説明

無線受信機、無線通信システム及び無線受信方法

【課題】妨害電波の影響を少なくして所定の周波数の信号の受信感度をより高くすることができる無線受信機、無線通信システム及び無線受信方法を提供する。
【解決手段】受信機1のアンテナ10の出力と、高周波増幅回路12との間に、帯域通過フィルタであるSAWフィルタを備え、SAWフィルタの前段又は後段に、減衰させる周波数を制御することが可能な帯域除去フィルタであるノッチフィルタを含むフィルタ回路11を備える。受信機1で受信すべき信号がキー2から送信されていない間に、ノッチフィルタが減衰させる信号の周波数を掃引させつつフィルタ回路11を通過する信号の強度を信号強度測定回路17で測定し、信号強度が極小値となるようなノッチフィルタが減衰させる周波数を保持し、受信すべき信号を受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線による信号を受信する無線受信機に関し、特に妨害電波の影響を少なくして所定の周波数の信号の受信感度をより高くすることができる無線受信機、無線通信システム及び無線受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の無線技術の進歩により、無線通信によって信号を送受信し非接触にて種々の処理を実行するシステムが開発されている。その1つの応用例として、例えば300MHz程度の周波数の信号を送信するキーと、キーから信号を受信し、信号が表わす情報に基づいてドアの開閉を制御することが可能なキーレスエントリーシステム等に応用される場合がある。
【0003】
このような無線技術を応用したシステムにおける受信機で所定の周波数の信号を受信するためには、所定の周波数の信号を選択的に通過させるフィルタ、例えば帯域通過フィルタが有益である。なかでも、安価に入手することが可能であって小型化が可能なSAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)フィルタが用いられる場合がある。
【0004】
SAWフィルタは、通過させる所定の周波数の信号に対して通過帯域幅を有する帯域通過フィルタである。したがって、所定の周波数の近傍の周波数を有する過大な妨害電波が入力された場合、SAWフィルタで妨害電波を阻止することができず、増幅器の飽和による利得低下が発生する。また、所定の周波数の信号と妨害電波との相互変調歪波が発生することにより、受信機の感度の低下、所定の周波数の信号の受信可能範囲の低下、通信不可等の問題が発生する虞がある。
【0005】
そこで、特許文献1には、スーパーヘテロダイン方式の受信機において局部発振回路から出力される電波の周波数を可変とし、周波数を掃引しつつ妨害波の電波強度が所定値以下となり、且つ所定の指令信号を受信することができる周波数を探索して使用する構成により、妨害波による影響を少なくして信号を受信することが可能な無線受信機の技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−46402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術による場合、受信機に複数の周波数によって受信することを可能とする機構が夫々必要であり、送信機でも出力する信号の周波数として複数の周波数の信号を発振する機構が必要である。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、特定の周波数を減衰させ、更にその特定の周波数を妨害電波の周波数に相当させることができる帯域除去フィルタを備える構成とすることにより、所定の周波数の信号を妨害電波の影響を少なくして受信すべき信号の受信感度をより高くすることができる無線受信機を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、受信すべき信号が送信されていない間に受信する信号の全体的な強度を小さくするように帯域除去フィルタによる減衰周波数を制御させる構成とすることにより、妨害電波をより効果的に除去して影響を少なくし、受信すべき信号の受信感度をより高くことができる無線受信機、無線通信システム及び無線受信方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、受信すべき信号が送信されない所定の送信間隔が到来する都度、帯域除去フィルタによって減衰される信号の周波数を妨害電波の周波数に相当させる構成とすることにより、受信機の周辺環境が変化して妨害電波の要因が時間的に変動する場合でも、より効果的に妨害電波を除去して影響を少なくすることができる無線受信機、無線通信システム及び無線受信方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、帯域除去フィルタによって減衰させる周波数を妨害電波の周波数に相当させる場合、前回妨害電波の周波数に相当させた周波数に設定してから制御するように構成することにより、妨害電波をより迅速に効果的に除去して影響を少なくすることができる無線受信機及び無線受信方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、帯域通過フィルタに加え、通過帯域外の周波数の信号を除去する高域通過フィルタ及び/又は低域通過フィルタを備える構成とすることにより、妨害電波をより効果的に除去して影響を少なくし、受信すべき信号の受信感度をより高くすることができる無線受信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明に係る無線受信機は、無線により送信される信号を受信して出力するアンテナ部と、前記所定の周波数の信号を通過させる帯域通過フィルタとを備える無線受信機において、減衰させる信号の周波数を制御することが可能な帯域除去フィルタを備えることを特徴とする。
【0013】
第2発明に係る無線受信機は、前記帯域除去フィルタが減衰させる周波数を掃引する掃引手段と、前記帯域通過フィルタ及び前記帯域除去フィルタを通過して出力される信号の強度を測定する測定手段と、前記掃引手段により周波数を掃引している間に前記測定手段が測定した信号の強度が極小値であるか否かを判断する判断手段とを更に備え、前記判断手段が極小値であると判断した場合、前記掃引手段による掃引を停止し、前記信号の強度が極小値となる前記周波数を保持するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
第3発明に係る無線受信機は、前記所定の周波数の信号を受信した後、所定間隔で前記掃引手段による周波数の掃引、前記測定手段による信号強度の測定及び前記判断手段による判断を実行するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
第4発明に係る無線受信機は、前記信号の強度が極小値となる周波数を記憶する手段と、前記帯域除去フィルタが減衰させる周波数を記憶してある周波数に設定する手段とを備え、前記掃引手段は、記憶してある周波数に設定した後に周波数の掃引を開始するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
第5発明に係る無線受信機は、前記帯域通過フィルタは、表面弾性波フィルタで構成されていることを特徴とする。
【0017】
第6発明に係る無線受信機は、前記帯域除去フィルタは可変容量ダイオードを含み、該可変容量ダイオードに印加する電圧値により減衰させる周波数を制御することが可能なフィルタで構成されていることを特徴とする。
【0018】
第7発明に係る無線受信機は、前記所定の通過帯域よりも高周波の信号を通過させる高域通過フィルタ、及び/又は、前記所定の通過帯域よりも低周波の信号を通過させる低域通過フィルタを更に備え、前記帯域除去フィルタは、前記帯域通過フィルタと前記高域通過フィルタ又は前記低域通過フィルタとの間に接続されていることを特徴とする。
【0019】
第8発明に係る無線通信システムは、所定の周波数の信号を無線により送信する送信手段を備える無線送信機、及び、該無線送信機から送信される信号を受信して出力するアンテナ部と、前記所定の周波数の信号を通過させる帯域通過フィルタとを備える無線受信機を含む無線通信システムにおいて、前記無線受信機は、減衰させる信号の周波数を制御することが可能な帯域除去フィルタと、該帯域除去フィルタが減衰させる周波数を掃引する掃引手段と、前記帯域通過フィルタ及び帯域除去フィルタを通過して出力される信号の強度を測定する測定手段と、前記掃引手段によって周波数を掃引している間に前記測定手段が測定した信号の強度が極小値であるか否かを判断する判断手段とを備え、前記判断手段が極小値であると判断した場合、前記掃引手段による掃引を停止して前記信号の強度が極小値となる前記周波数を保持するようにしてあることを特徴とする。
【0020】
第9発明に係る無線通信システムは、前記無線送信機は、前記送信手段により所定の周波数の信号を所定の送信間隔を置き複数回送信するようにしてあり、前記無線受信機は、所定の周波数の信号を受信した後、前記所定の送信間隔に前記掃引手段による周波数の掃引、前記測定手段による信号強度の測定及び前記判断手段による判断を実行するようにしてあることを特徴とする。
【0021】
第10発明に係る無線受信方法は、所定の周波数の信号を無線により送信する無線送信機から信号を受信して出力するアンテナ部と、前記所定の周波数の信号を通過させる帯域通過フィルタとを備える無線受信機による無線受信方法において、減衰させる信号の周波数を制御することが可能な帯域除去フィルタを前記無線受信機に更に備え、前記帯域除去フィルタが減衰させる周波数を掃引しつつ、前記帯域通過フィルタ及び前記帯域除去フィルタを通過して出力される信号の強度を測定する測定ステップと、前記強度が極小値であるか否かを判断する判断ステップと、極小値であると判断した場合、周波数の掃引を停止して前記信号の強度が極小値となる周波数を保持する保持ステップとを含むことを特徴とする。
【0022】
第11発明に係る無線受信方法は、前記無線送信機から送信される所定の周波数の信号は所定の送信間隔が置かれて複数回送信され、前記無線受信機は、所定の周波数の信号を受信した後、前記所定の送信間隔に前記測定ステップ、前記判断ステップ、及び前記保持ステップを実行することを特徴とする。
【0023】
第12発明に係る無線受信方法は、前記掃保持ステップで保持した周波数を記憶しておくステップと、次の送信間隔に、前記帯域除去フィルタが減衰させる周波数を記憶してある周波数に設定するステップと、前記測定ステップ、前記判断ステップ、及び前記保持ステップを再度実行するステップとを実行することを特徴とする。
【0024】
本発明では、無線受信機に所定の周波数の信号を通過させる帯域通過フィルタに加え、減衰させる周波数を制御することが可能な帯域除去フィルタが備えられる。これにより、周辺環境によって周波数が異なり、且つ帯域通過フィルタを通過する妨害電波の周波数に帯域除去フィルタが減衰させる周波数を相当させることが可能となる。
【0025】
本発明では、受信すべき信号が送信されていない間にアンテナによって受信する信号は妨害電波を含むノイズ信号である。本発明では、帯域除去フィルタが減衰させる信号の周波数が掃引されつつ信号の全体強度が測定される。第1及び帯域除去フィルタを通過した信号の強度が極小値であると判断された場合、帯域除去フィルタが減衰させる信号の周波数の掃引が停止され、信号の強度が極小値となる周波数が保持される。保持された周波数は、帯域除去フィルタによってノイズ信号の強度が最小となる周波数であり、妨害電波のピーク周波数に相当する。したがって、無線受信機で受信すべき信号が送信されている間、妨害電波は帯域除去フィルタにより効果的に減衰される。
【0026】
本発明では、無線受信機で受信すべき所定の周波数の信号は所定の送信間隔を置き、複数回送信される。本発明では、所定の周波数の信号を受信した後の所定の送信間隔に、帯域除去フィルタで減衰される特定の周波数が掃引され、妨害電波の周波数に相当して帯域通過フィルタ及び帯域除去フィルタを通過して受信される信号の強度が極小値となる周波数が保持される。受信すべき信号が送信されない送信間隔が到来する都度、帯域除去フィルタが減衰させる特定の周波数がその時点での妨害電波のピーク周波数に相当するように制御される。
【0027】
本発明では、妨害電波のピーク周波数に相当し、帯域除去フィルタが妨害電波を減衰させている場合における周波数が記憶される。次回に無線受信機で帯域除去フィルタが減衰させる信号の周波数が掃引される際には、記憶されている周波数に設定されてから掃引が開始される。妨害電波の周波数に、減衰させる周波数を前回相当させた時点から妨害電波の周波数が変化していない場合、周波数の掃引は迅速に収束する。
【0028】
本発明では、所定の周波数帯域を有して所定の周波数の信号を通過させる帯域通過フィルタは、表面弾性波フィルタで構成されるので、小型で軽量な構成で所定の周波数の信号を通過させ、特定の周波数の信号を減衰させる帯域除去フィルタと併せて使用することにより、妨害電波の効果的な減衰が可能となる。
【0029】
本発明では、特定の周波数の信号を減衰させる帯域除去フィルタは、可変容量ダイオードを含む構成であり、可変容量ダイオードへ印加する電圧値によって減衰させる特定の信号の周波数を制御することが可能となる。
【0030】
本発明では、所定の周波数の信号を通過させる帯域通過フィルタの通過帯域外の周波数を減衰させる高域通過フィルタ及び/又は低域通過フィルタが備えられるので、受信すべき周波数の信号以外の信号がさらに減衰される。
【発明の効果】
【0031】
本発明による場合、特定の周波数を減衰させる帯域除去フィルタのその特定の周波数を制御することが可能であり、周辺環境によって周波数が異なる妨害電波のピーク周波数に対応させることができる。したがって、アンテナ部で受信してしまう妨害電波を減衰させ、妨害電波の影響を少なくして受信すべき所定の周波数の信号を受信することができる。妨害電波の影響を少なくするために、通信機と受信機とで複数の周波数の電波を送受信することができる機構を備える必要がない。
【0032】
本発明による場合、帯域除去フィルタが減衰させる周波数が妨害電波のピーク周波数に対応するように探索されて保持されるので、妨害電波をより効果的に除去して影響を少なくすることができる。これにより、受信すべき信号の受信感度をより高くすることができる。
【0033】
本発明による場合、無線受信機で所定の周波数の信号を受信する期間(送信間隔)が到来する都度、帯域除去フィルタによって減衰させる周波数を妨害電波のピーク周波数に相当させる制御がなされる。したがって、本発明の無線受信機による場合は、無線受信機の周辺環境が変化して妨害電波の要因が時間的に変動する場合でも、その時点での妨害電波をより効果的に除去して影響を少なくすることができる。
【0034】
本発明による場合、無線受信機で減衰させる周波数を妨害電波のピーク周波数に相当させた後、再度減衰させる周波数を相当させる場合、迅速に収束するように前回保持された周波数から開始するので、妨害電波をより迅速に効果的に除去して影響を少なくすることができる。
【0035】
また、本発明による場合、帯域通過フィルタを表面弾性波フィルタで構成することにより、小型で軽量な構成で妨害電波の影響を少なくして受信すべき信号の受信感度をより高くすることができる。
【0036】
さらに、帯域除去フィルタは可変容量ダイオードを含んで構成することにより、可変容量ダイオードへ印加する電圧値によって減衰させる特定の信号の周波数を制御することができるので、減衰させる特定の信号の周波数を妨害電波のピーク周波数に相当させて妨害電波の影響を少なくすることができる。
【0037】
本発明による場合、無線受信機に備えられる帯域通過フィルタの通過帯域外の周波数の信号を除去する高域通過フィルタ及び/又は低域通過フィルタが更に備えられることにより、妨害電波をより効果的に除去して影響を少なくし、受信すべき信号の受信感度をより高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0039】
なお、以下に説明する実施の形態において、本発明に係る受信機は車輌に設置され、車輌のドアキーに備えられた送信機から無線により放射される微弱電波を受信し、微弱電波に乗せられたキーコードを取り出し、ドアロックを制御するボディECU(Electronic Control Unit)に送信するキーレスエントリシステムに適用される。勿論、本発明の受信機は、以下の実施の形態で説明するキーレスエントリシステムに含まれるものと限定されるものではない。
【0040】
図1は、本実施の形態における本発明の受信機の構成を模式的に示すブロック図である。図1中の1に示される受信機は、アンテナ10と、フィルタ回路11と、高周波増幅回路12と、周波数混合回路13と、局部発振回路14と、中間周波増幅回路15と、復調回路16と、信号強度測定回路17と、CPU18と、RAM19とを備えている。図1中の2に示されるキーは、アンテナ20と、送信部21とを備えている。
【0041】
キー2に含まれるアンテナ20は、無線により所定の周波数(例えば315MHz)の電波を放射する。キー2に備えられている図示しないボタンの押下が検知された場合、送信部21から所定の送信コード、キーコード等の所定のコードを含む信号が出力され、送信部21から出力された信号を乗せた電波がアンテナ20により放射される。
【0042】
なお、キー2のアンテナ20は、前記ボタンの押下が検知された場合、所定の周波数の電波を所定の送信間隔を置き、複数回送信する。これは、妨害電波により受信機1が電波を受信することができなくなる確率を低減するためである。具体的には、本実施の形態の場合におけるアンテナ20は、例えば30ミリ秒間電波を放射し、30ミリ秒の送信間隔を置き、放射をバースト的に3回繰り返す。
【0043】
受信機1のアンテナ10は、放射されている電波を受信し、信号を取り出して出力する。
【0044】
フィルタ回路11は、アンテナ10から出力される信号を受け付けて、所定の周波数の信号を抽出する回路である。本発明の場合、フィルタ回路11には帯域通過フィルタ(Band-Pass filter:BPF)である表面弾性波フィルタ(以下、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタと呼ぶ)110と、特定の周波数の信号を急峻に減衰させる帯域除去フィルタ(Band-Elimination filter:BEF)であるノッチフィルタ111と、SAWフィルタの通過帯域よりも高周波信号を通過させるハイパスフィルタ(以下HPF(Hi-Pass Filter)と呼ぶ)112と、SAWフィルタ110の通過帯域よりも低周波信号を通過させるローパスフィルタ(以下LPF(Low-Pass Filter)と呼ぶ)113とを含む。フィルタ回路11については後述にて詳細を説明する。
【0045】
高周波増幅回路12は、フィルタ回路11により抽出された信号の信号強度を増幅するアンプ素子等を含む回路である。
【0046】
周波数混合回路13は、フィルタ回路11により抽出されて高周波増幅回路12により信号強度が増幅された信号と、後述の局部発振回路14から入力される信号との周波数の差に相当する中間周波数(例えば10.7(=325.7−315)MHz)の中間周波信号を生成する。周波数混合回路13は、生成した中間周波信号を中間周波増幅回路15へ出力する。
【0047】
局部発振回路14は、水晶発振子、SAW発振子等の発振子を含み所定の周波数(例えば325.7MHz)の信号を生成して周波数混合回路13へ入力する。
【0048】
中間周波増幅回路15は、周波数混合回路13から出力される中間周波数の信号に変換された信号の信号強度を増幅する回路である。変換後の中間周波信号を抽出する中間周波フィルタを備える構成でもよい。
【0049】
復調回路16は、中間周波増幅回路15によって増幅された信号を復調し、キー2から送信された信号に含まれる所定のコードを抽出してCPU18へ入力する。
【0050】
信号強度測定回路17は、フィルタ回路11を通過した信号の全体の強度を測定し、CPU18へ強度を表わす値を入力する。本実施の形態では、信号強度測定回路17は測定した信号の強度をRSSI(Received Signal Strength Indicator)値で表わしてCPU18に入力する。
【0051】
CPU18は、復調回路16から入力された所定のコードの検知、検知した所定のコードに基づくキーコードの抽出、抽出したキーコードのボディECU3への送信、後述するフィルタ回路11に含まれるノッチフィルタ111に印加する電圧値の制御等の各処理を行なう。RAM19は揮発性のメモリであり、CPU18は各処理によって発生する各種情報をRAM19に記憶して使用する。
【0052】
なおCPU18は、復調回路16から入力された所定のコードに所定の送信コードが含まれているか否かを判断することにより、キー2からキーコードを含む信号が送信されたか否かを判断することが可能である。キー2からは、前述のように所定の送信間隔が置かれて複数回に分けて信号が送信される。したがって、CPU18はキー2から信号が送信されたと判断した場合、その後所定の送信間隔を置いてキー2から信号が送信されることを認識することが可能である。
【0053】
このように構成される本発明の受信機1は本実施の形態において、車輌に設置されているが、車輌の周辺環境によってはキー2から送信される例えば315MHzの微弱電波と周波数が近く、受信機1にとって妨害電波となる電波が放射されている場合がある。このような妨害電波を含むノイズ信号が高周波増幅回路12によって増幅された場合、高周波増幅回路12の飽和による利得低下等により受信機1の感度が低下し、キー2からの信号を検知できる距離範囲の減少、更にはキー2からの信号を受信することが不可になり、キー2によって車輌のドアロックが開閉できない等の問題が発生する。
【0054】
このため本発明の場合、アンテナ10の出力と高周波増幅回路12の入力との間に前述のフィルタ回路11を備えている。図2は、本実施の形態における本発明の受信機1に備えられるフィルタ回路11の構成例を示す回路図である。
【0055】
図2の回路図に示すように、本実施の形態ではフィルタ回路11はアンテナ10の出力側からHPF112、ノッチフィルタ111、SAWフィルタ110、LPF113の順で接続されて構成されている。
【0056】
本実施の形態におけるノッチフィルタ111は、インダクタL及び可変容量ダイオードVDが直列に接続されて構成され、インダクタLの可変容量ダイオードVDとは逆側の端がHPF112の出力とSAWフィルタ110の入力との接続点に接続されている。可変容量ダイオードVDのアノードは接地されており、カソードにはCPU18の制御により制御電圧Vが印加される。CPU18の制御によって制御電圧Vの値を変更することにより、可変容量ダイオードVDのコンデンサ容量が変化し、ノッチフィルタ111によって減衰される信号の周波数を制御することが可能である。
【0057】
次に、図2の回路図に示したフィルタ回路11を構成するSAWフィルタ110及びノッチフィルタ111の周波数特性を示すことにより、フィルタ回路11によってキー2から送信される信号以外の妨害電波等のノイズ信号を除去することができることを説明する。
【0058】
図3は、本発明の受信機1を構成するフィルタ回路11に含まれるSAWフィルタ110の周波数特性の例を示すグラフである。横軸は周波数をMHz単位で示し、縦軸は通過損失をdB単位で示している。本実施の形態におけるフィルタ回路11を構成するSAWフィルタ110は、キー2から送信される信号の周波数に合わせて、具体例として315MHzの信号を通過させるように構成されている。したがって、図3のグラフに示すように、315MHz近傍の周波数を持つ信号に対する通過損失はほぼマイナス2〜マイナス3dBと非常に少ない。
【0059】
また、図3のグラフに示すように、SAWフィルタ110は315MHz近傍にプラスマイナス約3MHzの通過帯域を有する周波数特性を持つ。したがって、約312MHzから318MHzの間の周波数の信号はほとんど減衰されずに、SAWフィルタ110を通過することができる。
【0060】
これに対して図3のグラフに示すように、SAWフィルタ110は315MHzからプラスマイナス約25MHz以内の周波数帯域(近傍阻止域)を有する周波数特性を持つ。図3のグラフの内の二つの破線に挟まれた周波数帯域が近傍阻止域である。図3のグラフに示すように、近傍阻止域外での通過損失は約マイナス60dBと大きく、約290MHz以下の周波数の信号及び約340MHz以上の周波数の信号は大きく減衰されてSAWフィルタ110を通過することが困難である。
【0061】
このようにフィルタ回路11を構成するSAWフィルタ110により、アンテナ10から出力される信号の内の約290MHz以下の周波数の信号及び約340MHz以上の周波数のノイズ信号を除去することが可能になる。
【0062】
ところが、図3のグラフに示されているように、SAWフィルタ110の近傍阻止域内では、近傍阻止域外での通過損失と比較した場合に通過損失が小さい帯域がある。例えば、図3のグラフには、近傍阻止域内の315MHzよりも特に高周波側に、通過損失がマイナス約30dBであるピークが示されている。即ち、SAWフィルタ110の約330MHzの周波数の信号に対する通過損失は約30dBであり、妨害電波が330MHzの近傍の周波数にピークを有している場合、SAWフィルタ110による妨害電波の除去率が低下し、フィルタ回路11の後続の高周波増幅回路12における利得低下等の問題が発生する可能性がある。
【0063】
そこで本発明の受信機1のフィルタ回路11は、SAWフィルタ110の通過帯域に対する近傍阻止域内(約290MHzから約312MHzまで、及び約318MHzから約340MHzまで)の内のいずれかの周波数の信号を急峻に減衰させる帯域除去フィルタであるノッチフィルタ111を含む構成としている。図4及び図5は、本発明の受信機1を構成するフィルタ回路11に含まれるノッチフィルタ111の周波数特性を示すグラフである。横軸は周波数をMHz単位で示し、縦軸は通過損失をdB単位で示している。図4及び図5は具体的に、ノッチフィルタ111を構成する可変容量ダイオードVDへ印加する制御電圧Vを制御してコンデンサ容量を変化させることにより、夫々のコンデンサ容量に対応するノッチ周波数(ノッチフィルタ111により減衰される周波数)の減衰量をシミュレーションにより求めたグラフを示している。
【0064】
なお、図4及び図5のグラフを求めるためのシミュレーションでは、ノッチフィルタ111に含まれるインダクタLのインダクタンスを79.6nFに設定している。これにより、ノッチフィルタ111により減衰させるノッチ周波数は、可変容量ダイオードVDのコンデンサ容量を3.8pFに設定した場合は290MHz、3.27pFに設定した場合は312MHz、3.15pFに設定した場合は318MHz、2.75pFに設定した場合は340MHzとなる。さらに、ノッチフィルタ111の可変容量ダイオードVDのコンデンサ容量を3.8pFに設定する場合はカソードへ印加する制御電圧Vを2.0Vに、コンデンサ容量を3.27pFに設定する場合は制御電圧Vを2.3Vに、コンデンサ容量を3.15pFに設定する場合は制御電圧Vを2.5Vに、コンデンサ容量を2.75pFに設定する場合は制御電圧Vを2.7Vに制御する。
【0065】
図4(a)は、ノッチ周波数が290MHzになるように設定した場合のグラフであり、この場合の290MHzの周波数の信号に対するノッチフィルタ111の減衰量は、マイナス32.15dBとなる。同様に、図4(b)は、ノッチ周波数が312MHzになるように設定した場合のグラフであり、この場合の312MHzの周波数の信号に対するノッチフィルタ111の減衰量はマイナス54.6dBとなる。図5(a)は、ノッチ周波数が318MHzになるように設定した場合のグラフであり、この場合の318MHzの周波数の信号に対するノッチフィルタ111の減衰量はマイナス43.76dBとなる。図5(b)は、ノッチ周波数が340MHzになるように設定した場合のグラフであり、この場合の340MHzの周波数の信号に対するノッチフィルタ111の減衰量はマイナス43.3dBとなる。
【0066】
図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)のグラフに示すように、ノッチフィルタ111の周波数特性は、ノッチ周波数に対して急峻な減衰を示している。したがって、ノッチフィルタ111の可変容量ダイオードVDに印加する制御電圧Vの値を、2.0Vから2.3Vまで、及び2.5Vから2.7Vまでの間で制御することにより、SAWフィルタ110の近傍阻止域内の周波数の信号を急峻に減衰させる効果を得ることができる。このようにフィルタ回路11にノッチフィルタ111を含む構成とすることにより、SAWフィルタ110の通過帯域の周波数の信号に対する通過損失を増大させてしまうことなしに、SAWフィルタ110の近傍阻止域内の周波数のノイズ信号を効果的に減衰させることが可能になる。
【0067】
上述のように構成されるフィルタ回路11により、キー2から放射される電波を受信するアンテナ10から出力される信号の内の、受信すべき約315MHzの信号以外のノイズ信号を効果的に除去することができる。しかも、ノッチフィルタ111で減衰させることができる信号の周波数を制御することができる構成であるので、車輌の周辺環境が変化して妨害電波が異なる要因によって放射されている場合であっても、妨害電波をより効果的に除去して影響を少なくすることができる。
【0068】
次に、上述のようにノッチフィルタ111によって減衰される信号の周波数を制御することができる構成に対し、ノッチフィルタ111の可変容量ダイオードVDに印加する制御圧Vを制御し、ノッチフィルタ111のノッチ周波数を制御する処理について説明する。
【0069】
送信機のCPU18は、キー2から信号が送信されない所定の送信間隔を認識することができる。CPU18は、送信間隔でノッチフィルタ111の可変容量ダイオードVDに印加する制御電圧Vの値を掃引(Sweep)しつつ、フィルタ回路11を通過する信号のトータルの強度を測定する信号強度測定回路17から入力されるRSSI値を受け付ける。CPU18は、受け付けるRSSI値をRAM19に記憶しつつ、RSSI値が極小値であるか否かを判断する。CPU18は、RSSI値が極小値であると判断した場合、ノッチフィルタ111の可変容量ダイオードVDに印加する制御電圧Vの値の掃引を停止し、RSSI値が極小値となる制御電圧Vの値を保持する。キー2から信号が送信されていない間にアンテナ10から受信する信号の強度を極小値にすることができるノッチフィルタ111のノッチ周波数が、妨害電波のピーク周波数であると推測できるからである。
【0070】
CPU18は、掃引を停止した時点でノッチフィルタ111の可変容量ダイオードVDに印加する制御電圧Vの値を次回の掃引の開始時に設定する電圧値としてRAM19に記憶するようにしてもよい。これにより、次回に可変容量ダイオードVDへ印加する制御電圧Vの値を掃引する際、RSSI値が極小値となるか否かの判断の収束が迅速になるからである。
【0071】
このようなCPU18による処理をフローチャートを用いて説明する。図6は、本実施の形態における本発明の送信機のCPU18が、ノッチフィルタ111を構成する可変容量ダイオードVDへ印加する制御電圧Vの値を制御する処理手順を示すフローチャートである。
【0072】
送信機のCPU18は、キー2から信号が送信されたか否かを判断する(ステップS11)。CPU18は、キー2から信号が送信されていないと判断した場合(S11:NO)、処理をステップS11へ戻し、キー2から信号が送信されたと判断するまで待機する。
【0073】
CPU18は、キー2から信号が送信されたと判断した場合(S11:YES)、キー2から信号が送信される所定時間待機する(ステップS12)。キー2から信号が送信されなくなる所定の送信間隔が次に到来するまで待機するためである。
【0074】
CPU18は所定時間待機した後、ノッチフィルタ111を構成する可変容量ダイオードVDへ印加する制御電圧Vの値を設定し(ステップS13)、2.0Vから2.3Vまで、及び2.5Vから2.7Vまでの範囲で印加する制御電圧Vの値の掃引を開始する(ステップS14)。
【0075】
ステップS13においてCPU18が設定する制御電圧Vの値は、SAWフィルタ110の近傍阻止域の内の最も低周波数に相当する電圧値(2.0V)でもよく、逆に最も高周波数に相当する電圧値(2.7V)でもよい。また、CPU18は、ステップS13において、次回の掃引の開始時に設定する電圧値としてRAM19に記憶してある電圧値を設定してもよい。これにより、前述したようにステップS13の処理を行なうことにより、RSSI値が極小値であるとの判断が迅速に収束する効果が得られる可能性が高い。
【0076】
CPU18は、印加する制御電圧Vの値の掃引を実行しつつ、その間に信号強度測定回路17から入力されるRSSI値が極小値であるか否かを判断する(ステップS15)。CPU18は、RSSI値が極小値でないと判断した場合(S15:NO)、処理をステップS15へ戻してRSSI値が極小値であると判断するまで待機する。
【0077】
CPU18は、RSSI値が極小値であると判断した場合(S15:YES)、ノッチフィルタ111の可変容量ダイオードVDへ印加する制御電圧Vの値の掃引を停止し(ステップS16)、RSSI値が極小値となる制御電圧Vを保持する(ステップS17)。CPUは、保持している制御電圧Vの値を次回設定する電圧値としてRAM19に記憶する(ステップS18)。キー2から信号が送信されていない所定の送信間隔内であればステップS13からステップS16までの処理を複数回行う構成でもよい。
【0078】
次にCPU18は、ステップS12からステップS18までの処理を、キー2から信号が送信される回数よりも少ない所定回数実行したか否かを判断する(ステップS19)。CPU18は所定回数実行していないと判断した場合(S19:NO)、処理をステップS12へ戻して所定回数実行したと判断するまでステップS12からステップS18までの処理を実行する。キー2から信号が送信されていない送信間隔に、ステップS13からステップS18までの処理を実行するためである。したがってCPU18は、所定回数実行したと判断した場合(S19:YES)、処理を終了する。
【0079】
なお、上述の処理のように、キー2から複数回に分けて所定のコードを含む信号が送信されていない送信間隔に印加する制御電圧Vの値を掃引し、RSSI値が極小値になる制御電圧Vの値を探索する処理を実行するのは、キー2から信号が送信される時間の直近における妨害電波のピーク周波数に、ノッチフィルタ111のノッチ周波数を相当させるためである。
【0080】
図6のフローチャートに示したCPU18の処理により、キー2から送信される所定の周波数(ここでは315MHz)の信号に対し、SAWフィルタ110の近傍阻止域に含まれる周波数をピークに持つ妨害電波が車輌の周辺環境に放射されていた場合であっても、ノッチフィルタ111のノッチ周波数を妨害電波のピーク周波数に相当させることができる。これにより、フィルタ回路11後の高周波増幅回路12以降への妨害電波の影響を少なくすることができ、高周波増幅回路12での飽和による利得低下等を防ぎ、キー2から放射される信号の受信感度を高くすることができる。
【0081】
なお、本実施の形態では図2の回路図に示したように、フィルタ回路11のノッチフィルタ111をHPF112とSAWフィルタ110との間に接続する構成とした。しかしながら本発明はこれに限らず、ノッチフィルタ111をSAWフィルタ110とLPF113との間に接続する構成としてもよい。
【0082】
また、本実施の形態では、可変容量ダイオードVDへ印加する制御電圧Vの値の掃引をSAWフィルタ110の近傍阻止域内(具体的には2.0Vか2.3Vまで、及び2.5Vから2.7Vまで)で行う構成とした。しかしながら、本発明はこれに限らず、可変容量ダイオードVDへ印加する制御電圧Vの値の掃引を、SAWフィルタ110の近傍阻止域内の内の高周波側(2.5Vから2.7まで)のみ又は低周波側(2.0Vから2.3Vまで)の間で行う構成としてもよい。ノッチフィルタ111をHPF112とSAWフィルタ110との間に接続するのか、又はSAWフィルタ110とLPF113との間に接続するのかの条件によって、より効果的に妨害電波を含むノイズ信号を除去できる構成とすることが望ましい。
【0083】
本実施の形態では、フィルタ回路11はノッチフィルタ111を含んで構成され、ノッチフィルタ111の可変容量ダイオードVDへ印加する制御電圧Vの値を制御することにより、ノッチフィルタ111で減衰させる信号の周波数を掃引し、SAWフィルタ110で減衰させることが不十分な周波数帯域の信号を減衰させる構成とした。しかしながら、本発明の受信機のアンテナ10に接続されるフィルタ回路11は、ノッチフィルタ111を含む構成に限らず、他の帯域除去フィルタによって構成されてもよい。例えば、CPU18から入力される制御信号により特定の周波数の信号を選択的に減衰させることができるフィルタ素子によって実現してもよい。
【0084】
本実施の形態では、受信機をヘテロダイン方式で構成した。しかしながら、本発明では受信機としてはヘテロダイン式には限らない。所定の周波数以外のノイズ信号を除去するためのフィルタ回路を含む多様な受信機に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本実施の形態における本発明の受信機の構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本実施の形態における本発明の受信機に備えられるフィルタ回路の構成例を示す回路図である。
【図3】本発明の受信機を構成するフィルタ回路に含まれるSAWフィルタの周波数特性の例を示すグラフである。
【図4】本発明の受信機を構成するフィルタ回路に含まれるノッチフィルタの周波数特性を示すグラフである。
【図5】本発明の受信機を構成するフィルタ回路に含まれるノッチフィルタの周波数特性を示すグラフである。
【図6】本実施の形態における本発明の送信機のCPUが、ノッチフィルタを構成する可変容量ダイオードへ印加する制御電圧Vの値を制御する処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
1 受信機
10 アンテナ
11 フィルタ回路
110 SAWフィルタ(帯域通過フィルタ)
111 ノッチフィルタ(帯域除去フィルタ)
112 HPF
113 LPF
17 信号強度測定回路
18 CPU
2 キー(通信機)
VD 可変容量ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線により送信される信号を受信して出力するアンテナ部と、前記所定の周波数の信号を通過させる帯域通過フィルタとを備える無線受信機において、
減衰させる信号の周波数を制御することが可能な帯域除去フィルタ
を備えることを特徴とする無線受信機。
【請求項2】
前記帯域除去フィルタが減衰させる周波数を掃引する掃引手段と、
前記帯域通過フィルタ及び前記帯域除去フィルタを通過して出力される信号の強度を測定する測定手段と、
前記掃引手段により周波数を掃引している間に前記測定手段が測定した信号の強度が極小値であるか否かを判断する判断手段と
を更に備え、
前記判断手段が極小値であると判断した場合、前記掃引手段による掃引を停止し、前記信号の強度が極小値となる周波数を保持するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の無線受信機。
【請求項3】
前記所定の周波数の信号を受信した後、所定間隔で前記掃引手段による周波数の掃引、前記測定手段による信号強度の測定及び前記判断手段による判断を実行するようにしてあること
を特徴とする請求項2に記載の無線受信機。
【請求項4】
前記信号の強度が極小値となる周波数を記憶する手段と、
前記帯域除去フィルタが減衰させる周波数を記憶してある周波数に設定する手段と
を備え、
前記掃引手段は、記憶してある周波数に設定した後に周波数の掃引を開始するようにしてあること
を特徴とする請求項2又は3に記載の無線受信機。
【請求項5】
前記帯域通過フィルタは、表面弾性波フィルタで構成されていること
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の無線受信機。
【請求項6】
前記帯域除去フィルタは可変容量ダイオードを含み、該可変容量ダイオードに印加する電圧値により減衰させる周波数を制御することが可能なフィルタで構成されていること
を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の無線受信機。
【請求項7】
前記所定の通過帯域よりも高周波の信号を通過させる高域通過フィルタ、及び/又は、
前記所定の通過帯域よりも低周波の信号を通過させる低域通過フィルタ
を更に備え、
前記帯域除去フィルタは、前記帯域通過フィルタと前記高域通過フィルタ又は前記低域通過フィルタとの間に接続されていること
を特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の無線受信機。
【請求項8】
所定の周波数の信号を無線により送信する送信手段を備える無線送信機、及び、該無線送信機から送信される信号を受信して出力するアンテナ部と、前記所定の周波数の信号を通過させる帯域通過フィルタとを備える無線受信機を含む無線通信システムにおいて、
前記無線受信機は、減衰させる信号の周波数を制御することが可能な帯域除去フィルタと、
該帯域除去フィルタが減衰させる周波数を掃引する掃引手段と、
前記帯域通過フィルタ及び帯域除去フィルタを通過して出力される信号の強度を測定する測定手段と、
前記掃引手段によって周波数を掃引している間に前記測定手段が測定した信号の強度が極小値であるか否かを判断する判断手段と
を備え、
前記判断手段が極小値であると判断した場合、前記掃引手段による掃引を停止して前記信号の強度が極小値となる前記周波数を保持するようにしてあること
を特徴とする無線通信システム。
【請求項9】
前記無線送信機は、前記送信手段により所定の周波数の信号を所定の送信間隔を置き複数回送信するようにしてあり、
前記無線受信機は、所定の周波数の信号を受信した後、前記所定の送信間隔に前記掃引手段による周波数の掃引、前記測定手段による信号強度の測定及び前記判断手段による判断を実行するようにしてあること
を特徴とする請求項8に記載に無線通信システム。
【請求項10】
所定の周波数の信号を無線により送信する無線送信機から信号を受信して出力するアンテナ部と、前記所定の周波数の信号を通過させる帯域通過フィルタとを備える無線受信機による無線受信方法において、
減衰させる信号の周波数を制御することが可能な帯域除去フィルタを前記無線受信機に更に備え、
前記帯域除去フィルタが減衰させる周波数を掃引しつつ、前記帯域通過フィルタ及び前記帯域除去フィルタを通過して出力される信号の強度を測定する測定ステップと、
前記強度が極小値であるか否かを判断する判断ステップと、
極小値であると判断した場合、周波数の掃引を停止して前記信号の強度が極小値となる周波数を保持する保持ステップと
を含むことを特徴とする無線受信方法。
【請求項11】
前記無線送信機から送信される所定の周波数の信号は所定の送信間隔が置かれて複数回送信され、
前記無線受信機は、所定の周波数の信号を受信した後、前記所定の送信間隔に前記測定ステップ、前記判断ステップ、及び前記保持ステップを実行すること
を特徴とする請求項10に記載の無線受信方法。
【請求項12】
前記掃保持ステップで保持した周波数を記憶しておくステップと、
次の送信間隔に、
前記帯域除去フィルタが減衰させる周波数を記憶してある周波数に設定するステップと、
前記測定ステップ、前記判断ステップ、及び前記保持ステップを再度実行するステップと
を実行することを特徴とする請求項11に記載の無線受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−289087(P2008−289087A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134466(P2007−134466)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】