説明

無線計測制御システムおよび無線計測制御方法

【課題】計測の継続性を良好に維持しつつ、計測用装置類の省電力化を図り、計測システムの設置、メンテナンスの簡便化も実現する。
【解決手段】計測地点毎に設置され、所定現象に関する計測を行うセンサ10と、自立的なネットワーク確立を行うノードであり、電池30による給電を受ける無線通信手段20と、センサ10および無線通信手段20をそれぞれ予め設定した所定時間毎に起動するタイマー部と、センサ10から取得した計測データを記憶する記憶部を備え電池30による給電を受ける制御手段100とを含み、記憶部に記憶している計測データを無線通信手段20によって他無線通信手段に送信させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線計測制御システムおよび無線計測制御方法に関するものであり、具体的には、計測の継続性を良好に維持しつつ、計測用装置類の省電力化を図り、計測システムの設置、メンテナンスの簡便化も実現する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
センサを所定領域に分散配置し、該当領域における各種現象を継続的に計測する場合がある。例えば、掘削工事領域における地下水位の計測、地滑り地帯やトンネル地山における地盤変位の計測、などがそれにあたる。
【0003】
このような計測に際し、各計測地点のセンサとデータ収集装置との間を有線通信で結ぶとすれば、長大な通信ケーブルの敷設、維持管理、および現場状況の変化(例:工事の進捗等)に応じた盛替えといった作業が発生し、コストおよび手間の両面で問題があった。また、工事用機械の動作に伴う通信ケーブルの変形、破損等も危惧される。
【0004】
そこで、各計測地点のセンサとデータ収集装置との間を無線通信で結ぶ技術が提案されている。例えば、振動検知センサと無線ICタグとを備えていて観測地点に設置される地盤変動モニタリング装置であって、前記無線ICタグは、他の無線ICタグと識別するためのICタグ識別情報が記録されている記録部と、無線通信により情報の送信を行う通信部と、前記振動検知センサの計測情報に基づいて前記通信部を介して情報送信を行う制御部とを有することを特徴とする地盤変動モニタリング装置(特許文献1参照)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−47534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、センサやデータ収集装置らは稼働時に電源を必要とする。しかし、上述したような工事現場や山間部などでは、いつでも手間無く電源を手配出来るとは限らない。従って、計測データ収集の無線化を図るとしても、必要な装置類に対し確実に電源を供給する為には、給電用のケーブルを広範に敷設する必要がある。或いは、工事用発電機や商用電源等からの連続的な給電が可能な場所にのみ計測システムを構築するという制限が生じてくる。
【0007】
他方、バッテリー等の独立した電源を装置類に付帯させ、給電を行うことも考えられる。しかし、継続的な計測を行う状況下で従来通りの計測とデータ収集を行えば、電源における蓄電容量は早期に低下し、電源交換や再充電といったメンテナンス作業が頻繁に発生することになる。また、電源交換等の際には電源が切れるため、その間の計測データは取得できないことになり、計測の継続性が維持できない。また、計測地点へのアクセスが容易でない工事現場等であれば、こうしたメンテナンス作業自体が困難で手間もかかり、工事効率低下にもつながりかねない。
【0008】
そこで本発明では、計測の継続性を良好に維持しつつ、計測用装置類の省電力化を図り、計測システムの設置、メンテナンスの簡便化も実現する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の無線計測制御システムは、計測地点毎に設置され、所定現象に関する計測を行うセンサと、自立的なネットワーク確立を行うノードであり、電池による給電を受ける無線通信手段と、前記センサおよび前記無線通信手段を、それぞれ予め設定した所定時間毎に起動するタイマー部と、前記センサから取得した計測データを記憶する記憶部を備え、電池による給電を受ける制御手段とを含み、前記制御手段が、前記タイマー部によって起動した前記センサでの一定時間の計測データを取得して前記記憶部に記憶し、次の起動タイミングまで当該センサを停止させる処理と、前記タイマー部によって起動した前記無線通信手段により、前記記憶部に記憶している計測データを他の無線通信手段に送信させ、次の起動タイミングまで前記無線通信手段を停止させる処理と、前記無線通信手段の起動時に、ネットワークに含まれる所定装置との間における時刻情報の同期処理を実行するものである、ことを特徴とする。
【0010】
こうした本発明によれば、センサ、無線通信手段、および制御手段といった装置類が電池で稼働する構成となっており、給電用の商用電源等の確保に囚われず、必要な箇所にセンサらを設置し確実に計測データの収集を行うことが出来る。また、これら装置類の設置環境に変化が生じて移設を行う場合であっても、電源確保の可否に無関係に必要な箇所への移設を行うことができる。
【0011】
しかもこれら装置類は、所定時間の到来毎に間欠的に稼働するよう制御される為、電池の蓄電容量低下が効果的に抑制され、電池交換等のメンテナンスが長期間にわたり不要となる。このことは、人がアクセスしにくいような環境であっても、装置類を一度設置すれば計測を長期間にわたって継続できることにつながる。
【0012】
また、センサが計測したデータは、制御手段にて保持され、無線通信手段の次回起動時にまとめて送信がなされる制御形態となっているため、例えば、ネットワーク環境の悪化等により一度データ送信に失敗したとしても、次回起動時に再送する、或いは担当者がデータロガー等を携行し制御手段から直接データの吸い出しを行う、といった手当も可能である。従って、メンテナンスフリーでありつつ、計測データの確実な収集を図れるという優れた効果も奏することとなる。
【0013】
また、前記制御手段は、前記タイマー部によって前記所定時間毎に起動するため、その他の時間帯はスリープ状態となり、その節電効果がより高まることとなる。また、ネットワークに含まれる各制御手段の間で時刻情報の同期が図られることで、例えば、ネットワークを構成すべき制御手段同士が、同じ時間帯に確実に起動し確実にネットワークを構成することが可能となる。つまり、こうして起動した制御手段らにより、計測データの収集や送信も確実に行われることになる。
【0014】
このように本発明によれば、計測の継続性を良好に維持しつつ、計測用装置類の省電力化を図り、計測システムの設置、メンテナンスの簡便化も実現できる。
【0015】
なお、前記無線計測制御システムにおいて、前記制御手段は、前記センサおよび前記無線通信手段の組毎に設けられているものであるとしてもよい。こうした構成とすれば、1つの制御手段が稼働させるセンサ、無線通信手段の数も1つとなり、制御手段における節電効果がより高まることとなる。
【0016】
また、前記無線計測制御システムにおいて、前記制御手段に対し前記タイマー部における起動の所定時間を設定する管理装置を含み、前記管理装置は、各制御手段が記憶していた計測データを取得し、該取得した計測データのうち時間変化が所定基準を越えるものを特定し、該特定した計測データを記憶していた制御手段に対し、前記タイマー部における起動の所定時間を既存設定より一定時間短く設定する処理を前記無線通信手段を介して実行するとしてもよい。
【0017】
こうした管理装置を含む構成とすれば、例えば地下水位や地盤変位が急激に上昇した事象を感知し、こうした事象が生じている箇所、すなわち要観察対象の箇所について、きめ細かく計測データ収集を行い、その変動具合を更に詳細にモニタリングすることも可能となる。
【0018】
また、前記無線計測制御システムにおいて、前記制御手段に対し前記タイマー部における起動の所定時間を設定する管理装置を含み、前記管理装置は、前記所定時間毎の無線通信手段の起動時に、各制御手段が記憶していた計測データを取得し、該取得した計測データの送信元である無線通信手段の情報を、予め記憶手段にて保持する無線通信手段のリストと照合し、計測データが取得できなかった無線通信手段を特定し、予め記憶手段にて保持するネットワーク上の無線通信手段の配置情報に基づき、前記特定した無線通信手段がネットワークを構成する所定範囲の無線通信手段を特定し、当該所定範囲の無線通信手段と組を成す制御手段に対し、所定時間帯の停止を設定し、前記所定範囲外の無線通信手段であり、前記特定した無線通信手段と通信可能な位置にある無線通信手段を前記配置情報に基づいて特定し、該特定した無線通信手段と組を成す制御手段に対し、前記所定時間帯の起動を設定するとしてもよい。
【0019】
こうした管理装置を含む構成とすれば、不具合が生じた或る無線通信手段をデータ転送経路に含んでいた所定の無線通信手段について、他のデータ転送経路をとるべく、(通信可能な範囲に存在しているが)通常であればネットワークを構築しない他の無線通信手段らを迂回ネットワークのノードとして指定することができる。従って、ネットワーク中で不具合が生じているとしても迂回路を指定し、計測データ収集を確実なものと出来る。
【0020】
また、前記無線計測制御システムにおいて、前記制御手段に対し前記タイマー部における起動の所定時間を設定する管理装置を含み、前記管理装置は、前記所定時間毎の無線通信手段の起動時に、各制御手段が記憶していた計測データを取得し、該取得した計測データの送信元である無線通信手段の情報を、予め記憶手段にて保持する無線通信手段のリストと照合し、計測データが取得できなかった無線通信手段を特定し、前記特定した無線通信手段がネットワークを構成する所定範囲の無線通信手段について、ユーザからの指示を入力装置で受け付けて、前記指示に応じた前記所定範囲の無線通信手段と組を成す制御手段に対し、所定時間帯の停止を設定し、前記所定範囲外の無線通信手段であり、前記特定した無線通信手段と通信可能な位置にある無線通信手段について、ユーザからの指示を入力装置で受け付けて、前記指示に応じた無線通信手段と組を成す制御手段に対し、前記所定時間帯の起動を設定するとしてもよい。
【0021】
こうした管理装置を含む構成とすれば、不具合が生じた或る無線通信手段をデータ転送経路に含んでいた所定の無線通信手段について、他のデータ転送経路をとるべく、(通信可能な範囲に存在しているが)通常であればネットワークを構築しない他の無線通信手段らを迂回ネットワークのノードとしてユーザ指定を受けることができる。従って、ネットワーク中で不具合が生じているとしても迂回路を指定し、計測データ収集を確実なものと出来る。
【0022】
また、前記無線計測制御システムにおいて、前記制御手段に対し前記タイマー部における起動の所定時間を設定する管理装置を含み、前記制御手段は、電池の残容量を検知するセンサを有しており、当該センサで検知した電池の残容量の情報を、無線通信手段を起動した際に無線通信手段を介して管理装置に送信するものであり、前記管理装置は、前記制御手段から前記電池の残容量の情報を受信し、該残容量が一定レベル以下であれば、該当制御手段における電池交換時期として出力装置に所定のアラームを出力するものであるとしてもよい。無線計測における省電力化を図る本発明の無線計測制御システムにおいて、こうした電池残量の情報管理を行うとすれば、省電力化による電池交換間隔の長期化を図ると共に、不意の電池切れによる計測失敗といった事態を防ぐことも可能になる。
【0023】
また、本発明の無線計測制御方法は、計測地点毎に設置され、所定現象に関する計測を行うセンサと、自立的なネットワーク確立を行うノードであり、電池による給電を受ける無線通信手段と、前記センサおよび前記無線通信手段を、それぞれ予め設定した所定時間毎に起動するタイマー部と、前記センサから取得した計測データを記憶する記憶部を備え、電池による給電を受ける制御手段とを含む無線計測制御システムにおける、前記制御手段が、前記タイマー部によって起動した前記センサでの一定時間の計測データを取得して前記記憶部に記憶し、次の起動タイミングまで当該センサを停止させる処理と、前記タイマー部によって起動した前記無線通信手段により、前記記憶部に記憶している計測データを他の無線通信手段に送信させ、次の起動タイミングまで前記無線通信手段を停止させる処理と、前記無線通信手段の起動時に、ネットワークに含まれる所定装置との間における時刻情報の同期処理を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、計測の継続性を良好に維持しつつ、計測用装置類の省電力化を図り、計測システムの設置、メンテナンスの簡便化も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態の無線計測制御システムを含むネットワーク構成図である。
【図2】本実施形態の無線計測制御システムを構成する各装置類のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】本実施形態のテーブル例を示す図である。
【図4】本実施形態の無線計測制御方法の処理手順例1を示すフロー図である。
【図5】本実施形態の無線計測制御方法の処理手順例2を示すフロー図である。
【図6】本実施形態の無線計測制御方法の処理手順例3を示すフロー図である。
【図7】本実施形態の無線計測制御方法の処理手順例4を示すフロー図である。
【図8】本実施形態の無線計測制御方法の処理手順例5を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
−−−システム等の構成例−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態における無線計測制御システム1を含むネットワーク構成図である。図1に示すように、本実施形態の無線計測制御システム1は、例えば、掘削工事領域における地下水位計測のために配置される。従って本実施形態におけるセンサ10は、掘削工事領域に複数設けられている観測井2に設置された水位センサとなる。また本実施形態において、観測井2のうちいずれかには、注水ないし揚水を行うポンプ3が設置されている。また、ポンプ3は、ポンプ電源制御装置4により注水量ないし揚水量の制御がなされる。
【0027】
各センサ10には、制御手段としてのアンプ100が通信可能に一体となって接続されており、起動、停止の制御をこのアンプ100から受けている。また、センサ10が起動時間中に計測した計測値はアンプ100に送られる。アンプ100は、所定時間毎のセンサ10の起動を行う機能の他に、センサ10から流れてくる計測値(の信号)を適宜増幅、整形して計測データとして自身の記憶部101に格納する機能を有している。
【0028】
また、アンプ100は、無線通信手段20に対しても、所定時間毎の起動、停止の制御を行う。アンプ100が起動の制御を行う時間間隔は、センサ10と無線通信手段20とで同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、センサ10を起動するのは1時間毎、無線通信手段20を起動するのは4時間毎、といったパターンが考えられる。アンプ100の記憶部101の記憶容量が許す限り、センサ10由来の計測データを蓄積し、無線通信手段20の起動頻度を可能な限り低減するとすれば、無線通信手段20における更なる節電が見込める。
【0029】
上述のアンプ100に接続される無線通信手段20は、ネットワーク上のノードを構成する装置であり、他のノードと自立的にネットワーク確立を行うものである。このネットワークとしてはワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5を採用できる(以下、ワイヤレスパーソナルネットワークを例に挙げて説明を行う)。前記無線通信手段20は、好ましくは1つのセンサ10およびアンプ100と組をなす。無線通信手段20は、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5のプロトコルに適合した通信回路21、電波の送受信の媒体となるアンテナ22,アンプ100とのデータ授受を担うインターフェイス23、および稼働用の電源たる電池30を備えている。
【0030】
ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5(WPAN:Wireless Personal Area Network)は、比較的近距離(例:数メートル〜百数十メートル)で隣接した通信端末同士が自立的に相互接続して構成する無線ネットワークであり、具体的にはZigBee等の規格を採用できる。当該規格は、低コスト、低消費電力であり、本実施形態のワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5の構築に適した無線通信規格と言える。また、1つのネットワークに最大で65535ノード(端末)が接続可能であり、広範な領域にセンサを多数配置する状況にも適切に対応できる。更に、複雑な設定なしに30ミリ秒程度でアドホックなネットワーク構築が可能であり、また、15ミリ秒程度でスリープ状態から回復可能という特性も備えている。
【0031】
続いて、本実施形態の無線計測制御システム1を構成するアンプ100、および管理装置200について、そのハードウェア構成を詳述する。図2は、本実施形態における無線計測制御システム1を構成する各装置らのハードウェア構成例を示す図である。本実施形態の無線計測制御システム1(以下、システム1)を構成する、アンプ100(制御手段)は、不揮発性の記憶装置で構成された記憶部101、記憶部101に保持しているプログラム102を実行する演算部103、無線通信手段20と通信するインターフェイス部104、現在時刻の管理と、センサ10および無線通信手段20をそれぞれ予め設定した所定時間毎に起動する処理を行うタイマー部105、および稼働用の電源たる電池30を備えている。また、例えばアンプ100のバスには適宜なコネクタや配線、インターフェイス類を介してセンサ10が接続されており、アンプ100とセンサ10は一体の構成となっている。
【0032】
記憶部101には、プログラム102の他に、処理に必要な各種データが格納されている。より具体的には、タイマー部105が参照する前記起動の時間に関する情報が格納されている。制御手段100が本実施形態の無線計測制御方法の実行に際し必要な機能は、プログラム102を演算部104が実行することで実装される機能と言える。
【0033】
また、管理装置200は、工事現場の現場事務所等に置かれるパーソナルコンピュータなどであり、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5に接続され、各アンプ100から送信されてくる計測データを収集している。管理装置200はコンピュータ装置として一般的な、ハードディスクドライブ等の記憶手段201、この記憶手段201に格納されているプログラム202をメモリ203に読み出して実行する演算部204、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5に接続しアンプ100らと通信するネットワークインターフェイス部205、ユーザからの入力を受け付けるキーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置206、ユーザに情報を提示するディスプレイやスピーカー等の出力装置207、現在日時を管理するクロック部208を備えている。また、前記記憶手段201には、無線通信手段20のリスト210、無線通信手段20の配置情報211が記憶されている。
【0034】
続いて、制御手段たるアンプ100の演算部103がプログラム102の実行により実現する処理、および管理装置200の演算部204がプログラム202の実行により実現する処理、について説明する。
【0035】
アンプ100の演算部103は、タイマー部105によって、センサ10を所定時間の到来に応じて起動し、該当センサ10での一定時間の計測データを取得して記憶部101に記憶し、次の起動タイミングまで前記センサ10を停止させる処理を実行する。
【0036】
また、アンプ100の演算部103は、タイマー部105によって、無線通信手段20を所定時間の到来に応じて起動し、記憶部101に記憶している計測データを無線通信手段20によって他無線通信手段に送信させ、次の起動タイミングまで前記無線通信手段20を停止させる処理を実行する。
【0037】
なお、アンプ100は、タイマー部105によって前記所定時間毎に起動するとすれば節電効果がより高まり好適である。また、各アンプ100は、無線通信手段20の起動時に、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5に含まれる所定装置、例えば管理装置200のクロック部207から時刻情報を得て、時刻情報の同期処理を実行するとしてもよい。このような時刻の同期処理を行っておけば、各アンプ100の起動のタイミングを精度よく揃え、ひいては、アンプ間のワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5の構築やそれに伴う計測データの伝送等も確実なものとできる。
【0038】
一方、管理装置200の演算部204は、各アンプ100が記憶していた計測データを取得し、該取得した計測データのうち時間変化が所定基準を越えるものを特定し、該特定した計測データを記憶していたアンプ100に対し、タイマー部105における起動の所定時間を既存設定より一定時間短く設定する処理を無線通信手段20を介して実行する。
【0039】
また、管理装置200の演算部204は、所定時間毎の無線通信手段20の起動時に、各アンプ100が記憶していた計測データを取得し、該取得した計測データの送信元である無線通信手段20の情報を、予め記憶手段201にて保持する無線通信手段のリスト210と照合し、計測データが取得できなかった無線通信手段20を特定するとしてもよい。
【0040】
この場合、管理装置200の演算部204は、予め記憶手段201にて保持するワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5上の無線通信手段20の配置情報211に基づき、前記特定した無線通信手段20がネットワークを構成する所定範囲の無線通信手段25を特定し、当該所定範囲の無線通信手段25と組を成すアンプ100に対し、所定時間帯の停止を設定する。
【0041】
またこの場合、管理装置200の演算部204は、前記所定範囲外の無線通信手段であり、前記特定した無線通信手段20と通信可能な位置にある無線通信手段26を前記配置情報211に基づいて特定し、該特定した無線通信手段26と組を成すアンプ100に対し、前記所定時間帯の起動を設定する。
【0042】
なお、管理装置200の演算部204は、前記特定した無線通信手段20がネットワークを構成する所定範囲の前記無線通信手段25について、ユーザからの指示を入力装置206で受け付けて、前記指示に応じた前記所定範囲の無線通信手段25と組を成すアンプ100に対し、所定時間帯の停止を設定するとしてもよい。
【0043】
この場合、管理装置200の演算部204は、前記所定範囲外の無線通信手段であり、前記特定した無線通信手段20と通信可能な位置にある無線通信手段26について、ユーザからの指示を入力装置206で受け付けて、前記指示に応じた無線通信手段26と組を成すアンプ100に対し、前記所定時間帯の起動を設定する。
【0044】
また、前記アンプ100は、電池30の残容量を検知するセンサ31を有しており、当該センサ31で検知した電池30の残容量の情報を、無線通信手段20を起動した際に無線通信手段20を介して管理装置200に送信するとしてもよい。この場合、前記管理装置200は、前記アンプ100から前記電池30の残容量の情報を受信し、該残容量が一定レベル以下であれば、該当アンプ100における電池交換時期として出力装置207に所定のアラームを出力するとすれば好適である。
【0045】
ここで、CPU等の演算部によりプログラムを実行することで、必要な機能を実装する例をあげたが、必要な機能を実現する電子回路等を前記制御手段100や管理装置200が備えていて、同様の処理を実行するとしても勿論問題ない。
【0046】
−−−テーブル構造例−−−
図3は本実施形態におけるテーブル例を示す図である。前記管理装置200は、その記憶手段201において、無線通信手段のリスト210、無線通信手段の配置情報211といったテーブルを備えている。無線通信手段のリスト210は、図3の例に示すように、無線通信手段20の識別番号をキーとして、該当無線通信手段20と組をなすセンサ10とアンプ100の各識別番号が対応付けされたレコードの集合体となっている。
【0047】
また、無線通信手段の配置情報211は、例えば、無線通信手段20の識別番号をキーとして、例えば工事領域を座標平面とした場合の該当無線通信手段20の設置座標が対応付けされたレコードの集合体となっている。
【0048】
−−−無線計測制御方法のフロー例1−−−
次に、本実施形態の無線計測制御方法の処理フローについて説明する。図4は、本実施形態の無線計測制御方法の処理フロー例1を示す図である。ここではまず、アンプ100のタイマー部105に対する設定処理について説明する。アンプ100のタイマー部105の設定処理に関して主体となるのは管理装置200である。管理装置200は、入力装置206を介して、計測の管理者等からの時刻ないし時間間隔の指定を受け付ける(s100)。ここで指定を受け付ける時刻ないし時間間隔はアンプ100のタイマー部105が、センサ10と無線通信手段20の起動を行うタイミングとなる。
【0049】
既に上述したとおり、アンプ100が起動の制御を行う時間間隔は、センサ10と無線通信手段20とで同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、センサ10を起動するのは毎9時、毎11時、毎13時、・・・、或いは2時間毎、無線通信手段20を起動するのは毎9時、毎13時、毎17時、・・・或いは4時間毎、といったパターンが考えられる。アンプ100の記憶部101の記憶容量が許す限り、センサ10由来の計測データを蓄積し、無線通信手段20の起動頻度を可能な限り低減するとすれば、無線通信手段20における更なる節電が見込める。
【0050】
管理装置200は、管理者等から指定を受け付けたセンサ向けおよび無線通信手段向けの時刻ないし時間間隔の情報を含む設定指示を、ネットワークインターフェイス部104を介しワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5に接続されているアンプ100に対し送る(s101)。この設定指示は、設定対象を特定するアンプ100の識別番号を含むものとする。
【0051】
この設定指示を管理装置200がアンプ100に送るのが最初、つまりアンプ100の初期設定時であれば、管理者等は予めアンプ100を起動させて管理装置200とアンプ100との間でワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5を確立しておく。また、この設定指示を管理装置200がアンプ100に送るのが初期設定時以降であれば、初期設定等で定めておいた時間にアンプ100が起動し、管理装置200との間でワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5が確立された時点で、管理装置200がこのネットワーク確立を検知し、前記設定指示をアンプ100に送信することになる。
【0052】
一方、アンプ100は前記設定指示を管理装置200から受信し、タイマー部105に設定する(s102)。このタイマー部105は、設定された時刻ないし時間間隔の到来を検知し、所定のインターフェイスを介して接続されているセンサ10、無線通信手段20に起動信号ないし停止信号を出力する機能を有する。以上のようにアンプ100のタイマー部105への時刻ないし時間間隔の設定がなされた。
【0053】
−−−無線計測制御方法のフロー例2−−−
次に、センサ10と無線通信手段20の起動、および計測データの収集処理について説明する。図5は、本実施形態の無線計測制御方法の処理フロー例2を示す図である。この場合、アンプ100のタイマー部105は、管理装置200から設定されているセンサ10の起動の時刻ないし時間間隔の到来を検知して(s200:Yes)、例えばセンサ10に起動信号を送る(s201)。センサ10がアンプ100からの給電を受けて稼働するものであれば、前記起動信号は給電の開始と置き換えることもできる。
【0054】
アンプ100により起動したセンサ10は計測を開始し、計測結果たる計測信号をアンプ100に送り続ける(s202)。アンプ100はセンサ10から送られてくる計測信号を受信し、該計測信号の一定レベルまでの増幅、および整形等を行ってデジタル化した計測データを記憶部101に格納する(s203)。
【0055】
アンプ100のタイマー部105は、センサ10の起動からの一定時間、例えば1時間の経過を監視し、この一定時間の経過を関知した時(s204:Yes)、センサ10に対し停止信号を送る(s205)。センサ10がアンプ100からの給電を受けて稼働するものであれば、前記停止信号は給電の停止と置き換えることもできる。この停止信号を受けたセンサ10は計測動作を終える(s206)。
【0056】
また、アンプ100のタイマー部105は、管理装置200から設定されている無線通信手段20の起動の時刻ないし時間間隔の到来を検知して(s207:Yes)、例えば無線通信手段20に起動信号を送る(s208)。この処理は、前記ステップs200の処理と並行して実行されるが、本フロー図では便宜的にシリアルに処理を行うよう記載している。アンプ100により起動した無線通信手段20は、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5のプロトコルに沿って、周囲にある他無線通信手段とのネットワーク確立動作を実行する(s209)。この動作は、同時間帯に起動した各無線通信手段20同士でそれぞれ実行されるものであり、これにより、各無線通信手段20から管理装置200に至るワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5が構築される。
【0057】
周囲にある他無線通信手段とネットワークを確立した無線通信手段20は、自身と組をなすアンプ100の記憶部101に格納されていた計測データを読み取り、該計測データと自身およびアンプ100の識別番号を含む転送依頼を、管理装置200を宛先として他無線通信手段に送る(s210)。この他無線通信手段は前記転送依頼を受信し、自身より管理装置200により近い他の他無線通信手段に転送することになる。こうしたデータ転送の仕組みはワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5のプロトコルに沿った規定のものとなる。
【0058】
アンプ100のタイマー部105は、無線通信手段20の起動からの一定時間、例えば3分間の経過を監視し、この一定時間の経過を関知した時(s211:Yes)、無線通信手段20に対し停止信号を送る(s212)。この停止信号を受けた無線通信手段20は計測データの送信動作を終える(s213)。
【0059】
こうして無線通信手段20から送られてくる計測データを、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5の末端に位置する管理装置200は受信し、記憶手段201に蓄積していく(s214)。管理装置200の記憶手段201には、各無線通信手段20およびアンプ100の識別番号が対応付けされた計測データのレコードが無線通信手段20の起動毎に増えていくことになる。
【0060】
−−−無線計測制御方法のフロー例3−−−
次に、管理装置200が無線通信手段20から得た計測データに基づく処理について説明する。図6は、本実施形態の無線計測制御方法の処理フロー例3を示す図である。計測データを無線通信手段20から受信する管理装置200は、計測データの変化について監視し、必要な対応処理を行うことができる。この場合、管理装置200は、各無線通信手段20から取得した計測データ、例えば水位について、一定時間毎の変化値を算定する(s300)。また管理装置200は、算定した各変化値が所定基準を越えるか判定し、所定基準を超える変化値を示した計測データより無線通信手段20およびアンプ100の識別番号を抽出して無線通信手段20とアンプ100を特定する(s301)。
【0061】
管理装置200は、前記特定したアンプ100に対し、タイマー部105における起動の所定時間を既存設定より一定時間短く設定する処理(例:既存設定の“2時間毎”を“30分毎”に)を、前記特定した無線通信手段20(当然、起動してワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5に接続済みのもの)を介して実行する(s302)。こうした起動間隔の短縮化、つまり計測間隔の短縮化により、観測現象の急変が生じている箇所についてより精密な計測が実行できる。
【0062】
なお、こうして観測された例えば水位の値の変化に応じて、管理装置200が、所定のネットワーク(ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5であってもよい)を介して接続されている各観測井2のポンプ3のポンプ電源制御装置4に対し、前記変化に応じた所定量の注水あるいは揚水の指示を行うとしてもよい。
【0063】
−−−無線計測制御方法のフロー例4−−−
図7は、本実施形態の無線計測制御方法の処理フロー例4を示す図である。また他にも、管理装置200は、計測データが各無線通信手段20からもれなく取得できたか否か確認し、必要な対応処理を行うことができる。この場合、管理装置200は、所定時間毎の無線通信手段20の起動時に、各アンプ100が記憶していた計測データを取得し、該取得した計測データに付帯していた無線通信手段20の識別番号を、記憶手段201にて保持する無線通信手段のリスト210と照合する(s400)。
【0064】
無線通信手段のリスト210が含む識別番号の中に、前記無線通信手段20の識別番号が含まれていなかった場合(s401:NG)、管理装置200は、該当識別番号の無線通信手段20を、計測データが取得できなかった無線通信手段として特定する(s402)。
【0065】
この場合、管理装置200は、記憶手段201にて保持する前記配置情報211に、前記ステップs402で特定した無線通信手段20の識別番号を照合し、例えば、該当無線通信手段20の座標値を取得する(s403)。また、管理装置200は、前記取得した座標値と、前記配置情報211における他の無線通信手段の座標値との間の距離計算を行って、距離Aにある他の無線通信手段25を特定する(s404)。この特定の手法としては、各無線通信手段20毎に、距離Aにある他の無線通信手段について入力装置206を介して管理者等から指定を受け、前記配置情報211において該当無線通信手段のレコードに予めフラグを立てておく手法も考えられる。この場合、前記ステップs404を実行する管理装置200は、このフラグを配置情報211にて検索すればよいことになる。
【0066】
距離Aの範囲にある無線通信手段25を特定した管理装置200は、この無線通信手段25と組を成すアンプ100に対し、(該当アンプ100の起動時に)所定の時間帯Tの停止を設定する(s405)。また、管理装置200は、距離Aの外、つまり距離Aより遠い距離にある無線通信手段であり、なおかつ前記ステップs402で特定した無線通信手段20と通信可能な位置にある無線通信手段26を前記配置情報211に基づいて特定する(s406)。
【0067】
この場合、管理装置200は、記憶手段201にて保持する前記配置情報211に、前記ステップs402で特定した無線通信手段20の識別番号を照合し、例えば、該当無線通信手段20の座標値を取得する。また、管理装置200は、前記取得した座標値と、前記配置情報211における他の無線通信手段の座標値との間の距離計算を行って、前記距離Aより遠く距離Bより近い距離にある他の無線通信手段26を特定する。この特定の手法としては、各無線通信手段20毎に、距離A以遠で距離B以内にある他の無線通信手段26について入力装置206を介して管理者等から指定を受け、前記配置情報211において該当無線通信手段のレコードに予めフラグを立てておく手法も考えられる。この場合、前記ステップs406を実行する管理装置200は、このフラグを配置情報211にて検索すればよいことになる。こうして特定した無線通信手段26と組を成すアンプ100に対し、管理装置200は、前記ステップs405で設定したの同じ時間帯Tについて起動を設定する(s407)。
【0068】
時間帯Tについて停止が設定されたアンプ100は、該当時間帯Tの到来に応じて無線通信手段25を停止する(s408)。なお、前記アンプ100は、当初から「起動」が設定されていない時間帯であれば特に何もしない。一方、時間帯Tについて起動が設定されたアンプ100は、該当時間帯Tの到来に応じて無線通信手段26を起動する(s409)。なお、前記アンプ100は、当初から「起動」が設定されている時間帯であれば特に何もしない。この時、前記無線通信手段20は、通常時の接続先であるが現時点で起動していない無線通信手段25とではなく、起動されている無線通信手段26と接続を確立し、計測データの送信処理を実行することになる(s410)。
【0069】
なお、管理装置200は、前記無線通信手段25について、ユーザからの指示を入力装置206で受け付けて、前記無線通信手段25と組を成すアンプ100に対し、所定時間帯の停止を設定するとしてもよい。この場合、管理装置200は、前記無線通信手段26について、ユーザからの指示を入力装置206で受け付けて、前記無線通信手段26と組を成すアンプ100に対し、前記所定時間帯の起動を設定することとなる。
【0070】
なお、アンプ100は、タイマー部105によって、センサ10や無線通信手段20の起動を行う所定時間毎に起動するとすれば節電効果がより高まり好適である。また、各アンプ100は、無線通信手段20の起動時に、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5における管理装置200のクロック部207から時刻情報を得て、時刻情報の同期処理を実行するとしてもよい。このような時刻の同期処理を行っておけば、各アンプ100の起動のタイミングを精度よく揃え、ひいては、アンプ間のワイヤレスパーソナルエリアネットワーク5の構築やそれに伴う計測データの伝送等も確実なものとできる。
【0071】
−−−無線計測制御方法のフロー例5−−−
図8は、本実施形態の無線計測制御方法の処理フロー例5を示す図である。図2に基づいて既に上述したが、アンプ100が電池30の残容量を検知するセンサ31を有しているとしてもよい。この場合、アンプ100は、例えば、無線通信手段20を起動した際に、前記センサ31から電池30の残容量に関する測定データを取得する(s500)。また、アンプ100は、取得した電池30の残容量に関する測定データを、無線通信手段20を介して管理装置200に送信する(s501)。アンプ100はこれらステップs500とs501を無線通信手段20を起動する毎に繰り返す。
【0072】
一方、管理装置200は、前記アンプ100から、前記電池30の残容量の測定データを受信し(s502)、所定の基準値と比較する(s503)。前記電池30の残容量が前記基準値以下である場合(s504:NG)、管理装置200は、該当アンプ100における電池交換時期が到来したとして出力装置207に所定のアラームを出力する(s505)。或いは、予め記憶手段201に保持している管理者端末(例:携帯電話機、モバイルコンピュータ等)のアドレスに宛て、ネットワークインターフェイス部205を介して前記アラームのメッセージを送信するとしてもよい。
【0073】
他方、前記電池30の残容量が前記基準値以上である場合(s504:OK)、管理装置200は、該当アンプ100における電池交換時期は到来していないとして処理を前記ステップs502に戻す。無線計測における省電力化を図る本実施形態の無線計測制御システム1において、こうした電池残量の情報管理を行うとすれば、省電力化による電池交換間隔の長期化を図ると共に、不意の電池切れによる計測失敗といった事態を防ぐことも可能になる。
【0074】
以上のような本実施形態によれば、計測の継続性を良好に維持しつつ、計測用装置類の省電力化を図り、計測システムの設置、メンテナンスの簡便化も実現される。本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 無線計測制御システム
2 観測井
3 ポンプ
4 ポンプ電源制御装置
5 ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク
10 センサ
20 無線通信手段
21 通信回路
22 アンテナ
23 インターフェイス
30 電池
100 制御手段(アンプ)
101 記憶部
102 プログラム
103 演算部
104 ネットワークインターフェイス部
105 タイマー部
200 管理装置
201 記憶手段
202 プログラム
203 メモリ
204 演算部
205 ネットワークインターフェイス部
206 入力装置
207 出力装置
208 クロック部
210 無線通信手段のリスト
211 無線通信手段の配置情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測地点毎に設置され、所定現象に関する計測を行うセンサと、
自立的なネットワーク確立を行うノードであり、電池による給電を受ける無線通信手段と、
前記センサおよび前記無線通信手段を、それぞれ予め設定した所定時間毎に起動するタイマー部と、前記センサから取得した計測データを記憶する記憶部を備え、電池による給電を受ける制御手段とを含み、
前記制御手段が、
前記タイマー部によって起動した前記センサでの一定時間の計測データを取得して前記記憶部に記憶し、次の起動タイミングまで当該センサを停止させる処理と、
前記タイマー部によって起動した前記無線通信手段により、前記記憶部に記憶している計測データを他の無線通信手段に送信させ、次の起動タイミングまで前記無線通信手段を停止させる処理と、
前記無線通信手段の起動時に、ネットワークに含まれる所定装置との間における時刻情報の同期処理を実行するものである、
ことを特徴とした無線計測制御システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御手段は、前記センサおよび前記無線通信手段の組毎に設けられているものであることを特徴とした無線計測制御システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記制御手段に対し前記タイマー部における起動の所定時間を設定する管理装置を含み、
前記管理装置は、各制御手段が記憶していた計測データを取得し、該取得した計測データのうち時間変化が所定基準を越えるものを特定し、該特定した計測データを記憶していた制御手段に対し、前記タイマー部における起動の所定時間を既存設定より一定時間短く設定する処理を前記無線通信手段を介して実行することを特徴とした無線計測制御システム。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記制御手段に対し前記タイマー部における起動の所定時間を設定する管理装置を含み、
前記管理装置は、前記所定時間毎の無線通信手段の起動時に、各制御手段が記憶していた計測データを取得し、該取得した計測データの送信元である無線通信手段の情報を、予め記憶手段にて保持する無線通信手段のリストと照合し、計測データが取得できなかった無線通信手段を特定し、
予め記憶手段にて保持するネットワーク上の無線通信手段の配置情報に基づき、前記特定した無線通信手段がネットワークを構成する所定範囲の無線通信手段を特定し、当該所定範囲の無線通信手段と組を成す制御手段に対し、所定時間帯の停止を設定し、
前記所定範囲外の無線通信手段であり、前記特定した無線通信手段と通信可能な位置にある無線通信手段を前記配置情報に基づいて特定し、該特定した無線通信手段と組を成す制御手段に対し、前記所定時間帯の起動を設定することを特徴とした無線計測制御システム。
【請求項5】
請求項2または3において、
前記制御手段に対し前記タイマー部における起動の所定時間を設定する管理装置を含み、
前記管理装置は、前記所定時間毎の無線通信手段の起動時に、各制御手段が記憶していた計測データを取得し、該取得した計測データの送信元である無線通信手段の情報を、予め記憶手段にて保持する無線通信手段のリストと照合し、計測データが取得できなかった無線通信手段を特定し、
前記特定した無線通信手段がネットワークを構成する所定範囲の無線通信手段について、ユーザからの指示を入力装置で受け付けて、前記指示に応じた前記所定範囲の無線通信手段と組を成す制御手段に対し、所定時間帯の停止を設定し、
前記所定範囲外の無線通信手段であり、前記特定した無線通信手段と通信可能な位置にある無線通信手段について、ユーザからの指示を入力装置で受け付けて、前記指示に応じた無線通信手段と組を成す制御手段に対し、前記所定時間帯の起動を設定することを特徴とした無線計測制御システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記制御手段に対し前記タイマー部における起動の所定時間を設定する管理装置を含み、
前記制御手段は、電池の残容量を検知するセンサを有しており、当該センサで検知した電池の残容量の情報を、無線通信手段を起動した際に無線通信手段を介して管理装置に送信するものであり、
前記管理装置は、前記制御手段から前記電池の残容量の情報を受信し、該残容量が一定レベル以下であれば、該当制御手段における電池交換時期として出力装置に所定のアラームを出力するものである、ことを特徴とした無線計測制御システム。
【請求項7】
計測地点毎に設置され、所定現象に関する計測を行うセンサと、自立的なネットワーク確立を行うノードであり、電池による給電を受ける無線通信手段と、前記センサおよび前記無線通信手段を、それぞれ予め設定した所定時間毎に起動するタイマー部と、前記センサから取得した計測データを記憶する記憶部を備え、電池による給電を受ける制御手段とを含む無線計測制御システムにおける、
前記制御手段が、
前記タイマー部によって起動した前記センサでの一定時間の計測データを取得して前記記憶部に記憶し、次の起動タイミングまで当該センサを停止させる処理と、
前記タイマー部によって起動した前記無線通信手段により、前記記憶部に記憶している計測データを他の無線通信手段に送信させ、次の起動タイミングまで前記無線通信手段を停止させる処理と、
前記無線通信手段の起動時に、ネットワークに含まれる所定装置との間における時刻情報の同期処理と、
を実行することを特徴とした無線計測制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−205108(P2012−205108A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68279(P2011−68279)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】