説明

無線中継装置および無線通信方法

【課題】適応変調の結果、基地局側と端末側とで伝送速度が異なる場合に、大きい方の伝送速度に揃えることもできる無線中継装置を提供することである。
【解決手段】本発明に係る無線中継装置10は、無線基地局と無線端末との間で送受信されるデータを中継し、ダウンリンク信号を受信する基地局側通信部200と、アップリンク信号を受信する端末側通信部300と、基地局側通信部200および端末側通信部300へのチャネル割り当てを決定する制御部100とを備え、制御部100は、ダウンリンク信号に基づいて基地局側通信部200の各チャネルが適応可能な変調方式を判定し、アップリンク信号に基づいて端末側通信部300の各チャネルが適応可能な変調方式を判定し、判定した基地局側通信部200および端末側通信部300の各チャネルが適応可能な変調方式に基づいて、チャネル割り当てを決定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線中継装置および無線通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線端末が無線基地局と通信するためには、無線基地局からの無線電波が届く範囲(サービスエリア)に無線端末が位置する必要がある。しかし、山岳地帯や高層ビル等が建ち並ぶ市街地には障害物が多いため無線電波が届きにくい領域が存在する。また、屋外に設置された無線基地局からは、電波が届かない領域(例えば、建物の内部や地下)が多く存在する。特に、IEEE標準規格802.16eを基に規格化されたWiMAX(登録商標)(WiMAX:Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の高速無線通信方式においては、2.5GHz以上の周波数帯が使用されるが、このような高周波数帯の電波は直進性が強く障害物を回りこむ性質が弱いため、障害物の影響を強く受ける。このような電波が届かない領域をカバーするため、無線基地局と無線端末との間の無線電波を中継する無線中継装置(レピータ)が必要となる。
【0003】
WiMAX(登録商標)通信方式は、通信品質に応じて最適な変調方式を選択する適応変調を採用する。適応変調においては、通信品質が劣悪な場合はBPSK(Binary Phase Shift Keying)のような変調多値数の小さい変調方式が選択され、通信品質の改善とともに、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(16-position QuadratureAmplitude Modulation)のような変調多値数の大きい変調方式が選択される。ここで、「変調多値数」との用語は1シンボルあたりのビット数の意味で用い、BPSK、QPSK、および、16QAMの変調多値数は、それぞれ、1ビット、2ビット、および、4ビットである。
【0004】
無線中継装置を用いて無線基地局と無線端末との間の無線電波を中継する場合、無線基地局と無線中継装置との間の通信品質と、無線端末と無線中継装置との間の通信品質とは、通常異なる通信品質である。ここで、以下の説明においては、「無線基地局と無線中継装置との間」を意味するものとして「基地局側」との用語を用い、「無線端末と無線中継装置との間」を意味するものとして「端末側」との用語を用いることとする。
【0005】
図6に示す例は、基地局側の通信と端末側の通信のそれぞれに対して、適応変調が実行された場合の一例を示す。図6に示す例においては、基地局側の通信品質は、変調方式としてBPSKが選択される通信品質であり、端末側の通信品質は、変調方式としてQPSKが選択される通信品質である。QPSKは多値変調数がBPSKの2倍であるため、割り当てられているチャネルの帯域幅が同じ場合、適応変調によりQPSKが選択された端末側の伝送速度は、BPSKが選択された基地局側の伝送速度の2倍になる。図6に示す例においては、基地局側の伝送速度は5Mbpsであり、端末側の伝送速度は10Mbpsである。
【0006】
図6に示す例においては、端末側の伝送速度の方が基地局側の伝送速度よりも速いため、無線中継装置は、無線端末から受信したアップリンク信号に含まれるデータの全てを、そのままの伝送速度で無線基地局に中継することができない。したがって、無線中継装置は中継できなかった分のデータをバッファリングする必要がある。しかしながら、無線中継装置がバッファリングできるデータ量は、無線中継装置が備えるバッファの大きさに制約されるため、バッファの大きさを越える分のデータはバッファリングできずに廃棄されることになってしまう。
【0007】
図7は、図6に示したような通信品質におけるダウンリンク信号の2シンボル期間分のデータを示す。図7(a)は基地局側のダウンリンク信号のシンボル期間を示し、図7(b)は端末側のダウンリンク信号のシンボル期間を示す。図7においてGIと表記されている期間は、ガードインターバル(Guard Interval)を表す。この例においては、基地局側の伝送速度は5Mbpsであり、端末側の伝送速度は10Mbpsであるため、無線中継装置は無線基地局から受け取ったダウンリンク信号に含まれるデータを、約半分の時間で無線端末に伝送することができる。したがって、図7(b)において"no data"と示される期間のように空データを送信する期間が生じ、通信リソースに無駄が生じてしまう。
【0008】
図6に示したバッファリングできないデータの廃棄や、図7に示したからデータの送信とういような問題を生じさせないために、基地局側の変調方式と端末側の変調方式を変調多値数が小さい方の変調方式に揃えることにより、基地局側と端末側の伝送速度を等しくする発明が知られている(特許文献1参照)。
【0009】
図8に、基地局側の変調方式と端末側の変調方式を変調多値数が小さい方の変調方式に揃える様子を示す。図8(a)は変調方式変更前の様子であり、図8(b)は変調方式変更後の様子である。
【0010】
図8(a)に示す変調方式変更前の状態においては、端末Aは基地局側と端末側のどちらも変調方式がBPSKであるので、変調方式を変更する必要はない。端末Bは基地局側の変調方式がQPSKで端末側の変調方式がBPSKであるため変調方式を揃える必要がある。そこで、図8(b)に示すように、変調多値数が大きい基地局側のQPSKを変調多値数が小さいBPSKに変更することにより、基地局側と端末側の変調方式をBPSKに揃えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−211344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のように、同一の無線端末について基地局側と端末側の変調方式を揃えて、基地局側と端末側の伝送速度を等しくすることによって、図6や図7において示したような、基地局側と端末側とで伝送速度が異なることに起因する問題を防ぐことができる。
【0013】
しかしながら、変調多値数が大きい方の変調方式を変調多値数が小さい方の変調方式に揃えることにより、基地局側と端末側の伝送速度を等しくする方法であるので、必ず、伝送速度が大きい方を伝送速度が小さい方に合わせることになってしまう。
【0014】
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、適応変調の結果、基地局側と端末側とで伝送速度が異なる状況となる場合に、基地局側と端末側の伝送速度を大きい方の伝送速度に揃えることもできる無線中継装置および無線通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成する第1の観点に係る無線中継装置の発明は、
無線基地局と無線端末との間で送受信されるデータを中継する無線中継装置であって、
前記無線基地局からダウンリンク信号を受信する基地局側通信部と、
前記無線端末からアップリンク信号を受信する端末側通信部と、
前記基地局側通信部および前記端末側通信部へのチャネル割り当てを決定する制御部と
を備え、前記制御部は、
受信した前記ダウンリンク信号に基づいて前記基地局側通信部の各チャネルが適応可能な変調方式を判定し、
受信した前記アップリンク信号に基づいて前記端末側通信部の各チャネルが適応可能な変調方式を判定し、
判定した前記基地局側通信部の各チャネルが適応可能な変調方式および前記端末側通信部の各チャネルが適応可能な変調方式に基づいて、前記基地局側通信部と前記端末側通信部の伝送速度を伝送速度が大きい方に揃えて、前記基地局側通信部と前記端末側通信部の伝送速度を等しくするように、前記基地局側通信部および前記端末側通信部へのチャネル割り当てを決定すること
を特徴とする。
【0016】
第2の観点に係る発明は、第1の観点に係る無線中継装置であって、前記制御部は、前記基地局側通信部と前記端末側通信部とで適応可能な変調方式が異なるチャネルを割り当てられている無線端末に対し、多値変調数が大きい方の変調方式に合わせて、多値変調数の小さい変調方式に対応しているチャネルを、当該多値変調数が大きい方の変調方式に適応できるチャネルに変更することを特徴とする。
【0017】
第3の観点に係る発明は、第1の観点に係る無線中継装置であって、前記制御部は、前記基地局側通信部と前記端末側通信部とで適応可能な変調方式が異なるチャネルを割り当てられている無線端末に対し、多値変調数が大きい方の変調方式に合わせて、多値変調数の小さい変調方式に対応しているチャネルの周波数帯域を広げることを特徴とする。
【0018】
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0019】
例えば、本発明を方法として実現させた第4の観点に係る無線通信方法の発明は、
無線基地局と無線端末との間で送受信されるデータを中継する無線中継装置の無線通信方法であって、
前記無線基地局からダウンリンク信号を受信するステップと、
前記無線端末からアップリンク信号を受信するステップと、
前記無線基地局と前記無線中継装置との間の送受信、および、前記無線端末と前記無線中継装置との間の送受信へのチャネル割り当てを決定するステップと
を含み、前記チャネル割り当てを決定するステップは、
受信した前記ダウンリンク信号に基づいて前記無線基地局と前記無線中継装置との間の各チャネルが適応可能な変調方式を判定するステップと、
受信した前記アップリンク信号に基づいて前記無線端末と前記無線中継装置との間の各チャネルが適応可能な変調方式を判定するステップと、
判定した前記無線基地局と前記無線中継装置との間の各チャネルが適応可能な変調方式、および、前記無線端末と前記無線中継装置との間の各チャネルが適応可能な変調方式に基づいて、前記無線基地局と前記無線中継装置との間と、前記無線端末と前記無線中継装置との間の伝送速度を伝送速度が大きい方に揃えて、前記無線基地局と前記無線中継装置との間と、前記無線端末と前記無線中継装置との間の伝送速度を等しくするように、前記無線基地局と前記無線中継装置との間の送受信、および、前記無線端末と前記無線中継装置との間の送受信へのチャネル割り当てを決定するステップと
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、適応変調の結果、基地局側と端末側とで伝送速度が異なる状況となる場合に、基地局側と端末側の伝送速度を大きい方の伝送速度に揃えることもできる無線中継装置および無線通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る無線中継装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るチャネル割り当ての様子を示す図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係るチャネル割り当ての様子を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る無線中継装置のチャネル割り当て処理を示すフローチャートである。
【図6】従来の無線通信システムを示す図である。
【図7】ダウンリンク信号のシンボル期間の一例を示す図である。
【図8】従来のチャネル割り当ての様子の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの概略図である。無線通信システムは、無線基地局と無線端末と無線中継装置10とから構成されている。無線中継装置10は、無線基地局と無線端末との間で送受信されるデータを中継する。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態に係る無線中継装置の概略構成を示す機能ブロック図である。無線中継装置10は、制御部100、基地局側通信部200、および、端末側通信部300を備える。
【0025】
制御部100は、基地局側通信部200および端末側通信部300をはじめとして無線中継装置10の全体を制御する。制御部100は、CPU(中央処理装置)等の任意の好適なプロセッサ上で実行されるソフトウェアとして構成したり、処理ごとに特化した専用のプロセッサ(例えばDSP(デジタルシグナルプロセッサ))によって構成したりすることもできる。制御部100の機能の詳細については後述する。
【0026】
基地局側通信部200は、アンテナを介して無線基地局からダウンリンク信号を受信し、無線基地局へアップリンク信号を送信する。基地局側通信部200は、無線基地局との送受信に際し、チャネル毎に変調方式を制御部100によって設定され、無線基地局と無線信号を送受信する。
【0027】
端末側通信部300は、アンテナを介して無線端末からアップリンク信号を受信し、無線端末へダウンリンク信号を送信する。端末側通信部300は、無線端末との送受信に際し、チャネル毎に変調方式を制御部100によって設定され、無線端末と無線信号を送受信する。
【0028】
制御部100について詳述する。制御部100は、基地局側通信品質測定部110、基地局側変調方式判定部120、端末側通信品質測定部130、端末側変調方式判定部140、および、通信品質比較部150を備える。
【0029】
基地局側通信品質測定部110は、基地局側通信部200を介して受信したダウンリンク信号から、基地局側の通信品質をチャネル毎に測定する。基地局側通信品質測定部110は、測定したチャネル毎の通信品質を基地局側変調方式判定部120に提供する。
【0030】
基地局側変調方式判定部120は、基地局側通信品質測定部110から受け取ったチャネル毎の通信品質に基づいて、適応可能な変調方式をチャネル毎に判定する。基地局側変調方式判定部120は、通信品質が劣悪な場合はBPSKのような多値変調数が小さい変調方式が適応可能な変調方式であると判定し、通信品質が良好な場合は16QAMのような多値変調数が大きい変調方式が適応可能な変調方式であると判定する。
【0031】
端末側通信品質測定部130は、端末側通信部300を介して受信したアップリンク信号から、端末側の通信品質をチャネル毎に測定する。端末側通信品質測定部130は、測定したチャネル毎の通信品質を端末側変調方式判定部140に提供する。
【0032】
端末側変調方式判定部140は、端末側通信品質測定部130から受け取ったチャネル毎の通信品質に基づいて、適応可能な変調方式をチャネル毎に判定する。端末側変調方式判定部140は、通信品質が劣悪な場合はBPSKのような多値変調数が小さい変調方式が適応可能な変調方式であると判定し、通信品質が良好な場合は16QAMのような多値変調数が大きいが適応可能な変調方式であると判定する。
【0033】
通信品質比較部150は、基地局側変調方式判定部120から基地局側のチャネル毎に適応可能な変調方式を受け取り、端末側変調方式判定部140から端末側のチャネル毎に適応可能な変調方式を受け取る。通信品質比較部150は、受け取った基地局側のチャネル毎の適応可能な変調方式と端末側のチャネル毎の適応可能な変調方式とを比較し、ある無線端末において、基地局側と端末側とで適応可能な変調方式が異なる場合は、基地局側と端末側の伝送速度を大きい方の伝送速度に揃えて等しくすることができるように、基地局側と端末側で使用するチャネルの組み合わせを変更する。通信品質比較部150がチャネルの組み合わせを変更する具体的な方法は以下に示す。
【0034】
図3に、通信品質比較部150が現状のチャネル割り当てを変更する一例を示す。例えば、図3(a)の場合、端末Aは、基地局側の適応可能な変調方式がBPSKであり、端末側の適応可能な変調方式がQPSKである。また、端末Bは、基地局側の適応可能な変調方式がQPSKであり、端末側の適応可能な変調方式がBPSKである。この状態において、端末側変調方式判定部140が、端末Aの端末側に割り当てられているチャネルにおいて端末Bの適応可能な変調方式をQPSKと判定している場合があり得る。このような場合、通信品質比較部150は、図3(b)に示すように、端末Aの端末側のチャネルとしてもともと端末Bに割り当てられていたチャネルを割り当て、端末Bの端末側のチャネルとして、もともと端末Aに割り当てられていた端末BがQPSKに適応可能なチャネルを割り当てることができる。このように、通信品質比較部150は、端末Bについては、基地局側と端末側の変調方式をQPSKに揃えることにより、伝送速度が大きい方に揃えて基地局側と端末側の伝送速度を等しくすることができる。
【0035】
図4に、通信品質比較部150が現状のチャネル割り当てを変更する他の例を示す。例えば、図4(a)の場合、端末Aは、基地局側の適応可能な変調方式と端末側の適応可能な変調方式が両方ともBPSKである。したがって、通信品質比較部150は、端末Aのチャネル割り当てを変更する必要はない。また、端末Bは、基地局側の適応可能な変調方式がQPSKであり、端末側の適応可能な変調方式がBPSKである。このような場合、通信品質比較部150は、図4(b)に示すように、端末Bの端末側のチャネルとしてもともと端末Bに割り当てられていた周波数帯域を広げ、例えば、2倍の周波数帯域を割り当てることができる。こうすると、端末Bの端末側の変調方式はBPSKのままであるものの、割り当てられた周波数帯域が2倍であるため、QPSKで送受信する基地局側と等しい伝送速度を実現することができる。このように、通信品質比較部150は、端末Bについて、端末側に割り当てる周波数帯域幅を2倍にすることにより、伝送速度が大きい方に揃えて基地局側と端末側の伝送速度を等しくすることができる。
【0036】
また、通信品質比較部150は、チャネル割り当ての変更のみによっては、基地局側と端末側の伝送速度を等しくできない無線端末がある場合は、図8に示した従来技術の例のように、変調多値数が大きい方の変調方式を変調多値数が小さい方の変調方式に揃える変更をして基地局側と端末側の伝送速度を等しくすることもできる。
【0037】
図5のフローチャートを参照しながら、無線中継装置10が基地局側と端末側の伝送速度を等しくする処理を説明する。
【0038】
基地局側通信品質測定部110は、基地局側通信部200を介して受信したダウンリンク信号から、基地局側の通信品質をチャネル毎に測定する(ステップS101)。端末側通信品質測定部130は、端末側通信部300を介して受信したアップリンク信号から、端末側の通信品質をチャネル毎に測定する(ステップS102)。
【0039】
基地局側変調方式判定部120は、基地局側通信品質測定部110から受け取ったチャネル毎の通信品質に基づいて、適応可能な変調方式をチャネル毎に判定する(ステップS103)。端末側変調方式判定部140は、端末側通信品質測定部130から受け取ったチャネル毎の通信品質に基づいて、適応可能な変調方式をチャネル毎に判定する(ステップS104)。
【0040】
通信品質比較部150は、基地局側変調方式判定部120から受け取った基地局側のチャネル毎に適応可能な変調方式と、端末側変調方式判定部140から受け取った端末側のチャネル毎に適応可能な変調方式とを比較する(ステップS105)。
【0041】
通信品質比較部150は、例えば、図3または図4の説明において示したような方法を用いて、次フレームにおいて、各通信端末の基地局側と端末側に割り当てるチャネル割り当てを決定する(ステップS106)。
【0042】
上述した図5に示すフローチャートによる処理は、フレーム毎に実行してもよいし、もっと長い時間間隔で実行してもよい。
【0043】
このように、本実施形態によれば、適応変調の結果、基地局側と端末側とで伝送速度が異なる状況となる場合に、基地局側と端末側の伝送速度を大きい方の伝送速度に揃えることもできる。
【0044】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0045】
また、上述の実施形態では、無線中継装置における基地局側通信部は無線基地局に、端末側通信部は無線端末と接続して上述の制御を行った。しかしながら、無線中継装置の基地局側通信部が、他の無線中継装置に接続している場合や、無線中継装置の端末側通信部が、他の無線中継装置に接続している場合にも上述の制御を行うようにしてよい。
【0046】
なお、上述の実施例では、変調方式としてBPSKとQPSKを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、16QAMや64QAMなどの他の変調方式にも適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
10 無線中継装置
100 制御部
110 基地局側通信品質測定部
120 基地局側変調方式判定部
130 端末側通信品質測定部
140 端末側変調方式判定部
150 通信品質比較部
200 基地局側通信部
300 端間側通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局と無線端末との間で送受信されるデータを中継する無線中継装置であって、
前記無線基地局からダウンリンク信号を受信する基地局側通信部と、
前記無線端末からアップリンク信号を受信する端末側通信部と、
前記基地局側通信部および前記端末側通信部へのチャネル割り当てを決定する制御部と
を備え、前記制御部は、
受信した前記ダウンリンク信号に基づいて前記基地局側通信部の各チャネルが適応可能な変調方式を判定し、
受信した前記アップリンク信号に基づいて前記端末側通信部の各チャネルが適応可能な変調方式を判定し、
判定した前記基地局側通信部の各チャネルが適応可能な変調方式および前記端末側通信部の各チャネルが適応可能な変調方式に基づいて、前記基地局側通信部と前記端末側通信部の伝送速度を伝送速度が大きい方に揃えて、前記基地局側通信部と前記端末側通信部の伝送速度を等しくするように、前記基地局側通信部および前記端末側通信部へのチャネル割り当てを決定すること
を特徴とする無線中継装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線中継装置であって、前記制御部は、前記基地局側通信部と前記端末側通信部とで適応可能な変調方式が異なるチャネルを割り当てられている無線端末に対し、多値変調数が大きい方の変調方式に合わせて、多値変調数の小さい変調方式に対応しているチャネルを、当該多値変調数が大きい方の変調方式に適応できるチャネルに変更することを特徴とする無線中継装置。
【請求項3】
請求項1に記載の無線中継装置であって、前記制御部は、前記基地局側通信部と前記端末側通信部とで適応可能な変調方式が異なるチャネルを割り当てられている無線端末に対し、多値変調数が大きい方の変調方式に合わせて、多値変調数の小さい変調方式に対応しているチャネルの周波数帯域を広げることを特徴とする無線中継装置。
【請求項4】
無線基地局と無線端末との間で送受信されるデータを中継する無線中継装置の無線通信方法であって、
前記無線基地局からダウンリンク信号を受信するステップと、
前記無線端末からアップリンク信号を受信するステップと、
前記無線基地局と前記無線中継装置との間の送受信、および、前記無線端末と前記無線中継装置との間の送受信へのチャネル割り当てを決定するステップと
を含み、前記チャネル割り当てを決定するステップは、
受信した前記ダウンリンク信号に基づいて前記無線基地局と前記無線中継装置との間の各チャネルが適応可能な変調方式を判定するステップと、
受信した前記アップリンク信号に基づいて前記無線端末と前記無線中継装置との間の各チャネルが適応可能な変調方式を判定するステップと、
判定した前記無線基地局と前記無線中継装置との間の各チャネルが適応可能な変調方式、および、前記無線端末と前記無線中継装置との間の各チャネルが適応可能な変調方式に基づいて、前記無線基地局と前記無線中継装置との間と、前記無線端末と前記無線中継装置との間の伝送速度を伝送速度が大きい方に揃えて、前記無線基地局と前記無線中継装置との間と、前記無線端末と前記無線中継装置との間の伝送速度を等しくするように、前記無線基地局と前記無線中継装置との間の送受信、および、前記無線端末と前記無線中継装置との間の送受信へのチャネル割り当てを決定するステップと
を含むことを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−30908(P2013−30908A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164426(P2011−164426)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】