説明

無線通信システム、偏波面調整方法、基地局、及びセンサ局

【課題】使用周波数帯が少なくとも一部で重複する他システムに与える干渉を低減することができる無線通信システム、偏波面調整方法、基地局、及びセンサ局を提供すること。
【解決手段】基地局100では、偏波信号送信部140が、水平偏波及び垂直偏波の送信レベル及び水平偏波と垂直偏波の位相差に係る組み合わせを変更して偏波面が調整された偏波面調整基準信号を順次送信し、偏波調整部150が、偏波面調整基準信号の受信側からのフィードバック情報に応じた組み合わせを選択する。センサ局200では、異システム受信信号取得部210が、地上局300で受信された、互いに偏波面が異なる複数の偏波面調整基準信号からなる基準信号列を取得し、電力測定部220が、取得された複数の偏波面調整基準信号のうち最も受信レベルの小さい偏波面調整基準信号を検出し、送信部230が、検出偏波面調整基準信号を示す情報を無線通信システムの基地局に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、偏波面調整方法、基地局、及びセンサ局に関する。
【背景技術】
【0002】
IMT−Advanced等に代表されるように、次世代の移動無線通信システムでは、高速で大容量な通信(高速移動時:100Mbps、低速移動時:1Gbps)を行うために、1000MHz以上の帯域が必要とされている。
【0003】
しかし、近年の無線通信システム全般においては、通信容量拡大の需要が高まり、周波数帯域の拡大が望まれている一方で、利用可能な周波数資源の枯渇化が進んできていることから、そのような広い周波数帯域を確保することは大きな課題である。
【0004】
現在、次世代移動無線通信システム向けに検討されている帯域としては、今まで利用されてきたUHF帯よりも高い周波数帯域で、広帯域通信に適しているマイクロ波帯の利用が有力であると考えられている。
【0005】
ところがマイクロ波帯では、固定衛星通信(FSS)や固定マイクロ通信が既に利用しており、このような既存システムと周波数を共用することになることから、後発の新規システムは干渉を与えずにサービスを提供しなければならない。
【0006】
複数システムの周波数共用の例として、移動通信システムが複数のアンテナを用いて、他システムの方向へヌルを向けるように送信指向性を制御することにより、与干渉を緩和する空間多重方式(SDMA)がある。
【0007】
特許文献1によれば、複数のアンテナで構成されるアレーアンテナを持つ無線通信送受信システムが、受信信号から他のシステムの固有ベクトルを算出する。そして、無線通信送受信システムは、他のシステムの固有ベクトルと直交する固有ベクトルを生成し、当該固有ベクトルを用いて他システムへの方向にヌルを向けるように送信指向性を制御する。
【特許文献1】特開2006−203522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した従来技術では、例えば、干渉を与えたくない装置が衛星通信システムの地上局の場合、その地上局は受信のみを行うため、その場所を特定することができない。すなわち、ヌルを向けるべき方向を特定することができないので、干渉を除去することは難しい。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、偏波面を調整することにより、使用周波数帯が少なくとも一部で重複する他システムに与える干渉を低減することができる無線通信システム、偏波面調整方法、基地局、及びセンサ局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の無線通信システムは、他の無線通信システムと使用周波数帯が少なくとも一部で重複する無線通信システムであって、水平偏波及び垂直偏波の送信レベル並びに水平偏波と垂直偏波との位相差に係る組み合わせを変更することにより偏波面が調整された偏波面調整基準信号を偏波面調整期間で順次送信し、前記偏波面調整基準信号の受信側からのフィードバック情報に応じた前記組み合わせを選択する基地局と、前記他の無線通信システムの無線局の近傍に設けられ、前記偏波面調整期間において前記無線局で最も受信レベルが小さいタイミングを検出し、検出タイミングを示す情報を前記フィードバック情報として前記基地局に送信するセンサ局と、を具備する構成を採る。
【0011】
本発明の偏波面調整方法は、他の無線通信システムと使用周波数帯が少なくとも一部で重複する無線通信システムにおける偏波面調整方法であって、前記無線通信システムの基地局において、水平偏波及び垂直偏波の送信レベル及び水平偏波と垂直偏波との位相差に係る組み合わせを変更することにより偏波面が調整された偏波面調整基準信号を偏波面調整期間で順次送信し、前記他の無線通信システムの無線局の近傍に設けられたセンサ局において、前記偏波面調整期間において最も受信レベルが小さいタイミングを検出し、検出タイミングを示す情報をフィードバック情報として前記基地局に送信し、前記無線通信システムの基地局において、前記フィードバック情報に応じた前記組み合わせを選択する。
【0012】
本発明の基地局は、他の無線通信システムと使用周波数帯が少なくとも一部で重複する無線通信システムにおける基地局であって、水平偏波及び垂直偏波の送信レベル及び水平偏波と垂直偏波との位相差に係る組み合わせを変更することにより偏波面が調整された偏波面調整基準信号を偏波面調整期間で順次送信する調整基準信号送信手段と、前記偏波面調整基準信号の受信側からのフィードバック情報に応じた前記組み合わせを選択する制御手段と、を具備する構成を採る。
【0013】
本発明のセンサ局は、他の無線通信システムと使用周波数帯が少なくとも一部で重複する無線通信システムにおけるセンサ局であって、前記他の無線通信システムの無線局で受信された、互いに偏波面が異なる複数の偏波面調整基準信号からなる基準信号列を取得する取得手段と、前記取得された複数の偏波面調整基準信号のうち最も受信レベルの小さい偏波面調整基準信号を検出する検出手段と、前記検出された偏波面調整基準信号を示す情報を前記無線通信システムの基地局に送信する送信手段と、を具備する構成を採る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、偏波面を調整することにより、使用周波数帯が少なくとも一部で重複する他システムに与える干渉を低減することができる無線通信システム、偏波面調整方法、基地局、及びセンサ局を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1には、使用周波数帯が少なくとも一部で重複する、双方向通信を行う移動通信システム10と、単方向通信を行う衛星通信システム20とが示されている。移動通信システム10は、基地局100と、センサ局200とを有する。衛星通信システム20は、衛星局(図示せず)と、アンテナ310及びチューナ320を備える地上局300とを有する。
【0017】
図1において基地局100は、データ生成部110と、フレーム生成部120と、データ分岐部130と、偏波信号送信部140と、偏波調整部150と、アンテナ160,170と、受信部180とを有する。
【0018】
データ生成部110は、送信データを生成する。フレーム生成部120は、データ生成部110で生成された送信データをフレーム単位に分割し、得られたフレーム単位の送信データをデータ分岐部130に出力する。また、フレーム生成部120は、フレームタイミングを偏波面調整部150に出力する。
【0019】
データ分岐部130は、入力データを2ルートに分配する。この分配されたデータは、偏波信号送信部140に入力される。
【0020】
偏波信号送信部140は、偏波面調整期間において偏波面調整部150から入力される偏波面調整制御信号に基づいて偏波面が調整された偏波面調整基準信号を、入力信号を用いて形成し、当該偏波面調整基準信号をアンテナ160−1,2を介して送信する。偏波信号送信部140は、偏波面調整基準信号にフレーム番号を付加して送信する。また、偏波信号送信部140は、偏波面調整部150から入力される偏波面決定情報に基づいて偏波信号を形成し、当該偏波信号をアンテナ160−1,2を介して送信する。
【0021】
ここで偏波面調整制御信号及び偏波面決定情報には、水平偏波及び垂直偏波の送信レベル並びに水平偏波と垂直偏波との位相差に係る組みが含まれている。
【0022】
偏波信号送信部140は、垂直偏波成分形成部142と、水平偏波成分形成部144とを有する。垂直偏波成分形成部142及び水平偏波成分形成部144は、複素乗算器である。垂直偏波成分形成部142は、偏波面調整制御信号及び偏波面決定情報に含まれる垂直偏波の送信レベル及び垂直偏波の位相情報に基づいて垂直偏波成分を形成する。また、水平偏波成分形成部144は、水平偏波の送信レベル及び水平偏波の位相情報に基づいて水平偏波成分を形成する。こうして形成された垂直偏波成分は、垂直偏波用のアンテナ160−1から送信され、水平偏波成分は水平偏波用のアンテナ160−2から送信される。こうして垂直偏波成分及び水平偏波成分が空間でベクトル合成され、合成ベクトルに対応する偏波面を持つ信号が送信される。
【0023】
偏波調整部150は、偏波面調整期間において、偏波面調整制御信号を偏波信号送信部140に順次出力する。偏波調整部150は、偏波面調整制御信号に含まれる水平偏波及び垂直偏波の送信レベル並びに水平偏波と垂直偏波との位相差に係る組み合わせを順次変更する。こうすることで、偏波信号送信部140からは、水平偏波及び垂直偏波の送信レベル並びに水平偏波と垂直偏波との位相差に係る組み合わせを変更することにより偏波面が調整された偏波面調整基準信号が順次送信される。
【0024】
また、偏波調整部150は、偏波面調整基準信号の信号列の受信側から送信されるフィードバック信号に基づいて水平偏波及び垂直偏波の送信レベル並びに水平偏波と垂直偏波との位相差に係る組みを選択し、選択された組みを偏波面決定情報として偏波信号送信部140に出力する。
【0025】
受信部180は、センサ局200からのフィードバック信号をアンテナ170を介して受信し、所定の無線受信処理を施して偏波面調整部150に出力する。
【0026】
センサ局200は、異システム受信信号取得部210と、電力測定部220と、送信部230と、アンテナ240と、フレーム同期検出部250とを有する。センサ局200は、地上局300の近傍に設けられている。
【0027】
異システム受信信号取得部210は、地上局300のアンテナ310と直接又は周波数変換付低ノイズ増幅器(LNB)を介して接続されている。異システム受信信号取得部210は、偏波面調整期間において、アンテナ310で受信された偏波面調整基準信号の信号列を取得する。地上局300のアンテナ310は、衛星通信システム20で用いられる偏波の受信に適した構成となっている。
【0028】
フレーム同期検出部250は、基地局100から送信された信号をアンテナ240を介し、受信信号に含まれるフレーム番号を抽出する。抽出されたフレーム番号は、電力測定部220に出力される。
【0029】
電力測定部220は、異システム受信信号取得部210が取得した偏波面基準信号の受信レベルを測定し、測定受信レベルが最も小さい偏波面基準信号が検出されたときのフレーム番号を特定する。この特定されたフレーム番号がフィードバック情報として送信される。
【0030】
送信部230は、フィードバック情報に所定の無線送信処理を施してアンテナ240を介して送信する。
【0031】
以上のように構成される移動通信システムの動作について説明する。
【0032】
基地局100からは、偏波面調整期間において、水平偏波及び垂直偏波の送信レベル並びに水平偏波と垂直偏波との位相差に係る組み合わせを変更することにより偏波面が調整された偏波面調整基準信号からなる信号列が送信される。
【0033】
具体的には、図2に示すように第1の偏波面調整期間において、水平偏波と垂直偏波との位相差が固定で、水平偏波及び垂直偏波の送信レベルのみが変更された組み合わせに係る偏波面調整基準信号が順次送信される(図3のステップST1001)。図2においては、位相差は0で固定されている。また、水平偏波成分と垂直偏波成分との合成ベクトルの大きさを固定として、合成ベクトルと水平偏波軸との為す角度を−90°から+90°まで振らせることにより、水平偏波及び垂直偏波の送信レベルが変更されている。
【0034】
第1の偏波面調整期間で偏波面調整基準信号が送信されてからセンサ局200のフィードバック情報を受信するまで、インターバルが設けられる。
【0035】
第1の偏波面調整期間において地上局300のアンテナ310で受信された、互いに偏波面が異なる複数の偏波面調整基準信号からなる基準信号列は、異システム受信信号取得部210により取得される(ステップST1002)。
【0036】
フレーム同期検出部250は、基地局100から送信された信号をアンテナ240を介し、受信信号に含まれるフレーム番号を抽出する。抽出されたフレーム番号は、電力測定部220に出力される。
【0037】
電力測定部220は、取得された複数の偏波面調整基準信号のうち最も受信レベルの小さい偏波面調整基準信号を検出する。電力測定部220は、測定受信レベルが最も小さい偏波面基準信号が検出されたときのフレーム番号を特定し、そのフレーム番号を送信部230に出力する。
【0038】
送信部230は、検出された偏波面調整基準信号を示す情報を第1のフィードバック情報として基地局100に送信する(ステップST1003)。ここでは、その検出された偏波面調整基準信号が送信されたフレーム番号が送信される。例えば、回転角θ=−78°であるフレーム番号n=13が送信される。
【0039】
偏波調整部150は、第2の偏波面調整期間において、第1のフィードバック情報と対応する、水平偏波及び垂直偏波の送信レベルに固定して、水平偏波と垂直偏波との位相差のみを変更した偏波面調整制御信号を偏波信号送信部140に順次出力する。これにより、図2に示すように第2の偏波面調整期間において、水平偏波及び垂直偏波の送信レベルが固定で、水平偏波と垂直偏波との位相差のみが変更された組み合わせに係る偏波面調整基準信号が順次送信される(ステップST1004)。
【0040】
第2の偏波面調整期間において地上局300のアンテナ310で受信された、互いに偏波面が異なる複数の偏波面調整基準信号からなる基準信号列は、異システム受信信号取得部210により取得される(ステップST1005)。
【0041】
電力測定部220は、取得された複数の偏波面調整基準信号のうち最も受信レベルの小さい偏波面調整基準信号を検出する。
【0042】
送信部230は、検出された偏波面調整基準信号を示す情報を第2のフィードバック情報として基地局100に送信する(ステップST1006)。例えば、(ΦH,ΦV)が(32,54)であるフレーム番号n=22407が送信される。
【0043】
偏波調整部150は、第2のフィードバック情報に対応する、水平偏波及び垂直偏波の送信レベル並びに水平偏波と垂直偏波との位相差に係る組みを選択し、選択された組みを偏波面決定情報として偏波信号送信部140に出力する。これにより、以降のデータ送信は、この偏波面決定情報に対応する偏波信号とされて送信される。
【0044】
上記した処理をより詳細に説明する。ここでは、衛星通信システム20で水平偏波が用いられている。
【0045】
図4(a)、(b)に示すように、第1の偏波面調整期間では、水平偏波と垂直偏波との位相差が固定で、水平偏波及び垂直偏波の送信レベルのみが変更された組み合わせに係る偏波面調整基準信号が順次送信される。
【0046】
図4(a)の偏波面を持つ偏波面基準信号は、地上局300では図4(c)のような偏波面で受信される。すなわち、伝搬路の影響により、送信時の偏波面が回転されることがある。伝搬路で障害物により反射、回折などの伝搬現象を経た波が合成され、偏波面が変化してしまうためである。すなわち、衛星通信システム20の偏波と直交する偏波により信号が送信されたとしても受信側で直交性が保たれているとは限らず、直交性がくずれると干渉抑圧効果が減少し、地上局300における干渉電力が増加し変調精度が悪化する。
【0047】
偏波面調整基準信号の信号列の中には、図4(d)に示すように衛星通信システム20の偏波面と受信時に直交するか又はそれに近い偏波面を持つ偏波面基準信号が含まれている。図4(d)には、図4(b)の偏波面を持つ偏波面基準信号の受信偏波面が示されている。第1の偏波面調整期間では、受信レベルを基準として、図4(b)に対応する水平偏波及び垂直偏波の送信レベルが特定される。
【0048】
また、第2の偏波面調整期間では、図5(a)に示すように、水平偏波と垂直偏波との位相差が変更された組み合わせに係る偏波面調整基準信号が順次送信される。このとき、送信レベルは、第1の偏波面調整期間で特定された値にフィックスされている。
【0049】
偏波面基準信号は、伝搬路において円偏波の影響を受けることにより、送信時に直線偏波で送信されても、受信時には図5(b)に示すように楕円状の偏波面を持つことがある。
【0050】
偏波面調整基準信号の信号列の中には、図5(c)に示すように衛星通信システム20の偏波面と受信時に直交するか又はそれに近い偏波面を持つ偏波面基準信号が含まれている。第2の偏波面調整期間では、受信偏波面が図5(c)のようになる水平偏波と垂直偏波との位相差が特定される。
【0051】
こうして特定される水平偏波及び垂直偏波の送信レベル並びに水平偏波と垂直偏波との位相差に係る組みは、移動通信システム10から衛星通信システム20への干渉が最も小さい組みである。
【0052】
このように本実施の形態によれば、基地局100においては、偏波信号送信部140が、水平偏波及び垂直偏波の送信レベル及び水平偏波と垂直偏波との位相差に係る組み合わせを変更することにより偏波面が調整された偏波面調整基準信号を偏波面調整期間で順次送信し、偏波調整部150が、偏波面調整基準信号の受信側からのフィードバック情報に応じた組み合わせを選択する。
【0053】
また、センサ局200においては、異システム受信信号取得部210が、地上局300で受信された、互いに偏波面が異なる複数の偏波面調整基準信号からなる基準信号列を取得し、電力測定部220が、異システム受信信号取得部210で取得された複数の偏波面調整基準信号のうち最も受信レベルの小さい偏波面調整基準信号を検出し、送信部230が、電力測定部220で検出された偏波面調整基準信号を示す情報を無線通信システムの基地局に送信する。
【0054】
こうすることにより、移動通信システム10は、衛星通信システム20に対する干渉が最も小さい水平偏波及び垂直偏波の送信レベル及び水平偏波と垂直偏波との位相差に係る組み合わせを選択することができる。
【0055】
なお上記説明においては、フィードバック情報としてフレーム番号が用いられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、偏波面調整期間において受信レベルが最も小さいタイミング情報でもよい。基地局100は、タイミング情報に基づいて、水平偏波及び垂直偏波の送信レベル及び水平偏波と垂直偏波との位相差に係る組み合わせを特定することができる。
【0056】
また、基地局100は、第1の偏波面調整期間では送信レベルを固定して偏波面調整基準信号を送信し、第2の偏波面調整期間では第1の偏波面調整期間で選択した組み合わせに係る送信レベルに固定して偏波面調整基準信号を送信する。
【0057】
こうすることにより、最適な水平偏波及び垂直偏波の送信レベル及び水平偏波と垂直偏波との位相差に係る組み合わせを効率的に特定することができる。
【0058】
またなお、移動通信システム10の移動局(図示せず)は、地上局300と同様に、基地局100からの偏波制御の影響を受ける。しかし、移動局の使用場所は一般に散乱波が強く、垂直偏波と水平偏波のレベル差異が小さいため、その影響は無視できる。また移動局が偏波ダイバーシチ受信することにより、さらにその影響は小さくなる。
【0059】
またなお、上記説明では、フィードバック情報の通知に移動通信システム10の上り回線を利用したが、固定電話回線、インターネット回線などを利用してもよい。
【0060】
またなお、上記説明では、受信レベル(干渉電力レベル)を基準として、最も直交度が高いと思われるタイミングを検出したが、EVMなどの指標を基準として利用してもよい。
【0061】
またなお、上記説明では、衛星通信システム20が直線偏波を利用する場合について説明したが、衛星通信システム20は円偏波を利用してもよい。衛星通信システム20がどのような偏波を用いたとしても、上記した方法によって移動通信システム10の受信偏波面が衛星通信システム20の受信偏波面と直交するように調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の無線通信システム、偏波面調整方法、基地局、及びセンサ局は、偏波面を調整することにより、使用周波数帯が少なくとも一部で重複する他システムに与える干渉を低減することができるものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態に係る移動通信システム及び衛星通信システムの構成を示すブロック図
【図2】偏波面調整基準信号の説明に供する図
【図3】移動通信システムの動作説明に供する図
【図4】移動通信システムの動作説明に供する図
【図5】移動通信システムの動作説明に供する図
【符号の説明】
【0064】
10 移動通信システム
20 衛星通信システム
100 基地局
110 データ生成部
120 フレーム生成部
130 データ分岐部
140 偏波信号送信部
142 垂直偏波成分形成部
144 水平偏波成分形成部
150 偏波面調整部
160,170,240,310 アンテナ
180 受信部
200 センサ局
210 異システム受信信号取得部
220 電力測定部
230 送信部
250 フレーム同期検出部
300 地上局
320 チューナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の無線通信システムと使用周波数帯が少なくとも一部で重複する無線通信システムであって、
水平偏波及び垂直偏波の送信レベル並びに水平偏波と垂直偏波との位相差に係る組み合わせを変更することにより偏波面が調整された偏波面調整基準信号を偏波面調整期間で順次送信し、前記偏波面調整基準信号の受信側からのフィードバック情報に応じた前記組み合わせを選択する基地局と、
前記他の無線通信システムの無線局の近傍に設けられ、前記偏波面調整期間において前記無線局で最も受信レベルが小さいタイミングを検出し、検出タイミングを示す情報を前記フィードバック情報として前記基地局に送信するセンサ局と、
を具備する無線通信システム。
【請求項2】
前記無線基地局は、前記偏波面調整期間において、前記位相差を固定して偏波面調整基準信号を送信し、第2の偏波面調整期間において、前記偏波面調整期間で選択した組み合わせに係る送信レベルに固定して偏波面調整基準信号を送信する、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記無線通信システムの前記基地局は、移動体通信システムの基地局であり、
前記他の無線通信システムの前記無線局は、衛星通信システム地上局である、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項4】
他の無線通信システムと使用周波数帯が少なくとも一部で重複する無線通信システムにおける偏波面調整方法であって、
前記無線通信システムの基地局において、水平偏波及び垂直偏波の送信レベル及び水平偏波と垂直偏波との位相差に係る組み合わせを変更することにより偏波面が調整された偏波面調整基準信号を偏波面調整期間で順次送信し、
前記他の無線通信システムの無線局の近傍に設けられたセンサ局において、前記偏波面調整期間において最も受信レベルが小さいタイミングを検出し、検出タイミングを示す情報をフィードバック情報として前記基地局に送信し、
前記無線通信システムの基地局において、前記フィードバック情報に応じた前記組み合わせを選択する、
偏波面調整方法。
【請求項5】
前記無線通信システムの基地局において、
前記偏波面調整期間では前記位相差を固定して偏波面調整基準信号を送信し、
第2の偏波面調整期間では前記偏波面調整期間で選択した組み合わせに係る送信レベルに固定して偏波面調整基準信号を送信する、
請求項4に記載の偏波面調整方法。
【請求項6】
前記無線通信システムの前記基地局は、移動体通信システムの基地局であり、
前記他の無線通信システムの前記無線局は、衛星通信システム地上局である、
請求項4又は請求項5のいずれかに記載の偏波面調整方法。
【請求項7】
他の無線通信システムと使用周波数帯が少なくとも一部で重複する無線通信システムにおける基地局であって、
水平偏波及び垂直偏波の送信レベル及び水平偏波と垂直偏波との位相差に係る組み合わせを変更することにより偏波面が調整された偏波面調整基準信号を偏波面調整期間で順次送信する調整基準信号送信手段と、
前記偏波面調整基準信号の受信側からのフィードバック情報に応じた前記組み合わせを選択する制御手段と、
を具備する基地局。
【請求項8】
調整基準信号送信手段は、
前記偏波面調整期間では前記位相差を固定して偏波面調整基準信号を送信し、
第2の偏波面調整期間では前記偏波面調整期間で選択した組み合わせに係る送信レベルに固定して偏波面調整基準信号を送信する、
請求項7に記載の基地局。
【請求項9】
前記基地局は、移動体通信システムの基地局であり、
前記他の無線通信システムは、衛星通信システムである、
請求項7又は請求項8のいずれかに記載の基地局。
【請求項10】
他の無線通信システムと使用周波数帯が少なくとも一部で重複する無線通信システムにおけるセンサ局であって、
前記他の無線通信システムの無線局で受信された、互いに偏波面が異なる複数の偏波面調整基準信号からなる基準信号列を取得する取得手段と、
前記取得された複数の偏波面調整基準信号のうち最も受信レベルの小さい偏波面調整基準信号を検出する検出手段と、
前記検出された偏波面調整基準信号を示す情報を前記無線通信システムの基地局に送信する送信手段と、
を具備するセンサ局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−159453(P2009−159453A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337148(P2007−337148)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】