説明

無線環境の時間占有率を監視する無線環境監視装置及びプログラム

【課題】無線環境を監視する無線環境監視装置であって、エラー又は取りこぼしたパケットについても補完し、できる限り精度の高い時間占有率を導出することができる無線環境監視装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】無線環境監視装置は、正常に受信したパケットのデータサイズ及びシーケンス番号を蓄積するパケット情報蓄積手段と、データサイズに基づいて当該パケットの占有時間を算出するパケット時間算出手段と、シーケンス番号がシーケンス順になっていないことによって取りこぼしたと判定されたパケットのシーケンス番号を補完するシーケンス管理手段と、補完されたシーケンス番号に基づくパケットの占有時間を算出する補完パケット時間算出手段と、パケットの占有時間を、送信元アドレス及び宛先アドレスのセット毎に累積し、単位時間あたりの時間占有率を算出する時間占有率算出手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線環境を監視する無線環境監視装置及びプログラムに関する。特に、複数の無線システムを同時に使用することによって、周波数利用効率を向上させるコグニティブ無線システムに適する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話網、無線LAN(Local Area Network)等の無線アクセスシステムが普及している。今後、複数の周波数帯/方式/世代等、異なる多種多様な無線システムの共存が進むことにより、無線環境における無線リソースの枯渇が懸念される。このような状況に対して「コグニティブ(Cognitive)無線技術」を適用することが考えられる。
【0003】
コグニティブ無線技術とは、特性の異なる複数の無線システムにおける無線環境の使用状況を認識し、各無線システムを適応的に制御して使用することによって、周波数利用効率を向上させる技術である。コグニティブ無線技術について、無線環境の無線使用率は、特に重要なパラメータである。無線使用率は、一般的に、基地局又はアクセスポイントによって送受信されるパケットに基づいて測定される。
【0004】
従来、無線通信機能を備えた端末を、パケットアナライザとして機能させる「パケットアナライザソフトウェア」がある(例えば非特許文献1参照)。パケットアナライザは、無線環境で送受信されているパケットについて、受信時刻、エラーの有無、無線情報及び/又はパケット情報を取得する。そして、時間当たりのパケット数又はパケットサイズ、正常受信率などを測定し且つ集計する。
【0005】
パケットアナライザは、例えば、IEEE802.11b/a/gによって規定されたパケットを監視し、制御パケットのような下位層プロトコルからIP/TCP/UDPのような上位層プロトコルまで認識することができる。送受信を検出したパケットについて、それらのトラヒック情報が、履歴として保存される。このトラヒック情報を解析することによって、無線環境における正常受信率等を認識することができる。
【0006】
図1は、無線環境監視装置を備えたシステム構成図である。
【0007】
図1によれば、複数のアクセスポイント2が複数の端末3と通信している無線環境について、無線環境監視装置1が備えられている。無線環境監視装置1は、これらアクセスポイント2と端末3との間で送受信されているパケットを、盗聴的に受信する。受信したパケットに関する情報は、トラヒック情報として蓄積する。
【0008】
尚、アクセスポイントについて、WFQ(Weighted Fair Queuing)を用いて、設定された占有率となるようにパケットを振り分ける技術もある(例えば非特許文献2参照)。但し、この占有率は、実際の無線環境における占有率ではなく、パケット数又はデータ量に対する制御である。従って、設定された占有率は、実際の無線環境における無線使用率を制御することにはならない。
【0009】
【非特許文献1】株式会社コレガ、「パケットアナライザソフトウェア」、[online]、[平成19年7月14日検索]、インターネット<URL:http://www.corega.co.jp/product/list/others/airpacmon.htm>
【非特許文献2】モトローラ株式会社、「IEEE802.11a,b/g対応エンタープライズ無線LANアクセスポイント、WFQ(Weighted Fair Queuing)による無線の帯域制御、1APあたりの接続制御機能」、[online]、[平成19年7月14日検索]、インターネット<URL:http://www.symbol.co.jp/products/AP5131/index.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、時間経過に対する無線環境の使用率(以下「時間占有率」という)を監視したいとする。1つのパケットの占有時間は、そのパケットのデータサイズを、伝送速度(例えば変調速度)で除算することによって算出される。無線環境監視装置が、盗聴的に受信した全てのパケットについて、その占有時間を累積することによって、時間占有率(単位時間あたりの無線の占有時間)を導出することができる。
【0011】
しかしながら、無線通信装置間では、無線環境を介して正常にパケットを送受信できた場合であっても、無線環境監視装置が、そのパケットを、エラー受信又は取りこぼす場合がある。例えば、無線通信装置間の距離よりも、各無線通信装置と無線環境監視装置との間の距離が長い場合には、そのパケットを盗聴的に受信できない場合もある。従来技術によれば、このような場合であっても、無線環境監視装置は、受信できなかったパケットの無線占有時間を、累積占有時間に加算することはない。無線環境監視装置は、取りこぼしたパケットを、単に送信されなかったパケットとして扱うだけである。
【0012】
このような、パケットのエラー又は取りこぼしによって、無線環境監視装置は、無線環境の実際の時間占有率よりも、低い時間占有率を導出する。これにより、エラー又は取りこぼしパケットが多い場合、その無線環境における実際の時間占有率よりも、かなり低い時間占有率を、ユーザに認識させることとなる。
【0013】
従って、本発明は、無線環境を監視する無線環境監視装置であって、エラー又は取りこぼしたパケットについても補完し、できる限り精度の高い時間占有率を導出することができる無線環境監視装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、複数の無線通信装置間で送受信されているパケットを盗聴的に受信する無線環境監視装置において、
正常に受信したパケットにおけるデータサイズ及びシーケンス番号を蓄積するパケット情報蓄積手段と、
データサイズに基づいて当該パケットの占有時間を算出するパケット時間算出手段と、
シーケンス番号がシーケンス順になっているか否かを判定し、シーケンス順になっていないことによって取りこぼしたと判定されたパケットのシーケンス番号を補完するシーケンス管理手段と、
補完されたシーケンス番号に基づくパケットの占有時間を算出する補完パケット時間算出手段と、
パケット時間算出手段及び補完パケット時間算出手段から出力された当該パケットの占有時間を、送信元アドレス及び宛先アドレスのセット毎に累積し、単位時間あたりの時間占有率を算出する時間占有率算出手段と
を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の無線環境監視装置における他の実施形態によれば、
パケット情報蓄積手段は、正常に受信したパケットにおける再送フラグを更に蓄積し、
シーケンス管理手段は、シーケンス番号毎に、再送フラグが初送を示すパケットを受信することなく、再送フラグが再送を示すパケットを受信した場合、再送フラグが初送を示すパケットを補完することも好ましい。
【0016】
本発明の無線環境監視装置における他の実施形態によれば、補完パケット時間算出手段は、補完されたシーケンス番号と同じシーケンス番号を含むパケットを受信していた場合、そのパケットのデータサイズから占有時間を算出し、受信していない場合、過去に受信した複数のパケットのデータサイズに基づく平均値又は推定値から占有時間を算出することも好ましい。
【0017】
本発明の無線環境監視装置における他の実施形態によれば、
パケット情報蓄積手段は、データパケットと確認パケットとを区分して蓄積しており、
シーケンス管理手段は、当該データパケットに対応する確認パケットを取りこぼしたか否かを判定し、
補完パケット時間算出手段は、確認パケットの既知のデータサイズによって、該確認パケットの占有時間を算出することも好ましい。
【0018】
本発明の無線環境監視装置における他の実施形態によれば、シーケンス管理手段は、先のシーケンス番号から一定値以上飛んで、後のシーケンス番号のパケットが受信された場合、その間のシーケンス番号を補完しないことも好ましい。
【0019】
本発明の無線環境監視装置における他の実施形態によれば、シーケンス管理手段は、先のシーケンス番号から飛んで、後のシーケンス番号0のパケットが受信された場合、その間のシーケンス番号を補完しないことも好ましい。
【0020】
本発明の無線環境監視装置における他の実施形態によれば、無線環境監視装置が無線LAN(Local Area Network)に配置されている場合、パケット時間算出手段及び補完パケット時間算出手段は、算出されたパケット時間に、データパケットの送信待ち時間(例えばDIFS(Distributed Inter Frame Space)、SIFS(Short Inter Frame Space)及び/又はバックオフ時間)及び/又は確認メッセージの受信待ち時間(NAV(Network Allocation Vector)時間)を加算することも好ましい。
【0021】
本発明によれば、複数の無線通信装置間で送受信されているパケットを盗聴的に受信する無線環境監視装置において、
正常に受信したパケットにおけるデータサイズ及びシーケンス番号を蓄積するパケット情報蓄積手段と、
データサイズに基づいて当該パケットの占有時間を算出するパケット時間算出手段と、
シーケンス番号がシーケンス順になっているか否かを判定し、シーケンス順になっていないことによって取りこぼしたと判定されたパケットのシーケンス番号を補完するシーケンス管理手段と、
パケット時間算出手段から出力された当該パケットの占有時間を、送信元アドレス及び宛先アドレスのセット毎に累積し、単位時間あたりの時間占有率を算出する時間占有率算出手段と、
シーケンス管理手段によって補完された後の単位時間あたりのパケット数Aと、正常に受信した単位時間あたりパケット数Nとを用いて、補完率=A/Nを算出し、時間占有率にその補完率を乗算した値を時間占有率とする時間占有率補完手段と
を有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明によれば、複数の無線通信装置間で送受信されているパケットを盗聴的に受信する無線環境監視装置において、
正常に受信したパケットにおけるデータサイズ及びシーケンス番号を蓄積するパケット情報蓄積手段と、
データサイズに基づいて当該パケットの占有時間を算出するパケット時間算出手段と、
シーケンス番号がシーケンス順になっているか否かを判定し、シーケンス順になっていないことによって取りこぼしたと判定されたパケットのシーケンス番号を補完するシーケンス管理手段と、
補完されたシーケンス番号に基づくパケットの占有時間を算出する補完パケット時間算出手段と、
パケット時間算出手段から出力された当該パケットの占有時間を、送信元アドレス及び宛先アドレスのセット毎に累積し、単位時間あたりの時間占有率を算出する時間占有率算出手段と、
シーケンス管理手段によって補完されたパケットの占有率Bと、正常に受信した単位時間あたりのパケット数Nと、正常に受信した単位時間あたりの初送パケット数Cとを用いて、補完率=B×N/Cを算出し、時間占有率に該補完率を乗算した値を時間占有率とする時間占有率補完手段と
を有することを特徴とする。
【0023】
前述した本発明の無線環境監視装置は、コグニティブ無線システムの無線環境に配置されることも好ましい。
【0024】
また、本発明によれば、無線通信機能を有する装置に搭載されたコンピュータを、複数の無線通信装置間で送受信されているパケットを盗聴的に受信するように機能させる無線環境監視プログラムにおいて、
正常に受信したパケットにおけるデータサイズ及びシーケンス番号を蓄積するパケット情報蓄積手段と、
データサイズに基づいて当該パケットの占有時間を算出するパケット時間算出手段と、
シーケンス番号がシーケンス順になっているか否かを判定し、シーケンス順になっていないことによって取りこぼしたと判定されたパケットのシーケンス番号を補完するシーケンス管理手段と、
補完されたシーケンス番号に基づくパケットの占有時間を算出する補完パケット時間算出手段と、
パケット時間算出手段及び補完パケット時間算出手段から出力された当該パケットの占有時間を、送信元アドレス及び宛先アドレスのセット毎に累積し、単位時間あたりの時間占有率を算出する時間占有率算出手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0025】
更に、本発明によれば、無線通信機能を有する装置に搭載されたコンピュータを、複数の無線通信装置間で送受信されているパケットを盗聴的に受信するように機能させる無線環境監視プログラムにおいて、
正常に受信したパケットにおけるデータサイズ及びシーケンス番号を蓄積するパケット情報蓄積手段と、
前記データサイズに基づいて当該パケットの占有時間を算出するパケット時間算出手段と、
前記シーケンス番号がシーケンス順になっているか否かを判定し、シーケンス順になっていないことによって取りこぼしたと判定されたパケットのシーケンス番号を補完するシーケンス管理手段と、
前記パケット時間算出手段から出力された当該パケットの占有時間を、送信元アドレス及び宛先アドレスのセット毎に累積し、単位時間あたりの時間占有率を算出する時間占有率算出手段と、
前記シーケンス管理手段によって補完された後の単位時間あたりのパケット数Aと、正常に受信した単位時間あたりパケット数Nとを用いて、補完率=A/Nを算出し、前記時間占有率に該補完率を乗算した値を時間占有率とする時間占有率補完手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0026】
更に、本発明によれば、無線通信機能を有する装置に搭載されたコンピュータを、複数の無線通信装置間で送受信されているパケットを盗聴的に受信するように機能させる無線環境監視プログラムにおいて、
正常に受信したパケットにおけるデータサイズ及びシーケンス番号を蓄積するパケット情報蓄積手段と、
前記データサイズに基づいて当該パケットの占有時間を算出するパケット時間算出手段と、
前記シーケンス番号がシーケンス順になっているか否かを判定し、シーケンス順になっていないことによって取りこぼしたと判定されたパケットのシーケンス番号を補完するシーケンス管理手段と、
補完されたシーケンス番号に基づくパケットの占有時間を算出する補完パケット時間算出手段と、
前記パケット時間算出手段から出力された当該パケットの占有時間を、送信元アドレス及び宛先アドレスのセット毎に累積し、単位時間あたりの時間占有率を算出する時間占有率算出手段と、
前記シーケンス管理手段によって補完されたパケットの占有率Bと、正常に受信した単位時間あたりのパケット数Nと、正常に受信した単位時間あたりの初送パケット数Cとを用いて、補完率=B×N/Cを算出し、前記時間占有率に該補完率を乗算した値を時間占有率とする時間占有率補完手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明における無線環境監視装置及びプログラムによれば、少なくともシーケンス番号に基づいてエラー又は取りこぼしたパケットについても補完することができるので、できる限り精度の高い時間占有率を導出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下では、図面を用いて、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0029】
図2は、本発明における無線環境監視装置の機能構成図である。
【0030】
本発明における無線環境監視装置1は、コグニティブ無線システムの無線環境に配置されることに適する。勿論、無線環境監視装置の機能又はプログラムが、無線環境に配置された無線通信装置(例えば端末)によって実行されるものであってもよい。本発明における無線環境監視装置1は、無線受信部101と、パケット情報蓄積部102と、パケット時間算出部103と、シーケンス管理部104と、補完パケット時間算出部105と、時間占有率算出部106と、時間占有率補完部107と、ユーザインタフェース部108とを有する。これら機能構成部は、無線通信機能を有する通信装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによっても実現できる。
【0031】
無線受信部101は、無線環境監視装置1の無線周辺環境で送受信されているパケットを盗聴的に受信する。受信したパケットにおけるヘッダ情報(少なくともデータサイズ及びシーケンス番号、更には再送フラグ)を、パケット情報蓄積部102へ出力する。
【0032】
パケット情報蓄積部102は、送信元アドレス及び宛先アドレス毎に、正常に受信したパケットについて、以下のような情報を蓄積する。尚、パケット時間の算出に必要な伝送速度(変調方式)の情報も、送信元アドレス及び宛先アドレス毎に、予め記憶される。
【0033】
表1は、正常受信パケットのシーケンス番号の推移を表す第1の例である。
【表1】

【0034】
シーケンス番号002は5個連続して受信されており、また、シーケンス番号003及び007は2個連続して受信されている。これは、同一パケットが、対向する無線通信装置間で発生したエラーによって再送されていることを意味する。
【0035】
パケット情報蓄積部102は、正常に受信したパケットにおける再送フラグを更に蓄積することも好ましい。表2は、正常受信パケットのシーケンス番号+再送フラグの推移を表す第2の例である。
【表2】

【0036】
再送フラグは、初送(シーケンス番号が増分された直後に送信)のパケットに対して「0」を設定し、再送(シーケンス番号を同一にして送信)のパケットに対して「1」を設定する。つまり、再送フラグ「0」のパケットは、常に送信される。これによって、当該シーケンス番号について、再送フラグ「0」のパケットを受信することなく、再送フラグ「1」のパケットを受信した場合、再送フラグ「0」のパケットをエラー又は取りこぼしたと認識することができる。
【0037】
尚、パケット情報蓄積部102は、送信元アドレス及び宛先アドレス毎に、受信時刻、エラーの有無、周波数情報、受信電力、パケット種別等の情報を更に蓄積してもよい。
【0038】
パケット時間算出部103は、データサイズに基づいて当該パケットの占有時間を算出する。パケット情報蓄積部102には、送信元アドレス及び宛先アドレス毎に、伝送速度(変調速度)を記憶しているために、以下のようにパケットの占有時間を算出することができる。
パケットの占有時間[s]=
(パケットのデータサイズ[byte]×8[bit])/伝送速度[bit/s]
【0039】
尚、パケット占有時間に、更に、パケット種別毎の固定時間を加算することも好ましい。この実施形態については後述する。
【0040】
シーケンス管理部104は、パケット情報蓄積部102から、例えば表1又は表2のようなシーケンス情報を取得する。そして、シーケンス番号がシーケンス順になっているか否かを判定する。そして、シーケンス管理部104は、シーケンス順になっていないことによって取りこぼしたと判定されたパケットのシーケンス番号を補完する。
【0041】
表3は、表1に表された受信パケットの第1の例について補完したものである。
【表3】

【0042】
表3における第1の例によれば、シーケンス番号003から005へ飛び越えており、更にシーケンス番号005から007へ飛び越えている。このとき、シーケンス番号004のパケットと、シーケンス番号006のパケットとが、取りこぼされていると判断できる。このとき、シーケンス管理部104は、この取りこぼされたパケットを補完する。
【0043】
表4は、表2に表された受信パケットの第2の例について補完したものである。
【表4】

【0044】
表4は、表3と比較して、パケット番号7のシーケンス番号003は、パケット番号6のシーケンス番号002に続いてシーケンス順となるものであるが、再送フラグ「1(再送)」を受信している。この場合、シーケンス番号003で且つ再送フラグ「0(初送)」のパケットを取りこぼしていると判断できる。このとき、シーケンス管理部104は、シーケンス番号003で且つ再送フラグ「0」を示すパケットを補完する。
【0045】
また、パケット番号10のシーケンス番号007は、表3によって補完されたシーケンス番号006に続いてシーケンス順となるものであるが、再送フラグ「1(再送)」を受信している。この場合、シーケンス番号007で且つ再送フラグ「0(初送)」のパケットを取りこぼしていると判断できる。このとき、シーケンス管理部104は、シーケンス番号007で且つ再送フラグ「0」を示すパケットを補完する。
【0046】
尚、シーケンス管理部104は、先のシーケンス番号から一定値以上飛んで、後のシーケンス番号のパケットが受信された場合、その間のシーケンス番号を補完しないことも好ましい。また、シーケンス管理部は、先のシーケンス番号から飛んで、後のシーケンス番号0のパケットが受信された場合、その間のシーケンス番号を補完しないことも好ましい。シーケンス番号は、通常、パケットの送信順序に応じて、降順に設定される。しかしながら、シーケンス番号の最大値や、前後のシーケンス番号の間隔については、特に規定されているものではない。従って、シーケンス番号が大きく飛んだり、シーケンス番号0のパケットが受信された場合、その間の多数のパケットは送信されていない場合が多い。従って、シーケンス管理部104は、その間のパケットは補完しないようにする。
【0047】
補完パケット時間算出部105は、補完されたシーケンス番号に基づくパケットの占有時間を算出する。ここで、補完されたパケットについて、伝送速度はパケット情報蓄積部102に記憶されているものの、パケットのデータサイズは不明である。従って、データサイズを推定する必要がある。
【0048】
補完パケット時間算出部105は、補完されたシーケンス番号と同じシーケンス番号を含むパケットを受信していた場合、そのパケットのデータサイズから占有時間を算出する。表4について、「補完2」の再送フラグによって補完されたパケットについては、同一シーケンス番号のパケットを受信しているので、そのデータサイズを参照する。例えば、シーケンス番号003及び007のパケットについては、データサイズは明確である。
【0049】
一方で、補完されたシーケンス番号と同じシーケンス番号を含むパケットを受信していない場合、過去に受信した複数のパケットのデータサイズに基づく平均値又は推定値から占有時間を算出する。表3及び表4の「補完1」で補完されたパケットのデータサイズは、平均値によって算出されている。また、「補完1」で補完されたパケットを挟む前後のパケットのデータサイズの平均値であってもよい。例えば表3によって補完されたシーケンス番号004のデータサイズは、シーケンス番号003のデータサイズ1500byteと、シーケンス番号005のデータサイズ1200byteとの平均値であってもよい。また、データサイズが、周期的に変動している場合、その時間変化、又はシーケンス番号に依存した変化に対するデータサイズを導出し、その周期に基づいてデータサイズを推定することもできる。
【0050】
尚、パケット情報蓄積部102が、データパケットと確認パケットとを区分して蓄積することも好ましい。通常、データパケットを受信した端末は、そのシーケンス番号に対する確認パケット(ACK)を返信する。従って、シーケンス管理部104は、当該データパケットに対応する確認パケットを特定することによって、データパケット又は確認パケットを取りこぼしたか否かを判定することができる。通常、確認パケットのデータサイズは固定値であるので、データパケットの伝送速度に対応して、占有時間も固定値となる。補完パケット時間算出部105は、その固定値のデータサイズによって、確認パケットの占有時間を算出することができる。
【0051】
また、無線環境監視装置1が、シーケンス番号xのデータパケットを受信した際に、シーケンス番号x+αの確認パケットを受信した場合、シーケンス管理部104は、x+αまでのデータパケットが送信されたと判断することができる。この場合、シーケンス管理部104は、x+αまでのデータパケットを補完する。
【0052】
時間占有率算出部106は、パケット時間算出部103及び補完パケット時間算出部105から出力された当該パケットの占有時間を、送信元アドレス及び宛先アドレスのセット毎に累積し、単位時間あたりの時間占有率を算出する。
【0053】
ユーザインタフェース部108は、後述する図4のような時間占有率の変動グラフを表示する。これにより、ユーザは、コグニティブ無線システムとして他の通信に利用可能な時間を把握することができる。
【0054】
次に、以下では、パケット時間算出部103及び補完パケット時間算出部105について、パケットの占有時間に、パケット種別に基づく固定時間を加算する実施形態を説明する。
【0055】
前述の実施形態によれば、パケット時間は、データサイズを伝送速度で除算することによって算出されるものとして説明した。しかしながら、無線LANの場合、パケット時間に、DIFS(Distributed Inter Frame Space)、SIFS(Short Inter Frame Space)又はバックオフ時間のような待ち時間を加算することも好ましい。DIFSは、複数の無線通信装置が送信する分散制御用フレームの間隔である。SIFSは、同一の無線通信装置が送信する短フレームの間隔である。バックオフ時間は、各パケットがビジー状態から送信に移る際に生成するランダムな遅延時間である。
【0056】
これらの待ち時間は、実際には電波を送出していないために無線環境を占有していない。しかし、無線通信装置が、この待ち時間内に、他の無線通信装置や同一周波数を用いる他のシステムから送出された電波を検出した場合、当該無線通信装置は、そのデータの送信を延期する。その後、他の電波が送出されていないことを確認した後、再度、先の待ち時間を待ってから送信しようとする。即ち、この待ち時間は、無線環境を占有しているのと同様に、同様に他の無線通信装置が使用することのできない時間帯となっている。例えば、DIFS、SIFS又はバックオフ時間は、パケット毎に一定の固定時間を加算するものであってもよい。
【0057】
更に、他の実施形態によれば、パケット時間に、NAV(Network allocation vector)時間を加算することも好ましい。NAV時間は、パケットの送信禁止期間である。
【0058】
データパケットを受信した無線通信装置は、確認メッセージACKを返信する。無線環境監視装置が、この確認メッセージを取りこぼすことによって、時間占有率を推定する精度が低下する。無線LANの場合、事前にNAVの予約時間が、受信側の無線通信装置が確認メッセージACKを返信するまで設定される。そのため、このデータパケットを受信した他の無線通信装置は、そのNAV時間だけ送信を控える。即ち、そのNAV時間は、無線環境を占有したこととなる。
【0059】
以下では、前述した実施形態と異なって、時間占有率補完部107を備えた場合における2つの実施形態について説明する。
【0060】
第1の実施形態は、補完パケット時間算出部105を必要としないものである。時間占有率補完部107は、シーケンス管理部104から、補完された後の単位時間あたりのパケット数Aと、正常に受信した単位時間あたりのパケット数Nとを受け取る。そして、以下のように除算する。
補完率=A/N
A:補完された後の単位時間あたりのパケット数
N:正常に受信した単位時間あたりのパケット数
(パケット数A≧パケット数N)
そして、時間占有率算出部106は、パケット時間算出部103に基づく正常に受信した時間占有率を出力する。時間占有率補完部107は、その時間占有率に、前述の補完率を乗算することによって、補完された時間占有率を算出する。
補完された時間占有率=正常に受信した時間占有率×補完率
【0061】
第2の実施形態は、補完パケット時間算出部105を必要とする。時間占有率補完部107は、シーケンス管理部104から、補完されたパケット(取りこぼした初送パケット)の占有率Bと、正常に受信した単位時間あたりのパケット数Nと、正常に受信した単位時間あたりの初送パケット数Cとを受け取る。そして、以下のように除算する。
補完率=B×N/C
B:補完されたパケット(取りこぼした初送パケット)の占有率
N:正常に受信した単位時間あたりのパケット数
C:正常に受信した単位時間あたりの初送パケット数
(パケット数N≧パケット数C)
そして、時間占有率算出部106は、パケット時間算出部103に基づく正常に受信した時間占有率を出力する。時間占有率補完部107は、その時間占有率に、前述の補完率を乗算することによって、補完された時間占有率を算出する。
補完された時間占有率=正常に受信した時間占有率×補完率
【0062】
図3は、本発明における時間占有率の特性グラフである。
【0063】
図3のグラフは、IEEE802.11gを適用した無線機を用いて、アッテネータを介して無線機とアクセスポイントとを接続した場合の実験解析結果である。各無線機には、Iperfを実装し、無線機からアクセスポイントへ向けて、1200バイトのUDPパケットの送信レートを、0Mbpsから30Mbpsまで2Mbps間隔で変化させたものである。Iperfとは、ネットワークのスループットを測定するためのフリーソフトウェアである。
【0064】
図3のグラフは、第1に、Iper設定レート(横軸)に対する、スループット(右縦軸)を表す。スループットは破線で表されている。スループットは、0Mbpsから26Mbpsまで入力に対して一致した出力が得られ、28Mbps以上では27Mbpsで頭打ちとなっている。即ち、28Mbps以上では無線環境が飽和し、占有率が1となったと判断できる。このようなスループットに、なるべく近い時間占有率を推定することが好ましい。
【0065】
図3のグラフは、第2に、Iper設定レート(横軸)に対する、時間占有率(左縦軸)を表す。◆は、既存のパケットアナライザ(例えば非特許文献1参照)によって得られた時間占有率であり、●は、本発明に基づく無線環境監視装置によって得られた時間占有率である。
【0066】
既存の時間占有率の場合、低いIperf設定レートでは、スループットと同様に、入力に比例して占有率が増加する。しかし、およそ飽和している26Mbpsでも、時間占有率0.65以下となっている。これに対し、本発明の時間占有率の場合、およそ飽和している28Mbps及び30Mbpsでは、時間占有率1となっている。従って、本発明によれば、精度の高い時間占有率を推定できていることが理解できる。
【0067】
図4は、本発明における時間占有率の変動グラフである。
【0068】
図4によれば、時間経過に対する時間占有率が変動していることが理解できる。コグニティブ無線システムは、時間占有率が低い時間帯に、他の通信で利用することができる。従来技術に基づくパケットアナライザによれば、時間占有率を低く推定してしまうために、ユーザは、その時間に利用できる無線環境を、過度に期待することとなる。しかしながら、本発明に基づく無線環境監視装置によれば、実際の時間占有率に近い値を推定する。これにより、ユーザは、できる限り精度の高い時間占有率を把握することができる。
【0069】
以上、詳細に説明したように、本発明における無線環境監視装置及びプログラムによれば、少なくともシーケンス番号に基づいてエラー又は取りこぼしたパケットについても補完することができるので、できる限り精度の高い時間占有率を導出することができる。
【0070】
前述した本発明における種々の実施形態によれば、当業者は、本発明の技術思想及び見地の範囲における種々の変更、修正及び省略を容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】無線環境監視装置を備えたシステム構成図である。
【図2】本発明における無線環境監視装置の機能構成図である。
【図3】本発明における時間占有率の特性グラフである。
【図4】本発明における時間占有率の変動グラフである。
【符号の説明】
【0072】
1 無線環境監視装置、パケットアナライザ
101 無線受信部
102 パケット情報蓄積部
103 パケット時間算出部
104 シーケンス管理部
105 補完パケット時間算出部
106 時間占有率算出部
107 時間占有率補完部
108 ユーザインタフェース部
2 アクセスポイント、基地局
3 端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線通信装置間で送受信されているパケットを盗聴的に受信する無線環境監視装置において、
正常に受信したパケットにおけるデータサイズ及びシーケンス番号を蓄積するパケット情報蓄積手段と、
前記データサイズに基づいて当該パケットの占有時間を算出するパケット時間算出手段と、
前記シーケンス番号がシーケンス順になっているか否かを判定し、シーケンス順になっていないことによって取りこぼしたと判定されたパケットのシーケンス番号を補完するシーケンス管理手段と、
補完されたシーケンス番号に基づくパケットの占有時間を算出する補完パケット時間算出手段と、
前記パケット時間算出手段及び前記補完パケット時間算出手段から出力された当該パケットの占有時間を、送信元アドレス及び宛先アドレスのセット毎に累積し、単位時間あたりの時間占有率を算出する時間占有率算出手段と
を有することを特徴とする無線環境監視装置。
【請求項2】
前記パケット情報蓄積手段は、正常に受信したパケットにおける再送フラグを更に蓄積し、
前記シーケンス管理手段は、シーケンス番号毎に、再送フラグが初送を示すパケットを受信することなく、再送フラグが再送を示すパケットを受信した場合、再送フラグが初送を示すパケットを補完する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線環境監視装置。
【請求項3】
前記補完パケット時間算出手段は、補完されたシーケンス番号と同じシーケンス番号を含むパケットを受信していた場合、そのパケットのデータサイズから占有時間を算出し、受信していない場合、過去に受信した複数のパケットのデータサイズに基づく平均値又は推定値から占有時間を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線環境監視装置。
【請求項4】
前記パケット情報蓄積手段は、データパケットと確認パケットとを区分して蓄積しており、
前記シーケンス管理手段は、当該データパケットに対応する確認パケットを取りこぼしたか否かを判定し、
前記補完パケット時間算出手段は、確認パケットの既知のデータサイズによって、該確認パケットの占有時間を算出する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の無線環境監視装置。
【請求項5】
前記シーケンス管理手段は、先のシーケンス番号から一定値以上飛んで、後のシーケンス番号のパケットが受信された場合、その間のシーケンス番号を補完しないことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の無線環境監視装置。
【請求項6】
前記シーケンス管理手段は、先のシーケンス番号から飛んで、後のシーケンス番号0のパケットが受信された場合、その間のシーケンス番号を補完しないことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の無線環境監視装置。
【請求項7】
前記無線環境監視装置が無線LAN(Local Area Network)に配置されている場合、前記パケット時間算出手段及び前記補完パケット時間算出手段は、算出された前記パケット時間に、データパケットの送信待ち時間及び/又は確認メッセージの受信待ち時間を加算することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の無線環境監視装置。
【請求項8】
複数の無線通信装置間で送受信されているパケットを盗聴的に受信する無線環境監視装置において、
正常に受信したパケットにおけるデータサイズ及びシーケンス番号を蓄積するパケット情報蓄積手段と、
前記データサイズに基づいて当該パケットの占有時間を算出するパケット時間算出手段と、
前記シーケンス番号がシーケンス順になっているか否かを判定し、シーケンス順になっていないことによって取りこぼしたと判定されたパケットのシーケンス番号を補完するシーケンス管理手段と、
前記パケット時間算出手段から出力された当該パケットの占有時間を、送信元アドレス及び宛先アドレスのセット毎に累積し、単位時間あたりの時間占有率を算出する時間占有率算出手段と、
前記シーケンス管理手段によって補完された後の単位時間あたりのパケット数Aと、正常に受信した単位時間あたりパケット数Nとを用いて、補完率=A/Nを算出し、前記時間占有率に該補完率を乗算した値を時間占有率とする時間占有率補完手段と
を有することを特徴とする無線環境監視装置。
【請求項9】
複数の無線通信装置間で送受信されているパケットを盗聴的に受信する無線環境監視装置において、
正常に受信したパケットにおけるデータサイズ及びシーケンス番号を蓄積するパケット情報蓄積手段と、
前記データサイズに基づいて当該パケットの占有時間を算出するパケット時間算出手段と、
前記シーケンス番号がシーケンス順になっているか否かを判定し、シーケンス順になっていないことによって取りこぼしたと判定されたパケットのシーケンス番号を補完するシーケンス管理手段と、
補完されたシーケンス番号に基づくパケットの占有時間を算出する補完パケット時間算出手段と、
前記パケット時間算出手段から出力された当該パケットの占有時間を、送信元アドレス及び宛先アドレスのセット毎に累積し、単位時間あたりの時間占有率を算出する時間占有率算出手段と、
前記シーケンス管理手段によって補完されたパケットの占有率Bと、正常に受信した単位時間あたりのパケット数Nと、正常に受信した単位時間あたりの初送パケット数Cとを用いて、補完率=B×N/Cを算出し、前記時間占有率に該補完率を乗算した値を時間占有率とする時間占有率補完手段と
を有することを特徴とする無線環境監視装置。
【請求項10】
コグニティブ無線システムの無線環境に配置されることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の無線環境監視装置。
【請求項11】
無線通信機能を有する装置に搭載されたコンピュータを、複数の無線通信装置間で送受信されているパケットを盗聴的に受信するように機能させる無線環境監視プログラムにおいて、
正常に受信したパケットにおけるデータサイズ及びシーケンス番号を蓄積するパケット情報蓄積手段と、
前記データサイズに基づいて当該パケットの占有時間を算出するパケット時間算出手段と、
前記シーケンス番号がシーケンス順になっているか否かを判定し、シーケンス順になっていないことによって取りこぼしたと判定されたパケットのシーケンス番号を補完するシーケンス管理手段と、
補完されたシーケンス番号に基づくパケットの占有時間を算出する補完パケット時間算出手段と、
前記パケット時間算出手段及び前記補完パケット時間算出手段から出力された当該パケットの占有時間を、送信元アドレス及び宛先アドレスのセット毎に累積し、単位時間あたりの時間占有率を算出する時間占有率算出手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする無線環境監視プログラム。
【請求項12】
無線通信機能を有する装置に搭載されたコンピュータを、複数の無線通信装置間で送受信されているパケットを盗聴的に受信するように機能させる無線環境監視プログラムにおいて、
正常に受信したパケットにおけるデータサイズ及びシーケンス番号を蓄積するパケット情報蓄積手段と、
前記データサイズに基づいて当該パケットの占有時間を算出するパケット時間算出手段と、
前記シーケンス番号がシーケンス順になっているか否かを判定し、シーケンス順になっていないことによって取りこぼしたと判定されたパケットのシーケンス番号を補完するシーケンス管理手段と、
前記パケット時間算出手段から出力された当該パケットの占有時間を、送信元アドレス及び宛先アドレスのセット毎に累積し、単位時間あたりの時間占有率を算出する時間占有率算出手段と、
前記シーケンス管理手段によって補完された後の単位時間あたりのパケット数Aと、正常に受信した単位時間あたりパケット数Nとを用いて、補完率=A/Nを算出し、前記時間占有率に該補完率を乗算した値を時間占有率とする時間占有率補完手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする無線環境監視プログラム。
【請求項13】
無線通信機能を有する装置に搭載されたコンピュータを、複数の無線通信装置間で送受信されているパケットを盗聴的に受信するように機能させる無線環境監視プログラムにおいて、
正常に受信したパケットにおけるデータサイズ及びシーケンス番号を蓄積するパケット情報蓄積手段と、
前記データサイズに基づいて当該パケットの占有時間を算出するパケット時間算出手段と、
前記シーケンス番号がシーケンス順になっているか否かを判定し、シーケンス順になっていないことによって取りこぼしたと判定されたパケットのシーケンス番号を補完するシーケンス管理手段と、
補完されたシーケンス番号に基づくパケットの占有時間を算出する補完パケット時間算出手段と、
前記パケット時間算出手段から出力された当該パケットの占有時間を、送信元アドレス及び宛先アドレスのセット毎に累積し、単位時間あたりの時間占有率を算出する時間占有率算出手段と、
前記シーケンス管理手段によって補完されたパケットの占有率Bと、正常に受信した単位時間あたりのパケット数Nと、正常に受信した単位時間あたりの初送パケット数Cとを用いて、補完率=B×N/Cを算出し、前記時間占有率に該補完率を乗算した値を時間占有率とする時間占有率補完手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする無線環境監視プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−49588(P2009−49588A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212146(P2007−212146)
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】