説明

無線通信システム

【課題】実質的に同一な複数の無線マイクロフォンを受信装置側で識別できるようにする。
【解決手段】所定の周波数帯域内で動作する無線通信システムが、無線データ受信装置20と、無線データ受信装置に随時送信されるそれぞれの一意の識別子をそれぞれ有する、2つ以上の無線データ発信装置10とを備える。このシステムにおいて、無線データ発信装置は、所定の周波数帯域のそれぞれの異なる複数のサブセットから選択される周波数チャネル上で無線データ受信装置と通信するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信は多くの様々な用途において使用される。これより、音声情報の送信における非限定的ではあるが一例の用途を論考する。
【0003】
無線通信システムの一例として、いわゆる無線マイクロフォンが生放送エンタテイメントにおいて一般的に使用されている。アナログシステムは通常、いずれのマイクロフォンがいずれの受信機と通信するのかを規定する搬送周波数を選択し、周波数変調無線送信を使用する。いわゆるハイブリッドデジタルマイクロフォンは、サウンド品質を高める目的でデジタル信号処理を使用するが、依然としてアナログ無線送信チャネルを使用する。完全にデジタル送信を使用するマイクロフォンシステムは、各マイクロフォンを識別する搬送周波数を使用するか、又は、DECT電話(デジタル強化されたコードレス電話)、及び移動電話のヘッドセット(イヤフォンとマイクロフォンとの組み合わせ)のようなBluetooth(登録商標)オーディオ装置において使用される技術と同様の符号化スペクトル拡散周波数ホッピング技術を用いるかのいずれかである。そのようなシステムでは、データパケットは、複数の搬送周波数から成るシーケンス(たとえば擬似ランダムシーケンス)内の搬送周波数によって搬送される。
【発明の概要】
【0004】
これらの構成は共に、無線マイクロフォンを電子工学的に互いに区別するのが困難である。このような困難は、この種類のマイクロフォンがたとえば、Sony(登録商標)PlayStation 2(登録商標)エンタテイメント装置又はPlayStation 3(登録商標)エンタテイメント装置を用いて使用するために販売されるSingStar(登録商標)ゲームのようなカラオケゲーム等において使用される場合に明白になる。
【0005】
そのような用途では通常、2つ以上のマイクロフォンを同時に使用することが必要とされる(SingStar(登録商標)ゲームは現在のところプレーヤ間の対戦に2つのマイクロフォンを使用する)。したがって、2つのマイクロフォンを区別することができるのみでなく、各マイクロフォンを正しいプレーヤ又はチームに関連付けることができることが重要である。
【0006】
しかし、量販されるゲームとの関連において、単純な搬送周波数ベースの構成は、同じ周波数で動作している2つ以上のマイクロフォンが同時にゲームに投入されるか、又は隣接する部屋内で使用されている場合、問題をもたらし得る。他方で、符号化スペクトル拡散技術は複数のマイクロフォンを区別することを可能にするが、それらのマイクロフォンをそれぞれのゲームプレーヤに正確に関連付けることを必ずしも可能にするわけではない。
【0007】
本発明は、所定の周波数帯域内で動作する無線通信システムであって、
無線データ受信装置と、
無線データ受信装置に随時送信されるそれぞれの一意の識別子をそれぞれ有する、2つ以上の無線データ発信装置と、
を備え、
無線データ発信装置は、所定の周波数帯域のそれぞれの異なる複数のサブセットから選択される周波数チャネル上で無線データ受信装置と通信するように構成される、システムを提供する。
【0008】
本発明は、周波数ベースの識別技法(例示的な実施の形態において、カラオケゲームにおいてマイクロフォンをプレーヤに限定的に割り当てることを可能にする)と、符号ベースの識別システム(例示的な実施の形態において、同じ周波数帯域における複数のマイクロフォンを区別することを可能にする)との革新的な組合せを使用する。
【0009】
本発明の様々な他のそれぞれの態様及び特徴が添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0010】
ここで、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】無線マイクロフォンシステムの概略図である。
【図2】無線マイクロフォンの動作の概略図である。
【図3】周波数ホッピングプロセスの概略図である。
【図4】データパケットの概略図である。
【図5】無線マイクロフォンと親機(base unit)との対話を概略的に説明する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで図1を参照すると、デジタル無線マイクロフォンシステムは、2つの無線マイクロフォン10と、無線データ受信機20とを備える。
【0013】
無線マイクロフォン10は、音波を検出し、それらの音波をデータ受信機20に送信されるデジタルデータに変換するという点で、データ発信装置と称される。同様に、データ受信機の主な機能は、そのようなデータを受信することである。しかしながら、この種のデジタル無線システムにおいて、初期ハンドシェイク、パケット確認応答、エラー指示等の目的で、逆方向、すなわち受信機からマイクロフォンへの幾らかのデータフローが通常存在することは明白である。したがって、これらの用語の使用は、データ発信装置及びデータ受信機の主な機能を示すための便宜上のものであり、そのような逆方向のデータ送信を除外するものではない。
【0014】
データ受信機は、現在Sony Computer Entertainment社(登録商標)によってSingStarカラオケゲームで提供されている有線USBインタフェースを模倣するように構成される。その有線インタフェースにおいて、2つの有線マイクロフォンがアダプタすなわち「ドングル」に差し込まれるように構成され、次にドングルはゲームをホスティングしているPlayStation機のUSBソケットに差し込まれる。有線マイクロフォン及びドングルの機能は、1組の音声変換器のアナログ出力を、USBインタフェースを介してPlayStation機に渡すことができるシリアルデジタルデータに変換することである。図1のデータ受信機20は、既存の有線ドングルの出力をまさに模倣しているデータをUSBコネクタ30に出力するように構成される。原則として、PlayStation機が有線マイクロフォンシステム又は無線マイクロフォンシステムが使用中であるか否かを検出するのは不可能であるはずである。
【0015】
PlayStation機がシステムの無線側を意識しないため、マイクロフォンが起動されたか否かの指標として無線周波数信号の存在又は不在を使用することができない。その代わり、PlayStation機は各チャネルの音声出力を、特に(SingStarゲームの楽曲選択プロセスのような)通常ユーザのテレビのスピーカから多くの雑音が到来する期間中にサンプリングすることができる。音声出力が一切検出されない場合、PlayStation機はユーザに、マイクロフォンのスイッチをオンにするか、マイクロフォンを圏内に移動するか、又はバッテリを交換するように促す。
【0016】
図2において、マイクロフォン10のうちの1つの内部動作が概略的に示されている。
【0017】
音声変換器100(データソース装置)は音波を検出し、それらの音波をアナログ電気信号に変換する。アナログ電気信号は、アナログ−デジタル変換器110によってデジタル形式に変換される。(処理における)この時点から、音声データはデジタル形式のままである。双方のマイクロフォンが同じように動作し、実質的に同一の音声変換器及びアナログ−デジタル変換器を有することに留意されたい。
【0018】
データ符号化器120は生の音声データを受信し、そのデータを送信のために符号化する。符号化プロセスは、送信される必要があるデータ量を低減するために、既知のデータ圧縮を用いる。
【0019】
符号化データは無線周波数(RF)インタフェース130に渡され、アンテナ140に接続される。RFインタフェースはそのデータを、スペクトル拡散周波数ホッピングシステムを介して所定の周波数帯域(この例では、2.4GHz〜2.4835GHzのいわゆるISMバンド)で送信するためにパケット化及び変調する。各データパケットは、複数バイトの音声データと、その特定のマイクロフォンを一意に識別する6バイト(48ビット)コードとを搬送する。(他の構成では、識別コードは1つおきのパケット又は不規則に間をおいたパケットのような、パケットのうちのいくつかのみにおいて随時搬送されればよい)。以下でパケット及び周波数ホッピングシステムについてより詳細に説明する。
【0020】
送信電力は、レンジと、ロバスト性と、バッテリ寿命との間のバランスである(図示されないが、無線マイクロフォンはバッテリによって電力供給されることに留意されたい)。送信電力は約5m〜約10mの最大レンジを提供するように選択される。
【0021】
以下で論考するように、各マイクロフォンは無線周波数のそれぞれのセットを使用してデータ受信機と通信する。
【0022】
再び図1を参照すると、データ受信機20は1組のRF受信機40(又はより一般的には、無線マイクロフォンごとに、データ受信機が同時に通信することができる1つのRF受信機)を備える。これらは、パケット化された音声データを受信するためにそれぞれのマイクロフォンのRFインタフェース130が従う周波数ホッピングパターンと同じ周波数ホッピングパターンに従う。これらの受信機は、いわゆるミアンダアンテナであるそれぞれのアンテナを有する。通常使用では、これらのアンテナはデータ受信を向上させるように水平から離れて角度付けされる。
【0023】
音声データはそれぞれの復号器50によって復号され、必要があれば解凍される。ここでの目的は、上述した有線ドングル内で生成されるのと同じフォーマットを有するデジタル音声データを生成することである。
【0024】
最後に、2つの復号器によって出力された音声データがUSBインタフェースに渡され、USBコネクタ30を介してゲームをホスティングしているPlayStation機に送信するためのシリアルデータストリームにフォーマットされる。
【0025】
上述したように、利用可能な無線スペクトル(この例では2.4GHz〜2.4835GHz)は、データ受信機と同時に対話可能な2つの(又は異なる数の)無線マイクロフォン間で分割され、それによって利用可能なスペクトルの異なる(好ましくは重ならないが、そうとは限らない)複数のサブセットが各無線マイクロフォン/RF受信機に割り当てられる。この分割は、マイクロフォン及びデータ受信機の製造時に、マイクロフォンが装置の2つの(又は他の数の)クラスうちの1つであるように選択されるときに確立される。簡単に言うと、クラスはカラオケゲームの異なる複数のプレーヤに対応し、通常マイクロフォン本体上の(リングのような)色付けされたラベルによって、それに応じて色付けされたゲーム画面上のゲーム説明及びスコアと共に示される。各クラスは利用可能周波数範囲のそれぞれの所定のサブセットを割り当てられる。
【0026】
有線SingStarマイクロフォンにおいて、一方のマイクロフォンは赤としてラベル付けされ、他方は青としてラベル付けされる。したがって無線バージョンでは、(同じSingStarゲームとの対話を可能にするために)1つの無線マイクロフォンが「赤」であり、1つが「青」であることが望ましい。したがって、赤ラベル及び青ラベルは異なるクラスを表し、これらは次に各マイクロフォンに利用可能な分割周波数帯域を規定する。
【0027】
本実施例では、複数のクラスへの区分けは製造時に達成される。マイクロフォンの識別データの観点において、この技法には後述するような利点が存在する。しかしながら、個々のマイクロフォンは、該マイクロフォンを異なるクラスで使用することを可能にするために、ユーザによって再プログラム可能であるように構成することができる。
【0028】
これらの分割周波数帯域内で、スペクトル拡散周波数ホッピング構成が使用される。図3はこれを行うことができる1つの方法を概略的に説明している。
【0029】
図3は、垂直軸において全利用可能周波数帯域(たとえば2.4GHz〜2.4835GHz)を示し、水平の点線200は「青」マイクロフォンと「赤」マイクロフォンとの間の分割線を表す。
【0030】
時間は水平軸に沿って表される。したがって、データパケット(該データパケットのそれぞれは或る時間期間を取り、チャネル帯域幅を専有する)の送信はこの図において連続した複数の長方形として概略的に示される。
【0031】
2つのマイクロフォンのそれぞれの第1の長方形が斜線付きの形態で示されている。これは、このパケットが、マイクロフォンとデータ受信機との間の接続又は「ペアリング」を確立すると共に後続の周波数ホッピングのためのシーケンスを設定する(以下で図5を参照)ための初期ハンドシェイクデータの交換を表すことを示すためのものである。ハンドシェイク対話はそのマイクロフォンの利用可能帯域内の所定の周波数において発生する。
【0032】
ここで、図3の概略的性質に対する幾つかの注記を提供する。ハンドシェイクデータの交換は後続のパケット長より長いか又は短い時間を取ることができ、図3における表現は単なる概略的表現である。同様に、ハンドシェイクデータの交換は、マイクロフォンが最初にオンに切り替えられるとき、又は最初にデータ受信機の無線範囲内に入るときに発生し得ることに留意されたい。実際には、これは2つのマイクロフォンで異なる時刻に発生する可能性が高い。最後に、パケット同期がマイクロフォンによって実行されるか又はデータ受信機によって実行されるかに応じて、一方のマイクロフォンからのパケットが実際には他方のマイクロフォンからのパケットと(図3に示されるようには)時間合わせされていない場合がある。
【0033】
ハンドシェイクプロセスが完了すると、初期ハンドシェイクプロセスによって設定された周波数ホッピングパターンに従って、音声データを搬送するデータパケットがマイクロフォンからデータ受信機に送信される。図3において、「青」マイクロフォンに対応するパケットは線200によって表される境界線の上側の周波数チャネルを使用して送信され、一方「赤」マイクロフォンに対応するパケットは該境界線の下側の周波数チャネルを使用して送信される。
【0034】
3つ以上のマイクロフォンがデータ受信機と同時に対話するように構成される場合、ISMバンドを対応する数の分割周波数に分割することができることが理解されよう。たとえば、これは下記の例におけるように均分によって行うことができる(すべての周波数はGHz単位である)。
【0035】
【表1】

【0036】
分割帯域が重なっていない場合の方が簡単である(すなわち、どのような割当て方式であろうと、任意の特定の周波数が複数のマイクロフォンのうちのそれぞれの1つに対してのみ利用可能である)。
【0037】
代替的に、全周波数帯域を、(たとえば)最初にそれぞれがデータパケットの通常送信に適用可能なデータ伝送レートを搬送することが可能な複数のチャネルに区分けし、次にこれらのチャネルを必要な数のマイクロフォン間で割り当てることによって分割することができる。したがって、たとえば、青、赤、青、赤…のような単純なインタリービングアルゴリズムを使用してチャネルを割り当てることができる。より多くの数のマイクロフォンの場合、これは青、赤、緑、黄、青、赤、緑、黄…とすることができる。又はより複雑なインタリービング配列を使用することができる。通常、インタリーブ分割は複雑度を増加させ得るが、局所化された狭帯域干渉がマイクロフォンのうちの1つのみに悪影響を及ぼすのではなく、マイクロフォン間に分散される可能性がより高いというあり得る利点を有する。
【0038】
さらなる代替形態では、2つのマイクロフォンのみが使用される場合、図3に示す種類の単純な分割を使用することができるが、さらなるマイクロフォンが加わる場合、図3に示す2つの半帯域のうちの1つをインタリーブによって分配することができる。
【0039】
図3は、2つのマイクロフォンのための2つの実質的に独立した周波数ホッピングパターンを概略的に示している。代替的な実施形態では、一方のパターンは他方を逆にしたものとすることができる。すなわち、(たとえば)各マイクロフォンに利用可能なチャネル(すなわち該チャネルのそれぞれの半帯域内)が、各場合において周波数の昇順で(たとえば)1〜100でナンバリングされる場合、周波数ホッピングパターンは以下のように進行することができる。
【0040】
【表2】

【0041】
換言すれば、赤帯域の下端と現在のチャネルとの間の周波数の隔たりは、青帯域の上端と現在のチャネルとの間の周波数の隔たりと同じである。
【0042】
別の可能性において、同じチャネルナンバリング方式を使用して、チャネル割り当ては単純に互いの後を追うことができる。
【0043】
【表3】

【0044】
これらの相互に関連するシーケンス構成の双方が、受信機における好ましくない相互変調積が(2つの場合において異なる相互変調積であるが)常に予測可能な(所定の)周波数において発生するという観点から、利点を有することができる。
【0045】
周波数ホッピングパターンの導出は、マイクロフォンに関連付けられる一意の識別及びマイクロフォンとデータ受信機との間で初期ハンドシェイク時に交換されるタイミング信号によって、擬似ランダムシーケンスを介してシードされるか又は他の態様で影響され得る。幾つかの実施形態では(以下を参照)、1組のマイクロフォンに関連付けられる一意の識別子は互いの2進数の補数である。このような構成は、上記の複数の表に提示されるパターンのうちの1つの生成をもたらすように構成することができる。
【0046】
図4は、マイクロフォンのうちの1つによってデータ受信機に送信されるデータパケット300を概略的に示している。図4において、時間は左から右の水平方向に表される。
【0047】
パケット300は、時間順に、特定のマイクロフォンに関連付けられる一意の識別データ310と、それに続く音声データのペイロードとを含む。ヘッダ、フッタ、及び誤り検出/訂正データのようなさらなるデータを、既知の技術を使用して含むことができる。図4は、送信されるデータの技術的に重要な部分を示すようにのみ意図される。
【0048】
識別データは、いずれのマイクロフォンがパケットを送信したかを高速に検出し、したがってデータ受信機における適切な音声チャネルに正しくルーティングすることを可能にするために最初に送信される。実際には、ヘッダデータが使用される場合であっても、識別データがそのようなパケットヘッダデータの前に送信されることが望ましい。
【0049】
図4の下部は、識別データ310をより詳細に示している。識別データの最初に送信される部分320はマイクロフォンのクラス(たとえば赤又は青)を表している。識別データの残りの48ビットはその特定のユニットの一意の識別を提供する。
【0050】
本明細書において使用される場合、用語「一意」は単純に、この種類のマイクロフォンの他の例に対する一意性(又は擬似一意性)を示していることが理解されよう。
【0051】
クラス識別子を最初に送信することによって、可能な最も早い時点においてパケットの正確なハンドリングを確立することができる。
【0052】
明らかであるが、システムが2つのマイクロフォンを扱うためにのみ構成される場合、クラス識別子320は1ビットでありさえすればよい。最大4つのマイクロフォンの場合、最低2ビットが必要となり、以下同様である。
【0053】
識別データはマイクロフォンの製造時に確立される。マイクロフォンは通常、セット(たとえば1つの赤マイクロフォン、1つの青マイクロフォン、又はより多数のクラスから成る場合は各クラス1つのマイクロフォン)で販売されるため、そのようなセット内において、識別データが互いに直交することが有利である。
【0054】
一組のマイクロフォンの場合にこれを達成することができる単純な方法は、一方のマイクロフォンの全48ビットの識別データを他方のマイクロフォンの識別データの2進数の補数となるように(一方のマイクロフォンの識別データにおける2進数の1が、他方のマイクロフォンの識別データの対応する位置において2進数の0となり、逆もまた同様であるように)構成することである。
【0055】
この構成は、データ受信機に対してマイクロフォンを識別するのに使用される識別システムを、干渉又はデータ損失に対して特にロバストなものにすることができる。
【0056】
3つ以上のマイクロフォンのセットの場合、既知の数学技法を使用して、互いに直交する識別符号の群を達成することができる。
【0057】
最後に、図5は無線マイクロフォンと親機との対話を概略的に示す流れ図である。無線マイクロフォンによって実行される動作は中央の垂直な破線の左に示され、データ受信機によって実行される動作は該垂直線の右に示されている。
【0058】
上述の初期ハンドシェイク動作はステップ500〜ステップ560に関連する。後続のパケット送信はステップ570〜ステップ610に関連する。
【0059】
ステップ500において、マイクロフォンは、該マイクロフォンの記憶された一意の識別データを読み取る。ステップ510において、このデータを所定のハンドシェイク無線チャネルを使用してデータ受信機に送信する。データ受信機はこの識別データを受信し、ステップ520においてこれに確認応答する。
【0060】
ステップ540において、データ受信機は識別データの受信に応答して擬似ランダム周波数ホッピングシーケンスを生成する。ステップ530において、マイクロフォンはデータ受信機の確認応答の受信に応答して同じことを行う。
【0061】
ステップ550において、マイクロフォンはデータ受信機にクロック信号を送信し、ステップ560において、データ受信機は該クロック信号を受信する。既に生成したシーケンス及び新たに受信したクロック信号は、双方の装置が従うことになる周波数ホッピングパターンの正確なタイミングを確定するのに十分である。
【0062】
図5に示す構成は、マイクロフォンを、周波数ホッピングのタイミングを制御する「マスタ」装置として使用することに留意されたい。当然ながら、データ受信機がこのような役目を果たすことがあり得るため、ステップ550、560におけるクロック信号の送信は、実際にはデータ受信機からマイクロフォンへの送信となり得る。このような代替形態は、使用中の双方の(又はすべての)マイクロフォンに同じタイミングを提供するという利点を有する。
【0063】
ここでハンドシェイク交換が完了し、音声データパケットの送信を開始することができる。
【0064】
ステップ570において、マイクロフォンはパケットをデータ受信機に送信する。データ受信機は、ステップ580において該パケットを受信し、ステップ590においてこれに確認応答する。ステップ600において、マイクロフォンは、データ受信機から受信した確認応答に基づいてパケットの送信が成功したか否かを検出する。パケットの送信が成功した場合、制御はステップ570に戻り、次のパケットが送信され、以下同様である。しかしながら、現在のパケットの送信が成功しなかった場合、ステップ610において、マイクロフォンは、周波数ホッピングシーケンスの次のチャネルにおいてではあるが、同じパケットを再送信させる。
【0065】
当然ながら、パケットを再送信する能力はデータチャネル容量と送信されるデータ量との比によって決まる。空き容量が一切ない場合、ステップ610は失敗したパケットを除外することのみを含み、受信機は失敗したパケットをマスクするために、任意の利用可能なエラー訂正技術又はエラー隠蔽技術を使用しなければならなくなる。しかしながら、幾らかの空き容量が存在する場合、パケットを再送信することができるが、所定の再試行回数(たとえば2回)に制限される場合がある。
【0066】
これらの技法を単一チャネルシステム(すなわち、スペクトル拡散周波数ホッピング技術を使用するのではなく、各無線装置に対し単一チャネルを割り当てるシステム)に拡張することができる。ここで、利用可能なRFスペクトルは上述のように分割することができ、相補的なRFチャネルを1組のマイクロフォンに割り当てるような技法を使用することができる。また、データパケットにおいて最初にクラス識別子を送信する技法を適用することができる。複数のパケットから成る群を、周波数ホッピング構成の下でチャネルが変更される前に単一チャネル上で送信することができることも理解されよう。換言すれば、周波数ホッピングレートはパケット送信レートよりも低くする(たとえばパケット送信レートの約数にする)ことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数帯域内で動作する無線通信システムであって、
無線データ受信装置と、
前記無線データ受信装置に随時送信されるそれぞれの一意の識別子をそれぞれ有する、2つ以上の無線データ発信装置と、
を備え、
前記無線データ発信装置は、前記所定の周波数帯域のそれぞれの異なる複数のサブセットから選択される周波数チャネル上で前記無線データ受信装置と通信するように構成される、システム。
【請求項2】
前記無線データ発信装置は実質的に同一のデータソース装置を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記データソース装置は音声変換器である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記所定の周波数帯域の前記複数のサブセットは重なっていない、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記無線データ発信装置のそれぞれは、装置の2つ以上のクラスのうちの1つのメンバであり、各クラスは、前記所定の周波数帯域の、関連付けられるそれぞれの異なるサブセットを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記無線データ発信装置の前記クラスは製造時に予め決定される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
各前記無線データ発信装置の一意の識別子は、該無線データ発信装置の前記クラスを示すクラス識別子を含む、請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
前記無線データ発信装置が該装置の一意の識別子を前記無線データ受信機に送信するとき、前記クラス識別子は前記送信される一意の識別子の第1の部分として送信される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記無線データ発信装置が使用するために利用可能な前記所定の周波数帯域の前記サブセットは、該装置の前記クラスに従って予め決定される、請求項5〜8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記無線データ発信装置と前記無線データ受信機との間の通信は、異なる複数の搬送周波数のシーケンスを使用して連続したデータパケットを送信する周波数ホッピング構成を使用する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記無線データ発信装置によって使用される前記シーケンスは、少なくとも部分的に、該無線データ発信装置に関連付けられる前記一意の識別子によって決まる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記2つ以上の無線データ発信装置によって使用される前記シーケンスは、相互変調積を所定の周波数において生成するように相関する、請求項10又は11に記載のシステム。
【請求項13】
前記無線データ発信装置に関連付けられる前記一意の識別子は互いに直交する、請求項1〜12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムは2つの無線データ発信装置を備え、
前記2つの無線データ発信装置に関連付けられる前記一意の識別子は互いの2進数の補数である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記無線データ受信機は、前記無線データ発信装置ごとに1つの無線周波数通信装置を備え、該無線周波数通信装置を用いて前記無線データ受信機は同時通信を行うことが可能であり、
各前記無線周波数通信装置は、前記所定の周波数帯域の前記複数のサブセットのうちのそれぞれの1つに従ってデータを通信するように構成される、請求項1〜14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記所定の周波数帯域は2.4GHz〜2.4835GHzの周波数帯域である、請求項1〜15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
無線データ受信装置に随時送信されるそれぞれの一意の識別子をそれぞれ有する、2つ以上の無線データ発信装置から成るセットであって、前記一意の識別子は互いに直交する、セット。
【請求項18】
前記セットは2つの無線データ発信装置を備え、
前記一意の識別子は互いの2進数の補数である、請求項17に記載のセット。
【請求項19】
前記無線データ発信装置は、所定の周波数帯域のそれぞれのサブセットから選択される周波数で前記無線データ受信装置と通信するように構成される、請求項17又は18に記載のセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−93786(P2010−93786A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−203334(P2009−203334)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(502070679)ソニー コンピュータ エンタテインメント ヨーロッパ リミテッド (40)
【Fターム(参考)】