説明

無線通信システムおよび無線通信方法

【課題】複数の無線システム間の干渉を回避しながら各無線システムのスループットを向上させる無線中継装置の提供。
【解決手段】各無線システムのダウンリンク通信容量が同等になり、かつ各無線システムのうち一方の送信と他方の受信が同時に発生しないように、第1の無線システムのダウンリンク期間および第2の無線システムのダウンリンク期間を算出し、さらに第1の無線システムのダウンリンク期間に対応する第2の無線システムのアップリンク期間を設定し、さらに第1の無線システムのダウンリンク通信容量と第2の無線システムのダウンリンク通信容量の差に対応する負荷情報を算出し、第1の無線システムの基地局に通知する構成であり、第1の無線システムの基地局は、複数の無線中継装置により通知された負荷情報に基づいて負荷の大きさと帯域割当の時間配置が対応するように帯域割当を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに近い周波数帯域を利用する無線システム間の通信を中継する無線中継装置および無線中継方法に関する。特に、各無線システムに対応するアンテナの近接による漏洩電力が干渉を生じさせる状況において、干渉を低減しながら各無線システム間の中継処理を行う無線中継装置および無線中継方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器や家電など様々な機器が無線免許不要で利用可能なISM(Industry-Science-Medical) 帯と呼ばれる 2.4GHz帯のチャネルでは、無線LAN等の自律分散制御によるアクセス制御手順を用いた無線システムが普及している。この自律分散制御による無線システムは、小電力および狭通信エリアを特徴としており、ISM帯を用いる無線システム同士で干渉を与えあうことを前提としたアクセス制御方式(例えばCSMA/CA)が採用されている。
【0003】
一方、このISM帯の近接周波数には、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access) 等のように、TDD(Time Division Duplexing) またはFDD(Frequency Division Duplexing)によりアクセス制御を行う集中制御の無線システムがある。この集中制御による無線システムの多くは、通信事業者が免許を必要とするものであり、無線システム同士が干渉しあうことは想定されていない。また、大電力および広域通信エリアを特徴としている。
【0004】
なお、自律分散制御による無線システムとしては無線LANの他にZigBeeなどがあり、集中制御による無線システムとしてはWiMAXの他に次世代PHS(XG−PHS)などがある。
【0005】
近年では、これら複数の無線システムを統合し、また互いの無線システムを補完して利用することが期待されており、1つの筐体内に複数の無線システムに対応する無線インタフェースをもつ無線端末が出現している。例えば、無線LANと第三世代携帯電話の無線インタフェースを実装したスマートフォンと呼ばれる携帯端末や、無線LANと第三世代携帯電話を中継するメディア変換機能を備えた無線中継装置が製品化されている。この無線中継装置を用いることにより、無線LAN端末は第三世代携帯電話のような広域通信エリアの無線システムに接続することができ、無線LANを使用できる場所を容易に拡大させ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0006】
図11は、無線中継装置を含む無線システム構成例を示す。
図において、無線中継装置50は、無線LAN機能を用いて無線LAN端末60と無線接続し、かつWiMAX機能を用いてWiMAX基地局70に無線接続し、WiMAX基地局70を介してネットワーク80に接続する。このとき、無線LAN端末60は、無線中継装置50のサービスエリア内にいれば、無線中継装置50を介してネットワーク80に接続することができる。
【0007】
このような無線中継装置50は、例えば図12(1) に示すように、WiMAX端末として機能するWiMAXインタフェース51に接続されるアンテナ54と、無線LAN基地局として機能する無線LANインタフェース52に接続されるアンテナ55が同一筐体内で近接すると、アンテナ間の漏洩電力による干渉が発生する。ここで、無線LANの利用周波数帯域外に放射される送信電力とWiMAXの受信電力との関係を図12(2) に示す。無線LANの利用周波数帯域外に放射される送信電力は伝搬損失がわずかであるので、伝搬損失が大きいWiMAXの受信信号に干渉を与え、受信信号特性を大幅に劣化させる。WiMAXの送信信号と無線LANの受信信号との間においても同様である。
【0008】
すなわち、無線中継装置において、一方の無線システム(例えば無線LAN)が送信中に、他方の無線システム(WiMAX)が受信を行うときに、送信側の漏洩電力により受信側に干渉が生じることになる。
【0009】
この問題を解決する方法として、非特許文献1では、一方の無線システムと他方の無線システムが同時送信および同時受信になるように、送受信タイミングをスケジューリングすることにより、送信側から受信側への干渉を回避する手法を提案している。
【0010】
図13は、干渉回避のための従来の無線中継装置50の構成例を示す。ここでは、図11に示すネットワーク構成におけるWiMAXネットワークと無線LANとの間で中継を行う無線中継装置を例に説明するが、WiMAXと無線LANに限らず、双方の無線システムで送受信タイミングの同期制御が可能な無線システム間の中継に適用される。
【0011】
図において、無線中継装置50は、WiMAX端末として機能するWiMAXインタフェース51と、無線LAN基地局として機能する無線LANインタフェース52とを備える。ここで、WiMAX基地局70からWiMAXインタフェース(WiMAX端末)51への伝送方向をDL(ダウンリンク)、逆の伝送方向をUL(アップリンク)とし、無線LANインタフェース(無線LAN基地局)52から無線LAN端末60への伝送方向をDL、逆の伝送方向をULとする。さらに、WiMAXインタフェース51と無線LANインタフェース52との間に、WiMAXフレームのDL期間およびUL期間の送受信タイミングに対応して、無線LANにおけるDL期間およびUL期間を決定するスケジューラ53を備える。
【0012】
図14は、従来の無線中継装置50の動作例を示す。
図において、WiMAXネットワークにおける無線フレーム構成はDL期間とUL期間からなり、DL期間はプリアンブル信号P,FCH,DL−MAP,UL−MAPなどのヘッダ部と、DLデータ(DLバースト)で構成される。WiMAXのDL期間に対して無線LANのUL期間が設定され、WiMAXのUL期間に対して無線LANのDL期間が設定される。
【0013】
無線中継装置のWiMAXインタフェース51は、WiMAX基地局70から送信された無線フレーム#1のDL期間でDLサブフレームを受信し、WiMAXの同期時刻情報およびWiMAXのDL/UL期間をスケジューラ53に通知する。スケジューラ53は、無線LANインタフェース52に時刻基準を通知し、さらにWiMAXのDL/UL期間に対応する無線LANのUL/DL期間を通知する。無線LANインタフェース52は、WiMAXのUL期間に同期した無線LANのDL期間において、無線LAN端末60にPSMPフレームを用いて無線LANのDL期間およびUL期間を通知するとともに、WiMAXフレームのDLデータをデータD1,D2として中継送信する。ここでは、PSMPフレームおよび複数のデータD1,D2がSIFS/RIFS間隔で連続送信される。
【0014】
無線LAN端末60は、PSMPフレームで通知された無線LANのDL期間において当該データD1,D2を受信し、UL期間において、無線LANインタフェース52にデータD3,D4を連続送信するとともに、DL期間で受信したデータD1,D2に対するブロックACKを一括送信する。
【0015】
一方、WiMAXインタフェース51は、無線LANのUL期間で無線フレーム#2のDL期間を受信する。ここでは、同様に時刻同期処理と、WiMAXのDL期間およびUL期間に対応する無線LANのUL期間およびDL期間を設定し、無線LANインタフェース52からPSMPフレームで無線LAN端末60に通知することを想定しているが、この処理は必ずしもフレームごとに行わなくてもよい。
【0016】
無線LANインタフェース52は、WiMAXのUL期間に同期した無線LANのDL期間において、無線LAN端末60にPSMPフレームとともに、WiMAXフレーム#2のDLデータをデータD5,D6として中継送信し、さらにUL期間で受信したデータD3,D4に対するブロックACKを一括送信する。また、WiMAXインタフェース51は、WiMAXフレーム#2のUL期間で、無線LANのUL期間に受信したデータD3,D4をULデータとしてWiMAX基地局に中継送信する。
【0017】
このように、無線中継装置では、WiMAXインタフェース51のDL期間と、無線LANインタフェース52のUL期間が同期し、受信信号間の干渉は生じない。また、WiMAXインタフェース51のUL期間と、無線LANインタフェース52のDL期間が同期し、ともに信号送信であるので干渉は生じない。すなわち、無線中継装置のWiMAXネットワーク側で送信と受信を交互に繰り返しているときに、無線LAN側で同じタイミングで送信と受信を交互に繰り返しており、ともに干渉を回避しながらスループットの低下を抑止することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】岸田朗 他、「複数無線システムにおける干渉回避技術に関する検討」、2008年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会、B-5-123 、2008年9月
【非特許文献2】IEEE P802.11n/D3.02, Draft STANDARD for Information Technology Telecommunications and information exchange between systems Local and metropolitan area networks Specific requirements, 9.15 PSMP Operation, December 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、非特許文献1に記載の干渉回避技術では、WiMAXのDL期間とUL期間は予め固定され、WiMAXフレームのDL期間およびUL期間の送受信タイミングに、無線LANにおけるDL期間およびUL期間を同期させている。
【0020】
このとき、WiMAXの伝送レートが無線LANの伝送レートよりも大きく、それぞれのDL期間と掛け合わせて得られるWiMAXのDL通信容量が無線LANのDL通信容量よりも大きい場合、WiMAXのDLデータが無線中継装置内で滞留し、実質的にDLのスループットが低下する問題がある。また、このようなDLのスループット低下が継続すると、無線中継装置におけるバッファオーバフローが生じ、サービスが停止する場合も想定される。
【0021】
本発明は、複数の無線システムに対して同時送信、同時受信で干渉が発生しないようにするとともに、各無線システムの伝送レートに対応する通信容量の違いを考慮し、複数の無線システム間の干渉を回避しながら各無線システムのスループットを向上させることができる無線中継装置および無線中継方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
第1の発明は、第1の無線システムの基地局と、複数の第2の無線システムの端末と、互いに漏洩電力による干渉を受け合う異なる無線チャネルを用いる第1の無線システムの基地局と複数の第2の無線システムの端末との間で転送データを中継する複数の無線中継装置とを備えた無線通信システムにおいて、無線中継装置は、第1の無線システムの端末に相当する第1のインタフェース部と、第2の無線システムの基地局に相当する第2のインタフェース部と、第1の無線システムの送受信タイミングに同期して第2の無線システムの送受信タイミングを設定するスケジューラとを備え、スケジューラは、第1のインタフェース部を介して第1の無線システムの伝送レートとアップリンク期間およびダウンリンク期間を取得し、第2のインタフェース部を介して第2の無線システムの伝送レートを取得し、各無線システムの伝送レートに基づく第1の無線システムのダウンリンク通信容量が第2の無線システムのダウンリンク通信容量より大きいときに、各無線システムのダウンリンク通信容量が同等になり、かつ各無線システムのうち一方の送信と他方の受信が同時に発生しないように、第1の無線システムのダウンリンク期間および第2の無線システムのダウンリンク期間を算出し、さらに第1の無線システムのダウンリンク期間に対応する第2の無線システムのアップリンク期間を設定し、さらに第1の無線システムのダウンリンク通信容量と第2の無線システムのダウンリンク通信容量の差に対応する負荷情報を算出する構成であり、第1のインタフェース部は、第1の無線システムのダウンリンク期間および負荷情報を第1の無線システムの基地局に通知する構成であり、第2のインタフェース部は、第2の無線システムのダウンリンク期間およびアップリンク期間を第2の無線システムの端末に通知し、第2の無線システムの送受信タイミングを制御する構成であり、第1の無線システムの基地局は、複数の無線中継装置により通知された負荷情報に基づいて負荷の大きさと帯域割当の時間配置が対応するように帯域割当を行う構成である。
【0023】
また、第1の発明の無線通信システムにおいて、スケジューラは、第1の無線システムのダウンリンク期間に下限値を設ける構成である。
【0024】
また、第1の発明の無線通信システムにおいて、第1の無線システムの無線フレームのヘッダ部に送受信タイミングの情報を含み、無線中継装置の第1のインタフェース部は、無線フレームのヘッダ部の送受信タイミングの情報から、第1の無線システムのアップリンク期間およびダウンリンク期間を取得してスケジューラに通知する構成である。
【0025】
また、第1の発明の無線通信システムにおいて、第1の無線システムの無線フレームのプリアンブル部に同期時刻情報を含み、第1のインタフェース部は、無線フレームのプリアンブル部から同期時刻情報を取得してスケジューラに通知する構成であり、スケジューラは、同期時刻情報に基づいて第2の無線システムにおける時刻基準を決定する構成である。
【0026】
また、第1の発明の無線通信システムにおいて、第1の無線システムはWiMAXシステムであり、第2の無線システムは無線LANシステムであり、無線中継装置の第2のインタフェース部は、無線LANの省電力(PSMP)手順を利用して、無線LANのダウンリンク期間およびアップリンク期間を制御する構成である。
【0027】
第2の発明は、第1の無線システムの基地局と、複数の第2の無線システムの端末と、互いに漏洩電力による干渉を受け合う異なる無線チャネルを用いる第1の無線システムの基地局と複数の第2の無線システムの端末との間で転送データを中継する複数の無線中継装置とを備えた無線通信システムの無線通信方法において、無線中継装置は、第1の無線システムの端末に相当する第1のインタフェース部と、第2の無線システムの基地局に相当する第2のインタフェース部と、第1の無線システムの送受信タイミングに同期して第2の無線システムの送受信タイミングを設定するスケジューラとを備え、スケジューラは、第1のインタフェース部を介して第1の無線システムの伝送レートとアップリンク期間およびダウンリンク期間を取得し、第2のインタフェース部を介して第2の無線システムの伝送レートを取得し、各無線システムの伝送レートに基づく第1の無線システムのダウンリンク通信容量が第2の無線システムのダウンリンク通信容量より大きいときに、各無線システムのダウンリンク通信容量が同等になり、かつ各無線システムのうち一方の送信と他方の受信が同時に発生しないように、第1の無線システムのダウンリンク期間および第2の無線システムのダウンリンク期間を算出し、さらに第1の無線システムのダウンリンク期間に対応する第2の無線システムのアップリンク期間を設定し、さらに第1の無線システムのダウンリンク通信容量と第2の無線システムのダウンリンク通信容量の差に対応する負荷情報を算出し、第1のインタフェース部は、第1の無線システムのダウンリンク期間および負荷情報を第1の無線システムの基地局に通知し、第2のインタフェース部は、第2の無線システムのダウンリンク期間およびアップリンク期間を第2の無線システムの端末に通知し、第2の無線システムの送受信タイミングを制御し、第1の無線システムの基地局は、複数の無線中継装置により通知された負荷情報に基づいて負荷の大きさと帯域割当の時間配置が対応するように帯域割当を行う。
【0028】
また、第2の発明の無線通信方法において、スケジューラは、第1の無線システムのダウンリンク期間に下限値を設ける。
【0029】
また、第2の発明の無線通信方法において、第1の無線システムの無線フレームのヘッダ部に送受信タイミングの情報を含み、無線中継装置の第1のインタフェース部は、無線フレームのヘッダ部の送受信タイミングの情報から、第1の無線システムのアップリンク期間およびダウンリンク期間を取得してスケジューラに通知する。
【0030】
また、第2の発明の無線通信方法において、第1の無線システムの無線フレームのプリアンブル部に同期時刻情報を含み、第1のインタフェース部は、無線フレームのプリアンブル部から同期時刻情報を取得してスケジューラに通知し、スケジューラは、同期時刻情報に基づいて第2の無線システムにおける時刻基準を決定する。
【0031】
また、第2の発明の無線通信方法において、第1の無線システムはWiMAXシステムであり、第2の無線システムは無線LANシステムであり、無線中継装置の第2のインタフェース部は、無線LANの省電力(PSMP)手順を利用して、無線LANのダウンリンク期間およびアップリンク期間を制御する。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、無線中継装置の第1の無線システム側と第2の無線システム側で一方の送信と他方の受信が同時に発生しないように制御されており、相互の干渉を回避しながらスループットの低下を抑止することができる。さらに、第1の無線システムのダウンリンク通信容量が第2の無線システムのダウンリンク通信容量により大きいときに、各ダウンリンク通信容量が同等になるようにそれぞれのダウンリンク期間を調整する。これにより、双方の無線システムのダウンリンク通信容量が同等になり、無線中継装置内で転送データの滞留を防ぐことができ、システム全体のダウンリンク方向のスループットを向上させることができる。また、本発明は、第1の無線システムのダウンリンク期間に対応する第2の無線システムのアップリンク期間の下限値を設定することにより、アップリンク通信容量の最低値を保証することができる。
【0033】
さらに、本発明は、無線中継装置から第1の無線システムの基地局に、第1の無線システムのダウンリンク通信容量と第2の無線システムのダウンリンク通信容量の差を負荷容量として通知し、第1の無線システムの基地局がその負荷情報に基づいて、負荷の大きさと帯域割当の時間配置が対応するように、例えば負荷の大きいものから順になるように帯域割当を行うことができる。これにより、複数の無線中継装置が第1の無線システムの1つの基地局に帰属しているときに、第2の無線システムのダウンリンク期間およびアップリンク期間が細切れになることに起因するオーバヘッドを削減し、周波数利用効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の無線通信システムの基本構成例1を示す図である。
【図2】基本構成例1の無線中継装置10の制御シーケンスを示す図である。
【図3】基本構成例1の無線中継装置10のスケジューラ13の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】PSMPシーケンスの概要を説明するタイムチャートである。
【図5】基本構成例1における無線中継装置10の動作例を示すタイムチャートである。
【図6】基本構成例2の無線中継装置10のスケジューラ13の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の無線通信システムの構成例を示す図である。
【図8】本発明による無線中継装置10およびWiMAX基地局70の制御シーケンスを示す図である。
【図9】本発明の適用前の無線通信システムの動作例を示すタイムチャートである。
【図10】本発明による無線通信システムの動作例を示すタイムチャートである。
【図11】無線中継装置を含む無線システム構成例を示す図である。
【図12】無線中継装置の干渉要因を説明する図である。
【図13】干渉回避のための従来の無線中継装置50の構成例を示す図である。
【図14】従来の無線中継装置50の動作例を示すタイムチャートである。
【図15】ダウンリンクのスループット特性(無線LAN伝送レート:24Mbps )を示す図である。
【図16】ダウンリンクのスループット特性(無線LAN伝送レート:54Mbps )を示す図である。
【図17】アップリンクのスループット特性(無線LAN伝送レート:24Mbps )を示す図である。
【図18】アップリンクのスループット特性(無線LAN伝送レート:54Mbps )を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本発明の無線通信システムの基本構成例1を示す。基本構成例1では、図11に示すネットワーク構成におけるWiMAXネットワークと無線LANとの間で中継を行う無線中継装置について説明するが、WiMAXと無線LANに限らず、本発明は双方の無線システムで送受信タイミングの同期制御が可能な無線システム間の中継に適用することができる。
【0036】
図1において、無線中継装置10は、WiMAX端末として機能するWiMAXインタフェース11と、無線LAN基地局として機能する無線LANインタフェース12とを備える。ここで、WiMAX基地局70からWiMAXインタフェース(WiMAX端末)11への伝送方向をDL(ダウンリンク)、逆の伝送方向をUL(アップリンク)とし、無線LANインタフェース(無線LAN基地局)12から無線LAN端末60への伝送方向をDL、逆の伝送方向をULとする。さらに、WiMAXインタフェース11と無線LANインタフェース12との間に配置されるスケジューラ13は、WiMAXインタフェース11からWiMAXのDL/UL期間および伝送レートを入力し、無線LANインタフェース12から無線LANの伝送レートを入力し、WiMAXおよび無線LANの各伝送レートに応じた各DL通信容量が同等になるように、WiMAXのDL/UL期間に応じた無線LANのUL/DL期間を設定する。詳しくは後述する。
【0037】
図2は、基本構成例1の無線中継装置10の制御シーケンスを示す。図3は、基本構成例1の無線中継装置10のスケジューラ13の処理手順を示す。
図2において、WiMAXインタフェース(WiMAX端末)11は、WiMAX基地局70がDL期間で送信するDLサブフレームを受信し、その先頭部のプリアンブル信号から同期時刻情報を取得してスケジューラ13に通知する。スケジューラ13は、この同期時刻情報に基づいて無線LANにおける時刻基準を決定し、無線LANインタフェース(無線LAN基地局)12に通知する。無線LANインタフェース12は、自身のタイマをこの時刻基準に同期させ、WiMAXと無線LANとの時刻同期をとる。
【0038】
WiMAXインタフェース11は、DLサブフレームの先頭部のFCH,DL−MAP,UL−MAP等から、WiMAXのDL/UL期間および伝送レートを検出し、スケジューラ13に通知する。一方、無線LANインタフェース12は、無線LANの伝送レートをスケジューラ13に通知する。
【0039】
スケジューラ13は、図3に示すように、WiMAXのDL/UL期間を取得し(S1)、WiMAXの伝送レートを取得し(S2)、無線LANの伝送レートを取得すると(S3)、WiMAXのDL通信容量と無線LANのDL通信容量を比較する(S4)。ここで、WiMAXのDL通信容量は、(WiMAXの伝送レート)×(WiMAXのDL期間)×(WiMAXのMAC効率)である。無線LANのDL通信容量は、(無線LANの伝送レート)×(無線LANのDL期間)×(無線LANのMAC効率)である。
【0040】
WiMAXのDL通信容量と無線LANのDL通信容量を比較し(S4)、無線LANのDL通信容量が大きいか等しい場合には、従来通りにWiMAXのDL/UL期間に対応する無線LANのUL/DL期間を設定し(S5)、無線LANインタフェース12へ通知する(S8)。
【0041】
一方、WiMAXのDL通信容量が大きい場合には、WiMAXのDL通信容量と無線LANのDL通信容量が同等になるWiMAXのDLデータ割当不可期間を算出し、WiMAXのDL有効期間と無線LANのDL期間およびUL期間を設定する(S6)。すなわち、WiMAXの既定のDL期間からDLデータ割当不可期間だけ短縮したWiMAXのDL有効期間を算出し、WiMAXの既定のUL期間に対応する無線LANのDL期間にDLデータ割当不可期間を加えた無線LANのDL期間を算出する。また、WiMAXのDL有効期間に対応する無線LANのUL期間を設定する。
【0042】
ここで、WiMAXのDLデータ割当不可期間とは、DL通信容量を低下させるためのDL期間の空き期間であり、WiMAXの(既定のDL期間−DLデータ割当不可期間)をDL有効期間としているが、WiMAXにおける既定のDL期間を変更するものではない。なお、DLデータ割当不可期間は通信に使用しない空き期間でもよいし、他のWiMAX端末への送信に使用してもよい。
【0043】
スケジューラ13は、WiMAXインタフェース11へWiMAXのDL有効期間(DLデータ割当不可期間)を通知し(S7)、WiMAXのUL期間にWiMAXインタフェース11からWiMAX基地局に通知する。また、スケジューラ13は、無線LANインタフェース12へWiMAXのDL有効期間に対応する無線LANのUL期間と、WiMAXの(UL期間+DLデータ割当不可期間)に対応する無線LANのDL期間を通知する(S8)。
【0044】
無線LANインタフェース12は、無線LANのDL期間で、無線LANのDL/UL期間を無線LAN端末60に送信する。無線LANインタフェース12と無線LAN端末60は、この無線LANのDL/UL期間に合わせて、データの送受信処理を行う。すなわち、無線中継装置10では、WiMAXのDL有効期間と無線LANのUL期間が同期し、WiMAXの(UL期間+DLデータ割当不可期間)と無線LANのDL期間が同期し、WiMAXと無線LANとの間で一方の送信と他方の受信が同時に発生しないようにして相互干渉を回避する仕組みになっている。
【0045】
なお、WiMAXネットワークと無線LANは、WiMAXのDL期間のプリアンブル信号から得られた時刻情報に基づいて時刻同期がとれているが、無線LANの処理遅延により、例えば無線LANのDL期間が遅れてWiMAXのDL期間と重なり、無線LANのDL期間の送信とWiMAXのDL期間の受信が重なって干渉が生じることが考えられる。この場合には、スケジューラ13において、無線LANに設定したUL期間とULデータの受信タイミングを比較して無線LANの遅延時間を判定し、DL期間およびUL期間のそれぞれ末尾を遅延時間分だけ短縮し、無信号区間を設定して無線LANとWiMAXとの干渉を回避するようにしてもよい。
【0046】
ところで、無線LANにおけるDL期間とUL期間の制御は、IEEE802.11nが規定した新しい省電力手順であるPSMP(Power Save Multi-Poll)機能によって実現することができる(非特許文献2参照)。
【0047】
図4は、PSMPシーケンスの概要を示す。
図において、無線LAN基地局31は、接続する無線LAN端末32,33へPSMPフレームを送信する。PSMPフレームには、無線LAN端末32に割り当てる受信開始時間t1および送信開始時間t3と、無線LAN端末33に割り当てる受信開始時間t2および送信開始時間t4が記載される。無線LAN端末32は、PSMPフレームで通知された受信開始時間t1からDLデータを受信し、送信開始時間t3からULデータを送信し、その他の時間にパワーセーブモードになる。無線LAN端末33は、PSMPフレームで通知された受信開始時間t2からDLデータを受信し、送信開始時間t4からULデータを送信し、その他の時間にパワーセーブモードになる。このように、無線LAN端末は、PSMPフレームで通知されたタイミングで送受信を行い、それ以外の期間はデータの送受信を停止する。
【0048】
ここでは、時間t1〜t3が無線LANのDL期間に相当してDLデータを送信し、WiMAX側ではULサブフレームを送信する。また、時間t3〜t5が無線LANのUL期間に相当してULデータを受信し、WiMAX側ではDLサブフレームを受信する。
【0049】
図5は、基本構成例1における無線中継装置10の動作例を示す。
図において、WiMAXネットワークにおける無線フレーム構成は、DL期間とUL期間からなり、DL期間はプリアンブル信号P,FCH,DL−MAP,UL−MAPなどのヘッダ部と、DLデータ(DLバースト)で構成される。通常は、WiMAXのDL期間に対して無線LANのUL期間が設定され、WiMAXのUL期間に対して無線LANのDL期間が設定される。
【0050】
無線中継装置のWiMAXインタフェース11は、WiMAX基地局70から送信された無線フレーム#1のDL期間でDLサブフレームを受信し、WiMAXの同期時刻情報、WiMAXの伝送レートおよびDL/UL期間をスケジューラ13に通知する。スケジューラ13は、無線LANインタフェース2に時刻基準を通知する。一方、無線LANインタフェース12は、無線LANの伝送レートをスケジューラ13に通知する。
【0051】
スケジューラ13は、図3に示すように、WiMAXのDL通信容量が無線LANのDL通信容量より大きい場合には、WiMAXのDL通信容量と無線LANのDL通信容量が同等になるWiMAXのDLデータ割当不可期間を算出し、WiMAXのDL有効期間(DLデータ割当不可期間)と無線LANのDL期間およびUL期間を設定し、それぞれWiMAXインタフェース11および無線LANインタフェース12に通知する。
【0052】
WiMAXインタフェース11は、UL期間でWiMAXのDL有効期間(DLデータ割当不可期間)をWiMAX基地局70に通知し、WiMAX基地局70は次の無線フレーム#2のDL期間にDLデータ割当不可期間を設定し、DL通信容量を低下させる。
【0053】
無線LANインタフェース12は、DL期間で無線LAN端末60にPSMPフレームを用いて無線LANのUL/DL期間を通知するとともに、WiMAXフレームのDLデータをデータD1,D2として中継送信する。ここでは、PSMPフレームおよび複数のデータD1,D2がSIFS/RIFS間隔で連続送信される。
【0054】
無線LAN端末60は、PSMPフレームで通知された無線LANのDL期間において当該データD1,D2を受信し、UL期間において、無線LANインタフェース12にデータD3,D4を連続送信するとともに、DL期間で受信したデータD1,D2に対するブロックACKを一括送信する。
【0055】
一方、WiMAXインタフェース11は、既定のDL期間からDLデータ割当不可期間を短縮したDL有効期間で無線フレーム#2のDLサブフレームを受信する。ここでは、同様に時刻同期処理と、WiMAXのDL/ULの伝送レート、無線LANの伝送レートおよびWiMAXのDL/UL期間に対応する無線LANのUL/DL期間を設定し、無線LANインタフェース12からPSMPフレームで無線LAN端末60に通知することを想定しているが、この処理は必ずしもフレームごとに行わなくてもよい。
【0056】
無線LANインタフェース12は、WiMAXのUL期間の前にDLデータ割当不可期間を加えたDL期間において、無線LAN端末60にPSMPフレームとともに、WiMAXフレーム#2のDLデータをデータD5,D6として中継送信し、さらにUL期間で受信したデータD3,D4に対するブロックACKを一括送信する。また、WiMAXインタフェース11は、WiMAXフレーム#2のUL期間で、無線LANのUL期間に受信したデータD3,D4をULデータとしてWiMAX基地局に中継送信する。
【0057】
このように、無線中継装置では、WiMAXのDL有効期間と無線LANのUL期間が同期し、受信信号間の干渉は生じない。また、WiMAXのUL期間+DLデータ割当不可期間と無線LANのDL期間が同期し、信号送信による干渉は生じない。すなわち、無線中継装置のWiMAXネットワーク側と無線LAN側で一方の送信と他方の受信が同時に発生しないように制御されており、相互の干渉を回避しながらスループットの低下を抑止することができる。さらに、WiMAXのDL通信容量が無線LANのDL通信容量により大きいときに、各DL通信容量が同等になるようにWiMAXのDL期間を短縮し、かつその短縮期間を無線LANのDL期間に加える。これにより、WiMAXのDL通信容量と無線LANのDL通信容量が同等になり、DL方向のスループットを向上させることができる。
【0058】
基本構成例1のスケジューラ13の処理において、WiMAXの伝送レートが無線LANの伝送レートよりも非常に大きい場合に、WiMAXのDL通信容量と無線LANの通信容量を同等にしようとすると、WiMAXのDLデータ割当不可期間が非常に大きくなる。その結果、WiMAXのDL有効期間(=既定のDL期間−DLデータ割当不可期間)は非常に小さくなる。そのため、無線LANのUL期間もWiMAXのDL有効期間に応じて非常に小さくなり、システム全体のULのスループットが著しく低下することになる。
【0059】
そこで、基本構成例2では、WiMAXの伝送レートが無線LANの伝送レートよりも非常に大きい場合に備えて、スケジューラ13において無線LANのUL期間に下限値(必要最低UL期間)を設けてスケジューリングを行う。
【0060】
図6は、基本構成例2の無線中継装置10のスケジューラ13の処理手順を示す。
図6において、ステップS1〜S8は、図3に示す基本構成例1と同じである。基本構成例2では、ステップS6で求めたWiMAXのDL有効期間が下限値を下回った場合に、WiMAXのDL有効期間を下限値に設定する処理S6a,S6bを追加する。すなわち、無線LANのUL期間は、図2や図5に示すように、WiMAXのDL有効期間に対応するので、ステップS6a,S6bでWiMAXのDL有効期間が下限値以下にならないように設定することにより、無線LANのUL期間の下限値(必要最低UL期間)を確保する。
【0061】
図15は、ダウンリンクのスループット特性(無線LAN伝送レート:24Mbps )を示す。図16は、ダウンリンクのスループット特性(無線LAN伝送レート:54Mbps )を示す。図17は、アップリンクのスループット特性(無線LAN伝送レート:24Mbps )を示す。図18は、アップリンクのスループット特性(無線LAN伝送レート:54Mbps )を示す。いずれも、本発明のWiMAXおよび無線LANのDL通信容量に応じたスケジューリングを行うことにより、そのスケジューリングを行わない従来構成よりも大幅に無線LANのスループット(システムスループット)を改善できていることがわかる。
【実施例】
【0062】
以上説明した本発明の基本構成例1,2における無線中継装置10は、図1に示すようにWiMAX基地局70と1対1の関係において、WiMAXのDL,ULのタイムスロットに対して、無線LANのUL,DLの割り当てを同期させ、かつWiMAXのDL通信容量が無線LANのDL通信容量よりも大きい場合に、トラヒックのオーバーフローを回避するために、WiMAXのDL期間を減少させることをWiMAX基地局70に通知する構成であった。
【0063】
本発明は、図7に示すように、WiMAX基地局70の配下に複数の無線中継装置10が存在する場合に対応するものである。ここでは、1台のWiMAX基地局70に無線中継装置10が4台接続しており、それぞれの無線中継装置10に各1台の無線LAN端末60が接続されているものとする。
【0064】
WiMAX基地局70に複数の無線中継装置10が存在する場合には、ある無線中継装置がWiMAXで通信している期間は、他の無線中継装置はWiMAXのDL/ULともにトラヒックが存在しない期間となる。基本構成例1では、WiMAXのDL有効期間と無線LANのUL期間が直接的に対応し、WiMAXのDLデータ割当不可期間〜UL期間に無線LANのDL期間が直接的に対応していた。
【0065】
本実施例では、他の無線中継装置とWiMAX基地局との通信期間を考慮し、WiMAX基地局との通信を行っていない他の各無線中継装置は、WiMAXの干渉を考慮することなく、無線LANでの通信を行うことができることを最大限活用する。
【0066】
一方、PSMP機能においては、図4に示す1つのシーケンスにおいて、DL期間とUL期間を1つずつ設けなければならない制約が存在する。たとえば、無線中継装置において無線LANの伝送レートが低く、WiMAXのDLデータ割当不可期間を長く設定する必要がある場合には、他の無線中継装置がWiMAX基地局と通信している期間に、無線LANのDLで通信を行うことが可能である。その場合には、上述のDLデータ割当不可期間を要せずに、WiMAXのDL通信容量>無線LANのDL通信容量となる関係を解消することができる。ただし、WiMAXのDL通信容量>無線LANのDL通信容量となる場合には、DLデータ割当不可期間は必要である。
【0067】
ここで、上述したPSMP機能の制約により、図9の無線中継装置10−3のように1つのシーケンスの期間(PSMP1)が短い場合であっても、DL期間のみとすることはできず、必ずUL期間を設定しなければならない。そのため、オーバヘッドが生じることとなり、結果として、DLを割り当てられない空き帯域が生じることになり周波数利用効率が低下する。したがって、PSMPのシーケンスが細切れになることは効率的でなく、より長い期間を確保する必要がある。そこで、本実施例におけるWiMAX基地局70は、各無線中継装置10−1〜10−3の無線LANインタフェース12が送信できるトラヒック量に応じてスケジューリングを行う。
【0068】
図8は、本発明による無線中継装置10およびWiMAX基地局70の制御シーケンスを示す。
図8において、WiMAXの伝送レートおよび無線LANの伝送レートに応じて、無線LANのDL/UL期間を算出し、WiMAX基地局70にDL有効期間を通知するまでの手順は、図2に示す基本構成例1と同じである。
【0069】
本実施例の無線中継装置10のスケジューラ13は、無線LAN端末60との間の伝送レートに基づいて、負荷情報として無線LANのDL通信容量のオーバーフローαを次のように計算する。
α=WiMAXのDL通信容量−無線LANのDL通信容量
【0070】
各無線中継装置10は、WiMAXインタフェース11からWiMAX基地局70に、無線LANのDL通信容量のオーバーフローαを通知する。
【0071】
WiMAX基地局70は、各無線中継装置により通知された無線LANのDL通信容量のオーバーフローαから、α>0のものを抽出し、αが大きいものから小さいものへ、次回以降のWiMAXフレームの先頭から順に割り当てを行う。なお、WiMAX端末のうち無線中継装置10でないものは、α<0として扱う。
【0072】
このようなスケジューリングを行った場合のデータのシーケンス例を図10に示す。無線中継装置10−3のαが大きいため、WiMAXフレームの先頭に割り当てられ、結果として、PSMPの期間が増大し、オーバーヘッドが削減する。すなわち、WiMAX基地局70のスケジューリングによって、図9におけるPSMP1のUL期間が不要となり、その分をDL期間に割り当てることができるため、無線中継装置10の無線LANインタフェース12は、より多くのDL通信容量を確保できる。その結果、WiMAXのDLデータ割当不可期間が解消または短縮され、WiMAX側の空き帯域を有効に使用できる効果が得られる。
【符号の説明】
【0073】
10,50 無線中継装置
11,51 WiMAXインタフェース(WiMAX端末)
12,52 無線LANインタフェース(無線LAN基地局)
13,53 スケジューラ
54,55 アンテナ
60 無線LAN端末
70 WiMAX基地局
80 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線システムの基地局と、
複数の第2の無線システムの端末と、
互いに漏洩電力による干渉を受け合う異なる無線チャネルを用いる前記第1の無線システムの基地局と前記複数の第2の無線システムの端末との間で転送データを中継する複数の無線中継装置と
を備えた無線通信システムにおいて、
前記無線中継装置は、
前記第1の無線システムの端末に相当する第1のインタフェース部と、
前記第2の無線システムの基地局に相当する第2のインタフェース部と、
前記第1の無線システムの送受信タイミングに同期して前記第2の無線システムの送受信タイミングを設定するスケジューラとを備え、
前記スケジューラは、前記第1のインタフェース部を介して前記第1の無線システムの伝送レートとアップリンク期間およびダウンリンク期間を取得し、前記第2のインタフェース部を介して前記第2の無線システムの伝送レートを取得し、前記各無線システムの伝送レートに基づく前記第1の無線システムのダウンリンク通信容量が前記第2の無線システムのダウンリンク通信容量より大きいときに、前記各無線システムのダウンリンク通信容量が同等になり、かつ前記各無線システムのうち一方の送信と他方の受信が同時に発生しないように、前記第1の無線システムのダウンリンク期間および第2の無線システムのダウンリンク期間を算出し、さらに前記第1の無線システムのダウンリンク期間に対応する前記第2の無線システムのアップリンク期間を設定し、さらに前記第1の無線システムのダウンリンク通信容量と前記第2の無線システムのダウンリンク通信容量の差に対応する負荷情報を算出する構成であり、
前記第1のインタフェース部は、前記第1の無線システムのダウンリンク期間および前記負荷情報を前記第1の無線システムの基地局に通知する構成であり、
前記第2のインタフェース部は、前記第2の無線システムのダウンリンク期間およびアップリンク期間を前記第2の無線システムの端末に通知し、前記第2の無線システムの送受信タイミングを制御する構成であり、
前記第1の無線システムの基地局は、前記複数の無線中継装置により通知された前記負荷情報に基づいて負荷の大きさと帯域割当の時間配置が対応するように帯域割当を行う構成である
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムにおいて、
前記スケジューラは、前記第1の無線システムのダウンリンク期間に下限値を設ける構成である
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項1に記載の無線通信システムにおいて、
前記第1の無線システムの無線フレームのヘッダ部に前記送受信タイミングの情報を含み、
前記無線中継装置の第1のインタフェース部は、前記無線フレームのヘッダ部の前記送受信タイミングの情報から、前記第1の無線システムのアップリンク期間およびダウンリンク期間を取得して前記スケジューラに通知する構成である
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項1に記載の無線通信システムにおいて、
前記第1の無線システムの無線フレームのプリアンブル部に同期時刻情報を含み、
前記第1のインタフェース部は、前記無線フレームのプリアンブル部から前記同期時刻情報を取得して前記スケジューラに通知する構成であり、
前記スケジューラは、前記同期時刻情報に基づいて前記第2の無線システムにおける時刻基準を決定する構成である
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
請求項1に記載の無線通信システムにおいて、
前記第1の無線システムはWiMAXシステムであり、
前記第2の無線システムは無線LANシステムであり、
前記無線中継装置の第2のインタフェース部は、前記無線LANの省電力(PSMP)手順を利用して、無線LANのダウンリンク期間およびアップリンク期間を制御する構成である
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
第1の無線システムの基地局と、
複数の第2の無線システムの端末と、
互いに漏洩電力による干渉を受け合う異なる無線チャネルを用いる前記第1の無線システムの基地局と前記複数の第2の無線システムの端末との間で転送データを中継する複数の無線中継装置と
を備えた無線通信システムの無線通信方法において、
前記無線中継装置は、
前記第1の無線システムの端末に相当する第1のインタフェース部と、
前記第2の無線システムの基地局に相当する第2のインタフェース部と、
前記第1の無線システムの送受信タイミングに同期して前記第2の無線システムの送受信タイミングを設定するスケジューラとを備え、
前記スケジューラは、前記第1のインタフェース部を介して前記第1の無線システムの伝送レートとアップリンク期間およびダウンリンク期間を取得し、前記第2のインタフェース部を介して前記第2の無線システムの伝送レートを取得し、前記各無線システムの伝送レートに基づく前記第1の無線システムのダウンリンク通信容量が前記第2の無線システムのダウンリンク通信容量より大きいときに、前記各無線システムのダウンリンク通信容量が同等になり、かつ前記各無線システムのうち一方の送信と他方の受信が同時に発生しないように、前記第1の無線システムのダウンリンク期間および第2の無線システムのダウンリンク期間を算出し、さらに前記第1の無線システムのダウンリンク期間に対応する前記第2の無線システムのアップリンク期間を設定し、さらに前記第1の無線システムのダウンリンク通信容量と前記第2の無線システムのダウンリンク通信容量の差に対応する負荷情報を算出し、
前記第1のインタフェース部は、前記第1の無線システムのダウンリンク期間および前記負荷情報を前記第1の無線システムの基地局に通知し、
前記第2のインタフェース部は、前記第2の無線システムのダウンリンク期間およびアップリンク期間を前記第2の無線システムの端末に通知し、前記第2の無線システムの送受信タイミングを制御し、
前記第1の無線システムの基地局は、前記複数の無線中継装置により通知された前記負荷情報に基づいて負荷の大きさと帯域割当の時間配置が対応するように帯域割当を行う
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項7】
請求項6に記載の無線通信方法において、
前記スケジューラは、前記第1の無線システムのダウンリンク期間に下限値を設ける
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項8】
請求項6に記載の無線通信方法において、
前記第1の無線システムの無線フレームのヘッダ部に前記送受信タイミングの情報を含み、
前記無線中継装置の第1のインタフェース部は、前記無線フレームのヘッダ部の前記送受信タイミングの情報から、前記第1の無線システムのアップリンク期間およびダウンリンク期間を取得して前記スケジューラに通知する
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項9】
請求項6に記載の無線通信方法において、
前記第1の無線システムの無線フレームのプリアンブル部に同期時刻情報を含み、
前記第1のインタフェース部は、前記無線フレームのプリアンブル部から前記同期時刻情報を取得して前記スケジューラに通知し、
前記スケジューラは、前記同期時刻情報に基づいて前記第2の無線システムにおける時刻基準を決定する
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項10】
請求項6に記載の無線通信方法において、
前記第1の無線システムはWiMAXシステムであり、
前記第2の無線システムは無線LANシステムであり、
前記無線中継装置の第2のインタフェース部は、前記無線LANの省電力(PSMP)手順を利用して、無線LANのダウンリンク期間およびアップリンク期間を制御する
ことを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−39503(P2012−39503A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179458(P2010−179458)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】