説明

無線通信システム、管理装置、及び無線通信方法

【課題】消費電力を低減することのできる無線通信システム、管理装置、及び無線通信方法を提供することである。
【解決手段】管理フェムト局10は、他局モード制御部14と自局モード制御部12とを有する。他局モード制御部14は、フェムト局に在圏する移動局の有無に応じて、通常モードと、通常モードよりも消費電力の低い省電力モードとの間の切替えを、フェムト局に指示する。自局モード制御部12は、管理フェムト局10の管理する領域から上記移動局が離圏した場合、省電力管理モードに移行する制御を行う。上記フェムト局は、自局モード制御部を有する。自局モード制御部は、上記指示に基づき、通常モードと省電力モードとの間を移行する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、管理装置、及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3G(Generation)、LTE(Long Term Evolution)を始めとする無線通信方式が適用された無線通信システムでは、半径数Km程度の大きいセルを形成する基地局(以下、「マクロ局」と記す。)が利用されている。マクロ局は、通信容量が大きく高出力である反面、家庭、オフィス等の屋内や、セル同士の境界付近では、電波が微弱となり、移動局との通信が困難となることがある。そこで、近年では、通信事業者が、家庭、オフィス、ショッピングモール等の限られたエリアに、小容量で低出力の小型基地局(以下、「フェムト局」)を複数設置することで、基地局は、移動局との通信可能範囲を拡大している。これにより、マクロ局のカバーエリアは、フェムト局によって補われ、移動局のユーザの利便性は向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−93524号公報
【特許文献2】特開2010−212998号公報
【特許文献3】特開2011−87300号公報
【特許文献4】特開2007−295349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フェムト局は、屋内における通信エリアと通信容量との双方を向上させることができるが、マクロ局単体でセルをカバーする場合と比較して、移動局と通信を行う基地局の数が増加する。各基地局は、通信エリアの大小を問わず、所定強度の電波の発信あるいはスケジューリング等の動作を行うため、電力を消費する。特に、フェムト局の場合、マクロ局と異なり、1加入者が同一施設内に複数の基地局を設置することが多いことから、家庭、オフィス、ショッピングモール等の限られたエリア内に、多数のフェムト局が併存することとなり、その分消費電力が増加する。このような消費電力の増加は、社会の省電力化(節電)の流れに反するだけでなく、加入者によるフェムト局の導入や増設を阻害する要因となる。
【0005】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、消費電力を低減することのできる無線通信システム、管理装置、及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本願の開示する無線通信システムは、管理装置と、当該管理装置と通信する第1基地局とを有する。前記管理装置は、指示部と第1制御部とを有する。前記指示部は、前記第1基地局に在圏する移動局の有無に応じて、第1モードと、当該第1モードよりも消費電力の低い第2モードとの間の切替えを、前記第1基地局に指示する。前記第1制御部は、前記管理装置の管理する領域から前記移動局が離圏した場合、前記第2モードに移行する制御を行う。前記第1基地局は、第2制御部を有する。前記第2制御部は、前記指示に基づき、前記第1モードと前記第2モードとの間を移行する制御を行う。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する無線通信システムの一つの態様によれば、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、無線通信システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、管理フェムト局の機能的構成を示す図である。
【図3】図3は、管理フェムト局の保持する在圏状態管理テーブルの一例を示す図である。
【図4】図4は、監視フェムト局の機能的構成を示す図である。
【図5】図5は、フェムト局の機能的構成を示す図である。
【図6】図6は、フェムト局及び移動局のハードウェア構成を示す図である。
【図7】図7は、管理移動局がショッピングモールに入圏する際における各フェムト局の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】図8は、フェムト局が通常モードから省電力モードへ移行する動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図9は、フェムト局が省電力モードから通常モードへ移行する動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図10は、移動局がフェムト局間を移動した際における各フェムト局の動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】図11は、監視フェムト局が監視モードから省電力監視モードへ移行する動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】図12は、監視フェムト局が省電力監視モードから監視モードへ移行する動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】図13は、移動局がショッピングモールから離圏する際におけるフェムト局の動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】図14は、各フェムト局と機能との対応関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する無線通信システム、管理装置、及び無線通信方法の実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施例により、本願の開示する無線通信システム、管理装置、及び無線通信方法が限定されるものではない。
【0010】
まず、本願の開示する一実施例に係る無線通信システムの構成を説明する。図1は、無線通信システム1の構成を示す図である。図1に示すように、無線通信システム1は、管理フェムト局10と、監視フェムト局20、30と、フェムト局40、50、60とを少なくとも有する。フェムト局40、50、60は、フェムト局グループGを構成する。管理フェムト局10と、監視フェムト局20、30とは、相互に信号やデータの送受信が可能な様に有線接続されている。また、管理フェムト局10と、フェムト局40、50、60とは、相互に信号やデータの送受信が可能な様に有線接続されている。
【0011】
本実施例では、管理フェムト局10が、ショッピングモール内の各店舗に配置されたフェムト局40、50、60を管理する場合を想定する。また、管理移動局70とは、移動局の内、特に、ショッピングモールの管理者が保持する移動局である。管理フェムト局10は、朝、ショッピングモールへ入圏する管理移動局70を検知すると、グループ内のフェムト局40、50、60を、後述する休止モードから省電力モードへ移行させる。一方、管理フェムト局10は、ショッピングモールの営業時間終了後、ショッピングモールからの管理移動局70の退出を検知すると、フェムト局40、50、60を、通常モード又は省電力モードから休止モードに移行させる。
【0012】
管理フェムト局10は、フェムト局グループG内のフェムト局40、50、60の動作モードを管理する。管理フェムト局10は、管理モード、省電力管理モードの2つのモードを有する。管理モードでは、管理フェムト局10は、フェムト局グループGを構成する各フェムト局40、50、60に対して、通常モード、省電力モード、休止モードの各モードへの移行を指示するが、電波の送受信は行わない。一方、省電力管理モードでは、管理フェムト局10は、監視フェムト局20、30からの移動局検出報告を待機する。なお、管理フェムト局10は、必ずしも基地局である必要はなく、無線通信機能をもたないサーバ装置等であってもよい。
【0013】
監視フェムト局20、30は、ショッピングモールの出入口付近に設置される。監視フェムト局20、30は、ショッピングモールへの移動局の入出を監視し、監視結果を管理フェムト局10に通知する。監視フェムト局20、30は、監視モード、省電力監視モードの2つのモードを有する。監視モードでは、監視フェムト局20、30は、TAU(Tracking Area Update)により、移動局の入圏及び離圏を判定する。ショッピングモールが閉店してフェムト局40、50、60が休止モードに移行したことに伴い、監視フェムト局20、30は、省電力監視モードに移行し、省電力監視モードにおいて、管理移動局70の入圏の有無を監視する。
【0014】
フェムト局40、50、60は、ショッピングモール内の各店舗に設置される。フェムト局40、50、60は、通常モード、省電力モード、休止モードの3つのモードを有する。第一に、通常モードは、有線通信、無線通信共に動作するモードである。通常モードでは、フェムト局40、50、60は、各フェムト局の形成するセルに在圏する移動局との間で、発着信や各種データの送受信を行うと共に、移動局に対して、所定の周期(例えば、10分間)で、擬似ページングによる在圏判定を行う。ここで、擬似ページングとは、各フェムト局40、50、60が、間欠的に電波を発信することで、配下の移動局に対して擬似的なページング信号を送信し、移動局の在圏を確認することである。
【0015】
第二に、省電力モードは、有線通信は動作するが、無線通信の一部が停止するモードである。省電力モードでは、フェムト局40、50、60は、発着信や各種データの送受信を行うことなく、移動局に対して、所定の周期(例えば、10分間)で、擬似ページングによる在圏判定を行う。フェムト局40、50、60は、省電力モードにおいて、擬似ページングの合間にRF回路を停止させることで、不要な電力消費を抑制して低消費電力化を図る。第三に、休止モードは、有線通信は動作するが、無線通信の全部が停止するモードである。休止モードでは、フェムト局40、50、60は、無線電波の送受信を行うことなく、管理フェムト局10から有線回線を介して受信される起動指示に従い、省電力モードに復帰する。
【0016】
フェムト局40、50、60の消費電力量は、主に電波の送受信量に起因して増減することから、無線通信を伴わない休止モードにおいて最も少なく、次いで、擬似ページングによる無線通信のみ行われる省電力モードにおいて少なくなる。そして、無線通信を介して各種のサービスが提供される通常モードでは、最も多くの電力が消費される。
【0017】
以下、図2〜図6を参照しながら、各フェムト局10〜60の構成を説明する。
【0018】
図2は、管理フェムト局10の機能的構成を示す図である。図2に示すように、管理フェムト局10は、通信部11と、自局モード制御部12と、在圏状態管理テーブル13と、他局モード制御部14と、計時部15と、移動局数判定部16とを有する。これら各構成部分は、一方向又は双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。通信部11は、管理移動局70の入圏を通知するメッセージを受信する。自局モード制御部12は、当該メッセージの受信を契機として、管理フェムト局10のモードを、省電力管理モードから管理モードへ移行させる。
【0019】
図3は、管理フェムト局10の保持する在圏状態管理テーブル13の一例を示す図である。図3に示すように、在圏状態管理テーブル13には、各フェムト局20、30、40、50、60の現在のモードが更新可能に保持されると共に、各フェムト局における移動局の在圏状況が移動局毎に保持される。例えば、フェムト局40に移動局100が在圏している場合に、移動局100が他のフェムト局50に移動すると、次回の擬似ページングのタイミングで、フェムト局40のモードは“通常モード”から“省電力モード”に更新される。同時に、移動局100のフェムト局40の在圏状態は“不在”となり、フェムト局50の在圏状態は“在圏”に更新される。このように、管理フェムト局10は、この在圏状態管理テーブル13を参照することで、自局以外の各フェムト局のモードと、ショッピングモール内の各移動局が何れのフェムト局と通信可能であるかを、簡易迅速に把握することができる。
【0020】
他局モード制御部14は、監視フェムト局20、30及びフェムト局40、50、60に対して、モードの移行を指示する。計時部15は、時計機能を有し、現在時刻がショッピングモールの開店時刻になったことを契機として、他局モード制御部14に対し、各フェムト局20〜60に対するモード移行指示を依頼する。移動局数判定部16は、上述の在圏状態管理テーブル13を参照し、フェムト局40、50、60の内、移動元として特定されたフェムト局に在圏する登録移動局の数を計数し、計数結果が“0”であるか否かの判定を行う。
【0021】
図4は、監視フェムト局20の機能的構成を示す図である。図4に示すように、監視フェムト局20は、通信部21と、入圏監視部22と、自局モード制御部23とを有する。これら各構成部分は、一方向又は双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。通信部21は、管理移動局70の入圏を契機として管理フェムト局10から送信されるモード移行指示を受信する。入圏監視部22は、移動局70、80、90、100がショッピングモールに入圏する際に送信するTAUの受信の有無に基づき、各移動局70、80、90、100のショッピングモールへの入圏、及びショッピングモールからの離圏を監視する。自局モード制御部23は、管理フェムト局10からの指示に従い、省電力監視モードから監視モードへの復帰、あるいは、監視モードから省電力監視モードへの移行を制御する。
【0022】
以上、監視フェムト局20の機能的構成を説明したが、監視フェムト局30の機能的構成は、監視フェムト局20と同様であるので、必要に応じて、共通する構成部分には末尾が同一の参照符号を付すと共に、その図示及び詳細な説明は省略する。
【0023】
図5は、フェムト局40の機能的構成を示す図である。図5に示すように、フェムト局40は、通信部41と、自局モード制御部42と、移動局種別判定部43と、在圏監視部44と、計時部45とを有する。これら各構成部分は、一方向又は双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。通信部41は、開店時刻を契機として管理フェムト局10から送信されるモード移行指示を受信する。自局モード制御部42は、当該モード移行指示に従い、自局を休止モードから省電力モードへ移行させる制御を行う。移動局種別判定部43は、各移動局70、80、90、100から送信されるRRC CONNECTION REQUESTを基に、送信元の移動局の種別を示すTMSI(Temporary Mobile Subscriber Identity)の判定を行う。在圏監視部44は、擬似ページングメッセージを生成し、このメッセージを各登録移動局70、80、90、100宛に送信すると共に、当該メッセージに対する応答の有無に基づき、各移動局の在圏・非在圏(不在)を判定する。計時部45は、時計機能を有し、現在時刻がショッピングモールの閉店時刻間近(例えば、19:45)になったことを契機として、自局モード制御部42に対し、フェムト局40の休止モードへの移行を依頼する。
【0024】
以上、フェムト局40の機能的構成を説明したが、フェムト局50、60の機能的構成は、フェムト局40と同様であるので、必要に応じて、共通する構成部分には末尾が同一の参照符号を付すと共に、その図示及び詳細な説明は省略する。
【0025】
図6は、管理フェムト局10及び管理移動局70のハードウェア構成を示す図である。図6に示すように、管理フェムト局10は、ハードウェアの構成要素として、CPU(Central Processing Unit)10aと、メモリ10bと、RF回路10cと、ネットワークIF(InterFace)10dとを有する。これら各構成部分は、一方向又は双方向に、各種信号やデータの入出力が可能なように接続されている。RF回路10cは、アンテナA1を有する。メモリ10bは、例えば、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のRAM、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリにより構成される。また、管理移動局70は、ハードウェアの構成要素として、CPU70aと、メモリ70bと、RF回路70cとを有する。RF回路70cは、アンテナA2を有する。
【0026】
具体的には、管理フェムト局10の通信部11は、RF回路10cにより実現される。自局モード制御部12と、計時部15と、移動局数判定部16とは、CPU10aにより実現される。在圏状態管理テーブル13は、メモリ10bにより実現される。他局モード制御部14は、CPU10aとネットワークIF10dとにより実現される。
【0027】
以上、管理フェムト局10のハードウェア構成を代表的に説明したが、監視フェムト局20、30及びフェムト局40、50、60のハードウェア構成は、管理フェムト局10と同様であるので、共通する構成部分には末尾が同一の参照符号を付すと共に、その図示及び詳細な説明は省略する。また、移動局80、90、100のハードウェア構成は、管理移動局70と同様であるので、共通する構成部分には末尾が同一の参照符号を付すと共に、その図示及び詳細な説明は省略する。
【0028】
監視フェムト局20、30に関し、具体的には、通信部21、31は、それぞれネットワークIF20d、30dにより実現される。また、入圏監視部22、32は、それぞれRF回路20c、30cにより実現される。更に、自局モード制御部23、33は、それぞれCPU20a、30aにより実現される。一方、フェムト局40、50、60に関し、具体的には、通信部41、51、61は、それぞれネットワークIF40d、50d、60dにより実現される。また、自局モード制御部42、52、62と、移動局種別判定部43、53、63と、計時部45、55、65とは、それぞれCPU40a、50a、60aにより実現される。更に、在圏監視部44、54、64は、それぞれRF回路40c、50c、60cにより実現される。
【0029】
次に、本実施例に係る無線通信システム1の動作を説明する。
【0030】
まず、ショッピングモール開店時における各フェムト局の動作を説明する。図7は、管理移動局70がショッピングモールに入圏する際における各フェムト局の動作を説明するためのフローチャートである。動作説明の前提として、ショッピングモール開店時(初期状態)には、各フェムト局10〜60は、それぞれ電力消費量が最も少ないモードに設定されている。すなわち、管理フェムト局10は省電力管理モードにあり、監視フェムト局20、30は省電力監視モードにあり、フェムト局40、50、60は休止モードにある。
【0031】
S1では、モールの出入り口付近に設置されている監視フェムト局20、30のCPU20a、30aは、TAUの受信を待機している。管理移動局70を所持する管理者(例えば、店員)が出勤すると、管理移動局70は、マクロ基地局の通信エリアからフェムト基地局の通信エリアにエリアの更新(Area Update)を行うために、TAUを送信する。複数の監視フェムト局20、30の内、監視フェムト局20のRF回路20cが管理移動局70からTAUを受信すると、CPU20aは、このTAUの受信により、管理移動局70がショッピングモールに入圏したことを検知し(S2;Yes)、管理フェムト局10に対して、その旨の通知を行う(S3)。なお、CPU20aは、管理移動局70の入圏を検知しない間(S2;No)、TAU受信の待機を継続する。
【0032】
S4では、管理フェムト局10のCPU10aは、監視フェムト局20から、管理移動局70がショッピングモールに入圏した旨の通知を受けると(S3)、自局のモードを、省電力モードから管理モードに移行させる(S4)。これに伴い、CPU10aは、在圏状態管理テーブル13における自局のモードを更新すると共に、在圏状態管理テーブル13の在圏状態を更新することで、管理移動局70が、現在何れのフェムト局配下に在圏しているかを認識可能となる(S5)。テーブル更新後、ネットワークIF10dは、監視フェムト局20、30に対して、監視モードへの移行を指示する信号を送信する(S6)。監視フェムト局20、30は、ネットワークIF20d、30dにより当該信号を受信すると、従前の省電力監視モードから監視モードに移行する(S7)。
【0033】
S8では、管理フェムト局10のCPU10aは、時計機能により、現在時刻がショッピングモールの開店時刻であるか否かの判定を行い、現在時刻が開店時刻である場合(S8;Yes)にのみ、各フェムト局40、50、60に対して、モード移行を指示する(S9)。なお、現在時刻は、必ずしも開店時刻と一致する必要はなく、例えば、開店時刻から1時間前から開店時刻迄(例えば、9:00〜10:00)というように、前又は後に幅をもたせてもよい。これにより、管理者が忘れ物を取りに戻って来た場合等、何らかの理由でショッピングモールに入圏した場合に、開店時刻でないにも拘らず、各フェムト局40、50、60が休止モードから復帰し、不要な電力を消費してしまうという事態は回避される。したがって、消費電力の増加は抑制され、効率的な電力使用が可能となる。S10では、S9で上記指示を受けた各フェムト局40、50、60が、休止モードから省電力モードに移行する。更に、省電力モード中のフェムト局40、50、60は、自局への移動局の入圏を検知した場合、管理フェムト局10からのモード変更指示に従い、通常モードに移行する。これらフェムト局間における指示は、管理フェムト局10が、SOAP(Simple Object Access Protocol)プロトコルやTR−069勧告に基づく仕組みを用いて発行されるコマンドを、有線回線を介して送信することによって、実現される。
【0034】
ここで、S9におけるモード移行指示を契機として省電力モードへ移行するフェムト局は、必ずしも、フェムト局グループGに属する全てのフェムト局でなくてもよい。すなわち、S3で入圏を通知した管理移動局の所持者、入圏を検知した監視フェムト局の設置箇所、日付け、時間(時間帯を含む)、曜日等に応じて、管理フェムト局10は、省電力モードへ復帰させるフェムト局を適宜変更するものとしてもよい。また、管理フェムト局10は、フェムト局の設置された店舗の場所、営業時間、ターゲット層、商品やサービスの内容、開催されているイベントやセミナーの種類に基づき、フェムト局40、50、60の内、何れのフェムト局を省電力モードへ復帰させるかを決定するものとしてもよい。
【0035】
なお、ショッピングモールの特売日等には、登録移動局のユーザが開店時刻前から、入り口付近で並んでいることが想定される。この様な場合には、監視フェムト局20、30のCPU20a、30aが、ショッピングモールの入り口付近に在圏する登録移動局の数をカウントするものとしてもよい。管理フェムト局10のCPU10aは、モール入り口付近に位置する登録移動局の数(例えば、30〜50以上)から、特売日であるか否かを判定し、特売日である場合には、登録移動局に対して、特売用クーポンや商品の価格情報を配信するものとしてもよい。更には、登録移動局の数のカウント値が所定値(例えば、100)を超過した場合には、管理フェムト局10のCPU10aは、現在時刻に拘らず、各フェムト局40、50、60を休止モードから省電力モードに復帰させるものとしてもよい。これにより、登録移動局のユーザは、開店時刻を待つことなく、ショッピングモールに入場して、各フェムト局40、50、60から提供されるサービスを受けることができる。その結果、入り口付近の混雑は緩和される。
【0036】
図8は、フェムト局40が通常モードから省電力モードへ移行する動作を説明するためのフローチャートである。図8のS11では、フェムト局50のCPU50aは、擬似ページングメッセージを生成する。RF回路50cは、生成されたメッセージを、RRC(Radio Resource Control)によりページングすると、移動局80は、このメッセージを受信する(S12)。フェムト局50のセルに移動局が在圏しない場合には、上述したS11の処理が再び実行されるが(S13)、移動局(例えば、移動局80)が在圏する場合には、RF回路50cは、移動局80から送信されたRRC CONNECTION REQUESTを受信する(S14)。
【0037】
S15では、CPU50aは、S14で受信されたRRC CONNECTION REQUESTを基に、送信元の移動局80の種別(上述のTMSI)の判定を行う。ここで、移動局の種別は、主として、フェムト局グループGに対する登録の有無に基づいて決定される。移動局の種別は、管理移動局、登録移動局、一般移動局の三種類に分けられる。管理移動局は、監視フェムト局20、30が各モード(監視モード、省電力監視モード)間の移行を行うための移動局であり、ショッピングモールの管理者により使用される。登録移動局は、フェムト局グループGに登録され、各フェムト局40、50、60のセル内で発着信の可能な移動局(サブスクライバ端末)であり、登録ユーザにより使用される。一般移動局は、フェムト局グループGに登録されていない移動局(ゲスト端末)であり、一般ユーザにより使用される。これらの移動局種別の内、管理移動局と登録移動局とが、無線通信システム1における擬似ページングの対象移動局となる。また、登録移動局は、フェムト局グループG内で各店舗から提供される各種サービス(クーポンや特売情報)の配信対象となる。
【0038】
S15において、移動局種別の判定結果が登録移動局以外である場合には、上述のS11の処理が再び実行される(S16)。一方、上記判定結果が登録移動局である場合には、RF回路50cは、S14で移動局80から受信されたRRC CONNECTION REQUESTに対して、REJECTを返信する(S17)。REJECT返信後、ネットワークIF50dは、管理フェムト局10に対して、移動局80の入圏を報告(S18)した後、再びS11以降の処理を実行する(S19)。
【0039】
S20では、管理フェムト局10のCPU10aは、在圏状態管理テーブル13を参照して、移動局80の移動元フェムト局を特定する。例えば、移動局80がフェムト局40からフェムト局50に移動した場合、移動局80に関するフェムト局40の在圏状態が“在圏”から“不在”に更新されることから、移動局80の移動元がフェムト局40であるとの判定が可能となる。CPU10aは、在圏状態管理テーブル13の参照により、移動元として特定されたフェムト局40に在圏する登録移動局の数を計数し、計数結果が“0”であるか否かの判定を行う。そして、計数結果が“0”である場合には、管理フェムト局10のCPUaは、フェムト局40に登録移動局が在圏しないものと判断し、ネットワーク10dは、フェムト局40に対して、省電力モードへの移行指示を送信する(S21)。省電力モードに移行したフェムト局40は、新たな移動局の入圏に備えて、間欠的な擬似ページングを行うが、省電力モードにあるため、サービスの提供等、他の無線通信機能を停止する。そして、管理フェムト局10のネットワークIF10dは、移動局80の在圏報告の送信元であるフェムト局50に対して、移動局80に各種サービスを提供するための通常モードへの移行を指示する(S22)。
【0040】
なお、上述の移動局在圏判定処理の実行に際して、各フェムト局40、50、60は、登録済の全ての移動局に対して擬似ページングを行うものとしたが、必ずしも全ての登録移動局を、擬似ページングの対象とする必要はない。すなわち、各フェムト局40、50、60は、擬似ページングの対象移動局を、登録移動局の内、TAU送信を行った移動局に絞り込んでもよい。これにより、擬似ページング(間欠的な電波発信)に伴う電波の送受信量は減少する。したがって、各フェムト局40、50、60は、省電力モードにおいて、更なる低消費電力化が可能となる。
【0041】
また、各フェムト局40、50、60は、擬似ページングにより、各移動局70〜100の在圏、非在圏を検知するが、擬似ページングのタイミングには、各フェムト局40、50、60間で同期が図られている。このため、各移動局70〜100の在圏状態が、異なるフェムト局間で重複することはない。
【0042】
次に、フェムト局が省電力モードから通常モードへ移行する動作を説明する。図9は、フェムト局50が省電力モードから通常モードへ移行する動作を説明するためのフローチャートである。S31では、フェムト局50は省電力モードにあり、RF回路50cは、周期的に擬似ページングを行うことで、移動局の在圏の有無を監視している。当該監視は、CPU50aが、フェムト局50における登録移動局の在圏を検知する迄の間行われ、CPU50aは、登録移動局の在圏を検知すると(S32;Yes)、ネットワークIF50dを介して、登録移動局の在圏を管理フェムト局10に通知する(S33)。
【0043】
管理フェムト局10のCPU10aは、フェムト局50から、登録移動局がフェムト局50に在圏する旨の通知を受けると(S33)、在圏状態管理テーブル13におけるフェムト局50のモードを、従前の省電力モードから通常モードに更新する(S34)。これにより、管理フェムト局10は、フェムト局50が現在何れのモードに設定されているかを認識可能となる。テーブル更新後、管理フェムト局10のネットワークIF10dは、フェムト局50に対して、通常モードへの移行を指示する信号を送信する(S35)。フェムト局50は、ネットワークIF50dにより当該信号を受信すると、従前の省電力モードから通常モードに移行する(S36)。これにより、フェムト局50は、自局に在圏する移動局との発着信や各種サービスの提供が可能な状態となる。
【0044】
次に、移動局がフェムト局間を移動した際における各フェムト局の動作を説明する。図10は、移動局80がフェムト局40、50、60間を移動した際における各フェムト局10〜60の動作を説明するためのフローチャートである。S41では、フェムト局40は通常モードにあり、RF回路40cは、周期的に擬似ページングを行うことで、移動局の在圏の有無を監視している。当該監視は、CPU40aが、フェムト局40における登録移動局の不在を検知する迄の間行われ、CPU40aは、登録移動局80の不在を検知すると(S42;Yes)、ネットワークIF40dを介して、登録移動局80の不在を管理フェムト局10に通知する(S43)。
【0045】
管理フェムト局10のCPU10aは、フェムト局40から、登録移動局80がフェムト局40に不在となった旨の通知を受けると(S43)、登録移動局80が他のフェムト局に離圏したものと推定する。そして、ネットワークIF10dは、他のフェムト局50、60に対して、登録移動局80のサーチ要求を送信する(S44、S45)。サーチ要求を受信したフェムト局50のRF回路50cは、自局において、上記S41と同様の擬似ページングを行う(S46)ことで、登録移動局80の検出を試行する(S47)。
【0046】
S48では、ネットワークIF50dは、登録移動局80の検出の可否に応じて、在圏又は非在圏を、管理フェムト局10に通知する。すなわち、登録移動局80が検出された場合には、ネットワークIF50dは、登録移動局80がフェムト局50に在圏する旨の通知を行い、反対に、登録移動局80が検出されなかった場合には、登録移動局80はフェムト局50に在圏しない旨の通知を行う。この様な在圏又は非在圏の通知は、フェムト局60に関しても同様に実行される(S49〜S51)。
【0047】
S52では、管理フェムト局10のCPU10aは、各フェムト局40、50、60における登録移動局80の検出結果に応じて、在圏状態管理テーブル13を更新する(S52)。例えば、フェムト局40にて検出されなくなった移動局80がフェムト局60にて検出された場合には、CPU10aは、移動局80の在圏状態を、“フェムト局40:在圏、フェムト局60:不在”から“フェムト局40:不在、フェムト局60:在圏”に更新する。これにより、在圏状態管理テーブル13のデータは最新の状態に更新され、管理フェムト局10は、在圏状態管理テーブル13の参照により、登録移動局80が現時点で何れのフェムト局に在圏しているかを容易に認識可能となる。このとき、CPU10aは、在圏状態の履歴をとり、その情報を参照するものとすれば、移動局80が何れのフェムト局から何れのフェムト局に移動したか(移動状況)を把握することができる。
【0048】
テーブル更新後、管理フェムト局10のネットワークIF10dは、S48、S51にて在圏状況を通知した各フェムト局50、60に対して、在圏状態管理テーブル13の更新が完了した旨の通知を行う(S53、S54)。また、ネットワークIF10dは、フェムト局40に対して、省電力モードへの移行を指示する信号を送信する(S55)。フェムト局40は、ネットワークIF40dにより当該信号を受信すると、従前の通常モードから省電力モードに移行する(S56)。
【0049】
続いて、監視フェムト局20、30のモード移行動作を説明する。なお、本実施例では、監視フェムト局20の移行動作を代表的に説明するが、監視フェムト局30についても同様の動作を行う。図11は、監視フェムト局20が監視モードから省電力監視モードへ移行する動作を説明するためのフローチャートである。
【0050】
まず、S61では、管理フェムト局10のCPU10aは、フェムト局40、50、60の中から、モード判定の対象となるフェムト局を1つ検索する。S62では、CPU10aは、フェムト局数のカウンタnが“0”であるか否かを判定する。本実施例では、フェムト局の数は3つであることから、カウンタnの初期値として“3”が設定されている。
【0051】
上記判定の結果、n=0を満たさない場合(S62;No)には、CPU10aは、S61で検索されたフェムト局を対象として、現在のモードを判定する(S63)。この判定は、在圏状態管理テーブル13を参照して、行われる。当該判定の結果、現在のモードが通常モードでない場合(S63;No)には、CPU10aは、現在のフェムト局数カウンタnの値を1減少させ、n=n−1とする(S64)。その後、S61に戻り、CPU10aは、n=0となるまで、上述したS61〜S64の一連の処理を繰り返し実行する。上記S62において、フェムト局数カウンタnが“0”となった場合(S62;Yes)には、フェムト局グループG内の全フェムト局40、50、60が通常モードからの移行を完了したものと推定される。したがって、かかる場合には、CPU10aは、S63、S64の各処理を省略して、S65以降の処理を実行する。
【0052】
S65では、CPU10aは、在圏状態管理テーブル13を参照して、S61で検索されたフェムト局に管理移動局70が在圏するか否かを判定する。当該判定の結果、管理移動局70が在圏しない場合(S65;No)には、CPU10aは、フェムト局グループG内のフェムト局が全て省電力モードに移行し、かつ、管理移動局70が何れのフェムト局にも在圏しなくなったものと推定する。S66では、CPU10aは、在圏状態管理テーブル13を参照して、当該推定結果を確認した後、監視フェムト局20に関し、在圏状態管理テーブル13を“監視モード”から“省電力監視モード”に変更する更新を行う(S66)。
【0053】
なお、上記S63における判定の結果、モード判定対象のフェムト局が通常モードにある場合(S63;Yes)には、CPU10aは、フェムト局数カウンタnの値を減少させることなく、S64の処理終了後と同様に、S61以降の処理を再度実行する。また、上記S65における判定の結果、管理移動局70が何れかのフェムト局に在圏する場合(S65;Yes)にも同様に、CPU10aは、監視フェムト局20の監視モードを継続させるべく、S61以降の処理を再び実行する。
【0054】
S66におけるテーブル更新後、管理フェムト局10のネットワークIF10dは、監視フェムト局20に対して、省電力監視モードへの移行を指示する信号を送信する(S67)。監視フェムト局20は、ネットワークIF20dにより当該信号を受信すると、従前の監視モードから省電力監視モードに移行する(S68)。これにより、フェムト局40、50、60の省電力モードへの移行に加えて、最終的に、監視フェムト局20の省電力監視モードへの移行も完了する。
【0055】
図12は、監視フェムト局20が省電力監視モードから監視モードへ移行する動作を説明するためのフローチャートである。図12のS71では、監視フェムト局20のCPU20aは、TAUの受信を待機している。監視フェムト局20のRF回路20cが管理移動局70からTAUを受信すると、CPU20aは、管理移動局70の入圏を検知し(S72;Yes)、管理フェムト局10に対して、その旨の通知を行う(S73)。S74では、管理移動局70の入圏の通知を受けた管理フェムト局10のCPU10aは、自局のモードを、省電力モードから管理モードに移行させる(S74)。これに伴い、CPU10aは、在圏状態管理テーブル13における自局のモードと、管理移動局70の在圏状態とを更新する(S75)。テーブル更新後、ネットワークIF10dは、監視フェムト局20に対して、監視モードへの移行を指示する信号を送信する(S76)。監視フェムト局20は、ネットワークIF20dにより当該信号を受信すると、従前の省電力監視モードから監視モードに移行する(S77)。更に、管理フェムト局10のネットワークIF10dは、フェムト局グループGに属する全てのフェムト局40、50、60に対して、休止モードから省電力モードへの移行を指示する信号を送信する(S78)。
【0056】
なお、S78において、管理フェムト局10は、各フェムト局40、50、60に対して、休止モードから省電力モードを経由することなく、直接、通常モードへの移行を指示するものとしてもよい。
【0057】
次に、移動局がショッピングモールから離圏する際における各フェムト局の動作を説明する。図13は、移動局80がショッピングモールから離圏する際におけるフェムト局40の動作を説明するためのフローチャートである。以下、ショッピングモールの営業時間が10:00〜20:00であり、フェムト局40、50、60の運用時間も、この時間帯に設定されているものとして、フェムト局40の動作を説明する。なお、本実施例では、フェムト局40の動作を代表的に説明するが、他のフェムト局50、60についても同様の動作を行う。
【0058】
S81では、フェムト局40のCPU40aは、時計機能により、現在時刻が19:45、すなわち、閉店時刻の15分前を過ぎているか否かを判定する。判定の結果、19:45を過ぎていない場合(S81;No)には、RF回路40cは、所定周期の擬似ページングを継続し(S82)、フェムト局40のエリアに移動局が在圏するか否かを判定する(S83)。移動局が在圏する場合(S83;No)には、S81に戻り、フェムト局40は、S81以降の処理を繰り返し実行するが、在圏しない場合(S83;Yes)には、ネットワークIF40dにより、管理フェムト局10に対して、移動局の不在を通知する(S84)。
【0059】
上記不在通知を受信した管理フェムト局10では、CPU10aは、在圏状態管理テーブル13におけるフェムト局40のモードを、通常モードから省電力モードに更新する(S85)。テーブル更新後、ネットワークIF10dは、フェムト局40に対して、省電力モード又は休止モードへの移行を指示する信号を送信する(S86)。
【0060】
S87では、上記S81と同様の処理が実行される。すなわち、フェムト局40のCPU40aは、時計機能により、現在時刻が19:45以降であるかの判定を行い、その結果に応じたモード移行を実行する。例えば、現在時刻が19:45以前の場合(S87;No)には、閉店時刻まで時間があるため、CPU40aは、自局を省電力モードへ移行させる(S88)。その後は再びS81に戻り、S81以降の処理が繰り返して実行される。一方、現在時刻が19:45過ぎの場合(S87;Yes)には、閉店時刻まで間もないため、CPU40aは、省電力モードを介さずに、自局を直接、休止モードに移行させる(S89)。これにより、フェムト局40は、速やかに休止状態となる。
【0061】
何れのモードへの移行後においても、フェムト局40のネットワークIF40dは、移行先のモードを管理フェムト局10に通知する(S90、S91)。これにより、管理フェムト局10は、フェムト局40が、省電力モード又は休止モードの内、何れのモードに移行したかを簡易迅速に把握することができる。移行先のモードは、フェムト局40の現在のモード(図3参照)として、在圏状態管理テーブル13に反映される。
【0062】
上記S81における判定の結果、現在時刻が19:45を過ぎている場合(S81;Yes)には、フェムト局40のCPU40aは、自局の現在のモードを判定する(S92)。当該判定の結果、現在のモードが省電力モードでない場合(S92;No)には、CPU40aは、通常モードにあるフェムト局40に未だ在圏する移動局が有るものと判断し、上述した擬似ページングを引き続き実行する(S82)。これに対し、現在時刻が19:45過ぎであり、かつ、フェムト局40が省電力モードにある場合(S92;Yes)には、その時点でフェムト局40に在圏する登録移動局は存在しないものと判断することができる。したがって、CPU40aは、フェムト局40を速やかに休止させるため、自局のモードを、省電力モードから休止モードに移行させる(S93)。その後、フェムト局40のネットワークIF40dは、移行先のモードを管理フェムト局10に通知する(S94)。フェムト局40は、休止モードへの移行により、擬似ページングを停止するため、19:45以降、登録移動局がフェムト局40に入圏した場合であっても、再び通常モードに復帰することはない。
【0063】
なお、ショッピングモールの閉店に伴い、管理移動局70が、監視フェムト局20、30から非在圏となり、在圏状態管理テーブル13から削除された場合にも、フェムト局グループG内のフェムト局40、50、60は全て、休止モードに移行する。同時に、監視フェムト局20、30は、省電力監視モードに移行する。
【0064】
フェムト局40による通常モードから省電力モードへの移行方法に関し、例えば、移動局80がフェムト局40の圏内からフェムト局50の圏内に移動した場合、フェムト局50は、擬似ページングにより、移動局80が自局のサービス圏内に入ったことを検知する。フェムト局50が移動局80の入圏を管理フェムト局10に通知すると、管理フェムト局10は、在圏状態管理テーブル13を参照した後、フェムト局40における他の移動局の存否を確認する。管理フェムト局10は、他の移動局が存在しないことを確認すると、フェムト局40が省電力モードへ移行可能であると判断し、有線回線を経由して、フェムト局40に対し、省電力モード移行指示を送信する。
【0065】
一方、フェムト局40による省電力モードから通常モードへの復帰方法に関し、例えば、移動局90が、フェムト局60の圏内から、省電力モードにあるフェムト局40の圏内に移動した場合、フェムト局40は、通常モードに遷移する。すなわち、フェムト局40は、一旦省電力モードに移行した後も、周期的に擬似ページングを行っているため、フェムト局40の圏内に移動した移動局が当該ページングに応答することで、移動局の在圏を検知することができる。その後、フェムト局40は、管理フェムト局10からの指示を待って、再び通常モードに復帰する。管理フェムト局10は、在圏状態管理テーブル13における、フェムト局40のモードを“省電力モード”から“通常モード”に更新すると共に、移動局90の在圏するフェムト局を“フェムト局60”から“フェムト局40”に更新する。
【0066】
また、フェムト局40、50、60による休止モードへの移行方法に関し、例えば、ショッピングモールの営業時間が終了した場合、各フェムト局40、50、60は、休止モードに移行し、無線・有線双方の機能を停止する。その結果、在圏状態管理テーブル13内の各フェムト局のモードは“休止モード”に更新される。併せて、監視フェムト局20、30も省電力監視モードに移行するため、在圏状態管理テーブル13内の、監視フェムト局20、30のモードは、“監視モード”から“省電力監視モード”に更新される。そして、管理フェムト局10は、監視フェムト局20、30からの移動局検出報告の待機状態となる。
【0067】
一方、フェムト局40、50、60による休止モードからの復帰方法に関し、省電力監視モード中の監視フェムト局20、30は、TAUにより、移動局の入圏を検出すると、管理フェムト局10に対し、その旨を報告する。また、自局も監視モードに復帰する。これに伴い、在圏状態管理テーブル13内の、監視フェムト局20、30のモードは、“省電力監視モード”から“監視モード”に更新される。併せて、移動局検出の報告を受けた管理フェムト局10は、各フェムト局40、50、60に対し、WakeupOnLAN機能により、休止モードから省電力モードへの移行指示を出す。その結果、在圏状態管理テーブル13内の各フェムト局のモードは、“休止モード”から、一旦“省電力モード”に更新される。その後、例えばフェムト局50のセルに移動局が入圏した場合、フェムト局50は、省電力モードから通常モードへ移行し、これに伴い、在圏状態管理テーブル13も“通常モード”に更新される。但し、移動局の入圏のない他のフェムト局40、60のモードは、“省電力モード”を維持する。
【0068】
なお、各フェムト局40、50、60は、擬似ページングによって、移動局の在圏又は不在を判定するが、移動局が、擬似ページングに対して長時間(例えば、3時間〜10時間)に渡って応答している場合には、ユーザが移動局を置き忘れた可能性が高い。そこで、移動局からの応答が長時間継続する場合には、各フェムト局40、50、60は、ユーザが店舗内で移動局を落としたり、会社の自席に置き忘れて帰宅したものと推定し、当該移動局を擬似ページングの対象から除外する。これにより、フェムト局40、50、60による移動局存否の誤判定が防止される。したがって、本来であれば省電力モードや休止モードに移行して節電可能であるにも拘らず、移動局が存在するために、管理フェムト局10が、各フェムト局40、50、60を、これらのモードに移行させることができないといった不都合が回避される。その結果、低消費電力化の機会損失は減少し、更なる省電力化が実現可能となる。
【0069】
また、上記実施例では、各フェムト局40、50、60は、管理フェムト局10からの指示(コマンド)に伴い、休止モードから一旦、省電力モードに移行するものとしたが、省電力モードを経由することなく、休止モードから直接、通常モードに移行するものとしてもよい。
【0070】
以上説明したように、無線通信システム1は、管理フェムト局10と、管理フェムト局10と通信するフェムト局40とを有する。管理フェムト局10は、他局モード制御部14と自局モード制御部12とを有する。例えば、他局モード制御部14は、フェムト局40に在圏する移動局70〜100の有無に応じて、通常モードと、通常モードよりも消費電力の低い省電力モードとの間の切替えを、フェムト局40に指示する。自局モード制御部12は、管理フェムト局10の管理する領域(ショッピングモール)から移動局70〜100が離圏した場合、省電力管理モードに移行する制御を行う。また、フェムト局40は、上記指示に基づき、通常モードと省電力モードとの間を移行する制御を行う自局モード制御部42を有する。
【0071】
管理フェムト局10の他局モード制御部14は、管理フェムト局10の管理する領域から移動局70〜100が離圏した場合、省電力モードよりも消費電力の低い休止モードへの移行を、フェムト局40に指示するものとしてもよい。更に、管理フェムト局10の他局モード制御部14は、管理フェムト局10の管理する領域から移動局70〜100が離圏した場合、省電力監視モードへの移行を、移動局70〜100の上記領域(ショッピングモール)への入圏の有無を監視する監視フェムト局20に指示するものとしてもよい。
【0072】
上述したように、管理フェムト局10は、他のフェムト局20〜60と連携して、無線通信システム1の省電力化を図る。すなわち、管理フェムト局10は、各フェムト局40、50、60に在圏する登録移動局が無い場合には、対応するフェムト局のモードを省電力モードに切り替えることにより、フェムト局グループG内において利用されていないフェムト局の機能を縮退させる。また、管理フェムト局10は、ショッピングモールから全ての登録移動局が離圏した場合には、自局も省電力モードに移行することで、更なる省電力化を図る。更に、管理フェムト局10は、ショッピングモールから全ての登録移動局が離圏した場合には、フェムト局40、50、60を、省電力モードよりも消費電力の低い休止モードに移行させると共に、監視フェムト局20、30も、省電力モードに移行させる。これにより、システム全体の消費電力は、一層低下する。
【0073】
なお、上記実施例では、無線通信システム1がショッピングモールに適用されるケースを例示したが、無線通信システム1は、これに限らず、オフィスビルや住宅に適用することもできる。例えば、オフィスビルへの適用例では、ビルの各フロアにフェムト局40、50、60がそれぞれ配置される。2階のフロアで仕事をしていた社員全員が、会議出席のために1階の会議室に移動した場合、2階のフェムト局50は、管理フェムト局10からの指示を待って、省電力モードに移行し、電波の送受信を停止する。会議終了後、社員が再び自席に戻ると、2階のフェムト局50は、機能を回復し、各社員の移動局70〜100に対するサービスの提供を再開すると共に、1階のフェムト局40は、再び省電力モードに移行する。その後、1日の業務が終了して全社員が帰宅した場合や、休日で全社員が不在の場合には、フェムト局40、50、60は、より省電力効果の高い休止モードに移行する。そして、社員が出勤すると、監視フェムト局20、30は、登録移動局の再入圏を検知し、管理フェムト局10に対して、フェムト局40、50、60のモード復帰を依頼する。
【0074】
また、例えば、3階建ての戸建て住宅への適用例では、フェムト局40、50、60が各階の所定の位置に配置される。3階の自室でフェムト局60によるサービス提供を受けていた子供が、夕食のために2階の食卓に移動した場合、3階のフェムト局60は、管理フェムト局10からの指示を待って、省電力モードに移行し、電波の送受信を停止する。食事が済んだ後、親は、1階の居間に移ってテレビを視聴するが、子供は、友人とメールをするために自室に戻る。これに伴い、1階及び3階のフェムト局40、60は、機能を回復してサービスの提供を再開するが、2階のフェムト局50は、通常モードから省電力モードに移行する。その後、家族全員が就寝すると、全てのフェムト局が使用されないこととなるため、フェムト局40、50、60は、省電力モードに移行する。朝になり、家族全員が出勤や登校をした場合や、休日に家族全員が外出した場合には、住宅内において全ての登録移動局が不在となるため、フェムト局40、50、60は、より省電力効果の高い休止モードに移行する。そして、家族の何れかが帰宅すると、監視フェムト局20、30は、登録移動局の再入圏を検知し、管理フェムト局10に対して、必要なフェムト局(例えば、キッチン付近のフェムト局50)のモード復帰を依頼する。なお、上記何れの適用例においても、管理移動局は、1つに限らず、複数(例えば、店舗数分、フロア数分、部屋数分)あることを妨げない。
【0075】
また、上記実施例では、移動局として、携帯電話、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)を想定して説明したが、本発明は、移動局に限らず、フェムト局との通信が可能な様々な通信機器に対して適用可能である。
【0076】
上記実施例では、管理移動局70は1つとしたが、複数であってもよい。これにより、管理フェムト局10は、管理移動局70を保持する管理者に応じて、休止モードから省電力モードに移行させるフェムト局を個別に設定することができる。すなわち、上記実施例では、管理移動局70の入圏に伴い、全てのフェムト局40、50、60が一括して省電力モードに移行するものとした。しかしながら、例えば、管理移動局70の管理者の管理対象がフェムト局40、50の設置された店舗である場合には、管理フェムト局10は、フェムト局40、50のみを省電力モードに移行させ、その後、フェムト局60を管理する別の管理移動局が入圏したことに伴い、残りのフェムト局60を省電力モードに移行させるものとしてもよい。これにより、休暇や遅刻等により管理者が不在の場合にまで、フェムト局が休止モードから省電力モードに移行することが未然に防止される。したがって、無線通信システム1の更なる省電力化が可能となる。
【0077】
更に、同一の管理移動局70であっても、管理フェムト局10が、曜日や時間帯、時期に応じて、管理対象のフェムト局を省電力モードに移行させる日時を変更するものとしてもよい。これにより、無線通信システム1は、同じショッピングモール内において定休日の異なる店舗にも、個別に対応することができる。したがって、店舗が営業していない場合にまで、その店舗に設置されたフェムト局が休止モードから省電力モードに移行することが回避され、無線通信システム1の消費電力を、より低減することが可能となる。また、監視フェムト局20、30は、必ずしも、ショッピングモール等の施設の出入り口に設置される必要はなく、特定の店舗、あるいは各フロアの出入り口に設置されるものとしてもよい。これにより、施設内のエリアに応じた木目細やかな省電力化が実現され、更なる節電が可能となる。
【0078】
また、上記実施例のように、フェムト局が2つ又は3つの小規模なグループ構成を採る場合には、これらのフェムト局の内、1つのフェムト局(親フェムト局)が、管理フェムト局と監視フェムト局との有する機能の内、少なくとも1つの機能を併せ持つものとしてもよい。かかる態様では、親フェムト局が、他のフェムト局(子フェムト局)に対して、各モードへの移行や各モードからの復帰を指示する。また、フェムトグループ内から全ての移動局が不在となった場合には、親フェムト局は、子フェムト局を休止モードに移行させると共に、親フェムト局自体も省電力監視モードに移行し、基地局機能及び管理機能を停止する。これにより、より少ないフェムト局で無線通信システムを構成することができる。したがって、簡易な構成のシステムを実現することができ、低消費電力化、低コスト化、省スペース化を図ることが可能となる。
【0079】
更に別の態様として、上記実施例に係る管理フェムト局10の管理機能を、上記親フェムト局と上記子フェムト局とに分散させて持たせるものとしてもよい。かかる態様では、例えば、移動局が一方の子フェムト局から他方の子フェムト局へ移動した場合に、移動先の子フェムト局が移動元の子フェムト局に対して直接、省電力モードへの移行指示を送信することとなる。その後、移動先の子フェムト局は、在圏状態管理テーブル13を有する親フェムト局に対して、新しい、子フェムト局のモード及び移動局の在圏状態を通知し、親フェムト局は、これらの情報を更新する。これにより、管理機能の一部を子フェムト局が有することとなるため、無線通信システム1は、親フェムト局の管理機能の実現に伴う処理負荷や処理時間を、子フェムト局に分散させることができる。その結果、システム負荷が低減される。
【0080】
上記実施例では、管理機能、監視機能、基地局機能を、親フェムト局に集中させる態様、及び、これとは反対に、管理機能を各フェムト局に分散させる態様を例示したが、各機能を併せ持つ主体や、分散の対象となる機能は、これらの態様に限定されない。図14は、上記実施例に係る各フェムト局と機能との対応関係Fを示す図である。例えば、上記実施例では、図14に示すように、管理フェムト局10のみが管理機能を有し、フェムト局40、50、60のみが休止機能を有するものとしたが、無線通信システム1は、これらの機能を監視フェムト局20、30に持たせてもよい。また、上記実施例では、図14に示すように、監視フェムト局20、30及びフェムト局40、50、60が監視機能や基地局機能を併せ持つものとしたが、無線通信システム1は、これらの機能の全部又は一部を管理フェムト局10に分散させて持たせてもよい。
【0081】
また、上記実施例では、ショッピングモールに2つの入り口が存在する場合を想定したことから、各入り口付近に監視フェムト局20、30を配設するものとした。しかしながら、ショッピングモールに設置される監視フェムト局の数は、必ずしも、各入り口に1つずつでなくてもよく、1つの入り口付近に、2つ以上の監視フェムト局が設置されるものとしてもよい。これにより、意図しない電力消費が回避される。すなわち、管理移動局や登録移動局を所持するユーザが、散歩等の目的で、ショッピングモールの近くに立ち寄ったときに、ユーザの意図に反して、監視フェムト局が、そのユーザの入圏を検知してしまうことがある。この場合、監視フェムト局のみならず、管理フェムト局やグループ内フェムト局までが、電力消費の大きい通常のモードに復帰してしまうため、省電力化の観点から好ましくない。そこで、無線通信システム1は、1つの入り口付近の異なる位置に、2つ以上の監視フェムト局を配置するものとしてもよい。かかる態様によれば、ユーザが、2つ以上の監視フェムト局への在圏を検知されない限り、モード復帰は起こらないため、上記ユーザの立ち寄りにより、本来必要な省電力モードが解除されてしまう確率は減少する。したがって、予期せぬモード移行に伴い、不要な電力が消費されるという懸念は解消される。
【0082】
更に、無線通信システム1は、監視フェムト局を分割して配置することで、監視フェムト局への在圏が検知された場合にモード移行の対象とするフェムト局を限定するものとしてもよい。すなわち、上記実施例では、監視フェムト局20、30の何れかが管理移動局の入圏を検知した場合、ショッピングモール内に配置された全てのフェムト局40、50、60のモードが、休止モードから省電力モードに復帰するものとした。しかしながら、かかる態様に限らず、管理移動局の入圏を契機として、一部のフェムト局(例えば、フェムト局40、50)に限り、休止モードが解除されるものとしてもよい。これにより、ユーザの立ち寄り等によって、意図しない在圏検知が起きた場合であっても、フェムト局グループGに属する全てのフェムト局が、省電力モードに復帰することはなくなる。換言すれば、誤ってモード復帰するフェムト局の数は限定的となり、その範囲も制限されるため、誤検知に伴う電力消費量の増加は抑制される。
【0083】
また、上記実施例では、擬似ページングに関し、各フェムト局40、50、60は、好適には同一のタイミングで、周期的に擬似ページングを行うものとした。しかしながら、各フェムト局40、50、60は、管理フェムト局10の指示するタイミングで、所定周期の経過を待たずに擬似ページングを行うこともできる。例えば、移動局80がフェムト局40に在圏していた時、フェムト局40が、次回の擬似ページングにより、移動局80の不在を検知したとする。この場合、移動局80は、フェムト局40以外の別のフェムト局に移動した可能性があるため、管理フェムト局10は、他のフェムト局50、60に対して、移動局のサーチを指示する。各フェムト局50、60は、管理フェムト局10からの指示に応じて、即時に又は所与のタイミングで、擬似ページングを実行し、その結果を管理フェムト局10に通知する。これにより、管理フェムト局10は、周期の経過を問わず、所望のタイミングで、各移動局70〜100の在圏するフェムト局を簡易迅速に検知し、かつ、その結果を在圏状態管理テーブル13に反映させることができる。このため、管理フェムト局10は、各移動局70〜100が何れのフェムト局に在圏するかを、確実かつリアルタイムに把握することができる。したがって、管理フェムト局10は、何れの移動局も在圏しないために省電力モードに移行可能なフェムト基地局を、漏れなく省電力モードに移行させることができる。その結果、不足のない、より効果的な節電が可能となる。
【0084】
但し、フェムト局40、50、60が擬似ページングを実行しても、移動局の電源がオフにされた場合には、その在圏を検知することができない。したがって、ショッピングモールからの退出が依然検知されていないにも拘らず、全てのフェムト局40、50、60において不在の確認された移動局については、移動局の電源がオフになっているものと判断することができる。そこで、管理フェムト局10は、かかる移動局を、擬似ページングの対象から一旦除外する。擬似ページングの対象から一旦除外された移動局は、たとえ何れかのフェムト局のエリア内に存在したとしても、在圏とはみなされないため、各フェムト局40、50、60は、当該移動局との間で、電波の送受信を行うことはない。これにより、擬似ページングに伴う電波の送受信量は減少する。したがって、各フェムト局40、50、60は、更なる省電力化を実現することができる。
【0085】
なお、その後に、上記移動局としての登録移動局80の電源が、ショッピングモール内で再投入された場合には、登録移動局80は、ATTACH処理を実行する。すなわち、登録移動局80は、フェムト局グループG内のフェムト局(例えば、フェムト局60)を検出し、そのフェムト局60を介して、フェムト局のネットワークへ登録し、グループG内のTA(Tracking Area)番号を取得する。フェムト局60は、上記登録処理により、移動局80が自局に在圏したことを検知し、その旨を管理フェムト局10に報告する。管理フェムト局10は、移動局80が登録済の移動局であるか否かを確認した後、移動局80を擬似ページングの対象として、再度登録する。この登録結果が、管理フェムト局10から各フェムト局40、50、60に通知されることにより、各フェムト局40、50、60は、移動局80を対象に含む擬似ページングを再開する。
【0086】
また、上記実施例においては、フェムト局10〜60、移動局70〜100の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的態様は、図示のものに限らず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することもできる。例えば、管理フェムト局10の自局モード制御部12と他局モード制御部14、あるいは、フェムト局40の在圏監視部44と計時部45をそれぞれ1つの構成要素として統合してもよい。反対に、管理フェムト局10の在圏状態管理テーブル13に関し、各フェムト局のモードを管理する部分と、各移動局の在非を管理する部分とに分散してもよい。また、フェムト局40の通信部41に関し、移動局の在圏及び不在を管理フェムト局10に通知する部分と、管理フェムト局10からモード移行指示を受ける部分とに分散してもよい。更に、メモリ10b〜60bを、フェムト局10〜60の外部装置としてネットワークやケーブル経由で接続するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 無線通信システム
10 管理フェムト局
11 通信部
12 自局モード制御部
13 在圏状態管理テーブル
14 他局モード制御部
15 計時部
16 移動局数判定部
20、30 監視フェムト局
21、31 通信部
22、32 入圏監視部
23、33 自局モード制御部
40、50、60 フェムト局
41、51、61 通信部
42、52、62 自局モード制御部
43、53、63 移動局種別判定部
44、54、64 在圏監視部
45、55、65 計時部
10a、20a、30a、40a、50a、60a CPU
10b、20b、30b、40b、50b、60b メモリ
10c、20c、30c、40c、50c、60c RF回路
10d、20d、30d、40d、50d、60d ネットワークIF
70 管理移動局
70a CPU
70b メモリ
70c RF回路
80、90、100 登録移動局
80a、90a、100a CPU
80b、90b、100b メモリ
80c、90c、100c RF回路
A1、A2 アンテナ
F 各フェムト局と各機能との対応関係
G フェムト局グループ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理装置と、当該管理装置と通信する第1基地局とを有する無線通信システムであって、
前記管理装置は、
前記第1基地局に在圏する移動局の有無に応じて、第1モードと、当該第1モードよりも消費電力の低い第2モードとの間の切替えを、前記第1基地局に指示する指示部と、
前記管理装置の管理する領域から前記移動局が離圏した場合、前記第2モードに移行する制御を行う第1制御部とを有し、
前記第1基地局は、
前記指示に基づき、前記第1モードと前記第2モードとの間を移行する制御を行う第2制御部
を有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記管理装置の指示部は、前記管理装置の管理する領域から前記移動局が離圏した場合、前記第2モードよりも消費電力の低い第3モードへの移行を、前記第1基地局に指示することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記管理装置の指示部は、前記管理装置の管理する領域から前記移動局が離圏した場合、前記第2モードへの移行を、前記移動局の前記領域への入圏の有無を監視する第2基地局に指示することを特徴とする請求項2記載の無線通信システム。
【請求項4】
基地局と通信する管理装置であって、
前記基地局に在圏する移動局の有無に応じて、第1モードと、当該第1モードよりも消費電力の低い第2モードとの間の切替えを、前記基地局に指示する指示部と、
前記管理装置の管理する領域から前記移動局が離圏した場合、前記第2モードに移行する制御を行う制御部と
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項5】
管理装置と、当該管理装置と通信する基地局とを有する無線通信システムにおける無線通信方法であって、
前記管理装置は、
前記基地局に在圏する移動局の有無に応じて、第1モードと、当該第1モードよりも消費電力の低い第2モードとの間の切替えを、前記基地局に指示し、
前記管理装置の管理する領域から前記移動局が離圏した場合、前記第2モードに移行する制御を行い、
前記基地局は、
前記指示に基づき、前記第1モードと前記第2モードとの間を移行する制御を行う
ことを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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