説明

無水注型セメント状混合物の耐凍結融解性の改善

改善された耐凍結融解損傷性を有する無水注型セメント状組成物は、混合物および場合によってはガス発生添加剤中に直接に配合される極めて小さな(平均直径0.1μm〜100μm)ポリマー微小球の使用を提供する。このポリマー微小球は、材料の耐凍結融解性を増大させる作用を有する材料マトリックス中に間隙空間を提供する。この無水注型セメント状組成物において、ポリマー微小球は、前形成された間隙として作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロス・リファレンス
本願は、2004年6月15日付けで出願された特許出願番号60/579833の米国での暫定的な出願の出願日の恩典を受けて特許保護が請求されたものであり、2004年6月15日付けで出願された特許出願番号60/579900の米国での暫定的な出願である。
【0002】
背景
凍結と融解のサイクルは、硬化されたセメント組成物、コンクリートに極めて損傷を与える可能性があり、与えられる損傷を回避するかまたは減少させる最善の公知の技術が顕微鏡的に微細な細孔または空隙の組成物中への組み込みであることは、十分に公知である。それ故に、応力の緩和手段としての細孔または空隙の機能は、コンクリートを凍結の損傷から保護することができる。このような空隙をコンクリート中に人工的に形成させるための従来技術で使用される方法は、コンクリート中に連行される小さな気泡を安定化するAE剤を用いる方法であった。
【0003】
空気が連行されるコンクリートは、コンクリート中に連行された空気の含量を直接的な定量手段によって制御することができないが、しかし、混合物に添加された空気連行剤の量/型によって間接的にのみ制御することができるように、形成することができる最も困難なタイプのコンクリートの1つである。また、空気含量は、ファクター、例えば骨材の組成および粒子の形状、混合物中のセメントのタイプおよび量、コンクリートの稠度、使用される混合装置のタイプ、混合時間および温度によって影響を及ぼされる。
【0004】
当業者は、空気が連行されたコンクリートを製造するための適当な規則を適用することにより前記の影響を制御することを学習してきた。しかし、当業者には、このようなコンクリートの製造および空気含量の連続的な検査における特殊な手入れを実行することが必要とされる。それというのも、この空気含量が低すぎると、コンクリートの耐凍結性は不適当になるし、他面、この空気含量が高すぎると、この空気含量は強度に不利な影響を及ぼすことになる。
【0005】
しかし、例えば無水注型混合物および製品を製造するために、固練りの稠度のセメント状組成物に関連して付加的な困難が生じる。この場合、空気含量は、新しいセメント状組成物中で試験されることができないが、しかし、混合中に空気含量の制御を極めて遅らせている硬化されたセメント状組成物中でのみ試験されることができる。
【0006】
セメント状の無水注型混合物は、金型中でかまたは押出ダイから多数の製品、例えばコンクリート管、瓦、石積みユニット、舗装材料ユニット、押出厚板および任意の他の前形成されたセメント状製品を形成させるために使用される。それぞれの前記用途は、高級完成ユニットの製造面から見て重要である基本的な望ましい特性を有する。
【0007】
それ故に、混合中に気泡の安定化を必要とすることなく、無水注型混合物中で直接に耐凍結融解性の間隙構造を形成する混和剤を提供することが望まれている。間隙構造は、最適な大きさの間隙を有することができ、この間隙は、無水注型混合物中に組み込まれた場合に改善された耐凍結融解性を有するセメント状組成物を提供するであろう。前記混和剤は、空気を連行する化学的混和剤を含有する無水注型混合物から製造された製品のための圧縮強さの損失を減少させるかまたは排除するはずである。
【0008】
ポリマー微小球を用いた場合には、実質的に少なく、殆んど変動しない間隙含量、ひいては空気連行剤を用いて達成され得る高度でよりいっそう均一な強度を有するセメント状組成物を製造することが可能である。
【0009】
要約
耐凍結融解損傷性を有する無水注型セメント状組成物が提供され、この無水注型セメント状組成物は、水硬性セメント、ポリマー微小球および場合によってはガス発生添加剤を含有することによって特徴付けられる。
【0010】
耐凍結融解損傷性を有する無水注型セメント状製品を製造するための方法が提供され、この方法は、水硬性セメント、ポリマー微小球および場合によってはガス発生添加剤を混合し、セメント状組成物混合物を製造し、この混合物を製品に形成することによって特徴付けられる。
【0011】
詳細な説明
改善された耐凍結融解性を有する無水注型セメント状組成物が提供され、この無水注型セメント状組成物は、極めて小さい(0.1μm〜100μm)液体充填された(非発泡)またはガス充填された(発泡)ポリマー微小球を含み、このポリマー微小球は、直接に混合物中に配合される。発泡ポリマー微小球(自己含有された液体をガス相に対して膨張させることによって形成された)または非発泡ポリマー微小球(非発泡の液体状態を含む)が使用されてよい。このような粒子は、種々の表品名で製造されかつ販売されており、粒子の壁面を形成するために種々の材料が使用される。前記粒子に関連する1つの一般的な名称は、ポリマー微小球である。無水注型セメント状混合物は、セメント状結合材、例えばペースト、モルタルと、一般的に極めて低い(1インチ未満)スランプ値ないし零のスランプ値(ASTMC-143)およびACI 21 1.3R、第2.3.1表中に定義されたような固練りないし極めて乾燥の範囲の稠度によって特徴付けられるコンクリート組成物との任意の混合物である。無水注型セメント状混合物は、低いスランプ、スランプなしまたは零スランプの混合物としても公知である。
【0012】
空気が連行されるセメント状組成物を成果を収めて生産する傾向のある全てのファクターは、小さな中空粒子として空気を組み込むことが可能である場合には、除去することが困難である。更に、セメント状組成物の空気含量は、添加された粒子の実際の量のみに依存し、管理は、消費された混和剤の量についての検査をし続けることに限定されることができた。現在、化学工業では、空気連行剤の代わりにセメント状混合物中に配合することができるポリマー微小球を製造している。
【0013】
このポリマー微小球は、極めて狭い範囲内、例えば0.1μm〜100μmの間で変動する直径で製造されることができる。ポリマー微小球の内側部分は、発泡ポリマー微小球におけるようにガスを含有していてよい(ガス充填された)空隙の巣を有するかまたは非発泡ポリマー微小球におけるように液体を含有していてよい(液体充填された)空隙の巣を有する。10μm以下の平均直径を有するよりいっそう小さな直径のポリマー微小球は、望ましいスペーシングファクターおよびその後の耐凍結融解性を達成することが殆んど必要とされない1つの実施態様において使用される。これとは異なり、常に空気が連行されるセメント状組成物中の空隙の直径は、10μm〜3000μmまたはそれ以上で極めて幅広い範囲の変形を示す。このようなセメント状組成物において、セメント状組成物の強度を殆んど減少させないよりいっそう大きな空隙の存在は、避けることができない特徴として受け入れられねばならない。
【0014】
無水注型セメント状組成物は、ポリマー微小球を含み、材料マトリックス中に空隙空間が提供され、このような空隙空間は、材料の耐凍結融解性を増大させる作用を有する。ポリマー微小球によって形成される耐凍結融解性の増大は、水がセメント状材料中で凍結する場合に生じた応力を軽減するための十分に記録された物理的機構に依存する。常用の実地において、適度に寸法決定され空間を有する間隙は、化学的混和剤を使用することによって硬化された材料中で発生され、混合中にセメント状組成物に連行された空気を安定化する。常用のセメント状組成物において、1つの等級としての前記の化学的混和剤は、空気連行剤と呼称される。この新しい方法において、ポリマー微小球は、前形成された間隙として作用し、硬化されたセメント状混合物中に間隙空間を留める気泡を安定化するために伝統的に使用されている化学薬品を必要としない。
【0015】
無水注型セメント状組成物へのポリマー微小球の添加は、凍結温度および融解温度の繰り返されるサイクルによって形成される崩壊に対する、無水注型セメント状組成物から製造された製品の耐性を増大させる。前記製品は、コンクリートブロック、舗装材料、セグメント化された擁壁(SRW)ユニットおよび瓦を含むが、しかし、これらの限定されるものではない。このような製品は、水の凍結点よりも低いかまたは高い温度で繰り返し変化にさらされる場合に構造的な崩壊の影響に及ぼされうる。この崩壊は、前記製品が水と接触した際に促進され、さらに塩を含有する水と接触した場合には、なお促進される。
【0016】
1つの実施態様において、無水注型セメント状組成物または該組成物の製造法は、ポリマーのミクロスフェアとの組合せで原位置でのガス発生に使用されてよく、最終的な設定前に無水注型セメント状材料マトリックス中に間隙空間を提供し、このような間隙空間は、無水注型セメント状材料の耐凍結融解性を増大させる作用を有する。原位置でのガス発生は、気泡を混入させ、凍結融解サイクルによって形成された崩壊に耐えかつ混合中の気泡混入による空気の取り込みに依存しない無水注型セメント状組成物中に十分に形成された間隙構造を生じさせる。原位置でのガス発生によって形成される耐凍結融解性の増大は、水が無水注型セメント状材料中で凍結する際に生じた応力を軽減するための物理的機構に基づく。常用の実地において、適度に寸法決定され空間を有する間隙は、化学的混和剤を使用することによって硬化された材料中で発生され、混合中に無水注型セメント状組成物に連行された空気を安定化する。常用のセメント状組成物において、1つの等級としての前記の化学的混和剤は、空気連行剤と呼称される。この新規方法において、無水注型セメント状混合物中で発生されたガスは、硬化された材料中の間隙空間を導入する気泡を形成させる。
【0017】
無水注型セメント状組成物中で耐凍結融解性を増大させる前記方法において、ポリマー微小球は、原位置でのガス発生によって形成される間隙空間と組み合わされて前形成された間隙として作用し、硬化されたセメント状混合物中に間隙空間を留める気泡の形成および安定化に伝統的に使用される化学薬品を必要としない。
【0018】
前作業は、セメント状組成物マトリックス中での適度に間隔を置いて配置された空気間隙構造の展開により、凍結融解による崩壊を生じる状態で製品の耐性が改善されうることを証明した。しかしながら、同様の作業により、常用の湿潤性注型セメント状組成物中で気泡を安定化する化学的混和剤が無水注型混合物中で確実には作業しないことも指摘された。本発明の実施態様は、ポリマー微小球の導入および場合によっては原位置でのガス発生によって無水注型セメント状組成物マトリックス中に適度な空気間隙構造を導入するという問題解決への交互の取り組み方を用いており、新しいセメント状混合物中で連行された気泡の安定化を必要としない。無水注型セメント状組成物製品工業で悩まされ続けている問題は、存在する耐凍結融解性を増強する混和剤処理による製品の首尾一貫していない性能にあった。存在する混和剤は、混合中に新しい混合物中に連行される気泡の安定化および保持に依存する。
【0019】
無水注型セメント状組成物へのポリマー微小球および場合によるガス発生添加剤の添加は、凍結温度および融解温度の繰り返されるサイクルによって形成される崩壊に対する、無水注型セメント状組成物から製造された製品の耐性を増大させる。
【0020】
セメント状の無水注型混合物は、金型中でかまたは押出ダイから多数の製品、例えばコンクリート管、瓦、石積みユニット、舗装材料ユニット、押出厚板および任意の他の前形成されたセメント状製品を形成させるために使用される。それぞれの前記用途は、高級完成ユニットの製造面から見て重要である基本的な望ましい特性を有する。
【0021】
一般に提供される無水注型セメント状混合物は、水硬性セメント、ポリマー微小球、骨材、ならびに場合によってはガス発生添加剤およびポゾラン、例えばフライアッシュまたは焼成クレー、顔料および分散剤を有する。水は、注型可能で水和可能な混合物を形成させるために添加される。
【0022】
水硬性セメントは、ポルトランドセメント、燐酸マグネシウムセメント、マグネシウムカリウムホスフェートセメント、カルシウムアルミネートセメント、カルシウムスルホアルミネートセメントまたは任意の他の適当な水硬性結合剤であることができる。骨材は、シリカ、石英、砂、破砕された大理石、ガラス小球、花崗岩、石灰岩、方解石、長石、漂砂、任意の他の耐性骨材およびその混合物であることができる。
【0023】
ポリマー微小球は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ−o−クロロスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスチレンの少なくとも1つであるポリマー、またはそのコポリマーまたは混合物、例えば塩化ビニリデン−アクリロニトリルコポリマー、ポリアクリロニトリル−コポリメタクリロニトリルコポリマー、ポリ塩化ビニリデン−ポリアクリロニトリルコポリマーまたは塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマーおよび類似物から構成されていてよい。ポリマー微小球がポリマーから構成されている場合には、壁は、圧力に応じて可動する程度に可撓性である。これは、圧力に晒された際に破損する硬質構造を有するポリマー微小球を形成するガラス、セラミック材料または他の不撓性材料と比較される。それ故に、ポリマー微小球を形成することができる材料は、可撓性ではあるが、セメント状組成物のアルカリ性の環境に対して耐性を有する。
【0024】
10μm未満の直径の平均微小球寸法は、混合中のポリマー微小球の崩壊が減少されるような好ましい結果を生じることが見い出された。これは、最終製品の成形および圧縮中に生じた力が有効な量のポリマー微小球を崩壊しうるかまたは損壊しうる無水注型セメント状混合物において殊に重要である。
【0025】
ポリマー微小球は、種々の方法で無水注型セメント状混合物中に組み込むことができる。このポリマー微小球は、無水粉末として非粉塵性組成物の形で他の混和剤と組み合わせて添加されてよいし、圧縮された団塊として、例えば"パック"または"タブレット"の形で添加されてよいし、液状混和剤、例えばペーストまたはスラリーとして添加されてよい。ポリマー微小球は、結合剤と混合されてよく、1つの形状に形成されてよい。粒径は、有利な体積%の間隙を提供するように設計されている(即ち、1単位当たり0.25体積%)。無水粉末または圧縮された団塊の形の無水ポリマー微小球は、必要に応じて無水セメントと前混合されてよい。
【0026】
無水注型セメント状組成物へ添加されるべきポリマー微小球の量は、無水セメントの約0.1質量%〜無水セメントの約4質量%であるかまたは無水注型セメント状混合物の約0.05体積%〜約4体積%である。
【0027】
ガス発生添加剤は、窒素、酸素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、アンモニアまたはメタンガスを発生させる任意の化合物である。ガス発生添加剤は、広い範囲の化学薬品、例えば窒素ガス発生化合物、例えばヒドラジン、ヒドラジド、アジド、アゾ化合物、アゾジカルボンアミド、トルエンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルアセトンヒドラゾン、トルエンスルホニルセミカルバジド、フェニルテトラゾール、ジニトロソペンタメチレンテトラミン;水素ガス発生化合物、例えば硼水素化ナトリウム;酸素ガス発生化合物、例えば有機ペルオキシド、無機ペルオキシド;二酸化炭素発生化合物、例えば重炭酸ナトリウムまたは他のアルカリ金属炭酸塩またはアルカリ土類金属炭酸塩;および空気発生化合物、例えば活性炭を有する。
【0028】
ガス発生添加剤は、種々のヒドラジド化学薬品を有することができる。一般に、ヒドラジドは、セメント状組成物が所定の位置に置かれ、水中で不溶性になった後にガスを発生させるという利点を有し、それ故に、このヒドラジドは、混合の機械的作用によって殆んど影響を及ぼされない。公知技術水準において、ヒドラジドは、セメントと水を混合する早期の段階で殆んど反応しないことが証明されているモルタルおよびグラウト中での化学的収縮に対して或る程度の膨張による補償を提供するために使用されてきた。ヒドラジド、例えば4,4′−オキシジベンゼンスルホニルヒドラジドが使用されうる。
【0029】
ガス発生添加剤は、多数の方法で、例えば粉末、スラリーまたはペーストとして無水注型セメント状組成物に(無水セメント状材料の約0.01〜約0.5質量%(wt.%)の量で)添加されてよい。一定の実施態様において、液状混和剤、例えばペーストまたはスラリーの使用は、ミキサーへの装入中の無水粉末状材料の粉塵化および損失を減少させることが観察された。ガス発生添加剤を無水注型セメント状混合物に添加するための別の方法は、DELVO(登録商標)ESC凝結遅延剤(Degussa Admixtures, Inc., Cleaveland, Ohioによって販売されている)と同様に圧縮された団塊、即ちブッロクまたはパックを形成させることによって行なわれる。
【0030】
本明細書中に記載された無水注型セメント状組成物は、他の添加剤または成分を含有することができ、記載された配合に限定されるものではない。添加されうるセメント添加剤は、次のものを含むことができるが、しかし、これに限定されない:空気連行剤、骨材、ポゾラン、分散剤、凝固促進剤/凝固増強剤および強度促進剤/強度増強剤、凝固遅延剤、水希釈剤(water reducer)、湿潤剤、水溶性ポリマー、レオロジー変性剤、撥水剤、防湿混和剤、透過性減力剤、ポンピング補助剤、抗真菌混和剤、殺菌性混和剤、殺虫性混和剤、微粒状無機混和剤、アルカリ反応減力剤(alkali-reactivity reducer)、結合混和剤、収縮減少混和剤および任意の他の混和剤または無水注型セメント状組成物の性質に不利な影響を及ぼさない添加剤。
【0031】
骨材は、モルタルを調製するためのセメント状配合物中に含まれていてよく、この場合このモルタルは、微細な骨材と粗大な骨材をも含むコンクリートとを含む。この微細な骨材は、No.4の篩(ASTM C 125およびASTM C 33)を殆んど完全に通過する材料、例えばシリカ砂である。粗大な骨材は、No.4の篩(ASTM C 125およびASTM C 33)上に大部分が保留される材料、例えばシリカ、石英、破砕された大理石、ガラス小球、花崗岩、石灰岩、方解石、長石、漂砂、砂または任意の他の耐性骨材およびその混合物である。
【0032】
ポゾランは、セメント質の価値を殆んど有しないかまたは全く有しない珪酸質材料またはアルミノ珪酸質材料であるが、しかし、水の存在で微粒状の形でポルトランドセメントの水和中に形成される水酸化カルシウムと化学的に反応し、セメント質の性質を有する材料を形成する。珪藻土、オパリン質チャート、クレー、頁岩、フライアッシュ、シリカフューム、スラグ、凝灰岩および軽石は、公知のポゾランの幾つかである。一定の粉砕され造粒された高炉スラグおよび高カルシウムフライアッシュ(high calcium fly ashes)は、ポゾランの性質とセメント質の性質との双方を有する。天然のポゾランは、天然で発生するポゾラン、例えば凝灰岩、軽石、トラッス、珪藻土、オパリン質チャートおよび幾つかの頁岩を定義するために使用される1つの用語である。名目上、不活性材料は、微粒状の未処理の石英、ドロマイト、石灰石、大理石、花崗岩等を含むこともできる。フライアッシュは、ASTM C 618に定義されている。
【0033】
シリカフュームまたは他のポゾラン、例えばフライアッシュ、スラグまたは焼成クレー、例えばメタカオリン(metakaolin)は、セメントの質量に対して約5%〜約70%の量で無水注型セメント状混合物に添加されてよい。
【0034】
別の実施態様は、耐凍結融解損傷性を有する無水注型セメント状製品の製造法を提供する。この方法は、水硬性セメント、水、ポリマー微小球、粗大な骨材、微細な骨材および場合によってはガス発生添加剤、分散剤、シリカフューム、ポゾラン、例えばフライアッシュ、スラグまたは焼成クレーおよび顔料を有する混合物を提供し、さらにこの混合物からの製品の形成を提供する。形成は、前記混合物を金型内に置き、この金型を振動させるかまたはこの混合物をダイを通して押出すことを含む任意の方法によって達成されうる。
【0035】
無水注型セメント状組成物中に使用される場合の分散剤は、任意の適当な分散剤、例えばカルシウムリグノスルホネート、スルホン化メラミンホルムアルデヒド縮合物、ポリカルボキシレート、ナフタリンスルフェートホルムアルデヒド縮合物樹脂、例えばLOMAR D(登録商標)(Cognis Inc., Cincinnati, Ohio)またはオリゴマー分散剤であることができる。
【0036】
ペンダント側鎖を有する炭素骨核を有する分散剤を意味するポリカルボキシレート分散剤を使用することができ、この場合側鎖の少なくとも一部分は、カルボキシル基またはエーテル基によって骨核に結合されている。分散剤の用語は、セメント状組成物のための可塑剤、広範囲の水減力剤、流動化剤、抗凝集剤または超可塑剤としても機能する化学薬品を含むことも意味する。ポリカルボキシレート分散剤の例は、米国特許第2002/0019459号明細書A1、米国特許第6267814号明細書、米国特許第6290770号明細書、米国特許第6310143号明細書、米国特許第6187841号明細書、米国特許第5158996号明細書、米国特許第6008275号明細書、米国特許第6136950号明細書、米国特許第6284867号明細書、米国特許第5609681号明細書、米国特許第5494516号明細書、米国特許第5674929号明細書、米国特許第5660626号明細書、米国特許第5668195号明細書、米国特許第5661206号明細書、米国特許第5358566号明細書、米国特許第5162402号明細書、米国特許第5798425号明細書、米国特許第5612396号明細書、米国特許第6063184号明細書および米国特許第5912284号明細書、米国特許第5840114号明細書、米国特許第5753744号明細書、米国特許第6728207号明細書、米国特許第5725657号明細書、米国特許第5703174号明細書、米国特許第5665158号明細書、米国特許第5643978号明細書、米国特許第5633298号明細書、米国特許第5583183号明細書および米国特許第5393343号明細書中に見出すことができ、この場合これらの刊行物は、全て参考のために本明細書中に記載されている。
【0037】
前記系中で使用されるポリカルボキシレート分散剤は、分散剤の式a)〜j)の少なくとも1つであることができる:
a)式(I):
【化1】

〔式(I)中で、
Xは、水素、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンまたはアミンの少なくとも1つであり、
Rは、C1〜C6アルキル(アルキレン)エーテルまたはその混合物、またはC1〜C6アルキル(アルキレン)イミンまたはその混合物の少なくとも1つであり;
Qは、酸素、NHまたは硫黄の少なくとも1つであり;
pは、線状側鎖または分枝鎖状側鎖の少なくとも1つを生じる1〜約300の数の1つであり;
1は、水素、C1〜C20炭化水素、または−OH、−COOH、−COOHのエステル誘導体またはアミド誘導体の少なくとも1つを含有する官能化された炭化水素、スルホン酸、スルホン酸のエステル誘導体またはアミド誘導体、アミンまたはエポキシの少なくとも1つであり;
Yは、水素、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、アミン、疎水性炭化水素または消泡剤として機能するポリアルキレンオキシド部分の少なくとも1つであり;
m、m′、m′′、n、n′およびn′′は、それぞれ独立に0または1〜約20の整数であり;
Zは、i)少なくとも1つのアミンおよび少なくとも1つの酸基、ii)二無水物、ジアルデヒドおよび二酸クロリドから構成されている群から選択された骨核中に組み込むことができる2個の官能基、またはiii)イミド残基の少なくとも1つを含有する部分であり;
a、b、cおよびdは、それぞれの単位のモル画分を反映し、a、b、cおよびdの総和は、1であり、a、b、cおよびdは、それぞれ零より大きいかまたは零に等しい値および1未満の値であり、a、b、cおよびdの少なくとも2つは、零より大きい〕で示される分散剤;
b)式(II):
【化2】

〔式(II)中で、
Aは、COOMであるかまたは場合によっては"y"構造中で、酸無水物基(−CO−O−CO−)は、A基が結合されて無水物を形成するような炭素原子間のA基の代わりに形成されており;
Bは、COOMであり;
Mは、水素、遷移金属陽イオン、疎水性ポリアルキレングリコールまたはポリシロキサンの残基、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、鉄イオン、アルミニウムイオン、(アルカノール)アンモニウムイオンまたは(アルキル)アンモニウムイオンであり;Rは、C2〜C6アルキレン基であり;
1は、C1〜C20アルキル、C6〜C9シクロアルキルまたはフェニル基であり;
x、yおよびzは、0.01〜100の数であり;
mは、1〜100であり;
nは、10〜100の数である〕で示される分散剤;
c)i)RがC1〜C20アルキル基であり、AがC2〜C4アルキレン基であり、かつmが2〜16の整数であるような式RO(AO)mHで示される化合物との無水マレイン酸半エステルと
ii)nが1〜90の整数であり、かつRがC1〜C20アルキル基であるような式CH2=CHCH2−(OA)nORを有するモノマーとのコポリマーの形を有する少なくとも1つのポリマーまたはその塩からなる分散剤;
d)次の一般式(1):
【化3】

〔R1は、水素原子またはメチル基を表わし、R2Oは、炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基の1つ種類または2つ以上の種類の混合物を表わし、この場合2つ以上の種類の混合物は、ブロックの形で添加されてもよいし、ランダムな形で添加されてもよく、R3は、水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基を表わし、mは、1〜100の範囲内の整数であるオキシアルキレン基の付加的な平均モル数を示す〕によって表わされる(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a)5〜98質量%を、R4およびR5がそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表わし、かつMが水素原子、一価の金属原子、二価の金属原子、アンモニウム基または有機アミン基を表わすような上記の一般式(2)によって表わされる(メタ)アクリル酸モノマー(b)95〜2質量%および前記モノマーと共重合可能な他のモノマー(c)0〜50質量%と共重合させることによって得られた分散剤、この場合(a)、(b)および(c)の全体量は、100質量%であり;
e)オリゴアルキレングリコール、ポリアルコール、ポリオキシアルキレンアミンおよびポリアルキレングリコールから構成されている群から選択された少なくとも1つの種類に由来する側鎖を有する、ポリカルボン酸またはその塩であるグラフトポリマー;
f)式(III)
【化4】

〔式(III)中で、
Dは、構造式d1、構造式d2およびその混合物から構成されている群から選択された1つの成分であり;
Xは、H、CH3、C2〜C6アルキル、フェニル、p−メチルフェニルまたはスルホン化フェニルであり;
Yは、Hまたは−COOMであり;
Rは、HまたはCH3であり;
Zは、H、−SO3M、−PO3M、−COOM、−O(CH2nOR3、但し、この場合nは、2〜6であり、−COOR3または−(CH2nOR3、但し、この場合nは、0〜6であり、−CONHR3、−CONHC(CH32CH3SO3M、−COO(CHR4nOHであり、但し、この場合nは、2〜6であり、または−O(CH2nOR4、但し、この場合nは、2〜6であり;
1、R2、R3、R5は、それぞれ独立にオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との−(CHRCH2O)m4ランダムコポリマーであり、但し、この場合mは、10〜500であり、このランダムコポリマー中のオキシエチレン単位の量は、約60%〜100%であり、このランダムコポリマー中のオキシプロピレンの量は、0%〜約40%であり;
4は、H、メチル、C2〜約C6アルキルまたは約C6〜約C10アリールであり;
Mは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミン、トリエタノールアミン、メチルまたはC2〜約C6アルキルであり;
aは、0〜約0.8であり;
bは、約0.2〜約1.0であり;
cは、0〜約0.5であり;
dは、0〜約0.5であり;a、b、cおよびdは、それぞれの単位のモル画分を表わし;
a、b、cおよびdの総和は、1.0であり;
aは、同じ分散剤構造における2つ以上の異なる成分を表わすことができ;
bは、同じ分散剤構造における2つ以上の異なる成分を表わすことができ;
cは、同じ分散剤構造における2つ以上の異なる成分を表わすことができ;
dは、同じ分散剤構造における2つ以上の異なる成分を表わすことができる〕で示される分散剤;
g)式(IV):
【化5】

〔式(IV)中で、
"b"構造は、カルボン酸モノマー、エチレン系不飽和モノマーまたは無水マレイン酸の1つであり、酸無水物基(−CO−O−CO−)は、YおよびZがそれぞれ結合している炭素原子間の基YおよびZの代わりに形成されており、"b"構造は、ペンダント状エステル結合を有する少なくとも1つの部分およびペンダント状アミド結合を有する少なくとも1つの部分を含まなければならず;
Xは、H、CH3、C2〜C6アルキル、フェニル、p−メチルフェニル、p−エチルフェニル、カルボキシル化フェニルまたはスルホン化メチルであり;
Yは、H、−COOM、−COOHまたはWであり;
Wは、式R5O−(CH2CH2O)s−(CH2C(CH3)HO)t(CH2CH2O)uによって表わされる疎水性消泡剤であり、上記式中、s、tおよびuは、0〜200の整数であり、但し、この場合tは、(s+u)より大きく、疎水性消泡剤の全体量は、ポリカルボキシレート分散剤の約10質量%未満の量で存在し;
Zは、H、−COOM、−O(CH2nOR3、但し、nは、2〜6であり、−COOR3、−(CH2nOR3、但し、nは、0〜6であり、または−CONHR3であり;
1は、HまたはCH3であり;
2、R3は、それぞれ独立にmが10〜500であるような一般式(CH(R1)CH2O)m4のオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とのランダムコポリマーであり、ランダムコポリマー中のオキシエチレン量は、約60%〜100%であり、ランダムコポリマー中のオキシプロピレン量は、0%〜約40%であり;
4は、H、メチルまたはC2〜C8アルキルであり;
5は、C1〜C18アルキルまたはC6〜C18アルキルアリールであり;
Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、アミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、イミダゾールであり;
aは、0.01〜0.8であり;
bは、0.2〜0.99であり;
cは、0〜0.5であり;
a、b、cは、それぞれの単位のモル画分を表わし、a、bおよびcの総和は、1であり;
aは、同じ分散剤構造における2つ以上の異なる成分を表わすことができ;
cは、同じ分散剤構造における2つ以上の異なる成分を表わすことができる〕で示される分散剤;
h)下記のモノマー単位およびモノマー単位の数を有する遊離酸の形または塩の形での次の式(V):
【化6】

〔式中、Aは、部分(i)または(ii)から選択され、
(i)−CR12−CR34
(ii)
【化7】

この場合、R1およびR3は、置換されたベンゼン、C1〜C8アルキル、C2〜C8アルケニル、C2〜C8アルキルカルボニル、C1〜C8アルコキシ、カルボキシル、水素および環から選択されており、R2およびR4は、水素およびC1〜C4アルキルから構成されている群から選択されており、R1およびR3は、R2および/またはR4がC1〜C4アルキルである場合にR2および/またはR4と一緒になって環を形成することができ;
7、R8、R9およびR10は、個別的に水素、C1〜C6アルキルおよびC2〜C8炭化水素鎖から構成されている群から選択されており、R1およびR3は、R7および/またはR8、R9およびR10と一緒になってこれらR7および/またはR8、R9およびR10が結合される炭素原子に隣接しているC2〜C8炭化水素鎖を形成し、この場合この炭化水素鎖は、場合によっては少なくとも1つの陰イオン基を有し、
少なくとも1個の陰イオン基は、場合によってはスルホン酸基であり;
Mは、水素および疎水性ポリアルキレングリコールまたはポリシロキサンの残基から構成されている群から選択され、但し、Aが(ii)であり、かつMが疎水性ポリアルキレングリコールの残基である場合には、Mは、基−(R5O)m6と相違しなければならず;R5は、C2〜C8アルキレン基であり;
6は、C1〜C20アルキル、C6〜C9シクロアルキルおよびフェニルから構成されている群から選択されており;
n、xおよびzは、1〜100の数であり;
yは、0〜100であり;
mは、2〜1000であり;
x対(y+z)の比は、1:10〜10:1であり、y:zの比は、5:1〜1:100であり〕に相応するランダムコポリマー;
i)次のもの:
i)式3aまたは3b:
【化8】

〔式中、Mは、水素原子、一価の金属陽イオンまたは二価の金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミン残基であり、aは、1であるかまたはMが二価の金属陽イオンである場合には、aは、1/2であり、
Xは、−OM
−O−(Cm2mO)n−R1、但し、この場合R1は、水素原子、1〜20個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を含有する脂環式炭化水素基または場合によってはヒドロキシル、カルボキシル、C1〜C14アルキルまたは6〜14個の炭素原子を含有するスルホン酸により置換されたアリール基であり、mは、2〜4であり、nは、0〜100であり、
2がR1または−CO−NH2であるような−NHR2、−N(R22またはその混合物;
Yは、酸素原子または−NR2である〕の少なくとも1つの成分0〜90モル%;
ii)一般式4:
【化9】

〔式中、R3は、水素原子または1〜5個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素基であり、pは、0〜3であり、R1は、水素、1〜20個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を含有する脂環式炭化水素基または場合によってはヒドロキシル、カルボキシル、C1〜C14アルキルまたは6〜14個の炭素原子を含有するスルホン酸により置換されたアリール基であり、mは、個別的に2〜4であり、nは、0〜100である〕で示される成分1〜89モル%および
iii)式5aまたは5b:
【化10】

〔式中、Sは、水素原子または−COOMまたは−COOR5であり、Tは、COOR5、−W−R7、−CO−[−NH−(CH23]s−W−R7、−CO−O−(CH22−W−R7、一般式:
【化11】

で示される基または−(CH2z−V−(CH2z−CH=CH−R1であるかまたはSがCOOR5またはCOOMである場合には、U1は、−CO−NHM−、−O−または−CH2Oであり、U2は、−NH−CO−、−O−またはOCH2であり、Vは、−O−CO−C64−CO−O−または−W−であり、Wは、
【化12】

上記式中、R4は、水素原子またはメチル基であり、R5は、3〜20個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を含有する脂環式炭化水素基または6〜14個の炭素原子を含有するアリール基であり、R6は、R1であるかまたは
【化13】

であり、
7は、R1であるかまたは
【化14】

であり、
rは、2〜100であり、sは、1または2であり、xは、1〜150であり、yは、0〜15であり、zは、0〜4であり〕の少なくとも1つの成分0〜10モル%;
iv)式6a、6bまたは6c:
【化15】

〔式中、Mは、水素原子、一価の金属陽イオンまたは二価の金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミン残基であり、aは、1であるかまたはMが二価の金属陽イオンである場合には、aは、1/2であり、
Xは、−OM
−O−(Cm2mO)n−R1、但し、この場合R1は、水素原子、1〜20個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を含有する脂環式炭化水素基または場合によってはヒドロキシル、カルボキシル、C1〜C14アルキルまたは6〜14個の炭素原子を含有するスルホン酸により置換されたアリール基であり、mは、2〜4であり、nは、0〜100であり、
2がR1または−CO−NH2であるような−NH−(Cm2mO)n−R1、NHR2、−N(R22またはその混合物であり;
Yは、酸素原子または−NR2である〕の少なくとも1つの成分0〜90モル%を有するオキシアルキレングリコール−アルケニルエーテルと不飽和のモノカルボン酸および/またはジカルボン酸とのコポリマー;
j)次のもの:
i)式7aおよび式7b
【化16】

〔式中、Mは、H、一価の金属陽イオン、二価の金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミンであり、aは、Mが二価の金属陽イオンである場合には、1/2であり、Mが一価の金属陽イオンである場合には、aは、1であり、
1は、−OMまたは
−O−(Cm2mO)n−R2であり、但し、この場合R2は、H、C1〜C20脂肪族炭化水素基、C5〜C8脂環式炭化水素基または場合によっては−COOM、−(SO3)Mおよび−(PO3)Ma2で置換されたC6〜C14アリール基であり、
mは、2〜4であり、
nは、1〜200である〕の構造単位から構成されている群から選択された少なくとも1つの成分1〜90モル%;
ii)一般式8:
【化17】

〔式中、R3は、HまたはC1〜C5脂肪族炭化水素であり;pは、0〜3であり;R2は、H、C1〜C20脂肪族炭化水素、C5〜C8脂環式炭化水素、または場合によっては−COOM、−(SO3)Mおよび−(PO3)Ma2から構成されている群から選択された少なくとも1つの要素で置換されたC6〜C14アリール基であり、mは、2〜4であり、nは、1〜200である〕の成分0.5〜80モル%;
iii)式9aおよび9b:
【化18】

〔式中、R4は、H、場合によっては少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されたC1〜C20脂肪族炭化水素、−(Cm2mO)n−R2、−CO−NH−R2、C5〜C8脂環式炭化水素、または場合によっては−COOM、−(SO3)Mおよび−(PO3)Ma2から構成されている群から選択された少なくとも1つの要素で置換されたC6〜C14アリール基;
Mは、H、一価の金属陽イオン、二価の金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミンであり、aは、Mが二価の金属陽イオンである場合には、1/2であり、Mが一価の金属陽イオンである場合には、aは、1であり、
2は、H、C1〜C20脂肪族炭化水素、C5〜C8脂環式炭化水素または場合によっては−COOM、−(SO3)Mおよび−(PO3)Ma2から構成されている群から選択された少なくとも1つの要素で置換されたC6〜C14アリールであり、
mは、2〜4であり、
nは、1〜200である〕から構成されている群から選択された構造単位0.5〜80モル%;
iv)一般式10:
【化19】

〔式中、R5は、メチル基またはメチレン基であり、R5は、R7と一緒になって1個以上の5〜8員環を形成し;
6は、H、メチルまたはエチルであり;
7は、H、C1〜C20脂肪族炭化水素、場合によっては−COOM、−(SO3)Mおよび−(PO3)Ma2から構成されている群から選択された少なくとも1つの要素で置換されたC6〜C14アリール基、C5〜C8脂環式炭化水素、−OCOR4、−OR4および−COOR4であり;R4は、H、場合によっては少なくとも1つの−OHで置換されたC1〜C20脂肪族炭化水素、−(Cm2mO)n−R2、−CO−NH−R2、C5〜C8脂環式炭化水素、または場合によっては−COOM、−(SO3)Mおよび−(PO3)Ma2から構成されている群から選択された少なくとも1つの要素で置換されたC6〜C14アリール残基である〕の成分1〜90モル%を有するジカルボン酸誘導体とオキシアルキレングリコール−アルキレンエーテルとのコポリマー。
【0038】
式(e)において、"由来する"の用語は、一般的な誘導体に言及されるのではなく、むしろ分散剤の性質と比較可能でありかつグラフトポリマーを破壊しないオリゴアルキレングリコール、ポリアルコールおよびポリアルキレングリコールの任意のポリカルボン酸/ポリカルボン酸塩側鎖誘導体に言及される。
【0039】
6〜14個の炭素原子を含有する式(i)の場合によっては置換されたアリール基中の置換基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、C1〜C14アルキル基またはスルホネート基であってよい。
置換されたベンゼン中の置換基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、C1〜C14アルキル基またはスルホネート基であってよい。
【0040】
オリゴマー分散剤の用語は、(k)成分A、場合によっては成分Bおよび成分Cの反応生成物であるオリゴマーに言及され;
それぞれ成分Aは、個別的にセメント状粒子上で吸着しかつホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、次亜リン酸塩、スルフェート、スルホネート、スルフィネート、アルキルトリアルコキシシラン、アルキルトリアシルオキシシラン、アルキルトリアリールオキシシラン、ボラート、ボロネート(boronates)、ボロキシン(boroxines)、ホスホルアミド、アミン、アミド、第四級アンモニウム基、カルボン酸、カルボン酸エステル、アルコール、炭水化物、糖の燐酸エステル、糖の硼酸エステル、糖の硫酸エステル、前記の成分の一部分の任意の塩およびその混合物から構成されている群から選択された第1の成分に由来する少なくとも1つの残基を含有する非ポリマーの官能性部分であり;
成分Bは、場合による成分の一部分であり、存在する場合には、それぞれ成分Bは、個別的に成分A部分と成分C部分との間に配置されかつ線状飽和炭化水素、線状不飽和炭化水素、飽和分枝鎖状炭化水素、不飽和分枝鎖状炭化水素、脂環式炭化水素、ヘテロ環式炭化水素、アリール、ホスホエステル、窒素含有化合物およびその混合物から構成されている群から選択された第2の成分に由来する非ポリマー成分の一部分であり;および
成分Cは、実質的にセメント状粒子に対して非吸着性である線状または分枝鎖状の水溶性の非イオン性ポリマーでありかつ米国特許第6133347号明細書、米国特許第6492461号明細書および米国特許第6451881号明細書中に開示されているポリ(オキシアルキレングリコール)、ポリ(オキシアルキレンアミン)、ポリ(オキシアルキレンジアミン)、モノアルコキシポリ(オキシアルキレンアミン)、モノアリールオキシポリ(オキシアルキレンアミン)、モノアルコキシポリ(オキシアルキレングリコール)、モノアリールオキシポリ(オキシアルキレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリルアミド)、ポリオキサゾロンまたはその混合物から構成されている群から選択された少なくとも1つの成分の一部分であり、この場合前記刊行物は、参考のために本明細書中に記載されている。
【0041】
使用することができる凝固促進剤/凝固増強剤および強度促進剤/強度増強剤は、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムの硝酸塩;アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムの亜硝酸塩;アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムのチオシアネート;アルカノールアミン;アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムのチオスルフェート;アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムの水酸化物;アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムのカルボン酸塩(好ましくは蟻酸カルシウム);ポリヒドロキシルアルキルアミン;アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハライド塩(好ましくはブロミド)を含むが、これに限定されるものではない。使用することができる促進剤の例は、双方ともDegussa Admixtures Inc. ,Cleaveland, Ohioによって次の商品名で販売されているPOZZOLITH(登録商標)NC534、非クロリド型の促進剤および/またはRHEOCRETE(登録商標)CNI 亜硝酸カルシウムをベースとする耐蝕剤を含むが、これに限定されるものではない。
【0042】
前記硝酸塩は、一般式M(NO3aを有し、この場合Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属またはアルミニウムであり、aは、1がアルカリ金属塩を表わし、2がアルカリ土類金属塩を表わし、3がアルミニウム塩を表わす。好ましいのは、Na、K、Mg、CaおよびAlの硝酸塩である。
【0043】
亜硝酸塩は、一般式M(NO2aを有し、この場合Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属またはアルミニウムであり、aは、1がアルカリ金属塩を表わし、2がアルカリ土類金属塩を表わし、3がアルミニウム塩を表わす。好ましいのは、Na、K、Mg、CaおよびAlの亜硝酸塩である。
【0044】
前記チオシアン酸の塩は、一般式M(SCN)bを有し、この場合Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属またはアルミニウムであり、bは、1がアルカリ金属塩を表わし、2がアルカリ土類金属塩を表わし、3がアルミニウム塩を表わす。前記塩は、スルホシアネート、スルホシアニド、チオシアン酸塩またはチオシアン化物として種々に公知である。好ましいのは、Na、K、Mg、CaおよびAlのチオシアン酸塩である。
【0045】
アルカノールアミンは、三価窒素がアルキルアルコールの炭素原子に直接結合している化合物の群の一般的な用語である。代表的な式は、N[H]c[(CH2dCHRCH2R]eであり、この場合Rは、個別的にHまたはOHであり、cは、3−eであり、dは、0〜約4であり、eは、1〜約3である。例は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびトリイソプロパノールアミンを含むが、これに限定されるものではない。
【0046】
チオスルフェート塩は、一般式Mf(S23gを有し、この場合Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属またはアルミニウムであり、Mの金属元素の原子価に依存して、fは、1または2であり、gは、1、2または3である。好ましいのは、Na、K、Mg、CaおよびAlのチオスルフェート塩である。
カルボン酸塩は、一般式RCOOMを有し、この場合Rは、HまたはC1〜約C10アルキルであり、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属またはアルミニウムである。好ましいのは、Na、K、Mg、CaおよびAlのカルボン酸塩である。カルボン酸の例は、蟻酸カルシウムである。
【0047】
ポリヒドロキシルアルキルアミンは、一般式
【化20】

〔式中、hは、1〜3であり、iは、1〜3であり、jは、1〜3であり、kは、0〜3である〕を有することができる。好ましいポリヒドロキシルアルキルアミンは、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンである。
【0048】
凝固遅延剤、即ち遅延凝固混和剤または水和制御混和剤としても知られている凝固遅延混和剤は、無水注型セメント状組成物の凝固を遅らせるか、遅延させるか、または緩徐にさせるために使用される。前記の凝固遅延剤は、バッチの開始時または時々水和処理が開始された後に無水注型セメント状組成物に添加されてよい。
【0049】
凝固遅延剤は、無水注型セメント状組成物の凝固時に暑い天候の促進効果を相殺させるために使用されるか、または配置条件または仕事の現場への搬送が問題が困難な場合にコンクリートまたはグラウトの初期凝固を遅延させるために使用されるか、または特殊な仕上げ処理の時間を許容させるために使用される。大部分の凝固遅延剤は、低いレベルの水希釈剤としても作用し、或る程度の空気を無水注型セメント状組成物中に連行させるために使用されてもよい。リグノスルホネート、ヒドロキシル化カルボン酸、ボラックス、グルコン酸、酒石酸および他の有機酸およびその相応する塩、ホスホネート、一定の炭水化物、例えば糖および糖酸およびその混合物は、遅延混和物として使用されてよい。
【0050】
防湿混和剤は、低いセメント含量、高い水セメント比または骨材部分中の微細粒の欠如を有するコンクリートの透過性を減少させる。この混和物は、無水コンクリート中への湿分の侵入を遅延させ、一定の石鹸、ステアレートおよび石油製品を含む。
【0051】
透過性減力剤は、圧力下の水がコンクリートを透過する速度を減少させるために使用される。シリカフューム、フライアッシュ、粉砕スラグ、メタカオリン、天然のポゾラン、水希釈剤およびラテックスは、コンクリートの透過性を減少させるために使用されてよい。
【0052】
ポンピング補助剤は、ポンプ効果を改善するために無水注型セメント状組成物に添加される。前記の混和剤は、液状の無水注型セメント状組成物を増粘させ、即ちこの無水注型セメント状組成物の粘度を増加させ、ポンプにより圧力下でペーストの脱水を減少させる。無水注型セメント状組成物中でポンピング補助剤として使用される材料の中には、有機ポリマーおよび合成ポリマー、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)または分散剤と配合されたHEC、有機凝集剤、パラフィンの有機エマルジョン、コールタール、アスファルト、ポリアクリレート、ベントナイトおよび熱分解法シリカ、天然ポゾラン、フライアッシュおよび消石灰がある。
【0053】
硬化したコンクリート上または硬化したコンクリート中での細菌の成長および真菌類の成長は、部分的に抗真菌混和剤、殺菌性混和剤および殺虫性混和剤の使用によって制御されることができる。この目的のために最も効果的な材料は、ポリハロゲン化フェノール、ジアルドリンエマルジョン(dialdrin emulsions)および銅化合物である。
【0054】
着色混和剤は、通常、顔料、有機顔料、例えばフタロシアニンまたは無機顔料、例えばこれに限定されるものではないが金属酸化物等を有する金属含有顔料から構成されており、鉄酸化物含有顔料、例えばCHROMIX(登録商標)L(Degussa Admixtures, Cleveland, Ohio)、酸化クロム、酸化アルミニウム、クロム酸鉛、酸化チタン、亜鉛白、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、鉄マンガン黒、コバルト緑、マンガン青、マンガンバイオレット、カドミウムスルホセレン化物、クロムオレンジ、ニッケルチタン黄、クロムチタン黄、硫化カドミウム、亜鉛黄、ウルトラマリーンブルーおよびコバルトブルーを含むが、これに限定されるものではない。
【0055】
アルカリ反応減力剤は、アルカリ骨材の反応を減少させることができ、この反応が硬化されたコンクリート中で形成しうる破壊的な膨張力を制限する。ポゾラン(フライアッシュ、シリカフューム)、高炉スラグ、リチウム塩およびバリウム塩は、殊に効果的である。
【0056】
使用することができる収縮減少混和剤は、RO(AO)1-10Hを有することができるが、これに限定されることはなく、この場合Rは、C1〜C5アルキルまたはC5〜C6シクロアルキル基であり、Aは、C2〜C3アルキレン基、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩、アルカリ土類金属酸化物、好ましくは硫酸ナトリウムおよび酸化カルシウムであり、TETRAGUARD(登録商標)混和剤は、使用することができる収縮減少混和剤(Degussa Admixtures Inc., Cleveland, Ohioから入手可能)の1例である。
【0057】
無水注型セメント状混合物は、この混合物が適度に割り当てられた場合に振動または加えられたエネルギーに反応することが見い出された。金型を振動または他のエネルギーに晒した場合には、前記混合物のペースト画分は、ビヒクル/滑剤として機能し、それによって、固体の骨材粒子は、移動し、硬化中にそれ自体配向する。
【0058】
減少されたペースト含量は、堅固ないし極めて無水の稠度で約0.2〜約0.8の典型的な水/セメント(w/c)比で無水注型セメント状混合物を提供する。低いペースト対骨材比(体積に対して)は、重力下で流動せず、前記混合物を最終的な形に圧縮するために付加的な振動および圧力を必要とする混合物を生じる。非流動性の稠度および機械的に増大された圧密作用により、最終的な製品部材は、金型から直ちに取り出すことができるかまたは正確な最終的形状および寸法でダイから押出すことができる。
【0059】
生成形体の強度は、製品が金型または押出機から取り出されたと同時の生成形体の形状を維持している製品の安定性に言及される。生成形体の強度は、無水注型セメント状混合物、ペースト含量および骨材材料の粒径分布に依存する。
【0060】
本明細書中に記載された実施態様の幾つかの例は、耐凍結融解性(F/T)に対する効果について試験されたものである。無水注型セメント状製品の耐凍結融解性F/Tは、通常、ASTM C 1262-98 "Standard Test Method for Evaluating the Freeze-Thaw Durability of Manufactured Concrete Masonry Units and Related Concrete Units"による結果によって規定される。
【0061】
この試験法は、コンクリートにより製造されたユニット(CMU)からの試験体の準備および試験を提供し、凍結と融解の繰り返されるサイクルに対する耐性を測定するものである。試験体は、封止された容器中に液体(水道水または塩化ナトリウム3質量%を含有する水道水)と接触させて置かれる。この容器は、水の凍結点を超えてかまたは水の凍結点未満で試験体の温度が周期的に繰り返され再現される試験室内に置かれる。凍結と融解の1回の連続は、1つのサイクルと呼称される。一定の回数のサイクル後に、試験体は、計量され、どの位の材料が試験体から除去されたのかを測定する。この質量損失は、コンクリート複合材の小さな粒子が元来の試験体から分離された際に起こる。一般に、試験体は、この試験体が出発質量の1%以上の損失を蒙った際に損傷を受けた場合に測定される。この少なくとも1%の損失を生じるのに必要とされるサイクル数は、損傷を受けたサイクル数として報告される。
【0062】
第1表は、耐凍結融解性F/Tに対する試験体の密度の効果を測定するために設計された1つの研究からのデータを示す。試験体は、2つの無水注型混合物からの密度の3つのレベルで準備された。
【0063】
2つの試験混合物は、同じセメントの骨材の粗製材料を使用した。
【0064】
無筋の混合物は、次の成分を有していた:
セメント 全乾燥質量の16%、
骨材 全乾燥質量の84%、
w/c比0.50(新しい混合物の約8%は、有効な水である)。
【0065】
混和剤を含有する混合物は、次の成分を有していた:
セメント 全乾燥質量の15%、
骨材 全質量の85%、
w/c比0.47(新しい混合物の約7%は、有効な水である)、
色増強混和剤(Degussa Admixtures, Inc.から入手可能なColor Cure XD)は、ステアリン酸カルシウムおよびラテックスポリマーを活性成分として含有する−無水セメント(セメント状材料約22oz/cw)の活性材料0.6質量%(ラテックスポリマー約0.24質量%およびステアリン酸カルシウム0.32質量%)、分散剤(Degussa Admixtures, Inc.から入手可能なRheomix 730S)−無水セメントの活性材料0.05質量%(セメント状材料約8.5oz/cwt)。
【0066】
次の表および2つのグラフ(図1および図2)は、試験体のデータおよびASTM C 1262の結果を示す。
【0067】
【表1】

【0068】
第1表中のデータは、試験体の密度が減少された場合の耐凍結融解性F/Tの減少を示す(図1)。高い密度および中程度の密度を有する試料(試料1〜4)に関しては、前記の耐凍結融解性F/Tの減少は、破損時のサイクルの減少によって示される。低い密度の試験体(試料5および6)に関しては、低い密度の試験体の百分率での平均質量損失の急激な増加が観察された(図)2。このデータは、混和剤を含有するそれぞれの試料(試料2、4、6)において、混和剤を含有しない試験体(試料1、3、5)に対して耐凍結融解性の減少が存在することを示す。この結果は、混和剤試験体の僅かに低いセメント含量に部分的に基づくものと思われる。
【0069】
第2表は、無水注型セメント状混合物中でポリマー微小球を使用することによるASTM1262試験データを示す。この試験における混合物は、次のものを含有する:
セメント 全乾燥質量の13%または16%、
骨材 全乾燥質量の84%または87%、
w/c比0.50(新しい混合物の約8%は、有効な水である)。
【0070】
エクスパンセル(Expancel)ポリマー微小球(Stockviksverken, Sweden)、製品551 De 40(平均直径約30μm〜約50μmの膨張された無水ポリマー微小球)は、全ての試験で使用され、第2表中に示された体積%含量で計量供給された。
【0071】
【表2】

【0072】
第2表は、セメント成分混合物13%(試料11〜13)とセメント成分混合物16%(試料7〜10)との間で耐凍結融解性F/Tの重大な差異を示していない。前記表中のデータは、無筋の無水注型混合物中でのポリマー微小球の存在により、1%の質量損失を形成させるのに必要とされるF/Tサイクル数が増加することを示す。食塩溶液中で試験されたポリマー微小球約1体積%(試料9および12)を含有する2つのセメント含量(13%と16%)の混合物は、未処理の参照試験体(試料10および13)に対して破損前にF/Tサイクル数を二倍にし、約2体積%を有する試料(試料7、8および11)は、未処理の参照試験体(試料10および13)に対して破損時にF/Tサイクル数を四倍にした。これは、耐凍結融解性F/Tにおける重要な改善点である。
【0073】
第3表は、無水注型セメント状混合物中でポリマー微小球を使用することによるASTM1262試験データを示す。この試験における混合物は、次のものを含有する:
試料中のセメントおよび骨材の全質量に対して、
セメント875(ポンド)、
骨材7164(ポンド)、
水6%。
【0074】
エクスパンセル(Expancel)ポリマー微小球(Stockviksverken, Sweden)、製品551 WE 40(平均直径約30μm〜約50μmの膨張された湿潤ポリマー微小球)は、試料15で使用され、第3表中に示された体積%含量で計量供給された。
【0075】
【表3】

【0076】
第3表中のデータは、ポリマー微小球(14)なしの試料の耐凍結融解性F/Tと比較してポリマー微小球(15)を含有する試料中での耐凍結融解性F/Tが増加したことを示す。これは、よりいっそう多いサイクル数で試料14(12回のサイクル)に対して試料15(50回のサイクル)で起こった欠陥および試料15の質量損失−2.9%と比較した欠陥時の試料14の高い質量損失−90.7%に証明されている。
【0077】
第4表は、無水注型セメント状混合物中でポリマー微小球を使用することによるASTM1262試験データを示す。この試験における混合物は、次のものを含有する:
試料中のセメントおよび骨材の全質量に対して、
セメント950(ポンド)、
骨材6210(ポンド)、
水6%。
【0078】
エクスパンセル(Expancel)ポリマー微小球(Stockviksverken, Sweden)、製品551 WE 40(平均直径約30μm〜約50μmの膨張された湿潤ポリマー微小球)およびエクスパンセル(Expancel)ポリマー微小球(Stockviksverken, Sweden)、製品551 WE 20(平均直径約10μm〜約30μmの膨張された湿潤ポリマー微小球)は、第4表中に示された試料に使用され、第4表中に示された体積%含量で計量供給された。全ての試料(16〜20)は、Rheomix(登録商標)730S可塑剤4.5oz/cwt(Degussa Admixtures, Inc. Cleveland, Ohio)を含有していた。試料16は、ポリマー微小球を含有していなかったが、しかし、常用のコンクリート用空気連行混和剤3.5oz/cwt;Microair(登録商標)(Degussa Admixtures, Inc. Cleveland, Ohio)を含有していた。試料17は、WE20ポリマー微小球を含有していた。試料18は、WE20ポリマー微小球およびPT1447撥水混和剤6oz/cwtを含有していた。試料19は、WE40ポリマー微小球およびPT1447撥水混和剤6oz/cwtを含有していた。試料20は、WE40ポリマー微小球を含有していた。
【0079】
【表4】

【0080】
第4表中のデータは、ポリマー微小球(16)なしの試料の耐凍結融解性F/Tと比較してポリマー微小球(17〜20)を含有する試料中での耐凍結融解性F/Tが増加したことを示す。これは、よりいっそう多いサイクル数で試料16(50回のサイクル)に対して試料17(150回以上のサイクル)、試料18(125回のサイクル)、試料19(125回のサイクル)、試料20(150回以上のサイクル)で起こった欠陥に証明されている。
【0081】
1つの実施態様において、耐凍結融解損傷性を有する無水注型セメント状組成物は、水硬性セメント、ポリマー微小球および場合によるガス発生添加剤を含有し、この場合このガス発生添加剤は、ヒドラジドであることができ、最も好ましくは、このヒドラジドは、4,4′−オキシジベンゼンスルホニルヒドラジドであることができる。ポリマー微小球は、ガス充填されていてもよいし、液体充填されていてもよい。更に、ポリマー微小球は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ−o−クロロスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスチレン、またはそのコポリマーまたは混合物、例えば塩化ビニリデン−アクリロニトリルコポリマー、ポリ塩化ビニリデン−コポリアクリロニトリルコポリマー、ポリアクリロニトリル−コポリメタクリロニトリルコポリマー、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマーの少なくとも1つから構成されていてよい。
【0082】
別の実施態様において、無水注型セメント状組成物は、次の特性の少なくとも1つを有する:水対セメント比は、約0.2〜約0.8であり;ガス発生添加剤は、セメント状材料の質量に対して約0.05〜2質量%の範囲内で存在し;ポリマー微小球は、セメントの乾燥質量に対して約0.01%〜約4%の範囲内で存在し;ポリマー微小球は、約0.1μm〜約100μmの平均直径を有するか;またはポリマー微小球は、約10μm未満の平均直径を有する。
【0083】
更に、別の実施態様において、上記の無水注型セメント状組成物は、空気連行剤、骨材、ポゾラン、分散剤、凝固促進剤/凝固増強剤および強度促進剤/強度増強剤、凝固遅延剤、水希釈剤(water reducer)、湿潤剤、水溶性ポリマー、レオロジー変性剤、撥水剤、防湿混和剤、透過性減力剤、ポンピング補助剤、抗真菌混和剤、殺菌性混和剤、殺虫性混和剤、微粒状無機混和剤、アルカリ反応減力剤(alkali-reactivity reducer)、結合混和剤、収縮減少混和剤またはその混合物の少なくとも1つを有する。
【0084】
他の実施態様において、無水注型セメント状製品は、上記の組成物から製造される。
【0085】
別の実施態様において、耐凍結融解損傷性を有する無水注型セメント状製品を製造するための方法が提供され、この方法は、水硬セメント、ポリマー微小球および場合によってはガス発生添加剤を混合し、セメント状組成物混合物を製造し、この混合物を製品に形成することによって特徴付けられる。一定の実施態様において、ポリマー微小球またはガス発生添加剤は、圧縮された団塊、粉末または液状混和剤、例えばスラリーまたはペーストの少なくとも1つとして添加される。
【0086】
本明細書中に記載された実施態様は、単に例示的なものであり、当業者であれば、本発明の精神および範囲を逸脱することなく変法および変更を行ないうることが理解されるであろう。このような全ての変法および変更は、上記されたような本発明の範囲内に意図的に含まれるものである。更に、本発明の種々の実施態様が組み合わされて望ましい結果を提供する場合には、開示された全ての実施態様の代替は、不要である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】異なる密度の無水注型セメント状混合物、即ち混和剤を有する無水注型セメント状混合物および混和剤なしの無水注型セメント状混合物が破損するサイクルの数を証明するグラフである。
【図2】異なる密度の無水注型セメント状混合物、即ち混和剤を有する無水注型セメント状混合物および混和剤なしの無水注型セメント状混合物の破損時の全質量損失を百分率で表わすグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水硬セメント、ポリマー微小球および場合によってはガス発生添加剤を含有する、耐凍結融解損傷性を有する無水注型セメント状組成物。
【請求項2】
水対セメント比が約0.2〜約0.8である、請求項1記載の無水注型セメント状組成物。
【請求項3】
ポリマー微小球がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ−o−クロロスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスチレンまたはそのコポリマーまたは混合物の少なくとも1つであるポリマーを含有する、請求項1記載の無水注型セメント状組成物。
【請求項4】
ポリマー微小球が塩化ビニリデン−アクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン−コポリアクリロニトリル、塩化ビニル−塩化ビニリデンまたはその混合物の少なくとも1つのコポリマーを含有する、請求項1記載の無水注型セメント状組成物。
【請求項5】
ポリマー微小球が無水セメントの質量に対して約1%〜約4%の範囲内で存在する、請求項1記載の無水注型セメント状組成物。
【請求項6】
ポリマー微小球がセメント状混合物の体積%に対して約0.05%〜約4%の範囲内で存在する、請求項1記載の無水注型セメント状組成物。
【請求項7】
ポリマー微小球がガス充填されたポリマー微小球または液体充填されたポリマー微小球の少なくとも1つである、請求項1記載の無水注型セメント状組成物。
【請求項8】
ポリマー微小球が約0,1μm〜約100μmの平均直径を有する、請求項1記載の無水注型セメント状組成物。
【請求項9】
ポリマー微小球が約10μm以下の平均直径を有する、請求項1記載の無水注型セメント状組成物。
【請求項10】
セメント状組成物がガス発生添加剤を含有する、請求項1記載の無水注型セメント状組成物。
【請求項11】
ガス発生添加剤がヒドラジド、ヒドラジン、アジドまたはアゾ化合物の少なくとも1つである、請求項1記載の無水注型セメント状組成物。
【請求項12】
ガス発生添加剤がアゾジカルボンアミド、重炭酸ナトリウム、有機ペルオキシド、無機ペルオキシド、トルエンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルアセトンヒドラゾン、トルエンスルホニルセミカルバジド、フェニルテトラゾール、硼水素化ナトリウム、活性炭またはジニトロソペンタメチレンテトラミンの少なくとも1つである、請求項1記載の無水注型セメント状組成物。
【請求項13】
ガス発生添加剤がセメントの乾燥質量に対して約0.05〜2%の範囲内で存在する、請求項1記載の無水注型セメント状組成物。
【請求項14】
さらに、空気連行剤、骨材、ポゾラン、分散剤、凝固促進剤/凝固増強剤および強度促進剤/強度増強剤、凝固遅延剤、水希釈剤、湿潤剤、水溶性ポリマー、レオロジー変性剤、撥水剤、防湿混和剤、透過性減力剤、ポンピング補助剤、抗真菌混和剤、殺菌性混和剤、殺虫性混和剤、微粒状無機混和剤、アルカリ反応減力剤、結合混和剤、収縮減少混和剤またはその混合物の少なくとも1つを有する、請求項1記載の無水注型セメント状組成物。
【請求項15】
分散剤がカルシウムリグノスルホネート、スルホン化メラミンホルムアルデヒド縮合物、ポリアスパルテート、ナトリウムナフタリンスルフェートホルムアルデヒド縮合物樹脂、オリゴマーまたはポリカルボキシレートの少なくとも1つである、請求項14記載の無水注型セメント状組成物。
【請求項16】
請求項1記載の組成物を含有する無水注型セメント状製品。
【請求項17】
耐凍結融解損傷性を有する無水注型セメント状製品を製造するための方法において、a.水硬セメント、ポリマー微小球および場合によってはガス発生添加剤を混合し、セメント状組成物混合物を製造し、b.この混合物を製品に形成することを特徴とする、耐凍結融解損傷性を有する無水注型セメント状製品を製造するための方法。
【請求項18】
ポリマー微小球またはガス発生添加剤を次の形:a.圧縮された団塊;b.粉末;またはc.液状混和剤の少なくとも1つで添加する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
混合物がガス発生添加剤を含有する、請求項17記載の方法。
【請求項20】
ポリマー微小球がガス充填されたポリマー微小球または液体充填されたポリマー微小球の少なくとも1つである、請求項17記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−502565(P2008−502565A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515852(P2007−515852)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006330
【国際公開番号】WO2005/123619
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】