説明

無線通信システム、無線基地局装置、無線端末装置、および時刻取得方法

【課題】特別なパラメータを追加することなく無線端末装置に時刻情報を提供する。
【解決手段】基地局装置1において、時刻取得部2は、外部時刻ソース10から現在の正確な時刻を取得し、自身が保持するクロックを現在時刻に同期させる。報知時刻情報生成部3は、時刻取得部2によって取得された現在時刻をもとに、報知すべき時刻情報を生成する。無線送信部6は、止まり木チャネルでフレーム番号0のときの時刻情報tを報知するとともに、各通信チャネルでフレーム番号を報知する。無線端末装置は、止まり木チャネルからフレーム番号0のときの時刻情報tを取得するとともに、通信チャネルからフレーム番号を取得し、フレーム番号0のときの時刻情報t、フレーム番号、フレーム長から現在時刻を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置から無線端末装置に対して時刻情報を提供する無線通信システム、無線基地局装置、無線端末装置、および時刻取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて、無線端末に対して時刻情報を提供する場合、いくつかの方法が考えられる。これらの方法について具体的な例を以下に示す。
【0003】
ユーザデータとして、通常のデータパケットとして時刻情報を伝送する方法が考えられる。無線端末が必要とするタイミングで無線ネットワークに対して要求を発生させ、無線ネットワークは、要求に応じてメッセージを生成し、時刻情報を無線端末に通知する(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
また、無線通信システムの報知情報として報知する方法がある。報知情報は、通常、毎フレーム報知されるため、時刻情報をフレーム単位で通知することができる。複数の周波数がある場合には、どの周波数を無線端末が使用していても受信できるように、全ての周波数で報知したり、無線端末側で、報知情報を通知している時間だけ、その周波数に切り替えたりするといった方法が考えられる(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
各端末がネットワークとは独立してGPS(Global Positioning System)を用い、時刻を取得する方法がある。この場合、時刻情報を必要とする無線端末は、通常の送受信アンテナの他に、GPSの電波を受信するアンテナを具備し、また、GPSの電波の受信回路を持つ(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】第二世代コードレス電話システム標準規格 ARIB STD-28(2.4.2〜2.4.3, 4.2.5, 4.3.2.3〜4.3.2.4)
【非特許文献2】ネットワークタイムサーバ、[平成21年6月23日検索]、インターネット<URL:http://www.marubun.co.jp/product/network/ntp/qgc18e000003azpr.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術による方法では、以下の問題があった。
【0008】
ユーザデータとして伝送する方法では、データ伝送に伴う無線リソースの消費が問題となる。また、端末が時刻を要求してから帯域を割り当てて時刻を送信するため、実際に取得するまでタイムラグが存在する。
【0009】
また、報知情報として報知する方法では、例えば、PHS(Personal Handy phone System)の場合、通常通信チャネルは、各種情報を報知する制御チャネルとは異なる周波数を用いており(非特許文献1の4.2.5参照)、無線端末は、制御チャネルで通信チャネルとスロットの割当を受け(非特許文献1の4.3.2.3〜4.3.2.4、および2.4.2〜2.4.3参照)、周波数を変更し、通信には、通信チャネルを用いる。
【0010】
従って、もし、時刻情報を報知チャネルのみで報知しているとすると、報知チャネルで利用している周波数に切り替える必要がある。このとき、周波数切り替えにより、消費電力が増大するという問題が生じる。一方で、通信チャネルでも時刻情報を通知することができるが、この場合、全ての通信チャネルで同じサイズの時刻情報が報知されることになり、周波数利用効率が悪化するという問題が生じる。
【0011】
また、GPSを用いて取得する方法では、消費電力が増える、デバイスが大きくなる、衛星が見えない場所では、時刻を取得できないといった問題がある。
【0012】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、ユーザデータ領域を占有せず、限られたチャネルで時刻情報を報知して、GPSなどの追加デバイスを用いることなく、無線端末に対して時刻情報を提供することができる無線通信システム、無線基地局装置、無線端末装置、および時刻取得方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明は、全チャネル間で同期した一定長のフレームによって無線通信を行う無線基地局装置と無線端末装置とを有する無線通信システムであって、前記無線基地局装置は、外部時刻ソースから現在時刻を取得する時刻取得手段と、前記時刻取得手段により取得された現在時刻から基準となる時刻を示す情報を生成する報知時刻情報生成部と、前記フレーム毎に、前記報知時刻情報生成部により生成された、前記基準となる時刻を示す情報を含む、全ての無線端末装置が必ず同期する止まり木チャネルの信号を生成する止まり木チャネル信号生成部と、前記フレーム毎に、当該フレームのフレーム番号を示す情報を含む信号であって、前記無線端末装置への通信データを送信する通信チャネルの信号を生成する通信チャネル信号生成部と、前記止まり木チャネル信号生成部が生成した信号と、前記通信チャネル信号生成部が生成した信号とを送信する送信部とを具備し、前記無線端末装置は、前記止まり木チャネルから取得した前記基準となる時刻を示す情報と、前記通信チャネルから取得した前記フレーム番号と、フレーム長とに基づき、現在時刻を算出する時刻情報生成部を具備する、ことを特徴とする無線通信システムである。
【0014】
本発明は、上記の発明において、前記報知時刻情報生成部は、前記基準となる時刻を示す情報の一部分と前記基準となる時刻を示す情報の残りの部分とを生成し、前記止まり木チャネル信号生成部は、前記基準となる時刻を示す情報の一部分のみを含む、止まり木チャネルの信号を生成し、前記通信チャネル信号生成部は、前記基準となる時刻を示す情報の残りの部分を含む、通信チャネルの信号を生成し、前記時刻情報生成部は、前記止まり木チャネルから取得した前記基準となる時刻を示す情報の一部分と、前記通信チャネルから取得した前記基準となる時刻を示す情報の残りの部分と、前記フレーム番号と、フレーム長とに基づき、前記現在時刻を算出する、ことを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記の発明において、前記基準となる時刻を示す情報の一部分は、前記基準となる時刻を示す情報の上位ビットであり、前記基準となる時刻を示す情報の残りの部分は、前記基準となる時刻を示す情報の下位ビットである、ことを特徴とする。
【0016】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、全チャネル間で同期した一定長のフレームによって無線通信を行う無線基地局装置であって、前記フレーム毎に、基準となる時刻を示す情報を含む信号であって、全ての無線端末装置が必ず同期する止まり木チャネルの信号を生成する止まり木チャネル信号生成部と、前記フレーム毎に、当該フレームのフレーム番号を示す情報を含む信号であって、前記無線端末装置への通信データを送信する通信チャネルの信号を生成する通信チャネル信号生成部と、前記止まり木チャネル信号生成部が生成した信号と、前記通信チャネル信号生成部が生成した信号とを送信する送信部とを具備することを特徴とする無線基地局装置である。
【0017】
本発明は、上記の発明において、前記報知時刻情報生成部は、前記基準となる時刻を示す情報の一部分と前記基準となる時刻を示す情報の残りの部分とを生成し、前記止まり木チャネル信号生成部は、前記基準となる時刻を示す情報の一部分のみを含む、止まり木チャネルの信号を生成し、前記通信チャネル信号生成部は、前記基準となる時刻を示す情報の残りの部分を含む、通信チャネルの信号を生成する、ことを特徴とする。
【0018】
本発明は、上記の発明において、前記基準となる時刻を示す情報の一部分は、前記基準となる時刻を示す情報の上位ビットであり、前記基準となる時刻を示す情報の残りの部分は、前記基準となる時刻を示す情報の下位ビットである、ことを特徴とする。
【0019】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、基準となる時刻を示す情報をフレーム毎に含む止まり木チャネルと、当該フレームのフレーム番号を示す情報をフレーム毎に含む通信チャネルとを含む全チャネル間で同期した一定長のフレームを送信する無線基地局装置と通信する無線端末装置であって、前記止まり木チャネルから取得した前記基準となる時刻を示す情報と、前記通信チャネルから取得した前記フレーム番号と、フレーム長とに基づき、現在時刻を算出する時刻情報生成部を具備する、ことを特徴とする無線端末装置である。
【0020】
本発明は、上記の発明において、前記時刻情報生成部は、前記止まり木チャネルから取得した前記基準となる時刻を示す情報の一部分と、前記通信チャネルから取得した前記基準となる時刻を示す情報の残りの部分と、前記フレーム番号と、フレーム長とに基づき、前記現在時刻を算出する、ことを特徴とする。
【0021】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、全チャネル間で同期した一定長のフレームによって無線通信を行う無線基地局装置と無線端末装置とを有する無線通信システムにおける時刻取得方法であって、前記無線基地局装置が、外部時刻ソースから現在時刻を取得する第1の過程と、前記無線基地局装置が、前記取得された現在時刻から基準となる時刻を示す情報を生成する第2の過程と、前記無線基地局装置が、前記フレーム毎に、前記基準となる時刻を示す情報を含む信号であって、全ての無線端末装置が必ず同期する止まり木チャネルの信号を送信する第3の過程と、前記無線端末装置は、前記第3の過程にて送信された止まり木チャネルを受信して、該チャネルから前記基準となる時刻を示す情報を取得する第4の過程と、前記無線基地局装置が、前記フレーム毎に、当該フレームのフレーム番号を示す情報を含む信号であって、前記無線端末装置への通信データを送信する通信チャネルの信号を送信する第5の過程と、前記無線端末装置が、前記第5の過程にて送信された通信チャネルを受信して、該通信チャネルから前記フレーム番号を示す情報を取得する第6の過程と、前記無線端末装置が、前記止まり木チャネルから取得した前記基準となる時刻を示す情報と、前記通信チャネルから取得した前記フレーム番号と、フレーム長とに基づき、現在時刻を算出する第7の過程とを有することを特徴とする時刻取得方法である。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、ユーザデータ領域を占有せず、限られたチャネルで時刻情報を報知して、GPSなどの追加デバイスを用いることなく、無線端末に対して時刻情報を提供することができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態による無線システムの基地局装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本第1実施形態による無線システムの無線端末装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本第1実施形態による無線システムの動作を説明するための概念図である。
【図4】本第1実施形態による基地局装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本第1実施形態による無線端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態による無線システムの動作を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0025】
本発明の実施形態において、全チャネル間で同期した一定長のフレームによって無線通信を行う基地局装置では、全ての無線端末装置が必ず同期するチャネル(止まり木チャネル)では、フレーム毎に、基準となる時刻を報知し、それ以外のチャネル(通信チャネル)では、フレーム毎に、基準となる時刻に対応するフレームを基準としたフレーム番号を報知する。無線端末装置では、止まり木チャネルで取得した基準となる時刻の情報と、通信チャネルで取得したフレーム番号と、フレーム長(一定値)とから、時刻情報を生成する。
【0026】
すなわち、本発明の実施形態で示される特徴は、各通信チャネルにおいて、同一の時刻情報を報知せず、必ず同期する止まり木チャネルで基準となる時刻を報知し、それ以外の通信チャネルでは、差分情報を、特別なパラメータを追加することなしに報知することで、無線端末装置に時刻情報を提供することにある。
【0027】
このように、本発明の実施形態では、基地局装置が止まり木チャネルと通信チャネルとを持ち、全チャネル間で同期した一定長のフレームによって無線通信を行い、止まり木チャネルは、各通信チャネルの状況(使用可能な周波数チャネルや周波数チャネル毎の混雑具合など)を報知するためのチャネルであり、全ての無線端末装置で必ず同期することを利用している。
【0028】
A.第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態による無線システムの基地局装置の構成を示すブロック図である。図において、基地局装置1は、時刻取得部2、報知時刻情報生成部3、止まり木チャネル信号生成部4、通信チャネル信号生成部5、および無線送信部6を備えている。
【0029】
時刻取得部2は、外部時刻ソース10から現在の正確な時刻を取得し、自身が保持するクロックを現在時刻に同期させる。外部時刻ソース10としては、取得する時刻情報の発生源として、GPS(Global Positioning System)や、NTP(Network Time Protocol)などを用いる。報知時刻情報生成部3は、時刻取得部2によって取得された現在時刻をもとに、報知すべき時刻情報を生成する。
【0030】
止まり木チャネル信号生成部4は、各通信チャネルの状況(使用可能な周波数チャネルや周波数チャネル毎の混雑具合など)を報知するための止まり木チャネルを管理し、無線端末装置に報知するための報知情報として、フレーム番号0のときの時刻情報tを含む止まり木チャネル信号を生成する。
【0031】
通信チャネル信号生成部5は、各通信チャネルの状況を取得するとともに、報知情報として、各フレームのフレーム番号を含み、無線端末装置への通信データを送信する通信チャネル信号を生成する。無線送信部6は、止まり木チャネルでフレーム番号0のときの時刻情報tを報知するとともに、各通信チャネルでフレーム番号を報知する。
【0032】
図2は、本第1実施形態による無線システムの無線端末装置の構成を示すブロック図である。図において、無線端末装置20は、受信部21、報知情報取得・格納部22、時刻情報生成部23、周波数管理部24、および周波数同期部25を備えている。
【0033】
受信部21は、基地局装置1からの報知情報を受信する。報知情報取得・格納部22は、同期した通信チャネルで報知される報知情報を取得して格納する。時刻情報生成部23は、取得した報知情報から時刻情報(現在時刻)を生成する。周波数管理部24は、どの通信チャネルに同期するかを管理し、周波数同期部25に指示する。周波数同期部25は、受信部21の受信周波数を、各通信チャネルの周波数に同期させる。
【0034】
図3は、本第1実施形態による無線システムの動作を説明するための概念図である。基地局装置1では、時刻取得部2が立ち上げ時などに外部時刻ソース10から時刻を取得し、内部時刻を補正する。報知時刻情報生成部3は、この内部時刻をもとにフレーム番号0のときの時刻情報tを報知時刻情報として生成する。
【0035】
無線送信部6は、報知情報として、止まり木チャネルでフレーム番号が0のときの時刻tを報知するとともに、各通信チャネルでフレーム番号を報知する。なお、フレーム番号は、フレーム構成をとる無線システムでは、必須情報であり、各通信チャネルで同期している。フレーム長は、一定でΔtとする。
【0036】
無線端末装置20では、受信部21が、各通信チャネルで上記報知情報を受信する。具体的には、周波数管理部24は、予め指定されている止まり木チャネルに同期するよう周波数同期部25に指示する。周波数同期部25は、周波数管理部24の指示に従って受信部21の受信周波数を制御する。報知情報取得・格納部22は、上記制御に従って、止まり木チャネルに同期して、報知情報からフレーム番号0のときの時刻情報tを取得して格納する(Sa1)。同様に、報知情報から、その基地局装置1で使用されている通信チャネルの周波数情報を取得する。
【0037】
周波数管理部24は、通信チャネルを選択し、周波数同期部25は、当該通信チャネルに同期させる。本第1実施形態では、通信チャネルにおいて時刻情報を報知しない。通信チャネルでは、止まり木チャネルと同期したフレーム番号fが報知されている。無線端末装置20の時刻情報生成部23は、通信チャネルで報知されているフレーム番号分だけ、すなわち、f*Δtだけ時刻情報tから増分し、現在時刻tを取得する(Sa2)。
【0038】
次に、図4は、本第1実施形態による基地局装置1の動作を説明するためのフローチャートである。時刻取得部2は、立ち上げ時などに外部時刻ソース10から時刻を取得し、内部時刻を同期(補正)する(ステップS1)。報知時刻情報生成部3は、この内部時刻をもとにフレーム番号0のときの時刻情報tを報知時刻情報として生成する(ステップS2)。
【0039】
無線送信部6は、報知情報として、止まり木チャネルでフレーム番号が0のときの時刻情報tを報知し、各通信チャネルでフレーム番号を報知する(ステップS3)。次に、フレーム番号を更新し(ステップS4)、ステップS3に戻り、止まり木チャネルでフレーム番号が0のときの時刻情報tを報知し、各通信チャネルで順次フレーム番号を報知するという動作を繰り返す。
【0040】
次に、図5は、本第1実施形態による無線端末装置20の動作を説明するためのフローチャートである。報知情報取得・格納部22は、上記制御に従って、止まり木チャネルに同期し(ステップS10)、報知情報からフレーム番号0のときの時刻情報tを取得して格納する(ステップS11)。
【0041】
次に、周波数管理部24は、通信チャネルを選択し(ステップS12)、周波数同期部25は、当該通信チャネルに受信部21を同期させる(ステップS13)。報知情報取得・格納部22は、報知情報から通信チャネルのフレーム番号を取得して格納する(ステップS14)。時刻情報生成部23は、通信チャネルで報知されているフレーム番号分だけ、すなわちf*Δtだけ時刻情報tから増分し、時刻情報として現在時刻tを生成する(ステップS15)。次に、ステップS14に戻り、順次、報知情報から通信チャネルのフレーム番号を取得し、時刻情報として現在時刻tを生成するという動作を繰り返す。
【0042】
B.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、基地局装置および無線端末装置の構成は、図1、図2と同様であるので説明を省略する。本第2実施形態は、何らかの理由で止まり木チャネルの情報量を削減したいなどの要求があるときに、止まり木チャネルで報知する時刻情報を小さくする方法である。
【0043】
図6は、本第2実施形態による無線システムの動作を説明するための概念図である。
上述した第1実施形態と同様に、基地局装置1では、止まり木チャネルと通信チャネルとを持ち、止まり木チャネルで各通信チャネルの状況を報知している。基地局装置では、時刻取得部2が立ち上げ時などに外部時刻ソース10から現在時刻を取得し、内部時刻を補正する。報知時刻情報生成部3は、この内部時刻をもとにフレーム番号0のときの時刻情報tを報知時刻情報として生成する。
【0044】
無線送信部6は、報知情報として、止まり木チャネルでフレーム番号=0のときの時刻の上位ビットを報知し、各通信チャネルでフレーム番号およびフレーム番号=0のときの時刻の下位ビットを報知する。なお、上記フレーム番号=0のときの時刻の上位ビット、およびフレーム番号=0のときの時刻の下位ビットは、報知時刻情報生成部3によって生成されるものとする。また、第1実施形態と同様に、フレーム番号は、フレーム構成をとる無線システムでは、必須情報であり、各通信チャネルで同期している。フレーム長は、一定でΔtとする。なお、無線送信部6は、報知時刻情報生成部3が生成した報知時刻情報を、上位ビットと下位ビットに分割して、それぞれ報知情報として報知する。また、上位ビットと下位ビットとに分割するビット数は、それぞれ1又は複数の任意の数を選択できる。
【0045】
無線端末装置20では、受信部21が止まり木チャネルおよび通信チャネルで上記報知情報を取得する。具体的には、周波数管理部24は、予め指定されている止まり木チャネルに同期するよう周波数同期部25に指示する。周波数同期部25は、周波数管理部24の指示に従って受信部21の受信周波数を制御する。報知情報取得・格納部22は、上記制御に従って、止まり木チャネルに同期して、該止まり木チャネルで報知されている報知情報から、フレーム番号0のときの上位ビットを取得して格納する(Sb1)。同様に、報知情報から、その基地局装置1で使用されている通信チャネルの周波数情報を取得する。
【0046】
周波数管理部24は、通信チャネルを選択し、周波数同期部25によって当該通信チャネルに同期させる。そして、報知情報取得・格納部22は、同期した通信チャネルで報知されている報知情報から、フレーム番号0のときの時刻情報tの下位ビットを取得して格納する。このとき、報知情報取得・格納部22では、フレーム番号0のときの時刻情報tの上位ビットと下位ビットとを連結することにより、フレーム番号0のときの時刻情報tを生成する(Sb2)。
【0047】
また、通信チャネルでは、止まり木チャネルと同期したフレーム番号fが報知されている。時刻情報生成部23は、通信チャネルで報知されているフレーム番号分だけ、すなわちf*Δtだけ時刻情報tから増分し、現在時刻tを取得する。
【0048】
このように、本第2実施形態では、止まり木チャネルと通信チャネルとで、フレーム番号0の時刻情報tを上位ビットと下位ビットとに分散して報知することにより、上述した第1実施形態と比較して、止まり木チャネルの帯域を、より消費せずに時刻情報を提供することができる。
【0049】
上述した第1、第2実施形態によれば、特別なパラメータを追加することなく(ユーザデータ領域を占有することなく)、無線端末装置に時刻情報を提供することができる。また、各チャネルで同一の時刻情報を毎フレーム報知することなく(帯域を圧迫することなく)、限られたチャネルで報知して時刻情報を提供することができる。また、無線端末装置は、GPSなどの追加デバイスなしに時刻情報を取得することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 基地局装置
2 時刻取得部
3 報知時刻情報生成部
4 止まり木チャネル信号生成部
5 通信チャネル信号生成部
6 無線送信部
10 外部時刻ソース
20 無線端末装置
21 受信部
22 報知情報取得・格納部
23 時刻情報生成部
24 周波数管理部
25 周波数同期部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全チャネル間で同期した一定長のフレームによって無線通信を行う無線基地局装置と無線端末装置とを有する無線通信システムであって、
前記無線基地局装置は、
外部時刻ソースから現在時刻を取得する時刻取得手段と、
前記時刻取得手段により取得された現在時刻から基準となる時刻を示す情報を生成する報知時刻情報生成部と、
前記フレーム毎に、前記報知時刻情報生成部により生成された、前記基準となる時刻を示す情報を含む、全ての無線端末装置が必ず同期する止まり木チャネルの信号を生成する止まり木チャネル信号生成部と、
前記フレーム毎に、当該フレームのフレーム番号を示す情報を含む信号であって、前記無線端末装置への通信データを送信する通信チャネルの信号を生成する通信チャネル信号生成部と、
前記止まり木チャネル信号生成部が生成した信号と、前記通信チャネル信号生成部が生成した信号とを送信する送信部と
を具備し、
前記無線端末装置は、
前記止まり木チャネルから取得した前記基準となる時刻を示す情報と、前記通信チャネルから取得した前記フレーム番号と、フレーム長とに基づき、現在時刻を算出する時刻情報生成部を具備する、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記報知時刻情報生成部は、
前記基準となる時刻を示す情報の一部分と前記基準となる時刻を示す情報の残りの部分とを生成し、
前記止まり木チャネル信号生成部は、前記基準となる時刻を示す情報の一部分のみを含む、止まり木チャネルの信号を生成し、
前記通信チャネル信号生成部は、前記基準となる時刻を示す情報の残りの部分を含む、通信チャネルの信号を生成し、
前記時刻情報生成部は、
前記止まり木チャネルから取得した前記基準となる時刻を示す情報の一部分と、前記通信チャネルから取得した前記基準となる時刻を示す情報の残りの部分と、前記フレーム番号と、フレーム長とに基づき、前記現在時刻を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記基準となる時刻を示す情報の一部分は、前記基準となる時刻を示す情報の上位ビットであり、
前記基準となる時刻を示す情報の残りの部分は、前記基準となる時刻を示す情報の下位ビットである、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
全チャネル間で同期した一定長のフレームによって無線通信を行う無線基地局装置であって、
前記フレーム毎に、基準となる時刻を示す情報を含む信号であって、全ての無線端末装置が必ず同期する止まり木チャネルの信号を生成する止まり木チャネル信号生成部と、
前記フレーム毎に、当該フレームのフレーム番号を示す情報を含む信号であって、前記無線端末装置への通信データを送信する通信チャネルの信号を生成する通信チャネル信号生成部と、
前記止まり木チャネル信号生成部が生成した信号と、前記通信チャネル信号生成部が生成した信号とを送信する送信部と
を具備することを特徴とする無線基地局装置。
【請求項5】
前記報知時刻情報生成部は、前記基準となる時刻を示す情報の一部分と前記基準となる時刻を示す情報の残りの部分とを生成し、
前記止まり木チャネル信号生成部は、前記基準となる時刻を示す情報の一部分のみを含む、止まり木チャネルの信号を生成し、
前記通信チャネル信号生成部は、前記基準となる時刻を示す情報の残りの部分を含む、通信チャネルの信号を生成する、
ことを特徴とする請求項4に記載の無線基地局装置。
【請求項6】
前記基準となる時刻を示す情報の一部分は、前記基準となる時刻を示す情報の上位ビットであり、
前記基準となる時刻を示す情報の残りの部分は、前記基準となる時刻を示す情報の下位ビットである、
ことを特徴とする請求項5に記載の無線基地局装置。
【請求項7】
基準となる時刻を示す情報をフレーム毎に含む止まり木チャネルと、当該フレームのフレーム番号を示す情報をフレーム毎に含む通信チャネルとを含む全チャネル間で同期した一定長のフレームを送信する無線基地局装置と通信する無線端末装置であって、
前記止まり木チャネルから取得した前記基準となる時刻を示す情報と、前記通信チャネルから取得した前記フレーム番号と、フレーム長とに基づき、現在時刻を算出する時刻情報生成部を具備する、
ことを特徴とする無線端末装置。
【請求項8】
前記時刻情報生成部は、前記止まり木チャネルから取得した前記基準となる時刻を示す情報の一部分と、前記通信チャネルから取得した前記基準となる時刻を示す情報の残りの部分と、前記フレーム番号と、フレーム長とに基づき、前記現在時刻を算出する、
ことを特徴とする請求項7に記載の無線端末装置。
【請求項9】
全チャネル間で同期した一定長のフレームによって無線通信を行う無線基地局装置と無線端末装置とを有する無線通信システムにおける時刻取得方法であって、
前記無線基地局装置が、外部時刻ソースから現在時刻を取得する第1の過程と、
前記無線基地局装置が、前記取得された現在時刻から基準となる時刻を示す情報を生成する第2の過程と、
前記無線基地局装置が、前記フレーム毎に、前記基準となる時刻を示す情報を含む信号であって、全ての無線端末装置が必ず同期する止まり木チャネルの信号を送信する第3の過程と、
前記無線端末装置は、前記第3の過程にて送信された止まり木チャネルを受信して、該チャネルから前記基準となる時刻を示す情報を取得する第4の過程と、
前記無線基地局装置が、前記フレーム毎に、当該フレームのフレーム番号を示す情報を含む信号であって、前記無線端末装置への通信データを送信する通信チャネルの信号を送信する第5の過程と、
前記無線端末装置が、前記第5の過程にて送信された通信チャネルを受信して、該通信チャネルから前記フレーム番号を示す情報を取得する第6の過程と、
前記無線端末装置が、前記止まり木チャネルから取得した前記基準となる時刻を示す情報と、前記通信チャネルから取得した前記フレーム番号と、フレーム長とに基づき、現在時刻を算出する第7の過程と
を有することを特徴とする時刻取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−10240(P2011−10240A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154252(P2009−154252)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】