ドラム)上、高撹流ミキサー中で実施されてきたような、純粋なペレット化も同様に可能である。
【0064】
製造プロセスの間に、1種または複数の充填剤をいつでも添加することもできる。それらは、たとえば、濾過の前、濾過中、または濾過後に添加することができる。乾燥粉体から出発して粒状化を実施する場合には、次いで、1種または複数の充填剤を、乾燥の後でかつ粒状化プロセスの直前にだけ添加することも可能である。顔料粉体または顔料/濾過助剤混合物を、乾燥後かつ粒状化の前にさらに摩砕するような場合には、1種または複数の充填剤を、摩砕の前に添加することもできる。
【0065】
製造プロセスの間に、1種または複数の助剤をいつでも添加することもできる。それらは、たとえば、濾過の前、濾過中、または濾過後に添加することができる。それらが水溶性または溶出性の助剤であるならば、それらは、顔料/濾過助剤混合物に、濾過の後にのみ添加するのが好ましい。乾燥粉体から出発して粒状化を実施する場合には、次いで、1種または複数の助剤を、乾燥の後でかつ粒状化プロセスの直前にだけ添加することも可能である。顔料粉体または顔料/濾過助剤混合物を、乾燥後かつ粒状化の前にさらに摩砕するような場合には、1種または複数の助剤を、摩砕の前に添加することもできる。
【0066】
本発明による顔料粒状物は、良好な流動性、低ダスト含量、水中への速解砕性、および全ての媒体に対する高分散性を特徴としている。
【0067】
本発明はさらに、石灰系および/またはセメント系建築材料、たとえばコンクリート、セメントモルタル、モルタル下塗り、石灰砂岩などの着色のため、ならびにアスファルトおよび紙の着色のため、ならびに有機媒体、表面仕上げ材、プラスチックおよび顔料ペーストの着色のため、ならびにエマルション塗料およびスラリーの製造のため、の本発明による顔料粒状物の使用にも関する。本発明の文脈においては、石灰系および/またはセメント系建築材料は、好ましくは、コンクリート、セメントモルタル、モルタル下塗りおよび石灰砂岩である。「アスファルト」という一般的な用語には、アスファルト、ビチューメン、すべてのビチューメン系物質、およびタールが包含される。
【0068】
一般的には、顔料粒状物を石灰系および/またはセメント系建築材料と直接混合した後で、混合水をその混合物に添加する。本発明による顔料粒状物は、石灰系および/またはセメント系建築材料と、セメントを基準として0.1〜10重量%の量で、あるいはアスファルトの場合ならば、全混合材料を基準にして0.1〜10重量%の量で混合するのが好ましい。
【0069】
本発明による顔料粒状物は、撹拌したり水の中に注いだときに、傑出した分散性を有しているので、それらを混合水の中に分散させることも可能であり、そうして得られた顔料懸濁液を、石灰系および/またはセメント系建築材料と混合することもできる。本発明による顔料粒状物を水の中にまず懸濁させ、その後で、石灰系および/またはセメント系建築材料と混合するのが好ましい。
【0070】
本発明による顔料粒状物を有機媒体と混合するのが好ましく、その有機媒体が、粉体コーティング(粉体塗料)またはプラスチックであるのが好ましい。そのプラスチックが、熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチックおよび/またはエラストマーであるのが好ましい。顔料粒状物は、液状のプラスチックと混合するのが好ましい。
【0071】
その有機媒体が、弾性を有するポリマーであるのが好ましい。
【0072】
本発明による顔料粒状物は、好ましくはエマルション塗料または水と混合する。
【0073】
本発明の主題は、個々の特許請求項の主題だけではなく、それら個々の特許請求項を互いに組み合わせたものにも由来する。同様のことは、本明細書に開示されたすべてのパラメーターおよびそれらの各種の組合せにもあてはまる。
【実施例】
【0074】
〔実施例および方法〕
以下の実施例を参照しながら本発明をさらに詳しく説明するが、それによって本発明を限定するということは意図していない。
【0075】
I.使用された測定および試験方法の説明
I.1:建築材料着色試験
建築材料への分散性の測定は、セメントモルタルの中で実施し、以下のデータを有する白色セメントを用いて製造したプリズムを測色する方法によった。
【0076】
セメント/けい砂比が1:4、水/セメント値が0.35、顔料レベルが1.2%(セメント基準)、使用ミキサーがRK Toni Technik(Berlin)製で5Lの混合ボウル、デザイン1551、速度140rpmであって、1バッチのサイズは、1200gの0.1〜1mmのけい砂、600gの1〜2mmのけい砂、200gの石灰粉(90μm篩で、篩上が5%未満のもの)、500gの白色セメントである。最初に、けい砂の二つの画分および石灰粉を同時に混合容器の中に導入する。その後で、顔料を加え、10秒間予備混合させる(ミキサー速度:1、低速)。そこで、この混合物に水を加え、水が混合物の中心に確実に導入されるのに必要な時間放置する。浸潤が終わったら、セメントを加え、混合する(ミキサー速度:1,低速)。混合時間が40秒、55秒、70秒、85秒および100秒経過したら、それぞれの場合に混合物のサンプル(300g)を採取し、それから加圧(圧力114kN、2秒)下に試験片(5×10×2.5cm)を作成する。試験片の硬化:30℃、相対湿度95%で24時間、次いで60℃で4時間乾燥。着色データ測定:Dataflash(登録商標)2000(Datacolor International)、1つのブロックあたり4点測定。得られた平均値を、参照サンプルの値と比較する。色差ΔEabおよび相対色強度(参照サンプル=100%)(ASTM E 308(2006)およびASTM D 2244(1993)に記載のCIELAB系(1976))を評価する。この明細書の文脈においては、以下の測色略号および計算法を使用するが、これはCIELAB系(1976)から公知のものである:
・aは、赤−緑軸に対応し、Δa=a(サンプル)−a(参照)
・bは、黄−青軸に対応し、Δb=b(サンプル)−b(参照)
・Lは、明度に対応し、ΔL=L(サンプル)−L(参照)
・ΔEabは色差に対応し、(ΔEab=(ΔL)+(Δa+(Δb、すなわち、ΔEab=[(ΔL)+(Δa+(Δb1/2
【0077】
パーセントで表す相対色強度には、次式が適用できる:
【数1】

式中、r=0.04、r=0.6であり、Yは三刺激値(明度)である。
【0078】
参照サンプルに比較して5%までの色強度差で、色差ΔEabが1.5単位以下の場合には、分散性が良好とみなされる。
【0079】
I.2:圧縮強さの測定
圧縮強さは、DIN EN196−1に基づいて測定した。着色セメントモルタルの圧縮強さを未着色サンプルと比較することで試験するが、EN12878(Pigments for colouring lime− and/or cement−bound building materials)に規定されているより大きい差は許容されない(鉄筋コンクリートの場合で−8%以下)。
【0080】
I.3:硬化挙動の測定
硬化挙動は、DIN EN196−3に基づいて測定した。顔料着色有りの場合と無しの場合について、セメントスラリーの硬化開始および硬化終了を相互に比較するが、EN12878において規定されているよりも大きな差は許容されない。
【0081】
I.4:アスファルトの分散性
アスファルト中における分散性の測定を以下の方法により実施した:顔料粉体または顔料粒状物を、加熱可能なラボラトリーミキサー(Regoミキサー)中で、タイプB80の道路建設用ビチューメン(Shell AGの市販品)と共に混合し、180℃で60秒かけて凝集させる。その混合物を用いて、Marshallによる試験片を作成する(“The Shell Bitumen Handbook”、Shell Bitumen,U.K.、1990、p.230〜232)。Marshallボディ(Marshall bodies)と特定の顔料粉体を含む比較サンプルとの間の色相の差を、赤値a(Minolta Chromameter II、標準光源C、CIELAB系(1976)、ASTM E308(2006)およびASTM D2244(1993)の記載に従う)を比較することによって、測色により評価する。a値で0.5単位未満の差は、視覚的には区別できない。
【0082】
I.5:残存水分含量の測定
顔料粒状物の残存水分含量(残存湿分)は、穏やかに乾燥させて恒量とすることにより測定する。
【0083】
I.6:水中における解砕の測定
粒状物を十分な量の水と接触させたときに、短時間の内に、機械的な力を加えなくても、その粒状物の一次構造の実質的に完全に解砕を与えるかどうかについての試験を、独国特許出願公開第103 19 483A1号明細書に記載の方法の一つを用いて実施する。粒状物を、過剰の、十分な量の水と混合する。これを顕微鏡下で実施すると、粒状粒子の解砕を容易に観察することができる。
【0084】
I.7:無機濾過助剤の平均粒子サイズの測定
無機濾過助剤の平均粒子サイズの測定は、Malvern MasterSizer MS−S(Malvern Instruments Ltd.製)を使用して実施する。この装置は、フラウンホーファー回折の原理に従って操作されるレーザー回折計(ISO 13320−1)である。湿式測定の場合には、0.05〜879μmの範囲の粒子サイズをカバーすることができる。0.05〜約4μmの間の範囲の粒子サイズについては、ミー理論に従う計算によって、測定値を補正する。その装置には、容量915mLで、撹拌機内蔵の組み込みの超音波タンクが付属している。ポンプを使用して、速度を変えながら、懸濁液を測定セルの中に循環輸送する。測定する場合には、約100mgのサンプル物質を、50mLの0.1%強度のヘキサメタリン酸ナトリウム溶液の中で2分間、超音波極(ultrasound sonotrode)(UP400S、Hielscher Ultrasonics GmbH製)を使用して、200Wの入力(間隔、1:1)を印加することによって分散させる。その分散させた懸濁液を、0.1%強度のヘキサメタリン酸ナトリウム溶液を充填したMasterSizerの流動内部超音波タンクの中に導入する。場合によっては、MasterSizerの濃度表示が理想的な範囲となるまで、蒸留水を用いて希釈を行う。測定においては、以下のパラメーターに設定するべきである:ポンプ速度が50%、超音波出力(添加の際のみ)が70%、撹拌速度が50%。
【0085】
I.8:透過ケーキ密度(Peameability Cake Density, PCD)の測定
2.00gの濾過助剤を50mLのビーカーに移し、35mLの蒸留水(30℃)を加える。濾過助剤を水中に懸濁させ、内径1.44cm、体積目盛りがmLのフロースルーカラムに移す。そのフロースルーカラムには、金網があり、その上に濾紙(Schleicher & Schuell GmbH製)を置く。そのフロースルーカラムを真空吸引ビンにしっかりと取り付ける。濾過助剤懸濁液の一部をフロースルーカラムに移した後で、真空吸引ビンを徐々に680〜695mbarの圧力とする。たとえば自動調節機を用いて、真空をこの範囲に維持する。濾過助剤懸濁液の残りをもう一度撹拌し、フロースルーカラムの中に注ぐ。少量の蒸留水(30℃)を用いてビーカーを洗い流し、その洗浄水を同様にしてフロースルーカラムに移す。次いで、放置してフィルターケーキを形成させる。フィルターケーキの上に約1mLの懸濁液がまだ存在しているときに、蒸留水(30℃)を添加して、液柱が24mLの目盛りのやや上になるようにする。フィルターケーキが乾燥してしまわないように、常に注意していなければならない。液柱のメニスカスが16mLの目盛りを通過するときに、ウェットフィルターケーキの容積を、フロースルーカラムの目盛りから、0.1mLの精度で読み取る。フィルターケーキが乾燥してしまわないように、常に注意していなければならず、それが常に十分な量の水で覆われているようにしなければならない。透過ケーキ密度(PCD)は次式に従って容易に計算することができる:
【数2】

式中、mは、使用した濾過助剤の質量(単位、グラム(g))であり、vは、ウェットフィルターケーキの体積(単位、mL)である。透過ケーキ密度(PCD)の測定と計算においては、液柱の上に浮いている濾過助剤画分は、適切であるならば、無視する。したがって、考慮に入れるのは常に、フィルターの上に形成されたフィルターケーキのみである。透過ケーキ密度(PCD)は、g/mLの単位を有する。
【0086】
II.実施例
〔実施例1〕
酸化鉄赤色顔料のBayferrox(登録商標)(Lanxess Deutschland GmbHの市販品)を、3.0重量%の40%強度リグニンスルホン酸アンモニウム溶液および1.5重量%のDicalite(登録商標)4208(パーライト、Dicalite Europe NVの市販品)と、ミキサー中で15分間混合した。その混合物を、200/50コンパクター(Bepex(Leingarten)製)を用い、約17kN(3.4kN/cm)で圧縮してから、1.5mmメッシュサイズの金網を有するクラッシャー(Frewitt(Fribourg,Switzerland)製)上で微粉砕した。その微粉砕生成物を、315μmのメッシュサイズの金網で篩別した。篩上として得られた粒状物は、ダストフリーで易流動性である。それらは、0.40重量%の残存水分含量と、1.06g/cmの嵩密度とを有している。十分な量の水と接触させると、機械的な力を加えなくても、その粒状物が急速に解砕して、わずか30秒も経過しない内に、粒状粒子の一次構造の完全な解砕が起きた。
【0087】
その顔料粒状物を、先に記載した試験法にしたがって、Marshallによる試験片を作成することによって、アスファルト混合物の中に組み込む。粒状化のために使用したBayferrox(登録商標)130粉体を用いて着色されたマーシャルボディを、比較サンプルとして使用した。それら二つの試験片の間には、視覚的な差は認めることがまったくできなかった。二つの試験片の間のa値における差は、−0.1単位である。したがって、その顔料粒状物は、アスファルト中で、傑出した分散性を有する。
【0088】
上記顔料粒状物を、先に記載した建築材料着色試験にしたがって、建築材料混合物の中に組み込んだ。顔料粒状物を用いて着色した試験片では、55秒の分散時間の後では、96%の相対色強度が1.1単位の色差ΔEabと共に測定され、また70秒の分散時間の後では、101%の相対色強度が0.8単位の色差ΔEabと共に測定される。したがって、それらの顔料粒状物は、70秒後には完全に分散されている。粒状化のために使用したBayferrox(登録商標)130粉体を用いて着色された試験片では、55秒の分散時間の後では、98%の相対色強度が測定され、70秒の分散時間の後では、100%と測定される(一連の測定すべてにおける参照サンプル)。したがって、それらの顔料粒状物は、建築材料中での傑出した分散性を有する。それらの着色効果は、粒状化のために使用したBayferrox(登録商標)130粉体のそれに匹敵する。驚くべき事には、濾過助剤を含む粒状物の場合においては、その着色値がさらに飽和されている。
【0089】
〔実施例2〕
鉄酸化物の赤色顔料のBayferrox(登録商標)130を、1.5重量%のポリエチレングリコール(平均分子量、約400)および2.0重量%のDicalite(登録商標)478(パーライト、Dicalite Europe NVの市販品)と、ミキサー中で、15分間混合した。その混合物を、200/50コンパクター(Bepex(Leingarten)製)を用い、約17kN(3.4kN/cm)で圧縮してから、1.5mmメッシュサイズの金網を有するクラッシャー(Frewitt(Fribourg,Switzerland)製)上で微粉砕した。その微粉砕生成物を、315μmのメッシュサイズの金網で篩別した。篩上として得られた粒状物は、ダストフリーで易流動性である。それらは、0.73重量%の残存水分含量と、1.07g/cmの嵩密度とを有している。十分な量の水と接触させると、機械的な力を加えなくても、その粒状物が急速に解砕して、わずか30秒も経過しない内に、粒状粒子の一次構造の完全な解砕が起きた。十分な量の水と接触させたときの、上述のようなそれらの粒状物の急速な解砕は、数ヶ月後であっても起きる。したがって、経時変化の影響は見いだせない。
【0090】
着色したセメントモルタルのサンプルと未着色サンプルの圧縮強さの比較では、−4%の差が得られる。したがって、それらの粒状物は、EN12878の必要条件を満たしている。このことは、硬化挙動にも適用される。顔料なしのセメントスラリーと比較しても、差はまったく認められない。
【0091】
〔実施例3〕
実施例2に記載の混合物を、200/50コンパクターを用い、約24kN(4.8kN/cm)で圧縮してから、1.5mmメッシュサイズの金網を有するクラッシャー上で微粉砕した。その微粉砕生成物を、315μmのメッシュサイズの金網で篩別した。篩上として得られた粒状物は、ダストフリーで易流動性である。それらは、0.51重量%の残存水分含量と、1.08g/cmの嵩密度とを有している。十分な量の水と接触させると、機械的な力を加えなくても、その粒状物が急速に解砕して、わずか30秒も経過しない内に、粒状粒子の一次構造の完全な解砕が起きた。十分な量の水と接触させたときの、上述のようなそれらの粒状物の急速な解砕は、数ヶ月後であってさえも起きる。したがって、経時変化の影響は見いだせない。
【0092】
着色したセメントモルタルのサンプルと未着色サンプルの圧縮強さの比較では、−1%の差が得られる。したがって、それらの粒状物は、EN12878の必要条件を満たしている。このことは、硬化挙動にも適用される。顔料なしのセメントスラリーと比較すると、5分間だけの差しか検出できない。
【0093】
〔実施例4〕
硫酸鉄(II)から沈降プロセスによって調製した酸化鉄黒色顔料を、合成後に濾過し、塩が無くなるまで洗浄した。フィルターケーキをふたたび水に懸濁させ、最終的にDicalite(登録商標)4208を2.0重量%含むようにした。3.0重量%の40%強度リグニンスルホン酸アンモニウム溶液をさらに添加した。固形分含量が52%であるその懸濁液を、ノズルスプレー乾燥機で乾燥させた。得られた粒状物は、ダストフリーで易流動性である。それらは、0.34重量%の残存水分含量と、1.20g/cmの嵩密度とを有していた。比較するために、ノズルスプレー乾燥機を用いて、添加剤をまったく含まないサンプルも乾燥させた。得られた比較用物質は、流動性が実質的により低く、ダストを発生させる傾向がより強い。助剤が存在しない場合には、その比較用物質は、粒状物として十分に安定ではない。
【0094】
それらの顔料粒状物を、先に述べた建築材料着色試験に従って、建築材料混合物の中に組み込んだ。濾過助剤を含む顔料粒状物を用いて着色した試験片の上では、40秒の分散時間の後で測定すると、94%の相対色強度が0.7単位の色差ΔEabと共に、そして55秒の分散時間の後では、99%の相対色強度が0.2単位の色差ΔEabと共に測定された。したがって、それらの顔料粒状物は、55秒後には完全に分散されている。比較用の材料を用いて着色された試験片の上では、40秒後では92%の相対色強度が測定され、55秒の分散時間の後では98%のそれが測定される(一連の測定のすべてにおける参照サンプルは、分散時間70秒の比較用サンプルである)。したがって、濾過助剤を含むそれらの顔料粒状物は、建築材料において傑出した分散性を有する。
【0095】
〔実施例5〕
硫酸鉄(II)から沈降法によって調製した酸化鉄黒色顔料を、合成後に濾過し、塩が無くなるまで洗浄した。フィルターケーキをふたたび水に懸濁させ、最終的にDicalite(登録商標)4208を2.0重量%含むようにした。乾燥は、スプレー乾燥機により実施した。得られた物質を、3mmの金網挿入物を備えたBauermeister摩砕機により摩砕し、濾過助剤を含むその粉体を、200/50コンパクター上約9kN(1.8kN/cm)で圧縮してから、1.5mmのメッシュサイズの金網を用いたクラッシャーで微粉砕した。その微粉砕生成物を、315μmのメッシュサイズの金網で篩別した。篩上として得られた粒状物は、ダストフリーで易流動性である。それらは、2.5重量%の残存水分含量と、1.18g/cmの嵩密度とを有している。十分な量の水と接触させると、機械的な力を加えなくても、その粒状物が解砕して、30秒も経過しない内に、粒状粒子の一次構造の完全な解砕が起きた。
【0096】
それらの顔料粒状物を、先に述べた建築材料着色試験に従って、建築材料混合物の中に組み込んだ。濾過助剤を含む顔料粒状物を用いて着色した試験片の上では、40秒の分散時間の後で測定すると、85%の相対色強度が1.8単位の色差ΔEabと共に、そして55秒の分散時間の後では、101%の相対色強度が0.2単位の色差ΔEabと共に、測定された。一連の測定のすべてにおける参照サンプルは、分散時間70秒後の比較用サンプルである。比較用のサンプルは、濾過、洗浄、乾燥および摩砕後に使用された、Dicalite(登録商標)を含まない酸化鉄黒色顔料である。したがって、濾過助剤を含むそれらの顔料粒状物は、建築材料において傑出した分散性を有する。
【0097】
〔例6〕(実施例7に対する比較例)
酸化鉄黄色顔料のBayferrox(登録商標)920を、2.5重量%のArbocel(登録商標)FT600−30(セルロース系解砕剤、J.Rettenmaier & Soehne GmbH+Co.からの市販品、独国特許出願公開第103 19 483A1号明細書に基づく)と、ミキサー中で15分間混合した。その混合物を、200/50コンパクターを用い、約16kN(3.2kN/cm)で圧縮してから、1.5mmメッシュサイズの金網を有するクラッシャー上で微粉砕した。その微粉砕生成物を、315μmのメッシュサイズの篩で篩別した。篩上として得られた粒状物は、ダストフリーで易流動性である。それらは、0.89重量%の残存水分含量と、0.73g/cmの嵩密度とを有している。独国特許出願公開第103 19 483A1号明細書における粒状物と同様に、十分な量の水と接触させると、機械的な力を加えなくても30秒も経過しない内に、その粒状物が解砕した。30秒も経過しない内に、それらの粒状粒子の一次構造の完全な解砕が起きた。
【0098】
それらの顔料粒状物を、先に述べた建築材料着色試験に従って、建築材料混合物の中に組み込んだ。40、55、70、86、および100秒後での相対色強度の発色と、それぞれの場合に随伴した色差ΔEabを表1にまとめた。
【0099】
〔実施例7〕
酸化鉄黄色顔料のBayferrox(登録商標)920を、2.5重量%の40%強度リグニンスルホン酸アンモニウム溶液および1.0重量%のDicalite(登録商標)4208と共に、ミキサー中で15分間、混合した。その混合物を、200/50コンパクターを用い、約16kN(3.2kN/cm)で圧縮してから、1.5mmメッシュサイズの金網を有するクラッシャー上で微粉砕した。その微粉砕生成物を、315μmのメッシュサイズの金網で篩別した。篩上として得られた粒状物は、ダストフリーで易流動性である。それらは、0.91重量%の残存水分含量と、0.76g/cmの嵩密度とを有している。十分な量の水と接触させると、機械的な力を加えなくても、その粒状物が急速に解砕して、わずか30秒も経過しない内に、粒状粒子の一次構造の完全な解砕が起きた。
【0100】
それらの顔料粒状物を、先に述べた建築材料着色試験に従って、建築材料混合物の中に組み込んだ。40、55、70、86、および100秒後での相対色強度の発色と、それぞれの場合に随伴した色差ΔEabを表1にまとめた。わずか70秒後には96%の相対色強度が得られたことからも、濾過助剤を含む顔料粒状物の分散性が極めて高いことは明らかである。その分散性は、従来技術に記載の粒状物(実施例6)の分散性と、少なくとも同程度である。
【0101】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種または複数の無機および/または有機顔料、並びに少なくとも1種の無機濾過助剤を含む、顔料粒状物。
【請求項2】
酸化鉄、二酸化チタン、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化マンガンおよびルチル混合相顔料およびカーボンブラック(炭素顔料)、またはそれらの混合物が、無機顔料として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の顔料粒状物。
【請求項3】
アゾ、キナクリドン、フタロシアニンおよびペリレン顔料ならびにインジゴイド、またはそれらの混合物が、有機顔料として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の顔料粒状物。
【請求項4】
前記顔料粒状物が、無機濾過助剤としてシリカゲル、珪藻土および/またはパーライトを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の顔料粒状物。
【請求項5】
前記顔料粒状物が、開示した測定法に従って、80μm未満、特には40μm未満のD50値を有する1種または複数の無機濾過助剤を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の顔料粒状物。
【請求項6】
前記顔料粒状物が、(十分な量の)水と接触すると、機械的な力を加えなくても、1分以内に、特には30秒以内に解砕することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の顔料粒状物。
【請求項7】
前記顔料粒状物が、顔料粒状物の全量を基準として、0.01〜10重量%、特には0.1〜7.5重量%の合計量で1種または複数の無機濾過助剤を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の顔料粒状物。
【請求項8】
前記顔料粒状物が、湿潤剤、または分散用添加剤、または水、またはリン酸塩、ホスホン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、アルミン酸塩、ホウ酸塩、チタン酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、ステアリン酸塩、酢酸塩からなる群からの塩、セルロース誘導体たとえば、特に、セルロースエーテルもしくはセルロースエステル、ホスホノカルボン酸、変性シラン、シリコーン油、生物学的栽培からの油(特に、ナタネ油、ダイズ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヤシ油、ヒマワリ油)、精製パラフィン系および/またはナフテン系鉱油、または合成的に製造された油を助剤として含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の顔料粒状物。
【請求項9】
前記湿潤剤が、グルコン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族アルコール硫酸塩、脂肪族アルコールエーテル硫酸塩、スルホン化ポリグリコールエーテル、脂肪族アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、アルキルフェノール、グリコール、ポリエーテル、ポリグリコール、ポリグリコール誘導体、エチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマー、分岐および/または直鎖のアルカンスルホン酸塩もしくはオレフィン−スルホン酸塩、分岐および/または直鎖のアルカン硫酸塩もしくはオレフィン−硫酸塩、およびスルホコハク酸塩、またはそれらの溶液もしくは混合物もしくは懸濁液もしくはエマルションであることを特徴とする、請求項8に記載の顔料粒状物。
【請求項10】
前記分散用添加剤が、リグニンスルホン酸塩、メラミンスルホン酸塩、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレン−ホルムアルデヒド縮合物、セッケン、金属セッケン、部分加水分解または完全加水分解ポリビニルアルコール、ポリビニルスルフェート、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボキシレートエーテル、ポリヒドロキシ化合物、ポリヒドロキシアミノ化合物、中鎖および長鎖アルカン硫酸塩もしくはアルカンスルホン酸塩もしくはアルカンスルホコハク酸塩、ならびに中鎖および長鎖アルカンリン酸塩もしくはアルカンホスホン酸塩であることを特徴とする、請求項8に記載の顔料粒状物。
【請求項11】
前記顔料粒状物が、前記顔料粒状物を基準にして、0.01〜10重量%、特には0.1〜5重量%の合計量で助剤を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の顔料粒状物。
【請求項12】
前記顔料粒状物が、前記顔料粒状物を基準にして、40重量%以下、特には10重量%以下の合計量で充填剤を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の顔料粒状物。
【請求項13】
前記顔料とは異なる前記充填剤が、無色の無機または合成の薄片状もしくは非薄片状の粒子であり、特に、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ナイロン粉体、ポリ(β−アラニン)粉体、ポリエチレン粉体、Teflon(登録商標)、ラウロイルリシン、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、ポリテトラフルオロエチレン粉体、ポリメタクリル酸メチル粉体、ポリウレタン粉体、ポリスチレン粉体、ポリエステル粉体、合成中空マイクロスフェア、マイクロスポンジ、シリコーン樹脂を含むマイクロスフェア、ジルコニウムおよびセリウムの酸化物、沈降炭酸カルシウムもしくはチョーク、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、ヒドロキシルアパタイト、ケイ酸を含む中空マイクロスフェア、ガラスを含むかもしくはセラミックを含むマイクロカプセル、8〜22個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する有機カルボン酸から誘導される金属セッケン、たとえばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ならびに薄片状のポリエチレンテレフタレート/ポリメタクリレートポリマー、から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の顔料粒状物。
【請求項14】
前記顔料粒状物の少なくとも85%が、60〜3000μmの範囲、特には80〜1500μmの範囲の粒子サイズを有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の顔料粒状物。
【請求項15】
前記顔料粒状物が、ビーズ状の粒状物として存在することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の顔料粒状物。
【請求項16】
前記顔料粒状物が、圧縮化またはブリケット化粒状物として存在することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の顔料粒状物。
【請求項17】
前記顔料粒状物が、5重量%未満、特には4重量%未満の残存水分含量を有することを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の顔料粒状物。
【請求項18】
1種または複数の無機および/または有機顔料が、少なくとも1種の無機濾過助剤ならびに場合によってはさらなる助剤および/または充填剤と混合され、前記混合物が粒状化プロセスにかけられることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載の顔料粒状物を製造するための方法。
【請求項19】
前記無機濾過助剤と1種または複数の無機または有機顔料との混合が、湿式相の中で実施されることを特徴とする、請求項18に記載の顔料粒状物を製造するための方法。
【請求項20】
前記湿式相が、前記顔料の調製プロセスからの水性懸濁液またはペーストであることを特徴とする、請求項19に記載の顔料粒状物を製造するための方法。
【請求項21】
前記粒状化プロセスが、スプレー乾燥法または流動床乾燥法によって実施されることを特徴とする、請求項18〜20のいずれか一項に記載の顔料粒状物を製造するための方法。
【請求項22】
前記無機濾過助剤と1種または複数の無機または有機顔料との混合が、乾式相の中で実施されることを特徴とする、請求項18に記載の顔料粒状物を製造するための方法。
【請求項23】
前記粒状化プロセスが、圧縮法またはブリケッティング法プロセスであることを特徴とする、請求項22に記載の顔料粒状物を製造するための方法。
【請求項24】
石灰系および/またはセメント系建築材料を着色するため、アスファルトおよび紙を着色するため、および有機媒体を着色するため、ならびにエマルション塗料およびスラリーを製造するための、請求項1〜17のいずれか一項に記載の顔料粒状物の使用。

【公開番号】特開2010−59422(P2010−59422A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−200012(P2009−200012)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】