説明

無機繊維

主要な繊維成分としてカルシウムとアルミナとを含む無機繊維を提供する。さらに、該無機繊維の調製方法及び該無機繊維を含む断熱技術を用いる物品の断熱方法をも提供する。該無機繊維は1,100℃以上の温度に対して耐熱性があり、しかもフラックスの攻撃に対する抵抗性も有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
使用温度が1,100℃もしくはそれ以上である、熱的、電気的もしくは音響的絶縁性材料として有用な高温耐熱性無機繊維を提供する。該高温耐熱性無機繊維は容易に製造出来、使用温度に長時間曝した後でも、収縮性が低くしかも良好な機械的強度を維持し、且つ生理的流体(physiological fluids)に可溶である。
【背景技術】
【0002】
絶縁性材料業界では、生理的流体中で耐久性のない、即ち生体耐久性が弱い繊維組成物の代替として、熱的及び音響的絶縁用途に繊維材料を利用することが望ましい、と決めてきている。候補材料は種々提案されてきたが、これらの材料の使用温度限界が十分高くないので、ガラス繊維やセラミック繊維を含む高温耐熱性繊維類が応用されている多くの用途に対応できなかった。合成ガラス繊維材料類の範囲内で、生理的媒体中で耐久性が無いか、もしくは分解性である多くの組成物が提案されてきた。
【0003】
高温耐熱性繊維類はまた、絶縁される製品に対して有効な熱的防御を提供するため、想定される暴露温度で、しかも長時間もしくは連続的な暴露後でも線形収縮性が最小限度でなければならない。
絶縁用途に用いられる繊維にとって重要な収縮特性として表示される耐熱性に加えて、使用もしくはサービス温度に暴露中及び暴露後でも繊維が機械強度特性を有することが必要であり、それによって繊維が本来の構造的状態(structural integrity)と使用時の絶縁特性を維持することになる。
ある繊維にとっての一つの本来の機械的特性(mechanical integrity)は使用後の脆さ(friability)である。繊維が脆ければ脆いほど、即ち、粉砕されてぼろぼろに崩れて粉体になり易く、本来の機械的状態を保有しなくなる。一般に、高温耐熱性があって生理的流体中で耐久性が無い無機繊維類は使用後に高度の脆性も呈する。それは、サービス温度に暴露後に該繊維が強度もしくは本来の機械的特性を欠く結果となり、絶縁目的を達成するために必要な構造を提供することができる。
【0004】
かようにして、1,100℃もしくはそれ以上のサービス温度での暴露中及び暴露後にも低収縮性を呈する所望成分の繊維化可能な溶融物から直ちに製造可能な、改良された無機繊維組成物を製造することは未だ必要であり、それによって1,100℃もしくはそれ以上の使用温度における暴露後にも低い脆性(low brittleness)を呈し、本来の機械的特性を維持することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱的、電気的もしくは音響的絶縁性材料として有用な高温耐熱性無機繊維を提供する。該無機繊維の使用温度は1,100℃もしくはそれ以上である。該高温耐熱性無機繊維は繊維成分の溶融物から容易に製造可能であり、線形収縮性が低く、使用温度に暴露後も良好な機械的強度と特性を維持し、しかも生理的流体に可溶である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
該無機繊維の90質量%以上が、50%超のカルシア(calcia)と0%超〜50%未満のアルミナとの繊維化生成物を含む。
又、無機繊維の製造プロセスも提供され、該プロセスはカルシアとアルミナを含む成分で溶融物を形成させて、その溶融物から繊維を製造し、該成分は総計でその90質量%以上が、50%超のカルシア(calcia)と0%超〜50%未満のアルミナを含む。
さらに、断熱性物品も提供され、該断熱性物品は繊維化生成物を含む無機繊維を含み、該繊維化生成物の90質量%以上が50%超のカルシア(calcia)と0%超〜50%未満のアルミナを含む。
さらに、物品を断熱性にする方法も提供され、該方法は物品の上か、中か、近くか或いは周りに繊維化生成物を含む無機繊維を含む断熱性材料を配置することを含み、繊維化生成物の90質量%以上が50%超のカルシア(calcia)と0%超〜50%未満のアルミナを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、約65質量%のアルミナと約33質量%のカルシアとの繊維化生成物を含むカルシウム−アルミネート繊維の走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】図2は、約55.8質量%のアルミナと約42.1質量%のカルシアとの繊維化生成物を含むカルシウム−アルミネート繊維の走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】図3は、約43.5質量%のアルミナと約53質量%のカルシアとの繊維化生成物を含むカルシウム−アルミネート繊維の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】図4は、約55.8質量%のアルミナと約42.1質量%のカルシアとを含むカルシウム−アルミネート繊維溶融物の粘度対温度曲線である。
【図5】図5A−5Cは、Na2Oフラックスに曝した後の、耐火性セラミック繊維製断熱ブランケットの写真である。
【図6】図6A−6Dは、Na2Oフラックスに曝した後の、カルシウム−アルミネート繊維を含む断熱ブランケットの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
熱的、電気的もしくは音響的絶縁性材料として有用な無機繊維を提供する。該無機繊維の連続サービスもしくは使用温度は1,100℃かそれ以上である。或る実施態様に拠れば、ガラス無機繊維は1,260℃以上の連続サービスもしくは使用温度を有する。
無機繊維は生理的流体中で耐久性が無い。生理的流体中で「耐久性が無い」ということは、無機繊維が試験管内テスト時において模擬肺液の様な流体中で少なくとも部分的に可溶化するか分解する、ことを意味する。該無機ガラス繊維は、下記に示す試験方法に拠れば、使用温度1,260℃に24時間暴露しても、線形収縮率は5%未満である。この様に、無機繊維は生理的流体中での生体耐久性が非常に低く、そして優れた低線形収縮性を有する。
低収縮で、高温耐熱性のある無機繊維は、主成分としてカルシアとアルミナを含む溶融物からの繊維化生成物を含む。カルシアとアルミナの繊維化生成物を含む該無機繊維は「カルシウム−アルミネート」繊維と呼称される。
【0009】
或る実施態様に拠れば、カルシウム−アルミネート繊維の90質量%以上が、50質量%超のカルシアと0質量%超〜50質量%未満のアルミナとの繊維化生成物を含む。
別の実施態様では、カルシウム−アルミネート繊維の90質量%以上が、50質量%超〜約60質量%のカルシアと約40質量%〜50質量%未満のアルミナとの繊維化生成物を含む。
また別の実施態様では、カルシウム−アルミネート繊維の90質量%以上が、50質量%超〜約80質量%のカルシアと約20質量%〜50質量%未満のアルミナを含む繊維化生成物を含む。
さらにまた別の実施態様では、カルシウム−アルミネート繊維の90質量%以上が、約60〜約80質量%のカルシアと約20〜約40質量%のアルミナとの繊維化生成物を含む。
さらにまた別の実施態様では、カルシウム−アルミネート繊維の90質量%以上が、50質量%超〜約70質量%のカルシアと約30質量%〜50質量%未満のアルミナとの繊維化生成物を含む。
【0010】
該溶融物の原料は必要な化学成分と純度を供給可能であれば、如何なる適当な原料源からでも入手可能である。これに限定されるものではないが、酸化カルシウムの適当な供給源としては所望のCaO/Al2O3比を有するカルシウム−アルミネートセメント、石灰、石灰石、生石灰を含む。これに限定されるものではないが、アルミナの適当な供給源は所望の純度を有するものであり、所望の化学組成を達成するために必要に応じてCaOを含む原料とブレンドしたものでもよい。
カルシアとアルミナの他に、カルシウム−アルミネート繊維は約10質量%までの不純物を含んでもよい。そのような不純物としては酸化鉄を含んでも良い。もし出発原料からの繊維化溶融物中に酸化鉄不純物が存在する場合、Fe2O3としての計算量1質量%まで通常存在する。
カルシウム−アルミネート繊維中の不純物としては、繊維の総質量に対してシリカ不純物を10質量%まで含んでもよい。しかしながら、或る実施態様においては、カルシウム−アルミネート繊維は約5質量%未満、もしくは約2質量%もしくはそれ未満の低含有率のシリカしか許容されないことがある。
【0011】
無機繊維の線形収縮は繊維の高温耐熱性もしくは特定の連続サービスもしくは使用温度における性能に関する良い指標である。カルシウム−アルミネート繊維は1,260℃のサービス温度で24時間暴露しても、5%以下の線形収縮である。即ち、カルシウム−アルミネート繊維は1,260℃以上の連続サービスもしくは操作温度における断熱用途に有用である。更に、カルシウム−アルミネート繊維は1,320℃以上の温度に暴露されるまでは溶融しないことが判明した。
【0012】
使用温度1,100℃以上において低収縮性で高温耐熱性があり、非耐久性(non-durable)のカルシウム−アルミネート繊維を調製する方法も提供する。該カルシウム−アルミネート繊維を形成させる方法は、カルシアとアルミナを含む原料成分の溶融物を形成させる工程と、その原料溶融物から繊維を形成する工程を含む。該カルシウム−アルミネート繊維は原料成分溶融物から標準的な溶融回転紡糸法(standard melt spinning technique)もしくは繊維ブロー法(fiber blowing technique)によって製造可能である。
【0013】
或る実施態様に拠れば、カルシウム−アルミネート繊維を形成させる方法には総量基準で90質量%以上の成分が50質量%超のカルシアと0質量%超〜50質量%未満のアルミナとを含む原料成分の溶融物を形成させる工程と、その原料溶融物から繊維を形成させる工程とを含む。原料成分溶融物の各成分は夫々がこのカルシア:アルミナ比や、ここに記載されている他のカルシア:アルミナ比である必要性はない。むしろ、原料成分溶融物に含まれるカルシアとアルミナの総量がこの比率かここに記載されている他のカルシア:アルミナ比を含むものであればよい。即ち、この実施態様や次に続く実施態様では、各成分が開示される範囲でカルシアとアルミナを含んでいる必要性はなく、各成分の総量が開示される範囲内で含まなければならない。
【0014】
他の実施態様に拠れば、カルシウム−アルミネート繊維を形成させる方法として、総量基準で90質量%以上の成分が50質量%超〜約60質量%のカルシアと約40質量%〜50質量%未満のアルミナとを含む原料成分の溶融物を形成させる工程と、その原料溶融物から繊維を形成させる工程とを含む。
別の実施態様に拠れば、カルシウム−アルミネート繊維を形成させる方法として、総量基準で90質量%以上の成分が50質量%超〜約80質量%のカルシアと約20質量%〜50質量%未満のアルミナとを含む原料成分の溶融物を形成させる工程を含む。
別の実施態様に拠れば、カルシウム−アルミネート繊維を形成させる方法として、総量基準で90質量%以上の成分が約60〜約80質量%のカルシアと約20〜約40質量%のアルミナとを含む原料成分の溶融物を形成させる工程を含む。
別の実施態様に拠れば、カルシウム−アルミネート繊維を形成させる方法として、総量基準で90質量%以上の成分が50質量%超〜約70質量%のカルシアと約30質量%〜50質量%未満のアルミナとを含む原料成分の溶融物を形成させる工程を含む。
【0015】
原料成分の溶融物の粘度は、所望の用途に必須な繊維化を提供できる充分な量で、適宜粘度調整剤(viscosity modifiers)の存在により調整され得る。粘度調整剤は溶融物の主成分を供給する原料中に存在するか、もしくは少なくとも部分的には別個に添加される。原料の所望の粒子径は、炉のサイズ、注入速度、溶融温度、滞留時間(residence time)などの炉の条件によって決まってくる。
【0016】
上述した通り、カルシウム−アルミネート繊維は繊維ブロー法や繊維回転紡糸法によって製造可能である。最適な繊維ブロー法にはカルシアとアルミナを含む出発原料を互いに混合して原料成分の混合物を形成する工程、原料成分混合物を適当な容器もしくはコンテナーに導入する工程、原料成分の混合物を溶融させて最適なノズルを通して排出する工程、及び原料の溶融混合物の排出フロー上に高圧ガス吹き付けてカルシウム−アルミネート繊維を形成させる工程を含む。
最適な繊維回転紡糸法は、カルシアとアルミナを含む出発原料を互いに混合して原料成分混合物を形成させる工程、該原料成分混合物を適当な容器かコンテナーに導入する工程、該原料成分混合物を溶融して適当なノズルから紡糸ホイール上に排出する工程を含む。しかる後、該溶融物はホイール上をカスケード式に流れ、ホイールをコーティングして、向心力によって放り出される結果(being thrown off through centripetal forces)、繊維を形成する。
【0017】
カルシウム−アルミネート繊維を含む断熱性材料を用いて物品を断熱化する方法を提供する。物品を断熱化する方法は、断熱化される物品の上か、中か、近傍か、或いは周りに、カルシウム−アルミネート繊維を含む断熱性材料を配置することを含む。該断熱性材料に含まれるカルシウム−アルミネート繊維は、繊維の90質量%以上が50質量%超のカルシアと0質量%超〜50質量%未満のアルミナとの繊維化生成物を含む。
或る実施態様に拠れば、断熱性材料に含まれるカルシウム−アルミネート繊維は、繊維の90質量%以上が50質量%超〜約60質量%のカルシアと約40質量%〜50質量%未満のアルミナとの繊維化生成物を含む。
或る実施態様に拠れば、断熱性材料に含まれるカルシウム−アルミネート繊維は、繊維の90質量%以上が約50質量%超〜約80質量%のカルシアと約20質量%〜50質量%未満のアルミナとを含む繊維化生成物を含む。
或る実施態様に拠れば、断熱性材料に含まれるカルシウム−アルミネート繊維は、繊維の90質量%以上が約60〜約80質量%のカルシアと約20〜約40質量%のアルミナとの繊維化生成物を含む。
或る実施態様に拠れば、断熱性材料に含まれるカルシウム−アルミネート繊維は、繊維の90質量%以上が50質量%超〜約70質量%のカルシアと約30質量%〜50質量%未満のアルミナとの繊維化生成物を含む。
【0018】
カルシウム−アルミネート繊維を含む断熱技術は標準の鉱物綿(mineral wool)かアルミノシリケート製耐火性セラミック繊維の代替として断熱用途に応用することが可能である。カルシウム−アルミネート繊維を含む断熱材料は1,100℃以上の耐熱性を要する断熱用途に利用可能である。のみならず、カルシウム−アルミネート繊維を含む断熱材料は約1,260℃までの耐熱性を要する断熱用途に利用可能である。これに限定されるものではないが、カルシウム−アルミネート繊維を含む断熱技術は、化学プロセス、石油プロセス、セラミックプロセス、ガラスプロセス、金属製造、プロセス工業、もしくは自動車工業、航空機工業、器具設備工業(appliance)、及び防火工業における、例えば炉の様な、加熱容器を断熱する用途に用いてもよい。
【0019】
カルシウム−アルミネート繊維はバルク繊維の形態で提供してもよい。加えて、カルシウム−アルミネート繊維は物品もしくは製品に対する広範囲の音響的、電気的、熱的絶縁用途に組み込まれてもよい。例えば、これに限定されるものではないが、カルシウム−アルミネート繊維は、針で縫い付けたブランケット(needled and stitched blankets)、ボード、編組(braids)、布、拡張紙(expanding papers)、非拡張紙、繊維、フェルト、鋳型、回路部品(modules)、結合回路部品(bonded modules)、まっと、パッキング、ロープ、テープ、スリーブ、真空鋳型、織物、高温耐熱性のコーク、セメント、コーティング、モルタルを含む加工性組成物(workable compositions)、ポンプ輸送可能な組成物、パテ、及び成型性組成物を含む高温耐熱性繊維に加工してもよい。
【実施例】
【0020】
カルシウム−アルミネート繊維の実証的実施態様の性質について更に説明するため、下記の実施例を提示する。しかしながら、該実施例は繊維、繊維を含む物品、もしくはそれらを如何なる形において断熱材料として製造又は使用するプロセスに限定して解釈してはならない。
【0021】
カルシウム−アルミネート繊維のフラックス抵抗性を評価した。ここで、フラックス(fluxing)という用語は、比較的少量の成分(フラックス)が作用して第二の材料の融点を顕著に低下する反応を意味する。フラックス現象(fluxing process)は断熱材料の構造(integrity)を著しく損なう。高温耐熱性の断熱用途、例えば、キルンの断熱用途においては、キルンの着火に用いられる燃料中にフラックスが存在させてもよい。高温耐熱性キルンの断熱用途において遭遇する2種類の通常のフラックスとしてはNa2OとK2Oがあり、それらは耐火性セラミック繊維にダメージを与える。もし、Na2OとK2Oが十分な濃度で存在して耐火性セラミック繊維と接触することになれば、耐火性セラミック繊維を溶かして、その結果断熱材料の構造(integrity)を著しく損なうことになる。
【0022】
フラックス試験は高温において繊維に対する不純物(フラックス)の影響度(aggressiveness of an impurity)を評価するために設計されている。簡単に述べると、粉体化したフラックス試料1gを繊維ブランケット表面の面積1平方インチ上に乗せる。次いで、その評価用セットを1,260℃(もしくは所望の試験温度)に加熱し、24時間保持する。加熱に続き、ブランケットへのフラックスの攻撃を視覚検査に基づき決定する。フラックスによる攻撃があれば、フラックスと接触している繊維が溶融する結果となる。その攻撃度合いは溶融した繊維の量で見積ることができる。フラックス試験結果を表Iに示す。
【0023】
【表1】

【0024】
比較例C1とC2は商業的に入手可能なアルミナ−ジルコニア−シリカ繊維のブランケットについて示し、比較例C3は商業的に入手可能なアルミノシリケートセラミック繊維のブランケットについて示す。その結果、商業的に入手可能なアルミナ−ジルコニア−シリカ及びアルミノシリケートのブランケットはNa2Oフラックスによって攻撃され、その結果、断熱材料の構造(integrity)を損なう。比較例に示した耐火性セラミック繊維材料ブランケットの場合、フラックスと接触した1平方インチのブランケットが溶融した。比較例に示した耐火性セラミック繊維材料と対照的に、カルシウム−アルミネート繊維から製造した断熱ブランケットについてはフラックスによる攻撃は全く認められなかった。
【0025】
無機繊維組成物、該無機繊維組成物の製造方法、種々の無機繊維を含む物品、及び物品の絶縁方法は上記した実施態様に限定されず、全てのバリエーション、修整、及び均等な実施態様を含む。本発明の種々の実施態様は所望の特徴を提供するために組み合せることが可能なので、夫々別個に開示された実施態様は代替実施態様に必ずしも含まれない。よって、無機繊維、該繊維を含有する物品、該繊維の調製方法、及び断熱材料としての該繊維の使用は、如何なる単独の実施態様にも制限されず、むしろ特許請求の範囲の詳説に従って一定の幅と視野をもって解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
該無機繊維の90質量%以上が50質量%超のカルシアと0質量%超〜50質量%未満のアルミナとの繊維化生成物を含む、無機繊維。
【請求項2】
該繊維の90質量%以上が50質量%超〜約60質量%のカルシアと約40質量%〜50質量%未満のアルミナとの繊維化生成物を含む、請求項1記載の無機繊維。
【請求項3】
該繊維の90質量%以上が50質量%超〜約80質量%のカルシアと約20質量%〜50質量%未満のアルミナとの繊維化生成物を含む、請求項1記載の無機繊維。
【請求項4】
該繊維の90質量%以上が約60質量%〜約80質量%のカルシアと約20質量%〜約40質量%のアルミナとの繊維化生成物を含む、請求項1記載の無機繊維。
【請求項5】
該繊維の90質量%以上が50質量%超〜約70質量%のカルシアと約30質量%〜50質量%未満のアルミナとの繊維化生成物を含む、請求項1記載の無機繊維。
【請求項6】
約10質量%もしくはそれ未満の量のシリカを含む、請求項1記載の無機繊維。
【請求項7】
約5質量%もしくはそれ未満の量のシリカを含む、請求項1記載の無機繊維。
【請求項8】
約2質量%もしくはそれ未満の量のシリカを含む、請求項1記載の無機繊維。
【請求項9】
実質的にアルカリ金属酸化物を含まない、請求項1記載の無機繊維。
【請求項10】
Fe2O3として計算して、約1質量%もしくはそれ未満の酸化鉄を含む、請求項1記載の無機繊維。
【請求項11】
連続使用温度が1,100℃以上である、請求項1記載の無機繊維。
【請求項12】
請求項1記載の無機繊維を含む該無機繊維含有物品であって、断熱性物品として、バルク繊維、ブランケット、針で縫い付けたブランケット(needled blankets)、紙、フェルト、鋳型(cast shapes)、真空鋳型、もしくは組成物の内から1種以上選択された断熱性の無機繊維含有物品。
【請求項13】
カルシアとアルミナとを含む成分の溶融物を形成させ、ここで、総量基準で、該成分の90質量%以上が50質量%超のカルシアと0質量%超〜50質量%未満のアルミナとを含み、
該溶融物から繊維を製造する
ことを含む無機繊維の製造方法。
【請求項14】
総量基準で、該成分の90質量%以上が50質量%超〜約60質量%のカルシアと約40質量%〜50質量%未満のアルミナとを含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
総量基準で、該成分の90質量%以上が約50質量%超〜約80質量%のカルシアと約20質量%〜50質量%未満のアルミナとを含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
総量基準で、該成分の90質量%以上が約60質量%〜約80質量%のカルシアと約20質量%〜約40質量%のアルミナとを含む、請求項13記載の方法。
【請求項17】
総量基準で、該成分の90質量%以上が50質量%超〜約70質量%のカルシアと約30質量%〜50質量%未満のアルミナとを含む、請求項13記載の方法。
【請求項18】
溶融物からの繊維の製造が、(i)溶融物から回転紡糸法もしくは(ii)溶融物からの繊維ブロー法のいずれかに一を含む、請求項13記載の方法。
【請求項19】
物品の上か、中か、近くか或いは周りに、繊維化生成物を含む無機繊維を含み、該繊維化生成物の90質量%以上が50質量%超のカルシアと0質量%超〜50質量%未満のアルミナとを含む断熱性材料を配置することを含む、物品の断熱方法。
【請求項20】
該繊維化生成物の90質量%以上が50質量%超〜約60質量%のカルシアと約40質量%〜50質量%未満のアルミナとを含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
該繊維化生成物の90質量%以上が50質量%超〜約80質量%のカルシアと約20質量%〜50質量%未満のアルミナとを含む、請求項19記載の方法。
【請求項22】
該繊維化生成物の90質量%以上が約60質量%〜約80質量%のカルシアと約20質量%〜約40質量%のアルミナとを含む、請求項19記載の方法。
【請求項23】
該繊維化生成物の90質量%以上が50質量%超〜約70質量%のカルシアと約30質量%〜50質量%未満のアルミナとを含む、請求項19記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【公表番号】特表2009−542927(P2009−542927A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518078(P2009−518078)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/025840
【国際公開番号】WO2008/005008
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(507410124)ユニフラックス I リミテッド ライアビリティ カンパニー (6)
【Fターム(参考)】