説明

無線セルラー通信ネットワークにおいて発信元によって宛先に転送されるシンボルを中継するための方法及びデバイス、並びに、無線セルラー通信ネットワークにおいて宛先によって受信されるシンボルを復号するための方法及びデバイス

【課題】無線セルラー通信ネットワークにおいて発信元によって宛先に転送されるシンボルを中継するための方法を提供する。
【解決手段】シンボルは中継局によって中継され、中継局はシンボルを受信する。中継局は、シンボルを受信し、シンボルを成功裏に復号し、発信元によって以前に転送されたシンボルを生成し、発信元によって以前に転送されていないシンボルを生成し、生成されたシンボルを結合して、結合されたシンボルを生成し、結合されたシンボルを宛先に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包括的には、無線セルラー通信ネットワークにおいて発信元によって宛先に転送されるシンボルを中継するための方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
将来の無線セルラー通信ネットワークは、現在の無線セルラー通信ネットワークによって使用される周波数帯よりも高い周波数帯を使用する予定である。
【0003】
新たな無線セルラー通信ネットワークは、特に都市環境において不感地帯を有することになり、その地帯では、基地局と端末との間で転送される信号が著しく減衰することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/175214号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、中継局を用いることによって宛先によって受信される信号を高めることを目的とする。
【0006】
本発明はさらに、宛先に転送されるシンボルのダイバーシティを増加させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明は無線セルラー通信ネットワークにおいて発信元によって宛先に転送されるシンボルを中継するための方法に関する。
シンボルは中継局によって中継され、中継局はシンボルを受信し、
当該方法は、中継局によって実行されるステップであって、
− シンボルを受信するステップと、
− シンボルを成功裏に復号するステップと、
− 発信元によって以前に転送されたシンボルを生成するステップと、
− 発信元によって以前に転送されていないシンボルを生成するステップと、
− 生成されたシンボルを結合して、結合されたシンボルを生成するステップと、
− 結合されたシンボルを宛先に転送するステップと
を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、無線セルラー通信ネットワークにおいて発信元によって宛先に転送されるシンボルを中継するためのデバイスにも関する。
シンボルは中継局によって中継され、中継局はシンボルを受信し、
デバイスは中継局に収容され、
− シンボルを受信する手段と、
− シンボルを復号する手段と、
− 発信元によって以前に転送されたシンボルを生成する手段と、
− 発信元によって以前に転送されていないシンボルを生成する手段と、
− 生成されたシンボルを結合して、結合されたシンボルを生成する手段と、
− 結合されたシンボルを宛先に転送する手段と
を備えることを特徴とする。
【0009】
これにより、宛先によって受信される信号が高められる。
【0010】
さらに、発信元によって以前に転送されているシンボルと発信元によって以前に転送されていないシンボルとをスマートに混合することによって、本発明はフルダイバーシティ方式を確立することができ、これにより、発信元によって以前に転送されているシンボルのサブセットのダイバーシティ次数を変更することができる。
【0011】
或る特定の特徴によれば、結合されたシンボルは、発信元が当該発信元によって以前に転送されていないシンボルを転送するのと同時に転送される。
【0012】
これにより、そのシステムのスペクトル効率は低下しない。
【0013】
或る特定の特徴によれば、宛先によって発信元に転送される肯定応答又は非肯定応答メッセージが検出され、肯定応答メッセージが検出されない場合に、シンボルの生成、シンボルの結合、及び結合されたシンボルの転送が実行される。
【0014】
これにより、中継局は宛先を助けることができる場合にのみ送信し、他の隣接する無線通信への中継の干渉を制限する。
【0015】
或る特定の特徴によれば、2つの期間中に中継局によって転送される信号は以下のように定義され、
[f1(z1,z2,z3,z4)f2(z1,z2,z3,z4)]
【0016】
ただし、z1及びz2は発信元によって以前に転送された生成されたシンボルであり、z3及びz4は発信元によって以前に転送されていない生成されたシンボルであり、f1及びf2は生成されたシンボルを結合するために用いられる関数である。
【0017】
或る特定の特徴によれば、f1及びf2は以下のように選択され、
【0018】
【数1】

【0019】
ただし、*は複素共役を表し、αは、α=1/2に等しいスケーリングファクタである。
【0020】
或る特定の特徴によれば、f1及びf2は以下のように選択され、
【0021】
【数2】

【0022】
ただし、φは複素定数であり、
【0023】
【数3】

【0024】
はxの代数共役であり、
【0025】
【数4】

【0026】
【数5】

【0027】
【数6】

【0028】
である。
【0029】
或る特定の特徴によれば、f1及びf2は以下のように選択される。
【0030】
【数7】

【0031】
また、本発明は、無線セルラー通信ネットワークにおいて宛先によって受信されるシンボルを復号するための方法にも関する。
シンボルは中継局によって中継され、
当該方法は、宛先によって実行されるステップであって、
− シンボルを表す信号を受信するステップと、
− 宛先によって以前に受信されており宛先によって記憶されているシンボルを読み出すステップと、
− 受信されたシンボルと読み出されたシンボルとを結合するステップと、
− 発信元によって以前に転送されたシンボルと、発信元によって以前に転送されていないシンボルとを結合することによって形成されるシンボルを中継局が転送したと考えて、結合されたシンボルを復号するステップと
を含むことを特徴とする。
【0032】
また、本発明は、無線セルラー通信ネットワークにおいて宛先によって受信されるシンボルを復号するためのデバイスにも関する。
シンボルは中継局によって中継され、デバイスは宛先に収容され、
− シンボルを表す信号を受信する手段と、
− 宛先によって以前に受信されており宛先によって記憶されているシンボルを読み出す手段と、
− 受信されたシンボルと読み出されたシンボルとを結合する手段と、
− 発信元によって以前に転送されたシンボルと、発信元によって以前に転送されていないシンボルとを結合することによって形成されるシンボルを中継局が転送したと考えて、結合されたシンボルを復号する手段と
を備えることを特徴とする。
【0033】
これにより、宛先によって受信される信号は高められる。
【0034】
さらに、発信元によって以前に転送されているシンボルと発信元によって以前に転送されていないシンボルとを混合したシンボルを受信することによって、本発明はフルダイバーシティ方式を確立することができ、これにより、発信元によって以前に転送されたシンボルのサブセットのダイバーシティ次数を変更することができる。
【0035】
或る特定の特徴によれば、シンボルを表す信号は以下のように定義され、
【0036】
【数8】

【0037】
ただし、N2は加法性白色ガウス雑音のNr×2行列であり、hSDは発信元と宛先との間のチャネルのNr個の伝搬係数のベクトルであり、Nrは宛先のアンテナの数であり、hRDは中継局と宛先との間のチャネルのNr個の伝搬係数のベクトルであり、z1及びz2は宛先によって以前に受信されており宛先によって記憶されているシンボルであり、z1、z2、z3、z4は、受信された信号が表すシンボルであり、f1及びf2は受信されたシンボルと読み出されたシンボルとを結合するために用いられる関数であり、受信されたシンボルは以下の式に従って結合され、
【0038】
【数9】

【0039】
ただし、Nは加法性白色ガウス雑音の行列であり、Y1は宛先によって以前に受信されており宛先によって記憶されているシンボルを表わし、
【0040】
【数10】

【0041】
ただし、N1は加法性白色ガウス雑音のNr×2行列である。
【0042】
或る特定の特徴によれば、f1及びf2は以下のように選択され、
【0043】
【数11】

【0044】
ただし、*は複素共役を表し、αは、α=1/2に等しいスケーリングファクタであり、読み出されたシンボル及び受信されたシンボルは以下の式
【0045】
【数12】

【0046】
に従って結合される。
【0047】
或る特定の特徴によれば、f1及びf2は以下のように選択され、
【0048】
【数13】

【0049】
ただし、φは複素定数であり、
【0050】
【数14】

【0051】
はxの代数共役であり、
【0052】
【数15】

【0053】
【数16】

【0054】
【数17】

【0055】
であり、読み出されたシンボル及び受信されたシンボルは以下の式
【0056】
【数18】

【0057】
に従って結合される。
【0058】
或る特定の特徴によれば、f1及びf2は以下のように選択され、
【0059】
【数19】

【0060】
読み出されたシンボル及び受信されたシンボルは以下の式
【0061】
【数20】

【0062】
に従って結合される。
【0063】
さらに別の態様によれば、本発明は、プログラム可能デバイスに直接ロード可能なコンピュータプログラムに関し、当該コンピュータプログラムがプログラム可能デバイス上で実行されるときに、本発明による方法のステップを実施するための命令又はコードの一部を含む。
【0064】
コンピュータプログラムに関連する特徴及び利点は、本発明による方法及びデバイスに関連して先に記述されたものと同じであるので、ここでは繰り返さない。
【0065】
本発明の特徴は、一例の実施形態に関する以下の説明を読むことからさらに明らかになり、説明は添付の図面を参照しながら提示される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明が実施される無線セルラー通信ネットワークのアーキテクチャを表す図である。
【図2】本発明が実施される中継局のアーキテクチャを表す図である。
【図3】本発明による、中継局によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する図である。
【図4】本発明による、ダイバーシティを改善した動的復号及び転送プロトコルの一例を示す図である。
【図5】本発明が実施される宛先のアーキテクチャを表す図である。
【図6】本発明による、宛先によって実行されるアルゴリズムの第1の例を開示する図である。
【図7】本発明による、宛先によって実行されるアルゴリズムの第2の例を開示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1は本発明が実施される無線セルラー通信ネットワークのアーキテクチャを表す。
【0068】
無線セルラー通信ネットワークにおいて、発信元Srcは、少なくとも1つの宛先Destに信号を転送する。
【0069】
発信元Srcは、移動端末のような少なくとも1つの宛先又はホーム基地局に信号を転送する基地局とすることができる。
【0070】
発信元Srcは、基地局のような少なくとも1つの宛先に信号を転送する移動端末又はホーム基地局とすることもできる。
【0071】
基地局は、アクセスノード、又はノードB、又はエンハンストノードBとも呼ばれる。
【0072】
基地局又はホーム基地局は、少なくとも1つの移動端末をハンドリングすることができる。
【0073】
移動端末が基地局を通して遠隔デバイスとの通信を確立できるようにするために必要とされる情報を基地局が有するとき、その基地局はその移動端末をハンドリングする。
【0074】
基地局は、ダウンリンクチャネルを通して、移動端末に信号を転送し、アップリンクチャネルを通して、移動端末によって転送された信号を受信する。
【0075】
発信元Srcは、1つの情報ワードにおけるK個の情報ビットを冗長情報(redundancy)とともに送信し、それらの情報ビットは符号化器によって符号化され、符号化器の出力はインターリーブされて、符号化ビットのベクトルが生成される。
【0076】
符号化ビットのベクトルは、複素変調シンボルを取得するために離散変調入力に与えられる。変調入力は、4相位相変調、或いは16、32又は64直交振幅変調とすることができる。複素変調シンボルは、複素変調シンボルのいくつかのブロックを含む、複素変調シンボルのベクトルに分けられる。
【0077】
本発明によれば、複素変調シンボルの1つのブロックは、本発明に従って中継局RLが信号を転送するときに中継局RLによって結合される最小数の複素シンボルを含む。
【0078】
複素変調シンボルの各ブロックは、物理的な送信アンテナへのマッピングの前に、複素変調シンボルの変換を適用するプリコーディング方式の連結からなる仮想アンテナによって、そのチャネルを通していくつかの期間にわたって送信される。
【0079】
複素シンボルの1つのブロックに含まれる複素シンボルの最小数は、中継局RL及び発信元Srcによって形成されるアンテナアレイの仮想アンテナの数に等しい。
【0080】
さらに一般的には、符号化及びインターリーブは、3GPP−LTE標準規格(第3世代パートナーシッププロジェクト−ロングタームエボリューション)において用いられるようなレートマッチングアルゴリズムによって行なわれる。このアルゴリズムによれば、情報ワードから、任意のサイズの符号化ビットのベクトルを生成することができる。言い換えると、任意の取り得る符号化率を生成することができる。複素変調シンボルのブロックの送信に応じて、符号化ビットの生成も複数のステップにおいて行うことができる。
【0081】
無線セルラー通信ネットワークでは、先行するブロックの送信の成功に肯定応答するか否かのために、宛先Destから発信元SrcへのハイブリッドARQ(HARQ)フィードバック方式が提供される。
【0082】
ハイブリッドARQでは、宛先Destがシンボルを成功裏に復号することができないとき、すなわち、送信された情報ワードに埋め込まれている巡回冗長検査(CRC)が失敗したときに、付加的な冗長情報の再送が実行される。
【0083】
十分な冗長情報が受信されると直ちに、宛先Destはそのメッセージを正しく復号することができ、送信は中止される。
【0084】
宛先Destは、1つの情報ワードの送信開始時から受信される、複素変調シンボルのベクトルの連結、又は符号化ビットの軟推定値の連結を格納し、連結されたベクトルに統合復号法を適用する。
【0085】
複素変調シンボルのベクトルに対するCRC検査が正しい場合、複数変調シンボルのベクトルの受信と復号の後に、肯定応答が実行される。
【0086】
通常、複素変調シンボルの新たなベクトルはそれぞれ、レートマッチングアルゴリズムの出力から取り込まれる付加的な冗長情報と、誤り訂正符号の出力から取り込まれる付加的な冗長情報とを含む。
【0087】
本発明は、ブロードキャストのような開ループ伝送にも適用することができる。その場合、コードワードが符号化ビットからなるいくつかのベクトルに、又は等価には複素変調シンボルからなるいくつかのベクトルに分割される。
【0088】
SRで表される矢印は、発信元Srcと中継局RLとの間の経路を表す。LRDで表される矢印は、中継局RLと宛先Destとの間の経路を表す。LSDで表される矢印は、発信元Srcと宛先Destとの間の経路を表す。
【0089】
本発明によれば、中継局RLは、シンボルを受信して成功裏に復号し、発信元と同じレートマッチングアルゴリズムを用いることによって、発信元Srcによって以前に転送されているシンボルと、発信元Srcによって以前に転送されていない他のシンボルとを生成する。
【0090】
中継局RLは、発信元Srcによって以前に転送されているシンボルと、発信元Srcによって以前に転送されていないシンボルとを結合して、結合されたシンボルを生成し、その結合されたシンボルを転送する。
【0091】
結合されたシンボルは、たとえば、発信元Srcが自身によって以前に転送されていない他のシンボルを転送するのと同時に転送される。発信元Srcによって以前に転送されておらず中継局RL及び発信元Srcによってそれぞれ生成される他のシンボルは、同じであってもよいが、一般的には同じではない。
【0092】
本発明の特定の実現形態では、中継局RLは、宛先Destによって発信元Srcに転送される肯定応答及び非肯定応答を監視する。
【0093】
中継局RLがシンボルを受信して成功裏に復号した場合、中継局RLは、非肯定応答が検出されるときにのみ、発信元と同じレートマッチングアルゴリズムを用いることによって、発信元Srcによって以前に転送されているシンボルと、発信元Srcによって以前に転送されていない他のシンボルとを生成する。肯定応答が検出されるとき、発信元Src及び中継局RLによって、メッセージ伝送のためのシンボルはそれ以上生成されない。
【0094】
中継局RL及び宛先Destは、図1には示されない複数のアンテナを有する。
【0095】
図2は、本発明が実施される中継局のアーキテクチャを表す図である。
【0096】
中継局RLは、たとえば、バス201によって互いに接続される構成要素、及び図3において開示されるプログラムによって制御されるプロセッサ200に基づくアーキテクチャを有する。
【0097】
バス201は、プロセッサ200を、リードオンリーメモリROM202、ランダムアクセスメモリRAM203、及び無線インターフェース205に接続する。
【0098】
メモリ203は、図3において開示されるようなプログラムの変数及び命令を受信するように構成されるレジスタを含む。
【0099】
プロセッサ200は、無線インターフェース205の動作を制御する。
【0100】
リードオンリーメモリ202は、図3において開示されるようなプログラムの命令を含み、その命令は中継局RLが起動されたときにランダムアクセスメモリ203に転送される。
【0101】
中継局RLは、無線インターフェース205によって、基地局又はホーム基地局から少なくとも1つの移動端末への信号又はメッセージ、及び少なくとも1つの移動端末から基地局又はホーム基地局への信号又はメッセージを転送し、且つ/又は受信できるようになる。
【0102】
無線インターフェース205は、少なくとも1つの基地局又はホーム基地局によって転送される信号を受信するダウンリンク受信モジュール210を備えてもよい。また、少なくとも1つの移動端末又はホーム基地局に信号を転送するダウンリンク送信モジュール211を備えてもよい。また、少なくとも1つの移動端末又はホーム基地局によって転送される信号を受信するアップリンク受信モジュール212を備えてもよい。また、少なくとも1つの基地局又はホーム基地局に信号を転送するアップリンク送信モジュール213を備えてもよい。
【0103】
中継局RLは、動的復号転送(DDF:Dynamic Decode and Forward)プロトコルに従って動作する。
【0104】
DDFプロトコルは、中継局RLにおけるスマート処理を含む。中継局は、発信元Srcから宛先Destに送信される情報を受信してその復号を試み、復号によって誤りが生じない場合は直ちに、送信段階に移行する。
【0105】
図3は、本発明による、中継局によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【0106】
より正確には、本アルゴリズムは、中継局RLのプロセッサ200によって実行される。
【0107】
ステップS300において、プロセッサ200は、無線インターフェース205を通して、複素変調シンボルのベクトルの受信を検出する。
【0108】
複素変調シンボルのベクトルは、ダウンリンク受信機210又はアップリンク受信機212によって受信され、それ以前に1つの情報ワードの送信開始時から受信されている複素変調シンボルの複数のベクトルに連結される。
【0109】
複素変調シンボルの連結された受信ベクトルのうちの、複素変調シンボルの1つのベクトルは、たとえば、図4において開示されるベクトルと同じである。
【0110】
図4は、本発明による、ダイバーシティを改善した動的復号及び転送プロトコルを用いる送信の一例である。
【0111】
上側部分400は、複素変調シンボルのベクトルを表しており、それらのベクトルは発信元Srcによって宛先Destに転送される。
【0112】
簡単にするために、図4には、複素変調シンボルの2つのベクトルV1及びV2が示されている。実際には、発信元SrcによってフェーズL1中に、及び/又は、発信元Src及び中継局RLによってフェーズL2中に、複素変調シンボルのさらに多くのベクトルが転送される場合がある。
【0113】
複素変調シンボルのベクトルV1は、複素シンボルのブロックA(1)、A(i)及びA(j)を含む。複素変調シンボルのベクトルV1は、中継局RLによって受信される。
【0114】
複素変調シンボルのベクトルV2は、複素シンボルのブロックB(1)及びB(k)を含む。後に開示されるように、複素変調シンボルのベクトルV2は、中継局RLによって復号されない。
【0115】
下側部分410は、中継局RLによって転送される複素変調シンボルのベクトルを表す。
【0116】
複素変調シンボルのベクトルV1は、中継局RLによって成功裏に復号される。複素変調シンボルのベクトルが成功裏に復号されない限り、中継局RLはL1で表されるフェーズにあり、そのフェーズにおいて、中継局RLは、複素変調シンボルのベクトルV1を受信し、それらを復号しようと試みる。
【0117】
たとえば、図4のライン420において、複素変調シンボルの少なくとも1つのベクトルを成功裏に復号したとき、中継局RLはL2で表されるフェーズに入り、そのフェーズにおいて、中継局RLは、発信元Srcによって転送されたシンボルを復号するのを中断し、複素変調シンボルの少なくとも1つのベクトルを転送する。
【0118】
図4の例によれば、中継局RLは、複素変調シンボルのベクトルV3を転送する。
【0119】
ステップS300において受信される複素変調シンボルのベクトルは、たとえば、図4におけるベクトルV1である。
【0120】
次のステップS301において、プロセッサ200は、無線インターフェースに対して、複素変調シンボルの少なくとも1つの受信されたベクトルを復号するように指示する。
【0121】
複素変調シンボルのベクトルV1を含む少なくとも1つの受信されたベクトルは、中継局RLによって以前に受信されているが、図4には示されない複素変調シンボルの少なくとも1つのベクトルを含む場合がある。
【0122】
少なくとも1つの複素変調シンボルは復調され、デインターリーブされ、復号されて、情報ビットの軟推定値及び冗長情報が抽出される。
【0123】
次のステップS302において、プロセッサ200は、複素変調シンボルの少なくとも1つの復号された受信ベクトルにおける復号後に求められたCRCが正しいか否かを調べる。
【0124】
CRCが正しい場合、プロセッサ200はステップS303に進み、そうでない場合、プロセッサ200はステップS300に戻る。
【0125】
1つの変形形態では、CRCが正しい場合、プロセッサ200はステップS303に進み、さらに、複素変調シンボルの最後に受信されたベクトルに対して、宛先Destによって発信元Srcに肯定応答メッセージが転送されたか否かを調べることに留意されたい。
【0126】
肯定応答メッセージが転送された場合、プロセッサ200はステップS303に進み、そうでない場合、プロセッサ200はステップS300に戻る。
【0127】
CRCが正しいとき、すなわち、図4のライン420から開始するとき、プロセッサ200は、発信元Srcによって転送されたK個の情報ビットがわかり、レートマッチングアルゴリズムの助けによって、発信元Srcと同じようにして複素変調シンボルのブロック及びベクトルを生成することができる。
【0128】
図4のフェーズL1は、複素変調シンボルのいくつかのベクトルが発信元Srcによって送信されたが、中継局RLが有効なCRCを取得することができなかった期間である。
【0129】
本発明の特定の実現形態では、中継局RLが、宛先Destによって発信元Srcに転送される肯定応答、非肯定応答を監視するとき、フェーズL1は、複素変調シンボルのいくつかのベクトルが、宛先Destによる成功したCRCを取得することができなかった期間でもある。
【0130】
その特定の実現形態によれば、図4のフェーズL2は、宛先Destが有効なCRCを取得することができない期間である。
【0131】
プロセッサ200は、発信元Srcによって送信されたK個の情報ビットがわかるので、その際、プロセッサ200は、対応する冗長情報を求め、レートマッチングアルゴリズムの助けによって、インターリーブされた符号化ビットを生成することができる。
【0132】
その後、符号化ビットのベクトルは、複素変調シンボルを生成する離散変調入力に与えられる。
【0133】
プロセッサ200は、フェーズL1中に、発信元Srcによって以前に転送された複素変調シンボルのベクトルを生成することができ、フェーズL2中に、発信元Srcによって後に転送されることになる複素変調シンボルのベクトルを生成することができる。
【0134】
さらに、プロセッサ200は、発信元Srcによって以前に転送された複素変調シンボルのベクトルと、発信元Srcによって後に転送されることになる複素変調シンボルのベクトルとの結合である、複素変調シンボルのベクトルを生成することができる。
【0135】
ステップS303において、プロセッサ200は、発信元Srcによって以前に転送された複素変調シンボルのブロックに含まれる複素変調シンボルを取得する。
【0136】
たとえば、プロセッサ200は、複素変調シンボルのブロックA(i)に含まれる複素変調シンボルを取得する。
【0137】
複素変調シンボルのブロックA(i)は、中継局RL及び宛先Destによって知られている所定の規則に従って選択される。
【0138】
次のステップS304において、プロセッサ200は、発信元Srcによって後に転送されることになる複素変調シンボルのブロックに含まれる複素変調シンボルを取得する。
【0139】
プロセッサ200は、発信元Srcによって送信されたK個の情報ビットがわかるので、その際、プロセッサ200は、対応する冗長情報を求め、発信元Srcによってどの複素変調シンボルが転送されることになるかを判断することができる。
【0140】
たとえば、プロセッサ200は、図4の複素変調シンボルのブロックB(1)に含まれる複素変調シンボルを取得する。
【0141】
次のステップS305において、プロセッサ200は、複素変調シンボルのブロックA(i)及びB(1)に含まれる複素変調シンボルを結合して、結合された複素変調シンボルを生成する。
【0142】
次のステップS306において、プロセッサ200は、結合された複素変調シンボルを、複素変調シンボルのブロックに変換するように指示する。
【0143】
プロセッサ200は、複素変調シンボルのブロックA(j)及びB(k)に含まれる複素変調シンボルも結合して、結合された複素変調シンボルを生成する。
【0144】
プロセッサ200は、複素変調シンボルのベクトルV3を転送するように指示する。
【0145】
複素変調シンボルのベクトルV3は、発信元Srcによって転送される複素変調シンボルのベクトルV2と同時に、ステップS305において転送される。
【0146】
中継局RLがシンボルを復号するのに成功すると、宛先Destは、2つの送信アンテナを用いる従来の多入力多出力MIMOチャネルと同様に、少なくとも2つの仮想アンテナ、すなわち発信元Src及び中継局RLによって送信される信号を受信する。
【0147】
2つの送信アンテナでフルダイバーシティを復元する最低限の構成は、2つのタイムスロット中に2つの送信アンテナにおいて4つのシンボルを送信することである。宛先Destが中継局RL及び発信元によって転送される信号を同じ電力において受信するようにするために、中継局において電力制御が適用される場合がある。
【0148】
A(i)=[z1,z2]、B(k)=[z3,z3]及びF(B(k),A(i))=[f1(z1,z2,z3,z4)f2(z1,z2,z3,z4)]について考えよう。ただし、z1、z2、z3、z4は複素シンボルであり、f1及びf2は関数であり、その例が後に与えられる。
【0149】
A(i)はフェーズL1の2つのタイムスロット中に送信される2つの複素変調シンボルからなるブロックであり、B(k)はフェーズL2の2つのタイムスロット中に送信される2つの複素変調シンボルからなるブロックであり、F(B(k),A(i))はフェーズL2の2つのタイムスロット中に中継局RLによって送信される2つの複素変調シンボルからなるブロックである。
【0150】
第1のフェーズL1中に宛先Destによって受信される信号はY1であり、以下のように定義される。
【0151】
【数21】

【0152】
ただし、N1は加法性白色ガウス雑音の行列であり、hSDは発信元Srcと宛先Destとの間のチャネルの伝搬係数のベクトルであり、hRDは中継局RLと宛先Destとの間のチャネルの伝搬係数のベクトルである。
【0153】
第2のフェーズ中に宛先Destによって受信される信号はY2であり、以下のように定義される。
【0154】
【数22】

【0155】
ただし、N2は加法性白色ガウス雑音の行列である。
【0156】
1とY2との間に結合を適用することによって、宛先Destは、新たな等価チャネルモデルを構築することができる。たとえば、以下のような、行列A及びBとの結合を考える。
Y=Y1A+Y2
【0157】
たとえば、宛先Destは、以下の式が得られるように線形結合を計算する。
【0158】
【数23】

【0159】
ただし、Nは加法性白色ガウス雑音の行列である。
【0160】
このように、フェーズL1及びフェーズL2のシンボルをスマートに混合することによって、本発明はフルダイバーシティ方式を確立することができ、これにより、フェーズL1において送信されたビットの一部のダイバーシティ次数を変更することができる。
【0161】
1、z2、z3、z4が発信元Srcによって送信されると直ちに、中継局RLは、z1、z2、z3、z4を同時に知ることができる。すなわち、z3及びz4を構築することができる。
【0162】
これは、コードワード分割及びレートマッチングと組み合わせられたDDFプロトコルによって達成され、これらは中継局RLによって知られており、情報ワードを早期に復号できるようにする。
【0163】
フルダイバーシティ直交方式は、本発明において、以下のようにf1及びf2を選択することによって達成することができる。
【0164】
【数24】

【0165】
ただし、*は複素共役を表し、αはスケーリングファクタである。
【0166】
線形結合によれば、これにより、z1+αz3入力変調の場合に、IEEE J Sel. Areas Commun., 16: 1451-1458,1998において発表された「A simple transmit diversity technique for wireless communications」と題するS. M. Alamoutiの論文において開示されているような古典的なAlamouti方式に等しい、以下の等価チャネルモデルがもたらされる。
【0167】
【数25】

【0168】
たとえば、z1及びz3がQPSKシンボルである場合、α=1/2を選択することによって、事実上、16QAM変調が構成される。すなわち、発信元Src又は中継局RLによって実際に16QAMが送信されるのではなく、受信されたメッセージが16QAM変調及びAlamouti方式を用いて送信されたかのように、宛先Destがそのメッセージを認識する。
【0169】
このように、宛先Destにおいて復号器をあまり複雑にすることなく実現することができ、発信元Srcは、フェーズL1、L2の状態を考慮することなく、シンボルを送信することができる。
【0170】
さらに、復号器の入力におけるフェージングチャネルモデルはMatryoshka M({2,1},{2NL2,NL1−NL2})チャネルであるので、NL2>=K/2のとき直ちに、受信機の復号器出力において、2のフルダイバーシティ次数が得られる。
【0171】
実際には、フェーズL1のNL1個の符号化ビットのうちのNL2個の符号化ビットは、フェーズL2において発信元Srcによって送信される新たなNL2個のビットと同様に、フェーズL2における提案された方式を用いて形成される2つのチャネルを通して実質的に送信される。
【0172】
Matryoshkaチャネルは、Information Theory Workshop 2007 (ITW'07)(Lake Tahoe, California, USA)において、G. M. Kraidy、N. Gresset、J. J. Boutrosによる「Coding for the Non-Orthogonal Amplify-and-Forward Cooperative Channel」と題した論文で開示されている。
【0173】
本発明においてゴールデン符号が用いられる場合、f1及びf2は以下のように選択される。
【0174】
【数26】

【0175】
ただし、φは複素定数であり、
【0176】
【数27】

【0177】
はxの代数共役(algebraic conjugate)である。
【0178】
それにより、線形結合を適用することによって、以下の等価チャネルモデルが導かれる。
【0179】
【数28】

【0180】
それゆえ、
【0181】
【数29】

【0182】
【数30】

【0183】
【数31】

【0184】
と選ぶことによって、ゴールデン符号の伝送に対応する等価モデルを構築することができる。
【0185】
復号器の入力におけるブロックフェージングチャネルモデルはMatryoshka M({2,1},{2NL2,NL1−NL2})チャネルであり、NL2>=K/2のとき直ちに、受信機においてフルダイバーシティが得られる。
【0186】
本発明において、Proc. Conference on Information Science and Systems (Princeton, NJ, March 17--19, 2004において発表された「Precoder designs for high rate space-time block codes」と題するA. Hottinen及びO. Tirkkonenの論文において開示されているようなシルバー符号が用いられる場合、f1及びf2は以下のように選択される。
【0187】
【数32】

【0188】
以下のような結合を適用することによって、ゴールデン符号と比べて、あまり複雑にすることなく、フルダイバーシティ及び高い符号化利得を与えるシルバー符号方式がもたらされる。
【0189】
【数33】

【0190】
さらに、復号器の入力におけるブロックフェージングチャネルモデルはMatryoshka M({2,1},{2NL2,NL1−NL2})チャネルであり、NL2>=K/2のとき直ちに、受信機においてフルダイバーシティが得られる。
【0191】
次のステップS307において、プロセッサ200は、複素変調シンボルのベクトルの送信が終了したか否か、又は宛先Destから発信元Srcに肯定応答が送信されたか否かを調べる。
【0192】
宛先Destが複素変調シンボルの1つのベクトルに肯定応答するとき、又は所与の期間内に肯定応答が受信されないとき、又はブロードキャストの場合には複素変調シンボルの全てのベクトルが転送されたときに、複素変調シンボルのブロックの送信が終了する。
【0193】
複素変調シンボルのベクトルの送信が終了した場合、プロセッサ200はステップS300に戻る。そうでない場合、プロセッサ200は、既に開示されているステップS303に進む。
【0194】
図5は、本発明が実施される宛先のアーキテクチャを表す図である。
【0195】
宛先Destは、たとえば、バス501によって互いに接続される構成要素、及び、図6又は図7において開示されるようなプログラムによって制御されるプロセッサ500に基づくアーキテクチャを有する。
【0196】
バス501は、プロセッサ500を、リードオンリーメモリROM502、ランダムアクセスメモリRAM503、及び無線インターフェース505に接続し、宛先が基地局又はホーム基地局である場合にはネットワークインターフェース506に接続する。
【0197】
メモリ503は、図6又は図7において開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの変数及び命令を受信することを目的とするレジスタを含む。
【0198】
プロセッサ500は、宛先が基地局である場合にはネットワークインターフェース506の動作を制御し、また、無線インターフェース505の動作を制御する。
【0199】
リードオンリーメモリ502は、図6又は図7において開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令を含み、その命令は、宛先Destが起動されるときにランダムアクセスメモリ503に転送される。
【0200】
宛先が基地局又はホーム基地局である場合、宛先Destはネットワークインターフェース506を通して通信ネットワークに接続される。たとえば、ネットワークインターフェース506はDSL(デジタル加入者線)モデム、或いはISDN(統合サービスデジタル網)インターフェース等である。
【0201】
宛先Destは、ネットワークインターフェース506を通して、無線セルラー通信ネットワークの他の基地局、又は無線セルラー通信ネットワークのコアデバイスにメッセージを転送することができる。
【0202】
図6は、本発明による、宛先によって実行されるアルゴリズムの第1の例を開示する。
【0203】
より厳密には、このアルゴリズムは宛先のプロセッサ500によって実行される。
【0204】
ステップS600において、プロセッサ500は、無線インターフェース505を通して、複素変調シンボルのベクトルの受信を検出する。
【0205】
複素変調シンボルの受信ベクトルは、たとえば、ベクトルV1であり、ブロックA(1)、A(i)及びA(j)を含む。
【0206】
次のステップS601において、プロセッサ500は、RAMメモリ503に、複素シンボルの受信ベクトル内に含まれる複素変調シンボルを記憶する。
【0207】
次のステップS602において、プロセッサ500は、中継局RLが信号を転送しているか否かを調べる。
【0208】
プロセッサ500は、受信信号の電力が増加することを無線インターフェース505によって通知されることによって、或いは新たなパイロットシンボルが受信されたことを無線インターフェース505によって通知されることによって、或いは中継局RL又は発信元Srcによって転送されるメッセージを受信することによって、中継局RLが信号を転送していると判断することができる。
【0209】
中継局RLが信号を転送している場合、プロセッサ500はステップS603に進む。そうでない場合、プロセッサ500はステップS605に進む。
【0210】
図4の例によれば、中継局RLは、複素シンボルのベクトルV1の送信中には信号を転送しない。
【0211】
ステップS605において、プロセッサ500は、無線インターフェース505に対して、複素変調シンボルの少なくとも1つの受信ベクトルを復号するように指示する。
【0212】
少なくとも1つの複素変調シンボルは復調され、デインターリーブされ、復号されて、情報ビット及び冗長情報となる。
【0213】
次のステップS606において、プロセッサ500は、複素変調シンボルの少なくとも1つの受信ベクトルを復号した後に求められたCRCが正しいか否かを調べる。
【0214】
CRCが正しい場合、プロセッサ500は本アルゴリズムを中断する。そうでない場合、プロセッサ500はステップS600に戻る。
【0215】
また、プロセッサ500は、発信元Srcに肯定応答又は非肯定応答メッセージを転送するように指示してもよい。
【0216】
たとえば、複素変調シンボルの少なくとも1つの受信ベクトルのためのCRCが正しくないとき、プロセッサ500はステップS600に戻り、無線インターフェース505を通して、複素変調シンボルの少なくとも1つの別のベクトルの受信を検出する。
【0217】
複素変調シンボルの受信ベクトルは、たとえば、複素変調シンボルのベクトルV2並びにV3であり、それぞれブロックB(1)及びB(k)、並びに、F(B(1),A(i))及びF(B(k),A(j))を含む。
【0218】
次のステップS601において、プロセッサ500は、RAMメモリ503に、複素シンボルの受信ベクトル内に含まれる複素変調シンボルを記憶する。
【0219】
次のステップS602において、プロセッサ500は、中継局RLが信号を転送しているか否かを調べる。
【0220】
図4の例によれば、中継局RLは信号を転送している。
【0221】
ステップS603において、プロセッサ500は、発信元Srcによって以前に転送され、RAMメモリ503に記憶される複素変調シンボルのベクトル内に含まれる複素変調シンボルを取得する。
【0222】
たとえば、プロセッサ500は、複素変調シンボルのブロックA(i)に組まれる複素変調シンボルを取得する。
【0223】
次のステップS604において、プロセッサ500は、受信したばかりの複素変調シンボルと、複素変調シンボルのブロックA(i)内に含まれる複素変調シンボルとを結合する。
【0224】
第1の例によれば、f1及びf2は以下のように選択され、
【0225】
【数34】

【0226】
その信号はYであり、以下のように定義される。
【0227】
【数35】

【0228】
本発明においてゴールデン符号が用いられる場合、f1及びf2は以下のように選択され、
【0229】
【数36】

【0230】
その信号はYであり、以下のように定義される。
【0231】
【数37】

【0232】
本発明においてシルバー符号が用いられる場合、f1及びf2は以下のように選択され、
【0233】
【数38】

【0234】
Y1及びY2の結合は以下のように行なわれる。
【0235】
【数39】

【0236】
それにより、ゴールデン符号と比べて、あまり複雑にすることなく、フルダイバーシティ及び高い符号化利得を与えるシルバー符号方式がもたらされる。
【0237】
次のステップS605において、プロセッサ500は、無線インターフェース505に対して、結合された複素変調シンボルを復号するように指示する。
【0238】
結合された複素変調シンボルは復調され、デインターリーブされ、復号されて、情報ビット及び冗長情報となる。
【0239】
その後、プロセッサ500は、既に記述されているステップS606に進む。
【0240】
図7は、本発明による、宛先によって実行されるアルゴリズムの第2の例を開示する。
【0241】
より厳密には、本アルゴリズムは宛先Destのプロセッサ500によって実行される。
【0242】
ステップS700において、プロセッサ500は、無線インターフェース505を通して、複素変調シンボルのベクトルの受信を検出する。
【0243】
複素変調シンボルの受信ベクトルは、たとえば、ベクトルV1であり、ブロックA(1)、A(i)及びA(j)を含む。
【0244】
次のステップS701において、プロセッサ500は、RAMメモリ503に、複素シンボルの受信ベクトル内に含まれる複素変調シンボルを記憶する。
【0245】
次のステップS702において、プロセッサ500は、中継局RLは信号を中継していないと考えて、無線インターフェース505に対して複素変調シンボルの受信ベクトルを復号するように指示する。
【0246】
受信される信号は、以下の信号であると考えられる。
【0247】
【数40】

【0248】
複素変調シンボルは復調され、デインターリーブされ、復号されて、情報ビット及び冗長情報となる。
【0249】
次のステップS703において、プロセッサ500は、複素変調シンボルの受信ベクトルを復号した後に求められたCRCが正しいか否かを調べる。
【0250】
CRCが正しい場合、プロセッサ500は本アルゴリズムを中断する。そうでない場合、プロセッサ500はステップS704に進む。
【0251】
ステップS704において、プロセッサ500は、発信元Srcによって以前に転送され、RAMメモリ503に記憶されている複素変調シンボルのベクトル内に含まれる複素変調シンボルを取得する。
【0252】
次のステップS705において、プロセッサ500は、受信したばかりの複素変調シンボルと、複素変調シンボルのブロック内に含まれる複素変調シンボルとを結合する。
【0253】
次のステップS706において、プロセッサ500は、中継局RLが信号を中継していると考えて、無線インターフェース505に対して結合された複素変調シンボルを復号するように指示する。
【0254】
第1の例によれば、f1及びf2は以下のように選択され、
【0255】
【数41】

【0256】
線形結合から生じる信号はYであり、以下のように定義される。
【0257】
【数42】

【0258】
本発明においてゴールデン符号が用いられる場合、f1及びf2は以下のように選択され、
【0259】
【数43】

【0260】
その信号はYであり、以下のように定義される。
【0261】
【数44】

【0262】
本発明においてシルバー符号が用いられる場合、f1及びf2は以下のように選択され、
【0263】
【数45】

【0264】
Y1及びY2の結合は以下のように行なわれる。
【0265】
【数46】

【0266】
それにより、ゴールデン符号と比べて、あまり複雑にすることなく、フルダイバーシティ及び高い符号化利得を与えるシルバー符号方式がもたらされる。
【0267】
結合された複素変調シンボルは復調され、デインターリーブされ、復号されて、情報ビット及び冗長情報となる。
【0268】
次のステップS707において、プロセッサ500は、複素変調シンボルの受信ベクトルを復号した後に求められたCRCが正しいか否かを調べる。
【0269】
CRCが正しい場合、プロセッサ500は本アルゴリズムを中断する。そうでない場合、プロセッサ500はステップS700に戻る。
【0270】
当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上記の本発明の実施形態に対して数多くの変更を行なうことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線セルラー通信ネットワークにおいて発信元によって宛先に転送されるシンボルを中継するための方法であって、
該シンボルは中継局によって中継され、該中継局はシンボルを受信し、
該方法は、該中継局によって実行されるステップであって、
− シンボルを受信するステップと、
− 該シンボルを成功裏に復号するステップと、
− 前記発信元によって以前に転送されたシンボルを生成するステップと、
− 前記発信元によって以前に転送されていないシンボルを生成するステップと、
− 前記生成されたシンボルを結合して、結合されたシンボルを生成するステップと、
− 前記結合されたシンボルを前記宛先に転送するステップと
を含むことを特徴とする、無線セルラー通信ネットワークにおいて発信元によって宛先に転送されるシンボルを中継するための方法。
【請求項2】
前記結合されたシンボルは、前記発信元が該発信元によって以前に転送されていないシンボルを転送するのと同時に転送されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記宛先によって前記発信元に転送される肯定応答又は非肯定応答メッセージを検出するさらなるステップを含み、
該肯定応答メッセージが検出されない場合に、前記シンボルを生成するステップ、前記シンボルを結合するステップ、及び前記結合されたシンボルを転送するステップが実行されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
2つの期間中に該中継局によって転送される信号は以下のように定義され、
【数1】

ただし、z1及びz2は前記発信元によって以前に転送された前記生成されたシンボルであり、z3及びz4は前記発信元によって以前に転送されていない前記生成されたシンボルであり、f1及びf2は前記生成されたシンボルを結合するために用いられる関数であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
1及びf2は以下のように選択され、
【数2】

ただし、*は複素共役を表し、αは、α=1/2に等しいスケーリングファクタであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
1及びf2は以下のように選択され、
【数3】

ただし、φは複素定数であり、
【数4】

はxの代数共役であり、
【数5】

【数6】

【数7】

【数8】

であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
1及びf2は以下のように選択され、
【数9】

ただし、*は複素共役を表すことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
無線セルラー通信ネットワークにおいて発信元によって宛先に転送されるシンボルを中継するためのデバイスであって、
該シンボルは中継局によって中継され、該中継局はシンボルを受信し、
該デバイスは該中継局に収容され、
− シンボルを受信する手段と、
− 該シンボルを復号する手段と、
− 前記発信元によって以前に転送されたシンボルを生成する手段と、
− 前記発信元によって以前に転送されていないシンボルを生成する手段と、
− 前記生成されたシンボルを結合して、結合されたシンボルを生成する手段と、
− 前記結合されたシンボルを前記宛先に転送する手段と
を備えることを特徴とする、無線セルラー通信ネットワークにおいて発信元によって宛先に転送されるシンボルを中継するためのデバイス。
【請求項9】
無線セルラー通信ネットワークにおいて宛先によって受信されるシンボルを復号するための方法であって、
該シンボルは中継局によって中継され、
該方法は、該宛先によって実行されるステップであって、
− シンボルを表す信号を受信するステップと、
− 該宛先によって以前に受信されており該宛先によって記憶されているシンボルを読み出すステップと、
− 前記受信されたシンボルと前記読み出されたシンボルとを結合するステップと、
− 前記発信元によって以前に転送されたシンボルと、前記発信元によって以前に転送されていないシンボルとを結合することによって形成されるシンボルを前記中継局が転送したと考えて、前記結合されたシンボルを復号するステップと
を含むことを特徴とする、無線セルラー通信ネットワークにおいて宛先によって受信されるシンボルを復号するための方法。
【請求項10】
前記シンボルを表す信号は以下のように定義され、
【数10】

ただし、N2は加法性白色ガウス雑音のNr×2行列であり、hSDは前記発信元と該宛先との間のチャネルのNr個の伝搬係数のベクトルであり、Nrは該宛先のアンテナの数であり、hRDは前記中継局と該宛先との間のチャネルのNr個の伝搬係数のベクトルであり、z1及びz2は該宛先によって以前に受信されており該宛先によって記憶されているシンボルであり、z1、z2、z3、z4は、前記受信された信号が表すシンボルであり、f1及びf2は前記受信されたシンボルと前記読み出されたシンボルとを結合するために用いられる関数であり、
前記受信されたシンボルは以下の式に従って結合され、
【数11】

ただし、A及びBは所与の行列であり、Y1は該宛先によって以前に受信されており該宛先によって記憶されているシンボルを表わし、
【数12】

ただし、N1は加法性白色ガウス雑音のNr×2行列であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1及びf2は以下のように選択され、
【数13】

ただし、*は複素共役を表し、αは、α=1/2に等しいスケーリングファクタであり、前記読み出されたシンボル及び前記受信されたシンボルは以下の式
【数14】

に従って結合されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
1及びf2は以下のように選択され、
【数15】

ただし、φは複素定数であり、
【数16】

はxの代数共役であり、
【数17】

【数18】

【数19】

【数20】

であり、前記読み出されたシンボル及び前記受信されたシンボルは以下の式
【数21】

に従って結合されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
1及びf2は以下のように選択され、
【数22】

ただし、*は複素共役を表し、前記読み出されたシンボル及び前記受信されたシンボルは以下の式
【数23】

に従って結合されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
無線セルラー通信ネットワークにおいて宛先によって受信されるシンボルを復号するためのデバイスであって、
該シンボルは中継局によって中継され、該デバイスは該宛先に収容され、
− シンボルを表す信号を受信する手段と、
− 該宛先によって以前に受信されており該宛先によって記憶されているシンボルを読み出す手段と、
− 前記受信されたシンボルと前記読み出されたシンボルとを結合する手段と、
− 前記発信元によって以前に転送されたシンボルと、前記発信元によって以前に転送されていないシンボルとを結合することによって形成されるシンボルを前記中継局が転送したと考えて、前記結合されたシンボルを復号する手段と
を備えることを特徴とする、無線セルラー通信ネットワークにおいて宛先によって受信されるシンボルを復号するためのデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−55501(P2011−55501A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−196325(P2010−196325)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【Fターム(参考)】