説明

無溶剤型導電性接着剤

【課題】無溶剤型導電性接着剤における熱硬化性エポキシ樹脂と銀粉末との合計量に対する銀粉末の含有比率を90%としてもチクソ値を2以上4未満の範囲内に安定させて低接続抵抗・高接続信頼性の無溶剤型導電性接着剤を提供する。
【解決手段】銀粉末と熱硬化性エポキシ樹脂とを含有して溶剤と希釈剤とを含まない無溶剤型導電性接着剤である。そして、銀粉末は比表面積が0.15〜0.35m/gであり、タップ密度が5.5g/cm以上であり、銀粉末と熱硬化性エポキシ樹脂との質量比率が86:14〜90:10、且つ、チクソ値が2以上4未満となっているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子部品の接合に用いられる無溶剤型導電性接着剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、近年、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、その他デジタル家電等の電子機器においては、高性能化を図るための一手段として信号伝送を高速化する技術開発がなされているが、当該高速伝送を実現するためには、より高度なノイズ対策を必要とし、例えば、ノイズ除去効果の高いコンデンサを得るには、等価直列インダクタンス(ESL)と等価直列抵抗(ESR)とをより低くする必要がある。
【0003】
従って、前記電子機器に搭載されている電子部品は導電性接着剤によってフレームに接合されるため、当該導電性接着剤について更なる低い接続抵抗と高い接続信頼性との実現が要求されている。
【0004】
前記導電性接着剤としては、銀粉末とエポキシ樹脂とイミダゾール系硬化剤と溶剤とを含む導電ペースト(特許文献1参照)、ビスマレイミドとトリアジン樹脂モノマーとを主成分とする樹脂とエポキシ樹脂と銀粉末とを含む半導体チップマウント用無溶剤型導電性接着剤(特許文献2参照)、液状熱硬化性樹脂に球状銀粉を組み合わせた無溶剤型樹脂組成物(特許文献3参照)及びエポキシ樹脂と潜在性硬化剤と薄片状銀粉とからなる溶剤と希釈剤とを含まない無溶剤型導電性接着剤(特許文献4参照)が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−92506号公報
【特許文献2】特公平4−5705号公報
【特許文献3】特許第3826104号公報
【特許文献4】特許第3681907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記導電ペースト(特許文献1)は、より低い接続抵抗を実現するためにペースト中の銀粉末の含有比率を高くし、これによって発生するペーストの高粘度化は溶剤成分を増やすことにより解決している。通常、導電性接着剤はスクリーン印刷やディスペンサーにより被着体へ塗布され、加熱硬化することによって導電性塗膜を形成しているが、粘度調整剤として多量の溶剤や希釈剤を添加すれば、加熱硬化中にボイドが発生し、加熱硬化後の導電性塗膜内部に溶剤が残存し、逆に接続抵抗が増大するという問題点やこのような現象は高温下・短時間処理での硬化塗膜形成において顕著に現れるために接続信頼性が得られないという問題点があった。
【0007】
また、前記半導体チップマウント用無溶剤型導電性接着剤(特許文献2)は、不純物が少なく、熱的強度が強く、しかも長時間放置後の硬化においても強度の低下が少ないように成したものであるが、銀粉末の含有比率をこれ以上高めることができないことや溶剤を少量添加することによって塗布作業性を高めていることから低接続抵抗と高接続信頼性とを得られないという問題点があった。
【0008】
また、前記無溶剤型樹脂組成物(特許文献3)は、銀粉に球状粉末を使用しているため、銀粉末同士、さらに、銀粉末と被着体との接触状態が点接触となって低接続抵抗と高接続信頼性とを得られないという問題点があった。
【0009】
さらに、前記無溶剤型導電性接着剤(特許文献4)は、チクソ比を4〜7とすることによって、電子部品の高精度な実装を可能にしているが、エポキシ樹脂と潜在性硬化剤と銀粉末との合計量に対する銀含有比率が61〜83重量%であり、このように比較的低い組成において高いチクソ比となっている場合に更なる低接続抵抗を実現するために銀含有比率を83重量%以上に高めれば、接着剤の粘度とチクソ比が著しく増大して使用に耐えられないという問題点があった。
【0010】
そこで、本発明は、接続抵抗が低く接続信頼性の高い無溶剤型導電性接着剤を得るために、無溶剤型導電性接着剤における熱硬化性エポキシ樹脂と銀粉末との合計量に対する銀粉末の含有比率を90%まで高めてもチクソ値を2以上4未満の範囲内に安定させることを技術的課題としてその具現化をはかるべく研究・実験を重ねた結果、無溶剤型導電性接着剤をフレーム等に塗布する際に銀粉末を均一に被覆するのに必要な熱硬化性エポキシ樹脂量は当該銀粉末の比表面積に比例し、銀粉末の含有比率が同じであれば比表面積の小さい方が当該導電性接着剤の粘度が低くなり、また、同じくタップ密度が大きい(嵩が低い)方が銀粉末同士の接触が少なくなるため当該導電性接着剤の粘度が低くなるという知見を得、銀粉末の比表面積とタップ密度との数値範囲を特定することによって銀粉末の含有比率を最大限高めて前記技術的課題を達成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。
【0012】
即ち、本発明に係る無溶剤型導電性接着剤は、銀粉末と熱硬化性エポキシ樹脂とを含有して溶剤と希釈剤とを含まない無溶剤型導電性接着剤において、前記銀粉末が0.15〜0.35m/gの比表面積と5.5g/cm以上のタップ密度とを有すると共に前記銀粉末と前記エポキシ樹脂との質量比率を86:14〜90:10とし、且つ、チクソ値を2以上4未満としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、0.15〜0.35m/gの比表面積と5.5g/cm以上のタップ密度の特性を有する銀粉末と熱硬化性エポキシ樹脂とを含有して溶剤と希釈剤とを含んでいない無溶剤型導電性接着剤としたので、前記銀粉末と前記エポキシ樹脂との質量比率が86:14〜90:10であっても、チクソ値を2以上4未満とできるから、銀粉末の含有比率を高くすることで接続信頼性に悪影響を及ぼすボイドの発生原因となる溶剤や希釈剤を用いなくても電子機器の接合用として要求されるより低い接続抵抗を実現できると共に、スクリーン印刷やディスペンサーによる塗布作業性に優れる低接続抵抗・高接続信頼性の無溶剤型導電性接着剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
本実施の形態に係る無溶剤型導電性接着剤は、銀粉末と熱硬化性エポキシ樹脂とを含有して溶剤と希釈剤とを含まない無溶剤型導電性接着剤である。そして、銀粉末は比表面積が0.15〜0.35m/gであり、タップ密度が5.5g/cm以上であり、銀粉末と熱硬化性エポキシ樹脂との質量比率が86:14〜90:10、且つ、チクソ値が2以上4未満となっているものである。
【0016】
銀粉末の比表面積とタップ密度との関係において、タップ密度が5.5g/cm未満の場合には、銀粉末の嵩が大きくなって導電性接着剤の粘度が低くならないので、好適な粘度が得られず銀粉末の含有量を最大限高めることができないから好ましくない。また、タップ密度が5.5g/cm以上であっても比表面積が0.35m/gを超える場合には、導電性接着剤の粘度が70Pa・sを超え、ディスペンサーでの作業において好適な粘度である70Pa・s以下、更に好適な粘度範囲10〜50Pa・sを外れてしまうので好ましくなく、同じくタップ密度が5.5g/cm以上であっても比表面積が0.15m/g未満では、導電性接着剤の粘度が10Pa・s以下となり、ニジミやタレの発生や銀粉末の沈降が早まってデスペンサーのノズルが詰まる等の作業性に悪影響を及ぼすので好ましくなく、熱硬化性エポキシ樹脂に対する銀粉末の含有比率を最大限高められるより好ましい範囲は、比表面積0.17〜0.25m/g、タップ密度5.8g/cm以上である。
【0017】
チクソ値は2以上4未満、より好ましくは2.5〜3.5である。チクソ値が2未満の場合は導電性接着剤の粘度が好適な範囲であってもタレが発生して作業性に悪影響を及ぼすので好ましくなく、チクソ値が4以上の場合は塗布時に糸引きが多量に発生して自動機等で塗布速度を上げることができないので作業効率が悪く、さらに、塗布された導電性接着剤が平坦にならず搭載される部品が傾く現象が発生し、接着剤層の厚みが変動して安定せず、その結果、外観不良や接続抵抗値にばらつきが発生するので好ましくない。なお、70Pa・s以下、更に好適な10〜50Pa・sの粘度とチクソ値は同時に満たされる必要がある。
【0018】
銀粉末と熱硬化性エポキシ樹脂との質量比率は86:14〜90:10とするのが好ましい。銀粉末の質量比率が86質量%未満では、硬化塗膜の接続抵抗が低くならないので好ましくなく、90質量%を超えれば、粘度が70Pa・sより高くなってディスペンサーでの作業性に悪影響を及ぼすので好ましくない。最も好ましい熱硬化性エポキシ樹脂と銀粉末との含有比率の範囲は質量比率87:13〜89:11である。
【0019】
銀粉末は、フレーク形状或いは板状の粒子形状とするのがよい。塗膜の導電性を確保するためにはフレーク状銀粉末或いは板状銀粉末が銀粉末全体量に対して50質量%以上含有されていればよい。なお、同じ比表面積であってもフレーク状銀粉末の扁平度合いや球状銀粉末との混合比率によって粒子径が変わるので、銀粉末の平均粒子径は特に限定されない。
【0020】
熱硬化性エポキシ樹脂は、室温で低粘度(2000mPa・s以下)の液体性状を示すものであればよく、特にその骨格や官能基は限定されない。
【実施例】
【0021】
実施例1,2
【0022】
エポキシ樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂、硬化剤として4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(酸無水物系化合物)及び硬化促進剤としてエポキシ樹脂アミンアダクトを用意して熱硬化性エポキシ樹脂を調合した。次に、比表面積0.18m/g、タップ密度5.56g/cmのフレーク状銀粉末と比表面積0.12m/g、タップ密度6.25g/cmの球状銀粉末とを50:50の割合で配合した銀粉末を得た。当該銀粉末と前記熱硬化性エポキシ樹脂とを表1に示す割合で配合した後、攪拌脱泡混練機で混練して各無溶剤型導電性接着剤を得た。
【0023】
前記各無溶剤型導電性接着剤について粘度とチクソ値とを測定した。測定結果は表1に示す。
【0024】
なお、粘度とチクソ値の測定には、コーンタイプ粘度計(型番:DV-III:条件:スピンドルCP52,25℃:BROOKFIELD ENGINEERING LABORATORIES, INC.製)を用いて測定し、回転数2.5rpmでの数値を粘度とし、回転数1rpmにおける数値と回転数10rpmにおける数値との比をチクソ値とした。
【0025】
次に、前記各無溶剤型導電性接着剤をディスペンサーにて銅板上に塗布した後、この上から当該接着剤を挟み込むように銅フレームを載せ、温度190℃に設定したホットプレート上で10分間熱処理して接続抵抗を測定するための各測定用試料を作製した。
【0026】
前記各測定用試料について銅フレームと銅板間の抵抗を抵抗測定器(ミリオームハイテスタ3540-02:日置電機株式会社製)を用いて4端子法にて測定して得られた値を第1抵抗値とした。続いて、耐湿試験のために当該各測定用試料を85℃−85%Rh雰囲気中にて1000時間放置した後、再度、同様にして抵抗値を測定して得られた値を第2抵抗値とした。結果を表1に示す。
【0027】
さらに、前記各無溶剤型導電性接着剤について等価直列抵抗を4263B LCRMETER(周波数100kHz:Agilent Technologics, Inc.製)を用いて測定し、得られた値を第3抵抗値とした。結果を表1に示す。
【0028】
なお、前記等価直列抵抗は、図1に示す分布定数型ノイズフィルタを用いて測定した。図1の(a)は分布定数型ノイズフィルタのコンデンサ素子の陽極−陰極−陽極側断面図、図1の(b)は分布定数型ノイズフィルタの陽極−陰極−陽極側断面図である。
【0029】
図1の(a)に示すコンデンサ素子1は、弁作用金属の表面に陽極酸化皮膜層を形成してなる弁作用金属陽極体2と、当該弁作用金属陽極体2の表面中央部3を覆うように導電性高分子膜を形成して該導電性高分子膜を覆うようにグラファイト層、さらに、銀ペースト層を順次形成してなる陰極層4と、弁作用金属陽極体2の両端部5を残して形成されたレジスト層6から外側に延在する該両端部の端子片7,7に接続された陽極金属片8,8とから構成した。
【0030】
図1の(b)に示す分布定数型ノイズフィルタ9は、平面に対して直行する側壁を有する外装樹脂ケース10の内側に露出した陽極外部端子11,11及び陰極外部端子12と、前記無溶剤型導電性接着剤13によって当該陽極外部端子11,11と前記コンデンサ素子1の陽極金属片8,8とを接続すると共に、当該陰極外部端子12と前記コンデンサ素子1の陰極層4とを接続して実装された前記コンデンサ素子1と、コンデンサ素子1を実装した後に温度160℃〜200℃の環境下にて10分間硬化させた後に外装樹脂ケース10を覆うように被せて装着された蓋14とから構成した。
【0031】
従って、分布定数型ノイズフィルタは、実施例1の無溶剤型導電性接着剤13を用いたものと実施例2の無溶剤型導電性接着剤13を用いたものとの2種類の分布定数型ノイズフィルタ9を用意した。
【0032】
なお、銀粉末の比表面積は、BET法(使用装置:フローソーブ2300型:島津製作所製)により測定し、タップ密度は、ISO3953-1977(E)に準拠して測定した。
【0033】
実施例3,4.
【0034】
銀粉末として比表面積0.17m/g、タップ密度5.56g/cmのフレーク状銀粉末を使用して表1に示す割合で配合した外、実施例1,2と同様にして各無溶剤型導電性接着剤13を得、粘度、チクソ値、第1抵抗値及び第2抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0035】
実施例1,2と同様にして前記各無溶剤型導電性接着剤13を用いて図1に示す各分布定数型ノイズフィルタ9、9を得、第3抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0036】
実施例5〜7.
【0037】
銀粉末として比表面積0.17m/g、タップ密度6.21g/cmのフレーク状銀粉末を使用して表1に示す割合で配合した外、実施例1,2と同様にして各無溶剤型導電性接着剤13を得、粘度、チクソ値、第1抵抗値及び第2抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0038】
実施例1,2と同様にして前記各無溶剤型導電性接着剤13を用いて図1に示す3種類の分布定数型ノイズフィルタ9を得、第3抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0039】
実施例8.
【0040】
エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂、硬化剤として4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(酸無水物系化合物)及び硬化促進剤として変性ポリアミンを用意して熱硬化性エポキシ樹脂を調合した。次に、比表面積0.21m/g、タップ密度5.88g/cmのフレーク状銀粉末と比表面積0.12m/g、タップ密度6.25g/cmの球状銀粉末とを50:50の割合で配合した銀粉末を得た。当該銀粉末と前記熱硬化性エポキシ樹脂とを表1に示す割合で配合した後、攪拌脱泡混練機で混練して無溶剤型導電性接着剤13を得た。
【0041】
前記無溶剤型導電性接着剤13を用いて実施例1,2と同様にして粘度、チクソ値、第1抵抗値及び第2抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0042】
実施例1,2と同様にして前記無溶剤型導電性接着剤13を用いて図1に示す分布定数型ノイズフィルタ9を得、第3抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0043】
実施例9.
【0044】
フレーク状銀粉末と球状銀粉末との配合割合を75:25とした外、実施例8と同様にして無溶剤型導電性接着剤13を得た。
【0045】
前記無溶剤型導電性接着剤13を用いて実施例1,2と同様にして粘度、チクソ値、第1抵抗値及び第2抵抗値を測定し、また、実施例1,2と同様にして前記無溶剤型導電性接着剤13を用いて図1に示す分布定数型ノイズフィルタ9を得、第3抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0046】
実施例10.
【0047】
フレーク状銀粉末と球状銀粉末との配合割合を90:10とした外、実施例8と同様にして無溶剤型導電性接着剤13を得た。
【0048】
前記無溶剤型導電性接着剤13を用いて実施例1,2と同様にして粘度、チクソ値、第1抵抗値及び第2抵抗値を測定し、また、実施例1,2と同様にして前記無溶剤型導電性接着剤13を用いて図1に示す分布定数型ノイズフィルタ9を得、第3抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0049】
実施例11〜15.
【0050】
銀粉末として比表面積0.21m/g、タップ密度5.88g/cmのフレーク状銀粉末を使用して表1に示す割合で配合した外、実施例8と同様にして各無溶剤型導電性接着剤13を得た。
【0051】
前記各無溶剤型導電性接着剤13を用いて実施例1,2と同様にして粘度、チクソ値、第1抵抗値及び第2抵抗値を測定し、また、実施例1,2と同様にして前記各無溶剤型導電性接着剤13を用いて図1に示す5種類の分布定数型ノイズフィルタ9を得、第3抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0052】
実施例16、17.
【0053】
銀粉末として比表面積0.25m/g、タップ密度5.58g/cmのフレーク状銀粉末を使用して表1に示す割合で配合した外、実施例8と同様にして各無溶剤型導電性接着剤13を得た。
【0054】
前記各無溶剤型導電性接着剤13を用いて実施例1,2と同様にして粘度、チクソ値、第1抵抗値及び第2抵抗値を測定し、また、実施例1,2と同様にして前記各無溶剤型導電性接着剤13を用いて図1に示す各分布定数型ノイズフィルタ9,9を得、第3抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0055】
実施例18〜20.
【0056】
銀粉末として比表面積0.25m/g、タップ密度6.25g/cmのフレーク状銀粉末を使用して表1に示す割合で配合した外、実施例8と同様にして各無溶剤型導電性接着剤13を得た。
【0057】
前記各無溶剤型導電性接着剤13を用いて実施例1,2と同様にして粘度、チクソ値、第1抵抗値及び第2抵抗値を測定し、また、実施例1,2と同様にして前記各無溶剤型導電性接着剤13を用いて図1に示す3種類の分布定数型ノイズフィルタ9を得、第3抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0058】
実施例21,22.
【0059】
銀粉末として比表面積0.29m/g、タップ密度5.58g/cmのフレーク状銀粉末を使用して表1に示す割合で配合した外、実施例8と同様にして各無溶剤型導電性接着剤13を得た。
【0060】
前記各無溶剤型導電性接着剤13を用いて実施例1,2と同様にして粘度、チクソ値、第1抵抗値及び第2抵抗値を測定し、また、実施例1,2と同様にして前記各無溶剤型導電性接着剤13を用いて図1に示す各分布定数型ノイズフィルタ9,9を得、第3抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0061】
実施例23〜25.
【0062】
銀粉末として比表面積0.31m/g、タップ密度6.25g/cmのフレーク状銀粉末を使用して表1に示す割合で配合した外、実施例8と同様にして各無溶剤型導電性接着剤13を得た。
【0063】
前記各無溶剤型導電性接着剤13を用いて実施例1,2と同様にして粘度、チクソ値、第1抵抗値及び第2抵抗値を測定し、また、実施例1,2と同様にして前記各無溶剤型導電性接着剤13を用いて図1に示す3種類の分布定数型ノイズフィルタ9を得、第3抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0064】
実施例26,27.
【0065】
銀粉末として比表面積0.35m/g、タップ密度6.67g/cmのフレーク状銀粉末を使用して表1に示す割合で配合した外、実施例8と同様にして各無溶剤型導電性接着剤13を得た。
【0066】
前記各無溶剤型導電性接着剤13を用いて実施例1,2と同様にして粘度、チクソ値、第1抵抗値及び第2抵抗値を測定し、また、実施例1,2と同様にして前記各無溶剤型導電性接着剤13を用いて図1に示す各分布定数型ノイズフィルタ9,9を得、第3抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0067】
比較例1.
【0068】
銀粉末として比表面積0.12m/g、タップ密度6.25g/cmの球状銀粉末を使用して表1に示す割合で配合した外、実施例8と同様にして無溶剤型導電性接着剤を得た。
【0069】
前記無溶剤型導電性接着剤を用いて実施例1,2と同様にして粘度、チクソ値、第1抵抗値及び第2抵抗値を測定し、また、実施例1,2と同様にして前記無溶剤型導電性接着剤を用いて図1に示す分布定数型ノイズフィルタ9と同様の構成の分布定数型ノイズフィルタを得、第3抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0070】
比較例2.
【0071】
比表面積0.21m/g、タップ密度5.88g/cmのフレーク状銀粉末と比表面積0.12m/g、タップ密度6.25g/cmの球状銀粉末とを使用して表1に示す割合で配合した外、実施例8と同様にして無溶剤型導電性接着剤を得た。
【0072】
前記無溶剤型導電性接着剤を用いて実施例1,2と同様にして粘度、チクソ値、第1抵抗値及び第2抵抗値を測定し、また、実施例1,2と同様にして前記無溶剤型導電性接着剤を用いて図1に示す分布定数型ノイズフィルタ9と同様の構成の分布定数型ノイズフィルタを得、第3抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0073】
比較例3.
【0074】
銀粉末として比表面積0.35m/g、タップ密度5.13g/cmのフレーク状銀粉末を使用して表1に示す割合で配合した外、実施例8と同様にして無溶剤型導電性接着剤を得た。
【0075】
前記無溶剤型導電性接着剤を用いて実施例1,2と同様にして粘度、チクソ値、第1抵抗値及び第2抵抗値を測定し、また、実施例1,2と同様にして前記無溶剤型導電性接着剤を用いて図1に示す分布定数型ノイズフィルタ9と同様の構成の分布定数型ノイズフィルタを得、第3抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0076】
比較例4.
【0077】
銀粉末として比表面積0.21m/g、タップ密度5.88g/cmのフレーク状銀粉末を使用して表1に示す割合で配合した外、実施例8と同様にして無溶剤型導電性接着剤を得た。
【0078】
前記無溶剤型導電性接着剤を用いて実施例1,2と同様にして粘度、チクソ値、第1抵抗値及び第2抵抗値を測定し、また、実施例1,2と同様にして前記無溶剤型導電性接着剤を用いて図1に示す分布定数型ノイズフィルタ9と同様の構成の分布定数型ノイズフィルタを得、第3抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0079】
比較例5.
【0080】
銀粉末として比表面積0.33m/g、タップ密度4.76g/cmのフレーク状銀粉末を使用して表1に示す割合で配合した外、実施例8と同様にして無溶剤型導電性接着剤を得た。
【0081】
前記無溶剤型導電性接着剤を用いて実施例1,2と同様にして粘度、チクソ値、第1抵抗値及び第2抵抗値を測定し、また、実施例1,2と同様にして前記無溶剤型導電性接着剤を用いて図1に示す分布定数型ノイズフィルタ9と同様の構成の分布定数型ノイズフィルタを得、第3抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0082】
比較例6.
【0083】
銀粉末として比表面積0.40m/g、タップ密度5.88g/cmのフレーク状銀粉末を使用して表1に示す割合で配合した外、実施例8と同様にして無溶剤型導電性接着剤を得た。
【0084】
前記無溶剤型導電性接着剤を用いて実施例1,2と同様にして粘度、チクソ値、第1抵抗値及び第2抵抗値を測定し、また、実施例1,2と同様にして前記無溶剤型導電性接着剤を用いて図1に示す分布定数型ノイズフィルタ9と同様の構成の分布定数型ノイズフィルタを得、第3抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0085】
比較例7.
【0086】
銀粉末として比表面積0.51m/g、タップ密度6.41g/cmのフレーク状銀粉末を使用して表1に示す割合で配合した外、実施例8と同様にして無溶剤型導電性接着剤を得た。
【0087】
前記無溶剤型導電性接着剤を用いて実施例1,2と同様にして粘度、チクソ値、第1抵抗値及び第2抵抗値を測定し、また、実施例1,2と同様にして前記無溶剤型導電性接着剤を用いて図1に示す分布定数型ノイズフィルタ9と同様の構成の分布定数型ノイズフィルタを得、第3抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0088】
【表1】

【0089】
表中、第1抵抗値及び第2抵抗値における評価「◎」は0.9mΩ未満を示し、評価「○」は0.9mΩ以上1.0mΩ未満を示し、評価「×」は1.0mΩ以上を示す。また、第3抵抗値における評価「◎」は1.2mΩ未満を示し、評価「○」は1.2mΩ以上1.3mΩ未満を示し、評価「×」は1.3mΩ以上を示す。
【0090】
表1より、実施例1〜27においては、ディスペンス作業に好適な70Pa・s以下の粘度が得られ、第1及び第2抵抗値とも1.0mΩ未満の低い値を示し、さらに、分布定数型ノイズフィルタにおいて等価直列抵抗が従来より20%程低減していた。これにより、低い接続抵抗と高い接続信頼性とを確認できた。
【0091】
なお、球状銀粉末を50質量%以上含む比較例1,2では満足する接続抵抗が得られず、高い抵抗値を示し、銀粉末の含有比率が86質量%未満の比較例3においても満足する接続抵抗が得られず、高い抵抗値を示し、銀粉末の含有比率が90質量%を超える比較例4では満足する粘度とチクソ値とが得られず、いずれも高い値を示し、銀粉末のタップ密度が5.5g/cm未満の比較例5、及び、銀粉末の比表面積が0.35m/gより大きい比較例6,7においても満足する粘度とチクソ値とが得られず、いずれも高い値を示した。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明によれば、低い接続抵抗と高い接続信頼性とを実現できるから、低等価直列インダクタンス(ESL)と低等価直列抵抗(ESR)との特性が要求される固体電解コンデンサや伝送線路素子の接合材料としての適用が期待される。
【0093】
従って、本発明の産業上利用性は非常に高いといえる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】分布定数型ノイズフィルタの説明図である。
【符号の説明】
【0095】
1 コンデンサ素子
9 分布定数型ノイズフィルタ
13 無溶剤型導電性接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀粉末と熱硬化性エポキシ樹脂とを含有して溶剤と希釈剤とを含まない無溶剤型導電性接着剤において、前記銀粉末が0.15〜0.35m/gの比表面積と5.5g/cm以上のタップ密度とを有すると共に前記銀粉末と前記熱硬化性エポキシ樹脂との質量比率が86:14〜90:10であり、且つ、チクソ値が2以上4未満である無溶剤型導電性接着剤。

【図1】
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【公開番号】特開2009−138155(P2009−138155A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318527(P2007−318527)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000239426)福田金属箔粉工業株式会社 (83)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】