説明

無線機器

【課題】2つの無線機器間のセキュアな通信を、他の無線機器からの信号衝突を発生させることなく行う。
【解決手段】本発明の無線機器は、近距離の通信範囲を有する第1の近傍界アンテナと、前記近距離の通信範囲より広い遠距離の通信範囲を有する第1の遠方界アンテナと、前記第1の近傍界アンテナにより相手機器に接続要求信号を送信する要求送信手段と、前記相手機器の遠方界アンテナから送信される接続応答信号を前記第1の遠方界アンテナまたは前記第1の近傍界アンテナにより受信する応答受信手段と、前記第1の近傍界アンテナを用いて相手機器と無線通信を行う無線通信手段と、相手機器の近傍界アンテナから送信される前記接続要求信号を前記第1の近傍界アンテナまたは前記第1の遠方界アンテナにより受信する要求受信手段と、前記要求受信手段で受信された前記接続要求信号に基づき前記接続応答信号を前記第1の遠方界アンテナにより送信する応答送信手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば送信電波の到達範囲を制御することで、無線通信におけるセキュリティーを確保する無線機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線携帯機器(以下無線機器)の一般的な認証では、予め設定されたID、パスワード等のデータを入力する必要がある。認証時の処理を簡素化するために、認証情報のやり取り時に、送信電力を制御して通信範囲を狭め、所望の無線機器間で認証情報等の必要な信号を送受信し、認証情報のやり取り終了後に送信電力を増加してデータ通信を行う方法が知られている (例えば、特許文献1,2参照)。このように通信範囲を狭めて無線機器間で送受信を行う場合、第3者の無線機器が、これらの無線機器間で送受信中であることを知らずに通信を開始してしまい、これにより信号が衝突する問題がある。しかしながら、上記の特許文献1,2では、この問題に関しての解決手段は提示されていない。
【0003】
一方、例えば通信範囲が遠くて数10cm程度といった、そもそもの通信範囲が狭いシステムを想定すると、送信電力制御のみでは、所望の無線機器以外のいわゆる第3者の無線機器に信号が漏れる可能性が高い。それに対し、数cmといった至近距離での非接触データ通信システムを想定し、静電界や誘導電界を利用したセキュアな通信方法についての提案がされている(例えば特許文献3参照)。一般に無線通信の多くはアンテナに電流を流した際に発生する放射電界を利用して信号伝搬を行っているのに対し、上記システムでは距離の2乗、3乗に反比例する誘導電界や静電界を利用するため、通信相手が至近距離に存在する場合のみ結合関係を生じ、したがってセキュアな通信が可能となる。ただし、この場合、通信中はタッチ状態といった、いわゆる至近距離を維持する必要がある。このような至近距離の通信を行う場合も、第3の無線機器はこの至近距離の通信が行われていることを知らずに信号を送信してしまうと、信号衝突が発生し、無線機器間の通信が阻害されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第366293号
【特許文献2】特開2005-323149号公報
【特許文献3】特開2008-182714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、2つの無線機器間のセキュアな通信を、他の無線機器からの信号衝突を発生させることなく行うことを可能とした無線機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様としての無線機器は、
近距離の通信範囲を有する近傍界アンテナと、前記近距離の通信範囲より広い遠距離の通信範囲を有する遠方界アンテナとを有する相手機器と無線通信する無線機器であって、
前記近距離の通信範囲を有する第1の近傍界アンテナと、
前記近距離の通信範囲より広い遠距離の通信範囲を有する第1の遠方界アンテナと、
前記第1の近傍界アンテナにより前記相手機器に接続要求信号を送信する要求送信手段と、
前記相手機器の前記遠方界アンテナから送信される接続応答信号を前記第1の遠方界アンテナまたは前記第1の近傍界アンテナにより受信する応答受信手段と、
前記接続応答信号の受信に応じて、前記第1の近傍界アンテナを用いて前記相手機器と無線通信を行う無線通信手段と、
前記相手機器の前記近傍界アンテナから送信される前記接続要求信号を前記第1の近傍界アンテナまたは前記第1の遠方界アンテナにより受信する要求受信手段と、
前記要求受信手段で受信された前記接続要求信号に基づき前記接続応答信号を前記第1の遠方界アンテナにより送信する応答送信手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、所望の2つの無線機器間のセキュアな通信を、他の無線機器からの信号衝突を発生させることなく行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態に係る無線機器1〜3を備えた無線通信システムの構成図。
【図2】図1の無線通信システムにおいて無線機器1、2を離した状態を示す図。
【図3】微小ダイポールによる電磁界を示す図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る無線機器の構成例を示す図。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る動作のシーケンスチャート。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る無線機器の他の構成例を示す図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る無線機器の構成例を示す図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る動作のシーケンスチャート。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る無線機器の構成例を示す図。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る動作のシーケンスチャート。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る他の動作のシーケンスチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
図1および図2は、本発明の一実施の形態に係る無線機器1〜3を備えた無線通信システムを示す。
【0011】
より詳細に、図1は、無線機器1,2を十分に近接して無線機器1,2間で認証情報(例えば暗号鍵を含む)をやり取り(送受信)する状態を示す。認証情報のやり取りは、一方の無線機器から他方の無線機器に認証情報を送ることを意味する。
【0012】
図2は無線機器1及び2間で認証情報のやり取りを終えた後、無線機器1,2を少し離した状態で、無線機器1,2間で認証情報に基づくデータ通信(たとえば認証情報に含まれる暗号鍵による暗号化通信)を行う状態を示す。ただし、無線機器1及び無線機器2は認証情報のやり取り終了後も図1のような近接した配置でデータ通信を行ってもよい。
【0013】
図1の状況において、無線機器3が無線機器1又は2と接続中である場合を想定すると、無線機器1,2間での送受信の有無を無線機器3が把握できない場合には、送受信中にもかかわらず無線機器3が送信を開始し、結果として信号が衝突する可能性がある。このため、無線機器1,2を十分に近接して送受信している場合も、それ以外の無線機器(ここでは無線機器3)が少なくともチャネル状況を把握できることが望ましい。
【0014】
本発明の一実施の形態に係る無線機器は、放射電界を利用した信号伝搬を行うアンテナと、静電界若しくは誘導電界を利用した信号伝搬を行うアンテナとを備え、両者を使い分けつつ通信を行う。本明細書では、放射電界を主に用いるアンテナを遠方界アンテナ、誘導電界および静電界を主に用いるアンテナを近傍界アンテナと称する。近傍界アンテナの候補としては微小ループアンテナ等がある。なお、静電界のうち、時間的に変動する静電界を特に準静電界と呼ぶこともあるが、本明細書では、これも含めて静電界として説明する。
【0015】
以下、放射電界、静電界および誘導電界について説明する。
【0016】
図3に微小ダイポールによる電磁界を示す。微小ダイポールをx軸上に配置した場合の垂直平面をy、z座標で示している。この場合の、電気的微小ダイポールによる放射電磁界は球面座標の各成分に分解して表示すると以下になる。
【数1】

Eθは電界の横波成分、ERは電界の縦波成分、Hφは磁界成分を示す。
【0017】
電界の横波成分(Eθ)は、距離に反比例する成分(放射電界)、距離の2乗に反比例する成分(誘導電界)、距離の3乗に反比例する成分(静電界)とで構成されている。また、電界の縦波成分(ER)は、距離の2乗に反比例する成分(誘導電界)、距離の3乗に反比例する成分(静電界)とで構成されている。
【0018】
一般に、無線通信の多くは距離をある程度離した機器間で送受信を行うことを想定し、距離の2乗に反比例する誘導電界、距離の3乗に反比例する静電界は距離が大きくなると急減期に電気的な結合が低下して通信できないために、放射電界を利用した通信を行っている。
【0019】
一方、至近距離での送受信を想定するため、誘導電界および静電界を用いた通信を行う構成も知られている(特許文献3参照)。
【0020】
本実施の形態に係る無線機器は、このような放射電界を主に用いる遠方界アンテナ、誘導電界および静電界を主に用いる近傍界アンテナを備え、両者を使い分けつつ通信を行うことで、無線機器1,2間で認証情報のやり取りを、セキュアにかつ他の無線機器からの信号衝突を生じさせることなく、行うことを実現する。以下、本発明の第1〜第3の実施形態について順次説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
図4は、本発明の第1の実施形態に係る無線機器の構成例を示すブロック図である。
【0022】
この無線機器は、少なくとも、近距離の通信範囲を有する近傍界アンテナ20、前記近距離の通信範囲よりも広い遠距離の通信範囲を有する遠方界アンテナ10、遠方界アンテナ10および近傍界アンテナ20のいずれか一方に切り替えるアンテナ切り替えスイッチ30、アナログの無線処理を行うRF(Radio Frequency)部40及びディジタル領域の処理を行うディジタル部50を備える。ディジタル部50は、上位層処理部(図示せず)と接続して、送信信号及び受信信号の制御を行う送信部51及び受信部52を含む。
【0023】
送信部51は例えば本発明の要求送信手段、応答送信手段を含み、受信部52は例えば本発明の要求受信手段、応答受信手段、停止制御手段を含む。また送信部51、受信部52、ディジタル部50は本発明の無線通信手段を形成する。
【0024】
図5に、図4の構成を有する無線機器1,2が接続を開始し、認証情報を近距離で送受信し、当該認証情報に基づきデータ送受信を開始するまでの処理のシーケンスを示す。以下、無線機器1のユーザ1が無線機器2に無線機器1を接近させて、無線機器1から無線機器2に対し接続要求を行う場合を例に説明を行う。
【0025】
初めに接続を希望する無線機器1は、アンテナ切り替えスイッチ30を近傍界アンテナ20に接続し、接続要求信号を送信部51から、RF部40、近傍界アンテナ20を経由して送信する(S11)。無線機器1は、無線機器2のアドレスを事前に把握し、そのアドレスを宛先アドレスに指定して接続要求信号を送信する。たとえば無線機器1は、図示しない上位層から、送信部51に接続要求信号の送信指示信号の入力があった場合には、スイッチ30を近傍界アンテナ20へ切り替え、送信部51から接続要求信号を送信する。送信部51は接続要求信号を送信する要求送信手段を含む。ここで、近傍界アンテナ20を送信に用いるため、送信信号は距離に応じて急峻に減衰するため、無線機器1から大きく離れた他の無線機器(ここでは無線機器3)にはこの接続要求信号は届かない。到達距離は周波数に大きく依存するが、ここでは数cm程度までを想定する。接続要求信号の送信後、無線機器1はスイッチ30を遠方界アンテナ10へ切り替えて受信を待機する。
【0026】
一方、無線機器2では、送受信を行っていない接続要求信号の待ち受け時は、近傍界アンテナ20を受信用に設定しており、近傍界アンテナ20から信号が受信されると、受信信号をRF部40を介して受信部52へ送り、受信部52にて受信信号の種別を判断する。
【0027】
受信信号が接続要求信号でありかつ宛先が自端末であった場合、受信部52は送信部51に接続要求信号の受信の旨を通知し、この通知を受けた送信部51は接続応答信号を作成する。受信部52は接続要求信号を受信する要求受信手段を含み、送信部51は接続応答信号を送信する応答送信手段を含む。また、上記通知を受けた送信部51は、アンテナ切替えスイッチ30を遠方界アンテナ10へ切り替える。送信部51は、作成した接続応答信号を遠方界アンテナ10を経由して送信する(S12)。接続応答信号の送信後、無線機器2はスイッチ30を近傍界アンテナ20へ切り替えて受信を待機する。無線機器2は接続応答信号を遠方界アンテナ10により送信することで、通信エリア内に存在する他の無線機器に、無線機器1と通信中であることを通知する。
【0028】
無線機器2から送信された接続応答信号を受信した他の無線機器(図示の例では無線機器3)では、自分宛でない接続応答信号を受信したと判断すると、自分以外の無線機器間で無線通信が行われると判断し、無線信号の送信を一定期間、停止する。本実施形態に係る無線機器は、自分宛でない接続応答信号を受信したときに、一定期間の間、遠方界アンテナ10および近傍界アンテナ20のうち少なくとも前者により無線信号を送信しないように制御する停止制御手段を含む。停止制御手段はたとえば受信部52内に設けられ、自分宛でない接続応答信号の受信を受信部52で検出したときは、受信部52は内部の停止制御手段を用いて送信部51による送信停止を制御する。ここで一定期間の値は、上記接続応答信号に含めて無線機器2から送信されてもよく、この場合、当該停止制御手段は、接続応答信号から一定期間の値を取得し、取得した値に示される一定期間の間、無線信号の送信を停止するようにする。
【0029】
無線機器1は遠方界アンテナ10にて受信を待機しており、無線機器2からの接続応答信号が遠方界アンテナ10により受信されると(S12)、受信信号がRF部40を介して受信部52へ送られる。受信部52は受信信号の種別を判断し、受信信号が接続応答信号でありかつ宛先が自端末であった場合は、その旨を送信部51へ通知する。受信部52は接続応答を受信する応答受信手段を含む。通知を受けた送信部51は認証情報(例えば暗号鍵を含む)を含む信号を作成し、またアンテナ切替えスイッチ30を近傍界アンテナ20へ切り替える。送信部51は、認証情報を含む信号を、近傍界アンテナ20を用いて送信する(S13)。すなわち近距離において近傍界アンテナ20により認証情報を送信する無線通信手段を含む。認証情報の送信後、無線機器1はスイッチ30を遠方界アンテナ10へ切り替えて受信を待機する。本例ではステップS13で認証情報を送信したが、その他の種類の秘密情報を送信することも可能である。
【0030】
無線機器2は近傍界アンテナ20にて受信を待機しており、無線機器1からの認証情報を含む送信信号が近傍界アンテナ20により受信されると、受信信号がRF部40を介して受信部52へ送られる。受信部52は近距離により認証情報を受信する無線通信手段を含む。受信部52では認証情報の受信を確認するとその旨を送信部51へ通知し、通知を受けた送信部51では認証情報の受信に対する応答信号(ACK信号)を作成し、スイッチ30を遠方界アンテナ20へ切り替える。送信部51は、作成した応答信号(ACK信号)を、遠方界アンテナ20を介して送信する(S14)。すなわち送信部51は、無線機器1と近距離において遠方界アンテナ20により応答信号(ACK信号)を送信する無線通信手段を備える。この後、無線機器2は遠方界アンテナ20のまま受信を待機する。
【0031】
無線機器1は、遠方界アンテナ10にて上記認証情報に対する応答信号を受信すると、受信信号がRF部40を介して受信部52へ送られる。受信部52にて応答信号(ACK信号)の受信が確認されると、これをトリガーにして、アンテナ切り替えスイッチ30を近傍界アンテナ20から遠方界アンテナ10へ切り替える。なお本例では応答信号(ACK信号)を遠方界アンテナ20にて送受信しているが、近傍界アンテナ10により送受信するようにしてもよい。
【0032】
以降、無線機器1,2間でそれぞれの遠方界アンテナ10を用いて認証情報に基づく遠距離のデータ通信を行う(S15)。たとえば認証情報に含めてやり取りした暗号鍵によりデータ(テキストデータ、映像データ、音声データなど)を暗号化して送受信する。無線機器1,2のそれぞれの送信部51および受信部52は、認証情報に基づく遠距離のデータ通信を行う無線通信手段を含む。
【0033】
上述のステップS12で接続応答信号が無線機器2から送信された後は、通信エリア内の他の無線機器(ここでは無線機器3)からの無線信号の送信が停止されることから、ステップS13での認証情報の送受信、ステップS14での応答信号(ACK信号)の送受信、ステップS15での認証情報に基づくデータ通信は、他の無線機器からの信号衝突を生じさせることなく行われる。すなわち、本例では、無線機器3の送信停止期間は、たとえば接続応答信号の送信からデータ通信終了までに想定される予測期間である例が示されている。ただし、送信停止期間は、その他の基準により決定されてもよく、少なくともACKの送受信が完了するまでの期間を含むことが好ましい。
【0034】
図5に示したシーケンス例では、接続要求を行った無線機器1から、無線機器2に認証情報を送信したが、無線機器2から、接続要求を行った無線機器1に認証情報あるいは秘密情報を送信するようにしてもよい。この場合、たとえば無線機器2は、近傍界アンテナ20により認証情報等を送信し、無線機器1は、近傍界アンテナ20により認証情報等を受信する。
【0035】
また図5に示したシーケンス例では送信停止期間を接続応答信号に含めたが、応答信号(ACK信号)にも追加的に含めるようにしてもよい。この場合、応答信号(ACK信号)に含めた送信停止期間が、接続応答信号に含めた送信停止期間よりも優先するようにしてもよい。
【0036】
また図5に示したシーケンス例では、無線機器2は応答信号(ACK信号)を遠方界アンテナ10にて送信したが、近傍界アンテナ20にて送信するようにしてもよい。この場合、無線機器1は、応答信号(ACK信号)の受信のためにスイッチ30を近傍界アンテナ20へ切り替える。
【0037】
また図5の示したシーケンス例では、無線機器1が無線機器2のアドレスを事前に把握することを必要としたが、無線機器1がアドレスを事前に把握せずに、ブロードキャストアドレス指定で接続要求信号を送信することも可能である。この場合も近傍界アンテナを用いて接続要求信号を送信するため所望端末である無線機器2以外の端末には接続要求信号は届かない。無線機器2では宛先確認の判断を宛先アドレスがブロードキャストアドレスであるか否かで行い、ブロードキャストアドレスである場合に接続応答信号を送信する。
【0038】
図4に示した無線機器の構成では、遠方界アンテナ10および近傍界アンテナ20はそれぞれ送信と受信とで共有していたが、図6に示すように、送信専用の遠方界アンテナ10aおよび送信専用の近傍界アンテナ20a、受信専用の遠方界アンテナ10bおよび受信専用の近傍界アンテナ20bを設け、これに応じて、アンテナ10a、20aの切り替えスイッチ30a、アンテナ10b、20bの切り替えスイッチ30bを設けてもよい。この場合は、送信用のスイッチ30aおよび受信用のスイッチ30bをそれぞれ送信および受信で個別に制御してアンテナの切り替えを行う。
【0039】
例えば図5のシーケンス例では、無線通信を行っていない初期状態時(例えば接続要求信号の待受け時)は、送信用に遠方界アンテナ10a、受信用に近傍界アンテナ20bを設定しておく。そして、上位層から、送信部51に接続要求信号の送信指示信号の入力があった場合には、それをトリガーに送信用アンテナを遠方界アンテナ10aから近傍界アンテナ20aに切り替え、受信用アンテナを近傍界アンテナ20bから遠方界アンテナ10bへ切り替えて、近傍界アンテナ20aにて接続要求信号を送信する。
【0040】
以上のように、第1の実施形態によれば、近傍界アンテナと遠方界アンテナとを送信および受信のそれぞれで適宜使い分けることで、所望の2つの無線機器にてセキュアでかつ他の無線機器からの信号衝突を発生させることなく、送受信を行うことが可能となる。
【0041】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、送信および受信とも、遠方界アンテナおよび近傍界アンテナの2種類のアンテナをそれぞれ切り替えて使用したが、第2の実施形態では、受信は遠方界アンテナのみを使用し、近傍界アンテナは使用しない形態を示す。送信は第1の実施形態と同様に、遠方界アンテナおよび近傍界アンテナを切り替えて使用する。
【0042】
図7は、本第2の実施形態にかかる無線機器の構成例を示すブロック図を示す。
【0043】
図7の無線機器は、2本の遠方界アンテナ10a、10b、1本の近傍界アンテナ20の計3本のアンテナを備え、送信に用いる遠方界アンテナ10aと近傍界アンテナ20をアンテナ切替えスイッチ30にて切り替える。一方、受信の際は遠方界アンテナ10bのみを用いて、常に遠方界アンテナ10bにて受信を行う。
【0044】
図8は、本実施形態に係る、無線機器1、2が互いに接続し、認証情報を送受信し、データ通信を行うまでのシーケンスを示す。以下、第1の実施形態との差分を中心として説明を行う。
【0045】
図8に示すように、無線機器1は、接続要求信号及び認証情報を近傍界アンテナ20aにて送信し、無線機器2はこれら接続要求信号及び認証情報を遠方界アンテナ20にて受信する(S21、S23)。
【0046】
また無線機器2は、第1の実施形態と同様に、接続要求信号に対する接続応答信号、および認証情報に対するACK信号を、遠方界アンテナ10aにて送信し、無線機器1はこれら接続応答信号およびACK信号を遠方界アンテナ10aにて受信する(S22、S24)。無線機器1は、認証情報に対するACK信号の受信をトリガーに送信用アンテナを遠方界アンテナ10aへ切り替えて、認証情報に基づくデータ通信を無線機器2との間で行う(S25)。
【0047】
第1の実施形態では、無線機器2は、接続要求信号および認証情報信号を近傍界アンテナにより受信したが、本実施形態では、上記のように、近傍界アンテナではなく遠方界アンテナで接続要求信号および認証情報信号を受信する。すなわち、本実施形態では、無線機器2は、常に遠方界アンテナにて送信し、遠方界アンテナにて受信を行う。
【0048】
一般に、近傍界アンテナでの送信には、同じ近傍界アンテナでの受信が効率的には良いため、近傍界アンテナを受信に用いることにより、認証情報など重要な情報の受信信頼性向上につながる。一方、近傍界アンテナから送信された信号の受信に遠方界アンテナを用いても、送受信機器同士が近接状態にあり、送信レートをそれ程高速にしなければ、受信効率は低下するものの、問題なく受信可能であると思われる。特に、接続要求信号といった制御信号はデータ量が軽いため受信には問題がないと思われる。
【0049】
さらに、近傍界アンテナ同士の送受信では、アンテナ間の位置合わせの問題があり、特に高周波数の場合にはアンテナの小型化に伴い、その位置ずれの問題が避けられない。これに対し、受信側に遠方界アンテナを用いると(たとえば微小ダイポールアンテナの代わりにダイポールアンテナ等を用いると)、受信出来る範囲が広がり、位置ずれの問題を解消できる。
【0050】
したがって、本実施形態では、受信用に用いるアンテナを遠方界アンテナに固定することで、アンテナの位置合わせの問題を緩和するとともに、受信用のアンテナ切替えによる受信電力のロスを抑えることとしている。
【0051】
ここで上記した考えを拡張し、遠方界アンテナにより送信した信号を近傍界アンテナにより受信することも可能と考えられる。この考えを第1の実施形態に適用して、図5のステップS12において遠方界アンテナ10により送信された接続応答信号を近傍界アンテナ20にて受信してもよい。またステップS14において遠方界アンテナ10により送信したACK信号を近傍界アンテナ20により受信してもよい。
【0052】
本実施形態では無線機器1,2とも図7の構成を有することを前提に説明したが、一方の無線機器が図5に示した第1の実施形態の構成を有し、他方の無線機器が図7の構成を有することも可能である。また常に接続要求を受ける側を想定した無線機器に対しては図7の構成から送信用の近傍界アンテナ20とスイッチ30とを除去した、簡略化された構成を採用するようにしてもよい。例えば携帯電話やTVといった表示画面が充実している無線機器の場合は図5または図7の構成を有し、表示画面が小さい又は画面の無い、DVDやメモリカードなどの無線機器の場合は、上述の簡略化された構成を有するようにしてもよい。
【0053】
(第3の実施形態)
第1および第2の実施形態では、アンテナ切替えスイッチを設け、送信時は近傍界アンテナおよび遠方界アンテナのどちらか一方のみを用いて送信を行い、受信時も近傍界アンテナおよび遠方界アンテナのどちらか一方のみを用いて受信を行う仕組みを示した。これに対し本実施形態では、アンテナ切替えスイッチを用いず、上記両アンテナにて同時に送信を行い、また両アンテナにて同時に受信を行う場合の形態を示す。
【0054】
図9は、本実施形態にかかる無線機器の構成例を示すブロック図を示す。
【0055】
この無線機器は、少なくとも、遠方界アンテナ10、近傍界アンテナ20、RF部40及びディジタル部50を備える。ディジタル部50は、送信部51、受信部52、及び近距離判断部53を含む。RF部40は、遠方界アンテナ10および近傍界アンテナ20にそれぞれ対応するプリアンプ(PA:PreAmplifier)41,42を含む。プリアンプ41は遠距離用増幅器、プリアンプ42は近距離用増幅器に対応する。なお、送信部51及び受信部52は、第1の実施形態と同様、図示しない上位層処理部と接続し、送信信号及び受信信号の制御を行う。
【0056】
以下、本実施形態に係わる無線機器1,2が互いに接続し、認証情報をやり取りし、データ通信を開始するまでのシーケンスの例を2つ(第1および第2のシーケンス)示す。
【0057】
図10は、本実施形態に係わる、無線機器1,2間の第1のシーケンスを示す。
【0058】
無線機器1は、接続要求信号を遠方界アンテナ10および近傍界アンテナ20の両方から同時に送信する(S31)。無線機器1の遠方界アンテナ10から送信された接続要求信号は、無線機器2のみならず、通信エリア内に存在する他の無線機器(ここでは無線機器3)にも受信される。接続要求信号の宛先アドレスは特定の無線端末を指定しないブロードキャストアドレスあるいはマルチキャストアドレスである。
【0059】
接続要求信号を受信した無線機器2,3は、受信した接続要求信号が、近接する無線機器からの信号であるか否かを判定する(S32、S33)。すなわち接続要求信号を送信した無線機器1が自無線機器に近接しているか否かを判定する。本判定は、無線機器2,3のそれぞれの近距離判断部53が行う。近距離判断部53は、近傍界アンテナ20における接続要求信号の受信電力に基づいて近接判定を行う。接続要求信号の受信電力はたとえばRF部40において測定し、測定した受信電力値(たとえば平均受信電力)を近距離判断部53に通知する。近距離判断部53は、近傍界アンテナ20における接続要求信号の受信電力がある閾値以上であれば、接続要求信号は近接機器から受信したと判定し、ある閾値未満であれば距離の大きく離れた機器から受信したと判定する。具体的な実現方法の例としては、RF部40は定期的に受信電力を測定して近距離判断部53に通知し、近距離判断部53は通知された受信電力を通知時刻と関連づけて内部バッファに記憶する。あるいはRF部40から測定時刻と受信電力とを受け取りこれらを内部バッファに記憶する。近距離判断部53は接続要求信号の受信通知を受信部52から受けたら、この通知時刻もしくはこれより一定時間前の時刻に対応する受信電力を内部バッファから取り出す。これにより接続要求信号の受信電力を取得する。
【0060】
ここでは近傍界アンテナ20の受信電力を用いて近接判定を行ったが、遠方界アンテナ10の受信電力を用いて同様に近接判定を行ってもよい。また、近傍界アンテナ20および遠方界アンテナ10の両方の受信電力を用いて同様の判定を行ってもよく、この場合、両アンテナの受信電力の平均、重み付け平均、あるいは重み付け合計値と、それぞれ対応する閾値との比較により近接判定を行うこともできる。
【0061】
本例では、無線機器2の近距離判断部53が、受信した接続要求信号が、近接する無線機器1からのものであると判定し、無線機器2の送信部51は、この判定を受けて、接続応答信号を遠方界アンテナ20および近傍界アンテナ10の両方から同時に送信する(S34)。
【0062】
一方、無線機器3の近距離判断部53は、受信した接続要求信号が、近接する無線機器からのものではないと判定し、この判定に基づき、無線機器3の送信部51は、接続応答信号の送信を行わないことを決定する。接続応答の送信を行わないと決定した無線機器3は一定期間の間、通信(少なくとも遠方界アンテナによる送信)を停止する。送信停止期間の値は、ステップS31で送信される接続要求信号に含めておき、この値に示される一定期間(送信停止期間)の間、通信を停止する。
【0063】
ここで上記送信停止期間は、無線機器1から送信する接続要求信号、または無線機器1が近接していると判定した無線機器2から送信する接続応答信号に含めてもよい。この場合、無線機器3は、接続要求信号または接続応答信号に含まれる送信停止期間を元に、その間、通信を停止する。
【0064】
無線機器2から送信された接続応答信号を無線機器1は遠方界アンテナ20および近傍界アンテナ10により同時に受信し、この接続応答信号に基づいて認証情報を遠方界アンテナ20および近傍界アンテナ10により同時に送信する。この際、認証情報は無線機器1,2間でのみで共有したい情報であるため、第3者の無線機器3には知られたくない。そのため、遠方界アンテナ20から送信する認証情報の信号には、当該信号を歪ませる処理を行い(S35)、遠方界アンテナ20からは歪ませた認証情報信号を送信し、近傍界アンテナ10からは歪んでいない認証情報信号を送信する(S36)。これにより、無線機器1から離れた無線機器3では、遠方界アンテナから送信された歪み信号のみ受信するため、無線機器3は受信信号を正しく復調することができない。一方、近傍界アンテナ20にて強固に無線機器1と接続中の無線機器2は、遠方界アンテナ10から歪んだ信号を受信していても、近傍界アンテナ20での歪みのない受信信号を正しく復調することができる。すなわち遠方界アンテナ10での歪み信号と、近傍界アンテナ20での歪みのない信号(所望の信号)とが混在した信号が受信されても、受信処理に障害が生じることはないため、所望の信号を正しく復調できる。
【0065】
ここで送信信号を歪ませる方法としてはPA(プリアンプ)制御による方法を用いることができる。すなわち、近傍界アンテナ20に対応するプリアンプ42の増幅信号を遠方界アンテナ10に対応するプリアンプ41に入力して再度増幅させ、この再増幅された信号を遠方界アンテナ10から送信する。すなわちプリアンプ42は認証情報の送信時は増幅信号を近傍界アンテナ20とともにプリアンプ41の入力へも出力するようにする。プリアンプ41への入力はたとえば認証情報を送信しようとする送信部51からの指示により行う。なおプリアンプ41にはプリアンプ42の増幅信号に加えて通常通り、送信部51からの認証情報信号が入力される。また変調方式としては、送信部51は、信号歪みが特性に影響する可能性の大きい変調方式、具体的には振幅変調を用いた変調方式を用いてもよい。これにより、2度のプリアンプの増幅により信号振幅を飽和させて、受信側での受信信号の復調を確実に失敗させることができる。
【0066】
また送信信号を歪ませる他の方法として遠方界アンテナ10の送信系のプリアンプ41の前段にスタブを入れるようにしてもよい。スタブは、非線形の入出力特性を有する非線形素子の一例ということができ、この非線形素子を通すことで送信信号を歪ますことができる。この場合、送信部51は、認証情報の送信時は、送信すべき信号を途中で非線形素子を通る経路へ切り替えて信号を流し、非線形素子を通過した信号をプリアンプ41で増幅して送信するようにすればよい。
【0067】
なお、認証情報以外の送信時は、送信部51は送信する信号を遠方界アンテナ10および近傍界アンテナ20側へそれぞれ流し、各信号はRF部40で無線処理を受けてプリアンプ41,42で増幅されて遠方界アンテナ10および近傍界アンテナ20から送信される。
【0068】
認証情報を正しく受信した無線機器2は、認証情報の受信に対するACK信号を遠方界アンテナ10および近傍界アンテナ20から同時に送信する(S37)。
【0069】
無線機器1はACK信号を受信したら、たとえば無線機器2と離れた状態で、無線機器2との間で認証情報に基づき遠距離のデータ通信を行う(S38)。なおデータ通信の際も無線機器1,2間で遠方界アンテナ10および近傍界アンテナ20の両方により同時に信号が送受信される。
【0070】
図11は、本実施形態に係わる、無線機器1,2間の第2のシーケンスを示す。第2のシーケンスは、図10に示した第1のシーケンスのステップS32−S34を、S41a、S41b、S42、S43に置換したものに相当する。以下、第1のシーケンスとの差分を中心に説明を行う。
【0071】
図10に示した第1のシーケンスと同様、無線機器1は、接続要求信号を遠方界アンテナ10および近傍界アンテナ20の両方から同時に送信する(S31)。無線機器1から送信された接続要求信号は、無線機器2のみならず、通信エリア内に存在する他の無線機器(ここでは無線機器3)にも受信される。
【0072】
無線機器1から接続要求信号を受信した無線機器2,3は、近傍界アンテナ20における上記接続要求信号の受信電力を測定し、測定した受信電力の値を含む接続応答信号を無線機器1に送信する(S41a、41b)。
【0073】
無線機器2,3からの接続応答信号を受信した無線機器1の近距離判断部53は、接続応答信号に含まれる受信電力値に基づいて、接続応答信号を送信した無線機器が、近距離に位置するか否かを判定する(S42)。たとえばある閾値以上の受信電力値を返した無線機器は近接していると判定し、ある閾値未満の受信電力値を返した無線機器は遠方に位置すると判定する。本例では無線機器2が近距離に位置する判定され、無線機器3が遠距離に位置すると判定されたとする。
【0074】
無線機器1は、近距離の無線機器2を宛先としたACK信号を送信する(S43)。ACK信号は無線機器1との通信を許可する許可信号に相当し、無線機器1は許可信号送信手段を備える。自分が宛先とされたACK信号を受信した無線機器2は、この後、無線機器1からの認証情報の受信を待機する。一方、自分が宛先でないACK信号を受信した無線機器3は、一定期間通信を停止する。この際、ステップS43で無線機器1から送信するACK信号に前述の送信停止期間を含め、無線機器3は、ACK信号に含まれる停止期間を元に、その間、通信(少なくとも遠方界アンテナによる送信)を停止してもよい。
【0075】
上記の説明では、ステップS31で接続要求信号を受信した無線機器2,3は、近傍界アンテナ20の受信電力を測定したが、遠方界アンテナ10の受信電力を測定し、測定した値を接続応答信号に含めてもよい。また、近傍界アンテナ20および遠方界アンテナ10の両方の受信電力を測定し、両方の値を接続応答信号に含めてもよく、または、これら両方の値の平均、重み付け平均あるいは合計値を、接続応答信号に含めてもよい。接続応答信号を受信した無線機器1では、これらの値の少なくとも1つに基づいて、近接判定を行ってもよい。判定の詳細は、前述した図10での説明に従うものとする。
【0076】
以降のステップは図10で述べた第1のシーケンスと同様であるため詳細な説明を省略する。
【0077】
このように、第3の実施形態によれば、アンテナ切替えスイッチを用いない構成において送受信を常に両アンテナを用いて行っても、所望の無線機器(近接する無線機器)を特定して、所望の無線機器との間で他の無線機器からの干渉なく、セキュアな通信を実行することが可能となる。
【0078】
また、接続要求の受信側の無線機器に近距離判断部を設けることにより、宛先を特定しない接続要求信号を両アンテナにて送信した場合にも、受信側の無線機器は、接続要求が自分宛か否かを判断できる。すなわち、受信側の無線機器は、宛先アドレスが例えばブロードキャストアドレスである接続要求信号を受信した場合であっても、受信電力に基づく近接判定により、自分宛の接続要求か否かを判断できる。これにより、接続要求を行う送信側の無線機器は、予めアソシエーション等のやり取りを行うことなくまた所望の宛先アドレスを知らなくても、通信を開始できる。
【0079】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1、2、3:無線機器
10、10a、10b:遠方界アンテナ
20、20a、20b:近傍界アンテナ
30、30a、30b:スイッチ
40:RF部
41、42:プリアンプ(増幅器)
50:ディジタル部
51:送信部(要求送信手段、応答送信手段、無線通信手段、許可信号送信手段)
52:受信部(要求受信手段、応答受信手段、停止制御手段、無線通信手段)
53:近距離判断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離の通信範囲を有する近傍界アンテナと、前記近距離の通信範囲より広い遠距離の通信範囲を有する遠方界アンテナとを有する相手機器と無線通信する無線機器であって、
前記近距離の通信範囲を有する第1の近傍界アンテナと、
前記近距離の通信範囲より広い遠距離の通信範囲を有する第1の遠方界アンテナと、
前記第1の近傍界アンテナにより前記相手機器に接続要求信号を送信する要求送信手段と、
前記相手機器の前記遠方界アンテナから送信される接続応答信号を前記第1の遠方界アンテナまたは前記第1の近傍界アンテナにより受信する応答受信手段と、
前記接続応答信号の受信に応じて、前記第1の近傍界アンテナを用いて前記相手機器と無線通信を行う無線通信手段と、
前記相手機器の前記近傍界アンテナから送信される前記接続要求信号を前記第1の近傍界アンテナまたは前記第1の遠方界アンテナにより受信する要求受信手段と、
前記要求受信手段で受信された前記接続要求信号に基づき前記接続応答信号を前記第1の遠方界アンテナにより送信する応答送信手段と、
を備えた無線機器。
【請求項2】
前記相手機器から他の無線機器宛の前記接続応答信号が前記応答受信手段により受信されたとき、一定期間の間、前記第1の遠方界アンテナおよび前記第1の近傍界アンテナのうち少なくとも前者により無線信号を送信しないように制御する停止制御手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の無線機器。
【請求項3】
前記一定期間の値が前記他の無線機器宛の前記接続応答信号に含まれ、
前記停止制御手段は、前記接続応答信号に含まれる値に示される期間の間、前記無線信号を送信しないように制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の無線機器。
【請求項4】
前記無線通信手段は、前記認証情報の送信または受信を行い、前記認証情報の送信または受信後、前記第1の遠方界アンテナにより前記相手機器と前記認証情報に基づくデータ通信を行う
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の無線機器。
【請求項5】
送信時および受信時に前記第1の近傍界アンテナおよび前記第1の遠方界アンテナのいずれか一方に切り替えるスイッチをさらに備えた
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の無線機器。
【請求項6】
スイッチをさらに備え、
前記第1の近傍界アンテナは、送信用のアンテナであり、
2つの前記第1の遠方界アンテナを備え、一方の第1の遠方界アンテナは送信用、他方の第1の遠方界アンテナは受信用であり、
前記スイッチは、送信時に前記第1の近傍界アンテナおよび前記送信用の第1の遠方界アンテナをいずれか一方に切り替える、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線機器。
【請求項7】
前記相手機器との距離が近距離か否かを判断する近距離判断部をさらに備え、
前記要求送信手段は、前記接続要求信号を前記第1の近傍界アンテナおよび前記第1の遠方界アンテナの両方により同時に送信し、
前記要求受信手段は、前記相手機器からの前記接続要求信号を前記第1の近傍界アンテナおよび前記第1の遠方界アンテナの両方により同時に受信し、
前記近距離判断部は、前記第1の近傍界アンテナおよび前記第1の遠方界アンテナのうち少なくとも一方における前記接続要求信号の受信電力に基づき前記相手機器との距離が近距離か否かを判断し、
前記応答送信手段は、前記近距離判断部により前記近距離と判断されたとき、前記接続応答信号を前記第1の近傍界アンテナおよび前記第1の遠方界アンテナの両方により同時に送信し、前記近距離と判断されなかったとき前記接続応答信号の送信を行わないことを決定し、
前記無線通信手段は、前記第1の近傍界アンテナおよび前記第1の遠方界アンテナの両方により同時に送信を行い、前記第1の遠方界アンテナにより送信する信号を送信前に歪ませる
ことを特徴とする請求項1に記載の無線機器。
【請求項8】
近距離判断部と、許可信号送信手段とをさらに備え、
前記要求送信手段は、前記接続要求信号を前記第1の近傍界アンテナおよび前記第1の遠方界アンテナの両方により同時に送信し、
前記要求受信手段は、前記相手機器からの前記接続要求信号を前記第1の近傍界アンテナおよび前記第1の遠方界アンテナの両方により同時に受信し、
前記応答送信手段は、前記第1の近傍界アンテナおよび前記第1の遠方界アンテナのうち少なくとも一方における前記接続要求信号の受信電力情報を含めて前記接続応答信号を送信し、
前記応答受信手段は、前記相手機器からの前記受信電力情報を含む前記接続応答信号を受信し、
前記近距離判断部は、前記接続応答信号に含まれる前記受信電力情報に基づき、前記相手機器との距離が近距離か否かを判断し、
前記許可信号送信手段は、前記近距離判断部により前記近距離と判断されたとき前記無線通信の許可信号を前記相手機器に送信し、
前記無線通信手段は、前記第1の近傍界アンテナおよび前記第1の遠方界アンテナの両方により同時に送信を行い、前記第1の遠方界アンテナにより送信する信号を送信前に歪ませる
ことを特徴とする請求項1に記載の無線機器。
【請求項9】
前記第1の近傍界アンテナにより送信する信号を増幅する近距離用増幅器と、前記第1の遠方界アンテナにより送信する信号を増幅する遠距離用増幅器とをさらに備え、
前記無線通信手段は、前記近距離用増幅器による増幅信号を前記遠距離用増幅器によりさらに増幅して前記第1の遠方界アンテナから送信することにより記第1の遠方界アンテナにより送信する前記信号を歪ませる
ことを特徴とする請求項7または8に記載の無線機器。
【請求項10】
前記無線通信手段は、非線形の入出力特性を有する非線形素子を用いて前記第1の遠方界アンテナにより送信する前記信号を歪ませる
ことを特徴とする請求項7または8に記載の無線機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−219794(P2010−219794A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63263(P2009−63263)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】