説明

無線通信システム、基地局および端末装置

【課題】第2通信方式に対しコスト等の増大なく且つ第1通信方式の下で開発されたソフトウェア等の資産の無駄を避けられる無線通信システム等を提供する。
【解決手段】基地局10は情報データInf1を第1通信方式に基づきベースバンド処理して第1通信方式のベースバンド信号BB1を出力する基地局側第1通信方式ベースバンド部12と、情報データInf2とBB1からサンプリングされたデータBB1−sampとを第2通信方式に基づきベースバンド処理して第2通信方式のベースバンド信号BB2を出力する基地局側第2通信方式ベースバンド部14とを備え、端末装置20はBB2を第2通信方式に基づきベースバンド処理してInf2を出力する端末装置側第2通信方式ベースバンド部24と、Inf2から取得されたBB1を第1通信方式に基づきベースバンド処理して、Inf1を出力する端末装置側第1通信方式ベースバンド部22とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を行う基地局と端末装置との間の無線通信システム等に関し、特に、通信方式の上位互換性を実現するための無線通信システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基地局と端末装置との間の無線通信における新たな通信方式の登場が増大している。基地局と端末装置との間の無線通信で複数の通信方式に対応するには、通信方式毎に、アンテナ、無線(RF)処理部、ベースバンド処理部が必要である。従って、新たな通信方式に対応するためには、その対応のためのコスト、端末装置のサイズ等が増大するという問題があった。さらに、古い通信方式から新たな通信方式へ変更してしまうと、新たな通信方式のために種々のソフトウェア等の開発が必要となるだけでなく、古い通信方式の下で開発されたソフトウェア等の資産が無駄になってしまうという問題もあった。
【0003】
特許文献1には、複数通信方式の異なる周波数のRF信号を周波数変換し、その電波の信号波形をディジタル信号へ変換せずにその(アナログ)信号で光に強度変調を施すことにより電気−光(E/O)変換を行い、1本の光ファイバで伝送するという、光ファイバ無線伝送技術が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−33694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1の技術はアナログ信号を1本の光ファイバで伝送するため、複数通信方式に対応するには光伝送のための別の設備が必要になり、そのためのコスト等が増大するという問題があった。特許文献1の技術では、古い通信方式から新たな通信方式へ変更した場合における新たな通信方式のための種々のソフトウェア等の開発の必要性および古い通信方式の下で開発されたソフトウェア等の資産の無駄は避けられないという問題もあった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決するためになされたものであり、基地局と端末装置との間の無線通信における新たな通信方式または異なる複数の通信方式に対し、コスト、端末装置のサイズ等を増大させなくても対応可能であり、且つ新たな通信方式または異なる複数の通信方式のために種々のソフトウェア等を開発する必要性と古い通信方式の下で開発されたソフトウェア等の資産の無駄とを避けることが可能な無線通信システム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の無線通信システムは、無線通信を行う基地局と端末装置との間の無線通信システムであって、前記基地局は、入力した情報データを第1通信方式に基づきベースバンド処理して第1通信方式のベースバンド信号を出力する基地局側第1通信方式ベースバンド部と、情報データと前記基地局側第1通信方式ベースバンド部により出力された第1通信方式のベースバンド信号からサンプリングされたデータとを第1通信方式とは異なり且つ第1通信方式以上のデータ通信容量を有する第2通信方式に基づきベースバンド処理して第2通信方式のベースバンド信号を出力する基地局側第2通信方式ベースバンド部とを備え、前記端末装置は、第2通信方式のベースバンド信号を第2通信方式に基づきベースバンド処理して情報データを出力する端末装置側第2通信方式ベースバンド部と、前記端末装置側第2通信方式ベースバンド部により出力された情報データから取得された第1通信方式のベースバンド信号を第1通信方式に基づきベースバンド処理して情報データを出力する端末装置側第1通信方式ベースバンド部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
ここで、この発明の無線通信システムにおいて、前記基地局は、前記基地局側第2通信方式ベースバンド部により出力された第2通信方式のベースバンド信号、又は前記第2基地局側通信方式ベースバンド部の前記基地局側第1通信方式ベースバンド部に対する関係と同じ関係を有する1以上の基地局側通信方式ベースバンド部を備えた場合は該1以上の基地局側通信方式ベースバンド部の最後の基地局側通信方式ベースバンド部により出力された最後の通信方式のベースバンド信号の無線処理を行って生成した無線信号を基地局アンテナを介して送信する基地局側無線処理送信部をさらに備え、前記端末装置は、前記基地局側無線処理送信部により送信され端末装置アンテナを介して受信した無線信号を処理して第2通信方式のベースバンド信号、又は前記第2端末装置側通信方式ベースバンド部の前記端末装置側第1通信方式ベースバンド部に対する関係と同じ関係を有する1以上の端末装置側通信方式ベースバンド部を備えた場合は最後の通信方式のベースバンド信号を出力する端末装置側無線処理受信部をさらに備えることができる。
【0009】
ここで、この発明の無線通信システムにおいて、前記各端末装置側通信方式ベースバンド部としてソフトウェア無線機を用いることができる。
【0010】
この発明の基地局は、端末装置と無線通信を行う基地局であって、入力した情報データを第1通信方式に基づきベースバンド処理して第1通信方式のベースバンド信号を出力する基地局側第1通信方式ベースバンド部と、情報データと前記基地局側第1通信方式ベースバンド部により出力された第1通信方式のベースバンド信号からサンプリングされたデータとを第1通信方式とは異なり且つ第1通信方式以上のデータ通信容量を有する第2通信方式に基づきベースバンド処理して第2通信方式のベースバンド信号を出力する基地局側第2通信方式ベースバンド部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
ここで、この発明の基地局において、前記基地局側第2通信方式ベースバンド部により出力された第2通信方式のベースバンド信号、又は前記第2基地局側通信方式ベースバンド部の前記基地局側第1通信方式ベースバンド部に対する関係と同じ関係を有する1以上の基地局側通信方式ベースバンド部を備えた場合は該1以上の基地局側通信方式ベースバンド部の最後の基地局側通信方式ベースバンド部により出力された最後の通信方式のベースバンド信号の無線処理を行って生成した無線信号を基地局アンテナを介して送信する基地局側無線処理送信部をさらに備えることができる。
【0012】
この発明の端末装置は、基地局と無線通信を行う端末装置であって、第1通信方式とは異なり且つ第1通信方式以上のデータ通信容量を有する第2通信方式のベースバンド信号を第2通信方式に基づきベースバンド処理して情報データを出力する端末装置側第2通信方式ベースバンド部と、前記端末装置側第2通信方式ベースバンド部により出力された情報データから取得された第1通信方式のベースバンド信号を第1通信方式に基づきベースバンド処理して情報データを出力する端末装置側第1通信方式ベースバンド部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
ここで、この発明の端末装置において、前記基地局側から送信され端末装置アンテナを介して受信した無線信号を処理して第2通信方式のベースバンド信号、又は前記第2端末装置側通信方式ベースバンド部の前記端末装置側第1通信方式ベースバンド部に対する関係と同じ関係を有する1以上の端末装置側通信方式ベースバンド部を備えた場合は最後の通信方式のベースバンド信号を出力する端末装置側無線処理受信部をさらに備えることができる。
【0014】
ここで、この発明の端末装置において、前記各端末装置側通信方式ベースバンド部としてソフトウェア無線機を用いることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の無線通信システム等によれば、端末装置側第2通信方式ベースバンド部と端末装置側第1通信方式ベースバンド部とによる2段階のベースバンド処理により、古い第1通信方式のアンテナおよび古い第1通信方式の端末装置側無線処理受信部を残しておくことなく、新しい第2通信方式のアンテナおよび新しい第2通信方式の端末装置側無線処理受信部を用いるだけで、古い第1通信方式への対応が可能である。すなわち、第2通信方式と第1通信方式との両方の情報データを取得することができ、第2通信方式を新たに追加する場合において、第1通信方式から第2通信方式への上位互換性を実現することができる。この結果、基地局と端末装置との間の無線通信における新たな第2通信方式または異なる複数の通信方式に対し、コスト、端末装置のサイズ等を増大させなくても対応可能であり、且つ新たな第2通信方式または異なる複数の通信方式のために種々のソフトウェア等を開発する必要性と古い第1通信方式の下で開発されたソフトウェア等の資産の無駄とを避けることが可能な無線通信システム等を提供することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1における無線通信システム1を示す。図1において、符号10は基地局、20は基地局10と無線通信を行う端末装置である。端末装置20は好適には車両30に搭載された車載機であり、端末装置アンテナ32を備えている。以下で、古い通信方式が第1通信方式であり、新たな(または異なる)通信方式が第2通信方式である。
【0018】
図1に示されるように、基地局10は、入力した情報データInf1を第1通信方式に基づきベースバンド処理して第1通信方式のベースバンド信号BB1を出力する基地局側第1通信方式ベースバンド部12を備えている。情報データInf1は0、1等で表された情報の元となるデータであり、音声データ、画像データ等のデータである。ベースバンド信号BB1は情報データInf1を第1通信方式に基づきディジタル変調して得られたシンボルである。
【0019】
続いて、基地局10は、情報データInf2と基地局側第1通信方式ベースバンド部12により出力された第1通信方式のベースバンド信号BB1からサンプリングされたデータBB1−sampとを第1通信方式とは異なり且つ第1通信方式以上のデータ通信容量を有する第2通信方式に基づきベースバンド処理して第2通信方式のベースバンド信号BB2を出力する基地局側第2通信方式ベースバンド部14を備えている。第2通信方式のデータ通信容量は第1通信方式のデータ通信容量の1桁以上多いことが好適である。基地局側第2通信方式ベースバンド部14は、第2通信方式の情報データInf2と合わせて第1通信方式の情報データInf1を変調したデータBB1−sampを重畳させて第2通信方式の変調を行う。この結果、古い第1通信方式において製作された第1通信方式の情報データInf1をそのまま用い続けることができるため、第1通信方式の情報データInf1等の資産の無駄を避けることができる。
【0020】
さらに基地局10は、基地局側第2通信方式ベースバンド部14により出力された第2通信方式のベースバンド信号BB2の無線処理(IF処理およびRF処理)を行って、生成した無線信号RFを基地局アンテナ18を介して送信する基地局側無線処理送信部16を備えている。
【0021】
図1に示されるように、端末装置20は、基地局側無線処理送信部16から基地局アンテナ18を介して送信され、端末装置アンテナ32を介して受信した無線信号RFの無線処理(RF処理およびIF処理)を行って、第2通信方式のベースバンド信号BB2を出力する端末装置側無線処理受信部26を備えている。すなわち、端末装置20側では新しい第2通信方式のアンテナ32により受信し、新しい第2通信方式の端末装置側無線処理受信部26により無線処理を行う。
【0022】
続いて、端末装置20は、端末装置側無線処理受信部26から出力された第2通信方式のベースバンド信号BB2を第2通信方式に基づきベースバンド処理して情報データInf2を出力する端末装置側第2通信方式ベースバンド部24を備えている。
【0023】
さらに端末装置20は、端末装置側第2通信方式ベースバンド部24により出力された情報データInf2から取得された第1通信方式のベースバンド信号BB1を第1通信方式に基づきベースバンド処理して、情報データInf1を出力する端末装置側第1通信方式ベースバンド部22を備えている。
【0024】
上述した端末装置側第2通信方式ベースバンド部24および端末装置側第1通信方式ベースバンド部22として、ソフトウェア無線機28を用いることが好適である。この場合、ソフトウェア無線機28は各第1および第2通信方式に対応した上記ベースバンド処理をソフトウェアにより用意しておき、ソフトウェア無線機のCPU(不図示)が、入力した各信号BB2、Inf2等に応じて対応するソフトウェアに変更して実行すればよい。上記ソフトウェア部分は、ソフトウェアの書換えにより回路構成を変更可能な装置であるFPGA(Field Programmable Gate Array)で作成することが可能である。
【0025】
以上のように、端末装置側第2通信方式ベースバンド部24と端末装置側第1通信方式ベースバンド部22とによる2段階のベースバンド処理により、古い第1通信方式のアンテナ(不図示)および古い第1通信方式の端末装置側無線処理受信部(不図示)を残しておくことなく、新しい第2通信方式のアンテナ32および新しい第2通信方式の端末装置側無線処理受信部26を用いるだけで、古い第1通信方式への対応が可能である。すなわち、第2通信方式と第1通信方式との両方の情報データInf2とInf1とを取得することができ、第2通信方式を新たに追加する場合において、第1通信方式から第2通信方式への上位互換性を実現することができる。端末装置側第1通信方式ベースバンド部22側は古い第1通信方式用に開発されたベースバンド処理ソフトウェアをそのまま利用することができる。無線通信システム1が準拠するべき課金・認証等の無線上位層処理に関するソフトウェアおよびアーキテクチャ等もそのまま利用することが可能であるため、新たな第2通信方式用のソフトウェアおよびアーキテクチャの開発が不要となり、コスト削減が可能となる。さらに、本発明の無線通信システム1によれば、新たな第2通信方式において、古い第1通信方式に対応したソフトウェアの新規開発およびテスト等も不要となるため、コスト削減が可能となる。本発明の無線通信システム1によれば、新たな第2通信方式の設備のみで古い第1通信方式の情報データInf1も取得することができるため、新たな第2通信方式の展開を促進させることが可能となる。新たな第2通信方式は一般により通信品質を高めているため、古い第1通信方式を利用した場合と比べて伝送品質を高めることも可能である。自動車向け道路交通情報通信/路車間通信方式における通信方式を取り上げた場合、好適には古い第1通信方式は光または電波ビーコンであり、新たな第2通信方式はDSRC(Dedicated Short Range Communication)または今後登場が予想される新しい(自動)車向け無線方式が挙げられる。
【0026】
上述の説明では、複数の通信方式として第1および第2通信方式をとり上げて説明した。本発明の無線通信システム等は新たに第3の通信方式が登場した場合にも上述と同様に適用可能である。すなわち、基地局10側では、情報データInf3(不図示)と基地局側第2通信方式ベースバンド部14により出力された第2通信方式のベースバンド信号BB2からサンプリングされたデータBB2−samp(不図示)とを第2通信方式とは異なり且つ第2通信方式以上のデータ通信容量を有する第3通信方式に基づきベースバンド処理して第3通信方式のベースバンド信号BB3(不図示)を出力する基地局側第3通信方式ベースバンド部(不図示)を備えることができる。第2基地局側通信方式ベースバンド部14の基地局側第1通信方式ベースバンド部12に対する関係と同様に、第3通信方式のデータ通信容量は第2通信方式のデータ通信容量より1桁以上多いことが好適である。この場合、基地局側無線処理送信部16は基地局側第3通信方式ベースバンド部により出力された第3通信方式のベースバンド信号BB3の無線処理を行って、生成した無線信号RFを基地局アンテナ18を介して送信する。
【0027】
上述の場合、端末装置側無線処理受信部26では、基地局側無線処理送信部16から基地局アンテナ18を介して送信され、端末装置アンテナ32を介して受信した無線信号RFを処理して、第3通信方式のベースバンド信号BB3(不図示)を出力することになる。さらに、端末装置20は、端末装置側無線処理受信部26から出力された第3通信方式のベースバンド信号BB3を第3通信方式に基づきベースバンド処理して情報データInf3(不図示)を出力する端末装置側第3通信方式ベースバンド部(不図示)をさらに備えることができる。端末装置側第2通信方式ベースバンド部24は、端末装置側第3通信方式ベースバンド部により出力された情報データInf3から取得された第2通信方式のベースバンド信号BB2を第2通信方式に基づきベースバンド処理して、情報データInf2を出力する。端末装置側第1通信方式ベースバンド部22は、端末装置側第2通信方式ベースバンド部24により出力された情報データInf2から取得された第1通信方式のベースバンド信号BB1を第1通信方式に基づきベースバンド処理して、情報データInf1を出力する。
【0028】
上述の説明は、さらに一般的に拡張することが可能である。すなわち、基地局10側は、第2基地局側通信方式ベースバンド部14の基地局側第1通信方式ベースバンド部12に対する関係と同じ関係を有する1以上の基地局側通信方式ベースバンド部(不図示)を備えることができる。この場合、基地局側無線処理送信部16は、これら1以上の基地局側通信方式ベースバンド部の最後の基地局側通信方式ベースバンド部(上例のように第1から第3通信方式までであれば基地局側第3通信方式ベースバンド部)により出力された最後の通信方式のベースバンド信号(上例の場合はBB3)の無線処理を行って生成した無線信号を基地局アンテナ18を介して送信することができる。同様に、端末装置20側は、第2端末装置側通信方式ベースバンド部24の端末装置側第1通信方式ベースバンド部22に対する関係と同じ関係を有する1以上の端末装置側通信方式ベースバンド部(不図示)を備えることができる。この場合、端末装置側無線処理受信部26は、基地局側無線処理送信部16により送信され端末装置アンテナ32を介して受信した無線信号RFを処理して、最後の通信方式のベースバンド信号(上例のように第1から第3通信方式までであればBB3)を出力する。
【0029】
以上より、本発明の実施例1によれば、基地局10は、入力した情報データInf1を第1通信方式に基づきベースバンド処理して第1通信方式のベースバンド信号BB1を出力する基地局側第1通信方式ベースバンド部12を備えている。さらに、情報データInf2と基地局側第1通信方式ベースバンド部12により出力された第1通信方式のベースバンド信号BB1からサンプリングされたデータBB1−sampとを第1通信方式とは異なり且つ第1通信方式以上のデータ通信容量を有する第2通信方式に基づきベースバンド処理して第2通信方式のベースバンド信号BB2を出力する基地局側第2通信方式ベースバンド部14を備えている。さらに基地局10は、基地局側第2通信方式ベースバンド部14により出力された第2通信方式のベースバンド信号BB2の無線処理(IF処理およびRF処理)を行って、生成した無線信号RFを基地局アンテナ18を介して送信する基地局側無線処理送信部16を備えている。端末装置20は、基地局側無線処理送信部16から基地局アンテナ18を介して送信され、端末装置アンテナ32を介して受信した無線信号RFの無線処理(RF処理およびIF処理)を行って、第2通信方式のベースバンド信号BB2を出力する端末装置側無線処理受信部26を備えている。端末装置20は、端末装置側無線処理受信部26から出力された第2通信方式のベースバンド信号BB2を第2通信方式に基づきベースバンド処理して情報データInf2を出力する端末装置側第2通信方式ベースバンド部24を備えている。さらに端末装置20は、端末装置側第2通信方式ベースバンド部24により出力された情報データInf2から取得された第1通信方式のベースバンド信号BB1を第1通信方式に基づきベースバンド処理して、情報データInf1を出力する端末装置側第1通信方式ベースバンド部22を備えている。
【0030】
端末装置側第2通信方式ベースバンド部24と端末装置側第1通信方式ベースバンド部22とによる2段階のベースバンド処理により、古い第1通信方式のアンテナ(不図示)および古い第1通信方式の端末装置側無線処理受信部(不図示)を残しておくことなく、新しい第2通信方式のアンテナ32および新しい第2通信方式の端末装置側無線処理受信部26を用いるだけで、古い第1通信方式への対応が可能である。すなわち、第2通信方式と第1通信方式との両方の情報データInf2とInf1とを取得することができ、第2通信方式を新たに追加する場合において、第1通信方式から第2通信方式への上位互換性を実現することができる。この結果、基地局10と端末装置20との間の無線通信における新たな通信方式(第2通信方式)または異なる複数の通信方式に対し、コスト、端末装置のサイズ等を増大させなくても対応可能であり、且つ新たな通信方式または異なる複数の通信方式のために種々のソフトウェア等を開発する必要性と古い通信方式(第1通信方式)の下で開発されたソフトウェア等の資産の無駄とを避けることが可能な無線通信システム等を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の活用例として、自動車向け道路交通情報通信/路車間通信方式等への適用が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例1における無線通信システム1を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 無線通信システム、 10 基地局、 12 基地局側第1通信方式ベースバンド部、 14 基地局側第2通信方式ベースバンド部、 16 基地局側無線処理送信部、 18 基地局アンテナ、 20 端末装置、 22 端末装置側第1通信方式ベースバンド部、 24 端末装置側第2通信方式ベースバンド部、 26 端末装置側無線処理受信部、 30 車両、 32 端末装置アンテナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行う基地局と端末装置との間の無線通信システムであって、
前記基地局は、
入力した情報データを第1通信方式に基づきベースバンド処理して第1通信方式のベースバンド信号を出力する基地局側第1通信方式ベースバンド部と、
情報データと前記基地局側第1通信方式ベースバンド部により出力された第1通信方式のベースバンド信号からサンプリングされたデータとを第1通信方式とは異なり且つ第1通信方式以上のデータ通信容量を有する第2通信方式に基づきベースバンド処理して第2通信方式のベースバンド信号を出力する基地局側第2通信方式ベースバンド部とを備え、
前記端末装置は、
第2通信方式のベースバンド信号を第2通信方式に基づきベースバンド処理して情報データを出力する端末装置側第2通信方式ベースバンド部と、
前記端末装置側第2通信方式ベースバンド部により出力された情報データから取得された第1通信方式のベースバンド信号を第1通信方式に基づきベースバンド処理して情報データを出力する端末装置側第1通信方式ベースバンド部とを備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1記載の無線通信システムにおいて、
前記基地局は、
前記基地局側第2通信方式ベースバンド部により出力された第2通信方式のベースバンド信号、又は前記第2基地局側通信方式ベースバンド部の前記基地局側第1通信方式ベースバンド部に対する関係と同じ関係を有する1以上の基地局側通信方式ベースバンド部を備えた場合は該1以上の基地局側通信方式ベースバンド部の最後の基地局側通信方式ベースバンド部により出力された最後の通信方式のベースバンド信号の無線処理を行って生成した無線信号を基地局アンテナを介して送信する基地局側無線処理送信部をさらに備え、
前記端末装置は、
前記基地局側無線処理送信部により送信され端末装置アンテナを介して受信した無線信号を処理して第2通信方式のベースバンド信号、又は前記第2端末装置側通信方式ベースバンド部の前記端末装置側第1通信方式ベースバンド部に対する関係と同じ関係を有する1以上の端末装置側通信方式ベースバンド部を備えた場合は最後の通信方式のベースバンド信号を出力する端末装置側無線処理受信部をさらに備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の無線通信システムにおいて、前記各端末装置側通信方式ベースバンド部としてソフトウェア無線機を用いることを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
端末装置と無線通信を行う基地局であって、
入力した情報データを第1通信方式に基づきベースバンド処理して第1通信方式のベースバンド信号を出力する基地局側第1通信方式ベースバンド部と、
情報データと前記基地局側第1通信方式ベースバンド部により出力された第1通信方式のベースバンド信号からサンプリングされたデータとを第1通信方式とは異なり且つ第1通信方式以上のデータ通信容量を有する第2通信方式に基づきベースバンド処理して第2通信方式のベースバンド信号を出力する基地局側第2通信方式ベースバンド部とを備えたことを特徴とする基地局。
【請求項5】
請求項4記載の基地局において、
前記基地局側第2通信方式ベースバンド部により出力された第2通信方式のベースバンド信号、又は前記第2基地局側通信方式ベースバンド部の前記基地局側第1通信方式ベースバンド部に対する関係と同じ関係を有する1以上の基地局側通信方式ベースバンド部を備えた場合は該1以上の基地局側通信方式ベースバンド部の最後の基地局側通信方式ベースバンド部により出力された最後の通信方式のベースバンド信号の無線処理を行って生成した無線信号を基地局アンテナを介して送信する基地局側無線処理送信部をさらに備えたことを特徴とする基地局。
【請求項6】
基地局と無線通信を行う端末装置であって、
第1通信方式とは異なり且つ第1通信方式以上のデータ通信容量を有する第2通信方式のベースバンド信号を第2通信方式に基づきベースバンド処理して情報データを出力する端末装置側第2通信方式ベースバンド部と、
前記端末装置側第2通信方式ベースバンド部により出力された情報データから取得された第1通信方式のベースバンド信号を第1通信方式に基づきベースバンド処理して情報データを出力する端末装置側第1通信方式ベースバンド部とを備えたことを特徴とする端末装置。
【請求項7】
請求項6記載の端末装置において、
前記基地局側から送信され端末装置アンテナを介して受信した無線信号を処理して第2通信方式のベースバンド信号、又は前記第2端末装置側通信方式ベースバンド部の前記端末装置側第1通信方式ベースバンド部に対する関係と同じ関係を有する1以上の端末装置側通信方式ベースバンド部を備えた場合は最後の通信方式のベースバンド信号を出力する端末装置側無線処理受信部をさらに備えたことを特徴とする端末装置。
【請求項8】
請求項6又は7記載の端末装置において、前記各端末装置側通信方式ベースバンド部としてソフトウェア無線機を用いることを特徴とする端末装置。

【図1】
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【公開番号】特開2008−252492(P2008−252492A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90749(P2007−90749)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【Fターム(参考)】