説明

無線中継局装置及び移動端末装置

【課題】無線中継局装置を設置しても、無線中継局装置からの干渉量を低減させ、スループットを増大させる無線中継局装置及び移動端末装置を提供すること。
【解決手段】本発明の無線中継局装置は、自セル配下の移動端末装置数を判定し、この移動端末装置数に基づいて送信電力を制御する、あるいは、他の無線中継局装置又は無線基地局装置からの信号の受信電力を測定し、この受信電力に基づいて送信電力を制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LTE−A(Long Term Evolution-Advanced)システムにおいて、リレー伝送技術を利用する無線中継局装置及び移動端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、第3世代移動通信システムの発展規格であるLTE(Long Term Evolution)からのさらなる高速・大容量通信を実現する第4世代移動通信システムとして、LTE−Advanced(LTE−A)の標準化が進められている。LTE−Aは、高速・大容量通信の実現に加え、セル端ユーザのスループット向上を重要課題としており、その一手段として、無線基地局装置〜移動端末装置間の無線伝送を中継するリレー技術が検討されている。リレー技術を用いることで、有線バックホールリンクの確保が困難な場所などで、効率的にカバレッジを拡大できることが期待される。
【0003】
リレー技術においては、レイヤ1リレー、レイヤ2リレー、レイヤ3リレーがある。レイヤ1リレーは、ブースター、若しくはリピータとも呼ばれる中継技術であり、無線基地局装置からの下り受信RF信号を電力増幅して移動端末装置に送信するAF(Amplifier and Forward)型中継技術である。移動端末装置からの上り受信RF信号も、同様に電力増幅して無線基地装置に送信される。レイヤ2リレーは、無線基地局装置からの下り受信RF信号を復調・復号後、再度符号化・変調を行い、移動端末装置に送信するDF(Decode and Forward)型中継技術である。レイヤ3リレーは、無線基地局装置からの下り受信RF信号を復号後、復調・復号処理に加えて、ユーザデータを再生してから、再度無線でユーザデータ伝送を行うための処理(秘匿、ユーザデータ分割・結合処理など)を行い、符号化・変調後に移動端末装置に送信する中継技術である。現在3GPPにおいては、雑音除去による受信特性の向上、標準仕様検討、及び実装上の容易性の観点から、レイヤ3リレー技術について標準化が進められている。
【0004】
図1は、レイヤ3リレーによる無線中継技術の概要を示す図である。レイヤ3リレーの無線中継局装置(RN)は、ユーザデータ再生処理、変復調、及び符号・復号処理を行うことに加え、無線基地局装置(eNB)と異なる固有のセルID(PCI:Physical Cell ID)を持つことを特徴とする。これにより、移動端末装置(UE)は、無線中継局装置が提供するセルBを、無線基地局装置が提供するセルAとは異なるセルとして認識する。また、CQI(Channel Quality Indicator)、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)などの物理層の制御信号は、無線中継局装置で終端されるため、無線中継局装置は移動端末装置から見て、無線基地局装置として認識される。したがって、LTEの機能のみを有する移動端末装置も無線中継局装置に接続することができる。
【0005】
また、無線基地局装置〜無線中継局装置間のバックホールリンク(Un)、及び無線中継局装置〜移動端末装置間のアクセスリンク(Uu)は、異なる周波数若しくは同一の周波数で運用することが考えられ、後者の場合、無線中継局装置で送受信処理を同時に行うと、送受信回路内で十分なアイソレーションが確保できない限り、送信信号が無線中継局装置の受信機に回り込み、干渉を引き起こす。このため、図2に示すように、同一周波数(f1)で運用する場合は、バックホールリンク及びアクセスリンクの無線リソース(eNB送信とリレー送信)を時分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)し、無線中継局装置において送受信が同時に行われないよう制御する必要がある(非特許文献1)。このため、例えば、下りリンクでは、無線中継局装置は、無線基地局装置からの下り信号を受信している間、移動端末装置に対して下り信号を送信することはできない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP,TR36.814
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図3に示すように、複数の無線中継局装置(リレーノード:RN)を設置すると、移動端末装置に対する干渉量が増大する。例えば、図3においては、RN#1のリレーUE(RN#1配下のUE)は、RN#2からの送信信号が干渉になり、RN#2のリレーUE(RN#2配下のUE)は、RN#1からの送信信号が干渉になる。このように、無線基地局装置(マクロeNB)のみを設置していた場合に比較して、RNを設置することによって、RNからの送受信信号によって他セルに与える干渉量が増大してしまう。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、無線中継局装置を設置しても、無線中継局装置からの干渉量を低減させ、スループットを増大させる無線中継局装置及び移動端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の無線中継局装置は、バックホールリンクを介して受信した信号を、アクセスリンクを介して移動端末装置に中継する無線中継局装置であって、自セル配下の移動端末装置数を判定する判定手段と、前記移動端末装置数に基づいて送信電力を制御する送信電力制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0010】
本発明の無線中継局装置は、バックホールリンクを介して受信した信号を、アクセスリンクを介して移動端末装置に中継する無線中継局装置であって、他の無線中継局装置又は無線基地局装置からの信号の受信電力を測定する測定手段と、前記受信電力に基づいて送信電力を制御する送信電力制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0011】
本発明の移動端末装置は、無線中継局装置で中継した信号を、アクセスリンクを介して受信する移動端末装置であって、無線中継局装置からの信号の受信電力を測定する測定手段と、前記受信電力に基づいて送信電力の増減を指示する制御信号を生成する生成手段と、前記制御信号を無線中継局装置に送信する送信手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、自セル配下の移動端末装置数を判定し、この移動端末装置数に基づいて送信電力を制御する、あるいは、他の無線中継局装置又は無線基地局装置からの信号の受信電力を測定し、この受信電力に基づいて送信電力を制御するので、無線中継局装置を設置しても、無線中継局装置からの干渉量を低減させ、スループットを増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】リレー伝送技術を説明するための図である。
【図2】バックホールリンク及びアクセスリンクの無線リソースを説明するための図である。
【図3】無線中継方法を説明するための図である。
【図4】本発明に係る無線中継局装置を説明するための図である。
【図5】本発明に係る無線中継局装置を説明するための図である。
【図6】本発明に係る無線中継局装置を説明するための図である。
【図7】本発明に係る無線中継局装置を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る無線中継局装置の構成を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態1から実施の形態3に係る移動端末装置の構成を説明するための図である。
【図10】本発明の実施の形態2及び実施の形態3に係る無線中継局装置の構成を説明するための図である。
【図11】本発明の実施の形態4に係る移動端末装置の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図4〜図7は、本発明に係る無線中継局装置を説明するための図である。図4〜図7において、セルAは、無線基地局装置(eNB)が提供するセルであり、セルBは、無線中継局装置(RN)#1が提供するセルであり、セルCは、無線中継局装置(RN)#2が提供するセルである。
【0015】
本発明においては、バックホールリンクを介して受信した信号を、アクセスリンクを介して移動端末装置に中継する無線中継局装置(RN)からの送受信信号による他セルへの干渉を抑えるために以下の4つの態様を提供する。
【0016】
(態様1)
本態様においては、自セル配下の移動端末装置数を判定し、この移動端末装置数に基づいて送信電力を制御する(図4)。自セル配下の移動端末装置数が少ないのであれば、送信電力を減少させて、他セル配下の移動端末装置への干渉を抑え、反対に自セル配下の移動端末装置数が多いのであれば、送信電力を増加させて、自セル配下の移動端末装置への通信品質を確保する。すなわち、本態様における送信電力制御では、自セル配下の移動端末装置数を測定し、移動端末装置数が所定の数以下のときに、送信電力を低減するか送信停止し、移動端末装置数が所定の数を超えたときに、送信電力を増加する。図4に示す場合においては、RN#1配下の移動端末装置の数がRN#2配下の移動端末装置の数よりも多い。例えば、RN#1配下の移動端末装置の数が所定数よりも少なく、RN#2配下の移動端末装置の数が所定数よりも多い。この場合、RN#2において送信電力を低減するか、あるいは、RN#1において送信電力を増加する。また、RN#2において送信電力を低減し、かつ、RN#1において送信電力を増加しても良い。このとき、移動端末装置の所定の数を閾値として予め設定しておく。なお、移動端末装置の数は、例えば、復調した上り送信データ数を計測することにより測定することができる。
【0017】
(態様2)
本態様においては、他のRNからの信号の受信電力を測定し、この受信電力に基づいて送信電力を制御する(図5)。他のRN(図5のRN#2においてRN#1)の信号の受信電力が大きい(他のRNの送信電力が大きい)のであれば、送信電力を減少させて、他セル(RN#1)配下の移動端末装置への干渉を抑え、反対に他のRN(図5のRN#2においてRN#1)の信号の受信電力が小さい(他のRNの送信電力が小さい)のであれば、送信電力を増加させて、自セル配下の移動端末装置への通信品質を確保する。すなわち、本態様における送信電力制御では、他のRNからの信号の受信電力を測定し、受信電力が所定の値を超えたときに、送信電力を低減するか送信停止し、受信電力が所定の値以下のときに、送信電力を増加する。図5に示す場合においては、RN#1からRN#2への信号の電力が大きいときは、RN#2において送信電力を低減させ、RN#1からRN#2への信号の電力が小さいときは、RN#2において送信電力を増加させる。このとき、受信電力の所定の値を閾値として予め設定しておく。
【0018】
(態様3)
本態様においては、無線基地局装置(eNB)からの信号の受信電力を測定し、この受信電力に基づいて送信電力を制御する(図6)。eNBの信号の受信電力が大きい(eNBの送信電力が大きい)のであれば、送信電力を減少させて、eNB配下の移動端末装置への干渉を抑え、反対にeNBの信号の受信電力が小さい(eNBの送信電力が小さい)のであれば、送信電力を増加させて、自セル配下の移動端末装置への通信品質を確保する。すなわち、本態様における送信電力制御では、eNBからの信号の受信電力を測定し、受信電力が所定の値を超えたときに、送信電力を低減するか送信停止し、受信電力が所定の値以下のときに、送信電力を増加する。図6に示す場合においては、eNBからRN#2への信号の電力が大きいときは、RN#2において送信電力を低減させ、eNBからRN#2への信号の電力が小さいときは、RN#2において送信電力を増加させる。このとき、受信電力の所定の値を閾値として予め設定しておく。
【0019】
(態様4)
本態様においては、RNで中継した信号を、アクセスリンクを介して受信する移動端末装置において、RNからの信号の受信電力を測定し、この受信電力に基づいて送信電力の増減を指示する制御信号を生成し、この制御信号をRNに送信する(図7)。RNは、移動端末装置から送られた制御信号に基づいて送信電力を制御する。
【0020】
自装置と通信を行っているRNからの信号の受信電力が大きい(RNの送信電力が大きい)のであれば、送信電力を減少させる旨の制御信号をRNに送信して、他のRN配下の移動端末装置への干渉を抑える。反対に受信電力が小さい(RNの送信電力が小さい)のであれば、送信電力を増加させる旨の制御信号をRNに送信して、自セル配下の移動端末装置への通信品質を確保する。すなわち、この態様における送信電力制御においては、移動端末装置が、自装置と通信を行っているRNからの信号の受信電力を測定し、受信電力が所定の値を超えたときに、送信電力を減少する旨の制御信号を生成して、この制御信号をRNに送信し、受信電力が所定の値以下のときに、送信電力を増加する旨の制御信号を生成して、この制御信号をRNに送信する。図7に示す場合においては、RN#2配下の移動端末装置で、RN#2からの信号の電力が大きいときは、RN#2において送信電力を減少する旨の制御信号を生成し、この制御信号をRN#2に送信する。また、RN#2配下の移動端末装置で、RN#2からの信号の電力が小さいときは、RN#2において送信電力を増加する旨の制御信号を生成し、この制御信号をRN#2に送信する。このとき、受信電力の所定の値を閾値として予め設定しておく。
【0021】
また、自装置と通信を行っているRNの他に自装置と通信を行っていないRNやeNBからの信号の受信電力が大きい(RNやeNBの送信電力が大きい)のであれば、送信電力を減少させる旨の制御信号を、自装置と通信を行っているRNに送信して、他のRN配下の移動端末装置への干渉を抑える。反対に受信電力が小さい(RNやeNBの送信電力が小さい)のであれば、送信電力を増加させる旨の制御信号をRNに送信して、自セル配下の移動端末装置への通信品質を確保する。すなわち、この態様における送信電力制御においては、移動端末装置が、自装置と通信を行っているRN、自装置と通信を行っていないRN及びeNBからの信号の受信電力を測定し、受信電力が所定の値を超えたときに、送信電力を減少する旨の制御信号を生成して、この制御信号をRNに送信し、受信電力が所定の値以下のときに、送信電力を増加する旨の制御信号を生成して、この制御信号をRNに送信する。図7に示す場合においては、RN#2配下の移動端末装置で、RN#1、RN#2及びeNBからの信号の電力が大きいときは、RN#2において送信電力を減少する旨の制御信号を生成し、この制御信号をRN#2に送信する。また、RN#2配下の移動端末装置で、RN#1、RN#2及びeNBからの信号の電力が小さいときは、RN#2において送信電力を増加する旨の制御信号を生成し、この制御信号をRN#2に送信する。このとき、受信電力の所定の値を閾値として予め設定しておく。
【0022】
なお、本態様において、移動端末装置からRNへの制御信号は、例えば、上りリンクの制御チャネルを用いて通知する。
【0023】
(実施の形態1)
本実施の形態においては、自セル配下の移動端末装置数を判定し、この移動端末装置数に基づいて送信電力を制御する場合について説明する。
【0024】
図8は、本発明の実施の形態1に係る無線中継局装置の概略構成を示すブロック図である。図8に示す無線中継局装置の送信側は、データ信号生成部801と、チャネル符号化部802と、変調部803と、マッピング部804と、参照信号生成部805と、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部806と、CP(Cyclic Prefix)挿入部807とを含む。また、無線中継局装置の受信側は、CP除去部808と、FFT(Fast Fourier Transform)部809と、デマッピング部810と、上り送信データ復調部811と、ユーザ端末数判定部812と、送信電力制御部813とを含む。
【0025】
データ信号生成部801は、リレーノード(RN)に対して送信する下りリンクのデータ信号や、リレーUE(リレーノード配下の移動端末装置)に対して送信する下りリンクのデータ信号を生成する。データ信号生成部801は、これらの下りリンクのデータ信号をチャネル符号化部802に出力する。
【0026】
チャネル符号化部802は、下りリンクのデータ信号をチャネル符号化する。チャネル符号化部802は、チャネル符号化後のデータ信号を変調部803に出力する。変調部803は、チャネル符号化後のデータを変調する。変調部803は、データ変調後のデータ信号をマッピング部804に出力する。マッピング部804は、周波数領域の信号をリソース割り当て情報に基づき、サブキャリアにマッピングする。マッピング部804は、マッピングされたデータ信号をIFFT部806に出力する。参照信号生成部805は、参照信号を生成し、その参照信号をIFFT部806に出力する。
【0027】
IFFT部806は、データ信号及び参照信号をIFFTして時間領域の信号に変換する。IFFT部806は、IFFT後の信号をCP挿入部807に出力する。CP挿入部807は、IFFT後の信号にCPを挿入する。CPが挿入された信号は、アクセスリンクにおける下りリンクで移動端末装置(UE)に送信される。
【0028】
CP除去部808は、受信信号からCPを除去する。CP除去部808は、CP除去後の信号をFFT部809に出力する。FFT部809は、CP除去後の信号にFFT処理を行う。FFT部809は、FFT後の信号をデマッピング部810に出力する。デマッピング部810は、FFT後の信号をデマッピングし、デマッピング後の信号を上り送信データ復調部811に出力する。上り送信データ復調部811は、上り送信データ信号を用いて復調して、復調データとする。
【0029】
ユーザ端末数判定部812は、移動端末装置の数を測定し、その数と所定数(閾値)とを比較してユーザ端末数が所定数よりも多いか少ないかを判定する。なお、移動端末装置の数は、復調した上り送信データの数を計測することにより判定することができる。ユーザ端末数判定部812は、ユーザ端末数判定部812は、判定結果を送信電力制御部813に出力する。
【0030】
送信電力制御部813は、移動端末装置の数に基づいて送信電力を制御する。この場合において、移動端末装置数が所定の数以下のときに、送信電力を低減するか送信停止し、移動端末装置数が所定の数を超えたときに、送信電力を増加する。
【0031】
図9は、本発明の実施の形態1に係る移動端末装置の概略構成を示すブロック図である。図9に示す無線中継局装置の受信側は、CP除去部901と、FFT部902と、デマッピング部903と、下り送信データ復調部904とを含む。
【0032】
CP除去部901は、受信信号からCPを除去する。CP除去部901は、CP除去後の信号をFFT部902に出力する。FFT部902は、CP除去後の信号にFFT処理を行う。FFT部902は、FFT後の信号をデマッピング部903に出力する。デマッピング部903は、FFT後の信号をデマッピングし、デマッピング後の信号を下り送信データ復調部904に出力する。下り送信データ復調部904は、下り送信データ信号を用いて復調して、復調データとする。
【0033】
上記構成を有する無線中継局装置による無線中継方法について説明する。具体的に、図4に示す構成を用いて説明する。RN#2において、ユーザ端末数判定部812でRN#2配下の移動端末装置の数を測定し、その数と予め決められたユーザ端末数(ここでは4とする)とを比較して、ユーザ端末数が所定数よりも多いか少ないかを判定する。RN#2配下の移動端末装置は2つであるので、ユーザ端末数が所定数よりも少ない。次いで、送信電力制御部813は、移動端末装置数が所定の数以下であるので、送信電力を低減する。一方、RN#1において、ユーザ端末数判定部812でRN#1配下の移動端末装置の数を測定し、その数と予め決められたユーザ端末数(ここでは4とする)とを比較して、ユーザ端末数が所定数よりも多いか少ないかを判定する。RN#1配下の移動端末装置は5つであるので、ユーザ端末数が所定数よりも多い。次いで、送信電力制御部813は、移動端末装置数が所定の数を超えるので、送信電力を増加する。
【0034】
このように、本実施の形態に係る無線中継方法においては、自セル配下の移動端末装置数を判定し、この移動端末装置数に基づいて送信電力を制御するので、無線中継局装置を設置しても、無線中継局装置からの干渉量を低減させ、スループットを増大させることができる。
【0035】
(実施の形態2)
本実施の形態においては、他の無線中継局装置からの信号の受信電力を測定し、この受信電力に基づいて送信電力を制御する場合について説明する。本実施の形態における移動端末装置の構成については図9に示す構成と同じである。
【0036】
図10は、本発明の実施の形態2に係る無線中継局装置の概略構成を示すブロック図である。図10において図8と同じ部分については図8と同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。図10に示す無線中継局装置は、受信電力測定部814を備えている。
【0037】
受信電力測定部814は、他のRNからの信号(図5においてRN#1からRN#2への信号)の受信電力を測定し、その受信電力と所定数(閾値)とを比較して受信電力が所定の値よりも高いか低いかを判定する。受信電力測定部814は、判定結果を送信電力制御部813に出力する。
【0038】
送信電力制御部813は、他のRNからの信号の受信電力に基づいて送信電力を制御する。この場合において、受信電力が所定の値を超えたときに、送信電力を低減するか送信停止し、受信電力が所定の値以下のときに、送信電力を増加する。
【0039】
上記構成を有する無線中継局装置による無線中継方法について説明する。具体的に、図5に示す構成を用いて説明する。RN#2において、受信電力測定部814でRN#1からの信号の受信電力を測定し、その受信電力と予め決められた所定値とを比較して、受信電力が所定値よりも高いか低いかを判定する。送信電力制御部813は、RN#1からの信号の受信電力が所定値よりも高ければ、送信電力を低減するか送信停止し、受信電力が所定値以下のときに、送信電力を増加する。
【0040】
このように、本実施の形態に係る無線中継方法においては、他の無線中継局装置からの信号の受信電力を測定し、この受信電力に基づいて送信電力を制御するので、無線中継局装置を設置しても、無線中継局装置からの干渉量を低減させ、スループットを増大させることができる。
【0041】
(実施の形態3)
本実施の形態においては、無線基地局装置からの信号の受信電力を測定し、この受信電力に基づいて送信電力を制御する場合について説明する。本実施の形態における移動端末装置の構成については図9に示す構成と同じであり、無線中継局装置の構成については図10に示す構成と同じである。
【0042】
受信電力測定部814は、eNBからの信号(図6においてeNBからRN#2への信号)の受信電力を測定し、その受信電力と所定数(閾値)とを比較して受信電力が所定の値よりも高いか低いかを判定する。受信電力測定部814は、判定結果を送信電力制御部813に出力する。
【0043】
送信電力制御部813は、eNBからの信号の受信電力に基づいて送信電力を制御する。この場合において、受信電力が所定の値を超えたときに、送信電力を低減するか送信停止し、受信電力が所定の値以下のときに、送信電力を増加する。
【0044】
上記構成を有する無線中継局装置による無線中継方法について説明する。具体的に、図6に示す構成を用いて説明する。RN#2において、受信電力測定部814でeNBからの信号の受信電力を測定し、その受信電力と予め決められた所定値とを比較して、受信電力が所定値よりも高いか低いかを判定する。送信電力制御部813は、eNBからの信号の受信電力が所定値よりも高ければ、送信電力を低減するか送信停止し、受信電力が所定値以下のときに、送信電力を増加する。
【0045】
このように、本実施の形態に係る無線中継方法においては、無線基地局装置からの信号の受信電力を測定し、この受信電力に基づいて送信電力を制御するので、無線基地局装置を設置しても、無線基地局装置からの干渉量を低減させ、スループットを増大させることができる。
【0046】
(実施の形態4)
本実施の形態においては、RNからの信号の受信電力を測定し、この受信電力に基づいて送信電力の増減を指示する制御信号を生成し、この制御信号をRNに送信し、RNにおいて制御信号に基づいて送信電力を制御する場合について説明する。本実施の形態における無線中継局装置の構成については、受信電力測定部814が不要であること以外図10に示す構成と同じである。
【0047】
図11は、本発明の実施の形態4に係る移動端末装置の概略構成を示すブロック図である。図11において、図9と同じ部分については図9と同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。図11に示す移動端末装置は、受信電力測定部905及び制御信号生成部906を含む。
【0048】
受信電力測定部905は、RNからの信号(図7においてRN#1からの信号及びRN#2からの信号)の受信電力を測定し、その受信電力と所定数(閾値)とを比較して受信電力が所定の値よりも高いか低いかを判定する。受信電力測定部905は、自装置と通信を行っているRNからの信号の受信電力を測定し、その受信電力と所定数(閾値)とを比較して受信電力が所定の値よりも高いか低いかを判定する。また、受信電力測定部905は、自装置と通信を行っているRN、自装置と通信を行っていないRN及びeNBからの信号の受信電力を測定し、その受信電力と所定数(閾値)とを比較して受信電力が所定の値よりも高いか低いかを判定する。受信電力測定部905は、判定結果を制御信号生成部906に出力する。
【0049】
制御信号生成部906は、受信電力測定部905の判定結果に基づいて制御信号を生成する。制御信号生成部906は、例えば、受信電力が所定の値を超えたという判定結果であるときには、送信電力を減少する(あるいは送信を停止する)旨の制御信号を生成し、受信電力が所定の値以下という判定結果であるときには、送信電力を増加する旨の制御信号を生成する。
【0050】
制御信号生成部906で生成された制御信号は、所定の送信処理が施された後に、移動端末装置からRNに送信される。その後、RNは、制御信号にしたがって送信電力を制御する。
【0051】
上記構成を有する無線中継局装置による無線中継方法について説明する。具体的に、図7に示す構成を用いて説明する。RN#2配下のUEにおいて、受信電力測定部905でRN#2からの信号の受信電力を測定し、その受信電力と予め決められた所定値とを比較して、受信電力が所定値よりも高いか低いかを判定する。送信電力制御部906は、RN#2からの信号の受信電力が所定値よりも高ければ、送信電力を低減する旨の制御信号を生成し、受信電力が所定値以下のときに、送信電力を低減する旨(送信を停止する旨)の制御信号を生成する。その後、UEは、前記制御信号を含む上りリンク信号をRN#2に送信する。RN#2においては、送信電力制御部813が、UEからの制御信号にしたがって、送信電力を低減する旨(送信を停止する旨)か送信電力を増加する。
【0052】
また、RN#2配下のUEにおいて、受信電力測定部905でRN#1からの信号の受信電力、RN#2からの信号の受信電力及びeNBからの信号の受信電力を測定し、その受信電力の合計と予め決められた所定値とを比較して、受信電力の合計が所定値よりも高いか低いかを判定する。送信電力制御部906は、RN#1からの信号の受信電力、RN#2からの信号の受信電力及びeNBからの信号の受信電力の合計が所定値よりも高ければ、送信電力を低減する旨の制御信号を生成し、受信電力の合計が所定値以下のときに、送信電力を低減する旨(送信を停止する旨)の制御信号を生成する。その後、UEは、前記制御信号を含む上りリンク信号をRN#2に送信する。RN#2においては、送信電力制御部813が、UEからの制御信号にしたがって、送信電力を低減する旨(送信を停止する旨)か送信電力を増加する。
【0053】
このように、本実施の形態に係る無線中継方法においては、移動端末装置が無線中継局装置からの信号の受信電力を測定し、この受信電力に基づいて制御信号を生成してその制御信号を無線中継局装置に送信し、無線中継局装置において制御信号にしたがって送信電力を制御するので、無線基地局装置を設置しても、無線基地局装置からの干渉量を低減させ、スループットを増大させることができる。
【0054】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、LTE−Aシステムの無線中継局装置及び無線中継方法に有用である。
【符号の説明】
【0056】
801 データ信号生成部
802 チャネル符号化部
803 変調部
804 マッピング部
805 参照信号生成部
806 IFFT部
807 CP挿入部
808,901 CP除去部
809,902 FFT部
810,903 デマッピング部
811 上り送信データ復調部
812 ユーザ端末数判定部
813 送信電力制御部
814,905 受信電力測定部
904 下り送信データ復調部
906 制御信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックホールリンクを介して受信した信号を、アクセスリンクを介して移動端末装置に中継する無線中継局装置であって、自セル配下の移動端末装置数を判定する判定手段と、前記移動端末装置数に基づいて送信電力を制御する送信電力制御手段と、を具備することを特徴とする無線中継局装置。
【請求項2】
前記送信電力制御手段は、前記移動端末装置数が所定の数以下のときに、送信電力を低減するか送信停止し、前記移動端末装置数が所定の数を超えたときに、送信電力を増加することを特徴とする請求項1記載の無線中継局装置。
【請求項3】
バックホールリンクを介して受信した信号を、アクセスリンクを介して移動端末装置に中継する無線中継局装置であって、他の無線中継局装置又は無線基地局装置からの信号の受信電力を測定する測定手段と、前記受信電力に基づいて送信電力を制御する送信電力制御手段と、を具備することを特徴とする無線中継局装置。
【請求項4】
前記送信電力制御手段は、前記受信電力が所定の値を超えたときに、送信電力を低減するか送信停止し、前記受信電力が所定の値以下のときに、送信電力を増加することを特徴とする請求項3記載の無線中継局装置。
【請求項5】
無線中継局装置で中継した信号を、アクセスリンクを介して受信する移動端末装置であって、無線中継局装置からの信号の受信電力を測定する測定手段と、前記受信電力に基づいて送信電力の増減を指示する制御信号を生成する生成手段と、前記制御信号を無線中継局装置に送信する送信手段と、を具備することを特徴とする移動端末装置。
【請求項6】
前記生成手段は、自装置と通信を行っている無線中継局装置からの信号の受信電力が所定の値を超えたときに、送信電力を減少する旨の制御信号を生成し、自装置と通信を行っている無線中継局装置からの信号の受信電力が所定の値以下のときに、送信電力を増加する旨の制御信号を生成することを特徴とする請求項5記載の移動端末装置。
【請求項7】
前記生成手段は、少なくとも一つの無線中継局装置及び無線基地局装置からの信号の受信電力が所定の値を超えたときに、送信電力を減少する旨の制御信号を生成し、少なくとも一つの無線中継局装置及び無線基地局装置からの信号の受信電力が所定の値以下のときに、送信電力を増加する旨の制御信号を生成することを特徴とする請求項5記載の移動端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−5015(P2012−5015A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140338(P2010−140338)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】