説明

無線ネットワークシステム、ネットワーク管理装置及び劣化検出方法

【課題】通信品質が劣化する不感エリアの割合を最小限にするとともに、役所など公共性の高いエリアや、災害時における優先的な接続を許可する法人契約ユーザエリアの品質を高く維持することができる無線ネットワークシステムを提供すること
【解決手段】本発明にかかる無線ネットワークシステムは、重要エリアに設置されているセンサ端末及び通信サービスを受けるユーザが利用する一般端末からそれぞれ無線品質情報を収集する無線品質情報収集部65と、センサ端末を識別する識別子及び一般端末を識別する識別子の少なくとも一方に基づいて、第1及び第2の無線品質情報を識別する識別部66と、識別された第1の無線品質情報を用いて、重要エリアにおける無線品質の劣化を検出し、第2の無線品質情報を用いて、一般端末が在圏する一般エリアにおける無線品質の劣化を検出する劣化検出部67と、を備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線ネットワークシステムに関し、特に端末装置を用いて無線品質の劣化を検出する無線ネットワーク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
陸上移動通信システムでは、一般に広域エリアを無線セルと呼ばれる小ゾーンに分割し、1から10程度の無線セルにつき1つの無線基地局が配備されている。基地局のアンテナは、できるだけ広い領域に対して電波を放射できるように鉄塔や高層ビルの屋上などに設置される。さらに、無線セル内において通信不能となる不感地帯がなるべく小さくなるように、基地局のアンテナのチルト角や送信出力が設定される。
【0003】
このような基地局のアンテナチルト角と、送信出力及び隣接セルリストといった無線パラメータとを適正に設定するため、エリア設計時や、運用中にフィールドにおける無線品質の詳細な測定がおこなわれる。この無線品質の詳細な測定は、専用の測定器を搭載した電測車を用いた走行試験によっておこなわれていた。しかし、測定とその結果の解析に多くの作業を要し、かつ無線品質の問題が多く発生する屋内では測定が難しいという課題があった。
【0004】
こうした課題を解決するため、一般ユーザが利用する無線端末における無線品質情報を基地局が収集し、その統計値に基づき無線セルのカバレッジを自動的に調整する方法が開示されている。例えば、非特許文献1には、無線端末が非通信中(IDLE状態)に周辺セルの無線品質の測定および測定結果の記録をおこない、ネットワークからの要求に応じて測定結果を送信する方法(Logged MDT)が記載されている。この場合、無線端末において測定すべき情報としては、周辺セルのセルID、キャリア周波数、リファレンス信号の受信電界強度および受信品質等がある。
【0005】
特許文献1では、一般ユーザの移動端末に対して、エリアや時刻を指定して無線品質の測定を指示する方法が開示されている。具体的には、降水量、降雪量、風速、風向、気温、落雷情報などの気象情報、およびメジャー警報、呼処理警報、リソース使用状況、呼損状況などのネットワーク監視情報等に基づいて測定エリアや測定時刻を指定する方法が挙げられている。
【0006】
特許文献2では、電波伝搬推定とデジタル地図データの属性情報とを利用した不感地帯対策の優先度判定方法が開示されている。特許文献2によれば、探索対象領域における無線通信環境の現状を示す電波環境データと探索対象領域内の建物に関する属性情報を含むデジタル地図データとに基づいて不感地建物を抽出する。ここで、抽出された不感地帯建物の属性情報から、不感地帯対策を施すことによって得られる効果を推定し、効果の大きさに従って不感地帯対策の優先順位付けを行う。建物の属性情報としては、フロア毎のテナントの用途情報(飲食店、サービス業、専門店街、ロビー、ホール、客室)などがある。この属性情報と建物のフロア面積とから、不感地帯対策を施すことによって得られるトラフィック増と品質改善効果を推定する。
【0007】
特許文献3では、固定的に設置される無線センサノードと、移動可能である無線モバイルセンサノードとが、周期的に周囲の状況をセンシングして基地局へ送信するセンサネットワークが開示されている。さらに、センサネットワークは、データを要求するユーザに対して、センサネットワーク内の管理サーバに蓄積されているセンサデータを容易且つ迅速に提供することができるように構成されている。また、特許文献4にも、センサ機能を有する無線フィールド機器から測定データを上位ネットワークへ送信する構成が開示されている。
【0008】
特許文献5では、センサネットサーバと、センサノードとの間の通信を中継する中継ノードとを備えるセンサネットシステムが開示されている。センサネットサーバは、センサノードと中継ノードとの間の通信品質を監視し、センサノードと中間ノードの通信品質が悪化すると、センサノードの接続先を自動的に通信品質の良い中間ノードへ移すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−204296号公報
【特許文献2】特開2006−303788号公報
【特許文献3】特開2011−118950号公報
【特許文献4】特開2011−041063号公報
【特許文献5】特開2009−111455号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】3GPP TS 37.320, "Radio measurement collection for Minimization of Drive Tests (MDT); Overall description; Stage 2 (Release 10)", Sec.5.1.1.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一般的に移動通信システムでは、通信品質が劣化する不感地帯の割合を最小限にするとともに、特に役所など公共性の高いエリアや、災害時における優先的な接続を許可する一部の法人契約ユーザエリアの品質を高く維持することが求められる。
【0012】
しかし、非特許文献1に記載された方法では、必ずしも無線端末からGPS(Global Positioning System)等による詳細測位情報が取得できないことがあり、無線セル内で特に品質を高く維持したい局所的なエリアにおける不感地の存在を把握できないという問題がある。これは、無線端末がGPSのような詳細測位機能を備えていない場合だけでなく、詳細測位機能を備えていたとしても不感地帯が屋内で測位システムの電波が受信しにくい場所に存在する場合にも生じる問題である。
【0013】
特許文献1に開示されている方法では、無線品質の測定を指示する際に限定するエリア情報として気象情報や設備故障に伴うネットワーク監視情報を用いるが、これらは無線セルの単位よりも大きい範囲で生じるため、セル内の局所的な不感地を把握できないという問題がある。
【0014】
特許文献2に開示されている方法では、不感エリアを高精度に推定するための伝搬推定と地図情報が必要となるが、都市環境の変化を反映した最新のデジタル地図情報が入手できない場合など、必ずしも伝搬推定手法が適用できない場合があった。
【0015】
特許文献3乃至5に開示されているネットワークでは、センサノードにおいて測定されたセンサデータをネットワークに配置されているサーバに送信する構成が開示され、さらにセンサデータを用いて無線品質の劣化を検出する構成についても開示されているが、非特許文献1と同様に、無線セル内で特に品質を高く維持したい局所的なエリアにおける不感知の存在を把握することができない。また、特許文献3には、固定的に設置される無線センサノードと、移動可能である無線モバイルセンサノードとを備えるネットワークの構成が開示されている。しかし、無線セル全体の品質を向上させるためには、多くの無線モバイルセンサノード、例えば電測車等、を用いるか、ひとつの無線モバイルセンサノードにおいて大量のデータを収集する必要があり、効率的に無線品質を測定して分析することはできない。
【0016】
これらの問題により、ネットワーク運用中に無線パラメータを自律的に更新した場合、エリア全体の品質の改善を優先した結果、公共性の高い一部のエリアの品質が局所的に劣化した場合でもそれを検出することができないという問題があった。
【0017】
本発明は、このような問題を解決するために、通信品質が劣化する不感エリアの割合を最小限にするとともに、特に役所など公共性の高いエリアや、災害時における優先的な接続を許可する一部の法人契約ユーザエリアの品質を高く維持することができる無線ネットワークシステム、ネットワーク管理装置及び劣化検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の態様にかかる無線ネットワークシステムは、重要エリアに設置されているセンサ端末から第1の無線品質情報を収集し、通信サービスを受けるユーザが利用する一般端末から第2の無線品質情報を収集する無線品質情報収集部と、前記センサ端末を識別する識別子及び前記一般端末を識別する識別子の少なくとも一方に基づいて、前記第1及び第2の無線品質情報を識別する識別部と、識別された前記第1の無線品質情報を用いて、前記重要エリアにおける無線品質の劣化を検出し、前記第2の無線品質情報を用いて、前記一般端末が在圏する一般エリアにおける無線品質の劣化を検出する劣化検出部と、を備えるものである。
【0019】
本発明の第2の態様にかかるネットワーク管理装置は、基地局と接続され、前記基地局を監視制御するネットワーク管理装置であって、重要エリアに設置されているセンサ端末から第1の無線品質情報を収集し、通信サービスを受けるユーザが利用する一般端末から第2の無線品質情報を収集する無線品質情報収集部と、前記センサ端末を識別する識別子及び前記一般端末を識別する識別子の少なくとも一方に基づいて、前記第1及び第2の無線品質情報を識別する識別部と、識別された前記第1の無線品質情報を用いて、前記重要エリアにおける無線品質の劣化を検出し、前記第2の無線品質情報を用いて、前記一般端末が在圏する一般エリアにおける無線品質の劣化を検出する劣化検出部と、を備えるものである。
【0020】
本発明の第3の態様にかかる劣化検出方法は、重要エリアに設置されているセンサ端末から第1の無線品質情報を収集し、通信サービスを受けるユーザが利用する一般端末から第2の無線品質情報を収集し、前記センサ端末を識別する識別子及び前記一般端末を識別する識別子の少なくとも一方に基づいて、前記第1及び第2の無線品質情報を識別し、識別された前記第1の無線品質情報を用いて、前記重要エリアにおける無線品質の劣化を検出し、識別された前記第2の無線品質情報を用いて、前記一般端末が在圏する一般エリアにおける無線品質の劣化を検出するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、通信品質が劣化する不感エリアの割合を最小限にするとともに、特に役所など公共性の高いエリアや、災害時における優先的な接続を許可する一部の法人契約ユーザエリアの品質を高く維持することができる無線ネットワークシステム、ネットワーク管理装置及び劣化検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態1にかかるネットワーク管理装置の構成図である。
【図2】実施の形態1にかかるネットワーク全体の構成図である。
【図3】実施の形態1にかかる基地局の構成図である。
【図4】実施の形態1にかかるネットワーク管理装置の詳細な構成図である。
【図5】実施の形態1にかかるセンサ端末識別子DBの構成図である。
【図6】実施の形態1にかかる一般エリア端末無線品質情報DBにおける無線品質情報のヒストグラム統計を示めす図である。
【図7】実施の形態1にかかる重要エリア端末無線品質情報DBにおける無線品質情報のヒストグラム統計を示す図である。
【図8】実施の形態1にかかる無線品質の分析動作に関するフローチャートである。
【図9】実施の形態2にかかるネットワーク管理装置の詳細な構成図である。
【図10】実施の形態2にかかる無線品質の分析動作に関するフローチャートである。
【図11】実施の形態3にかかる無線品質の分析動作に関するフローチャートである。
【図12】実施の形態4にかかる無線品質の分析動作に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1を用いて本発明の実施の形態1にかかるネットワーク管理装置について説明する。ネットワーク管理装置60は、無線品質情報収集部65と、識別部66と、劣化検出部67とを備えている。
【0024】
無線品質情報収集部65は、重要エリアに設置されているセンサ端末及び通信サービスを受けるユーザが利用する一般端末からそれぞれ無線品質情報を収集する。重要エリアとは、役所など公共性の高いエリアや、災害時における優先的な接続を許可する一部の法人契約ユーザエリア等である。重要エリアは、基地局が構成する無線セル内に局所的に存在する。センサ端末は、無線通信を行う対向装置、例えば基地局等との間の無線品質情報を収集する端末である。センサ端末は、測定した無線品質情報等を無線通信により送信することができる機能を有する。
【0025】
一般端末は、無線セルに在圏し、通信キャリア等が提供する通信サービスを受けるユーザが利用する端末である。一般端末は、通信サービスを受ける機能とともに、無線品質等を測定するセンサ機能を搭載している。例えば、一般端末は、携帯電話端末、PHS(Personal Handy-phone System)端末、スマートフォン端末、PDA(Personal Digital Assistant)端末等の容易に持ち運ぶことができる端末である。一般端末が在圏する無線セルを、本明細書においては一般エリアとも称する。一般端末は、一般エリア内を移動して通信を行うことができる。また、一般端末は、通信サービスを受けるとともに、一般端末と基地局等との間の無線品質情報を収集することができる。
【0026】
識別部66は、センサ端末を識別する識別子及び一般端末を識別する識別子の少なくとも一方に基づいて、センサ端末から収集した無線品質情報と一般端末から収集した無線品質情報とを識別する。識別子は、例えば、端末を製造する際に端末ごとに一意に割り当てられる識別子等であってもよく、ユーザが端末を購入後に、端末を利用するユーザや通信キャリア等によって設定される識別子等であってもよい。
【0027】
劣化検出部67は、センサ端末から収集された無線品質情報を用いて、重要エリアにおける無線品質の劣化を検出し、一般端末から収集された無線品質情報を用いて、一般端末が在圏する一般エリアにおける無線品質の劣化を検出する。
【0028】
以上説明したように、図1にかかるネットワーク管理装置を用いることにより、十分な無線品質を確保しておくべき一部の重要エリアの品質の劣化を検出するとともに、無線セルのエリア(一般エリア)全体の品質劣化を検出することにより、品質改善を実現することが可能となる。また、図1においては、無線品質情報収集部65、識別部66及び劣化検出部67をネットワーク管理装置60に配置する構成について説明したが、無線品質情報収集部65、識別部66、劣化検出部67は別々にネットワーク内の異なる装置に配置されてもよい。例えば、無線品質情報収集部65等は、通信端末と無線通信を行う基地局や、ネットワーク内の異なるサーバ装置等に配置されてもよい。
【0029】
続いて、図2を用いて本発明の実施の形態1におけるネットワークの構成例を示す。図2において、基地局50は、120度の指向性アンテナを備えた3セクタ構成の基地局である。基地局50は、配下にセル11乃至13を収容する。また、基地局51は、無指向性アンテナを備えた基地局であり、配下にセル14を収容する。セルの構成は、これらに制限されるものではなく、基地局は、ネットワークの設計に応じて任意の数のセルを配下に収容することができる。
【0030】
セル11のカバー範囲内には公共性の高い重要エリア70が存在する。重要エリア70内には、センサ端末30及び31が固定的に据えつけてある。また、セル11内には、一般端末40及び41が在圏している。センサ端末30及び31と、一般端末40及び41とは、無線リンクを介して基地局50と通信する。
【0031】
セル12のカバー範囲においては、一般端末42が無線リンクを介して基地局50と通信する。セル13のカバー範囲においては、一般端末43および重要エリア71に設置されたセンサ端末32が無線リンクを介して基地局50と通信する。また、セル14のカバー範囲では、一般端末44が無線リンクを介して基地局51と通信する。
【0032】
基地局50および51は、それぞれ有線リンク80及び81を介して有線網90に接続される。有線網90は、ネットワーク管理装置60を有している。ネットワーク管理装置60は、基地局50及び基地局51等のパフォーマンス、障害の発生の有無等を監視している。また、基地局50および51は、有線リンク80及び81のかわりに無線リンクを用いて有線網90に接続されてもよい。
【0033】
続いて、図3を用いて本発明の実施の形態1にかかる基地局50の構成例について説明する。基地局50は、送受信部100と、呼制御部102と、端末無線品質情報収集部103と、無線パラメータ設定部104と、ハンドオーバ制御部105と、を備えている。基地局51についても、基地局50と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0034】
送受信部100は、無線リンクを介してセンサ端末30乃至32及び一般端末40乃至43と無線信号の送受信を行う。さらに、送受信部100は、有線リンク80を介してネットワーク管理装置60を有する有線網90との間で信号の転送をおこなう。また、送受信部100は、基地局51との間で、無線リンク又は有線リンクを介して信号の転送を行ってもよい。例えば、基地局50と基地局51との間においては、ハンドオーバ制御に関する信号が転送されてもよい。
【0035】
呼制御部102は、一般端末40乃至43に対する発呼や着呼といった呼制御を行う。さらに、呼制御部102は、一般端末40乃至43に対して、基地局50と通信を行うために無線リソースの割り当てをおこなう。
【0036】
端末無線品質情報収集部103は、ネットワーク管理装置60からの指示を受けて配下のセンサ端末30乃至32および一般端末40乃至43から無線品質情報を収集する。もしくは、端末無線品質情報収集部103は、ネットワーク管理装置60からの指示を受けない場合、配下のセンサ端末30乃至32及び一般端末40乃至43から定期的に無線品質情報を収集してもよい。端末無線品質情報収集部103は、収集した無線品質情報をネットワーク管理装置60へ送信する。
【0037】
無線パラメータ設定部104は、ネットワーク管理装置60からの指示を受けて自局の無線パラメータ(送信電力、アンテナチルト角、ハンドオーバ閾値、隣接セルリストなど)を更新する。無線パラメータは、端末無線品質情報収集部103において収集された無線品質情報に基づいて、セル11乃至13及び、重要エリア70及び71における無線品質を向上させるように更新される。設定される無線パラメータは、ネットワーク管理装置60において分析され決定される。
【0038】
ハンドオーバ制御部105は、ハンドオーバの対象となる一般端末に対するリソースの割り当て又は解放等のハンドオーバ制御を行う。例えば、ハンドオーバ制御部105は、他の基地局配下に在圏している一般端末が基地局50配下の一般エリアにハンドオーバする際に、該当する端末に対するリソースを確保して割り当てを行ってもよい。さらに、基地局50配下に在圏している一般端末が、他の基地局配下の一般エリアにハンドオーバする際に、確保していたリソースを解放してもよい。
【0039】
続いて、図4を用いて本発明の実施の形態1にかかるネットワーク管理装置60の構成例について説明する。ネットワーク管理装置60は、送受信部200と、端末種別識別部201と、端末無線品質収集部202と、端末無線品質情報分析部203と、品質劣化通知部204と、センサ端末識別子データベース(以下、センサ端末識別子DBと称する)205と、一般エリア端末無線品質情報DB206と、重要エリア端末無線品質情報DB207と、を備えている。
【0040】
送受信部200は、有線リンク80及び81を介して、基地局50及び51と信号の送受信をおこなう。端末無線品質収集部202は、基地局50及び51に対して、センサ端末30乃至32および一般端末40乃至44における無線品質情報の収集を要求する。それぞれの端末から送信された無線品質情報は、送受信部200を介して端末種別識別部201へ出力される。また、端末から送信される無線品質情報には、それぞれの端末を識別するために用いられる識別子が含まれる。
【0041】
端末種別識別部201は、センサ端末識別子DB205に対して、端末無線品質収集部202から出力された端末の識別子に関する問い合わせを行う。センサ端末識別子DB205には、端末の識別子と、その端末が重要エリアに設置されたセンサ端末か、又は、それ以外の一般端末かに関する情報が関連付けられて管理されている。センサ端末識別子DB205の詳細な構成例については、後に説明する。端末種別識別部201は、無線品質情報に含まれる端末の識別子と、センサ端末識別子DB205に管理されている情報とに基づいて、重要エリアに配置された登録済みのセンサ端末30乃至32にから送信された無線品質情報と、一般エリアに在圏する一般端末40乃至44から送信された無線品質情報とを識別する。
【0042】
センサ端末30乃至32から送信された無線品質情報は重要エリア端末無線品質情報DB207に格納され、一般端末40乃至44から送信された無線品質情報は一般エリア端末無線品質情報DB206に格納される。
【0043】
端末無線品質情報分析部203は、一般エリア端末無線品質情報DB206及び重要エリア端末無線品質情報DB207に格納された無線品質情報を分析し、一般エリア及び重要エリアにおいて品質劣化が生じているか否かを分析する。端末無線品質情報分析部203における詳細な分析方法は、後に説明する。端末無線品質情報分析部203は、一般エリア又は重要エリアにおける品質劣化を検出した場合、品質劣化の検出を品質劣化通知部204へ通知し、品質劣化通知部204は、例えば、ネットワーク管理装置60における表示部(図示せず)等へ出力し、ネットワーク管理装置60を管理する保守者等へ品質劣化の検出を通知してもよい。
【0044】
続いて、図5を用いて、本発明の実施の形態1にかかるセンサ端末識別子DB205の構成例について説明する。センサ端末識別子DB205は、端末識別子301と、Cell ID302と、重要エリアID303と、重要エリア名称304と、センサ設置場所情報305と、最新測定時刻306と、に関する情報を管理している。
【0045】
端末識別子301の列には、センサ端末30乃至32を一意に識別する識別子、たとえばセンサ端末30乃至32に設定されているIMEI(International Mobile Equipment Identifier)情報が保持される。この識別子は一般端末とセンサ端末の全体に対して一意性を持つよう定義されている必要がある。例えば、端末識別子301の列には、センサ端末30を示す識別子"xxxx〜"と、センサ端末31を示す"yyyy〜"と、センサ端末32を示す"zzzz〜"とが保持される。
【0046】
また、Cell ID302の列には、センサ端末30乃至32が配置されたセルの識別子が保持される。例えば、Cell ID302の列には、センサ端末30及び31が在圏するセル11を示す"11"と、センサ端末32が在圏するセル13を示す"13"とが保持される。
【0047】
重要エリアID303の列には、セル内に局所的に存在する重要エリアを識別する識別子が保持される。例えば、重要エリアID303の列には、セル11に存在する重要エリア70を示す"70"と、セル13に存在する重要エリア71を示す"71"とが保持される。
【0048】
重要エリア名称304の列には、重要エリアを識別する名称が保持される。例えば、重要エリア70には、公共機関Aとの名称が関連づけられ、重要エリア71には、法人Bとの名称が関連づけられる。
【0049】
センサ設置場所情報305の列には、センサ端末30乃至32が設置されている設置場所が保持される。例えば、センサ端末30は、公共機関Aの1Fに設置され、センサ端末31は、公共機関Aの24Fに設置され、センサ端末32は、法人Bの12F会議室Xに設置されていることを示している。
【0050】
最新測定時刻306の列には、センサ端末30乃至32から基地局50に対して最後に無線品質情報が送信された時刻が保持されている。本図においては、時刻を秒単位にて保持する例を示しているが、時刻は、分単位であっても時間単位であってもよい。
【0051】
なお、上述したセンサ端末識別子DB205の構成例においては、センサ端末30乃至32に関する識別子を管理している例について説明したが、一般端末40乃至44に関する識別子を管理してもよい。この場合、端末種別識別部201は、一般端末40乃至44に関する識別子以外の識別子を含む無線品質情報受け取った場合、センサ端末から送信された無線品質情報であることを識別することができる。
【0052】
続いて、図6を用いて本発明の実施の形態1にかかる一般エリア端末無線品質情報DB206において保持される無線品質情報のヒストグラム統計の例について説明する。一般端末40乃至44から収集した無線品質情報は、セル毎に集計されて統計情報として保持される。Cell ID情報400の行には、セルIDを示す11乃至14の値が格納される。
【0053】
RSRP統計情報401は、一般端末40乃至44において測定されたリファレンス信号の受信電界強度(Reference Signal Received Power)に関する統計情報である。RSRP統計情報401は、RSRPを5dBm刻みでヒストグラム統計としている。例えば、−115dBm以下の部分は、受信電界強度が所要値未満の弱電界領域であることを示す。RSRP統計情報401のtotal行は、セル毎に収集した無線品質情報の測定報告数である。例えば、セル11における弱電界領域の測定報告の割合は、(0+1+2+4)/2048=0.3%となる。
【0054】
同様に、RSRQ統計情報402は、一般端末40乃至44において測定されたリファレンス信号の受信信号品質(Reference Signal Received Quality)に関する統計情報である。RSRQ統計情報402は、RSRQを3dB刻みでヒストグラム統計としている。例えば、−12dB以下の部分は、干渉および雑音による信号の受信品質が所要値未満の干渉過多の領域であることを示す。RSRQ統計情報402のtotal行は、セル毎に収集した無線品質情報の測定報告数である。例えば、セル11における干渉過多の測定報告の割合は、(0+0+4)/2048=0.2%である。なお、一般エリア無線品質情報に関しては一般端末から収集した無線品質に加えて、センサ端末から収集した無線品質情報を合算して保持しても良い。
【0055】
続いて、図7を用いて本発明の実施の形態1にかかる重要エリア端末無線品質情報DB207において保持される端末無線品質情報のヒストグラム統計の例について説明する。Cell ID情報500と、RSRP統計情報502と、RSRQ統計情報503とは、Cell ID情報400と、RSRP統計情報401と、RSRQ統計情報402と同様の情報を示す。
【0056】
重要エリア端末無線品質情報DB207では、各々のセル内において重要エリアとして定義された重要エリアID501をあわせて保持する。セル11には重要エリア70、セル13には重要エリア71が関連付けられている。一方、カバーエリア内部に重要エリアが定義されていないセル12及び14に関しては、統計情報は空のままである。例えば、セルID11の重要エリア70において、RSRPが所要値未満の弱電界の測定報告の割合は、(0+0+1+2)/8=37.5%となる。また、セルID11の重要エリア70において、RSRQが所要値未満の干渉過多の測定報告の割合は、(0+0+3)/8=37.5%である。重要エリア内に複数のセンサ端末を配置した場合、ここでは単純に統計値を合計しているが、センサ端末毎に統計をとって最悪値で評価しても良い。また、セル内に複数の重要エリアが存在する場合、単純に合算するだけでなく、重要エリア毎に統計をとって最悪値を用いて評価しても良い。
【0057】
続いて、図8を用いて本発明の実施の形態1にかかる端末無線品質情報分析部203が行う無線品質の分析動作について説明する。端末無線品質情報分析部203は、処理を開始すると(ステップS100)、まず分析対象とするセルを1つずつ順番に選択する(ステップS101)。端末無線品質情報分析部203は、すべてのセルの分析を完了すると処理を終了する(ステップS102)。
【0058】
端末無線品質情報分析部203は、分析対象セルを選択した場合、次に重要エリア端末無線品質情報DB207から重要エリアの無線品質情報を取得する(ステップS103)。ここで重要エリアのRSRPが所定値未満の割合が第1の閾値を上回るかどうかを判定する(ステップS104)。例えば、所定値としては、図7における−115dBmが用いられ、第1の閾値とは、統計の割合が用いられる。第1の閾値を上回るようであれば、端末無線品質情報分析部203は、重要エリアの弱電界検出を品質劣化通知部204に出力する(ステップS105)。
【0059】
ステップS104において、重要エリアのRSRPが所定値未満の割合が第1の閾値を上回らなかった場合、次に重要エリアのRSRQが所定値未満の割合が第2の閾値を上回るか否かを判定する(ステップS106)。第2の基準値を上回るようであれば、端末無線品質情報分析部203は、重要エリアの干渉過多検出を品質劣化通知部204に出力する(ステップS107)。所定値及び第2の閾値は、例えば、RSRPの例と同様である。
【0060】
同様に、端末無線品質情報分析部203は、一般エリア端末無線品質情報DB206から一般エリアの端末無線品質情報を取得し(ステップS108)、一般エリアのRSRPが所定値未満の割合が第3の閾値を上回るか否かを判定する(ステップS109)。第3の閾値を上回るようであれば、端末無線品質情報分析部203は、一般エリアの弱電界検出を品質劣化通知部204に出力する(ステップS110)。
【0061】
ステップS109において一般エリアのRSRPが所定値未満の割合が第3の閾値を上回らなかった場合、端末無線品質情報分析部203は、さらに一般エリアのRSRQが所定値未満の割合が第4の閾値を上回るかを判定する(ステップS111)。第4の閾値を上回った場合には、端末無線品質情報分析部203は、一般エリアの干渉過多検出を品質劣化通知部204に出力し(ステップS112)、そうでない場合にはステップS101に戻って次のセルの分析をおこなう。
【0062】
このように、重要エリアと一般エリアとの品質を独立に監視することにより、重要エリアにおける品質劣化を精度良く検出することが可能になる。
【0063】
なお、上記ステップS104、S106、S109、S111では、無線品質情報のヒストグラムが所定値以下となる割合の閾値超過の有無に基づき弱電界や干渉過多の検出をおこなっているが、検出の方法としてはこれに限定されることなく他のやり方も考えられる。例えば、測定したRSRPおよびRSRQの値と、システム帯域幅の値から、シャノン=ハートレーの定理に基づく理想的な通信路容量を計算し、重要エリアおよび一般エリアにおける平均スループットまたはスループットの下位X%値の値などに基づき、当該エリアにおける通信品質の劣化を検出するようにしても良い。
【0064】
(実施の形態2)
続いて、図9を用いて実施の形態2における無線ネットワーク管理装置61の構成例について説明する。無線ネットワーク管理装置61の構成は、実施の形態1の無線ネットワーク管理装置60における品質劣化通知部204の代わりに、無線パラメータ設定部208が用いられる。この無線パラメータ設定部208は、端末無線品質情報分析部203の分析結果に基づき、基地局の無線パラメータ(送信電力、アンテナチルト角など)を更新し、無線線ネットワーク管理装置61が管理する基地局群に対して更新したパラメータを通知する。
【0065】
次に図10を用いて、本発明の実施の形態2における端末無線品質情報分析部203がおこなう端末無線品質の分析動作について説明する。端末無線品質情報分析部203は、無線品質情報分析処理を開始すると(ステップS120)、まず分析対象とするセルを1つずつ順番に選択する(ステップS121)。端末無線品質情報分析部203は、すべてのセルの分析が完了したら処理を終了する(ステップS122)。
【0066】
次に端末無線品質情報分析部203は、重要エリア端末無線品質情報DB207から重要エリアの無線品質情報を取得する(ステップS123)。ここで、無線品質情報分析部203は、重要エリアのRSRPが所定値未満の割合が第1の閾値を上回るかどうかを判定する(ステップS124)。第1の閾値を上回る場合には、端末無線品質情報分析部203は、重要エリアの弱電界を検出したものとみなし、分析対象セルの送信電力をΔP1[dB]だけ増加するように無線パラメータ設定部208に出力する(ステップS125)。ステップS124において重要エリアのRSRPが所定値未満の割合が第1の閾値を上回らなかった場合、端末無線品質情報分析部203は、次に重要エリアのRSRQが所定値未満の割合が第2の閾値を上回るか否かを判定する(ステップS126)。第2の閾値を上回った場合には、端末無線品質情報分析部203は、重要エリアの干渉過多を検出したものとみなし、周辺セルの送信電力をΔP2[dB]だけ減少するように無線パラメータ設定部208に出力する(ステップS127)。
【0067】
一般エリアに関しても同様に、端末無線品質情報分析部203は、一般エリア端末無線品質情報DB206から一般エリアの無線品質情報を取得し(ステップS128)、一般エリアのRSRPが所定値未満の割合が第3の閾値を上回るか否かを判定する(ステップS129)。第3の閾値を上回った場合には、端末無線品質情報分析部203は、一般エリアにおける弱電界の問題を検出したものとみなし、分析対象セルの送信電力をΔP3[dB]だけ増加するように無線パラメータ設定部208に出力する(ステップS130)。
【0068】
また、一般エリアのRSRQが所定値未満の割合が第4の閾値を上回った場合には(ステップS131)、周辺セルの送信電力をΔP4[dB]だけ減少するように無線パラメータ設定部208に出力する(ステップS132)。これらの分析処理を完了すると、ステップS121に戻って次のセルの分析をおこなう。このように、実施の形態2では、重要エリアと一般エリアとの品質を独立に監視するとともに、重要エリアの品質の劣化に対するパラメータ変更を、一般エリアの品質の劣化に対するパラメータ変更に対して優先的におこなっている。これにより、実施の形態2によれば、セル内の重要エリアの品質を維持した上で、セル全体の一般エリアの品質を改善することが可能となる。なお、実施の形態2では分析対象セルまたはその周辺セルの送信電力を変更しているが、送信電力の代わりにアンテナのダウンチルト角を変更しても同様な効果が得られる。
【0069】
(実施の形態3)
次に図11を用いて、本発明の実施の形態3において端末無線品質分析手段203がおこなう端末無線品質の分析動作について説明する。ステップS140乃至S142は、図10におけるステップS120乃至122と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0070】
分析対象とするセルが存在する場合は、端末無線品質情報分析部203は、重要エリア端末無線品質情報DB207から重要エリアの無線品質情報を取得し(ステップS143)、一般エリア端末無線品質情報DB206から一般エリアの端末無線品質情報を取得する(ステップS144)。
【0071】
次に、端末無線品質情報分析部203は、重要エリアのRSRPが所定値未満の割合が、一般エリアのRSRPが所定値未満の割合の半分を上回るか否かを判定する(ステップS145)。上回る場合には、端末無線品質情報分析部203は、重要エリアの弱電界を検出したものとみなし、分析対象セルの送信電力をΔP1[dB]だけ増加するように無線パラメータ設定部208に出力する(ステップS146)。また、端末無線品質情報分析部203は、重要エリアのRSRQが所定値未満の割合が、一般エリアのRSRQ所定値未満の割合の半分を上回るか否かを判定する(ステップS147)。これが上回った場合には、端末無線品質情報分析部203は、重要エリアの干渉過多を検出したものとみなし、分析対象セルの周辺のセルの送信電力をΔP2[dB]だけ減少するように無線パラメータ設定部208に出力する(ステップS148)。以後の動作については実施の形態2と同様である。
【0072】
このように、重要エリアにおいて目標とする通信品質を一般エリアの品質に対して相対的に設定することにより、様々な無線ネットワークの構成や伝搬特性に対して柔軟に重要エリアの目標品質を決定することができる。
【0073】
(実施の形態4)
続いて、図12を用いて本発明の実施の形態4において端末無線品質情報分析部203がおこなう無線品質の分析動作について説明する。端末無線品質情報分析部203は、端末無線品質情報分析処理を開始すると(ステップS160)、分析対象とするセルを1つずつ順番に選択する(ステップS161)。端末無線品質情報分析部203は、すべてのセルの分析が完了したら処理を終了する(ステップS162)。端末無線品質情報分析部203は、次に重要エリア端末無線品質情報DB207から重要エリアの無線品質情報を取得し(ステップS163)、一般エリア端末無線品質情報DB206から一般エリアの無線品質情報を取得する(ステップS164)。
【0074】
端末無線品質情報分析部203は、現在の時刻が前回の無線パラメータ変更から所定時間以上経過しているか否かを判定する(ステップS165)。前回の無線パラメータ変更から所定時間以上経過している場合、ステップS161の処理を繰り返す。前回の無線パラメータ変更から所定時間以上経過していない場合、端末無線品質情報分析部203は、無線パラメータ変更後の重要エリアの全測定報告数が、無線パラメータ変更前の重要エリアの全測定報告数の例えば20%未満であるかどうかを判定する(ステップS166)。重要エリアの測定報告数がパラメータ変更前の20%未満に急減した場合、端末無線品質情報分析部203は、重要エリアのセンサ端末が不感地帯に入ったために測定報告が収集できなくなってしまったものとみなし、変更前の分析対象セルまたは周辺セルの送信電力に戻すことを示す信号を端末無線品質情報分析部203に出力する(ステップS167)。
【0075】
重要エリアの測定報告数がパラメータ変更前の20%未満に急減していない場合、端末無線品質情報分析部203は、無線パラメータ変更後の一般エリアの全測定報告数が、無線パラメータ変更前の一般エリアの全測定報告数の例えば20%未満であるかどうかを判定する(ステップS168)。無線パラメータ変更後の一般エリアの全測定報告数が無線パラメータ変更前の一般エリアの全測定報告数の20%未満に急減した場合、一般エリアにおいて不感地帯の割合が増加したものとみなし、変更前の分析対象セルまたは周辺セルの送信電力に戻すことを示す信号を無線パラメータ設定部208に出力する(ステップS169)。
【0076】
このように、実施の形態4によれば、無線パラメータの変更によって重要エリアにまったく通信ができない不感地帯が発生したことを、センサ端末から収集した測定報告数の急減によって検出することができる。もしくは、端末無線品質情報分析部203は、無線パラメータ変更後に、単位時間あたりの測定報告数に基づいて、無線パラメータの変更によって重要エリアにまったく通信ができない不感地帯が発生したことを検出してもよい。
【0077】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。上述した実施の形態においては、無線品質情報の保存や分析等の処理は、ネットワーク管理装置において集中的に行うように機能配置している。しかし、無線品質情報の分析処理には、無線セル配下の無線端末から収集した情報のみが分析対象となり、周辺無線セル経由で取得した情報は必要としない。そのため、無線品質情報の保存と分析処理をそれぞれの基地局に機能配置し、分散的に実行することも可能である。
【符号の説明】
【0078】
11〜14 セル
30〜32 センサ端末
40〜44 一般端末
50、51 基地局
60、61 ネットワーク管理装置
65 無線品質情報収集部
66 識別部
67 劣化検出部
70、71 重要エリア
80、81 有線リンク
90 有線網
100 送受信部
102 呼制御部
103 端末無線品質情報収集部
104 無線パラメータ設定部
105 ハンドオーバ制御部
200 送受信部
201 端末種別識別部
202 端末無線品質収集部
203 端末無線品質情報分析部
204 品質劣化通知部
205 センサ端末識別子DB
206 一般エリア端末無線品質情報DB
207 重要エリア端末無線品質情報DB
208 無線パラメータ設定部
301 端末識別子
302 Cell ID
303 重要エリアID
304 重要エリア名称
305 センサ設置場所情報
306 最新測定時刻

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重要エリアに設置されているセンサ端末から第1の無線品質情報を収集し、通信サービスを受けるユーザが利用する一般端末から第2の無線品質情報を収集する無線品質情報収集手段と、
前記センサ端末を識別する識別子及び前記一般端末を識別する識別子の少なくとも一方に基づいて、前記第1及び第2の無線品質情報を識別する識別手段と、
識別された前記第1の無線品質情報を用いて、前記重要エリアにおける無線品質の劣化を検出し、前記第2の無線品質情報を用いて、前記一般端末が在圏する一般エリアにおける無線品質の劣化を検出する劣化検出手段と、を備える無線ネットワークシステム。
【請求項2】
前記一般エリアは、無線基地局と通信を行う前記一般端末が在圏する無線セルであり、
前記重要エリアは、前記無線セル内に局在するエリアであり、前記重要エリアに在圏する端末は、前記一般端末よりも優先的に通信を行うことができる、請求項1に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項3】
前記センサ端末は、前記重要エリア内の予め定められた位置に設置され、
前記一般端末は、前記一般エリア内を移動し、さらに前記一般エリアとは異なる他の一般エリアへ移動する、請求項1又は2に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項4】
前記劣化検出手段は、
前記センサ端末又は前記一般端末から収集した無線品質のうち予め定められた第1の基準値を下回る無線品質情報の割合が、第2の基準値を上回る場合に、無線品質の劣化を検出する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項5】
前記劣化検出手段は、
前記センサ端末から収集した無線品質のうち予め定められた第3の基準値を下回る無線品質情報の割合が、前記一般端末から収集した無線品質のうち前記第3の基準値を下回る無線品質の割合と比較して予め定められた第4の基準値を上回る場合に、無線品質の劣化を検出する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項6】
前記劣化検出手段によって検出された前記重要エリア又は前記一般エリアにおける無線品質の劣化に基づいて前記無線品質の劣化を解消させるように基地局の無線パラメータを変更する無線パラメータ設定手段をさらに備え、
前記無線パラメータ設定手段は、
前記重要エリアにおける無線品質の劣化に基づいて行う前記無線パラメータの変更を、前記一般エリアにおける無線品質の劣化に基づいて行う無線パラメータの変更に対して優先的に実行する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項7】
前記無線パラメータ設定手段は、
前記センサ端末又は前記一般端末において受信したリファレンス信号の受信電界強度及び受信電界品質の少なくとも一方を向上させるように前記無線パラメータの変更を行う、請求項6に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項8】
前記無線パラメータ設定手段は、
前記無線パラメータの変更後に、前記センサ端末から収集した前記第1の無線品質情報又は前記一般端末から収集した前記第2の無線品質情報の単位時間あたりの数が、前記無線パラメータの設定前に対して所定の割合以上に減衰した場合、前記無線パラメータを、変更前の値に戻す、請求項6又は7に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項9】
基地局と接続され、前記基地局を監視制御するネットワーク管理装置であって、
重要エリアに設置されているセンサ端末から第1の無線品質情報を収集し、通信サービスを受けるユーザが利用する一般端末から第2の無線品質情報を収集する無線品質情報収集部と、
前記センサ端末を識別する識別子及び前記一般端末を識別する識別子の少なくとも一方に基づいて、前記第1及び第2の無線品質情報を識別する識別部と、
識別された前記第1の無線品質情報を用いて、前記重要エリアにおける無線品質の劣化を検出し、前記第2の無線品質情報を用いて、前記一般端末が在圏する一般エリアにおける無線品質の劣化を検出する劣化検出部と、を備えるネットワーク管理装置。
【請求項10】
前記識別部は、
前記第1の無線品質情報を第1の記憶部に蓄積し、前記第2の無線品質情報を第2の記憶部に蓄積し、
前記劣化検出部は、前記第1及び第2の記憶部に蓄積された無線品質情報を用いて、前記重要エリア及び前記一般エリアにおける無線品質の劣化を検出する、請求項9に記載のネットワーク管理装置。
【請求項11】
前記劣化検出部によって検出された前記重要エリア又は前記一般エリアにおける無線品質の劣化に基づいて前記無線品質の劣化を解消させるように基地局の無線パラメータを変更する無線パラメータ設定部をさらに備え、
前記無線パラメータ設定部は、
前記重要エリアにおける無線品質の劣化に基づいて行う前記無線パラメータの変更を、前記一般エリアにおける無線品質の劣化に基づいて行う無線パラメータの変更に対して優先的に実行する、請求項9又は10に記載のネットワーク管理装置。
【請求項12】
重要エリアに設置されているセンサ端末から第1の無線品質情報を収集し、
通信サービスを受けるユーザが利用する一般端末から第2の無線品質情報を収集し、
前記センサ端末を識別する識別子及び前記一般端末を識別する識別子の少なくとも一方に基づいて、前記第1及び第2の無線品質情報を識別し、
識別された前記第1の無線品質情報を用いて、前記重要エリアにおける無線品質の劣化を検出し、
識別された前記第2の無線品質情報を用いて、前記一般端末が在圏する一般エリアにおける無線品質の劣化を検出する劣化検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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