説明

無線携帯端末、通信状況予測方法およびプログラム

【課題】進行先の通信状況の予測を行う上で、無線携帯端末における処理の負担を軽減する。
【解決手段】無線携帯端末1は、既設の路線上を移動する移動体の進行先における通信状況を予測する通信状況予測手段10と、この通信状況予測手段10により予測した通信状況を無線携帯端末1のユーザに通知する通知手段20とを有し、前記通信状況予測手段10は、前記路線上に存在する各通信エリアを特定する情報と各通信エリアにおける通信状況とを対応付けて記憶した記憶手段181と、前記進行先に位置する通信エリアを特定する進行先通信エリア特定手段191と、この進行先通信エリア特定手段191により特定された前記通信エリアの通信状況を前記記憶手段181から取得し、前記移動体の進行先における通信状況とする予測手段192とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線携帯端末に関し、特に、既設の路線上を移動する移動体において通信を行う無線携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、i−mode(登録商標)やインターネット接続等のデータ通信(以下、「ブラウザ接続」という。)を行うことができる無線携帯端末として、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistance)やノートパソコンなどの無線携帯端末の普及に伴い、その操作をユーザにとってより快適にする方法が多く提案されている。
【0003】
その1つに、トンネルや山間部などの通信状況の悪い場所を移動する自動車において、進行先の無線通信状況を予測する発明がある(特許文献1)。
【0004】
この発明は、各位置の無線通信状況を示す通信状況データおよび検出した自動車の現在位置から所定時間後の位置を推定した推定位置に基づいて、推定位置における無線通信状況を予測するものである。事前に進行先の通信状況を予測することで、例えば、通話を自動的に切る等、ユーザが煩わしく感じる処理の負担を軽減することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2004−228851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した発明は、移動体として自動車を前提としているため、進行先の通信状況の予測においては、移動速度、移動方向、一般道や高速道路等の走行路またはその走行路の混雑状況等、進行先における通信状況を確定するための要素が多くなり、条件分岐が多くなる。
【0007】
そこで本発明は、進行先の通信状況の予測を行う上で、無線携帯端末における処理の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明にかかる無線携帯端末は、既設の路線上を移動する移動体の進行先における通信状況を予測する通信状況予測手段と、この通信状況予測手段により予測した通信状況を無線携帯端末のユーザに通知する通知手段とを有し、前記通信状況予測手段は、前記路線上に存在する各通信エリアを特定する情報と各通信エリアにおける通信状況とを対応付けて記憶した記憶手段と、前記進行先に位置する通信エリアを特定する進行先通信エリア特定手段と、この進行先通信エリア特定手段により特定された前記通信エリアの通信状況を前記記憶手段から取得し、前記移動体の進行先における通信状況とする予測手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
ここで、前記進行先通信エリア特定手段は、複数の無線基地局の情報から進行方向を特定してもよい。また、前記記憶手段は、各通信エリアの電界強度を記憶してもよい。また、前記通知手段は、予測された前記通信状況を表示する表示手段を有してもよい。また、さらに、GPS(Global Positioning System)受信機を備え、GPS受信機と、このGPS受信機により取得した現在位置が前記路線上か否かを判定し、その判定結果に基づいて前記通信状況予測手段の動作を制御する動作制御手段を備えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、進行先の通信状況を記憶した記憶手段を設けることで、移動体の進行先における通信状況を特定するための条件分岐を激減させることができる。その結果、予測における処理の負担が激減するため、無線携帯端末に対する負荷が低くなり、無線携帯端末の利便性に対する影響を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態にかかる無線携帯端末について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる無線携帯端末の構成を示す機能ブロック図である。
図1が示すように、無線携帯端末1は、既設の路線上を移動する移動体の進行先における通信状況を予測する通信状況予測部10と、通信状況予測部10が予測した通信状況を前記無線携帯端末のユーザに通知する通知部20と、GPSアンテナ130とGPS通信部140と入力部150とを備える。
通信状況予測部10は、無線アンテナ110と無線部120と記憶部180と制御部190とから構成されている。通知部20は、表示部160とスピーカ170と記憶部180と制御部190とから構成され、さらにスピーカ170も有している。
なお、路線や駅の緯度経度および地図情報等は、無線携帯端末1に予め記憶されているものとする。
【0012】
ここで、無線アンテナ110は、無線通信におけるデータの送受信に用いるアンテナである。無線部120は、無線アンテナ110を介して無線通信におけるデータの送受信を行う手段である。GPSアンテナ130は、GPS情報の送受信に用いるアンテナである。GPS通信部140、本発明におけるGPS受信機に相当し、GPSアンテナ130を介してGPS情報の送受信を行う手段である。入力部150は、例えば、ボタン等の入力手段である。表示部160は、例えば、ディスプレイ等の表示手段である。スピーカ170は、外部に音声を出力する出力手段である。
【0013】
記憶部180は、無線携帯端末1の各種動作を実現するプログラムや各種データが記憶されたメモリである。記憶部180には、さらに、通信状況予測部10として、後述する通信状況DB(Data Base)181および履歴DB182が設けられている。
【0014】
制御部190には、さらに、通信状況予測部10として進行先通信エリア特定制御部191と予測制御部192と、動作制御部193と、通知部20として通知制御部194とがそれぞれ設けられている。
【0015】
進行先通信エリア特定制御部191は、本発明における進行先通信エリア特定手段に相当し、履歴DB182の通過エリアと通過中エリアおよび通信状況DB181の区分IDに基づいて、進行先に位置する通信エリアを特定する。
【0016】
予測制御部192は、本発明における予測手段に相当し、進行先通信エリア特定制御部191により特定された通信エリアの通信状況を通信状況DB181から取得し、移動体の進行先における通信状況とする。
【0017】
動作制御部193は、GPS通信部140により取得した現在位置が路線上か否かを判定し、通信状況予測部10の動作を制御する。
【0018】
通知制御部194は、この通信状況予測部10により予測した通信状況を無線携帯端末のユーザに通知する。
【0019】
制御部190は、CPU(Central Processing Unit)と主記憶装置などを備え、記憶部180のプログラムを読み込んで実行することにより、プログラムと上記ハードウェアとが協働して、記憶部180とともに通信状況予測部10を構成する進行先通信エリア特定制御部191および予測制御部192と、動作制御部193と、表示部160、スピーカ170とともに通知部20を構成する通知制御部194として機能する。
なお、各部を他のコンピュータ機器に分散させ、いわゆるシステム化して、上述した機能を実現させるようにしてもよい。
【0020】
次に、記憶部180に記憶される通信状況DB181と履歴DB182について詳述する。
通信状況DB181は、本発明における記憶手段に相当し、路線上に存在する各通信エリアを特定する情報、例えば、無線基地局の識別子であるエリア名と、各通信エリアにおける通信状況とを対応付けて記憶したデータベースである。
図2は、通信状況DB181のデータ構造の一例を示す図である。
図2が示すように、通信状況DB181は、エリア名と区分IDと通信状況とを対応付けた構成となっている。
エリア名は、無線基地局から出力される通信エリア情報に含まれる、無線基地局の識別子である。
【0021】
区分IDは、路線上における通信エリアの位置関係を表すデータである。ここでは、この区分IDを路線に沿って数字を割り当てたもの、つまり路線に沿った並び順を数字の並び順で表現したものとする。例えば、エリア名“エリアA”、“エリアB”、“エリアC”の区分IDは、それぞれ“1”、“2”、“3”なので、“エリアA”“エリアB”“エリアC”が路線に沿ったものとなる。さらに、この区分IDの数字は、値が大きいほど東京駅方向、いわゆる上り方向を示すものとする。例えば、エリア名“エリアA”、“エリアB”の区分IDはそれぞれ“1”、“2”であり、“1”より“2”の方が大きいので、“エリアB”は“エリアA”より上り方向にあることがわかる。
【0022】
通信状況は、通信エリアの電界強度に応じたレベルである。
ここでは、このレベルを“レベル1”、“レベル2”、“レベル3”を用いて表す。
“レベル1”は、通信が不可能になる可能性が高いことを示している。“レベル2”は、通信は可能だが通信BUSY状態になる可能性が高いことを示している。“レベル3”は、電界レベルが良好であることを示している。
この電界強度に応じたレベルを用いることで、通信状況予測部10は、進行先の通信状況を無線通信の可否だけでなく、より詳細な通信状況を予測することができる。
【0023】
次に、この電界強度に応じたレベルについては、図3を例に説明する。
図3は、浜松駅−静岡駅間の通信状況の一例を示す図である。
エリア名であるエリアAからエリアKは、それぞれ無線基地局によって送出される電界到達範囲を表している。この電界到達範囲は、エリアの中心ほど電界強度が強く、逆にエリアの外側ほど電界強度が弱くなっている。例えば、エリアBと路線の位置関係からこの路線部分は、電界強度が弱く、無線通信の受信状態が悪い弱電界エリアであることがわかる。また、エリアDとエリアEとの間の路線は、どちらのエリアにも含まれていないことから、無線通信の受信状態が不能である圏外エリアであることがわかる。さらに、エリアIには二つのトンネルがあり、このトンネル内部は、圏外エリアである
【0024】
各通信エリアにおける通信状態は、例えば、上り方向に進行中の新幹線がエリアA付近を走っている場合、間もなく弱電界エリア(エリアB)に到達するため、短時間で通信BUSY状態となることが予想される。同じくエリアD付近を走っている場合は圏外エリアへの到達、エリアH付近を走っている場合はトンネル地帯への到達による通信不可能状態が予想される。またエリアE〜エリアG付近を走っている場合は、電界強度が良好な通信エリアを継続して走行するので通信状態が良くなることが予想される。
このように予想された通信状態を上述したレベルに当てはめることで、各通信エリアにおける通信状況を電界強度に応じたレベルで表すことができる。
【0025】
また、図3に示すように、通信状況DB181は、さらに、通信エリア内の通信状況の遮蔽原因等を示す遮蔽物も含めて記憶してもよい。例えば、エリアIには、圏外エリアとなるトンネルが2つあることを示している。また、エリアDおよびE間には圏外エリアの区間があることを示している。また、エリアBには、路線上から遠く離れた無線基地局が設置されていることを示している。
【0026】
履歴DB182は、無線携帯端末1における位置の履歴を記憶したデータベースである。
図4は、履歴DB182のデータ構造の一例を示す図である。
履歴DB182は、無線携帯端末1が通過した通信エリアである「通過エリア」と無線携帯端末1が現在通過中の通信エリアである「通過中エリア」とから構成されている。
図4に示す例では、無線携帯端末1は、通過エリア“エリアB”を通過し、現時は通過中エリア“エリアC”に位置していることがわかる。
【0027】
上述した2つのデータベースは、図2、3が示すようなレコードが新規・変更・削除・読み取り等ができるものであればよく、例えば市販されたデータベースソフト、CSV(Comma Separated Values)またはXML(eXtensible Markup Language)等を用いて作成してもよいし、例えば、通信状況DB181の場合、電界強度や遮蔽物をコード化し、エリア名および区分IDごとにこのコードを割り付けて管理する等、いわゆる正規化したものでもよい。
【0028】
次に、無線携帯端末1における通信状況予測部10の動作について図面を参照しながら説明する。
図5は、通信状況予測部10の動作手順の一例を示すフローチャートである。
履歴DB182に記憶された通過中エリアが何も記憶されていない場合、進行先通信エリア特定制御部191は、無線部120を介して、現在位置における通信エリアの無線基地局から出力された通信エリア情報を取得し(S101)、取得した通信エリア情報に含まれるエリア名を履歴DB182の通過中エリアに記憶させる(S102)。
【0029】
次に、進行先通信エリア特定制御部191は、無線部120を介して、現在位置における通信エリアの無線基地局から出力された通信エリア情報を取得し(S103)、取得した通信エリア情報に含まれるエリア名と履歴DB182に記憶された通過中エリアとが一致しているか否かを確認する(S104)。
取得したエリア名と通過中エリアが一致していない場合、進行先通信エリア特定制御部191は、現在位置の通信エリアと隣接する他の通信エリアに移動したと判断し(S104:YES)、取得したエリア名と通過中エリアをそれぞれ通過中エリアと通過エリアとして新たに履歴DB182に記憶させる(S105)。この履歴DB182の更新過程を図6を用いて説明する。
【0030】
図6は、履歴DB182の更新過程を示す図である。
進行先通信エリア特定制御部191は、更新前の履歴DB182(a)の通過中エリアと取得したエリア名(c)とが一致しているか否かを確認する。ここでは、通過中エリアは“エリアC”、取得したエリア名は“エリアD”となり、取得したエリア名と通過中エリアが一致しないので、取得したエリア名“エリアD”と通過中エリア“エリアC”をそれぞれ新たな通過中エリアと通過エリアとして記憶させる。その結果、変更後の履歴DB182(b)の通過中エリアと通過エリアは、それぞれ“エリアD”と“エリアC”となる。
【0031】
進行先通信エリア特定制御部191は、履歴DB182および通信状況DB181に基づいて、進行先のエリア名を特定する(S106)。
図2および4を用いて具体的に説明すると、進行先通信エリア特定制御部191は、通信状況DB181から履歴DB182の通過エリア“エリアB”における区分ID“2”および通過中エリア“エリアC”における区分ID“3”をそれぞれ取得し、現在位置の通信エリアと隣接する進行先の通信エリアの区分IDが“4”であることがわかる。
したがって、進行先通信エリア特定制御部191は、区分IDが“4”であるエリア名“エリアD”が識別する通信エリアが隣接する進行先の通信エリアである、と特定する。
さらに、進行先通信エリア特定制御部191は、通過エリアの区分ID“2”より通過中エリアの区分ID“3”の方が値が大きいので、上り方向に向かっていることも特定できる。
【0032】
進行先通信エリア特定制御部191が特定した通信エリアは、“エリアD”が識別する通信エリアであるので、予測制御部192は、通信状況DB181から“エリアD”と対応付けられた通信状況“レベル3”を取得し(S107)、取得した通信状況“レベル3”を進行先の通信状況とする(S108)。
【0033】
以降、通信状況予測部10は、上述した動作手順を繰り返すことで、無線携帯端末1が移動しても、現在位置の通信エリアと隣接する他の通信エリアの通信状況を予測することができる。
なお、ここでは、現在位置の通信エリアと隣接する1つ先の進行先における通信状況を予測したが、2つ以上先の進行先における通信状況も予測してもよい。また、進行先における複数の通信エリアに対する通信状況の予測を行ってもよい。
【0034】
次に、通知部20がユーザに進行先の通信状況を通知する動作について図面を参照しながら説明する。
通知制御部194は、例えば、表示部160に表示したり、スピーカ170を用いて案内する等の方法で、通信状況予測部10が予測した進行先の通信状況をユーザに通知する。
図7は、進行先の通信状況を表示部160に表示した一例を示す図である。
図7が示すように、表示部160は、ブラウザ通信を表示するブラウザ表示部161と現在の通信状況を表示する現在通信状況表示部162と進行先の通信状況を表示する進行先通信状況表示部163とから構成されている。
進行先通信状況表示部163には、“レベル3”とアイコン表示されている。ユーザはこの進行先通信状況表示部163をみて、進行先の通信状況は、“レベル3”であると認識することができる。
なお、ここでは、“レベル1”、“レベル2”または“レベル3”のアイコンを用いて通信状況を示したが、例えば、「強、中、弱」や携帯電話で用いられているアンテナを模したアイコン等でもよい。
【0035】
また、履歴DB182の通過予定エリアが確定しない場合、通知制御部194は、通過中エリアの電界強度を履歴DB182から取得し、現在位置の通信エリア情報を表示部160に表示させてもよい。または、現在位置から上り下り両方の進行先を表示部160に通知してもよい。
また、さらに、例えば予め時刻と新幹線の位置とを記憶しておくことで、進行先の通信状況までの時間等の付加情報を通知してもよい。
また、1つ先の進行先における通信状況を表示したが、区分IDを用いて複数先の進行先における通信状況も併せて通知してもよい。
また、例えば、“上り”や“下り”等の移動体の進行方向や移動体の路線図等、通信状況以外の情報と併せて通知してもよい。
【0036】
以上のように、本実施の形態にかかる無線携帯端末1によれば、進行先の通信状況を記憶した記憶手段に相当する通信状況DB181を効率よく用いてることで、移動体の進行先における通信状況を特定するための条件分岐を激減させることができる。その結果、予測における処理の負担が激減するため、無線携帯端末1に対する負荷が低くなり、無線携帯端末1の利便性に対する影響を抑えることができる。
【0037】
次に、通信状況予測部10の動作を開始させる制御および終了させる制御を行う動作制御部193について説明する。
なお、ここでは、通信状況予測部10が動作している状態を「新幹線モード」、通信状況予測部10が動作していない状態を「通常モード」として説明する。
【0038】
「新幹線モード」とする手順は、現在「通常モード」の場合、ユーザによる入力部150の押下によって、動作制御部193が無線携帯端末1を「新幹線モード」にする。また、「通常モード」とする手順は、現在「新幹線モード」の場合、ユーザによる入力部150の押下によって、動作制御部193が無線携帯端末1を「通常モード」とする。
ここでは、さらに、「新幹線モード」と「通常モード」とを切り替えるユーザの操作負担をより軽減する、GPSを用いた自動切替動作手順について説明する。
【0039】
図8は、動作制御部193の動作手順の一例を示すフローチャートである。
動作制御部193は、定期的にGPS通信部140を介して、無線携帯端末1の現在位置を取得する(S201)。動作制御部193は、取得した現在位置及び通信状況DB181に基づいて、無線携帯端末1の現在位置が所定の判定領域にあるか否かによって無線携帯端末1が路線上にあるかを判定する(S202)。この判定領域を、例えば、予め記憶しておいた駅の緯度経度情報を中心に所定の半径で作成された円やこの円の外接四角形等で構成される図形の内部領域とすることで、動作制御部193は、無線携帯端末1の現在位置が路線上の駅にいることを判定することができる。また、判定領域を路線上の任意の2駅間のそれぞれの緯度経度情報(点と点)を結び、この結んだ直線に所定の幅を持たせてできた長方形やこの直線を直径とする円等で構成される図形の内部領域を判定領域とすることで、動作制御部193は、無線携帯端末1が駅以外の路線上にある場合でも、無線携帯端末1の現在位置を路線上にあるかどうか判定することができる。
【0040】
動作制御部193は、無線携帯端末1の現在位置が路線上にあると判定する(S202:YES)と、無線携帯端末1を「新幹線モード」にする(S203)。一方、動作制御部193は、無線携帯端末1の現在位置が路線上にないと判定する(S202:NO)と、無線携帯端末1を「通常モード」にする(S204)。
以上のように、高い精度の位置検出が可能なGPS通信部140を用いることで、無線携帯端末1の現在位置が路線上にあるか否かに応じて、ユーザ操作なしに通信状況予測部10の動作を制御することができる。
よって、ユーザは、煩わしい「新幹線モード」と「通常モード」とを切り替える処理を行わなくてすむ。
【0041】
なお、上述した実施の形態では、無線基地局が出力する通信エリア情報が切り替わったことで無線携帯端末1の移動を判断するものとするが、既設の路線上を移動する移動体の場合、移動体の現在位置と時刻の関係はある程度定まることを利用し、予めこの関係を無線携帯端末1に記憶させておくことで、時刻から無線携帯端末1が移動しているかを判断してもよい。また、既設の路線上を移動する移動体として、例えば走行する方向が絞られる道路(高速道路など)を走行する車、ローカル電車、路面電車、トローリーバスまたはモノレール等としてもよい。
【0042】
また、通知制御部194は、表示部160に通信状況を表示すとしたが、スピーカ170を用いて通信状況を音声通知するようにしてもよい。また、無線携帯端末1に通信状況を無線携帯端末1の振動で通知するバイブレーション機能を設け、通知制御部194は、このバイブレーション機能を用いてユーザに通知してもよい。
また、通知制御部194は、表示部160への表示、スピーカ170からの音声通知、またはバイブレーション機能を組み合わせてもよい。
また、GPS通信部140は、無線携帯端末1で現在位置を計算して無線携帯端末1の現在位置を得る方式でも無線基地局など無線携帯端末1以外の装置により無線携帯端末1の現在位置を計算し、その結果を受信して無線携帯端末1の現在位置を得る方式でもよい。
【0043】
また、図5のS101およびS103において通信エリア情報を取得したが、この際に取得した通信エリア情報のエリア名および電界強度を反映させるように通信状況DB181を自動的に更新するようにしてもよい。こうすることで、通信状況DB181は、通信状況予測部10を利用するたびに最新の通信状況に更新される。
また、上述した通信状況は、電界強度に応じたレベルとして説明したが、無線基地局から受信した電界強度としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態にかかる無線携帯端末の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】通信状況DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図3】浜松駅−静岡駅間の通信状況の一例を示す図である。
【図4】履歴DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図5】通信状況予測部の動作手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】履歴DBの更新過程を示す図である。
【図7】進行先の通信状況を表示部に表示した一例を示す図である。
【図8】GPSを用いた動作制御部の動作手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
1…無線携帯端末、10…通信状況予測部、20…通知部、110…無線アンテナ、120…無線部、130…GPSアンテナ、140…GPS通信部、150…入力部、160…表示部、161…ブラウザ表示部、162…現在通信状況表示部、163…進行先通信状況表示部、170…スピーカ、180…記憶部、181…通信状況DB、182…履歴DB、190…制御部、191…進行先通信エリア特定制御部、192…予測制御部、193…動作制御部、194…通知制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の路線上を移動する移動体の進行先における通信状況を予測する通信状況予測手段と、
この通信状況予測手段により予測した通信状況を無線携帯端末のユーザに通知する通知手段とを有し、
前記通信状況予測手段は、
前記路線上に存在する各通信エリアを特定する情報と各通信エリアにおける通信状況とを対応付けて記憶した記憶手段と、
前記進行先に位置する通信エリアを特定する進行先通信エリア特定手段と、
この進行先通信エリア特定手段により特定された前記通信エリアの通信状況を前記記憶手段から取得し、前記移動体の進行先における通信状況とする予測手段とを備える
ことを特徴とする無線携帯端末。
【請求項2】
請求項1に記載された無線携帯端末において、
前記進行先通信エリア特定手段は、複数の無線基地局の情報から進行方向を特定する
ことを特徴とする無線携帯端末。
【請求項3】
請求項1または2に記載された無線携帯端末において、
前記記憶手段は、各通信エリアの電界強度を記憶している
ことを特徴とする無線携帯端末。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載された無線携帯端末において、
前記通知手段は、予測された前記通信状況を表示する表示手段を有する
ことを特徴とする無線携帯端末。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載された無線携帯端末において、さらに、
GPS受信機と、
このGPS受信機により取得した現在位置が前記路線上か否かを判定し、その判定結果に基づいて前記通信状況予測手段の動作を制御する動作制御手段
を備えることを特徴とする無線携帯端末。
【請求項6】
既設の路線上を移動する移動体の進行先における通信状況を予測する通信状況予測ステップと、
この通信状況予測手段により予測した通信状況をユーザに通知する通知ステップとを有し、
前記通信状況予測ステップは、
前記進行先に位置する通信エリアを特定する進行先通信エリア特定ステップと、
この進行先通信エリア特定手段により特定された前記通信エリアの通信状況を、前記路線上に存在する各通信エリアを特定する情報と各通信エリアにおける通信状況とを対応付けて記憶した記憶手段から取得し、前記移動体の進行先における通信状況とする予測ステップとを備える
ことを特徴とする通信状況予測方法。
【請求項7】
コンピュータに、
既設の路線上を移動する移動体の進行先における通信状況を予測する通信状況予測ステップと、
この通信状況予測手段により予測した通信状況をユーザに通知する通知ステップとを実行させ、
前記通信状況予測ステップは、
前記進行先に位置する通信エリアを特定する進行先通信エリア特定ステップと、
この進行先通信エリア特定手段により特定された前記通信エリアの通信状況を、前記路線上に存在する各通信エリアを特定する情報と各通信エリアにおける通信状況とを対応付けて記憶した記憶手段から取得し、前記移動体の進行先における通信状況とする予測ステップとを有する
ことを特徴とする通信状況予測プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−194692(P2007−194692A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8375(P2006−8375)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】