説明

無線通信システム、送信機、無線通信方法及び送信機の制御方法

【課題】従来のキャリブレータによるキャリブレーション処理を行なわない場合も、適切な条件でビームフォーミングを用いた送信を可能とする。
【解決手段】複数の無線端末2,3−1,3−2のうち一の無線端末2は、無線基地局1の複数のアンテナから送信された無線信号をそれぞれ受信し、複数の送信ウェイトのうち、無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトを選択し、選択した送信ウェイトに関する情報を無線基地局1へ送信し、無線基地局1は、一の無線端末2から送信ウェイトに関する情報を受信し、一の無線端末2から受信する送信ウェイトに関する情報が一の無線端末2の位置情報に基づく所定の条件を満たすように、複数のアンテナ間の位相差を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、送信機、無線通信方法及び送信機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MIMO(Multiple Input Multiple Output)方式の無線通信方法が盛んに研究されている。MIMO方式の無線通信システムでは、複数の送信アンテナを備えた送信機が複数のデータストリームを送信し、受信機が、送信機から送信された複数のデータストリームを複数の受信アンテナで受信し、受信した複数のデータストリームからデータを再生する。
【0003】
また、受信機が、送信機から送信された複数のデータストリームを1つの受信アンテナで受信し、受信した複数のデータストリームからデータを再生する、MISO(Multiple Input Single Output)方式なども知られている。
さらに、送信機が、複数のアンテナまたはデータストリームに対して、重み付け係数の組み合わせ(ウェイトセットともいう)を乗算することにより、所望の方向にビームを形成するビームフォーミングが知られている。
【0004】
これにより、送信機は、無線信号の送信時において、ビームの相乗干渉により指向性利得の特性を改善でき、また、ビームの相殺干渉により干渉発生を抑えることが可能となる。また、無線信号の受信時において、送信機は、無線信号の到来方向にビームを形成することができるので、受信特性を改善することが可能となる。
なお、ビームフォーミングに関する既存の技術として、以下のような技術が知られている。
【0005】
例えば、基地局が、ビームフォーミングを適用するリソースブロックに対するデータ信号及び参照信号の配置と電力の調整とを、未使用のサブキャリアの電力を参照信号の電力として用いることを考慮して行なう方法がある(下記特許文献1)。
また、基地局側において、複数の系統別の送信回路がそれぞれ有する位相ばらつきを補正するためのフィードバック情報の入力に基づき、コードブックから位相ばらつきを補正するビームフォーミングの情報を読み出す方法がある(下記特許文献2)。
【0006】
さらに、空間特性に基づくコーディングと、コードブックに基づくプリコーディングとを組合せて、処理対象の信号に対して二重処理を行なう方法がある(下記特許文献3)。
また、無線基地局が、前回送信時に通知したビーム番号を保存しておき、フィードバック信号を受信して受け取った差分値によるビーム番号と前回通知したビーム番号とを合成し、ユーザ端末が希望するビーム番号を復元し、復元したビーム番号に適応したプリコーディング処理を行なう方法がある(下記特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−41473号公報
【特許文献2】特開2008−53933号公報
【特許文献3】特開2010−158021号公報
【特許文献4】国際公開第2008−126378号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ビームフォーミングは、以下の2種類に大別することができる。
1つ目は、プリコーディングと呼ばれる方法である。このプリコーディング方式では、送信機及び受信機が、利用可能なウェイトセットが格納された同一のコードブックをそれぞれ有する。送信機は、まず、複数のアンテナを用いて無線信号を送信し、受信機は、例えば受信利得が最大となる等、送信機から受信した無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトを選択する。そして、受信機は、選択した送信ウェイトに対応するインデックスを送信機へ送信し、送信機は、受信機から通知されるインデックスに対応する送信ウェイトを用いて送信ビームを形成する。以降、送信機は、形成した送信ビームを用いて無線信号を送信する。なお、ウェイトセットはプリコーディング行列(複数のベクトルで構成されるベクトル群)とも称されることがあり、前記インデックスは、PMI(a precoding matrix indicator)とも称されることがある。
【0009】
2つ目は、上記コードブックを用いない方法である。この方法では、送信機が、まず、受信機から受信した無線信号の到来方向、または、送信機と受信機との間のチャネル行列を推定し、当該推定結果に基づいて、送信ビームを形成するための送信ウェイトを決定する。そして、送信機は、決定した送信ウェイトを用いて送信ビームを形成し、以降、形成した送信ビームを用いて無線信号を送信する。なお、この方法を用いる場合、送信機は、信号の到来方向またはチャネル行列を正確に推定すべく、無線回路やアンテナなどのブランチ間での位相差、振幅差などの偏り(ばらつき)を補正するキャリブレータ(キャリブレーション回路)を備えることが好ましい。
【0010】
図1に上記の各ビームフォーミング方式の特徴を示す。
この図1に示すように、プリコーディング方式の送信機側では、ビームフォーミング以外の処理を特に行なわない。また、無線信号に含まれる参照信号には、例えば、各ユーザに共通のパイロット信号(以下、ユーザ共通パイロット信号ともいう)が用いられる。なお、ユーザ共通パイロット信号は、送信機の各アンテナ間で直交性を有する。
【0011】
さらに、プリコーディング方式の受信機側では、復調処理以外の処理として、プリコーディングベクトルの選択処理を行なうとともに、選択したプリコーディングベクトルのインデックスを送信機へフィードバックする。
一方、非プリコーディング方式(コードブックを用いない方法)の送信機側では、ビームフォーミング以外の処理として、受信機から受信した信号の到来方向を推定する処理を行なうとともに、キャリブレーション処理を行なう。また、無線信号に含まれる参照信号には、例えば、各ユーザに個別のパイロット信号(以下、ユーザ個別パイロット信号ともいう)が用いられる。なお、ユーザ個別パイロット信号は、送信機の各アンテナ間で直交性を有さなくてもよい。
【0012】
さらに、非プリコーディング方式の受信機側では、復調処理以外の処理を特に行なわず、送信機へフィードバックする情報も特にない。
ここで、両方式を比較すると、プリコーディング方式では、送信機と受信機とで処理を分担し連携して動作しているのに対し、非プリコーディング方式では、ほとんどの処理を送信機側で行ない、受信機側では受信処理のみでよいことがわかる。
【0013】
しかしながら、キャリブレーション処理に用いられるキャリブレータは、ハードウェアにより構成されることが多く、送信機の製造コストが増加する場合がある。
一方、前述のプリコーディング方式では、受信機が、複数パターンのウェイトセットを保持するコードブックから、受信信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトに対応するインデックスを送信機にフィードバックする。このため、プリコーディング方式では、有限のウェイトセットを保持するコードブックに基づいてビームフォーミングを行ない得るに留まるので、ビームフォーミングによる受信特性などの改善効果は制限的なものとなる。
【0014】
そこで、本発明は、送信機において、従来のキャリブレータによるキャリブレーション処理を行なわない場合も、適切な条件でビームフォーミングを用いた送信を可能とすることを目的の1つとする。
また、ビームフォーミングの効果を向上させることも他の目的の1つである。
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的の一つとして位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)第1の案として、複数のアンテナを備え、送信ビームフォーミングを用いて無線信号を送信する送信機と、該送信機から前記無線信号を受信する複数の受信機とを有する無線通信システムにおいて、前記複数の受信機のうち一の受信機は、前記送信機の複数のアンテナから送信された無線信号をそれぞれ受信する第1の受信部と、複数の送信ウェイトのうち、無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトを選択する第1の処理部と、選択した前記送信ウェイトに関する情報を前記送信機へ送信する第1の送信部とを備え、前記送信機は、前記一の受信機から前記送信ウェイトに関する情報を受信する第2の受信部と、前記一の受信機から受信する前記送信ウェイトに関する情報が前記一の受信機の位置情報に基づく所定の条件を満たすように、前記複数のアンテナ間の位相差を補正する第2の処理部とを備えた、無線通信システムを用いることができる。
【0016】
(2)また、第2の案として、複数のアンテナを備え、送信ビームフォーミングを用いて無線信号を送信する送信機において、前記無線信号を受信する複数の受信機のうち一の受信機から、複数の送信ウェイトのうち無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトに関する情報を受信する受信部と、前記一の受信機から受信する前記送信ウェイトに関する情報が前記一の受信機の位置情報に基づく所定の条件を満たすように、前記複数のアンテナ間の位相差を補正する処理部とを備えた、送信機を用いることができる。
【0017】
(3)さらに、第3の案として、複数のアンテナを備え、送信ビームフォーミングを用いて無線信号を送信する送信機と、該送信機から前記無線信号を受信する複数の受信機とを有する無線通信システムに用いられる無線通信方法において、前記複数の受信機のうち一の受信機は、前記送信機の複数のアンテナから送信された無線信号をそれぞれ受信し、複数の送信ウェイトのうち、無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトを選択し、選択した前記送信ウェイトに関する情報を前記送信機へ送信し、前記送信機は、前記一の受信機から前記送信ウェイトに関する情報を受信し、前記一の受信機から受信する前記送信ウェイトに関する情報が前記一の受信機の位置情報に基づく所定の条件を満たすように、前記複数のアンテナ間の位相差を補正する、無線通信方法を用いることができる。
【0018】
(4)また、第4の案として、複数のアンテナを備え、送信ビームフォーミングを用いて無線信号を送信する送信機の制御方法において、前記無線信号を受信する複数の受信機のうち一の受信機から、複数の送信ウェイトのうち無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトに関する情報を受信し、前記一の受信機から受信する前記送信ウェイトに関する情報が前記一の受信機の位置情報に基づく所定の条件を満たすように、前記複数のアンテナ間の位相差を補正する、送信機の制御方法を用いることができる。
【発明の効果】
【0019】
送信機において、従来のキャリブレータによるキャリブレーション処理を行なわない場合も、適切な条件でビームフォーミングを用いた送信が可能となる。
また、ビームフォーミングの効果を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来のビームフォーミング方式を説明する図である。
【図2】一実施形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
【図3】図2に示す一の無線端末の構成の一例を示す図である。
【図4】図2に示す他の無線端末の構成の一例を示す図である。
【図5】図2に示す無線基地局の構成の一例を示す図である。
【図6】図5に示す補正部の構成の一例を示す図である。
【図7】一実施形態に係る無線通信システムの動作例を示すフローチャートである。
【図8】第1変形例に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
【図9】第2変形例に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
【図10】第3変形例に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも例示に過ぎず、以下に示す各実施形態及び変形例で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、各実施形態及び変形例を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形あるいは組み合わせる等して実施できることはいうまでもない。
〔1〕一実施形態
(1.1)無線通信システムの構成例
図2は一実施形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
【0022】
この図2に示す無線通信システム10は、例示的に、無線基地局1と、ユーザ装置(UE:User Equipment)の一例である無線端末2と、無線端末3−1,3−2とをそなえる。なお、以下では、無線端末3−1,3−2を区別しない場合、単に無線端末3と表記する。また、無線基地局1,無線端末2及び無線端末3の数は、図2に例示する数に限定されない。さらに、例えば、少なくとも無線端末3はユーザによって移動可能で、その意味で、無線移動端末あるいは移動局(MS:Mobile Station)と同義である。
【0023】
ここで、無線基地局1は、複数のアンテナを備え、送信ビームフォーミングを用いて無線信号を送信する送信機の一例としての機能を有する。
例えば、無線基地局1は、セルやセクタなどで構成される無線エリアを提供し、無線基地局1が提供する無線エリア内に位置する無線端末2及び無線端末3とそれぞれ無線通信することができる。
【0024】
一方、無線端末2及び無線端末3は、自局2,3が属する無線エリアを提供する無線基地局1と無線通信することができる。即ち、無線端末2及び無線端末3は、送信機としての無線基地局1から無線信号を受信する受信機の一例として機能する。
なお、図2に示す例では、無線基地局1と無線端末2及び無線端末3とが直接的に無線通信可能に構成されているが、例えば、無線基地局1と無線端末2及び無線端末3とが無線中継機などを介して間接的に無線通信可能に構成されてもよい。
【0025】
上記の無線通信システム10では、無線基地局1が、無線端末2及び無線端末3へ下り信号を送信する一方、無線端末2及び無線端末3が、無線基地局1へ上り信号を送信する。なお、無線基地局1から無線端末2及び無線端末3への通信方向を上り(アップリンク)と称し、無線端末2及び無線端末3から無線基地局1への通信方向を下り(ダウンリンク)と称する。
【0026】
本例では、例えば、無線基地局1及び無線端末2が、利用可能なウェイトセットが格納された同一のコードブックをそれぞれ有し、無線基地局1が、複数の無線端末2及び無線端末3のうち一の無線端末2に対して、複数のアンテナを用いて無線信号(下り信号)を送信する。
無線端末2は、無線基地局1から複数のアンテナで送信された無線信号をそれぞれ受信し、無線基地局1と無線端末2との間の無線伝搬路についてのチャネル行列を推定する。そして、無線端末2は、上記チャネル行列の推定結果(以下、単にチャネル推定結果ともいう)に基づいて、複数の送信ウェイトのうち、例えば受信利得や受信品質が最大となる等、無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトを選択する。さらに、無線端末2は、選択した送信ウェイトに関するインデックス(PMI)やチャネル状態情報(CSI:Channel State Information)などを無線基地局1へフィードバックする。つまり、無線端末2から無線基地局1へ送信される無線信号(上り信号)には、無線端末2が選択した送信ウェイトに関する情報が含まれる。
【0027】
そして、無線基地局1は、無線端末2からフィードバックされるインデックス(PMI)やCSIなどの情報を受信し、当該情報に基づいて、自局1内の無線回路やアンテナ間のばらつきを補正(校正)する。具体的には例えば、無線基地局1は、無線端末2から受信する前記送信ウェイトに関する情報が無線端末2の位置情報に基づく所定の条件を満たすように、複数のアンテナ間の位相差を補正する。
【0028】
なお、無線基地局1は、無線端末2からフィードバックされる情報に対応する送信ウェイトを用いて送信ビームを形成し、形成した送信ビームを用いて無線端末2と通信を継続することができる。
一方、無線端末3に対しては、無線基地局1が、位相差を補正後の複数のアンテナを用いて無線端末3からの無線信号を受信し、各無線端末3から受信した上り信号の到来方向(図2中、方向θ及びθ)または、無線基地局1と無線端末3との間の無線伝搬路についてのチャネル行列を推定する。そして、無線基地局1は、当該チャネル推定結果に基づいて各無線端末3に対応する送信ビームをそれぞれ形成し、形成した送信ビームを用いて無線端末3へ無線信号(下り信号)をそれぞれ送信する。
【0029】
即ち、本例では、図2中、符号2で示す少なくとも一の無線端末(ユーザ)に対しては、無線基地局1がプリコーディング方式を用いてビームフォーミングを行なう。つまり、無線端末2は、無線基地局1から送信されるユーザ共通パイロット信号を用いてチャネル推定処理を行なう。そして、無線端末2は、当該チャネル推定結果に基づいて、コードブック(プリコーディング行列)から最適なウェイトセットを選択し、選択したウェイトセットに対応するインデックスなどの情報を無線基地局1へフィードバックする。そして、無線基地局1は、無線端末2からフィードバックされる情報に基づいて、自局1内の無線回路やアンテナ間のばらつきを補正(校正)する。
【0030】
これにより、無線基地局1の構成から従来のキャリブレータを省略することができるので、無線基地局1の製造コストを低減することが可能となるほか、無線基地局1の汎用性を向上させることができる。即ち、本例では、キャリブレーションに関しては従来と同様の効果を得ることを目的とするが、その実現方法は大きく異なり、無線基地局1に従来のキャリブレーションを実現するための特別なハードウェアを有さない。
【0031】
一方、図2中、符号3−1,3−2で示した無線端末(ユーザ)に対しては、無線基地局1が非プリコーディング方式を用いてビームフォーミングを行なう。例えば、無線基地局1は、無線回路やアンテナ間のばらつきを補正後、無線基地局1と無線端末3との間のチャネル行列を推定する。なお、無線端末3は、ユーザ個別パイロット信号を用いてチャネル推定を行なうことができる。
【0032】
そして、無線基地局1は、当該チャネル推定結果に基づいて、無線端末3からの上り信号の信号到来方向を推定し、当該信号到来方向の推定結果に基づいて、所望の送信ビームを形成し、下り信号を送信する。
これにより、無線基地局1は、無線端末3に対しては、信号到来方向やチャネル推定結果に基づいてビームフォーミング処理を行なうことにより、無線端末3での受信利得を向上させることができ、信号品質を大幅に向上させることが可能となる。
【0033】
以下、無線基地局1,無線端末2及び無線端末3の構成の一例についてそれぞれ説明する。なお、以下に説明する無線基地局1,無線端末2及び無線端末3の各構成は、あくまで一例であり、以下に示すような構成に限定する意図はない。
(1.2)無線端末2の構成例
図3は一実施形態に係る無線端末2の構成の一例を示す図である。
【0034】
この図3に示す無線端末2は、無線基地局1が複数のアンテナを用いて送信した無線信号をそれぞれ受信する。このため、無線端末2は、例示的に、アンテナ21−1,・・・,21−m(mは自然数)と、無線部22と、処理部23とをそなえる。なお、以下では、アンテナ21−1,・・・,21−mを区別しない場合、単にアンテナ21と表記する。
【0035】
アンテナ21は、無線基地局1からの無線信号をそれぞれ受信する。アンテナ21によって受信された無線信号は、無線部22へ送出される。また、アンテナ21は、無線部22によって所定の無線処理を施された無線信号を無線基地局1へ送信することもできる。
無線部22は、アンテナ21を介して無線基地局1から受信した無線信号について、ダウンコンバート及びアナログ/デジタル変換などの無線受信処理を施す。無線部22によって無線受信処理を施された信号は、処理部23へ送出される。
【0036】
また、無線部22は、処理部23によって生成されるインデックスなどについて、デジタル/アナログ変換及びアップコンバートなどの無線送信処理を施すこともできる。無線部22によって無線送信処理を施されたフィードバック情報は、アンテナ21へ送出される。
即ち、アンテナ21及び無線部22は、送信ビームフォーミングを用いて送信された無線信号をそれぞれ受信する第1の受信部の一例として機能し、また、後述するように、選択した送信ウェイトに関するインデックスなどの情報を無線基地局1へ送信する第1の送信部の一例として機能する。
【0037】
ここで、処理部(第1の処理部)23は、アンテナ21及び無線部22で受信した無線信号に基づいて、複数の送信ウェイトのうち、無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトを選択する。
このため、処理部23は、例示的に、受信処理部24と、選択部25とをそなえる。
受信処理部24は、無線基地局1から受信した無線信号から、パイロット信号(ユーザ共通パイロット信号)のマッピングに関する制御信号を抽出し、抽出した制御信号に基づいて、無線基地局1から受信した信号からパイロット信号を抽出する。なお、受信処理部24は、例えば、受信した信号中の制御信号の位置に関する既知の情報に基づいて、制御信号を抽出することができる。受信処理部24によって抽出されたパイロット信号は、選択部25へ送出される。
【0038】
また、受信処理部24は、抽出したパイロット信号に基づいて、無線基地局1から受信した信号からユーザデータを抽出し、抽出したユーザデータについて所定の受信処理を施すことができる。
選択部25は、受信処理部24によって抽出されたパイロット信号に基づいて、チャネル推定処理を行なう。また、選択部25は、チャネル推定結果に基づいて、複数の送信ウェイトのうち無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトを選択する。このため、選択部25は、無線基地局1が保持するコードブックと同一のコードブックを有する。
【0039】
例えば、選択部25は、複数の送信ウェイトのうち、無線信号についてのSIR(Signal to Interference power Ratio),SINR(Signal to Interference and Noise power Ratio)などの信号品質が、所定の閾値以上となる送信ウェイトを選択することができる。
さらに、選択部25は、選択した送信ウェイトに関する情報を無線部22へ送出する。
【0040】
なお、選択部25は、例えば、選択した送信ウェイトに対応するインデックスをコードブックから抽出し、抽出したインデックスを無線基地局1へ送信することができる。
(1.3)無線端末3の構成例
図4は一実施形態に係る無線端末3の構成の一例を示す図である。
この図4に示す無線端末3は、無線基地局1から送信される無線信号を受信する。このため、無線端末3は、例示的に、アンテナ31−1,・・・,31−k(kは自然数)と、無線部32と、受信処理部33とをそなえる。なお、以下では、アンテナ31−1,・・・,31−kを区別しない場合、単にアンテナ31と表記する。
【0041】
アンテナ31は、無線基地局1からの無線信号を受信する。アンテナ31によって受信された無線信号は、無線部32へ送出される。また、アンテナ31は、無線部32によって所定の無線処理を施された無線信号を無線基地局1へ送信することもできる。
無線部32は、アンテナ31を介して無線基地局1から受信した無線信号について、ダウンコンバート及びアナログ/デジタル変換などの無線受信処理を施す。無線部32によって無線受信処理を施された信号は、受信処理部33へ送出される。
【0042】
また、アンテナ31及び無線部32は、後述するように、無線基地局1がアンテナ間の位相差などを補正後に送信する下り信号を受信する第3の受信部の一例としての機能を有する。
さらに、無線部32は、無線基地局1への上り信号について、デジタル/アナログ変換及びアップコンバートなどの無線送信処理を施すこともできる。無線部32によって無線送信処理を施された上り信号は、アンテナ31へ送出される。
【0043】
受信処理部33は、無線基地局1から受信した無線信号から、パイロット信号(ユーザ個別パイロット信号)のマッピングに関する制御信号を抽出し、抽出した制御信号に基づいて、無線基地局1から受信した信号からパイロット信号を抽出する。なお、受信処理部33は、例えば、受信した信号中の制御信号の位置に関する既知の情報に基づいて、制御信号を抽出することができる。
【0044】
また、受信処理部33は、抽出したパイロット信号に基づいて、無線基地局1から受信した信号からユーザデータを抽出し、抽出したユーザデータについて所定の受信処理を施すことができる。
(1.4)無線基地局1の構成例
図5は一実施形態に係る無線基地局1の構成の一例を示す図である。
【0045】
この図5に示す無線基地局1は、送信ビームフォーミングを用いて無線信号を送信する送信機の一例として機能する。このため、無線基地局1は、例示的に、処理部13と、無線部12と、アンテナ11−1,・・・,11−n(nは2以上の整数)とをそなえる。なお、以下では、アンテナ11−1,・・・,11−nを区別しない場合、単にアンテナ11と表記する。
【0046】
アンテナ11は、無線端末2及び無線端末3からの無線信号を受信する。アンテナ11によって受信された無線信号は、無線部12へ送出される。また、アンテナ11は、無線部12によって所定の無線処理を施された無線信号を無線端末2及び無線端末3へ送信することもできる。
無線部12は、アンテナ11を介して無線端末2及び無線端末3から受信した無線信号について、ダウンコンバート及びアナログ/デジタル変換などの無線受信処理を施す。無線部12によって無線受信処理を施された信号は、処理部13へ送出される。
【0047】
アンテナ11及び無線部12は、無線端末2に対して、送信ビームフォーミングを用いて無線信号(下り信号)を送信する。
また、アンテナ11及び無線部12は、無線端末2からフィードバックされる、無線端末2が複数の送信ウェイトの中から無線信号の品質に基づき選択した送信ウェイトに関する情報を受信する。
【0048】
即ち、アンテナ11及び無線部12は、無線端末2から送信ウェイトに関する情報を受信する第2の受信部の一例として機能する。
さらに、無線部12は、無線端末2及び無線端末3への下り信号について、デジタル/アナログ変換及びアップコンバートなどの無線送信処理を施すこともできる。無線部12によって無線送信処理を施された上り信号は、アンテナ11へ送出される。
【0049】
即ち、アンテナ11及び無線部12は、処理部13によって位相差を補正後のアンテナ11及び無線部12を介して無線信号を送信する第2の送信部の一例として機能する。さらに、アンテナ11及び無線部12は、後述するように、無線端末3に対応する送信ビームを用いて無線端末3へ無線信号を送信することもできる。
また、処理部(第2の処理部)13は、無線端末2から受信する送信ウェイトに関する情報が無線端末2の位置情報に基づく所定の条件を満たすように、アンテナ11間、または、無線部12が有する複数の無線回路間の位相差を補正する機能を含んでいる。
【0050】
さらに、処理部13は、位相差を補正後のアンテナ11及び無線部12を介して無線端末3から受信した無線信号の到来方向を推定し、当該推定結果に基づいて、無線端末3に対応する送信ビームを形成する。無線端末3への無線信号は、前記形成した送信ビームを用いて送信される。
このため、処理部13は、例示的に、ユーザ分離部14と、信号到来方向推定部15と、ビームフォーミング部16と、プリコーディング部17と、ユーザ多重部18と、補正部19とをそなえる。
【0051】
ユーザ分離部14は、受信した無線信号に含まれる各ユーザデータを分離し、再生する。ユーザ分離部14によって分離・再生された信号は、信号到来方向推定部15へ送出される。
信号到来方向推定部15は、ユーザ分離部14からの各信号に基づいて、各信号の到来方向を推定する。信号到来方向の推定方式としては、例えば、MUSIC(Multiple Signal Classification)法等を用いることができる。
【0052】
MUSIC法は、到来方向の推定対象である無線信号とは関係のない雑音成分を用いて到来信号のパラメータを推定する方法である。MUSIC法による信号到来方向測定では、例えば、受信信号から得られる相関行列の固有値を求め、得られた固有値を到来波数によって信号固有値と雑音固有値とに分ける。そして、雑音固有値に対応する雑音固有ベクトルから角度スペクトルをそれぞれ求め、各角度スペクトルを角度(つまり、周波数)で平均してMUSICスペクトルを求めることにより、無線信号の到来方向を推定する。なお、信号到来方向の推定は、他の推定方式を用いて行なわれてもよく、上記のMUSIC法に限定されないことはいうまでもない。
【0053】
ビームフォーミング部16は、信号到来方向推定部15での推定結果に基づいて、各アンテナ11から送信される信号についてそれぞれ重み付け処理を行なうことにより、所望の送信ビームを形成するビームフォーミング処理を行なう。
例えば、無線端末3−1が無線基地局1に対して角度θの方向に位置し、且つ、無線端末3−2が無線基地局1に対して角度θの方向に位置すると推定された場合、ビームフォーミング部16は、無線端末3−1において受信利得が最大となるとともに無線端末3−2において受信利得が最小となるように、無線端末3−1宛の信号を送信する送信ビームを形成してもよい。
【0054】
一方、ビームフォーミング部16は、例えば、無線端末3−2において受信利得が最大となるとともに無線端末3−1において受信利得が最小となるように、端末3−2宛の信号を送信する送信ビームを形成してもよい。
あるいは、ビームフォーミング部16は、例えば、無線端末3−1及び無線端末3−2において受信利得が最大となるとともに、角度θ及びθ以外の方向において受信利得が最小となるように、無線端末3−1及び無線端末3−2宛の信号を送信する送信ビームを形成してもよい。
【0055】
プリコーディング部17は、利用可能なウェイトセットが格納されたコードブックを有する。なお、当該コードブックは、無線端末2によって保持されるコードブックと同一の内容を有する。
プリコーディング部17は、まず、複数の送信ウェイトを用いて無線信号を送信すべく、無線端末2宛の信号について複数の送信ウェイトを乗算した複数の送信ビームを形成することができる。また、プリコーディング部17は、無線端末2が選択した送信ウェイトに関する情報に対応する送信ビームを形成する。
【0056】
ユーザ多重部18は、プリコーディング部17から送出される無線端末2宛の信号と、ビームフォーミング部16から送出される無線端末3宛の信号とをユーザ多重する。ユーザ多重された信号は補正部19を介し、無線部12へ送出される。
ここで、補正部19は、無線端末2からフィードバックされた情報に基づいて、アンテナ11間または無線回路間の位相差などのばらつきを補正する。
【0057】
このため、補正部19は、図6に例示するように、制御部191と、補正処理部192とをそなえる。
制御部191は、無線端末2の位置情報に基づいて、インデックスの目標値(以下、単に所望インデックスともいう)を提供する。例えば、制御部191は、アンテナ11間の位相差などのばらつきが無い状態で、既知の位置情報を有する無線端末2に対して無線基地局1から無線信号が送信された場合に、無線端末2から無線基地局1へフィードバックされるインデックスを所望インデックスとして提供する。
【0058】
このため、制御部191は、例えば、外付けのキャリブレータなどによってアンテナ11間のばらつきが補正された後、無線端末2からフィードバックされるインデックスを予め取得し、保持していてもよい。
また、制御部191は、無線端末2の複数の位置情報に応じた所望インデックスを同様に取得し、保持していてもよい。
【0059】
このように、本例では、予め取得した所望インデックスに基づいて、アンテナ間のばらつきを補正するため、無線端末2の位置情報は、無線基地局1にとって既知であることが望ましい。また、所望インデックスの変化を防止する観点からは、無線端末2が固定局であることが望ましい。
補正処理部192は、制御部191から提供される所望インデックスと、無線端末2からフィードバックされるインデックスとが一致する方向へ各アンテナ11または各無線回路間の位相差を制御することにより、ばらつきを補正する。
【0060】
例えば、補正処理部192は、無線端末2から定期あるいは不定期に繰り返し送信されるインデックスが、上記所望インデックスと一致するまで、上記の補正処理を繰り返し行なうようにしてもよい。
なお、上記の補正処理は定期あるいは不定期に行なえばよく、補正部19によって上記補正処理が行なわれない期間においては、補正部19への電力供給を停止するか、補正部19を待ち受け状態(スリープ状態)に制御して低消費電力化を図るようにしてもよい。
【0061】
ここで、図7に無線通信システム10の処理シーケンスの一例を示す。
この図7に例示するように、まず、無線基地局1が、複数のアンテナを用いて無線信号を無線端末2へ送信する(ステップS1)。
無線端末2は、無線基地局1から複数のアンテナの信号を受信し、複数の送信ウェイトのうち所定の品質基準を満たす送信ウェイトを選択する(ステップS2)。このときの品質基準としては、上述のように、無線信号のSIRやSINRなどを採用することができる。
【0062】
そして、無線端末2は、選択した送信ウェイトに対応するインデックスをコードブックから抽出し、抽出したインデックスを無線基地局1へフィードバックする(ステップS3)。
無線基地局1は、無線端末2からフィードバックされるインデックスを受信し、当該インデックスと、無線端末2の位置情報に基づいて算出される所望インデックスとが一致しているかどうかを判断する(ステップS4)。
【0063】
なお、アンテナ11または無線回路のばらつきがなくなるように補正したとしても、無線端末2からフィードバックされるインデックスと所望インデックスとが一致しない場合がある。このような場合、ステップS4においては、例えば、無線端末2からのインデックスと所望インデックスとの差が所定の閾値以下に収まるかどうかを判断し、無線端末2からのインデックスと所望インデックスとの差が所定の閾値以下に収まる場合は、無線端末2からのインデックスと所望インデックスとが一致したものとみなすようにしてもよい。
【0064】
無線端末2からのインデックスと所望インデックスとが一致していないと判断した場合(ステップS4のNOルート)、無線基地局1は、両インデックスが近づく方向へ、アンテナ11または無線回路間の位相差などのばらつきを補正する(ステップS5)。
さらに、無線基地局1は、処理をステップS1へ移行し、無線端末2からのインデックスと所望インデックスとが一致する(または両インデックスの差が所定の閾値以下となる)までステップS1〜ステップS5の処理を繰り返し行なう。
【0065】
一方、無線端末2からのインデックスと所望インデックスとが一致していると判断した場合(ステップS4のYESルート)、無線基地局1は、最後にステップS4を実行してから現在までの経過時間を算出し、算出した時間が所定時間を経過したかどうかを判定する(ステップS6)。
所定時間が経過していないと判断した場合(ステップS6のNOルート)、無線基地局1は、引き続きステップS6の処理を行なう。なお、所定時間が経過していない期間においては、前述したように、補正部19への電力供給を停止するか、補正部19を待ち受け状態(スリープ状態)に制御して低消費電力化を図るようにしてもよい。
【0066】
ここで、所定時間が経過したと判断した場合(ステップS6のYESルート)、無線基地局1は、処理をステップS1へ移行し、無線端末2からのインデックスと所望インデックスとが一致する(または両インデックスの差が所定の閾値以下となる)まで、ステップS1〜ステップS5の処理を繰り返し行なう。なお、補正部19への電力供給を停止、あるいは、補正部19を待ち受け状態に制御していた場合には、補正部19への電力供給を開始、あるいは、補正部19を待ち受け状態から復帰させる。
【0067】
以上のように、本例によれば、無線基地局1でのアンテナ11(または無線回路)間の校正処理を、無線端末2からフィードバックされるインデックスに基づいて行なうことにより、従来のキャリブレータ構成を設けることなくアンテナ11または無線回路間のばらつきを補正できるので、無線基地局1の製造コストを低減することが可能となる。
また、無線基地局1は、無線端末3に対しては、信号到来方向やチャネル推定結果に基づいてビームフォーミング処理を行なうことにより、例えば、無線端末3での受信利得を向上させることができるので、信号品質を大幅に向上させることが可能となる。
【0068】
〔2〕第1変形例
上述の一実施形態では、無線端末2が、無線基地局1にとって既知の位置情報を有する場合を例にしたが、本例のように、無線端末2を、無線基地局1Aによって位置の特定された(無線基地局1Aにとって既知の位置情報を有する)固定局2Aに代えてもよい。
図8は第1変形例に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
【0069】
この図8に示す無線通信システム10Aは、例示的に、無線基地局1Aと、固定局2Aと、無線端末3A−1,3A−2とをそなえる。なお、以下では、無線端末3A−1,3A−2を区別しない場合、単に無線端末3Aと表記する。
なお、無線基地局1A,固定局2A,無線端末3Aは、既述の無線基地局1,無線端末2,無線端末3とそれぞれ同様の機能を有する。
【0070】
即ち、本例では、無線基地局1Aは、固定局2Aに対して、複数のアンテナを用いて無線信号(下り信号)を送信する。
固定局2Aは、無線基地局1Aから無線信号をそれぞれ受信し、複数の送信ウェイトのうち無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトを選択し、選択した送信ウェイトに対応するインデックスなどの情報を無線基地局1Aへフィードバックする。
【0071】
そして、無線基地局1Aは、固定局2Aからのインデックスと、固定局2Aの位置情報に基づいて予め取得した所望インデックスとが一致するように、無線回路やアンテナ間のばらつきを補正(校正)し、固定局2A及び無線端末3Aとの無線通信を継続する。
また、無線基地局1Aは、無線端末3Aから受信した無線信号を用いて、当該無線信号の到来方向(方向θ及びθ)、または、無線基地局1Aと無線端末3Aとの間の無線伝搬路についてのチャネル行列を推定し、当該チャネル推定結果に基づいて、送信ビームを形成する。
【0072】
そして、無線基地局1Aは、無線端末3Aに対して、形成した送信ビームを用いて、無線信号(下り信号)を送信する。
以上のように、本例によれば、上記の一実施形態と同様の効果が得られるほか、固定局2Aの位置情報が変化することがなく、所望インデックスの値が固定であるので、無線基地局1Aでのばらつき補正を正確且つ確実に行なうことが可能となる。
【0073】
〔3〕第2変形例
また、本例のように、無線端末2を、GPS(Global Positioning System)4を備えた移動局2Bに代えてもよい。
図9は第2変形例に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
この図9に示す無線通信システム10Bは、例示的に、無線基地局1Bと、移動局2Bと、無線端末3B−1,3B−2とをそなえる。なお、以下では、無線端末3B−1,3B−2を区別しない場合、単に無線端末3Bと表記する。
【0074】
なお、無線基地局1B及び無線端末3Bは、既述の無線基地局1及び無線端末3とそれぞれ同様の機能を有する。また、移動局2Bは、既述の無線端末2と同様の機能を有するとともに、GPS4によって取得した自局2Bの位置情報を無線基地局1Bへ通知する機能を有する。
即ち、本例では、無線基地局1Bは、移動局2Bに対して、複数のアンテナを用いて無線信号(下り信号)を送信する。
【0075】
移動局2Bは、無線基地局1Bから無線信号をそれぞれ受信し、複数の送信ウェイトのうち無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトを選択し、選択した送信ウェイトに対応するインデックスなどの情報を無線基地局1Bへフィードバックする。
そして、無線基地局1Bは、移動局2Bからのインデックスと、移動局2Bの位置情報に基づいて予め取得した所望インデックスとが一致するように、無線回路やアンテナ間のばらつきを補正(校正)し、移動局2B及び無線端末3Bとの無線通信を継続する。
【0076】
なお、本例では、無線基地局1Bが、例えば、外付けのキャリブレータなどによってアンテナ11間のばらつきが補正された後、移動局2Bからフィードバックされるインデックスと移動局2Bの位置情報との組を予め複数取得し、保持しておく。
これにより、移動局2Bの位置情報が変化するような場合であっても、変化後の位置情報を移動局2Bから取得することにより、無線基地局1Bは、移動局2Bの現在位置に対応する所望インデックスを知ることができる。
【0077】
また、無線基地局1Bは、無線端末3Bから受信した無線信号を用いて、当該無線信号の到来方向(方向θ及びθ)、または、無線基地局1Bと無線端末3Bとの間の無線伝搬路についてのチャネル行列を推定し、当該チャネル推定結果に基づいて、送信ビームを形成する。
そして、無線基地局1Bは、無線端末3Bに対して、形成した送信ビームを用いて、無線信号(下り信号)を送信する。
【0078】
以上のように、本例によれば、上記の一実施形態と同様の効果が得られるほか、移動局2Bの位置情報が変化した場合であっても、所望インデックスの値を柔軟に変更することができるので、無線基地局1Bでのばらつき補正を正確且つ確実に行なうことが可能となる。
ところで、例えば、無線基地局1Bが提供する無線エリア内に、GPS4を備えた移動局2Bが存在しない、あるいは、存在しなくなる場合がある。なお、移動局2Bが無線エリア内から存在しなくなったことは、例えば、移動局2Bから無線基地局1Bへのフィードバックがなくなったことから知ることができる。
【0079】
このような場合、無線基地局1Bは、例えば、移動局2Bが存在しなくなる直前に行なった補正処理に用いた制御情報を保持しておき、当該制御情報に基づいて、ばらつき補正処理を行なうようにしてもよい。
あるいは、無線基地局1Bは、例えば、自局1Bが提供する無線エリア内に位置する全ての無線端末3をプリコーディング方式の動作を行なうように制御してもよい。なお、このような制御を行なう場合には、無線端末3が、無線基地局1Bからの制御メッセージなどによって、非プリコーディング方式とプリコーディング方式とを切り替え可能に構成されてもよい。
【0080】
一方、例えば、無線基地局1Bが提供する無線エリア内に、GPS4を備えた移動局2Bが複数存在する場合がある。なお、複数の移動局2Bが無線エリア内に存在することは、例えば、移動局2Bから無線基地局1Bへ複数のインデックスがフィードバックされることから検知できる。
このような場合、無線基地局1Bは、例えば、複数の移動局2Bのうち最も無線基地局1Bとの距離が小さいなど、フィードバックされるインデックスに対する信頼度が最も高い移動局2Bを選択し、選択した移動局2Bからのインデックスを用いて既述の補正処理を行なうことができる。
【0081】
ここで、GPS情報(位置情報)を報告する移動局2Bからのインデックスなどの情報は、無線基地局1B及び移動局2Bの各位置や、その周囲の地形などにより様々な伝搬路(チャネル)を介して、移動局2Bから無線基地局1Bへ到達する。
キャリブレーションの観点では、複雑な伝搬路を介して到達するインデックスよりも、見通し環境にある移動局2Bからのインデックスを採用した方が、より正確な補正処理を実現できる。そのため、例えば、無線基地局1Bは、見通し環境にある移動局2Bからのインデックスを優先的に用いることが望ましい。
【0082】
また、無線基地局1Bは、複数の移動局2Bからフィードバックされる各インデックスを時分割で受信し、各インデックスを時分割で用いてアンテナ11または無線回路間のばらつきを補正してもよい。
あるいは、無線基地局1Bは、時分割で受信した各インデックスについて、無線基地局1Bと複数の移動局2Bとの各距離に基づく重み付けを行ない、重み付け後のインデックスを用いてアンテナ11または無線回路間のばらつきを補正してもよい。この場合、例えば、無線基地局1Bとの距離が小さい位置にある移動局2Bからのインデックスほどより高い重み付けがなされ、無線基地局1Bとの距離が大きい位置にある移動局2Bからのインデックスほどより低い重み付けがなされるようにしてもよい。
【0083】
〔4〕第3変形例
さらに、本例のように、無線端末2を、無線基地局1Cによって位置の特定された(無線基地局1にとって既知の位置情報を有する)他の無線基地局5に代えてもよい。
図10は第3変形例に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
この図10に示す無線通信システム10Cは、例示的に、無線基地局1Cと、他の無線基地局5と、無線端末3C−1,3C−2とをそなえる。なお、以下では、無線端末3C−1,3C−2を区別しない場合、単に無線端末3Cと表記する。
【0084】
なお、無線基地局1C及び無線端末3Cは、既述の無線基地局1及び無線端末3とそれぞれ同様の機能を有する。また、他の無線基地局5は、既述の無線端末2と同様の機能を有するとともに、既述の無線基地局1と同様の機能を有していてもよい。
即ち、本例では、無線基地局1Cは、他の無線基地局5に対して、複数のアンテナを用いて無線信号を送信する。
【0085】
他の無線基地局5は、無線基地局1Cから無線信号をそれぞれ受信し、複数の送信ウェイトのうち無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトを選択し、選択した送信ウェイトに対応するインデックスなどの情報を無線基地局1Cへフィードバックする。
そして、無線基地局1Cは、他の無線基地局5からのインデックスと、他の無線基地局5の位置情報に基づいて予め取得した所望インデックスとが一致するように、無線回路やアンテナ間のばらつきを補正(校正)し、他の無線基地局5及び無線端末3Cとの無線通信を継続する。
【0086】
また、無線基地局1Cは、無線端末3Cから受信した無線信号を用いて、当該無線信号の到来方向(方向θ及びθ)、または、無線基地局1Cと無線端末3Cとの間の無線伝搬路についてのチャネル行列を推定し、当該チャネル推定結果に基づいて、送信ビームを形成する。
そして、無線基地局1Cは、無線端末3Cに対して、形成した送信ビームを用いて、無線信号(下り信号)を送信する。
【0087】
以上のように、本例によれば、上記実施形態と同様の効果が得られるほか、他の無線基地局5の位置情報が変化することがないので、無線基地局1Cにおける無線回路やアンテナ間のばらつき補正を正確且つ確実に行なうことが可能となる。
〔5〕その他
なお、上述した一実施形態における無線基地局1,1A,1B,1C,無線端末2,固定局2A,移動局2B及び他の無線基地局5の各構成及び各機能は、必要に応じて取捨選択してもよいし、適宜組み合わせて用いてもよい。即ち、本発明の機能を発揮できるように、上記の各構成及び各機能を取捨選択したり、適宜組み合わせて用いたりしてもよい。
【0088】
以上の実施形態及び各変形例に関し、さらに以下の付記を開示する。
〔6〕付記
(付記1)
複数のアンテナを備え、送信ビームフォーミングを用いて無線信号を送信する送信機と、該送信機から前記無線信号を受信する複数の受信機とを有する無線通信システムにおいて、
前記複数の受信機のうち一の受信機は、
前記送信機の複数のアンテナから送信された無線信号をそれぞれ受信する第1の受信部と、
複数の送信ウェイトのうち、無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトを選択する第1の処理部と、
選択した前記送信ウェイトに関する情報を前記送信機へ送信する第1の送信部と、を備え、
前記送信機は、
前記一の受信機から前記送信ウェイトに関する情報を受信する第2の受信部と、
前記一の受信機から受信する前記送信ウェイトに関する情報が前記一の受信機の位置情報に基づく所定の条件を満たすように、前記複数のアンテナ間の位相差を補正する第2の処理部と、を備えた、
ことを特徴とする、無線通信システム。
【0089】
(付記2)
前記送信機は、
前記位相差を補正後の複数のアンテナを用いて前記無線信号を送信する第2の送信部を備え、
前記複数の受信機のうち他の受信機は、
前記第2の送信部から送信される前記無線信号を受信する第3の受信部を備えた、
ことを特徴とする、付記1記載の無線通信システム。
【0090】
(付記3)
前記第2の受信部は、
前記位相差を補正後の複数のアンテナを用いて前記他の受信機からの無線信号を受信し、
前記第2の処理部は、
前記他の受信機から受信した前記無線信号の到来方向を推定し、当該推定結果に基づいて前記他の受信機に対応する送信ビームを形成し、
前記第2の送信部は、
形成した前記送信ビームを用いて前記他の受信機へ前記無線信号を送信する、
ことを特徴とする、付記2記載の無線通信システム。
【0091】
(付記4)
前記第2の処理部は、
前記一の受信機から受信する前記送信ウェイトに関する情報が前記所定の条件を満たすまで、前記複数のアンテナ間の位相差を繰り返し補正する、
ことを特徴とする、付記1〜3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【0092】
(付記5)
前記一の受信機は、
前記送信機にとって既知の位置情報を有する固定局である、
ことを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項に記載の無線通信システム。
(付記6)
前記固定局は、無線基地局である、
ことを特徴とする、付記5記載の無線通信システム。
【0093】
(付記7)
前記第1の送信部は、
前記一の受信機の位置情報を前記送信機へ送信する、
ことを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項に記載の無線通信システム。
(付記8)
複数のアンテナを備え、送信ビームフォーミングを用いて無線信号を送信する送信機と、該送信機から前記無線信号を受信する複数の受信機とを有する無線通信システムにおいて、
前記複数の受信機のうち2以上の受信機は、それぞれ、
前記送信機の複数のアンテナから送信された無線信号をそれぞれ受信する第1の受信部と、
複数の送信ウェイトのうち、無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトを選択する第1の処理部と、
選択した前記送信ウェイトに関する情報と自局の位置情報とを前記送信機へ送信する第1の送信部と、を備え、
前記送信機は、
前記2以上の受信機から前記送信ウェイトに関する情報と前記位置情報とをそれぞれ受信する第2の受信部と、
前記2以上の受信機のうち前記送信機との距離が最も小さい受信機から受信する前記送信ウェイトに関する情報が前記送信機との距離が最も小さい受信機の位置情報に基づく所定の条件を満たすように、前記複数のアンテナ間の位相差を補正する第2の処理部と、を備えた、
ことを特徴とする、無線通信システム。
【0094】
(付記9)
複数のアンテナを備え、送信ビームフォーミングを用いて無線信号を送信する送信機において、
前記無線信号を受信する複数の受信機のうち一の受信機から、複数の送信ウェイトのうち無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトに関する情報を受信する受信部と、
前記一の受信機から受信する前記送信ウェイトに関する情報が前記一の受信機の位置情報に基づく所定の条件を満たすように、前記複数のアンテナ間の位相差を補正する処理部と、を備えた、
ことを特徴とする、送信機。
【0095】
(付記10)
複数のアンテナを備え、送信ビームフォーミングを用いて無線信号を送信する送信機において、
前記無線信号を受信する複数の受信機のうち2以上の受信機から、複数の送信ウェイトのうち無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトに関する情報と前記2以上の受信機の位置情報とをそれぞれ受信する受信部と、
前記2以上の受信機のうち前記送信機との距離が最も小さい受信機から受信する前記送信ウェイトに関する情報が前記送信機との距離が最も小さい受信機の位置情報に基づく所定の条件を満たすように、前記複数のアンテナ間の位相差を補正する処理部と、を備えた、
ことを特徴とする、送信機。
【0096】
(付記11)
複数のアンテナを備え、送信ビームフォーミングを用いて無線信号を送信する送信機と、該送信機から前記無線信号を受信する複数の受信機とを有する無線通信システムに用いられる無線通信方法において、
前記複数の受信機のうち一の受信機は、
前記送信機の複数のアンテナから送信された無線信号をそれぞれ受信し、
複数の送信ウェイトのうち、無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトを選択し、
選択した前記送信ウェイトに関する情報を前記送信機へ送信し、
前記送信機は、
前記一の受信機から前記送信ウェイトに関する情報を受信し、
前記一の受信機から受信する前記送信ウェイトに関する情報が前記一の受信機の位置情報に基づく所定の条件を満たすように、前記複数のアンテナ間の位相差を補正する、
ことを特徴とする、無線通信方法。
【0097】
(付記12)
前記送信機は、
前記位相差を補正後の複数のアンテナを用いて前記無線信号を送信し、
前記複数の受信機のうち他の受信機は、
前記位相差を補正後の複数のアンテナから送信される前記無線信号を受信する、
ことを特徴とする、付記11記載の無線通信方法。
【0098】
(付記13)
前記送信機は、
前記位相差を補正後の複数のアンテナを用いて前記他の受信機からの無線信号を受信し、
前記他の受信機から受信した前記無線信号の到来方向を推定し、当該推定結果に基づいて前記他の受信機に対応する送信ビームを形成し、
形成した送信ビームを用いて前記他の受信機へ前記無線信号を送信する、
ことを特徴とする、付記12記載の無線通信方法。
【0099】
(付記14)
前記送信機は、
前記一の受信機から受信する前記送信ウェイトに関する情報が前記所定の条件を満たすまで、前記複数のアンテナ間の位相差を繰り返し補正する、
ことを特徴とする、付記11〜13のいずれか1項に記載の無線通信方法。
【0100】
(付記15)
前記一の受信機は、
前記送信機にとって既知の位置情報を有する固定局である、
ことを特徴とする、付記11〜14のいずれか1項に記載の無線通信方法。
(付記16)
前記固定局は、無線基地局である、
ことを特徴とする、付記15記載の無線通信方法。
【0101】
(付記17)
前記一の受信機は、
前記一の受信機の位置情報を前記送信機へ送信する、
ことを特徴とする、付記11〜14のいずれか1項に記載の無線通信方法。
(付記18)
複数のアンテナを備え、送信ビームフォーミングを用いて無線信号を送信する送信機と、該送信機から前記無線信号を受信する複数の受信機とを有する無線通信システムに用いられる無線通信方法において、
前記複数の受信機のうち2以上の受信機は、それぞれ、
前記送信機の複数のアンテナから送信された無線信号をそれぞれ受信し、
複数の送信ウェイトのうち、無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトを選択し、
選択した前記送信ウェイトに関する情報と自局の位置情報とを前記送信機へ送信し、
前記送信機は、
前記2以上の受信機から前記送信ウェイトに関する情報と前記位置情報とをそれぞれ受信し、
前記2以上の受信機のうち前記送信機との距離が最も小さい受信機から受信する前記送信ウェイトに関する情報が前記送信機との距離が最も小さい受信機の位置情報に基づく所定の条件を満たすように、前記複数のアンテナ間の位相差を補正する、
ことを特徴とする、無線通信方法。
【0102】
(付記19)
複数のアンテナを備え、送信ビームフォーミングを用いて無線信号を送信する送信機の制御方法において、
前記無線信号を受信する複数の受信機のうち一の受信機から、複数の送信ウェイトのうち無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトに関する情報を受信し、
前記一の受信機から受信する前記送信ウェイトに関する情報が前記一の受信機の位置情報に基づく所定の条件を満たすように、前記複数のアンテナ間の位相差を補正する、
ことを特徴とする、送信機の制御方法。
【0103】
(付記20)
複数のアンテナを備え、送信ビームフォーミングを用いて無線信号を送信する送信機の制御方法において、
前記無線信号を受信する複数の受信機のうち2以上の受信機から、複数の送信ウェイトのうち無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトに関する情報と前記2以上の受信機の位置情報とをそれぞれ受信し、
前記2以上の受信機のうち前記送信機との距離が最も小さい受信機から受信する前記送信ウェイトに関する情報が前記送信機との距離が最も小さい受信機の位置情報に基づく所定の条件を満たすように、前記複数のアンテナ間の位相差を補正する、
ことを特徴とする、送信機の制御方法。
【符号の説明】
【0104】
1,1A,1B,1C 無線基地局
2 無線端末
2A 固定局
2B 移動局
3−1,3−2,3A−1,3A−2,3B−1,3B−2,3C−1,3C−2, 無線端末
4 GPS
5 無線基地局
10,10A,10B,10C 無線通信システム
11−1〜11−n アンテナ
12 無線部
13 処理部
14 ユーザ分離部
15 信号到来方向推定部
16 ビームフォーミング部
17 プリコーディング部
18 ユーザ多重部
19 補正部
21−1〜21−m アンテナ
22 無線部
23 処理部
24 受信処理部
25 選択部
31−1〜31−k アンテナ
32 無線部
33 受信処理部
191 制御部
192 補正処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナを備え、送信ビームフォーミングを用いて無線信号を送信する送信機と、該送信機から前記無線信号を受信する複数の受信機とを有する無線通信システムにおいて、
前記複数の受信機のうち一の受信機は、
前記送信機の複数のアンテナから送信された無線信号をそれぞれ受信する第1の受信部と、
複数の送信ウェイトのうち、無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトを選択する第1の処理部と、
選択した前記送信ウェイトに関する情報を前記送信機へ送信する第1の送信部と、を備え、
前記送信機は、
前記一の受信機から前記送信ウェイトに関する情報を受信する第2の受信部と、
前記一の受信機から受信する前記送信ウェイトに関する情報が前記一の受信機の位置情報に基づく所定の条件を満たすように、前記複数のアンテナ間の位相差を補正する第2の処理部と、を備えた、
ことを特徴とする、無線通信システム。
【請求項2】
前記送信機は、
前記位相差を補正後の複数のアンテナを用いて前記無線信号を送信する第2の送信部を備え、
前記複数の受信機のうち他の受信機は、
前記第2の送信部から送信される前記無線信号を受信する第3の受信部を備えた、
ことを特徴とする、請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第2の受信部は、
前記位相差を補正後の複数のアンテナを用いて前記他の受信機からの無線信号を受信し、
前記第2の処理部は、
前記他の受信機から受信した前記無線信号の到来方向を推定し、当該推定結果に基づいて前記他の受信機に対応する送信ビームを形成し、
前記第2の送信部は、
形成した前記送信ビームを用いて前記他の受信機へ前記無線信号を送信する、
ことを特徴とする、請求項2記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第2の処理部は、
前記一の受信機から受信する前記送信ウェイトに関する情報が前記所定の条件を満たすまで、前記複数のアンテナ間の位相差を繰り返し補正する、
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記一の受信機は、
前記送信機にとって既知の位置情報を有する固定局である、
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記固定局は、無線基地局である、
ことを特徴とする、請求項5記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記第1の送信部は、
前記一の受信機の位置情報を前記送信機へ送信する、
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項8】
複数のアンテナを備え、送信ビームフォーミングを用いて無線信号を送信する送信機において、
前記無線信号を受信する複数の受信機のうち一の受信機から、複数の送信ウェイトのうち無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトに関する情報を受信する受信部と、
前記一の受信機から受信する前記送信ウェイトに関する情報が前記一の受信機の位置情報に基づく所定の条件を満たすように、前記複数のアンテナ間の位相差を補正する処理部と、を備えた、
ことを特徴とする、送信機。
【請求項9】
複数のアンテナを備え、送信ビームフォーミングを用いて無線信号を送信する送信機と、該送信機から前記無線信号を受信する複数の受信機とを有する無線通信システムに用いられる無線通信方法において、
前記複数の受信機のうち一の受信機は、
前記送信機の複数のアンテナから送信された無線信号をそれぞれ受信し、
複数の送信ウェイトのうち、無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトを選択し、
選択した前記送信ウェイトに関する情報を前記送信機へ送信し、
前記送信機は、
前記一の受信機から前記送信ウェイトに関する情報を受信し、
前記一の受信機から受信する前記送信ウェイトに関する情報が前記一の受信機の位置情報に基づく所定の条件を満たすように、前記複数のアンテナ間の位相差を補正する、
ことを特徴とする、無線通信方法。
【請求項10】
複数のアンテナを備え、送信ビームフォーミングを用いて無線信号を送信する送信機の制御方法において、
前記無線信号を受信する複数の受信機のうち一の受信機から、複数の送信ウェイトのうち無線信号の品質が所定の基準を満たす送信ウェイトに関する情報を受信し、
前記一の受信機から受信する前記送信ウェイトに関する情報が前記一の受信機の位置情報に基づく所定の条件を満たすように、前記複数のアンテナ間の位相差を補正する、
ことを特徴とする、送信機の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−109892(P2012−109892A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258582(P2010−258582)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】