説明

無段変速システム

本発明は、付加的な自由度を提供する慣性機構によって制御され、変速機にダイナミック特性を与える、無段変速システム(CVT)に関する。全体システムは、3つの異なるサブシステムを含む。第1のサブシステムは、駆動システムからの回転運動を揺動角速度運動に変換し、その運動の振幅を制御する。第1のサブシステムの出力の揺動回転で駆動される第2のサブシステムは、慣性機構による制御要素として作用する。こうして第2のサブシステムはトルク制御要素として作用し、揺動角速度を表す信号をその出力軸に提供する。第2のサブシステムの出力の揺動回転は第3のサブシステムで調整され、一方向回転の角速度を表す信号が出力軸に与えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、この明細書の標題に示すように、慣性制御を有する無段変速システムに関する。
【0002】
これは基本的に3つのサブシステムからなり、第1のサブシステムが可変振幅の揺動角速度を与え、第2のサブシステムが慣性機構を含み、第3のサブシステムが、出力部で一方向回転を与える運動調整サブシステムとなっていて、相互に関連しあっている。
【0003】
これは無段変速システムであるので、可能なギア比間隔の範囲内での限られた数の変速比しか含まれないが、変速比を連続的に変化させることが可能である。
【0004】
本発明は自動車工業に直接的に適用可能であり、また、力の伝達システムを必要とする任意の工業的用途並びに、トルク制御と速度変化とを必要とするそれ以外の任意の用途に適用可能である。
【背景技術】
【0005】
手動と自動とを問わず、固定比の変速機は、変速比またはギアの数が離散的になっている。従来の変速機に比較すると、無段変速装置すなわちCVTは、入力軸と出力軸との間の変速比を、特定間隔の可能な比で段階的に変化させることができる。限られた数の変速比を組み込むことができるので、1つまたは複数の異なる形式の車両に対して最適化をするためのパラメータの追加が可能である。こうして、変速比に特定の変形を加えることにより、高出力条件、あるいは低燃費条件、あるいはその両者の中間の適当な割合での条件を実現することが可能となる。
【0006】
分類の一例としては、無段変速装置を2つの大きなグループ、すなわちシネマティック型とダイナミック型とに分ける。シネマティックCVTでは、変速比の段階的変化は特定の要素上で行われ、その結果、変速比は特定の値に固定され、それを変えるためにはその要素を再度作用させる必要がある。他方、ダイナミック型CVTでは、シネマティック制御要素を作用させることが可能であると共に、変速比は変速機がおかれる外部条件にも依存する。これは、変速比がシネマティック特性、および、入力軸の速度や出力軸にかかる抵抗トルク等のような変数によって決定されることを意味している。
【0007】
ダイナミック型の無段変速はハント(Hunt)による革新的な業績に起源し、1912年の英国特許第21,414号および1913年の英国特許第19,904号に公告されている。そこにはダイナミック変速原理に基づく慣性型変速システムが記載されているが、CVTなどの直接的な応用例はない。
【0008】
連続可変型のダイナミック変速機の最初の文献は、コンスタンチネスコ(Constantinesco)の研究に起源し、1922年の英国特許第185,022号およびその後の彼の特許に記載されている。そこには、内燃機関を用いて作動する車の主軸における動力伝達の改良方法が述べられている。これらの変速機では、振り子またはその他の慣性要素を利用してトルクが制御されている。
【0009】
1932年の米国特許第1,830,383号においてチャルマース(Chalmers)は一方向回転の出力軸運動を有する、揺動トルク伝達システムを発表した。この場合、制御要素は偏心質量を持つ一連のサテライトギアで構成され、これらの偏心質量が受ける慣性力によって出力に揺動トルクが生成される。同様の変速機は、1992年にタム(Tam)(米国特許第5,134,894号)および1998年にフェルナンデス(Fernandez)(米国特許第5,833,567号)によって設計された。これらも偏心質量を有するサテライトギアを基本としている。また、揺動質量を有するが、それ自身の周りを完全には回転しないものとして、シー(Shea)による質量交換の特許がある(1982年米国特許第4,336,870号)。この変速機はカム形状をした2つの対称的な質量を含み、これが揺動して出力軸のトルクを制御する。また、偏心質量を利用する慣性制御を用いた、ウィリアム(William)によるトルクコンバータがある(1971年米国特許第3,581,584号)。
【0010】
上記のもの以前に、ダイナミック型変速機の特許が2つあり、別の技術課題の解決に同じ動作原理を利用している。その第1は、ウィリアムズ(Williams)による1999年の米国特許第5,860,321号であり、そこには、2つのフリーホイールと特定の構成を有する差動調整装置を用いた運動調整の新方法と、動力変速機の小型化と効率の向上に主眼を置いた新技術とが提案されている。この型の第2の変速機として、2000年のレスター(Lester)による提案(米国特許第6,044,718号)があり、その中でも動力変速機制御システムが傑出している。全体システムは、慣性制御を有するCVTであり、結合を可能とする構成となっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、慣性制御を有する無段変速システムから成る。制御は、付加的自由度を提供する遊星歯車装置からなる慣性機構を利用して実行される。特定の質量が、それを可能とする自由度を含む遊星歯車装置の要素に付加される。これが変速機にダイナミックな特性を与え、歯車装置を出力軸抵抗トルクの制御要素として作用させる。システム全体としては、3つの異なるサブシステムを含む。第1のサブシステムは、速度信号の振幅を制御して、駆動システムから与えられた信号を揺動角速度信号に変換する。この角速度は、第2のサブシステムの一部をなし変速機の慣性制御機構となっている遊星歯車装置を駆動するためのものである。こうして、第2のサブシステムが揺動トルク制御信号を与える。第2のサブシステムの出力における揺動信号は、第3のサブシステムでの調整を必要とする。このようにして、最終的に一方向回転の角速度信号が出力軸で得られる。その結果、抵抗トルクを凌ぐ単一方向トルクが伝達装置の出力軸に加えられる。こうして全体システムは、変速機の入力軸の角速度や出力軸での抵抗トルク等の与えられた動作条件に適合するトルクを提供する。従って、本発明は、揺動特性を有するダイナミック型無段変速システムを構成する。
【0012】
本発明の目的で述べた変速機システムは、多くの利点を含む。特に重要なものを以下に示す。
−いかなるタイプのクラッチシステムも必要としない。
−変速機システムは自分自身を制御して、システムへの要求に最適な、出力軸と入力軸との間の変速比を提供する。
−これは無段変速システムであるので、可能な変速比間隔の範囲内での限られた数の変速比しか含まれない。
−高出力、あるいは低燃費、あるいはその両者の中間の適当な割合の条件を実現するために、変速比の連続的な変化を行うことが可能となる。
【0013】
商業的な観点からいえば、この変速機システムの特徴は、業界にとって非常に関心の高いものである。
【0014】
この変速機システムは自動車工業に直接適用可能であり、また、動力変速機システムを必要とする任意の工業的用途並びに、トルク制御と速度変化とを必要とするそれ以外の任意の用途に適用可能である。
【0015】
本明細者をより良く説明するために、その必須の一部分として以下に図面を示す。ただしこれは、本発明の目的を説明するためのものであって、制限するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】変速機全体を構成する3つのサブシステムとその接続方法を示す詳細な模式図である。
【図2】駆動および振幅制御機構に対応するサブシステムS1の模式図である。
【図3】変速機の慣性制御機構に対応するサブシステムS2の模式図である。
【図4】慣性制御機構の出力における揺動運動調整に対応する、サブシステムS3の模式図である。
【図5】サブシステムS2の出力軸の所定の揺動方向における、運動の伝達フローを示す図である。
【図6】サブシステムS2の出力軸が図5とは反対方向に揺動する運動の伝達フローを示す図である。
【図7】最小揺動振幅に対応する参照位置での駆動機構を模式的に示す図である。
【図8】最大揺動振幅に対応する位置での駆動機構を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開発のダイナミックCVTの慣性要素は、クラウンに質量を追加した遊星歯車減速機で構成される。この遊星歯車減速機は、上下を逆にしてCVTの中へ挿入される。従って、減速機の入力軸はサテライトホルダに接続され、出力軸はプラネットギアに接続されている。この結果、このタイプのアセンブリでは、遊星歯車減速機は入力速度を増加させることになる。
【0018】
伝達制御は前述の慣性要素の特性と、その構成とに基づいている。プラネットギアが固定された状態で、サテライトホルダに加速度がかかると、クラウンは応答して同様な出力が出るように加速する。クラウンが受ける加速度により、この加速度が継続される間中プラネットギアにトルクが生成される。クラウンへの加速プロセスが止まると、プラネットギアのトルクはゼロとなる。
【0019】
この結果、連続的加速度を生成する速度則に従ってサテライトホルダを動作させると、出力軸で抵抗トルクを超えることが可能となる。この目的のために、駆動機構にで生成される揺動信号の形で、入力軸に角速度則が適用される。それと同時に、駆動機構はこの角速度の振幅を制御する。プラネットギアにかかる信号もまた揺動性のものとなるので、運動調整機構が必要となる。
【0020】
クラウンの運動は、付加的な自由度を伴う。遊星歯車装置のクラウンに質量を付加することにより、この要素を動力制御慣性機構とすることができる。この制御は、動力の周期的な蓄積と放出とからなり、置かれている各動作条件に変速機を適合させることが可能となる。
【0021】
図1に示すように、全体の伝達システムは、直列に配置された3つのサブシステムを含む。
【0022】
第1のサブシステムS1(図2)の目的は、駆動システムから軸E1(図1、2)を介して入ってくる信号を、軸2(図1、2、3)での可変振幅角振動速度信号に変換することであり、この軸は第2のサブシステムS2(図3)の入力となる。バーB1(図1、2)は固定半径Rを有するハンドルからなり、一端の回転運動を制御歯車EC(図1、2)に伝達する。このEC要素は制御クラウンCC(図1、2)に係合していて、クラウンの内周面の周りを回転する。一方、このクラウンは、駆動要素EA(図1、2)により決定される位置に固定されている。このEA要素はウォームギアを利用して制御クラウンCCの外周面を駆動し、例えば最小揺動振幅(図7)に対応する参照点からの相対位置を制御するようにする。バーB2(図1、2)は、点P(図1、2)においてECに結合されている。この点はECの中心から半径Rの位置にある。EC要素とB2とを相対的に回転させて、点Pでの結合が実行される。
【0023】
前述のサブシステムS1の構成において、制御歯車ECの直径は制御クラウンCCの内周面半径に等しい。この構成では、点P、従って同じ点におけるバーB2の一端が形成する内サイクロイド曲線は直線となり、それは制御クラウンCCの内周直径で表される。軸EAを動かしてクラウンCCの位置を参照点に対して変更することにより、違う直径を描くことが可能である。このように、バーB2を介して平衡錘B3(図1、2)へ伝達される揺動は、上記の直径の関数となり、参照点(図7)における最小振幅に対応する揺動から、最大振幅(図8)となる揺動まで変化する。最大振幅は、参照角に対して90°ずれた場合の振幅に相当する。
【0024】
第2のサブシステムS2(図3)は、第1のサブシステムS1の出力での揺動信号を利用する。これは、クラウンCに質量Mが付加された遊星歯車装置(図1、3)で構成される慣性機構をトルク制御要素として活用する。サテライトホルダPSは、図1、3に示すように、対応する軸ESA1−ESA3によってサテライトギアSA1−SA3に結合されている。これらのサテライトギアはクラウンC並びにプラネットギアPL(図1,3)に係合し、両方の要素に揺動運動が伝達される。質量MがクラウンCに均一に付加され、それによってこのクラウンが変速機の慣性制御要素としての機能を得る。サブシステムS2には2つの主要な動力伝達モードがあり、これを介して、E1入力軸(図1)からE4出力軸(図1、4)への動力の伝達が行われる。クラウンにかかる揺動角加速度の法則によって、サブシステムS2の運動エネルギの蓄積、放出に連係して加速、減速が行われるように動力は伝達される。動作モードの最初に、変速機に軸E1を介して供給された力を用いてクラウンCを加速し、運動エネルギが蓄積されて出力軸E4にトルクを供給する。第2のモードでは、入力軸E1に供給された力と、減速時にクラウンCから放出された力とが出力軸E4へトルクを供給するために利用される。この2つの主要動作モードの間には、短い遷移期間がある。
【0025】
第3のサブシステムS3(図4)は、サブシステムS2からの揺動信号を一方向回転に変換する。このサブシステムS3は、フリーホイールまたは他の任意の種類の機械的ダイオードに基づく調整機構から成る。サブシステムS2の出力軸でありかつサブシステムS3の入力軸でもある、シャフトE3(図1、3、4)の運動は、図1、4に示すように、歯車ER1を介して歯車ER2とER5へ回転運動を伝達する。
【0026】
軸E3を介して伝達される揺動運動が時計方向に回転する場合、歯車ER2の外側にあるフリーホイールRL1(図1、4)は係合し、歯車ER5の内側にあるフリーホイールRL3(図1、4)は解放される。従って、この構成において運動は歯車ER2によってのみ伝達され、その次に歯車ER3(図1、4)の運動を軸分割器ED1(図1、4)によって伝達する。歯車ER3の運動は、運動調整機構のサテライトホルダPSR(図1、4)に取り付けられて回転する、歯車ER4(図1、4)へ伝達される。サテライトホルダの回転方向は、調整機構のプラネットギアへ伝達され、その結果、サテライトギアSAR1−SAR3(図1、4)によって出力軸E4へ伝達される。軸E3が時計方向に回転するこの構成では、調整機構のクラウンCR(図1、4)は固定されたままである。つまり角速度がゼロである。この構成においては、サテライトホルダPSRの時計方向回転に対してクラウンCRは反対方向に回転しようとする傾向がある。そのため、歯車ER6(図1、4)にフリーホイールRL4(図1、4)が含まれていて、クラウンCRを固定したままにしてその方向への運動を相殺するようになっている。
【0027】
逆に、軸E3を介して伝達される揺動運動が反時計方向に回転する場合、歯車ER5の内側にあるフリーホイールRL3が係合し、歯車ER2の内側にあるフリーホイールRL1は解放される。この構成において運動は歯車ER5によってのみ伝達され、運動を軸分割器ED2(図1、4)を介して歯車ER6へ伝達する。歯車ER6の運動は、反時計方向に回転するクラウンCRへ伝達される。調整機構CRのクラウンが反時計方向に回転するこの構成の場合、サテライトホルダは反時計方向に回転しがちであり、サテライトホルダPSRと一緒に回転する歯車ER4をその方向に回そうとする。この運動量は歯車ER3を時計方向に回転させる。サテライトホルダPSRを固定するフリーホイールRL2(図1、4)を設けることにより、この運動量は相殺される。この構成では、クラウンの運動はすべて、時計方向に回転する出力軸E4へ伝達される。
【0028】
このように、軸E3が時計方向に回転すると、図5に示すように動力が伝達される。軸E3が反時計方向に回転する場合には、図6に示すように動力が伝達される。こうして、軸E3の双方向への揺動運動をうまく活用して揺動運動は一方向の回転に変換され、変速機の出力軸E4における所定の負荷に打ち勝つ。
【0029】
本明細書で説明した運動調整機構を含むサブシステムS3において、前述の2つの構成に対応する出力軸の回転の大きさがそれぞれ等しくなるためには、歯車比が適切に維持される必要がある。その場合、サブシステムS2の軸E3で伝達されるトルクは、変速機の出力軸E4において特定の負荷に対して対称的となる。このように、サブシステムS2、慣性制御機構、およびその結果としての変速機全体の動作は、可能な限り対称的かつ一定となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸に接続された駆動要素の回転運動を、このサブシステムの出力軸において可変振幅を有する揺動角運動に変換する、第1の駆動・制御サブシステムと、
少なくとも付加的な質量と、前記第1のサブシステムの可変振幅揺動運動を受ける入力軸とが組み込まれ、その出力軸において揺動角運動を得る、第2のトルク慣性制御サブシステムと、
前記第2のサブシステムから受ける前記揺動運動を出力軸における一方向回転に変換する、第3の運動調整サブシステムと、
を少なくとも含むことを特徴とする無段変速システム。
【請求項2】
前記複数のサブシステムは、独立して配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の無段変速システム。
【請求項3】
前記複数のサブシステムは、相互に部分的にグループ化されていることを特徴とする、請求項1に記載の無段変速システム。
【請求項4】
前記複数のサブシステムは、相互に完全にグループ化されていることを特徴とする、請求項1に記載の無段変速システム。
【請求項5】
前記第1のサブシステムは、ゼロを中心として揺動する可変振幅運動を生成する少なくとも1つの駆動機構が組み込まれていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の無段変速システム。
【請求項6】
前記第1のサブシステムは、ゼロを中心としないで揺動する可変振幅運動を生成する、少なくとも1つの駆動機構が組み込まれていることを特徴とする、請求項1〜4に記載の無段変速システム。
【請求項7】
前記トルク慣性制御サブシステムは、少なくとも1つの遊星歯車装置を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の無段変速システム。
【請求項8】
前記トルク慣性制御サブシステムは、少なくとも1つの差動機構を含むことを特徴とする、請求項1〜6に記載の無段変速システム。
【請求項9】
前記付加質量は、前記トルク慣性制御サブシステムの任意の要素により直接駆動されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の無段変速システム。
【請求項10】
前記付加質量は、前記トルク慣性制御サブシステムの任意の要素により間接的に駆動されることを特徴とする、請求項1〜8に記載の無段変速システム。
【請求項11】
前記トルク慣性制御サブシステムは、直列的に取り付けられた少なくとも1つの差動機構が組み込まれていることを特徴とする、請求項1〜6、または請求項9、または請求項10に記載の無段変速システム。
【請求項12】
前記トルク慣性制御サブシステムは、並列的に取り付けられた少なくとも1つの差動機構の組合わせが組み込まれていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の無段変速システム。
【請求項13】
前記第1の駆動・制御サブシステムに非調和駆動機構が追加されていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の無段変速システム。
【請求項14】
前記第1のサブシステムは、バランスを改善するため、もしくはその他の任意の目的のために、少なくとも2つの揺動信号生成機構が組み込まれていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の無段変速システム。
【請求項15】
前記第1のサブシステムの揺動出力速度の振幅は制御されず、従って前記サブシステムの全体がトルクコンバータとして作用することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の無段変速システム。
【請求項16】
前記第1のサブシステムには、前記出力軸(E2)に取り付けられたロッカーアーム(B3)として作用する後部バーに接続され、かつ、クラウン(CC)と連係する前記制御歯車(EC)のラジアルポイント(P)にも接続されたロッドとして作用するバー(B2)が組み込まれており、この制御歯車はバー(B1)によって最初の入力軸(WE)と連係する軸に結合されていることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の無段変速システム。
【請求項17】
前記サブシステムの出力軸(E2)の角速度の振幅を制御するために、前記第1のサブシステム(S1)のクラウン(CC)と連係するウォームギアのような駆動要素(EA)が組み込まれていることを特徴とする、請求項1〜16に記載の無段変速システム。
【請求項18】
前記第2の慣性制御サブシステム(S2)の前記遊星歯車装置は、
入力軸(E2)に取り付けられたサテライトホルダ(PS)と、
前記遊星歯車装置の分布質量(M)を持つクラウン(C)の内側面に係合するサテライトギア(SA1)−(SA3)と、
前記第2の慣性制御サブシステム(S2)の出力軸(E3)に取り付けられたプラネットギア(PL)と、
を含む、請求項1〜7に記載の無段変速システム。
【請求項19】
前記第3の調整サブシステムは少なくとも、
遊星歯車装置と、
フリーホイール、または別のタイプの機械的ダイオード、または力の流れを幾つかの経路に分割することができる他の任意のシステムを利用した調整装置と、
を含み、
前記遊星歯車装置の付加的自由度を部分的または完全に制限することにより、これらの流れの後続の和が前記出力軸における単一方向の回転を与えることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載の無段変速システム。
【請求項20】
前記調整サブシステムは少なくとも、
差動機構と、
フリーホイール、または別のタイプの機械的ダイオード、または力の流れを幾つかの経路に分割することができる他の任意のシステムを利用した調整装置と、
を含み、
前記差動機構の付加的自由度を部分的または完全に制限することにより、これらの流れの後続の和が前記出力軸における単一方向の回転を与えることを特徴とする、請求項1〜18に記載の無段変速システム。
【請求項21】
前記運動調整サブシステム(S3)は、遊星歯車装置を含み、常に一方向に回転する前記調整サブシステムの出力軸(E4)が、その軸(E4)の回転方向を変える第1の伝達サイクルと、入力軸(E3)から出力軸(E4)へ回転方向を維持する第2の伝達サイクルとによって、歯車(ER1)に取り付けられた入力軸(E3)から運動を受取ることが可能であることを特徴とする、請求項19に記載の無段変速システム。
【請求項22】
前記運動伝達サイクルの調整サブシステム(S3)は、
2つの分割軸であって、入力歯車(ER1)と係合する2つの後方歯車(ER2)、(ER5)と、2つの前方歯車(ER6)、(ER3)との2対の歯車が接続され、フリーピニオン(RL1)、(RL3)、(RL41)、(RL3)のそれぞれをこれらの2対の歯車に連係させて各歯車に固定もしくは非固定とさせる、2つの分割軸(ED1)、(ED2)と、
後方歯車の1つ(ER3)と係合する歯車(ER4)であって、この歯車(ER4)は遊星歯車(SAR1)を(SAR3)方向へ牽引するサテライトホルダ(PSR)に取り付けられており、かつ同時にクラウン歯車(CR)と、出力軸(E4)に接続された遊星歯車装置のプラネットギア(PR)とに係合される、歯車(ER4)と、
前記遊星歯車装置のクラウン(CR)に接続され、後方歯車(ER6)に係合される歯車と、
を含むことを特徴とする、請求項21に記載の無段変速システム。
【請求項23】
遊星歯車装置と、
フリーホイール、または別のタイプの機械的ダイオード、または力の流れを幾つかの経路に分割することができる他の任意のシステムを利用した調整装置と、
を少なくとも含み、
前記遊星歯車装置の付加的自由度を部分的または完全に制限することにより、これらの流れの後続の和が前記出力軸における単一方向の回転を与える、調整サブシステムを組み込むことを特徴とする、無段変速システム。
【請求項24】
差動機構と、
フリーホイール、または別のタイプの機械的ダイオード、または力の流れを幾つかの経路に分割することができる他の任意のシステムを利用した調整装置と、
を少なくとも含み、
前記差動機構の付加的自由度を部分的または完全に制限することにより、これらの流れの後続の和が前記出力軸における単一方向の回転を与える、調整サブシステムを組み込むことを特徴とする、無段変速システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2012−512998(P2012−512998A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541523(P2011−541523)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【国際出願番号】PCT/ES2009/000175
【国際公開番号】WO2010/070158
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(510106153)ウニベルシダ デ セビリヤ (2)
【Fターム(参考)】