説明

無線通信システム及び基地局装置

【課題】UEの特定セルへのアクセス可否を容易に制御する無線通信システム及び基地局装置を提供する。
【解決手段】エントランスセル基地局100は、エントランスセルにアクセスしたUEからUE識別子を取得し、管理サーバ200は、エントランスセル基地局100によって取得されたUE識別子が新たに追加された場合には取得したUE識別子を有効期間と共に管理し、取得したUE識別子が既に管理されている場合には管理されているUE識別子を削除し、変更内容を制限セルグループ基地局300に通知する。UEが制限セルグループにアクセスする際、制限セルグループ基地局300は、UEからUE識別子を取得して、管理サーバ200から通知された有効なUE識別子と一致するか否かに応じて、制限セルグループへのアクセスを許可または拒否する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末の特定セルへのアクセスを許可及び制限する無線通信システム及び基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話による通信の室内エリアの不感地帯を補完したり、スループットを向上させたりする目的として、HeNBまたはフェムト(Femto)基地局と呼ばれる小型基地局の開発が行われている。
【0003】
HeNB(Home eNodeB)またはフェムト基地局は、宅内、企業内、ショッピングモール等での利用が想定されている。宅内、企業内、ショッピングモール等に設置されるHeNB、フェムト基地局のセルでは、限定された端末(以下、「UE(User Equipment)」という)に対してのみサービスを提供するような利用方法が想定される。例えば、宅内では家族のみ、企業内では社員のみ、ショッピングモールでは会員登録ユーザのみに利用できるようにすることが考えられる。
【0004】
ところで、3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、セルのアクセスモードとして、クローズド(Closed)、ハイブリッド(Hybrid)、オープン(Open)の3つが規定されている。以下、3つのアクセスモードについて簡単に説明する。
【0005】
クローズドアクセスモードは、アクセス許可を持つ制限されたメンバー(以下、「CSG(Closed Subscriber Group)メンバー」という)に対してのみサービスを提供する。
【0006】
ハイブリッドアクセスモードは、CSGメンバー及びアクセス許可を持たない非CSGメンバーのそれぞれが利用可能であるが、非CSGメンバーよりCSGメンバーを優先して利用できるようにする。
【0007】
オープンアクセスモードは、アクセス制限を行わずに、全てのメンバーにサービスを提供する。
【0008】
このような3つのアクセスモードを前提として、UEは、eNodeBから通知されるCSG ID(CSGを識別する識別子)を含む報知情報を受信し、受信したCSG IDがUSIM(Universal Subscriber Identity Module)のCSGリストで管理するCSG IDと同一である場合、CSGセル及びハイブリッドセルにCSGメンバーとしてアクセスすることができる。
【0009】
また、MME(Mobility Management Entity)は、eNodeBから通知されるCSG IDが、オペレータネットワーク内のHSS(Home Subscriber Server)から提供される加入者情報であるCSGサブスクリプションデータ(CSG subscription data)に含まれるCSG IDと一致するか否かを確認し、一致する場合にはCSGによるサービスの提供を許可する。
【0010】
これらのことから、UEがCSGメンバーとしてCSGセルまたはハイブリッドセルでサービスを受けるためには、以下の2つの設定を事前に行う必要がある。すなわち、一つには、USIMのCSGリストにアクセスを希望するセルのCSG IDを登録することであり、二つには、HSSで管理するCSGサブスクリプションデータにサービスの提供を希望するセルのCSG IDを登録することである。
【0011】
上記一つ目の設定については、まず、CSGリストには、オペレータまたはUEユーザが変更可能な“許可CSGリスト(Allowed CSG List)”とオペレータのみが変更可能な“オペレータCSGリスト(Operator CSG List)”が定義されている。UEが許可CSGリストを利用可能な場合、UEユーザはCSGリストに登録されているCSG IDを変更することができる。オペレータCSGリストのみが使用される場合、登録されているCSG IDを変更するためには、UEユーザはオペレータにその変更を依頼する必要がある。なお、マニュアルでCSGセルの選択を行うこと(以下、「マニュアルCSGセレクション」ということがある)が認められる場合、UEユーザは利用可能なCSGセルをUEにスキャンさせ、その中の一つを選択することが可能である。
【0012】
上記二つ目の設定については、オペレータ装置が管理を行う情報であるため、CSG IDを変更する場合、都度、UEユーザはオペレータに変更を依頼する必要がある。
【0013】
以上を踏まえ、非特許文献1に開示のUEがCSGへアクセスする手順について図1を用いて説明する。図1において、ステップ(以下、「ST」と省略する)11では、UEは、新しいトラッキングエリア(Tracking Area)に移動したことを検出し、ST12では、選択したセルでTAUリクエスト(Tracking Area Update Request)メッセージをeNodeBに送信する。
【0014】
ST13では、eNodeBは、“CSGアクセスモード”及び“CSG ID”と一緒にTAUリクエストメッセージを新たに選択したMME(new MME)に送信する。CSG IDは、UEがCSGセルまたはハイブリッドセルを介してTAUリクエストメッセージを送信する場合に提供される。また、UEがハイブリッドセルを介してTAUリクエストメッセージを送信する場合、CSGアクセスモードが提供される。仮に、CSGアクセスモードは提供されないが、CSG IDが提供される場合、MMEはそのセルをCSGとして判断する。なお、“CSGアクセスモード”と“CSG ID”は、TAUリクエストメッセージを運ぶS1−AP制御メッセージに含まれる。
【0015】
ここでは、ST14〜ST26の説明は省略する。
【0016】
ST27では、HSSは、サブスクリプションデータ(Subscription Data)を含むアップデートロケーションACK(Update Location Acknowledgement)をMMEに送信する。サブスクリプションデータには、そのPLMN(Public Land Mobile Network)のためのCSGサブスクリプションデータも含まれている。
【0017】
UEがCSGセルでTAU(Tracking Area Update)プロシージャを開始した場合には、MMEはST13においてeNodeBより通知されたCSG IDがCSGサブスクリプションデータに含まれているか、また、そのCSG IDの有効期間が切れていないか確認する。その結果、CSGサブスクリプションデータにeNodeBより通知されたCSG IDが存在しない、またはそのCSG IDの有効期間が切れている場合、MMEはその理由を含めたトラッキングエリアアップデートリジェクト(Tracking Area Update Reject)をUEに送信する。UEは、許可CSGリストにそのCSG IDが含まれている場合、そのCSG IDを許可CSGリストから削除する。その他の確認項目のチェックが成功すれば、MMEはUEのためのコンテキストを作成する。
【0018】
また、ここでは、ST28、ST29及びST31の説明は省略する。
【0019】
ST30では、トラッキングエリアアップデートリジェクトを受信したUEはそのTA(Tracking Area)へのアクセスが許可されない。TAUプロシージャがマニュアルCSGセレクションによってCSGセルから開始され、TAUアクセプト(TAU Accept)メッセージを受信したUEは、許可CSGリストにそのCSG IDを含んでいない場合には、許可CSGリストにそのCSG IDを追加する。また、ユーザープレーンセットアップがTAUアクセプトメッセージと連動して実行され、TAUがハイブリッドセルで行われる場合には、MMEは、UEがCSGメンバーであるか否かの通知をS1−MME制御メッセージによってeNodeBに送信する。
【0020】
eNodeBは、MMEから送信されたこの情報に基づいて、CSGと非CSGメンバーの異なる扱いを行う。UEがハイブリッドセル経由でTAUアクセプトメッセージを受信する場合、UEは許可CSGリストにそのCSG IDを追加しない。ハイブリッドセルのためのCSG IDの許可CSGリストへの追加は、OTA(Over the Air)プロシージャまたはOMA(Open Mobile Alliance) DM(Device Management)プロシージャを用いてのみ行われる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】3GPP, TS23.401 V10.3.0 "3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Services and System Aspects; General Packet Radio Service (GPRS) enhancements for Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN) access"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、上述したCSGセルへのアクセス手順では、予め、UEのUSIMのCSGリスト(許可CSGリストまたはオペレータCSGリスト)にアクセスを希望するセルのCSG IDを登録すること、および、HSSで管理するCSGサブスクリプションデータにサービスの提供を希望するセルのCSG IDを登録することが必要である。
【0023】
このため、CSGセルをあるUEに一時的に利用させる場合、以下のような手順が必要となる。すなわち、UEユーザに対しては、アクセスを希望するセルのCSG IDのUSIMへの登録を要求するか、または、マニュアルCSGセレクションを要求する。また、オペレータに対しては、アクセスを希望するCSGセルの基地局の管理者が、HSSで管理するCSGサブスクリプションデータにアクセスを希望するセルのCSG IDの登録を要求する。
【0024】
これらの手順は、CSGセルを一時的に利用するための作業としては煩雑である。また、オペレータの手続きには時間がかかる。例えば、企業を訪ねてきたお客様に企業内のCSGセルの一時的な利用を想定すると、お客様に煩雑な作業を要求することは現実的ではない。また、ショッピングモール等のCSGセルで一時利用者が多数おり、CSG IDの登録及び削除が頻繁に発生する場合も、基地局管理者の手間を考えると、CSGセルを用いた従来手順による一時利用は現実的ではない。
【0025】
本発明の目的は、UEの特定セルへのアクセス可否を容易に制御する無線通信システム及び基地局装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の無線通信システムは、第1端末から送信された第1メッセージを受信する受信手段と、受信した前記第1メッセージから前記第1端末を識別する識別情報を取得する識別情報取得手段と、取得された前記識別情報を送信する送信手段と、を有する第1基地局装置と、前記第1基地局装置から送信された前記識別情報を受信する識別情報受信手段と、受信した前記識別情報を有効期間と共に追加して管理し、前記有効期間が満了した場合、管理している前記識別情報を削除する識別情報管理手段と、前記識別情報の追加または削除を示す変更内容と共に、前記変更内容に該当する前記識別情報を含む第2メッセージを通知する通知手段と、を有するサーバ装置と、前記サーバ装置から通知された前記第2メッセージを受信するメッセージ受信手段と、第2端末から送信された第3メッセージを受信する受信手段と、前記サーバ装置から受信した前記第2メッセージに含まれる前記変更内容に従って、前記変更内容に該当する前記識別情報を保持し、保持した前記識別情報と、前記第2端末から受信した第3メッセージに含まれる識別情報とを比較し、前記比較の結果が一致する場合には、前記第2端末のアクセスを許可し、前記比較の結果が一致しない場合には、前記第2端末のアクセスを拒否する識別情報保持手段と、を有する第2基地局装置と、を具備する構成を採る。
【0027】
本発明の基地局装置は、第1端末から送信された第1メッセージを受信する受信手段と、受信した前記第1メッセージから前記第1端末を識別する識別情報を取得する識別情報取得手段と、取得された前記識別情報を有効期間と共に追加して管理し、前記有効期間が満了した場合、管理している前記識別情報を削除する識別情報管理手段と、前記識別情報の追加または削除を示す変更内容と共に、前記変更内容に該当する前記識別情報を含む第2メッセージを通知する通知手段と、を具備する構成を採る。
【0028】
本発明の基地局装置は、他の基地局装置において取得された第1端末を識別する識別情報を前記他の基地局装置から受信する識別情報受信手段と、受信した前記識別情報を有効期間と共に追加して管理し、前記有効期間が満了した場合、管理している前記識別情報を削除する識別情報管理手段と、第2端末から送信された第3メッセージを受信する受信手段と、前記識別情報の追加または削除を示す変更内容に従って、前記変更内容に該当する前記識別情報を保持し、保持した前記識別情報と、前記第2端末から受信した前記第3メッセージに含まれる識別情報とを比較し、前記比較の結果が一致する場合には、前記第2端末のアクセスを許可し、前記比較の結果が一致しない場合には、前記第2端末のアクセスを拒否する識別情報保持手段と、を具備する構成を採る。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、UEの特定セルへのアクセス可否を容易に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】非特許文献1に開示のUEがCSGへアクセスする手順を示すシーケンス図
【図2】本発明の一実施の形態に係る無線通信システムの概要示す模式図
【図3】本発明の一実施の形態に係るエントランス基地局の構成を示すブロック図
【図4】本発明の一実施の形態に係る管理サーバの構成を示すブロック図
【図5】本発明の一実施の形態に係る制限セルグループ基地局の構成を示すブロック図
【図6】制限セルグループ基地局にUEのアクセス許可を設定する手順を示すシーケンス図
【図7】制限セルグループ基地局にUEのアクセス許可の解除を設定する手順を示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
(一実施の形態)
本実施の形態では、エントランスセルという新たな概念を設ける。エントランスセルは、企業内等の特定のエリアで使用される基地局へのアクセスを制限したいセル(以下、「制限セル」という)またはその複数セルのグループ(以下、「制限セルグループ」という)に対して、入場口等のエントランスに一台ないし複数台配置した基地局(以下、「エントランス基地局」という)によって形成される。
【0033】
制限セル及び制限セルグループは、3GPPで規定するオープンセルまたはハイブリッドセルとする。なお、ハイブリッドセルで制限セルおよび制限セルグループとする場合、エントランスセルでアクセスした非CSGメンバーのUEは、MMEで非CSGメンバーとして判定されるため、優先度が低い非CSGメンバーとしてアクセスする。CSGメンバーのUEについては、CSGメンバーとしてアクセスするため、優先度が高く扱われる。
【0034】
図2は、本発明の一実施の形態に係る無線通信システムの概要示す模式図である。この図2において、エントランス基地局100は、UEがエントランスセルにアクセスすると、アクセス時に使用するメッセージ内に含まれる確認可能なUE識別子を取得する。UE識別子としては、例えば、RRCメッセージに含まれるS−TMSI(S-Temporary Mobile Subscriber Identity)などが挙げられる。エントランス基地局100は、取得したUE識別子を管理サーバ200に通知する。
【0035】
エントランス基地局100は、アクセスしてきたUEのUE識別子を取得することが目的であるため、その利用形態に応じた形状の基地局でよい。例えば、タッチ式形状の小型基地局であって非常に小電力なセルエリアを形成する基地局などでもよい。この場合、タッチによりUE識別子が取得されたことをUEユーザが確認可能となるよう、小型基地局で表示可能とする。
【0036】
また、エントランス基地局100は、UE識別子を取得したUEとの接続をすぐに解放してよい。または、エントランスセルのリソースが全て割り当てられた場合に、接続の古いUEから順に解放し、常に新規の接続を優先的に行えるようにしてもよい。なお、エントランスセルは、ハンドオーバ機能を必要としない。
【0037】
管理サーバ200は、エントランス基地局100から通知されたUE識別子を有効期間と共に管理する。有効期間は、オペレータにより設定可能とする。また、管理サーバ200は、UE識別子の“追加”、“削除”等が行われた場合は、その旨を制限セル及び制限セルグループに通知する。
【0038】
また、管理サーバ200は、エントランス基地局100から通知されたUE識別子が、現在、既に管理されている場合、当該UE識別子のUEはエントランスセルから退場したことを意味するため、そのUE識別子を削除する。
【0039】
制限セルグループの管理者は、管理サーバ200に管理されたUE識別子を任意に削除することができ、また、エントランス基地局100から通知される以外にも、任意にUE識別子と有効期間を設定することができる。
【0040】
なお、管理サーバ200は、エントランス基地局100または制限セルグループ基地局300と同一のハードウェアに具備されてもよい。
【0041】
制限セルグループ基地局300は、サービスを提供するセルとしてオープンセルまたはハイブリッドセルを運用し、管理サーバ200から“追加”として通知されたUE識別子と一致するUEのみ、セルへのアクセスを可能とする。また、制限セルグループ基地局300は、管理サーバ200から“削除”として通知されたUE識別子を削除する。また、制限セルグループ基地局300は、エントランスセルにアクセスしていないUEのアクセスを拒否する。
【0042】
図3は、本発明の一実施の形態に係るエントランス基地局100の構成を示すブロック図である。以下、図3を用いてエントランス基地局100の構成について説明する。
【0043】
無線受信処理部101は、UEから送信されたUE識別子を含むRRCメッセージを受信し、受信したRRCメッセージをRRCメッセージ解析部102に出力する。
【0044】
RRCメッセージ解析部102は、無線受信処理部101から出力されたRRCメッセージを解析し、UE識別子(例えば、S−TMSI)を取得する。取得したUE識別子をUE識別子取得部103に出力する。
【0045】
UE識別子取得部103は、RRCメッセージ解析部102から出力されたUE識別子を取得すると、表示部104及びエントランスセルメッセージ生成部105に通知する。UE識別子の取得が完了すると、取得したUE識別子に該当するUEの接続解放をRRCメッセージ生成部107に指示する。なお、UE識別子取得部103は、エントランスセルのリソースが全て割り当てられた場合に、接続の古いUEから順に解放を指示し、常に新規の接続を優先的に行えるようにしてもよい。
【0046】
表示部104は、UE識別子取得部103から出力されたUE識別子が取得されたことを表示する。
【0047】
エントランスセルメッセージ生成部105は、エントランスセルを識別するエントランスセル識別情報とUE識別子取得部103から出力されたUE識別子とを含む、管理サーバ200向けのメッセージを生成し、生成したメッセージをエントランスセルメッセージ送信部106に出力する。
【0048】
エントランスセルメッセージ送信部106は、エントランスセルメッセージ生成部105から出力されたメッセージを管理サーバ200に送信する。
【0049】
RRCメッセージ生成部107は、UE識別子取得部103から指示されたUEの接続解放を指示するRRCメッセージを生成し、生成したRRCメッセージを無線送信処理部108に出力する。
【0050】
無線送信処理部108は、RRCメッセージ生成部107から出力されたRRCメッセージをUEに送信する。
【0051】
図4は、本発明の一実施の形態に係る管理サーバ200の構成を示すブロック図である。以下、図4を用いて管理サーバ200の構成について説明する。
【0052】
エントランスセルメッセージ受信部201は、エントランス基地局100から送信されたエントランスセルメッセージを受信し、受信したエントランスセルメッセージをエントランスセルメッセージ解析部202に出力する。
【0053】
エントランスセルメッセージ解析部202は、エントランスセルメッセージ受信部201から出力されたエントランスセルメッセージを解析し、エントランスセルメッセージからエントランスセル識別情報及びUE識別子を取得する。取得されたエントランスセル識別情報及びUE識別子はUE識別子管理部203に出力される。
【0054】
UE識別子管理部203は、エントランスセルメッセージ解析部202から出力されたUE識別子の有効期間を有効期間設定部205に問い合わせ、有効期間設定部205から取得した有効期間と共にUE識別子を管理する。UE識別子管理部203は、有効期間が満了すると、該当するUE識別子を削除する。
【0055】
また、UE識別子管理部203は、エントランスセルメッセージ解析部202から出力されたUE識別子が既に管理されている場合、管理されているUE識別子を削除する。
【0056】
また、UE識別子管理部203は、エントランスセルメッセージ解析部202から取得したエントランスセル識別情報を制限セルグループ情報管理部206に通知し、エントランスセルに対応する制限セルグループを制限セルグループ情報管理部206から取得する。
【0057】
また、UE識別子管理部203は、管理する情報に変更があった場合、変更内容、UE識別子、制限セルグループを管理サーバメッセージ生成部207に通知する。
【0058】
さらに、UE識別子管理部203は、UE識別子、有効期間、制限セルグループを表示インタフェース204に通知する。
【0059】
表示インタフェース204は、UE識別子管理部203から通知されたUE識別子、有効期間、制限セルグループをモニタ表示するための信号に変換する。
【0060】
有効期間設定部205は、UE識別子管理部203からの問い合わせに基づいて、UE識別子管理部203にそのUE識別子の有効期間を通知する。
【0061】
制限セルグループ情報管理部206は、エントランスセルと関連してサービスを提供することが可能な制限セルグループの情報を管理し、UE識別子管理部203からの問い合わせに対して、該当するエントランスセル識別情報に対応する制限セルグループをUE識別子管理部203に応答する。
【0062】
管理サーバメッセージ生成部207は、UE識別子管理部203から通知された変更内容、UE識別子を含む制限セルグループ宛の管理サーバメッセージを生成し、生成した管理サーバメッセージを管理サーバメッセージ送信部208に出力する。
【0063】
管理サーバメッセージ送信部208は、管理サーバメッセージ生成部207から出力された管理サーバメッセージを制限セルグループ基地局300に送信する。
【0064】
図5は、本発明の一実施の形態に係る制限セルグループ基地局300の構成を示すブロック図である。以下、図5を用いて制限セルグループ基地局300の構成について説明する。
【0065】
管理サーバメッセージ受信部301は、管理サーバ200から送信された管理サーバメッセージを受信し、受信した管理サーバメッセージを管理サーバメッセージ解析部302に出力する。
【0066】
管理サーバメッセージ解析部302は、管理サーバメッセージ受信部301から出力された管理サーバメッセージを解析し、変更内容、UE識別子を取得し、取得したこれらの情報をサービスUE識別子保持部305に出力する。
【0067】
無線受信処理部303は、UEから送信されたRRCメッセージを受信し、受信したRRCメッセージをRRCメッセージ解析部304に出力する。
【0068】
RRCメッセージ解析部304は、無線受信処理部303から出力されたRRCメッセージを解析し、RRCメッセージからUE識別子を取得する。取得されたUE識別子をサービスUE識別子保持部305に通知し、一致する保持情報があるか否かを確認する。RRCメッセージ解析部304は、これらの情報が一致する場合、該当UEのアクセスを許可する指示をRRCメッセージ生成部306に通知し、一致しない場合、該当UEのアクセスを拒否する指示をRRCメッセージ生成部306に通知する。
【0069】
サービスUE識別子保持部305は、管理サーバメッセージ解析部302から出力された変更内容、UE識別子に基づいて、保持情報を更新する。具体的には、変更内容が“追加”の場合、保持情報を追加し、“削除”の場合、通知されたUE識別子に該当する保持情報を削除する。このとき、削除したUE識別子に該当するUEが接続中である場合、接続解放の指示をRRCメッセージ生成部306に通知する。
【0070】
また、サービスUE識別子保持部305は、RRCメッセージ解析部304から通知されたUE識別子と保持情報と比較し、一致するものがあるか否かを確認する。サービスUE識別子保持部305は、これらの情報が一致する場合は、RRCメッセージ解析部304に一致することを通知し、一致しない場合は、RRCメッセージ解析部304に一致しないことを通知する。
【0071】
RRCメッセージ生成部306は、RRCメッセージ解析部304及びサービスUE識別子保持部305からの指示に従ってRRCメッセージを生成し、生成したRRCメッセージを無線送信処理部307に出力する。
【0072】
無線送信処理部307は、RRCメッセージ生成部306から出力されたRRCメッセージをUEに送信する。
【0073】
次に、制限セルグループ基地局300にUEのアクセス許可を設定する手順について図6を用いて説明する。図6において、ST401では、エントランス基地局100は、UEとのRRCコネクション確立時に、RRCメッセージから“UE識別子:A”を取得する。
【0074】
ST402では、エントランス基地局100は、エントランスセル識別情報と、ST401において取得した“UE識別子:A”とを含めたエントランスセルメッセージを管理サーバ200に送信し、ST403では、管理サーバ200は、受信したエントランスセルメッセージに基づいて、“UE識別子:A”、その“有効期間:T”及び制限セルグループの情報を管理する。
【0075】
ST404では、管理サーバ200は、“変更情報:追加”、“UE識別子:A”を含めた管理サーバメッセージを、エントランスセル識別情報と関連する制限セルグループ基地局300に送信し、ST405では、制限セルグループ基地局300は、“UE識別子:A”のUEをアクセス許可UEとする情報を保持する。
【0076】
ST406では、“UE識別子:A”のUEが、制限セルグループ基地局300にアクセスし、ST407では、制限セルグループ基地局300は“UE識別子:A”をアクセス許可UEとする情報を保持しているため、このUEのRRCコネクションの確立を許可する。
【0077】
ST408では、“UE識別子:A”の有効期間が満了し、ST409では、管理サーバ200は“変更情報:削除”と、“UE識別子:A”とを含めた管理サーバメッセージを、エントランスセル識別情報と関連する制限セルグループ基地局300に送信し、ST410では、制限セルグループ基地局300は、アクセス許可UEとして情報を保持していた“UE識別子:A”を削除する。
【0078】
ST411では、“UE識別子:A”のUEが、制限セルグループ基地局300にアクセスし、ST412では、制限セルグループ基地局300は“UE識別子:A”がアクセス許可のないUEであるため、このUEのRRCコネクションの確立を許可しない。
【0079】
このように、エントランス基地局100がUE識別子を取得したUE、すなわち、エントランスセルを通過したUEであって、エントランスセルの通過から一定時間(有効期間)内のUEのみ制限セルグループへのアクセスを許可する。
【0080】
次に、制限セルグループ基地局300にUEのアクセス許可の解除を設定する手順について図7を用いて説明する。図7において、ST501では、エントランス基地局100は、RRCコネクション確立時に、RRCメッセージから“UE識別子:A”を取得する。
【0081】
ST502では、エントランス基地局100は、エントランスセル識別情報と、ST501において取得した“UE識別子:A”とを含めたエントランスセルメッセージを管理サーバ200に送信し、ST503では、管理サーバ200は、受信したエントランスセルメッセージに含まれる“UE識別子:A”が既に管理している識別子であるため、管理している情報から“UE識別子:A”、それに関連する“有効期間:T”及び“制限セルグループ”の情報を削除する。
【0082】
ST504では、管理サーバ200は、“変更情報:削除”と、“UE識別子:A”とを含めた管理サーバメッセージを制限セルグループ基地局300に送信し、ST505では、制限セルグループ基地局300は、アクセス許可UEとして保持している“UE識別子:A”を削除する。
【0083】
ST506では、“UE識別子:A”のUEが、制限セルグループ基地局300にアクセスし、ST507では、制限セルグループ基地局300は“UE識別子:A”がアクセス許可のないUEであるため、このUEのRRCコネクションの確立を許可しない。
【0084】
このように、本実施の形態によれば、エントランスセルにアクセスしたUEからUE識別子を取得し、取得したUE識別子が新たに追加された場合には取得したUE識別子を有効期間と共に管理し、取得したUE識別子が既に管理されている場合には管理されているUE識別子を削除し、UEが制限セルグループにアクセスする際、制限セルグループにおいてUEからUE識別子を取得して、管理している有効なUE識別子と一致するか否かに応じてUEの制限セルグループへのアクセスを許可または拒否することにより、UEの特定セルへのアクセス可否を容易に制御することができる。
【0085】
この結果、クローズドアクセスモードによるアクセス許可に必要なUSIM及びオペレータネットワーク装置の設定変更を省略し、容易かつ短時間でUEのセルアクセスを制御することができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明にかかる無線通信システム及び基地局装置は、UEの特定セルへのアクセス許可及びその解除を容易に制御するに好適である。
【符号の説明】
【0087】
100 エントランス基地局
101、303 無線受信処理部
102、304 RRCメッセージ解析部
103 UE識別子取得部
104 表示部
105 エントランスセルメッセージ生成部
106 エントランスセルメッセージ送信部
107、306 RRCメッセージ生成部
108、307 無線送信処理部
200 管理サーバ
201 エントランスセルメッセージ受信部
202 エントランスセルメッセージ解析部
203 UE識別子管理部
204 表示インタフェース
205 有効期間設定部
206 制限セルグループ情報管理部
207 管理サーバメッセージ生成部
208 管理サーバメッセージ送信部
300 制限セルグループ基地局
301 管理サーバメッセージ受信部
302 管理サーバメッセージ解析部
305 サービスUE識別子保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端末から送信された第1メッセージを受信する受信手段と、
受信した前記第1メッセージから前記第1端末を識別する識別情報を取得する識別情報取得手段と、
取得された前記識別情報を送信する送信手段と、
を有する第1基地局装置と、
前記第1基地局装置から送信された前記識別情報を受信する識別情報受信手段と、
受信した前記識別情報を有効期間と共に追加して管理し、前記有効期間が満了した場合、管理している前記識別情報を削除する識別情報管理手段と、
前記識別情報の追加または削除を示す変更内容と共に、前記変更内容に該当する前記識別情報を含む第2メッセージを通知する通知手段と、
を有するサーバ装置と、
前記サーバ装置から通知された前記第2メッセージを受信するメッセージ受信手段と、
第2端末から送信された第3メッセージを受信する受信手段と、
前記サーバ装置から受信した前記第2メッセージに含まれる前記変更内容に従って、前記変更内容に該当する前記識別情報を保持し、保持した前記識別情報と、前記第2端末から受信した第3メッセージに含まれる識別情報とを比較し、前記比較の結果が一致する場合には、前記第2端末のアクセスを許可し、前記比較の結果が一致しない場合には、前記第2端末のアクセスを拒否する識別情報保持手段と、
を有する第2基地局装置と、
を具備する無線通信システム。
【請求項2】
第1端末から送信された第1メッセージを受信する受信手段と、
受信した前記第1メッセージから前記第1端末を識別する識別情報を取得する識別情報取得手段と、
取得された前記識別情報を有効期間と共に追加して管理し、前記有効期間が満了した場合、管理している前記識別情報を削除する識別情報管理手段と、
前記識別情報の追加または削除を示す変更内容と共に、前記変更内容に該当する前記識別情報を含む第2メッセージを通知する通知手段と、
を具備する第3基地局装置。
【請求項3】
前記識別情報の取得が完了したことを表示する表示手段を具備する請求項2に記載の第3基地局装置。
【請求項4】
前記識別情報取得手段は、前記識別情報の取得が完了した場合、前記識別情報に該当する端末の接続解放を指示する請求項2に記載の第3基地局装置。
【請求項5】
前記識別情報取得手段は、前記端末との接続に用いるリソースが全て割り当てられた場合、接続の古い端末から順に解放を指示する請求項2に記載の第3基地局装置。
【請求項6】
前記識別情報管理手段は、受信した前記識別情報が既に管理されている場合、管理されている前記識別情報を削除する請求項2に記載の第3基地局装置。
【請求項7】
前記通知手段は、前記識別情報の削除を示す変更内容と共に、削除に該当する前記識別情報を含む前記第2メッセージを通知する請求項6に記載の第3基地局装置。
【請求項8】
他の基地局装置において取得された第1端末を識別する識別情報を前記他の基地局装置から受信する識別情報受信手段と、
受信した前記識別情報を有効期間と共に追加して管理し、前記有効期間が満了した場合、管理している前記識別情報を削除する識別情報管理手段と、
第2端末から送信された第3メッセージを受信する受信手段と、
前記識別情報の追加または削除を示す変更内容に従って、前記変更内容に該当する前記識別情報を保持し、保持した前記識別情報と、前記第2端末から受信した前記第3メッセージに含まれる識別情報とを比較し、前記比較の結果が一致する場合には、前記第2端末のアクセスを許可し、前記比較の結果が一致しない場合には、前記第2端末のアクセスを拒否する識別情報保持手段と、
を具備する第4基地局装置。
【請求項9】
前記識別情報管理手段は、受信した前記識別情報が既に管理されている場合、管理されている前記識別情報を削除する請求項8に記載の第4基地局装置。
【請求項10】
前記識別情報保持手段は、前記識別情報管理手段によって管理されている前記識別情報が削除された場合、削除された前記識別情報と同一の前記識別情報を削除する請求項9に記載の第4基地局装置。
【請求項11】
前記識別情報保持手段は、接続中の端末の識別情報が削除された場合、前記端末の接続解放を指示する請求項10に記載の第4基地局装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−78028(P2013−78028A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217418(P2011−217418)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】