無線回線共有型ネットワークシステム、その管理装置および方法
無線通信ネットワークの利用に応じた料金徴収を可能にし、通信事業者の投資コストを抑制可能な無線回線共有型ネットワークシステムを提供する。 免許制により取得した無線周波数で、各通信事業者のユーザ端末は無線基地局BSおよび制御局10を通して対応する通信事業者網に接続する。呼受付制御部101は、契約により設定された無線帯域割り当てパターンと現在の使用状況とに基づいて呼接続要求に対する呼受付および帯域確保を行う。帯域幅決定部107は、呼接続要求、呼接続応答および帯域幅テーブル106を用いて呼接続要求に対する帯域幅を決定する。レート変更制御部103は各通信事業者の現使用帯域幅が所定範囲を超えないようにユーザ端末の帯域幅を調整する。課金制御部110は各通信事業者に無線帯域賃貸契約に従って課金を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は免許制の無線周波数を用いた移動通信ネットワークシステムに係り、特にそのシステムを複数の通信事業者で共同利用するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイルマルチメディアサービスに対応可能な高速データ通信や同一の移動端末が世界中で共通に使用できるシステムの要求が高まっている。これに応えるため、世界統一規格のモバイル通信方式が標準化され、そのシステム開発が開始されており、W−CDMAを中心としたIMT−2000システムが導入され始めている。
【0003】
W−CDMAに代表されるネットワークシステムは、図1(B)に示すように、通信事業者が免許制の周波数を取得し、無線設備および有線設備を敷設して自ら運用するような回線占有型のシステムである。このような回線占有型のシステムは、一般に、初期の設備投資が大きいために利用エリアを急激に拡大することが困難である。利用エリアの広さは、ユーザが新規サービスおよび通信事業者を選択する際の重要な要因となっており、ある程度利用エリアが広がるまでは、加入者数の急激な増加は見込めない。そのため、初期投資の回収期間が長くなり、次の設備投資にコストをかけられず、事業の立ち上げが遅れるという問題を抱えている。
【0004】
有線回線のネットワークシステムでは、通信事業者が既設の有線設備をインターネットサービス提供者に開放し、インターネットサービス提供者とのアクセス回線の帯域に応じて設備利用料金を徴収する技術が存在する(たとえば、特開2003−78523号公報)。このように料金を徴収することで設備投資にかかる負担を軽減することができる。
【特許文献1】特開2003−78523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、無線回線のネットワークシステムでは、有線回線のシステムと同じビジネスモデルをそのまま適用することができない。なぜならば、無線回線のネットワークシステムでは、限られた無線帯域を有効活用することが意図されており、接続要求受付順にサービスに応じた帯域を確保するからである。このために、ある通信事業者が投資コストに見合った無線サービスを享受できなかったり、無線アクセスネットワークの管理事業者が無線設備を独占使用した通信事業者から適当な利用代金を回収できないという事態が生じうる。
【0006】
そこで、本発明の第1の目的は、無線通信ネットワークの利用に応じた料金徴収を可能にするとともに、通信事業者の投資コストを抑えることができる新たな無線回線共有型ネットワークシステム、その管理装置および管理方法を提供することにある。
【0007】
本発明の第2の目的は、無線通信ネットワークを複数の通信事業者の間で効率的に利用可能にする無線回線共有型ネットワークシステム、その管理装置および管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面によれば、免許制により取得した無線周波数で複数通信が可能な移動通信ネットワークシステムにおいて、複数の通信事業者とそれぞれ契約している複数のユーザ端末と、前記無線周波数で前記複数のユーザ端末の各々と通信可能な複数の無線基地局と、前記複数の無線基地局を制御し、かつ、前記複数のユーザ端末をそれぞれ対応する通信事業者ネットワークに接続するための制御局と、あるユーザ端末に関する呼接続要求が発生したとき、少なくとも前記複数の通信事業者の各々の契約により設定された無線帯域割り当てパターンを示す事業者帯域情報と前記複数の通信事業者の現在の使用状況を示す事業者使用状況情報とに基づいて、前記呼接続要求に対する呼受付および帯域確保を行い、前記事業者使用状況情報を更新する呼受付制御手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
望ましくは、呼接続要求に対する帯域幅を決定する帯域幅決定手段をさらに有する。この帯域幅決定手段は、ユーザサポート帯域情報と、許可帯域情報と、事業者サポート帯域情報とに基づいて、少なくとも1つの選択可能な帯域幅リストを生成する帯域リスト生成手段と、前記帯域幅リストから帯域幅の大きい順に選択し、選択された帯域幅が前記事業者使用状況情報から求められた空き帯域幅以下の時に前記選択された帯域幅を前記呼接続要求に対する帯域幅として決定する決定手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
さらに、少なくとも前記事業者帯域情報と、前記事業者使用状況情報と、前記複数のユーザ端末のうち呼接続されているユーザ端末の現在の使用状況を示すユーザ使用状況情報とに基づいて、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を順次変更する帯域幅変更手段を有することが望ましい。あるいは、前記ユーザ使用状況情報から前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅の大きい順に順次ユーザ端末を選択し、選択されたユーザ端末に対応する前記帯域幅リストに従って、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように、前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を変更する帯域幅変更手段を有することが望ましい。
【0011】
さらに、前記呼接続要求に対する帯域確保ができない場合、あるいは、各通信事業者において契約により設定された無線帯域のうち予め定められた割合を超えて帯域が使用された場合、前記事業者帯域情報と前記事業者使用状況情報とに基づいて当該帯域幅不足の通信事業者と帯域幅余剰の通信事業者とを仲介し、前記帯域幅余剰の通信事業者から前記帯域幅不足の通信事業者へ空き帯域を貸与する仲介制御手段を有することが望ましい。
【0012】
本発明の第2の側面によれば、免許制により取得した無線周波数で複数通信が可能な移動通信ネットワークを複数の通信事業者で共同利用するための管理装置において、前記複数の通信事業者の契約によりそれぞれ設定された無線帯域割り当てパターンを示す事業者帯域情報を検索可能に格納した第1テーブルと、前記複数の通信事業者の現在の使用状況をそれぞれ示す事業者使用状況情報を検索可能に格納する事業者使用状況メモリと、前記複数の通信事業者とそれぞれ契約している複数のユーザ端末のうち呼接続されているユーザ端末の現在の使用状況を示すユーザ使用状況情報を検索可能に格納するユーザ使用状況メモリと、前記事業者帯域情報と、前記事業者使用状況情報と、前記ユーザ使用状況情報とに基づいて、前記複数の通信事業者のそれぞれの使用帯域幅を少なくとも各ユーザ端末の使用帯域幅単位で制御し、事業者使用状況情報およびユーザ使用状況情報を更新する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
前記制御手段は、あるユーザ端末に関する呼接続要求が発生したとき、少なくとも前記複数の通信事業者の各々の契約により設定された無線帯域割り当てパターンを示す事業者帯域情報と前記複数の通信事業者の現在の使用状況を示す事業者使用状況情報とに基づいて、前記呼接続要求に対する呼受付および帯域確保を行う呼受付制御手段と、前記呼接続要求に含まれる前記ユーザ端末のユーザサポート帯域情報と、前記対応する通信事業者ネットワークの前記呼接続要求に関する許可帯域情報と、前記複数の通信事業者の各々がサービス毎にサポートする予め定められた事業者サポート帯域情報とに共通に含まれる帯域幅から前記呼接続要求に対する帯域幅を決定する帯域幅決定手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
前記制御手段は、さらに、少なくとも前記事業者帯域情報と、前記事業者使用状況情報と、前記複数のユーザ端末のうち呼接続されているユーザ端末の現在の使用状況を示すユーザ使用状況情報とに基づいて、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を順次変更する帯域幅変更手段を有することが望ましい。あるいは、前記制御手段は、前記ユーザ使用状況情報から前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅の大きい順に順次ユーザ端末を選択し、選択されたユーザ端末に対応する前記帯域幅リストに従って、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように、前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を変更する帯域幅変更手段を有することが望ましい。
【0015】
前記制御手段は、さらに、前記呼接続要求に対する帯域確保ができない場合、あるいは、各通信事業者において契約により設定された無線帯域のうち予め定められた割合を超えて帯域が使用された場合、前記事業者帯域情報と前記事業者使用状況情報とに基づいて、当該帯域幅不足の通信事業者と帯域幅余剰の通信事業者とを仲介し、前記帯域幅余剰の通信事業者から前記帯域幅不足の通信事業者へ空き帯域を貸与する仲介制御手段を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の第3の側面によれば、免許制により取得した無線周波数で複数通信が可能な移動通信ネットワークを複数の通信事業者で共同利用するための管理方法において、前記複数の通信事業者の契約によりそれぞれ設定された無線帯域割り当てパターンを示す事業者帯域情報を検索可能に格納し、前記複数の通信事業者の現在の使用状況をそれぞれ示す事業者使用状況情報を検索可能に格納し、前記複数の通信事業者とそれぞれ契約している複数のユーザ端末のうち呼接続されているユーザ端末の現在の使用状況を示すユーザ使用状況情報を検索可能に格納し、あるユーザ端末から呼接続要求が発生したとき、前記事業者帯域情報と前記事業者使用状況情報とに基づいて当該呼接続要求を収容可能な空き帯域幅が存在するか否かを判定し、前記呼接続要求を収容可能な空き帯域幅が存在する場合には前記呼接続要求を当該ユーザ端末の通信事業者ネットワークへ転送し、前記通信事業者ネットワークからの呼接続応答に基づいて前記呼接続要求に対する帯域幅を決定し、決定された帯域幅に従って前記事業者使用状況情報および前記ユーザ使用状況情報を更新する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、免許制により取得した無線周波数で複数のユーザ端末が無線基地局を通してそれぞれ対応する通信事業者ネットワークに接続する移動通信ネットワークにおいて、各通信事業者の無線帯域割り当てパターンと現在の使用状況とを用いて呼接続要求に対する呼受付および帯域確保を行い、あるいは、複数の通信事業者のそれぞれの使用帯域幅を少なくとも各ユーザ端末の使用帯域幅単位で制御して、事業者使用状況情報を更新することにより、複数の通信事業者に対して適切に課金することができ、移動通信ネットワークの無線設備および有線設備を複数の通信事業者の間で共同利用することが可能となる。
【0018】
さらに、複数の通信事業者の各々がサービス毎にサポートする予め定められた事業者サポート帯域情報を用意しておくことで、ユーザサポート帯域情報、許可帯域情報および事業者サポート帯域情報に共通に含まれる帯域幅から呼接続要求に対する帯域幅を決定することで、あるいは、呼接続要求に対して選択可能な帯域幅リストを生成し、帯域幅リストから大きい順に選択された帯域幅が空き帯域幅以下の時に前記選択された帯域幅を呼接続要求に対する帯域幅として決定することで、ユーザ端末、移動通信ネットワークおよび通信事業者ネットワークの間で問い合わせ通信を行う必要がなくなり、ネットワークのトラフィックを低減することができる。
【0019】
少なくとも事業者帯域情報と、事業者使用状況情報と、ユーザ使用状況情報とに基づいて、複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を順次変更することにより、あるいは、ユーザ使用状況情報から呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅の大きい順に順次ユーザ端末を選択し、選択されたユーザ端末に対応する帯域幅リストに従って複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を変更することにより、複数の事業者間で移動通信ネットワークを公平にかつ効率的に共同利用することができる。
【0020】
さらに、帯域幅不足の通信事業者と帯域幅余剰の通信事業者とを仲介することで、帯域幅余剰の通信事業者から帯域幅不足の通信事業者へ空き帯域を貸与することができ、複数の事業者間で移動通信ネットワークを柔軟にかつ効率的に共同利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
まず、本明細書で使用される用語「無線回線共有型ネットワーク」は、免許制により取得した周波数を用いた移動体通信設備を複数の通信事業者間で共同利用あるいは共有する形態のネットワークと定義され、以下、一般的にRAN(RadioAccessNetwork)と略記される場合もある。無線回線共有型ネットワークは、ハードウエアとしてはW−CDMAに代表されるセルラーシステムであるが、ある通信事業者が無線設備および有線設備を敷設して自ら運用するような回線占有型のシステムとは利用形態において基本的に異なっている。
【0022】
図1(A)は本発明による無線回線共有型ネットワークの基本的な利用形態を模式的に示した図であり、(B)は従来の回線占有型ネットワークの利用形態を模式的に示した図である。ここでは、あるRAN管理事業者が無線周波数を公式に取得し、無線設備および有線設備の投資を行い、契約した複数の通信事業者に対して、設備の管理、無線帯域の割り当て、空き帯域の斡旋など種々のサービスを提供することで手数料を徴収し、設備投資の回収を図る。逆に、利用する通信事業者にとっては、初期投資コストを大幅に削減できるというメリットがある。
【0023】
図1(A)に示すように、RAN管理事業者が提供するサービスとその対価としては、例えば次のようなものがある。通信事業者間を仲介して共有する周波数を決定し、預託された周波数、無線設備および有線設備の投資コストに応じて、各通信事業者に無線帯域幅を提供し、その対価として仲介手数料を受け取る。預託された周波数、無線設備および有線設備を管理、運用する対価として管理手数料を受け取る。更に、運用する過程で通信事業者間の帯域の貸し借りを仲介する対価として仲介手数料を受け取る。
【0024】
このように、複数の通信事業者が周波数および通信設備を共同利用し運用することで、通信事業者は設備投資にかかる負担を軽減させることができ、更に、帯域を賃貸利用することで、周波数、無線設備および有線設備を有効活用することができる。
【0025】
(第1実施形態)
1.システム構成
図2は本発明の第1実施形態による無線回線共有型ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。無線回線共有型ネットワーク1には、複数の無線基地局BS1〜BSn、基地局制御局10等の無線設備と、有線ケーブル、ルータ等の有線設備(図示せず)とが含まれる。基地局制御局10は複数の無線基地局BS1〜BSnを制御し、無線基地局BS1〜BSnと複数の通信業者のコアネットワークとの間で制御信号やデータの転送を行う。基地局制御局10は、後述するように、管理事業者装置11によって制御される。
【0026】
無線基地局BS1〜BSnは、周知のように地理的に分散して設置されており、各基地局は所定の共通周波数を用いて無線ゾーン(セル)を生成し、その中に位置する複数のユーザ端末(以下、UEと略記する場合がある。)との通信を可能にする。上述したように無線回線共有型ネットワーク1は複数の通信事業者が共同利用するものであるから、複数のユーザ端末には複数の通信事業者の各々に対応する端末が含まれる。いずれの端末であっても、契約した通信事業者の端末であれば、無線基地局BS1〜BSnのサービスエリア内で通信可能である。
【0027】
管理事業者装置11は、呼受付制御部101、アクセス回線制御部102、レート変更制御部103を有する。呼受付制御部101は、通信事業者管理テーブル104、使用状況メモリ105、サービス/サポート帯域幅テーブル106および帯域幅決定部107を用いて後述する呼受付制御を実行する。レート変更制御部103は、レート変更制御メモリ108およびレート変更しきい値テーブル109を用いて後述するレート変更制御を実行する。さらに、呼受付制御部101は、各通信事業者との間で締結した無線帯域の賃貸契約に基づいて各通信事業者に課金する課金制御部110を有する。なお、管理事業者装置11は、無線回線共有型ネットワーク1の外側にネットワークを介して配置してもよいが、無線回線共有型ネットワーク1の無線設備内に配置することも可能である。
【0028】
(通信事業者管理テーブル)
通信事業者管理テーブル104には各通信事業者との契約内容に従って設定された管理情報が格納されており、呼受付制御の際に呼受付制御部101によって参照される。
【0029】
図3(A)はベストエフォート方式における通信事業者管理テーブル104の内容の一例を示す図であり、(B)は帯域保証方式における通信事業者管理テーブル104の内容の一例を示す図であり、(C)は(帯域保証+ベストエフォート)方式における通信事業者管理テーブル104の内容の一例を示す図である。
【0030】
通信事業者管理テーブル104は、呼受付制御部101によって参照され、各通信事業者を特定する識別子に対応して、提供帯域情報(無線占有帯域幅、無線共有帯域幅)および各通信事業者のコアネットワークのIPアドレスが検索可能に格納されている。提供帯域情報は、RAN管理事業者が各通信事業者に提供する無線占有帯域幅および/または無線共有帯域幅を表す情報であり、RAN管理事業者と通信事業者との契約に基づいて設定あるいは変更される。
【0031】
図3(A)に示すベストエフォート方式では、無線帯域の割り当てパターンが一律に無線占有帯域幅0%、無線共有帯域幅100%に設定されるが、図3(B)の帯域保証方式では、通信事業者ごとに保証される無線占有帯域幅が設定されている。ここでは、通信事業者A=50%、B=30%、C=20%に設定されている。また、図3(C)の(帯域保証+ベストエフォート)方式では、通信事業者ごとに保証される無線占有帯域幅と、空き帯域があれば提供される無線共有帯域幅と、がそれぞれ設定されている。ここでは、通信事業者A=40%、B=20%、C=10%であり、共有帯域が30%である。
【0032】
図示されていないが、その他に、特定の通信事業者に優先的に帯域を保証し、空き帯域を貸し出す優先帯域保証方式がある。たとえば通信事業者A=100%、B=0%、C=0%に設定され、空き帯域があれば、必要とする他の通信事業者に貸し出される。
【0033】
(使用状況メモリ)
使用状況メモリ105は事業者使用状況メモリとユーザ使用状況メモリとを有し、呼受付制御部101が現在の使用状況を参照して空き帯域の有無を判断するために用いられる。
【0034】
図4(A)は事業者使用状況メモリの内容の一例を示す図であり、(B)はユーザ使用状況メモリの内容の一例を示す図である。図4(A)に示す事業者使用状況メモリは、各通信事業者に割り当てた無線帯域幅(現使用帯域)と当該通信事業者の契約帯域とを格納しており、呼の受付/切断タイミングで、あるいは、無線帯域の賃貸契約を締結したタイミングで更新される。たとえば、呼受付制御部101は、通信事業者Aのユーザ端末からの呼接続要求を受け付けると、当該呼に対して後述するように決定された割り当て帯域幅を通信事業者Aの現使用帯域に加算する。したがって、契約帯域と現使用帯域とに基づいて、各通信事業者に空き帯域があるか否か、他の通信事業者から帯域を賃貸することができるか否か等の判定を行うことができる。
【0035】
図4(B)に示すユーザ使用状況メモリは、呼接続要求を受け付けたユーザ端末(UE)を識別するユーザ識別子ごとに、当該呼のサービスID、UEサポート帯域幅、バージョン識別子および確保帯域からなるUE情報を記憶している。これらUE情報は呼接続要求により与えられる。
【0036】
ユーザ端末(UE)からの呼接続要求は、当該UEが属する通信事業者の識別子、当該UEを一意に識別するユーザ識別子(たとえば加入者電話番号など)、要求する呼のサービス識別子、当該UEのバージョン識別子、および、少なくとも1つのUEサポート帯域幅(UEが通信サービスを実行する上でサポートしている帯域幅)を含む。
【0037】
たとえば、通信事業者Aのユーザ端末UE1からの呼接続要求(電話)が受け付けられると、ユーザ使用状況メモリに、サービス識別子(電話)と、UE1自体がサポートする帯域幅と、UE1のバージョン識別子と、後述するように決定された確保帯域と、が登録される。同時に、事業者使用状況メモリの通信事業者Aの現使用帯域に、この確保帯域が加算される。UE1の呼が切断されると、ユーザ使用状況メモリの対応するUE情報が削除されると共に、当該確保帯域が解放され、事業者使用状況メモリの対応する通信事業者Aの現使用帯域から減算される。
【0038】
(サービス/サポート帯域幅テーブル)
図5はサービス/サポート帯域幅テーブル106の内容の一例を示す図である。サービス/サポート帯域幅テーブル106は、各通信事業者が提供するサービスごとに、さらにUEバージョンがある場合にはバージョンごとに、当該通信事業者がサポートする少なくとも1つの帯域幅を格納している。たとえば、通信事業者Aの電話サービスでは、ユーザ端末のバージョンが1であれば、通信事業者Aは12Kpbsの帯域幅をサポートすることができる。
【0039】
サービス/サポート帯域幅テーブル106は、UEの呼接続要求が受け付けられた時に確保帯域を決定するために参照される。詳しくは「帯域幅決定」の項(図8)で説明するが、帯域幅決定部107は、UEからの呼接続要求に含まれるUEサポート帯域幅と通信事業者のコアネットワークからの呼接続応答(サービス利用要求)に含まれる事業者が認可した帯域幅とを受け取ると、サービス/サポート帯域幅テーブル106を参照して割当て可能な無線帯域幅の一覧を生成する。そして受付制御部101により空き帯域の不足などの理由でサービスの受付が拒否された場合には、この一覧を用いて帯域幅の決定を行うことができる。
【0040】
2.呼接続要求受信時の動作
通信事業者管理テーブル104には、図3(A)〜(C)に示すベストエフォート方式、帯域保証方式、(帯域保証+ベストエフォート)方式のいずれかの無線帯域割当パターンが格納されているものとする。
【0041】
図6は、ユーザ端末UEから呼接続要求を受信したときの管理事業者装置の動作を示すフローチャートである。ある通信事業者のユーザ端末UEが呼接続要求を送信すると、その呼接続要求は無線回線共有型ネットワーク1の基地局制御局10を通して管理事業者装置11へ転送される。上述したように、呼接続要求には、当該UEが属する通信事業者の識別子、当該UEを一意に識別するユーザ識別子、要求する呼のサービス識別子、当該UEのバージョン識別子、および、UEサポート帯域幅が含まれる。
【0042】
呼受付制御部101は、呼接続要求を受信すると(ステップS101)、通信事業者管理テーブル104を参照し、要求に含まれる通信事業者識別子が登録されているか否かを判断し(ステップS102)、当該通信事業者識別子が存在しない場合には(ステップS102のN)、UEに呼の接続が失敗した旨を報告し、処理を終了する(ステップS106)。
【0043】
当該通信事業者識別子が存在する場合には(ステップS102のY)、当該通信事業者に提供される無線占有帯域幅の有無を判断し(ステップS103)、当該無線占有帯域幅が存在する場合には(ステップS103のY)、ステップS105へ進む。当該無線占有帯域幅が存在しない場合には(ステップS103のN)、続いて当該通信事業者に提供される無線共有帯域幅の有無を判断し(ステップS104)、当該無線共有帯域幅が存在しない場合は(ステップS104のN)、UEに呼の接続が失敗した旨を報告し、処理を終了する(ステップS106)。当該無線共有帯域幅が存在する場合には(ステップS104のY)、呼受付制御部101は使用状況メモリ105の事業者使用状況メモリを参照し、当該通信事業者の契約帯域および現使用帯域をチェックして、個別制御チャネル用に割り当てる帯域分の空き帯域が存在するか否かを判断する(ステップS105)。
【0044】
個別制御チャネル用の空き帯域が存在しない場合は(ステップS105のN)、UEに呼の接続が失敗した旨を報告し、処理を終了する(ステップS106)。個別制御チャネル用の空き帯域が存在する場合は(ステップS105のY)、個別制御チャネル用に帯域を確保し(ステップS107)、事業者使用状況メモリの現使用帯域に確保した帯域幅を加算し(ステップS108)、ユーザ使用状況メモリに呼接続要求のユーザ識別子、サービス識別子、1つ以上のUEサポート帯域幅、UEのバージョン識別子、および、確保した帯域幅からなるUE情報を追加する(ステップS109)。
【0045】
なお、ステップS107では、個別制御チャネル用に割当てる帯域を固定としたが、呼接続要求に含まれるUEサポート帯域幅を用いて、図5に示すサービス/サポート帯域幅テーブル106を参照し、割当て可能な無線帯域幅(個別制御チャネル用)の一覧を生成し、その中から最大の帯域幅を選択することも可能である。
【0046】
こうして帯域確保およびデータ更新が完了すると、呼受付制御部101は、通信事業者管理テーブル104を参照し、当該通信事業者の接続先アドレスを読み出し、アクセス回線制御部102を制御して当該通信事業者のコアネットワークへ呼接続要求を転送する(ステップS110)。
【0047】
上述したように、管理事業者装置11は、通信事業者識別子が通信事業者管理テーブル104に含まれる場合に限り、当該ユーザ端末UEのRAN利用の許可、すなわちユーザのサービス認証を行う。このようにユーザ認証を管理事業者装置11内で行うことも可能であるが、管理事業者装置11の規模が大きくなり、加入者情報を各管理事業者装置に点在させなければならない。これを避けるためにユーザ認証を通信事業者のコアネットワークで行うことが望ましい。その場合、次に述べるコアネットワークからの呼接続応答には、サービス利用の許可/不許可を表す識別子が含まれる。
【0048】
3.呼接続応答受信時の動作
図7は、通信事業者ネットワークから呼接続要求に対する応答を受信したときの管理事業者装置の動作を示すフローチャートである。上述した呼接続応答がある通信事業者のコアネットワークへ送信され、それに対する呼接続応答が送信されると、その呼接続応答は無線回線共有型ネットワーク1の基地局制御局10を通して管理事業者装置11へ転送される。上述したようにコアネットワークがユーザ認証を行い、呼接続応答にサービス利用の許可/不許可を表す識別子が含まれるものとする。さらに、サービス利用が許可された場合には、呼接続応答に当該通信事業者が認可した割当て可能な帯域幅が含まれる。
【0049】
管理事業者装置11の呼受付制御部101は、呼接続応答を受信すると(ステップS201)、応答に含まれるサービス利用許可識別子を確認する(ステップS202)。サービスが許可されなかった場合(ステップS202のN)、図6のステップS107で確保した帯域を解放し(ステップS203)、事業者使用状況メモリから解放した帯域幅を減算し(ステップS204)、ユーザ使用状況メモリからユーザ識別子をキーとして一連の情報を削除し(ステップS205)、ステップS210へ進む。
【0050】
サービスが許可された場合には(ステップS202のY)、呼受付制御部101は、通信事業者管理テーブル104を参照し、当該通信事業者に提供される無線占有帯域幅の有無を判断し(ステップS206)、当該無線占有帯域幅が存在する場合には(ステップS206のY)、ステップS208へ進む。当該無線占有帯域幅が存在しない場合には(ステップS206のN)、続いて当該通信事業者に提供される無線共有帯域幅の有無を判断する(ステップS207)。当該無線共有帯域幅が存在しない場合は(ステップS207のN)、UEに呼の接続が失敗した旨を報告し、処理を終了する(ステップS210)。当該無線共有帯域幅が存在する場合には(ステップS207のY)、呼受付制御部101は帯域幅決定部107を制御して、呼接続要求に含まれるUEサポート帯域幅と当該コアネットワークからの呼接続応答に含まれる事業者が認可した帯域幅とに基づいてサービス/サポート帯域幅テーブル106を参照し、個別データチャネル用に割当て可能な無線帯域幅の一覧を生成する(ステップS208)。
【0051】
呼受付制御部101は、生成された割り当て可能な帯域幅の一覧に割当て可能な帯域幅があるか否かを判定し(ステップS209)、割当て可能な帯域幅が存在しない場合には(ステップS209のN)、UEに呼の接続が失敗した旨を報告し、処理を終了する(ステップS210)。割当て可能な帯域幅が存在する場合には(ステップS209のN)、帯域幅決定部107は、選択されていない帯域幅のうち最大のものを選択し、選択された帯域幅以上の空き帯域が存在するか否かを判定する(ステップS211)。空き帯域が存在しない場合には(ステップS211のN)、それよりも狭い帯域幅を選択するためにステップS209へ戻る。ステップS209およびS211を繰り返すことで、割当て可能な帯域幅一覧から現時点での空き帯域に収まる最大の割り当て可能な帯域幅を決定することができる。
【0052】
呼受付制御部101は、こうして決定された帯域幅を個別データチャネル用に確保し(ステップS212)、上述したように、事業者使用状況メモリの現使用帯域(図4(A))に確保した帯域幅を加算し、ユーザ使用状況メモリの確保帯域(図4(B))を更新する(ステップS213)。続いて、後述するように、確保した帯域幅、ユーザ識別子および帯域幅の選択肢一覧からなる情報がレート変更制御メモリ108の確保した帯域幅と等しい帯域幅群の先頭に追加される(ステップS214)。そして、UEに呼の接続が成功した旨を報告する(ステップS215)。これ以降、ユーザは確保された帯域を利用してサービスを受けられるようになる。
【0053】
(帯域幅決定)
図8は帯域幅決定部による帯域幅決定動作を説明するための模式図である。上述したステップS208において、帯域幅決定部107は、呼接続要求に含まれるUEサポート帯域幅と、対応するコアネットワークからの呼接続応答に含まれる事業者が認可した帯域幅と、に基づいてサービス/サポート帯域幅テーブル106を参照し、個別データチャネル用に割当て可能な無線帯域幅の選択肢一覧を生成する。
【0054】
具体的には、図8に示すように、UE自体がサポートしているUEサポート帯域幅が384,64および8Kbpsであり、通信事業者ネットワークの認可帯域幅が384,128,64,32および8Kbpsであり、管理事業者装置11のサービス/サポート帯域幅テーブル106に設定された当該通信事業者の事業者サポート帯域幅が64,32および8Kbpsあるものとする。この場合、帯域幅決定部107は、選択可能な帯域幅として、64および8Kbpsを選択肢一覧として生成する。
【0055】
こうして選択可能な帯域幅の一覧が生成されると、帯域幅決定部107は、まず、その中の最大帯域幅を選択し(図7のステップS209)、現時点の空き帯域と比較する(ステップS211)。そして、選択帯域幅が空き帯域以下であれば、当該選択帯域幅を割り当て可能な帯域幅として決定する。選択帯域幅が空き帯域より大きい場合には、生成された選択肢一覧から次に大きい帯域幅を選択し、同様に空き帯域との比較を行い、選択帯域幅が空き帯域以下となるまで、選択肢一覧から大きい順に帯域幅を順次選択する。こうして現時点での空き帯域に収まる最大の割り当て可能な帯域幅が決定される。
【0056】
このように、通信事業者のネットワーク内で独自にサポートする帯域幅と、無線回線共有型ネットワーク内でサポートする帯域幅と、を分けて管理することができる。また、選択帯域幅が条件を満たさなかった場合には、選択肢一覧から再選択して帯域幅を決定することができるために、UE−管理事業者装置11−通信事業者ネットワーク間で無駄な問い合わせ通信を回避でき、ネットワーク負荷を軽減できるというメリットがある。
【0057】
4.レート変更制御
レート変更制御部103は、任意のタイミングで、レート変更制御メモリ108およびレート変更しきい値テーブル109を用いてレート変更制御を実行する。
【0058】
図9はレート変更制御メモリの内容の一例を示す図である。レート変更制御メモリ108は通信事業者毎に設けられ、各通信事業者において帯域幅決定部107により決定され確保された帯域幅(使用帯域幅)の昇順に帯域幅群を形成し、帯域幅決定部107により生成された選択可能な帯域幅の選択肢一覧と加入者識別子とを格納する。たとえば、64Kbpsの帯域幅群の加入者識別子″00001968″では、64,32および8Kpbsの選択肢があり、現在64Kbpsの帯域が使用されている。
【0059】
レート変更制御部103は、呼受付制御部101によって呼接続およびサービスが受け付けられると、当該呼に割り当てられた確保帯域幅と等しい帯域幅群の先頭に当該加入者識別子および選択肢一覧を追加する。たとえば、加入者識別子″10000002″の呼が64kbpsで受け付けられ、帯域幅決定部107により生成された選択可能な帯域幅の選択肢一覧には64Kbpsのみが含まれるとすると、図9に例示するように、レート変更制御メモリ108の64kbps帯域幅群の先頭(ここでは加入者識別子″00001968″のレコードの直近上位)に当該加入者識別子″10000002″のデータが追加される。
【0060】
図10はレート変更しきい値テーブルの内容の一例を示す図である。レート変更しきい値テーブル109には、通信事業者識別子ごとに、帯域幅のレート変更の有無を表す情報、レートダウンを行う基準値として用いる閾値およびそのヒステリシス値を示す情報、および、レートアップを行う基準値として用いる閾値およびそのヒステリシス値を示す情報が格納されている。
【0061】
レートダウン用閾値は、当該通信事業者の契約帯域より低い値に設定され、使用帯域の総量が上昇してレートダウン用閾値を超えると、使用帯域の総量を低下させるようにレート変更を行う。たとえば、大きな帯域幅を長時間使用しているUEから順番に選択肢一覧のレートを低下させていく。逆に、レートアップ用閾値は任意の低い値に設定され、使用帯域の総量が低下してレートアップ用閾値を下回ると、使用帯域の総量を上昇させるようにレート変更を行う。たとえば、小さな帯域幅を使用しているUEで新しいものから順に選択肢一覧のレートを上昇させていく。各ヒステリシス値を設けたのは、使用帯域の総量をある程度の量で変化させ閾値近辺でレート変更が頻繁に発生することを抑制するためである。
【0062】
(レートダウン動作)
図11はレート変更制御部によるレートダウン制御動作を示すフローチャートである。レート変更制御部103は、ある通信事業者に関して、任意のトリガに応じてレート変更しきい値テーブル109を参照し、帯域幅のレート変更が可能か否かを判断する(ステップS301)。レート変更不可の場合には(ステップS301のN)、処理を終了する(ステップS310)。レート変更可能であれば(ステップS301のY)、事業者使用状況メモリを参照して当該通信事業者に割当てた現使用帯域がレートダウン用閾値以上か否かを判断する(ステップS302)。閾値未満の場合には(ステップS302のN)、処理を終了する(ステップS310)。
【0063】
現使用帯域がレートダウン用閾値以上の場合には(ステップS302のY)、上述したように、レート変更制御メモリ108の大きい帯域幅群の最後に位置するUEから逆順に選択し(ステップS303)、選択されたUEの帯域幅選択肢一覧をチェックする(ステップS304)。現時点で使用されている帯域幅以外の選択肢が存在しない場合には(ステップS304のN)、レート変更制御メモリ108から次のUEが存在するか否かを判断する(ステップS305)。選択するUEが無い場合は(ステップS305のN)、処理を終了する(ステップS310)。選択するUEが存在する場合は(ステップS305のY)、ステップS303へ戻る。
【0064】
現時点で使用されている帯域幅以外の選択肢が存在する場合には(ステップS304のY)、低い帯域幅に変更し(ステップS306)、事業者使用状況メモリの現使用帯域とユーザ使用状況メモリの確保帯域をそれぞれ更新する(ステップS307)。そして、レート変更制御部103は、新たに確保された帯域幅と等しい帯域幅群の先頭に当該加入者識別子および選択肢一覧を移動し(ステップS308)、使用帯域幅の総量がレートダウン用ヒステリシス値以上か否かを判断する(ステップS309)。ヒステリシス値以上の場合には(ステップS309のY)、さらにレートダウンするためにステップS303へ戻り、ヒステリシス値未満の場合は(ステップS309のN)、処理を終了する(ステップS310)。
【0065】
なお、現使用帯域がレートダウン用閾値以上になってから(ステップS302のY)、使用帯域幅の総量がレートダウン用ヒステリシス値未満になるまで(ステップS309のN)、レートダウン制御フラグをセットし、呼受付制御部101が新規の呼接続要求を受付けないようにすることも可能である。
【0066】
(レートアップ動作)
レートアップ動作も、上述したレートダウン動作と同様に行うことができる。まず、レート変更制御部103は、ある通信事業者に関して、任意のトリガに応じてレート変更しきい値テーブル109を参照し、帯域幅のレート変更が可能か否かを判断する(ステップS301)。レート変更不可の場合には(ステップS301のN)、処理を終了する(ステップS310)。レート変更可能であれば(ステップS301のY)、事業者使用状況メモリを参照して当該通信事業者に割当てた現使用帯域がレートアップ用閾値を下回たったか否かを判断する(ステップS302に相当)。閾値以上の場合には処理を終了する(ステップS310)。
【0067】
現使用帯域がレートアップ用閾値を下回った場合には(ステップS302のYに相当)、上述したように、レート変更制御メモリ108の小さい帯域幅群の先頭に位置するUEから昇順に選択し(ステップS303)、選択されたUEの帯域幅選択肢一覧をチェックする(ステップS304)。現時点で使用されている帯域幅以外の選択肢が存在しない場合には(ステップS304のN)、レート変更制御メモリ108から次のUEが存在するか否かを判断する(ステップS305)。選択するUEが無い場合は(ステップS305のN)、処理を終了する(ステップS310)。選択するUEが存在する場合は(ステップS305のY)、ステップS303へ戻る。
【0068】
現時点で使用されている帯域幅以外の選択肢が存在する場合には(ステップS304のY)、より大きい帯域幅に変更し(ステップS306)、事業者使用状況メモリの現使用帯域とユーザ使用状況メモリの確保帯域をそれぞれ更新する(ステップS307)。そして、レート変更制御部103は、新たに確保された帯域幅と等しい帯域幅群の先頭に当該加入者識別子および選択肢一覧を移動し(ステップS308)、使用帯域幅の総量がレートダウン用ヒステリシス値以下か否かを判断する(ステップS309に相当)。ヒステリシス値以下の場合には(ステップS309のYに相当)、さらにレートアップするためにステップS303へ戻り、ヒステリシス値を超えた場合は(ステップS309のNに相当)、処理を終了する(ステップS310)。
【0069】
なお、現使用帯域がレートアップ用閾値を下回ってから使用帯域幅の総量がレートアップ用ヒステリシス値を超えるまで、レートアップ制御フラグをセットし、呼受付制御部101が新規の呼接続要求を受付けないようにすることも可能である。
【0070】
5.呼切断通知/呼切断要求受信時の動作
無線品質の悪化などによって呼が切断した後に呼切断通知を受信した場合、あるいは、UEから呼切断要求を受信した場合には、呼受付制御部101は、ユーザ使用状況メモリから呼切断要求に含まれる加入者識別子およびサービス識別子をキーとして確保した帯域を解放し、事業者使用状況メモリの現使用帯域から解放した帯域幅を減算し、ユーザ使用状況メモリおよびレート変更制御メモリ108から当該一連の情報を削除し、呼切断要求を受信した場合には更にUEに呼の切断が完了した旨を通知する。
【0071】
(第2実施形態)
図12は本発明の第2実施形態による無線回線共有型ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。本実施形態による無線回線共有型ネットワークシステムでは、基地局制御局10が各通信事業者のコアネットワークだけでなく各通信事業者のローカルサーバにも接続されている。本実施形態では、優先帯域保証方式の無線帯域の割当パターンが通信事業者管理テーブル104に設定され、基地局制御局10を制御する管理事業者装置11には通信事業者間で空き帯域の貸し借りを仲介する仲介制御部111が設けられている。その他の構成は図2に示す第1実施形態と同じであるから同一の参照番号を付して詳細は省略する。
【0072】
図13は、第2実施形態における仲介制御部により実行される仲介動作の一例を示すフローチャートである。ただし、図13では仲介制御部の仲介制御フローを部分的に示しており、図7に示す管理事業者装置11の全体的フローは省略している。
【0073】
管理事業者装置11の呼受付制御部101は、図6に示すように割り当て可能な帯域幅があるか否かを判定し(図6のステップS105)、割り当て可能な帯域幅が存在しない場合(図6のステップS105のN)、あるいは、図7に示すように、生成された割り当て可能な帯域幅の一覧に割当て可能な帯域幅があるか否かを判定し(図7のステップS209)、割当て可能な帯域幅が存在しない場合(図7のステップS209のN)、仲介制御部111を起動し、当該通信事業者に空き帯域を斡旋する仲介制御を実行することができる。
【0074】
図13において、まず、仲介制御部111は、通信事業者管理テーブル104と事業者使用状況メモリとを参照し、最も広い空き帯域幅を有する通信事業者から順に通信事業者リストを生成する(ステップS401)。この通信事業者リストから最も広い空き帯域を有する通信事業者を貸し主として選択し(ステップS402)、選択された通信事業者のローカルサーバに賃貸契約書を送信する(ステップS403)。賃貸契約書には、他の通信事業者に貸与する帯域幅、その使用料金および仲介手数料が記載されている。
【0075】
賃貸契約書を受け取った通信事業者のローカルサーバは、契約書の内容を確認し(ステップS404)、内容に問題がない場合はOKを、問題がある場合はNGを仲介制御部111に返送し(ステップS405)、回答内容の写しを記憶する(ステップS406)。
【0076】
仲介制御部111は、受信した回答内容を確認し(ステップS407)、回答内容がNGの場合には(ステップS407のN)、次候補の賃貸元事業者があるか否かを判断する(ステップS408)。次の賃貸元事業者が存在する場合はステップS403へ戻り、当該通信事業者のローカルサーバに賃貸契約書を送信する。次の賃貸元事業者が存在しない場合は、図6のステップS106あるいは図7のステップS210へ戻る。
【0077】
受信した回答内容がOKの場合には(ステップS407のY)、帯域が不足している賃貸先(借主)通信事業者のローカルサーバに、賃貸契約書を送信する。賃貸契約書には、他の事業者から貸与される帯域幅、その使用料金および仲介手数料が記載されている。賃貸先通信事業者のローカルサーバは契約書の内容を確認し(ステップS410)、内容に問題がない場合はOKを、問題がある場合はNGを仲介制御部111に返送し(ステップS411)、回答内容の写しを記憶する(ステップS412)。仲介制御部111は受信した回答内容を確認する(ステップS413)。回答内容がOKの場合には(ステップS413のY)、空き帯域の賃貸契約が成立したので、事業者使用状況メモリの契約帯域を更新し(ステップS414)、賃貸契約書を課金制御部110へ送信し(ステップS415)、賃貸元通信事業者から貸与された帯域幅で賃貸先通信事業者における個別データチャネル用の帯域確保を行う(図6のステップS107あるいは図7のステップS212)。回答内容がNGの場合には(ステップS413のN)、賃貸元となる通信事業者のローカルサーバへ契約が破棄された旨を通知し(ステップS416)、図6のステップS106あるいは図7のステップS210へ戻り、UEへ呼接続の失敗および処理終了を通知する。
【0078】
上記例では、割当て可能な帯域幅が存在しない場合に仲介制御部111を起動して空き帯域を斡旋する仲介制御を実行したが、次のように他の方法で仲介制御部111を起動することもできる。
【0079】
図14は、第2実施形態における仲介制御部により実行される仲介動作の他の例を示すフローチャートである。まず、管理事業者装置11の呼受付制御部101は、予め決められた時間間隔で、事業者が契約により設定した無線帯域(契約帯域)のうち所定の割合α(0<α<1)を超える帯域が使用されているか否かをチェックする。すなわち、現使用帯域>α×契約帯域を満たすか否かを判定する(ステップS501)。
【0080】
現使用帯域>α×契約帯域であるならば(ステップS501のY)、呼受付制御部101は可処分帯域が不足し始めたと判断し、仲介制御部111を起動する(ステップS502)。仲介制御部111が起動されることで、図13を用いて説明したように、当該通信事業者に空き容量を斡旋する仲介制御(図13のステップS401〜S416)を実行することができる。ただし、図13におけるステップS408で次の賃貸元事業者が存在しない場合(S408のN)、賃貸契約書を課金制御部110へ送信した後(S415)、あるいは、賃貸元通信事業者のローカルサーバへ契約が破棄された旨を通知した後は(S416)、処理を抜ける。
【0081】
このように、管理事業者装置11は通信業者間で空き帯域の貸し借りを仲介することで、ネットワーク資源の効率的な利用を図ることができ、かつ、仲介手数料を徴収することができる。
【0082】
なお、図2、図12に示す管理事業者装置11は、ハードウエアとして図示されたブロック構成にすることもできるが、プログラム制御プロセッサ上で図6、7および11あるいは図13または図14に示すフローのプログラムを実行することにより同様の機能を実現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】(A)は本発明による無線回線共有型ネットワークの基本的な利用形態を模式的に示した図であり、(B)は従来の回線占有型ネットワークの利用形態を模式的に示した図である。
【図2】本発明の第1実施形態による無線回線共有型ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【図3】(A)はベストエフォート方式における通信事業者管理テーブル104の内容の一例を示す図であり、(B)は帯域保証方式における通信事業者管理テーブル104の内容の一例を示す図であり、(C)は(帯域保証+ベストエフォート)方式における通信事業者管理テーブル104の内容の一例を示す図である。
【図4】(A)は事業者使用状況メモリの内容の一例を示す図であり、(B)はユーザ使用状況メモリの内容の一例を示す図である。
【図5】サービス/サポート帯域幅テーブル106の内容の一例を示す図である。
【図6】ユーザ端末UEから呼接続要求を受信したときの管理事業者装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】通信事業者ネットワークから呼接続要求に対する応答を受信したときの管理事業者装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】帯域幅決定部による帯域幅決定動作を説明するための模式図である。
【図9】レート変更制御メモリの内容の一例を示す図である。
【図10】レート変更しきい値テーブルの内容の一例を示す図である。
【図11】レート変更制御部によるレートダウン制御動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態による無線回線共有型ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【図13】第2実施形態における仲介制御部により実行される仲介動作を示すフローチャートである。
【図14】第2実施形態における仲介制御部により実行される仲介動作の他の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
1 無線回線共有型ネットワーク(RAN)
10 基地局制御局
11 管理事業者装置
101 呼受付制御部
102 アクセス回線制御部
103 レート変更制御部
104 通信事業者管理テーブル
105 使用状況メモリ
106 サービス/サポート帯域幅テーブル
107 帯域幅決定部
108 レート変更制御メモリ
109 レート変更しきい値テーブル
110 課金制御部
111 仲介制御部
BS1〜BSn 無線基地局
【技術分野】
【0001】
本発明は免許制の無線周波数を用いた移動通信ネットワークシステムに係り、特にそのシステムを複数の通信事業者で共同利用するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイルマルチメディアサービスに対応可能な高速データ通信や同一の移動端末が世界中で共通に使用できるシステムの要求が高まっている。これに応えるため、世界統一規格のモバイル通信方式が標準化され、そのシステム開発が開始されており、W−CDMAを中心としたIMT−2000システムが導入され始めている。
【0003】
W−CDMAに代表されるネットワークシステムは、図1(B)に示すように、通信事業者が免許制の周波数を取得し、無線設備および有線設備を敷設して自ら運用するような回線占有型のシステムである。このような回線占有型のシステムは、一般に、初期の設備投資が大きいために利用エリアを急激に拡大することが困難である。利用エリアの広さは、ユーザが新規サービスおよび通信事業者を選択する際の重要な要因となっており、ある程度利用エリアが広がるまでは、加入者数の急激な増加は見込めない。そのため、初期投資の回収期間が長くなり、次の設備投資にコストをかけられず、事業の立ち上げが遅れるという問題を抱えている。
【0004】
有線回線のネットワークシステムでは、通信事業者が既設の有線設備をインターネットサービス提供者に開放し、インターネットサービス提供者とのアクセス回線の帯域に応じて設備利用料金を徴収する技術が存在する(たとえば、特開2003−78523号公報)。このように料金を徴収することで設備投資にかかる負担を軽減することができる。
【特許文献1】特開2003−78523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、無線回線のネットワークシステムでは、有線回線のシステムと同じビジネスモデルをそのまま適用することができない。なぜならば、無線回線のネットワークシステムでは、限られた無線帯域を有効活用することが意図されており、接続要求受付順にサービスに応じた帯域を確保するからである。このために、ある通信事業者が投資コストに見合った無線サービスを享受できなかったり、無線アクセスネットワークの管理事業者が無線設備を独占使用した通信事業者から適当な利用代金を回収できないという事態が生じうる。
【0006】
そこで、本発明の第1の目的は、無線通信ネットワークの利用に応じた料金徴収を可能にするとともに、通信事業者の投資コストを抑えることができる新たな無線回線共有型ネットワークシステム、その管理装置および管理方法を提供することにある。
【0007】
本発明の第2の目的は、無線通信ネットワークを複数の通信事業者の間で効率的に利用可能にする無線回線共有型ネットワークシステム、その管理装置および管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面によれば、免許制により取得した無線周波数で複数通信が可能な移動通信ネットワークシステムにおいて、複数の通信事業者とそれぞれ契約している複数のユーザ端末と、前記無線周波数で前記複数のユーザ端末の各々と通信可能な複数の無線基地局と、前記複数の無線基地局を制御し、かつ、前記複数のユーザ端末をそれぞれ対応する通信事業者ネットワークに接続するための制御局と、あるユーザ端末に関する呼接続要求が発生したとき、少なくとも前記複数の通信事業者の各々の契約により設定された無線帯域割り当てパターンを示す事業者帯域情報と前記複数の通信事業者の現在の使用状況を示す事業者使用状況情報とに基づいて、前記呼接続要求に対する呼受付および帯域確保を行い、前記事業者使用状況情報を更新する呼受付制御手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
望ましくは、呼接続要求に対する帯域幅を決定する帯域幅決定手段をさらに有する。この帯域幅決定手段は、ユーザサポート帯域情報と、許可帯域情報と、事業者サポート帯域情報とに基づいて、少なくとも1つの選択可能な帯域幅リストを生成する帯域リスト生成手段と、前記帯域幅リストから帯域幅の大きい順に選択し、選択された帯域幅が前記事業者使用状況情報から求められた空き帯域幅以下の時に前記選択された帯域幅を前記呼接続要求に対する帯域幅として決定する決定手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
さらに、少なくとも前記事業者帯域情報と、前記事業者使用状況情報と、前記複数のユーザ端末のうち呼接続されているユーザ端末の現在の使用状況を示すユーザ使用状況情報とに基づいて、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を順次変更する帯域幅変更手段を有することが望ましい。あるいは、前記ユーザ使用状況情報から前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅の大きい順に順次ユーザ端末を選択し、選択されたユーザ端末に対応する前記帯域幅リストに従って、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように、前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を変更する帯域幅変更手段を有することが望ましい。
【0011】
さらに、前記呼接続要求に対する帯域確保ができない場合、あるいは、各通信事業者において契約により設定された無線帯域のうち予め定められた割合を超えて帯域が使用された場合、前記事業者帯域情報と前記事業者使用状況情報とに基づいて当該帯域幅不足の通信事業者と帯域幅余剰の通信事業者とを仲介し、前記帯域幅余剰の通信事業者から前記帯域幅不足の通信事業者へ空き帯域を貸与する仲介制御手段を有することが望ましい。
【0012】
本発明の第2の側面によれば、免許制により取得した無線周波数で複数通信が可能な移動通信ネットワークを複数の通信事業者で共同利用するための管理装置において、前記複数の通信事業者の契約によりそれぞれ設定された無線帯域割り当てパターンを示す事業者帯域情報を検索可能に格納した第1テーブルと、前記複数の通信事業者の現在の使用状況をそれぞれ示す事業者使用状況情報を検索可能に格納する事業者使用状況メモリと、前記複数の通信事業者とそれぞれ契約している複数のユーザ端末のうち呼接続されているユーザ端末の現在の使用状況を示すユーザ使用状況情報を検索可能に格納するユーザ使用状況メモリと、前記事業者帯域情報と、前記事業者使用状況情報と、前記ユーザ使用状況情報とに基づいて、前記複数の通信事業者のそれぞれの使用帯域幅を少なくとも各ユーザ端末の使用帯域幅単位で制御し、事業者使用状況情報およびユーザ使用状況情報を更新する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
前記制御手段は、あるユーザ端末に関する呼接続要求が発生したとき、少なくとも前記複数の通信事業者の各々の契約により設定された無線帯域割り当てパターンを示す事業者帯域情報と前記複数の通信事業者の現在の使用状況を示す事業者使用状況情報とに基づいて、前記呼接続要求に対する呼受付および帯域確保を行う呼受付制御手段と、前記呼接続要求に含まれる前記ユーザ端末のユーザサポート帯域情報と、前記対応する通信事業者ネットワークの前記呼接続要求に関する許可帯域情報と、前記複数の通信事業者の各々がサービス毎にサポートする予め定められた事業者サポート帯域情報とに共通に含まれる帯域幅から前記呼接続要求に対する帯域幅を決定する帯域幅決定手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
前記制御手段は、さらに、少なくとも前記事業者帯域情報と、前記事業者使用状況情報と、前記複数のユーザ端末のうち呼接続されているユーザ端末の現在の使用状況を示すユーザ使用状況情報とに基づいて、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を順次変更する帯域幅変更手段を有することが望ましい。あるいは、前記制御手段は、前記ユーザ使用状況情報から前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅の大きい順に順次ユーザ端末を選択し、選択されたユーザ端末に対応する前記帯域幅リストに従って、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように、前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を変更する帯域幅変更手段を有することが望ましい。
【0015】
前記制御手段は、さらに、前記呼接続要求に対する帯域確保ができない場合、あるいは、各通信事業者において契約により設定された無線帯域のうち予め定められた割合を超えて帯域が使用された場合、前記事業者帯域情報と前記事業者使用状況情報とに基づいて、当該帯域幅不足の通信事業者と帯域幅余剰の通信事業者とを仲介し、前記帯域幅余剰の通信事業者から前記帯域幅不足の通信事業者へ空き帯域を貸与する仲介制御手段を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の第3の側面によれば、免許制により取得した無線周波数で複数通信が可能な移動通信ネットワークを複数の通信事業者で共同利用するための管理方法において、前記複数の通信事業者の契約によりそれぞれ設定された無線帯域割り当てパターンを示す事業者帯域情報を検索可能に格納し、前記複数の通信事業者の現在の使用状況をそれぞれ示す事業者使用状況情報を検索可能に格納し、前記複数の通信事業者とそれぞれ契約している複数のユーザ端末のうち呼接続されているユーザ端末の現在の使用状況を示すユーザ使用状況情報を検索可能に格納し、あるユーザ端末から呼接続要求が発生したとき、前記事業者帯域情報と前記事業者使用状況情報とに基づいて当該呼接続要求を収容可能な空き帯域幅が存在するか否かを判定し、前記呼接続要求を収容可能な空き帯域幅が存在する場合には前記呼接続要求を当該ユーザ端末の通信事業者ネットワークへ転送し、前記通信事業者ネットワークからの呼接続応答に基づいて前記呼接続要求に対する帯域幅を決定し、決定された帯域幅に従って前記事業者使用状況情報および前記ユーザ使用状況情報を更新する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、免許制により取得した無線周波数で複数のユーザ端末が無線基地局を通してそれぞれ対応する通信事業者ネットワークに接続する移動通信ネットワークにおいて、各通信事業者の無線帯域割り当てパターンと現在の使用状況とを用いて呼接続要求に対する呼受付および帯域確保を行い、あるいは、複数の通信事業者のそれぞれの使用帯域幅を少なくとも各ユーザ端末の使用帯域幅単位で制御して、事業者使用状況情報を更新することにより、複数の通信事業者に対して適切に課金することができ、移動通信ネットワークの無線設備および有線設備を複数の通信事業者の間で共同利用することが可能となる。
【0018】
さらに、複数の通信事業者の各々がサービス毎にサポートする予め定められた事業者サポート帯域情報を用意しておくことで、ユーザサポート帯域情報、許可帯域情報および事業者サポート帯域情報に共通に含まれる帯域幅から呼接続要求に対する帯域幅を決定することで、あるいは、呼接続要求に対して選択可能な帯域幅リストを生成し、帯域幅リストから大きい順に選択された帯域幅が空き帯域幅以下の時に前記選択された帯域幅を呼接続要求に対する帯域幅として決定することで、ユーザ端末、移動通信ネットワークおよび通信事業者ネットワークの間で問い合わせ通信を行う必要がなくなり、ネットワークのトラフィックを低減することができる。
【0019】
少なくとも事業者帯域情報と、事業者使用状況情報と、ユーザ使用状況情報とに基づいて、複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を順次変更することにより、あるいは、ユーザ使用状況情報から呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅の大きい順に順次ユーザ端末を選択し、選択されたユーザ端末に対応する帯域幅リストに従って複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を変更することにより、複数の事業者間で移動通信ネットワークを公平にかつ効率的に共同利用することができる。
【0020】
さらに、帯域幅不足の通信事業者と帯域幅余剰の通信事業者とを仲介することで、帯域幅余剰の通信事業者から帯域幅不足の通信事業者へ空き帯域を貸与することができ、複数の事業者間で移動通信ネットワークを柔軟にかつ効率的に共同利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
まず、本明細書で使用される用語「無線回線共有型ネットワーク」は、免許制により取得した周波数を用いた移動体通信設備を複数の通信事業者間で共同利用あるいは共有する形態のネットワークと定義され、以下、一般的にRAN(RadioAccessNetwork)と略記される場合もある。無線回線共有型ネットワークは、ハードウエアとしてはW−CDMAに代表されるセルラーシステムであるが、ある通信事業者が無線設備および有線設備を敷設して自ら運用するような回線占有型のシステムとは利用形態において基本的に異なっている。
【0022】
図1(A)は本発明による無線回線共有型ネットワークの基本的な利用形態を模式的に示した図であり、(B)は従来の回線占有型ネットワークの利用形態を模式的に示した図である。ここでは、あるRAN管理事業者が無線周波数を公式に取得し、無線設備および有線設備の投資を行い、契約した複数の通信事業者に対して、設備の管理、無線帯域の割り当て、空き帯域の斡旋など種々のサービスを提供することで手数料を徴収し、設備投資の回収を図る。逆に、利用する通信事業者にとっては、初期投資コストを大幅に削減できるというメリットがある。
【0023】
図1(A)に示すように、RAN管理事業者が提供するサービスとその対価としては、例えば次のようなものがある。通信事業者間を仲介して共有する周波数を決定し、預託された周波数、無線設備および有線設備の投資コストに応じて、各通信事業者に無線帯域幅を提供し、その対価として仲介手数料を受け取る。預託された周波数、無線設備および有線設備を管理、運用する対価として管理手数料を受け取る。更に、運用する過程で通信事業者間の帯域の貸し借りを仲介する対価として仲介手数料を受け取る。
【0024】
このように、複数の通信事業者が周波数および通信設備を共同利用し運用することで、通信事業者は設備投資にかかる負担を軽減させることができ、更に、帯域を賃貸利用することで、周波数、無線設備および有線設備を有効活用することができる。
【0025】
(第1実施形態)
1.システム構成
図2は本発明の第1実施形態による無線回線共有型ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。無線回線共有型ネットワーク1には、複数の無線基地局BS1〜BSn、基地局制御局10等の無線設備と、有線ケーブル、ルータ等の有線設備(図示せず)とが含まれる。基地局制御局10は複数の無線基地局BS1〜BSnを制御し、無線基地局BS1〜BSnと複数の通信業者のコアネットワークとの間で制御信号やデータの転送を行う。基地局制御局10は、後述するように、管理事業者装置11によって制御される。
【0026】
無線基地局BS1〜BSnは、周知のように地理的に分散して設置されており、各基地局は所定の共通周波数を用いて無線ゾーン(セル)を生成し、その中に位置する複数のユーザ端末(以下、UEと略記する場合がある。)との通信を可能にする。上述したように無線回線共有型ネットワーク1は複数の通信事業者が共同利用するものであるから、複数のユーザ端末には複数の通信事業者の各々に対応する端末が含まれる。いずれの端末であっても、契約した通信事業者の端末であれば、無線基地局BS1〜BSnのサービスエリア内で通信可能である。
【0027】
管理事業者装置11は、呼受付制御部101、アクセス回線制御部102、レート変更制御部103を有する。呼受付制御部101は、通信事業者管理テーブル104、使用状況メモリ105、サービス/サポート帯域幅テーブル106および帯域幅決定部107を用いて後述する呼受付制御を実行する。レート変更制御部103は、レート変更制御メモリ108およびレート変更しきい値テーブル109を用いて後述するレート変更制御を実行する。さらに、呼受付制御部101は、各通信事業者との間で締結した無線帯域の賃貸契約に基づいて各通信事業者に課金する課金制御部110を有する。なお、管理事業者装置11は、無線回線共有型ネットワーク1の外側にネットワークを介して配置してもよいが、無線回線共有型ネットワーク1の無線設備内に配置することも可能である。
【0028】
(通信事業者管理テーブル)
通信事業者管理テーブル104には各通信事業者との契約内容に従って設定された管理情報が格納されており、呼受付制御の際に呼受付制御部101によって参照される。
【0029】
図3(A)はベストエフォート方式における通信事業者管理テーブル104の内容の一例を示す図であり、(B)は帯域保証方式における通信事業者管理テーブル104の内容の一例を示す図であり、(C)は(帯域保証+ベストエフォート)方式における通信事業者管理テーブル104の内容の一例を示す図である。
【0030】
通信事業者管理テーブル104は、呼受付制御部101によって参照され、各通信事業者を特定する識別子に対応して、提供帯域情報(無線占有帯域幅、無線共有帯域幅)および各通信事業者のコアネットワークのIPアドレスが検索可能に格納されている。提供帯域情報は、RAN管理事業者が各通信事業者に提供する無線占有帯域幅および/または無線共有帯域幅を表す情報であり、RAN管理事業者と通信事業者との契約に基づいて設定あるいは変更される。
【0031】
図3(A)に示すベストエフォート方式では、無線帯域の割り当てパターンが一律に無線占有帯域幅0%、無線共有帯域幅100%に設定されるが、図3(B)の帯域保証方式では、通信事業者ごとに保証される無線占有帯域幅が設定されている。ここでは、通信事業者A=50%、B=30%、C=20%に設定されている。また、図3(C)の(帯域保証+ベストエフォート)方式では、通信事業者ごとに保証される無線占有帯域幅と、空き帯域があれば提供される無線共有帯域幅と、がそれぞれ設定されている。ここでは、通信事業者A=40%、B=20%、C=10%であり、共有帯域が30%である。
【0032】
図示されていないが、その他に、特定の通信事業者に優先的に帯域を保証し、空き帯域を貸し出す優先帯域保証方式がある。たとえば通信事業者A=100%、B=0%、C=0%に設定され、空き帯域があれば、必要とする他の通信事業者に貸し出される。
【0033】
(使用状況メモリ)
使用状況メモリ105は事業者使用状況メモリとユーザ使用状況メモリとを有し、呼受付制御部101が現在の使用状況を参照して空き帯域の有無を判断するために用いられる。
【0034】
図4(A)は事業者使用状況メモリの内容の一例を示す図であり、(B)はユーザ使用状況メモリの内容の一例を示す図である。図4(A)に示す事業者使用状況メモリは、各通信事業者に割り当てた無線帯域幅(現使用帯域)と当該通信事業者の契約帯域とを格納しており、呼の受付/切断タイミングで、あるいは、無線帯域の賃貸契約を締結したタイミングで更新される。たとえば、呼受付制御部101は、通信事業者Aのユーザ端末からの呼接続要求を受け付けると、当該呼に対して後述するように決定された割り当て帯域幅を通信事業者Aの現使用帯域に加算する。したがって、契約帯域と現使用帯域とに基づいて、各通信事業者に空き帯域があるか否か、他の通信事業者から帯域を賃貸することができるか否か等の判定を行うことができる。
【0035】
図4(B)に示すユーザ使用状況メモリは、呼接続要求を受け付けたユーザ端末(UE)を識別するユーザ識別子ごとに、当該呼のサービスID、UEサポート帯域幅、バージョン識別子および確保帯域からなるUE情報を記憶している。これらUE情報は呼接続要求により与えられる。
【0036】
ユーザ端末(UE)からの呼接続要求は、当該UEが属する通信事業者の識別子、当該UEを一意に識別するユーザ識別子(たとえば加入者電話番号など)、要求する呼のサービス識別子、当該UEのバージョン識別子、および、少なくとも1つのUEサポート帯域幅(UEが通信サービスを実行する上でサポートしている帯域幅)を含む。
【0037】
たとえば、通信事業者Aのユーザ端末UE1からの呼接続要求(電話)が受け付けられると、ユーザ使用状況メモリに、サービス識別子(電話)と、UE1自体がサポートする帯域幅と、UE1のバージョン識別子と、後述するように決定された確保帯域と、が登録される。同時に、事業者使用状況メモリの通信事業者Aの現使用帯域に、この確保帯域が加算される。UE1の呼が切断されると、ユーザ使用状況メモリの対応するUE情報が削除されると共に、当該確保帯域が解放され、事業者使用状況メモリの対応する通信事業者Aの現使用帯域から減算される。
【0038】
(サービス/サポート帯域幅テーブル)
図5はサービス/サポート帯域幅テーブル106の内容の一例を示す図である。サービス/サポート帯域幅テーブル106は、各通信事業者が提供するサービスごとに、さらにUEバージョンがある場合にはバージョンごとに、当該通信事業者がサポートする少なくとも1つの帯域幅を格納している。たとえば、通信事業者Aの電話サービスでは、ユーザ端末のバージョンが1であれば、通信事業者Aは12Kpbsの帯域幅をサポートすることができる。
【0039】
サービス/サポート帯域幅テーブル106は、UEの呼接続要求が受け付けられた時に確保帯域を決定するために参照される。詳しくは「帯域幅決定」の項(図8)で説明するが、帯域幅決定部107は、UEからの呼接続要求に含まれるUEサポート帯域幅と通信事業者のコアネットワークからの呼接続応答(サービス利用要求)に含まれる事業者が認可した帯域幅とを受け取ると、サービス/サポート帯域幅テーブル106を参照して割当て可能な無線帯域幅の一覧を生成する。そして受付制御部101により空き帯域の不足などの理由でサービスの受付が拒否された場合には、この一覧を用いて帯域幅の決定を行うことができる。
【0040】
2.呼接続要求受信時の動作
通信事業者管理テーブル104には、図3(A)〜(C)に示すベストエフォート方式、帯域保証方式、(帯域保証+ベストエフォート)方式のいずれかの無線帯域割当パターンが格納されているものとする。
【0041】
図6は、ユーザ端末UEから呼接続要求を受信したときの管理事業者装置の動作を示すフローチャートである。ある通信事業者のユーザ端末UEが呼接続要求を送信すると、その呼接続要求は無線回線共有型ネットワーク1の基地局制御局10を通して管理事業者装置11へ転送される。上述したように、呼接続要求には、当該UEが属する通信事業者の識別子、当該UEを一意に識別するユーザ識別子、要求する呼のサービス識別子、当該UEのバージョン識別子、および、UEサポート帯域幅が含まれる。
【0042】
呼受付制御部101は、呼接続要求を受信すると(ステップS101)、通信事業者管理テーブル104を参照し、要求に含まれる通信事業者識別子が登録されているか否かを判断し(ステップS102)、当該通信事業者識別子が存在しない場合には(ステップS102のN)、UEに呼の接続が失敗した旨を報告し、処理を終了する(ステップS106)。
【0043】
当該通信事業者識別子が存在する場合には(ステップS102のY)、当該通信事業者に提供される無線占有帯域幅の有無を判断し(ステップS103)、当該無線占有帯域幅が存在する場合には(ステップS103のY)、ステップS105へ進む。当該無線占有帯域幅が存在しない場合には(ステップS103のN)、続いて当該通信事業者に提供される無線共有帯域幅の有無を判断し(ステップS104)、当該無線共有帯域幅が存在しない場合は(ステップS104のN)、UEに呼の接続が失敗した旨を報告し、処理を終了する(ステップS106)。当該無線共有帯域幅が存在する場合には(ステップS104のY)、呼受付制御部101は使用状況メモリ105の事業者使用状況メモリを参照し、当該通信事業者の契約帯域および現使用帯域をチェックして、個別制御チャネル用に割り当てる帯域分の空き帯域が存在するか否かを判断する(ステップS105)。
【0044】
個別制御チャネル用の空き帯域が存在しない場合は(ステップS105のN)、UEに呼の接続が失敗した旨を報告し、処理を終了する(ステップS106)。個別制御チャネル用の空き帯域が存在する場合は(ステップS105のY)、個別制御チャネル用に帯域を確保し(ステップS107)、事業者使用状況メモリの現使用帯域に確保した帯域幅を加算し(ステップS108)、ユーザ使用状況メモリに呼接続要求のユーザ識別子、サービス識別子、1つ以上のUEサポート帯域幅、UEのバージョン識別子、および、確保した帯域幅からなるUE情報を追加する(ステップS109)。
【0045】
なお、ステップS107では、個別制御チャネル用に割当てる帯域を固定としたが、呼接続要求に含まれるUEサポート帯域幅を用いて、図5に示すサービス/サポート帯域幅テーブル106を参照し、割当て可能な無線帯域幅(個別制御チャネル用)の一覧を生成し、その中から最大の帯域幅を選択することも可能である。
【0046】
こうして帯域確保およびデータ更新が完了すると、呼受付制御部101は、通信事業者管理テーブル104を参照し、当該通信事業者の接続先アドレスを読み出し、アクセス回線制御部102を制御して当該通信事業者のコアネットワークへ呼接続要求を転送する(ステップS110)。
【0047】
上述したように、管理事業者装置11は、通信事業者識別子が通信事業者管理テーブル104に含まれる場合に限り、当該ユーザ端末UEのRAN利用の許可、すなわちユーザのサービス認証を行う。このようにユーザ認証を管理事業者装置11内で行うことも可能であるが、管理事業者装置11の規模が大きくなり、加入者情報を各管理事業者装置に点在させなければならない。これを避けるためにユーザ認証を通信事業者のコアネットワークで行うことが望ましい。その場合、次に述べるコアネットワークからの呼接続応答には、サービス利用の許可/不許可を表す識別子が含まれる。
【0048】
3.呼接続応答受信時の動作
図7は、通信事業者ネットワークから呼接続要求に対する応答を受信したときの管理事業者装置の動作を示すフローチャートである。上述した呼接続応答がある通信事業者のコアネットワークへ送信され、それに対する呼接続応答が送信されると、その呼接続応答は無線回線共有型ネットワーク1の基地局制御局10を通して管理事業者装置11へ転送される。上述したようにコアネットワークがユーザ認証を行い、呼接続応答にサービス利用の許可/不許可を表す識別子が含まれるものとする。さらに、サービス利用が許可された場合には、呼接続応答に当該通信事業者が認可した割当て可能な帯域幅が含まれる。
【0049】
管理事業者装置11の呼受付制御部101は、呼接続応答を受信すると(ステップS201)、応答に含まれるサービス利用許可識別子を確認する(ステップS202)。サービスが許可されなかった場合(ステップS202のN)、図6のステップS107で確保した帯域を解放し(ステップS203)、事業者使用状況メモリから解放した帯域幅を減算し(ステップS204)、ユーザ使用状況メモリからユーザ識別子をキーとして一連の情報を削除し(ステップS205)、ステップS210へ進む。
【0050】
サービスが許可された場合には(ステップS202のY)、呼受付制御部101は、通信事業者管理テーブル104を参照し、当該通信事業者に提供される無線占有帯域幅の有無を判断し(ステップS206)、当該無線占有帯域幅が存在する場合には(ステップS206のY)、ステップS208へ進む。当該無線占有帯域幅が存在しない場合には(ステップS206のN)、続いて当該通信事業者に提供される無線共有帯域幅の有無を判断する(ステップS207)。当該無線共有帯域幅が存在しない場合は(ステップS207のN)、UEに呼の接続が失敗した旨を報告し、処理を終了する(ステップS210)。当該無線共有帯域幅が存在する場合には(ステップS207のY)、呼受付制御部101は帯域幅決定部107を制御して、呼接続要求に含まれるUEサポート帯域幅と当該コアネットワークからの呼接続応答に含まれる事業者が認可した帯域幅とに基づいてサービス/サポート帯域幅テーブル106を参照し、個別データチャネル用に割当て可能な無線帯域幅の一覧を生成する(ステップS208)。
【0051】
呼受付制御部101は、生成された割り当て可能な帯域幅の一覧に割当て可能な帯域幅があるか否かを判定し(ステップS209)、割当て可能な帯域幅が存在しない場合には(ステップS209のN)、UEに呼の接続が失敗した旨を報告し、処理を終了する(ステップS210)。割当て可能な帯域幅が存在する場合には(ステップS209のN)、帯域幅決定部107は、選択されていない帯域幅のうち最大のものを選択し、選択された帯域幅以上の空き帯域が存在するか否かを判定する(ステップS211)。空き帯域が存在しない場合には(ステップS211のN)、それよりも狭い帯域幅を選択するためにステップS209へ戻る。ステップS209およびS211を繰り返すことで、割当て可能な帯域幅一覧から現時点での空き帯域に収まる最大の割り当て可能な帯域幅を決定することができる。
【0052】
呼受付制御部101は、こうして決定された帯域幅を個別データチャネル用に確保し(ステップS212)、上述したように、事業者使用状況メモリの現使用帯域(図4(A))に確保した帯域幅を加算し、ユーザ使用状況メモリの確保帯域(図4(B))を更新する(ステップS213)。続いて、後述するように、確保した帯域幅、ユーザ識別子および帯域幅の選択肢一覧からなる情報がレート変更制御メモリ108の確保した帯域幅と等しい帯域幅群の先頭に追加される(ステップS214)。そして、UEに呼の接続が成功した旨を報告する(ステップS215)。これ以降、ユーザは確保された帯域を利用してサービスを受けられるようになる。
【0053】
(帯域幅決定)
図8は帯域幅決定部による帯域幅決定動作を説明するための模式図である。上述したステップS208において、帯域幅決定部107は、呼接続要求に含まれるUEサポート帯域幅と、対応するコアネットワークからの呼接続応答に含まれる事業者が認可した帯域幅と、に基づいてサービス/サポート帯域幅テーブル106を参照し、個別データチャネル用に割当て可能な無線帯域幅の選択肢一覧を生成する。
【0054】
具体的には、図8に示すように、UE自体がサポートしているUEサポート帯域幅が384,64および8Kbpsであり、通信事業者ネットワークの認可帯域幅が384,128,64,32および8Kbpsであり、管理事業者装置11のサービス/サポート帯域幅テーブル106に設定された当該通信事業者の事業者サポート帯域幅が64,32および8Kbpsあるものとする。この場合、帯域幅決定部107は、選択可能な帯域幅として、64および8Kbpsを選択肢一覧として生成する。
【0055】
こうして選択可能な帯域幅の一覧が生成されると、帯域幅決定部107は、まず、その中の最大帯域幅を選択し(図7のステップS209)、現時点の空き帯域と比較する(ステップS211)。そして、選択帯域幅が空き帯域以下であれば、当該選択帯域幅を割り当て可能な帯域幅として決定する。選択帯域幅が空き帯域より大きい場合には、生成された選択肢一覧から次に大きい帯域幅を選択し、同様に空き帯域との比較を行い、選択帯域幅が空き帯域以下となるまで、選択肢一覧から大きい順に帯域幅を順次選択する。こうして現時点での空き帯域に収まる最大の割り当て可能な帯域幅が決定される。
【0056】
このように、通信事業者のネットワーク内で独自にサポートする帯域幅と、無線回線共有型ネットワーク内でサポートする帯域幅と、を分けて管理することができる。また、選択帯域幅が条件を満たさなかった場合には、選択肢一覧から再選択して帯域幅を決定することができるために、UE−管理事業者装置11−通信事業者ネットワーク間で無駄な問い合わせ通信を回避でき、ネットワーク負荷を軽減できるというメリットがある。
【0057】
4.レート変更制御
レート変更制御部103は、任意のタイミングで、レート変更制御メモリ108およびレート変更しきい値テーブル109を用いてレート変更制御を実行する。
【0058】
図9はレート変更制御メモリの内容の一例を示す図である。レート変更制御メモリ108は通信事業者毎に設けられ、各通信事業者において帯域幅決定部107により決定され確保された帯域幅(使用帯域幅)の昇順に帯域幅群を形成し、帯域幅決定部107により生成された選択可能な帯域幅の選択肢一覧と加入者識別子とを格納する。たとえば、64Kbpsの帯域幅群の加入者識別子″00001968″では、64,32および8Kpbsの選択肢があり、現在64Kbpsの帯域が使用されている。
【0059】
レート変更制御部103は、呼受付制御部101によって呼接続およびサービスが受け付けられると、当該呼に割り当てられた確保帯域幅と等しい帯域幅群の先頭に当該加入者識別子および選択肢一覧を追加する。たとえば、加入者識別子″10000002″の呼が64kbpsで受け付けられ、帯域幅決定部107により生成された選択可能な帯域幅の選択肢一覧には64Kbpsのみが含まれるとすると、図9に例示するように、レート変更制御メモリ108の64kbps帯域幅群の先頭(ここでは加入者識別子″00001968″のレコードの直近上位)に当該加入者識別子″10000002″のデータが追加される。
【0060】
図10はレート変更しきい値テーブルの内容の一例を示す図である。レート変更しきい値テーブル109には、通信事業者識別子ごとに、帯域幅のレート変更の有無を表す情報、レートダウンを行う基準値として用いる閾値およびそのヒステリシス値を示す情報、および、レートアップを行う基準値として用いる閾値およびそのヒステリシス値を示す情報が格納されている。
【0061】
レートダウン用閾値は、当該通信事業者の契約帯域より低い値に設定され、使用帯域の総量が上昇してレートダウン用閾値を超えると、使用帯域の総量を低下させるようにレート変更を行う。たとえば、大きな帯域幅を長時間使用しているUEから順番に選択肢一覧のレートを低下させていく。逆に、レートアップ用閾値は任意の低い値に設定され、使用帯域の総量が低下してレートアップ用閾値を下回ると、使用帯域の総量を上昇させるようにレート変更を行う。たとえば、小さな帯域幅を使用しているUEで新しいものから順に選択肢一覧のレートを上昇させていく。各ヒステリシス値を設けたのは、使用帯域の総量をある程度の量で変化させ閾値近辺でレート変更が頻繁に発生することを抑制するためである。
【0062】
(レートダウン動作)
図11はレート変更制御部によるレートダウン制御動作を示すフローチャートである。レート変更制御部103は、ある通信事業者に関して、任意のトリガに応じてレート変更しきい値テーブル109を参照し、帯域幅のレート変更が可能か否かを判断する(ステップS301)。レート変更不可の場合には(ステップS301のN)、処理を終了する(ステップS310)。レート変更可能であれば(ステップS301のY)、事業者使用状況メモリを参照して当該通信事業者に割当てた現使用帯域がレートダウン用閾値以上か否かを判断する(ステップS302)。閾値未満の場合には(ステップS302のN)、処理を終了する(ステップS310)。
【0063】
現使用帯域がレートダウン用閾値以上の場合には(ステップS302のY)、上述したように、レート変更制御メモリ108の大きい帯域幅群の最後に位置するUEから逆順に選択し(ステップS303)、選択されたUEの帯域幅選択肢一覧をチェックする(ステップS304)。現時点で使用されている帯域幅以外の選択肢が存在しない場合には(ステップS304のN)、レート変更制御メモリ108から次のUEが存在するか否かを判断する(ステップS305)。選択するUEが無い場合は(ステップS305のN)、処理を終了する(ステップS310)。選択するUEが存在する場合は(ステップS305のY)、ステップS303へ戻る。
【0064】
現時点で使用されている帯域幅以外の選択肢が存在する場合には(ステップS304のY)、低い帯域幅に変更し(ステップS306)、事業者使用状況メモリの現使用帯域とユーザ使用状況メモリの確保帯域をそれぞれ更新する(ステップS307)。そして、レート変更制御部103は、新たに確保された帯域幅と等しい帯域幅群の先頭に当該加入者識別子および選択肢一覧を移動し(ステップS308)、使用帯域幅の総量がレートダウン用ヒステリシス値以上か否かを判断する(ステップS309)。ヒステリシス値以上の場合には(ステップS309のY)、さらにレートダウンするためにステップS303へ戻り、ヒステリシス値未満の場合は(ステップS309のN)、処理を終了する(ステップS310)。
【0065】
なお、現使用帯域がレートダウン用閾値以上になってから(ステップS302のY)、使用帯域幅の総量がレートダウン用ヒステリシス値未満になるまで(ステップS309のN)、レートダウン制御フラグをセットし、呼受付制御部101が新規の呼接続要求を受付けないようにすることも可能である。
【0066】
(レートアップ動作)
レートアップ動作も、上述したレートダウン動作と同様に行うことができる。まず、レート変更制御部103は、ある通信事業者に関して、任意のトリガに応じてレート変更しきい値テーブル109を参照し、帯域幅のレート変更が可能か否かを判断する(ステップS301)。レート変更不可の場合には(ステップS301のN)、処理を終了する(ステップS310)。レート変更可能であれば(ステップS301のY)、事業者使用状況メモリを参照して当該通信事業者に割当てた現使用帯域がレートアップ用閾値を下回たったか否かを判断する(ステップS302に相当)。閾値以上の場合には処理を終了する(ステップS310)。
【0067】
現使用帯域がレートアップ用閾値を下回った場合には(ステップS302のYに相当)、上述したように、レート変更制御メモリ108の小さい帯域幅群の先頭に位置するUEから昇順に選択し(ステップS303)、選択されたUEの帯域幅選択肢一覧をチェックする(ステップS304)。現時点で使用されている帯域幅以外の選択肢が存在しない場合には(ステップS304のN)、レート変更制御メモリ108から次のUEが存在するか否かを判断する(ステップS305)。選択するUEが無い場合は(ステップS305のN)、処理を終了する(ステップS310)。選択するUEが存在する場合は(ステップS305のY)、ステップS303へ戻る。
【0068】
現時点で使用されている帯域幅以外の選択肢が存在する場合には(ステップS304のY)、より大きい帯域幅に変更し(ステップS306)、事業者使用状況メモリの現使用帯域とユーザ使用状況メモリの確保帯域をそれぞれ更新する(ステップS307)。そして、レート変更制御部103は、新たに確保された帯域幅と等しい帯域幅群の先頭に当該加入者識別子および選択肢一覧を移動し(ステップS308)、使用帯域幅の総量がレートダウン用ヒステリシス値以下か否かを判断する(ステップS309に相当)。ヒステリシス値以下の場合には(ステップS309のYに相当)、さらにレートアップするためにステップS303へ戻り、ヒステリシス値を超えた場合は(ステップS309のNに相当)、処理を終了する(ステップS310)。
【0069】
なお、現使用帯域がレートアップ用閾値を下回ってから使用帯域幅の総量がレートアップ用ヒステリシス値を超えるまで、レートアップ制御フラグをセットし、呼受付制御部101が新規の呼接続要求を受付けないようにすることも可能である。
【0070】
5.呼切断通知/呼切断要求受信時の動作
無線品質の悪化などによって呼が切断した後に呼切断通知を受信した場合、あるいは、UEから呼切断要求を受信した場合には、呼受付制御部101は、ユーザ使用状況メモリから呼切断要求に含まれる加入者識別子およびサービス識別子をキーとして確保した帯域を解放し、事業者使用状況メモリの現使用帯域から解放した帯域幅を減算し、ユーザ使用状況メモリおよびレート変更制御メモリ108から当該一連の情報を削除し、呼切断要求を受信した場合には更にUEに呼の切断が完了した旨を通知する。
【0071】
(第2実施形態)
図12は本発明の第2実施形態による無線回線共有型ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。本実施形態による無線回線共有型ネットワークシステムでは、基地局制御局10が各通信事業者のコアネットワークだけでなく各通信事業者のローカルサーバにも接続されている。本実施形態では、優先帯域保証方式の無線帯域の割当パターンが通信事業者管理テーブル104に設定され、基地局制御局10を制御する管理事業者装置11には通信事業者間で空き帯域の貸し借りを仲介する仲介制御部111が設けられている。その他の構成は図2に示す第1実施形態と同じであるから同一の参照番号を付して詳細は省略する。
【0072】
図13は、第2実施形態における仲介制御部により実行される仲介動作の一例を示すフローチャートである。ただし、図13では仲介制御部の仲介制御フローを部分的に示しており、図7に示す管理事業者装置11の全体的フローは省略している。
【0073】
管理事業者装置11の呼受付制御部101は、図6に示すように割り当て可能な帯域幅があるか否かを判定し(図6のステップS105)、割り当て可能な帯域幅が存在しない場合(図6のステップS105のN)、あるいは、図7に示すように、生成された割り当て可能な帯域幅の一覧に割当て可能な帯域幅があるか否かを判定し(図7のステップS209)、割当て可能な帯域幅が存在しない場合(図7のステップS209のN)、仲介制御部111を起動し、当該通信事業者に空き帯域を斡旋する仲介制御を実行することができる。
【0074】
図13において、まず、仲介制御部111は、通信事業者管理テーブル104と事業者使用状況メモリとを参照し、最も広い空き帯域幅を有する通信事業者から順に通信事業者リストを生成する(ステップS401)。この通信事業者リストから最も広い空き帯域を有する通信事業者を貸し主として選択し(ステップS402)、選択された通信事業者のローカルサーバに賃貸契約書を送信する(ステップS403)。賃貸契約書には、他の通信事業者に貸与する帯域幅、その使用料金および仲介手数料が記載されている。
【0075】
賃貸契約書を受け取った通信事業者のローカルサーバは、契約書の内容を確認し(ステップS404)、内容に問題がない場合はOKを、問題がある場合はNGを仲介制御部111に返送し(ステップS405)、回答内容の写しを記憶する(ステップS406)。
【0076】
仲介制御部111は、受信した回答内容を確認し(ステップS407)、回答内容がNGの場合には(ステップS407のN)、次候補の賃貸元事業者があるか否かを判断する(ステップS408)。次の賃貸元事業者が存在する場合はステップS403へ戻り、当該通信事業者のローカルサーバに賃貸契約書を送信する。次の賃貸元事業者が存在しない場合は、図6のステップS106あるいは図7のステップS210へ戻る。
【0077】
受信した回答内容がOKの場合には(ステップS407のY)、帯域が不足している賃貸先(借主)通信事業者のローカルサーバに、賃貸契約書を送信する。賃貸契約書には、他の事業者から貸与される帯域幅、その使用料金および仲介手数料が記載されている。賃貸先通信事業者のローカルサーバは契約書の内容を確認し(ステップS410)、内容に問題がない場合はOKを、問題がある場合はNGを仲介制御部111に返送し(ステップS411)、回答内容の写しを記憶する(ステップS412)。仲介制御部111は受信した回答内容を確認する(ステップS413)。回答内容がOKの場合には(ステップS413のY)、空き帯域の賃貸契約が成立したので、事業者使用状況メモリの契約帯域を更新し(ステップS414)、賃貸契約書を課金制御部110へ送信し(ステップS415)、賃貸元通信事業者から貸与された帯域幅で賃貸先通信事業者における個別データチャネル用の帯域確保を行う(図6のステップS107あるいは図7のステップS212)。回答内容がNGの場合には(ステップS413のN)、賃貸元となる通信事業者のローカルサーバへ契約が破棄された旨を通知し(ステップS416)、図6のステップS106あるいは図7のステップS210へ戻り、UEへ呼接続の失敗および処理終了を通知する。
【0078】
上記例では、割当て可能な帯域幅が存在しない場合に仲介制御部111を起動して空き帯域を斡旋する仲介制御を実行したが、次のように他の方法で仲介制御部111を起動することもできる。
【0079】
図14は、第2実施形態における仲介制御部により実行される仲介動作の他の例を示すフローチャートである。まず、管理事業者装置11の呼受付制御部101は、予め決められた時間間隔で、事業者が契約により設定した無線帯域(契約帯域)のうち所定の割合α(0<α<1)を超える帯域が使用されているか否かをチェックする。すなわち、現使用帯域>α×契約帯域を満たすか否かを判定する(ステップS501)。
【0080】
現使用帯域>α×契約帯域であるならば(ステップS501のY)、呼受付制御部101は可処分帯域が不足し始めたと判断し、仲介制御部111を起動する(ステップS502)。仲介制御部111が起動されることで、図13を用いて説明したように、当該通信事業者に空き容量を斡旋する仲介制御(図13のステップS401〜S416)を実行することができる。ただし、図13におけるステップS408で次の賃貸元事業者が存在しない場合(S408のN)、賃貸契約書を課金制御部110へ送信した後(S415)、あるいは、賃貸元通信事業者のローカルサーバへ契約が破棄された旨を通知した後は(S416)、処理を抜ける。
【0081】
このように、管理事業者装置11は通信業者間で空き帯域の貸し借りを仲介することで、ネットワーク資源の効率的な利用を図ることができ、かつ、仲介手数料を徴収することができる。
【0082】
なお、図2、図12に示す管理事業者装置11は、ハードウエアとして図示されたブロック構成にすることもできるが、プログラム制御プロセッサ上で図6、7および11あるいは図13または図14に示すフローのプログラムを実行することにより同様の機能を実現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】(A)は本発明による無線回線共有型ネットワークの基本的な利用形態を模式的に示した図であり、(B)は従来の回線占有型ネットワークの利用形態を模式的に示した図である。
【図2】本発明の第1実施形態による無線回線共有型ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【図3】(A)はベストエフォート方式における通信事業者管理テーブル104の内容の一例を示す図であり、(B)は帯域保証方式における通信事業者管理テーブル104の内容の一例を示す図であり、(C)は(帯域保証+ベストエフォート)方式における通信事業者管理テーブル104の内容の一例を示す図である。
【図4】(A)は事業者使用状況メモリの内容の一例を示す図であり、(B)はユーザ使用状況メモリの内容の一例を示す図である。
【図5】サービス/サポート帯域幅テーブル106の内容の一例を示す図である。
【図6】ユーザ端末UEから呼接続要求を受信したときの管理事業者装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】通信事業者ネットワークから呼接続要求に対する応答を受信したときの管理事業者装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】帯域幅決定部による帯域幅決定動作を説明するための模式図である。
【図9】レート変更制御メモリの内容の一例を示す図である。
【図10】レート変更しきい値テーブルの内容の一例を示す図である。
【図11】レート変更制御部によるレートダウン制御動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態による無線回線共有型ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【図13】第2実施形態における仲介制御部により実行される仲介動作を示すフローチャートである。
【図14】第2実施形態における仲介制御部により実行される仲介動作の他の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
1 無線回線共有型ネットワーク(RAN)
10 基地局制御局
11 管理事業者装置
101 呼受付制御部
102 アクセス回線制御部
103 レート変更制御部
104 通信事業者管理テーブル
105 使用状況メモリ
106 サービス/サポート帯域幅テーブル
107 帯域幅決定部
108 レート変更制御メモリ
109 レート変更しきい値テーブル
110 課金制御部
111 仲介制御部
BS1〜BSn 無線基地局
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免許制により取得した無線周波数で複数通信が可能な移動通信ネットワークシステムにおいて、
複数の通信事業者とそれぞれ契約している複数のユーザ端末と、
前記無線周波数で前記複数のユーザ端末の各々と通信可能な複数の無線基地局と、
前記複数の無線基地局を制御し、かつ、前記複数のユーザ端末をそれぞれ対応する通信事業者ネットワークに接続するための制御局と、
あるユーザ端末に関する呼接続要求が発生したとき、少なくとも前記複数の通信事業者の各々の契約により設定された無線帯域割り当てパターンを示す事業者帯域情報と前記複数の通信事業者の現在の使用状況を示す事業者使用状況情報とに基づいて前記呼接続要求に対する呼受付および帯域確保を行い、前記事業者使用状況情報を更新する呼受付制御手段と、
を有することを特徴とする無線回線共有型ネットワークシステム。
【請求項2】
前記呼受付制御手段は、さらに、前記ユーザ端末に対応する通信事業者ネットワークの前記呼接続要求に関する許可帯域情報を用いて確保された帯域幅を更新することを特徴とする請求項1に記載の無線回線共有型ネットワークシステム。
【請求項3】
前記呼接続要求に含まれる前記ユーザ端末のユーザサポート帯域情報と、前記対応する通信事業者ネットワークの前記呼接続要求に関する許可帯域情報と、前記複数の通信事業者の各々がサービス毎にサポートする予め定められた事業者サポート帯域情報とに共通に含まれる帯域幅から前記呼接続要求に対する帯域幅を決定する帯域幅決定手段
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の無線回線共有型ネットワークシステム。
【請求項4】
前記帯域幅決定手段は、
前記ユーザサポート帯域情報と、前記許可帯域情報と、前記事業者サポート帯域情報とに基づいて、少なくとも1つの選択可能な帯域幅リストを生成する帯域リスト生成手段と、
前記帯域幅リストから帯域幅の大きい順に選択し、選択された帯域幅が前記事業者使用状況情報から求められた空き帯域幅以下の時に前記選択された帯域幅を前記呼接続要求に対する帯域幅として決定する決定手段と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の無線回線共有型ネットワークシステム。
【請求項5】
少なくとも前記事業者帯域情報と、前記事業者使用状況情報と、前記複数のユーザ端末のうち呼接続されているユーザ端末の現在の使用状況を示すユーザ使用状況情報とに基づいて、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を順次変更する帯域幅変更手段
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の無線回線共有型ネットワークシステム。
【請求項6】
前記ユーザ使用状況情報から前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅の大きい順に順次ユーザ端末を選択し、選択されたユーザ端末に対応する前記帯域幅リストに従って、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように、前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を変更する帯域幅変更手段
をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の無線回線共有型ネットワークシステム。
【請求項7】
前記呼接続要求に対する帯域確保ができない場合、前記事業者帯域情報と前記事業者使用状況情報とに基づいて、当該帯域幅不足の通信事業者と帯域幅余剰の通信事業者とを仲介し、前記帯域幅余剰の通信事業者から前記帯域幅不足の通信事業者へ空き帯域を貸与する仲介制御手段
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項8】
各通信事業者において契約により設定された無線帯域のうち予め定められた割合を超えて帯域が使用された場合、当該帯域幅不足の通信事業者と帯域幅余剰の通信事業者とを仲介し、前記帯域幅余剰の通信事業者から前記帯域幅不足の通信事業者へ空き帯域を貸与する仲介制御手段
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項9】
各通信事業者との間で締結した賃貸契約に基づいて当該通信事業者に課金する課金制御部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項10】
免許制により取得した無線周波数で複数通信が可能な移動通信ネットワークを複数の通信事業者で共同利用するための管理装置において、
前記複数の通信事業者の契約によりそれぞれ設定された無線帯域割り当てパターンを示す事業者帯域情報を検索可能に格納した第1テーブルと、
前記複数の通信事業者の現在の使用状況をそれぞれ示す事業者使用状況情報を検索可能に格納する事業者使用状況メモリと、
前記複数の通信事業者とそれぞれ契約している複数のユーザ端末のうち呼接続されているユーザ端末の現在の使用状況を示すユーザ使用状況情報を検索可能に格納するユーザ使用状況メモリと、
前記事業者帯域情報と、前記事業者使用状況情報と、前記ユーザ使用状況情報とに基づいて、前記複数の通信事業者のそれぞれの使用帯域幅を少なくとも各ユーザ端末の使用帯域幅単位で制御し、前記事業者使用状況情報および前記ユーザ使用状況情報を更新する制御手段と、
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項11】
前記制御手段は、
あるユーザ端末に関する呼接続要求が発生したとき、少なくとも前記複数の通信事業者の各々の契約により設定された無線帯域割り当てパターンを示す事業者帯域情報と前記複数の通信事業者の現在の使用状況を示す事業者使用状況情報とに基づいて、前記呼接続要求に対する呼受付および帯域確保を行う呼受付制御手段と、
前記呼接続要求に含まれる前記ユーザ端末のユーザサポート帯域情報と、前記対応する通信事業者ネットワークの前記呼接続要求に関する許可帯域情報と、前記複数の通信事業者の各々がサービス毎にサポートする予め定められた事業者サポート帯域情報とに共通に含まれる帯域幅から前記呼接続要求に対する帯域幅を決定する帯域幅決定手段と、
を有することを特徴とする請求項10に記載の管理装置。
【請求項12】
前記帯域幅決定手段は、
前記ユーザサポート帯域情報と、前記許可帯域情報と、前記事業者サポート帯域情報とに基づいて、少なくとも1つの選択可能な帯域幅リストを生成する帯域リスト生成手段と、
前記帯域幅リストから帯域幅の大きい順に選択し、選択された帯域幅が前記事業者使用状況情報から求められた空き帯域幅以下の時に前記選択された帯域幅を前記呼接続要求に対する帯域幅として決定する決定手段と、
を有することを特徴とする請求項11に記載の管理装置。
【請求項13】
前記制御手段は、
少なくとも前記事業者帯域情報と、前記事業者使用状況情報と、前記複数のユーザ端末のうち呼接続されているユーザ端末の現在の使用状況を示すユーザ使用状況情報とに基づいて、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を順次変更する帯域幅変更手段
を有することを特徴とする請求項10に記載の管理装置。
【請求項14】
前記制御手段は、
前記ユーザ使用状況情報から前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅の大きい順に順次ユーザ端末を選択し、選択されたユーザ端末に対応する前記帯域幅リストに従って、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように、前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を変更する帯域幅変更手段
をさらに有することを特徴とする請求項11に記載の管理装置。
【請求項15】
前記制御手段は、
前記呼接続要求に対する帯域確保ができない場合、前記事業者帯域情報と前記事業者使用状況情報とに基づいて、当該帯域幅不足の通信事業者と帯域幅余剰の通信事業者とを仲介し、前記帯域幅余剰の通信事業者から前記帯域幅不足の通信事業者へ空き帯域を貸与する仲介制御手段
を有することを特徴とする請求項10に記載の管理装置。
【請求項16】
前記制御手段は、
各通信事業者において契約により設定された無線帯域のうち予め定められた割合を超えて帯域が使用された場合、当該帯域幅不足の通信事業者と帯域幅余剰の通信事業者とを仲介し、前記帯域幅余剰の通信事業者から前記帯域幅不足の通信事業者へ空き帯域を貸与する仲介制御手段
を有することを特徴とする請求項10に記載の管理装置。
【請求項17】
前記制御手段は、
各通信事業者との間で締結した賃貸契約に基づいて当該通信事業者に課金する課金制御部をさらに有することを特徴とする請求項10に記載の管理装置。
【請求項18】
免許制により取得した無線周波数で複数通信が可能な移動通信ネットワークを複数の通信事業者で共同利用するための管理方法において、
前記複数の通信事業者の契約によりそれぞれ設定された無線帯域割り当てパターンを示す事業者帯域情報を検索可能に格納し、
前記複数の通信事業者の現在の使用状況をそれぞれ示す事業者使用状況情報を検索可能に格納し、
前記複数の通信事業者とそれぞれ契約している複数のユーザ端末のうち呼接続されているユーザ端末の現在の使用状況を示すユーザ使用状況情報を検索可能に格納し、
あるユーザ端末から呼接続要求が発生したとき、前記事業者帯域情報と前記事業者使用状況情報とに基づいて当該呼接続要求を収容可能な空き帯域幅が存在するか否かを判定し、
前記呼接続要求を収容可能な空き帯域幅が存在する場合には前記呼接続要求を当該ユーザ端末の通信事業者ネットワークへ転送し、
前記通信事業者ネットワークからの呼接続応答に基づいて前記呼接続要求に対する帯域幅を決定し、
決定された帯域幅に従って前記事業者使用状況情報および前記ユーザ使用状況情報を更新する、
ことを特徴とする管理方法。
【請求項19】
前記複数の通信事業者の各々がサービス毎にサポートする予め定められた帯域幅を示す事業者サポート帯域情報を検索可能に格納するステップをさらに有し、
前記呼接続要求に対する帯域幅は、前記呼接続要求に含まれる前記ユーザ端末のユーザサポート帯域情報と、前記通信事業者ネットワークからの呼接続応答に含まれる許可帯域情報と、前記事業者サポート帯域情報とに共通に含まれる帯域幅から決定される、ことを特徴とする請求項18に記載の管理方法。
【請求項20】
前記呼接続要求に対する帯域幅するステップは、
前記ユーザサポート帯域情報と、前記許可帯域情報と、前記事業者サポート帯域情報とに基づいて、少なくとも1つの選択可能な帯域幅リストを生成し、
前記帯域幅リストから大きい順に帯域幅を選択し、
選択された帯域幅が前記事業者使用状況情報から求められた空き帯域幅以下の時に前記選択された帯域幅を前記呼接続要求に対する帯域幅として決定する、
ことを特徴とする請求項19に記載の管理方法。
【請求項21】
さらに、
少なくとも前記事業者帯域情報と、前記事業者使用状況情報と、前記ユーザ使用状況情報とに基づいて、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を順次変更する、
ことを特徴とする請求項18に記載の管理方法。
【請求項22】
さらに、
前記ユーザ使用状況情報から前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅の大きい順に順次ユーザ端末を選択し、
選択されたユーザ端末に対応する前記帯域幅リストに従って、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように、前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を変更する、
ことを特徴とする請求項20に記載の管理方法。
【請求項23】
さらに、
前記呼接続要求に対する帯域確保ができない場合、前記事業者帯域情報と前記事業者使用状況情報とに基づいて、当該帯域幅不足の通信事業者と帯域幅余剰の通信事業者とを仲介し、前記帯域幅余剰の通信事業者から前記帯域幅不足の通信事業者へ空き帯域を貸与する
ことを特徴とする請求項18に記載の管理方法。
【請求項24】
さらに、
各通信事業者において契約により設定された無線帯域のうち予め定められた割合を超えて帯域が使用された場合、当該帯域幅不足の通信事業者と帯域幅余剰の通信事業者とを仲介し、前記帯域幅余剰の通信事業者から前記帯域幅不足の通信事業者へ空き帯域を貸与する
ことを特徴とする請求項18に記載の管理方法。
【請求項25】
さらに、
各通信事業者との間で締結した賃貸契約に基づいて当該通信事業者に課金する課金制御部をさらに有することを特徴とする請求項18に記載の管理方法。
【請求項26】
コンピュータに、免許制により取得した無線周波数で複数通信が可能な移動通信ネットワークを複数の通信事業者で共同利用するための管理を実行させるためのコンピュータプログラムにおいて、
前記複数の通信事業者の契約によりそれぞれ設定された無線帯域割り当てパターンを示す事業者帯域情報を検索可能に格納するステップと、
前記複数の通信事業者の現在の使用状況をそれぞれ示す事業者使用状況情報を検索可能に格納するステップと、
前記複数の通信事業者とそれぞれ契約している複数のユーザ端末のうち呼接続されているユーザ端末の現在の使用状況を示すユーザ使用状況情報を検索可能に格納するステップと、
あるユーザ端末から呼接続要求が発生したとき、前記事業者帯域情報と前記事業者使用状況情報とに基づいて当該呼接続要求を収容可能な空き帯域幅が存在するか否かを判定し、
前記呼接続要求を収容可能な空き帯域幅が存在する場合には前記呼接続要求を当該ユーザ端末の通信事業者ネットワークへ転送するステップと、
前記通信事業者ネットワークからの呼接続応答に基づいて前記呼接続要求に対する帯域幅を決定するステップと、
決定された帯域幅に従って前記事業者使用状況情報および前記ユーザ使用状況情報を更新するステップと、
を有することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項1】
免許制により取得した無線周波数で複数通信が可能な移動通信ネットワークシステムにおいて、
複数の通信事業者とそれぞれ契約している複数のユーザ端末と、
前記無線周波数で前記複数のユーザ端末の各々と通信可能な複数の無線基地局と、
前記複数の無線基地局を制御し、かつ、前記複数のユーザ端末をそれぞれ対応する通信事業者ネットワークに接続するための制御局と、
あるユーザ端末に関する呼接続要求が発生したとき、少なくとも前記複数の通信事業者の各々の契約により設定された無線帯域割り当てパターンを示す事業者帯域情報と前記複数の通信事業者の現在の使用状況を示す事業者使用状況情報とに基づいて前記呼接続要求に対する呼受付および帯域確保を行い、前記事業者使用状況情報を更新する呼受付制御手段と、
を有することを特徴とする無線回線共有型ネットワークシステム。
【請求項2】
前記呼受付制御手段は、さらに、前記ユーザ端末に対応する通信事業者ネットワークの前記呼接続要求に関する許可帯域情報を用いて確保された帯域幅を更新することを特徴とする請求項1に記載の無線回線共有型ネットワークシステム。
【請求項3】
前記呼接続要求に含まれる前記ユーザ端末のユーザサポート帯域情報と、前記対応する通信事業者ネットワークの前記呼接続要求に関する許可帯域情報と、前記複数の通信事業者の各々がサービス毎にサポートする予め定められた事業者サポート帯域情報とに共通に含まれる帯域幅から前記呼接続要求に対する帯域幅を決定する帯域幅決定手段
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の無線回線共有型ネットワークシステム。
【請求項4】
前記帯域幅決定手段は、
前記ユーザサポート帯域情報と、前記許可帯域情報と、前記事業者サポート帯域情報とに基づいて、少なくとも1つの選択可能な帯域幅リストを生成する帯域リスト生成手段と、
前記帯域幅リストから帯域幅の大きい順に選択し、選択された帯域幅が前記事業者使用状況情報から求められた空き帯域幅以下の時に前記選択された帯域幅を前記呼接続要求に対する帯域幅として決定する決定手段と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の無線回線共有型ネットワークシステム。
【請求項5】
少なくとも前記事業者帯域情報と、前記事業者使用状況情報と、前記複数のユーザ端末のうち呼接続されているユーザ端末の現在の使用状況を示すユーザ使用状況情報とに基づいて、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を順次変更する帯域幅変更手段
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の無線回線共有型ネットワークシステム。
【請求項6】
前記ユーザ使用状況情報から前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅の大きい順に順次ユーザ端末を選択し、選択されたユーザ端末に対応する前記帯域幅リストに従って、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように、前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を変更する帯域幅変更手段
をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の無線回線共有型ネットワークシステム。
【請求項7】
前記呼接続要求に対する帯域確保ができない場合、前記事業者帯域情報と前記事業者使用状況情報とに基づいて、当該帯域幅不足の通信事業者と帯域幅余剰の通信事業者とを仲介し、前記帯域幅余剰の通信事業者から前記帯域幅不足の通信事業者へ空き帯域を貸与する仲介制御手段
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項8】
各通信事業者において契約により設定された無線帯域のうち予め定められた割合を超えて帯域が使用された場合、当該帯域幅不足の通信事業者と帯域幅余剰の通信事業者とを仲介し、前記帯域幅余剰の通信事業者から前記帯域幅不足の通信事業者へ空き帯域を貸与する仲介制御手段
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項9】
各通信事業者との間で締結した賃貸契約に基づいて当該通信事業者に課金する課金制御部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項10】
免許制により取得した無線周波数で複数通信が可能な移動通信ネットワークを複数の通信事業者で共同利用するための管理装置において、
前記複数の通信事業者の契約によりそれぞれ設定された無線帯域割り当てパターンを示す事業者帯域情報を検索可能に格納した第1テーブルと、
前記複数の通信事業者の現在の使用状況をそれぞれ示す事業者使用状況情報を検索可能に格納する事業者使用状況メモリと、
前記複数の通信事業者とそれぞれ契約している複数のユーザ端末のうち呼接続されているユーザ端末の現在の使用状況を示すユーザ使用状況情報を検索可能に格納するユーザ使用状況メモリと、
前記事業者帯域情報と、前記事業者使用状況情報と、前記ユーザ使用状況情報とに基づいて、前記複数の通信事業者のそれぞれの使用帯域幅を少なくとも各ユーザ端末の使用帯域幅単位で制御し、前記事業者使用状況情報および前記ユーザ使用状況情報を更新する制御手段と、
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項11】
前記制御手段は、
あるユーザ端末に関する呼接続要求が発生したとき、少なくとも前記複数の通信事業者の各々の契約により設定された無線帯域割り当てパターンを示す事業者帯域情報と前記複数の通信事業者の現在の使用状況を示す事業者使用状況情報とに基づいて、前記呼接続要求に対する呼受付および帯域確保を行う呼受付制御手段と、
前記呼接続要求に含まれる前記ユーザ端末のユーザサポート帯域情報と、前記対応する通信事業者ネットワークの前記呼接続要求に関する許可帯域情報と、前記複数の通信事業者の各々がサービス毎にサポートする予め定められた事業者サポート帯域情報とに共通に含まれる帯域幅から前記呼接続要求に対する帯域幅を決定する帯域幅決定手段と、
を有することを特徴とする請求項10に記載の管理装置。
【請求項12】
前記帯域幅決定手段は、
前記ユーザサポート帯域情報と、前記許可帯域情報と、前記事業者サポート帯域情報とに基づいて、少なくとも1つの選択可能な帯域幅リストを生成する帯域リスト生成手段と、
前記帯域幅リストから帯域幅の大きい順に選択し、選択された帯域幅が前記事業者使用状況情報から求められた空き帯域幅以下の時に前記選択された帯域幅を前記呼接続要求に対する帯域幅として決定する決定手段と、
を有することを特徴とする請求項11に記載の管理装置。
【請求項13】
前記制御手段は、
少なくとも前記事業者帯域情報と、前記事業者使用状況情報と、前記複数のユーザ端末のうち呼接続されているユーザ端末の現在の使用状況を示すユーザ使用状況情報とに基づいて、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を順次変更する帯域幅変更手段
を有することを特徴とする請求項10に記載の管理装置。
【請求項14】
前記制御手段は、
前記ユーザ使用状況情報から前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅の大きい順に順次ユーザ端末を選択し、選択されたユーザ端末に対応する前記帯域幅リストに従って、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように、前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を変更する帯域幅変更手段
をさらに有することを特徴とする請求項11に記載の管理装置。
【請求項15】
前記制御手段は、
前記呼接続要求に対する帯域確保ができない場合、前記事業者帯域情報と前記事業者使用状況情報とに基づいて、当該帯域幅不足の通信事業者と帯域幅余剰の通信事業者とを仲介し、前記帯域幅余剰の通信事業者から前記帯域幅不足の通信事業者へ空き帯域を貸与する仲介制御手段
を有することを特徴とする請求項10に記載の管理装置。
【請求項16】
前記制御手段は、
各通信事業者において契約により設定された無線帯域のうち予め定められた割合を超えて帯域が使用された場合、当該帯域幅不足の通信事業者と帯域幅余剰の通信事業者とを仲介し、前記帯域幅余剰の通信事業者から前記帯域幅不足の通信事業者へ空き帯域を貸与する仲介制御手段
を有することを特徴とする請求項10に記載の管理装置。
【請求項17】
前記制御手段は、
各通信事業者との間で締結した賃貸契約に基づいて当該通信事業者に課金する課金制御部をさらに有することを特徴とする請求項10に記載の管理装置。
【請求項18】
免許制により取得した無線周波数で複数通信が可能な移動通信ネットワークを複数の通信事業者で共同利用するための管理方法において、
前記複数の通信事業者の契約によりそれぞれ設定された無線帯域割り当てパターンを示す事業者帯域情報を検索可能に格納し、
前記複数の通信事業者の現在の使用状況をそれぞれ示す事業者使用状況情報を検索可能に格納し、
前記複数の通信事業者とそれぞれ契約している複数のユーザ端末のうち呼接続されているユーザ端末の現在の使用状況を示すユーザ使用状況情報を検索可能に格納し、
あるユーザ端末から呼接続要求が発生したとき、前記事業者帯域情報と前記事業者使用状況情報とに基づいて当該呼接続要求を収容可能な空き帯域幅が存在するか否かを判定し、
前記呼接続要求を収容可能な空き帯域幅が存在する場合には前記呼接続要求を当該ユーザ端末の通信事業者ネットワークへ転送し、
前記通信事業者ネットワークからの呼接続応答に基づいて前記呼接続要求に対する帯域幅を決定し、
決定された帯域幅に従って前記事業者使用状況情報および前記ユーザ使用状況情報を更新する、
ことを特徴とする管理方法。
【請求項19】
前記複数の通信事業者の各々がサービス毎にサポートする予め定められた帯域幅を示す事業者サポート帯域情報を検索可能に格納するステップをさらに有し、
前記呼接続要求に対する帯域幅は、前記呼接続要求に含まれる前記ユーザ端末のユーザサポート帯域情報と、前記通信事業者ネットワークからの呼接続応答に含まれる許可帯域情報と、前記事業者サポート帯域情報とに共通に含まれる帯域幅から決定される、ことを特徴とする請求項18に記載の管理方法。
【請求項20】
前記呼接続要求に対する帯域幅するステップは、
前記ユーザサポート帯域情報と、前記許可帯域情報と、前記事業者サポート帯域情報とに基づいて、少なくとも1つの選択可能な帯域幅リストを生成し、
前記帯域幅リストから大きい順に帯域幅を選択し、
選択された帯域幅が前記事業者使用状況情報から求められた空き帯域幅以下の時に前記選択された帯域幅を前記呼接続要求に対する帯域幅として決定する、
ことを特徴とする請求項19に記載の管理方法。
【請求項21】
さらに、
少なくとも前記事業者帯域情報と、前記事業者使用状況情報と、前記ユーザ使用状況情報とに基づいて、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を順次変更する、
ことを特徴とする請求項18に記載の管理方法。
【請求項22】
さらに、
前記ユーザ使用状況情報から前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅の大きい順に順次ユーザ端末を選択し、
選択されたユーザ端末に対応する前記帯域幅リストに従って、前記複数の通信事業者の各々の使用帯域幅が予め定められた範囲になるように、前記呼接続されているユーザ端末に割り当てられた帯域幅を変更する、
ことを特徴とする請求項20に記載の管理方法。
【請求項23】
さらに、
前記呼接続要求に対する帯域確保ができない場合、前記事業者帯域情報と前記事業者使用状況情報とに基づいて、当該帯域幅不足の通信事業者と帯域幅余剰の通信事業者とを仲介し、前記帯域幅余剰の通信事業者から前記帯域幅不足の通信事業者へ空き帯域を貸与する
ことを特徴とする請求項18に記載の管理方法。
【請求項24】
さらに、
各通信事業者において契約により設定された無線帯域のうち予め定められた割合を超えて帯域が使用された場合、当該帯域幅不足の通信事業者と帯域幅余剰の通信事業者とを仲介し、前記帯域幅余剰の通信事業者から前記帯域幅不足の通信事業者へ空き帯域を貸与する
ことを特徴とする請求項18に記載の管理方法。
【請求項25】
さらに、
各通信事業者との間で締結した賃貸契約に基づいて当該通信事業者に課金する課金制御部をさらに有することを特徴とする請求項18に記載の管理方法。
【請求項26】
コンピュータに、免許制により取得した無線周波数で複数通信が可能な移動通信ネットワークを複数の通信事業者で共同利用するための管理を実行させるためのコンピュータプログラムにおいて、
前記複数の通信事業者の契約によりそれぞれ設定された無線帯域割り当てパターンを示す事業者帯域情報を検索可能に格納するステップと、
前記複数の通信事業者の現在の使用状況をそれぞれ示す事業者使用状況情報を検索可能に格納するステップと、
前記複数の通信事業者とそれぞれ契約している複数のユーザ端末のうち呼接続されているユーザ端末の現在の使用状況を示すユーザ使用状況情報を検索可能に格納するステップと、
あるユーザ端末から呼接続要求が発生したとき、前記事業者帯域情報と前記事業者使用状況情報とに基づいて当該呼接続要求を収容可能な空き帯域幅が存在するか否かを判定し、
前記呼接続要求を収容可能な空き帯域幅が存在する場合には前記呼接続要求を当該ユーザ端末の通信事業者ネットワークへ転送するステップと、
前記通信事業者ネットワークからの呼接続応答に基づいて前記呼接続要求に対する帯域幅を決定するステップと、
決定された帯域幅に従って前記事業者使用状況情報および前記ユーザ使用状況情報を更新するステップと、
を有することを特徴とするコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【国際公開番号】WO2005/039211
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【発行日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514858(P2005−514858)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015602
【国際出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【発行日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2004/015602
【国際出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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