説明

無線制御装置

【課題】カバーするエリアを複数に分割したエリアを単位として、基地局装置が制御情報を送信する場合に、端末装置における受信品質を改善すること。
【解決手段】複数の基地局装置を制御する無線制御装置は、基地局装置により、カバーするエリアを複数に分割したエリアを単位として制御情報が配信され、無線制御装置は、複数の基地局装置を同期させる手段と、各基地局装置がカバーする分割したエリアのうち、他の基地局装置がカバーする分割したエリアと重複する分割したエリアについて、該重複する分割したエリアをカバーする基地局装置に対して、該配信するタイミングが同じとなるように制御する手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共通制御チャネルなどの各地域で運用する無線システム全般の制御信号を扱う装置に関し、特に基地局装置、無線制御装置及び端末装置並びに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各地域で運用されている無線システム全般に対して、該各地域内で利用している周波数や無線方式などの情報を配信するコグニティブパイロットチャネル(CPC: Cognitive Pilot Channel)が提案されている。コグニティブパイロットチャネルを適用することにより、端末装置が接続可能な無線システムの基本パラメータ情報をスキャニングする処理を無くすことができる。また、コグニティブパイロットチャネルを適用することにより、無線システムの一部のパラメータの変更の際にも上記の配信情報を変更することで対応可能である。また、コグニティブパイロットチャネルは、端末装置自体を変更することなく適用できる。
【0003】
従って、本技術を採用することにより、端末装置の低価格化、及び無線システムパラメータの変更の際の対応が可能になる。また、無線システムパラメータの変更の際の対応が可能になることにより、周波数利用効率の高い無線システムへの移行を容易に行うことができると期待することが可能である。本技術では、基地局装置がカバーするエリア内を複数のメッシュとして分割する。該基地局装置がカバーするエリアでは、制御信号が送信される。そして、該メッシュ単位で、無線資源の利用方法が複数回にわたって通知される。通知される情報は同一であってもよい。図1には、下りリンクのブロードキャストコグニティブパイロットチャネルが示される。図1に示される例では、基地局装置がカバーするエリアは、Nm個(Nmは、Nm>1の整数)のメッシュに分割される。各メッシュでは、周期的に継続して制御情報が送信される。端末装置は、コグニティブパイロットチャネルを検出すると、当該端末装置が位置するメッシュに対応する制御情報が送信されるまで待機する。各メッシュにおいて制御情報が送信される時間の合計(Tm,B)は、下りリンクのブロードキャストコグニティブパイロットチャネルが送信されるビットレートに依存する。Tm,Bは、Tsにより示される複数のタイムスロットを含む。このようにすることにより、端末装置は、該チャネルで送信される全情報系列と同期を取ることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J. Perez-Romero, at al., "A Novel On-Demand Cognitive Pilot Channel enabling Dynamic Spectrum Allocation," IEEE Dyspan 2007.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記背景技術において説明した全無線システムパラメータを配信する無線制御装置には、以下に示すような問題点がある。例えば、このような無線制御信号の配信の際には、端末装置は、制御信号を受信できなければ運用されている各無線システムを利用した通信を行うことができない。また、端末装置は、無線資源を利用した通信が提供されている地域においては十分な通信品質を確保しなければならない。
【0006】
しかし、メッシュ単位で制御信号が配信されるため、該メッシュにおいて運用されている無線システム又はその無線パラメータが異なる場合がある。この場合、該制御信号は、配信するメッシュ単位で異なる場合があり、結果として基地局装置単位で異なってしまう。このため、十分な受信品質を提供できる単一周波数ネットワーク(SFN: Single Frequency Network)などの全ての基地局装置から同一信号を送信し、受信品質を向上させる技術を適用することは困難である。例えば、図2に示すように、コグニティブパイロットチャネルが送信されるセル#1及び#2が存在する場合(以下、CPC Cell#1及びCPC Cell#2と呼ぶ)について説明する。CPC Cell#1及びCPC Cell#2は複数のメッシュを含む。このような場合に、図3に示すように、CPC Cell#1に含まれるメッシュ#iにおいてコグニティブパイロットチャネルが送信されるタイミングと、該メッシュ#iに隣接するCPC Cell#2に含まれるメッシュ#jにおいてコグニティブパイロットチャネルが送信されるタイミングとが重なる場合には、端末装置は常に同等の受信電力をもつ干渉信号を受けたコグニティブパイロットチャネルを受信することになる。
【0007】
また、制御信号に広帯域を割り当てることはオーバヘッドが増加するため好ましくない。このため、各基地局装置において同一周波数を利用する1周波数繰り返しでの運用が必要となる。1周波数繰り返しでの運用を考える際には、端末装置において高い受信品質を得られる高度な送受信アルゴリズムを実装することが必須となる。しかし、以前より運用されている無線システムを利用する全ての端末装置に高度なアルゴリズムを実装することは困難である。従って、基地局装置に高度な送信アルゴリズムを実装し、簡易な受信アルゴリズムを実装した端末装置でも十分な受信品質を満足できるようにすることが好ましい。
【0008】
そこで本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、カバーするエリアを複数に分割したエリアを単位として、基地局装置が制御情報を送信する場合に、端末装置における受信品質を改善することができる基地局装置、無線制御装置及び端末装置並びに方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本無線制御装置は、
複数の基地局装置を制御する無線制御装置であって、
前記基地局装置により、カバーするエリアを複数に分割したエリアを単位として制御情報が配信され、
前記無線制御装置は、
前記複数の基地局装置を同期させる手段と、
各基地局装置がカバーする分割したエリアのうち、他の基地局装置がカバーする分割したエリアと重複する分割したエリアについて、該重複する分割したエリアをカバーする基地局装置に対して、該配信するタイミングが同じとなるように制御する手段と
を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施例によれば、カバーするエリアを複数に分割したエリアを単位として、基地局装置が制御情報を送信する場合に、端末装置における受信品質を改善することができる基地局装置、無線制御装置及び端末装置並びに方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】コグニティブパイロットチャネルの配信例を示す説明図である。
【図2】通信システムの一例を示す説明図である。
【図3】コグニティブパイロットチャネルの配信例を示す説明図である。
【図4】一実施例に係る通信システムを示す説明図である。
【図5】一実施例に係る基地局装置の動作を示す説明図である。
【図6】一実施例に係る基地局装置を示す部分ブロック図である。
【図7】一実施例に係る基地局装置の動作を示すフロー図である。
【図8】一実施例に係る基地局装置を示す部分ブロック図である。
【図9】一実施例に係る基地局装置の動作を示すフロー図である。
【図10】一実施例に係る基地局装置の動作を示す説明図である。
【図11】一実施例に係る基地局装置の動作を示す説明図である。
【図12】一実施例に係る基地局装置を示す部分ブロック図である。
【図13】一実施例に係る基地局装置の動作を示す説明図である。
【図14】一実施例に係る基地局装置を示す部分ブロック図である。
【図15】一実施例に係る基地局装置の動作を示すフロー図である。
【図16】一実施例に係る基地局装置の動作を示す説明図である。
【図17】一実施例に係る無線制御装置及び基地局装置を示す部分ブロック図である。
【図18】一実施例に係る基地局装置の動作を示す説明図である。
【図19】一実施例に係る端末装置を示す部分ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ説明する。実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
(第1の実施例)
本実施例に係る通信システムについて、図4を参照して説明する。本実施例に係る通信システムは基地局装置200(200、200)を含む。また、本実施例に係る通信システムは無線制御装置を含む。また、本実施例に係る通信システムは端末装置100を含む。また、無線制御装置の機能が基地局装置に含まれるようにしてもよい。図4には、2の基地局装置が示されるが3以上であってもよい。また、図4には、1の端末装置が示されるが2以上であってもよい。
【0013】
各基地局装置200は、制御情報を配信する地域(領域)として、コグニティブパイロットチャネルセル(CPC Cell: Cognitive Pilot Channel Cell)(以下、CPC Cellと呼ぶ)をカバーする。各CPC Cellは、複数のメッシュ(Mesh)を含む。メッシュとは、基地局装置がカバーするエリアを複数に分割したエリアである。図4に示される例では、CPC Cell#1に含まれるMesh#iと、CPC Cell#2に含まれるMesh#jとは隣接する。また、図4に示される例では、同様のハッチングが付されたメッシュは同じ無線通信システムによりカバーされる。ここで、コグニティブパイロットチャネルとは、各メッシュの制御情報である。例えば、制御情報には、当該メッシュで運用されている無線通信システムの制御情報が含まれるようにしてもよい。
【0014】
本実施例に係る基地局装置200が制御情報を配信するメッシュの順序について、図5を参照して説明する。制御情報には、コグニティブパイロットチャネルが含まれるようにしてもよい。また、制御情報には、共通制御チャネルが含まれるようにしてもよい。図5には、基地局装置200が配信するメッシュの順番の一例が示される。
【0015】
本実施例に係る基地局装置200は、各メッシュの制御情報を配信する際に、送信するメッシュの順序をランダム化する。言い換えれば、該基地局装置200は、各メッシュの制御情報を配信する度に、前回からの時間間隔を変更する。このように、同一制御信号を等時間間隔にて配信するのではなく、前回からの時間間隔を変更することにより、該基地局装置200に含まれるメッシュ#iにおいて制御情報が送信されるタイミングと、該メッシュ#iに隣接するCPC Cell#2に含まれるメッシュ#jにおいて制御情報が配信されるタイミングとが重なる確率を低減する。すなわち、当該基地局装置200が配信する所定のメッシュにおいて、該所定のメッシュに配信されるタイミングと同一タイミングで隣接する基地局装置が配信するメッシュが、配信の度に異なるようにする。
【0016】
図5に示される例では、CPC Cell#1においてMesh#iの制御情報を配信する際に、該配信する時間間隔がランダム化される。このようにすることにより、ある配信タイミングでは、Mesh#iにおいて制御情報が送信されるタイミングと、該Mesh#iに隣接するCPC Cell#2に含まれるメッシュ#jにおいて制御情報が送信されるタイミングとが重なる場合であっても、その後の配信タイミングを異ならせることができる。このため、Mesh#iに位置する端末装置100は、該Mesh#iに隣接するMesh#jへ配信された干渉が低減されるため、受信品質を改善できる。図5に示される例では、最初の送信タイミングでは、CPC Cell#1に含まれるメッシュ#iにおいて制御情報が送信されるタイミングと、該メッシュ#iに隣接するCPC Cell#2に含まれるメッシュ#jにおいて制御情報が送信されるタイミングとが重なるが、次の制御情報が送信されるタイミングは異なる。
【0017】
本実施例に係る基地局装置200について、図6を参照して説明する。
【0018】
本実施例に係る基地局装置200は、乱数生成部208を有する。乱数生成部208は、制御情報の配信順序をランダム化するための乱数を生成する。乱数生成部208は、生成した乱数を後述する送信タイミング決定部206に入力する。
【0019】
本実施例に係る基地局装置200は、送信タイミング決定部206を有する。送信タイミング決定部206は、乱数生成部208において生成した乱数に基づいて、当該基地局装置200がカバーするCPC Cellに含まれる各メッシュにおける制御情報の配信順序を決定する。送信タイミング決定部206は、決定した配信順序に従って、メッシュの送信時刻となった場合に、配信するメッシュの識別子を後述する共通制御チャネル情報データベース部202に入力する。該メッシュの識別子には、メッシュ番号が含まれてもよい。
【0020】
本実施例に係る基地局装置200は、共通制御チャネル情報データベース部202を有する。共通制御チャネル情報データベース部202は、各メッシュ内の無線システムを利用して通信を行うために必要となる制御情報を保持する。ここで保持される制御情報は、最低限必要となる制御情報であってもよい。共通制御チャネル情報データベース部202は、入力されたメッシュの識別子に基づいて、該当する共通制御チャネルを後述する制御チャネル送信部204に入力する。
【0021】
本実施例に係る基地局装置200は、制御チャネル送信部204を有する。制御チャネル送信部204は、入力された共通制御チャネルを配信する。
【0022】
本実施例に係る基地局装置200の動作について、図7を参照して説明する。
【0023】
基地局装置200は、乱数を生成する(ステップS702)。例えば、乱数生成部208は、乱数を生成する。この乱数は一様乱数や正規乱数や対数正規乱数であってもよい。
【0024】
基地局装置200は、生成された乱数に基づいて、各メッシュの配信順序を決定する(ステップS704)。例えば、送信タイミング決定部206は、乱数生成部208において生成された乱数を元に、各メッシュの配信順序を決定する。
【0025】
基地局装置200は、ステップS704において決定された配信順序に従って、メッシュの制御情報を送信する(ステップS706)。送信タイミング決定部206は、決定した配信順序に基づいて、メッシュの送信順序となった場合に、共通制御チャネル情報データベース部202に、配信するメッシュの識別子を通知する。共通制御チャネル情報データベース部202は、送信タイミング決定部206により通知されたメッシュの識別子に基づいて、該メッシュの識別子に対応する該メッシュの制御情報を制御チャネル送信部204に入力する。制御チャネル送信部204は、入力されたメッシュの制御情報を、予め定められた無線通信方式により変調し、送信を行う。
(第2の実施例)
本実施例に係る通信システムは、図4を参照して説明した通信システムと同様である。
【0026】
本実施例に係る基地局装置200は、制御情報を送信するメッシュの位置に応じて、該制御情報の送信電力を変更する。
【0027】
本実施例に係る基地局装置200について、図8を参照して説明する。
【0028】
本実施例にかかる基地局装置200は、メッシュ位置データベース部212を有する。メッシュ位置データベース部212は、当該基地局装置200がカバーするCPC Cellに含まれるメッシュの位置を保持する。
【0029】
本実施例にかかる基地局装置200は、基準送信電力データベース部210を有する。基準送信電力データベース部210は、各メッシュにおける基準となる送信電力を示す情報を保持する。
【0030】
本実施例に係る基地局装置200は、共通制御チャネル情報データベース部202を有する。共通制御チャネル情報データベース部202は、各メッシュ内の無線システムを利用して通信を行うために必要となる制御情報を保持する。ここで保持される制御情報は、最低限必要となる制御情報であってもよい。共通制御チャネル情報データベース部202は、保持する制御情報を後述する制御チャネル送信部204に入力する。
【0031】
本実施例に係る基地局装置200は、制御チャネル送信部204を有する。制御チャネル送信部204は、基準送信電力データベース部210に保持された送信電力に従って制御情報を配信する。
【0032】
本実施例に係る基地局装置200の動作について、図9を参照して説明する。
【0033】
本実施例では、制御情報が送信されるメッシュの順序は予め決定される。
【0034】
基地局装置200は、メッシュの配信順序に従って、配信するメッシュの位置情報を求める(ステップS902)。例えば、メッシュ位置データベース部212は、メッシュの配信順序に従って、配信するメッシュの位置情報を求める。そして、メッシュ位置データベース部212は、配信するメッシュの位置情報を基準送信電力データベース部210に入力する。
【0035】
基地局装置200は、ステップS902において求められたメッシュの位置に基づいて、送信電力を求める(ステップS904)。例えば、基準送信電力データベース部210は、入力されたメッシュの位置情報に基づいて、該位置に対応する送信電力を求める。例えば、基準送信電力データベース部210には、当該基地局装置200からの距離に応じて、該基地局装置200がカバーするCPC Cellに含まれるメッシュに対応する送信電力が規定される。例えば、図10に示すように、基地局装置200から近い距離に位置するメッシュに対しては小さい送信電力が規定される。また、基地局装置200から遠い距離に位置するメッシュに対しては大きい送信電力が規定される。これは一例であり、メッシュの位置に対応する送信電力は適宜変更可能である。基準送信電力データベース部210は、送信電力を示す情報を制御チャネル送信部204に入力する。
【0036】
基地局装置200は、共通制御チャネル情報データベース部202により入力された共通制御チャネルを、ステップS904において求められた送信電力で送信する(ステップS906)。共通制御チャネル情報データベース部202は、メッシュの配信順序に従って、共通制御チャネルを制御チャネル送信部204に入力する。制御チャネル送信部204は、入力されたメッシュの制御情報を、基準送信電力データベース部210から通知された送信電力で送信する。
【0037】
本実施例によれば、送信するメッシュ毎に、送信電力を異ならせることができる。このため、メッシュの位置に応じて干渉電力を制御することが可能となる。図11に、各メッシュの送信電力と受信タイミングの関係を示す。図11において、縦軸は送信電力であり、横軸は時間である。
【0038】
本実施例によれば、隣接するメッシュにおいて受信タイミングが重なった場合でも、その制御情報の送信電力は異なる。このため、端末装置が受信する制御情報が受ける干渉を低減できる。よって、メッシュ単位で、制御情報の受信品質の制御を図ることができると共に、端末装置における受信品質の向上を図ることが可能となる。
(第3の実施例)
本実施例に係る通信システムは、図4を参照して説明した通信システムと同様である。
【0039】
本実施例に係る基地局装置200は、制御情報を送信するメッシュの位置に応じて、該制御情報の送信電力を変更する。この場合、本実施例に係る基地局装置200では、メッシュの位置により平均送信電力が予め決定される。本実施例に係る基地局装置200は、該平均送信電力に基づいて、送信電力制御を行う。
【0040】
本実施例に係る基地局装置200について、図12を参照して説明する。本実施例に係る基地局装置200は、図8を参照して説明した基地局装置200に、乱数生成部214及び送信電力決定部216を有する。
【0041】
乱数生成部214は乱数を生成する。この乱数は一様乱数や正規乱数や対数正規乱数であってもよい。乱数生成部214は、生成した乱数を送信電力決定部216に入力する。
【0042】
送信電力決定部216は、制御情報の送信電力を決定する。例えば、送信電力決定部216は、各メッシュに対して予め決定された平均送信電力に基づいて、該平均送信電力となるように、当該基地局装置が送信可能な電力の範囲内で、複数回送信する制御情報の送信電力をランダムに制御する。例えば、送信電力決定部216は、入力された乱数に基づいて、上述した条件を満足するように送信電力を決定する。
【0043】
本実施例によれば、各メッシュの制御情報の送信電力を、送信する度に変更することができる。このため、干渉の影響を常に変動させることができ、端末装置における受信品質を向上させることが可能である。図13には、配信するメッシュ位置により決定される平均送信電力に基づいて、送信電力制御が行われる場合の送信タイミングと送信電力との関係を示す。図13において、縦軸は送信電力であり、横軸は時間である。
(第4の実施例)
本実施例に係る通信システムは、図4を参照して説明した通信システムと同様である。
【0044】
本実施例に係る基地局装置200は、各メッシュの配信順序をランダム化し、加えてメッシュ位置に基づいて送信電力を制御する。
【0045】
本実施例に係る基地局装置200は、図14に示すように、上述した第1の実施例に係る基地局装置と第3の実施例に係る基地局装置とを組み合わせたものである。
【0046】
本実施例に係る基地局装置200の動作について、図15を参照して説明する。
【0047】
基地局装置200は、乱数を生成する(ステップS1502)。例えば、乱数生成部208は、乱数を生成する。
【0048】
基地局装置200は、生成された乱数に基づいて、各メッシュの配信順序を決定する(ステップS1504)。例えば、送信タイミング決定部206は、乱数生成部208において生成された乱数を元に、各メッシュの配信順序を決定する。
【0049】
基地局装置200は、ステップS1504において決定されたメッシュの配信順序に従って、配信するメッシュの位置情報を求める(ステップS1506)。例えば、メッシュ位置データベース部212は、メッシュの配信順序に従って、配信するメッシュの位置情報を求める。そして、メッシュ位置データベース部212は、配信するメッシュの位置情報を基準送信電力データベース部210に入力する。
【0050】
基地局装置200は、ステップS1506において求められたメッシュの位置に基づいて、送信電力を求める(ステップS1508)。例えば、送信電力決定部216は、各メッシュに対して予め決定された平均送信電力に基づいて、該平均送信電力となるように、当該基地局装置が送信可能な電力の範囲内で、複数回送信する制御情報の送信電力をランダムに制御する。例えば、送信電力決定部216は、入力された乱数に基づいて、上述した条件を満足するように送信電力を決定する。
【0051】
基地局装置200は、ステップS1504において決定された配信順序に従って、ステップS1508において求められた送信電力で制御情報を送信する(ステップS1510)。
【0052】
本実施例によれば、配信するメッシュの順序をランダム化できる。さらに、配信するメッシュ位置により決定される平均送信電力に基づいて、送信電力制御を行うことができる。図16には、本実施例に係る基地局装置における配信するメッシュの順序のランダム化と、配信するメッシュ位置に基づいて送信電力制御を行う場合の動作の一例が示される。図16において、縦軸は送信電力であり、横軸は時間である。
【0053】
本実施例によれば、配信するメッシュの順序をランダム化し、さらに配信する際の送信電力をメッシュ位置に基づいた平均送信電力を利用して制御することにより、隣接する基地局装置に対する干渉信号の影響を低減することができる。
【0054】
また、第1の実施例に係る基地局装置の機能と第2の実施例に係る基地局装置の機能とを組み合わせるようにしてもよい。このようにすることにより、配信するメッシュの順序をランダム化でき、送信するメッシュ毎に送信電力を異ならせることができる。
(第5の実施例)
本実施例に係る通信システムは、図4を参照して説明した通信システムと同様である。
【0055】
本実施例に係る通信システムでは、基地局装置200と基地局装置200とが同期して制御情報の配信を行う。
【0056】
基地局装置200と基地局装置200は、無線制御装置300と接続される。無線制御装置300は、基地局装置200と基地局装置200とを同期させる。基地局装置200と基地局装置200は同期して、各メッシュの制御情報を送信する。
【0057】
本実施例に係る無線制御装置300について、図17を参照して説明する。図17には、説明の便宜のため、1の基地局装置200が示されるが複数であってもよい。
【0058】
本実施例に係る無線制御装置300は、タイマー302を有する。タイマー302は、制御する基地局装置を同期させる。ここでは、基地局装置200と基地局装置200とを同期させるために使用される。
【0059】
本実施例に係る無線制御装置300は、基地局位置情報記憶部304を有する。基地局位置情報記憶部304は、当該無線制御装置300に接続された基地局装置の位置情報を保有する。
【0060】
本実施例に係る無線制御装置300は、送信基地局制御部306を有する。送信基地局制御部306は、各基地局装置200に対して、同期して送信させる制御を行う。
【0061】
本実施例に係る無線制御装置300は、共通制御チャネル情報更新部308を有する。共通制御チャネル情報更新部308は、当該無線制御装置300が制御する全基地局装置により保有され、管理される地域の制御情報の管理・更新を行う。
【0062】
本実施例に係る基地局装置200について、図17を参照して説明する。
【0063】
本実施例に係る基地局装置200は、ネットワーク(NW)タイマー同期制御部218を有する。NWタイマー同期制御部218は、無線制御装置300から通知されるタイマー情報に基づいて、他の基地局装置との同期を制御する。
【0064】
本実施例に係る基地局装置200は、タイマー222を有する。タイマー222は、当該基地局装置200により保有される。タイマー222は、NWタイマー同期制御部218により制御される。
【0065】
本実施例に係る基地局装置200は、GPS信号受信部220を有する。GPS信号受信部220は、無線制御装置300から通知されるタイマー情報の遅延が生じた場合に、該遅延の補正を行うためのGPS信号を受信する。
【0066】
本実施例に係る基地局装置200は、時刻同期制御部224を有する。時刻同期制御部224は、タイマー222により入力されたタイマー情報に基づいて、時刻同期を行う。また、時刻同期制御部224は、無線制御装置300から通知されたタイマー情報の遅延が生じた場合には、GPS信号受信部220により入力されたGPS信号に基づいて、時刻同期の補正を行う。
【0067】
本実施例に係る基地局装置200は、送信メッシュ情報制御部226を有する。送信メッシュ情報制御部226は、無線制御装置300から通知された送信時刻をメッシュの制御信号として配信する制御を行う。また、送信メッシュ情報制御部226は、無線制御装置300から通知された送信電力をメッシュの制御信号として配信する制御を行うようにしてもよい。
【0068】
本実施例に係る基地局装置200は、共通制御チャネル情報データベース部202を有する。共通制御チャネル情報データベース部202は、送信メッシュ情報制御部226及び無線制御装置300から通知された各メッシュの制御信号を保有する。
【0069】
本実施例に係る基地局装置200は、制御チャネル送信部204を有する。制御チャネル送信部204は、制御情報を送信する。
【0070】
本実施例によれば、配信する順序をランダム化し、さらに配信する送信電力の制御を行った場合において、受信品質の確保が難しいと考えられるメッシュに対して、隣接する基地局装置においても同一の制御情報を同一送信時刻にて送信させる。例えば、図18に示すように、無線制御装置300は、各基地局装置が配信するメッシュのうち、他の基地局装置が配信するメッシュと重複するメッシュについて、該重複するメッシュをカバーする基地局装置に対して、該配信するタイミングが同じとなるように制御する。このようにすることにより、端末装置100は、制御信号の受信電力の向上を図ることができる。また、隣接する基地局装置から異なるメッシュの制御情報が配信されないため、端末装置100は、干渉信号の除去を行うことができ、受信品質を向上させることができる。また、図17を参照して説明した基地局装置と、図6,図8、図12又は図14を参照して説明した基地局装置とを組み合わせても同様である。
(第6の実施例)
本実施例に係る通信システムは、図4を参照して説明した通信システムと同様である。
【0071】
本実施例に係る端末装置100は、上述した全実施例に適用される。
【0072】
本実施例に係る端末装置100について、図19を参照して説明する。
【0073】
本実施例に係る端末装置100は、受信信号合成処理部102を有する。受信信号合成処理部102は、基地局装置200から複数回送信される制御信号を合成するための制御を行う。
【0074】
本実施例に係る端末装置100は、受信信号記憶部104を有する。受信信号記憶部104は、受信処理を行うまでに受信した信号を保持する。
【0075】
本実施例に係る端末装置100は、合成処理制御部106を有する。合成処理制御部106は、受信信号を合成する。
【0076】
本実施例に係る端末装置100は、制御信号処理部108を有する。制御信号処理部108は、制御信号に基づいて、当該端末装置100が存在するメッシュで運用されている無線システムの情報に基づいて制御を行う。
【0077】
本実施例に係る無線通信システムでは、各メッシュの制御情報は異なる配信間隔及び/又は送信電力により複数回送信される。このため、端末装置100では、送信回ごとに異なる受信品質を得られる。端末装置100は、受信品質が異なることを加味して受信信号合成処理部102にて合成処理を行うことが好ましい。このようにすることにより、受信品質を向上させることができる。受信信号を合成することにより、隣接基地局装置の配信順序が異なるために干渉電力が大きすぎた場合でも次の送信機会では小さな干渉電力の環境での受信品質を得られる可能性が高いためである。また送信電力が小さすぎた場合においても、次の配信順序において高い送信電力で配信され良好な受信品質を得られる可能性が高いためである。
【0078】
本実施例に係る基地局装置によれば、各メッシュの配信順序をランダム化する。例えば、配信するメッシュをランダムに抽出し、そのメッシュの制御情報を配信する。このようにすることにより、端末装置に対して、同一の干渉信号を与えず常に異なる受信状態とすることができる。例えば、隣接基地局装置も同様に異なるメッシュの情報を配信することから、端末装置で受信する際には異なる干渉信号となる。その結果、端末装置において、受信品質を向上させることができる。
【0079】
また、本実施例に係る基地局装置によれば、配信するメッシュ位置に基づいて、送信電力を決定する。このようにすることにより、端末装置に対して、隣接の基地局装置から送信させる干渉信号の影響を低減することができる。例えば、配信する際の送信電力を、配信するメッシュ内で受信可能な最低限の電力とするとするようにしてもよい。メッシュ内で受信可能な最低限の電力にて送信するため、過剰な電力で送信せず、隣接する地域に対して干渉となる信号を小さくすることができるためである。また、例えば、各メッシュに対する平均送信電力を規定し、その平均値を満足し、基地局装置が送信可能な電力の範囲内で、複数回送信する制御情報の送信電力をランダムに制御するようにしてもよい。送信電力をランダムに選択することにより、隣接する地域に対する干渉信号をある送信時間においては小さくすることが可能である。特に、今回想定する制御信号のような複数回の同一信号送信の場合には受信成功確率を大きくすることができる。
【0080】
また、本実施例に係る基地局装置によれば、配信するメッシュ順序のランダム化及び/又は配信するメッシュ位置に基づいた送信電力制御を行うことにより、端末装置において、該端末装置が必要とするメッシュに関する情報を、連続して大きな干渉信号と同時に受信する確率を小さくでき、受信品質の向上を図ることができる。
【0081】
また、本実施例に係る基地局装置によれば、複数の基地局装置において同時に一部のメッシュの制御情報を送信する。このようにすることにより、端末装置に対して、干渉信号を低減し、受信品質を向上させることができる。例えば、各基地局装置が担当する地域の端などの、最大送信電力や高効率な配信順番に基づいて送信した場合においても受信品質の確保が効率的に行えない地域に対して、隣接する地域で運用している基地局装置からも同一送信時間に同一制御信号を配信するようにしてもよい。同一送信時間に同一制御信号を配信することにより、受信電力の向上及び干渉電力を低減させることができるためである。さらに、配信するメッシュの順番のランダム化及び/又は配信するメッシュ位置に基づいた送信電力制御を同時に行うようにしてもよい。例えば、同一送信時間に同一制御信号を配信するために、基地局装置を制御する無線制御装置は、同一時間に送信したほうが好ましいメッシュの配信時間及び送信電力などを制御する。そして、無線制御装置は、該制御に基づいて、基地局装置に対して、同一信号を送信しないメッシュに対して配信時間をランダムに選択する。
【0082】
本実施例に係る端末装置によれば、制御信号が複数回配信されるため、それらの信号を配信タイミングごとに受信処理するだけでなく、それまでに受信した信号も合成することができる。該端末装置によれば、それまでに受信した信号も合成することにより、時間ダイバーシチ効果を得られ受信品質を向上させることができる。
【0083】
以上の実施例を含む実施形態に関し、更に、以下の項目を開示する。
(1) カバーするエリアを複数に分割したエリアを単位として制御情報を送信する手段と、
前記分割したエリアに対応する制御情報を格納する手段と、
前記分割したエリア毎の配信順序を決定する手段と
を有し、
前記決定する手段は、前記分割したエリア毎の配信順序をランダムに決定することを特徴とする基地局装置。
(2) (1)に記載の基地局装置において、
前記分割したエリアの位置に基づいて、前記制御情報の送信電力を制御する手段
を有することを特徴とする基地局装置。
(3) (1)又は(2)に記載の基地局装置において、
他の基地局装置との間で同期を行う手段
を有し、
前記決定する手段は、前記他の基地局装置と重複する分割したエリアに配信するタイミングと、該他の基地局装置が前記重複する分割したエリアに配信するタイミングとが同じになるように決定することを特徴とする基地局装置。
(4) カバーするエリアを複数に分割したエリアを単位として制御情報を送信する手段と、
前記分割したエリアに対応する制御情報を格納する手段と、
前記分割したエリアの位置に基づいて、前記制御情報の送信電力を制御する手段と
を有することを特徴とする基地局装置。
(5) (2)又は(4)に記載の基地局装置において、
前記制御する手段は、前記分割したエリアの位置に基づいて決定された電力が平均値となるように、前記制御情報の送信電力をランダムに制御することを特徴とする基地局装置。
(6) (1)ないし(5)のいずれか1項に記載の基地局装置において、
前記送信する手段は、前記制御情報を複数回送信することを特徴とする基地局装置。
(7) (1)ないし(6)のいずれか1項に記載の基地局装置において、
前記制御情報には、当該分割したエリアで運用されている複数の無線通信システムの制御情報が含まれることを特徴とする基地局装置。
(8) 複数の基地局装置を制御する無線制御装置であって、
前記基地局装置は、カバーするエリアを複数に分割したエリアを単位として制御情報を配信し、
前記複数の基地局装置を同期させる手段と、
各基地局装置がカバーする分割したエリアのうち、他の基地局装置がカバーする分割したエリアと重複する分割したエリアについて、該重複する分割したエリアをカバーする基地局装置に対して、該配信するタイミングが同じとなるように制御する手段と
を有することを特徴とする基地局装置。
(9) カバーするエリアを複数に分割したエリアを単位として制御情報を送信する基地局装置を有する通信システムにおける端末装置であって、
前記基地局装置は、前記分割したエリア毎の配信順序をランダムに決定し、前記制御情報を複数回送信し、
前記複数回送信される制御情報を記憶する手段と、
前記複数回送信される制御情報を合成する手段と
を有することを特徴とする端末装置。
(10) (9)に記載の端末装置において、
前記基地局装置は、前記分割したエリアの位置に基づいて、前記制御情報の送信電力を制御することを特徴とする端末装置。
(11) カバーするエリアを複数に分割したエリアを単位として制御情報を送信する基地局装置を有する通信システムにおける端末装置であって、
前記基地局装置は、前記分割したエリアの位置に基づいて、前記制御情報の送信電力を制御し、前記制御情報を複数回送信し、
前記複数回送信される制御情報を記憶する手段と、
前記複数回送信される制御情報を合成する手段と
を有することを特徴とする端末装置。
(12) カバーするエリアを複数に分割したエリアを単位として、制御情報を送信する基地局装置における方法であって、
前記分割したエリア毎の配信順序をランダムに決定するステップと、
前記決定するステップにおいて決定された配信順序に従って、前記分割したエリアに対応する制御情報を送信するステップと
を有することを特徴とする方法。
(13) カバーするエリアを複数に分割したエリアを単位として、制御情報を送信する基地局装置における方法であって、
前記分割したエリアの位置に基づいて、前記制御情報の送信電力を制御するステップと、
前記制御するステップにおいて決定された送信電力により、前記分割したエリアに対応する制御情報を送信するステップと
を有することを特徴とする方法。
【符号の説明】
【0084】
100 端末装置
102 受信信号合成処理部
104 受信信号記憶部
106 合成処理制御部
108 制御信号処理部
200(200、200) 基地局装置
202 共通制御チャネル情報データベース部
204 制御チャネル送信部
206 送信タイミング決定部
208 乱数生成部
210 基準送信電力データベース部
212 メッシュ位置データベース部
214 乱数生成部
216 送信電力決定部
218 ネットワークタイマー同期制御部
220 GPS信号受信部
222 タイマー
224 時刻同期制御部
226 送信メッシュ情報制御部
300 無線制御装置
302 タイマー
304 基地局位置情報記憶部
306 送信基地局制御部
308 共通制御チャネル情報更新部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局装置を制御する無線制御装置であって、
前記基地局装置により、カバーするエリアを複数に分割したエリアを単位として制御情報が配信され、
前記無線制御装置は、
前記複数の基地局装置を同期させる手段と、
各基地局装置がカバーする分割したエリアのうち、他の基地局装置がカバーする分割したエリアと重複する分割したエリアについて、該重複する分割したエリアをカバーする基地局装置に対して、該配信するタイミングが同じとなるように制御する手段と
を有することを特徴とする無線制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−81230(P2013−81230A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−268692(P2012−268692)
【出願日】平成24年12月7日(2012.12.7)
【分割の表示】特願2008−131374(P2008−131374)の分割
【原出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】