説明

無端状ベルト部材及び画像形成装置

【課題】本発明の目的は、搬送ベルトと補強テープの段差に蓄積した不要なトナーを良好に除去し、該不要なトナーに起因する画像汚れの発生を防止することである。
【解決手段】複数のローラによって張架され所定方向に循環移動する搬送ベルト11において、前記搬送ベルト11の前記ローラ側の面に設けられ、前記ローラの軸方向端部に接触して、前記ローラに対する前記搬送ベルト11の軸方向の位置を規制するリブ153と、前記搬送ベルト11の前記リブ153が設けられた面とは反対側の面に設けられた補強テープ154と、を有し、前記補強テープ154は、前記所定方向に延設されたリブ153のつなぎ目R付近にのみ設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の回転体によって張架され所定方向に循環移動する無端状ベルト部材および前記無端状ベルト部材が用いられる複写機,プリンタ,ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式を用いたカラー画像形成装置が普及してきているが、このカラー画像形成装置は様々な方式に分かれている。例えば、中間転写体に各色のトナー像を順次重ねて転写し、該中間転写体に担持されたトナー像を転写材(例えば、紙や透明フィルム)に一括して転写する方式のもの、あるいは、転写材搬送体に担持された転写材に各色のトナー像を順次重ねて転写する方式のもの等がある。このようなカラー画像形成装置においては、特開2000−337464号公報に開示されているように、中間転写体や転写材搬送体として無端状ベルトが用いられることが多い。
【0003】
これらの画像形成装置に用いられる中間転写体や転写材搬送体として用いられる無端状ベルトは、複数のロールにより張架されて所定の走行方向に循環移動するが、前記複数のロールの平行度やロール外径のばらつきなどが原因となって、無端状ベルトがロールの軸方向に変位した状態で走行する、いわゆる片寄り走行や蛇行が発生することがある。そこで、特開2000−337464号公報では、前記無端状ベルトとしての搬送ベルトの片寄り走行や蛇行を防止する対策として、搬送ベルトの幅方向両端に一対のリブを設けている。更に、応力集中に対する耐久性向上のために、搬送ベルトの幅方向両端の前記リブが対向する面に樹脂テープを設けている。この樹脂テープは搬送ベルトの幅方向両端に全周にわたって設けられている。
【0004】
上述の電子写真方式の画像形成装置の場合、搬送ベルト上にトナーが付着すると、画像不良の原因となる。このため、搬送ベルト上に付着したトナーを除去するためのトナー除去手段を設ける必要がある。トナー除去手段として、搬送ベルト上のトナーを感光ドラム上に静電的に逆転写させ、感光ドラムに当接されている感光ドラム用のクリーニング装置によって除去し、廃トナー容器に回収するという静電的クリーニング方式がある。この方式によれば、搬送ベルトクリーニング部材としてブレードやブラシを用いる方式と比べて、前記ブレードやブラシの部材が不必要であり、搬送ベルト専用の廃トナー容器も不要となるため、構成を簡略化することができ、またコストダウンにつながる。
【0005】
【特許文献1】特開2000−337464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の搬送ベルトにトナーが付着する要因の1つに、現像装置の長手方向にわたって設けられた開口両端部からトナーが漏れ出す端部トナー漏れがある。このように現像装置の開口両端部から漏れ出たトナー(以下適宜「端部漏れトナー」という。)のうち、前記搬送ベルトの全周にわたって設けられた補強テープの端部付近に付着したトナーは、補強テープと搬送ベルトの間の段差によって、搬送ベルト上から感光ドラムへ静電的に逆転写するためのバイアスを印加することができないため、搬送ベルト上から感光ドラムへ静電的に逆転写できず、搬送ベルト上に徐々に蓄積されてしまう。このようにして搬送ベルト上に堆積するトナーは、数枚のプリントでは微量で問題とならないレベルであるものの、耐久が進むにつれ、堆積するトナーの幅が広がり、転写材の両端部が汚れる、いわゆる紙こば汚れが発生するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、搬送ベルトと補強テープの段差に蓄積した不要なトナーを良好に除去し、該不要なトナーに起因する画像汚れの発生を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の代表的な構成は、複数の回転体によって張架され所定方向に循環移動する無端状ベルト部材において、前記無端状ベルト部材の前記回転体側の面に設けられ、前記回転体の軸方向端部に接触して、前記回転体に対する前記無端状ベルト部材の軸方向の位置を規制する規制部材と、前記無端状ベルト部材の前記規制部材が設けられた面とは反対側の面に設けられた補強部材と、を有し、前記補強部材は、前記所定方向に延設された規制部材のつなぎ目付近にのみ設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明によれば、前記補強部材は、前記所定方向に延設された規制部材のつなぎ目付近にのみ設けられているため、無端状ベルト部材が破断することがなく、且つ現像装置からの端部漏れトナーが付着してしまっても、該端部漏れトナーを良好に除去することができる。よって、無端状ベルト部材と補強部材の段差に蓄積した不要なトナーを良好に除去し、該不要なトナーに起因する画像汚れの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図面において同一の符号を付したものは、同一の構成又は作用をなすものであり、これらについての重複説明は適宜省略した。
【0011】
〔第1実施形態〕
[画像形成装置の全体]
図1に、本発明に係る画像形成装置の一例を示す。図1に示す画像形成装置は、4個の画像形成ステーション(画像形成部)を有する、電子写真方式の4色フルカラーのレーザプリンタであり、図1はその概略構成を示す縦断面図である。また、図2にはプロセスカートリッジの縦断面図を示す。なお、本発明に係る画像形成装置としては、電子写真方式のレーザプリンタのほか、電子写真方式の複写機,ファクシミリ等であってもよく、さらには静電記録方式のプリンタ,複写機,ファクシミリ等であってもよい。
【0012】
また、本実施形態に係る画像形成装置では、現像剤(以下トナーという)による像を形成し該トナー像を転写材P上に転写して定着することにより転写材P上に画像を形成する過程で用いる無端状ベルト部材として、複数のローラ13,14,15,16に張架され所定方向(図1の矢印R11方向)に循環移動する転写材搬送部材としての搬送ベルト11を用いている。この無端状ベルト部材としての搬送ベルトの詳細については後述する。
【0013】
図1に示すレーザプリンタ(以下「画像形成装置」という。)は、画像形成装置本体100の内側に転写材Pの搬送方向に沿って下側から順に、4個の画像形成ステーション(画像形成部)Sa,Sb,Sc,Sdを備えている。この順に、イエロー,シアン,マゼンタ,ブラックのトナー像を形成するものである。これら画像形成ステーションSa,Sb,Sc,Sdには、それぞれプロセスカートリッジ7a,7b,7c,7dが配設されており、各プロセスカートリッジ7a,7b,7c,7dには、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)1a,1b,1c,1dが配設されている。なお、以下、特に色を区別する必要がない場合には、a,b,c,dを省略して、「画像形成ステーションS」,「プロセスカートリッジP」,「感光ドラム1」のように総称して記す。この点は、他の部材についても同様である。
【0014】
図2は、イエローのプロセスカートリッジ7aの拡大縦断面図を示している。なお、他の3色(シアン,マゼンタ,ブラック)のプロセスカートリッジ7b,7c,7dの構成及び作用については、イエローのプロセスカートリッジ7aと同様なので説明は適宜省略するものとする。
【0015】
感光ドラム1a,1b,1c,1dは、駆動手段(不図示)によって図1中の反時計回りに回転駆動される。感光ドラム1a,1b,1c,1dの周囲には、その回転方向に沿ってほぼ順に、帯電装置(一次帯電装置)2a,2b,2c,2d、露光装置3a,3b,3c,3d、現像装置4a,4b,4c,4d、転写ローラ(転写部材、転写装置)12a,12b,12c,12d、クリーニング装置6a,6b,6c,6d等が配設されている。
【0016】
帯電装置2a,2b,2c,2dは、感光ドラム1a,1b,1c,1d表面を均一に帯電するものである。露光装置(スキャナユニット)3a,3b,3c,3dは、帯電後の感光ドラム1a,1b,1c,1d表面を画像情報に基づいてレーザビームで照射して静電潜像を形成するものである。現像装置4a,4b,4c,4dは、露光装置3a,3b,3c,3dによって形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する。転写ローラ12a,12b,12c,12dは、感光ドラム1a,1b,1c,1d上に形成されたトナー像を転写材Pに転写させる。そして、クリーニング装置6a,6b,6c,6dは、転写後に感光ドラム1a,1b,1c,1d表面に残ったトナー(残留トナー)を除去するものである。
【0017】
ここで、図1,図2に示すように、感光ドラム1a,1b,1c,1dと帯電装置2a,2b,2c,2dと現像装置4a,4b,4c,4dと、クリーニング装置6a,6b,6c,6dとは、一体的にカートリッジ化されてプロセスカートリッジ7a,7b,7c,7dを構成している。これらプロセスカートリッジ7a,7b,7c,7dは、例えば図2のイエローのプロセスカートリッジ7aに示すように、さらに、感光ドラムユニット50aと、現像ユニット45aとに分かれる。前者の感光ドラムユニット50aは、感光ドラム1aと帯電装置2aとクリーニング装置6aとを有するユニットであり、一方、現像ユニット45aは、現像装置4a(図1参照)を有するユニットである。
【0018】
以下、感光ドラム1から順に詳述する。
【0019】
感光ドラム1は、例えば直径30mmのアルミシリンダの外周面に有機光半導体層(OPC感光層)を塗布して構成したものである。感光ドラム1は、その両端部を支持部材(不図示)によって回転自在に支持されており、一方の端部に駆動モータ(不図示)からの駆動力が伝達されることにより、図1中の反時計回りに回転駆動される。
【0020】
帯電装置2は、ローラ状に形成された帯電ローラ(導電性ローラ)と、帯電バイアス印加電源(不図示)とを有している。帯電装置2は、帯電ローラを感光ドラム1表面に当接させるとともに、この帯電ローラに上述の帯電バイアス印加電源によって帯電バイアスを印加することにより、感光ドラム1表面を所定の極性・電位に一様(均一)に帯電させるものである。本実施の形態では、感光ドラム1a,1b,1c,1d表面は、帯電装置2a,2b,2c,2dによって負極性に一様に帯電される。
【0021】
露光装置3a,3b,3c,3dは、図1中のそれぞれの感光ドラム1a,1b,1c,1dの左方に配置され、レーザダイオード(不図示)によって画像信号に対応する画像光が、スキャナモータ(不図示)によって高速回転されるポリゴンミラー9a,9b,9c,9dに照射される。ポリゴンミラー9a,9b,9c,9dによって反射された画像光は、結像レンズ10a,10b,10c,10dを介して帯電済みの感光ドラム1a,1b,1c,1d表面を選択的に露光して静電潜像を形成するように構成されている。本実施の形態では、画像光が照射された部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。
【0022】
現像装置4a,4b,4c,4dは、それぞれイエロー,シアン,マゼンタ,ブラックの各色のトナーを収納したトナー容器を有している。図2のイエローのトナー容器41aに示すように、現像装置4a(図1参照)は、トナー容器41a内のトナーを送り機構42aによってトナー供給ローラ43aへ送り込み、同図中の時計回り(矢印Z方向)に回転するトナー供給ローラ43aと、現像ローラ40aの外周面に圧接された現像ブレード44aとによって、矢印Y方向に回転する現像ローラ40aの外周面に塗布し、かつ塗布したトナーに電荷を付与する。そして静電潜像が形成された感光ドラム1aと対向して接触している現像ローラ40aに現像バイアス印加電源(不図示)によって現像バイアスを印加することにより、感光ドラム1a上の静電潜像に負極性のトナーを付着させてトナー像として現像するものである。他の色(シアン,マゼンタ,ブラック)の現像装置4b,4c,4dも、上述のイエローの現像装置4aと同様の構成、作用である。
【0023】
図1中のプロセスカートリッジ7a,7b,7c,7dの右方には、転写装置5が配設されている。転写装置5は、感光ドラム1a,1b,1c,1dに対向して接するように循環移動(回転)する無端状ベルト部材としての搬送ベルト(転写材搬送部材としての静電転写ベルト)11を有している。搬送ベルト11は、10〜1013Ω・cmの体積固有抵抗値を有する厚さ50〜300μmのフィルム状部材で構成されている。本実施の形態では、搬送ベルト11は、PI(ポリイミド)によって形成されている。搬送ベルト11は、相互に平行に配設された4本の回転体であるローラ13,14,15,16に掛け渡されていて、全体として垂直方向に配設されている。搬送ベルト11は、図1中のローラ13とローラ14との間に位置する部分において、外周面に転写材Pを静電吸着した状態で回転する。これにより、転写材Pは、上述の感光ドラム1a,1b,1c,1dにそれぞれに転写位置において、順次に搬送され、感光ドラム1a,1b,1c,1d上のトナー像が次に説明する転写ローラ12a,12b,12c,12dによって順次に転写される。
【0024】
搬送ベルト11の内側には、感光ドラム1a,1b,1c,1dのそれぞれに対応する位置に4個の転写ローラ12a,12b,12c,12dが配設されている。これら転写ローラ12a,12b,12c,12dは、搬送ベルト11の裏面側に当接されており、感光ドラム1a,1b,1c,1dとの間に搬送ベルト11を挟持するようになっている。これにより、感光ドラム1a,1b,1c,1dと、搬送ベルト11との間に、第1,第2,第3,第4の転写部(転写ニップ部)が形成される。本実施の形態においては、転写バイアス印加電源(不図示)によって転写ローラ12a,12b,12c,12dに正極性の転写バイアスが印加され、これにより感光ドラム1a,1b,1c,1d上の負極性の各色のトナー像が第1〜第4の転写部において転写材P上に順次に転写されるようになっている。
【0025】
トナー像転写時に転写材Pに転写されないで感光ドラム1a,1b,1c,1d上に残った残留トナーは、クリーニング装置6a,6b,6c,6dによって除去される。図2に示すように、イエローのクリーニング装置6aは、感光ドラム1a表面に当接されて感光ドラム1a表面の残留トナーを除去するクリーニングブレード60aを有している。クリーニングブレード60aによって感光ドラム1a表面から除去された残留トナーは、トナー送り機構52aによってクリーニング枠体51aの後方に設けられた廃トナー室53aに順次送られるようになっている。
【0026】
画像形成装置本体100の下部には、着脱自在な給送カセット17が配設されている。給送カセット17には、複数枚の転写材P(例えば、普通紙、封筒、透明フィルム)が積層状態で収納されている。給送カセット17内の転写材Pは、画像形成時には給送ローラ18(半月ローラ)の駆動回転により1枚ずつ分離給送され、その先端部をレジストローラ対19に突き当てることで一旦停止されて、ループを形成する。その後、搬送ベルト11の回転と、感光ドラム1a,1b,1c,1d上の画像書き出し位置の同期をとって、レジストローラ対19によって搬送ベルト11へと供給されていく。搬送ベルト11に向けて供給された転写材Pは、最上流側の感光ドラム1aよりもさらに上流側に配設された吸着部材としての吸着ローラ(漏れトナー帯電部材)22によって搬送ベルト11表面に吸着される。
【0027】
最下流側の画像形成ステーションSdのさらに下流側(上方)には、定着装置20が配設されている。定着装置20は、転写材Pに転写された複数色のトナー像を定着させるものであり、回転する定着ローラ(加熱ローラ)23と、これに圧接されて転写材Pに熱及び圧力を与える加圧ローラ24とを有している。すなわち、感光ドラム1a,1b,1c,1d上の各色のトナー像が順次に重なるようにして転写された転写材Pは、定着装置20を通過する際に定着ローラ23、加圧ローラ24によって挟持搬送されながら、加熱、加圧されて表面に複数色のトナー像が定着される。
【0028】
上述の画像形成装置における画像形成動作は次のとおりである。プロセスカートリッジ7a,7b,7c,7d内の感光ドラム1a,1b,1c,1dが画像形成タイミングに合わせて反時計回りに回転駆動され、帯電装置2a,2b,2c,2dによって一様に帯電される。帯電後の感光ドラム1a,1b,1c,1dは、露光装置3a,3b,3c,3dによって画像信号(画像情報)に応じた露光がなされ、静電潜像が形成される。このとき露光されない部分が暗部(高電位部)となりその電位(暗部電位)をVDとする。一方、露光された部分が明部(低電位部)となりその電位(明部電位)をVLとする。現像装置4a,4b,4c,4dは、上述の静電潜像の明部にトナーを付着させて、感光ドラム1a,1b,1c,1d上に、それぞれイエロー,シアン,マゼンタ,ブラックのトナー像を形成する。
【0029】
一方、給送カセット17から給送ローラ18,レジストローラ対19等によって搬送ベルト11に供給された転写材Pは、吸着ローラ22と搬送ベルト11とによって挟み込むようにして搬送ベルト11の表面(外周面)に圧接され、かつ搬送ベルト11と吸着ローラ22との間に電圧が印加されることにより、搬送ベルト11の表面に静電吸着される。この際、吸着ローラ22側から正極性の電圧が印加され、ローラ(吸着対向ローラ)14は接地する。なお、ローラ14は吸着ローラ22より長手方向に長く形成されている。これにより、転写材Pは搬送ベルト11に安定して吸着され、最下流の第4の転写部まで搬送される。
【0030】
このように搬送ベルト11表面に吸着された転写材Pは、搬送ベルト11の矢印R11方向の回転によって各色の第1〜第4の転写部に順次に搬送され、各感光ドラム1a,1b,1c,1dと転写ローラ12a,12b,12c,12dとの間に形成される電界(転写電界)によって、各感光ドラム1a,1b,1c,1dのトナー像が順次に転写される。
【0031】
4色のトナー像が転写された転写材Pは、ローラ(ベルト駆動ローラ)13の曲率により搬送ベルト11から曲率分離され、定着装置20に搬入される。転写材Pは、定着装置20において加熱ローラ23,加圧ローラ24によって加熱・加圧されて、表面に4色のトナー像が定着される。トナー像定着後の転写材Pは、排出ローラ対25によって、画像形成装置本体100上面に形成されている排出トレイ26上に、画像面を下方に向けて排出される。一方、トナー像定着後の感光ドラム1a,1b,1c,1dは、表面に残った残留トナーがクリーニング装置6a,6b,6c,6dによって除去され、次の画像形成に供される。以上により4色フルカラーの画像形成が終了する。
【0032】
[搬送ベルトのクリーニング]
搬送ベルト11は、画像形成時における転写材Pの給送ジャム等の後や、濃度検出用のトナー像を意図的に搬送ベルト上に転写した後には、画像不良を防止するために搬送ベルト11上の不要なトナーを除去することが必要となる。
【0033】
搬送ベルト11上にトナーが付着した場合のトナーの除去方式について説明する。本実施の形態では、搬送ベルト11専用の搬送ベルトクリーニング部材(例えばクリーニングブレード)は設けていない。搬送ベルト11上に付着したトナーは感光ドラム1a,1b,1c,1d上に逆転写させ、各感光ドラムユニット内のクリーニング装置6a,6b,6c,6dを使って回収するようにしている。
【0034】
まず、画像形成ステーションSaの第1の転写部において、通常の転写時(感光ドラム1a上のトナー像を転写材P上に転写するとき)の電界とは逆極性の電界が発生するように、転写バイアス及び感光ドラム1aの表面電位を調節する。このように調整した電界を、以下「転写逆電界」と呼ぶ。例えば、感光ドラム1a表面を暗部電位VDとし、転写バイアスとして、絶対値がVDより大きな負極性のバイアスを転写ローラ12aに印加する。なお、以下、負極性の転写バイアスを転写逆バイアスと呼ぶ。第1の転写部に転写逆電界が形成されていることにより、正規帯電(マイナスの極性)しているトナーは、感光ドラム1aに逆転写され、感光ドラム用のクリーニング装置6aにより廃トナー室53aに回収される。本実施の形態における構成では、感光ドラム1a表面の暗部電位VDを−550Vとしたときに、転写逆バイアスとして、−2.0kV程度印加するようにした。
【0035】
次に、画像形成ステーションSbの第2の転写部において、トナー像転写時の電界と同極性の電界が発生するように、転写バイアス及び感光ドラム1bの表面電位を調節する。このように調整した電界を、以下「転写正電界」と呼ぶ。これを実現するのには、感光ドラム1b表面を暗部電位VD電位とし、転写バイアスとして、絶対値が正極性のバイアスを印加する。第2の転写部では、転写正電界を形成することにより、極性が反転している(正電荷)トナーを感光ドラム1bへ逆転写させるとともに、感光ドラム1bと搬送ベルト11の間で放電を引き起こすことにより、トナーを負極性に再帯電するということを行っている。例えば、本実施の形態では、感光ドラム1表面を暗部電位VDを−550Vとし、第2の転写バイアスとして、+1.0kV程度印加した。
【0036】
次に、第3の転写部において、第1の転写部と同様の転写逆電界を形成した。その目的及び効果は第1の転写部によるものと同じである。
【0037】
次に、第4の転写部において、第2の転写部と同様の転写正電界を形成した。第4の転写部では、正極性に帯電したトナーを完全に感光ドラム1に逆転写させることにより、搬送ベルト11上のトナー除去を終了させる。
【0038】
さらに、搬送ベルト11のクリーニング時、つまり搬送ベルト11上のトナーを感光ドラム1a,1b,1c,1d上に逆転写させる際には、感光ドラム1a,1b,1c,1dの回転速度に対して、搬送ベルト11の移動速度(回転速度)に正負いずれかの大幅な周速差を設けることにより、搬送ベルト11上のトナーを感光ドラム1a,1b,1c,1dに回収させることも併用する。本実施の形態では、感光ドラム1a,1b,1c,1dの回転速度を、搬送ベルト11の移動速度100%に対し、60%程度に遅回しする。
【0039】
搬送ベルト11のクリーニングは、例えば、搬送ベルト11上に濃度制御やレジ(レジストレーション)制御等の目的で意図的に検知用のトナー像を形成した後や、画像形成時における転写材Pの給送ジャム等により、不可避的に搬送ベルト11上にトナーが転写された後の、画像形成装置本体100のリカバー動作中に実行する。
【0040】
[搬送ベルトの概略構成]
ここで、本実施形態に係る搬送ベルト11の概略構成について説明する。本実施形態に係る搬送ベルト11は、トナー(現像剤)による像を形成し該トナー像を転写材P上に転写して定着することにより転写材P上に画像を形成する過程で用いる転写材搬送部材(無端状ベルト部材)であって、前述したように、複数のローラ13,14,15,16に張架され所定方向(図1の矢印R11方向)に循環移動するものである。
【0041】
前記搬送ベルト11の前記ローラ側の面には、図7(a)に示すように、規制部材としてのリブ153が設けられている。このリブ153は、搬送ベルト11の幅方向(前記所定方向と直交する方向)両端部に設けられ(図7(a)では一方の端部のみ図示)、前記ローラの軸方向端部に接触して、前記ローラに対する搬送ベルト11の軸方向の位置を規制するものである。
【0042】
前記搬送ベルト11の前記リブ153が設けられた面とは反対側の面には、補強部材としての補強テープ154が設けられている。この補強テープ154は、前記所定方向に延設されたリブ154のつなぎ目付近にのみ設けられている。なお、搬送ベルト11が有する、前記リブ153と前記補強テープ154については後で詳述する。
【0043】
[端部トナー漏れ対策]
前述したように、搬送ベルト11上にトナーが付着する要因の1つに、現像装置の端部からトナーが漏れる、端部トナー漏れがある。現像装置4a,4b,4c,4dは、現像剤を収納する現像容器を有しており、この現像容器には、感光ドラム1a,1b,1c,1d表面に対向する位置に感光ドラムの軸方向に長い長方形状の開口部(窓部)が形成されている。そして、この開口部に、現像ローラが配設されていて、現像ローラによって感光ドラム1a,1b,1c,1d上の静電潜像にトナーを付着させ、トナー像として現像している。このようにして現像装置4a,4b,4c,4dの開口部の長手方向両端部近傍から漏れ出たトナー(端部漏れトナー)は、感光ドラム1a,1b,1c,1dを介して搬送ベルト11の幅方向の端部に帯状に付着する。現像装置4a,4b,4c,4dの開口部の長手方向の端部には、例えば帯電されていないトナーが溜りやすく、このようなトナーは、電荷が不安定な状態で現像装置4a,4b,4c,4dから漏れて感光ドラム1a,1b,1c,1dに付着し、さらに感光ドラム1a,1b,1c,1dから搬送ベルト11へと転移して付着する。
【0044】
図4に示すように、通紙時には、転写材Pを搬送ベルト11表面に吸着させるため、吸着ローラ22から搬送ベルト11に正極性の電圧を印加する。このとき、搬送ベルト11の非通紙領域に端部漏れトナーが付着している場合には、吸着ローラ22に印加する正極性のバイアスにより、電荷の不安定な端部漏れトナーが正極性に帯電される。端部漏れトナーは正極性に帯電された状態で、イエローの画像形成ステーションSaの第1の転写部まで搬送される。第1の転写部では感光ドラム1a上のトナーを転写材Pに転写させるために、感光ドラム1aは負極性に帯電されており、また、転写ローラ12aには正極性の転写バイアスが印加されている。ここで、図3に示すように帯電装置有効面長Dは現像開口長Cよりも長いので、端部漏れトナーがある部分の感光ドラム表面も負極性に帯電されている。したがって、感光ドラム1a上のトナーを転写材Pに転写する動作と同時に、正極性に帯電されている端部漏れトナーが感光ドラム1aに逆転写される。そしてクリーニング装置6aに運ばれてクリーニングブレード60aによって感光ドラム1aから掻き取られ、廃トナー室53aに回収されることになる。クリーニングブレード有効面長Eも現像開口長Cよりも長いので、端部漏れトナーを感光ドラム1aから掻き取ることが可能である。なお、吸着ローラ有効面長Bとは吸着ローラ(トナー帯電部材)22の長手方向の長さであり、現像開口長Cとは現像装置の開口部の長手方向の両端部間の距離であり、帯電装置有効面長Dとは帯電ローラの長手方向の長さであり、クリーニングブレード有効面長Eとはクリーニングブレード60aの長手方向の長さである。
【0045】
本実施の形態の画像形成装置が、例えば、A4・レターサイズ対応の画像形成装置である場合、図3に示す吸着ローラ有効面長(吸着ローラ22(トナー帯電ローラ)の長さ)Bは229mm、帯電装置有効面長Dは232mm、クリーニングブレード有効面長Eは241mm、現像開口長Cは222mmである。すなわち、吸着ローラ有効面長B、帯電装置有効面長D、クリーニングブレード有効面長Eのいずれもが、現像開口長Cの外側までカバーできるような構成をとっている。なお、転写ローラ12a,12b,12c,12dは、その長手方向の有効面長が222mmのものを用いたが、搬送ベルト11を介して電界が回りこむ範囲であればこれよりも短くても問題はない。
【0046】
しかしながら、図5に示すように補強テープ154が搬送ベルト11の全周にわたって設けられ、この補強テープ154の端部にトナーTが溜まると、この溜まったトナーTは、図6に示すように補強テープ154と搬送ベルト11の間の段差によって、吸着ローラ22と接触していないため、吸着ローラ22に正極性のバイアスを印加しても、正極性に帯電されない。その結果、この補強テープ154と搬送ベルト11の間の段差に蓄積したトナーTは、第1の転写部においても感光ドラム1aに逆転写されず、搬送ベルト11上に堆積する。このようにして搬送ベルト11上に堆積するトナーは、数枚のプリントでは微量で問題とならないレベルであるものの、耐久が進むにつれ、堆積するトナーの幅が広がり、転写材の両端部が汚れる、いわゆる紙こば汚れが発生することになる。
【0047】
この問題は搬送ベルト11両端部の補強テープ154がなければ発生しないが、この補強テープ154が無いと搬送ベルト11が破断するおそれがある。搬送ベルト11を張架しているローラ間においては、図8のようにテンションF1によって搬送ベルト11及びリブ153はぴんと張られている状態である。しかしながら、例えば図10(b)に示すように搬送ベルト11を張架しているローラ13部をリブ153のつなぎ目Rが通過する際に、リブ153のつなぎ目R部分へ応力F2がかかり、搬送ベルト11が座屈する。そしてローラ13部を通過した後は図8に示すように搬送ベルト11とリブ153は元のようにぴんと張られた状態になる。すなわち、搬送ベルト11が回転駆動されると、リブ153のつなぎ目R部は図10(b)の座屈状態と図8のぴんと張られた状態とを繰り返えす。その結果、前述の繰り返しによる応力集中によって、図7(b)に示すようにリブ153のつなぎ目R部において、搬送ベルト11の端部から中央部の方向へ破断が発生するおそれがある。
【0048】
そこで本実施の形態においては、図7(a)及び図8に示すように、リブ153が設けられている面とは反対側の面に設ける補強テープ154を、破断が発生するリブ153のつなぎ目R付近にのみ設けている。これにより、現像装置の端部トナー漏れがあったとしても、現像装置の端部から漏れ出たトナーが搬送ベルト11の全周にわたって堆積するのを防ぐことができる。更に、補強テープ154の長さが従来よりも大幅に短くなることによるコストダウン効果が期待できる。
【0049】
また搬送ベルト11を張架しているローラ13部にリブ153のつなぎ目R部が通過し、リブ153のつなぎ目R部分へ応力F2がかかる状態においても、補強テープ154によって図10(a)に示すようにリブ152のつなぎ目R部分の搬送ベルト11の強度が増し、図10(b)に示すように搬送ベルト11が座屈することがないため、搬送ベルト11の破断は発生しにくくなる。
【0050】
次に前記補強テープ153のサイズについて図6及び図8を用いて説明する。
【0051】
本実施の形態においては、図6に示すように、補強テープ154の所定方向(搬送ベルト11の搬送方向(図1の矢印R11方向))と直交する方向の幅W2は、リブ153の前記所定方向と直交する方向の幅W1よりも大きい必要がある(W2>W1)。これはリブ153と吸着対向ローラ端部14aとの境界部Qに応力が集中するためである。具体的には、リブの幅W1は4mmで、補強テープ幅W2は8mmである。
【0052】
また図8に示すように、補強テープ154の搬送ベルト11の搬送方向の長さL2は、応力が集中するリブ153とリブ153のつなぎ目Rの隙間長さL1よりも長いことが必要であり(L2>L1)、本実施の形態においてはL1=5mmに対して、L2を30mmとした。
【0053】
次にリブ153について説明する。
【0054】
搬送ベルト11が駆動されている間に、搬送ベルト11が幅方向へ移動しようとする片寄り力が発生し、その片寄り力に抗して発生する同じ強度の反力がリブ153に直接かかるが、リブ153の材料を弾性部材としておくことにより、この反力をリブ153の部材内部である程度分散吸収することが出来る。この観点からリブ153の材料としてJIS−A硬度50°以上90°以下の弾性部材を用いることが望ましく、さらにJIS−A硬度60°以上80°以下であることが好ましい。具体的にはシリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、EPDM、NBR、CR塩素化ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴムなどのゴム材料1種類または2種類以上をブレンドしてなる材料を用いることができる。
【0055】
次に補強テープ154について説明する。
【0056】
補強テープ154としては、アセテート布、綿布、ポリエステル不織布などの不織布を積層してなる粘着テープや、クレープ紙、フラット紙、ノーメックス紙などを積層してなる積層粘着テープを挙げることができる。具体的には、厚さ25μm、幅8mmの日東電工製ポリエステル粘着テープNo.31B、その他にも、日東電工製アセテート布粘着テープNo.5、ポリエステル不織布にエポキシ樹脂を含浸してなる厚み0.15mmの(株)寺岡製作所製530F、ポリエステル不織布とポリエステルフィルムを積層してなる(株)寺岡製作所製670S、日東電工製No.340、アセテートクロスとポリエステルフィルムを積層してなる(株)寺岡製作所製570S、ガラス繊維とシリコーン系の粘着剤を積層してなる(株)寺岡製作所製540S、日東電工製No.185などを挙げることができる。
【0057】
なお、補強テープ54の補強材料としてガラス繊維を用いることもできる。すなわち、無端ベルト表面の両端部にガラス繊維を積層してなる樹脂テープを設けてもよい。ガラス繊維を積層してなるテープ基材のヤング率は500kg/cm2以上であり、従来の弾性を有するポリエステル系粘着テープの基材のヤング率12kg/cm2に比べて25倍以上大きく、搬送ベルト端部の折れ曲がりを防止する効果は大きく、搬送ベルト端部が境界部Qにおいて下方側にわずかに折れ曲がった状態になることを防止し、リブ153がローラ14に乗り上げるのを防止する効果も大きい。ガラス繊維積層の樹脂テープとしては、粘着剤としてシリコーン系の樹脂を用いた(株)寺岡製作所製540S、日東電工製No.185などを挙げることができる。
【0058】
以上述べたような装置構成において、通紙耐久試験を行ったところ、10万枚まで搬送ベルトの破断がなく、かつ端部漏れトナーによる紙こば汚れは発生しなかった。
【0059】
以上のように、本実施の形態では、搬送ベルト11が破断する際にもっとも応力のかかるリブ153のつなぎ目R部分のみに補強テープ154を設けることで、搬送ベルト11が破断することなく、且つ現像装置からの端部漏れトナーが付着してしまっても、該端部漏れトナーを良好に除去することができる。すなわち、搬送ベルト11と補強テープ154端部に付着した不要なトナーを良好に除去することができ、該不要なトナーに起因する紙こば汚れの発生を防ぐことができ、且つ従来よりも低コストな構成が提供できる。
【0060】
〔第2実施形態〕
第2実施形態について説明する。なお、画像形成装置の基本的な構成は、上述した第1実施形態と同様なので、説明は省略する。
【0061】
本実施の形態では、前述した第1実施形態で述べた補強テープの角部の形状を円弧形状に形成している。これにより、端部漏れトナーによる紙こば汚れを防ぐ効果はそのままに、搬送ベルトの破断に対するマージンをより増大させ、搬送ベルトの更なる長寿命化を図っている。
【0062】
本実施の形態では、補強テープ154の形状を図7(c)に示すように、4つの角部の内、搬送ベルト11の幅方向内側の2つの角部を円弧形状に形成している。図7(a)に示す第1実施形態の例では、通紙10万枚程度まで搬送ベルトの破断は発生しなかったが、それ以上通紙すると図7(d)に示すように、補強テープ154の4つの角のうち、ベルト内側の2つの角に沿って破断が発生した。これは補強テープ154のベルト内側の2つの角部に応力が集中する事が原因であるためである。第1実施形態の例でも本発明の目的は十分達成できるが、本実施形態ではその補強テープの2つの角部を円弧形状に形成して応力の集中を緩和することで更なる長寿命化を達成している。本実施形態によれば、通紙耐久試験の結果30万枚以上通紙しても搬送ベルトの破断が発生しなかった事から、寿命は大幅に伸ばすことが可能である。
【0063】
以上のように、本実施形態によれば、補強テープの搬送ベルト幅方向内側の2つの角部を円弧形状にすることで、端部漏れトナーによる紙こば汚れを防ぐ効果はそのままに、搬送ベルトの破断に対するマージンをより増大させ、搬送ベルトの更なる長寿命化を実現することができる。
【0064】
〔第3実施形態〕
第3実施形態について説明する。本実施の形態においては、補強テープの材質を導電化した点が前述した第1、第2実施形態と異なり、その他の点については同様である。なお、同様な部分についての説明は省略する。
【0065】
前述した第1、第2実施形態では、図7(a)及び図8に示すように、応力の集中するリブ153のつなぎ目R部分付近のみに補強テープ154を設け、搬送ベルトの破断を防止しつつ、端部漏れトナーによる紙こば汚れを防いでいたが、範囲は狭いものの、補強テープ154のある部分の搬送ベルト11との段差にトナーが堆積する可能性が考えられる。そこで本実施の形態においては、図9に示すように補強テープ154と搬送ベルト11との間の段差にトナーが堆積する可能性を完全になくすために、補強テープ154の材質を導電化することを特徴とする。
【0066】
第1、第2実施形態のように補強テープが絶縁であると、図6に示すように補強テープ154の端部のトナーは、搬送ベルト11との段差によって吸着ローラ22によって帯電されにくいが、図9に示すように補強テープ154を導電化すると、補強テープ154から段差部のトナーに回り込み電界Gが生じるため、段差部のトナーは吸着ローラ22によって確実に帯電される。このように回り込み電界Gによって帯電された前記段差部のトナーは、イエローの画像形成ステーションにおいて、感光ドラムに逆転写され、クリーニング装置によって感光ドラムから回収される。
【0067】
補強テープ154は搬送ベルト11と同程度の、10〜1013Ω・cmの体積固有抵抗値が望ましい。なぜならば、10Ω・cm以下だと吸着ローラ22にバイアスを印加した際に補強テープ部にリークしてしまう恐れがあり、1013Ω・cm以上だと導電化の効果がないためである。
【0068】
以上のように、本実施形態においては、第1、第2実施形態の補強テープの材質を導電化することによって、部分的に貼られた補強テープ部で発生する可能性があった、不要なトナー(端部漏れトナーなど)の堆積を防止することができ、該不要なトナーによる紙こば汚れを完全に無くすことができる。
【0069】
〔他の実施形態〕
前述した実施形態では、多色画像形成のために画像形成ステーションを4つ使用しているが、この使用個数は限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定すれば良い。
【0070】
また前述した実施形態では、画像形成ステーションに対して着脱自在なプロセスカートリッジとして、感光体ドラムと、該感光体ドラムに作用するプロセス手段としての帯電手段,現像手段,クリーニング手段を一体に有するプロセスカートリッジを例示したが、これに限定されるものではなく、感光体ドラムの他に、帯電手段、現像手段、クリーニング手段のうち、いずれか1つを一体に有するプロセスカートリッジであっても良い。
【0071】
更に前述した実施形態では、感光体ドラムを含むプロセスカートリッジが画像形成ステーションに対して着脱自在な構成を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば各構成部材がそれぞれ組み込まれた画像形成ステーション、或いは各構成部材がそれぞれ着脱可能な画像形成ステーションとしても良い。
【0072】
また前述した実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良く、該画像形成装置において、現像剤による像を形成し該現像剤像を転写材に転写し定着することにより転写材に画像を形成する過程で用いられる無端状ベルト部材に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。また前述した実施形態では、複数の回転体によって張架され所定方向に循環移動する無端状ベルト部材として、転写材搬送部材を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば中間転写体であっても良い。この中間転写体を用いた画像形成装置とは、中間転写体に各色のトナー像を順次重ねて転写し、該中間転写体に担持されたトナー像を転写材に一括して転写する画像形成装置である。このような画像形成装置に用いられる無端状ベルト部材に本発明を適用しても同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】画像形成装置の一例を示す縦断面図である。
【図2】図1におけるイエローのプロセスカートリッジの拡大縦断面図である。
【図3】吸着ローラ有効面長B、帯電装置有効面長D、クリーニングブレード有効面長Eと、現像開口長Cを比較する図である。
【図4】図1におけるイエローのプロセスカートリッジ、搬送ベルト、吸着ローラ等の拡大縦断面図である。
【図5】補強テープ段差部のトナーによって搬送ベルトが汚れている状態を表す図である。
【図6】搬送ベルト一端側の要部拡大断面図である。
【図7】(a)はリブつなぎ目付近のみに補強テープを貼った搬送ベルトの要部拡大図、(b)補強テープを貼らない搬送ベルトの要部拡大図、(c)は補強テープの内側2つの角部を円弧形状にした搬送ベルトの要部拡大図、(d)は補強テープが角部のままの搬送ベルトの要部拡大図である。
【図8】搬送ベルトのリブつなぎ目部分の要部拡大断面図である。
【図9】搬送ベルト一端側の要部拡大断面図である。
【図10】(a)はリブつなぎ目付近のみに補強テープを貼った搬送ベルト張架ローラ部での状態を表す部分断面図、(b)は補強テープ無しの搬送ベルトが張架ローラ部で座屈している状態を表す部分断面図である。
【符号の説明】
【0074】
B …吸着ローラ有効面長
C …現像開口長
D …帯電装置有効面長
E …クリーニングブレード有効面長
F1 …テンション
F2 …リブのつなぎ目部分への応力
G …回り込み電界
L1 …リブのつなぎ目の隙間長さ
L2 …補強テープの長さ
P …転写材
Q …境界部
R …つなぎ目
Sa,Sb,Sc,Sd …画像形成ステーション
W1 …リブの幅
W2 …補強テープの幅
1a,1b,1c,1d …感光ドラム
2a,2b,2c,2d …帯電装置
3a,3b,3c,3d …露光装置
4a,4b,4c,4d …現像装置
6a,6b,6c,6d …クリーニング装置
7a,7b,7c,7d …プロセスカートリッジ
11 …搬送ベルト(無端状ベルト部材)
12a,12b,12c,12d …転写ローラ
13,14,15,16 …ローラ
22 …吸着ローラ(トナー帯電部材)
100 …画像形成装置本体
153 …リブ(規制部材)
154 …補強テープ(補強部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転体によって張架され所定方向に循環移動する無端状ベルト部材において、
前記無端状ベルト部材の前記回転体側の面に設けられ、前記回転体の軸方向端部に接触して、前記回転体に対する前記無端状ベルト部材の軸方向の位置を規制する規制部材と、
前記無端状ベルト部材の前記規制部材が設けられた面とは反対側の面に設けられた補強部材と、を有し、
前記補強部材は、前記所定方向に延設された規制部材のつなぎ目付近にのみ設けられていることを特徴とする無端状のベルト部材。
【請求項2】
前記補強部材の前記所定方向の長さL2及び所定方向と直交する方向の幅W2と、前記規制部材のつなぎ目の前記所定方向の間隔L1及び所定方向と直交する方向の幅W1との相対関係がL2>L1、W2>W1であることを特徴とする請求項1に記載の無端状ベルト部材。
【請求項3】
前記補強部材は、複数の角部のうち、少なくとも無端状ベルト部材の幅方向内側の角部が円弧形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の無端状ベルト部材。
【請求項4】
前記補強部材は樹脂テープであって、該樹脂テープの体積抵抗が10〜1013Ω・cmの体積固有抵抗値であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無端状ベルト部材。
【請求項5】
現像剤による像を形成し該現像剤像を転写材に転写し定着することにより転写材に画像を形成する過程で、複数の回転体によって張架され所定方向に循環移動する無端状ベルト部材を用いる画像形成装置において、
前記無端状ベルト部材として、請求項1〜4のいずれかに記載の無端状ベルト部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記無端状ベルト部材とは、前記現像剤像が転写される転写材を担持搬送する転写材搬送部材であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写材搬送部材に担持された転写材に前記感光体上の現像剤像を転写した後に前記感光体表面を清掃するクリーニング装置を有し、前記転写材搬送部材に付着した不要な現像剤を静電的に前記感光体に逆転写させて前記クリーニング装置によって除去することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−8320(P2006−8320A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187441(P2004−187441)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】