説明

無線通信システム及び無線通信装置

【課題】 エバネセント通信技術において改良された無線通信システム及び装置を提供する。
【解決手段】 無線通信装置は、コントローラICと、識別符号その他の通信に必要なデータを保持するEEPROMと、RF回路などのアナログ回路部と、アンテナコネクタとを備えている。この装置が親機側(基地局側)で使用される場合にはアンテナコネクタには後述する励振器が使用され、子機側(端末側)で使用される場合にはロッドアンテナが使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信システム及び無線通信装置に関する。特に、エバネセント通信技術を利用した無線通信システム及び無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高度に情報ネットワークが構築された現代社会において、無線通信技術は必要不可欠なものとなっている。無線通信には、船舶無線、アマチュア無線を始めとした大電力通信ばかりでなく、携帯電話通信、トランシーバ通信、無線LAN通信等の比較的省電力な通信もある。
【0003】
省電力通信の中でも微弱電波を用いた無線通信機器は、発射する電波が著しく微弱であるため、(1)誰でも、何時でも、どこでも、自由に使用でき、(2)無線通信機器を使用する人が試験を受けて免許資格(無線従事者免許証)を取る必要がなく、(3)特定省電力無線機器や陸上移動局と違い周波数を自由に選択することができ、混信のない周波数を選択して使用することができ、(4)アンテナを無線機器本体から切り離して設置することも可能である。これらのメリットから、家庭用コードレス電話、トランシーバを始め、様々なタイプの無線通信機器が実用化されている。
【0004】
しかしながら、従来の無線通信機器においては、使用する電波が極めて微弱であるが故に、通信距離の目安は見通しで約30m程度であり、到達距離が十分ではなく、また混信妨害を受けやすい等の欠点があった。
【0005】
また、従来の無線通信機器においては、使用する電波が極めて微弱であるとはいえ、無線通信空間での電波(電磁気信号)が外部に漏れ、他の無線通信機器に対する妨害電波となりうるため、通信範囲が非常に限定されてしまい、その使用は事情に限定されたものとなり、上述したメリットを必ずしも最大限に活かすことができなかった。
【0006】
また、一般的に、従来の有線通信と比較し、無線通信空間は安価で簡単に作り上げることができるが、通信中に人や障害物により中断される、また通信スピードが遅い等の問題がある。また、無線通信による電波は直進する性質を有しており、通信中に送信機と受信機の間を人や物が遮る場合は通信が遮断されるという欠点を有している。また無線電波の減衰は距離の二乗に反比例するので、無線通信を行える範囲は限定されるのが実情である。
【0007】
このような事情から、本願発明者らは、ビルなどの構造物内から外部へ電波が漏洩することを防止し、あるいは通信・通話の到達距離を十分に確保することが可能なエバネセント波を利用して通信を行う、いわゆるエバネセント通信技術を発明しているが(特許文献1乃至3参照)、実用化するにはなお改良の余地がある(特許文献1乃至3参照)。
【特許文献1】WO03103195
【特許文献2】WO03009501
【特許文献3】WO03009500
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、改良された無線通信システム及び無線通信装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、励振器が接続された無線通信装置の親機と、棒状アンテナが接続された無線通信装置の子機とを備え、前記無線通信装置の親機は、前記励振器を介して前記構造物内の導体に無線信号を注入することにより、前記構造物内に準静的な非伝播性の電磁界による無線通信空間を生成し、前記無線通信装置の子機は、前記棒状アンテナを介して前記無線通信装置の親機からの無線信号を受信し、或いは前記無線通信装置の親機へ無線信号を送信する無線通信システムである。
【0010】
本発明によれば、励振器が接続された無線通信装置の親機によってビルや住宅などの構造物内に生成された準静的な非伝播性の電磁界による無線通信空間(エバネセント空間)を利用して、構造物内でワイヤレスネットワークを実現することができる。無線通信装置の子機は、ホイップアンテナやロッドアンテナなどの単純な棒状アンテナを使用して、微弱電波により通信することができる。
【0011】
前記無線通信装置は、送信時には送信データを所定の変調方式で変調してベースバンド信号を生成し、受信時にはベースバンド信号を所定の復調方式で復調して受信データを生成する変復調部を含むコントローラと、送信時にはベースバンド信号を所定の局部発信周波数に基づいて混合して無線信号を生成した後、当該無線信号を所定のレベルに増幅して出力し、受信時には受信信号を所定のレベルに増幅した後、当該受信信号を前記局部発信周波数に基づいて検波してベースバンド信号を再生するアナログ回路部と、前記励振器又は前記棒状アンテナと前記アナログ回路部とを接続するアンテナコネクタとを有することが好ましい。これによれば、無線通信装置が親機及び子機ともに共通の構成であり、無線通信装置のアンテナコネクタに励振器を接続することで親機となり、棒状アンテナを接続することで子機となるので、無線通信装置の汎用性及び利便性を高めることができ、無線通信システムを構築する際のコストを大幅に低減することができる。
【0012】
また、前記無線通信装置は、手動又は前記受信データのビットエラーレートに基づいて送信出力を最適化する出力調整部をさらに有することが好ましい。ビルや住居などの構造物の大きさは、無線信号の波長や出力レベルと密接に関連するが、本発明によれば、構造物の大きさに合わせて無線信号の出力レベルを最適化するので、無線通信空間を形成する構造物の大きさに適した出力で無線信号を送信することができる。
【0013】
さらにまた、前記無線通信装置の前記アンテナコネクタは、前記励振器又は前記棒状アンテナを着脱可能に構成されていることが好ましい。これによれば、無線通信装置を親機及び子機のいずれにも使用することができ、励振器から棒状アンテナへ、或いは棒状アンテナから励振器へいつでも変更することができるので、システム構築の自由度をより一層高めることができる。
【0014】
さらにまた、前記無線通信装置は、コンピュータに接続可能なカード型の無線通信アダプタであることが好ましい。これによれば、無線通信装置がカード型の無線通信アダプタであることから、パーソナルコンピュータのカードスロットに接続することができ、小型且つ汎用性の高い無線通信装置として使用することができる。
【0015】
前記無線信号の周波数としては、3〜30MHzの短波帯(HF)、30〜300MHzの超短波帯(VHF)、或いは300〜3000MHzの極超短波帯(UHF)の下方帯域が使用されることが好ましい。短波(HF)の波長は100〜10m、超短波(VHF)は10〜1mであり、これらは電磁界が発生するビルや住居の大きさと同程度であるから、これらの帯域を、ビルディングや構造物内に電磁界を発生させるために利用することができる。
【0016】
さらに、前記構造物は、トンネル、船、建物、潜水艦、航空機、建築現場、工場、又はスポーツスタジアム又はこれらの構内であり、前記構造物内の導体は、導線、配管、又は構造部材の少なくとも何れかである。
【0017】
本発明はまた、励振器を介して構造物内の導体に無線信号を注入することにより、前記構造物内に準静的な非伝播性の電磁界による無線通信空間を形成する無線通信装置であって、送信時には送信データを所定の変調方式で変調してベースバンド信号を生成し、受信時にはベースバンド信号を所定の復調方式で復調して受信データを生成する変復調部を含むコントローラと、送信時にはベースバンド信号を所定の局部発信周波数に基づいて混合して無線信号を生成した後、当該無線信号を所定のレベルに増幅して出力し、受信時には受信信号を所定のレベルに増幅した後、当該受信信号を前記局部発信周波数に基づいて検波してベースバンド信号を再生するアナログ回路部と、前記励振器又は前記棒状アンテナと前記アナログ回路部とを接続するアンテナコネクタとを有する無線通信装置でもある。
【0018】
前記無線通信装置には、前記アナログ回路部と前記アンテナコネクタとの間に挿入され、抵抗とキャパシタの直列回路からなる励振回路が設けられていることが好ましい。これによれば、前記無線通信装置を備えた端末機器同士をケーブル接続する場合に、ケーブル全体が励振し、それ自体がエバネセント空間を構成することになる。そのため、最も遠い端末機器間の距離を2km程度まで伸ばすことができ、比較的長距離な有線通信をきわめて簡単な構成で実現することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の無線通信システムによれば、音声、画像その他のデータを送信する場合に、励振器により励振された構造物内の無線通信空間内で電磁信号は構造物内の導体を伝わり、受信機の直ぐ近くまで導体を通じて伝播するために、送信出力を法的規制のない微弱電力の範囲に抑えているにも拘らず通信することができる。また、本発明において通信に用いる電波は、擬似静電磁界を利用した電波であるために、微弱電波の放射を抑制でき、微弱電波が無線通信空間外に漏れないという効果を有している。
【0020】
また、本発明の無線通信システムによれば、無線通信装置が親機及び子機ともに共通の構成であり、無線通信装置のアンテナコネクタに励振器を接続することで親機となり、ホイップアンテナやロッドアンテナなどの単純な棒状アンテナを接続することで子機となるので、無線通信装置の汎用性及び利便性を高めることができ、無線通信システムを構築する際のコストを大幅に低減することができる。特に無線通信装置の子機においては、棒状アンテナを使用して、無線通信空間内で微弱電波により通信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態を説明するに先立ち、本発明の原理について添付図面を参照しながら簡単に説明する。
【0022】
図1は、従来の無線放送局RSを簡略化して表した模式図である。放送される情報を含んだ無線信号は、ケーブルCBLを介して金属製の高いアンテナ塔Tに送られる。その塔は導電性の金属で形成されており、電波Wを発生させる。この電波Wは大気中を遠方まで伝搬して、住宅Hの内部にある無線受信機Rに到達する。無線受信機Rが電波Wを検知し、人が聞ける音声や音楽に変換することで、聴衆者はそれらを楽しむことができる。
【0023】
図1で使用されている従来からの電波は、アンテナ塔Tから遠くまで送り出され、遥か彼方の無線受信機Rで受信することが可能であるため、「遠方界(far-field)」と呼ばれる界を作り出す。移動する電波Wは、よく知られた電波伝搬理論に従って伝わってゆくが、素人目には石を落とせばかき乱されてしまう静かな池の水面に広がる波紋のように見える。一般的な無線通信機器は、遥か彼方の遠方まで移動する電波を使って遠隔地の受信機に電磁的エネルギーを送信する。
【0024】
図2は、これとは全く異なる電磁界を示す模式図である。この界は「準静的界」、あるいは「エバネセント空間」と呼ばれる。このような電磁界を発生させるには、図2に示された矩形状の金属筐体Eに接続された導体を介して、あるいは後述する励振器(エキサイタ)と呼ばれる機器を用いて信号Sを供給する。エネルギーが筐体E内の空洞に結合されると、空洞に電磁界が生じる。空洞は、金属体の表面、あるいは導線の格子により形成することができる。金属筐体Eの内部には、図1に示した「遠方界」とは全く異なる界が形成される。図2の金属筐体Eの内部において、伝播し、あるいは移動する電波は存在しない。筐体Eに囲われた内部のあらゆる点がエネルギーレベルあるいは電圧レベルと関連している。それらのポイント毎の電圧レベルは、筐体にエネルギーを与える入力信号の周波数や筐体の大きさに基づいて変化する。この電磁界が「準静的」界と呼ばれるのは、遠方の受信機まで届くような電波を生み出さないからである。図2に示す筐体Eの内部におかれた受信機は信号Sを検知するが、従来型の無線機とは異なるのは、受信機が準静的な非伝播波(これをエバネセント波と呼ぶ)の「内部」に存在していてもよいことである。なお、限定された電磁界を発生させるようにエネルギーを与えられた導電性の筐体の一般的な技術用語は「空洞共振器」である。
【0025】
本発明では、図2に示されるような電磁界現象を、筐体内に領域または「バブル」を発生させることに利用する。この電磁界は配線なしでたくさんの異なる無線機器を接続するのに用いられ、さらに重要なのは、他の既存の無線機器に対する干渉なしで使用できることである。本発明の好ましい実施形態のうちの一つは、3〜30MHzの周波数範囲である超短波(VHF)帯域で信号を生成し、また、極超短波(UHF)の下方帯域(少なくとも400MHzまで)で信号を生成することもできる。
【0026】
これら特定の周波数帯を選択することが重要なのは、それらの周波数の波長が、一般的に、電磁界を生成するビルや住宅などの構造物(筐体)のサイズと同程度の大きさだからである。構造物が大きすぎると遠方界を生成するアンテナとなり、散乱もマルチパスも生ずるため、この関係は極めて重要なのである。
【0027】
また、短波(HF)や超短波(VHF)は、一般的に、従来の無線通信を利用するユーザーが敬遠するので、本発明を実施するには特に有用である。それは、これらの周波数帯で伝播する信号は、タイプの異なるさまざまな大気中雑音や人為的雑音に影響されやすいために当然のことである。
【0028】
次に、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0029】
図3は、本発明の好ましい実施形態に係る無線通信システムに利用される構造物を示す模式図である。
【0030】
通常、ビルや住宅などの建造物その他の構造物(以下、構造物という)10は壁12を有し、壁12の内部には鉄骨(導電性の骨組み)その他の構造部材、電気の接地遮蔽(シールド)、配線、水道管その他の配管、その他種々の公共の導体14が存在している。構造物10内の見えない部分にある既存のあらゆる導体12は、構造物10の内部20に電磁界を発生させる空洞アンテナとして利用される。それらの導体14は、励振器(エキサイタ)16から放射される電磁エネルギーによって励振され、通電される。これにより、受信機22などの多種多様な機器は、配線なしでLANに接続することが可能となる。このLANはさらに、公共あるいは私設の電話線、衛星放送受信機、あるいは外部に対する他のインターフェースに接続することができる。
【0031】
図4は、本実施の形態に係る無線通信システムの概要を示す模式図である。
【0032】
図4に示すように、このシステムは、ビルなどの構造物401内に無線通信装置(ハブ)の親機402a及び子機402bを有している。無線通信装置の親機402aと子機402bの基本的構成は同じである。無線通信装置の親機402aは同軸ケーブルまたは他の適当な方法で励振器403に接続される。これらの無線通信装置402a,402bは独立した基地局(サーバ)404内に実装され、あるいはパーソナルコンピュータなどの端末機器405中に組み込まれる。無線通信機器の親機402aは、構造物401内を励振させるため、励振器403を介して構造物401の内部にある既存の導体に接続される。こうして、無線通信装置402aからの信号は導体を伝って構造物401内の多数の機器に送られ、さらには他のネットワークと接続される。本実施の形態においては、無線通信装置の親機402aに含まれるルータ機能が種々の帯域幅または変調形式の信号を分離し、それらの信号の指定されたターゲットまで導いてもよい。もし機器が監視されている場合やVCRやTVからデータを受信するビデオ受信機のような遠隔操作の機器であれば、ターゲットはプロセッサ自身であってもよく、ターゲットの設定を変更することができるリモート装置であってもよい。300MHz未満の周波数では、送信機、受信機およびその他すべてのハードウェアはデジタル方式で操作される。事実、このシステムの大きな利点の一つは、周波数用のハードウェアが2.4GHzを超える帯域用のものよりもかなり安価なことである。
【0033】
図5は、本実施の形態に係る無線通信装置の回路構成を示すブロック図である。
【0034】
図5に示すように、この無線通信装置500は、コントローラIC501と、識別符号その他の通信に必要なデータを保持するEEPROM530と、RF回路などのアナログ回路部540と、コネクタ550とを備えている。コントローラIC501には、外部電源560から所定の電圧(例えば1.8V)が供給され、水晶発振器570から高精度な基準クロックが供給される。
【0035】
コントローラIC501の内部は、CPU502、物理制御部503、デジタル変調部(MOD)504、D/A変換部505、デジタル復調部(DEM)506、A/D変換部507などで構成されている。CPU502は入出力インターフェースを介してコンピュータなどの外部装置のコネクタに接続されており、物理制御部503とともにMAC制御、送信時間制御、空き状態判定などの通信制御を行う。入出力インターフェースを介して入力されたデジタルデータは、CPU502及び物理制御部503を介してデジタル変調部504に入力される。デジタル変調部では、所定の変調方式に従ってデジタルデータを変調し、ベースバンド信号を生成する。変調方式としては、BPSKやQPSKなどの位相変調方式、あるいは16QAMや64QAMなどの振幅変調方式を用いることが好ましい。
【0036】
このようにして変調されたデータは、D/A変換部505でアナログ信号に変換された後、スイッチ(SW)508及びローパスフィルタ(LPF)509を介してミキサ(MIX)510に入力される。ここで、スイッチ508は、物理制御部503からの指示のもと、後述するAGCアンプと協働して送受信の切り替えを行うものであり、送信時には送信側ラインがオン、受信側ラインがオフの状態となる。また、ローパスフィルタ509は、所定の周波数(例えば33MHz)よりも高い高周波ノイズ成分を除去する。ミキサ510は、ベースバンド信号とキャリア信号とを混合して所定の周波数(例えば35MHz)のRF信号を生成する。このときのキャリア信号の生成には所定の周波数信号(例えば50MHz)を生成する局部発振器(OSC)511が用いられる。
【0037】
RF信号はバンドパスフィルタ512によりノイズ成分が除去された後、アッテネータ513を介して送信用ローノイズアンプ514に入力される。アッテネータ513は、後段の増幅で波形が歪んでしまうことがないようにRF信号を所定のレベルまで減衰させることに用いる。RF信号は送信用ローノイズアンプ514によって所定の出力レベル(例えば2.85V)まで増幅された後、送信用パワーアンプ515によって所定のレベル(例えば3.3V)までさらに増幅される。このRF信号は、インピーダンスマッチング用アッテネータ(ATT)516、高周波スイッチ517及びバンドパスフィルタ518を介してアンテナコネクタ519に接続されたアンテナ(図示せず)に供給されて、微弱電波(送信周波数322MHz以下において、送信機から3m離れた地点で送信出力の最大電界強度が500μV/mとなる電波)として送信される。ここで、この装置が親機(基地局側)に使用される場合、アンテナコネクタ519には後述する励振器が同軸ケーブルを介して接続され、子機側(端末側)に使用される場合にはロッドアンテナが接続される。
【0038】
データ受信ではデータ送信とほぼ逆の手順をたどる。すなわち、アンテナ(図示せず)で受信したRF信号は、バンドパスフィルタ518、高周波スイッチ517およびインピーダンスマッチング用アッテネータ520を介して前段の受信用リニアアンプ521に入力される。RF信号は前段の受信用リニアアンプ521によって所定のレベルまで増幅され、後段の受信用リニアアンプ522によってさらに増幅された後、ミキサ523によってキャリア検波されてベースバンド信号が生成される。このベースバンド信号はローパスフィルタ524を介してAGCアンプ525に入力され、そのゲインが調整された後、コントローラIC501内に入力される。なお、送信時には、このAGCアンプ525のゲインがゼロに設定されることにより、受信側ラインがオフの状態となる。受信信号はコントローラIC501内のA/D変換部507によってまずデジタル信号に変換された後、デジタル変調部506に入力される。デジタル変調部506では、上述した変調方式に対応する所定の復調方式に従ってデジタル信号を復調し、デジタルデータを再生する。デジタルデータは物理制御部503およびCPU502を介してコンピュータなどの外部装置に転送される。
【0039】
なお、データ受信時には、最初にAGCアンプ525のゲインの調整が行われる。ゲイン調整では、まずAGCアンプ525のゲインを最大にしておき、受信パケットのプリアンブル同期の段階で得られる信号の電力レベルを物理制御部503が受け取り、この信号レベルに基づいてAGCアンプ525のゲインを収束させる。このときの信号は、上述した通常の受信側ラインとは別のラインから供給される。詳細には、通常の受信ライン上の受信用リニアアンプ521の出力が分岐され、その一方の出力が受信用リニアアンプ526、バンドパスフィルタ527及び受信電力検波器528を介して物理制御部506に供給される。ここで、バンドパスフィルタ527は、コンピュータなどの外部装置から放出される35MHz付近のクロックノイズを除去するために用いられ、受信電力検波器528は、受信信号を検波してキャリア信号を生成するために用いられる。このようにして得られたキャリア信号の電力レベルが初期のAGC調整の基準として用いられる。
【0040】
次に、親機側の無線通信装置に接続される励振器について説明する。
【0041】
図6は、励振器の構成の一例を示す図であって、図6(A)はその側面図、図6(B)はその拡大側面図、図6(C)はその斜視図を示している。
【0042】
図6に示すように、この励振器は、半球状の励振器本体600と、この励振器本体600の姿勢を保持する物理的な支持体601とによって構成されている。励振器本体600が半球状であることから、この励振器は「三次元励振器」である。三次元励振器の場合、構造は複雑であるが、通信の安定性は高い。
【0043】
通信を行うのに必要な出力は、要求される信号の品質とも関連するが、無線通信空間を形成する構造物又は構内の全面積に比例する。一方、微弱電波の生成にとって最も重要な寸法は、構造物又は構内の向かい合った導体の最小距離である。この最小距離が構造物に対する遮断周波数を定義し、励振器の機能が発揮されるときに閉空間内で微弱電波が生成されるかどうかを決定づける。
【0044】
励振器本体600の姿勢は支持体601によって保持されている。最適な効果を得るため、半球状の励振器本体600は、導体で囲われた空間の内部に設置され、図6(A)示すとおり、壁620に対して併置されるのが好ましい。また、励振器本体600は、床621と天井622のほぼ真ん中に設置するのが好ましく、導体(導電性要素)と直接対向させて設置するのが好ましい。
【0045】
本実施の形態において、支持体601は支柱602及びスペーサ603によって構成されている。支柱602及びスペーサ603は共に導電性物質で構成される。支柱602は支持体601の一部分である。支柱602及びスペーサ603は励振器本体600と構造物の電気用アースとの間が導電路となることを避けるため、特定の場所(本実施の形態において、支柱602は床621に隣接する場所、スペーサ603は励振器本体610に接続する場所)に誘電体の絶縁物(図示せず)を備えている。好ましくは、支柱602は中空且つ導体で構成され、またスペーサ603は強度を増強するため公知のブラケットで構成される。
【0046】
励振器本体600の設置場所と大きさに関する空間的寸法は非常に重要である。励振器を効率的に使用するためには、一番高い使用周波数をλとすると、壁の導電性要素からλ/8よりも近くに励振器本体600を設置しなければならない。
【0047】
励振器本体600は上述の無線通信装置により制御され、電力が与えられる。送信モードにおいては、励振器本体600は、導体(導電性要素)623にエネルギーを与える。
【0048】
導体623を「励振させる」ために、無線通信装置からの電磁エネルギーが同軸ケーブル604に注入される。同軸ケーブル604の中心導体605は、半球状の励振器本体600に取り付けられ、同軸ケーブル604のシールド606は、スペーサ603、導体623および壁620に電気的に接続される。図6(B)及び(C)に示されるように、シールド606は壁620の中の導体623に電気的に接続される。
【0049】
一番高い使用周波数をλとすると、半球状の励振器本体600の実行直径がλ/8未満であり、入力伝送路に対して測定可能な分留リアクタンスを形成するのに十分な大きさであれば、その構造にはさほど厳密さを要求されない。
【0050】
半球状の励振器本体600は、中空の半球状部材607を有している。中空の半球状部材607は導体で形成され、その端部にリム部608を有する。支柱602は、中空の半球状部材607に直接接続されている。所定の角度を有する一組の扇形部材609が中空の半球状部材607から外側且つ前方に広がり、その尖端で結合し、そして端部に沿ってリム部608に接続されている。非導電性の隔壁610は例えばアクリル樹脂からなり、中空の半球状部材607の内側において横方向に広がり、扇形部材609の内側表面に接触してその構造を支持すると共に、中空の半球状部材607の内側611を上半分と下半分に分離している。
【0051】
非導電性の隔壁610の表面には、整合用回路ブロック612が取り付けられている。整合用回路ブロック612はスペーサ603に沿って張られた同軸ケーブル604に接続される。同軸ケーブル604の他端は、上述した無線通信装置のアンテナコネクタに接続され、無線通信装置からの出力は励振器600及び整合用回路ブロック612に直接供給される。
【0052】
中心導体605又はその延長は、無線通信装置から励振器本体600まで、導体を用いて電気信号を伝えるために、扇形部材609の尖端に位置する供給ポイントまで張り渡される。供給ポイントまで伝えられたエネルギーは、伝えられた信号の実効帯域を横断して放射するように「ねらう」ために導体を励起させる方法でもって、励振器本体の導電部分、扇形部材609及び中空の半球状部材607を励起させる。同軸ケーブル604のシールド606のアース及び壁620内の導体623への接続に照らせば、選択された周波数での励振器の性質は、通常の伝搬性放射だけではなく、バブル(「ファラデーの籠」に類似する電磁的仮想空間を形成する要素)の生成、又は導体内の微弱波及び近微弱波の生成がその正味の効果である。
【0053】
以上のように構成された励振器が接続された無線通信装置によれば、送信出力を微弱電力の範囲に抑えても、励振器により励振された構造物内の無線通信空間内で電磁信号は導体を伝わり、受信機のすぐ近くまで導体を通じて伝播するため、微弱電波を用いているにも拘わらず、数kmと非常に長い通信距離を実現できる。
【0054】
また、通信に用いる電波は、擬似静電界を利用した電波であるため、微弱電波の放射を抑制することができ、微弱電波が無線通信空間外に漏れないという効果を奏する。
【0055】
上述の無線通信装置は、周波数用のハードウェアが2.4GHzを超える帯域用のものよりもかなり安価であり、さらには小型化も容易であるから、例えばCardBusスロット用の無線通信カードとして提供することができる。あるいは、USBインターフェースを実装したスティック状の機器として提供することも可能である。
【0056】
次に、励振器の別の例について説明する。
【0057】
図7は、励振器の構成の一例を示す図であって、図3(A)はその上面図、図3(B)はその側面図を示している。なお、図2の励振器と同じ構成要素については同じ符号を付してあるので、ここでは改めて説明しない。
【0058】
図7に示すように、この励振器は、平面扇形の励振器本体650と、この励振器本体の姿勢を保持する物理的な支持体601とによって構成されている。励振器本体650が平面扇形であることから、この励振器は「二次元励振器」である。二次元励振器の場合、構造は単純であるが、通信の安定性は高い。
【0059】
平面扇形の励振器本体650は、半球状の励振器における中空の半球状部材607及び扇形部材609の隔壁610の平面に沿った断面にほぼ一致する導電性トレース651を有している。導電性トレース651は、非導電性物質で形成される平面状の構造板652の上に配置され、支持される。導電性トレース652の内側にある中心ゾーン653は中空又は構造板652の延長部分である。構造板652は、図6に示す半球状の励振器600への支持の仕方と同様の方法でスペーサ603によって支持され、壁620から所定の間隔を保っている。
【0060】
本実施の形態における励振器本体650は、構造板652上に取り付けられた整合用回路ブロック612を含み、同軸ケーブル604の中心導体605から供給ポイント613にエネルギーを伝搬する一方、シールド606がスペーサ603に沿って壁620内に存在する導体654に電気的に接続される点で、半球状の励振器と類似している。
【0061】
図8は、本発明に係る無線通信システムの他の実施形態を示す模式図である。
【0062】
図8に示すように、本実施形態の特徴は、複数の構造物内のエバネセント空間の生成を1つの基地局(サーバ)404で実現している点にある。基地局404に内蔵された無線通信機器の親機402aは、構造物401P,401Qを共に励振させるため、同軸ケーブル410を介して励振器403P,403Qに接続される。同軸ケーブル410は分配器411によって二分岐され、一方が構造物401P内に配線され、他方が構造物401Q内に配線される。そして、励振器403Pを介して構造物401Pの内部にある既存の導体に接続され、励振器403Qを介して構造物401Qの内部にある既存の導体に接続される。こうして、無線通信装置402aからの信号は導体を伝って構造物401P内の多数の機器(図示せず)に送られ、さらには構造物401Q内の機器、例えば図示の端末機器405Qに送られる。
【0063】
また、本実施形態においては、励振器403P,403Qにそれぞれ張り巡らされた銅線のループ406P,406Qが各構造物401P,401Qの天井の周縁にそれぞれ配線されている。これによってもエバネセント空間が形成されるので、構造物401P,401Q内の導体が十分でない場合でも確実なエバネセント通信が可能となる。
【0064】
図8に示した実施形態においては、二つの構造物401P,401Qに対応させて同軸ケーブル410を二分岐させる場合について説明したが、同軸ケーブルをより多く分岐さて、また端末機器間を同軸ケーブルで接続する形態も考えられる。
【0065】
図9は、本発明に係る無線通信システムのさらに他の実施形態を示す模式図である。
【0066】
図9に示すように、このシステムは、無線通信機器402を備えた端末機器405間をケーブル接続したものである。その際、無線通信機器402の出力端と同軸ケーブル410の接続部分には「ミニエキサイタ」と呼ばれる励振回路420が挿入されている。励振回路420は、抵抗とキャパシタの直列回路(RC直列回路)で構成されており、本実施形態においてはR=51Ω、C=0.1μFに設定されている。そして、このように励振回路420が接続された端末機器同士を図示のように同軸ケーブル410で接続した場合には、同軸ケーブル410全体が励振し、それ自体がエバネセント空間を構成することになる。そのため、最も遠い端末機器間の距離を2km程度まで伸ばすことができ、比較的長距離な有線通信をきわめて簡単な構成で実現することができる。
【0067】
図10は、励振器(ミニエキサイタ)の構成の他の例を示す回路図である。
【0068】
図10に示すように、この励振器は、5つのコンデンサC1〜C5並びに2つのインダクタL2及びL4を有している。図10に示す励振器は、ローパスフィルタの一種である。図10に示すように、この励振器は、インダクタL2とコンデンサC2とが並列接続された回路Aと、インダクタL4とコンデンサC4が並列接続された回路Bとが直列接続され、回路A、Bそれぞれの端部にコンデンサC1、C3、C5の一端が接続され、且つコンデンサC1、C3、C5の他端は共通電位となるように接続されるように構成されている。図10に示すように、この励振器において、コンデンサC1の端部を「ポート1」とし、コンデンサC5の端部をポート2とし、ポート1の特性インピーダンスをZin(入力インピーダンス)、ポート2の特性インピーダンスをZout(出力インピーダンス)とする。
【0069】
本実施形態においては、カットオフ周波数をfcとし、Zin=Zoutとし、以下の数式(1)〜(3)を用いてコンデンサC1〜C5並びにインダクタL2及びL4の設計値を求める。なお、FSFは、周波数スケーリング係数である。
FSF=2π・fc ・・・(1)
C=Cn/(FSF・Zin) ・・・(2)
L=(Ln・Zin)/FSF ・・・(3)
【0070】
図10に示す励振器は、図11に示す周波数特性を有することが分かっている。ここで、周波数Ω2、Ω4には、以下の数式(4)及び(5)が成立する。また、Aminは、最大減衰量である。
Ω2=3fc・L2/C2 ・・・(4)
Ω4=2fc・L4/C4 ・・・(5)
【0071】
本実施形態においては、入出力インピーダンスをZin=Zout=50Ωとし、カットオフ周波数fcを3.5〜100MHzまで変化させて、Ω2の周波数、Ω4の周波数で減衰の谷となるようにし、コンデンサC1〜C5並びにインダクタL2及びL4の設計値を求めたところ、以下の表1及び表2に示す結果が得られた。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
表1及び表2に示すように、カットオフ周波数fcを適時変更した場合であっても、コンデンサC1〜C5並びにインダクタL2及びL4の値を適当に選択することによって、励振器の接続先(送受信機、ボディの車軸部)とのマッチングをとる(入出力インピーダンスZin、Zoutを接続先のインピーダンスと同じにする)ことができることがわかる。
【0075】
次に、表3を参照する。表3に示すのは、図10に示す励振器の散乱パラメータ(Scattering Parameter、:Sパラメータ)の周波数依存特性を求めたものである。この周波数依存特性は、表2におけるfc=45MHzの素子定数(C1=75PF、C2=5.5PF、C3=110PF、C4=15PF、C5=70PF、L2=0.26μH、L4=0.21μH)を用いたものである。
【0076】
【表3】

【0077】
図12は、この表3に示すSパラメータの周波数依存をグラフにしたものである。図12において、「◆」はSパラメータS21(順方向インピーダンス特性)、「■」はSパラメータS11(入力側インピーダンス特性)、「△」はSパラメータS22(出力側インピーダンス特性)を示している。
【0078】
以上、本発明における好ましい実施の形態について詳細に説明したが、本発明に関係する一般的技術を有する当業者であれば、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に従い、様々な改善や改良が可能であろう。すなわち、上述したシステム及び装置は、好ましい実施の形態を示したものであり、本発明または特許請求の範囲の限定を強要することを意図したものではない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、短波(HF)、超短波(VHF)、または極超短波(UHF)の下方帯域を使用して、ビルや住宅などの構造物内に電磁界を発生させて、構造物内の導体を、局所的な準静的電磁界を発生させる共振器として用い、その電磁界を通信に用いることで、配線なしで、しかも外部雑音の不当な干渉に煩わされることなく、コンピュータやプリンタなどのOA機器、テレビ、洗濯機、冷蔵庫などの家電製品、照明機器、冷暖房システム、警報装置など、種々の電子機器を接続することが可能となる。本発明は、地域商業的、住宅内部のワイヤレスネットワークの構築を含め、広範な用途に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、従来の無線放送局RSを簡略化して表した模式図である。
【図2】図2は、これとは全く異なる電磁界を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明の好ましい実施形態に係る無線通信システムに利用される構造物を示す模式図である。
【図4】図4は、本実施の形態に係る無線通信システムの概要を示す模式図である。
【図5】図5は、本実施の形態に係る無線通信装置の回路構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、励振器の構成の一例を示す図であって、図6(A)はその側面図、図6(B)はその拡大側面図、図6(C)はその斜視図を示している。
【図7】図7は、励振器の構成の一例を示す図であって、図3(A)はその上面図、図3(B)はその側面図を示している。
【図8】図8は、本発明に係る無線通信システムの他の実施形態を示す模式図である。
【図9】図9は、本発明に係る無線通信システムのさらに他の実施形態を示す模式図である。
【図10】図10は、励振器の構成の他の例を示す回路図である。
【図11】図11は、図10に示す励振器の周波数特性を示すグラフである。
【図12】図12は、表3に示すSパラメータの周波数依存を示すグラフである。
【符号の説明】
【0081】
CBL ケーブル
H 住宅
R 無線受信機
RS 無線放送局
S 信号
T アンテナ塔
W 電波
10 構造物
12 壁
14 導体
16 励振器(エキサイタ)
18 ライト
20 構造物の内部
22 受信機
401 構造物
401P,401Q 構造物
402(402a,402b) 無線通信装置
402a 無線通信装置の親機
402a 無線通信装置の子機
403 励振器(エキサイタ)
403P,403Q 励振器(エキサイタ)
404 基地局(サーバ)
405 端末機器
405Q 端末機器
406P,406Q 銅線のループ
410 同軸ケーブル
411 分配器
420 励振回路
500 無線通信装置
501 コントローラIC
502 CPU
503 物理制御部
504 デジタル変調部
505 D/A変換部
506 デジタル変調部
507 A/D変換部
508 スイッチ
509 ローパスフィルタ
510 ミキサ
512 バンドパスフィルタ
513 アッテネータ
514 送信用ローノイズアンプ
515 送信用パワーアンプ
517 高周波スイッチ
518 バンドパスフィルタ
519 アンテナコネクタ
520 インピーダンスマッチング用アッテネータ
521 受信用リニアアンプ
522 受信用リニアアンプ
523 ミキサ
524 ローパスフィルタ
525 アンプ
526 受信用リニアアンプ
527 バンドパスフィルタ
528 受信電力検波器
530 EEPROM
540 アナログ回路部
550 コネクタ
560 外部電源
570 水晶発振器
600 励振器
601 支持体
602 支柱
603 スペーサ
604 同軸ケーブル
605 中心導体
606 シールド
607 中空の半球状部材
608 リム部
609 扇形部材
610 非導電性の隔壁
611 内側
620 壁
622 天井
623 導体
650 平面扇形の励振器本体
651 導電性トレース
652 平面状の構造板
653 中心ゾーン
654 導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励振器が接続された無線通信装置の親機と、棒状アンテナが接続された無線通信装置の子機とを備え、
前記無線通信装置の親機は、前記励振器を介して前記構造物内の導体に無線信号を注入することにより、前記構造物内に準静的な非伝播性の電磁界による無線通信空間を生成し、
前記無線通信装置の子機は、前記棒状アンテナを介して前記無線通信装置の親機と通信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記無線通信装置は、
送信時には送信データを所定の変調方式で変調してベースバンド信号を生成し、受信時にはベースバンド信号を所定の復調方式で復調して受信データを生成する変復調部を含むコントローラと、
送信時にはベースバンド信号を所定の局部発信周波数に基づいて混合して無線信号を生成した後、当該無線信号を所定のレベルに増幅して出力し、受信時には受信信号を所定のレベルに増幅した後、当該受信信号を前記局部発信周波数に基づいて検波してベースバンド信号を再生するアナログ回路部と、
前記励振器に接続するためのケーブル又は前記棒状アンテナと前記アナログ回路部とを接続するアンテナコネクタと、を有する請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記無線通信装置は、手動又は前記受信データのビットエラーレートに基づいて送信出力を最適化する出力調整部をさらに有する請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記無線通信装置の前記アンテナコネクタは、前記ケーブル又は前記棒状アンテナを着脱可能に構成されている請求項1乃至3の何れか一に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記無線通信装置は、コンピュータに接続可能なカード型の無線通信アダプタである請求項1乃至4の何れか一に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記無線信号は、短波帯である請求項1乃至5の何れか一に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記無線信号は、超短波帯である請求項1乃至5の何れか一に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記無線信号は、極超短波帯の下方帯域である請求項1乃至5の何れか一に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記導体は、導線、配管、又は構造部材の少なくとも何れかである請求項1乃至8の何れか一に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記構造物は、トンネル、船、建物、潜水艦、航空機、建築現場、工場、又はスポーツスタジアム又はこれらの構内である請求項1乃至9の何れか一に記載の無線通信システム。
【請求項11】
励振器を介して構造物内の導体に無線信号を注入することにより、前記構造物内に準静的な非伝播性の電磁界による無線通信空間を形成する無線通信装置であって、
送信時には送信データを所定の変調方式で変調してベースバンド信号を生成し、受信時にはベースバンド信号を所定の復調方式で復調して受信データを生成する変復調部を含むコントローラと、
送信時にはベースバンド信号を所定の局部発信周波数に基づいて混合して無線信号を生成した後、当該無線信号を所定のレベルに増幅して出力し、受信時には受信信号を所定のレベルに増幅した後、当該受信信号を前記局部発信周波数に基づいて検波してベースバンド信号を再生するアナログ回路部と、
前記励振器に接続するためのケーブル又は前記棒状アンテナと前記アナログ回路部とを接続するアンテナコネクタと、を有する無線通信装置。
【請求項12】
前記アナログ回路部と前記アンテナコネクタとの間に挿入され、抵抗とキャパシタの直列回路からなる励振回路が設けられていることを特徴とする無線通信装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−28111(P2007−28111A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−206234(P2005−206234)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(301049423)株式会社ココモ・エムビー・コミュニケーションズ (9)
【Fターム(参考)】