説明

無線通信システムの通信制御方法、そのプログラム、及び無線通信機器制御装置

【課題】自他無線通信機器の無線通信の通信品質を維持しつつ効率的に無線通信する。
【解決手段】予め、複数の無線通信機器間で許容される搬送波電力対許容干渉電力比(以下、許容CIR)を通信品質の情報として登録しておく。次に、ある通信条件に基づいて、無線通信の開始を行う2つの無線通信機器(例えば、基地局11と無線端末21)における搬送波電力対受動干渉電力比(以下、受動CIR)と、他無線通信機器(例えば、基地局12、無線端末22、23、24)に与える搬送波電力対能動干渉電力比(能動CIR)とを算出する。そして、これらの受動CIR及び能動CIRが、2つの無線通信機器間(例えば、基地局11と無線端末21)の無線通信で許容される許容CIR以上であると評価された場合において、所定の通信条件において、2つの無線通信機器間(例えば、基地局11と無線端末21の間)で無線通信を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線通信機器を備える無線通信システムの通信制御方法等に係わり、より詳細には、無線通信システム内における他の無線通信機器への電波干渉を低減させるように最適化するための無線通信システムの通信制御方法、そのプログラム、及び無線通信機器制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展により様々な形式の無線通信システムが活用されている。これらの無線通信システムにおいては、無線通信装置が通信開始前に、対象の無線通信装置から一度受信を試みることで、現在通信をしている無線通信装置が他にあるかどうか確認する(Carrier Sense)などの無線通信を効率化するための技術が適用されている。
【0003】
その他、無線通信を効率化するための技術として、例えば、特許文献1に記載の技術は、複数の無線局からなる自無線通信システム及び他無線通信システムとが混在している状態で、他無線通信システムによる選択対象チャネルのチャネル使用状況の調査として、各選択対象チャネルの干渉波電力を検出する。そして、自無線通信システムによる選択対象チャネルのチャネル使用状況に基づき抽出した自無線通信システムで未使用状態の選択対象チャネルのうち干渉波電力が最も小さいチャネルを選択することで、無線通信を効率化している。
【0004】
また、特許文献2に記載の技術は、無線通信システムにおいて複数のアクセスポイント(AP)のそれぞれが、他のAPとの間でラウドパケットを送受信し、各APが他のAPから受信したラウドパケットの受信電力を測定し、各APがこれらの測定結果を用いて他のAPからのパス損失を推定し、他のAPの推定されたパス損失から自APのレンジを計算する。このような方法で、無線通信システムにおいて複数のアクセスポイント(AP)それぞれのカバレッジエリアが自律的に決定される。
【0005】
また、APのレンジを得て、APに対する干渉を推定し、この干渉推定から、無線送信/受信ユニット(WTRU)の必要受信電力(RRP)を取得して、APのレンジとRRPとを合計することにより、無線通信システム中の少なくとも1つのWTRUと確実に通信するためにAPの最小送信電力レベルが決定されることを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2001−315269号公報
【特許文献2】特願2006−549370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来技術においては、Carrier Senseによる空きチャネルの使用や、送信電力を必要最小限にするなどの方法により、ある無線通信機器が無線通信する際における自無線通信機器の通信品質の確保と、送信波が他無線通信機器間の通信品質に与える影響の低減は行われているが、ある無線通信機器の送信波が他無線通信機器の通信品質にどの程度影響を与えているかを正確に評価しているわけではない。その結果、ある無線通信機器の送信波が妨害波となり、他無線通信機器の通信品質の低下をもたらす可能性がある。
【0008】
このような、ある無線通信機器の送信波が、他無線通信機器間に関する通信品質を低下させる問題は、近年普及しつつある電子タグを活用した無線通信システムにおいては、より顕著となる。
電子タグの中でも、特にパッシブ型電子タグを用いた無線通信システムにおいては、パッシブ型電子タグと無線通信し、これらを制御する役割をもつ無線通信機器であるリーダ・ライタからの搬送波を起電力としてパッシブ型電子タグが駆動するため、リーダ・ライタの搬送波と比較してパッシブ型電子タグの応答は、非常に微弱なものとなる。また、一般的に、電子タグは周波数選択フィルタを持たないか、或いは、周波数選択フィルタの特性がリーダ・ライタのそれと比較して良くないため、電子タグを有する無線通信システムにおいては、他チャネルからのわずかな漏洩電力が、通信品質を低下させる要因となる。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、無線通信機器が無線通信を開始した際、自他無線通信機器の無線通信の通信品質を維持しつつ効率的に無線通信する無線通信システムの無通信線制御方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラム、及び無線通信機器の通信制御を行う無線通信機器制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の本発明に係る無線通信システムの無通信制御方法は、複数の無線通信機器を備える無線通信システムの通信制御方法であって、複数の無線通信機器間で許容される許容干渉電力に基づいて、搬送波電力対許容干渉電力の比を示す許容CIRを記憶部に登録する第1のステップと、2つ以上の無線通信機器が互いに無線通信を開始する前に、無線通信する際の送信電力、通信速度、通信チャネルのうち、少なくとも1つを含む通信条件を設定する第2のステップと、第2のステップで設定された通信条件に基づいて、無線通信を開始する自無線通信機器が無線通信中の他無線通信機器から受ける受動干渉電力を求め、搬送波電力対該受動干渉電力の比を示す受動CIRを算出する第3のステップと、第3のステップで求められた受動CIRが、許容CIR以上であるか否かを評価する第4のステップと、第2のステップで設定した通信条件に基づいて、自無線通信機器が無線通信中の他無線通信機器に与える能動干渉電力を求め、無線通信中の他無線通信機器における搬送波電力対該能動干渉電力の比を示す能動CIRを算出する第5のステップと、第5のステップで求められた能動CIRが、許容CIR以上であるか否かを評価する第6のステップと、第4のステップで許容CIR以上であると評価された受動CIRと、第6のステップで許容CIR以上であると評価された能動CIRとに基づいて、第2のステップで設定した通信条件で、複数の無線通信機器が無線通信を開始する第7のステップとを含んでいる。
【0011】
第2の本発明に係る無線通信システムのプログラムは、第1の本発明の無線通信システムの通信制御方法を、コンピュータに実行させるプログラムである。
【0012】
第3の本発明に係る無線通信システムのプログラムは、無線通信機器を、第1の本発明の無線通信システムの通信制御方法によって機能させるためのコンピュータに実行させるプログラムである。
【0013】
第4の本発明に係る無線通信システムのプログラムは、無線通信機器制御装置を、第1の本発明の無線通信システムの通信制御方法によって機能させるためのコンピュータに実行させるプログラムである。
【0014】
第5の本発明に係る無線通信機器制御装置は、無線通信システムを構成する複数の無線通信機器の通信制御を行う無線通信機器制御装置であって、複数の無線通信機器の間における無線通信品質に関する情報を格納する許容干渉電力管理記憶部と、複数の無線通信機器の間で、どのような通信条件によって無線通信が行われているかを示す最新の通信情報を格納する無線使用状況管理記憶部と、2つの無線通信機器間における経路損失のレベルを格納する経路損失管理記憶部と、複数の無線通信機器におけるスプリアス特性に関する情報を格納するスプリアス特性管理記憶部と、無線使用状況管理記憶部から取得した無線使用状況、経路損失管理記憶部から取得した経路損失のレベル、及びスプリアス特性管理記憶部から取得したスプリアス特性の情報に基づいて、他の無線通信機器と無線通信を試みる際に、所定の通信条件において、他の無線通信機器から受ける受動干渉電力及び搬送波電力対該受動干渉電力の比を示す受動CIRと、他の無線通信機器に与える能動干渉電力および搬送波電力対該能動干渉電力の比を示す能動CIRとを算出する干渉電力算出部と、最新時刻における複数の無線通信機器の受信電力に関する情報と、無線使用状況管理記憶部から取得した無線使用状況とを参照し、随時、各無線通信機器間に関する経路損失を計算し、経路損失管理記憶部を更新する経路損失算出部と、受動CIRと能動CIRがそれぞれ線通信機器に許容される許容CIR以上であるときに、所定の通信条件において、無線通信機器に無線通信を開始させる無線通信機器制御部とを備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、無線通信機器が無線通信を開始した際、自他無線通信機器の無線通信に支障を与えない無線通信システムの無線通信制御方法、そのプログラム、および無線通信機器制御装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの構成図である。
【図2】第1実施形態の無線通信機器制御装置の機能を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態の無線通信機器制御装置の構成図である。
【図4】第1実施形態の無線通信システムにおける無線通信機器制御装置が干渉を低減して無線通信を行うための処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図4のステップS203における基地局と無線端末との間の干渉評価の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態の無線通信機器制御装置における無線使用状況管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図7】第1実施形態の各無線通信機器間の経路損失を格納する経路損失管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図8】第1実施形態の無線通信機器制御装置におけるスプリアス特性管理テーブルのデータ構成例を示す図である。
【図9】第1実施形態の無線通信機器制御装置における許容干渉電力管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る無線通信システムの構成図である。
【図11】第2実施形態の無線使用状況管理テーブルの各データ構造例を示す図である。
【図12】第2実施形態の経路損失管理テーブルの各データ構造例を示す図である。
【図13】第2実施形態の許容干渉電力管理テーブルの各データ構造例を示す図である。
【図14】第2実施形態のスプリアス特性管理テーブルの各データ構造例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の幾つかの実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各実施形態を説明するための全図において、同一構成要素は原則として同一の符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0018】
《第1実施形態》
図1は、本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの構成図である。
図1において、本実施形態における無線通信システムは、無線通信機器制御装置1に、信号線2を介して、基地局11、基地局12が接続された構成となっており、無線端末21、無線端末22と基地局11とが無線通信を行うとともに、無線端末23、無線端末24と基地局12とが無線通信を行う構成である。
なお、本実施形態における基地局11、12及び無線端末21、22、23、24は、全て、無線通信機能を有し、かつ、受信強度を計測して、これを他の通信機器に送信できるものとする。また、各基地局11、12、及び無線端末21、22、23、24は、それぞれ、周波数選択フィルタを持つものとする。
【0019】
無線通信機器制御装置1は、信号線2で接続された基地局11,12を制御する。
そして、前記したように、基地局11は、無線端末21及び無線端末22と無線通信を行い、基地局12は、無線端末23及び無線端末24と無線通信を行う。
【0020】
図2は、図1に示す無線通信機器制御装置1の機能を示すブロック図である。
図2に示すように、無線通信機器制御装置1は、無線通信機器制御部101、経路損失算出部102、干渉電力算出部103、通信IF(インタフェース)104、許容干渉電力管理テーブル105、無線使用状況管理テーブル106、経路損失管理テーブル107、及びスプリアス特性管理テーブル108を備え構成されている。
なお、図2では、本実施形態に関連する部分のみ示し、直接関連しない部分、例えば、無線通信機器制御装置1を制御するための入出力IF等は省略している。
【0021】
図2に示す無線通信機器制御部101は、通信IF104を通じて、図1に示す各基地局11、12の制御を行い、また、各基地局11、12からの情報を取得する。また、詳細は後記するが、許容干渉電力管理テーブル105は、無線通信機器制御部101の制御により、各基地局11、12及び各無線端末21、22、23、24間における無線通信品質に関する情報を格納している。
【0022】
無線使用状況管理テーブル106は、どの基地局とどの無線端末が、どのような通信条件で無線通信しているかを示す最新の通信情報を格納している。
経路損失管理テーブル107は、2つの無線通信機器間における経路損失のレベルを格納するテーブルである。スプリアス特性管理テーブル108は、各基地局11、12及び各無線端末21、22、23、24におけるスプリアス特性に関するデータを格納している。
【0023】
経路損失算出部102は、無線通信機器制御部101からの最新時刻における基地局11、12と無線端末21、22、23、24の受信電力に関する情報と、無線使用状況管理テーブル106の無線の使用状況とを参照することで、随時、各無線通信機器間に関する経路損失を計算し、経路損失管理テーブル107を更新する。
【0024】
干渉電力算出部103は、無線使用状況管理テーブル106から現在の無線使用状況を取得し、経路損失管理テーブル107から無線通信機器間の各組合せに関する経路損失のレベルと、スプリアス特性管理テーブル108から各無線通信機器のスプリアス特性の情報を取得することで、ある基地局と無線端末間の無線通信を試みる際のある通信条件で、これらの無線通信機器に他の無線通信機器から受ける干渉電力と、他の無線機器に与える干渉電力とを計算する。
【0025】
無線通信機器制御部101は、干渉電力算出部103による干渉電力の計算結果を取得することにより、少なくとも1つ以上の通信条件を基地局11、12に送信し、基地局11、12はこれらの通信条件の何れかで無線端末と無線通信21、22、23、24を試みる。
【0026】
図3は、図1に示す無線通信機器制御装置1の構成図である。
無線通信機器制御装置1は、演算装置のCPU91と、メモリなどからなる主記憶装置92と、ハードディスクなどからなる補助記憶装置96とを備えている。
補助記憶装置96には、許容干渉電力管理テーブル105、無線使用状況管理テーブル106、経路損失管理テーブル107、スプリアス特性管理テーブル108、および、無線通信機器制御部101、経路損失算出部102、干渉電力算出部103等を実現するプログラム93が格納されている。
【0027】
出力IF94は、無線通信機器制御装置1とディスプレイ等の出力装置のインタフェースであり、入力IF95は、無線通信機器制御装置1とキーボード等の入力装置のインタフェースである。
通信IF104は、基地局11、12等との通信を行うためのインタフェースである。
無線通信機器制御装置1は、本発明の無線通信制御方法を実行する機能を実現すべく、CPU91により、補助記憶装置96に格納されたプログラム93を主記憶装置92にロードし、実行する。これにより、無線通信機器制御部101、経路損失算出部102、干渉電力算出部103が具現化される。
【0028】
次に、図1乃至図9を参照して、本実施形態に係る無線通信機器制御装置1、及び基地局11、12と無線端末21、22、23、24の基本的な制御処理手順について説明する。
図4は、図2に示す無線通信システムにおける無線通信機器制御装置1が、干渉を低減して無線通信を行うための処理手順を示すフローチャートである。なお、図4のフローチャートの例では、図1に示す無線通信機器制御装置1が基地局11と無線端末21を無線通信させる場合について説明する。
【0029】
まず、図4におけるフローチャートの流れを概略的に説明する。最初に、無線通信機器制御装置1の無線通信機器制御部101は、基地局11に通信開始を指示する前に、現在の無線使用状況を確認する(ステップS201)。次に、無線通信機器制御部101は、初期状態において、基地局11と無線端末21が通信するための、適切な通信条件(送信電力、チャネル、通信速度等)を設定又は変更する(ステップS202)。そして、無線通信機器制御部101は、設定又は変更された通信条件に基づいて、基地局11と無線端末21との間の無線通信への干渉の評価と、無線通信中の他の基地局と無線端末に与える干渉の評価とを行う(ステップS203)。
【0030】
次に、無線通信機器制御部101は、無線通信機器間の干渉問題はないか、又は未評価の通信条件はないかを判定し(ステップS204)、無線通信機器間で干渉問題あると判定された場合、又は、未評価の通信条件があると判定された場合は(ステップS204でNo)、ステップS202に移行して基地局11と無線端末21の通信条件を変更して、再度、干渉評価を行う。
【0031】
一方、ステップS204で、干渉問題がない場合、又は干渉問題はあるが未評価の通信条件がない場合は(ステップS204でYes)、無線通信機器制御部101は、干渉問題がなく通信可能な通信条件があるか否かを判定する(ステップS205)。
通信可能な通信条件が1つもない場合は(ステップS205でNo)、基地局11を制御して、各チャネルにおける受信電力レベルを基地局11に計測させ、基地局11の受信電力レベルを取得する(ステップS212)。そして、取得した受信電力レベルに基づいて各チャネルごとに経路損失を計算し、各無線通信機器ごとに経路損失管理テーブル107を更新する(ステップS213)。
【0032】
一方、ステップS205で、干渉問題がなく通信可能な通信条件が少なくとも1つはあると判定された場合は(ステップS205でYes)、無線通信機器制御部101は、通信可能な指定の通信条件を基地局11へ送信し、基地局11と無線端末21との間で、指定された通信条件において無線通信を開始するように、基地局11に対して指示を行う(ステップS206)。
【0033】
そして、無線通信機器制御部101は、基地局11と無線端末21との間で通信開始に成功したか否かを通信開始の可否等で判定し(ステップS207)、通信開始に失敗した場合は(ステップS207でNo)、基地局11の受信電力レベルを取得し(ステップS212)、取得した受信電力レベルに基づいて各チャネルごとに経路損失を計算し、各無線通信機器ごとに経路損失管理テーブル107を更新する(ステップS213)。
一方、基地局11と無線端末21との間で通信開始に成功した場合は(ステップS207でYes)、無線通信機器制御部101は、基地局11から取得した通信条件に基づいて無線使用状況管理テーブル106を更新する(ステップ208)。
【0034】
次に、無線通信機器制御部101は、通信を行った基地局11及び無線端末21の各チャネルの受信電力レベルを取得し(ステップS209)、それぞれの経路損失を計算して経路損失管理テーブル107を更新する(ステップS210)。そして、基地局11と無線端末21との間の無線通信が終了した時点で、無線通信機器制御部101は、無線使用状況管理テーブル106を更新する(ステップS211)。
【0035】
次に、図4に示すフローチャートに基づいて無線通信機器制御部101の処理の流れを詳細に説明する。
まず、無線通信機器制御装置1の無線通信機器制御部101は、基地局11に通信開始を指示する前に、現在のチャネルの使用状況を確認する。
図6は、図2に示す無線通信機器制御装置1における無線使用状況管理テーブル106のデータ構造例を示す図である。図6の例では、基地局12と無線端末23の無線使用状況が示されている。
【0036】
無線使用状況管理テーブル106は、現時刻において各無線通信機器で無線通信が行われているか否か、及びどの無線通信機器と通信しているかを示す通信対象の情報と、無線通信中の無線通信機器の送信電力と、使用しているチャネル(図6ではChと表記)と、通信速度と、通信時刻とを関連づけた情報を記録している。なお、通信時刻としては、通信開始の時刻と通信終了の予定時刻(‘080916/15:52:46.17〜‘080916/15:52:47.17)が記録されている。また、図6の表中の−は、データの未記録状態を意味している。
【0037】
無線通信機器制御部101は、新たに基地局と無線端末を通信させる際に、図6の無線使用状況管理テーブル106を参照することで、その時刻において、どの基地局とどの無線端末が、どのような通信条件、すなわち、送信電力とチャネルと通信速度の組合せで無線通信しているかを示す無線使用状況の確認を行う(ステップS201)。
【0038】
次に、無線通信機器制御部101は、使用可能な通信条件を検索する。まず、初期については、基地局11と無線端末21が通信するための適切な通信条件(送信電力、チャネル、通信速度)を設定する(ステップS202)。ここで、適切な通信条件の設定方法の一例としては、ステップS201におけるチャネルの無線使用状況確認の結果から、未使用のチャネルで、かつ、最も通信速度が速い条件を選択設定すればよい。
【0039】
本実施形態では、初期条件として、基地局11の送信電力を30dBm、チャネルを4ch、通信速度を40kbpsとし、無線端末21の送信電力を10dBm、チャネルを5ch、通信速度を40kbpsとする。このように設定された通信条件に基づいて、基地局11と無線端末21との間の無線通信への干渉の評価と、この通信条件で無線通信した際に、無線通信中の他の基地局と無線端末に与える干渉を評価する(ステップS203)。
【0040】
ここで、ステップS203における基地局と無線端末との間の干渉評価の方法について、図5のフローチャートを用いて詳細に説明する。なお、図5は、図4のステップS203における基地局と無線端末との間の干渉評価の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【0041】
図5において、まず、ステップS301において、前述のステップS202で設定した通信条件にて、基地局11と無線端末21との間の無線通信への干渉評価を実施するため、干渉電力算出部103(図2参照)は、干渉波電力(以下、干渉電力という)に対する搬送波電力からの受信電力(以下、搬送波受信電力という)の比である搬送波電力対干渉電力比(以下、CIRという)を計算する。CIRは、次の式(1)で算出される。
なお、本実施形態においては、干渉電力には無線通信機器以外による微弱なノイズも含むものとする。また、搬送波受信電力、干渉電力、及び搬送波電力の単位はdBm(デシベルミリ)とし、経路損失及びCIRの単位はdBとする。なお、電力の単位のdBm(デシベルミリ)は、mW(ミリワット)を示すことになる。
【0042】
CIR=搬送波受信電力−干渉電力 (1)
なお、(1)式は、対数計算なので、除算が減算となっている。
ここで、搬送波受信電力は式(2)に基づいて計算され、干渉電力は式(3)に基づいて計算される。
搬送波受信電力=搬送波送信電力−経路損失 (2)
干渉電力=干渉源(他無線機器の)送信電力−経路損失 (3)
【0043】
図1に示す基地局11から無線端末21への通信について計算する場合、すなわち、送信側が基地局11、受信側が無線端末21の場合は、干渉電力算出部103は、無線通信機器制御部101から基地局11の搬送波送信電力の情報を取得する。経路損失の情報は、図7に示す経路損失管理テーブル107を参照して、基地局11から無線端末21への経路損失の情報(46dB)を取得する。
【0044】
なお、図7は、本発明の第1実施形態における各無線通信機器間の経路損失を格納する経路損失管理テーブル107のデータ構造例を示す図である。
経路損失管理テーブル107の各行は、送信側の無線通信機器を表わし、各列は受信側の無線通信機器を表わす。なお、一般的に経路損失は、送信側と受信側を入れ替えてもほぼ同じ値となる。例えば、図7に示すように、基地局11から無線端末21への経路損失と、無線端末21から基地局11への経路損失は、何れも同じ46dBである。
【0045】
一方、他の無線通信機器から無線端末21に対する干渉電力については、干渉電力算出部103(図2参照)は、図6の無線使用状況管理テーブル106から、無線通信している全ての送信電力、使用チャネル(Ch)、通信速度に関する通信条件の情報を取得する。また、干渉電力算出部103は、無線通信機器制御部101から基地局11の使用予定のチャネルを取得する。これらの情報と、図8に示す無線通信機器制御装置1におけるスプリアス特性管理テーブル108から、各チャネルにおける他無線通信機器からの送信電力を算出する。
なお、図8は、無線通信機器制御装置1におけるスプリアス特性管理テーブル108のデータ構成例を示す図である。
【0046】
例えば、基地局12からの干渉電力を求める場合については、基地局12からの送信電力の算出は、図6の無線使用状況管理テーブル106より、送信電力が27.5dBm、使用チャネルが2、通信速度が40kbpsであり、この通信条件で、基地局11の使用チャネルにおける干渉電力を算出する場合は、次隣接チャネルとなるため、図8のスプリアス特性管理テーブル108より、基地局12からの送信電力、すなわち干渉電力は、−51dBmとなる。また、干渉電力算出部103は、図7の経路損失管理テーブル107を参照することで、基地局12から無線端末21への経路損失(70dB)を取得する。
【0047】
すなわち、図7の経路損失管理テーブル107より、本実施形態においては、基地局12から無線端末21への経路損失は70dBである。これら送信電力と経路損失とから式(3)を用いて、基地局12から無線端末21への干渉電力が算出される。同様にして、基地局11の使用チャネル近傍のチャネルについても、干渉電力を算出する。
【0048】
同様にして、干渉電力算出部103は、他無線通信機器から受ける干渉電力を算出する。本実施形態おいては、他無線通信機器から受ける干渉電力は、他無線通信機器ごとに算出した干渉電力の最大値とする。このようにして、干渉電力算出部103は、搬送波受信電力と干渉電力を算出し、式(1)に従ってCIRを算出する。同様にして、干渉電力算出部103は、他の無線通信機器から基地局11に対する干渉電力を算出する。すなわち、干渉電力算出部103は、前記の式(1)、式(2)、及び式(3)を用いて、対象となる基地局及び無線端末のCIRを算出する。以上が、図5のステップS301の処理である。
【0049】
ステップS301の処理を要約すると、基地局11と無線端末21とが無線通信を行っている場合は、予め設定された通信条件に基づいて、自無線通信機器(例えば、無線端末21)が無線通信中の他無線通信機器(例えば、基地局12、無線端末22、23、24)から受ける受動干渉電力が求められ、搬送波電力対受動干渉電力の比を示す受動CIRが算出される。さらに、予め設定された通信条件に基づいて、自無線通信機器(例えば、無線端末21)が無線通信中の他無線通信機器(例えば、基地局12、無線端末22、23、24)に与える能動干渉電力が求められ、搬送波電力対能動干渉電力の比を示す能動CIRが算出される。
【0050】
なお、本実施形態においては、干渉電力は他無線通信機器ごとで算出した干渉電力の最大値としたが、他無線通信機器の干渉電力の和でもよいし、他無線通信機器の干渉電力の和の時間平均値でもよい。
【0051】
次に、図5のステップS302において、無線通信機器制御部101(図1参照)は、対象の無線通信機器、すなわち、基地局11と無線端末21への干渉電力が、問題のないレベルの干渉電力(許容干渉電力)であるか否かを評価する。
無線通信機器制御部101は、各チャネルごとのCIR(受動CIR及び能動CIR)を干渉電力算出部103より取得する。また、無線通信機器制御部101は、搬送波電力対許容干渉電力の比を示す許容CIRを図9に示す許容干渉電力管理テーブル105より取得する。
【0052】
なお、図9は、図2に示す無線通信機器制御装置1における許容干渉電力管理テーブル105のデータ構造例を示す図である。すなわち、図9は、本実施形態における各基地局及び無線端末における通信品質を維持するために許容されるCIR(許容CIR)を格納するテーブルのデータ構造例を示す図である。なお、本実施形態においては、各無線通信機器が周波数選択フィルタを持つため、使用するチャネル分のみのCIR(許容CIR)のみ格納すればよい。
【0053】
続いて、無線通信機器制御部101は、使用チャネルにおける、基地局11と無線端末21に関して、許容干渉電力管理テーブル105(図9参照)から取得した許容CIRと、干渉電力算出部103から取得したCIR(つまり、対象となる基地局11及び無線端末21の算出した受動CIR及び能動CIR)とを比較する(ステップS302)。
使用チャネルにおいて算出したCIR(受動CIR及び能動CIR)が許容CIRより小さい(CIR<許容CIR)場合は(ステップS302でNo)、無線通信機器間の干渉のレベルが大きく干渉問題ありと判定する(ステップS306)。
一方、使用チャネルごとに取得したCIR(受動CIR及び能動CIR)が許容CIRより以上(CIR≧許容CIR)の場合は(ステップS302でYes)、干渉のレベルが低く、基地局11と無線端末21の無線通信に問題なしと判定して、他の通信中の基地局及び無線端末のCIR(受動CIR及び能動CIR)を算出する(ステップS303)。
【0054】
すなわち、図5のステップS303の処理を詳述すると、以下の通りである。
前記したステップS302で、CIR≧許容CIRの場合は(ステップS302でYes)、無線通信機器制御装置101は、設定された通信条件の元で、基地局11と無線端末21が他無線通信機器に与える影響を評価する。そのために、干渉電力算出部103は、無線使用状況管理テーブル106(図6参照)から無線通信している全ての無線通信機器の情報と、これらの無線通信機器の通信条件に関する情報を取得する。次に、干渉電力算出部103は、これらの無線通信機器に関して、基地局11が送信した場合と無線端末21が送信した場合について、CIR(受動CIR及び能動CIR)を算出する。
【0055】
このときのCIRの算出方法は、前述の基地局11及び無線端末21のCIRを算出した場合と同様であり、干渉電力算出部103は、CIRを算出対象の無線通信機器と、無線通信している無線通信機器の搬送波送信電力(送信電力)を、図6の無線使用状況管理テーブル106から取得し、図7の経路損失管理テーブル107から、無線通信して接続されている無線通信機器間の経路損失を取得することで、前記の式(2)より搬送波受信電力を算出する。
【0056】
続いて、干渉電力算出部103は、他無線通信機器が使用しているチャネルにおける干渉電力を算出する。すなわち、干渉電力算出部103は、無線通信機器制御部101から、基地局11と無線端末21の使用予定の送信電力、チャネル、通信速度の通信条件を取得することで、干渉源送信電力を取得する。なお、基地局11と無線端末21から他無線通信機器への干渉電力は、基地局11と無線端末21が使用予定の送信電力、チャネル、通信速度の通信条件と、他無線通信機器が使用しているチャネルの情報を検索キーとして、図8のスプリアス特性管理テーブル108を参照し、チャネルの離調による減衰レベルを取得し、この減衰レベルを干渉源送信電力に加味することで算出される。
【0057】
また、基地局11から他無線通信機器への経路損失、及び無線端末21から他無線通信機器への経路損失を、経路損失管理テーブル107(図7参照)から取得する。これらの取得情報から、前記の式(3)に基づいて干渉電力が算出される。干渉電力算出部103は、算出した搬送波受信電力と干渉電力から、他無線通信機器に関するCIRを、前記の式(1)に基づいて算出する。すなわち、通信中の他の基地局及び無線端末のCIRを算出する。以上が、図5のステップS303の処理の詳細である。
【0058】
次に、無線通信機器制御部101は、通信中の他無線通信機器に関して、図9の許容干渉電力管理テーブル105から取得した許容CIRと、干渉電力算出部103から取得したCIRとを比較し(ステップS304)、CIRが許容CIR以上(CIR≧許容CIR)の場合は(ステップS304でYes)、干渉のレベルが低く、他無線通信機器への干渉問題はないと判定する(ステップS305)。一方、ステップS304で、算出したCIRが許容CIRより小さい(CIR<許容CIR)場合は(ステップS304でNo)、無線通信機器制御部101は、無線通信機器間の干渉レベルが大きく干渉問題ありと判定する(ステップ306)。
【0059】
すなわち、図5のステップS302及びステップS304でCIRを許容CIRと比較した結果、CIR≧許容CIRとなった場合は、ステップS305で、無線通信機器間の干渉は問題ないと判定して、無線通信機器制御部101は評価する。また、ステップS302又はステップS304で比較した結果、CIR<許容CIRの条件が成立した場合は、ステップS306で、無線通信機器間の干渉は問題ありと判定する。
以上の処理が、図4のステップS203における基地局と無線端末との間の干渉評価の詳細な内容である。
【0060】
再び、図4のフローチャートに戻り、無線通信機器制御部101は、無線通信機器間の干渉問題および未評価の通信条件の有無を判定する(ステップS204)。ここで、無線通信機器制御部101は、無線通信機器間の干渉問題あり、または、未評価の通信条件があると判定した場合は(ステップS204でNo)、ステップS202に移行して基地局11と無線端末21の通信条件を変更して、再度干渉評価を行う。
【0061】
一方、ステップS204で、無線通信機器間の干渉問題がなかった場合、又は干渉問題があって未評価の通信条件があり、通信条件を繰り返し変更して干渉評価を実施した結果、干渉問題はあるが未評価の通信条件がなくなった場合は(ステップS204でYes)、干渉問題がなく、かつ無線通信機器間で通信可能な通信条件があるか否かを判定する(ステップS205)。
【0062】
ここで、ステップS205において、無線通信機器間で通信可能な通信条件が1つもなかった場合、すなわち、ステップS202からステップS205の処理において、干渉問題があり、通信可能な通信条件が1つもなかった場合は(ステップS205でNo)、無線通信機器制御装置101は、基地局11を制御して、各チャネルにおける受信電力を基地局11に計測させ、計測した各チャネルの受信電力を取得する(ステップS212)。
【0063】
次に、経路損失算出部102(図2参照)は、ステップS212で取得した各チャネルの受信電力を通信機器制御部101から取得する。経路損失算出部102は、これらの各チャネルの受信電力の情報と、図6の無線使用状況管理テーブル106に格納された各チャネルを使用中の無線通信機器の情報とを取得し、チャネルごとに次の式(4)を計算することで、各チャネルを使用中の無線通信機器から基地局11への経路損失を算出する。そして、経路損失算出部102は、算出された経路損失に基づいて、各無線通信機器ごとに図7の経路損失管理テーブル107を更新する(ステップS213)。
経路損失=送信電力−受信電力 (4)
【0064】
なお、1つのチャネルを複数の無線通信機器が使用している場合は、経路損失算出部102は、更新前の図7の経路損失管理テーブル107の経路損失と、図6の無線使用状況管理テーブル106とによって、各チャネルを使用中の無線通信機器の送信電力を取得し、次の式(5)を計算して、あるチャネルを使用している複数の無線通信機器の受信電力を算出する。経路損失算出部102は、これらの算出された受信電力の中で最も大きい受信電力値となった無線通信機器を対象とし、図7の経路損失管理テーブル107における受信電力の最も大きい無線通信機器から基地局11への経路損失を更新する。
受信電力=送信電力−経路損失 (5)
【0065】
一方、ステップS205において、干渉問題がなく、かつ無線通信機器間で通信可能な通信条件が1つでもあった場合、すなわち、ステップS202からステップS204の処理において、干渉問題がなく、通信可能な通信条件が少なくとも1つ以上ある場合は(ステップS205でYes)、無線通信機器制御部101は、干渉問題がないと評価された通信条件を、無線通信IF104を通じて基地局11へ送信し、送信した通信条件のうちのいずれかによって無線端末21と無線通信するように基地局11に指示する。つまり、無線通信機器制御部101は、指定の通信条件で無線通信を開始するように基地局11に指示する(ステップS206)。
【0066】
すると、基地局11は、受信した通信条件を順次選択し、選択した通信条件で、基地局11への受信レベルを、順次、図9の許容干渉電力管理テーブル105と電波法に基づいて評価する。そして、評価した結果、受信レベルに問題がなければ、基地局11は、選択した通信条件で無線端末21と無線通信を行う。そして、無線通信機器制御部101は、基地局11と無線端末21とが通信開始に成功したか否かを判定する(ステップS207)。
【0067】
ここで、通信条件を順次選択し評価した結果、全ての条件で無線通信できなかった場合は(ステップS207でNo)、無線通信失敗レスポンスを無線通信機器制御装置1へ送信する。
無線通信機器制御部101が、通信IF104を通じて、通信失敗レスポンスを取得した場合、無線通信機器制御装置101は、基地局11が計測した各チャネルの受信電力を取得すると共に(ステップS212)、経路損失算出部102によって算出された経路損失に基づいて、各無線通信機器ごとに図7の経路損失管理テーブル107を更新する(ステップS213)。
【0068】
一方、基地局11と無線端末21とが通信開始に成功したならば(ステップS207でYes)、基地局11は無線通信成功レスポンスと無線通信に使用した通信条件を無線機器制御装置1へ送信する。
無線通信機器制御部101が通信成功レスポンスを取得した場合、基地局11と無線端末21が無線通信開始したため、無線通信機器制御部101は、基地局11から取得した通信条件に基づいて、図6の無線使用状況管理テーブル106を更新する(ステップS208)。なお、無線使用状況管理テーブル106の通信終了予定時刻については、基地局11と無線端末21との間の通信データ量に基づいて予測し、この予測値を格納する。
【0069】
次に、無線通信機器制御部101は、基地局11を制御し、基地局11と無線端末21との通信結果を取得する。また、無線通信機器制御部101は、基地局11から無線端末21への無線通信を通じて、無線端末21に各チャネルにおける受信電力を計測させる。基地局11は、この無線端末21の各チャネルの受信電力を無線端末21から取得し、この取得結果を無線通信機器制御装置1へ送信する。これによって、無線通信機器制御部101は、無線端末21の各チャネルの受信電力を取得する。また、無線通信機器制御部101は、基地局11を制御し、各チャネルにおける受信電力を基地局11に計測させ、この受信電力を取得する。すなわち、無線通信機器制御部101は、無線端末21及び基地局11の各チャネルの受信レベルを取得する(ステップS209)。
【0070】
これによって、無線通信機器制御部101(図1参照)は、取得した無線端末21の各チャネルの受信電力を経路損失算出部102に送信する。経路損失算出部102は、ステップS212とステップS213と同様の方法で、他無線通信機器から無線端末21への経路損失と、他無線通信機器から基地局11への経路損失とを算出し、この算出結果に基づいて、図7の経路損失管理テーブル107を更新する。(ステップS210)。
【0071】
次に、基地局11は、無線端末21との無線通信完了後、通信完了レスポンスを無線通信機器制御装置1に送信する。すると、無線通信機器制御部101は、通信完了レスポンスを取得した場合は、基地局11と無線端末21の無線通信が終了したために、図6の無線使用状況管理テーブル106を更新する(ステップS211)。
【0072】
以上を要約すると、予め、複数の無線通信機器間で許容される搬送波電力対許容干渉電力比(許容CIR)を通信品質の情報として登録しておく。次に、ある通信条件に基づいて、無線通信の開始を行う2つの無線通信機器(例えば、基地局11と無線端末21)における搬送波電力対受動干渉電力比(以下、受動CIR)と、他無線通信機器(例えば、基地局12、無線端末22、23、24)に与える搬送波電力対能動干渉電力比(能動CIR)とを算出する。そして、これらの受動CIR及び能動CIRが、2つの無線通信機器間の無線通信で許容される許容CIR以上であると評価された場合において、所定の通信条件において、2つの無線通信機器間(例えば、基地局11と無線端末21の間)で無線通信を開始する。
【0073】
以上の内容が本発明の第1実施形態における無線通信機器制御装置1と基地局11と無線端末21の基本的な制御処理手順である。このような処理手順により、他無線通信機器への干渉電力を通信開始時に評価することにより、他の無線通信機器の通信品質を維持することができる。また、一般的に各無線通信機器の電波干渉は、周囲の環境等により変化するが、本実施形態の処理手順は動的に評価基準を変更することにより、各無線通信機器の電波干渉を周囲の環境等による変化に対応させることができる。
【0074】
なお、本実施形態において、使用可能な無線通信条件がなかった場合は、図6の無線使用状況管理テーブル106の通信時刻の列(例えば、‘080916/15:52:46.17〜‘080916/15:52:47.17)を参照することで、最も早く開放されるチャネルをターゲットに干渉評価を実施し、干渉評価した結果、問題ない場合は、チャネルが開放次第、そのチャネルで無線通信を開始することで、空き時間をなくすことができる。また、本実施形態は一例であって、この実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0075】
《第2実施形態》
次に、本発明の第2実施形態における無線通信システムについて、図10乃至図14を参照して詳細に説明する。図10は、本発明の第2実施形態に係る無線通信システムの構成図である。
本実施形態における無線通信システムは、図1における無線端末をパッシブ型電子タグ(以下、電子タグという)に置き換えたものである。よって、基地局は、一般的にリーダ・ライタと呼ばれる無線通信機器が対応するものであるが、以下の説明においては、リーダ・ライタを引き続き基地局と称することにする。
【0076】
図10の無線通信システムは、無線通信機器制御装置5、信号線6、基地局41,42、及び電子タグ51〜60を有する。以下の説明では、基地局41と電子タグ51〜55とが無線通信を行い、かつ基地局42と電子タグ56〜60とが無線通信を行うものとする。
【0077】
なお、無線通信機器制御装置5の構成は、図1、図2に示す無線通信機器制御装置1の構成と同じである。また、本実施形態における基地局41、42及び電子タグ51〜60は、全て無線通信機能を有するものとする。また、基地局41、42のみが受信強度を計測し、他の通信機器に送信できるものとする。また、各基地局41、42のみが周波数選択フィルタを持ち、各電子タグ51〜60は周波数選択フィルタを持たないものとする。また、電子タグ51〜60から基地局41、42への電力は極めて微弱なため、電子タグ51〜60から基地局41、42への干渉は無視できるものとする。上記以外の事項については、前記の第1実施形態と同様である。
【0078】
次に、本発明の第2実施形態における無線通信機器制御装置5、ならびに、基地局41、42と電子タグ51〜60の基本的な制御処理の手順について説明する。
なお、基本的な処理手順は、前記の第1実施形態と同様であるので、第2実施形態では異なる構成についてのみ説明する。
【0079】
図11は、本発明に係る第2実施形態の無線使用状況管理テーブル106の各データ構造例を示す図である。また、図12は、第2実施形態の経路損失管理テーブル107の各データ構造例を示す図である。
電子タグ51〜60からの送信電力が微弱なため、図11に示すように、無線使用状況管理テーブル106は、基地局41、42に関するレコードのみ記録されている。
また、同様の理由で、図12に示す経路損失管理テーブル107は、電子タグ51〜60間の干渉は極めて微弱なため無視できるものとする(図12中、−で表示)。また、詳細は後記するが、基地局41、42から電子タグ51〜60への経路損失と電子タグ51〜60から基地局41、42への経路損失は同値である。
【0080】
図13は、本発明の第2実施形態の許容干渉電力管理テーブル105の各データ構造例を示す図である。また、図14は、本発明の第2実施形態のスプリアス特性管理テーブル108の各データ構造例を示す図である。
図13に示すように、許容干渉電力管理テーブル105については、電子タグ51〜60については全て共有とする。なお、電子タグ51〜60の製品仕様が異なる場合は、その仕様が異なる電子タグごとに、許容CIRに関するレコードを格納する。
【0081】
また、図13に示すように、基地局41と基地局42は、周波数選択フィルタを有し使用チャネル以外からの電力が遮断されるため、離調周波数を考慮せずに使用チャネルの許容CIRのみで許容干渉電力管理テーブル105が構成されるが、電子タグ51〜60については、周波数選択フィルタを持たないため、使用チャネル以外からの電力の影響を受け、使用チャネルの許容CIR以外に、離調周波数の許容CIRも含む形で、図13の許容干渉電力管理テーブル105が構成される。
なお、図14に示すように、スプリアス特性管理テーブル108については、電子タグの通信が微弱なため、基地局41、42に関するスプリアス特性に関するレコードのみを格納する。
【0082】
以上のことから、電子タグ51〜60で構成される無線通信システムにおいても、電子タグ51〜60からの送信波が微弱なため無視可能なレコードを算出するステップと、第1実施形態で述べた図4のステップS209とステップS210、及び、図5のステップS301、ステップS302、ステップS303、及びステップS304を除いて、全て図4の処理手順及び図5の詳細処理手順と同様である。
【0083】
以下、図4のステップS209とステップS210、及び、図5のステップS301、ステップS302、ステップS303、ステップS304の変更点について説明する。
【0084】
まず、図4のステップS209とステップS210の変更点について説明する。前記の通り、本発明の第1実施形態における無線端末21〜24と異なり、第2実施形態の電子タグ51〜60は受信電力を測定することができない。そのため、図4のステップS209における受信電力の測定の代わりに、無線通信機器制御装置5の無線通信機器制御部101(図2参照)は、基地局41、42を制御し、電子タグ51〜60の応答について基地局41、42が受信した際の受信電力を計測させる。無線通信機器制御部101は、基地局41、42から、電子タグ51〜60の応答受信電力と、基地局41、42と電子タグ51〜60が通信する際の通信条件を取得する(ステップS209)。
【0085】
次に、経路損失算出部102(図2参照)は、図10に示す無線通信時の基地局41、42の送信電力と、基地局41、42が受信した電子タグ51〜60からの応答受信電力を、無線通信機器制御部101から取得し、次の式(6)を計算することによって、基地局41、42と電子タグ51〜60との間の経路損失を算出する。
経路損失=(送信電力−電子タグの応答受信電力−電子タグの反射電力)/2 (6)
【0086】
次に、経路損失算出部102は、式(6)の算出結果に基づいて図12の経路損失管理テーブル107を更新する(ステップS210)。
【0087】
以上の処理が、第1実施形態における図4のステップS209とステップS210を第2実施形態に変更した処理である。第2実施形態ではこのような処理を行うため、図12に示すような経路損失管理テーブル107となるが、電子タグ51〜60からその他の無線通信機器(基地局41、42)への経路損失と、その他の無線通信機器(基地局41、42)から電子タグ51〜60への経路損失は同じ値となっている。例えば、図12に示すように、基地局41から電子タグ51への経路損失と、電子タグ51から基地局41への経路損失は共に36dBである。
【0088】
また、式(6)における電子タグ51〜60の反射電力とは、基地局41、42に電子タグ51〜60が応答する際の、基地局41、42からの搬送波を反射する際の減衰レベルである。この反射電力の情報は図12には記載されていないが、無線通信機器制御装置5の記憶装置に格納されているものとし、経路損失算出部102は、この記憶装置に格納された電子タグ51〜60の反射電力を参照するものとする。
【0089】
なお、上記において、電子タグ51〜60の反射電力は、無線通信機器制御装置5の記憶装置に格納されるとしたが、電子タグ51〜60自身の記憶装置に格納していてもよい。基地局41、42と電子タグ51〜60が通信する際に、電子タグ51〜60から対応する電子タグの反射電力の情報を取得することで、電子タグ51〜60の反射電力を参照してもよい。
【0090】
次に、図5のステップS301とステップS303の変更点について説明する。第2実施形態では、ステップS301とステップS303の処理において、CIRの算出対象の無線通信機器が電子タグ51〜60の場合、電子タグ51〜60が周波数選択フィルタを持たないため、搬送波受信電力および干渉電力を算出する際、スプリアス特性を考慮する必要がない。そのため、搬送波受信電力の算出においては、図14に示すスプリアス特性管理テーブル108を参照せずに搬送波送信電力の値をそのまま使用し、干渉電力の算出においては、図14のスプリアス特性管理テーブル108を参照せずに干渉源送信電力をそのまま使用する。また、電子タグ51〜60の通信が微弱なため、電子タグ51〜60が干渉源となるケースは計算を省略する。以上が、第2実施形態のステップS301とステップS303の処理の変更内容である。
【0091】
最後に、第2実施形態における図5のステップS302とステップS304の変更点について説明する。第2実施形態におけるステップS302とステップS304の処理においては、算出したCIRと許容CIRを比較するが、電子タグ51〜60は周波数選択フィルタがないため、第1実施形態の許容CIRの設定方法と異なる。すなわち、電子タグ51〜60の場合においては、無線通信機器制御部101が、電子タグ51〜60が使用あるいは使用予定のチャネルと、干渉源すなわち通信対象外の基地局が使用しているチャネルの周波数の離調分を、図11の無線使用状況管理テーブル106から取得し、離調分を考慮したときの許容CIRを、図13の許容干渉電力管理テーブル105から取得する。例えば、電子タグ52〜60と干渉源の使用するチャネルが2チャネル分離れている場合は、図13の許容干渉電力管理テーブルから、許容CIRは、20dBではなく13dBとなる。以上が、第2実施形態における図5のステップS302とステップS304の処理の変更内容である。
【0092】
第2実施形態の処理方法によれば、電子タグ51〜60の場合においても、無線通信開始前に干渉評価を実施することができる。パッシブ型電子タグを用いた無線通信システムにおいては、パッシブ型電子タグの応答が非常に微弱なものであり、また、一般的に電子タグが周波数選択フィルタを持たないため、他チャネルからの送信波にも通信品質が大きく影響を受けるため、他の無線通信機器からの送信波により無線通信品質が低下しやすい。しかし、他の無線通信機器への影響がないことを確認した後、無線通信を開始するという特徴により、パッシブ型電子タグを用いた無線通信システムにおいても、通信品質を維持しながら無線通信の効率を高めることが可能となる。
なお、第2実施形態においては、基地局をリーダ・ライタとして説明したが、基地局がリーダの場合も適用可能であることは勿論である。
【0093】
以上、本発明を2つの実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、図4のフロー処理において、他の無線通信機器への干渉問題がある場合は、無線通信しないとしたが、干渉問題がある場合においても、無線通信を開始させ、短時間に通信条件を切り替えることにより、影響を受ける他の無線通信機器を切り替えることにより、干渉問題を低減してもよい。
【0094】
<<まとめ>>
本実施形態に係る無線通信システムの無通信線制御方法は、複数の無線通信機器を備える無線通信システムにおいて、無線通信を開始する前に、自身が無線通信に問題ない空きチャネルを使用した場合における無線通信中の他無線通信機器の通信品質に与える影響を評価し、該評価結果を元に自他無線通信機器の無線通信に支障のない空きチャネルを選択することができる。
【0095】
このため、本発明における無線通信機器、もしくは、それらを制御する無線通信機器制御装置は、各無線通信機器間の無線通信ごとで要求される通信品質に基づいて定義される、チャネルごとに許容可能な干渉電力を格納する記憶部(テーブル)を備えている。
【0096】
また、本実施形態における無線通信機器、もしくは、それらを制御する無線通信機器制御装置は、他無線通信機器への影響の度合いを把握するために、少なくとも1台以上の無線通信機器の各々が、少なくともチャネル、通信速度、送信電力を含む通信パラメータで無線通信した際における他の無線通信機器への干渉電力を格納する記憶部(テーブル)、もしくは無線通信機器ごとの送信電力を格納する記憶部(テーブル)と経路損失を格納する記憶部(テーブル)を備えている。なお、これらの記憶部(テーブル)は適時更新される。
【0097】
また、本実施形態における無線通信機器、もしくは、それらを制御する無線通信機器制御装置は、定期的にどの無線通信機器が、どの通信パラメータを使用して無線通信を行っているか、すなわち無線通信の使用状況を監視する。
【0098】
また、本実施形態においては、ある無線通信機器とある無線通信機器が無線通信する際、この無線通信機器自身、もしくは、無線通信機器制御装置は、現在の無線通信の使用状況と干渉電力に関するテーブルと許容可能な干渉電力を格納する記憶部とを参照することで、他無線通信機器に影響を与えない複数のチャネルと、通信速度を含む通信条件とを選定する。さらに、これらの通信条件の中から、無線通信を開始しようとする無線通信機器間で要求される通信品質を満たすものを選定する。この選定された通信条件を元に、無線通信機器は通信を開始する。
【0099】
<作用効果>
本実施形態によれば、複数の無線通信機器からなる無線通信システムにおいて、他無線通信機器の通信品質の低下をもたらすことなく、無線通信を開始することができ、これにより、良好な通信品質を維持しながら無線通信の効率を高めることができる。
特に、パッシブ型電子タグを用いた無線通信システムにおいては、パッシブ型電子タグの応答電力が非常に微弱なものであり、また、一般的に電子タグが周波数選択フィルタを持たないため、他チャネルからの送信波によって通信品質が大きく影響を受けるため、他無線通信機器からの送信波により無線通信品質が低下しやすい。
【0100】
しかし、本実施形態の無線通信システムによれば、他無線通信機器への影響がないことを確認した後に無線通信を開始するため、パッシブ型電子タグを用いた無線通信システムにおいても、通信品質を維持しながら無線通信の効率を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明によれば、無線通信システムにおいて、各無線通信機器が無線通信開始する前に、既に無線通信中の無線通信機器への電波干渉を評価することで、他無線通信機器の通信品質を維持しつつ効率的に無線通信することが可能となる。
【符号の説明】
【0102】
1 無線通信機器制御装置(コンピュータ)
5 無線通信機器制御装置(コンピュータ)
11 基地局(無線通信機器)
12 基地局(無線通信機器)
21〜24 無線端末(無線通信機器)
41 基地局(無線通信機器、リーダ・ライタ)
42 基地局(無線通信機器、リーダ・ライタ)
51〜60 電子タグ(無線通信機器)
93 プログラム
101 無線通信機器制御部
102 経路損失算出部
103 干渉電力算出部
105 許容干渉電力管理テーブル(記憶装置、許容干渉電力管理記憶部、記憶部)
106 無線使用状況管理テーブル(記憶装置、無線使用状況管理記憶部)
107 経路損失管理テーブル(記憶装置、経路損失管理記憶部)
108 スプリアス特性管理テーブル(記憶装置、スプリアス特性管理記憶部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線通信機器を備える無線通信システムの通信制御方法であって、
前記複数の無線通信機器間で許容される許容干渉電力に基づいて、搬送波電力対許容干渉電力の比を示す許容CIRを記憶部に登録する第1のステップと、
2つ以上の前記無線通信機器が互いに無線通信を開始する前に、無線通信する際の送信電力、通信速度、通信チャネルのうち、少なくとも1つを含む通信条件を設定する第2のステップと、
前記第2のステップで設定された通信条件に基づいて、前記無線通信を開始する自無線通信機器が無線通信中の他無線通信機器から受ける受動干渉電力を求め、搬送波電力対該受動干渉電力の比を示す受動CIRを算出する第3のステップと、
前記第3のステップで求められた前記受動CIRが、前記許容CIR以上であるか否かを評価する第4のステップと、
前記第2のステップで設定した通信条件に基づいて、前記自無線通信機器が無線通信中の他無線通信機器に与える能動干渉電力を求め、該無線通信中の他無線通信機器における搬送波電力対該能動干渉電力の比を示す能動CIRを算出する第5のステップと、
前記第5のステップで求められた前記能動CIRが、前記許容CIR以上であるか否かを評価する第6のステップと、
前記第4のステップで前記許容CIR以上であると評価された前記受動CIRと、前記第6のステップで前記許容CIR以上であると評価された前記能動CIRとに基づいて、前記第2のステップで設定した通信条件で、前記複数の無線通信機器が無線通信を開始する第7のステップとを
含むことを特徴とする無線通信システムの通信制御方法。
【請求項2】
前記第3のステップにおいて、
無線通信中の前記無線通信機器又は該無線通信機器を制御する無線通信機器制御装置が、各無線通信機器間での経路損失の情報と、各無線通信機器のスプリアス特性に関する情報と、前記無線通信中の各無線通信機器及びその無線通信機器が使用している通信条件に関する情報とを、前記無線通信機器又は前記無線通信機器制御装置内の記憶装置に記録し、前記記憶装置に記録された各情報から前記搬送波電力と前記受動干渉電力を求め、前記受動CIRを算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システムの通信制御方法。
【請求項3】
前記第5のステップにおいて、
無線通信中の前記無線通信機器又は該無線通信機器を制御する無線通信機器制御装置が、各無線通信機器間での経路損失の情報と、各無線通信機器のスプリアス特性に関する情報と、前記無線通信中の各無線通信機器及びその無線通信機器が使用している通信条件に関する情報とを、前記無線通信機器又は前記無線通信機器制御装置内の記憶装置に記録し、前記記憶装置に記録された各情報から前記搬送波電力と前記能動干渉電力を求め、前記能動CIRを算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システムの通信制御方法。
【請求項4】
前記第4のステップにおいて、算出された前記受動CIRが前記許容CIR未満であると評価された場合、
または、
前記第6のステップにおいて、算出された前記能動CIRが前記許容CIR未満であると評価された場合、
前記第2のステップにおいて、前記設定された通信条件を他の前記通信条件に変更し設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システムの通信制御方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちの何れか一項に記載の無線通信システムの通信制御方法を、コンピュータに実行させるプログラム。
【請求項6】
無線通信機器を、請求項1から請求項4のうちの何れか一項に記載の無線通信システムの通信制御方法によって機能させるためのコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項7】
無線通信機器制御装置を、請求項1から請求項4のうちの何れか一項に記載の無線通信システムの通信制御方法によって機能させるためのコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項8】
無線通信システムを構成する複数の無線通信機器の通信制御を行う無線通信機器制御装置であって、
前記複数の無線通信機器の間における無線通信品質に関する情報を格納する許容干渉電力管理記憶部と、
前記複数の無線通信機器の間で、どのような通信条件によって無線通信が行われているかを示す最新の通信情報を格納する無線使用状況管理記憶部と、
2つの無線通信機器間における経路損失のレベルを格納する経路損失管理記憶部と、
前記複数の無線通信機器におけるスプリアス特性に関する情報を格納するスプリアス特性管理記憶部と、
前記無線使用状況管理記憶部から取得した無線使用状況、前記経路損失管理記憶部から取得した経路損失のレベル、及び前記スプリアス特性管理記憶部から取得したスプリアス特性の情報に基づいて、他の無線通信機器と無線通信を試みる際に、所定の通信条件において、他の無線通信機器から受ける受動干渉電力及びび搬送波電力対該受動干渉電力の比を示す受動CIRと、他の無線通信機器に与える能動干渉電力および搬送波電力対該能動干渉電力の比を示す能動CIRとを算出する干渉電力算出部と、
最新時刻における前記複数の無線通信機器の受信電力に関する情報と、前記無線使用状況管理記憶部から取得した無線使用状況とを参照し、随時、各無線通信機器間に関する経路損失を計算し、前記経路損失管理記憶部を更新する経路損失算出部と、
前記受動CIRと前記能動CIRがそれぞれ前記無線通信機器に許容される許容CIR以上であるときに、所定の通信条件において、前記無線通信機器に無線通信を開始させる無線通信機器制御部とを
備える
ことを特徴とする無線通信機器制御装置。
【請求項9】
無線通信中の前記無線通信機器又は該無線通信機器を制御する無線通信機器制御装置が、各無線通信機器間での経路損失の情報と、各無線通信機器のスプリアス特性に関する情報と、前記無線通信中の各無線通信機器及びその無線通信機器が使用している通信条件に関する情報とを、前記無線通信機器又は前記無線通信機器制御装置内の記憶装置に格納し、
前記干渉電力算出部は、前記記憶装置に記録された各情報から搬送波電力と前記受動干渉電力を求め、前記受動CIRを算出する
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信機器制御装置。
【請求項10】
無通線信中の前記無線通信機器又は無線通信機器を制御する無線通信機器制御装置が、各無線通信機器間での経路損失の情報と、各無線通信機器のスプリアス特性に関する情報と、前記無線通信中の各無線通信機器及びその無線通信機器が使用している通信条件に関する情報とを、前記無線通信機器又は前記無線通信機器制御装置内の記憶装置に記録し、
前記干渉電力算出部は、前記記憶装置に記録された各情報から搬送波電力と前記能動干渉電力を求め、前記能動CIRを算出する
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信機器制御装置。
【請求項11】
前記無線通信機器制御部は、算出された前記受動CIRが前記許容CIR未満であると評価された場合、または、算出された前記能動CIRが前記許容CIR未満であると評価された場合、前記所定の通信条件を他の前記通信条件に変更する
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信機器制御装置。
【請求項12】
前記複数の無線通信機器は、リーダ・ライタと電子タグまたはリーダと電子タグである
ことを特徴とする請求項8から請求項11のうちの何れか一項に記載の無線通信機器制御装置。































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−177995(P2010−177995A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17683(P2009−17683)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】