説明

無線ネットワーク制御装置、通信制御方法

【課題】データ送信において共有チャネルを使用している状態で、共有チャネルから個別チャネルへの切り替えを行うべきか否かについて適切に判断できるようにした無線ネットワーク制御装置、通信制御方法を提供すること。
【解決手段】無線ネットワーク制御装置RNCは、HS-DSCHにおける移動局UE宛のユーザデータの送信を個別チャネルで行った場合の、ユーザデータの送信に要する送信電力である第1送信電力の情報を取得する。また、無線ネットワーク制御装置RNCは、基地局Node-BがHS-DSCHで送信を行っているときに、HS-DSCHによるユーザデータの送信に要する送信電力である第2送信電力の情報を取得する。そして、無線ネットワーク制御装置RNCは、第1送信電力と第2送信電力の比較結果に基づいて、HS-DSCHを使用しない第1送信モード、またはHS-DSCHを使用する第2送信モードのいずれかを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局および無線ネットワーク制御装置を含む無線アクセスネットワークにおける通信制御に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、W-CDMA方式の移動通信システム(以下、単にW-CDMAという。)における下り高速無線通信を実現させるための拡張方式として、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)方式が規定されている。HSDPAは、複数の移動局で1つの物理チャネル(HS-DSCH)を共有する通信方式である。HSDPAでは、基地局(Node-B)から各移動局(UE:User Equipment)への下りデータの送信を、符号と一定時間ごとに区切った特定の単位(スロット)に適宜割り当てることで物理チャネル(HS-DSCH:High-Speed Downlink Shared Channel)の共有化を実現している。なお、HSDPAはW-CDMAにおける拡張方式であるため、移動局の中にはHSDPAによるデータ伝送に対応しないものも存在する。そのため、無線ネットワーク制御装置は、HSDPAによるデータ通信の適用あるいは非適用の選択を移動局毎に行う。
【0003】
W-CDMAでは、HSDPAを用いない場合、基地局は下りデータ通信に当たって、移動局ごとに個別に割り当てた物理チャネル(以下、「個別チャネル」という。)によって接続を確立する。W-CDMAにおいて個別チャネルを用いたデータ通信を行う場合、基地局は、個別チャネルによる一定のデータ通信速度を確保し、移動局での信号受信品質を維持することを目的として、送信電力制御を行う。具体的には、移動局は、基地局からの受信信号を基に例えばSIR(Signal to Interference Ratio;信号対干渉比)を測定し、その測定したSIRを目標SIRと比較する。移動局は、その比較結果に応じて、基地局に対して送信電力を一定量増加させる、あるいは低下させることを要求するTPC(Transmit Power Control)ビットを送信する。
【0004】
一方、HSDPAでは、単一の物理チャネルであるHS-DSCHを複数の移動局で共有するため、送信電力制御は行なわれず、各移動局での信号受信品質は、基地局から送信する際の伝送フォーマット(変調方式と誤り訂正符号化率)を変更することで確保される。具体的には、信号を移動局にて受信する際に受信信号品質を測定し、それを基地局に対して報告し、基地局は報告を受け、受信信号品質が悪い場合には低速の伝送フォーマットを、受信信号品質が良い場合には高速の伝送フォーマットを選択して信号を送信する制御を行なう。例えば、受信信号品質の悪いときには、安定性は高いが低速なQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調方式と誤り訂正能力の大きい符号化方式を選択し、受信信号品質が良いときには、より高速な16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)変調方式と誤り訂正能力の小さい符号化方式を選択する。
【0005】
HSDPAにおいては上記伝送フォーマットの変更が高速に行なわれるため、各移動局においてより適切な受信品質が得られ、結果として、個別チャネルによる通信よりも通信容量が向上する。また、物理チャネルを複数の移動局で共有しており、移動局の通信状態に応じたスロットの割り当てを行うため、統計多重効果によって個別チャネルによる通信よりも通信容量が向上する。結果として、従来のW-CDMAと比較して、帯域あるいは送信電力当たりの通信容量(収容効率)が向上する。
【0006】
基地局は、HS-DSCHでは送信電力制御を行なわず許容最大電力でデータを送信する。ここで、許容最大電力とは、基地局の送信能力等を考慮して予め定められた上限の送信電力から、全移動局共通で使用するチャネル(以下、「共通チャネル」という。)と、個別チャネルで使用する送信電力を除いた電力である。また、HS-DSCHは複数の移動局で共有するチャネルであるため、HS-DSCHでデータ通信を行う移動局が少ない場合、あるいはHS-DSCHによる全データ通信量が少ない場合であっても、基地局は上述した許容最大電力でデータの送信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−341170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、HSDPAによるデータ通信では、十分な数の移動局がデータ通信を行い、その移動局がそれぞれ異なる通信状態にあるという条件の下では、送信電力当たりの通信容量が向上する。しかしながら、その条件が満たされない場合、すなわち、HSDPAによるデータ通信を少数の移動局が行う場合(例えば、HS-DSCHのスロットがすべて割り当てられない場合)には、統計多重効果が十分に機能しない。また、その少数の移動局の通信状態が良好でない場合、これらの移動局に対するデータ通信では高速な変調、高い符号化率を選択することが出来ない。一方、HSDPAによるデータ通信では、HS-DSCHを使用して通信を行う移動局の数とは無関係に、上記許容最大電力でデータを送信することになる。よって、HSDPAによるデータ通信を少数の移動局が行う場合には、送信電力当たりの通信容量(収容効率)が低下する可能性が高い。
【0009】
ここで、HS-DSCH(共有チャネル)を使用してデータ通信を行っている状態から、HS-DSCHを使用せずにデータ通信を行うようにする(つまり、HS-DSCHで行っていたデータ通信をすべて個別チャネルによるデータ通信に切り替える)ことを考える。この場合、HS-DSCHを使用せずにデータ通信を行うことで基地局の送信電力が低下することは明らかであるが、その一方で個別チャネルではすべて移動局を収容できない場合が想定される。そのため、従来は、データ送信においてHS-DSCH(共有チャネル)を使用している状態で、HS-DSCH(共有チャネル)から個別チャネルへの切り替えを行うべきか否かについて適切な判断を行うことができなかった。
【0010】
よって、発明の1つの側面では、データ送信において共有チャネルを使用している状態で、共有チャネルから個別チャネルへの切り替えを行うべきか否かについて適切に判断できるようにした無線ネットワーク制御装置、通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の観点では、基地局から移動局宛のユーザデータを送信するためのチャネルとして、移動局ごとに割り当てられる個別チャネルと、移動局に共有で割り当てられる共有チャネルとを用意する無線ネットワーク制御装置が提供される。
この無線ネットワーク制御装置は、
基地局から移動局宛のユーザデータの送信において、共有チャネルを使用しない第1送信モードと、共有チャネルを使用する第2送信モードとの間で、送信モードを選択する制御部と、
基地局が第2送信モードで送信を行っているときに、共有チャネルにおける移動局宛のユーザデータの送信を個別チャネルで行った場合の、ユーザデータの送信に要する送信電力である第1送信電力の情報を取得する第1処理部と、
基地局が第2送信モードで送信を行っているときに、共有チャネルによるユーザデータの送信に要する送信電力である第2送信電力の情報を取得する第2処理部と、
を備え、
制御部は、第1送信電力と第2送信電力の比較結果に基づいて、第1送信モードまたは第2送信モードのいずれかを選択することを特徴とする。
【0012】
第2の観点では、上記無線ネットワーク制御装置における通信制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
開示の無線ネットワーク制御装置、通信制御方法によれば、データ送信において共有チャネルを使用している状態で、共有チャネルから個別チャネルへの切り替えを行うべきか否かについて適切に判断できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態の無線ネットワーク制御装置を含む無線アクセスネットワークを示す図。
【図2】第1の実施形態の基地局がHS-DSCHを使用してデータ通信を行っている状態の送信電力を示す図。
【図3】第1の実施形態の無線ネットワーク制御装置における送信電力の比較処理を概念的に示す図。
【図4】第1の実施形態の無線ネットワーク制御装置における送信電力の比較処理を概念的に示す図。
【図5】第1の実施形態の無線ネットワーク制御装置および基地局の構成を示すブロック図。
【図6】第1の実施形態の無線ネットワーク制御装置および基地局のハードウエア構成を示す図。
【図7】移動局宛の下りのユーザデータの送信について、HS-DSCHから個別チャネルへ移行の処理フローを示す図。
【図8】移動局宛の下りのユーザデータの送信について、個別チャネルからHS-DSCHへ移行の処理フローを示す図。
【図9】チャネルの移行に伴う消費電力の時系列上の推移の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(1)第1の実施形態
以下、第1の実施形態について説明する。
なお、以下の各実施形態の説明では、基地局がユーザデータの送信にHS-DSCHを使用しない送信モードは、第1送信モードの一例である。基地局がユーザデータの送信にHS-DSCHを使用する送信モードは、第2送信モードの一例である。
【0016】
(1−1)無線アクセスネットワークにおける通信制御方法
図1は、本実施形態の無線ネットワーク制御装置を含む無線アクセスネットワーク(UTRAN:Universal Terrestrial Radio Access Network)を示す図である。図1に示す無線アクセスネットワークは、W-CDMA方式の移動通信システムを採り、コアネットワークCNに接続されている。無線アクセスネットワークは、無線ネットワーク制御装置RNC(Radio Network Controller)と、基地局Node-Bと、移動局UEとによって構成されている。無線ネットワーク制御装置RNCは、luインタフェースを介してコアネットワークCNに接続されており、無線リソースの管理や、基地局Node-Bの制御等を行う。基地局Node-Bは、lubインタフェースを介して無線ネットワーク制御装置RNCに接続されている。移動局UEは、無線インタフェースを介して、基地局Node-B及び無線ネットワーク制御装置RNCに接続されるように構成されている。
【0017】
図2は、本実施形態の基地局Node-BがHS-DSCH(共有チャネル)を使用してデータ通信を行っている状態の送信電力を示す図である。図2において、Pは、全移動局共通で使用する共通チャネルによる送信電力であり、基地局全体でほぼ一定と考えてよい。PDXは、基地局からHSDPAに非対応の移動局宛の個別データを送信するためのチャネルとして、移動局ごとに割り当てられる個別チャネル(DCH: Dedicated Chanel)による送信電力である。Pは、HS-DSCHによる送信電力である。基地局Node-Bの最大の送信電力PMAXは予め定められており、HS-DSCHによる送信電力Pは、以下式(1)に示すように、許容最大電力、すなわち、PMAXからPとPDXを除いた電力となる。
【0018】
=PMAX−P−PDX …(1)
【0019】
無線ネットワーク制御装置RNCは、管理対象の個々の基地局Node-Bに対して、HS-DSCHを使用するか否かを制御している。また、無線ネットワーク制御装置RNCは、自装置と接続を確立している移動局UEごとに、HSDPAに対応可能な移動局であるか否かを管理している。
【0020】
(1−2)HS-DSCHの使用時の通信制御方法
先ず、本実施形態のHS-DSCHの使用時の無線ネットワーク制御装置RNCの通信制御方法を説明する。
本実施形態の無線ネットワーク制御装置RNCは、基地局Node-BがHS-DSCHを使用して下りのデータ送信を行っているときに、そのHS-DSCHによるデータ送信を個別チャネルで行った場合に要する送信電力(以下、適宜「第1送信電力」という。)を推定する。また、本実施形態の無線ネットワーク制御装置RNCは、基地局Node-BがHS-DSCHを使用して下りのデータ送信を行っているときに、その送信に要する送信電力(以下、適宜「第2送信電力」という。)を算出する。そして、無線ネットワーク制御装置RNCは、第1送信電力と第2送信電力の比較結果に基づいて、HS-DSCHによるデータ送信を維持するか、またはHS-DSCHを使用しないデータ送信(つまり、個別チャネルによるデータ送信)に切り替えるかを決定する。
【0021】
本実施形態の無線ネットワーク制御装置RNCは、基地局Node-BがHS-DSCHを使用して下りのデータ送信を行っているときに、上記第1送信電力(個別チャネルに切り替えた場合の送信電力)の推定を以下のとおり行うことができる。
[推定方法1]
基地局Node-Bは、HS-DSCHの使用時においても、制御データ等のユーザデータ以外の情報を伝送するために下りの個別チャネルの接続を移動局UEとの間で確立している場合がある。この場合は、基地局Node-Bはその個別チャネルによる送信に対して送信電力制御を適用しているため、個別チャネルに要する送信電力を移動局UEごとに把握している。そこで、無線ネットワーク制御装置RNCは、この送信電力(ユーザデータ以外の情報の個別チャネルによる送信時の電力)を第1送信電力と推定することができる。
【0022】
[推定方法2]
基地局Node-Bが移動局UEとの間で制御データおよびユーザデータの下りの個別チャネルによる接続を確立していない場合、無線ネットワーク制御装置RNCは、移動局UEから基地局Node-B宛の上りの個別チャネルの送信電力によって、上記第1送信電力を推定することができる。第1送信電力は下りの送信電力であるため、上りの個別チャネルの送信電力とは異なるが、W-CDMAでは個別チャネルにおいて上りおよび下りの双方で送信電力制御を行っており、上りと下りで伝播環境が概ね等しいことを前提として上記推定が成り立つ。なお、上りの個別チャネルがEUL(Enhanced UpLink;物理チャネルとしてE-DPDCHを使用)を利用する場合でも、上記推定を行うことができる。具体的には、基地局Node-Bは、自局における上り信号の受信品質(例えばSIR)に基づいて、上りの個別チャネルにおける送信電力制御を、移動局UEに対する送信電力の増加あるいは減少の指示(TPCビット)によって行う。そこで、基地局Node-Bは、初期の移動局UEの送信電力を移動局UEから取得しておき、その後の送信電力の増加あるいは減少の指示を逐次記憶しておくことで、常に移動局UEからの上りの送信電力を管理する。無線ネットワーク制御装置RNCは、基地局Node-Bが管理する移動局UEの上りの送信電力を第1送信電力として利用する。
なお、この推定方法2では、推定方法1とは異なり、下りの個別チャネルの送信電力を直接的に算出することはできないため、無線ネットワーク制御装置RNCは、上りの送信電力と下りの第1送信電力の換算を行うために参照するデータあるいは換算式(総称して参照データ)を予め備えていることが好ましい。この参照データは、基地局Node-Bまたは無線ネットワーク制御装置RNCのいずれかに在ればよい。
【0023】
[推定方法3]
基地局Node-BがHS-DSCHを使用して下りのデータ送信を行っているときに、そのHS-DSCHによるデータ送信の移動局UEにおける受信品質であるCQI(Channel Quality Indicator)に基づいて第1送信電力を推定してもよい。移動局UEは、CQIとして例えば受信SIRを測定してよい。移動局UEは、下りのデータ送信における受信品質であるCQIを測定して逐次、基地局Node-Bに報告している。基地局Node-Bは、移動局UEから報告されるCQIに基づいて、その移動局UEに対するデータ送信の伝送フォーマット(変調方式と誤り訂正符号化率)を決定している。そこで、本実施形態の無線ネットワーク制御装置RNCは、移動局UEから基地局Node-Bへ報告されるCQI、あるいはCQIに応じて基地局Node-Bで決定される伝送フォーマットに基づいて、第1送信電力を推定してもよい。第1送信電力は送信電力制御が適用される下りの個別チャネルの送信電力であるから、HS-DSCHを使用しているときの移動局UEにおける下りの受信品質に応じて、第1送信電力を高精度で推定できる。
なお、この推定方法3では、推定方法2と同様、下りの個別チャネルの送信電力を直接的に算出することはできないため、無線ネットワーク制御装置RNCは、CQIあるいは伝送フォーマットと第1送信電力の換算を行うために参照するデータあるいは換算式(総称して参照データ)を予め備えていることが好ましい。この参照データは、基地局Node-Bまたは無線ネットワーク制御装置RNCのいずれかに在ればよい。
【0024】
本実施形態の無線ネットワーク制御装置RNCは、上述した推定方法を利用して、基地局Node-BがHS-DSCHを使用して下りのデータ送信を行っているときの、第1送信電力(個別チャネルに切り替えた場合の送信電力)を推定する。ここで、基地局Node-BがHS-DSCHを使用して複数の移動局UE,UE,…,UEに対して下りのデータ送信を行っているときに、各移動局UEに対して個別チャネルで通信を行った場合に要する送信電力の推定値をそれぞれPD1,PD2,…,PDnとする。この推定値PD1,PD2,…,PDnの合計をPとする。本実施形態の無線ネットワーク制御装置RNCは、HS-DSCHによる送信電力P(第2送信電力)と第1送信電力の推定値P(第1送信電力)とを比較する。この比較では、予め設定されている個別チャネルへの移行に当たっての閾値P、および、第1送信電力の推定誤差などから生じるチャネルの切り替えの頻発を回避するためのマージンPを考慮して行う。
具体的には、本実施形態の無線ネットワーク制御装置RNCは、以下の式(2)を満足するときに、移動局UE宛のデータ送信を、HS-DSCHによるデータ送信から個別チャネルによるデータ送信へ切り替えるように制御する。なお、式(2)において、P+Pは、第1閾値の一例である。
【0025】
>P+P+P …(2)
【0026】
図3は、無線ネットワーク制御装置RNCにおける上記式(2)の比較処理を概念的に示す図であり、一例として式(2)を満たす場合が示されている。
【0027】
図2に示したように、HS-DSCHを使用したデータ送信では、基地局Node-Bによって予め定められた最大電力PMAXを使用することになるため、HS-DSCHを使用しないデータ送信とすることで基地局Node-Bの送信電力が低下する。また、本実施形態の通信制御方法では、HS-DSCHによるデータ送信を行っている状態で、事前に(すなわち、個別チャネルへの切り替えを行う前に)、個別チャネルでの送信電力を推定するようにしたため、個別チャネルに移行した場合に基地局Node-Bのデータ送信に支障が無いか予め判断することができる。つまり、式(2)を満足する場合には、個別チャネルへ移行しても基地局Node-Bの収容能力上問題がないと判断することができる。これにより、HS-DSCHから個別チャネルへ実際に移行した後に、個別チャネルですべての移動局を収容できないという状況を回避することができる。
【0028】
(1−3)個別チャネル使用時の通信制御方法
次に、本実施形態の個別チャネル使用時の無線ネットワーク制御装置RNCの通信制御方法を説明する。
本実施形態の無線ネットワーク制御装置RNCは、基地局Node-Bが個別チャネルを使用して下りのデータ送信を行っているときには定期的に、個別チャネルによる送信電力を基地局Node-Bから取得する。ここで取得対象の個別チャネルによる送信電力は、基地局Node-BからHSDPAに対応可能な移動局UE宛のデータ送信に要する送信電力である。基地局Node-Bは、個別チャネルの使用時には、送信電力制御によって送信先の移動局UEごとの送信電力を制御しているため、送信電力を送信先の移動局UEごとに管理している。そして、基地局Node-Bは、個別チャネルの使用時には定期的に、無線ネットワーク制御装置RNC宛に移動局UEごとの下りの送信電力を報告する。
無線ネットワーク制御装置RNCは、移動局UE宛のデータ送信にHS-DSCHを使用せずに個別チャネルを使用しているときでも、その移動局UE宛のデータ送信にHS-DSCHを使用した場合に要する送信電力(HS-DSCHのみに要する送信電力)を算出することができる。つまり、無線ネットワーク制御装置RNCは、定期的に基地局Node-Bから報告される移動局UEごとの下りの送信電力の値から式(1)におけるPDXが既知であるため、式(1)に基づいて、HS-DSCHを使用した場合の送信電力Pを算出することができる。
【0029】
本実施形態の無線ネットワーク制御装置RNCは、個別チャネル使用時に、HS-DSCHを使用した場合の送信電力Pを算出すると、現在使用中の個別チャネルによる移動局UE宛のユーザデータの送信のうちHSDPAに対応可能な移動局UE宛の送信に要する送信電力Pと比較する。そして、無線ネットワーク制御装置RNCは、その比較結果に基づいて、HS-DSCHを使用しないデータ送信を維持するか、またはHS-DSCHを使用するデータ送信に切り替えるかを決定する。なお、この通信制御方法では、HS-DSCHを使用した場合の送信電力Pは第2送信電力の一例であり、現在使用中の個別チャネルによる送信電力Pは第1送信電力の一例である。
具体的には、本実施形態の無線ネットワーク制御装置RNCは、以下の式(3)を満足するときに、移動局UE宛のデータ送信を個別チャネルからHS-DSCHへ切り替えるように制御する。なお、式(2)において、Pは第2閾値の一例である。
【0030】
<P+P …(3)
【0031】
図4は、無線ネットワーク制御装置RNCにおける上記式(3)の比較処理を概念的に示す図であり、一例として式(3)を満たす場合が示されている。
ここで、基地局Node-Bの最大電力PMAXは予め定められているため、個別チャネルによる送信電力PがPを超えてからHS-DSCHへ移行することはできず、Pがある程度Pに近付いてからHS-DSCHへ移行することが決定される。なお、個別チャネルとHS-DSCHの間で頻繁にチャネルの移行が生じないようにするために、前述した式(2)(HS-DSCHから個別チャネルへの移行時の判定)では閾値Pが設けられている。
【0032】
HS-DSCHを使用しないデータ送信からHS-DSCHを使用するデータ送信に切り替えることで、基地局Node-B全体の送信電力は最大の送信電力PMAXとなるため、基地局Node-Bの消費電力の観点では不利となる。その一方で、HS-DSCHを使用したデータ送信は収容効率が優れているため、個別チャネルを使用したデータ送信では送信電力がPMAXを超えるために実現できないような数の移動局UEに対するデータ送信を、HS-DSCHを使用したデータ送信では実現することができる。そこで、上記式(3)における閾値Pは、基地局Node-Bにおける移動局UEの収容効率を向上させるという観点から予め所定の値を決定することが好ましい。
【0033】
また、別の観点から閾値Pを決定するようにしてもよい。
HS-DSCHによるデータ送信の対象となる移動局UEの数が時間の経過とともに増加している状況では、送信電力が最大値PMAXによる制限により、ある時点において基地局Node-Bが個別チャネルによるデータ送信をできない移動局UEが生じうる。しかしながら、移動局UEの収容数を増加させるために個別チャネルからHS-DSCHへの切り替えには一定の移行時間が必要となる。そこで、その移行時間中に基地局Node-Bが個別チャネルによるデータ送信をできない移動局UEが生じることがないようにするためのマージンとして、上記閾値Pを決定するようにしてもよい。
【0034】
HS-DSCHを使用せず個別チャネルを使用してデータ通信を行っているときには、例えばセル内のデータ通信を行う移動局UEの増加等の要因によって徐々に送信電力の合計が、基地局Node-Bの送信電力の最大値PMAXに近付いていく場合が考えられる。かかる場合には、近い将来に、個別チャネルですべての移動局を収容できず、基地局Node-Bのデータ送信に支障を来たすことがありうる。そこで、本実施形態の通信制御方法では、個別チャネルによるデータ送信を行っている状態で、事前に(すなわち、HS-DSCHへの切り替えを行う前に)、個別チャネルによる送信電力の余力を閾値Pによって評価するようにしたため、適切にHS-DSCHへの切り替えを判断することができる。
【0035】
(1−4)無線ネットワーク制御装置および基地局の構成
次に、本実施形態の無線ネットワーク制御装置および基地局の構成について、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態の無線ネットワーク制御装置および基地局の構成を示すブロック図である。図5では、制御信号の流れを細線で、下りのデータ信号(ユーザデータ)の流れを太線で示してある。なお、図5では、無線ネットワーク制御装置RNCと基地局Node-Bの間はlubインタフェースで接続されている。
【0036】
[基地局の構成]
図5に示すように、基地局Node-Bは、アンテナ10と、送受信部11と、HS-DSCHベースバンド処理部12と、個別チャネルベースバンド処理部13とを備える。
【0037】
送受信部11は、帯域制限フィルタ、ローノイズアンプ(LNA: Low Noise Amplifier)、ローカル周波数発信器、直交復調器、AGC(Automatic Gain Control)アンプ、A/D(Analog to Digital)変換器等を備える。そして、受信時において送受信部11は、アンテナ10で受信した上りのRF信号をデジタルベースバンド信号に変換する。送受信部11はさらに、ベースバンド信号を、データ信号、制御信号、及び参照信号(例えば既知の系列のパイロット信号)に分離する。
送受信部11は、送信時において移動局UE宛のベースバンド信号として、データ信号、制御信号、及び参照信号を多重化する。送受信部11は、D/A(Digital to Analog)変換器、ローカル周波数発信器、ミキサ、パワーアンプ、フィルタ等を備える。そして、送受信部11は、ベースバンド信号を、ベースバンド周波数から無線周波数へアップコンバート等した後に、アンテナ10から空間へ放射する。
【0038】
HS-DSCHベースバンド処理部12は、無線ネットワーク制御装置RNCのHS-DSCH処理部22との間で制御信号の送受信を行う。また、HS-DSCHベースバンド処理部12は、HS-DSCHのデータ信号を送信するときには、HS-DSCHのチャネル符号化、物理チャネルHS-PDSCHへのマッピング、拡散処理、変調処理等の物理レイヤの処理を行う。一方、HS-DSCHベースバンド処理部12は、HS-DSCHのユーザデータを受信するときには、復調処理、逆拡散処理、物理チャネルHS-PDSCHからのデマッピング、チャネル復号等の物理レイヤの処理を行う。
【0039】
HS-DSCHベースバンド処理部12は、HS-DSCHのデータ信号を送信するときには、HS-DSCH(共有チャネル)による送信電力Pを算出し、逐次、送信電力Pの情報を無線ネットワーク制御装置RNCのHS-DSCH処理部22を通して、リソース管理部20へ報告する。
送信電力Pの算出は以下のとおり行う。すなわち、個別チャネルベースバンド処理部13は、上記式(1)における個別チャネルによる送信電力PDX(HSDPAに非対応の移動局UE宛の送信電力)を収集する。HS-DSCHベースバンド処理部12は、この送信電力PDXを個別チャネルベースバンド処理部13から取得する。なお、式(1)において、PMAXは既知であり、共通チャネルによる送信電力Pはほぼ一定と考えてよい。そこで、HS-DSCHベースバンド処理部12は、式(1)を演算して送信電力Pを算出することができる。
【0040】
個別チャネルベースバンド処理部13は、無線ネットワーク制御装置RNCの個別チャネル処理部23との間で制御信号の送受信を行う。また、個別チャネルベースバンド処理部13は、HS-DSCHベースバンド処理部12と同様に、個別チャネルのデータ信号に対する送受信にあたっての物理レイヤの処理を行う。この場合、個別チャネルベースバンド処理部13は、個別チャネルのデータ信号を送信するときには、DCHの信号を物理チャネルDPCHへマッピングする処理を行う。
【0041】
個別チャネルベースバンド処理部13は、移動局UEとの間で個別チャネルにおける上りおよび下りの送信電力制御を行う。例えば、下りの送信電力制御を行う場合には、送受信部11が移動局UE宛に参照信号を送信する。移動局UEは、基地局Node-Bから受信した参照信号に基づいて受信品質としてのSIRを測定して、上り信号により基地局Node-Bに対して、測定したSIRを報告する。個別チャネルベースバンド処理部13は、移動局UEから報告されたSIRと、目標SIRとを比較し、その比較結果に基づいて、送受信部11のパワーアンプの増幅率を制御する。このとき、無線ネットワーク制御装置RNCの個別チャネル処理部23は、個別チャネルベースバンド処理部13に対して目標SIRを予め通知する。また、移動局UEは基地局Node-B宛に、下りの送信電力を増加あるいは低下を要求するためのTPC(Transmit Power Control)ビットを通知しうる。
個別チャネルベースバンド処理部13は、個別チャネルにおける下りの送信電力を、移動局UEごとに管理しており、逐次、無線ネットワーク制御装置RNCの個別チャネル処理部23を通して、リソース管理部20へ報告する。
移動局UEからの上り信号の送信電力制御を行う場合も、下りの場合と同様である。この場合、例えば、基地局Node-Bから移動局UEに対して、上りの送信電力の増加あるいは低下を要求するためのTPCビットが通知されてよい。このとき、前述したように、移動局UEに通知するTPCビットの履歴は、基地局Node-BがHS-DSCHを使用して下りのデータ送信を行っているときの第1送信電力の推定に用いられうる(前述した推定方法2を参照)。
【0042】
[無線ネットワーク制御装置の構成]
図5に示すように、無線ネットワーク制御装置RNCは、リソース管理部20と、無線リンク制御部21と、HS-DSCH処理部22と、個別チャネル処理部23の機能ブロックを備える。なお、個別チャネル処理部23は、第1処理部の一例である。HS-DSCH処理部22は、第2処理部の一例である。リソース管理部20は、制御部の一例である。
【0043】
リソース管理部20は、移動局UEがコアネットワークCNに接続し、コアネットワークCNと移動局UEとの間のデータ送受信が行われる場合には、そのデータ送受信のための各部のリソースを確保し、データ信号(ユーザデータ)の流れを制御する。具体的には、リソース管理部20は、コアネットワークCNからの下りのHS-DSCHのデータ信号については、無線リンク制御部21、HS-DSCH処理部22を経由して、基地局Node-BのHS-DSCHベースバンド処理部12へ送出されるように、データ信号の流れを制御する。また、リソース管理部20は、コアネットワークCNからの下りの個別チャネルのデータ信号については、無線リンク制御部21、個別チャネル処理部23を経由して、基地局Node-Bの個別チャネルベースバンド処理部13へ送出されるように、データ信号の流れを制御する。これらのデータ信号の送出に当たって、リソース管理部20は、必要に応じて、無線リンク制御部21、HS-DSCH処理部22および個別チャネル処理部23のリソースを予約あるいは開放する。
リソース管理部20は、制御プレーン上のL2/L3のプロトコル処理も行う。
【0044】
リソース管理部20は、逐次、基地局Node-BのHS-DSCHベースバンド処理部12、個別チャネルベースバンド処理部13からそれぞれ、HS-DSCHによる送信電力P、個別チャネルによる送信電力Pの報告を受ける。そして、リソース管理部20は、前述した式(2)あるいは式(3)に従った比較処理と、その比較処理に基づいたチャネル選択処理(HS-DSCHまたは個別チャネル)とを行う。なお、このとき、各式における閾値P,Pは、リソース管理部20において予め設定されている値である。
【0045】
無線リンク制御部21は、コアネットワークCNからの下りのデータ信号を一次的に滞留させるバッファを備えている。リソース管理部20は、移動局UEごとに、HSDPAに対応可能か否かを管理している。そこで、無線リンク制御部21は、リソース管理部20による制御の下、データの送信先の移動局UEがHSDPAに対応可能な移動局であるか否かに応じて異なるデータ伝送速度でバッファ内のデータを、HS-DSCH処理部22または個別チャネル処理部23へ送出する。
無線リンク制御部21は、ユーザプレーン上のL2/L3のプロトコル処理も行う。
【0046】
HS-DSCH処理部22は、HS-DSCHについてのチャネル処理を行う。例えば、HS-DSCH処理部22はスケジューラを備え、HS-DSCHの各移動局UEに対するスロットの割り当てや伝送フォーマットの選択を行う。なお、スロットの割り当てや伝送フォーマットの選択に当たって、HS-DSCH処理部22は、移動局UEから基地局Node-B宛に報告される下りのSIRを、基地局Node-BのHS-DSCHベースバンド処理部12から取得する。
【0047】
個別チャネル処理部23は、個別チャネルについてのチャネル処理を行う。また、個別チャネル処理部23は、送信電力制御における目標SIRを設定しており、この目標SIRを基地局Node-Bの個別チャネルベースバンド処理部13へ通知する。なお、図5に示す構成では、個別チャネル処理部23は、基地局Node-Bのセル全体についての共通チャネルについての処理も行う。
【0048】
図6は、第1の実施形態の無線ネットワーク制御装置および基地局のハードウエア構成例を示す図である。図6に示すように、基地局Node-Bは、送受信部11、DSP(Digital Signal Processor)120、CPU(Central Processing Unit)130およびメモリ140を含む。基地局Node-Bにおいて、HS-DSCHベースバンド処理部12および個別チャネルベースバンド処理部13は、DSP120およびCPU130によって実現できる。メモリ140は、揮発性および/または不揮発性記憶装置であり、CPU130の処理に当たって適宜利用されうる。
図6に示すように、無線ネットワーク制御装置RNCは、DSP220、CPU230およびメモリ240を含む。無線ネットワーク制御装置RNCにおいて、リソース管理部20、無線リンク制御部21、HS-DSCH処理部22および個別チャネル処理部23は、DSP220およびCPU230によって実現できる。メモリ240は、揮発性および/または不揮発性記憶装置であり、CPU230の処理に当たって適宜利用されうる。
【0049】
(1−5)無線アクセスネットワークにおける処理
次に、図7および図8を参照して、本実施形態の無線アクセスネットワークにおける無線ネットワーク制御装置RNC、基地局Node-Bおよび移動局UEの間の処理について説明する。図7は、移動局UE宛の下りのユーザデータの送信について、HS-DSCHから個別チャネルへ移行の処理フローを示す。図8は、移動局UE宛の下りのユーザデータの送信について、個別チャネルからHS-DSCHへ移行の処理フローを示す。
【0050】
[HS-DSCHから個別チャネルへ移行処理]
図7において先ず、基地局Node-Bは、HS-DSCHによりユーザデータの送信を行っているときには、基地局Node-B全体で最大の送信電力PMAXを使用している。このとき、基地局Node-BのHS-DSCHベースバンド処理部12は、HS-DSCHのデータ送信に要する送信電力Pを逐次算出する(ステップS10)。さらにHS-DSCHベースバンド処理部12は、この送信電力Pの情報を、無線ネットワーク制御装置RNCのHS-DSCH処理部22を通してリソース管理部20へ報告する(ステップS20)。送信電力Pの算出には、全移動局共通で使用する共通チャネルによる送信電力Pと、HSDPAに対応しない移動局UE宛のユーザデータの下りの送信に使用される個別チャネルによる送信電力PDXとが必要となる(式(1)参照)。ここで、共通チャネルによる送信電力Pは、基地局Node-B全体で一定値と考えてよい。また、HS-DSCHベースバンド処理部12は、個別チャネルによる送信電力PDXを、個別チャネルベースバンド処理部13から取得する。
【0051】
基地局Node-Bの個別チャネルベースバンド処理部13は次に、移動局UE宛のユーザデータの送信を個別チャネルで行った場合に要する送信電力を、送信対象の移動局UE単位で推定する。つまり、個別チャネルベースバンド処理部13は、個別チャネルの送信電力の送信対象の移動局UE単位の推定値PD1,PD2,…,PDnを算出する(ステップS30)。個別チャネルの送信電力の推定方法は、前述した推定方法1〜3のいずれかを採ることができる。
個別チャネルベースバンド処理部13は、その推定値PD1,PD2,…,PDnを無線ネットワーク制御装置RNCの個別チャネル処理部23を通してリソース管理部20へ報告する(ステップS40)。
【0052】
無線ネットワーク制御装置RNCのリソース管理部20は、上記PD1,PD2,…,PDnを合計した値Pを得る。さらにリソース管理部20は、このPと、ステップS20で取得したHS-DSCHのデータ送信に要する送信電力Pとを比較する処理を行う(ステップS50)。具体的には、リソース管理部20は、上記式(2)の判定処理を行う。その結果、ここでは、P>P+P+Pが成立した場合が想定され、リソース管理部20は、HS-DSCHによる移動局UE宛のユーザデータの送信を、個別チャネルによる送信に移行することを決定する。
なお、ステップS20およびS40の報告は例えば所定の間隔Tで行われ、リソース管理部20は同様に、ステップS50の比較処理を間隔T(以下、判定間隔という。)で逐次行ってもよい。
【0053】
その後、リソース管理部20は、チャネル移行指示メッセージを移動局UE宛に送信する(ステップS60)。このチャネル移行指示メッセージは、リソース管理部20→無線リンク制御部21→個別チャネル処理部23→基地局Node-B(個別チャネルベースバンド処理部13)を経由して移動局UE宛に送信される。移動局UEは、チャネル移行指示メッセージを受けると、チャネル移行応答メッセージをリソース管理部20へ返信する(ステップS70)。リソース管理部20は、チャネル移行応答メッセージを移動局UEから受信すると、HS-DSCHの送信停止指示メッセージを、HS-DSCH処理部22を通して基地局Node-B(HS-DSCHベースバンド処理部12)へ送出する(ステップS80)。この送信停止指示メッセージに応じて、基地局Node-B(HS-DSCHベースバンド処理部12)は、移動局UE宛のHS-DSCHによるユーザデータの送信を停止する(ステップS90)。
【0054】
なお、図7の処理フローでは、基地局Node-B側でHS-DSCHによる送信電力Pと、個別チャネルによる送信電力の推定値Pとを算出し、無線ネットワーク制御装置RNCがPとPの情報を取得する構成としたが、これに限られない。基地局Node-Bから無線ネットワーク制御装置RNC宛に、Pおよび/またはPの算出に必要な情報を送信し、Pおよび/またはPの算出を無線ネットワーク制御装置RNC側で行うようにしてもよい。
【0055】
[個別チャネルからHS-DSCHへ移行処理]
図8において先ず、基地局Node-Bは、個別チャネルによりユーザデータの送信を行っているときには、移動局UEとの間で送信電力制御を行っており、各移動局UE宛のユーザデータの送信に要する送信電力を管理している。そこで、基地局Node-Bの個別チャネルベースバンド処理部13は、個別チャネルによる移動局UE宛のユーザデータの送信のうち、HSDPAに対応可能な移動局UE宛のユーザデータの送信に要する送信電力PD1,PD2,…,PDnを収集する(ステップS100)。さらに個別チャネルベースバンド処理部13は、収集した送信電力PD1,PD2,…,PDnの情報を、無線ネットワーク制御装置RNCの個別チャネル処理部23を通してリソース管理部20へ報告する(ステップS110)。これにより、リソース管理部20は、移動局UEごとの個別チャネルの送信電力PD1,PD2,…,PDnの合計である送信電力Pの情報を得る。
【0056】
次に、リソース管理部20は、個別チャネルによる移動局UE宛のユーザデータの送信のうち、HSDPAに対応可能な移動局UE宛のユーザデータの送信をHS-DSCHで行った場合に要する送信電力Pを算出する(ステップS120)。送信電力Pの算出に当たって、全移動局共通で使用する共通チャネルによる送信電力Pはほぼ一定と考えてよく、HSDPAに非対応である移動局UE宛の個別チャネルによるユーザデータの送信電力PDXの情報は、ステップS110で取得済みである。そこで、リソース管理部20は、上記(1)式に従って、HS-DSCHで行った場合に要する送信電力Pを算出することができる。
【0057】
次に、リソース管理部20は、ステップS120で算出したPと、HSDPAに対応可能な移動局UE宛の個別チャネルの送信電力の合計であるPとを比較する処理を行う(ステップS130)。具体的には、リソース管理部20は、上記式(3)の判定処理を行う。その結果、ここでは、P<P+Pが成立した場合が想定され、リソース管理部20は、個別チャネルによる移動局UE宛のユーザデータの送信を、HS-DSCHによる送信に移行することを決定する。
なお、ステップS110の報告は例えば所定の間隔Tで行われ、リソース管理部20は同様に、ステップS130の比較処理を判定間隔Tで逐次行ってもよい。
【0058】
その後、リソース管理部20は、HS-DSCH送信開始指示メッセージを、HS-DSCH処理部22を通して基地局Node-B宛に送出する(ステップS140)。基地局Node-Bは、HS-DSCH送信開始指示メッセージを受けると、HS-DSCHベースバンド処理部12によってHS-DSCHによるユーザデータの送信を開始する(ステップS150)。なお、この段階までに、HS-DSCH処理部22は、HS-DSCHの各移動局UEに対するスロットの割り当てや伝送フォーマットの選択を完了させる。基地局Node-BのHS-DSCHベースバンド処理部12は、HS-DSCHによるデータ送信を開始すると、HS-DSCH送信開始応答メッセージをリソース管理部20へ返信する(ステップS160)。
次に、リソース管理部20は、移動局UE宛にチャネル移行指示メッセージを送信する(ステップS170)。このチャネル移行指示メッセージは、リソース管理部20→無線リンク制御部21→個別チャネル処理部23→基地局Node-B(個別チャネルベースバンド処理部13)を経由して移動局UE宛に送信される。移動局UEは、チャネル移行指示メッセージを受信すると、チャネル移行処理(例えば、割り当てられたスロット、および選択された伝送フォーマットで受信処理するための設定)を行った後、チャネル移行応答メッセージをリソース管理部20宛に送信する(ステップS180)。
【0059】
(2)第2の実施形態
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0060】
(2−1)HS-DSCHの使用時の通信制御方法
上述した(1−2)HS-DSCHの使用時の通信制御方法に従って、移動局UE宛のユーザデータの送信をHS-DSCHから個別チャネルによって行うようにすると、データ伝送速度が急激に低下する可能性がある。そこで、移動局UE宛の急激なデータ伝送速度の低下を回避する目的で、無線ネットワーク制御装置RNCは、データ伝送速度を監視する。そして、上記式(2)による判定条件に加え、データ伝送速度の判定結果に基づいて、HS-DSCHから個別チャネルへのデータ送信の移行を決定するようにしてもよい。
【0061】
この場合、無線ネットワーク制御装置RNCの無線リンク制御部21は、コアネットワークCNから送信されるユーザデータのデータ伝送速度を、送信先の移動局UEごとに算出する。このとき無線リンク制御部21は、例えば、所定の時間に送出するデータ量によってデータ伝送速度を算出する。このとき、データ量を測定する基準となる所定の時間は任意に設定することができるが、例えば、図7および図8における判定間隔と同じか、または判定間隔の整数倍としてもよい。無線リンク制御部21は算出したデータ伝送速度をリソース管理部20へ通知し、リソース管理部20は、通知されたデータ伝送速度に基づいて、HS-DSCHから個別チャネルへのデータ送信の移行を行うか否かを決定する。
【0062】
ここで、リソース管理部20において、送信先の移動局UEごとにCDMAの符号の選択に応じた個別チャネルによるデータ伝送速度が既知である。すなわち、W-CDMAではチャネライゼーションコードとしてOVSF(Orthogonal Variable Spreading Factor)コードを使用するが、リソース管理部20は、所定の条件(例えば、無線リンク制御部21におけるデータ滞留量が所定量以下となること)を満足する物理チャネルの速度を得るための拡散率のコードを個別チャネルごとに選択する。これにより、チップ速度を一定とするW-CDMAでは、個別チャネルのデータ伝送速度が自ずと定まる。
【0063】
以下、リソース管理部20において既知の、送信先の個別チャネルごとの伝送速度をRとする。また、無線リンク制御部21で得られる、過去の一定期間のデータ伝送速度の平均値をRAVEとし、所定の閾値(マージン)をRとする。このとき、以下の式(4)を満たす場合、つまり過去の一定期間のデータ伝送速度の平均値が、マージン分を考慮しても個別チャネルによるデータ伝送速度より低い場合には、基地局Node-Bの収容能力上問題なくHS-DSCHから個別チャネルへ移行可能と判断することができる。
【0064】
AVE<R−R …(4)
【0065】
なお、式(4)を満足しない場合であっても、以下の式(5)を満足する場合(マージンを考慮しない場合)に、リソース管理部20は、HS-DSCHから個別チャネルへ移行可能と判断してもよい。例えば、RAVEが一定期間の間、一定の値であれば、今後も急激にデータ伝送速度が増加することは無いと考えて、マージンを考慮しないようにしてもよい。式(6)に示すように、過去の最大のデータ伝送速度をRMAXとしたときに、RAVEが一定期間の間、そのRMAXを超えない場合には、今後も急激にデータ伝送速度が増加することは無いと考えて、HS-DSCHから個別チャネルへ移行を許可してもよい。
【0066】
−R<RAVE<R …(5)
【0067】
MAX<R …(6)
【0068】
一方、上記式(4)を満足しない場合には、HS-DSCHから個別チャネルへ移行を許可しないようにすることが好ましい。このとき、式(4)における閾値(マージン)Rは、HS-DSCHによりデータ伝送を行う送信先の移動局UEの数、すべての移動局UE宛の合計のデータ伝送速度、基地局Node-Bの電源電力の逼迫度合い、あるいは、個別チャネルへ移行することで得られる電力節約量の大きさ等のパラメータによって調整してもよい。
例えば、HS-DSCHによりデータ伝送を行う送信先の移動局UEの数、すべての移動局UE宛の合計のデータ伝送速度が大きいほど、個別チャネルへ移行し難くなるように閾値Rを大きくする。基地局Node-Bの電源電力が逼迫しているほど、個別チャネルへ移行し易くなるように閾値Rを小さくする。個別チャネルへ移行することで得られる電力節約量が大きいほど、個別チャネルへ移行し易くなるように閾値Rを小さくする。
【0069】
(2−2)個別チャネルの使用時の通信制御方法
移動局UE宛のユーザデータの送信をHS-DSCHから個別チャネルへ移行した後に、HS-DSCHによるデータ送信に戻す場合、基地局Node-B全体の送信電力上の利点はないため、式(3)に示した送信電力の比較を行わず、他の条件に基づいてチャネル移行を決定してもよい。例えば、個別チャネルでのデータ送信の送信先である移動局UEのうち、HSDPAに対応可能な移動局UEの数、すべての移動局UE宛の合計のデータ伝送速度、移動局UE単位あるいはすべての移動局UE宛のデータのデータ滞留量などのパラメータに基づいて、個別チャネルからHS-DSCHへ戻すようにしてもよい。この場合、各パラメータの値が所定値より大きい場合に、基地局Node-Bの収容能力を増加させる観点から、リソース管理部20は、個別チャネルからHS-DSCHへのデータ送信に戻すことを決定する。
【0070】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の無線ネットワーク制御装置、通信制御方法は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのは勿論である。
【0071】
例えば、ユーザデータの送信に当たってのHS-DSCHと個別チャネルの間のチャネルの移行に当たっては、その移行に伴う処理によって一時的に、無線ネットワーク制御装置RNCおよび基地局Node-Bの消費電力が増大する。このチャネルの移行に伴う消費電力の時系列上の推移の一例を図9に示す。図9において、PH→DはHS-DSCHから個別チャネルへの移行に伴う消費電力を、PD→Hは個別チャネルからHS-DSCHへの移行に伴う消費電力を、それぞれ示している。なお、図9では、所定の判定間隔Tごとにチャネル移行の判定が行われることが想定されている。ここで、チャネルの移行時には、PH→DまたはPD→Hの消費電力が発生するため、この消費電力の発生を考慮してもなお、HS-DSCHから個別チャネルへ移行したときの消費電力の節約効果が得られるように、判定間隔Tおよび/または閾値Pを設定することが好ましい。
【0072】
また、HS-DSCHを使用しない場合には、無線ネットワーク制御装置RNCのHS-DSCH処理部22や、基地局Node-BのHS-DSCHベースバンド処理部12への電力供給を遮断することで消費電力を削減することができる。この場合、HS-DSCHを再度使用する場合には、HS-DSCH処理部22およびHS-DSCHベースバンド処理部12へ電源を再投入して機能を回復するのに一定の時間が掛かるため、その時間を考慮して判定間隔Tを設定することが好ましい。
【0073】
以上の各実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0074】
(付記1)
基地局から移動局宛のユーザデータを送信するためのチャネルとして、移動局ごとに割り当てられる個別チャネルと、移動局に共有で割り当てられる共有チャネルとを用意する無線ネットワーク制御装置であって、
基地局から移動局宛のユーザデータの送信において、共有チャネルを使用しない第1送信モードと、共有チャネルを使用する第2送信モードとの間で、送信モードを選択する制御部と、
基地局が第2送信モードで送信を行っているときに、共有チャネルにおける移動局宛の前記ユーザデータの送信を個別チャネルで行った場合の、前記ユーザデータの送信に要する送信電力である第1送信電力の情報を取得する第1処理部と、
基地局が第2送信モードで送信を行っているときに、共有チャネルによる前記ユーザデータの送信に要する送信電力である第2送信電力の情報を取得する第2処理部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1送信電力と前記第2送信電力の比較結果に基づいて、第1送信モードまたは第2送信モードのいずれかを選択することを特徴とする、
無線ネットワーク制御装置。
【0075】
(付記2)
前記制御部は、
基地局が第2送信モードで送信を行っているときに、前記第1送信電力が、前記第2送信電力から所定の第1閾値減じた値よりも小さいことを条件として、第1送信モードを選択することを特徴とする、
付記1に記載された無線ネットワーク制御装置。
【0076】
(付記3)
前記制御部は、
基地局が第2送信モードで送信を行っているときに、前記第1送信電力が、前記第2送信電力から所定の第1閾値減じた値よりも小さく、かつ過去の所定期間における平均伝送速度が所定の伝送速度よりも低いことを条件として、第1送信モードを選択することを特徴とする、
付記1に記載された無線ネットワーク制御装置。
【0077】
(付記4)
前記制御部は、
基地局が第1送信モードで送信を行っているときに、前記第1送信電力が、前記第2送信電力から所定の第2閾値減じた値よりも大きいときに、第2送信モードを選択することを特徴とする、
付記1または2に記載された無線ネットワーク制御装置。
【0078】
(付記5)
前記制御部は、
基地局が第1送信モードで送信を行っているときに、当該基地局の配下のユーザデータの通信を行う移動局の中で前記共有チャネルの通信が可能な移動局の数が所定の閾値以上であるか、当該基地局の配下の移動局が行っているユーザデータの通信の伝送速度の合計が所定の閾値以上であるか、または、当該基地局の配下の移動局のユーザデータのデータ滞留量が所定の閾値以上であることを条件として、第2送信モードを選択することを特徴とする、
付記1または2に記載された無線ネットワーク制御装置。
【0079】
(付記6)
基地局から移動局宛のユーザデータを送信するためのチャネルとして、移動局ごとに割り当てられる個別チャネルと、移動局に共有で割り当てられる共有チャネルとを用意する無線ネットワーク制御装置において、共有チャネルを使用しない第1送信モードと、共有チャネルを使用する第2送信モードとの間で、送信モードを選択するための通信制御方法であって、
基地局が第2送信モードで送信を行っているときに、共有チャネルにおける移動局宛の前記ユーザデータの送信を個別チャネルで行った場合の、前記ユーザデータの送信に要する送信電力である第1送信電力の情報を取得し、
基地局が第2送信モードで送信を行っているときに、共有チャネルによる前記ユーザデータの送信に要する送信電力である第2送信電力の情報を取得し、
前記第1送信電力と前記第2送信電力の比較結果に基づいて、第1送信モードまたは第2送信モードのいずれかを選択する、
ことを含む、通信制御方法。
【0080】
(付記7)
基地局が第2送信モードで送信を行っているときに、前記第1送信電力が、前記第2送信電力から所定の第1閾値減じた値よりも小さいことを条件として、第1送信モードを選択すること、を含む、
付記6に記載された通信制御方法。
【0081】
(付記8)
基地局が第2送信モードで送信を行っているときに、前記第1送信電力が、前記第2送信電力から所定の第1閾値減じた値よりも小さく、かつ過去の所定期間における平均伝送速度が所定の伝送速度よりも低いことを条件として、第1送信モードを選択すること、を含む、
付記6に記載された通信制御方法。
【0082】
(付記9)
基地局が第1送信モードで送信を行っているときに、前記第1送信電力が、前記第2送信電力から所定の第2閾値減じた値よりも大きいときに、第2送信モードを選択すること、を含む、
付記6または7に記載された通信制御方法。
【0083】
(付記10)
基地局が第1送信モードで送信を行っているときに、当該基地局の配下のユーザデータの通信を行う移動局の中で前記共有チャネルの通信が可能な移動局の数が所定の閾値以上であるか、当該基地局の配下の移動局が行っているユーザデータの通信の伝送速度の合計が所定の閾値以上であるか、または、当該基地局の配下の移動局のユーザデータのデータ滞留量が所定の閾値以上であることを条件として、第2送信モードを選択すること、を含む、
付記6または7に記載された通信制御方法。
【符号の説明】
【0084】
(基地局)
10…アンテナ
11…送受信部
12…HS-DSCHベースバンド処理部
13…個別チャネルベースバンド処理部
(無線ネットワーク制御装置)
20…リソース管理部
21…無線リンク制御部
22…HS-DSCH処理部
23…個別チャネル処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局から移動局宛のユーザデータを送信するためのチャネルとして、移動局ごとに割り当てられる個別チャネルと、移動局に共有で割り当てられる共有チャネルとを用意する無線ネットワーク制御装置であって、
基地局から移動局宛のユーザデータの送信において、共有チャネルを使用しない第1送信モードと、共有チャネルを使用する第2送信モードとの間で、送信モードを選択する制御部と、
基地局が第2送信モードで送信を行っているときに、共有チャネルにおける移動局宛の前記ユーザデータの送信を個別チャネルで行った場合の、前記ユーザデータの送信に要する送信電力である第1送信電力の情報を取得する第1処理部と、
基地局が第2送信モードで送信を行っているときに、共有チャネルによる前記ユーザデータの送信に要する送信電力である第2送信電力の情報を取得する第2処理部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1送信電力と前記第2送信電力の比較結果に基づいて、第1送信モードまたは第2送信モードのいずれかを選択することを特徴とする、
無線ネットワーク制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
基地局が第2送信モードで送信を行っているときに、前記第1送信電力が、前記第2送信電力から所定の第1閾値減じた値よりも小さいことを条件として、第1送信モードを選択することを特徴とする、
請求項1に記載された無線ネットワーク制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
基地局が第2送信モードで送信を行っているときに、前記第1送信電力が、前記第2送信電力から所定の第1閾値減じた値よりも小さく、かつ過去の所定期間における平均伝送速度が所定の伝送速度よりも低いことを条件として、第1送信モードを選択することを特徴とする、
請求項1に記載された無線ネットワーク制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
基地局が第1送信モードで送信を行っているときに、前記第1送信電力が、前記第2送信電力から所定の第2閾値減じた値よりも大きいときに、第2送信モードを選択することを特徴とする、
請求項1または2に記載された無線ネットワーク制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
基地局が第1送信モードで送信を行っているときに、当該基地局の配下のユーザデータの通信を行う移動局の中で前記共有チャネルの通信が可能な移動局の数が所定の閾値以上であるか、当該基地局の配下の移動局が行っているユーザデータの通信の伝送速度の合計が所定の閾値以上であるか、または、当該基地局の配下の移動局のユーザデータのデータ滞留量が所定の閾値以上であることを条件として、第2送信モードを選択することを特徴とする、
請求項1または2に記載された無線ネットワーク制御装置。
【請求項6】
基地局から移動局宛のユーザデータを送信するためのチャネルとして、移動局ごとに割り当てられる個別チャネルと、移動局に共有で割り当てられる共有チャネルとを用意する無線ネットワーク制御装置において、共有チャネルを使用しない第1送信モードと、共有チャネルを使用する第2送信モードとの間で、送信モードを選択するための通信制御方法であって、
基地局が第2送信モードで送信を行っているときに、共有チャネルにおける移動局宛の前記ユーザデータの送信を個別チャネルで行った場合の、前記ユーザデータの送信に要する送信電力である第1送信電力の情報を取得し、
基地局が第2送信モードで送信を行っているときに、共有チャネルによる前記ユーザデータの送信に要する送信電力である第2送信電力の情報を取得し、
前記第1送信電力と前記第2送信電力の比較結果に基づいて、第1送信モードまたは第2送信モードのいずれかを選択する、
ことを含む、通信制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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