無線通信システム、および、該システムにおけるバックホールビーム形成の調整方法
無線通信システム内の2つの通信エンティティ(90、92)間でビーム形成(94、96)の使用を調整するための方法およびシステムが開示される。2つのエンティティは、それぞれのビーム形成の使用に関する制御情報を伝え合うことができる。少なくとも1つのエンティティのための補正係数が提供され、前記エンティティは、通信相手の他のエンティティのビームに対するビーム整合において測定された任意の誤差を補正するために、自らのビーム調整を縮小または保留することができる。ビームを調整するための調整パラメータは、通信を取り巻く条件に基づいて選択される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関する。より詳細には、本発明は、無線通信システムにおけるビーム形成の調整に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビーム形成とは、対象とする個々の受信機または送信機の方向に信号電力の送信または受信を集中させることである。信号の送信および受信はどちらも、全方向パターン(omni−directional pattern)よりもビーム形成パターンから多くの利益を得ることができる。送信機の観点からは、ビーム形成は、送信を実行するのに必要となる電力を小さくし、対象ではない受信機に及ぼされる干渉の原因となる電力を小さくする。受信機の観点からは、ビーム形成は、希望受信信号を強め、他の送信機または信号源が送信の主軸から引き離されるほど、それらが原因となる干渉を小さくする。
【0003】
図1を参照すると、ビーム形成は通常、例えばマイクロ波塔10、12などの固定インフラストラクチャと関連づけられる。そのわけは、図1に示すように、マイクロ波塔10、12の静的な送信ビームと受信ビームを互いに向け合うことは比較的簡単であるからである。塔が据え付けられる構造および利用されるビーム幅は、ビーム同士がオーバラップし続け、それによって信頼性の高い送信が可能となるように、十分に安定的でありさえすればよい。塔またはビームが構造または電気的な不安定性のために不安定である場合、図2に示すように、ビームが適切にオーバラップしないこともあり得る。しかし、そのような状況であっても、ビームは2つの固定位置から送信され、一般に不整合(misalignment)の程度は比較的小さいので、補正は比較的容易である。
【0004】
しかし、無線通信システムの容量およびカバレージ要件の急速な増大に伴い、基地局と無線送受信ユニット(WTRU)の間でもビーム形成が使用されることがあり得る。ここで図3を参照すると、ビーム形成を使用している基地局20と、全方向パターンを使用しているWTRU22とが示されている。ビームに対する可能な外的影響(すなわち物理的障害)を無視すれば、基地局20は、適度に静的なパターン位置をもたなければならない。一方、WTRU22は、任意の方向に回転および位置移動される。WTRU22の送信パターンが本当に全方向的である(すなわち円によって近似される)ならば、回転は通信リンクに影響を及ぼさない。しかし、位置移動は、WTRU22と基地局20の通信リンクの関係を変化させ得るために問題を引き起こす。例えば、図3において、WTRU22は、最初は全方向パターン24を放射するが、その後、位置を変化させて、全方向パターン26を放射し始める。したがって、基地局20は、交信を維持するために、そのビームを変更する必要があるかもしれない。もちろん、変化が極端なときは、ハンドオフ(またはハンドオーバ)と呼ばれ、既存の無線通信システムで普通に行われている、別の基地局への切り換えを必要とすることができる。
【0005】
図4を参照すると、基地局30が全方向パターンを使用しており、WTRU32がビーム形成を使用している。この場合、WTRU32がビーム形成を使用しているので、位置移動ばかりでなく回転も基地局30とWTRU32の間のパターンオーバラップを悪化させ得るという、さらなる問題がもちあがる。例えば、この状況においては、WTRU32は、最初はビームパターン34を放射しており、その後、回転もしくは位置移動またはその両方の結果として位置を変化させて、ビームパターン36を放射し始める。しかし、この状況は、上述したように、既存システムの既存能力であるハンドオフを使用して対処することもできる。基地局30の全方向パターンは、無線システムにしばしば見出されるような扇形パターンで置き換えることができることに留意されたい。キーポイントとなるのは、WTRU32が回転および位置移動を行った際に扇形間でのハンドオフを要求できるように、基地局30がその場所の周囲に完全なカバレージを提供していることであり、これは既存無線システムの既存能力である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図5に示すように、両方のエンティティ(すなわち基地局とWTRU)がビーム形成を使用している場合、WTRU40の移動(破線のパターンを見られたい)がパターンオーバラップを損ねる可能性はより高くなる。すなわち、適切に整合するパターンが使用されるならば、ビーム形成は通信を改善するが、WTRUと基地局が共にビーム形成を使用する場合、不整合の可能性がより高くなり、その結果、リンクの確立および維持をより時間のかかる、より困難なものにする。
【0007】
例えば、図6において、「調整前」状況は、2つの不整合ビームを示している。従来技術においては、それらのビームが発信される両方のエンティティXa、Xb(両方が基地局またはWTRUであってもよい)が、ビームをより良く整合させるための調整を決定するが、互いに相手が行っていることを知らないので、両方が必要とされる調整を実行する。したがって、全体としての調整は、最初の誤差とおおよそ等しく、ただしビームは「調整後」状況に示すように異なる方向を向いた、整合誤差(error in alignment)を結果として引き起こす。次に調整が試みられるときも、同じことが起こり得るため、最適なビーム整合の付近で振動するパターンにビームを陥らせることがある。ビームの測定または実際の調整の間に暗黙のタイミング関係が存在しない点に留意することが重要である。したがって、この問題を引き起こすのに唯一必要とされる状況は、一方のエンティティによって行われる測定およびその結果として実行される調整と、他方のエンティティで行われる同じ測定およびその結果としての調整とが、時間的に重なり合っていることである。
【0008】
したがって、無線通信システムにおけるビーム形成を調整するための方法およびシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、無線通信システムにおける2つの通信エンティティの間でのビーム形成の使用を調整するための方法およびシステムである。2つのエンティティは、それぞれのビーム形成の使用に関する制御情報を伝え合うことができる。少なくとも1つのエンティティのための補正係数(correction factor)が提供され、前記エンティティは、通信相手の他のエンティティに対するビーム整合において測定された任意の誤差を補正するために、自らのビーム調整を縮小または保留することができる。
【0010】
本発明の別の実施形態は、一方または両方のエンティティが、他方のエンティティがビーム形成を行えるかどうか知らない場合に適用可能である。したがって、補正係数は、他方のエンティティがビーム形成を行えても行えなくても、または他方のエンティティが本発明を利用していてもいなくても実用的な方式で、一方のエンティティによって計算され、使用される。
【0011】
ビームは、ビーム調整用の任意の適切な調整パラメータまたはそれらの任意の組合せを使用して調整することができる。すなわち、ビームは、測定された誤差が補正されるように、単一の調整パラメータ、利用可能な調整パラメータの特定の組合せ、または利用可能なすべてのパラメータを調整することによって調整することができる。さらに、仰角(elevation)および方位角(azimuth)次元において、同じまたは異なる調整パラメータを使用することができる。同様に、2つの通信エンティティによって、同じまたは異なる調整パラメータを使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書において、無線送受信ユニット(WTRU)は、ユーザ機器、移動機器、移動局、受信機、送信機、固定もしくは移動加入者ユニット、ポケットベル、または無線環境で動作可能な任意のその他のタイプの装置を含むが、これらに限定されるものではない。本明細書において言及される場合、基地局は、ノードB、受信機、送信機、サイトコントローラ、アクセスポイント、または無線環境における任意のその他のタイプのインタフェース装置を含むが、これらに限定されるものではない。
【0013】
さらに、任意のアンテナパターンと同様に、図面に示されたビームの輪郭線は、パターン内の最大エネルギーから指定された量だけ減衰した信号を表現したものに過ぎない点に留意することが重要である。信号は、実際には輪郭線を越えて広がり続けるが、減衰のレベルはさらに大きくなる。本明細書の図に示されたパターンは、通信が可能であるレベルを表すことを意図している。実際には、これらのレベルは、送信機および受信機の能力に依存する。オーバラップが示されている場合、それは、一般的な条件下で目的を与えられた場合に、許容可能な通信に適したパターンを表すことを意図している。
【0014】
簡潔にするため、本明細書では、1次元の送信パターンを示し、説明する。しかし、ビームの不整合およびそれに基づいて行われる調整は、本明細書で示し、説明するような、方位角(すなわち水平)または仰角(すなわち垂直)次元におけるものばかりでなく、それらの組合せとすることもできる点に留意することが重要である。すなわち、本明細書で示し、説明する不整合ビームは、方位角次元、仰角次元、またはそれらの組合せにおいて不整合を起こすことがあり得る。同様に、本発明による不整合ビームを補正するために行われる調整は、方位角次元、仰角次元、またはそれらの組合せにおいて実行することができる。さらに、本明細書で使用されるビーム幅は、水平ビーム幅または垂直ビーム幅とすることができる。すなわち、ビーム幅を調整することによってビームを調整する場合、ビームは、水平ビーム幅、垂直ビーム幅、またはそれらの組合せを調整することができる。
【0015】
便宜上、本発明は、基地局とWTRUの間で説明されるが、もちろん、ビーム形成の使用についてネゴシエーションを行うことができる任意の2つのエンティティ間で実施することもできる。2つのエンティティの間、例えば基地局とWTRUの間で交信が確立されると、両者はビーム形成の使用についてネゴシエーションを行う。WTRUの回転および位置が(方位角と仰角の両方で)十分に安定していると考えられる場合だけ、両方のエンティティはビーム形成に同意する。この安定性の判断は、例えば、ユーザとの対話によって確立されるWTRUの設定、WTRUの動きセンサ、または通信チャネル特性の監視によって行うことができる。各エンティティによるビーム形成の実際の程度は、利用可能な電力、距離、および送受信機の制御を超える軽減要因(例えば、フェージング、マルチパス、環境条件)の関数であり、好ましくは、消費電力ならびに他の送受信機からの干渉および他の送受信機への干渉に関して最適化される。
【0016】
図7の表は、ビーム形成の使用に関する、アップリンクおよびダウンリンクごとに4つのシナリオを含む例を提供している。各方向で使用されるシナリオは、アプリケーション要件、装置能力、RF環境、および各装置の物理的安定性の関数である。いくつかの状況では、与えられた方向によって、使用の仕方が異なることもあり得る。例えば、高速性を目標とするダウンロードは、送信機および受信機の両方で指向性の高いダウンリンクビームによるサービスを受けるのが最良であろうが(シナリオ72、74)、アップリンク肯定応答チャネルは、ackまたはnack制御信号の速やかで信頼性の高い検出を保証するために、全方向送信とビーム形成受信機によるサービスを受けるほうが良いであろう(シナリオ76)。
【0017】
第1の実施形態においては、無線通信システムおよびその中で動作するWTRUは、通信を行い、それぞれのビーム形成の使用の制御についてネゴシエーションを行うことができない。その原因は、例えば、ネットワークにおけるビーム形成配置、または所定のエリアにおける使用について公表もしくはネゴシエーションを行わない装置にあるとすることができる。したがって、両方のエンティティによるビーム形成の使用は、図6との関連で先に説明したような問題を抱えたものとなる。
【0018】
したがって、第1の実施形態においては、シナリオ72および74などの状況におけるビーム形成の制御は、不整合ビームの調整を最適化し、ビームが従来技術との関連で説明したような振動パターンに陥るのを防止するために、非調整方式で実行される。ここで2つのエンティティおよびそれらのビームの平面図である図8aの「調整前」部分を参照すると、2つの通信エンティティ80、82の少なくとも一方、例えばエンティティ80が、それぞれのビーム84、86が不整合を起こしている程度の何割かに等しい補正(すなわち調整)を実行する。すなわち、エンティティ80は、誤差測定値の何割かに相当する調整を実行する。この場合、最初に数回補正を繰り返した後も、まだある程度の不整合が存在している。例えば、一方のエンティティが完全な補正を試み、もう一方が本発明を実施する場合、所望の整合度(degree of alignment)が達成される前の繰り返しはどれも、図8aの「調整後」部分に示されるようなオーバシュート(overshoot)状態になる。代替として、一方のエンティティがビームを調整しない場合、または両方のエンティティが本発明のプロセスを使用し、調整比率(adjustment fraction)を誤差の半分未満とする場合、各調整においてビームはアンダーシュート(undershoot)する。直前の文の補正係数を誤差の半分超とする場合、ビームはオーバシュートする。補正係数の率と測定された誤差のその他の組合せも、アンダーシュートまたはオーバシュートを引き起こす。しかし、すべての場合で、不整合の程度は繰り返しのたびに縮小していくので、一方のエンティティが本発明を実施している(すなわち、測定された誤差の何割かに相当する調整を実行している)限り、所望の整合度への収束が起こる。所望の整合度が達成されると、所望の程度に満たない整合度が再び検出されるまで、調整を中止することができる。もちろん、所望の整合度は、通信事業者の選好に基づいて設定することができる。
【0019】
第1の実施形態においてビーム整合がどのように達成されるかをさらに説明するために、ここで以下に示された表1を参照する。表1には、3つのシナリオ例が示されており、使用される調整比率(すなわち補正係数)は1の半分(0.5)である。誤差測定および調整は度を単位とする。各シナリオにおいて、エンティティ「A」は本発明を使用し、エンティティ「B」は使用しない。
【0020】
【表1】
【0021】
第1のシナリオにおいて、エンティティAとBは、オーバラップする調整期間を有する。すなわち、両エンティティ間の通信を最適化するために互いのビームがオーバラップするように、両方のエンティティは、同時(またはほぼ同時)に不整合度(すなわち誤差)を測定し、それぞれのビームを調整する。しかし、説明したように、両方のエンティティは、それぞれのビーム形成の使用に関して情報交換することができない。したがって、振動パターンに陥るのを回避するため、エンティティAは、その調整を測定された誤差の0.5まで縮小する。反復0においては、誤差測定値は32度であり、その結果、エンティティAは、16度の調整を実行し、エンティティBは、まるまる32度の調整を実行する。これらの調整の結果、反復1において、誤差測定値は16度(すなわち図8aの調整後シナリオに示されたオーバシュート状態)になる。そのため、反復1においては、エンティティAは再び、測定された誤差の半分(すなわち8度)ビームを調整し、エンティティBは再び、測定された誤差に等しい量(すなわち16度)ビームを調整する。このシナリオでは0.5度が所望の整合度であるとすると、この繰り返しは反復6まで続けられる。
【0022】
第2のシナリオにおいては、エンティティBが、エンティティAより先に調整を行う。反復0において、エンティティBは、32度の誤差を測定し、そのビームを32度調整する。そのため、反復1において、エンティティAが誤差測定を実行したとき、エンティティAは、誤差を検出せず、調整を行わない。
【0023】
第3のシナリオにおいては、エンティティAが、エンティティBより先かつより頻繁に調整を行う。反復0および反復1の間、エンティティBは、動作を起こさず、エンティティAが、上で説明したように、誤差測定を実行し、そのビームを測定された誤差の0.5だけ調整する。反復2においては、8度の誤差測定が存在している。エンティティAは、測定された誤差の半分(すなわち4度)調整を行い、エンティティBは、測定された誤差に等しい量(すなわち8度)ビームを調整する。この繰り返しは、反復6において所望の整合度が得られるまで続けられる。
【0024】
図8aにおいては、誤差測定および調整は、方位角次元において実行される。しかし、図8bに示されるように、仰角次元における誤差測定および調整を実行することも可能である。図8bは、水平面がハッシュマークで示された立面図である。図8bにおいては、行われる誤差測定および調整は、図8aおよび表1に関連して説明したものと同じであるが、仰角次元において行われる。
【0025】
所望の整合度を達成するのに行われる誤差測定および調整は、方位角および仰角次元において行われる必要がある点に留意することが重要である。方位角および仰角次元の両方において調整が行われるシナリオを説明するため、ここで以下に示される表2を参照する。誤差測定および調整は度を単位とする。表2においては、表1の第1のシナリオと同様に、オーバラップする調整期間が存在し、エンティティAは本発明を使用するが、エンティティBは使用しない。しかし、表2においては、方位角および仰角次元の両方において不整合が存在する。方位角および仰角次元における所望の整合度への収束は、上で説明したのと同様であり、エンティティAは、それぞれの誤差測定値の何割か(この場合は0.5)である方位角および仰角調整を実行する。
【0026】
反復1において、32度の方位角誤差が測定され、40度の仰角誤差が測定される。そのため、補正係数が両方の次元とも0.5であると仮定すると、エンティティAは、方位角方向において16度ビームを調整し、エンティティBは、方位角方向においてまるまる32度ビームを調整する。同様に、エンティティAおよびBは、仰角次元においてそれぞれ20度および40度それぞれのビームを調整する。表2に示されるように、この繰り返しは、方位角および仰角次元において所望の整合度が達成される(すなわち反復6)まで、エンティティAおよびBに対して両方の次元において続けられる。
【0027】
【表2】
【0028】
表2においては、両方の次元で同じ補正係数(すなわち0.5)が使用されているが、方位角および仰角次元で異なる補正係数を使用することができる点に留意することが重要である。さらに、表2においては、簡潔にするため、両方の次元とも同じ反復(すなわち反復6)で収束が達成されるように示されているが、方位角および仰角次元における収束は、異なる反復において達成されることもあり得る。
【0029】
上で提供された例は、本発明を説明するための特定のシナリオを対象としているが、もちろん、それぞれのビーム形成の使用に関する制御情報を伝え合うことのできない2つのエンティティ間で誤差測定が実行される、または実行されない無制限の数のシナリオが存在する。しかし、シナリオに関わらず、一方のエンティティが本発明に従って調整を縮小させている限り、ビームは収束する(すなわち所望の整合度が得られる)。
【0030】
第1の実施形態についての上述の説明においては、本発明を実施するエンティティは、0.5の補正係数を利用した。すなわち、上述の説明においては、本発明を使用するエンティティは、どれほどの誤差が測定されても、その0.5まで調整を縮小した。補正係数は0.5であるのが好ましいが、本発明を使用するエンティティが誤差測定値を縮小させる量は、0と1の間の任意の数とすることができる。
【0031】
第2の実施形態においては、無線通信システムとWTRUは、通信を行い、それぞれのビーム形成の使用の制御についてネゴシエーションを行うことができる。この実施形態においては、2つのエンティティは、単に適切な補正係数について同意することができる。例えば、第2の実施形態においては、エンティティAとBは、理由はともあれ、エンティティAが測定された誤差の0.2に等しい調整を実行し、エンティティBが測定された誤差の0.8に等しい調整を実行することに同意することができる。したがって、以下の表3に示されるように、32度の誤差が測定された反復0において、エンティティAは6.4度の調整を実行し、エンティティBは25.6度の調整を実行する。その後、反復1において、誤差が0であることが測定され、さらなる動作は必要とされない。この状況は、方位角次元については図9aに、仰角次元については図9bに示されている。図9aは平面図であり、図9bは水平面がハッシュマークで示された立面図である。
【0032】
【表3】
【0033】
この実施形態においては、2つのエンティティがそれぞれのビーム形成の使用についてネゴシエーションを行うことができるので、各エンティティによって使用される特定の補正係数は、それらの通信に影響を及ぼす要因を考慮することができる。例えば、補正は、エンティティの能力、2つの通信エンティティ間の角度、およびエンティティがそれぞれのビームを送信する電力に従って調整されることができる。
【0034】
エンティティ能力に関して、基地局は一般に、WTRUよりも優れたフェーズドアレイアンテナ(phase array antenna)を備えており、そのため、そのビームにより微細な調整を施すことができる。実際にこのような場合は、基地局に通信相手のWTRUよりも大きな補正係数を使用させることによって、基地局に調整のより大きな部分を実行させるのが望ましいであろう。
【0035】
2つの通信エンティティ間の角度に関して、一方のエンティティのほうがもう一方よりも大きな角度調整が必要とされる場合、より大きな角度調整を行うエンティティが、より大きな補正係数を使用することができる。例えば、通信相手の基地局の前を通過する自動車で使用されているWTRUの場合、WTRUは、補正のために約5または6度アンテナを調整する必要があるかもしれず、基地局は、より広いビームを使用しているので、1または2度ビームを調整しさえすればよいかもしれない。したがって、この場合は、WTRUに基地局よりも大きな補正係数を使用させることによって、大部分の調整をWTRUに割り当てることができる。
【0036】
エンティティがそれぞれのビームを送信する電力に関して、最高電力で送信しているエンティティに、より大きな補正係数を割り当てることができる。すなわち、基地局が通信相手のWTRUよりも高い電力で送信していると仮定すると、WTRU信号のさらなる減衰を回避するために、必要な調整の大部分を基地局によって実行させるのが望ましいであろう。実際、別の要因が別のやり方を要求しない限り、WTRUには単にそのビームを全く動かさないよう指示し、基地局に測定された誤差の100%に等しい調整を実行させるのが望ましいであろう。この場合は、WTRUの補正係数は0.0となり、基地局の補正係数は1.0となる。
【0037】
本発明に従って測定された誤差および行われた調整は、誤差測定および/または調整を実行するエンティティの向き(方位角および/または仰角)を考慮して行うことができる。例えば、アンテナがそのビームを地表に集中させるために仰角次元において45度下方を向いている場合、仰角次元における測定および/または調整はどれも、アンテナの向きを計算に入れる。さらに、本発明においては、特定の向きを指示するために方位角(すなわち水平)および仰角(すなわち垂直)という用語を利用するが、本発明は、これらの公称の向きからの軸の回転に対しても等しく適用可能であることに留意されたい。例えば、アンテナは、公称垂直面または水平面に対してある角度だけずれた向きで特に利用されるように、意図的に設置される場合がある。例えば、交差偏波(cross polarization)を利用するアンテナは、しばしば45度の角度に設置される。同様に、ランダムに配置された機器または移動機器は、本発明で用いられる前記用語に通常関係づけられる向きに対して既知または固定の関係をもたないことがあり得る。さらに、幅調整およびボアサイト(boresight)の自由度は、理想的には互いに対して90度となるように実施され得るが、互いに対して0度以外であれば任意の制御可能な自由度によって本発明を実施することも可能である。
【0038】
本発明に従って行われるビーム調整は、ビームを調整するための任意の適切なパラメータを使用して行うことができる。すなわち、不整合ビームの補正は、ビームが適切にオーバラップするようにビームを調整できる任意のパラメータを調整することによって実行することができる。
【0039】
例えば、ビーム調整は一般に、ビームのボアサイト(すなわちボアサイト方向)、ビームが送信される電力もしくは信号が受信される利得(一括して電力利得と呼ばれる)、またはビームの幅(すなわちビーム幅)を調整することによって実行される。もちろん、ビームは、これらのパラメータを3つすべて、またはそれらの特定の組合せを調整することによって調整することもできる。さらに、2つの通信エンティティは、それぞれのビームを調整するために、同じ調整パラメータを使用してもよく、または使用しなくてもよい。
【0040】
調整パラメータは、方位角次元、仰角次元、またはそれらの組合せにおいて実行することができる。1つの次元において調整を実行することで、もう1つの次元においてもビームに影響を及ぼすことができる。例えば、仰角次元において不整合を起こしているビームを補正するためにビーム幅を調整する場合(電力およびボアサイトは調整しない)、仰角次元におけるビーム幅の増減は、水平位置におけるビーム幅にも等しい増減を引き起こす。さらに、仰角次元と方位角次元とで同じまたは異なる調整パラメータを使用することもできる。
【0041】
1つまたは複数のビームを調整するのに使用される1つまたは複数の特定の調整パラメータは、通信事業者の選好に基づいて要求に応じて選択することができる。すなわち、一実施形態においては、ボアサイト調整を不整合ビームを補正するための1次パラメータとし、電力およびビーム幅は2次的役割で使用することができ、これらはビームのボアサイトを調整することによって行われる調整を向上させ、または別の形で支援するのに使用される。例えば、この実施形態においては、例えば7度の補正を例えば方位角次元において実行する必要がある場合、ビームを5度調整するのにボアサイトを使用し、残りの2度のために、電力を(ビームをより大きくする必要があるのか、またはより小さくする必要があるのかに応じて)増減させ、かつ/または幅を増減させるのが望ましいかもしれない。
【0042】
別の実施形態においては、パラメータのすべてがビーム不整合を補正するための等しく利用可能な選択肢となるように、すべてのパラメータを1次選択肢とすることができる。この場合も、やはりボアサイト、電力、およびビーム幅を利用可能なパラメータとして使用し、補正が行われる必要がある場合は、補正を実行するのに最も効果的なパラメータを使用することができる。例えば、ボアサイト制御において微細な分解能が得られない(すなわち、特定のアンテナがボアサイト制御に関して高い分解能をもたない)状況では、ビームの電力もしくは幅またはそれらの組合せを調整することによって、必要な調整またはその大部分を行うことができる。
【0043】
ここで図10を参照すると、システム100内で動作する無線エンティティ(例えば、基地局およびWTRU)間で無線通信を向上させるためにビームを調整することができる、無線通信システム100が示されている。システム100は、複数の無線エンティティ104、106、108、110と、少なくとも1つの無線ネットワーク制御装置(RNC)102とを含む。もちろん、システム構成要素は、本発明が実施されるシステムのタイプによって異なることができる。システム100においては、無線エンティティ104、106は基地局であり、無線エンティティ108、110はWTRUである。エンティティは、ビーム形成送信パターンおよび受信パターンを使用して通信を行うことができ、自らのビームと通信相手の別のエンティティのビームとの整合誤差を測定するためのプロセッサ(WTRU110については112aを、基地局104については112bを見られたい)を含む。2つのエンティティ(例えば、104および110)が通信を行っており、それぞれのビーム間に整合誤差が検出された場合、2つのエンティティの少なくとも一方が、上で説明したように、測定された誤差の何割かだけそのビームを調整する。プロセッサ112a、112bは好ましくは、どのようなビーム調整が実行されるにしろ、それを実行するための調整パラメータを選択するように構成される。調整パラメータの選択は、上で説明したように、1つまたは複数のパラメータを含むことができ、好ましくは通信を取り巻く条件に基づいている。比率を計算し、その比率を測定された誤差に乗じたのと等しい量だけビームを調整するために、付加的なプロセッサ114a、114bを提供することができる。本発明の機能を実行するために、単一のプロセッサまたは所望の数だけのプロセッサを使用することができる。2つの通信エンティティが、それぞれのビーム形成の使用についてネゴシエーションを行わず、またはその他の方法で調整を行わない場合、計算された比率は好ましくは、上で説明したように0.5である。
【0044】
好ましい一実施形態においては、無線エンティティは、例えば、それぞれのビームを調整するのに各エンティティによって用いられる比率の合計が1になるように、それぞれのビーム形成の使用についてネゴシエーションを行い、そのうえで通信を行うことができる。この実施形態の説明は、WTRU110に関係しているが、任意の無線エンティティ(例えば、システム100内の任意のWTRUおよび任意の基地局)にも等しく適用可能である。上で述べたように、WTRU110は、WTRU110から放射されるビームと、WTRU110の通信相手である別の無線エンティティ、例えば基地局104から放射されるビームとの整合誤差を測定するように構成されるプロセッサ112aを含む。WTRU110は、比率を計算し、その計算された比率を測定された誤差に乗じたのと等しい量だけビームを調整するように構成されるプロセッサ114aも含む。
【0045】
この実施形態においては、2つの通信エンティティがそれぞれのビーム形成の使用についてネゴシエーションを行うので、少なくとも一方のエンティティが、通信条件に基づいて(すなわち、例えば2つのエンティティ間の距離および/もしくは角度、または一方のエンティティのアンテナの他方のエンティティのアンテナに対する能力に基づいて)、実際に比率を計算し、他方のエンティティは、1から計算された比率を引いたのに等しい比率を単純に使用するのが好ましい。例えば、WTRU110が基地局104と通信していると仮定すると、WTRU110が、通信条件に基づいて比率を計算し、基地局104にその比率を伝える。その後、基地局104は、1からWTRU110によって提供された比率を減算することによって比率を単純に計算する。これは、図9aおよび図9bに関係して説明したように、各エンティティ110、104のそれぞれのビームが収束することを可能にする。
【0046】
無線エンティティ間でビーム形成のネゴシエーションを行うため、エンティティは好ましくは、ビーム形成の使用に関する制御情報を伝え合うための送信機および受信機を含む。すなわち、例としてWTRU110を用いて説明を続けると、WTRU110は好ましくは、WTRU110がそのビームを調整するのに用いる比率を含む任意のタイプの制御情報を、WTRU110の通信相手であるエンティティに送信するように構成される送信機116を含む。WTRU110は好ましくは、WTRU110の通信相手である別の無線エンティティから任意のタイプの制御情報を受信するように構成される受信機118も含む。制御情報は、WTRU110の通信相手であるエンティティによって用いられる比率を含むことができる。もちろん、WTRU110が比率を受信するか、または送信するかは、WTRU110が、他のエンティティがどのような比率を用いるにしろ、1からそれを減算して用いるのではなく、通信を取り巻く条件に基づいて自ら比率を計算するエンティティであるかどうかに依存することができる。
【0047】
上で述べたように、本発明は、インフラストラクチャと移動機器(すなわち、WTRUと基地局)の通信との関連で説明される。しかし、WTRU間およびインフラストラクチャを共にするエンティティ間でのビーム形成の使用は、本発明の自然な拡張であり、当然、本発明の範囲内に含まれる。例えば、2つの通信WTRUの一方が静的に配置されるように設定できる場合、上で概要を示したように本発明を実施することができる。2つのWTRUが互いに対して相対的に動いている場合、ビーム形成の使用および不整合ビームの補正は、やはり上で説明したのと同じであるが、WTRUの相対運動の影響を受ける。さらに、この実施形態においては、上で説明した実施形態と同様に、測定される誤差および行われる調整は、方位角次元、仰角次元、またはその両方において実行することができる。
【0048】
やはり上で述べたように、本発明は、ビーム形成の使用についてネゴシエーションを行う任意の2つのエンティティ間で実施することができる。例えば、本発明は、システム容量を増大させ、基地局の速やかな配置を容易にするために、バックホール(backhaul)アプリケーションで使用することができる。2つのより具体的な例には、メッシュネットワークモード(mesh network mode)で機能するWTRUと共に、またバックホールネットワークに直接接続されないように配置された基地局(すなわち、無線でWTRUに接続されると共に、無線ネットワークのその他の部分とも無線で接続される無線基地局)と共に本発明を実施することが含まれる。
【0049】
ここで図11を参照すると、例えば、単なる例に過ぎないが、基地局204〜210によってカバレージが提供されないエリア内でカバレージを提供するために、WTRU202がメッシュネットワークモードで動作する無線通信システム200が示されている。WTRUは、要求に応じて、完全な無線メッシュトポロジー(wireless mesh topology)において、または部分的な無線メッシュトポロジーにおいて動作することができる。それぞれのユーザの観点からはWTRUとして機能するWTRU202は、システム200の観点からは基地局としても機能している。メッシュネットワーク機能をサポートするため、WTRU202どうしの間で、またはグループ202内のWTRUと基地局204〜210の1つとインタフェースをとる別のWTRU212〜218との間で、上で詳細に説明したようなビーム形成についてのネゴシエーションを利用することができる。やはり上で述べたように、2つのWTRUが互いに対して相対的に動いている場合、ビーム形成の使用および不整合ビームの補正は、WTRUの相対運動の影響を受ける。
【0050】
WTRU202はカバレージが基地局204〜210によって提供されないエリア内に示されているが、カバレージが利用可能なエリアにグループ202と類似のWTRUのグループを設けることができる点に留意されたい。例えば、第1のシステムタイプ(例えば、セルラタイプシステム)のエリア内で高機能サービスを提供するため、または第2のシステムタイプ(例えば、WLANタイプシステム)へのアクセスを提供するため、第1のシステムタイプの既存のカバレージエリアにグループを設けることができる。いずれの場合も、要求に応じて、2つのエンティティ間のビーム形成についてのネゴシエーションを利用することができる。
【0051】
ここで図12を参照すると、バックホールタイプ環境において本発明を実施する別の例が示されている。図12には、RNC310、312に有線で直接に接続されて配置される基地局302〜308を含むカバレージエリア300が示されている。さらなるカバレージエリアを提供しながら、RNCへの高価な直接有線接続を避けるため、追加の基地局314〜320が提供されている。これらの基地局314〜320は、RNCまたはRNCに直接接続される別の基地局に有線で直接に接続されることなく配置される。無線基地局314〜320は一般に、RNC310、312に有線で直接(または間接)に接続される例えば基地局302〜308などのその他のネットワーク構成要素に接続するために、空き容量または代替RFリンク機能を使用する。この実施形態においては、エンティティ間のビーム形成についてのネゴシエーションは、基地局とWTRUの間で使用されるばかりでなく、上で詳細に説明したように、通信を向上させるため、無線基地局314〜320どうしの間および/または無線基地局314〜320と有線基地局302〜308の間でも使用される。
【0052】
図11および図12に関連して説明したようにバックホールリンクにおいて本発明を実施することで、初期設定およびリンク維持へのユーザ介入を最小に抑えながら、そのようなリンクを確立することができる。例えば、エンティティの存在、エンティティの動き、および/または容量、サービス品質、もしくはユーザ再構成に基づく利用可能性の変化の結果であるリンク維持は、本発明に従ってビーム形成のネゴシエーションを行うことによって向上させることができる。すなわち、本発明は、バックホールネットワークの構成要素(すなわち、基地局など)が、ビーム形成を介してシステム容量を最大化しながら、自動構成または再構成によって実施されることを可能にする。
【0053】
本発明の特徴および要素を好ましい実施形態において特定の組合せによって説明したが、各特徴または要素は、単独で(好ましい実施形態のその他の特徴および要素を伴わずに)使用することができ、または本発明のその他の特徴および要素を伴うもしくは伴わない様々な組合せによって使用することができる。
【0054】
要求に応じて任意のタイプの無線通信システムにおいて本発明を実施できる点に留意することが重要である。例えば、本発明は、UMTS−FDD、UMTS−TDD、TDSCDMA、CDMA2000(EV−DOおよびEV−DV)、任意のタイプの無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、または任意のその他のタイプの無線通信システムにおいて実施することができる。さらに、様々な実施形態に関して本発明を説明してきたが、添付の特許請求の範囲において概要が示される本発明の範囲内に含まれるその他の変形も当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】従来技術による、適切に整合されたビーム形成送信を有する固定送信機および固定受信機を示した図である。
【図2】従来技術による、不整合を起こしたビーム形成送信を有する固定送信機および固定受信機を示した図である。
【図3】従来技術による、ビーム形成を使用する基地局と全方向パターンを使用するWTRUとを示した図である。
【図4】従来技術による、全方向パターンを使用する基地局とビーム形成を使用するWTRUとを示した図である。
【図5】従来技術による、それぞれのビームがWTRUの動きのために不整合を起こし得る基地局とWTRUとを示した図である。
【図6】従来技術による、それぞれのビームの不整合を補正しようと試みる2つのエンティティXa、Xb(両方が基地局またはWTRUでもよい)を示した図である。
【図7】基地局とWTRUがビーム形成を行うことができる送信パターンシナリオの一例を示した表である。
【図8a】本発明の第1の実施形態による、方位角次元においてそれぞれのビームの不整合を補正する基地局とWTRUとを示した図である。
【図8b】本発明の第1の実施形態による、仰角次元においてそれぞれのビームの不整合を補正する基地局とWTRUとを示した図である。
【図9a】本発明の第2の実施形態による、方位角次元においてそれぞれのビームの不整合を補正する基地局とWTRUとを示した図である。
【図9b】本発明の第2の実施形態による、仰角次元においてそれぞれのビームの不整合を補正する基地局とWTRUとを示した図である。
【図10】システム内で動作する無線エンティティがシステム内での通信を向上させるためにそのビームを調整できる無線通信システムを示した図である。
【図11】本発明による、WTRUがメッシュネットワークモードで動作し、システムの観点から基地局として機能し、ビーム形成の使用についてネゴシエーションを行うことができる無線通信システムを示した図である。
【図12】本発明による、無線ネットワーク制御装置に有線で直接接続されないように配置され、WTRUばかりでなく、無線ネットワーク制御装置に有線で直接接続される他の基地局ともビーム形成の使用についてネゴシエーションを行うことができる基地局を含む、無線通信システムのカバレージエリアを示した図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関する。より詳細には、本発明は、無線通信システムにおけるビーム形成の調整に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビーム形成とは、対象とする個々の受信機または送信機の方向に信号電力の送信または受信を集中させることである。信号の送信および受信はどちらも、全方向パターン(omni−directional pattern)よりもビーム形成パターンから多くの利益を得ることができる。送信機の観点からは、ビーム形成は、送信を実行するのに必要となる電力を小さくし、対象ではない受信機に及ぼされる干渉の原因となる電力を小さくする。受信機の観点からは、ビーム形成は、希望受信信号を強め、他の送信機または信号源が送信の主軸から引き離されるほど、それらが原因となる干渉を小さくする。
【0003】
図1を参照すると、ビーム形成は通常、例えばマイクロ波塔10、12などの固定インフラストラクチャと関連づけられる。そのわけは、図1に示すように、マイクロ波塔10、12の静的な送信ビームと受信ビームを互いに向け合うことは比較的簡単であるからである。塔が据え付けられる構造および利用されるビーム幅は、ビーム同士がオーバラップし続け、それによって信頼性の高い送信が可能となるように、十分に安定的でありさえすればよい。塔またはビームが構造または電気的な不安定性のために不安定である場合、図2に示すように、ビームが適切にオーバラップしないこともあり得る。しかし、そのような状況であっても、ビームは2つの固定位置から送信され、一般に不整合(misalignment)の程度は比較的小さいので、補正は比較的容易である。
【0004】
しかし、無線通信システムの容量およびカバレージ要件の急速な増大に伴い、基地局と無線送受信ユニット(WTRU)の間でもビーム形成が使用されることがあり得る。ここで図3を参照すると、ビーム形成を使用している基地局20と、全方向パターンを使用しているWTRU22とが示されている。ビームに対する可能な外的影響(すなわち物理的障害)を無視すれば、基地局20は、適度に静的なパターン位置をもたなければならない。一方、WTRU22は、任意の方向に回転および位置移動される。WTRU22の送信パターンが本当に全方向的である(すなわち円によって近似される)ならば、回転は通信リンクに影響を及ぼさない。しかし、位置移動は、WTRU22と基地局20の通信リンクの関係を変化させ得るために問題を引き起こす。例えば、図3において、WTRU22は、最初は全方向パターン24を放射するが、その後、位置を変化させて、全方向パターン26を放射し始める。したがって、基地局20は、交信を維持するために、そのビームを変更する必要があるかもしれない。もちろん、変化が極端なときは、ハンドオフ(またはハンドオーバ)と呼ばれ、既存の無線通信システムで普通に行われている、別の基地局への切り換えを必要とすることができる。
【0005】
図4を参照すると、基地局30が全方向パターンを使用しており、WTRU32がビーム形成を使用している。この場合、WTRU32がビーム形成を使用しているので、位置移動ばかりでなく回転も基地局30とWTRU32の間のパターンオーバラップを悪化させ得るという、さらなる問題がもちあがる。例えば、この状況においては、WTRU32は、最初はビームパターン34を放射しており、その後、回転もしくは位置移動またはその両方の結果として位置を変化させて、ビームパターン36を放射し始める。しかし、この状況は、上述したように、既存システムの既存能力であるハンドオフを使用して対処することもできる。基地局30の全方向パターンは、無線システムにしばしば見出されるような扇形パターンで置き換えることができることに留意されたい。キーポイントとなるのは、WTRU32が回転および位置移動を行った際に扇形間でのハンドオフを要求できるように、基地局30がその場所の周囲に完全なカバレージを提供していることであり、これは既存無線システムの既存能力である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図5に示すように、両方のエンティティ(すなわち基地局とWTRU)がビーム形成を使用している場合、WTRU40の移動(破線のパターンを見られたい)がパターンオーバラップを損ねる可能性はより高くなる。すなわち、適切に整合するパターンが使用されるならば、ビーム形成は通信を改善するが、WTRUと基地局が共にビーム形成を使用する場合、不整合の可能性がより高くなり、その結果、リンクの確立および維持をより時間のかかる、より困難なものにする。
【0007】
例えば、図6において、「調整前」状況は、2つの不整合ビームを示している。従来技術においては、それらのビームが発信される両方のエンティティXa、Xb(両方が基地局またはWTRUであってもよい)が、ビームをより良く整合させるための調整を決定するが、互いに相手が行っていることを知らないので、両方が必要とされる調整を実行する。したがって、全体としての調整は、最初の誤差とおおよそ等しく、ただしビームは「調整後」状況に示すように異なる方向を向いた、整合誤差(error in alignment)を結果として引き起こす。次に調整が試みられるときも、同じことが起こり得るため、最適なビーム整合の付近で振動するパターンにビームを陥らせることがある。ビームの測定または実際の調整の間に暗黙のタイミング関係が存在しない点に留意することが重要である。したがって、この問題を引き起こすのに唯一必要とされる状況は、一方のエンティティによって行われる測定およびその結果として実行される調整と、他方のエンティティで行われる同じ測定およびその結果としての調整とが、時間的に重なり合っていることである。
【0008】
したがって、無線通信システムにおけるビーム形成を調整するための方法およびシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、無線通信システムにおける2つの通信エンティティの間でのビーム形成の使用を調整するための方法およびシステムである。2つのエンティティは、それぞれのビーム形成の使用に関する制御情報を伝え合うことができる。少なくとも1つのエンティティのための補正係数(correction factor)が提供され、前記エンティティは、通信相手の他のエンティティに対するビーム整合において測定された任意の誤差を補正するために、自らのビーム調整を縮小または保留することができる。
【0010】
本発明の別の実施形態は、一方または両方のエンティティが、他方のエンティティがビーム形成を行えるかどうか知らない場合に適用可能である。したがって、補正係数は、他方のエンティティがビーム形成を行えても行えなくても、または他方のエンティティが本発明を利用していてもいなくても実用的な方式で、一方のエンティティによって計算され、使用される。
【0011】
ビームは、ビーム調整用の任意の適切な調整パラメータまたはそれらの任意の組合せを使用して調整することができる。すなわち、ビームは、測定された誤差が補正されるように、単一の調整パラメータ、利用可能な調整パラメータの特定の組合せ、または利用可能なすべてのパラメータを調整することによって調整することができる。さらに、仰角(elevation)および方位角(azimuth)次元において、同じまたは異なる調整パラメータを使用することができる。同様に、2つの通信エンティティによって、同じまたは異なる調整パラメータを使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書において、無線送受信ユニット(WTRU)は、ユーザ機器、移動機器、移動局、受信機、送信機、固定もしくは移動加入者ユニット、ポケットベル、または無線環境で動作可能な任意のその他のタイプの装置を含むが、これらに限定されるものではない。本明細書において言及される場合、基地局は、ノードB、受信機、送信機、サイトコントローラ、アクセスポイント、または無線環境における任意のその他のタイプのインタフェース装置を含むが、これらに限定されるものではない。
【0013】
さらに、任意のアンテナパターンと同様に、図面に示されたビームの輪郭線は、パターン内の最大エネルギーから指定された量だけ減衰した信号を表現したものに過ぎない点に留意することが重要である。信号は、実際には輪郭線を越えて広がり続けるが、減衰のレベルはさらに大きくなる。本明細書の図に示されたパターンは、通信が可能であるレベルを表すことを意図している。実際には、これらのレベルは、送信機および受信機の能力に依存する。オーバラップが示されている場合、それは、一般的な条件下で目的を与えられた場合に、許容可能な通信に適したパターンを表すことを意図している。
【0014】
簡潔にするため、本明細書では、1次元の送信パターンを示し、説明する。しかし、ビームの不整合およびそれに基づいて行われる調整は、本明細書で示し、説明するような、方位角(すなわち水平)または仰角(すなわち垂直)次元におけるものばかりでなく、それらの組合せとすることもできる点に留意することが重要である。すなわち、本明細書で示し、説明する不整合ビームは、方位角次元、仰角次元、またはそれらの組合せにおいて不整合を起こすことがあり得る。同様に、本発明による不整合ビームを補正するために行われる調整は、方位角次元、仰角次元、またはそれらの組合せにおいて実行することができる。さらに、本明細書で使用されるビーム幅は、水平ビーム幅または垂直ビーム幅とすることができる。すなわち、ビーム幅を調整することによってビームを調整する場合、ビームは、水平ビーム幅、垂直ビーム幅、またはそれらの組合せを調整することができる。
【0015】
便宜上、本発明は、基地局とWTRUの間で説明されるが、もちろん、ビーム形成の使用についてネゴシエーションを行うことができる任意の2つのエンティティ間で実施することもできる。2つのエンティティの間、例えば基地局とWTRUの間で交信が確立されると、両者はビーム形成の使用についてネゴシエーションを行う。WTRUの回転および位置が(方位角と仰角の両方で)十分に安定していると考えられる場合だけ、両方のエンティティはビーム形成に同意する。この安定性の判断は、例えば、ユーザとの対話によって確立されるWTRUの設定、WTRUの動きセンサ、または通信チャネル特性の監視によって行うことができる。各エンティティによるビーム形成の実際の程度は、利用可能な電力、距離、および送受信機の制御を超える軽減要因(例えば、フェージング、マルチパス、環境条件)の関数であり、好ましくは、消費電力ならびに他の送受信機からの干渉および他の送受信機への干渉に関して最適化される。
【0016】
図7の表は、ビーム形成の使用に関する、アップリンクおよびダウンリンクごとに4つのシナリオを含む例を提供している。各方向で使用されるシナリオは、アプリケーション要件、装置能力、RF環境、および各装置の物理的安定性の関数である。いくつかの状況では、与えられた方向によって、使用の仕方が異なることもあり得る。例えば、高速性を目標とするダウンロードは、送信機および受信機の両方で指向性の高いダウンリンクビームによるサービスを受けるのが最良であろうが(シナリオ72、74)、アップリンク肯定応答チャネルは、ackまたはnack制御信号の速やかで信頼性の高い検出を保証するために、全方向送信とビーム形成受信機によるサービスを受けるほうが良いであろう(シナリオ76)。
【0017】
第1の実施形態においては、無線通信システムおよびその中で動作するWTRUは、通信を行い、それぞれのビーム形成の使用の制御についてネゴシエーションを行うことができない。その原因は、例えば、ネットワークにおけるビーム形成配置、または所定のエリアにおける使用について公表もしくはネゴシエーションを行わない装置にあるとすることができる。したがって、両方のエンティティによるビーム形成の使用は、図6との関連で先に説明したような問題を抱えたものとなる。
【0018】
したがって、第1の実施形態においては、シナリオ72および74などの状況におけるビーム形成の制御は、不整合ビームの調整を最適化し、ビームが従来技術との関連で説明したような振動パターンに陥るのを防止するために、非調整方式で実行される。ここで2つのエンティティおよびそれらのビームの平面図である図8aの「調整前」部分を参照すると、2つの通信エンティティ80、82の少なくとも一方、例えばエンティティ80が、それぞれのビーム84、86が不整合を起こしている程度の何割かに等しい補正(すなわち調整)を実行する。すなわち、エンティティ80は、誤差測定値の何割かに相当する調整を実行する。この場合、最初に数回補正を繰り返した後も、まだある程度の不整合が存在している。例えば、一方のエンティティが完全な補正を試み、もう一方が本発明を実施する場合、所望の整合度(degree of alignment)が達成される前の繰り返しはどれも、図8aの「調整後」部分に示されるようなオーバシュート(overshoot)状態になる。代替として、一方のエンティティがビームを調整しない場合、または両方のエンティティが本発明のプロセスを使用し、調整比率(adjustment fraction)を誤差の半分未満とする場合、各調整においてビームはアンダーシュート(undershoot)する。直前の文の補正係数を誤差の半分超とする場合、ビームはオーバシュートする。補正係数の率と測定された誤差のその他の組合せも、アンダーシュートまたはオーバシュートを引き起こす。しかし、すべての場合で、不整合の程度は繰り返しのたびに縮小していくので、一方のエンティティが本発明を実施している(すなわち、測定された誤差の何割かに相当する調整を実行している)限り、所望の整合度への収束が起こる。所望の整合度が達成されると、所望の程度に満たない整合度が再び検出されるまで、調整を中止することができる。もちろん、所望の整合度は、通信事業者の選好に基づいて設定することができる。
【0019】
第1の実施形態においてビーム整合がどのように達成されるかをさらに説明するために、ここで以下に示された表1を参照する。表1には、3つのシナリオ例が示されており、使用される調整比率(すなわち補正係数)は1の半分(0.5)である。誤差測定および調整は度を単位とする。各シナリオにおいて、エンティティ「A」は本発明を使用し、エンティティ「B」は使用しない。
【0020】
【表1】
【0021】
第1のシナリオにおいて、エンティティAとBは、オーバラップする調整期間を有する。すなわち、両エンティティ間の通信を最適化するために互いのビームがオーバラップするように、両方のエンティティは、同時(またはほぼ同時)に不整合度(すなわち誤差)を測定し、それぞれのビームを調整する。しかし、説明したように、両方のエンティティは、それぞれのビーム形成の使用に関して情報交換することができない。したがって、振動パターンに陥るのを回避するため、エンティティAは、その調整を測定された誤差の0.5まで縮小する。反復0においては、誤差測定値は32度であり、その結果、エンティティAは、16度の調整を実行し、エンティティBは、まるまる32度の調整を実行する。これらの調整の結果、反復1において、誤差測定値は16度(すなわち図8aの調整後シナリオに示されたオーバシュート状態)になる。そのため、反復1においては、エンティティAは再び、測定された誤差の半分(すなわち8度)ビームを調整し、エンティティBは再び、測定された誤差に等しい量(すなわち16度)ビームを調整する。このシナリオでは0.5度が所望の整合度であるとすると、この繰り返しは反復6まで続けられる。
【0022】
第2のシナリオにおいては、エンティティBが、エンティティAより先に調整を行う。反復0において、エンティティBは、32度の誤差を測定し、そのビームを32度調整する。そのため、反復1において、エンティティAが誤差測定を実行したとき、エンティティAは、誤差を検出せず、調整を行わない。
【0023】
第3のシナリオにおいては、エンティティAが、エンティティBより先かつより頻繁に調整を行う。反復0および反復1の間、エンティティBは、動作を起こさず、エンティティAが、上で説明したように、誤差測定を実行し、そのビームを測定された誤差の0.5だけ調整する。反復2においては、8度の誤差測定が存在している。エンティティAは、測定された誤差の半分(すなわち4度)調整を行い、エンティティBは、測定された誤差に等しい量(すなわち8度)ビームを調整する。この繰り返しは、反復6において所望の整合度が得られるまで続けられる。
【0024】
図8aにおいては、誤差測定および調整は、方位角次元において実行される。しかし、図8bに示されるように、仰角次元における誤差測定および調整を実行することも可能である。図8bは、水平面がハッシュマークで示された立面図である。図8bにおいては、行われる誤差測定および調整は、図8aおよび表1に関連して説明したものと同じであるが、仰角次元において行われる。
【0025】
所望の整合度を達成するのに行われる誤差測定および調整は、方位角および仰角次元において行われる必要がある点に留意することが重要である。方位角および仰角次元の両方において調整が行われるシナリオを説明するため、ここで以下に示される表2を参照する。誤差測定および調整は度を単位とする。表2においては、表1の第1のシナリオと同様に、オーバラップする調整期間が存在し、エンティティAは本発明を使用するが、エンティティBは使用しない。しかし、表2においては、方位角および仰角次元の両方において不整合が存在する。方位角および仰角次元における所望の整合度への収束は、上で説明したのと同様であり、エンティティAは、それぞれの誤差測定値の何割か(この場合は0.5)である方位角および仰角調整を実行する。
【0026】
反復1において、32度の方位角誤差が測定され、40度の仰角誤差が測定される。そのため、補正係数が両方の次元とも0.5であると仮定すると、エンティティAは、方位角方向において16度ビームを調整し、エンティティBは、方位角方向においてまるまる32度ビームを調整する。同様に、エンティティAおよびBは、仰角次元においてそれぞれ20度および40度それぞれのビームを調整する。表2に示されるように、この繰り返しは、方位角および仰角次元において所望の整合度が達成される(すなわち反復6)まで、エンティティAおよびBに対して両方の次元において続けられる。
【0027】
【表2】
【0028】
表2においては、両方の次元で同じ補正係数(すなわち0.5)が使用されているが、方位角および仰角次元で異なる補正係数を使用することができる点に留意することが重要である。さらに、表2においては、簡潔にするため、両方の次元とも同じ反復(すなわち反復6)で収束が達成されるように示されているが、方位角および仰角次元における収束は、異なる反復において達成されることもあり得る。
【0029】
上で提供された例は、本発明を説明するための特定のシナリオを対象としているが、もちろん、それぞれのビーム形成の使用に関する制御情報を伝え合うことのできない2つのエンティティ間で誤差測定が実行される、または実行されない無制限の数のシナリオが存在する。しかし、シナリオに関わらず、一方のエンティティが本発明に従って調整を縮小させている限り、ビームは収束する(すなわち所望の整合度が得られる)。
【0030】
第1の実施形態についての上述の説明においては、本発明を実施するエンティティは、0.5の補正係数を利用した。すなわち、上述の説明においては、本発明を使用するエンティティは、どれほどの誤差が測定されても、その0.5まで調整を縮小した。補正係数は0.5であるのが好ましいが、本発明を使用するエンティティが誤差測定値を縮小させる量は、0と1の間の任意の数とすることができる。
【0031】
第2の実施形態においては、無線通信システムとWTRUは、通信を行い、それぞれのビーム形成の使用の制御についてネゴシエーションを行うことができる。この実施形態においては、2つのエンティティは、単に適切な補正係数について同意することができる。例えば、第2の実施形態においては、エンティティAとBは、理由はともあれ、エンティティAが測定された誤差の0.2に等しい調整を実行し、エンティティBが測定された誤差の0.8に等しい調整を実行することに同意することができる。したがって、以下の表3に示されるように、32度の誤差が測定された反復0において、エンティティAは6.4度の調整を実行し、エンティティBは25.6度の調整を実行する。その後、反復1において、誤差が0であることが測定され、さらなる動作は必要とされない。この状況は、方位角次元については図9aに、仰角次元については図9bに示されている。図9aは平面図であり、図9bは水平面がハッシュマークで示された立面図である。
【0032】
【表3】
【0033】
この実施形態においては、2つのエンティティがそれぞれのビーム形成の使用についてネゴシエーションを行うことができるので、各エンティティによって使用される特定の補正係数は、それらの通信に影響を及ぼす要因を考慮することができる。例えば、補正は、エンティティの能力、2つの通信エンティティ間の角度、およびエンティティがそれぞれのビームを送信する電力に従って調整されることができる。
【0034】
エンティティ能力に関して、基地局は一般に、WTRUよりも優れたフェーズドアレイアンテナ(phase array antenna)を備えており、そのため、そのビームにより微細な調整を施すことができる。実際にこのような場合は、基地局に通信相手のWTRUよりも大きな補正係数を使用させることによって、基地局に調整のより大きな部分を実行させるのが望ましいであろう。
【0035】
2つの通信エンティティ間の角度に関して、一方のエンティティのほうがもう一方よりも大きな角度調整が必要とされる場合、より大きな角度調整を行うエンティティが、より大きな補正係数を使用することができる。例えば、通信相手の基地局の前を通過する自動車で使用されているWTRUの場合、WTRUは、補正のために約5または6度アンテナを調整する必要があるかもしれず、基地局は、より広いビームを使用しているので、1または2度ビームを調整しさえすればよいかもしれない。したがって、この場合は、WTRUに基地局よりも大きな補正係数を使用させることによって、大部分の調整をWTRUに割り当てることができる。
【0036】
エンティティがそれぞれのビームを送信する電力に関して、最高電力で送信しているエンティティに、より大きな補正係数を割り当てることができる。すなわち、基地局が通信相手のWTRUよりも高い電力で送信していると仮定すると、WTRU信号のさらなる減衰を回避するために、必要な調整の大部分を基地局によって実行させるのが望ましいであろう。実際、別の要因が別のやり方を要求しない限り、WTRUには単にそのビームを全く動かさないよう指示し、基地局に測定された誤差の100%に等しい調整を実行させるのが望ましいであろう。この場合は、WTRUの補正係数は0.0となり、基地局の補正係数は1.0となる。
【0037】
本発明に従って測定された誤差および行われた調整は、誤差測定および/または調整を実行するエンティティの向き(方位角および/または仰角)を考慮して行うことができる。例えば、アンテナがそのビームを地表に集中させるために仰角次元において45度下方を向いている場合、仰角次元における測定および/または調整はどれも、アンテナの向きを計算に入れる。さらに、本発明においては、特定の向きを指示するために方位角(すなわち水平)および仰角(すなわち垂直)という用語を利用するが、本発明は、これらの公称の向きからの軸の回転に対しても等しく適用可能であることに留意されたい。例えば、アンテナは、公称垂直面または水平面に対してある角度だけずれた向きで特に利用されるように、意図的に設置される場合がある。例えば、交差偏波(cross polarization)を利用するアンテナは、しばしば45度の角度に設置される。同様に、ランダムに配置された機器または移動機器は、本発明で用いられる前記用語に通常関係づけられる向きに対して既知または固定の関係をもたないことがあり得る。さらに、幅調整およびボアサイト(boresight)の自由度は、理想的には互いに対して90度となるように実施され得るが、互いに対して0度以外であれば任意の制御可能な自由度によって本発明を実施することも可能である。
【0038】
本発明に従って行われるビーム調整は、ビームを調整するための任意の適切なパラメータを使用して行うことができる。すなわち、不整合ビームの補正は、ビームが適切にオーバラップするようにビームを調整できる任意のパラメータを調整することによって実行することができる。
【0039】
例えば、ビーム調整は一般に、ビームのボアサイト(すなわちボアサイト方向)、ビームが送信される電力もしくは信号が受信される利得(一括して電力利得と呼ばれる)、またはビームの幅(すなわちビーム幅)を調整することによって実行される。もちろん、ビームは、これらのパラメータを3つすべて、またはそれらの特定の組合せを調整することによって調整することもできる。さらに、2つの通信エンティティは、それぞれのビームを調整するために、同じ調整パラメータを使用してもよく、または使用しなくてもよい。
【0040】
調整パラメータは、方位角次元、仰角次元、またはそれらの組合せにおいて実行することができる。1つの次元において調整を実行することで、もう1つの次元においてもビームに影響を及ぼすことができる。例えば、仰角次元において不整合を起こしているビームを補正するためにビーム幅を調整する場合(電力およびボアサイトは調整しない)、仰角次元におけるビーム幅の増減は、水平位置におけるビーム幅にも等しい増減を引き起こす。さらに、仰角次元と方位角次元とで同じまたは異なる調整パラメータを使用することもできる。
【0041】
1つまたは複数のビームを調整するのに使用される1つまたは複数の特定の調整パラメータは、通信事業者の選好に基づいて要求に応じて選択することができる。すなわち、一実施形態においては、ボアサイト調整を不整合ビームを補正するための1次パラメータとし、電力およびビーム幅は2次的役割で使用することができ、これらはビームのボアサイトを調整することによって行われる調整を向上させ、または別の形で支援するのに使用される。例えば、この実施形態においては、例えば7度の補正を例えば方位角次元において実行する必要がある場合、ビームを5度調整するのにボアサイトを使用し、残りの2度のために、電力を(ビームをより大きくする必要があるのか、またはより小さくする必要があるのかに応じて)増減させ、かつ/または幅を増減させるのが望ましいかもしれない。
【0042】
別の実施形態においては、パラメータのすべてがビーム不整合を補正するための等しく利用可能な選択肢となるように、すべてのパラメータを1次選択肢とすることができる。この場合も、やはりボアサイト、電力、およびビーム幅を利用可能なパラメータとして使用し、補正が行われる必要がある場合は、補正を実行するのに最も効果的なパラメータを使用することができる。例えば、ボアサイト制御において微細な分解能が得られない(すなわち、特定のアンテナがボアサイト制御に関して高い分解能をもたない)状況では、ビームの電力もしくは幅またはそれらの組合せを調整することによって、必要な調整またはその大部分を行うことができる。
【0043】
ここで図10を参照すると、システム100内で動作する無線エンティティ(例えば、基地局およびWTRU)間で無線通信を向上させるためにビームを調整することができる、無線通信システム100が示されている。システム100は、複数の無線エンティティ104、106、108、110と、少なくとも1つの無線ネットワーク制御装置(RNC)102とを含む。もちろん、システム構成要素は、本発明が実施されるシステムのタイプによって異なることができる。システム100においては、無線エンティティ104、106は基地局であり、無線エンティティ108、110はWTRUである。エンティティは、ビーム形成送信パターンおよび受信パターンを使用して通信を行うことができ、自らのビームと通信相手の別のエンティティのビームとの整合誤差を測定するためのプロセッサ(WTRU110については112aを、基地局104については112bを見られたい)を含む。2つのエンティティ(例えば、104および110)が通信を行っており、それぞれのビーム間に整合誤差が検出された場合、2つのエンティティの少なくとも一方が、上で説明したように、測定された誤差の何割かだけそのビームを調整する。プロセッサ112a、112bは好ましくは、どのようなビーム調整が実行されるにしろ、それを実行するための調整パラメータを選択するように構成される。調整パラメータの選択は、上で説明したように、1つまたは複数のパラメータを含むことができ、好ましくは通信を取り巻く条件に基づいている。比率を計算し、その比率を測定された誤差に乗じたのと等しい量だけビームを調整するために、付加的なプロセッサ114a、114bを提供することができる。本発明の機能を実行するために、単一のプロセッサまたは所望の数だけのプロセッサを使用することができる。2つの通信エンティティが、それぞれのビーム形成の使用についてネゴシエーションを行わず、またはその他の方法で調整を行わない場合、計算された比率は好ましくは、上で説明したように0.5である。
【0044】
好ましい一実施形態においては、無線エンティティは、例えば、それぞれのビームを調整するのに各エンティティによって用いられる比率の合計が1になるように、それぞれのビーム形成の使用についてネゴシエーションを行い、そのうえで通信を行うことができる。この実施形態の説明は、WTRU110に関係しているが、任意の無線エンティティ(例えば、システム100内の任意のWTRUおよび任意の基地局)にも等しく適用可能である。上で述べたように、WTRU110は、WTRU110から放射されるビームと、WTRU110の通信相手である別の無線エンティティ、例えば基地局104から放射されるビームとの整合誤差を測定するように構成されるプロセッサ112aを含む。WTRU110は、比率を計算し、その計算された比率を測定された誤差に乗じたのと等しい量だけビームを調整するように構成されるプロセッサ114aも含む。
【0045】
この実施形態においては、2つの通信エンティティがそれぞれのビーム形成の使用についてネゴシエーションを行うので、少なくとも一方のエンティティが、通信条件に基づいて(すなわち、例えば2つのエンティティ間の距離および/もしくは角度、または一方のエンティティのアンテナの他方のエンティティのアンテナに対する能力に基づいて)、実際に比率を計算し、他方のエンティティは、1から計算された比率を引いたのに等しい比率を単純に使用するのが好ましい。例えば、WTRU110が基地局104と通信していると仮定すると、WTRU110が、通信条件に基づいて比率を計算し、基地局104にその比率を伝える。その後、基地局104は、1からWTRU110によって提供された比率を減算することによって比率を単純に計算する。これは、図9aおよび図9bに関係して説明したように、各エンティティ110、104のそれぞれのビームが収束することを可能にする。
【0046】
無線エンティティ間でビーム形成のネゴシエーションを行うため、エンティティは好ましくは、ビーム形成の使用に関する制御情報を伝え合うための送信機および受信機を含む。すなわち、例としてWTRU110を用いて説明を続けると、WTRU110は好ましくは、WTRU110がそのビームを調整するのに用いる比率を含む任意のタイプの制御情報を、WTRU110の通信相手であるエンティティに送信するように構成される送信機116を含む。WTRU110は好ましくは、WTRU110の通信相手である別の無線エンティティから任意のタイプの制御情報を受信するように構成される受信機118も含む。制御情報は、WTRU110の通信相手であるエンティティによって用いられる比率を含むことができる。もちろん、WTRU110が比率を受信するか、または送信するかは、WTRU110が、他のエンティティがどのような比率を用いるにしろ、1からそれを減算して用いるのではなく、通信を取り巻く条件に基づいて自ら比率を計算するエンティティであるかどうかに依存することができる。
【0047】
上で述べたように、本発明は、インフラストラクチャと移動機器(すなわち、WTRUと基地局)の通信との関連で説明される。しかし、WTRU間およびインフラストラクチャを共にするエンティティ間でのビーム形成の使用は、本発明の自然な拡張であり、当然、本発明の範囲内に含まれる。例えば、2つの通信WTRUの一方が静的に配置されるように設定できる場合、上で概要を示したように本発明を実施することができる。2つのWTRUが互いに対して相対的に動いている場合、ビーム形成の使用および不整合ビームの補正は、やはり上で説明したのと同じであるが、WTRUの相対運動の影響を受ける。さらに、この実施形態においては、上で説明した実施形態と同様に、測定される誤差および行われる調整は、方位角次元、仰角次元、またはその両方において実行することができる。
【0048】
やはり上で述べたように、本発明は、ビーム形成の使用についてネゴシエーションを行う任意の2つのエンティティ間で実施することができる。例えば、本発明は、システム容量を増大させ、基地局の速やかな配置を容易にするために、バックホール(backhaul)アプリケーションで使用することができる。2つのより具体的な例には、メッシュネットワークモード(mesh network mode)で機能するWTRUと共に、またバックホールネットワークに直接接続されないように配置された基地局(すなわち、無線でWTRUに接続されると共に、無線ネットワークのその他の部分とも無線で接続される無線基地局)と共に本発明を実施することが含まれる。
【0049】
ここで図11を参照すると、例えば、単なる例に過ぎないが、基地局204〜210によってカバレージが提供されないエリア内でカバレージを提供するために、WTRU202がメッシュネットワークモードで動作する無線通信システム200が示されている。WTRUは、要求に応じて、完全な無線メッシュトポロジー(wireless mesh topology)において、または部分的な無線メッシュトポロジーにおいて動作することができる。それぞれのユーザの観点からはWTRUとして機能するWTRU202は、システム200の観点からは基地局としても機能している。メッシュネットワーク機能をサポートするため、WTRU202どうしの間で、またはグループ202内のWTRUと基地局204〜210の1つとインタフェースをとる別のWTRU212〜218との間で、上で詳細に説明したようなビーム形成についてのネゴシエーションを利用することができる。やはり上で述べたように、2つのWTRUが互いに対して相対的に動いている場合、ビーム形成の使用および不整合ビームの補正は、WTRUの相対運動の影響を受ける。
【0050】
WTRU202はカバレージが基地局204〜210によって提供されないエリア内に示されているが、カバレージが利用可能なエリアにグループ202と類似のWTRUのグループを設けることができる点に留意されたい。例えば、第1のシステムタイプ(例えば、セルラタイプシステム)のエリア内で高機能サービスを提供するため、または第2のシステムタイプ(例えば、WLANタイプシステム)へのアクセスを提供するため、第1のシステムタイプの既存のカバレージエリアにグループを設けることができる。いずれの場合も、要求に応じて、2つのエンティティ間のビーム形成についてのネゴシエーションを利用することができる。
【0051】
ここで図12を参照すると、バックホールタイプ環境において本発明を実施する別の例が示されている。図12には、RNC310、312に有線で直接に接続されて配置される基地局302〜308を含むカバレージエリア300が示されている。さらなるカバレージエリアを提供しながら、RNCへの高価な直接有線接続を避けるため、追加の基地局314〜320が提供されている。これらの基地局314〜320は、RNCまたはRNCに直接接続される別の基地局に有線で直接に接続されることなく配置される。無線基地局314〜320は一般に、RNC310、312に有線で直接(または間接)に接続される例えば基地局302〜308などのその他のネットワーク構成要素に接続するために、空き容量または代替RFリンク機能を使用する。この実施形態においては、エンティティ間のビーム形成についてのネゴシエーションは、基地局とWTRUの間で使用されるばかりでなく、上で詳細に説明したように、通信を向上させるため、無線基地局314〜320どうしの間および/または無線基地局314〜320と有線基地局302〜308の間でも使用される。
【0052】
図11および図12に関連して説明したようにバックホールリンクにおいて本発明を実施することで、初期設定およびリンク維持へのユーザ介入を最小に抑えながら、そのようなリンクを確立することができる。例えば、エンティティの存在、エンティティの動き、および/または容量、サービス品質、もしくはユーザ再構成に基づく利用可能性の変化の結果であるリンク維持は、本発明に従ってビーム形成のネゴシエーションを行うことによって向上させることができる。すなわち、本発明は、バックホールネットワークの構成要素(すなわち、基地局など)が、ビーム形成を介してシステム容量を最大化しながら、自動構成または再構成によって実施されることを可能にする。
【0053】
本発明の特徴および要素を好ましい実施形態において特定の組合せによって説明したが、各特徴または要素は、単独で(好ましい実施形態のその他の特徴および要素を伴わずに)使用することができ、または本発明のその他の特徴および要素を伴うもしくは伴わない様々な組合せによって使用することができる。
【0054】
要求に応じて任意のタイプの無線通信システムにおいて本発明を実施できる点に留意することが重要である。例えば、本発明は、UMTS−FDD、UMTS−TDD、TDSCDMA、CDMA2000(EV−DOおよびEV−DV)、任意のタイプの無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、または任意のその他のタイプの無線通信システムにおいて実施することができる。さらに、様々な実施形態に関して本発明を説明してきたが、添付の特許請求の範囲において概要が示される本発明の範囲内に含まれるその他の変形も当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】従来技術による、適切に整合されたビーム形成送信を有する固定送信機および固定受信機を示した図である。
【図2】従来技術による、不整合を起こしたビーム形成送信を有する固定送信機および固定受信機を示した図である。
【図3】従来技術による、ビーム形成を使用する基地局と全方向パターンを使用するWTRUとを示した図である。
【図4】従来技術による、全方向パターンを使用する基地局とビーム形成を使用するWTRUとを示した図である。
【図5】従来技術による、それぞれのビームがWTRUの動きのために不整合を起こし得る基地局とWTRUとを示した図である。
【図6】従来技術による、それぞれのビームの不整合を補正しようと試みる2つのエンティティXa、Xb(両方が基地局またはWTRUでもよい)を示した図である。
【図7】基地局とWTRUがビーム形成を行うことができる送信パターンシナリオの一例を示した表である。
【図8a】本発明の第1の実施形態による、方位角次元においてそれぞれのビームの不整合を補正する基地局とWTRUとを示した図である。
【図8b】本発明の第1の実施形態による、仰角次元においてそれぞれのビームの不整合を補正する基地局とWTRUとを示した図である。
【図9a】本発明の第2の実施形態による、方位角次元においてそれぞれのビームの不整合を補正する基地局とWTRUとを示した図である。
【図9b】本発明の第2の実施形態による、仰角次元においてそれぞれのビームの不整合を補正する基地局とWTRUとを示した図である。
【図10】システム内で動作する無線エンティティがシステム内での通信を向上させるためにそのビームを調整できる無線通信システムを示した図である。
【図11】本発明による、WTRUがメッシュネットワークモードで動作し、システムの観点から基地局として機能し、ビーム形成の使用についてネゴシエーションを行うことができる無線通信システムを示した図である。
【図12】本発明による、無線ネットワーク制御装置に有線で直接接続されないように配置され、WTRUばかりでなく、無線ネットワーク制御装置に有線で直接接続される他の基地局ともビーム形成の使用についてネゴシエーションを行うことができる基地局を含む、無線通信システムのカバレージエリアを示した図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのエンティティ間でビーム形成の使用を調整するための方法であって、該少なくとも一方のエンティティが無線基地局であり、ビーム形成の使用に関する制御情報は前記2つの通信エンティティ間で通信が行われず、該方法は、
前記2つの通信エンティティの一方を選択するステップと、
該選択されたエンティティは、前記2つのエンティティから放射されるビーム間の不整合に応答して、自らのビームを調整する量を縮小する方のエンティティであり、
前記2つの通信エンティティから放射される前記ビーム間の整合誤差を測定するステップと、
前記選択されたエンティティの前記ビームを調整するための少なくとも1つの調整パラメータを選択するステップと、
前記選択された調整パラメータを使用して前記選択されたエンティティの前記ビームを調整するステップと
を具えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記2つの通信エンティティは、無線基地局およびWTRUであり、前記WTRUは、少なくとも部分的に基地局として機能することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記2つの通信エンティティは、2つの無線基地局であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記2つの通信エンティティは、無線基地局および無線ネットワーク制御装置(RNC)に有線で接続される基地局であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの調整パラメータは、ボアサイト方向、ビーム幅、および電力利得からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記測定された誤差が所定の値より小さくなるまで、測定ステップと調整ステップとを繰り返すステップをさらに具えたことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
2つのエンティティ間でビーム形成の使用を調整するための方法であって、少なくとも一方のエンティティが無線基地局であり、該ビーム形成の使用に関する制御情報は該2つの通信エンティティ間で通信され、該方法は、
前記2つの通信エンティティから放射されるビーム間の整合誤差を測定するステップと、
前記2つの通信エンティティの第1のエンティティのための少なくとも1つの調整パラメータを選択するステップと、
前記第1のエンティティのための第1の補正係数を特定するステップと、
前記2つの通信エンティティの第2のエンティティのための少なくとも1つの調整パラメータを選択するステップと、
前記第2のエンティティのための第2の補正係数を特定するステップと、
前記測定された誤差に前記エンティティそれぞれの補正係数を乗じたのに等しい量だけ前記2つの通信エンティティの前記ビームを調整するステップと
を具えたことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記2つの通信エンティティは、無線基地局およびWTRUであり、前記WTRUは、少なくとも部分的に基地局として機能することを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記2つの通信エンティティは、2つの無線基地局であることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記2つの通信エンティティは、無線基地局および無線ネットワークスタディ(RNC)に有線で接続される基地局であることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項11】
一方のエンティティの前記補正係数は0であり、そのため前記エンティティに自らのビームを調整させないようにすることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項12】
前記第1のエンティティのための前記少なくとも1つの調整パラメータは、ボアサイト方向、ビーム幅、および電力利得からなる群から選択されることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項13】
前記第2のエンティティのための前記少なくとも1つの調整パラメータは、ボアサイト方向、ビーム幅、および電力利得からなる群から選択されることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項14】
システム内で動作する無線エンティティ間で無線通信を向上させるためにビームを調整することができる無線通信システムであって、
複数の無線基地局を具え、該複数の無線基地局は、ビーム形成送信パターンおよび受信パターンを使用して通信を行うことができる複数の無線基地局であって、自らのビームと通信相手の別のエンティティのビームとの整合誤差を測定するためのプロセッサを含み、
2つの通信無線基地局の少なくとも一方が、前記別の無線エンティティの前記ビームに対する自らのビームの整合において前記測定された誤差のある比率だけ自らのビームを調整するための少なくとも1つの調整パラメータを選択することを特徴とする無線通信システム。
【請求項15】
前記少なくとも一方の通信無線基地局の前記プロセッサは、前記比率を前記測定された誤差に乗じたのと等しい量だけ前記少なくとも一方の無線基地局の前記ビームを調整するように構成されることを特徴とする請求項14記載の無線通信システム。
【請求項16】
前記少なくとも一方の通信無線基地局の前記プロセッサは、前記調整を実行するための少なくとも1つの調整パラメータを選択するように構成されることを特徴とする請求項14記載の無線通信システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの調整パラメータは、ボアサイト方向、ビーム幅、および電力利得からなる群から選択されることを特徴とする請求項16記載の無線通信システム。
【請求項18】
前記無線基地局の少なくとも一方は、少なくとも部分的に基地局として機能するWTRUであることを特徴とする請求項14記載の無線通信システム。
【請求項19】
前記WTRUは、メッシュネットワークの一部として機能することを特徴とする請求項18記載の無線通信システム。
【請求項20】
自らのビームと別の無線基地局のビームとの整合を維持するように構成される無線基地局であって、
前記基地局から放射される第1のビームと前記別の無線エンティティから放射される第2のビームとの整合誤差を測定するように構成される第1のプロセッサと、
該第1のプロセッサは、前記第1のビームを調整するための少なくとも1つの調整パラメータを選択するようにさらに構成され、
第1の比率を計算し、前記少なくとも1つの選択されたパラメータを用いて前記第1の比率を前記測定された誤差に乗じたのと等しい量だけ前記第1のビームを調整するように構成される第2のプロセッサと
を具えたことを特徴とする無線基地局。
【請求項21】
前記基地局が自らのビームを調整するかを示す前記測定された誤差の比率を、前記無線基地局の通信相手の前記無線エンティティに送信するように構成された送信機
をさらに具えたことを特徴とする請求項20記載の無線基地局。
【請求項22】
前記基地局の通信相手の前記無線エンティティから前記エンティティが自らのビームを調整するのに用いる第2の比率を受信するように構成された受信機をさらに具え、
第2の比率が受信されたとき、前記第2のプロセッサは、1から前記第2の比率を減算することによって前記第1の比率を計算し、前記第1の比率を前記測定された誤差に乗じたのと等しい量だけ前記第1のビームを調整するように構成されたことを特徴とする請求項21記載の無線基地局。
【請求項23】
前記基地局の通信相手の前記無線エンティティは、別の無線基地局であることを特徴とする請求項22記載の無線基地局。
【請求項24】
前記基地局の通信相手の前記無線エンティティは、WTRUであることを特徴とする請求項22記載の無線基地局。
【請求項25】
前記基地局が通信する前記無線エンティティは、無線ネットワーク制御装置(RNC)に有線で接続される基地局であることを特徴とする請求項22記載の無線基地局。
【請求項26】
前記少なくとも1つの調整パラメータは、ボアサイト方向、ビーム幅、および電力利得からなる群から選択されることを特徴とする請求項20記載の無線基地局。
【請求項1】
2つのエンティティ間でビーム形成の使用を調整するための方法であって、該少なくとも一方のエンティティが無線基地局であり、ビーム形成の使用に関する制御情報は前記2つの通信エンティティ間で通信が行われず、該方法は、
前記2つの通信エンティティの一方を選択するステップと、
該選択されたエンティティは、前記2つのエンティティから放射されるビーム間の不整合に応答して、自らのビームを調整する量を縮小する方のエンティティであり、
前記2つの通信エンティティから放射される前記ビーム間の整合誤差を測定するステップと、
前記選択されたエンティティの前記ビームを調整するための少なくとも1つの調整パラメータを選択するステップと、
前記選択された調整パラメータを使用して前記選択されたエンティティの前記ビームを調整するステップと
を具えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記2つの通信エンティティは、無線基地局およびWTRUであり、前記WTRUは、少なくとも部分的に基地局として機能することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記2つの通信エンティティは、2つの無線基地局であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記2つの通信エンティティは、無線基地局および無線ネットワーク制御装置(RNC)に有線で接続される基地局であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの調整パラメータは、ボアサイト方向、ビーム幅、および電力利得からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記測定された誤差が所定の値より小さくなるまで、測定ステップと調整ステップとを繰り返すステップをさらに具えたことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
2つのエンティティ間でビーム形成の使用を調整するための方法であって、少なくとも一方のエンティティが無線基地局であり、該ビーム形成の使用に関する制御情報は該2つの通信エンティティ間で通信され、該方法は、
前記2つの通信エンティティから放射されるビーム間の整合誤差を測定するステップと、
前記2つの通信エンティティの第1のエンティティのための少なくとも1つの調整パラメータを選択するステップと、
前記第1のエンティティのための第1の補正係数を特定するステップと、
前記2つの通信エンティティの第2のエンティティのための少なくとも1つの調整パラメータを選択するステップと、
前記第2のエンティティのための第2の補正係数を特定するステップと、
前記測定された誤差に前記エンティティそれぞれの補正係数を乗じたのに等しい量だけ前記2つの通信エンティティの前記ビームを調整するステップと
を具えたことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記2つの通信エンティティは、無線基地局およびWTRUであり、前記WTRUは、少なくとも部分的に基地局として機能することを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記2つの通信エンティティは、2つの無線基地局であることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記2つの通信エンティティは、無線基地局および無線ネットワークスタディ(RNC)に有線で接続される基地局であることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項11】
一方のエンティティの前記補正係数は0であり、そのため前記エンティティに自らのビームを調整させないようにすることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項12】
前記第1のエンティティのための前記少なくとも1つの調整パラメータは、ボアサイト方向、ビーム幅、および電力利得からなる群から選択されることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項13】
前記第2のエンティティのための前記少なくとも1つの調整パラメータは、ボアサイト方向、ビーム幅、および電力利得からなる群から選択されることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項14】
システム内で動作する無線エンティティ間で無線通信を向上させるためにビームを調整することができる無線通信システムであって、
複数の無線基地局を具え、該複数の無線基地局は、ビーム形成送信パターンおよび受信パターンを使用して通信を行うことができる複数の無線基地局であって、自らのビームと通信相手の別のエンティティのビームとの整合誤差を測定するためのプロセッサを含み、
2つの通信無線基地局の少なくとも一方が、前記別の無線エンティティの前記ビームに対する自らのビームの整合において前記測定された誤差のある比率だけ自らのビームを調整するための少なくとも1つの調整パラメータを選択することを特徴とする無線通信システム。
【請求項15】
前記少なくとも一方の通信無線基地局の前記プロセッサは、前記比率を前記測定された誤差に乗じたのと等しい量だけ前記少なくとも一方の無線基地局の前記ビームを調整するように構成されることを特徴とする請求項14記載の無線通信システム。
【請求項16】
前記少なくとも一方の通信無線基地局の前記プロセッサは、前記調整を実行するための少なくとも1つの調整パラメータを選択するように構成されることを特徴とする請求項14記載の無線通信システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの調整パラメータは、ボアサイト方向、ビーム幅、および電力利得からなる群から選択されることを特徴とする請求項16記載の無線通信システム。
【請求項18】
前記無線基地局の少なくとも一方は、少なくとも部分的に基地局として機能するWTRUであることを特徴とする請求項14記載の無線通信システム。
【請求項19】
前記WTRUは、メッシュネットワークの一部として機能することを特徴とする請求項18記載の無線通信システム。
【請求項20】
自らのビームと別の無線基地局のビームとの整合を維持するように構成される無線基地局であって、
前記基地局から放射される第1のビームと前記別の無線エンティティから放射される第2のビームとの整合誤差を測定するように構成される第1のプロセッサと、
該第1のプロセッサは、前記第1のビームを調整するための少なくとも1つの調整パラメータを選択するようにさらに構成され、
第1の比率を計算し、前記少なくとも1つの選択されたパラメータを用いて前記第1の比率を前記測定された誤差に乗じたのと等しい量だけ前記第1のビームを調整するように構成される第2のプロセッサと
を具えたことを特徴とする無線基地局。
【請求項21】
前記基地局が自らのビームを調整するかを示す前記測定された誤差の比率を、前記無線基地局の通信相手の前記無線エンティティに送信するように構成された送信機
をさらに具えたことを特徴とする請求項20記載の無線基地局。
【請求項22】
前記基地局の通信相手の前記無線エンティティから前記エンティティが自らのビームを調整するのに用いる第2の比率を受信するように構成された受信機をさらに具え、
第2の比率が受信されたとき、前記第2のプロセッサは、1から前記第2の比率を減算することによって前記第1の比率を計算し、前記第1の比率を前記測定された誤差に乗じたのと等しい量だけ前記第1のビームを調整するように構成されたことを特徴とする請求項21記載の無線基地局。
【請求項23】
前記基地局の通信相手の前記無線エンティティは、別の無線基地局であることを特徴とする請求項22記載の無線基地局。
【請求項24】
前記基地局の通信相手の前記無線エンティティは、WTRUであることを特徴とする請求項22記載の無線基地局。
【請求項25】
前記基地局が通信する前記無線エンティティは、無線ネットワーク制御装置(RNC)に有線で接続される基地局であることを特徴とする請求項22記載の無線基地局。
【請求項26】
前記少なくとも1つの調整パラメータは、ボアサイト方向、ビーム幅、および電力利得からなる群から選択されることを特徴とする請求項20記載の無線基地局。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−502597(P2007−502597A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533076(P2006−533076)
【出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/015180
【国際公開番号】WO2004/105410
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(594164900)インターディジタル テクノロジー コーポレイション (153)
【氏名又は名称原語表記】InterDigital Technology Corporation
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/015180
【国際公開番号】WO2004/105410
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(594164900)インターディジタル テクノロジー コーポレイション (153)
【氏名又は名称原語表記】InterDigital Technology Corporation
【Fターム(参考)】
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