説明

無線通信システムにおける干渉制御

【課題】セクタは、隣接するセクタ内の端末から観測される干渉を推定し、干渉制御を行う。
【解決手段】セクタは、該干渉推定値に基づいて、OTA(over-the-air)OSI(other-sector interference)レポートおよび/またはIS(inter-sector)OSIレポートを生成することができる。セクタは、隣接するセクタにIS OSIレポートを送信し、該隣接するセクタからIS OSIレポートを受信し、受信したIS OSIレポートに基づいて、セクタ内の端末のためのデータ送信を調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
(米国特許法第119条第(e)項による優先権の主張)
本出願請求は、2005年6月21日に出願され、本出願の譲受人に譲渡された「無線通信システムにおける干渉制御(Interference Control In Wireless Communication System)」というタイトルの米国特許出願第11/158,584号の一部継続出願であり、該出願の全体を本願明細書に援用する。
【発明の分野】
【0002】
本開示は、一般的に、通信に関し、より具体的には、無線通信システムにおける干渉制御に関する。
【発明の背景】
【0003】
無線多元接続通信システムは、順方向リンク及び逆方向リンク上の複数の端末と同時に通信することができる。この順方向リンク(又は、ダウンリンク)は、基地局から端末への通信リンクを指し、また、逆方向リンク(又は、アップリンク)は、端末から基地局への通信リンクを指す。複数の端末は、この逆方向リンクでデータを同時に送信し、及び/又は順方向リンクでデータを受信することができる。このことは、多くの場合、時間、周波数及び/又は符号領域で互いに直交している各リンクで送信を多重化することによって実現される。
【0004】
逆方向リンク上で、異なる基地局と通信する端末からの送信は、典型的には、互いに直交していない。このため、各端末は、すぐ近くの基地局と通信している他の端末に対して干渉を引き起こす可能性があり、また、これらの他の端末から干渉を受ける可能性もある。各端末のパフォーマンスは、他の基地局と通信している他の端末からの干渉によって低下する。
【0005】
従って、当分野においては、無線通信システムにおける干渉を軽減する技術に対する必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
本願明細書には、無線通信システムにおいて、隣接するセクタからの各セクタによって観測される干渉を制御する技術が記載されている。セクタmは、隣接するセクタ内の端末から観測される干渉を推定し、干渉推定値または関連する測定値を得る。ネットワークベースの干渉制御の場合、セクタmは、該干渉推定値に基づいて、セクタ間(inter-sector;IS)OSIレポートを生成し、有線接続、例えば、バックホウルを介して該隣接するセクタに該IS OSIレポートを送信する。また、セクタmは、該隣接するセクタからIS OSIレポートを受信し、受信したIS OSIレポートに基づいて、セクタm内の端末のためのデータ送信を調整する。セクタmは、(1)セクタmに対する新たな端末の承認を制御することにより、(2)既に承認されている端末の割当てを解除することにより、(3)該隣接するセクタに対する干渉を低減するように、セクタm内の端末をスケジューリングすることにより、および/または(4)セクタm内の端末に、該隣接するセクタに対してより小さな干渉を引き起こすトラヒックチャネルを割当てることにより、データ送信を調整することができる。
【0007】
以下、本発明の様々な態様及び実施形態を、さらに詳細に説明する。
【0008】
本発明の特徴及び本質は、同様の参照符号が、全体を通して類似のものを特定する図面と共に理解すれば、以下に記載した詳細な説明からより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】基地局及び端末を有する通信システムを示す。
【図2】干渉制御のために1つのセクタによって実行されるプロセスを示す。
【図3】干渉制御のために1つの端末によって実行されるプロセスを示す。
【図4】決定論的手法で送信電力を調節するプロセスを示す。
【図5】確率論的手法で送信電力を調節するプロセスを示す。
【図6】干渉制御に適した電力制御メカニズムを示す。
【図7】1つの端末と2つの基地局のブロック図を示す。
【図8】干渉制御に適した装置を示す。
【図9】干渉制御を実行するのに適した装置を示す。
【詳細な説明】
【0010】
「例示的な」という言葉は、本明細書において、「実施例、例又は例証として役に立つ」ことを意味するのに用いられる。「例示的」として本明細書において記述されたいかなる実施形態又はデザインは、他の実施形態又はデザインに優る好適な又は有利なものとして解釈する必要はない。
【0011】
図1は、複数の基地局110と複数の端末120とを有する無線通信システム100を示す。基地局は一般に、該端末と通信する固定局であり、アクセスポイント、ノードB又は他の用語で呼ぶこともできる。各基地局110は、特定の地理的領域102に対する通信カバレージを形成する。「セル」という用語は、この用語が用いられている文脈により、基地局及び/又はそのカバレージエリアを指す。システム容量を向上させるために、該基地局のカバレージエリアは、複数の小さなエリア、例えば、3つの小さなエリア104a、104b及び104cに分割することができる。各小さなエリアは、それぞれの基地トランシーバサブシステム(base transceiver subsystem;BTS)によってサービスが提供される。「セクタ」という用語は、この用語が用いられる文脈により、BTS及び/又はそのカバレージエリアを指す。セクタ化されたセルの場合、該セルの全てのセクタのためのBTSは、典型的には、該セルのための基地局と同一場所に配置される。システム制御装置130は、基地局110につながれ、これらの基地局のための調整及び制御を実行できる。
【0012】
端末は、固定又は携帯式とすることができ、移動局、無線デバイス、ユーザ機器と呼ぶこともでき、又は他の用語で呼んでもよい。各端末は、いつでもゼロ、1つ又は複数の基地局と通信することができる。
【0013】
本明細書に記載した干渉制御技術は、セクタ化したセルを有するシステム、及びセクタ化されていないセルを有するシステムに用いることができる。以下の説明において、「セクタ」という用語は、(1)セクタ化されたセルを有するシステムのための従来のBTS及び/又はそのカバレージエリア、及び(2)セクタ化されていないセルのための従来の基地局及び/又はそのカバレージエリアを指す。「端末」及び「ユーザ」という用語は同じ意味で用いられ、「セクタ」及び「基地局」という用語も、同じ意味で用いられる。サービスを提供する基地局/セクタは、端末が通信する基地局/セクタである。隣接する基地局/セクタは、該端末が通信していない基地局/セクタである。
【0014】
本発明の干渉制御技術は、様々な多元接続通信システムに用いることができる。例えば、これらの技術は、符号分割多元接続(code division multiple access;CDMA)システム、周波数分割多元接続(frequency division multiple access;FDMA)システム、時分割多元接続(time division multiple access;TDMA)システム、直交周波数分割多元接続(orthogonal frequency division multiple access;OFDMA)システム、インタリーブ(IFDMA)システム、ローカライズFDMA(LFDMA)システム、空間分割多元接続(spatial division multiple access;SDMA)システム、準直交多元接続システム(quasi-orthogonal multiple-access system)等に用いることができる。また、IFDMAは、分散型FDMAとも呼ばれ、LFDMAは、狭帯域FDMA又はクラシカルFDMAとも呼ばれる。OFDMAシステムは、直交周波数分割多重(orthogonal frequency division multiplexing;OFDM)を利用する。OFDM、IFDMA及びLFDMAは、システム全体の帯域幅を複数(K個)の直交周波数サブバンドに効率的に分割する。また、これらのサブバンドは、トーン、サブキャリア、ビン(bins)等とも呼ばれる。OFDMは、変調シンボルをK個のサブバンドの全て又はサブセット上の周波数領域で送信する。IFDMAは、K個のサブバンドの全域で一様に分散されている時間領域又はサブバンドで変調シンボルを送信する。LFDMAは、時間領域で、及び典型的には、隣接するサブバンドで変調シンボルを送信する。
【0015】
図1に示すように、各セクタは、該セクタ内の端末から「所望の」送信を、ならびに、他のセクタ内の端末から「干渉する」送信を受信する可能性がある。各セクタで観測される干渉の合計は、(1)同じセクタ内の端末からのセクタ内干渉と、(2)他のセクタ内の端末からのセクタ間干渉とから成る。OSIとも呼ばれるセクタ間干渉は、他のセクタ内の送信に対して直交していない、各セクタ内の送信によって生じる。このセクタ間干渉及びセクタ内干渉は、パフォーマンスに大きな影響を及ぼし、以下に説明するように、軽減されるかもしれない。
【0016】
セクタ間干渉は、ユーザベースの干渉制御及びネットワークベースの干渉制御等の様々なメカニズムを用いて制御することができる。ユーザベースの干渉制御の場合、上記端末には、隣接するセクタによって観測されたセクタ間干渉が知らされ、それに伴って、このセクタ間干渉が、許容可能なレベルの範囲内に維持されるように、送信電力を調節する。ネットワークベースの干渉制御の場合には、各セクタは、隣接するセクタによって観測されたセクタ間干渉を知らされ、このセクタ間干渉が許容可能なレベルの範囲内に維持されるように、この端末のためのデータ送信を調整する。このシステムは、ユーザベースの干渉制御のみを、又は、ネットワークベースの干渉制御のみを、あるいは両方を利用することができる。この干渉制御メカニズム、およびこれらの組合せは、以下に説明するように、様々な方法で実施することができる。
【0017】
図2は、1つのセクタmによって実行される、セクタ間干渉制御のためのプロセス200を示す。セクタmは、他のセクタ内の端末から観測される干渉を推定し、干渉推定値を得る(ブロック210)。加えて、生成された情報は、干渉推定値である必要はなく、他のセクタの端末のための、生の測定値および/またはセクタmによって得られるしきい値を構成してもよい。
【0018】
ユーザベースの干渉制御の場合、セクタmは、干渉推定に基づいて、オーバーザエアー(OTA)OSIレポートを生成する(ブロック212)。該OTA OSIレポートは、セクタmによって観測されたセクタ間干渉の量を伝達し、以下に説明するように、様々なかたちで伝えることができる。セクタmは、このOTA OSIレポートを、隣接するセクタ内の端末へ放送する(ブロック214)。これらの端末は、必要に応じて、セクタmからの該OTA OSIレポートに基づいて送信電力を調節し、セクタmによって観測されるセクタ間干渉の量を低減することができる。
【0019】
ネットワークベースの干渉制御の場合、セクタmは、干渉推定値に基づいて、インターセクタ(IS)OSIレポートを生成する(ブロック222)。このIS OSIレポート及びOTA OSIレポートは、同じか又は異なるフォーマットを有してもよい2つの干渉レポートである。例えば、該IS OSIレポートは、該OTA OSIレポートと同じであってもよい。別法として、該IS OSIレポートは、干渉しきい値、干渉測定値、経路損失、他のセクタで測定されたセクタmの端末からの受信電力、および/またはセクタmの端末によって引き起こされる干渉を判断するのに用いることができる他の何らかの情報に関連する情報からなっていてもよく、該IS OSIレポートからの他のセクタが受信される。セクタmは、該IS OSIレポートを隣接するセクタへ、定期的に、又は、セクタmが過剰な干渉を観測した場合にのみ送信してもよい(ブロック224)。また、セクタmは、隣接するセクタからIS OSIレポートを受信する(ブロック226)。IS OSIレポートが、セクタ間で交換される割合は、OTA OSIレポートがこれらの端末へ送信される割合と同じでも異なっていてもよい。セクタmは、隣接するセクタから受信したIS OSIレポートに基づいて、セクタm内の端末に対するデータ送信を調整する(ブロック228)。図2のブロックをさらに詳細に説明する。
【0020】
セクタmは、様々な方法でセクタ間干渉を推定することができる。直交多重を用いるシステムの場合、1つの端末は、データ又はパイロットを、各シンボル期間内に各サブキャリアで送信することができる。パイロットは、送信機及び受信機の両方で推測的に知られているシンボルの送信である。データシンボルは、データのための変調シンボルであり、パイロットシンボルは、パイロットのための変調シンボルであり、変調シンボルは、信号配列におけるポイント、例えば、M−PSK、M−QAM等のための複素数値である。
【0021】
セクタmは、以下のように、端末uから受信したパイロットに基づいて、所定のシンボル周期nで、所定のサブキャリアkに関する干渉を推定することができる。
【数1】

【0022】
ただし、
(k,n)は、シンボル周期nで、サブバンドkで端末uにより送信されたパイロットシンボルであり、
【数2】

【0023】
は、セクタmと端末uとの間のチャネル利得の推定値であり、
m,u(k,n)は、端末uからセクタmにより得られた受信シンボルであり、及び I(k,n)は、セクタmによって観測される干渉の推定値である。
【0024】
この式(1)における量は、スカラーである。
【0025】
また、セクタmは、以下のように、端末uから受信したデータに基づいて、干渉を推定することもできる。
【数3】

【0026】
ただし、
【数4】

【0027】
は、シンボル周期nでサブバンドkで端末uにより送信されるデータシンボルの推定値である。セクタmは、(1)チャネル推定値
【数5】

【0028】
を用いて、受信シンボルRm,u(k,n)に対してデータ検出を実行して、検出したシンボルを得ることにより、(2)検出したシンボルに基づいて、厳しい判断を導き出すことにより、及び(3)この厳しい判断をデータシンボル推定値として用いることにより、データシンボル推定値
【数6】

【0029】
を得ることができる。別法として、セクタmは、(1)受信したシンボルに対してデータ検出を実行することにより、(2)検出したシンボルを復号して、復号データを得ることにより、及び(3)復号したシンボルを再び符号化し、かつシンボルマッピングして、データシンボル推定値を得ることにより、該データシンボル推定値を得ることができる。
【0030】
また、セクタmは、複合チャネル及び干渉推定を実行して、チャネル応答推定値及び干渉推定値の両方を得ることもできる。
【0031】
式(1)又は式(2)から得られた干渉推定値I(k,n)は、セクタ間干渉及びセクタ内干渉の両方を含む。セクタ内干渉は、以下に説明するように、電力制御によって許容可能なレベル内に維持することができ、その結果、セクタ間干渉と比較して無視してもよい。
【0032】
セクタmは、周波数領域、空間領域及び/又は時間領域にわたって干渉推定値を平均化してもよい。例えば、セクタmは、複数の受信アンテナにわたって該干渉推定値を平均化することができる。セクタmは、次の平均化方式のうちのいずれか1つを用いて、全てのサブバンドに対して干渉推定値を平均化することができる。
【数7】

【0033】
ただし、I(n)は、シンボル周期nにおけるセクタmのための平均干渉電力であり、Pmonは、各サブバンドに対する公称受信電力を表す。I(k,n)及びI(n)は、式(3)〜式(5)における線形ユニット内にある。式(3)は相加平均のためのものであり、式(4)は、相乗平均のためのものであり、及び式(5)は、SNRベースの平均化のためのものである。相加平均の場合、いくつかの干渉推定値は、平均干渉電力を歪曲する可能性がある。相乗平均及びSNRベースの平均化は、少数のサブバンドに対する大きな干渉推定値を抑えることができる。
【0034】
また、セクタmは、複数のシンボル周期に対して平均干渉電力をフィルタリングして、干渉推定値の品質を向上させることもできる。このフィルタリングは、有限インパルス応答(finite impulse response;FIR)フィルタ、無限インパルス応答(infinite impulses response;IIR)フィルタ、又は、他の種類のフィルタを用いて実現することができる。セクタmは、1つ又は複数のシンボル周期に及ぶ可能性がある各測定周期の測定干渉値Imeas,mを得る。
【0035】
セクタmは、測定した干渉に基づいて、OTA OSIレポートを生成する。一実施形態において、該測定した干渉は、該OTA OSIレポート内に含まれる所定数のビットに量子化される。別の実施形態においては、該OTA OSIレポートは、測定した干渉が、干渉しきい値より大きいか又は小さいかを示す単一ビットを含む。また別の実施例においては、該OTA OSIレポートは、複数の干渉しきい値に関連する測定した干渉を伝達する複数ビットを含む。明確にするため、以下の説明は、該OTA OSIレポートが、2つの干渉しきい値に関連する測定した干渉を伝達する実施形態に対するものである。
【0036】
一実施形態において、該OTA OSIレポートは、OSIビット1及びOSIビット2と呼ばれる2つのバイナリOSIビットを含む。これらのOSIビットは、次のように設定することができる。
【数8】

【0037】
ただし、Inom_thは、公称干渉しきい値であり、Ihigh_thは、高干渉しきい値であり、及びIhigh_th>Inom_thである。OSIビット1は、測定した干渉が、公称干渉しきい値以上か又は以下かを示す。OSIビット2は、測定した干渉が、高干渉しきい値以上か又は以下かを示す。この実施形態の場合、セクタmは、測定した干渉がInom_th以下である場合には低干渉を、測定した干渉が、Inom_thとIhigh_thの間である場合には高干渉を、及び測定した干渉がIhigh_th以上の場合には過剰な干渉を観測していると判断される。OSIビット2は、該セクタによって観測される過剰な干渉を表すのに用いることができる。
【0038】
別の実施形態においては、OTA OSIレポートは、3つのレベルを有する単一のOSI値を含む。このOSI値は、次のように設定することができる。
【数9】

【0039】
3つのレベルのOSI値は、3つの信号ポイントを有する単一の群を用いて送信することができる。例えば、‘0’というOSI値は、1+j0又はej0というシンボルを用いて送信することができ、‘1’というOSI値は、0+j1又はejπ/2というシンボルを用いて送信することができ、及び‘2’というOSI値は、−1+j0又はejπというシンボルを用いて送信することができる。
【0040】
別法として、セクタmは、セクタmによって観測される総干渉電力と熱雑音電力との比である測定されたIOT(interference-over-thermal)を得ることができる。総干渉電力は、上述したように計算することができる。熱雑音電力は、送信機を停止させて、該受信機における雑音を測定することによって推定することができる。該システムに対しては、特定の作動点を選択することができる。より高い作動点は、端末が、平均してより高い電力レベルで送信することを可能にする。しかし、高い作動点は、リンク量に悪影響を及ぼし、好ましくない可能性がある。所定の最大送信電力及び所定のデータレートの場合、許容最大経路損失は、IOTが増加するのに伴って低下する。また、非常に高い作動点も、該システムは、干渉限定になる可能性があり、これは、それによって、送信電力の増加が、受信SNRの増加につながらない状況であるため、好ましくない。さらに、非常に高い作動点は、システムの不安定性を増す。どのような場合でも、セクタmは、次のように、3つのレベルのOSI値を設定することができる。
【数10】

【0041】
ただし、IOTnom_thは、公称IOTしきい値であり、IOThigh_thは、高いIOTしきい値である。
【0042】
OSIビット/値は、過剰な干渉の指示が非常に頻繁に切り替わらないようなヒステリシスを用いて生成することもできる。例えば、OSIビット2は、測定した干渉が、第1の期間TW1(例えば、50ミリ秒)、高いしきい値を超えた場合にのみ‘1’に設定することができ、また、測定した干渉が、第2の期間Tw2、該高いしきい値以下になった場合にのみ‘0’にリセットすることができる。別の実施例として、OSIビット2は、測定した干渉が、第1の高いしきい値Ihigh_th1を超えた場合にのみ‘1’に設定し、その後、測定した干渉が、第2の高いしきい値Ihigh_th2(ただし、Ihigh_th1>Ihigh_th2)以下に低下した場合にのみ‘0’にリセットしてもよい。
【0043】
セクタmは、ユーザベースの干渉制御の場合に、2つのOSIビット又は3つのレベルのOSI値を含むことができるOTA OSIレポートを放送する。セクタmは、このOTA OSIレポートを様々な方法で放送することができる。一実施形態において、セクタmは、該OTA OSIレポートを、各測定期間に放送する。別の実施形態においては、セクタmは、各測定期間に、OSIビット1を放送し、このビットが‘1’に設定されている場合にのみOSIビット2を放送する。また、セクタmは、より良いOSIカバレージのために、他のセクタから、セクタm内の端末へOSIレポートを放送してもよい。
【0044】
また、セクタmは、そのIS OSIレポートを、ネットワークベースの干渉制御のために該隣接するセクタへ送信する。該IS OSIレポートは、2つのOSIビット、3つのレベルのOSI値、所定数のビットに量子化された、または非量子化された測定干渉、IOTnom_th、IOThigh_th及びIOTmeas,m、Inom_th、Ihigh_th及びImeas,m、経路損失、他のセクタで測定されたセクタmの端末からの受信電力、他の情報、およびこれらの組合せを含んでもよい。セクタmは、各測定期間に、又は、過剰な干渉が観測された場合にのみ、あるいは、他の判断基準が満たされた場合に、該IS OSIレポートを送信してもよい。別のセクタqは、セクタmに、セクタq内の端末が、セクタmからOSIビットを受信することができないことを示している場合、IS OSIレポートを送信するように要求してもよい。各セクタは、隣接するセクタからのIS OSIレポートを用いて、該セクタ内の端末からのデータ送信を制御し、該隣接するセクタにおけるセクタ間干渉を緩和する。
【0045】
ネットワークベースの干渉制御は、様々な方法で実現することができる。以下、ネットワークベースの干渉制御のいくつかの実施形態について説明する。
【0046】
一実施形態において、セクタmは、隣接するセクタから受信したIS OSIレポートに基づいて、該セクタ内の端末をスケジューリングする。例えば、1つ以上のセクタが、過剰な干渉を観測した場合、セクタmは、これらの端末が、他のセクタに対してより少ない干渉を引き起こすように、セクタm内の不利な条件下にある端末によって使用される送信電力を低減することができる。不利な条件下にある端末は、サービングセクタのために、小さなチャネル利得(又は、大きな経路損失)を有し、該サービングセクタにおいて、所定の信号対雑音および干渉比(SNR)を達成するために、高い電力レベルで送信する必要がある。この不利な条件下にある端末は、典型的には、隣接するセクタに近接して配置され、この高い送信電力レベルは、この隣接するセクタに対して高いセクタ間干渉をもたらす。
【0047】
セクタmは、チャネル利得、パイロット強度、キャリア対雑音比(C/N)、チャネル利得比等の様々な品質評価指標に基づいて、不利な条件下にある端末を識別することができる。これらの品質評価指標は、該端末によって送信されるパイロット及び/又は他の送信に基づいて推定することができる。例えば、端末のための推定されたチャネル利得は、チャネル利得しきい値と比較することができ、該端末は、そのチャネル利得がチャネル利得しきい値以下である場合には、不利な条件下にある端末であるとみなすことができる。加えて、不利な条件下にある端末は、IS OSIレポート及びこれらの測定値、例えば、IOTmeas,mまたは測定した受信電力で識別することができる。さらに、ある場合においては、該IS OSIレポートは、以下に説明する異なるアプローチの利用を可能にするために、これ以上要することなく、端末の識別に関する情報を生成することができる。
【0048】
セクタmは、(1)該端末に対して適用できる高い送信電力限界を低くすることにより、(2)該端末に適用できる低い送信電力限界を低くすることにより、(3)該不利な条件下にある端末に、より低いSNR、ならびにより低い送信電力を必要とするより低いデータレートを割当てることにより、(4)データ送信に対して、不利な条件下にある端末をスケジューリングしないことにより、又は(5)他の方法又は方法の組合せを用いることにより、該不利な条件下にある端末によって使用される送信電力を低減することができる。
【0049】
別の実施形態において、セクタmは、承認制御を用いて、隣接するセクタによって観測されるセクタ間干渉を緩和する。例えば、1つ以上の隣接するセクタが過剰な干渉を観測した場合、セクタmは、(1)逆方向リンクで送信することを要求する新たな端末へのアクセスを拒否することにより、(2)不利な条件下にある端末へのアクセスを拒否することにより、(3)既にアクセスを許可されている端末に割当てをしないことにより、(4)不利な条件下にある端末に割当てをしないことにより、又は(5)他の承認制御方法を用いることにより、該セクタ内のアクティブな端末の数を低減することができる。割当てをしない端末の割合は、隣接するセクタからのIS OSIレポート(例えば、観測された干渉レベル)、過剰な干渉を観測する隣接するセクタの数、及び/又は他の要因の関数にすることもできる。その結果、セクタmは、該隣接するセクタからのIS OSIレポートに基づいて、該セクタのローディングを調整することができる。
【0050】
また別の実施例においては、セクタmは、該隣接するセクタによって観測されるセクタ間干渉を緩和するように、該端末にトラヒックチャネルを割当てる。例えば、各セクタには、該セクタ内の端末にも割当てることができるトラヒックチャネルのセットを割当てることができる。また、隣接するセクタは、各セクタに割当てられたトラヒックチャネルのセットと直交するトラヒックチャネルの共通セットを共有してもよい。1つ以上の隣接するセクタが過剰な干渉を観測した場合、セクタmは、セクタm内の不利な条件下にある端末に、該共通セット内のトラヒックチャネルを割当てることができる。その結果、これらの不利な条件下にある端末は、該共通セット内のトラヒックチャネルが、隣接するセクタに割当てられたトラヒックチャネルに対して直交しているため、該隣接するセクタに対して干渉を引き起こさない。別の実施例として、各セクタは、高レベルの干渉を許容することができる強力な端末に割当てることができるトラヒックチャネルのセットを割当てることができる。1つ以上の隣接するセクタが過剰な干渉を観測した場合、セクタmは、セクタm内の不利な条件下にある端末に、該隣接するセクタ内の強力な端末に割当てられたトラヒックチャネルを割当てることができる。
【0051】
上記のアプローチのうちの1つ以上の組合せも、柔軟性をもたらすために、または他の理由により、用いることができる。
【0052】
明確にするため、上記の説明のほとんどは、1つのセクタmの場合のものである。該システムにおける各セクタは、セクタmの場合に上述したような干渉制御を実行することができる。
【0053】
ユーザベースの干渉制御は、様々な方法で実現することができる。一実施形態において、ユーザベースの干渉制御は、該端末が、隣接するセクタから受信したOTA OSIレポートに基づいて、これらの送信電力を自立的に調節できるようにすることにより実現される。
【0054】
図2は、ネットワークベース及びユーザベースの両方の干渉制御を用いることを示しているが、一方のみのアプローチを用いてもよいことに留意すべきである。例えば、ブロック212及び214は省略してもよく、全ての干渉制御を、例えば、ブロック222〜228に関して議論したように、ネットワークベースの干渉制御のみを用いることによって実行してもよい。
【0055】
図3は、干渉制御のために、1つの端末uによって実行されるプロセス300を示す。端末uは、隣接するセクタからOTA OSIレポートを受信する(ブロック312)。次いで、この隣接するセクタが過剰な干渉を観測したか否か、例えば、OSIビット2が ‘1’に設定されているか否かの判断がなされる(ブロック314)。その答えがイエスの場合には、端末uは、大きなダウンステップサイズで及び/又はより速いレートで、その送信電力を低減する(ブロック316)。そうでない場合、該隣接するセクタが高い干渉を観測したか否か、例えば、OSIビット1が‘1’に設定されており、かつOSIビット2が‘0’に設定されているか否かの判断がなされる(ブロック318)。その答えがイエスの場合には、端末uは、公称ダウンステップサイズで及び/又は公称レートでその送信電力を低減する(ブロック320)。そうでない場合、端末uは、公称アップステップサイズで及び/又は公称レートで、その送信電力を増加させる(ブロック322)。
【0056】
図3は、OTA OSIレポートが、3つの可能性のあるレベル、すなわち、低、高及び過剰のうちの1つで、隣接するセクタによって観測されたセクタ間干渉を伝達する実施形態を示す。プロセス300は、どのような数の干渉レベルもカバーするように拡張することができる。一般的には、端末uのための送信電力は、(1)測定された干渉が、所定のしきい値以上である場合、隣接するセクタによって観測される干渉の量に比例するダウンステップ(例えば、より高い干渉に対してより大きなダウンステップ)によって低減し、及び/又は(2)測定される干渉が、該所定のしきい値以下である場合、該隣接するセクタによって観測される干渉の量に反比例するアップステップによって増加させることができる。また、ステップサイズ及び/又は調節割合は、例えば、該端末のための現在の送信電力レベル、該サービングセクタのためのチャネル利得に対する該隣接するセクタのためのチャネル利得、推測的なOTA OSIレポート等の他のパラメータに基づいて決めることもできる。
【0057】
端末uは、1つ以上の隣接するセクタからのOTA OSIレポートに基づいて、その送信電力を調整することができる。端末uは、該セクタから受信したパイロットに基づいて、各セクタのためのチャネル利得を推定することができる。その結果、端末uは、次のように、各隣接するセクタのためのチャネル利得比を得ることができる。
【数11】

【0058】
ただし、
ns,i(n)は、端末uと隣接するセクタとの間のチャネル利得であり、
ss(n)は、端末uとサービングセクタとの間のチャネル利得であり、
(n)は、隣接するセクタiの場合のチャネル利得比である。
【0059】
一実施形態において、端末uは、最も大きなチャネル利得比を有する最強の隣接するセクタを識別する。そして、端末uは、この最強の隣接するセクタのみからのOTA OSIレポートに基づいて、その送信電力を調節する。別の実施形態においては、端末uは、OSIセット内の全てのセクタからのOTA OSIレポートに基づいて、その送信電力を調節する。このOSIセットは、(1)最強の隣接するセクタ、ただし、T≧1、(2)チャネル利得比しきい値を超えるチャネル利得比を有する隣接するセクタ、(3)チャネル利得しきい値を超えるチャネル利得を有する隣接するセクタ、(4)サービングセクタによって送信された隣接リストに含まれる隣接するセクタ、又は(5)隣接するセクタからなる他の群を含んでもよい。端末uは、該OSIセット内の複数の隣接するセクタからのOTA OSIレポートに基づいて、様々な方法で、その送信電力を調節することができる。例えば、端末uは、該OSIセット内のいずれかの隣接するセクタが、高い又は過剰な干渉を観測した場合、その送信電力を低下させることができる。別の実施例として、端末uは、該OSIセット内の各隣接するセクタのための送信電力調節を判断することができ、その結果、該OSIセット内の全ての隣接するセクタのためのこの調節を結合して、全体的な送信電力調節を得ることができる。
【0060】
一般的に、干渉制御のための送信電力調節は、様々な電力制御方式と共に実行することができる。明確にするため、以下に、特定の電力制御方式を説明する。この電力制御方式の場合、端末uに割当てられたトラヒックチャネルの場合の送信電力は、以下で表すことができ、
dch(n)=Pref(n)+ΔP(n) 式(10)
ただし、
dch(n)は、更新間隔nの場合のトラヒックチャネルのための送信電力であり、 Pref(n)は、更新間隔nの場合の基準電力であり、及び
ΔP(n)は、更新間隔nの場合の送信電力差分である。
【0061】
送信電力レベルPdch(n)及びPref(n)及び送信電力差分ΔP(n)は、デシベル(dB)という単位で示される。
【0062】
基準電力レベルPref(n)は、制御チャネル又は他の送信で端末uによって送信されるシグナリングとすることができる指定された送信の場合のターゲットSNRを達成するのに必要な送信電力の量である。該基準電力レベル及びターゲットSNRは、指定された送信に対して、所望のレベルのパフォーマンス、例えば、1%のパケットエラーレート(packet error rate;PER)を実現するように調節することができる。該トラヒックチャネルでのデータ送信及び該指定された送信が、同様の雑音及び干渉特性を観測した場合には、該データ送信の場合の受信SNR、すなわち、SNRdch(n)は、以下のように推定することができる。
【0063】
SNRdch(n)=SNRtarget+ΔP(n) 式(11)
送信電力差分ΔP(n)は、隣接するセクタからのOTA OSIレポートに基づいて、決定論的方法、確率論的方法又は他の方法で調節することができる。送信電力は、(1)決定論的調節を用いた、異なる干渉レベルに対する異なる量により、又は(2)確率論的調節を用いた、異なる干渉レベルに対する異なるレートで、調節することができる。以下、例示的な決定論的及び確率論的送信電力調節について説明する。単純化するため、以下の説明は、1つの隣接するセクタから受信したOSIビットの場合の送信電力調節に対するものとする。このOSIビットは、OSIビット1又は2とすることができる。
【0064】
図4は、決定論的方法で、端末uの送信電力を調節するプロセス400を示す。最初に、端末uは、隣接するセクタからのOTA OSIレポートを処理し(ブロック412)、OSIビットが‘1’であるか又は‘0’であるかを判断する(ブロック414)。OSIビットが、観測された干渉が干渉しきい値を超えていることを示す‘1’である場合には、端末uは、送信電力の低減量、又は、ダウンステップサイズΔPdn(n)を決める(ブロック422)。ΔPdn(n)は、前の更新間隔の場合の送信電力差分、すなわち、ΔP(n−1)、及び隣接するセクタの場合のチャネル利得比rns(n)に基づいて決めることができる。その結果、端末uは、送信電力差分を、ΔPdn(n)だけ減少させる(ブロック424)。逆に、OSIビットが‘0’である場合には、端末uは、送信電力の増加量、又はアップステップサイズΔPup(n)を決める(ブロック432)。またΔPup(n)は、ΔP(n−1)及びrns(n)に基づいて決めることもできる。この結果、端末uは、送信電力差分をΔPup(n)だけ増加させる(ブロック434)。ブロック424及び434における送信電力調節は、以下のように表すことができる。
【数12】

【0065】
ブロック424及び434の後、端末uは、次に示すように、許容可能な送信電力差分の範囲内に入るように、送信電力差分ΔP(n)を制限する(ブロック442)。
【0066】
ΔP(n)∈[ΔPmin,ΔPmax] 式(13)
ただし、
ΔPminは、トラヒックチャネルに対して許容可能な最小送信電力差分であり、
ΔPmaxは、該トラヒックチャネルに対して許容可能な最大送信電力差分である。
【0067】
セクタ内の全ての端末に対する送信電力差分を、式(13)に示すように、送信電力差分の範囲内に制限することにより、セクタ内干渉を許容可能なレベル内に維持することができる。最小送信電力差分ΔPminは、各端末が、該端末が属するサービス品質(quality of service;QoS)クラスのための要件を確実に満たすことができる制御ループによって調節することができる。異なるQoSクラスの場合のΔPminは、異なるレートで及び/又は異なるステップサイズで調節することができる。
【0068】
次いで、端末uは、式(10)に示すように、送信電力差分ΔP(n)及び基準電力レベルPref(n)に基づいて、トラヒックチャネルのための送信電力Pdch(n)を計算する(ブロック444)。端末uは、次に示すように、最大電力レベルPmaxの範囲内に入るように送信電力Pdch(n)を制限する(ブロック446)。
【数13】

【0069】
端末uは、該トラヒックチャネルでのデータ送信のための送信電力Pdch(n)を用いる。
【0070】
一実施形態において、ΔPdn(n)及びΔPup(n)ステップサイズは、
【数14】

【0071】
ただし、ΔPdn,min及びΔPup,minは、それぞれ、ΔPdn(n)及びΔPup(n)に対する最小値であり、
dn及びkupは、それぞれ、ΔPdn(n)及びΔPup(n)に対する倍率であり、
dn()及びfup()はそれぞれ、ΔPdn(n)及びΔPup(n)を計算するための関数である。
【0072】
関数fdn()は、ΔPdn(n)が、ΔP(n−1)及びrns(n)の両方に関連するように定義することができる。隣接するセクタが、高いか又は過剰な干渉を観測した場合、(1)該隣接するセクタのためのより大きなチャネル利得が、より大きなΔPdn(n)をもたらし、及び(2)ΔP(n−1)のより大きな値が、より大きなΔPdn(n)をもたらす。関数fup()は、ΔPup(n)が、ΔP(n−1)及びrns(n)の両方に反比例するように定義することができる。該隣接するセクタが低い干渉を観測した場合には、(1)該隣接するセクタのためのより大きなチャネル利得が、より小さなΔPup(n)をもたらし、(2)ΔP(n−1)のより大きな値が、より小さなΔPup(n)をもたらす。
【0073】
図4は、1つの隣接するセクタからの1つのOSIビットのための処理を示す。該隣接するセクタが過剰な干渉を観測した場合には、より大きな値をΔPdn(n)に対して用いることができる。該隣接するセクタが、高い干渉を観測した場合は、より小さな値をΔPdn(n)に対して用いることができる。異なるダウンステップサイズは、例えば、高い及び過剰な干渉に対して、それぞれ、異なる倍率kdn1及びkdn2を用いることによって得ることができる。
【0074】
図5は、確率論的方法で、端末uの送信電力を調節するプロセス500を示す。最初に、端末uは、隣接するセクタからのOTA OSIレポートを処理し(ブロック512)、OSIビットが‘1’であるか又は‘0’であるかを判断する(ブロック514)。OSIビットが‘1’である場合、端末uは、例えば、ΔP(n−1)及びrns(n)に基づいて、送信電力Prdn(n)を低下させる確率を判断する(ブロック522)。次いで端末uは、0.0と1.0の間の値xを任意に選択し、ただし、xは、0.0と1.0の間に均一に分散された任意の変数である(ブロック524)。xが、ブロック526で判断されたように、Prdn(n)以下である場合、端末uは、その送信電力差分をΔPdnだけ減少させる(ブロック528)。そうではなく、xがPrdn(n)より大きい場合には、端末uは、送信電力差分を現在のレベルに維持する(ブロック530)。
【0075】
ブロック514において、OSIビットが‘0’である場合、端末uは、例えば、ΔP(n−1)及びrns(n)に基づいて、送信電力Prup(n)を増加させる確率を判断する(ブロック532)。次いで、端末uは、0.0と1.0の間の値xを任意に選択する(ブロック534)。ブロック536で判断されたように、xがPrup(n)以下の場合は、端末uは、その送信電力を、ΔPupだけ増加させる(ブロック538)。そうではなく、xがPrup(n)より大きい場合には、端末uは、送信電力差分を現在のレベルに維持する(ブロック530)。ブロック528、530及び538における送信電力調節は、以下のように表すことができる。
【数15】

【0076】
ΔPdn及びΔPupは、同じ値(例えば、0.25dB、0.5dB、1.0dB等)であってもよく、あるいは、異なる値であってもよい。
【0077】
ブロック528、530及び538の後、端末uは、式(13)に示すように、送信電力差分を制限する(ブロック542)。次いで、端末uは、式(10)に示すように、送信電力差分ΔP(n)及び基準電力レベルPref(n)に基づいて、送信電力Pdch(n)を計算し(ブロック544)、式(14)に示すように、送信電力Pdch(n)が、最大電力レベル内になるようにさらに制限する(ブロック546)。端末uは、トラヒックチャネルでのデータ送信のための送信電力Pdch(n)を用いる。
【0078】
一実施形態において、確率は、次のように計算される。
【数16】

【0079】
ただし、
Prdn,min及びPrup,minは、それぞれ、Prdn(n)及びPrup(n)に対する最小値であり、
f’dn()及びf’up()は、それぞれ、Prdn(n)及びPrup(n)を計算するための関数である。
【0080】
関数f’dn()は、Prdn(n)が、ΔP(n−1)及びrns(n)の両方に関連するように定義することができる。隣接するセクタが、高いか又は過剰な干渉を観測した場合、該隣接するセクタのためのより大きなチャネル利得が、より大きなPrdn(n)をもたらし、(2)ΔP(n−1)のより大きな値が、より大きなPrdn(n)をもたらす。より大きなPrdn(n)は、送信電力を低減するというより高い確率をもたらす。関数f’up()は、Prup(n)が、ΔP(n−1)及びrns(n)の両方に逆比例するように定義することができる。隣接するセクタが、低い干渉を観測した場合は、(1)該隣接するセクタのためのより大きなチャネル利得が、より小さなPrup(n)をもたらし、及び(2)ΔP(n−1)のより大きな値が、より小さなPrup(n)をもたらす。より小さなPrup(n)は、送信電力を増加させるというより低い確率をもたらす。
【0081】
図5は、1つの隣接するセクタからの1つのOSIビットの場合の処理を示す。該隣接するセクタが、過剰な干渉を観測した場合、より大きな値をPrdn(n)に用いることができる。該隣接するセクタが、高い干渉を観測した場合は、より小さな値をPrdn(n)に用いることができる。異なるダウン確率及び電力調節の異なるレートは、例えば、高い及び過剰な干渉に対して、それぞれ、異なる倍率kdn1及びkdn2を用いることによって得ることができる。
【0082】
一般的に、様々な関数をΔPdn(n)及びΔPup(n)ステップサイズ及びPrdn(n)及びPrup(n)の確率を計算するのに用いることができる。関数は、現在の送信電力、現在の送信電力差分、現在のOTA OSIレポート、これまでのOTA OSIレポート、チャネル利得等の様々なパラメータに基づいて定義することができる。各関数は、送信電力調節の収束レート及び該システムにおける端末の場合の送信電力差分の分布等の様々な電力制御特性に異なる影響を及ぼす可能性がある。また、ステップサイズ及び確率は、ルックアップテーブルに基づいて、又は、他の手段によって、判断することができる。
【0083】
また、上述した送信電力調節及び/又は承認制御は、QoSクラス、ユーザ優先度クラス等に基づいて実行することもできる。例えば、救急サービスを用いる端末及びポリス端末は、より高い優先度を有してもよく、また、より速いレートで及び/又は通常の優先度のユーザよりも大きなステップサイズで、送信電力を調節することができる。別の実施例として、音声トラヒックを送信する端末は、より遅いレートで及び/又はより小さなステップサイズで送信電力を調節することができる。
【0084】
端末uは、送信電力が、隣接するセクタから受信した前のOTA OSIレポートに基づいて調節される方法を変えてもよい。例えば、端末uは、隣接するセクタが過剰な干渉を報告した場合、特定のダウンステップサイズによって、及び/又は特定のレートで、その送信電力を低減することができ、また、該隣接するセクタが、過剰な干渉を報告し続けている場合には、より大きなダウンステップサイズによって、及び/又はより速いレートで、送信電力を低減することができる。別法として、又は追加的に、端末uは、隣接するセクタが、過剰な干渉を報告した場合、又は、該隣接するセクタが、過剰な干渉を報告し続けている場合には、式(13)におけるΔPminを無視してもよい。
【0085】
ここまで、セクタ間干渉を緩和する電力制御の様々な実施形態を説明してきた。干渉及び電力制御は、他の方法でも実行することができ、また、これは、本発明の範囲内にある。
【0086】
一実施形態において、各セクタは、上述したように、OTA OSIレポートwo、隣接するセクタ内の端末へ放送する。該OTA OSIレポートは、十分な送信電力で放送して、該隣接するセクタにおける所望のカバレージを実現することができる。各端末は、該隣接するセクタから該OTA OSIレポートを受信し、十分に低い誤検出レート及び十分に低い誤認警報の可能性を実現するように、これらのOTA OSIレポートを処理することができる。誤検出は、既に送信されているOSIビット又は値を検出する不具合を指す。誤認警報は、受信したOSIビット又は値の誤検出を指す。例えば、OSIビットがBPSKを用いて送信される場合、端末は、受信したOSIビットが、(1)検出したOSIビットが、第1のしきい値以下である、すなわち、OSIビット<−Bthである場合には、‘0’であることを、(2)検出したOSIビットが、第2のしきい値を超える、すなわち、OSIビット>+Bthである場合には、‘1’であることを、及び(3)そうでない場合、すなわち、+Bth≧OSIビット≧−Bthである場合には、ヌルビットであることを宣言することができる。該端末は、典型的には、検出に用いられるしきい値を調節することにより、誤検出レートと誤認警報の可能性とをトレードオフすることができる。
【0087】
別の実施形態においては、各セクタは、隣接するセクタによって生成されたOTA OSIレポートを、このセクタ内の端末に放送する。それに伴って、各セクタは、隣接するセクタのためのプロキシとして機能する。この実施形態は、該端末が、サービングセクタからのOTA OSIレポートを受信することができるため、各端末が、該隣接するセクタによって生成されるOTA OSIレポートを確実に受信できるようにすることが可能である。この実施形態は、セクタのカバレージサイズが等しくない非対称ネットワーク配置によく適している。より小さなセクタは、典型的には、より低い電力レベルで送信し、これらのより小さなセクタによって放送されたOTA OSIレポートは、隣接するセクタ内の端末によって、確実に受信することができない可能性がある。その結果、このより小さなセクタは、該隣接するセクタによって放送されるOTA OSIレポートを有することによって利益を得ることになる。
【0088】
一般的には、所定のセクタmは、どのような数の他のセクタ及び該他のセクタのうちのいずれか1つによって生成されたOTA OSIレポートも放送することができる。一実施形態において、セクタmは、セクタmのための隣接リスト内のセクタによって生成されたOTA OSIレポートを放送する。該隣接リストは、ネットワークオペレータにより、又は他の方法で形成することができる。別の実施形態においては、セクタmは、セクタm内の端末からなるアクティブなセットに含まれている全てのセクタによって生成されたOTA OSIレポートを放送する。各端末は、該端末が通信している全てのセクタを含むアクティブなセットを維持することができる。セクタは、該端末が、一方のセクタから他方のセクタへハンドオフされる際に、該アクティブなセットに付加することができ、又は、該アクティブなセットから除去することができる。また別の実施例においては、セクタmは、セクタm内の端末からなる対象セットに含まれている全てのセクタによって生成されたOTA OSIレポートを放送する。各端末は、該端末が通信することのできる全てのセクタを含む対象セットを維持することができる。セクタは、例えば、チャネル利得及び/又は他のパラメータに基づいて、この対象セットに付加することができ、又は、該対象セットから除去することができる。また別の実施形態においては、セクタmは、セクタm内の端末からなるOSIセットに含まれている全てのセクタによって生成されたOTA OSIレポートを放送する。各端末のためのOSIセットは、上述したように定義することができる。
【0089】
上述したように、該システムは、ユーザベースの干渉制御のみを、又は、ネットワークベースの干渉制御のみを利用してもよい。ユーザベースの干渉制御は、各セクタ及び各端末が自立的に作動することができるため、実施するのがより簡単である可能性がある。ネットワークベースの干渉制御は、干渉制御が、よく調整された方法で実行されるため、改善されたパフォーマンスをもたらすことができる。また、該システムは、ユーザベースの干渉制御及びネットワークベースの干渉制御の両方を同時に利用することもできる。また、該システムは、常にユーザベースの干渉制御を利用してもよく、また、過剰な干渉が観測された場合にのみ、ネットワークベースの干渉制御を起動してもよい。また、該システムは、異なる作動条件に対して、各種の干渉制御を起動してもよい。
【0090】
図6は、システム100における端末120xのための送信電力を調節するのに用いることができる電力制御メカニズム600を示す。端末120xは、サービングセクタ110xと通信し、隣接するセクタ110a〜1101に対して干渉を引き起こす可能性がある。電力制御メカニズム600は、(1)端末120xとサービングセクタ110xとの間で機能するリファレンスループ610と、(2)端末120xと、隣接するセクタ110a〜1101との間で機能する第2のループとを含む。リファレンスループ610及び第2のループ620は、同時に機能することができるが、リファレンスループ610が、第2のループ620よりも速いループである状態で、異なるレートで更新することができる。単純化するため、図6は、端末120xに存在するループ610及び620の一部のみを示す。
【0091】
リファレンスループ610は、サービングセクタ110xで測定された、指定された送信のための受信SNRが、ターゲットSNRに限りなく近くなるように、基準電力レベルPref(n)を調節する。リファレンスループ610の場合、サービングセクタ110xは、該指定された送信のための受信SNRを推定し、該受信SNRをターゲットSNRと比較し、この比較結果に基づいて、送信電力制御(transmit power control;TPC)コマンドを生成する。各TPCコマンドは、(1)基準電力レベルの増加を指示するUPコマンド、又は(2)該基準電力レベルの減少を指示するDOWNコマンドのいずれかとすることができる。サービングセクタ110xは、このTPCコマンドを順方向リンク(雲670)で端末120xへ送信する。
【0092】
端末120xにおいて、TPCコマンドプロセッサ642は、サービングセクタ110xによって送信されたTPCコマンド検出して、TPC決定を生成する。各TPC決定は、受信したTPCコマンドがUPコマンドであると判断される場合にはUP決定とし、受信したTPCコマンドがDOWNコマンドであると判断される場合にはDOWN決定とすることができる。基準電力調節ユニット644は、このTPC決定に基づいて基準電力レベルを調節する。ユニット644は、各UP決定に対するアップステップによりPref(n)を増加させ、各DOWN決定に対するダウンステップによりPref(n)を減少させることができる。送信(TX)データプロセッサ660は、指定された送信を増減させて、基準電力レベルを実現する。端末120xは、指定された送信をサービングセクタ110xへ送信する。
【0093】
典型的には、時間と共に変化し、特に、携帯端末の場合に変化する、逆方向リンク(雲640)上での経路損失、フェージング及びマルチパス効果により、指定された送信の場合の受信SNRは、継続的に変動する。リファレンスループ610は、逆方向リンクチャネル状態の変化がある場合に、指定された送信の場合の受信SNRを、ターゲットSNRに、又はターゲットSNR近くに維持しようと努める。
【0094】
第2のループ620は、できる限り高い電力レベルがトラヒックチャネルに使用されると共に、セクタ間干渉を許容可能なレベル内に保つように、端末120xに割当てられた該トラヒックチャネルのための送信電力Pdch(n)を調節する。第2のループ620の場合、各隣接するセクタ110は、逆方向リンクで送信を受信し、他のセクタ内の端末からの、該隣接するセクタによって観測されるセクタ間干渉を推定し、この干渉推定値に基づいてOTA OSIレポートを生成し、該OTA OSIレポートを、該他のセクタ内の端末へ放送する。
【0095】
端末120xにおいて、OSIレポートプロセッサ652は、隣接するセクタによって放送されたOTA OSIレポートを受信し、検出したOSIレポートを送信電力差分計算ユニット656へ提供する。チャネル推定器654をサービングセクタ及び隣接するセクタからパイロットを受信し各セクタのためのチャネル利得を推定し、全てのセクタのための該推定されたチャネル利得をユニット656に与える。ユニット656は、隣接するセクタのためのチャネル利得比を判断して、上述したように、検出されたOSIレポート及びチャネル利得比に基づいて、送信電力差分ΔP(n)をさらに調節する。ユニット656は、図3〜図5に示すプロセス300、400及び/又は500を実施することができる。送信電力計算ユニット658は、ユニット644からの基準送信レベルPref(n)、ユニット656からの送信電力差分ΔP(n)及び場合により他の要素に基づいて、送信電力Pdch(n)を計算する。TXデータプロセッサ660は、サービングセクタ110xへのデータ送信のために送信電力Pdch(n)を用いる。
【0096】
図6は、干渉制御に用いることができる例示的な電力制御メカニズムを示す。干渉制御は、他の方法で、及び/又は上述したのとは異なるパラメータを用いて実行することもできる。
【0097】
図7は、端末120x、サービング基地局110x及び隣接する基地局110yからなる実施形態のブロック図を示す。明確にするため、以下の説明は、図6に示す電力制御メカニズム600の使用を想定する。
【0098】
逆方向リンク上で、端末120xにおいて、TXデータプロセッサ710は、逆方向リンク(reverse link;RL)トラヒックデータ及び制御データを符号化し、インタリーブし、及びシンボルマッピングして、データシンボルを生成する。変調器(modulator;Mod)712は、適切なサブバンド及びシンボル期間に該データシンボルをマッピングし、適用可能である場合には、OFDM変調を実行し、複素数値チップのシーケンスを生成する。送信機ユニット(TMTR)714は、該チップのシーケンスを調整し(例えば、アナログに変換し、増幅し、フィルタリングし、及び周波数アップコンバートする)、アンテナ716を介して送信される逆方向リンク信号を生成する。
【0099】
サービング基地局110xにおいて、複数のアンテナ752xa〜752xtは、端末120x及び他の端末から逆方向リンク信号を受信する。各アンテナ752xは、受信した信号を、それぞれの受信機ユニット(RCVR)754xへ提供する。各受信機ユニット754xは、該受信信号を調整し(例えば、フィルタリングし、増幅し、周波数アップコンバートし、及びディジタル化する)、適用可能である場合には、OFDM復調を実行し、受信シンボルを生成する。RX空間プロセッサ758は、全ての受信機ユニットからの受信シンボルに対して受信機空間処理を実行し、送信データシンボルの推定であるデータシンボル推定値を生成する。RXデータプロセッサ760xは、該データシンボル推定をデマッピングし、デインタリーブし、及び復号し、基地局110xによって現在、サービングされている端末120x及び他の端末のための復号データを生成する。
【0100】
順方向リンク送信のための処理は、逆方向リンクの場合に述べたのと同様に実行することができる。順方向リンク及び逆方向リンクでの送信のための処理は、典型的には、該システムによって特定される。
【0101】
干渉及び電力制御の場合、サービング基地局110xにおいて、RX空間プロセッサ758xは、端末120xのための受信SNRを推定し、基地局110xによって観測されるセクタ間干渉を推定し、端末110xのためのSNR推定値と、コントローラ770xに対する干渉推定値(例えば、測定した干渉Imeas,m)とを生成する。コントローラ770xは、該端末の場合のSNR推定値及びターゲットSNRに基づいて、端末120xのためのTPCコマンドを生成する。コントローラ770xは、干渉推定値に基づいて、OTA OSIレポート及び/又はIS OSIレポートを生成することができる。また、コントローラ770xは、通信(Comm)ユニット774xを介して、隣接するセクタからIS OSIレポートを受信することもできる。TPCコマンド、基地局110xのためのOTA OSIレポート、及び場合によっては、他のセクタのためのOTA OSIレポートは、TXデータプロセッサ782x及びTX空間プロセッサ784xによって処理され、送信機ユニット754xa〜754xtによって調整され、及びアンテナ752xa〜752xtを介して送信される。基地局110xからのIS OSIレポートは、通信ユニット774xを介して、例えば、バックホウルまたは他の有線通信リンクを介して、隣接するセクタへ送信することができる。
【0102】
隣接する基地局110yにおいて、RX空間プロセッサ758yは、基地局110yによって観測されるセクタ間干渉を推定し、干渉推定値をコントローラ770yへ提供する。コントローラ770yは、この干渉推定値に基づいて、OTA OSIレポート及び/又はIS OSIレポートを生成することができる。該OTA OSIレポートは、処理されて、該システム内の端末へ放送される。該IS OSIレポートは、通信ユニット774yを介して隣接するセクタへ送信することができる。
【0103】
端末120xにおいて、アンテナ716は、サービング基地局及び隣接する基地局から順方向リンク信号を受信し、受信信号を受信機ユニット714へ提供する。該受信信号は、受信機ユニット714によって調整され、かつディジタル化されて、復調器(Demod)742及びRXデータプロセッサ744によってさらに処理される。プロセッサ744は、サービング基地局110xにより送信された、端末120xのためのTPCコマンドと、隣接する基地局によって放送されたOTA OSIレポートとを生成する。復調器742内のチャネル推定器は、各基地局のためのチャネル利得を推定する。コントローラ720は、受信したTPCコマンドを検出して、このTPC決定に基づいて、基準電力レベルを更新する。また、コントローラ720は、隣接する基地局から受信したOTA OSIレポートと、該サービング基地局及び隣接する基地局のためのチャネル利得とに基づいて、トラヒックチャネルのための送信電力を調節する。コントローラ720は、端末120xに割当てられたトラヒックチャネルのための送信電力を生成する。プロセッサ710及び/又は変調器712は、コントローラ720によって生成された送信電力に基づいて、データシンボルを増減させる。
【0104】
コントローラ720、770x及び770yは、それぞれ、端末120x及び基地局110x及び110yにおける様々な処理ユニットの動作を指示する。これらのコントローラは、干渉及び電力制御に対して、様々な機能を実行することもできる。例えば、コントローラ720は、図6に示すユニット642〜658のうちのいくつか又は全て及び/又は図3〜図5に示すプロセッサ300、400及び/又は500を実装してもよい。各基地局110のためのコントローラ770は、図2のプロセス200の全て又は一部を実施してもよい。記憶装置722、772x及び772yは、それぞれ、コントローラ720、770x及び770yのためのデータ及びプログラムコードを格納する。スケジューラ780xは、基地局110xとの通信のために端末をスケジューリングし、例えば、隣接する基地局からのIS OSIレポートに基づいて、このスケジューリングした端末にトラヒックチャネルを割当てる。
【0105】
図8は、干渉制御に適した装置を示す。該装置は、IS OSIレポートを受信する手段800と、受信したIS OSIレポートに基づいて、該セクタ内の端末のためのデータ送信を調整する手段802とを含む。
【0106】
図9は、干渉制御を実行するのに適した装置を示す。該装置は、IS OSIレポートを生成する手段900と、該IS OSIレポートを1つ以上のセクタへ送信する手段902とを含む。特定の場合においては、該生成する手段は、各セクタに対して、異なるIS OSIレポートを生成する手段を備えてもよく、また、該送信する手段は、有線接続、例えば、バックホウルに結合してもよい。
【0107】
本明細書に記載した干渉制御技術は、様々な手段によって実施することができる。例えば、これらの方法は、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの組合せで実施することができる。ハードウェア実施の場合、基地局において干渉制御を実行するのに用いられる処理ユニットは、1つ以上のアプリケーション、特定用途向け集積回路(ASIC)、ディジタル信号プロセッサ(DSP)、ディジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブル論理素子(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、電子デバイス、本明細書に記載した機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、又はこれらの組合せの中に実装することができる。端末において、干渉制御を実行するのに用いられる該処理ユニットは、1つ以上のASIC、DSP、プロセッサ、電子デバイス等の中に実装してもよい。
【0108】
ソフトウェア実施の場合、この干渉制御方法は、本明細書に記載した機能を実行するモジュール(例えば、図7の処理手順、関数等)によって実施することができる。ソフトウェアコードは、記憶装置(例えば、記憶装置722、722x又は770y)に格納し、プロセッサ(例えば、コントローラ720、770x又は770y)によって実行することができる。該記憶装置は、プロセッサ内に、又は該プロセッサの外部に実装することができる。
【0109】
開示した実施形態のこれまでの説明は、当業者が本発明を実行又は用いることを可能にするように記載されている。これらの実施形態に対する様々な変更は、当業者には容易に理解されるであろうし、本明細書において定義した包括的原理は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用することができる。従って、本発明は、本明細書において説明した実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示した原理及び新規な特徴に一致する最も広い範囲を認容すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置と、
前記記憶装置と結合され、かつ少なくとも1つの隣接するセクタから受信した少なくとも1つの干渉レポートに基づいて、セクタ内の端末のためのデータ送信を調整するように構成されたプロセッサとを備え、
前記少なくとも1つの干渉レポートは、前記端末のうちの少なくとも1つの端末に基づく、前記少なくとも1つの隣接するセクタにおける測定値を示す情報を備える装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの隣接するセクタのための干渉レポートは、前記端末のうちの少なくとも1つの端末のための前記少なくとも1つの隣接するセクタで観測された、しきい値と測定値とを示す、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラはさらに、前記少なくとも1つの隣接するセクタからの前記少なくとも1つの干渉レポートに基づいて、前記セクタに対する端末の承認を制御することにより調整するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記コントローラはさらに、ユーザ優先度クラス、サービス品質(QoS)クラス、またはこれらの組合せに基づいて、前記セクタに対する端末の承認を制御するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記少なくとも1つの隣接するセクタのうちのいずれか1つが過剰な干渉を観測した場合に、前記セクタへのアクセスを拒否し、または、前記セクタに対するアクセスが既に許可されている端末の割当てを解除するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラはさらに、前記少なくとも1つの隣接するセクタからの前記少なくとも1つの干渉レポートに基づいて、前記セクタのローディングを制御するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記少なくとも1つの隣接するセクタからの前記少なくとも1つの干渉レポートに基づいて、データ送信のために前記セクタ内の端末のスケジューリングを変えることによって調整するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記コントローラはさらに、前記少なくとも1つの隣接するセクタのうちのいずれか1つが、過剰な干渉を観測した場合に、前記セクタ内の端末のうちの少なくとも1つに対してデータレートを低下させることにより調整するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記コントローラはさらに、前記少なくとも1つの隣接するセクタからの前記少なくとも1つの干渉レポートに基づいて、前記セクタ内の端末にトラヒックチャネルを割当てることによって調整するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1つの隣接するセクタから少なくとも1つの干渉レポートを受信する手段であって、前記少なくとも1つの隣接するセクタのための前記少なくとも1つの干渉レポートが、セクタの端末のうちの少なくとも1つに基づく、少なくとも1つの隣接するセクタにおける測定値を示す情報を備える、前記手段と、
前記少なくとも1つの隣接するセクタからの前記少なくとも1つの干渉レポートに基づいて、セクタ内の端末のためのデータ送信を調整する手段と、を備える装置。
【請求項11】
前記セクタ内の端末のためのデータ送信を調整する手段は、
前記少なくとも1つの隣接するセクタからの前記少なくとも1つの干渉レポートに基づいて、前記セクタに対する端末の承認を制御する手段を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記セクタ内の端末のためのデータ送信を調整する手段は、
前記少なくとも1つの隣接するセクタからの前記少なくとも1つの干渉レポートに基づいて、データ送信のために前記セクタ内の端末をスケジューリングする手段を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記セクタ内の端末のためのデータ送信を調整する手段は、
前記少なくとも1つの隣接するセクタからの前記少なくとも1つの干渉レポートに基づいて、前記セクタ内の端末にトラヒックチャネルを割当てる手段を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの隣接するセクタのための干渉レポートは、前記端末のうちの少なくとも1つの端末のための前記少なくとも1つの隣接するセクタで観測された、しきい値と測定値とを示す、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
無線通信システムにおける通信を制御する方法であって、
少なくとも1つの隣接するセクタから少なくとも1つの干渉レポートを受信することであって、前記少なくとも1つの干渉レポートが、セクタの端末のうちの少なくとも1つの端末に基づく、前記少なくとも1つの隣接するセクタにおける測定値を示す情報を備えることと、
前記少なくとも1つの隣接するセクタからの前記少なくとも1つの干渉レポートに基づいて、セクタ内の端末のためのデータ送信を調整することと、を備える方法。
【請求項16】
前記セクタ内の端末のためのデータ送信を調整することは、
前記少なくとも1つの隣接するセクタからの前記少なくとも1つの干渉レポートに基づいて、前記セクタへの端末の承認を制御することを備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記セクタ内の端末のためのデータ送信を調整することは、
前記少なくとも1つの隣接するセクタからの前記少なくとも1つの干渉レポートに基づいて、データ送信のために前記セクタ内の端末をスケジューリングすることを備える、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記セクタ内の端末のためのデータ送信を調整することは、
前記少なくとも1つの隣接するセクタからの前記少なくとも1つの干渉レポートに基づいて、前記セクタ内の端末にトラヒックチャネルを割当てることを備える、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの隣接するセクタのための干渉レポートは、前記端末のうちの少なくとも1つの端末のための前記少なくとも1つの隣接するセクタで観測された、しきい値と測定値とを示す、請求項15に記載の装置。
【請求項20】
記憶装置と、
少なくとも1つの他のセクタの少なくとも1つの端末によるセクタにおける干渉の測定値を示す干渉レポートを生成し、および前記干渉レポートの前記少なくとも1つのセクタへの送信を命令するように構成されたコントローラと、を備える装置。
【請求項21】
前記干渉レポートは、前記少なくとも1つの端末のための前記セクタにおいて観測された、しきい値と測定値とを示す、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記コントローラからの命令に基づいて、有線接続を介して、前記干渉レポートを前記少なくとも1つの他のセクタへ送信するように構成された送信機ユニットをさらに備える、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記有線接続は、バックホウルを備える、請求項20に記載の装置。
【請求項24】
前記コントローラはさらに、各異なるセクタの少なくとも1つの端末による、セクタにおける干渉の測定値を示す異なる干渉レポートを生成し、および前記異なるセクタへの前記異なる干渉レポートの送信を命令するように構成されている、請求項20に記載の装置。
【請求項25】
少なくとも1つの他のセクタの少なくとも1つの端末による、セクタにおける干渉の測定値を示す干渉レポートを生成する手段と、
前記干渉レポートを前記少なくとも1つのセクタへ送信する手段と、を備える装置。
【請求項26】
前記干渉レポートは、前記少なくとも1つの端末のための前記セクタにおいて観測された、しきい値と測定値とを示す、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記送信する手段は、有線接続を介して送信する手段を備える、請求項25に記載の装置。
【請求項28】
前記有線接続は、バックホウルを備える、請求項25に記載の装置。
【請求項29】
前記生成する手段は、各異なるセクタの少なくとも1つの端末による、セクタにおける干渉の測定値を示す異なる干渉レポートを生成する手段を備える、請求項25に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−199944(P2012−199944A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−108227(P2012−108227)
【出願日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【分割の表示】特願2008−502054(P2008−502054)の分割
【原出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】