説明

無発酵ホットクミックス組成物及びそれを用いたホットクの製造方法

本発明は、ホットクミックス組成物及びそれを用いたホットクの製造方法に関する。本発明によるホットクミックス組成物は、ホットクの調理時に発酵過程を必要としない。従って、本発明のホットクは既存の発酵過程が必要なホットクミックスに比べて調理しやすく、速かに製造することができる。また、本発明のホットクは、短い製造時間によって製造されるにも関わらず、既存の発酵したホットクの生地性、成形性及び食感を維持している。従って、本発明は多様な食品の製造に使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットクミックス組成物及びそれを用いたホットクの製造方法に関し、より詳細には、タピオカ(tapioca)変性デンプン(スターチ)、非活性乾燥酵母(ドライイースト)及び速効性ベーキングパウダーを発酵過程なしでホットクを製造するのに有効な量で含むことにより、ホットクの調理時間を短縮させながらも発酵過程を経った既存のホットクミックスの柔らかくてシコシコした食感と発酵風味を維持させるホットクミックス組成物及びそれを用いたホットクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホットク(stuffed pancake)は、冬季に食べる代表的な食べ物であって、かなり以前から老若男女の区分なく誰でも好んで食べる、おやつものの一種である。
【0003】
一般的には、砂糖が入っている餡を丸くて白い餠が取り囲んだ形態であり、普通シナモン味がする黒砂糖を入れる。最近では、黒砂糖がこぼれることを防ぐために、小麦粉を添加したりピーナッツなどのナッツ類を擦り込んで粘性を高めたりもする。
【0004】
食べ物の多様化に伴い、普通は白色だったホットクの餅の部分に緑茶粉を入れて緑色を帯びる、いわゆる緑茶ホットクが人気を呼んでいる。この他にも子供たちの口に合うようにピザ調味料とチーズを入れて作ったピザホットク、ダイエットに関心がある女性のためにカロリーを減らしたダイエットホットクが販売されている。
【0005】
ホットクは通常市場や路上で販売されている。最近、健康食品に対する人々の関心が増大するにつれ、外で食べ物を買って食べるよりも、材料を別に購入して家で作って食べる事例が非常に増加した。これに伴い、容易で手軽にホットクを作って食べることができるホットクミックスが市場で販売されている。
【0006】
一般的に、ホットクミックスを用いたホットクの調理のために、ホットクをこねる時に、生地(dough)の体積を大きくし、食感を柔らかくし、発酵の風味を与えるためにイーストを入れて約30分以上、一般的に室温では2〜3時間発酵させる段階が必要である。
【0007】
従来のホットクの製造方法には、イースト発酵工程が含まれている。従って、温度、湿度及びpHなどに敏感なイーストを管理するのに難点があり、季節変化に伴うQC管理(品質工程管理)が困難という問題がある。また、最適な発酵の終点を選択することが、ホットクの味及び香味に決定的な影響を及ぼす。これは作業者の経験に絶対的に依存している実情がある。それだけでなくイースト発酵工程を経た生地材料は、粘性が大きくてホットク製造時に成形機に付いて扱い難い。従って、自動化するのが難しいという短所がある。
【0008】
食品業界ではホットクの調理過程で発酵時間を減らすための研究を持続的に行い、その結果、多くの製品などが発売された。しかしながら、実質的に発酵時間を減らしたり、発酵する必要をなくしつつ、発酵製品の食感と発酵風味を維持する製品は今までなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明者らはホットクミックスの発酵時間を減らすために持続的に研究を行った。その結果、タピオカ変性デンプン、非活性乾燥酵母及び速効性ベーキングパウダーを発酵過程なしでホットクを製造するのに有効な量で含むことにより、調理時間を短縮させながらも使用するのに簡便なホットクミックス組成物、それを用いたホットクの製造方法及び上記方法によって製造されたホットクを開発し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、ホットクの調理時、生地過程で発酵過程がなくとも生地性(doughiness)と成形性を維持させ得るホットクミックス組成物を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、ホットクの調理時、生地過程で発酵過程の必要なしで調理時間を短縮させて便利で迅速な調理方法を提供するホットクの製造方法を提供することである。
【0012】
本発明のまた他の目的は、ホットクの調理時、生地過程で発酵過程の必要なしで迅速な製造が可能ながらも、既存の発酵過程を経たホットクの食感と風味を維持するホットクを提供することである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のホットクミックス組成物は、タピオカ変性デンプン、非活性乾燥酵母及び速効性ベーキングパウダーを、発酵過程の必要なしでホットクを製造するのに有効な量で含むことにより、既存のイーストを入れて30分以上を発酵させて調理しなければならない方法の煩わしさを無くして、消費者の調理時間を短縮させることができる。これによって、ホットク調理の迅速で便利な方法を提供する。また、本発明のホットクは、発酵過程を経た既存のホットクミックスと比較しても生地性と成形性が維持されて柔らかい食感と発酵風味も維持される。従って、本発明は製菓類、ピザなどの多様な食品の製造において有用に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】テクスチャプロファイル分析を用いて製造例1、比較例1−1及び比較例2−1のホットクミックスの生地の硬度を測定したグラフを示す。
【図2】テクスチャプロファイル分析を用いて製造例1、比較例1−1及び比較例2−1のホットクミックスの生地のそしゃく性を測定したグラフを示す。
【図3】テクスチャプロファイル分析を用いて製造例1、比較例1−1及び比較例2−1のホットクミックスの生地の弾力性を測定したグラフを示す。
【図4】応力緩和試験により製造例1、比較例1−1及び比較例2−1のホットクミックスの生地の弾力性を測定したグラフを示す。
【図5】耐圧試験により製造例2及び比較例2−2の物性を測定したグラフを示す。
【図6】製造例1及び比較例2−1に対して消費者官能評価を実施した結果を示す。
【図7】製造例1及び比較例2−1に対して消費者官能評価を実施した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記目的を達成するための一つの態様として、本発明は、タピオカ変性デンプン、非活性乾燥酵母及び速効性ベーキングパウダーを発酵過程なしでホットクを製造するのに有効な量で含むホットクミックス組成物を提供する。
【0016】
上記タピオカ変性デンプン(modified tapioca starch)は、一般的に、タピオカヒドロキシプロピル変性デンプンを使用し、これは、タピオカから由来したデンプンを少量の化学物質で処理してヒドロキシ基と反応物質との間の反応によって化学的に変性させたもの、またはそれを糊化したものであって、デンプン本来の物理的特性を変性させたものである。これはタピオカデンプンの変性によって食品の粘着性及び粘度を増加させて乳化安全性を増進し、食品の物性及び触感を向上させ、これにより、タピオカ変性デンプンは主に食品に増粘剤として使用される。タピオカヒドロキシプロピル変性デンプンは、タピオカデンプンにプロピレンオキシドをアルカリ触媒下で反応させて得ることができる。反応の程度は、DS(Degree of Substitution)で示し、これはデンプンのグルコース単位当たりの置換基のモル数で示す。DSは、0.05〜0.18程度が好ましい。これはDSが0.05未満の場合には、その効果が加工しないものと大きい差がないことがある。DSが0.18を超えて多く置換した場合は、シコシコした感はあるが、弾力が弱くなる傾向があり得る。本発明でタピオカ変成デンプンは、発酵過程を省略することによって低減され得るシコシコした食感及び香味を補充して消化度を高めるために、多量に含まれる。従って、タピオカ変成デンプンは、ホットクミックス組成物の総重量に対して、25〜30重量%の比で含まれることが好ましい。ホットクミックス組成物において、タピオカ変性デンプンが組成物の総重量に対して25重量%未満ならば、生地は柔らかいが、食感がねばつく感じとなる。タピオカ変性デンプンが組成物の総重量に対して30重量%を超過すると、食感はシコシコするが、生地が堅くて、使用量に対する効率差がほとんどなくなる。
【0017】
上記非活性乾燥酵母は、一般的に水分が8〜10%含まれている。非活性という理由で製パンには活性がなく、通常は使用されず、飼料や製薬、または機能性食品に主に使用される。本発明で非活性乾燥酵母は、ホットクミックス組成物の総重量に対して0.1〜0.3重量%の比で含まれることが好ましい。ホットクミックス組成物において、非活性乾燥酵母が組成物の総重量に対して0.1重量%未満ならば、生地が堅くなり発酵特有の風味が落ちる傾向があり得る。非活性乾燥酵母が組成物の総重量に対して0.3重量%を超過すると、生地が柔らかくて発酵風味が高くなるが、生地がのびるという短所があるからである。
【0018】
上記速効性ベーキングパウダーは、炭酸水素ナトリウムに速効性酸剤を混合して作ったものであって、速効性膨張剤として使用される。ここで、速効性酸剤は、一般的にパンやお菓子の製造時に製品を膨張するようにして味を良くし、柔らかくして、消化がうまくいくようにするために添加する。例えば、グルコノデルタラクトン、リン酸水素カルシウム及びフマル酸など、当業界に知られている酸剤を使用することができる。本発明の速効性ベーキングパウダーは、ホットクミックス組成物の総重量に対して0.5〜1.5重量%の比で含まれることが好ましい。ホットクミックス組成物において、速効性ベーキングパウダーが組成物の総重量に対して0.5重量%未満ならば、生地が堅くなって、体積が減る。速効性ベーキングパウダーが組成物の総重量に対して1.5重量%を超過すると、生地の体積が増加するが、生地がのびて、後味が苦くなる傾向がある。
【0019】
また、本発明のホットクミックス組成物は、強力(小麦)粉、中力(小麦)粉、もち米粉、大豆油、ワキシコーン変性デンプン、白砂糖、脱脂粉乳、精製塩、ブドウ糖、ロースト豆風味オイル及びクチナシ黄色素を更に含むことができる。本発明のタピオカ変性デンプン、非活性乾燥酵母及び速効性ベーキングパウダーを発酵過程なしてホットクを製造するのに有効な量に入れ、追加で強力小麦粉、中力小麦粉、イーストなどのホットク調理に一般的に使用される成分をさらに含むことができる。当業界に知られている粉末や色素、または乳糖などを更に含むことができる。
【0020】
上記ホットクミックス組成物は、総重量に対して35〜45重量%の強力小麦粉、15〜20重量%の中力小麦粉、25〜30重量%のタピオカ変性デンプン、4〜6重量%のもち米粉、2.5〜3.5重量%の大豆油、2〜3重量%のワキシコーン変性デンプン、1〜3重量%の白砂糖、1〜3重量%の脱脂粉乳、1〜2重量%の精製塩、0.2〜0.7重量%のブドウ糖、0.5〜1.5重量%の速効性ベーキングパウダー、0.1〜0.3重量%のロースト豆風味オイル、0.1〜0.3重量%の非活性乾燥酵母、及び0.01〜0.05重量%のクチナシ黄色素を含むことが好ましい。
【0021】
本発明のまた一つの態様として、本発明は前述した本願発明のホットクミックス組成物を水と混合して生地を形成する段階、及び、この生地を油を敷いたフライパンにおいて加熱して焼く段階を含むホットクの製造方法を提供する。
【0022】
上記の段階で水の温度は、30〜50℃であるのが好ましく、より好ましくは40℃であり得る。ホットクミックス組成物と水とは5分間練ることが好ましい。このとき、形成された生地を発酵させる過程が必要なく、既存のホットクの製造方法に比べて調理時間を最低でも30分以上短縮することができ、簡便で迅速な調理方法ができる。
【0023】
本発明のまた一つの態様として、本発明は前述した本願発明のホットクの製造方法によって製造されたホットクを提供する。
【0024】
ホットクの調理段階で発酵過程が必要なく、調理時間を短縮でき、なおかつ、既存の発酵過程を経たホットクの食感と発酵特有の風味を維持するホットクを製造することができる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例によって本発明の内容をより詳細に説明する。しかしながら、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるだけであり、本発明はこれらの実施例によって制限されるのではない。
【0026】
製造例1:本発明によるホットクミックス組成物を用いたホットクミックスの生地の製造
タピオカ変性デンプン(26%)、非活性乾燥酵母(0.2%)、速効性ベーキングパウダー(1.0%)、強力小麦粉(39%)、中力小麦粉(17.07%)、もち米粉(5%)、大豆油(3%)、ワキシコーン変性デンプン(2.5%)、白砂糖(2.0%)、脱脂粉乳(2.0%)、精製塩(1.5%)、ブドウ糖(0.5%)、ロースト豆風味オイル(0.2%)、及びクチナシ黄色素(0.03%)を混合して製造したホットクミックス組成物203gを40℃の水(125g)と混合して、5分間練ってホットクミックスの生地を製造した。
【0027】
製造例2:本発明によるホットクミックス組成物を用いたホットクの製造
製造例1で製造したホットクミックスの生地をフライパンに植物性オイル3.7gを入れて、140℃になるように予熱し、生地を発酵時間なく40gを入れて、8mmの厚さで平たくさせた。この生地を3分間加熱し、製造されたホットクを常温で10分間冷やした。
【0028】
比較例1−1:市販の既存のホットクミックス組成物を用いたホットクミックスの生地の製造
市販のシージェイ チェイルジェダン コーポレーション(韓国)の“もち米ホットクミックス”{小麦粉(小麦:米国、カナダ産)、もち米粉(韓国)5%、タピオカ変性デンプン(ヒドロキシプロピルタピオカデンプン)、白砂糖、脱脂粉乳(牛乳)、精製塩、ブドウ糖、ベーキングパウダー(酸度調節剤、グルコノデルタラクトン、デンプン、ステアリン酸カルシウム、L−重酒石酸カリウム)、合成着香料(ロースト豆風味)、クチナシ黄色素、ホトック用ジャムミックス:中白糖、白砂糖、ピーナッツのみじん切り(中国産)、黒砂糖(原糖、カラメル)、ブドウ糖、小麦粉(小麦:米国、カナダ産)、大豆油、シナモン粉末}201gとイースト4gとを40℃の水(130g)と混合して、5分間練ってホットクミックスの生地を製造した。
【0029】
比較例1−2:市販の既存のホットクミックス組成物を用いたホットクの製造
比較例1−1で製造したホットクミックスの生地をフライパンに植物性オイル3.7gを入れて、140℃になるように予熱し、生地を発酵時間なく40gを入れて、8mmの厚さで平たくした。この生地を3分間加熱した後、サンプルを裏返して、また3分間加熱した。製造されたホットクを常温で10分間冷やした。
【0030】
比較例2−1:市販の既存のホットクミックス組成物を用いたホットクミックスの生地の製造
市販のシージェイ チェイルジェダン コーポレーション(韓国)の“もち米ホットクミックス”{小麦粉(小麦:米国、カナダ産)、もち米粉(韓国)5%、タピオカ変性デンプン(ヒドロキシプロピルタピオカデンプン)、白砂糖、脱脂粉乳(牛乳)、精製塩、ブドウ糖、ベーキングパウダー(酸度調節剤、グルコノデルタラクトン、デンプン、ステアリン酸カルシウム、L−重酒石酸カリウム)、合成着香料(ロースト豆風味)、クチナシ黄色素、ホトック用ジャムミックス:中白糖、白砂糖、ピーナッツのみじん切り(中国産)、黒砂糖(原糖、カラメル)、ブドウ糖、小麦粉(小麦:米国、カナダ産)、大豆油、シナモン粉末}201gとイースト4gとを40℃の水(130g)と混合して、5分間練った。この生地を30分間発酵させ、発酵させたホットクミックスの生地を製造した。
【0031】
比較例2−2:市販中の既存のホットクミックス組成物を用いたホットクの製造
比較例2−1で製造したホットクミックスの生地をフライパンに植物性オイル3.7gを入れて、140℃になるように予熱し、発酵したホットクミックスの生地40gを入れて、8mmの厚さで平たくした。この生地を3分間加熱し、製造されたホットクを常温で10分間冷やした。
【0032】
実験例1:TPA(Texture Profile Analysis、テクスチャプロファイル分析)による生地の物性試験
製造例1、比較例1−1及び比較例2−1で製造した生地1gを、それぞれテクスチャ分析器を使用して、7.5cmのアルミニウム探針(probe)で、100mm/minの速度で2回押して、時間に応じる力の変化を分析し、生地の生地性及び成形性に影響を与える3つの物性である硬度(Hardness)、そしゃく性(chewiness)、及び、弾力性(Springiness)を測定した。
【0033】
その結果、製造例1の生地が、比較例1−1及び比較例2−1の生地に比べてさらに高い硬度(図1)、そしゃく性(図2)及び弾力性(図3)を持つことが示された。よって、本発明の組成物で製造したホットクミックスの生地の生地性と成形性が優れていることが分かった。
【0034】
実験例2:応力緩和試験(Stress Relaxation Test)
製造例1、比較例1−1及び比較例2−1で製造したホットクミックスの生地1gをテクスチャ分析器を使用して、7.5cmのアルミニウム探針で100mm/minの速度で生地の厚さが6mmになるまで押した後、その状態で60秒間維持させた。時間に応じる力の変化を分析し、生地の生地性と成形性に影響を与える弾力性を分析した。
【0035】
その結果、製造例1の生地が比較例1−1及び比較例2−1の生地に比べてさらに高い弾力性を持つこと(図4)で示された。よって、本発明の組成物で製造したホットクミックスの生地の生地性と成形性が優れていることが分かった。
【0036】
実験例3:耐圧試験(Puncture Test)
製造例2及び比較例2−2のホットクを、それぞれテクスチャ分析器を使用し、10mmの探針を使用して、100mm/minの速度で上方から下方に押して、ホットクを貫通するのに必要な最大の力を分析して、ホットクの硬度を測定した。
【0037】
その結果、製造例2及び比較例2−2のホットクが互いに同等の硬度を持つこと(図5)で示された。よって、本発明の組成物で製造したホットクが市販の発酵させたホットクと同様に柔らかくてシコシコした食感を持つことが分かった。
【0038】
実験例4:ホットクの官能試験
最近6ヶ月以内に比較例2−1のホットクミックスの生地を用いた市販の シージェイ チェイルジェダン コーポレーション(韓国)の“もち米ホットクミックス”を購買した経験がある満30歳〜49歳の韓国ソウル市に居住する主婦80人を対象に、製造例1のホットクミックスの生地で製造したホットクを使用して官能試験を行った。ホトック用ジャムミックス、加熱温度、加熱時間などホットクミックスの生地以外のすべての条件は同一に適用した。
【0039】
その結果、全般的に製造例1の生地を使用したホットクは、比較例2−1の生地を使用したホットクに比べて味の選好度で統計的有意差はないが、概して高い点数を示し、また、ホットクの品質要素でも有意差がないことで示された(図6、及び、図7)。このような結果は、本発明の組成物で製造したホットクが市販の発酵させたホットクと同様の生地性、成形性、食感及び風味を持つことを意味する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のホットクミックス組成物は、タピオカ変性デンプン、非活性乾燥酵母及び速効性ベーキングパウダーを、発酵過程の必要をなくしてホットクを製造するのに有効な量で含むことにより、既存のイーストを入れて30分以上を発酵させて調理しなければならない方法の煩わしさを無くして、消費者の調理時間を短縮させることができる。これによって、ホットク調理の迅速で便利な方法を提供する。また、本発明のホットクは、発酵過程を経た既存のホットクミックスと比較しても生地性と成形性が維持されて、柔らかい食感と発酵風味も維持される。従って、本発明は製菓類、ピザなどの多様な食品の製造において有用に使用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タピオカ変性デンプン、非活性乾燥酵母、及び、速効性ベーキングパウダーを、発酵過程なしでホットクを製造するのに有効な量で含む、ホットクミックス組成物。
【請求項2】
前記組成物は、前記組成物の総重量に対して25〜30重量%のタピオカ変性デンプン、0.1〜0.3重量%の非活性乾燥酵母、及び0.5〜1.5重量%の速効性ベーキングパウダーを含むことを特徴とする、請求項1に記載のホットクミックス組成物。
【請求項3】
前記組成物は、強力小麦粉、中力小麦粉、もち米粉、大豆油、ワキシコーン変性デンプン、白砂糖、脱脂粉乳、精製塩、ブドウ糖、ロースト豆風味オイル及びクチナシ黄色素を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載のホットクミックス組成物。
【請求項4】
前記組成物は、前記組成物の総重量に対して35〜45重量%の強力小麦粉、15〜20重量%の中力小麦粉、25〜30重量%のタピオカ変性デンプン、4〜6重量%のもち米粉、2.5〜3.5重量%の大豆油、2〜3重量%のワキシコーン変性デンプン、1〜3重量%の白砂糖、1〜3重量%の脱脂粉乳、1〜2重量%の精製塩、0.2〜0.7重量%のブドウ糖、0.5〜1.5重量%の速効性ベーキングパウダー、0.1〜0.3重量%のロースト豆風味オイル、0.1〜0.3重量%の非活性乾燥酵母、及び0.01〜0.05重量%のクチナシ黄色素を含むことを特徴とする、請求項3に記載のホットクミックス組成物。
【請求項5】
(a)請求項1〜4のうち、いずれか一項に記載のホットクミックス組成物を水と混合して生地を形成する段階;及び
(b)前記生地を油を敷いたフライパンにおいて加熱して焼く段階を含む、ホットクの製造方法。
【請求項6】
前記方法は、前記(a)段階において形成された生地を発酵させる過程を含まないことを特徴とする、請求項5に記載のホットクの製造方法。
【請求項7】
請求項5または6の方法によって製造されたホットク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−502216(P2013−502216A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525502(P2012−525502)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007379
【国際公開番号】WO2011/052970
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(511023598)シージェイ チェイルジェダン コーポレイション (6)
【Fターム(参考)】