無線タグ処理システム及びタグ情報整合プログラム
【課題】隣り合うアンテナの間隔が狭く、一方のアンテナで受信されるべき無線タグの情報を他方のアンテナで受信してしまった場合でも、自動的に修正できるようにする。
【解決手段】タグ情報整合装置は、読取期間の少なくとも一部が重複する第1の無線タグ読取処理装置で読取られたID情報と第2の無線タグ読取処理装置で読取られたID情報とを照合して重複するID情報を検索する。重複するID情報が検出されると、この重複ID情報に対して、第1の無線タグ読取処理装置で関連付けられたパラメータと第2の無線タグ読取処理装置で関連付けられたパラメータとから有効・無効を判定する。第1の無線タグ読取処理装置で読取られたID情報と第2の無線タグ読取処理装置で読取られたID情報とのなかから、無効と判定された重複ID情報を削除し、有効と判定された重複ID情報を残す。
【解決手段】タグ情報整合装置は、読取期間の少なくとも一部が重複する第1の無線タグ読取処理装置で読取られたID情報と第2の無線タグ読取処理装置で読取られたID情報とを照合して重複するID情報を検索する。重複するID情報が検出されると、この重複ID情報に対して、第1の無線タグ読取処理装置で関連付けられたパラメータと第2の無線タグ読取処理装置で関連付けられたパラメータとから有効・無効を判定する。第1の無線タグ読取処理装置で読取られたID情報と第2の無線タグ読取処理装置で読取られたID情報とのなかから、無効と判定された重複ID情報を削除し、有効と判定された重複ID情報を残す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線タグ読取処理装置と、各無線タグ読取処理装置で読取られた無線タグの情報を通信手段により受信して整合するタグ情報整合装置とからなる無線タグ処理システム、及びコンピュータを上記タグ情報整合装置として機能させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線タグを活用することにより、小売店での決済処理時間を短縮するための技術開発が盛んに行われている。
例えば特許文献1には、商品情報を発信する無線タグを各商品にそれぞれ取り付け、顧客がショッピングカートに入れた購入商品を精算装置のゲートまで運ぶだけで、その購入商品に対する代金の決済が処理される会計システムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記会計システムをスーパーマーケットやショッピングセンター等の大規模な小売店で導入する際には、店舗の会計場所に複数のゲートを設けて、同時に多くの客の会計を捌けるようにしないと効果的でない。しかも、設置スペースの関係から、できるだけ各ゲート間の間隔を詰めて設置することが望まれている。
【0004】
その一方で、ゲートには、無線タグから発信される商品情報を受信するためのアンテナが設けられている。このため、間隔を詰めて複数のゲートを設けた場合、ゲートを通過するカート内の無線タグから発信される電波が隣のゲートのアンテナまで届いてしまい、誤って隣のゲートを通過するカート内の商品情報を読取ってしまうおそれがある。このような誤読を防ぐためには、例えばゲートを電波吸収材で覆う方法が考えられるが、そうした場合にはゲートそのものが大型化するため、省スペースが求められる店舗利用には好ましくない。
【0005】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、隣り合うアンテナの間隔が狭く、一方のアンテナで受信されるべき無線タグの情報を他方のアンテナで受信してしまった場合でも自動的に修正できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、複数の無線タグ読取処理装置と、各無線タグ読取処理装置で読取られた無線タグの情報を通信手段により受信して整合するタグ情報整合装置とを備えた無線タグ処理システムを提供する。
各無線タグ読取処理装置は、無線タグと無線通信を行い、その無線タグ固有のID情報を受信するアンテナと、所定の読取期間内に前記アンテナで受信したID情報を、そのID情報の受信に係わるパラメータと関連付けて記憶するタグID読取手段とを備える。
【0007】
タグ情報整合装置は、読取期間の少なくとも一部が重複する第1の無線タグ読取処理装置と第2の無線タグ読取処理装置とに対し、第1の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶されたID情報と第2の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶されたID情報とを照合して重複するID情報を検索する照合手段と、この照合手段により重複するID情報が検出されると、この重複ID情報に対して、第1の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で関連付けられたパラメータと第2の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で関連付けられたパラメータとから有効・無効を判定する判定手段と、第1の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶されたID情報と第2の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶されたID情報とのなかから、判定手段により無効と判定された重複ID情報を削除し、有効と判定された重複ID情報を残す整合手段とを備える。
【発明の効果】
【0008】
かかる手段を講じた本発明によれば、隣り合うアンテナの間隔が狭く、一方のアンテナで受信されるべき無線タグの情報を他方のアンテナで受信してしまった場合でも自動的に修正することができ、誤読防止による信頼性の向上、及び隣り合うアンテナの間隔を狭めることによる省スペース化等の優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の各実施形態に係わる会計システムの概略図。
【図2】無線タグ読取処理装置の要部構成を示すブロック図。
【図3】無線タグ読取装置の要部構成を示すブロック図。
【図4】無線タグ読取装置が有するゲイン設定テーブルのデータ構造図。
【図5】ストアコンピュータの要部構成を示すブロック図。
【図6】ストアコンピュータが有するゲート管理テーブルと重複メモリとを示す図。
【図7】無線タグ読取処理装置で作成される読取結果情報のデータ構造図。
【図8】無線タグ読取処理装置のCPUが実行するメイン処理の手順を示す流れ図。
【図9】ストアコンピュータのCPUが実行する読取開始情報受信処理の手順を示す流れ図。
【図10】ストアコンピュータのCPUが実行する読取開始情報受信処理の手順を示す流れ図。
【図11】図10における重複判定処理の第1の実施形態の前半部を示す流れ図。
【図12】図10における重複判定処理の第1の実施形態の後半部を示す流れ図。
【図13】読取期間が重複する第1及び第2の無線タグ読取処理装置からそれぞれ送信される読取結果情報の一例を示す図。
【図14】図13に示す読取結果情報について重複判定処理を行った後の状態を示す図。
【図15】図10における重複判定処理の第2の実施形態の前半部を示す流れ図。
【図16】図10における重複判定処理の第2の実施形態の後半部を示す流れ図。
【図17】図10における重複判定処理の第3の実施形態の前半部を示す流れ図。
【図18】図10における重複判定処理の第3の実施形態の後半部を示す流れ図。
【図19】図10における重複判定処理の第4の実施形態の前半部を示す流れ図。
【図20】図10における重複判定処理の第4の実施形態の後半部を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の無線タグ処理システムを、スーパーマーケット等のような大規模小売店向けの会計システムに適用した一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における会計システムの概略図である。このシステムは、複数(図では3基)の会計用ゲート1A,1B,1C,…にそれぞれ設けられた複数の無線タグ読取処理装置2A,2B,2C,…と、各無線タグ読取処理装置2A,2B,2C,…をLAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク3を介して接続するストアコンピュータ4とを備えている。
【0012】
本実施形態では、店で販売される商品の1つ1つに無線タグを取り付け、各無線タグにそれぞれ設定されている固有のタグIDを、その無線タグが付された商品の商品IDとして設定している。そして、各商品の商品ID、すなわちタグIDに関連付けて、該IDで識別される無線タグが付された商品の商品名、価格等の商品情報を記憶した商品マスタファイル(図示せず)を、ストアコンピュータ4で記憶管理している。
【0013】
また、ストアコンピュータ4は、本発明に係わるタグ情報整合プログラムを実装しており、このプログラムを実行することにより、タグ情報整合装置として機能する。
【0014】
各会計用ゲート1A,1B,1C,…は、それぞれ買物客がショッピングカート5を押して通過できる間隔を開けて一対のゲート板を対峙させ、これらゲート板の上端を天板で連結した構造となっており、一方のゲート板に、無線タグ読取用のアンテナ6A,6B,6C,…と、タッチパネル付ディスプレイ7A,7B,7C,…と、自動決済装置8A,8B,8C,…とを取り付けている。
【0015】
アンテナ6A,6B,6C,…は、ゲート板間を通過するショッピングカート5に収容された商品、あるいは該カート5を押す買物客が所持する商品に取り付けられている無線タグと無線通信を行い、その無線タグからタグID、すなわち商品IDを受信する。なお、アンテナ6の取付部位は、ゲート板間を通過する無線タグからの電波を受信できる部位であればとくに限定されるものではなく、他方のゲート板や天板に取り付けてもよい。あるいは、2個以上のアンテナを両ゲート板や天板にそれぞれ取り付けてもよい。
【0016】
タッチパネル付ディスプレイ7A,7B,7C,…は、後述する精算案内画面、登録商品画面、決済画面、決済中止画面等を表示する。また、各画面に表示されるボタンの入力装置として機能する。
【0017】
自動決済装置8A,8B,8C,…は、現金またはクレジットカードによる商品代金の決済を処理する。現金決済の場合は、現金投入口から投入された金額と商品代金とから釣銭額を算出し、釣銭を釣銭払出口から払い出すとともに、レシートを印字発行する。クレジットカード決済の場合は、カードリーダで読取ったクレジットカードによる決済の認証をホストに問い合わせ、承認されるとクレジット伝票を印字発行する。
【0018】
各会計用ゲート1A,1B,1C,…に設けられたアンテナ6A,6B,6C,…、タッチパネル付ディスプレイ7A,7B,7C,…及び自動決済装置8A,8B,8C,…は、それぞれ同じ会計用ゲート1A,1B,1C,…に設けられた無線タグ読取処理装置2A,2B,2C,…と信号ケーブル9A,9B,9C,…を介して電気的に接続されている。
【0019】
図2は、無線タグ読取処理装置2A,2B,2C,…の要部構成を示すブロック図である。各無線タグ読取処理装置2A,2B,2C,…は同一構成なので、ここでは、無線タグ読取処理装置2Aを代表して説明する。
【0020】
無線タグ読取処理装置2Aは、制御部本体としてCPU(Central Processing Unit)11を備えている。そして、このCPU11に、アドレスバス,データバス等のバスライン12を介して、ROM(Read Only Memory)13及びRAM(Random Access Memory)14の記憶部と、現在日時を計時する時計部15と、ネットワークインターフェース16、タッチパネルインターフェース17及び第1,第2の外部装置インターフェース18,19のインターフェース部とを接続している。
【0021】
ネットワークインターフェース16は、前記通信ネットワーク3を介してストアコンピュータ4との間で行うデータ信号の送受信を制御する。タッチパネルインターフェース17は、前記タッチパネル付ディスプレイ7Aとの間で行うデータ信号の送受信を制御する。第1の外部装置インターフェース18は、後述する無線タグ読取装置20との間で行うデータ信号の送受信を制御する。第2の外部装置インターフェース19は、前記自動決済装置8Aとの間で行うデータ信号の送受信を制御する。
【0022】
かかる構成の無線タグ読取処理装置2Aは、自己が設けられている会計用ゲート1Aを識別するためのゲート番号と、その会計用ゲート1Aに取り付けられているアンテナ6Aを識別するためのアンテナ番号とを、ROM13又はRAM14の記憶部で記憶している。
【0023】
図3は、無線タグ読取装置20の要部構成を示すブロック図である。無線タグ読取装置20は、無線処理部21、メモリ部22、通信部23、PLL(Phase Lock1ed Loop)部24、送信部25及び受信部26を備えている。また、無線タグ読取装置20は、サーキュレータ等の方向性結合器27を介して前記アンテナ6Aを接続している。
【0024】
無線処理部21は、送信データを例えばPIE(Pulse Interval Encoding)符号によりデジタル符号化し、符号化された送信データを、送信部25に送出する。送信部25は、符号化された送信データをDAコンバータ31でアナログ信号に変換し、このアナログ信号を帯域フィルタ32で帯域制限した後、ミキサ33に供給する。ミキサ33には、PLL部24から出力される搬送波周波数と同じ周波数のローカル信号が入力されており、送信部25は、ミキサ33で、このローカル信号をアナログ信号により振幅変調する。さらに、送信部25は、この振幅変調された送信信号をパワーアンプ34で増幅した後、方向性結合器27を介してアンテナ6Aに送出し、電波として放射させる。
【0025】
一方、無線タグから放射された電波をアンテナ6Aが受信すると、アンテナ6Aから方向性結合器27を介して、電波信号が受信部26に入力される。受信部26は、電波信号をローノイズアンプ41で増幅した後、ミキサ42に供給する。ミキサ42には、PLL部24から出力される前記ローカル信号が入力されており、受信部26は、ミキサ42で、電波信号と前記ローカル信号とを混合して、受信信号を生成する。
【0026】
受信部26は、ミキサ42で生成された受信信号から、帯域フィルタ43により不要な周波数成分を除去する。その後、この受信信号を、可変利得増幅器44で増幅し、ADコンバータ45でデジタル信号に変換した後、無線処理部21に供給する。無線処理部21は、受信部26から供給された受信信号を無線タグの応答信号変調方式、例えばFM0変調といった変調方式に応じて、無線タグの応答データに復号する。複合された無線タグの応答データは、通信部23を介して外部インターフェース18に出力される。
【0027】
ここで、無線処理部21は、受信部26における可変利得増幅器44の自動利得制御を行う。すなわち無線処理部21は、受信信号の強度が所定の閾値より低いレベルにあるときには、DAコンバータ46の出力電圧を制御して、可変利得増幅器44の利得を高くする。逆に、受信信号の強度が所定の閾値より高いレベルにあるときには、DAコンバータ46の出力電圧を制御して、可変利得増幅器44の利得を低くする。
【0028】
具体的には、無線タグ読取装置20は、図4に示すデータ構造のゲイン設定テーブル50をメモリ部22で記憶している。ゲイン設定テーブル50には、受信信号の強度を16段階に区分した受信信号レベル(L1<L2<L3<…<L16)毎に、ゲイン設定値(16,15,14,……,1)と受信信号強度情報(1,2,3,…,16)とを記憶している。ゲイン設定値は、可変利得増幅器44のゲインを調整するためのDAコンバータ46の値である。この値が大きいほど、可変利得増幅器44の利得が高い。したがって、受信信号強度情報は、ゲイン設定値と反比例する値が設定されている。なお、強度レベルの段階数は、“16”に限定されないのは言うまでもない。
【0029】
無線処理部21は、受信信号の強度レベルに対応するゲイン設定値をゲイン設定テーブル50から読み出し、このゲイン設定値をDAコンバータ46に出力して、可変利得増幅器44の利得を調整する。また、無線処理部21は、ゲイン設定テーブル50から読み出したゲイン設定値と関連付けられている受信信号強度情報を取得し、受信信号から復号される無線タグからの応答データ、すなわち本実施形態では商品IDの受信信号強度情報とする。
【0030】
図5はストアコンピュータ4の要部構成を示すブロック図である。ストアコンピュータ4は、制御部本体としてCPU61を備えている。そして、このCPU61に、アドレスバス,データバス等のバスライン62を介して、ROM63及びRAM64の主記憶部と、補助記憶部としてのHDD(Hard Disk Drive)装置65と、ネットワークインターフェース66、キーボードインターフェース67及び表示インターフェース68のインターフェース部とを接続している。
【0031】
ネットワークインターフェース66は、前記通信ネットワーク3を介して各無線タグ読取処理装置2A,2B,2C,…との間で行うデータ信号の送受信を制御する。キーボードインターフェース67は、キーボード69との間で行うデータ信号の送受信を制御する。表示インターフェース68は、ディスプレイ70との間で行うデータ信号の送受信を制御する。
【0032】
かかる構成のストアコンピュータ4は、図6に示すように、各会計用ゲート1A,1B,1Cをそれぞれ識別するゲート番号に関連付けて、その会計用ゲートでの動作状態を示すステータスデータ(0:待機中、1:読取中、2:決済待ち)を保存するゲート管理テーブル81と、同時期に読取中の状態となった隣接する会計用ゲートのゲート番号を組み合わせたゲート番号組合せデータ(i,j)を逐次記憶する重複メモリ82とを、RAM64に形成している。
【0033】
なお、本実施形態では、店内に各会計用ゲート1A,1B,1Cが一方向に沿って一列に設けられており、一方の側から他方の側に向かって順番に“1,2,3,…”の連続番号がゲート番号として各会計用ゲート1A,1B,1Cにそれぞれ設定されている。また、各会計用ゲート1A,1B,1Cにそれぞれ設けられるアンテナ6A,6B,6Cのアンテナ番号も同様に、一方の側から他方の側に向かって順番に“1,2,3,…”の連続番号が設定されている。
【0034】
図8は、各無線タグ読取処理装置2A,2B,2C,…のCPU11が実行するメイン処理の手順を示す流れ図である。各無線タグ読取処理装置2A,2B,2C,…は同一構成なので、無線タグ読取処理装置2Aを代表して説明する。
【0035】
CPU11は、先ず、ST(ステップ)1として会計案内画面をタッチパネル付ディスプレイ7Aに表示させる。この画面は、ショッピングカート5を押して会計用ゲート1Aに近付いた買物客に買上商品の決済方法を知らせる画面である。画面には、商品読取開始ボタンが表示されている。
【0036】
CPU11は、ST2として上記商品読取開始ボタンがタッチ操作されるのを待機する。タッチパネルインターフェース17を介して入力されたタッチパネル信号により商品読取開始ボタンがタッチ操作されたことを検知すると(ST2のYES)、CPU11は、ST3として記憶部で記憶しているゲート番号を読み出し、このゲート番号を予め用意された読取開始情報に付してネットワークインターフェース16からストアコンピュータ4に送信する。
【0037】
また、CPU11は、ST4として無線タグ読取装置20に起動を指令する。この起動指令を受けた無線タグ読取装置20は、無線処理部21及び送信部25の作用により、アンテナ6Aから無線タグのID問合せ電波を放射させる。この電波を受信した無線タグは、自己のメモリで記憶しているID情報、つまりは商品IDを無線送信する。この商品IDの電波をアンテナ6Aで受信すると、無線タグ読取装置20は、受信部26及び無線処理部21の作用により商品IDを読取る。また、この商品IDを受信したときの受信信号強度情報を、ゲイン設定テーブル50から取得する。そして、通信部23を介して無線タグ読取処理装置2Aに商品IDと受信信号強度情報とを送出する。
【0038】
無線タグ読取処理装置2AのCPU11は、無線タグ読取装置20に起動を指令した後、ST5としてその無線タグ読取装置20で商品IDが読み取られるのを待機する。そして、無線タグ読取装置20で読み取られた商品IDを、外部装置インターフェース18を介して受信すると(ST5のYES)、ST6として図7に示すデータ構造の読取結果情報を作成し、RAM14に記憶する。
【0039】
図7において、データ項目「商品ID」91は、無線タグ読取装置20で読取られた商品IDである。データ項目「ゲート番号」92及び「アンテナ番号」93は、自己のROM13又はRAM14の記憶部で記憶しているゲート番号及びアンテナ番号である。データ項目「受信信号強度情報」94は、当該商品IDとともに無線タグ読取装置20から取得した受信信号強度情報である。データ項目「受信時刻」95は、当該商品IDを受信した時点の時計部15の時刻(時,分,秒,1秒/10)である。すなわち、データ項目「受信信号強度情報」94とデータ項目「受信時刻」95は、商品IDの受信に係わるパラメータである。
【0040】
無線タグ読取処理装置2AのCPU11は、ST7として商品IDの読取期間が終了したか否かを判断する。読取り期間が終了するまで、CPU11は、商品IDを受信する毎に、前記読取結果情報の作成と記憶を行う(タグID読取手段)。
【0041】
例えば、商品IDを受信しない時間が所定時間継続したならば、CPU11は読取期間が終了したと判定する(ST7のYES)。読取期間が終了すると、CPU11は、ST8としてストアコンピュータ4に、RAM14に記憶した全ての読取結果情報をゲート番号とともに送信する。
【0042】
ストアコンピュータ4に読取結果情報を送信すると、ストアコンピュータ4では、後述する読取結果情報受信処理が実行される。そして、この処理によりストアコンピュータ4から登録商品情報が返信されてくるので、CPU11は、ST9として登録商品情報を待機する。登録商品情報を受信すると(ST9のYES)、CPU11は、ST10としてこの登録商品情報を基に、登録商品画面を編集し、この画面をタッチパネル付ディスプレイ7Aに表示させる。
【0043】
この画面には、無線タグ読取処理装置2Aで読取られた商品IDに対応する商品名や価格等が、支払いの実行を宣言する支払いボタン及び支払いの中止を宣言する中止ボタンとともに表示されている。したがって、買物客は、登録商品画面の内容を確認し、その内容で会計する場合は支払いボタンを、会計しない場合は中止ボタンをタッチ操作する。
【0044】
CPU11は、ST11として支払いボタン及び中止ボタンのいずれか一方がタッチ操作されるのを待機する。タッチパネルインターフェース17を介して入力されたタッチパネル信号により中止ボタンがタッチ操作されたことを検知すると(ST11の「中止」)、CPU11は、ST12として決済中止処理を実行する。この決済中止処理は、登録商品情報を破棄する処理や、決済中止画面をタッチパネル付ディスプレイ7Aに表示させる処理を含む。
【0045】
これに対し、支払いボタンがタッチ操作されたことを検知した場合には(ST11の「支払い」)、CPU11は、ST13として自動決済装置8Aによる自動決済処理を実行する。この自動決済処理は、前述したように、現金またはクレジットカードによる商品代金の決済を処理する。また、決済完了画面をタッチパネル付ディスプレイ7Aに表示させる処理を含む。
決済中止処理または自動決済処理が終了すると、CPU11は、初期状態に戻り、次の買物客の会計を可能にする。
【0046】
図9は、ストアコンピュータ4のCPU61が実行する読取開始情報受信処理の手順を示す流れ図である。この処理は、例えばHDD装置65に記憶されたタグ情報整合プログラムをCPU61が読み込み実行することによって実現される。
【0047】
通信ネットワーク3を介して接続されたいずれかの無線タグ読取処理装置2N(N=A,B,C,…)から前記読取開始情報を受信すると、CPU61は、この処理を開始する。先ず、CPU61は、ST21として受信した読取開始情報から、当該情報に付加されているゲート番号n(n=1,2,3,…)を取得する。そして、ST22としてゲート管理テーブル81の当該ゲート番号nに関連付けられたステータスデータSnを、動作状態「待機中」を示す値“0”から動作状態「読取中」を示す値“1”に更新する。
【0048】
次に、CPU41は、ST23として当該ゲート番号nの1つ前のゲート番号(n−1)に関連付けられたステータスデータS(n-1)がゲート管理テーブル81に設定されているか否かを判定する。このステータスデータS(n-1)は、読取開始情報送信元の無線タグ読取処理装置2Nが設けられている会計用ゲート1Nに対し、一方の方向に隣接する会計用ゲート1(N-1)に設けられた無線タグ読取処理装置2(N-1)の状態を示す。したがって、読取開始情報送信元の無線タグ読取処理装置2Nが、一方の端に位置する無線タグ読取処理装置2Aの場合のみ判定結果が“NO”となり、その他の無線タグ読取処理装置2B,3C,…の場合は判定結果が“YES”となる。ST23にて判定結果が“NO”の場合には、ST27の処理に進む。
【0049】
ST23にて判定結果が“YES” の場合には、CPU61は、ST24としてそのゲート番号(n−1)に関連付けられたステータスデータS(n-1)を判別する。このステータスデータS(n-1)が動作状態「読取中」を示す値“1”であるとき、読取開始情報送信元の第1の無線タグ読取処理装置2Nと、一方の側に隣接する第2の無線タグ読取処理装置2(N-1)とは、無線タグ読取期間の少なくとも一部が重複する。この場合(ST25のYES)、CPU61は、ST26としてゲート番号nとゲート番号(n−1)とを組み合わせたゲート番号組合せデータ(n,n−1)を重複メモリ82に格納する。ステータスデータS(n-1)が動作状態「読取中」以外を示す値であるときには、ST26の処理は実行しない。しかる後、CPU61は、ST27の処理に進む。
【0050】
ST27では、CPU61は、当該ゲート番号nの1つ後のゲート番号(n+1)に関連付けられたステータスデータS(n+1)がゲート管理テーブル81に設定されているか否かを判定する。このステータスデータS(n+1)は、読取開始情報送信元の無線タグ読取処理装置2Nが設けられている会計用ゲート1Nに対し、他方の方向の隣接する会計用ゲート1(N+1)に設けられた無線タグ読取処理装置2(N+1)の状態を示す。したがって、読取開始情報送信元の無線タグ読取処理装置2Nが、一方の端の無線タグ読取処理装置2Aとは逆側の他方の端に位置する無線タグ読取処理装置の場合のみ判定結果が“NO”となり、その他の無線タグ読取処理装置の場合は判定結果が“YES”となる。ST27にて判定結果が“NO”の場合には、この処理は終了する。
【0051】
ST27にて判定結果が“YES” の場合には、CPU61は、ST28としてそのゲート番号(n+1)に関連付けられたステータスデータS(n+1)を判別する。このステータスデータS(n+1)が動作状態「読取中」を示す値“1”であるとき、読取開始情報送信元の第1の無線タグ読取処理装置2Nと、他方の側に隣接する第2の無線タグ読取処理装置2(N+1)とは、無線タグ読取期間の少なくとも一部が重複する。この場合(ST29のYES)、CPU61は、ST30としてゲート番号nとゲート番号(n+1)とを組み合わせたゲート番号組合せデータ(n,n+1)を重複メモリ82に格納する。ステータスデータS(n+1)が動作状態「読取中」以外を示す値であるときには、ST30の処理は実行しない。以上で、この処理は終了する。
【0052】
図10は、ストアコンピュータ4のCPU61が実行する読取結果情報受信処理の手順を示す流れ図である。この処理も、例えばHDD装置65に記憶されたタグ情報整合プログラムをCPU61が読み込み実行することによって実現される。
【0053】
通信ネットワーク3を介して接続されたいずれかの無線タグ読取処理装置2N(N=A,B,C,…)から読取結果情報を受信すると、CPU61は、この処理を開始する。先ず、CPU61は、ST31として受信した読取結果情報から、当該情報に付加されているゲート番号n(n=1,2,3,…)を取得する。次に、CPU61は、この取得したゲート番号nで重複メモリ82を検索する。そして、ST33としてこのゲート番号nと、その1つ前のゲート番号(n−1)との組合せデータ(n,n−1)が重複メモリ82に格納されているか否かを判断する。
【0054】
ゲート番号組合せデータ(n,n−1)が格納されている場合(ST33のYES)、CPU61は、ST34としてゲート管理テーブル81のゲート番号(n−1)に関連付けられたステータスデータSn-1が動作状態「決済待」を示す値“2”であるか否かを判断する。
【0055】
ステータスデータSn-1が動作状態「決済待」を示す値“2”でない場合(ST34のNO)、読取結果情報送信元の第1の無線タグ読取処理装置2Nに対して一方の側に隣接する第2の無線タグ読取処理装置2(N-1)では、無線タグ読取中の状態が継続している。この場合、CPU61は、ST35として無線タグ読取処理装置2Nから受信したゲート番号nの読取結果情報をHDD装置65で一時保存する。また、ST36としてゲート管理テーブル81のゲート番号nに関連付けられたステータスデータSnを動作状態「読取中」を示す値“1”から動作状態「決済待」を示す値“2”に更新する。以上で、今回の処理を終了する。
【0056】
ステータスデータSn-1が動作状態「決済待」を示す値“2”であった場合には(ST34のYES)、読取結果情報送信元の第1の無線タグ読取処理装置2Nに対して一方の側に隣接する第2の無線タグ読取処理装置2(N-1)では、無線タグ読取中の状態が終了している。この場合、CPU61は、ST37としてゲート番号組合せデータ(n,n−1)に対して後述する重複判定処理を実行する。
【0057】
この重複判定処理を終了すると、CPU61は、ST38として重複メモリ82を検索して、ゲート番号(n−1)を含む他のゲート番号組合せデータ(n−1、n−2)が存在するか否かを判断する。存在する場合(ST38のNO)、前記第2の無線タグ読取処理装置2(N-1)と、この第2の無線タグ読取処理装置2(N-1)に対してさらに一方の側に隣接する第3の無線タグ読取処理装置2(N-2)との間で読取期間の少なくとも一部が重複しており、この両者間において重複判定処理がまだ実行されていない。この場合、CPU61は、後述するST39〜ST42の処理を実行することなく、ST32の処理に戻る。
【0058】
重複メモリ82にゲート番号組合せデータ(n−1、n−2)が存在しない場合には(ST38のYES)、前記第2の無線タグ読取処理装置2(N-1)に対する重複判定処理は全て終了したので、CPU61は、ST39として、無線タグ読取処理装置2(N-1)から受信したゲート番号(n−1)の読取結果情報をHDD装置65から呼出す。そして、この読取結果情報の各商品IDで商品マスタファイルを検索して、各商品IDにそれぞれ対応して記憶されている商品名、価格等の商品情報を登録商品情報として取得する。こうして、登録商品情報を取得したならば、CPU61は、ST40としてゲート番号(n−1)の無線タグ読取処理装置2(N-1)にその登録商品情報を送信する。また、ST41としてゲート管理テーブル81のゲート番号(n−1)に関連付けられたステータスデータSn-1を動作状態「決済待」を示す値“2”から「待機中」を示す値“0”に更新する。さらに、ST42として重複メモリ82からゲート番号組合せデータ(n,n−1)を削除する。しかる後、CPU61は、ST32の処理に戻る。
【0059】
ST32にて重複メモリ82を検索した結果、ゲート番号組合せデータ(n,n−1)が格納されていない場合(ST33のNO)、CPU61は、ST43としてゲート番号nと、その1つ先のゲート番号(n+1)との組合せデータ(n,n+1)が格納されているか否かを判断する。格納されていない場合には(ST43のNO)、CPU61は、後述するST44〜ST50の処理を実行することなく、ST51の処理に進む。
【0060】
ST51では、CPU61は、無線タグ読取処理装置2Nから受信したゲート番号nの読取結果情報の各商品IDで商品マスタファイルを検索して、各商品IDにそれぞれ対応して記憶されている商品名、価格等の商品情報を登録商品情報として取得する。そしてCPU61は、ST52としてゲート番号nの無線タグ読取処理装置2Nにその登録商品情報を送信する。また、ST53としてゲート管理テーブル81のゲート番号nに関連付けられたステータスデータSnを「待機中」を示す値“0”に更新する。以上で、今回の読取結果情報受信処理を終了する。
【0061】
重複メモリ82にゲート番号組合せデータ(n、n+1)が格納されていた場合には(ST43のYES)、CPU61は、ST44としてゲート管理テーブル81のゲート番号(n+1)に関連付けられたステータスデータSn+1が動作状態「決済待」を示す値“2”であるか否かを判断する。
【0062】
ステータスデータSn+1が動作状態「決済待」を示す値“2”でない場合(ST44のNO)、読取結果情報送信元の第1の無線タグ読取処理装置2Nに対して他方の側に隣接する第2の無線タグ読取処理装置2(N+1)では、無線タグ読取中の状態が継続している。この場合、CPU61は、前記ST35の処理に進む。すなわち、無線タグ読取処理装置2Nから受信したゲート番号nの読取結果情報をHDD装置65で一時保存する。また、ゲート管理テーブル81のゲート番号nに関連付けられたステータスデータSnを動作状態「読取中」を示す値“1”から動作状態「決済待」を示す値“2”に更新する。以上で、今回の読取結果情報受信処理を終了する。
【0063】
ステータスデータSn+1が動作状態「決済待」を示す値“2”であった場合には(ST44のYES)、読取結果情報送信元の第2の無線タグ読取処理装置2Nに対して他方の側に隣接する第2の無線タグ読取処理装置2(N+1)では、無線タグ読取中の状態が終了している。この場合、CPU61は、ST45としてゲート番号組合せデータ(n,n+1)に対して後述する重複判定処理を実行する。
【0064】
この重複判定処理を終了すると、CPU61は、ST47として重複メモリ82を検索して、ゲート番号(n+1)を含む他のゲート番号組合せデータ(n+1、n+2)が存在するか否かを判断する。存在する場合(ST38のNO)、前記第2の無線タグ読取処理装置2(N+1)と、この第2の無線タグ読取処理装置2(N+1)に対してさらに他方の側に隣接する第3の無線タグ読取処理装置2(N+2)との間で読取期間の少なくとも一部が重複しており、この両者間において重複判定処理がまだ実行されていない。この場合、CPU61は、後述するST47〜ST50の処理を実行することなく、前記ST51の処理に進む。そして、ST51〜ST53の処理を実行して、今回の処理を終了する。
【0065】
重複メモリ82にゲート番号組合せデータ(n+1、n+2)が存在しない場合には(ST46のYES)、前記第2の無線タグ読取処理装置2(N+1)に対する重複判定処理は全て終了したので、CPU61は、ST47として、無線タグ読取処理装置2(N+1)から受信したゲート番号(n+1)の読取結果情報をHDD装置65から呼出す。そして、この読取結果情報の各商品IDで商品マスタファイルを検索して、各商品IDにそれぞれ対応して記憶されている商品名、価格等の商品情報を登録商品情報として取得する。こうして、登録商品情報を取得したならば、CPU61は、ST48としてゲート番号(n+1)の無線タグ読取処理装置2(N+1)にその登録商品情報を送信する。また、ST49としてゲート管理テーブル81のゲート番号(n+1)に関連付けられたステータスデータSn+1を動作状態「決済待」を示す値“2”から「待機中」を示す値“0”に更新する。さらに、ST50として重複メモリ82からゲート番号組合せデータ(n,n+1)を削除する。しかる後、CPU61は、ST51の処理に進む。そして、ST51〜ST53の処理を実行して、今回の処理を終了する。
【0066】
図11及び図12は、前記ST37またはST45の重複判定処理の手順を示す流れ図である。無線タグ読取処理装置2Nから読取結果情報を受信した際に、この無線タグ読取処理装置2Nと読取期間の少なくとも一部が重複していた隣接の無線タグ読取処理装置2(N-1)または2(N+1)が既に決済待ちの状態にあるとき、CPU61は、この重複判定処理を開始する。
【0067】
先ず、CPU61は、ST61としてHDD装置65で記憶しているゲート番号i(N)の読取結果情報の商品IDとゲート番号j(N−1またはN+1)の読取結果情報の商品IDとを照合して重複する商品IDを全て抽出する。そして、抽出した商品IDのリストを作成する(照合手段)。ここで、重複する商品IDが存在しない場合は(ST62のNO)、CPU61は、この重複判定処理を終了する。
【0068】
重複する商品IDが存在しており、その重複商品IDリストが作成された場合には(ST62のYES)、CPU61は、ST63としてゲート番号iの読取結果情報のうち重複商品IDの読取結果情報を除いた残りの読取結果情報から受信信号強度の平均値Msiを算出する。また、ST64としてゲート番号jの読取結果情報のうち重複商品IDの読取結果情報を除いた残りの読取結果情報から受信信号強度の平均値Msjを算出する。
【0069】
次に、CPU61は、ST65としてカウンタkを一旦“0”にリセットする。しかる後、CPU61は、ST66としてこのカウンタkを“1”だけカウントアップする。そして、ST67として重複商品IDリストからk番目(kはカウント値)の商品ID(k)を取得する。
【0070】
重複商品IDリストからk番目の商品ID(k)を取得すると(ST68のYES)、CPU61は、ST69としてゲート番号iの読取結果情報の中から商品ID(k)を含む読取結果情報の受信信号強度Sgiを取得する。また、ST70としてゲート番号jの読取結果情報の中から商品ID(k)を含む読取結果情報の受信信号強度Sgjを取得する。
【0071】
しかる後、CPU61は、ST71として受信信号平均強度Msiと受信信号強度Sgiとの差の絶対値diと、受信信号平均強度Msjと受信信号強度Sgjとの差の絶対値djとを算出する。そして、ST72として一方の絶対値diから他方の絶対値djを減じた値(di−dj)を調べる。その結果、値(di−dj)が正の場合、すなわち、受信信号平均強度Msiに対する受信信号強度Sgiの差diが、受信信号平均強度Msjに対する受信信号強度Sgjの差djより大きい場合、CPU61は、差が大きい方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、差が小さい方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST74としてゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0072】
これに対し、値(di−dj)が負の場合、すなわち、受信信号平均強度Msiに対する受信信号強度Sgiの差diが、受信信号平均強度Msjに対する受信信号強度Sgjの差djより小さい場合、CPU61は、差が大きい方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、差が小さい方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST75としてゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0073】
なお、値(di−dj)が“0”の場合、すなわち、受信信号平均強度Msiに対する受信信号強度Sgiの差diと、受信信号平均強度Msjに対する受信信号強度Sgjの差djとが等しい場合には、CPU61は、ST73として受信信号強度Sgiから受信信号強度Sgjを減じた値が負になるか否かを判断する。負になる場合、すなわち受信信号強度Sgiより受信信号強度Sgjの方が大きい場合には、受信信号強度の小さい方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、受信信号強度の大きい方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST74としてゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0074】
これに対し、受信信号強度Sgiから受信信号強度Sgjを減じた値が負にならない場合には、受信信号強度が等しいか小さい方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、受信信号強度が等しいか大きい方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST75としてゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0075】
ST74またはST75の処理を終了すると、CPU61は、ST66の処理に戻る。そして、カウンタkをさらに“1”だけカウントアップしたならば、ST67以降の処理を再度実行する。
【0076】
こうして、CPU61は、重複商品IDリストとして抽出した全ての商品IDについて、各商品IDの受信に係わるパラメータである受信信号強度の平均値と、重複商品IDに関連付けられた受信信号強度との差を求め、この差が小さい方の重複商品IDを有効と判定し、大きい方の重複商品IDを無効と判定する(判定手段)。そして、無効と判定された商品IDの読取結果情報を削除し、有効と判定された商品IDの読取結果情報を残す(整合手段)。かくして、ST68として重複商品IDリストからk番目の商品ID(k)を取得できなくなると、この重複判定処理を終了する。
【0077】
このような構成の会計システムが構築された小売店においては、買物客は、買上商品をショッピングカート5に収容する。そして、会計の際には空いている会計用ゲートに入り、タッチパネル付ディスプレイに表示された会計案内画面の商品読取開始ボタンをタッチ操作する。
【0078】
今、買物客が第1の会計用ゲート1Aに入り、タッチパネル付ディスプレイ7Aに表示された会計案内画面の商品読取開始ボタンをタッチ操作したとする。そうすると、この会計用ゲート1Aに設けられた無線タグ読取処理装置2Aからストアコンピュータ4に読取開始情報が送信される(ST1〜ST3)。これに応じて、ストアコンピュータ4では、ゲート管理テーブル81の会計用ゲート1Aに対するゲート番号“1”に対応したステータスデータS1が、動作状態「読取中」を示す“1”に更新される(ST21,ST22)。
【0079】
また、会計用ゲート1Aでは、無線タグ読取処理装置2Aの作用により無線タグ読取装置20が起動して、アンテナ6Aから無線タグのID問合せ電波が放射される(ST4)。この電波は、ショッピングカート5内に収容された商品に取り付けられた無線タグが受信する。電波を受信した無線タグは、自己のメモリで記憶しているID情報、つまりは商品IDを無線送信する。
【0080】
無線タグ読取装置20は、ID問合せ電波に応答した無線タグから商品IDを読取る毎に、可変利得増幅器44への利得設定情報からその商品IDに対する受信信号強度を求める。無線タグ読取処理装置2Aは、無線タグ読取装置20で商品IDが読取られる毎に、その商品IDに関連付けて、その商品IDの受信に係わるパラメータとして受信信号強度と受信時刻とを付加した読取結果情報を作成する(ST5,6)。
【0081】
ここで、別の買物客が隣接する第2の会計用ゲート1Bに入り、タッチパネル付ディスプレイ7Bに表示された会計案内画面の商品読取開始ボタンをタッチ操作したとする。そうすると、この会計用ゲート1Bに設けられた無線タグ読取処理装置2Bからストアコンピュータ4に読取開始情報が送信される(ST1〜ST3)。これに応じて、ストアコンピュータ4では、ゲート管理テーブル81の会計用ゲート1Bに対するゲート番号“2”に対応したステータスデータS2が、動作状態「読取中」を示す“1”に更新される(ST21,ST22)。また、このとき、会計用ゲート1Bに隣接する会計用ゲート1Aのゲート番号“1”に対応したステータスデータS1が“1”であるので、ゲート番号組合せデータ(1,2)が重複メモリ82に格納される(ST23〜ST26)。
【0082】
その後、先に、会計用ゲート1Aにおいて、無線タグの読取処理が終了すると、無線タグ読取処理装置2Aからストアコンピュータ4に、ゲート番号“1”とともに今回の読取結果情報が送信される(ST7〜ST8)。
【0083】
このとき、重複メモリ82には、会計用ゲート1Aに対するゲート番号“1”を含むゲート番号組合せデータ(1,2)が存在する。そして、相手方のゲート番号“2”に対応したステータスデータS2は、動作状態「読取中」を示す“1”のままである。したがって、無線タグ読取処理装置2Aから送信された読取結果情報は、HDD装置65で一時的に保存される(ST31〜ST35)。また、ステータスデータS1が動作状態「決済待」に更新される(ST36)。
【0084】
続いて、会計用ゲート1Bにおいて、無線タグの読取処理が終了すると、無線タグ読取処理装置2Bからストアコンピュータ4に、ゲート番号“2”とともに今回の読取結果情報が送信される(ST7〜ST8)。
【0085】
このとき、重複メモリ82には、会計用ゲート1Bに対するゲート番号“2”を含むゲート番号組合せデータ(1,2)が存在する。そして、相手方のゲート番号“1”に対応したステータスデータS1は、動作状態「決済待」を示す“2”に更新されている。したがって、ストアコンピュータ4では、ゲート番号組合せデータ(1,2)の重複判定処理が実行される(ST37)。
【0086】
ここで、無線タグ読取処理装置2Aから送信された読取結果情報を図13の符号101で示し、無線タグ読取処理装置2Bから送信された読取結果情報を符号102で示す。この場合、先ず、読取結果情報101と読取結果情報102との照合により、商品ID[123006]と商品ID[123067]が重複商品IDとして抽出される(ST61)。
【0087】
次に、読取結果情報101から重複商品ID[123006],[123067]以外の商品ID[123001],[123002],[123003],[123004],[123005]の受信信号強度情報“7”,“6”,“10”,“11”,“8”が取得される。そして、これら受信信号強度の平均値Ms1が次式の通り算出される(ST63)。
【0088】
Ms1=(7+6+10+11+8)/5=8.4
また、読取結果情報102から重複商品ID[123006],[123067]以外の商品ID[123008],[123009],[123010]の受信信号強度情報“8”,“9”,“7”が取得される。そして、これら受信信号強度の平均値Ms2が次式の通り算出される(ST64)。
【0089】
Ms2=(8+9+7)/3=8.0
次に、読取結果情報101から重複商品ID[123006]の受信信号強度Sg1=“3”が取得される(ST69)。同様に、読取結果情報102から重複商品ID[123006]の受信信号強度Sg2=“9”が取得される(ST70)。そして、この受信信号強度Sg1と受信信号平均強度Ms1との差の絶対値d1、及び、受信信号強度Sg2と受信信号平均強度Ms2との差の絶対値d2が次式の通り算出される(ST71)
d1=|8.4−3.0|=5.4
d2=|8.0−9.0|=1.0
次に、絶対値d1と絶対値d2とが比較される(ST72)。この場合は、絶対値d1の方が絶対値d2より大きい。すなわち、重複商品ID[123006]が読取られたときの受信信号強度は、会計用ゲート1Aで読取られたときよりも会計用ゲート1Bで読取られたときの方が平均強度に近い。したがって、会計用ゲート1Aの無線タグ読取装置20において読取られた商品ID[123006]は、隣接する会計用ゲート1Bに入ったショッピングカート内の商品に取り付けられた無線タグのIDであると推定することができる。この場合、ストアコンピュータ4では、読取結果情報101から商品ID[123006]のデータが削除される(ST74)。
【0090】
次に、読取結果情報101から重複商品ID[123007]の受信信号強度Sg1=6が取得される(ST69)。同様に、読取結果情報102から重複商品ID[123007]の受信信号強度Sg2=4が取得される(ST70)。そして、この受信信号強度Sg1と上記受信信号平均強度Ms1との差の絶対値d1、及び、受信信号強度Sg2と上記受信信号平均強度Ms2との差の絶対値d2が次式の通り算出される(ST71)。
【0091】
d1=|8.4−6.0|=2.4
d2=|8.0−4.0|=4.0
次に、絶対値d1と絶対値d2とが比較される(ST72)。この場合は、絶対値d2の方が絶対値d1より大きい。すなわち、重複商品ID[123007]が読取られたときの受信信号強度は、会計用ゲート1Bで読取られたときよりも会計用ゲート1Aで読取られたときの方が平均強度に近い。したがって、会計用ゲート1Bの無線タグ読取装置20において読取られた商品ID[123007]は、隣接する会計用ゲート1Aに入ったショッピングカート内の商品に付された無線タグのIDであると推定することができる。この場合、読取結果情報102から商品ID[123007]のデータが削除される(ST75)。
【0092】
以上のようなゲート番号組合せデータ(1,2)の重複判定処理により、読取結果情報101は図14の符号103で示す情報となり、読取結果情報102は図14の符号104で示す情報となる。
【0093】
上記重複判定処理が終了すると、ゲート番号“1”の重複有無が判定される(ST38)。この時点において、ゲート番号“1”は重複無しとなるので、読取結果情報103を基に登録商品情報が取得される(ST39)。そして、この登録商品情報が会計用ゲート1Aの無線タグ読取処理装置2Aに送信される(ST40)。無線タグ読取処理装置2Aでは、受信した登録商品情報を基にタッチパネル付ディスプレイ7Aに登録商品画面が表示される(ST10)。この画面を確認した買物客は、支払いボタンをタッチ操作し、自動決済装置8Aにて代金の決済を行う。
【0094】
一方、ストアコンピュータ4では、ゲート番号“2”についても重複有無が判定される。この場合、ゲート番号“2”も重複無しとなるので、読取結果情報104を基に登録商品情報が取得される(ST43、ST51)。そして、この登録商品情報が会計用ゲート1Bの無線タグ読取処理装置2Bに送信される(ST52)。無線タグ読取処理装置2Bでは、受信した登録商品情報を基にタッチパネル付ディスプレイ7Bに登録商品画面が表示される(ST10)。この画面を確認した買物客は、支払いボタンをタッチ操作し、自動決済装置8Bにて代金の決済を行う。
【0095】
一方、上記具体例において、先に、会計用ゲート1Bにおいて無線タグの読取処理が終了した場合には、無線タグ読取処理装置2Bから送信された読取結果情報102がHDD装置65で一時的に保存される(ST31〜ST35)。また、ゲート番号“2”に対応したステータスデータS2が動作状態「決済待」に更新される(ST36)。
【0096】
その後、会計用ゲート1Aにおいて無線タグの読取処理が終了すると、重複メモリ82には会計用ゲート1Aに対するゲート番号“1”を含むゲート番号組合せデータ(1,2)が存在し、相手方のゲート番号“2”に対応したステータスデータS2が既に動作状態「決済待」を示す“2”に更新されているので、ストアコンピュータ4では、ゲート番号組合せデータ(1,2)の重複判定処理が実行される(ST44)。この場合の処理結果は、先に会計用ゲート1Aでショッピングカート5内の無線タグがすべて読み取られた場合と同様である。
【0097】
上記重複判定処理が終了すると、ゲート番号“2”の重複有無が判定される(ST46)。この時点において、ゲート番号“2”は重複無しとなるので、読取結果情報104を基に登録商品情報が取得される(ST47)。そして、この登録商品情報が会計用ゲート1Bの無線タグ読取処理装置2Bに送信され(ST48)、タッチパネル付ディスプレイ7Bに登録商品画面が表示される(ST10)。この画面を確認した買物客は、支払いボタンをタッチ操作した後、自動決済装置8Bにて代金の決済を行う。
【0098】
続いて、ストアコンピュータ4では、読取結果情報103を基に登録商品情報が取得される(ST51)。そして、この登録商品情報が会計用ゲート1Aの無線タグ読取処理装置2Aに送信され(ST52)、タッチパネル付ディスプレイ7Aに登録商品画面が表示される(ST10)。この画面を確認した買物客は、支払いボタンをタッチ操作した後、自動決済装置8Aにて代金の決済を行う。
【0099】
このように、本実施形態によれば、隣り合う会計用ゲートにおいて、一方のゲートのアンテナで受信されるべき無線タグのID情報を他方のゲートのアンテナで重複して受信してしまった場合でも、双方のアンテナでの重複ID情報の受信に係わるパラメータ、すなわち受信号強度がそのアンテナでの受信信号強度平均値に近い方が有効と判定され、遠い方が無効と判定されて、各々の読取結果情報が自動的に修正される。
【0100】
したがって、隣り合う会計用ゲート間で一方のゲートにある無線タグのID情報を他方のゲートで読取ってしまうことがないように会計用ゲートの間隔を広げたり、会計用ゲートを電波吸収材で覆ったりする必要がないので、省スペース化を図ることができる。
【0101】
なお、本発明は、上記第1の実施形態そのものに限定されるものではない。例えば、会計用ゲート1A,1B,1C,…の構造、無線タグ読取処理装置2A,2B,2C,…及びストアコンピュータ4の構成等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施することができる。
【0102】
また、ストコンピュータ4が実行する重複判定処理は、受信信号強度平均値からの差を用いた図11〜図12に示す手順のものに限定されるものではない。以下では、重複判定処理が異なる他の実施形態について説明する。なお、重複判定処理以外は第1の実施形態と同一なので、図1〜図10については第1の実施形態と共通に使用し、その説明を省略する。
【0103】
(第2の実施形態)
この第2の実施形態は、ID情報の受信に係わるパラメータとして受信信号強度の標準偏差を用いて重複商品IDの有効、無効を判定する例である。
【0104】
図15及び図16は、第2の実施形態における重複判定処理の手順を示す流れ図である。無線タグ読取処理装置2Nから読取結果情報を受信した際に、この無線タグ読取処理装置2Nと読取期間の少なくとも一部が重複していた隣接の無線タグ読取処理装置2(N-1)または2(N+1)が既に決済待ちの状態にあるとき、CPU61は、この重複判定処理を開始する。
【0105】
先ず、CPU61は、ST81としてHDD装置65で記憶しているゲート番号i(N)の読取結果情報の商品IDとゲート番号j(N−1またはN+1)の読取結果情報の商品IDとを照合して重複する商品IDを全て抽出する。そして、抽出した商品IDのリストを作成する(照合手段)。ここで、重複する商品IDが存在しない場合は(ST82のNO)、CPU61は、この重複判定処理を終了する。
【0106】
重複する商品IDが存在しており、その重複商品IDリストが作成された場合には(ST82のYES)、CPU61は、ST83としてゲート番号iの読取結果情報のうち重複商品IDの読取結果情報を除いた残りの読取結果情報から受信信号強度の平均値Msiと標準偏差σiとを算出する。また、ST84としてゲート番号jの読取結果情報のうち重複商品IDの読取結果情報を除いた残りの読取結果情報から受信信号強度の平均値Msjと標準偏差σjとを算出する。
【0107】
次に、CPU61は、ST85としてカウンタkを一旦“0”にリセットする。しかる後、CPU61は、ST86としてこのカウンタkを“1”だけカウントアップする。そして、ST87として重複商品IDリストからk番目(kはカウント値)の商品ID(k)を取得する。
【0108】
重複商品IDリストからk番目の商品ID(k)を取得すると(ST88のYES)、CPU61は、ST89としてゲート番号iの読取結果情報の中から商品ID(k)を含む読取結果情報の受信信号強度Sgiを取得する。また、ST90としてゲート番号jの読取結果情報の中から商品ID(k)を含む読取結果情報の受信信号強度Sgjを取得する。
【0109】
しかる後、CPU61は、ST91として受信信号強度Sgi、受信信号平均強度Msi及び標準偏差σiから、下記演算式により、ゲート番号iの読取結果情報において、重複商品ID(k)に関連付けられた受信信号強度Sgiの偏差値Tiを算出する。
【0110】
Ti={10(Sgi−Msi)/σi}+50
また、受信信号強度Sgj、受信信号平均強度Msj及び標準偏差σjから、下記演算式により、ゲート番号jの読取結果情報において、重複商品ID(k)に関連付けられた受信信号強度Sgjの偏差値Tjを算出する。
【0111】
Tj={10(Sgj−Msj)/σj}+50
しかる後、CPU61は、ST92として一方の偏差値Tiから数値“50”を減算した値(Ti−50)の2乗から、他方の偏差値Tjから数値“50”を減算した値(Tj−50)の2乗を減算した値{(Ti−50)2−(Tj−50)2}を算出する。そして、この値{(Ti−50)2−(Tj−50)2}が正の場合、すなわち、偏差値Tjが偏差値Tiよりも50に近い場合には、CPU61は、偏差値が50から遠い方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、偏差値が50に近い方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST94としてゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0112】
これに対し、値{(Ti−50)2−(Tj−50)2}が負の場合、すなわち、偏差値Tiが偏差値Tjよりも50に近い場合には、CPU61は、偏差値が50から遠い方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、偏差値が50に近い方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST95としてゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0113】
なお、値{(Ti−50)2−(Tj−50)2}が“0”の場合、すなわち、偏差値Tiと偏差値Tjとが等しい場合には、CPU61は、ST93として受信信号強度Sgiから受信信号強度Sgjを減じた値が負になるか否かを判断する。負になる場合、すなわち受信信号強度Sgiより受信信号強度Sgjの方が大きい場合には、受信信号強度の小さい方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、受信信号強度の大きい方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST94としてゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0114】
これに対し、受信信号強度Sgiから受信信号強度Sgjを減じた値が負にならない場合には、受信信号強度が等しいか小さい方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、受信信号強度が等しいか大きい方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST95としてゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0115】
ST94またはST95の処理を終了すると、CPU61は、ST86の処理に戻る。そして、カウンタkをさらに“1”だけカウントアップしたならば、ST87以降の処理を再度実行する。
【0116】
こうして、CPU61は、重複商品IDリストとして抽出した全ての商品IDについて、そのID情報の受信に係わるパラメータである受信信号強度の標準偏差を求め、この標準偏差から重複商品IDに関連付けられた受信信号強度の偏差値をさらに求め、この偏差値が50に近い方の重複ID情報を有効と判定し、遠い方の重複ID情報を無効と判定する(判定手段)。そして、無効と判定された商品IDの読取結果情報を削除し、有効と判定された商品IDの読取結果情報を残す(整合手段)。かくして、ST88として重複商品IDリストからk番目の商品ID(k)を取得できなくなると、この重複判定処理を終了する。
【0117】
第1の無線タグ読取処理装置2Aからストアコンピュータ4に送信された読取結果情報101と、この第1の無線タグ読取処理装置2Aと読取期間の少なくとも一部が重複する第2の無線タグ読取処理装置2Bからストアコンピュータ4に送信された読取結果情報102の一例を図13に示す。
【0118】
この具体例に対して、第2の実施形態の重複判定処理が実行されると、先ず、無線タグ読取処理装置2Aからの読取結果情報101と、無線タグ読取処理装置2Bからの読取結果情報102との照合により、商品ID[123006]と商品ID[123067]が重複商品IDとして抽出される(ST81)。
【0119】
次に、読取結果情報101から重複商品ID[123006],[123067]以外の商品IDの受信信号平均強度Ms1と標準偏差σ1とが次の如く算出される(ST83)。
【0120】
Ms1=8.4
σ1≒4.15
また、読取結果情報102から重複商品ID[123006],[123067]以外の商品IDの受信信号平均強度Ms2と標準偏差σ1が次の如く算出される(ST84)。
【0121】
Ms2=8.0
σ2=2
次に、読取結果情報101から重複商品ID[123006]の受信信号強度Sg1=3.0が取得される(ST89)。同様に、読取結果情報102から重複商品ID[123006]の受信信号強度Sg2=9.0が取得される(ST90)。そして、偏差値T1及び偏差値T2が次の如く算出される(ST91)
T1≒{10(3.0−8.4)/4.15}+50=37.0
T2={10(9.0−8.0)/2}+50=55.0
したがって、偏差値T2の方が偏差値T1よりも50に近いので、会計用ゲート1Aの無線タグ読取装置20において読取られた商品ID[123006]は、隣接する会計用ゲート1Bに入ったショッピングカート内の商品に付された無線タグのIDであると推定することができる。この場合、ストアコンピュータ4では、読取結果情報101から商品ID[123006]のデータが削除される(ST94)。
【0122】
次に、読取結果情報101から重複商品ID[123007]の受信信号強度Sg1=6.0が取得される(ST89)。同様に、読取結果情報102から重複商品ID[123007]の受信信号強度Sg2=4.0が取得される(ST90)。そして、偏差値T1及び偏差値T2が次の如く算出される(ST91)
T1≒{10(6.0−8.4)/4.15}+50=44.2
T2={10(4.0−8.0)/2}+50=30.0
したがって、偏差値T1の方が偏差値T2よりも50に近いので、会計用ゲート1Bの無線タグ読取装置20において読取られた商品ID[123007]は、隣接する会計用ゲート1Aに入ったショッピングカート内の商品に付された無線タグのIDであると推定することができる。この場合、ストアコンピュータ4では、読取結果情報102から商品ID[123007]のデータが削除される(ST95)。
【0123】
以上のようなゲート番号組合せデータ(1,2)の重複判定処理により、図14示すように、読取結果情報101は情報103となり、読取結果情報102は情報104となる。すなわち、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様な作用効果を奏し得る。
【0124】
(第3の実施形態)
この第3の実施形態は、ID情報の受信に係わるパラメータとして受信時刻を用いて重複商品IDの有効、無効を判定する例である。
【0125】
図17及び図18は、第3の実施形態における重複判定処理の手順を示す流れ図である。無線タグ読取処理装置2Nから読取結果情報を受信した際に、この無線タグ読取処理装置2Nと読取期間の少なくとも一部が重複していた隣接の無線タグ読取処理装置2(N-1)または2(N+1)が既に決済待ちの状態にあるとき、CPU61は、この重複判定処理を開始する。
【0126】
先ず、CPU61は、ST101としてHDD装置65で記憶しているゲート番号i(N)の読取結果情報の商品IDとゲート番号j(N−1またはN+1)の読取結果情報の商品IDとを照合して重複する商品IDを全て抽出する。そして、抽出した商品IDのリストを作成する(照合手段)。ここで、重複する商品IDが存在しない場合は(ST102のNO)、CPU61は、この重複判定処理を終了する。
【0127】
重複する商品IDが存在しており、その重複商品IDリストが作成された場合には(ST102のYES)、CPU61は、ST103としてゲート番号i及びjの両読取結果情報のうち重複商品IDの読取結果情報を除いた残りの読取結果情報の中から、最も早い受信時刻を基準時刻T0として検出する。そして、ST104としてゲート番号iの読取結果情報のうち重複商品IDの読取結果情報を除いた残りの読取結果情報毎に、基準時刻T0から自己の受信時刻までの時間差を求め、その平均時間Mtiを算出する。また、ST105としてゲート番号jの読取結果情報のうち重複商品IDの読取結果情報を除いた残りの読取結果情報毎に、基準時刻T0から自己の受信時刻までの時間差を求め、その平均時間Mtjを算出する。
【0128】
次に、CPU61は、ST106としてカウンタkを一旦“0”にリセットする。しかる後、CPU61は、ST107としてこのカウンタkを“1”だけカウントアップする。そして、ST108として重複商品IDリストからk番目(kはカウント値)の商品ID(k)を取得する。
【0129】
重複商品IDリストからk番目の商品ID(k)を取得すると(ST109のYES)、CPU61は、ST110としてゲート番号iの読取結果情報の中から商品ID(k)を含む読取結果情報の受信時刻Tiを取得し、基準時刻T0から受信時刻Tiまでの時間差Tgiを算出する。また、ST111としてゲート番号jの読取結果情報の中から商品ID(k)を含む読取結果情報の受信時刻Tjを取得し、基準時刻T0から受信時刻Tjまでの時間差Tgjを算出する。
【0130】
しかる後、CPU61は、ST112として受信平均時間Mtiと時間差Tgiとの差の絶対値diと、受信平均時間Mtjと時間差Tgjとの差の絶対値djとを算出する。そして、ST113として一方の絶対値diから他方の絶対値djを減じた値(di−dj)を算出する。この値(di−dj)が正の場合、すなわち、受信平均時間Mtiに対する時間差Tgiの差diが、受信平均時間Mtjに対する時間差Tgjの差djより大きい場合、CPU61は、差が大きい方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、差が小さい方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST115としてゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0131】
これに対し、値(di−dj)が負の場合、すなわち、受信平均時間Mtiに対する時間差Tgiの差diが、受信平均時間Mtjに対する時間差Tgjの差djより小さい場合、CPU61は、差が大きい方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、差が小さい方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST116としてゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0132】
なお、値(di−dj)が“0”の場合、すなわち、受信平均時間Mtiに対する時間差Tgiの差diと、受信平均時間Mtjに対する時間差Tgjの差djとが等しい場合には、CPU61は、ST114として時間差Tgiから時間差Tgjを減じた値が正になるか否かを判断する。正になる場合、すなわち時間差Tgiより時間差Tgjの方が小さい場合には、時間差の小さい方(基準時刻T0に対して先に受信した方)、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を有効とし、時間差の大きい方(基準時刻T0に対して後から受信した方)、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を無効と判定する。そして、ST115としてゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0133】
これに対し、時間差Tgiと時間差Tgjとが等しい、あるいは時間差Tgiより時間差Tgjの方が大きい場合には、ゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、ゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST116としてゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0134】
ST115またはST116の処理を終了すると、CPU61は、ST107の処理に戻る。そして、カウンタkをさらに“1”だけカウントアップしたならば、ST108以降の処理を再度実行する。
【0135】
こうして、CPU61は、重複商品IDリストとして抽出した全ての商品IDについて、各商品IDの受信に係わるパラメータである受信時刻の平均値と、重複商品IDに関連付けられた受信時刻との差を求め、この差が小さい方の重複商品IDを有効と判定し、大きい方の重複商品IDを無効と判定する(判定手段)。そして、無効と判定された商品IDの読取結果情報を削除し、有効と判定された商品IDの読取結果情報を残す(整合手段)。かくして、ST109として重複商品IDリストからk番目の商品ID(k)を取得できなくなると、この重複判定処理を終了する。
【0136】
第1の無線タグ読取処理装置2Aからストアコンピュータ4に送信された読取結果情報101と、この第1の無線タグ読取処理装置2Aと読取期間の少なくとも一部が重複する第2の無線タグ読取処理装置2Bからストアコンピュータ4に送信された読取結果情報102の一例を図13に示す。
【0137】
この場合において、重複判定処理が実行されると、先ず、無線タグ読取処理装置2Aからの読取結果情報101と、無線タグ読取処理装置2Bからの読取結果情報102との照合により、商品ID[123006]と商品ID[123067]が重複商品IDとして抽出される(ST101)。
【0138】
次に、読取結果情報101と読取結果情報102との中から重複商品ID[123006],[123067]以外の商品IDの受信時刻で最も早い時刻[13:18:30,5]が基準時刻T0として取得される(ST103)。
【0139】
次に、読取結果情報101から重複商品ID[123006],[123067]以外の商品IDの受信時刻について、上記基準時刻T0からの時間差がそれぞれ算出され、さらにその平均時間が次の通り算出される(ST104)。
【0140】
Mt1=(0.0+0.0+0.1+0.1+0.1)/5=0.06
また、読取結果情報102から重複商品ID[123006],[123067]以外の商品IDの受信時刻について、上記基準時刻T0からの時間差がそれぞれ算出され、さらにその平均時間が次の通り算出される(ST105)。
【0141】
Mt2=(0.5+0.5+0.6)/3=0.53
次に、読取結果情報101から重複商品ID[123006]の受信時刻[13:18:30,7]が取得され、基準時刻T0から受信時刻[13:18:30,7]までの時間差Tg1が次の通り算出される(ST110)。
【0142】
Tg1=[13:18:30,7]−[13:18:30,5]=0.2
同様に、読取結果情報102から重複商品ID[123006]の受信時刻[13:18:30,9]が取得され、基準時刻T0から受信時刻[13:18:30,9]までの時間差Tg2が次の通り算出される(ST111)
Tg2=[13:18:30,9]−[13:18:30,5]=0.4
そして、この時間差Tg1と受信平均時間Mt1との差の絶対値d1、及び、時間差Tg2と受信平均時間Mt2との差の絶対値d2が次の通り算出される(ST112)
d1=|0.06−0.2|=0.14
d2=|0.53−0.5|=0.13
次に、絶対値d1と絶対値d2とが比較される(ST113)。この例では、絶対値d1の方が絶対値d2より大きい。したがって、会計用ゲート1Aの無線タグ読取装置20において読取られた商品ID[123006]は、隣接する会計用ゲート1Bに入ったショッピングカート内の商品に付された無線タグのIDであると推定することができる。この場合、ストアコンピュータ4では、読取結果情報101から商品ID[123006]のデータが削除される(ST115)。
【0143】
次に、読取結果情報101から重複商品ID[123007]の受信時刻[13:18:30,7]が取得され、基準時刻T0から受信時刻[13:18:30,7]までの時間差Tg1が次の通り算出される(ST110)。
【0144】
Tg1=[13:18:30,7]−[13:18:30,5]=0.2
同様に、読取結果情報102から重複商品ID[123007]の受信時刻[13:18:30,8]が取得され、さらに、基準時刻T0から受信時刻[13:18:30,8]までの時間差Tg2が次の通り算出される(ST111)
Tg2=[13:18:30,8]−[13:18:30,5]=0.3
そして、この時間差Tg1と受信平均時間Mt1との差の絶対値d1、及び、時間差Tg2と受信平均時間Mt2との差の絶対値d2が次の通り算出される(ST112)
d1=|0.06−0.2|=0.14
d2=|0.53−0.3|=0.23
次に、絶対値d1と絶対値d2とが比較される(ST113)。この場合、絶対値d2の方が絶対値d1より大きい。したがって、会計用ゲート1Bの無線タグ読取装置20において読取られた商品ID[123007]は、隣接する会計用ゲート1Aに入ったショッピングカート内の商品に付された無線タグのIDであると推定することができる。この場合、読取結果情報102から商品ID[123007]のデータが削除される(ST116)。
【0145】
以上のようなゲート番号組合せデータ(1,2)の重複判定処理により、図14示すように、読取結果情報101は情報103となり、読取結果情報102は情報104となる。すなわち、第3の実施形態においても、第1及び第2の実施形態と同様な作用効果を奏し得る。
【0146】
(第4の実施形態)
この第4の実施形態は、ID情報の受信に係わるパラメータとして受信信号強度と受信時刻とを用いて重複商品IDの有効、無効を判定する例である。
【0147】
この判定方法は、1つのショッピングカート5に収容された各商品にそれぞれ付されている無線タグから1つの会計用ゲートのアンテナまでの距離はおおよそ等しいので、無線タグが返す信号の強度も同じような傾向を示すだろうという考察(第1、第2の実施形態)と、1つのショッピングカート5に収容された各商品にそれぞれ付されている無線タグが1つの会計用ゲートのアンテナからの電波を受信して起動し始める時刻はおおよそ等しいので、無線タグが信号を返す時刻も同じような傾向を示すだろうという考察(第3の実施形態)との組み合わせに基づいている。
【0148】
図19及び図20は、第4の実施形態における重複判定処理の手順を示す流れ図である。無線タグ読取処理装置2Nから読取結果情報を受信した際に、この無線タグ読取処理装置2Nと読取期間の少なくとも一部が重複していた隣接の無線タグ読取処理装置2(N-1)または2(N+1)が既に決済待ちの状態にあるとき、CPU61は、この重複判定処理を開始する。
【0149】
先ず、CPU61は、ST121としてHDD装置65で記憶しているゲート番号i(N)の読取結果情報の商品IDとゲート番号j(N−1またはN+1)の読取結果情報の商品IDとを照合して重複する商品IDを全て抽出する。そして、抽出した商品IDのリストを作成する(照合手段)。ここで、重複する商品IDが存在しない場合は(ST122のNO)、CPU61は、この重複判定処理を終了する。
【0150】
重複する商品IDが存在しており、その重複商品IDリストが作成された場合には(ST122のYES)、CPU61は、ST123としてゲート番号iの読取結果情報のうち重複商品IDの読取結果情報を除いた残りの読取結果情報から受信信号強度の平均値Msiと基準時刻T0からの平均時間差Mtiを算出し、これら受信信号強度平均値Msiと平均時間差Mtiとを組にしたタググループ特徴ベクトル(Msi,Mti)を作成する。また、ST124としてゲート番号jの読取結果情報のうち重複商品IDの読取結果情報を除いた残りの読取結果情報から受信信号強度の平均値Msjと基準時刻T0からの平均時間差Mtjを算出し、これら受信信号強度平均値Msjと平均時間差Mtjとを組にしたタググループ特徴ベクトル(Msj,Mtj)を作成する。
【0151】
ここで、受信信号強度平均値Msi,Msjは、第1の実施形態のST63及びST64の処理ステップと同様にして算出し、平均時間差Mti,Mtjは、第3の実施形態のST103〜ST105の処理ステップと同様にして算出する。
【0152】
次に、CPU61は、ST125としてカウンタkを一旦“0”にリセットする。しかる後、CPU61は、ST126としてこのカウンタkを“1”だけカウントアップする。そして、ST127として重複商品IDリストからk番目(kはカウント値)の商品ID(k)を取得する。
【0153】
重複商品IDリストからk番目の商品ID(k)を取得すると(ST128のYES)、CPU61は、ST129としてゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報の受信信号強度Sgiと受信時刻Tiを取得し、基準時刻T0から受信時刻Tiまでの時間差Tgiを算出する。そして、受信信号強度Sgiとの時間差Tgiと組にした重複商品ID特徴ベクトル(Sgi,Tgi)を作成する。
【0154】
また、ST130としてゲート番号jの読取結果情報の中から商品ID(k)を含む読取結果情報の受信信号強度Sgjと受信時刻Tjを取得し、基準時刻T0から受信時刻Tjまでの時間差Tgjを算出する。そして、受信信号強度Sgjとの時間差Tgjと組にした重複商品ID特徴ベクトル(Sgj,Tgj)を作成する。
【0155】
次に、CPU61は、ST131としてタググループ特徴ベクトル(Msi,Mti)と重複商品ID特徴ベクトル(Sgi,Tgi)との内積を用いて、両ベクトル間の近さ(類似度)Diを求める。同様に、タググループ特徴ベクトル(Msj,Mtj)と重複商品ID特徴ベクトル(Sgj,Tgj)との内積を用いて、両ベクトル間の近さ(類似度)Djを求める。すなわち、下記演算式により、値Di,Djを求める。
【0156】
Di=Msi・Sgi+Mti・Tgi
Dj=Msj・Sgj+Mtj・Tgj
次に、CPU61は、ST132として一方の値Diから他方の値Djを減じた値(Di−Dj)を調べる。その結果、値(Di−Dj)が正の場合、すなわち、重複商品ID特徴ベクトル(Sgi,Tgi)よりも重複商品ID特徴ベクトル(Sgj,Tgj)の方がタググループ特徴ベクトル(Msi,Mti)に近い場合、CPU61は、遠い方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、近い方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST134としてゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0157】
これに対し、値(Di−Dj)が負の場合、すなわち、重複商品ID特徴ベクトル(Sgj,Tgj)よりも重複商品ID特徴ベクトル(Sgi,Tgi)の方がタググループ特徴ベクトル(Msi,Mti)に近い場合、CPU61は、遠い方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、近い方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST135としてゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0158】
なお、値(Di−Dj)が“0”の場合、すなわち、重複商品ID特徴ベクトル(Sgi,Tgi)とタググループ特徴ベクトル(Msi,Mti)とのベクトル間距離と、重複商品ID特徴ベクトル(Sgj,Tgj)とタググループ特徴ベクトル(Msi,Mti)とのベクトル間距離とが等しい場合には、CPU61は、ST133として受信信号強度Sgiから受信信号強度Sgjを減じた値が負になるか否かを判断する。負になる場合、すなわち受信信号強度Sgiより受信信号強度Sgjの方が大きい場合には、受信信号強度の小さい方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、受信信号強度の大きい方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST134としてゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0159】
これに対し、受信信号強度Sgiから受信信号強度Sgjを減じた値が負にならない場合には、ゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、ゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST135としてゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0160】
ST134またはST135の処理を終了すると、CPU61は、ST126の処理に戻る。そして、カウンタkをさらに“1”だけカウントアップしたならば、ST127以降の処理を再度実行する。
【0161】
このような構成の第4の実施形態においても、第1乃至第3の実施形態と同様な作用効果を奏することができる。
【0162】
なお、この第4の実施形態では、両ベクトル間の近さを、内積を用いた「類似度」を使って判定したが、次式のように定義された「距離」を用いて判定してもよい。
【0163】
Di=sqrt[(Msi−Sgi)2+(Mti−Tgi)2]
Dj=sqrt[(Msj−Sgj)2+(Mtj−Tgj)2]
また、各実施形態ではストアコンピュータ4の内部に発明を実施するタグ情報整合プログラムが予め記録されている場合で説明をしたが、これに限らず同様のプログラムをネットワークから装置にダウンロードしても良いし、同様の機能を記録媒体に記憶させたものを装置にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROM等プログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であっても良い。またこのように予めインストールやダウンロードにより得る機能は装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0164】
また、本発明に係わる無線タグ処理システムの適用は、会計システムに限定されるものではなく、複数の無線タグ読取処理装置を近接して配置する必要がある無線タグ処理システム全般に適用できるものである。
【符号の説明】
【0165】
1A,1B,1C…会計用ゲート、2A,2B,2C…無線タグ読取処理装置、4…ストアコンピュータ(タグ情報整合装置)、6A,6B,6C…無線タグ読取用アンテナ、7A,7B,7C…タッチパネル付ディスプレイ、8A,8B,8C…自動決済装置、20…無線タグ読取装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0166】
【特許文献1】特開平11−120438号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線タグ読取処理装置と、各無線タグ読取処理装置で読取られた無線タグの情報を通信手段により受信して整合するタグ情報整合装置とからなる無線タグ処理システム、及びコンピュータを上記タグ情報整合装置として機能させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線タグを活用することにより、小売店での決済処理時間を短縮するための技術開発が盛んに行われている。
例えば特許文献1には、商品情報を発信する無線タグを各商品にそれぞれ取り付け、顧客がショッピングカートに入れた購入商品を精算装置のゲートまで運ぶだけで、その購入商品に対する代金の決済が処理される会計システムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記会計システムをスーパーマーケットやショッピングセンター等の大規模な小売店で導入する際には、店舗の会計場所に複数のゲートを設けて、同時に多くの客の会計を捌けるようにしないと効果的でない。しかも、設置スペースの関係から、できるだけ各ゲート間の間隔を詰めて設置することが望まれている。
【0004】
その一方で、ゲートには、無線タグから発信される商品情報を受信するためのアンテナが設けられている。このため、間隔を詰めて複数のゲートを設けた場合、ゲートを通過するカート内の無線タグから発信される電波が隣のゲートのアンテナまで届いてしまい、誤って隣のゲートを通過するカート内の商品情報を読取ってしまうおそれがある。このような誤読を防ぐためには、例えばゲートを電波吸収材で覆う方法が考えられるが、そうした場合にはゲートそのものが大型化するため、省スペースが求められる店舗利用には好ましくない。
【0005】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、隣り合うアンテナの間隔が狭く、一方のアンテナで受信されるべき無線タグの情報を他方のアンテナで受信してしまった場合でも自動的に修正できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、複数の無線タグ読取処理装置と、各無線タグ読取処理装置で読取られた無線タグの情報を通信手段により受信して整合するタグ情報整合装置とを備えた無線タグ処理システムを提供する。
各無線タグ読取処理装置は、無線タグと無線通信を行い、その無線タグ固有のID情報を受信するアンテナと、所定の読取期間内に前記アンテナで受信したID情報を、そのID情報の受信に係わるパラメータと関連付けて記憶するタグID読取手段とを備える。
【0007】
タグ情報整合装置は、読取期間の少なくとも一部が重複する第1の無線タグ読取処理装置と第2の無線タグ読取処理装置とに対し、第1の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶されたID情報と第2の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶されたID情報とを照合して重複するID情報を検索する照合手段と、この照合手段により重複するID情報が検出されると、この重複ID情報に対して、第1の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で関連付けられたパラメータと第2の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で関連付けられたパラメータとから有効・無効を判定する判定手段と、第1の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶されたID情報と第2の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶されたID情報とのなかから、判定手段により無効と判定された重複ID情報を削除し、有効と判定された重複ID情報を残す整合手段とを備える。
【発明の効果】
【0008】
かかる手段を講じた本発明によれば、隣り合うアンテナの間隔が狭く、一方のアンテナで受信されるべき無線タグの情報を他方のアンテナで受信してしまった場合でも自動的に修正することができ、誤読防止による信頼性の向上、及び隣り合うアンテナの間隔を狭めることによる省スペース化等の優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の各実施形態に係わる会計システムの概略図。
【図2】無線タグ読取処理装置の要部構成を示すブロック図。
【図3】無線タグ読取装置の要部構成を示すブロック図。
【図4】無線タグ読取装置が有するゲイン設定テーブルのデータ構造図。
【図5】ストアコンピュータの要部構成を示すブロック図。
【図6】ストアコンピュータが有するゲート管理テーブルと重複メモリとを示す図。
【図7】無線タグ読取処理装置で作成される読取結果情報のデータ構造図。
【図8】無線タグ読取処理装置のCPUが実行するメイン処理の手順を示す流れ図。
【図9】ストアコンピュータのCPUが実行する読取開始情報受信処理の手順を示す流れ図。
【図10】ストアコンピュータのCPUが実行する読取開始情報受信処理の手順を示す流れ図。
【図11】図10における重複判定処理の第1の実施形態の前半部を示す流れ図。
【図12】図10における重複判定処理の第1の実施形態の後半部を示す流れ図。
【図13】読取期間が重複する第1及び第2の無線タグ読取処理装置からそれぞれ送信される読取結果情報の一例を示す図。
【図14】図13に示す読取結果情報について重複判定処理を行った後の状態を示す図。
【図15】図10における重複判定処理の第2の実施形態の前半部を示す流れ図。
【図16】図10における重複判定処理の第2の実施形態の後半部を示す流れ図。
【図17】図10における重複判定処理の第3の実施形態の前半部を示す流れ図。
【図18】図10における重複判定処理の第3の実施形態の後半部を示す流れ図。
【図19】図10における重複判定処理の第4の実施形態の前半部を示す流れ図。
【図20】図10における重複判定処理の第4の実施形態の後半部を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の無線タグ処理システムを、スーパーマーケット等のような大規模小売店向けの会計システムに適用した一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における会計システムの概略図である。このシステムは、複数(図では3基)の会計用ゲート1A,1B,1C,…にそれぞれ設けられた複数の無線タグ読取処理装置2A,2B,2C,…と、各無線タグ読取処理装置2A,2B,2C,…をLAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク3を介して接続するストアコンピュータ4とを備えている。
【0012】
本実施形態では、店で販売される商品の1つ1つに無線タグを取り付け、各無線タグにそれぞれ設定されている固有のタグIDを、その無線タグが付された商品の商品IDとして設定している。そして、各商品の商品ID、すなわちタグIDに関連付けて、該IDで識別される無線タグが付された商品の商品名、価格等の商品情報を記憶した商品マスタファイル(図示せず)を、ストアコンピュータ4で記憶管理している。
【0013】
また、ストアコンピュータ4は、本発明に係わるタグ情報整合プログラムを実装しており、このプログラムを実行することにより、タグ情報整合装置として機能する。
【0014】
各会計用ゲート1A,1B,1C,…は、それぞれ買物客がショッピングカート5を押して通過できる間隔を開けて一対のゲート板を対峙させ、これらゲート板の上端を天板で連結した構造となっており、一方のゲート板に、無線タグ読取用のアンテナ6A,6B,6C,…と、タッチパネル付ディスプレイ7A,7B,7C,…と、自動決済装置8A,8B,8C,…とを取り付けている。
【0015】
アンテナ6A,6B,6C,…は、ゲート板間を通過するショッピングカート5に収容された商品、あるいは該カート5を押す買物客が所持する商品に取り付けられている無線タグと無線通信を行い、その無線タグからタグID、すなわち商品IDを受信する。なお、アンテナ6の取付部位は、ゲート板間を通過する無線タグからの電波を受信できる部位であればとくに限定されるものではなく、他方のゲート板や天板に取り付けてもよい。あるいは、2個以上のアンテナを両ゲート板や天板にそれぞれ取り付けてもよい。
【0016】
タッチパネル付ディスプレイ7A,7B,7C,…は、後述する精算案内画面、登録商品画面、決済画面、決済中止画面等を表示する。また、各画面に表示されるボタンの入力装置として機能する。
【0017】
自動決済装置8A,8B,8C,…は、現金またはクレジットカードによる商品代金の決済を処理する。現金決済の場合は、現金投入口から投入された金額と商品代金とから釣銭額を算出し、釣銭を釣銭払出口から払い出すとともに、レシートを印字発行する。クレジットカード決済の場合は、カードリーダで読取ったクレジットカードによる決済の認証をホストに問い合わせ、承認されるとクレジット伝票を印字発行する。
【0018】
各会計用ゲート1A,1B,1C,…に設けられたアンテナ6A,6B,6C,…、タッチパネル付ディスプレイ7A,7B,7C,…及び自動決済装置8A,8B,8C,…は、それぞれ同じ会計用ゲート1A,1B,1C,…に設けられた無線タグ読取処理装置2A,2B,2C,…と信号ケーブル9A,9B,9C,…を介して電気的に接続されている。
【0019】
図2は、無線タグ読取処理装置2A,2B,2C,…の要部構成を示すブロック図である。各無線タグ読取処理装置2A,2B,2C,…は同一構成なので、ここでは、無線タグ読取処理装置2Aを代表して説明する。
【0020】
無線タグ読取処理装置2Aは、制御部本体としてCPU(Central Processing Unit)11を備えている。そして、このCPU11に、アドレスバス,データバス等のバスライン12を介して、ROM(Read Only Memory)13及びRAM(Random Access Memory)14の記憶部と、現在日時を計時する時計部15と、ネットワークインターフェース16、タッチパネルインターフェース17及び第1,第2の外部装置インターフェース18,19のインターフェース部とを接続している。
【0021】
ネットワークインターフェース16は、前記通信ネットワーク3を介してストアコンピュータ4との間で行うデータ信号の送受信を制御する。タッチパネルインターフェース17は、前記タッチパネル付ディスプレイ7Aとの間で行うデータ信号の送受信を制御する。第1の外部装置インターフェース18は、後述する無線タグ読取装置20との間で行うデータ信号の送受信を制御する。第2の外部装置インターフェース19は、前記自動決済装置8Aとの間で行うデータ信号の送受信を制御する。
【0022】
かかる構成の無線タグ読取処理装置2Aは、自己が設けられている会計用ゲート1Aを識別するためのゲート番号と、その会計用ゲート1Aに取り付けられているアンテナ6Aを識別するためのアンテナ番号とを、ROM13又はRAM14の記憶部で記憶している。
【0023】
図3は、無線タグ読取装置20の要部構成を示すブロック図である。無線タグ読取装置20は、無線処理部21、メモリ部22、通信部23、PLL(Phase Lock1ed Loop)部24、送信部25及び受信部26を備えている。また、無線タグ読取装置20は、サーキュレータ等の方向性結合器27を介して前記アンテナ6Aを接続している。
【0024】
無線処理部21は、送信データを例えばPIE(Pulse Interval Encoding)符号によりデジタル符号化し、符号化された送信データを、送信部25に送出する。送信部25は、符号化された送信データをDAコンバータ31でアナログ信号に変換し、このアナログ信号を帯域フィルタ32で帯域制限した後、ミキサ33に供給する。ミキサ33には、PLL部24から出力される搬送波周波数と同じ周波数のローカル信号が入力されており、送信部25は、ミキサ33で、このローカル信号をアナログ信号により振幅変調する。さらに、送信部25は、この振幅変調された送信信号をパワーアンプ34で増幅した後、方向性結合器27を介してアンテナ6Aに送出し、電波として放射させる。
【0025】
一方、無線タグから放射された電波をアンテナ6Aが受信すると、アンテナ6Aから方向性結合器27を介して、電波信号が受信部26に入力される。受信部26は、電波信号をローノイズアンプ41で増幅した後、ミキサ42に供給する。ミキサ42には、PLL部24から出力される前記ローカル信号が入力されており、受信部26は、ミキサ42で、電波信号と前記ローカル信号とを混合して、受信信号を生成する。
【0026】
受信部26は、ミキサ42で生成された受信信号から、帯域フィルタ43により不要な周波数成分を除去する。その後、この受信信号を、可変利得増幅器44で増幅し、ADコンバータ45でデジタル信号に変換した後、無線処理部21に供給する。無線処理部21は、受信部26から供給された受信信号を無線タグの応答信号変調方式、例えばFM0変調といった変調方式に応じて、無線タグの応答データに復号する。複合された無線タグの応答データは、通信部23を介して外部インターフェース18に出力される。
【0027】
ここで、無線処理部21は、受信部26における可変利得増幅器44の自動利得制御を行う。すなわち無線処理部21は、受信信号の強度が所定の閾値より低いレベルにあるときには、DAコンバータ46の出力電圧を制御して、可変利得増幅器44の利得を高くする。逆に、受信信号の強度が所定の閾値より高いレベルにあるときには、DAコンバータ46の出力電圧を制御して、可変利得増幅器44の利得を低くする。
【0028】
具体的には、無線タグ読取装置20は、図4に示すデータ構造のゲイン設定テーブル50をメモリ部22で記憶している。ゲイン設定テーブル50には、受信信号の強度を16段階に区分した受信信号レベル(L1<L2<L3<…<L16)毎に、ゲイン設定値(16,15,14,……,1)と受信信号強度情報(1,2,3,…,16)とを記憶している。ゲイン設定値は、可変利得増幅器44のゲインを調整するためのDAコンバータ46の値である。この値が大きいほど、可変利得増幅器44の利得が高い。したがって、受信信号強度情報は、ゲイン設定値と反比例する値が設定されている。なお、強度レベルの段階数は、“16”に限定されないのは言うまでもない。
【0029】
無線処理部21は、受信信号の強度レベルに対応するゲイン設定値をゲイン設定テーブル50から読み出し、このゲイン設定値をDAコンバータ46に出力して、可変利得増幅器44の利得を調整する。また、無線処理部21は、ゲイン設定テーブル50から読み出したゲイン設定値と関連付けられている受信信号強度情報を取得し、受信信号から復号される無線タグからの応答データ、すなわち本実施形態では商品IDの受信信号強度情報とする。
【0030】
図5はストアコンピュータ4の要部構成を示すブロック図である。ストアコンピュータ4は、制御部本体としてCPU61を備えている。そして、このCPU61に、アドレスバス,データバス等のバスライン62を介して、ROM63及びRAM64の主記憶部と、補助記憶部としてのHDD(Hard Disk Drive)装置65と、ネットワークインターフェース66、キーボードインターフェース67及び表示インターフェース68のインターフェース部とを接続している。
【0031】
ネットワークインターフェース66は、前記通信ネットワーク3を介して各無線タグ読取処理装置2A,2B,2C,…との間で行うデータ信号の送受信を制御する。キーボードインターフェース67は、キーボード69との間で行うデータ信号の送受信を制御する。表示インターフェース68は、ディスプレイ70との間で行うデータ信号の送受信を制御する。
【0032】
かかる構成のストアコンピュータ4は、図6に示すように、各会計用ゲート1A,1B,1Cをそれぞれ識別するゲート番号に関連付けて、その会計用ゲートでの動作状態を示すステータスデータ(0:待機中、1:読取中、2:決済待ち)を保存するゲート管理テーブル81と、同時期に読取中の状態となった隣接する会計用ゲートのゲート番号を組み合わせたゲート番号組合せデータ(i,j)を逐次記憶する重複メモリ82とを、RAM64に形成している。
【0033】
なお、本実施形態では、店内に各会計用ゲート1A,1B,1Cが一方向に沿って一列に設けられており、一方の側から他方の側に向かって順番に“1,2,3,…”の連続番号がゲート番号として各会計用ゲート1A,1B,1Cにそれぞれ設定されている。また、各会計用ゲート1A,1B,1Cにそれぞれ設けられるアンテナ6A,6B,6Cのアンテナ番号も同様に、一方の側から他方の側に向かって順番に“1,2,3,…”の連続番号が設定されている。
【0034】
図8は、各無線タグ読取処理装置2A,2B,2C,…のCPU11が実行するメイン処理の手順を示す流れ図である。各無線タグ読取処理装置2A,2B,2C,…は同一構成なので、無線タグ読取処理装置2Aを代表して説明する。
【0035】
CPU11は、先ず、ST(ステップ)1として会計案内画面をタッチパネル付ディスプレイ7Aに表示させる。この画面は、ショッピングカート5を押して会計用ゲート1Aに近付いた買物客に買上商品の決済方法を知らせる画面である。画面には、商品読取開始ボタンが表示されている。
【0036】
CPU11は、ST2として上記商品読取開始ボタンがタッチ操作されるのを待機する。タッチパネルインターフェース17を介して入力されたタッチパネル信号により商品読取開始ボタンがタッチ操作されたことを検知すると(ST2のYES)、CPU11は、ST3として記憶部で記憶しているゲート番号を読み出し、このゲート番号を予め用意された読取開始情報に付してネットワークインターフェース16からストアコンピュータ4に送信する。
【0037】
また、CPU11は、ST4として無線タグ読取装置20に起動を指令する。この起動指令を受けた無線タグ読取装置20は、無線処理部21及び送信部25の作用により、アンテナ6Aから無線タグのID問合せ電波を放射させる。この電波を受信した無線タグは、自己のメモリで記憶しているID情報、つまりは商品IDを無線送信する。この商品IDの電波をアンテナ6Aで受信すると、無線タグ読取装置20は、受信部26及び無線処理部21の作用により商品IDを読取る。また、この商品IDを受信したときの受信信号強度情報を、ゲイン設定テーブル50から取得する。そして、通信部23を介して無線タグ読取処理装置2Aに商品IDと受信信号強度情報とを送出する。
【0038】
無線タグ読取処理装置2AのCPU11は、無線タグ読取装置20に起動を指令した後、ST5としてその無線タグ読取装置20で商品IDが読み取られるのを待機する。そして、無線タグ読取装置20で読み取られた商品IDを、外部装置インターフェース18を介して受信すると(ST5のYES)、ST6として図7に示すデータ構造の読取結果情報を作成し、RAM14に記憶する。
【0039】
図7において、データ項目「商品ID」91は、無線タグ読取装置20で読取られた商品IDである。データ項目「ゲート番号」92及び「アンテナ番号」93は、自己のROM13又はRAM14の記憶部で記憶しているゲート番号及びアンテナ番号である。データ項目「受信信号強度情報」94は、当該商品IDとともに無線タグ読取装置20から取得した受信信号強度情報である。データ項目「受信時刻」95は、当該商品IDを受信した時点の時計部15の時刻(時,分,秒,1秒/10)である。すなわち、データ項目「受信信号強度情報」94とデータ項目「受信時刻」95は、商品IDの受信に係わるパラメータである。
【0040】
無線タグ読取処理装置2AのCPU11は、ST7として商品IDの読取期間が終了したか否かを判断する。読取り期間が終了するまで、CPU11は、商品IDを受信する毎に、前記読取結果情報の作成と記憶を行う(タグID読取手段)。
【0041】
例えば、商品IDを受信しない時間が所定時間継続したならば、CPU11は読取期間が終了したと判定する(ST7のYES)。読取期間が終了すると、CPU11は、ST8としてストアコンピュータ4に、RAM14に記憶した全ての読取結果情報をゲート番号とともに送信する。
【0042】
ストアコンピュータ4に読取結果情報を送信すると、ストアコンピュータ4では、後述する読取結果情報受信処理が実行される。そして、この処理によりストアコンピュータ4から登録商品情報が返信されてくるので、CPU11は、ST9として登録商品情報を待機する。登録商品情報を受信すると(ST9のYES)、CPU11は、ST10としてこの登録商品情報を基に、登録商品画面を編集し、この画面をタッチパネル付ディスプレイ7Aに表示させる。
【0043】
この画面には、無線タグ読取処理装置2Aで読取られた商品IDに対応する商品名や価格等が、支払いの実行を宣言する支払いボタン及び支払いの中止を宣言する中止ボタンとともに表示されている。したがって、買物客は、登録商品画面の内容を確認し、その内容で会計する場合は支払いボタンを、会計しない場合は中止ボタンをタッチ操作する。
【0044】
CPU11は、ST11として支払いボタン及び中止ボタンのいずれか一方がタッチ操作されるのを待機する。タッチパネルインターフェース17を介して入力されたタッチパネル信号により中止ボタンがタッチ操作されたことを検知すると(ST11の「中止」)、CPU11は、ST12として決済中止処理を実行する。この決済中止処理は、登録商品情報を破棄する処理や、決済中止画面をタッチパネル付ディスプレイ7Aに表示させる処理を含む。
【0045】
これに対し、支払いボタンがタッチ操作されたことを検知した場合には(ST11の「支払い」)、CPU11は、ST13として自動決済装置8Aによる自動決済処理を実行する。この自動決済処理は、前述したように、現金またはクレジットカードによる商品代金の決済を処理する。また、決済完了画面をタッチパネル付ディスプレイ7Aに表示させる処理を含む。
決済中止処理または自動決済処理が終了すると、CPU11は、初期状態に戻り、次の買物客の会計を可能にする。
【0046】
図9は、ストアコンピュータ4のCPU61が実行する読取開始情報受信処理の手順を示す流れ図である。この処理は、例えばHDD装置65に記憶されたタグ情報整合プログラムをCPU61が読み込み実行することによって実現される。
【0047】
通信ネットワーク3を介して接続されたいずれかの無線タグ読取処理装置2N(N=A,B,C,…)から前記読取開始情報を受信すると、CPU61は、この処理を開始する。先ず、CPU61は、ST21として受信した読取開始情報から、当該情報に付加されているゲート番号n(n=1,2,3,…)を取得する。そして、ST22としてゲート管理テーブル81の当該ゲート番号nに関連付けられたステータスデータSnを、動作状態「待機中」を示す値“0”から動作状態「読取中」を示す値“1”に更新する。
【0048】
次に、CPU41は、ST23として当該ゲート番号nの1つ前のゲート番号(n−1)に関連付けられたステータスデータS(n-1)がゲート管理テーブル81に設定されているか否かを判定する。このステータスデータS(n-1)は、読取開始情報送信元の無線タグ読取処理装置2Nが設けられている会計用ゲート1Nに対し、一方の方向に隣接する会計用ゲート1(N-1)に設けられた無線タグ読取処理装置2(N-1)の状態を示す。したがって、読取開始情報送信元の無線タグ読取処理装置2Nが、一方の端に位置する無線タグ読取処理装置2Aの場合のみ判定結果が“NO”となり、その他の無線タグ読取処理装置2B,3C,…の場合は判定結果が“YES”となる。ST23にて判定結果が“NO”の場合には、ST27の処理に進む。
【0049】
ST23にて判定結果が“YES” の場合には、CPU61は、ST24としてそのゲート番号(n−1)に関連付けられたステータスデータS(n-1)を判別する。このステータスデータS(n-1)が動作状態「読取中」を示す値“1”であるとき、読取開始情報送信元の第1の無線タグ読取処理装置2Nと、一方の側に隣接する第2の無線タグ読取処理装置2(N-1)とは、無線タグ読取期間の少なくとも一部が重複する。この場合(ST25のYES)、CPU61は、ST26としてゲート番号nとゲート番号(n−1)とを組み合わせたゲート番号組合せデータ(n,n−1)を重複メモリ82に格納する。ステータスデータS(n-1)が動作状態「読取中」以外を示す値であるときには、ST26の処理は実行しない。しかる後、CPU61は、ST27の処理に進む。
【0050】
ST27では、CPU61は、当該ゲート番号nの1つ後のゲート番号(n+1)に関連付けられたステータスデータS(n+1)がゲート管理テーブル81に設定されているか否かを判定する。このステータスデータS(n+1)は、読取開始情報送信元の無線タグ読取処理装置2Nが設けられている会計用ゲート1Nに対し、他方の方向の隣接する会計用ゲート1(N+1)に設けられた無線タグ読取処理装置2(N+1)の状態を示す。したがって、読取開始情報送信元の無線タグ読取処理装置2Nが、一方の端の無線タグ読取処理装置2Aとは逆側の他方の端に位置する無線タグ読取処理装置の場合のみ判定結果が“NO”となり、その他の無線タグ読取処理装置の場合は判定結果が“YES”となる。ST27にて判定結果が“NO”の場合には、この処理は終了する。
【0051】
ST27にて判定結果が“YES” の場合には、CPU61は、ST28としてそのゲート番号(n+1)に関連付けられたステータスデータS(n+1)を判別する。このステータスデータS(n+1)が動作状態「読取中」を示す値“1”であるとき、読取開始情報送信元の第1の無線タグ読取処理装置2Nと、他方の側に隣接する第2の無線タグ読取処理装置2(N+1)とは、無線タグ読取期間の少なくとも一部が重複する。この場合(ST29のYES)、CPU61は、ST30としてゲート番号nとゲート番号(n+1)とを組み合わせたゲート番号組合せデータ(n,n+1)を重複メモリ82に格納する。ステータスデータS(n+1)が動作状態「読取中」以外を示す値であるときには、ST30の処理は実行しない。以上で、この処理は終了する。
【0052】
図10は、ストアコンピュータ4のCPU61が実行する読取結果情報受信処理の手順を示す流れ図である。この処理も、例えばHDD装置65に記憶されたタグ情報整合プログラムをCPU61が読み込み実行することによって実現される。
【0053】
通信ネットワーク3を介して接続されたいずれかの無線タグ読取処理装置2N(N=A,B,C,…)から読取結果情報を受信すると、CPU61は、この処理を開始する。先ず、CPU61は、ST31として受信した読取結果情報から、当該情報に付加されているゲート番号n(n=1,2,3,…)を取得する。次に、CPU61は、この取得したゲート番号nで重複メモリ82を検索する。そして、ST33としてこのゲート番号nと、その1つ前のゲート番号(n−1)との組合せデータ(n,n−1)が重複メモリ82に格納されているか否かを判断する。
【0054】
ゲート番号組合せデータ(n,n−1)が格納されている場合(ST33のYES)、CPU61は、ST34としてゲート管理テーブル81のゲート番号(n−1)に関連付けられたステータスデータSn-1が動作状態「決済待」を示す値“2”であるか否かを判断する。
【0055】
ステータスデータSn-1が動作状態「決済待」を示す値“2”でない場合(ST34のNO)、読取結果情報送信元の第1の無線タグ読取処理装置2Nに対して一方の側に隣接する第2の無線タグ読取処理装置2(N-1)では、無線タグ読取中の状態が継続している。この場合、CPU61は、ST35として無線タグ読取処理装置2Nから受信したゲート番号nの読取結果情報をHDD装置65で一時保存する。また、ST36としてゲート管理テーブル81のゲート番号nに関連付けられたステータスデータSnを動作状態「読取中」を示す値“1”から動作状態「決済待」を示す値“2”に更新する。以上で、今回の処理を終了する。
【0056】
ステータスデータSn-1が動作状態「決済待」を示す値“2”であった場合には(ST34のYES)、読取結果情報送信元の第1の無線タグ読取処理装置2Nに対して一方の側に隣接する第2の無線タグ読取処理装置2(N-1)では、無線タグ読取中の状態が終了している。この場合、CPU61は、ST37としてゲート番号組合せデータ(n,n−1)に対して後述する重複判定処理を実行する。
【0057】
この重複判定処理を終了すると、CPU61は、ST38として重複メモリ82を検索して、ゲート番号(n−1)を含む他のゲート番号組合せデータ(n−1、n−2)が存在するか否かを判断する。存在する場合(ST38のNO)、前記第2の無線タグ読取処理装置2(N-1)と、この第2の無線タグ読取処理装置2(N-1)に対してさらに一方の側に隣接する第3の無線タグ読取処理装置2(N-2)との間で読取期間の少なくとも一部が重複しており、この両者間において重複判定処理がまだ実行されていない。この場合、CPU61は、後述するST39〜ST42の処理を実行することなく、ST32の処理に戻る。
【0058】
重複メモリ82にゲート番号組合せデータ(n−1、n−2)が存在しない場合には(ST38のYES)、前記第2の無線タグ読取処理装置2(N-1)に対する重複判定処理は全て終了したので、CPU61は、ST39として、無線タグ読取処理装置2(N-1)から受信したゲート番号(n−1)の読取結果情報をHDD装置65から呼出す。そして、この読取結果情報の各商品IDで商品マスタファイルを検索して、各商品IDにそれぞれ対応して記憶されている商品名、価格等の商品情報を登録商品情報として取得する。こうして、登録商品情報を取得したならば、CPU61は、ST40としてゲート番号(n−1)の無線タグ読取処理装置2(N-1)にその登録商品情報を送信する。また、ST41としてゲート管理テーブル81のゲート番号(n−1)に関連付けられたステータスデータSn-1を動作状態「決済待」を示す値“2”から「待機中」を示す値“0”に更新する。さらに、ST42として重複メモリ82からゲート番号組合せデータ(n,n−1)を削除する。しかる後、CPU61は、ST32の処理に戻る。
【0059】
ST32にて重複メモリ82を検索した結果、ゲート番号組合せデータ(n,n−1)が格納されていない場合(ST33のNO)、CPU61は、ST43としてゲート番号nと、その1つ先のゲート番号(n+1)との組合せデータ(n,n+1)が格納されているか否かを判断する。格納されていない場合には(ST43のNO)、CPU61は、後述するST44〜ST50の処理を実行することなく、ST51の処理に進む。
【0060】
ST51では、CPU61は、無線タグ読取処理装置2Nから受信したゲート番号nの読取結果情報の各商品IDで商品マスタファイルを検索して、各商品IDにそれぞれ対応して記憶されている商品名、価格等の商品情報を登録商品情報として取得する。そしてCPU61は、ST52としてゲート番号nの無線タグ読取処理装置2Nにその登録商品情報を送信する。また、ST53としてゲート管理テーブル81のゲート番号nに関連付けられたステータスデータSnを「待機中」を示す値“0”に更新する。以上で、今回の読取結果情報受信処理を終了する。
【0061】
重複メモリ82にゲート番号組合せデータ(n、n+1)が格納されていた場合には(ST43のYES)、CPU61は、ST44としてゲート管理テーブル81のゲート番号(n+1)に関連付けられたステータスデータSn+1が動作状態「決済待」を示す値“2”であるか否かを判断する。
【0062】
ステータスデータSn+1が動作状態「決済待」を示す値“2”でない場合(ST44のNO)、読取結果情報送信元の第1の無線タグ読取処理装置2Nに対して他方の側に隣接する第2の無線タグ読取処理装置2(N+1)では、無線タグ読取中の状態が継続している。この場合、CPU61は、前記ST35の処理に進む。すなわち、無線タグ読取処理装置2Nから受信したゲート番号nの読取結果情報をHDD装置65で一時保存する。また、ゲート管理テーブル81のゲート番号nに関連付けられたステータスデータSnを動作状態「読取中」を示す値“1”から動作状態「決済待」を示す値“2”に更新する。以上で、今回の読取結果情報受信処理を終了する。
【0063】
ステータスデータSn+1が動作状態「決済待」を示す値“2”であった場合には(ST44のYES)、読取結果情報送信元の第2の無線タグ読取処理装置2Nに対して他方の側に隣接する第2の無線タグ読取処理装置2(N+1)では、無線タグ読取中の状態が終了している。この場合、CPU61は、ST45としてゲート番号組合せデータ(n,n+1)に対して後述する重複判定処理を実行する。
【0064】
この重複判定処理を終了すると、CPU61は、ST47として重複メモリ82を検索して、ゲート番号(n+1)を含む他のゲート番号組合せデータ(n+1、n+2)が存在するか否かを判断する。存在する場合(ST38のNO)、前記第2の無線タグ読取処理装置2(N+1)と、この第2の無線タグ読取処理装置2(N+1)に対してさらに他方の側に隣接する第3の無線タグ読取処理装置2(N+2)との間で読取期間の少なくとも一部が重複しており、この両者間において重複判定処理がまだ実行されていない。この場合、CPU61は、後述するST47〜ST50の処理を実行することなく、前記ST51の処理に進む。そして、ST51〜ST53の処理を実行して、今回の処理を終了する。
【0065】
重複メモリ82にゲート番号組合せデータ(n+1、n+2)が存在しない場合には(ST46のYES)、前記第2の無線タグ読取処理装置2(N+1)に対する重複判定処理は全て終了したので、CPU61は、ST47として、無線タグ読取処理装置2(N+1)から受信したゲート番号(n+1)の読取結果情報をHDD装置65から呼出す。そして、この読取結果情報の各商品IDで商品マスタファイルを検索して、各商品IDにそれぞれ対応して記憶されている商品名、価格等の商品情報を登録商品情報として取得する。こうして、登録商品情報を取得したならば、CPU61は、ST48としてゲート番号(n+1)の無線タグ読取処理装置2(N+1)にその登録商品情報を送信する。また、ST49としてゲート管理テーブル81のゲート番号(n+1)に関連付けられたステータスデータSn+1を動作状態「決済待」を示す値“2”から「待機中」を示す値“0”に更新する。さらに、ST50として重複メモリ82からゲート番号組合せデータ(n,n+1)を削除する。しかる後、CPU61は、ST51の処理に進む。そして、ST51〜ST53の処理を実行して、今回の処理を終了する。
【0066】
図11及び図12は、前記ST37またはST45の重複判定処理の手順を示す流れ図である。無線タグ読取処理装置2Nから読取結果情報を受信した際に、この無線タグ読取処理装置2Nと読取期間の少なくとも一部が重複していた隣接の無線タグ読取処理装置2(N-1)または2(N+1)が既に決済待ちの状態にあるとき、CPU61は、この重複判定処理を開始する。
【0067】
先ず、CPU61は、ST61としてHDD装置65で記憶しているゲート番号i(N)の読取結果情報の商品IDとゲート番号j(N−1またはN+1)の読取結果情報の商品IDとを照合して重複する商品IDを全て抽出する。そして、抽出した商品IDのリストを作成する(照合手段)。ここで、重複する商品IDが存在しない場合は(ST62のNO)、CPU61は、この重複判定処理を終了する。
【0068】
重複する商品IDが存在しており、その重複商品IDリストが作成された場合には(ST62のYES)、CPU61は、ST63としてゲート番号iの読取結果情報のうち重複商品IDの読取結果情報を除いた残りの読取結果情報から受信信号強度の平均値Msiを算出する。また、ST64としてゲート番号jの読取結果情報のうち重複商品IDの読取結果情報を除いた残りの読取結果情報から受信信号強度の平均値Msjを算出する。
【0069】
次に、CPU61は、ST65としてカウンタkを一旦“0”にリセットする。しかる後、CPU61は、ST66としてこのカウンタkを“1”だけカウントアップする。そして、ST67として重複商品IDリストからk番目(kはカウント値)の商品ID(k)を取得する。
【0070】
重複商品IDリストからk番目の商品ID(k)を取得すると(ST68のYES)、CPU61は、ST69としてゲート番号iの読取結果情報の中から商品ID(k)を含む読取結果情報の受信信号強度Sgiを取得する。また、ST70としてゲート番号jの読取結果情報の中から商品ID(k)を含む読取結果情報の受信信号強度Sgjを取得する。
【0071】
しかる後、CPU61は、ST71として受信信号平均強度Msiと受信信号強度Sgiとの差の絶対値diと、受信信号平均強度Msjと受信信号強度Sgjとの差の絶対値djとを算出する。そして、ST72として一方の絶対値diから他方の絶対値djを減じた値(di−dj)を調べる。その結果、値(di−dj)が正の場合、すなわち、受信信号平均強度Msiに対する受信信号強度Sgiの差diが、受信信号平均強度Msjに対する受信信号強度Sgjの差djより大きい場合、CPU61は、差が大きい方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、差が小さい方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST74としてゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0072】
これに対し、値(di−dj)が負の場合、すなわち、受信信号平均強度Msiに対する受信信号強度Sgiの差diが、受信信号平均強度Msjに対する受信信号強度Sgjの差djより小さい場合、CPU61は、差が大きい方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、差が小さい方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST75としてゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0073】
なお、値(di−dj)が“0”の場合、すなわち、受信信号平均強度Msiに対する受信信号強度Sgiの差diと、受信信号平均強度Msjに対する受信信号強度Sgjの差djとが等しい場合には、CPU61は、ST73として受信信号強度Sgiから受信信号強度Sgjを減じた値が負になるか否かを判断する。負になる場合、すなわち受信信号強度Sgiより受信信号強度Sgjの方が大きい場合には、受信信号強度の小さい方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、受信信号強度の大きい方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST74としてゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0074】
これに対し、受信信号強度Sgiから受信信号強度Sgjを減じた値が負にならない場合には、受信信号強度が等しいか小さい方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、受信信号強度が等しいか大きい方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST75としてゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0075】
ST74またはST75の処理を終了すると、CPU61は、ST66の処理に戻る。そして、カウンタkをさらに“1”だけカウントアップしたならば、ST67以降の処理を再度実行する。
【0076】
こうして、CPU61は、重複商品IDリストとして抽出した全ての商品IDについて、各商品IDの受信に係わるパラメータである受信信号強度の平均値と、重複商品IDに関連付けられた受信信号強度との差を求め、この差が小さい方の重複商品IDを有効と判定し、大きい方の重複商品IDを無効と判定する(判定手段)。そして、無効と判定された商品IDの読取結果情報を削除し、有効と判定された商品IDの読取結果情報を残す(整合手段)。かくして、ST68として重複商品IDリストからk番目の商品ID(k)を取得できなくなると、この重複判定処理を終了する。
【0077】
このような構成の会計システムが構築された小売店においては、買物客は、買上商品をショッピングカート5に収容する。そして、会計の際には空いている会計用ゲートに入り、タッチパネル付ディスプレイに表示された会計案内画面の商品読取開始ボタンをタッチ操作する。
【0078】
今、買物客が第1の会計用ゲート1Aに入り、タッチパネル付ディスプレイ7Aに表示された会計案内画面の商品読取開始ボタンをタッチ操作したとする。そうすると、この会計用ゲート1Aに設けられた無線タグ読取処理装置2Aからストアコンピュータ4に読取開始情報が送信される(ST1〜ST3)。これに応じて、ストアコンピュータ4では、ゲート管理テーブル81の会計用ゲート1Aに対するゲート番号“1”に対応したステータスデータS1が、動作状態「読取中」を示す“1”に更新される(ST21,ST22)。
【0079】
また、会計用ゲート1Aでは、無線タグ読取処理装置2Aの作用により無線タグ読取装置20が起動して、アンテナ6Aから無線タグのID問合せ電波が放射される(ST4)。この電波は、ショッピングカート5内に収容された商品に取り付けられた無線タグが受信する。電波を受信した無線タグは、自己のメモリで記憶しているID情報、つまりは商品IDを無線送信する。
【0080】
無線タグ読取装置20は、ID問合せ電波に応答した無線タグから商品IDを読取る毎に、可変利得増幅器44への利得設定情報からその商品IDに対する受信信号強度を求める。無線タグ読取処理装置2Aは、無線タグ読取装置20で商品IDが読取られる毎に、その商品IDに関連付けて、その商品IDの受信に係わるパラメータとして受信信号強度と受信時刻とを付加した読取結果情報を作成する(ST5,6)。
【0081】
ここで、別の買物客が隣接する第2の会計用ゲート1Bに入り、タッチパネル付ディスプレイ7Bに表示された会計案内画面の商品読取開始ボタンをタッチ操作したとする。そうすると、この会計用ゲート1Bに設けられた無線タグ読取処理装置2Bからストアコンピュータ4に読取開始情報が送信される(ST1〜ST3)。これに応じて、ストアコンピュータ4では、ゲート管理テーブル81の会計用ゲート1Bに対するゲート番号“2”に対応したステータスデータS2が、動作状態「読取中」を示す“1”に更新される(ST21,ST22)。また、このとき、会計用ゲート1Bに隣接する会計用ゲート1Aのゲート番号“1”に対応したステータスデータS1が“1”であるので、ゲート番号組合せデータ(1,2)が重複メモリ82に格納される(ST23〜ST26)。
【0082】
その後、先に、会計用ゲート1Aにおいて、無線タグの読取処理が終了すると、無線タグ読取処理装置2Aからストアコンピュータ4に、ゲート番号“1”とともに今回の読取結果情報が送信される(ST7〜ST8)。
【0083】
このとき、重複メモリ82には、会計用ゲート1Aに対するゲート番号“1”を含むゲート番号組合せデータ(1,2)が存在する。そして、相手方のゲート番号“2”に対応したステータスデータS2は、動作状態「読取中」を示す“1”のままである。したがって、無線タグ読取処理装置2Aから送信された読取結果情報は、HDD装置65で一時的に保存される(ST31〜ST35)。また、ステータスデータS1が動作状態「決済待」に更新される(ST36)。
【0084】
続いて、会計用ゲート1Bにおいて、無線タグの読取処理が終了すると、無線タグ読取処理装置2Bからストアコンピュータ4に、ゲート番号“2”とともに今回の読取結果情報が送信される(ST7〜ST8)。
【0085】
このとき、重複メモリ82には、会計用ゲート1Bに対するゲート番号“2”を含むゲート番号組合せデータ(1,2)が存在する。そして、相手方のゲート番号“1”に対応したステータスデータS1は、動作状態「決済待」を示す“2”に更新されている。したがって、ストアコンピュータ4では、ゲート番号組合せデータ(1,2)の重複判定処理が実行される(ST37)。
【0086】
ここで、無線タグ読取処理装置2Aから送信された読取結果情報を図13の符号101で示し、無線タグ読取処理装置2Bから送信された読取結果情報を符号102で示す。この場合、先ず、読取結果情報101と読取結果情報102との照合により、商品ID[123006]と商品ID[123067]が重複商品IDとして抽出される(ST61)。
【0087】
次に、読取結果情報101から重複商品ID[123006],[123067]以外の商品ID[123001],[123002],[123003],[123004],[123005]の受信信号強度情報“7”,“6”,“10”,“11”,“8”が取得される。そして、これら受信信号強度の平均値Ms1が次式の通り算出される(ST63)。
【0088】
Ms1=(7+6+10+11+8)/5=8.4
また、読取結果情報102から重複商品ID[123006],[123067]以外の商品ID[123008],[123009],[123010]の受信信号強度情報“8”,“9”,“7”が取得される。そして、これら受信信号強度の平均値Ms2が次式の通り算出される(ST64)。
【0089】
Ms2=(8+9+7)/3=8.0
次に、読取結果情報101から重複商品ID[123006]の受信信号強度Sg1=“3”が取得される(ST69)。同様に、読取結果情報102から重複商品ID[123006]の受信信号強度Sg2=“9”が取得される(ST70)。そして、この受信信号強度Sg1と受信信号平均強度Ms1との差の絶対値d1、及び、受信信号強度Sg2と受信信号平均強度Ms2との差の絶対値d2が次式の通り算出される(ST71)
d1=|8.4−3.0|=5.4
d2=|8.0−9.0|=1.0
次に、絶対値d1と絶対値d2とが比較される(ST72)。この場合は、絶対値d1の方が絶対値d2より大きい。すなわち、重複商品ID[123006]が読取られたときの受信信号強度は、会計用ゲート1Aで読取られたときよりも会計用ゲート1Bで読取られたときの方が平均強度に近い。したがって、会計用ゲート1Aの無線タグ読取装置20において読取られた商品ID[123006]は、隣接する会計用ゲート1Bに入ったショッピングカート内の商品に取り付けられた無線タグのIDであると推定することができる。この場合、ストアコンピュータ4では、読取結果情報101から商品ID[123006]のデータが削除される(ST74)。
【0090】
次に、読取結果情報101から重複商品ID[123007]の受信信号強度Sg1=6が取得される(ST69)。同様に、読取結果情報102から重複商品ID[123007]の受信信号強度Sg2=4が取得される(ST70)。そして、この受信信号強度Sg1と上記受信信号平均強度Ms1との差の絶対値d1、及び、受信信号強度Sg2と上記受信信号平均強度Ms2との差の絶対値d2が次式の通り算出される(ST71)。
【0091】
d1=|8.4−6.0|=2.4
d2=|8.0−4.0|=4.0
次に、絶対値d1と絶対値d2とが比較される(ST72)。この場合は、絶対値d2の方が絶対値d1より大きい。すなわち、重複商品ID[123007]が読取られたときの受信信号強度は、会計用ゲート1Bで読取られたときよりも会計用ゲート1Aで読取られたときの方が平均強度に近い。したがって、会計用ゲート1Bの無線タグ読取装置20において読取られた商品ID[123007]は、隣接する会計用ゲート1Aに入ったショッピングカート内の商品に付された無線タグのIDであると推定することができる。この場合、読取結果情報102から商品ID[123007]のデータが削除される(ST75)。
【0092】
以上のようなゲート番号組合せデータ(1,2)の重複判定処理により、読取結果情報101は図14の符号103で示す情報となり、読取結果情報102は図14の符号104で示す情報となる。
【0093】
上記重複判定処理が終了すると、ゲート番号“1”の重複有無が判定される(ST38)。この時点において、ゲート番号“1”は重複無しとなるので、読取結果情報103を基に登録商品情報が取得される(ST39)。そして、この登録商品情報が会計用ゲート1Aの無線タグ読取処理装置2Aに送信される(ST40)。無線タグ読取処理装置2Aでは、受信した登録商品情報を基にタッチパネル付ディスプレイ7Aに登録商品画面が表示される(ST10)。この画面を確認した買物客は、支払いボタンをタッチ操作し、自動決済装置8Aにて代金の決済を行う。
【0094】
一方、ストアコンピュータ4では、ゲート番号“2”についても重複有無が判定される。この場合、ゲート番号“2”も重複無しとなるので、読取結果情報104を基に登録商品情報が取得される(ST43、ST51)。そして、この登録商品情報が会計用ゲート1Bの無線タグ読取処理装置2Bに送信される(ST52)。無線タグ読取処理装置2Bでは、受信した登録商品情報を基にタッチパネル付ディスプレイ7Bに登録商品画面が表示される(ST10)。この画面を確認した買物客は、支払いボタンをタッチ操作し、自動決済装置8Bにて代金の決済を行う。
【0095】
一方、上記具体例において、先に、会計用ゲート1Bにおいて無線タグの読取処理が終了した場合には、無線タグ読取処理装置2Bから送信された読取結果情報102がHDD装置65で一時的に保存される(ST31〜ST35)。また、ゲート番号“2”に対応したステータスデータS2が動作状態「決済待」に更新される(ST36)。
【0096】
その後、会計用ゲート1Aにおいて無線タグの読取処理が終了すると、重複メモリ82には会計用ゲート1Aに対するゲート番号“1”を含むゲート番号組合せデータ(1,2)が存在し、相手方のゲート番号“2”に対応したステータスデータS2が既に動作状態「決済待」を示す“2”に更新されているので、ストアコンピュータ4では、ゲート番号組合せデータ(1,2)の重複判定処理が実行される(ST44)。この場合の処理結果は、先に会計用ゲート1Aでショッピングカート5内の無線タグがすべて読み取られた場合と同様である。
【0097】
上記重複判定処理が終了すると、ゲート番号“2”の重複有無が判定される(ST46)。この時点において、ゲート番号“2”は重複無しとなるので、読取結果情報104を基に登録商品情報が取得される(ST47)。そして、この登録商品情報が会計用ゲート1Bの無線タグ読取処理装置2Bに送信され(ST48)、タッチパネル付ディスプレイ7Bに登録商品画面が表示される(ST10)。この画面を確認した買物客は、支払いボタンをタッチ操作した後、自動決済装置8Bにて代金の決済を行う。
【0098】
続いて、ストアコンピュータ4では、読取結果情報103を基に登録商品情報が取得される(ST51)。そして、この登録商品情報が会計用ゲート1Aの無線タグ読取処理装置2Aに送信され(ST52)、タッチパネル付ディスプレイ7Aに登録商品画面が表示される(ST10)。この画面を確認した買物客は、支払いボタンをタッチ操作した後、自動決済装置8Aにて代金の決済を行う。
【0099】
このように、本実施形態によれば、隣り合う会計用ゲートにおいて、一方のゲートのアンテナで受信されるべき無線タグのID情報を他方のゲートのアンテナで重複して受信してしまった場合でも、双方のアンテナでの重複ID情報の受信に係わるパラメータ、すなわち受信号強度がそのアンテナでの受信信号強度平均値に近い方が有効と判定され、遠い方が無効と判定されて、各々の読取結果情報が自動的に修正される。
【0100】
したがって、隣り合う会計用ゲート間で一方のゲートにある無線タグのID情報を他方のゲートで読取ってしまうことがないように会計用ゲートの間隔を広げたり、会計用ゲートを電波吸収材で覆ったりする必要がないので、省スペース化を図ることができる。
【0101】
なお、本発明は、上記第1の実施形態そのものに限定されるものではない。例えば、会計用ゲート1A,1B,1C,…の構造、無線タグ読取処理装置2A,2B,2C,…及びストアコンピュータ4の構成等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施することができる。
【0102】
また、ストコンピュータ4が実行する重複判定処理は、受信信号強度平均値からの差を用いた図11〜図12に示す手順のものに限定されるものではない。以下では、重複判定処理が異なる他の実施形態について説明する。なお、重複判定処理以外は第1の実施形態と同一なので、図1〜図10については第1の実施形態と共通に使用し、その説明を省略する。
【0103】
(第2の実施形態)
この第2の実施形態は、ID情報の受信に係わるパラメータとして受信信号強度の標準偏差を用いて重複商品IDの有効、無効を判定する例である。
【0104】
図15及び図16は、第2の実施形態における重複判定処理の手順を示す流れ図である。無線タグ読取処理装置2Nから読取結果情報を受信した際に、この無線タグ読取処理装置2Nと読取期間の少なくとも一部が重複していた隣接の無線タグ読取処理装置2(N-1)または2(N+1)が既に決済待ちの状態にあるとき、CPU61は、この重複判定処理を開始する。
【0105】
先ず、CPU61は、ST81としてHDD装置65で記憶しているゲート番号i(N)の読取結果情報の商品IDとゲート番号j(N−1またはN+1)の読取結果情報の商品IDとを照合して重複する商品IDを全て抽出する。そして、抽出した商品IDのリストを作成する(照合手段)。ここで、重複する商品IDが存在しない場合は(ST82のNO)、CPU61は、この重複判定処理を終了する。
【0106】
重複する商品IDが存在しており、その重複商品IDリストが作成された場合には(ST82のYES)、CPU61は、ST83としてゲート番号iの読取結果情報のうち重複商品IDの読取結果情報を除いた残りの読取結果情報から受信信号強度の平均値Msiと標準偏差σiとを算出する。また、ST84としてゲート番号jの読取結果情報のうち重複商品IDの読取結果情報を除いた残りの読取結果情報から受信信号強度の平均値Msjと標準偏差σjとを算出する。
【0107】
次に、CPU61は、ST85としてカウンタkを一旦“0”にリセットする。しかる後、CPU61は、ST86としてこのカウンタkを“1”だけカウントアップする。そして、ST87として重複商品IDリストからk番目(kはカウント値)の商品ID(k)を取得する。
【0108】
重複商品IDリストからk番目の商品ID(k)を取得すると(ST88のYES)、CPU61は、ST89としてゲート番号iの読取結果情報の中から商品ID(k)を含む読取結果情報の受信信号強度Sgiを取得する。また、ST90としてゲート番号jの読取結果情報の中から商品ID(k)を含む読取結果情報の受信信号強度Sgjを取得する。
【0109】
しかる後、CPU61は、ST91として受信信号強度Sgi、受信信号平均強度Msi及び標準偏差σiから、下記演算式により、ゲート番号iの読取結果情報において、重複商品ID(k)に関連付けられた受信信号強度Sgiの偏差値Tiを算出する。
【0110】
Ti={10(Sgi−Msi)/σi}+50
また、受信信号強度Sgj、受信信号平均強度Msj及び標準偏差σjから、下記演算式により、ゲート番号jの読取結果情報において、重複商品ID(k)に関連付けられた受信信号強度Sgjの偏差値Tjを算出する。
【0111】
Tj={10(Sgj−Msj)/σj}+50
しかる後、CPU61は、ST92として一方の偏差値Tiから数値“50”を減算した値(Ti−50)の2乗から、他方の偏差値Tjから数値“50”を減算した値(Tj−50)の2乗を減算した値{(Ti−50)2−(Tj−50)2}を算出する。そして、この値{(Ti−50)2−(Tj−50)2}が正の場合、すなわち、偏差値Tjが偏差値Tiよりも50に近い場合には、CPU61は、偏差値が50から遠い方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、偏差値が50に近い方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST94としてゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0112】
これに対し、値{(Ti−50)2−(Tj−50)2}が負の場合、すなわち、偏差値Tiが偏差値Tjよりも50に近い場合には、CPU61は、偏差値が50から遠い方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、偏差値が50に近い方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST95としてゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0113】
なお、値{(Ti−50)2−(Tj−50)2}が“0”の場合、すなわち、偏差値Tiと偏差値Tjとが等しい場合には、CPU61は、ST93として受信信号強度Sgiから受信信号強度Sgjを減じた値が負になるか否かを判断する。負になる場合、すなわち受信信号強度Sgiより受信信号強度Sgjの方が大きい場合には、受信信号強度の小さい方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、受信信号強度の大きい方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST94としてゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0114】
これに対し、受信信号強度Sgiから受信信号強度Sgjを減じた値が負にならない場合には、受信信号強度が等しいか小さい方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、受信信号強度が等しいか大きい方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST95としてゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0115】
ST94またはST95の処理を終了すると、CPU61は、ST86の処理に戻る。そして、カウンタkをさらに“1”だけカウントアップしたならば、ST87以降の処理を再度実行する。
【0116】
こうして、CPU61は、重複商品IDリストとして抽出した全ての商品IDについて、そのID情報の受信に係わるパラメータである受信信号強度の標準偏差を求め、この標準偏差から重複商品IDに関連付けられた受信信号強度の偏差値をさらに求め、この偏差値が50に近い方の重複ID情報を有効と判定し、遠い方の重複ID情報を無効と判定する(判定手段)。そして、無効と判定された商品IDの読取結果情報を削除し、有効と判定された商品IDの読取結果情報を残す(整合手段)。かくして、ST88として重複商品IDリストからk番目の商品ID(k)を取得できなくなると、この重複判定処理を終了する。
【0117】
第1の無線タグ読取処理装置2Aからストアコンピュータ4に送信された読取結果情報101と、この第1の無線タグ読取処理装置2Aと読取期間の少なくとも一部が重複する第2の無線タグ読取処理装置2Bからストアコンピュータ4に送信された読取結果情報102の一例を図13に示す。
【0118】
この具体例に対して、第2の実施形態の重複判定処理が実行されると、先ず、無線タグ読取処理装置2Aからの読取結果情報101と、無線タグ読取処理装置2Bからの読取結果情報102との照合により、商品ID[123006]と商品ID[123067]が重複商品IDとして抽出される(ST81)。
【0119】
次に、読取結果情報101から重複商品ID[123006],[123067]以外の商品IDの受信信号平均強度Ms1と標準偏差σ1とが次の如く算出される(ST83)。
【0120】
Ms1=8.4
σ1≒4.15
また、読取結果情報102から重複商品ID[123006],[123067]以外の商品IDの受信信号平均強度Ms2と標準偏差σ1が次の如く算出される(ST84)。
【0121】
Ms2=8.0
σ2=2
次に、読取結果情報101から重複商品ID[123006]の受信信号強度Sg1=3.0が取得される(ST89)。同様に、読取結果情報102から重複商品ID[123006]の受信信号強度Sg2=9.0が取得される(ST90)。そして、偏差値T1及び偏差値T2が次の如く算出される(ST91)
T1≒{10(3.0−8.4)/4.15}+50=37.0
T2={10(9.0−8.0)/2}+50=55.0
したがって、偏差値T2の方が偏差値T1よりも50に近いので、会計用ゲート1Aの無線タグ読取装置20において読取られた商品ID[123006]は、隣接する会計用ゲート1Bに入ったショッピングカート内の商品に付された無線タグのIDであると推定することができる。この場合、ストアコンピュータ4では、読取結果情報101から商品ID[123006]のデータが削除される(ST94)。
【0122】
次に、読取結果情報101から重複商品ID[123007]の受信信号強度Sg1=6.0が取得される(ST89)。同様に、読取結果情報102から重複商品ID[123007]の受信信号強度Sg2=4.0が取得される(ST90)。そして、偏差値T1及び偏差値T2が次の如く算出される(ST91)
T1≒{10(6.0−8.4)/4.15}+50=44.2
T2={10(4.0−8.0)/2}+50=30.0
したがって、偏差値T1の方が偏差値T2よりも50に近いので、会計用ゲート1Bの無線タグ読取装置20において読取られた商品ID[123007]は、隣接する会計用ゲート1Aに入ったショッピングカート内の商品に付された無線タグのIDであると推定することができる。この場合、ストアコンピュータ4では、読取結果情報102から商品ID[123007]のデータが削除される(ST95)。
【0123】
以上のようなゲート番号組合せデータ(1,2)の重複判定処理により、図14示すように、読取結果情報101は情報103となり、読取結果情報102は情報104となる。すなわち、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様な作用効果を奏し得る。
【0124】
(第3の実施形態)
この第3の実施形態は、ID情報の受信に係わるパラメータとして受信時刻を用いて重複商品IDの有効、無効を判定する例である。
【0125】
図17及び図18は、第3の実施形態における重複判定処理の手順を示す流れ図である。無線タグ読取処理装置2Nから読取結果情報を受信した際に、この無線タグ読取処理装置2Nと読取期間の少なくとも一部が重複していた隣接の無線タグ読取処理装置2(N-1)または2(N+1)が既に決済待ちの状態にあるとき、CPU61は、この重複判定処理を開始する。
【0126】
先ず、CPU61は、ST101としてHDD装置65で記憶しているゲート番号i(N)の読取結果情報の商品IDとゲート番号j(N−1またはN+1)の読取結果情報の商品IDとを照合して重複する商品IDを全て抽出する。そして、抽出した商品IDのリストを作成する(照合手段)。ここで、重複する商品IDが存在しない場合は(ST102のNO)、CPU61は、この重複判定処理を終了する。
【0127】
重複する商品IDが存在しており、その重複商品IDリストが作成された場合には(ST102のYES)、CPU61は、ST103としてゲート番号i及びjの両読取結果情報のうち重複商品IDの読取結果情報を除いた残りの読取結果情報の中から、最も早い受信時刻を基準時刻T0として検出する。そして、ST104としてゲート番号iの読取結果情報のうち重複商品IDの読取結果情報を除いた残りの読取結果情報毎に、基準時刻T0から自己の受信時刻までの時間差を求め、その平均時間Mtiを算出する。また、ST105としてゲート番号jの読取結果情報のうち重複商品IDの読取結果情報を除いた残りの読取結果情報毎に、基準時刻T0から自己の受信時刻までの時間差を求め、その平均時間Mtjを算出する。
【0128】
次に、CPU61は、ST106としてカウンタkを一旦“0”にリセットする。しかる後、CPU61は、ST107としてこのカウンタkを“1”だけカウントアップする。そして、ST108として重複商品IDリストからk番目(kはカウント値)の商品ID(k)を取得する。
【0129】
重複商品IDリストからk番目の商品ID(k)を取得すると(ST109のYES)、CPU61は、ST110としてゲート番号iの読取結果情報の中から商品ID(k)を含む読取結果情報の受信時刻Tiを取得し、基準時刻T0から受信時刻Tiまでの時間差Tgiを算出する。また、ST111としてゲート番号jの読取結果情報の中から商品ID(k)を含む読取結果情報の受信時刻Tjを取得し、基準時刻T0から受信時刻Tjまでの時間差Tgjを算出する。
【0130】
しかる後、CPU61は、ST112として受信平均時間Mtiと時間差Tgiとの差の絶対値diと、受信平均時間Mtjと時間差Tgjとの差の絶対値djとを算出する。そして、ST113として一方の絶対値diから他方の絶対値djを減じた値(di−dj)を算出する。この値(di−dj)が正の場合、すなわち、受信平均時間Mtiに対する時間差Tgiの差diが、受信平均時間Mtjに対する時間差Tgjの差djより大きい場合、CPU61は、差が大きい方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、差が小さい方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST115としてゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0131】
これに対し、値(di−dj)が負の場合、すなわち、受信平均時間Mtiに対する時間差Tgiの差diが、受信平均時間Mtjに対する時間差Tgjの差djより小さい場合、CPU61は、差が大きい方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、差が小さい方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST116としてゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0132】
なお、値(di−dj)が“0”の場合、すなわち、受信平均時間Mtiに対する時間差Tgiの差diと、受信平均時間Mtjに対する時間差Tgjの差djとが等しい場合には、CPU61は、ST114として時間差Tgiから時間差Tgjを減じた値が正になるか否かを判断する。正になる場合、すなわち時間差Tgiより時間差Tgjの方が小さい場合には、時間差の小さい方(基準時刻T0に対して先に受信した方)、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を有効とし、時間差の大きい方(基準時刻T0に対して後から受信した方)、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を無効と判定する。そして、ST115としてゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0133】
これに対し、時間差Tgiと時間差Tgjとが等しい、あるいは時間差Tgiより時間差Tgjの方が大きい場合には、ゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、ゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST116としてゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0134】
ST115またはST116の処理を終了すると、CPU61は、ST107の処理に戻る。そして、カウンタkをさらに“1”だけカウントアップしたならば、ST108以降の処理を再度実行する。
【0135】
こうして、CPU61は、重複商品IDリストとして抽出した全ての商品IDについて、各商品IDの受信に係わるパラメータである受信時刻の平均値と、重複商品IDに関連付けられた受信時刻との差を求め、この差が小さい方の重複商品IDを有効と判定し、大きい方の重複商品IDを無効と判定する(判定手段)。そして、無効と判定された商品IDの読取結果情報を削除し、有効と判定された商品IDの読取結果情報を残す(整合手段)。かくして、ST109として重複商品IDリストからk番目の商品ID(k)を取得できなくなると、この重複判定処理を終了する。
【0136】
第1の無線タグ読取処理装置2Aからストアコンピュータ4に送信された読取結果情報101と、この第1の無線タグ読取処理装置2Aと読取期間の少なくとも一部が重複する第2の無線タグ読取処理装置2Bからストアコンピュータ4に送信された読取結果情報102の一例を図13に示す。
【0137】
この場合において、重複判定処理が実行されると、先ず、無線タグ読取処理装置2Aからの読取結果情報101と、無線タグ読取処理装置2Bからの読取結果情報102との照合により、商品ID[123006]と商品ID[123067]が重複商品IDとして抽出される(ST101)。
【0138】
次に、読取結果情報101と読取結果情報102との中から重複商品ID[123006],[123067]以外の商品IDの受信時刻で最も早い時刻[13:18:30,5]が基準時刻T0として取得される(ST103)。
【0139】
次に、読取結果情報101から重複商品ID[123006],[123067]以外の商品IDの受信時刻について、上記基準時刻T0からの時間差がそれぞれ算出され、さらにその平均時間が次の通り算出される(ST104)。
【0140】
Mt1=(0.0+0.0+0.1+0.1+0.1)/5=0.06
また、読取結果情報102から重複商品ID[123006],[123067]以外の商品IDの受信時刻について、上記基準時刻T0からの時間差がそれぞれ算出され、さらにその平均時間が次の通り算出される(ST105)。
【0141】
Mt2=(0.5+0.5+0.6)/3=0.53
次に、読取結果情報101から重複商品ID[123006]の受信時刻[13:18:30,7]が取得され、基準時刻T0から受信時刻[13:18:30,7]までの時間差Tg1が次の通り算出される(ST110)。
【0142】
Tg1=[13:18:30,7]−[13:18:30,5]=0.2
同様に、読取結果情報102から重複商品ID[123006]の受信時刻[13:18:30,9]が取得され、基準時刻T0から受信時刻[13:18:30,9]までの時間差Tg2が次の通り算出される(ST111)
Tg2=[13:18:30,9]−[13:18:30,5]=0.4
そして、この時間差Tg1と受信平均時間Mt1との差の絶対値d1、及び、時間差Tg2と受信平均時間Mt2との差の絶対値d2が次の通り算出される(ST112)
d1=|0.06−0.2|=0.14
d2=|0.53−0.5|=0.13
次に、絶対値d1と絶対値d2とが比較される(ST113)。この例では、絶対値d1の方が絶対値d2より大きい。したがって、会計用ゲート1Aの無線タグ読取装置20において読取られた商品ID[123006]は、隣接する会計用ゲート1Bに入ったショッピングカート内の商品に付された無線タグのIDであると推定することができる。この場合、ストアコンピュータ4では、読取結果情報101から商品ID[123006]のデータが削除される(ST115)。
【0143】
次に、読取結果情報101から重複商品ID[123007]の受信時刻[13:18:30,7]が取得され、基準時刻T0から受信時刻[13:18:30,7]までの時間差Tg1が次の通り算出される(ST110)。
【0144】
Tg1=[13:18:30,7]−[13:18:30,5]=0.2
同様に、読取結果情報102から重複商品ID[123007]の受信時刻[13:18:30,8]が取得され、さらに、基準時刻T0から受信時刻[13:18:30,8]までの時間差Tg2が次の通り算出される(ST111)
Tg2=[13:18:30,8]−[13:18:30,5]=0.3
そして、この時間差Tg1と受信平均時間Mt1との差の絶対値d1、及び、時間差Tg2と受信平均時間Mt2との差の絶対値d2が次の通り算出される(ST112)
d1=|0.06−0.2|=0.14
d2=|0.53−0.3|=0.23
次に、絶対値d1と絶対値d2とが比較される(ST113)。この場合、絶対値d2の方が絶対値d1より大きい。したがって、会計用ゲート1Bの無線タグ読取装置20において読取られた商品ID[123007]は、隣接する会計用ゲート1Aに入ったショッピングカート内の商品に付された無線タグのIDであると推定することができる。この場合、読取結果情報102から商品ID[123007]のデータが削除される(ST116)。
【0145】
以上のようなゲート番号組合せデータ(1,2)の重複判定処理により、図14示すように、読取結果情報101は情報103となり、読取結果情報102は情報104となる。すなわち、第3の実施形態においても、第1及び第2の実施形態と同様な作用効果を奏し得る。
【0146】
(第4の実施形態)
この第4の実施形態は、ID情報の受信に係わるパラメータとして受信信号強度と受信時刻とを用いて重複商品IDの有効、無効を判定する例である。
【0147】
この判定方法は、1つのショッピングカート5に収容された各商品にそれぞれ付されている無線タグから1つの会計用ゲートのアンテナまでの距離はおおよそ等しいので、無線タグが返す信号の強度も同じような傾向を示すだろうという考察(第1、第2の実施形態)と、1つのショッピングカート5に収容された各商品にそれぞれ付されている無線タグが1つの会計用ゲートのアンテナからの電波を受信して起動し始める時刻はおおよそ等しいので、無線タグが信号を返す時刻も同じような傾向を示すだろうという考察(第3の実施形態)との組み合わせに基づいている。
【0148】
図19及び図20は、第4の実施形態における重複判定処理の手順を示す流れ図である。無線タグ読取処理装置2Nから読取結果情報を受信した際に、この無線タグ読取処理装置2Nと読取期間の少なくとも一部が重複していた隣接の無線タグ読取処理装置2(N-1)または2(N+1)が既に決済待ちの状態にあるとき、CPU61は、この重複判定処理を開始する。
【0149】
先ず、CPU61は、ST121としてHDD装置65で記憶しているゲート番号i(N)の読取結果情報の商品IDとゲート番号j(N−1またはN+1)の読取結果情報の商品IDとを照合して重複する商品IDを全て抽出する。そして、抽出した商品IDのリストを作成する(照合手段)。ここで、重複する商品IDが存在しない場合は(ST122のNO)、CPU61は、この重複判定処理を終了する。
【0150】
重複する商品IDが存在しており、その重複商品IDリストが作成された場合には(ST122のYES)、CPU61は、ST123としてゲート番号iの読取結果情報のうち重複商品IDの読取結果情報を除いた残りの読取結果情報から受信信号強度の平均値Msiと基準時刻T0からの平均時間差Mtiを算出し、これら受信信号強度平均値Msiと平均時間差Mtiとを組にしたタググループ特徴ベクトル(Msi,Mti)を作成する。また、ST124としてゲート番号jの読取結果情報のうち重複商品IDの読取結果情報を除いた残りの読取結果情報から受信信号強度の平均値Msjと基準時刻T0からの平均時間差Mtjを算出し、これら受信信号強度平均値Msjと平均時間差Mtjとを組にしたタググループ特徴ベクトル(Msj,Mtj)を作成する。
【0151】
ここで、受信信号強度平均値Msi,Msjは、第1の実施形態のST63及びST64の処理ステップと同様にして算出し、平均時間差Mti,Mtjは、第3の実施形態のST103〜ST105の処理ステップと同様にして算出する。
【0152】
次に、CPU61は、ST125としてカウンタkを一旦“0”にリセットする。しかる後、CPU61は、ST126としてこのカウンタkを“1”だけカウントアップする。そして、ST127として重複商品IDリストからk番目(kはカウント値)の商品ID(k)を取得する。
【0153】
重複商品IDリストからk番目の商品ID(k)を取得すると(ST128のYES)、CPU61は、ST129としてゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報の受信信号強度Sgiと受信時刻Tiを取得し、基準時刻T0から受信時刻Tiまでの時間差Tgiを算出する。そして、受信信号強度Sgiとの時間差Tgiと組にした重複商品ID特徴ベクトル(Sgi,Tgi)を作成する。
【0154】
また、ST130としてゲート番号jの読取結果情報の中から商品ID(k)を含む読取結果情報の受信信号強度Sgjと受信時刻Tjを取得し、基準時刻T0から受信時刻Tjまでの時間差Tgjを算出する。そして、受信信号強度Sgjとの時間差Tgjと組にした重複商品ID特徴ベクトル(Sgj,Tgj)を作成する。
【0155】
次に、CPU61は、ST131としてタググループ特徴ベクトル(Msi,Mti)と重複商品ID特徴ベクトル(Sgi,Tgi)との内積を用いて、両ベクトル間の近さ(類似度)Diを求める。同様に、タググループ特徴ベクトル(Msj,Mtj)と重複商品ID特徴ベクトル(Sgj,Tgj)との内積を用いて、両ベクトル間の近さ(類似度)Djを求める。すなわち、下記演算式により、値Di,Djを求める。
【0156】
Di=Msi・Sgi+Mti・Tgi
Dj=Msj・Sgj+Mtj・Tgj
次に、CPU61は、ST132として一方の値Diから他方の値Djを減じた値(Di−Dj)を調べる。その結果、値(Di−Dj)が正の場合、すなわち、重複商品ID特徴ベクトル(Sgi,Tgi)よりも重複商品ID特徴ベクトル(Sgj,Tgj)の方がタググループ特徴ベクトル(Msi,Mti)に近い場合、CPU61は、遠い方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、近い方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST134としてゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0157】
これに対し、値(Di−Dj)が負の場合、すなわち、重複商品ID特徴ベクトル(Sgj,Tgj)よりも重複商品ID特徴ベクトル(Sgi,Tgi)の方がタググループ特徴ベクトル(Msi,Mti)に近い場合、CPU61は、遠い方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、近い方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST135としてゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0158】
なお、値(Di−Dj)が“0”の場合、すなわち、重複商品ID特徴ベクトル(Sgi,Tgi)とタググループ特徴ベクトル(Msi,Mti)とのベクトル間距離と、重複商品ID特徴ベクトル(Sgj,Tgj)とタググループ特徴ベクトル(Msi,Mti)とのベクトル間距離とが等しい場合には、CPU61は、ST133として受信信号強度Sgiから受信信号強度Sgjを減じた値が負になるか否かを判断する。負になる場合、すなわち受信信号強度Sgiより受信信号強度Sgjの方が大きい場合には、受信信号強度の小さい方、すなわちゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、受信信号強度の大きい方、すなわちゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST134としてゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0159】
これに対し、受信信号強度Sgiから受信信号強度Sgjを減じた値が負にならない場合には、ゲート番号jの読取結果情報における商品ID(k)を無効とし、ゲート番号iの読取結果情報における商品ID(k)を有効と判定する。そして、ST135としてゲート番号jの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を削除し、ゲート番号iの読取結果情報から商品ID(k)を含む読取結果情報を残す。
【0160】
ST134またはST135の処理を終了すると、CPU61は、ST126の処理に戻る。そして、カウンタkをさらに“1”だけカウントアップしたならば、ST127以降の処理を再度実行する。
【0161】
このような構成の第4の実施形態においても、第1乃至第3の実施形態と同様な作用効果を奏することができる。
【0162】
なお、この第4の実施形態では、両ベクトル間の近さを、内積を用いた「類似度」を使って判定したが、次式のように定義された「距離」を用いて判定してもよい。
【0163】
Di=sqrt[(Msi−Sgi)2+(Mti−Tgi)2]
Dj=sqrt[(Msj−Sgj)2+(Mtj−Tgj)2]
また、各実施形態ではストアコンピュータ4の内部に発明を実施するタグ情報整合プログラムが予め記録されている場合で説明をしたが、これに限らず同様のプログラムをネットワークから装置にダウンロードしても良いし、同様の機能を記録媒体に記憶させたものを装置にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROM等プログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であっても良い。またこのように予めインストールやダウンロードにより得る機能は装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0164】
また、本発明に係わる無線タグ処理システムの適用は、会計システムに限定されるものではなく、複数の無線タグ読取処理装置を近接して配置する必要がある無線タグ処理システム全般に適用できるものである。
【符号の説明】
【0165】
1A,1B,1C…会計用ゲート、2A,2B,2C…無線タグ読取処理装置、4…ストアコンピュータ(タグ情報整合装置)、6A,6B,6C…無線タグ読取用アンテナ、7A,7B,7C…タッチパネル付ディスプレイ、8A,8B,8C…自動決済装置、20…無線タグ読取装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0166】
【特許文献1】特開平11−120438号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線タグ読取処理装置と、前記各無線タグ読取処理装置で読取られた無線タグの情報を通信手段により受信して整合するタグ情報整合装置とを備え、
前記各無線タグ読取処理装置は、
無線タグと無線通信を行い、その無線タグ固有のID情報を受信するアンテナと、
所定の読取期間内に前記アンテナで受信したID情報を、そのID情報の受信に係わるパラメータと関連付けて記憶するタグID読取手段とを具備し、
前記タグ情報整合装置は、
読取期間の少なくとも一部が重複する第1の前記無線タグ読取処理装置と第2の前記無線タグ読取処理装置とに対し、前記第1の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶されたID情報と前記第2の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶されたID情報とを照合して重複するID情報を検索する照合手段と、
この照合手段により重複するID情報が検出されると、この重複ID情報に対して、前記第1の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で関連付けられた前記パラメータと前記第2の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で関連付けられた前記パラメータとから有効・無効を判定する判定手段と、
前記第1の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶された前記ID情報と前記第2の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶された前記ID情報とのなかから、前記判定手段により無効と判定された重複ID情報を削除し、有効と判定された重複ID情報を残す整合手段と、
を具備したことを特徴とする無線タグ処理システム。
【請求項2】
前記各無線タグ読取処理装置において、前記タグID読取手段によりタグ情報に関連付けられるパラメータはそのID情報を受信したときの受信信号強度であり、
前記タグ情報整合装置において、前記判定手段は、第1及び第2の無線タグ読取処理装置毎に、それぞれ前記タグID読取手段で記憶された複数のID情報にそれぞれ関連付けられた受信信号強度の平均値と、前記照合手段により検出された重複ID情報に関連付けられた受信信号強度との差を求め、この差が小さい方の重複ID情報を有効と判定し、大きい方の重複ID情報を無効と判定することを特徴とする請求項1記載の無線タグ処理システム。
【請求項3】
前記各無線タグ読取処理装置において、前記タグID読取手段によりタグ情報に関連付けられるパラメータはそのID情報を受信したときの受信信号強度であり、
前記タグ情報整合装置において、前記判定手段は、第1及び第2の無線タグ読取処理装置毎に、それぞれ前記タグID読取手段で記憶された複数のID情報にそれぞれ関連付けられた受信信号強度の標準偏差を求め、この標準偏差から前記照合手段により検出された重複ID情報に関連付けられた受信信号強度の偏差値をさらに求め、この偏差値が50に近い方の重複ID情報を有効と判定し、遠い方の重複ID情報を無効と判定することを特徴とする請求項1記載の無線タグ処理システム。
【請求項4】
前記各無線タグ読取処理装置において、前記タグID読取手段によりタグ情報に関連付けられるパラメータはそのID情報を受信したときの受信時刻であり、
前記タグ情報整合装置において、前記判定手段は、第1及び第2の無線タグ読取処理装置毎に、それぞれ前記タグID読取手段で記憶された複数のID情報にそれぞれ関連付けられた受信時刻の平均値と、前記照合手段により検出された重複ID情報に関連付けられた受信時刻との差を求め、この差が小さい方の重複ID情報を有効と判定し、大きい方の重複ID情報を無効と判定することを特徴とする請求項1記載の無線タグ処理システム。
【請求項5】
前記各無線タグ読取処理装置において、前記タグID読取手段によりタグ情報に関連付けられるパラメータはそのID情報を受信したときの受信信号強度と受信時刻であり、
前記タグ情報整合装置において、前記判定手段は、第1及び第2の無線タグ読取処理装置毎に、それぞれ前記タグID読取手段で記憶された複数のID情報にそれぞれ関連付けられた受信信号強度の平均値と受信時刻の平均値とを求め、これらの平均値を組にしてベクトルを作り、このベクトルと、前記照合手段により検出された重複ID情報に関連付けられた受信信号強度と受信時刻とを組にしたベクトルとの距離を求め、この距離が小さい方の重複ID情報を有効と判定し、大きい方の重複ID情報を無効と判定することを特徴とする請求項1記載の無線タグ処理システム。
【請求項6】
前記各無線タグ読取処理装置は、アンテナからの受信信号を処理する受信部に可変利得増幅器を備え、前記アンテナでID情報を受信する都度、その時点の前記可変利得増幅器への利得設定情報から、受信したID情報に対する受信信号強度を求めることを特徴とする請求項2、3または5に記載の無線タグ処理システム。
【請求項7】
無線タグと無線通信を行い、その無線タグ固有のID情報を受信するアンテナと、所定の読取期間内に前記アンテナで受信したID情報を、そのID情報の受信に係わるパラメータと関連付けて記憶するタグID読取手段とを備えた複数の無線タグ読取処理装置を、通信回線を介して接続してなるコンピュータを、
読取期間の少なくとも一部が重複する第1の前記無線タグ読取処理装置と第2の前記無線タグ読取処理装置とに対し、前記第1の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶されたID情報と前記第2の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶されたID情報とを照合して重複するID情報を検索する照合手段、
この照合手段により重複するID情報が検出されると、この重複ID情報に対して、前記第1の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で関連付けられた前記パラメータと前記第2の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で関連付けられた前記パラメータとから有効・無効を判定する判定手段、及び、
前記第1の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶された前記ID情報と前記第2の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶された前記ID情報とのなかから、前記判定手段により無効と判定された重複ID情報を削除し、有効と判定された重複ID情報を残す整合手段として機能させるためのタグ情報整合プログラム。
【請求項1】
複数の無線タグ読取処理装置と、前記各無線タグ読取処理装置で読取られた無線タグの情報を通信手段により受信して整合するタグ情報整合装置とを備え、
前記各無線タグ読取処理装置は、
無線タグと無線通信を行い、その無線タグ固有のID情報を受信するアンテナと、
所定の読取期間内に前記アンテナで受信したID情報を、そのID情報の受信に係わるパラメータと関連付けて記憶するタグID読取手段とを具備し、
前記タグ情報整合装置は、
読取期間の少なくとも一部が重複する第1の前記無線タグ読取処理装置と第2の前記無線タグ読取処理装置とに対し、前記第1の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶されたID情報と前記第2の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶されたID情報とを照合して重複するID情報を検索する照合手段と、
この照合手段により重複するID情報が検出されると、この重複ID情報に対して、前記第1の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で関連付けられた前記パラメータと前記第2の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で関連付けられた前記パラメータとから有効・無効を判定する判定手段と、
前記第1の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶された前記ID情報と前記第2の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶された前記ID情報とのなかから、前記判定手段により無効と判定された重複ID情報を削除し、有効と判定された重複ID情報を残す整合手段と、
を具備したことを特徴とする無線タグ処理システム。
【請求項2】
前記各無線タグ読取処理装置において、前記タグID読取手段によりタグ情報に関連付けられるパラメータはそのID情報を受信したときの受信信号強度であり、
前記タグ情報整合装置において、前記判定手段は、第1及び第2の無線タグ読取処理装置毎に、それぞれ前記タグID読取手段で記憶された複数のID情報にそれぞれ関連付けられた受信信号強度の平均値と、前記照合手段により検出された重複ID情報に関連付けられた受信信号強度との差を求め、この差が小さい方の重複ID情報を有効と判定し、大きい方の重複ID情報を無効と判定することを特徴とする請求項1記載の無線タグ処理システム。
【請求項3】
前記各無線タグ読取処理装置において、前記タグID読取手段によりタグ情報に関連付けられるパラメータはそのID情報を受信したときの受信信号強度であり、
前記タグ情報整合装置において、前記判定手段は、第1及び第2の無線タグ読取処理装置毎に、それぞれ前記タグID読取手段で記憶された複数のID情報にそれぞれ関連付けられた受信信号強度の標準偏差を求め、この標準偏差から前記照合手段により検出された重複ID情報に関連付けられた受信信号強度の偏差値をさらに求め、この偏差値が50に近い方の重複ID情報を有効と判定し、遠い方の重複ID情報を無効と判定することを特徴とする請求項1記載の無線タグ処理システム。
【請求項4】
前記各無線タグ読取処理装置において、前記タグID読取手段によりタグ情報に関連付けられるパラメータはそのID情報を受信したときの受信時刻であり、
前記タグ情報整合装置において、前記判定手段は、第1及び第2の無線タグ読取処理装置毎に、それぞれ前記タグID読取手段で記憶された複数のID情報にそれぞれ関連付けられた受信時刻の平均値と、前記照合手段により検出された重複ID情報に関連付けられた受信時刻との差を求め、この差が小さい方の重複ID情報を有効と判定し、大きい方の重複ID情報を無効と判定することを特徴とする請求項1記載の無線タグ処理システム。
【請求項5】
前記各無線タグ読取処理装置において、前記タグID読取手段によりタグ情報に関連付けられるパラメータはそのID情報を受信したときの受信信号強度と受信時刻であり、
前記タグ情報整合装置において、前記判定手段は、第1及び第2の無線タグ読取処理装置毎に、それぞれ前記タグID読取手段で記憶された複数のID情報にそれぞれ関連付けられた受信信号強度の平均値と受信時刻の平均値とを求め、これらの平均値を組にしてベクトルを作り、このベクトルと、前記照合手段により検出された重複ID情報に関連付けられた受信信号強度と受信時刻とを組にしたベクトルとの距離を求め、この距離が小さい方の重複ID情報を有効と判定し、大きい方の重複ID情報を無効と判定することを特徴とする請求項1記載の無線タグ処理システム。
【請求項6】
前記各無線タグ読取処理装置は、アンテナからの受信信号を処理する受信部に可変利得増幅器を備え、前記アンテナでID情報を受信する都度、その時点の前記可変利得増幅器への利得設定情報から、受信したID情報に対する受信信号強度を求めることを特徴とする請求項2、3または5に記載の無線タグ処理システム。
【請求項7】
無線タグと無線通信を行い、その無線タグ固有のID情報を受信するアンテナと、所定の読取期間内に前記アンテナで受信したID情報を、そのID情報の受信に係わるパラメータと関連付けて記憶するタグID読取手段とを備えた複数の無線タグ読取処理装置を、通信回線を介して接続してなるコンピュータを、
読取期間の少なくとも一部が重複する第1の前記無線タグ読取処理装置と第2の前記無線タグ読取処理装置とに対し、前記第1の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶されたID情報と前記第2の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶されたID情報とを照合して重複するID情報を検索する照合手段、
この照合手段により重複するID情報が検出されると、この重複ID情報に対して、前記第1の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で関連付けられた前記パラメータと前記第2の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で関連付けられた前記パラメータとから有効・無効を判定する判定手段、及び、
前記第1の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶された前記ID情報と前記第2の無線タグ読取処理装置のタグID読取手段で記憶された前記ID情報とのなかから、前記判定手段により無効と判定された重複ID情報を削除し、有効と判定された重複ID情報を残す整合手段として機能させるためのタグ情報整合プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−250694(P2010−250694A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101212(P2009−101212)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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