説明

無線機

【課題】無線認証システムにおいて、使用状況が変化しているにも関わらずパソコンの使用中に機能制限がかかってしまうという課題があった。
【解決手段】安全スイッチ103が解除されている場合は、レスポンス信号22における操作情報63には安全スイッチ103が解除されていることを示す情報を含め、またオプション64には認証範囲を広くするための情報を含めることにより、認証する範囲を広い設定として動作し、ワイヤレスキーも認証する範囲を広い設定で以降の認証シーケンスを継続し、自動的に認証範囲を調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレスキーと本体側装置とで定期的或いは不定期的に無線の送受信を行うことによりお互いの存在を確認しあい、ワイヤレスキーと本体側装置が所定の通信範囲を超えた場合に本体側装置の機能を制限したり、或いは警報を発生させる認証装置に用いることのできる無線装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、セキュリティを考慮しながら携帯電話、あるいはパソコンをはじめとする電子機器の操作ロックを、ワイヤレスで制御するようにしたセキュリティシステムが実用化されてきている。
【0003】
かかるセキュリティシステムの一形態として、携帯電話の盗難を防止するために、携帯電話の使用者が、カード形態の識別信号送信機を所持し、前記の携帯電話と識別信号送信機との間で予め定めた識別コードを相互に通信し、双方で識別コードを確認できた時に前記携帯電話の使用を可能とするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このワイヤレスによる双方向通信システムの特許文献1では、電子機器等の本体側に搭載された機器(以後、認証機器と称する)において、携帯側装置(以降、ワイヤレスキーと称する)から定期的に発せられる認証IDを受信し、前記認証機器に記憶しているIDと照合し、一致していなければ本体装置に機能制限をかけることが記されている。
【特許文献1】特開2004−143806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、所定の距離内(圏内)であるか否かによる制御は可能であるが、用途に応じてこの距離を調節するという仕組みがない。また、ワイヤレスキーがボタンなどを備えている場合にその情報を伝える手段がないために、柔軟なシステムを構成することができない。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、例えば、パソコンなどの電子機器の置き忘れや盗難防止機能(セキュリティ機能)を損なうことなく、使われる場面に応じてセキュリティ機能の調整が可能な無線機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の無線機は、無線通信により他の無線機の存在を確認しあうサーチモードと、他の無線機との間で認証通信を行う認証モードとの二つのモードを有し、各モードの無線通信において、操作をしていることを示す操作情報を送信信号に含むようにしたものである。
【0008】
これによれば、一方の無線機が何らかの操作中となった場合には、通信相手となる無線機がその状態を知ることができるため、結果として使用状況に応じた通信システムを提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の無線機を用いることにより、例えば、パソコンなどの電子機器とワイヤレスキーの認証システムにおいて、置き忘れや盗難防止の機能を確保しつつ、パソコンとワイヤレスキーの距離が大きくなるような場所でのプレゼンテーションをはじめとする様々な用
途の利便性の両立を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第一の発明は、無線通信により他の無線機の存在を確認しあい、受信レベルに応じて何らかの使用制限機能を有する認証システムにおいて、送信信号の中に操作をしていることを示す操作情報とこの操作情報を補足する認証範囲の情報を送信信号に含むことで、使用制限を判断する受信レベルの閾値を操作情報と認証範囲情報に基づき変更することができる無線機である。
【0011】
操作情報の認証範囲の情報を送信信号に含むことにより、これを受信した無線機は通信相手となる無線機の状態を把握することができるため、使用状況に応じた柔軟な通信システムを構築できる。例えば、操作が無い場合は受信した信号の受信レベルがある閾値以上のであるとき、すなわち近距離のみ使用可能とし、何らかの操作がある場合にはこの閾値を下げて使用許可する距離を伸ばすことが可能となり、プレゼンテーションなどでパソコンとワイヤレスキーが通常使用時よりも離れた距離になる可能性がある場合には自動的に使用可能な距離を伸ばすことが可能になり、置き忘れや盗難防止などセキュリティ機能を確保し、使用場面に必要とされる利便性の両立ができる。
【0012】
第二の発明は、無線機から送信される送信信号に操作情報を補足する優先度を示す情報を送信信号に備えることで、操作情報が即時応答性を求める場合や複数のデータ受信により操作情報が複数個存在する場合において優先度に基づき処理を行なう無線機である。
【0013】
優先度情報を送信信号に含むことにより、これを受信した無線機は通信相手からの操作情報が即時応答性を求めるものであるか否かの判断が可能となる。優先度が高い場合にはその優先度情報に従い、直ちに処理を行なうようにすることで即時応答性が求められるような指示に対して柔軟に対応することが可能となる。また、サーチモードにおいて複数の要求を受けた無線機は、認証モードへ遷移後に優先度の高いものから処理を行なうことができるため、満足のいく応答性を確保することができる。
【0014】
第3の発明は、無線機から送信される送信信号に操作情報を補足するための通信周期を変更するための通信周期時間を示す時間情報を送信信号に備えることで、無線機の使用状況にふさわしい通信周期で通信を行なう無線機である。
【0015】
時間情報を送信電文に含むことにより、操作情報の結果として期待する動作が、例えば即時応答性を求められる場合には通信間隔を短くし、期待する即時応答性を満たすような時間情報を設定することで、操作識別符号が送信された場合に、これを受信した通信相手の無線機から満足のいく結果を得ることが可能となる。
【0016】
第4の発明は、無線機の一方がレーザポインタ機能を有するものである場合に、この無線機能を有するレーザポインタが安全機能として不用意なボタン押下によってレーザが照射されないような安全スイッチとレーザを照射するための照射スイッチが備えられている場合には、安全スイッチが解除された時点で、その操作情報と操作情報に伴う認証範囲の情報を送信信号に含むもことで、使用状況にふさわしい認証距離に自動的に調整することができる無線機である。
【0017】
操作によって想定している認証距離が、例えば距離を必要とする場合には自動的に、認証範囲を広く設定し、認証が不意に外れることを防止することが可能となり、使用状況に応じた認証システムを提供することができる。また、安全スイッチの解除により送信電文に操作情報が付加されることで、レーザ照射をしなくても使用範囲を広げることが可能となり、安全と利便性の両方を備えたレーザポインタ機能を持つワイヤレスキーを提供する
ことができる。
【0018】
第5の発明は、特に第4の発明において、無線機能を有するレーザポインタの安全スイッチが有効となって、レーザを照射できない状態になった時点で、その操作情報と操作情報に伴う認証範囲の情報を送信信号に含むもことで、使用状況にふさわしい認証距離に自動的に調整することができる無線機である。
【0019】
操作が終了することによって想定している認証距離が、例えば距離を必要としない場合には、自動的に認証範囲を狭く設定することで、操作によって変更した設定状態を元に戻し忘れることを防止する。操作終了と共に、設定を元に戻すことが可能であるため、使用制限におけるセキュリティと利便性の両立を図ることが可能となる。
【0020】
第6の発明は、操作情報と操作情報を補足する情報を受信した無線機が、その情報を報知するものである。
【0021】
レーザポインタの安全スイッチ解除の操作情報を受信した無線機がパソコンであった場合には、安全スイッチが解除されたことを画面や音でユーザに報知することにより、安全スイッチの解除がおこなわれたことを確認することができる。結果として、不意に安全スイッチが解除された場合には、この状態に気づくことが可能となる。また故意に安全スイッチを解除した場合には、通信設定が変更されたことを確認することができ、安全と利便性の両方を備えたレーザポインタ機能を持つワイヤレスキーとパソコンの認証システムを提供することができる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態における無線機Aのブロック図を示すものである。
【0024】
無線機Aは、レーザポインタ機能を持ったワイヤレスキーであり、第一のアンテナ1を介して接続されている無線部100によって無線通信の送受信を行う。レーザ照射部101は制御部104からのレーザ照射信号に基づいてレーザを照射する部分である。照射ボタン102はレーザを照射するためのボタンであり、ユーザによって押下される。
【0025】
安全スイッチ103は不用意にレーザ照射を行なわないように、安全のために備えているスイッチである。安全スイッチ103が解除されている場合に、照射ボタン102の押下が有効になり制御部104によってレーザ照射信号が発生し、レーザがレーザ照射部101より照射される。一方で、安全スイッチ103が解除されていない場合には、照射ボタン102を押しても、レーザ照射部101からレーザが照射されない。
【0026】
また、無線部100は時間制御手段105、送受信手段106および認証手段107から構成されている。時間制御手段105は、後述するようにある無線信号の受信ができない時間を計測するために用いられ、例えば後述する認証モードで無線信号が一定時間受信できないときは、サーチモードに戻るような処理を行う。送受信手段106は、無線通信にかかる送受信を行うことができる。また、認証手段107は、無線機Bとの間で時間的な同期をとって定期的に通信を行い、無線機Bからの無線信号が所定の受信レベル以下で受信されたときは使用制限を行う。
【0027】
図2は、図1における無線機Aと無線通信を行う無線機Bを示すブロック図である。
【0028】
無線機Bは、第二のアンテナ201、第二の送受信手段202、第二の時間制御手段203、第二の認証手段204から構成される。
【0029】
無線機Bは、第二のアンテナ201を介することによって無線通信の送受信を行い、第二の送受信手段202は無線通信にかかる送受信を行うことができる。また、第二の時間制御手段203は、後述するようにある無線信号の受信ができない時間を計測するために用いられ、例えば後述する認証モードで無線信号が一定時間受信できないときは、サーチモードに戻るような処理を行う。また、第二の認証手段204は、無線機Aとの間で時間的な同期をとって定期的に通信を行い、無線機Aからの無線信号が所定の受信レベル以下で受信されたときは使用制限を行う。
【0030】
また、無線機Aは、例えばレーザポインタ機能を持ったワイヤレスキーであり、無線機Bの使用者が携行している。無線機Bは、例えばパソコンあり、無線機Aからの電波の受信レベルが弱くなると使用制限がかかるようになっている(使用制限とは、例えば無線機来Bがパソコンであれば、使用制限をかけることにより操作ができない状態やネットワークへアクセスできない状態となる。また、ネットワークに限らず個人情報が閲覧できない状態やファイル閲覧できない状態とすることもできる)。
【0031】
図3、図4は無線機Aと無線機Bとの間の通信シーケンスを示したものであり、図3はサーチモードの通信シーケンスを示し、図4は認証モードの通信シーケンスを示す。
【0032】
サーチモードとは、無線機Aと無線機Bがお互いの存在を確認しあい、認証モードに移行するためのモードである。
【0033】
認証モードとは、無線機Aと無線機Bとの間で時間的な同期をとって定期的に通信を行い、相手の存在を確認しあうモードである。認証モードで相手の存在を確認し、無線機Bは所定の受信レベル以上で無線機Aからの電波の受信している間は使用制限が行われない。
【0034】
ここで、図3を参照しながらサーチモード時のシーケンスを説明する。
【0035】
無線機Aは、当該無線機Aと対に設定されている無線機Bから送信されてくる信号を受信すべく、サーチチャネルのキャリアセンスを周期Tで繰り返している。一方、無線機Bは、少なくとも無線機Aのキャリアセンス周期T以上の期間、サーチ要求信号12を送信する。無線機Aと同期がとれていない無線機Bは、無線機AのキャリアセンスT以上の期間、サーチ要求信号12を送信することによって、無線機Aにサーチ要求信号12を受信させることができるようにしている。無線機Bは、そのサーチ要求信号12を受信した無線機Aから送信されるサーチ信号13を受信するまで、サーチ要求信号12を定期的に送信し続ける。
【0036】
無線機Aは、無線機Bからのサーチ要求信号12を受信することがなければ、サーチチャネルのキャリアセンスを繰り返す。また、無線機Aは、キャリアセンス実行時に、無線通信圏内にいる無線機Bからサーチ要求信号12を受信すると、無線機Bにサーチ信号13を送信する。そして、無線機Bはサーチ信号13を受信するとサーチ応答信号14を送信する。サーチ応答信号14を受信した無線機Aは、自機(無線機A)を識別する識別符号を含むキーID信号15を無線機Bに送信する。そのキーID信号15を受信した無線機Bは、そのキーID信号15に含まれる識別符号と、自機(無線機B)がデータとして予め記憶している識別符号(この識別符号は、無線認証を行う上で認証対象装置と対になる無線機Aの識別符号である。)と、が一致するか否かを判定し、一致していれば自機(無線機B)を識別する識別符号を含む端末ID信号16を無線機Aに送信する。
【0037】
端末ID信号16を受信した無線機Aは、以後、無線機Bとの間でチャレンジアンドレスポンス方式を用いた信号の送受信を行う。すなわち、端末ID信号16を受信した無線機Aは、チャレンジリクエスト信号17を無線機Bに送信する。チャレンジリクエスト信号17を受信した無線機Bは、8byteの乱数を発生させて生成したチャレンジ信号18を無線機Aに送信するとともに、そのチャレンジ信号18を無線機Aと共通の暗号化処理によって暗号化した暗号化信号を記憶する。チャレンジ信号18を受信した無線機Aは、このチャレンジ信号18に対して無線機Bと共通の暗号化処理を行って生成したレスポンス信号19を無線機Bに送信する。レスポンス信号19を受信した無線機Bは、そのレスポンス信号19と、チャレンジ信号18を無線機Aに送信したときに記憶しておいた暗号化信号と、を比較し照合する。無線機Bは、それらの信号が一致していれば、無線機Aとの認証に成功したと判定し、認証に成功した旨を知らせるACK信号20を無線機Aに送信する。
【0038】
キーID信号15以後の信号を所定の時間、相手側装置から受信できなければ、無線機Bはサーチ要求信号12の送信を再度開始し、一方無線機Aは無線機Bから送信されてくるサーチ要求信号12のキャリアセンスを再度開始する。上述したシーケンスのうち、無線機Bがサーチ要求信号12の送信を開始してから無線機AがACK信号20を受信するまでの期間をサーチモードと称する(なお、無線機Bがサーチ要求信号12の送信を開始してから無線機Aが端末ID信号16を受信するまでの期間をサーチモード、無線機Aがチャレンジリクエスト信号17を送信してから無線機AがACK信号20を受信するまでの期間を初期認証モード、とそれぞれ称されることがある)。また、ACK信号20を送信または受信した以降、無線機B及び無線機Aは、後述する認証モードに遷移することになる。
【0039】
続いて、無線機Bがサーチモードにおいてレスポンス信号19を送信した以後のシーケンスについて、図4を参照して説明する。無線機A及び無線機Bは、相手装置との同期をとるために、無線機Aが、レスポンス信号19を無線機Bに送信した時点を起点として計時を開始し、一方、無線機Bが、レスポンス信号19を無線機Aから受信した時点を起点として計時を開始するものとする。なお、無線機Bは、無線機Aから受信する各種信号のフレーム同期に合わせて、計時時刻を補正するものとする。
【0040】
無線機Aは、計時を開始してから2Tの周期で、無線機Bから送信される信号のキャリアセンスを繰り返す(無線機Aは、図4における「○」で示す時点で、認証チャネルのキャリアセンスを実施している。)。認証モードに遷移した無線機Bは、以後、無線機Aがキャリアセンスするタイミングに合わせて、任意の要求信号を無線機Aに送信する。
【0041】
また、無線機Aは、計時を開始してからTの周期で、サーチチャネルのキャリアセンスを実施する場合がある。無線機Aによるサーチチャネルのキャリアセンスは、無線機Aと対に設定されている無線機Bが複数台無線機Aに登録されており、一台でも無線認証を行っていない認証対象装置がある場合、無線認証を行っていない無線機Bから送信されてくる信号を受信するために実施される。なお、認証チャネルのキャリアセンスを実施するタイミングとサーチチャネルのキャリアセンスを実施するタイミングとが重複する場合があるが、このような場合、無線機Aは、認証チャネルのキャリアセンスを先に行い、無線機Bからの電波を検出できない場合にサーチチャネルのキャリアセンスを行う、という処理で対応する。
【0042】
無線機Bは、レスポンス信号22を受信してから時間2Tが経過したとき、その時点までに8byteの乱数を発生させて生成しておいたチャレンジ信号21を無線機Aに送信するとともに、そのチャレンジ信号21と、そのチャレンジ信号21を無線機Aと共通の
暗号化処理によって暗号化した8byteの暗号化信号と、を記憶する。
【0043】
チャレンジ信号21を受信した無線機Aは、このチャレンジ信号21と、このチャレンジ信号21に対して無線機Bと共通の暗号化処理を行って生成した8byteのレスポンス信号22と、を記憶するとともに、そのレスポンス信号22無線機Bに送信する。レスポンス信号22を受信した無線機Bは、そのレスポンス信号22と、チャレンジ信号21を無線機Aに送信したときに記憶しておいた暗号化信号と、を比較し照合する。無線機Bは、それらの信号が一致していれば、無線機Aとの認証に成功したと判定する。そして、この一連の認証処理は16T毎に繰り返し行われる。
【0044】
続いて、無線機Bが認証モードにおいてレスポンス信号を受信できない場合のシーケンスについて、説明する。無線機Bは、16Tの周期で、チャレンジ信号21を送信するが、チャレンジ信号21に対する無線機Aからのレスポンス信号22を受信できない場合、チャレンジ信号21を送信した時点から2T後に、同じチャレンジ信号21を再送する。無線機Bは、再送されたチャレンジ信号21に対する無線機Aからのレスポンス信号22を受信することができれば、最初のチャレンジ信号21を無線機Aに送信してから16Tが経過したときに、チャレンジ信号21を無線機Aに送信するようにする。
【0045】
一方、無線機Bは、チャレンジ信号21を送信した後、そのチャレンジ信号21に対する無線機Aからのレスポンス信号22を受信できない場合、チャレンジ信号21を送信した時点から2T後に、同じチャレンジ信号21を再送する。無線機Bは、チャレンジ信号21に対する無線機Aからのレスポンス信号22を受信することができれば、最初のチャレンジ信号21を無線機Aに送信してから16Tが経過したときに、チャレンジ信号21を無線機Aに送信するようにする。
【0046】
さらに、無線機Bはチャレンジ信号21の再送回数が所定の回数に達すると、または無線機Aが最初のチャレンジ信号21を受信すべき時点から4T経過すると、サーチ要求信号12の送信を開始し、サーチモードに遷移する。そして、無線機Bは、無線機Bに備わる機能の少なくとも一部に対する制限を加える、または、既に制限を加えた状態であればその制限を継続することになる。他方、無線機Aは、無線機Aが最初のチャレンジ信号21を受信すべき時点から4T経過すると、2T間隔の無線機Bに対する認証チャネルのキャリアセンスを中止し、同時点ではサーチチャネルのキャリアセンスを行うことになる。
【0047】
なお、無線機Aは、無線機Bからのチャレンジ信号21を受信できたものの、無線機Bが、無線機Aから送信されたレスポンス信号22を受信できない場合もある。無線機Aは、レスポンス信号22を送信した後、無線機Bから再送されるチャレンジ信号21を受信すれば、レスポンス信号22を再送することになる。
【0048】
無線機Bは、以上のようなシーケンスによって無線機Aとの間で無線認証を行い、無線機Bに備わる各種機能の一部または全てに対して制限を加え、またはその制限を解除する。
【0049】
次に、無線機A及び無線機Bが送受信する電文構造について図5を用いて説明する。図5は認証モードにおける送受信時に用いる電文構造であり、ビット同期信号50、フレーム同期信号51、ヘッダ部52及びデータ部53から構成されている。ヘッダ部52は様々な制御情報が含まれており、データ長60、種別61、ID情報62、操作情報63、オプション64から構成されている。
【0050】
データ長60には、ヘッダ部52以降のデータの長さが含まれる。種別61には、通信シーケンスにおける各種電文種別を示す情報が含まれる。ID情報62には、無線機の持
つ固有ID情報や宛先ID情報などが含まれる。操作情報63には、無線機Aに備えられているボタンやスイッチなどを操作したか否かを示す情報が含まれる。オプション64には、操作情報63を補足するための情報が含まれ、具体的には優先度70、時間情報71、認証範囲72から構成される。
【0051】
優先度70には、操作情報63に示される情報を処理する優先度を定める情報が含まれている。例えば、高、中、低という3段階のうちいずれかの情報を優先度70に含めることにより、操作情報63に示される情報が即時応答性を求めるか否かを判断することができる。なお、ここでは3段階としたが、さらに多くの段階をもうけても良い。
【0052】
時間情報71には、認証モードにおける通信時間間隔を定める情報が含まれている。例えば、即時応答性を求める場合には通信も頻繁に行なう必要がでてくる可能性があるので、その場合は、この時間情報71を用いて通信時間間隔を小さく指定することができる。
【0053】
認証範囲72には、無線機Aと無線機Bとが離れた場合に使用制限を行う距離を定める情報が含まれている。これは、現在の設定からある操作をするために認証範囲を広げたい場合や逆に認証範囲を狭めたい場合に用いられ、例えば、狭い、中、広いというような段階を設けることができる。
【0054】
ところで、レーザポインタとしての無線機Aは、一般的に主としてプレゼンテーションを行なう場合などで使用されるが、その際無線機Aは、パソコンとしての無線機Bと距離が離れてしまう場合がある。
【0055】
そうなると、プレゼンテーション中に使用制限がかかる恐れがあり、利便性に欠ける。また、手動で設定を変更することも可能ではあるが、設定変更を忘れた場合や、プレゼンテーションが終了してから、設定を元に戻すのを忘れるということも想定されるため、利便性に欠ける上にセキュリティの観点からも好ましくない。
【0056】
そこで、図4に示す認証モード時に安全スイッチ103が解除されている場合は、レスポンス信号22における操作情報63には安全スイッチ103が解除されていることを示す情報を含め、またオプション64には認証範囲を広くするための情報を含める。具体的には、認証範囲が「狭い」の設定で動作しているのであれば、「中」、または「広い」という情報を入れ、この情報に基づき受信レベルの閾値を下げることで認証範囲を広くする。
【0057】
なお、レーザポインタ使用前の準備であるため即時応答性を求めるものではないので優先度70には優先度が低いことを示す情報を含めてもよい。
【0058】
これによれば、無線機Bはこの信号を受信すると、ワイヤレスキーの安全スイッチ103が解除されたことを知ることができ、認証する範囲を広い設定として動作し、ワイヤレスキーも認証する範囲を広い設定で以降の認証シーケンスを継続し、自動的に認証範囲を調整することができるので、意図しない使用制限を防止できる。
【0059】
なお、レーザの照射は不定期に操作されるはずである。従って、レスポンス信号22に操作情報を乗せるのは、照射ボタン102の操作を行なった次のレスポンス信号22送信タイミングにおいて、1度だけ送信すればよい。レスポンス信号22を送信してから、次のレスポンス信号22を送信するまでの間に照射ボタン102の操作が無かった場合には、操作情報63に照射ボタン102押下の情報を乗せる必要はなく、レスポンス信号22を受信するパソコン側およびレスポンス信号22を送信したワイヤレスキー側が前回の設定のままで動作すればよい。再び照射ボタン102が押下された場合には、次のレスポン
ス信号22送信タイミングにおいて、操作情報63に乗せればよい。
【0060】
なお、安全スイッチ103はスライド型の一般的なスイッチを使用しても良いし、レーザ照射口を物理的に覆うようなものであってもよくその形状や素材にこだわるものではない。
【0061】
ここで、認証モードにおいて、前述した操作情報63を含むレスポンス信号22を受信した無線機B側の動作について触れておく。安全スイッチ103や照射ボタン102の操作情報63を受け取ったパソコンは、パソコンアプリケーションを利用してユーザに報知する。例えば、アプリケーション画面にその情報を表示させても良いし、ブザーによる音やLEDの点灯でも良い。このように、ユーザに対して操作情報を表示することで、安全スイッチ解除状態で使用または放置されることを防止することが出来る。また、意図しないレーザ照射などを知らせることができるので、安全なワイヤレスキーを提供することが可能となる。
【0062】
次に、認証モードにおいてチャレンジ信号21の再送が発生した場合の動作について説明する。図3、4を用いて前述したように、パソコンがチャレンジ信号21に対するワイヤレスキーからのレスポンス信号22を受信できない場合、チャレンジ信号21を送信した時点から2T後に、同じチャレンジ信号21を再送する。当然のことながらレスポンス信号22も2T後に送信されることになる。すなわち、操作情報63の伝達が2T時間遅れることになる。
【0063】
そこで、この遅延時間を考慮し、再送発生の場合においては、操作情報63を補足する優先度70において優先度をより高めるための情報を含める。例えば、再送がない場合は優先度を低にして送信するものであれば、再送時には優先度を中もしくは高に設定するというものである。このようにすることで、無線通信において一時的な問題が生じた場合でも、応答性を確保することができる。
【0064】
次に、サーチモードにおける動作を説明する。サーチモードの状態は通信相手が認証できていない、すなわち特定できていない状態であるため、操作情報63やオプション64に含まれる情報は即座に反映させない。これは、認証が確認されていない状態で別の通信相手からの信号を受け取ることによって誤動作することを防ぐためである。ただし、通信すべき相手ではないという判断がなされるまでは、電文が正しければ、その操作情報63やオプション64は記憶しておき、認証モードに遷移した時点で、即座に反映をさせる。このように構成することにより、認証モードから認証が外れて、サーチモードへ遷移して、再度認証モードへ遷移したような場合にも、操作情報63やオプション64を比較的スムーズに反映させることができる。すなわち、サーチモードにおいて受信した操作情報63やオプション64は記憶されているので、認証モードに遷移した時点で、直ちに処理することが可能となる。さらに、サーチモードにおいて複数回の操作情報63やオプション64を受信することが想定されるが、この場合にも優先度70に基づき、優先度の高いものから処理することが可能となる。従って、サーチモードにおける操作情報63やオプション64が無駄にならない。
【0065】
プレゼンテーションが終了して、安全スイッチ103を有効にしてレーザ照射が行なえない状態にした場合には、レスポンス信号22にて操作情報63とオプション64を使用して、無線機A、B両方の設定を元に戻し、認証を継続する。
【0066】
操作情報63には安全スイッチ103が有効になったことを示す情報を含め、オプション64には時間情報71と認証範囲72をそれぞれプレゼンテーション前の情報を含めることで初期状態に戻す。このとき、即時応答性を求める必要はないので、優先度は低でよ
い。
【0067】
上記のような構成にすることで、ワイヤレスキーが使用される場面に合わせて自動的に通信間隔や認証範囲を変化させることが可能になり、セキュリティと安全性と利便性を兼ね備えた、柔軟な認証システムを提供することができる。
【0068】
(実施の形態2)
次に、図1に示した無線機Aとは別形態のものを図6に示す。図1と異なる点は、マウスボタン108が追加された点である。マウスボタン108は、プレゼンテーションにおいて、パソコン画面のページ送りや画面スクロールなどに使用されるものであるが、このような動作要求に対しては即時応答性が求められる。
【0069】
そこで、認証モードにおいてマウスボタン108が操作され、このような即時応答性を求める操作情報63が存在した場合には、オプション64の優先度70を高に設定し、通信間隔を示す時間情報も短い値を設定する。認証範囲については、前述同様に安全スイッチ103が解除されている状態であれば、広い設定とする。
【0070】
優先度を上げることで、その情報をレスポンス信号22で受信したパソコンは即座にその情報を処理する。例えば、プレゼンテーション画面であれば、画面のページ送りや画面スクロールを行なうというものである。また、認証モードにおける通信間隔は16T毎を基本としている。したがって、時間情報71によってTを通常よりも短く設定することで頻繁に認証をおこない、結果として通信間隔を短くし、ある程度の即時応答性を確保することができる。
【0071】
また、Tを短くするには限界もあると言える。通常シーケンスでは前述したようにチャレンジ信号21の再送にあわせてレスポンス信号22を再送することになるが、このような場合には、マウスボタン108が押下されたときに、レスポンス信号22を再送することで即時応答性を確保できる。この場合、前回の送信したレスポンス信号22と同じ内容をデータ部53にセットし、操作情報63、オプション64のみを変更するというものである。このようにしておけば、パソコン側は操作情報63とオプション64のみに注意を払うだけでよく、認証にあたえる支障もない。また通信間隔を極端に小さくする必要もないため、消費電力を抑えて即時応答性を確保した認証システムを提供することが可能となる。
【0072】
なお、上記実施の形態で説明し形態や数値は、説明するための一例でありこれに限定するものではない。
【0073】
なお、本実施の形態で説明した図1の手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、IOなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信することで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上のように本発明にかかる無線機は、例えばレーザポインタ機能を備えたワイヤレスキーにおいて、置き忘れや盗難防止などセキュリティ機能を確保し、使用場面に必要とされる利便性の両立を図ることができる電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態におけるレーザポインタ機能を備える無線機のブロック図
【図2】本発明の第1の実施の形態における無線機のブロック図
【図3】本発明の第1の実施の形態における無線機のサーチモードでの通信シーケンス図
【図4】本発明の第1の実施の形態における無線機の認証モードでの通信シーケンス図
【図5】本発明の第1の実施の形態における無線機の電文構成を示す図
【図6】本発明の第2の実施の形態におけるマウスボタンを備えたレーザポインタ機能を備える無線機のブロック図
【符号の説明】
【0076】
A、B 無線機
1 第一のアンテナ
105 第一の時間制御手段
106 第一の送受信手段
107 第一の認証手段
201 第二のアンテナ
202 第二の送受信手段
203 第二の時間制御手段
204 第二の認証手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信相手である携帯端末装置からの信号を受信する無線手段と、
前記無線部で受信した信号の受信レベルが第一閾値以下であるときに使用制限を行う認証手段とを備え、
前記携帯端末装置から送信される信号に認証距離変更要求データが含まれていた場合、前記認証手段は前記無線部で受信した信号の受信レベルが前記第一閾値よりも低い第二閾値以下であるときに使用制限を行うようにする無線機。
【請求項2】
携帯端末装置から送信される信号に処理の優先度を示す情報が含まれていた場合、他の受信信号よりも先に処理を行う請求項1記載の無線機。
【請求項3】
携帯端末装置から送信される信号に通信周期の変更を示す情報が含まれていた場合、無線手段は、受信周期を変更して無線機からの信号を受信する請求項2記載の無線機。
【請求項4】
携帯端末装置は、任意の機能の実施に関する入切を行う第一スイッチと、前記第一スイッチの入切に関わらず前記第一スイッチを無効化する第二スイッチとを備え、
前記携帯端末装置は前記第二スイッチにより前記第一スイッチが有効化または無効化されている場合に、送信信号中に認証距離変更要求データを含むようにした請求項3記載の無線機。
【請求項5】
携帯端末装置から送信される信号に認証距離変更要求データが含まれていたことを報知する機能を持つことを特徴とする請求項4記載の無線機。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の機能を有する無線機、またはこの機能を有する電子機器、またはそれを実現するためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−97233(P2009−97233A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269927(P2007−269927)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】