無線給電システム
【課題】被検者112の肉体的な負担を低減した無線給電システム1を提供する。
【解決手段】電力を受電する受電コイル26の軸がカプセル型筐体21の長手方向であり、かつカプセル型筐体21の重心が長手方向に偏心しており、かつ被検者112の体腔内に導入される液体113より比重が小さいカプセル型内視鏡111と、被検者112に装着され外部からカプセル型内視鏡111に電力を供給できる第1の送電コイル114と、被検者112を検査する検査台116に搭載され外部からカプセル型内視鏡111に電力を供給できる第2の送電コイル115とを備える。
【解決手段】電力を受電する受電コイル26の軸がカプセル型筐体21の長手方向であり、かつカプセル型筐体21の重心が長手方向に偏心しており、かつ被検者112の体腔内に導入される液体113より比重が小さいカプセル型内視鏡111と、被検者112に装着され外部からカプセル型内視鏡111に電力を供給できる第1の送電コイル114と、被検者112を検査する検査台116に搭載され外部からカプセル型内視鏡111に電力を供給できる第2の送電コイル115とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体内に導入されたカプセル型医療装置に、電磁誘導により、被検体の外部から電力を供給する無線給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡の分野では、撮像機能と無線機能とが装備されたカプセル型内視鏡が登場している。このカプセル型内視鏡は、観察(検査)のために被検体である被検者に飲み込まれた後、被検者の体腔から自然排出されるまでの間、胃、小腸などの臓器の内部をその蠕動運動に伴って移動し、撮像機能を用いて順次、臓器の内部を撮像する。また、これら臓器内を移動する間、カプセル型内視鏡によって生体内で撮像された画像データは、順次、無線通信などの無線機能により、被検者の外部に設けられた外部装置に送信される。
【0003】
特開2007−175448号公報には、体腔内に滞留した液体の液面に、重力方向の姿勢を保持した状態で浮遊するカプセル型内視鏡を用いて、被検者が姿勢を変えながら胃壁等を観察する観察システムが開示されている。前記観察システムでは、被検者はカプセル型内視鏡と液体を一緒に飲み込む。そして、液体の比重をカプセル型内視鏡の比重より大きくし、かつ、カプセル型内視鏡の構成を体腔内に滞留した液体の液面に、重力方向の姿勢を保持した状態で浮遊するように構成している。そして、前記観察システムでは、被検者が姿勢を変えることで、胃壁全体を順次観察することが提案されている。
【0004】
また、特開2004−159456号公報には、被検者の体腔内にある医療用小型機器に対して、電力を供給するエネルギー供給装置が開示されている。図20および図21は特開2004−159456号公報に開示されたエネルギー供給装置を説明するための図であり、図20はコイル構成を示す図であり、図21は、回路構成を説明するための図である。
【0005】
図20に示すように、エネルギー供給装置は、被検者Bの体腔内にある医療用小型機器100に配設された磁性体コア102を有する二次コイル101に、被検者Bに装着された3つのヘルムホルツ型の一次コイル41a−41b、42a−42b、43a−43bを用いて電力を供給する。一次コイル41a−41bはX方向、一次コイル42a−42bはY方向、一次コイル43a−43bはZ方向と、3つの一次コイルは、XYZ軸の各軸方向に配置されている。医療用小型機器100が動作するために必要な電力は、一次コイルが発生した磁界が、医療用小型機器100に配設された二次コイル101と鎖交することで、電磁誘導現象により供給される。
【0006】
また、図21に示すように、エネルギー供給装置は、3つの一次コイル41a−41b、42a−42b、43a−43bと、それぞれの一次コイルと直列接続された共振用コンデンサ42、44、46と、それぞれの一次コイルを駆動するスイッチング回路51、52、53と、直流電源46とを有している。
【0007】
そして、医療用小型機器100では、磁性体コア102を有する二次コイル101と共振用コンデンサ103とが直列接続され、更に、その直列接続された二次コイル101及び共振用コンデンサ103が4つのダイオードD1〜D4、インダクタンスL及びコンデンサCで構成される整流回路104に接続されている。
【0008】
上記構成により、上記エネルギー供給装置においては、いずれかの一次コイル101で発生した磁界により、二次コイル101に誘起された交流電流が整流回路104により直流に変換され、医療用小型機器100に電力が供給される。
【特許文献1】特開2007−175448号公報
【特許文献2】特開2004−159456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特開2007−175448号公報に開示されたカプセル型内視鏡は、その駆動電源として、カプセル型内視鏡に内蔵された電池を用いていた。しかし、電池を用いたカプセル型内視鏡では、観察時間が電池の容量によって決まり、長時間の観察が困難となる場合があった。
【0010】
また、特開2004−159456号公報に開示されたエネルギー供給装置においては、被検者は3つもの一次コイルを装着する必要があった。しかし、女性や高齢者が被検者の場合を考えると、3つもの一次コイルを体に装着しながらの姿勢変換を負担無く行うためには、一次コイルの軽量化が必要である。また、例えば、胃壁全体の観察を行うために、被検者は仰臥位と側臥位と座位との3つの姿勢を順に変える必要がある。このため、一次コイルは、被検者が姿勢を変える際に、障害とならない構成としたり、一次コイルの引き出し線が絡まったりしない構成にする必要がある。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑み、被検体の体腔内に導入されて被検体内情報を取得するカプセル型医療装置に対して、被検体の外部から電力を供給する送電コイルを備えた、被検者の肉体的な負担を低減した無線給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成すべく、本発明の無線給電システムは、被検体の体腔内に導入されて被検体内情報を取得するカプセル型医療装置であって電力を受電する受電コイルの軸がカプセル型筐体の長手方向であり、かつ前記カプセル型筐体の重心が前記カプセル型医療装置の長手方向に偏心しており、かつ前記被検体の体腔内に導入される液体より比重が小さいカプセル型医療装置と、前記被検体に装着され前記被検体の外部から前記カプセル型医療装置に電力を供給できる第1の送電コイルと、前記被検体を検査する検査台に搭載され前記被検体の外部から前記カプセル型医療装置に電力を供給できる第2の送電コイルとを備える。
【0013】
また、本発明の無線給電システムは、被検体の体腔内に導入されて被検体内情報を取得するカプセル型医療装置であって、電力を受電する受電コイルの軸がカプセル型筐体の長手方向であり、かつ、前記カプセル型筐体の重心が前記長手方向に偏心しており、かつ、前記被検体の体腔内に導入される液体より比重が小さいカプセル型医療装置と、前記被検体を検査する検査台に搭載され、前記被検体の外部から、前記カプセル型医療装置に、電力を供給できる第1の送電コイルと第2の送電コイルとを備え、前記検査台の角度を変える角度変更手段を備え、前記第1の送電コイルは前記検査台の長手方向の磁界を発生し、前記第2の送電コイルは前記検査台平面に対して垂直方向の磁界磁界を発生する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、被検体の体腔内に導入されて被検体内情報を取得するカプセル型医療装置に対して、被検体の外部から電力を供給する送電コイルを備えた、被検者の肉体的な負担を低減した無線給電システムを提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態の無線給電システム1について説明する。
<無線給電システムの概要>
図1は、本実施の形態にかかる無線給電システム1の概要を示す概要図であり、図2は、カプセル型内視鏡111の構造の概要を説明するための側面図であり、図3は、被検体である被検者112が無線給電システム1のカプセル型医療装置であるカプセル型内視鏡111と液体113を一緒に飲み込む状態を示す図であり、図4は、無線給電システム1の送電コイルの駆動回路を説明するための回路図である。図1に示すように、無線給電システム1は、被検者112の体腔内に導入されたカプセル型内視鏡111に、被検者112の外部から、電磁誘導により電力を供給する。
【0016】
図2に示すように、カプセル型内視鏡111は、被検者112の体腔内に導入可能な細長いカプセル型筐体21内に内蔵されている前端および後端方向の撮影が可能な撮像光学系22a、22b等とを備える複眼型のカプセル型内視鏡である。カプセル型内視鏡111は、被検者112の口腔から体内に飲み込み可能な大きさのものであり、略半球状で透明性あるいは透光性を有する先端カバー21a、21bと、可視光が不透過な有色材質からなる筒形状の胴部カバー21cとを弾性的に嵌合させることで、内部を液密に封止するカプセル型筐体21を形成している。
【0017】
カプセル型筐体21内には、撮像光学系22a、22bを含む撮像部22A、22B、画像処理部23、情報伝達部24、電源部25および電力を受電する受電コイル26および制御部(不図示)等が内蔵されている。
【0018】
撮像部22A、22Bは、カプセル型筐体21内にあって、先端部側の撮像部22Aは、体腔内撮像部位を先端カバー21a部分を介して照明するための照明光を出射するLEDなどの照明部28と、照明光による反射光を受光して体腔内撮像部位を撮像するCCDやCMOSなどの撮像素子29と、この撮像素子29に被写体の像を結像させる結像レンズ27とを備え、先端カバー21a側なる前端部方向の撮影が可能とされている。そして、後端側にも先端側と同様の撮像部22bが配設されている。画像処理部23は撮像した画像を処理し、情報伝達部24は撮像した画像を体外に無線で送信する機能を有している。
【0019】
受電コイル26は、導電線を巻回した所定のターン数のソレノイド型コイルであり、細長いカプセル型筐体21の胴部内に、コイルの軸がカプセルの長手方向となるように配設されている。ここで、コイルの軸とは、コイルの磁路の中心線を意味する。なお、受電コイル26は細長いカプセル型筐体21の一部に巻回されていてもよいし、内部に軟磁性コアを有していてもよい。
【0020】
また、電源部25は、カプセル型内視鏡111の内蔵物中では最も重い構成部材であるが、カプセル型筐体21内の後端部側に配設されている。そして本実施の形態のカプセル型内視鏡111は、後端側が相対的に重くなるように前後方向の重量バランスを変えることで重心位置が、細長いカプセル型筐体21の長手方向の中心よりも後端側に偏心している。このため、後述するようにカプセル型内視鏡111は、液体113上では水平面に常に立ち状態で浮揚することができる。なお、カプセル型内視鏡111は複眼型のカプセル型内視鏡であるため、前記の重心位置の偏心は、前端側に偏心していてもよい。また、電源部25以外の重い部材、例えば、錘を用いてカプセル型内視鏡111の重心を偏心させてもよい。
【0021】
図3に示すように、観察に先立ち、被検者112の体腔内に経口的に液体113と、カプセル型内視鏡111が導入される。液体113は、その比重がカプセル型内視鏡111よりも大きく、被検者112の口腔から飲用可能であって、かつ、カプセル型内視鏡111の撮像光学系22a、22bの波長に対して透明な液体が用いられる。カプセル型内視鏡111の比重が1未満の場合には、液体113として、比重が1に近い飲料水を用いることができる。被検者112の体腔内に導入する液体113の量は被検者112の体腔内部、例えば胃内部において滞留し、かつカプセル型内視鏡111が、その液面に浮遊するために十分な量とする。液体113は体腔内に一度に導入してもよいし、何回かに分割して導入してもよい。
【0022】
液体113は、その比重がカプセル型内視鏡111よりも大きく、カプセル型内視鏡111は重心が後端側に偏心しているので、被検者112の体腔内、例えば胃内の液面において、カプセル型内視鏡111は、常に、第1の撮像方向となる前端側が上を向き、第2の撮像方向となる後端側が下を向いた立ち状態(鉛直状態)で浮揚する。このため、カプセル型内視鏡111は、第1の撮像方向と第2の撮像方向を同時に安定した状態で観察することができる。
【0023】
次に、図1を用いて無線給電システム1の構成を説明する。図1に示すように、無線給電システム1は、体腔内に液体113とカプセル型内視鏡111が導入された被検者112が検査台116に横たわった状態で、被検体内情報を取得、例えば、被検者112の検査を行う。カプセル型内視鏡111に、電力を供給する送電コイルは、第1の送電コイル114と第2の送電コイル115とから構成されている。
【0024】
第1の送電コイル114は、被検者112の胸部および腹部に装着する送電コイルであり、本実施の形態においては、送電コイル114aと送電コイル114bとが対向配置されたヘルムホルツ型送電コイルである。一方、第2の送電コイル115は、対向する2個のコイルからなるヘルムホルツ型の送電コイルであり、検査台116に搭載されている。すなわち、検査台の下には第2の送電コイル115の一方の送電コイル115bが搭載され、検査台の上方には図示しないアーム等で支持された、もう一方の送電コイル115aが送電コイル115bと対向するように搭載されている。
【0025】
すなわち、第1の送電コイル114は、被検者112の身体方向の磁界を発生し、第2の送電コイル115は重力方向の磁界を発生する。ここで、被検者112の身体方向とは、被検者112の頭部と臀部を結ぶ方向である。
【0026】
そして、第1の送電コイル114は第1の送電コイル駆動回路117と、第2の送電コイル115は第2の送電コイル駆動回路118と接続され、それぞれの送電コイル駆動回路はコントローラ119に接続されている。
【0027】
次に図4を用いて、無線給電システム1の送電コイルの駆動回路を詳細に説明する。図4に示すように、第1の送電コイル114は、送電コイル114aと送電コイル114bとが直列に接続されており、共振コンデンサ121を介して、第1の送電コイル駆動回路117と接続されている。同様に、第2の送電コイル115は、送電コイル115aと送電コイル115bとが直列に接続されており、共振コンデンサ122を介して、第2の送電コイル駆動回路118と接続されている。
【0028】
すなわち、第1の送電コイル114および第2の送電コイル115は、それぞれと接続されたそれぞれの共振コンデンサ121、122を有する。被検者112の体内にあるカプセル型内視鏡111に給電する際には、カプセル型内視鏡111内部の受電コイル26の共振周波数と、無線給電システム1の送電用の送電コイルの共振周波数を一致することで、効率的な給電が可能となる。
【0029】
第1の送電コイル駆動回路117と第2の送電コイル駆動回路118とは、後述するように被検者112の姿勢に基づき、第1の送電コイル114または第2の送電コイル115を選択し駆動するためのコントローラ119に接続されている。なお、第1の送電コイル駆動回路117と第2の送電コイル駆動回路118には、図示していない駆動用電源が接続されている。
【0030】
なお、被検者112の姿勢は、例えば、被検者112に装着される傾斜センサ等の姿勢検出手段が検出し、コントローラ119に姿勢情報を入力してもよい。
【0031】
<無線給電システムの動作>
次に、図1および図5〜図10を用いて、本実施の形態の無線給電システム1の動作による被検体内情報の取得について説明する。図1は被検者112が仰臥位時の無線給電システム1の概要を示す概要図であり、図5、図6は、被検者112が仰臥位時の観察時の胃の模式図であり、図7は被検者112が側臥位時の無線給電システム1の概要を示す概要図であり、図8は被検者112が側臥位時の観察時の胃の模式図であり、図9は被検者112が座位時の無線給電システム1の概要を示す概要図であり、図10は被検者112が座位時の観察時の胃の模式図である。
【0032】
図1に示したように、体腔内にカプセル型内視鏡111と液体113とが導入された被検者112は、最初の姿勢である仰臥位で検査台116に横たわっている。この際に、被検者112の胃部は、検査台116の下に搭載された第2の送電コイル115bの上になるような位置とする。なお、被検者112が検査台116に横たわった後に、第2の送電コイル115aを、第2の送電コイル115bと対向する位置に配置している。
【0033】
この時、図5および図6に示すように、カプセル型内視鏡111は液体113より比重が小さいので、液体113が滞留した胃123内部では、カプセル型内視鏡111は液体113の液面に浮上する。また、カプセル型内視鏡111は重心が長手方向の後端側に偏心している、すなわち、液面にて長手方向が重力方向と一致する姿勢となるようなバランス構造となっているため、常に、第1の撮像方向となる前端側が上を向き、第2の撮像方向となる後端側が下を向いた立ち状態(鉛直状態)で浮揚する。このため、図5に示すように、被検者112が仰臥位で検査台116に横たわっている場合には、第1の撮像方向は前面側内壁127の方向であり、第2の撮像方向は背面側内壁126の方向である。
【0034】
そして、図1に示すように、被検者112が仰臥位の姿勢で検査台116に横たわっている場合には、カプセル型内視鏡111に配設された受電コイル26の軸がカプセル型内視鏡111の長手方向であり、かつ、カプセル型内視鏡111は液体113の液面に鉛直状態を維持して浮遊しているため、受電コイル26の軸方向と一致する方向の磁界を発生するのは、検査台116に搭載した第2の送電コイル115である。このため、無線給電システム1のコントローラ119は、被検者112の姿勢に基づき、第2の送電コイル115を選択し駆動する。
【0035】
次に図7および図8を用いて、被検者112が側臥位の姿勢で検査台116に横たわっている場合について説明する。被検者112が仰臥位から身体方向の軸を中心に体を90度回転し、姿勢を変換すると側臥位となる。
【0036】
被検者112が姿勢を変換しても、カプセル型内視鏡111は、液体113の表面に鉛直状態を維持して浮遊している。このため、図8に示すように、被検者112が側臥位の姿勢で検査台116に右脇腹を下にするように横たわっている場合には、第1の撮像方向は左側内壁128の方向であり、第2の撮像方向は右側内壁129の方向である。
【0037】
なお、図7に示すように、被検者112が側臥位の姿勢で検査台116に横たわっている場合にも、カプセル型内視鏡111に配設された受電コイル26の軸がカプセル型内視鏡111の長手方向であり、かつ、カプセル型内視鏡111は液体113の液面に鉛直状態を維持して浮遊しているため、受電コイル26の軸方向と一致する方向の磁界を発生するのは、検査台116に搭載した第2の送電コイル115である。このため、無線給電システム1のコントローラ119は、被検者112の姿勢に基づき、第2の送電コイル115を選択し駆動する。
【0038】
このように、カプセル型内視鏡111は、被検者112の姿勢が仰臥位および側臥位の姿勢において、噴門部124と幽門部125を除く胃壁全体の画像情報を取得することができる。
【0039】
次に、図9および図10を用いて、被検者112が座位の姿勢の場合について説明する。被検者112が検査台116から上半身が起きあがった状態が座位である。なお、図9には図示していなが、被検者112が座位の姿勢の場合、検査台116に搭載した第2の送電コイル115のうち、検査台の上方に搭載された第2の送電コイル115aは、被検者112と接触しない位置へ移動するか、被検者112が第2の送電コイル115aと接触しない位置で、カプセル型内視鏡111は被検体内情報を取得する。
【0040】
図10に示すように、被検者112が座位の姿勢の場合にも、カプセル型内視鏡111に配設された受電コイル26の軸がカプセル型内視鏡111の長手方向であり、かつ、カプセル型内視鏡111は液体113の液面に鉛直状態を維持して浮遊している。このため、図10に示すように、被検者112が座位の姿勢の場合には、第1の撮像方向は噴門部124の方向であり、第2の撮像方向は幽門部125の方向である。そして図9に示すように、カプセル型内視鏡111の受電コイル26の軸方向と一致する方向の磁界を発生するのは、被検体に装着された第1の送電コイル114である。このため、無線給電システム1のコントローラ119は、被検者112の姿勢に基づき、第1の送電コイル114を選択し駆動する。なお、被検者112が座位の姿勢でなく立位の姿勢においても、無線給電システム1の動作は、座位の姿勢と同様である。
【0041】
このように、カプセル型内視鏡111は、被検者112が仰臥位、側臥位および座位の順に姿勢を変えることで、胃壁全体の画像情報を取得することができる。
【0042】
本実施の形態の無線給電システム1によれば、被検者112は第1の送電コイル114のみ、すなわち1つの送電コイルのみを装着すればよく、被検者112の肉体的な負担を低減することができる。すなわち、被検者112は姿勢変換等が容易にできる。
【0043】
また、無線給電システム1は、2軸分の送電コイル、すなわち第1の送電コイル114と第2の送電コイル115の2つの送電コイルを備えればよく、3軸分の送電コイルは不要である。このため、送電コイルの駆動回路を含めてシステム全体を小型化および低価格化することが可能となる。また、送電コイルと駆動回路を結ぶ引き出し線が絡まったりしにくい。
【0044】
本実施の形態では、被検者は仰臥位、側臥位、座位の順に姿勢を変えた場合を例に説明したが、姿勢を変える順番はこれに固定されるものではなく、座位または側臥位から始めても、また座位の次に側臥位に変えても、もちろん、本実施の形態における作用効果は同様である。
【0045】
また、本実施の形態では、第1の送電コイル114が、ヘルムホルツ型送電コイルを例に説明したが、必ずしもヘルムホルツ型送電コイルである必要はなくソレノイド型送電コイルでもよい。
【0046】
さらに、カプセル型内視鏡111を被検者112が仰臥位の姿勢で経口的に導入した場合には、第1の送電コイル114を選択し駆動することにより、食道内にあるカプセル型内視鏡111に電力を供給することが可能であり、カプセル型内視鏡111は食道内の撮像もできる。
【0047】
また、カプセル型内視鏡111の前端および後端方向の撮影が可能な撮像光学系22a、22bを備える複眼型のカプセル型内視鏡を用いて説明したが、カプセル型内視鏡の両端部でなく、片側のみに撮像光学系を備えた単眼型のカプセル型内視鏡を用いてもよい。
【0048】
なお、被検者112が横たわる検査台116には、被検者112が体に装着する第1の送電コイル114の幅に対応するように窪みをもうけてもよい。その結果、被検者112が横たわった際に第1の送電コイル114に被検者112の荷重がかからず送電コイル114の変形を防ぐことができ、また、被検者112が送電コイル114と接触して苦痛を感じることを防ぐことができる。
【0049】
<第2の実施の形態>
次に、図11から図13を参照して本発明の第2の実施の形態の無線給電システム2について説明する。図11は、被検者112が仰臥位の姿勢の場合の無線給電システム2の概要を示す概要図であり、図12は無線給電システム2の送電コイルの駆動回路を説明するための回路図であり、図13は、被検者112が座位の姿勢の場合の無線給電システム2の概要を示す概要図である。なお、無線給電システム2の基本構成は第1の実施の形態の無線給電システム1と類似しているため、以下、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略し、無線給電システム1と異なる点のみについて説明する。
【0050】
無線給電システム2は、第2の送電コイル115が、対向する2個のコイルからなるヘルムホルツ型コイルであり、ヘルムホルツ型コイルを構成する2個のそれぞれの前記コイルと接続された、それぞれの共振コンデンサを有し、それぞれの前記コイルが、独立して駆動できる。
【0051】
すなわち、図12に示すように、ヘルムホルツ型送電コイルである第2の送電コイル115が、送電コイル115aと送電コイル115bとに分割され、分割したそれぞれのコイルに共振用コンデンサ110a、110bが直列に接続されている。さらに、送電コイル115aと送電コイル115bとに、それぞれ第2の送電コイル駆動用電源118aと第2の送電コイル駆動用電源118bとが接続され、送電コイル115aと送電コイル115bは独立して駆動できる。なお、第2の送電コイル駆動用電源118aと第2の送電コイル駆動用電源118bはコントローラ119に接続され、コントローラ119は、第2の送電コイル駆動用電源118aと第2の送電コイル駆動用電源118bとを同期駆動し、1組のヘルムホルツ型送電コイルとして駆動することもできる。また、第1の送電コイル114は共振コンデンサ109を介して第1の送電コイル駆動回路117に接続され、コントローラ119により制御される。
【0052】
図11に示すように、無線給電システム2は、体腔内に液体113とカプセル型内視鏡111が導入された被検者112が検査台116に、まず仰臥位の姿勢で横たわった状態で、被検体内情報を取得する。カプセル型内視鏡111に、電力を供給する送電コイルは、第1の送電コイル114と、それぞれが独立して駆動可能な2個の第2コイル115a、115bとからなる第2の送電コイル115とから構成されている。被検者112が仰臥位の姿勢では、無線給電システム2は、無線給電システム1と同様に、第2の送電コイル115を駆動してカプセル型内視鏡111に電力を供給する。この際、コントローラ119は、第2の送電コイル駆動用電源118aと第2の送電コイル駆動用電源118bとを同期駆動し、1組のヘルムホルツ型送電コイルとして駆動する。
【0053】
次に、図13に、被検者112が座位の姿勢の場合の無線給電システム2について説明する。なお、図13には図示していなが、被検者112が座位の姿勢の場合、検査台116に搭載した第2の送電コイル115のうち、検査台の上方に搭載された第2の送電コイル115aは、被検者112と接触しない位置へ移動する。
【0054】
無線給電システム1で説明したように、被検者112が座位の姿勢の場合には、受電コイル26の軸方向と一致する方向の磁界を発生するのは、被検体に装着された第1の送電コイル114である。しかし、胃の位置および大きさには個人差があり、第1の送電コイル114の対向部分、すなわち第1の送電コイル114が強い磁界を発生する部分、より下方に胃が位置する場合がある。また、胃内に導入した液体113の重さにより、胃が下がる場合もある。一方、第1の送電コイル114は、被検者112の大腿部(太もも)より下に下げることは困難である。被検者112の胃が下がりカプセル型内視鏡111が第1の送電コイル114の対向部分より下方に位置している場合には、第1の送電コイル114を駆動してもカプセル型内視鏡111に電力を供給することが困難となる場合がある。そのような場合、無線給電システム2においては、第1の送電コイル114に加えて、検査台116の下に搭載されている第2の送電コイル115bを第1の送電コイル114と同期させて駆動する。このため、送電コイルにより発生する磁界は第2の送電コイル115bの位置まで強く、カプセル型内視鏡111に効率的に送電することが可能となる。
【0055】
このように、無線給電システム2においては、無線給電システム1が有する効果に加えて、無線給電システム1よりも広い範囲で、カプセル型内視鏡111に十分に給電することができる。
【0056】
なお、上記説明では、無線給電システム2は、第2の送電コイル115が対向する2個の送電コイル115a、115bからなるヘルムホルツ型コイルであり、それぞれの送電コイル115a、115bが独立して駆動可能な構成とした例を示したが、第1の送電コイル114が対向する2個の送電コイル114a、114bからなるヘルムホルツ型コイルであり、それぞれの送電コイル114a、114bが独立して駆動可能な構成としてもよい。例えば、送電コイル115bと送電コイル114bを同期駆動させて1組のヘルムホルツ型コイルとして用いることで、送電コイル115bと送電コイル114bの間にあるカプセル型内視鏡111に効率的に送電することができる。
【0057】
<第3の実施の形態>
次に、図14から図17を参照して本発明の第3の実施の形態の無線給電システム3について説明する。図14は、カプセル型内視鏡111が被検者112の下腹部にある場合の無線給電システム3の概要を示す側面観察図であり、図15は、カプセル型内視鏡111が被検者112の下腹部にある場合の無線給電システム3の概要を示す上面観察図であり、図16は、カプセル型内視鏡111が被検者112の胸部にある場合の無線給電システム3の概要を示す側面観察図であり、図17は、カプセル型内視鏡111が被検者112の胸部にある場合の無線給電システム3の概要を示す上面観察図である。なお、無線給電システム3の基本構成は第1の実施の形態の無線給電システム1と類似しているため、以下、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略し、無線給電システム1と異なる点のみについて説明する。
【0058】
無線給電システム3は、被検者112の体腔内のカプセル型内視鏡111の位置を検出する位置検出手段130を有し、位置検出手段130により検出されたカプセル型内視鏡111の位置情報に基づき、第1の送電コイル114および/または第2の送電コイル115の位置が移動できる。
【0059】
位置検出手段130は、例えば、特開2005−304638号公報に開示の技術等の公知技術を適用することができる。この技術では、励磁用コイルと検出用コイルとを備え、励磁用コイルによってカプセル内視鏡111内に設けた共振回路から磁界を発生させ、この磁界を検出用コイルで検出することで、カプセル内視鏡111の位置及び向きを検出する。
【0060】
尚、カプセル内視鏡111の位置・向きを検出する技術については、上述した技術に限定するものではなく、いかなる検出手段及び方法を用いても良い。また、本実施の形態のカプセル内視鏡111のようにカプセル内視鏡111の受電コイル26が常に重力方向の姿勢になっている場合には、位置のみを検出すれば良く、例えば、カプセル内視鏡111から発信される信号の受信強度に基づいて位置を特定することもできる。
【0061】
位置検出手段130により検出されたカプセル型内視鏡111の位置情報はコントローラ119に入力され、コントローラ119はカプセル型内視鏡111に最も効率的に電力を供給できる位置、例えばヘルムホルツコイルを構成する各コイルが対向している対向部分の位置、に第2の送電コイル115を移動する。なお、無線給電システム3における、送電コイルの移動は自動でもよいし、術者に移動方向等を示すだけでもよい。
【0062】
すなわち、図14に示すように、被検者112の胃が下腹部にありカプセル型内視鏡111も下腹部にある場合や、カプセル型内視鏡111が下腹部に移動している場合、第2の送電コイル115の対向部分を被検者112の下腹部に移動する。図15は、カプセル型内視鏡111が下腹部にある場合の被検者112を上面から観察した図である。位置検出手段130により検出されたカプセル型内視鏡111の位置情報に基づいて、第2の送電コイル115は被検者112の下腹部に移動している。
【0063】
逆に、図16に示すように、カプセル型内視鏡111が被検者112の胸部にある場合、第2の送電コイル115の対向部分を被検者112の胸部に移動する。図17は、カプセル型内視鏡111が胸部にある場合の被検者112を上面から観察した図である。位置検出手段130により検出されたカプセル型内視鏡111の位置情報に基づいて、第2の送電コイル115の対向部分は被検者112の胸部に移動している。
【0064】
なお、被検者112が側臥位の姿勢の場合においても、同様に位置検出手段130を用いてカプセル型内視鏡111の位置を検出し、第2の送電コイル115が発生する磁界が、カプセル型内視鏡111の受電コイル26と、より多く鎖交する位置に第2の送電コイル115を移動することにより、無線給電システム3は、カプセル型内視鏡111に効率的な給電ができる。
【0065】
無線給電システム3は、無線給電システム1が有する効果に加えて、被検者112の体腔内のカプセル型内視鏡111の位置情報に基づき、送電コイルの位置を移動し、より多くの電力をカプセル型内視鏡111に給電することができる。
【0066】
なお、被検者112が、仰臥位および側臥位の姿勢の場合において、第2の送電コイル115をカプセル型内視鏡111の位置情報に基づいて移動する無線給電システム3の場合を説明したが、被検者112が座位の場合においても同様に第1の送電コイル114をカプセル型内視鏡111の位置情報に基づいて移動することもできる。また、第2の実施の形態の無線給電システム2に、無線給電システム3が有する構成を付与することで、無線給電システム2においても無線給電システム3の効果を得ることができる。
【0067】
<第4の実施の形態>
次に、図18および図19を参照して本発明の第4の実施の形態の無線給電システム4について説明する。図18は、検査台116が水平の場合の無線給電システム4の概要を示す側面観察図であり、図19は、検査台116が垂直の場合の無線給電システム4の概要を示す側面観察図である。なお、無線給電システム4の基本構成は第1の実施の形態の無線給電システム1と類似しているため、以下、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略し、無線給電システム1と異なる点のみについて説明する。
【0068】
無線給電システム4は、被検者112の体腔内に導入されて、体腔内画像情報を取得するカプセル型内視鏡111と、カプセル型内視鏡111よりも比重が大きく、体腔内に導入される液体113と、被検者112が横たわることが可能な検査台116と、被検者112の外部から、カプセル型内視鏡111に、電力を供給する送電コイル115、131とを備え、カプセル型内視鏡111は、電力を受電する受電コイル26の軸がカプセル型内視鏡111のカプセルの長手方向であり、かつ重心が前記長手方向に偏心しており、検査台116は、検査台116の角度を変える角度変更手段を備え、送電コイルは、前記検査台に搭載する第1の送電コイル131および第2の送電コイル115とを備え、第1の送電コイル131は検査台116の長手方向の磁界を発生し、第2の送電コイル115は検査台116の平面に対して垂直方向の磁界磁界を発生する。
【0069】
また、無線給電システム4は、検査台116の角度に基づき、第1の送電コイル131および/または第2の送電コイル115を選択し駆動する。
【0070】
すなわち、無線給電システム4において、第1の送電コイル131は検査台116に搭載され、検査台116の長手方向の磁界を発生するための送電コイルであり、第1の送電コイル131は検査台116および被検者112が、コイル内に入ることができる大きさである。一方、無線給電システム4において、第2の送電コイル115も検査台116に搭載されているが、検査台116の被検者112が横たわる平面に対して垂直方向の磁界を発生するための送電コイルである。また、検査台116は、検査台116の角度を水平から垂直まで変えるための角度変更手段である検査台変換装置120を有し、検査台変換装置120はコントローラ119に接続されている。検査台変換装置120は、被検者112が仰臥位または側臥位の姿勢とする時には、検査台116が水平の状態となるように、そして、被検者112を立位の姿勢とする時には、検査台116が垂直(鉛直)の状態となるように検査台116の角度を変える角度変更手段である。
【0071】
図18に示すように、無線給電システム4は、体腔内に液体113とカプセル型内視鏡111が導入された被検者112が、検査台116に仰臥位の姿勢で横たわった状態で、まず被検体内情報を取得する。カプセル型内視鏡111に、電力を供給する送電コイルは、検査台116の長手方向の磁界を発生する対向コイル131a、131bからなる第1の送電コイル131と、検査台116の平面に対して垂直方向の磁界磁界を発生する第2の送電コイル115である。検査台116が水平の角度であるため、カプセル型内視鏡111に配設された受電コイル26の軸がカプセル型内視鏡111の長手方向であり、かつ、カプセル型内視鏡111は液体113の液面に鉛直状態を維持して浮遊しているため、受電コイル26の軸方向と一致する方向の磁界を発生するのは、検査台116に搭載した第2の送電コイル115である。このため、無線給電システム4のコントローラ119は、検査台116の角度に基づき、第2の送電コイル115を選択し駆動する。
【0072】
次に、被検者112を側臥位の姿勢とすると、この場合も受電コイル26の軸方向と一致する方向の磁界を発生するのは、検査台116に搭載した第2の送電コイル115である。このため、無線給電システム4のコントローラ119は、検査台116の角度に基づき、第2の送電コイル115を選択し駆動する。
【0073】
次に、無線給電システム4は、検査台116の角度を水平から垂直まで変えるための角度変更手段である検査台変換装置120を有するため、被検者112は、検査台116に横たわったままで、検査台116を徐々に垂直方向に変えることで、被検者116は立位の姿勢となることができる。
【0074】
図19は、検査台116が垂直の角度、すなわち被検者116は立位の姿勢の場合の無線給電システム4の概要を示す側面観察図である。被検者116は立位の姿勢であるが、座位の姿勢と同様に、カプセル型内視鏡111に配設された受電コイル26の軸はカプセル型内視鏡111の長手方向であり、かつ、カプセル型内視鏡111は液体113の液面に鉛直状態を維持して浮遊している。このため、図19に示すように、第1の撮像方向は噴門部124の方向であり、第2の撮像方向は幽門部125の方向である。そして、受電コイル26の軸方向と一致する方向の磁界を発生するのは、検査台に搭載された第1の送電コイル131である。このため、無線給電システム4のコントローラ119は、検査台116の角度に基づき、第1の送電コイル131を選択し駆動する。
【0075】
なお、検査台変換装置120により検査台116の角度を変える際には、術者が手動で行ってもよいし、電動でおこなってもよい。また、検査台116の角度は、例えば、検査台116に配設された傾斜センサ等の角度検出手段が検出し、コントローラ119に角度情報を入力してもよい。
【0076】
無線給電システム4は、2つの送電コイル115、131を共に検査台116に搭載し、被検者112は検査台116に横たわったままで、検査台116の角度変化により仰臥位の姿勢から立位の姿勢となることができる。また、無線給電システム4は、検査台116の角度に応じて、駆動する送電コイルを選択し駆動する。
【0077】
このため、無線給電システム4は、被検者への肉体的負担が、特に軽く、女性や高齢者であっても、容易に胃壁全体を撮像することができる。
【0078】
なお、第4の実施の形態の無線給電システム4に無線給電システム3が有する構成を付与することで、無線給電システム4においても無線給電システム3の効果を得ることができる。
【0079】
本発明の実施の形態は、受電コイルの軸とカプセル型筐体の長手方向が一致し、かつカプセル型筐体の重心が前記カプセル型筐体の長手方向に偏心している場合を例に説明したが、必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば受電コイルの軸をカプセル型筐体の短軸方向と一致するように配置し、カプセル型医療装置が液体の表面に水平状態で浮遊する状態にておいても本発明は適用可能である。
【0080】
また、上記説明は、カプセル型内視鏡を例に説明したが、本発明の無線給電システムは、カプセル型内視鏡への無線給電に限られるものではなく、消化器液採取用カプセル型または嚥下型のpHセンサのような各種カプセル型医療装置に適用できる。
【0081】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等ができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】第1の実施の形態にかかる無線給電システム1の概要を示す概要図である。
【図2】第1の実施の形態にかかるカプセル型内視鏡111の構造の概要を説明するための側面図である。
【図3】被検者が第1の実施の形態にかかる無線給電システムのカプセル型医療装置であるカプセル型内視鏡と液体を一緒に飲み込む状態を示す図である。
【図4】第1の実施の形態にかかる無線給電システムの送電コイルの駆動回路を説明するための回路図である。
【図5】第1の実施の形態にかかる無線給電システムにおいて被検者が仰臥位時の観察時の胃の模式図である。
【図6】第1の実施の形態にかかる無線給電システムにおいて被検者が仰臥位時の観察時の胃の模式図である。
【図7】第1の実施の形態にかかる被検者が側臥位時の無線給電システムの概要を示す概要図である。
【図8】第1の実施の形態にかかる無線給電システムにおいて被検者が側臥位時の観察時の胃の模式図である。
【図9】第1の実施の形態にかかる被検者が座位時の無線給電システムの概要を示す概要図である。
【図10】第1の実施の形態にかかる無線給電システムにおいて被検者が座位時の観察時の胃の模式図である。
【図11】第2の実施の形態にかかる被検者が仰臥位時の無線給電システムの概要を示す概要図である。
【図12】第2の実施の形態にかかる無線給電システムの送電コイルの駆動回路を説明するための回路図である。
【図13】第2の実施の形態にかかる被検者が座位時の無線給電システムの概要を示す概要図である。
【図14】第3の実施の形態にかかるカプセル型内視鏡が下腹部にある時の無線給電システムの概要を示す概要図である。
【図15】第3の実施の形態にかかるカプセル型内視鏡が下腹部にある時の無線給電システムの上面からの観察を示す上面観察図である。
【図16】第3の実施の形態にかかるカプセル型内視鏡が胸部にある時の無線給電システムの概要を示す概要図である。
【図17】第3の実施の形態にかかるカプセル型内視鏡が胸部にある時の無線給電システムの上面からの観察を示す上面観察図である。
【図18】第4の実施の形態にかかる検査台が水平時の無線給電システムの概要を示す概要図である。
【図19】第4の実施の形態にかかる検査台が垂直時の無線給電システムの概要を示す概要図である。
【図20】従来の被検者が3組の送電コイルを装着したコイル構成を説明する説明図である。
【図21】従来の3組の送電コイルを駆動するための回路構成を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0083】
1、2、3、4…無線給電システム、21…カプセル型筐体、21a、21b…カプセル型筐体端カバー、21c…カプセル型筐体胴部カバー、22A、22B…撮像部、23…画像処理部、24…情報伝達部、25…電源部、26…受電コイル、27…結像レンズ、28…照明部、29…撮像素子、51、52、53…スイッチング回路、100…医療用小型機器、101…二次コイル、102…磁性体コア、103…共振用コンデンサ、104…整流回路、109、110a、110b…共振コンデンサ、111…カプセル型内視鏡、112…被検者、113…液体、114…第1の送電コイル、115…第2の送電コイル、116…検査台、118…送電コイル駆動回路、119…コントローラ、120…検査台変換装置、121、122…共振コンデンサ、123…胃、124…噴門部、125…幽門部、126…背面側内壁、127…前面側内壁、128…左側内壁、129…右側内壁、130…位置検出手段、131…第1の送電コイル
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体内に導入されたカプセル型医療装置に、電磁誘導により、被検体の外部から電力を供給する無線給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡の分野では、撮像機能と無線機能とが装備されたカプセル型内視鏡が登場している。このカプセル型内視鏡は、観察(検査)のために被検体である被検者に飲み込まれた後、被検者の体腔から自然排出されるまでの間、胃、小腸などの臓器の内部をその蠕動運動に伴って移動し、撮像機能を用いて順次、臓器の内部を撮像する。また、これら臓器内を移動する間、カプセル型内視鏡によって生体内で撮像された画像データは、順次、無線通信などの無線機能により、被検者の外部に設けられた外部装置に送信される。
【0003】
特開2007−175448号公報には、体腔内に滞留した液体の液面に、重力方向の姿勢を保持した状態で浮遊するカプセル型内視鏡を用いて、被検者が姿勢を変えながら胃壁等を観察する観察システムが開示されている。前記観察システムでは、被検者はカプセル型内視鏡と液体を一緒に飲み込む。そして、液体の比重をカプセル型内視鏡の比重より大きくし、かつ、カプセル型内視鏡の構成を体腔内に滞留した液体の液面に、重力方向の姿勢を保持した状態で浮遊するように構成している。そして、前記観察システムでは、被検者が姿勢を変えることで、胃壁全体を順次観察することが提案されている。
【0004】
また、特開2004−159456号公報には、被検者の体腔内にある医療用小型機器に対して、電力を供給するエネルギー供給装置が開示されている。図20および図21は特開2004−159456号公報に開示されたエネルギー供給装置を説明するための図であり、図20はコイル構成を示す図であり、図21は、回路構成を説明するための図である。
【0005】
図20に示すように、エネルギー供給装置は、被検者Bの体腔内にある医療用小型機器100に配設された磁性体コア102を有する二次コイル101に、被検者Bに装着された3つのヘルムホルツ型の一次コイル41a−41b、42a−42b、43a−43bを用いて電力を供給する。一次コイル41a−41bはX方向、一次コイル42a−42bはY方向、一次コイル43a−43bはZ方向と、3つの一次コイルは、XYZ軸の各軸方向に配置されている。医療用小型機器100が動作するために必要な電力は、一次コイルが発生した磁界が、医療用小型機器100に配設された二次コイル101と鎖交することで、電磁誘導現象により供給される。
【0006】
また、図21に示すように、エネルギー供給装置は、3つの一次コイル41a−41b、42a−42b、43a−43bと、それぞれの一次コイルと直列接続された共振用コンデンサ42、44、46と、それぞれの一次コイルを駆動するスイッチング回路51、52、53と、直流電源46とを有している。
【0007】
そして、医療用小型機器100では、磁性体コア102を有する二次コイル101と共振用コンデンサ103とが直列接続され、更に、その直列接続された二次コイル101及び共振用コンデンサ103が4つのダイオードD1〜D4、インダクタンスL及びコンデンサCで構成される整流回路104に接続されている。
【0008】
上記構成により、上記エネルギー供給装置においては、いずれかの一次コイル101で発生した磁界により、二次コイル101に誘起された交流電流が整流回路104により直流に変換され、医療用小型機器100に電力が供給される。
【特許文献1】特開2007−175448号公報
【特許文献2】特開2004−159456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特開2007−175448号公報に開示されたカプセル型内視鏡は、その駆動電源として、カプセル型内視鏡に内蔵された電池を用いていた。しかし、電池を用いたカプセル型内視鏡では、観察時間が電池の容量によって決まり、長時間の観察が困難となる場合があった。
【0010】
また、特開2004−159456号公報に開示されたエネルギー供給装置においては、被検者は3つもの一次コイルを装着する必要があった。しかし、女性や高齢者が被検者の場合を考えると、3つもの一次コイルを体に装着しながらの姿勢変換を負担無く行うためには、一次コイルの軽量化が必要である。また、例えば、胃壁全体の観察を行うために、被検者は仰臥位と側臥位と座位との3つの姿勢を順に変える必要がある。このため、一次コイルは、被検者が姿勢を変える際に、障害とならない構成としたり、一次コイルの引き出し線が絡まったりしない構成にする必要がある。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑み、被検体の体腔内に導入されて被検体内情報を取得するカプセル型医療装置に対して、被検体の外部から電力を供給する送電コイルを備えた、被検者の肉体的な負担を低減した無線給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成すべく、本発明の無線給電システムは、被検体の体腔内に導入されて被検体内情報を取得するカプセル型医療装置であって電力を受電する受電コイルの軸がカプセル型筐体の長手方向であり、かつ前記カプセル型筐体の重心が前記カプセル型医療装置の長手方向に偏心しており、かつ前記被検体の体腔内に導入される液体より比重が小さいカプセル型医療装置と、前記被検体に装着され前記被検体の外部から前記カプセル型医療装置に電力を供給できる第1の送電コイルと、前記被検体を検査する検査台に搭載され前記被検体の外部から前記カプセル型医療装置に電力を供給できる第2の送電コイルとを備える。
【0013】
また、本発明の無線給電システムは、被検体の体腔内に導入されて被検体内情報を取得するカプセル型医療装置であって、電力を受電する受電コイルの軸がカプセル型筐体の長手方向であり、かつ、前記カプセル型筐体の重心が前記長手方向に偏心しており、かつ、前記被検体の体腔内に導入される液体より比重が小さいカプセル型医療装置と、前記被検体を検査する検査台に搭載され、前記被検体の外部から、前記カプセル型医療装置に、電力を供給できる第1の送電コイルと第2の送電コイルとを備え、前記検査台の角度を変える角度変更手段を備え、前記第1の送電コイルは前記検査台の長手方向の磁界を発生し、前記第2の送電コイルは前記検査台平面に対して垂直方向の磁界磁界を発生する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、被検体の体腔内に導入されて被検体内情報を取得するカプセル型医療装置に対して、被検体の外部から電力を供給する送電コイルを備えた、被検者の肉体的な負担を低減した無線給電システムを提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態の無線給電システム1について説明する。
<無線給電システムの概要>
図1は、本実施の形態にかかる無線給電システム1の概要を示す概要図であり、図2は、カプセル型内視鏡111の構造の概要を説明するための側面図であり、図3は、被検体である被検者112が無線給電システム1のカプセル型医療装置であるカプセル型内視鏡111と液体113を一緒に飲み込む状態を示す図であり、図4は、無線給電システム1の送電コイルの駆動回路を説明するための回路図である。図1に示すように、無線給電システム1は、被検者112の体腔内に導入されたカプセル型内視鏡111に、被検者112の外部から、電磁誘導により電力を供給する。
【0016】
図2に示すように、カプセル型内視鏡111は、被検者112の体腔内に導入可能な細長いカプセル型筐体21内に内蔵されている前端および後端方向の撮影が可能な撮像光学系22a、22b等とを備える複眼型のカプセル型内視鏡である。カプセル型内視鏡111は、被検者112の口腔から体内に飲み込み可能な大きさのものであり、略半球状で透明性あるいは透光性を有する先端カバー21a、21bと、可視光が不透過な有色材質からなる筒形状の胴部カバー21cとを弾性的に嵌合させることで、内部を液密に封止するカプセル型筐体21を形成している。
【0017】
カプセル型筐体21内には、撮像光学系22a、22bを含む撮像部22A、22B、画像処理部23、情報伝達部24、電源部25および電力を受電する受電コイル26および制御部(不図示)等が内蔵されている。
【0018】
撮像部22A、22Bは、カプセル型筐体21内にあって、先端部側の撮像部22Aは、体腔内撮像部位を先端カバー21a部分を介して照明するための照明光を出射するLEDなどの照明部28と、照明光による反射光を受光して体腔内撮像部位を撮像するCCDやCMOSなどの撮像素子29と、この撮像素子29に被写体の像を結像させる結像レンズ27とを備え、先端カバー21a側なる前端部方向の撮影が可能とされている。そして、後端側にも先端側と同様の撮像部22bが配設されている。画像処理部23は撮像した画像を処理し、情報伝達部24は撮像した画像を体外に無線で送信する機能を有している。
【0019】
受電コイル26は、導電線を巻回した所定のターン数のソレノイド型コイルであり、細長いカプセル型筐体21の胴部内に、コイルの軸がカプセルの長手方向となるように配設されている。ここで、コイルの軸とは、コイルの磁路の中心線を意味する。なお、受電コイル26は細長いカプセル型筐体21の一部に巻回されていてもよいし、内部に軟磁性コアを有していてもよい。
【0020】
また、電源部25は、カプセル型内視鏡111の内蔵物中では最も重い構成部材であるが、カプセル型筐体21内の後端部側に配設されている。そして本実施の形態のカプセル型内視鏡111は、後端側が相対的に重くなるように前後方向の重量バランスを変えることで重心位置が、細長いカプセル型筐体21の長手方向の中心よりも後端側に偏心している。このため、後述するようにカプセル型内視鏡111は、液体113上では水平面に常に立ち状態で浮揚することができる。なお、カプセル型内視鏡111は複眼型のカプセル型内視鏡であるため、前記の重心位置の偏心は、前端側に偏心していてもよい。また、電源部25以外の重い部材、例えば、錘を用いてカプセル型内視鏡111の重心を偏心させてもよい。
【0021】
図3に示すように、観察に先立ち、被検者112の体腔内に経口的に液体113と、カプセル型内視鏡111が導入される。液体113は、その比重がカプセル型内視鏡111よりも大きく、被検者112の口腔から飲用可能であって、かつ、カプセル型内視鏡111の撮像光学系22a、22bの波長に対して透明な液体が用いられる。カプセル型内視鏡111の比重が1未満の場合には、液体113として、比重が1に近い飲料水を用いることができる。被検者112の体腔内に導入する液体113の量は被検者112の体腔内部、例えば胃内部において滞留し、かつカプセル型内視鏡111が、その液面に浮遊するために十分な量とする。液体113は体腔内に一度に導入してもよいし、何回かに分割して導入してもよい。
【0022】
液体113は、その比重がカプセル型内視鏡111よりも大きく、カプセル型内視鏡111は重心が後端側に偏心しているので、被検者112の体腔内、例えば胃内の液面において、カプセル型内視鏡111は、常に、第1の撮像方向となる前端側が上を向き、第2の撮像方向となる後端側が下を向いた立ち状態(鉛直状態)で浮揚する。このため、カプセル型内視鏡111は、第1の撮像方向と第2の撮像方向を同時に安定した状態で観察することができる。
【0023】
次に、図1を用いて無線給電システム1の構成を説明する。図1に示すように、無線給電システム1は、体腔内に液体113とカプセル型内視鏡111が導入された被検者112が検査台116に横たわった状態で、被検体内情報を取得、例えば、被検者112の検査を行う。カプセル型内視鏡111に、電力を供給する送電コイルは、第1の送電コイル114と第2の送電コイル115とから構成されている。
【0024】
第1の送電コイル114は、被検者112の胸部および腹部に装着する送電コイルであり、本実施の形態においては、送電コイル114aと送電コイル114bとが対向配置されたヘルムホルツ型送電コイルである。一方、第2の送電コイル115は、対向する2個のコイルからなるヘルムホルツ型の送電コイルであり、検査台116に搭載されている。すなわち、検査台の下には第2の送電コイル115の一方の送電コイル115bが搭載され、検査台の上方には図示しないアーム等で支持された、もう一方の送電コイル115aが送電コイル115bと対向するように搭載されている。
【0025】
すなわち、第1の送電コイル114は、被検者112の身体方向の磁界を発生し、第2の送電コイル115は重力方向の磁界を発生する。ここで、被検者112の身体方向とは、被検者112の頭部と臀部を結ぶ方向である。
【0026】
そして、第1の送電コイル114は第1の送電コイル駆動回路117と、第2の送電コイル115は第2の送電コイル駆動回路118と接続され、それぞれの送電コイル駆動回路はコントローラ119に接続されている。
【0027】
次に図4を用いて、無線給電システム1の送電コイルの駆動回路を詳細に説明する。図4に示すように、第1の送電コイル114は、送電コイル114aと送電コイル114bとが直列に接続されており、共振コンデンサ121を介して、第1の送電コイル駆動回路117と接続されている。同様に、第2の送電コイル115は、送電コイル115aと送電コイル115bとが直列に接続されており、共振コンデンサ122を介して、第2の送電コイル駆動回路118と接続されている。
【0028】
すなわち、第1の送電コイル114および第2の送電コイル115は、それぞれと接続されたそれぞれの共振コンデンサ121、122を有する。被検者112の体内にあるカプセル型内視鏡111に給電する際には、カプセル型内視鏡111内部の受電コイル26の共振周波数と、無線給電システム1の送電用の送電コイルの共振周波数を一致することで、効率的な給電が可能となる。
【0029】
第1の送電コイル駆動回路117と第2の送電コイル駆動回路118とは、後述するように被検者112の姿勢に基づき、第1の送電コイル114または第2の送電コイル115を選択し駆動するためのコントローラ119に接続されている。なお、第1の送電コイル駆動回路117と第2の送電コイル駆動回路118には、図示していない駆動用電源が接続されている。
【0030】
なお、被検者112の姿勢は、例えば、被検者112に装着される傾斜センサ等の姿勢検出手段が検出し、コントローラ119に姿勢情報を入力してもよい。
【0031】
<無線給電システムの動作>
次に、図1および図5〜図10を用いて、本実施の形態の無線給電システム1の動作による被検体内情報の取得について説明する。図1は被検者112が仰臥位時の無線給電システム1の概要を示す概要図であり、図5、図6は、被検者112が仰臥位時の観察時の胃の模式図であり、図7は被検者112が側臥位時の無線給電システム1の概要を示す概要図であり、図8は被検者112が側臥位時の観察時の胃の模式図であり、図9は被検者112が座位時の無線給電システム1の概要を示す概要図であり、図10は被検者112が座位時の観察時の胃の模式図である。
【0032】
図1に示したように、体腔内にカプセル型内視鏡111と液体113とが導入された被検者112は、最初の姿勢である仰臥位で検査台116に横たわっている。この際に、被検者112の胃部は、検査台116の下に搭載された第2の送電コイル115bの上になるような位置とする。なお、被検者112が検査台116に横たわった後に、第2の送電コイル115aを、第2の送電コイル115bと対向する位置に配置している。
【0033】
この時、図5および図6に示すように、カプセル型内視鏡111は液体113より比重が小さいので、液体113が滞留した胃123内部では、カプセル型内視鏡111は液体113の液面に浮上する。また、カプセル型内視鏡111は重心が長手方向の後端側に偏心している、すなわち、液面にて長手方向が重力方向と一致する姿勢となるようなバランス構造となっているため、常に、第1の撮像方向となる前端側が上を向き、第2の撮像方向となる後端側が下を向いた立ち状態(鉛直状態)で浮揚する。このため、図5に示すように、被検者112が仰臥位で検査台116に横たわっている場合には、第1の撮像方向は前面側内壁127の方向であり、第2の撮像方向は背面側内壁126の方向である。
【0034】
そして、図1に示すように、被検者112が仰臥位の姿勢で検査台116に横たわっている場合には、カプセル型内視鏡111に配設された受電コイル26の軸がカプセル型内視鏡111の長手方向であり、かつ、カプセル型内視鏡111は液体113の液面に鉛直状態を維持して浮遊しているため、受電コイル26の軸方向と一致する方向の磁界を発生するのは、検査台116に搭載した第2の送電コイル115である。このため、無線給電システム1のコントローラ119は、被検者112の姿勢に基づき、第2の送電コイル115を選択し駆動する。
【0035】
次に図7および図8を用いて、被検者112が側臥位の姿勢で検査台116に横たわっている場合について説明する。被検者112が仰臥位から身体方向の軸を中心に体を90度回転し、姿勢を変換すると側臥位となる。
【0036】
被検者112が姿勢を変換しても、カプセル型内視鏡111は、液体113の表面に鉛直状態を維持して浮遊している。このため、図8に示すように、被検者112が側臥位の姿勢で検査台116に右脇腹を下にするように横たわっている場合には、第1の撮像方向は左側内壁128の方向であり、第2の撮像方向は右側内壁129の方向である。
【0037】
なお、図7に示すように、被検者112が側臥位の姿勢で検査台116に横たわっている場合にも、カプセル型内視鏡111に配設された受電コイル26の軸がカプセル型内視鏡111の長手方向であり、かつ、カプセル型内視鏡111は液体113の液面に鉛直状態を維持して浮遊しているため、受電コイル26の軸方向と一致する方向の磁界を発生するのは、検査台116に搭載した第2の送電コイル115である。このため、無線給電システム1のコントローラ119は、被検者112の姿勢に基づき、第2の送電コイル115を選択し駆動する。
【0038】
このように、カプセル型内視鏡111は、被検者112の姿勢が仰臥位および側臥位の姿勢において、噴門部124と幽門部125を除く胃壁全体の画像情報を取得することができる。
【0039】
次に、図9および図10を用いて、被検者112が座位の姿勢の場合について説明する。被検者112が検査台116から上半身が起きあがった状態が座位である。なお、図9には図示していなが、被検者112が座位の姿勢の場合、検査台116に搭載した第2の送電コイル115のうち、検査台の上方に搭載された第2の送電コイル115aは、被検者112と接触しない位置へ移動するか、被検者112が第2の送電コイル115aと接触しない位置で、カプセル型内視鏡111は被検体内情報を取得する。
【0040】
図10に示すように、被検者112が座位の姿勢の場合にも、カプセル型内視鏡111に配設された受電コイル26の軸がカプセル型内視鏡111の長手方向であり、かつ、カプセル型内視鏡111は液体113の液面に鉛直状態を維持して浮遊している。このため、図10に示すように、被検者112が座位の姿勢の場合には、第1の撮像方向は噴門部124の方向であり、第2の撮像方向は幽門部125の方向である。そして図9に示すように、カプセル型内視鏡111の受電コイル26の軸方向と一致する方向の磁界を発生するのは、被検体に装着された第1の送電コイル114である。このため、無線給電システム1のコントローラ119は、被検者112の姿勢に基づき、第1の送電コイル114を選択し駆動する。なお、被検者112が座位の姿勢でなく立位の姿勢においても、無線給電システム1の動作は、座位の姿勢と同様である。
【0041】
このように、カプセル型内視鏡111は、被検者112が仰臥位、側臥位および座位の順に姿勢を変えることで、胃壁全体の画像情報を取得することができる。
【0042】
本実施の形態の無線給電システム1によれば、被検者112は第1の送電コイル114のみ、すなわち1つの送電コイルのみを装着すればよく、被検者112の肉体的な負担を低減することができる。すなわち、被検者112は姿勢変換等が容易にできる。
【0043】
また、無線給電システム1は、2軸分の送電コイル、すなわち第1の送電コイル114と第2の送電コイル115の2つの送電コイルを備えればよく、3軸分の送電コイルは不要である。このため、送電コイルの駆動回路を含めてシステム全体を小型化および低価格化することが可能となる。また、送電コイルと駆動回路を結ぶ引き出し線が絡まったりしにくい。
【0044】
本実施の形態では、被検者は仰臥位、側臥位、座位の順に姿勢を変えた場合を例に説明したが、姿勢を変える順番はこれに固定されるものではなく、座位または側臥位から始めても、また座位の次に側臥位に変えても、もちろん、本実施の形態における作用効果は同様である。
【0045】
また、本実施の形態では、第1の送電コイル114が、ヘルムホルツ型送電コイルを例に説明したが、必ずしもヘルムホルツ型送電コイルである必要はなくソレノイド型送電コイルでもよい。
【0046】
さらに、カプセル型内視鏡111を被検者112が仰臥位の姿勢で経口的に導入した場合には、第1の送電コイル114を選択し駆動することにより、食道内にあるカプセル型内視鏡111に電力を供給することが可能であり、カプセル型内視鏡111は食道内の撮像もできる。
【0047】
また、カプセル型内視鏡111の前端および後端方向の撮影が可能な撮像光学系22a、22bを備える複眼型のカプセル型内視鏡を用いて説明したが、カプセル型内視鏡の両端部でなく、片側のみに撮像光学系を備えた単眼型のカプセル型内視鏡を用いてもよい。
【0048】
なお、被検者112が横たわる検査台116には、被検者112が体に装着する第1の送電コイル114の幅に対応するように窪みをもうけてもよい。その結果、被検者112が横たわった際に第1の送電コイル114に被検者112の荷重がかからず送電コイル114の変形を防ぐことができ、また、被検者112が送電コイル114と接触して苦痛を感じることを防ぐことができる。
【0049】
<第2の実施の形態>
次に、図11から図13を参照して本発明の第2の実施の形態の無線給電システム2について説明する。図11は、被検者112が仰臥位の姿勢の場合の無線給電システム2の概要を示す概要図であり、図12は無線給電システム2の送電コイルの駆動回路を説明するための回路図であり、図13は、被検者112が座位の姿勢の場合の無線給電システム2の概要を示す概要図である。なお、無線給電システム2の基本構成は第1の実施の形態の無線給電システム1と類似しているため、以下、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略し、無線給電システム1と異なる点のみについて説明する。
【0050】
無線給電システム2は、第2の送電コイル115が、対向する2個のコイルからなるヘルムホルツ型コイルであり、ヘルムホルツ型コイルを構成する2個のそれぞれの前記コイルと接続された、それぞれの共振コンデンサを有し、それぞれの前記コイルが、独立して駆動できる。
【0051】
すなわち、図12に示すように、ヘルムホルツ型送電コイルである第2の送電コイル115が、送電コイル115aと送電コイル115bとに分割され、分割したそれぞれのコイルに共振用コンデンサ110a、110bが直列に接続されている。さらに、送電コイル115aと送電コイル115bとに、それぞれ第2の送電コイル駆動用電源118aと第2の送電コイル駆動用電源118bとが接続され、送電コイル115aと送電コイル115bは独立して駆動できる。なお、第2の送電コイル駆動用電源118aと第2の送電コイル駆動用電源118bはコントローラ119に接続され、コントローラ119は、第2の送電コイル駆動用電源118aと第2の送電コイル駆動用電源118bとを同期駆動し、1組のヘルムホルツ型送電コイルとして駆動することもできる。また、第1の送電コイル114は共振コンデンサ109を介して第1の送電コイル駆動回路117に接続され、コントローラ119により制御される。
【0052】
図11に示すように、無線給電システム2は、体腔内に液体113とカプセル型内視鏡111が導入された被検者112が検査台116に、まず仰臥位の姿勢で横たわった状態で、被検体内情報を取得する。カプセル型内視鏡111に、電力を供給する送電コイルは、第1の送電コイル114と、それぞれが独立して駆動可能な2個の第2コイル115a、115bとからなる第2の送電コイル115とから構成されている。被検者112が仰臥位の姿勢では、無線給電システム2は、無線給電システム1と同様に、第2の送電コイル115を駆動してカプセル型内視鏡111に電力を供給する。この際、コントローラ119は、第2の送電コイル駆動用電源118aと第2の送電コイル駆動用電源118bとを同期駆動し、1組のヘルムホルツ型送電コイルとして駆動する。
【0053】
次に、図13に、被検者112が座位の姿勢の場合の無線給電システム2について説明する。なお、図13には図示していなが、被検者112が座位の姿勢の場合、検査台116に搭載した第2の送電コイル115のうち、検査台の上方に搭載された第2の送電コイル115aは、被検者112と接触しない位置へ移動する。
【0054】
無線給電システム1で説明したように、被検者112が座位の姿勢の場合には、受電コイル26の軸方向と一致する方向の磁界を発生するのは、被検体に装着された第1の送電コイル114である。しかし、胃の位置および大きさには個人差があり、第1の送電コイル114の対向部分、すなわち第1の送電コイル114が強い磁界を発生する部分、より下方に胃が位置する場合がある。また、胃内に導入した液体113の重さにより、胃が下がる場合もある。一方、第1の送電コイル114は、被検者112の大腿部(太もも)より下に下げることは困難である。被検者112の胃が下がりカプセル型内視鏡111が第1の送電コイル114の対向部分より下方に位置している場合には、第1の送電コイル114を駆動してもカプセル型内視鏡111に電力を供給することが困難となる場合がある。そのような場合、無線給電システム2においては、第1の送電コイル114に加えて、検査台116の下に搭載されている第2の送電コイル115bを第1の送電コイル114と同期させて駆動する。このため、送電コイルにより発生する磁界は第2の送電コイル115bの位置まで強く、カプセル型内視鏡111に効率的に送電することが可能となる。
【0055】
このように、無線給電システム2においては、無線給電システム1が有する効果に加えて、無線給電システム1よりも広い範囲で、カプセル型内視鏡111に十分に給電することができる。
【0056】
なお、上記説明では、無線給電システム2は、第2の送電コイル115が対向する2個の送電コイル115a、115bからなるヘルムホルツ型コイルであり、それぞれの送電コイル115a、115bが独立して駆動可能な構成とした例を示したが、第1の送電コイル114が対向する2個の送電コイル114a、114bからなるヘルムホルツ型コイルであり、それぞれの送電コイル114a、114bが独立して駆動可能な構成としてもよい。例えば、送電コイル115bと送電コイル114bを同期駆動させて1組のヘルムホルツ型コイルとして用いることで、送電コイル115bと送電コイル114bの間にあるカプセル型内視鏡111に効率的に送電することができる。
【0057】
<第3の実施の形態>
次に、図14から図17を参照して本発明の第3の実施の形態の無線給電システム3について説明する。図14は、カプセル型内視鏡111が被検者112の下腹部にある場合の無線給電システム3の概要を示す側面観察図であり、図15は、カプセル型内視鏡111が被検者112の下腹部にある場合の無線給電システム3の概要を示す上面観察図であり、図16は、カプセル型内視鏡111が被検者112の胸部にある場合の無線給電システム3の概要を示す側面観察図であり、図17は、カプセル型内視鏡111が被検者112の胸部にある場合の無線給電システム3の概要を示す上面観察図である。なお、無線給電システム3の基本構成は第1の実施の形態の無線給電システム1と類似しているため、以下、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略し、無線給電システム1と異なる点のみについて説明する。
【0058】
無線給電システム3は、被検者112の体腔内のカプセル型内視鏡111の位置を検出する位置検出手段130を有し、位置検出手段130により検出されたカプセル型内視鏡111の位置情報に基づき、第1の送電コイル114および/または第2の送電コイル115の位置が移動できる。
【0059】
位置検出手段130は、例えば、特開2005−304638号公報に開示の技術等の公知技術を適用することができる。この技術では、励磁用コイルと検出用コイルとを備え、励磁用コイルによってカプセル内視鏡111内に設けた共振回路から磁界を発生させ、この磁界を検出用コイルで検出することで、カプセル内視鏡111の位置及び向きを検出する。
【0060】
尚、カプセル内視鏡111の位置・向きを検出する技術については、上述した技術に限定するものではなく、いかなる検出手段及び方法を用いても良い。また、本実施の形態のカプセル内視鏡111のようにカプセル内視鏡111の受電コイル26が常に重力方向の姿勢になっている場合には、位置のみを検出すれば良く、例えば、カプセル内視鏡111から発信される信号の受信強度に基づいて位置を特定することもできる。
【0061】
位置検出手段130により検出されたカプセル型内視鏡111の位置情報はコントローラ119に入力され、コントローラ119はカプセル型内視鏡111に最も効率的に電力を供給できる位置、例えばヘルムホルツコイルを構成する各コイルが対向している対向部分の位置、に第2の送電コイル115を移動する。なお、無線給電システム3における、送電コイルの移動は自動でもよいし、術者に移動方向等を示すだけでもよい。
【0062】
すなわち、図14に示すように、被検者112の胃が下腹部にありカプセル型内視鏡111も下腹部にある場合や、カプセル型内視鏡111が下腹部に移動している場合、第2の送電コイル115の対向部分を被検者112の下腹部に移動する。図15は、カプセル型内視鏡111が下腹部にある場合の被検者112を上面から観察した図である。位置検出手段130により検出されたカプセル型内視鏡111の位置情報に基づいて、第2の送電コイル115は被検者112の下腹部に移動している。
【0063】
逆に、図16に示すように、カプセル型内視鏡111が被検者112の胸部にある場合、第2の送電コイル115の対向部分を被検者112の胸部に移動する。図17は、カプセル型内視鏡111が胸部にある場合の被検者112を上面から観察した図である。位置検出手段130により検出されたカプセル型内視鏡111の位置情報に基づいて、第2の送電コイル115の対向部分は被検者112の胸部に移動している。
【0064】
なお、被検者112が側臥位の姿勢の場合においても、同様に位置検出手段130を用いてカプセル型内視鏡111の位置を検出し、第2の送電コイル115が発生する磁界が、カプセル型内視鏡111の受電コイル26と、より多く鎖交する位置に第2の送電コイル115を移動することにより、無線給電システム3は、カプセル型内視鏡111に効率的な給電ができる。
【0065】
無線給電システム3は、無線給電システム1が有する効果に加えて、被検者112の体腔内のカプセル型内視鏡111の位置情報に基づき、送電コイルの位置を移動し、より多くの電力をカプセル型内視鏡111に給電することができる。
【0066】
なお、被検者112が、仰臥位および側臥位の姿勢の場合において、第2の送電コイル115をカプセル型内視鏡111の位置情報に基づいて移動する無線給電システム3の場合を説明したが、被検者112が座位の場合においても同様に第1の送電コイル114をカプセル型内視鏡111の位置情報に基づいて移動することもできる。また、第2の実施の形態の無線給電システム2に、無線給電システム3が有する構成を付与することで、無線給電システム2においても無線給電システム3の効果を得ることができる。
【0067】
<第4の実施の形態>
次に、図18および図19を参照して本発明の第4の実施の形態の無線給電システム4について説明する。図18は、検査台116が水平の場合の無線給電システム4の概要を示す側面観察図であり、図19は、検査台116が垂直の場合の無線給電システム4の概要を示す側面観察図である。なお、無線給電システム4の基本構成は第1の実施の形態の無線給電システム1と類似しているため、以下、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略し、無線給電システム1と異なる点のみについて説明する。
【0068】
無線給電システム4は、被検者112の体腔内に導入されて、体腔内画像情報を取得するカプセル型内視鏡111と、カプセル型内視鏡111よりも比重が大きく、体腔内に導入される液体113と、被検者112が横たわることが可能な検査台116と、被検者112の外部から、カプセル型内視鏡111に、電力を供給する送電コイル115、131とを備え、カプセル型内視鏡111は、電力を受電する受電コイル26の軸がカプセル型内視鏡111のカプセルの長手方向であり、かつ重心が前記長手方向に偏心しており、検査台116は、検査台116の角度を変える角度変更手段を備え、送電コイルは、前記検査台に搭載する第1の送電コイル131および第2の送電コイル115とを備え、第1の送電コイル131は検査台116の長手方向の磁界を発生し、第2の送電コイル115は検査台116の平面に対して垂直方向の磁界磁界を発生する。
【0069】
また、無線給電システム4は、検査台116の角度に基づき、第1の送電コイル131および/または第2の送電コイル115を選択し駆動する。
【0070】
すなわち、無線給電システム4において、第1の送電コイル131は検査台116に搭載され、検査台116の長手方向の磁界を発生するための送電コイルであり、第1の送電コイル131は検査台116および被検者112が、コイル内に入ることができる大きさである。一方、無線給電システム4において、第2の送電コイル115も検査台116に搭載されているが、検査台116の被検者112が横たわる平面に対して垂直方向の磁界を発生するための送電コイルである。また、検査台116は、検査台116の角度を水平から垂直まで変えるための角度変更手段である検査台変換装置120を有し、検査台変換装置120はコントローラ119に接続されている。検査台変換装置120は、被検者112が仰臥位または側臥位の姿勢とする時には、検査台116が水平の状態となるように、そして、被検者112を立位の姿勢とする時には、検査台116が垂直(鉛直)の状態となるように検査台116の角度を変える角度変更手段である。
【0071】
図18に示すように、無線給電システム4は、体腔内に液体113とカプセル型内視鏡111が導入された被検者112が、検査台116に仰臥位の姿勢で横たわった状態で、まず被検体内情報を取得する。カプセル型内視鏡111に、電力を供給する送電コイルは、検査台116の長手方向の磁界を発生する対向コイル131a、131bからなる第1の送電コイル131と、検査台116の平面に対して垂直方向の磁界磁界を発生する第2の送電コイル115である。検査台116が水平の角度であるため、カプセル型内視鏡111に配設された受電コイル26の軸がカプセル型内視鏡111の長手方向であり、かつ、カプセル型内視鏡111は液体113の液面に鉛直状態を維持して浮遊しているため、受電コイル26の軸方向と一致する方向の磁界を発生するのは、検査台116に搭載した第2の送電コイル115である。このため、無線給電システム4のコントローラ119は、検査台116の角度に基づき、第2の送電コイル115を選択し駆動する。
【0072】
次に、被検者112を側臥位の姿勢とすると、この場合も受電コイル26の軸方向と一致する方向の磁界を発生するのは、検査台116に搭載した第2の送電コイル115である。このため、無線給電システム4のコントローラ119は、検査台116の角度に基づき、第2の送電コイル115を選択し駆動する。
【0073】
次に、無線給電システム4は、検査台116の角度を水平から垂直まで変えるための角度変更手段である検査台変換装置120を有するため、被検者112は、検査台116に横たわったままで、検査台116を徐々に垂直方向に変えることで、被検者116は立位の姿勢となることができる。
【0074】
図19は、検査台116が垂直の角度、すなわち被検者116は立位の姿勢の場合の無線給電システム4の概要を示す側面観察図である。被検者116は立位の姿勢であるが、座位の姿勢と同様に、カプセル型内視鏡111に配設された受電コイル26の軸はカプセル型内視鏡111の長手方向であり、かつ、カプセル型内視鏡111は液体113の液面に鉛直状態を維持して浮遊している。このため、図19に示すように、第1の撮像方向は噴門部124の方向であり、第2の撮像方向は幽門部125の方向である。そして、受電コイル26の軸方向と一致する方向の磁界を発生するのは、検査台に搭載された第1の送電コイル131である。このため、無線給電システム4のコントローラ119は、検査台116の角度に基づき、第1の送電コイル131を選択し駆動する。
【0075】
なお、検査台変換装置120により検査台116の角度を変える際には、術者が手動で行ってもよいし、電動でおこなってもよい。また、検査台116の角度は、例えば、検査台116に配設された傾斜センサ等の角度検出手段が検出し、コントローラ119に角度情報を入力してもよい。
【0076】
無線給電システム4は、2つの送電コイル115、131を共に検査台116に搭載し、被検者112は検査台116に横たわったままで、検査台116の角度変化により仰臥位の姿勢から立位の姿勢となることができる。また、無線給電システム4は、検査台116の角度に応じて、駆動する送電コイルを選択し駆動する。
【0077】
このため、無線給電システム4は、被検者への肉体的負担が、特に軽く、女性や高齢者であっても、容易に胃壁全体を撮像することができる。
【0078】
なお、第4の実施の形態の無線給電システム4に無線給電システム3が有する構成を付与することで、無線給電システム4においても無線給電システム3の効果を得ることができる。
【0079】
本発明の実施の形態は、受電コイルの軸とカプセル型筐体の長手方向が一致し、かつカプセル型筐体の重心が前記カプセル型筐体の長手方向に偏心している場合を例に説明したが、必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば受電コイルの軸をカプセル型筐体の短軸方向と一致するように配置し、カプセル型医療装置が液体の表面に水平状態で浮遊する状態にておいても本発明は適用可能である。
【0080】
また、上記説明は、カプセル型内視鏡を例に説明したが、本発明の無線給電システムは、カプセル型内視鏡への無線給電に限られるものではなく、消化器液採取用カプセル型または嚥下型のpHセンサのような各種カプセル型医療装置に適用できる。
【0081】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等ができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】第1の実施の形態にかかる無線給電システム1の概要を示す概要図である。
【図2】第1の実施の形態にかかるカプセル型内視鏡111の構造の概要を説明するための側面図である。
【図3】被検者が第1の実施の形態にかかる無線給電システムのカプセル型医療装置であるカプセル型内視鏡と液体を一緒に飲み込む状態を示す図である。
【図4】第1の実施の形態にかかる無線給電システムの送電コイルの駆動回路を説明するための回路図である。
【図5】第1の実施の形態にかかる無線給電システムにおいて被検者が仰臥位時の観察時の胃の模式図である。
【図6】第1の実施の形態にかかる無線給電システムにおいて被検者が仰臥位時の観察時の胃の模式図である。
【図7】第1の実施の形態にかかる被検者が側臥位時の無線給電システムの概要を示す概要図である。
【図8】第1の実施の形態にかかる無線給電システムにおいて被検者が側臥位時の観察時の胃の模式図である。
【図9】第1の実施の形態にかかる被検者が座位時の無線給電システムの概要を示す概要図である。
【図10】第1の実施の形態にかかる無線給電システムにおいて被検者が座位時の観察時の胃の模式図である。
【図11】第2の実施の形態にかかる被検者が仰臥位時の無線給電システムの概要を示す概要図である。
【図12】第2の実施の形態にかかる無線給電システムの送電コイルの駆動回路を説明するための回路図である。
【図13】第2の実施の形態にかかる被検者が座位時の無線給電システムの概要を示す概要図である。
【図14】第3の実施の形態にかかるカプセル型内視鏡が下腹部にある時の無線給電システムの概要を示す概要図である。
【図15】第3の実施の形態にかかるカプセル型内視鏡が下腹部にある時の無線給電システムの上面からの観察を示す上面観察図である。
【図16】第3の実施の形態にかかるカプセル型内視鏡が胸部にある時の無線給電システムの概要を示す概要図である。
【図17】第3の実施の形態にかかるカプセル型内視鏡が胸部にある時の無線給電システムの上面からの観察を示す上面観察図である。
【図18】第4の実施の形態にかかる検査台が水平時の無線給電システムの概要を示す概要図である。
【図19】第4の実施の形態にかかる検査台が垂直時の無線給電システムの概要を示す概要図である。
【図20】従来の被検者が3組の送電コイルを装着したコイル構成を説明する説明図である。
【図21】従来の3組の送電コイルを駆動するための回路構成を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0083】
1、2、3、4…無線給電システム、21…カプセル型筐体、21a、21b…カプセル型筐体端カバー、21c…カプセル型筐体胴部カバー、22A、22B…撮像部、23…画像処理部、24…情報伝達部、25…電源部、26…受電コイル、27…結像レンズ、28…照明部、29…撮像素子、51、52、53…スイッチング回路、100…医療用小型機器、101…二次コイル、102…磁性体コア、103…共振用コンデンサ、104…整流回路、109、110a、110b…共振コンデンサ、111…カプセル型内視鏡、112…被検者、113…液体、114…第1の送電コイル、115…第2の送電コイル、116…検査台、118…送電コイル駆動回路、119…コントローラ、120…検査台変換装置、121、122…共振コンデンサ、123…胃、124…噴門部、125…幽門部、126…背面側内壁、127…前面側内壁、128…左側内壁、129…右側内壁、130…位置検出手段、131…第1の送電コイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の体腔内に導入されて被検体内情報を取得するカプセル型医療装置であって、
前記被検体の体腔内に導入される液体より比重が小さく、
かつ、電力を受電するための受電コイルを内部に設けたカプセル型医療装置と、
前記被検体に装着され、前記被検体の外部から、前記カプセル型医療装置に、電力を供給できる第1の送電コイルと、
前記被検体を検査する検査台に搭載され、前記被検体の外部から、前記カプセル型医療装置に、電力を供給できる第2の送電コイルとを備えることを特徴とする無線給電システム。
【請求項2】
前記第1の送電コイルは前記被検体の身体方向の磁界を発生し、前記第2の送電コイルは重力方向の磁界を発生することを特徴とする請求項1に記載の無線給電システム。
【請求項3】
前記被検体の姿勢に基づき、前記第1の送電コイルおよび/または前記第2の送電コイルを選択し駆動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線給電システム。
【請求項4】
前記第1の送電コイルおよび/または前記第2の送電コイルが、対向する2個のコイルからなるヘルムホルツ型コイルであり、
前記2個のコイルそれぞれの前記コイルと接続された、それぞれの共振コンデンサを有し、それぞれの前記コイルが、独立して駆動できることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の無線給電システム。
【請求項5】
被検体の体腔内に導入されて被検体内情報を取得し体外に送信するカプセル型医療装置であって、
電力を受電する受電コイルの軸がカプセル型筐体の長手方向であり、
かつ、前記カプセル型筐体の重心が前記カプセル型筐体の長手方向に偏心しており、
かつ、前記被検体の体腔内に導入される液体より比重が小さいカプセル型医療装置と、
前記被検体を検査する検査台と、
前検査台に搭載され、前記被検体の外部から、前記カプセル型医療装置に、電力を供給できる第1の送電コイルと第2の送電コイルとを備え、
前記検査台は前記検査台の角度を変える角度変更手段を備え、
前記第1の送電コイルは前記検査台の長手方向の磁界を発生し、前記第2の送電コイルは前記検査台平面に対して垂直方向の磁界磁界を発生することを特徴とする無線給電システム。
【請求項6】
前記検査台の角度に基づき、前記第1の送電コイルおよび/または前記第2の送電コイルを選択し駆動することを特徴とする請求項5に記載の無線給電システム。
【請求項7】
前記第1の送電コイルおよび前記第2の送電コイルは、それぞれと接続された、それぞれの共振コンデンサを有することを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の無線給電システム。
【請求項8】
前記体腔内の前記カプセル型医療装置の位置を検出する位置検出手段を有し、
前記位置検出手段により検出された前記カプセル型医療装置の位置情報に基づき、前記第1の送電コイルおよび/または前記第2の送電コイルの位置が移動できることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の無線給電システム。
【請求項9】
前記カプセル型医療装置が、カプセル型内視鏡であることを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1項に記載の無線給電システム。
【請求項1】
被検体の体腔内に導入されて被検体内情報を取得するカプセル型医療装置であって、
前記被検体の体腔内に導入される液体より比重が小さく、
かつ、電力を受電するための受電コイルを内部に設けたカプセル型医療装置と、
前記被検体に装着され、前記被検体の外部から、前記カプセル型医療装置に、電力を供給できる第1の送電コイルと、
前記被検体を検査する検査台に搭載され、前記被検体の外部から、前記カプセル型医療装置に、電力を供給できる第2の送電コイルとを備えることを特徴とする無線給電システム。
【請求項2】
前記第1の送電コイルは前記被検体の身体方向の磁界を発生し、前記第2の送電コイルは重力方向の磁界を発生することを特徴とする請求項1に記載の無線給電システム。
【請求項3】
前記被検体の姿勢に基づき、前記第1の送電コイルおよび/または前記第2の送電コイルを選択し駆動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線給電システム。
【請求項4】
前記第1の送電コイルおよび/または前記第2の送電コイルが、対向する2個のコイルからなるヘルムホルツ型コイルであり、
前記2個のコイルそれぞれの前記コイルと接続された、それぞれの共振コンデンサを有し、それぞれの前記コイルが、独立して駆動できることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の無線給電システム。
【請求項5】
被検体の体腔内に導入されて被検体内情報を取得し体外に送信するカプセル型医療装置であって、
電力を受電する受電コイルの軸がカプセル型筐体の長手方向であり、
かつ、前記カプセル型筐体の重心が前記カプセル型筐体の長手方向に偏心しており、
かつ、前記被検体の体腔内に導入される液体より比重が小さいカプセル型医療装置と、
前記被検体を検査する検査台と、
前検査台に搭載され、前記被検体の外部から、前記カプセル型医療装置に、電力を供給できる第1の送電コイルと第2の送電コイルとを備え、
前記検査台は前記検査台の角度を変える角度変更手段を備え、
前記第1の送電コイルは前記検査台の長手方向の磁界を発生し、前記第2の送電コイルは前記検査台平面に対して垂直方向の磁界磁界を発生することを特徴とする無線給電システム。
【請求項6】
前記検査台の角度に基づき、前記第1の送電コイルおよび/または前記第2の送電コイルを選択し駆動することを特徴とする請求項5に記載の無線給電システム。
【請求項7】
前記第1の送電コイルおよび前記第2の送電コイルは、それぞれと接続された、それぞれの共振コンデンサを有することを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の無線給電システム。
【請求項8】
前記体腔内の前記カプセル型医療装置の位置を検出する位置検出手段を有し、
前記位置検出手段により検出された前記カプセル型医療装置の位置情報に基づき、前記第1の送電コイルおよび/または前記第2の送電コイルの位置が移動できることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の無線給電システム。
【請求項9】
前記カプセル型医療装置が、カプセル型内視鏡であることを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1項に記載の無線給電システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−125098(P2009−125098A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299886(P2007−299886)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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