説明

無線通信システム

【課題】十分な設計を行うことなく設置された基地局とその周囲の基地局との間の干渉を低減させた無線通信システムを得る。
【解決手段】所定位置に設置された複数のフェムト基地局F1〜F6基地局と、複数のフェムト基地局の通信エリアR1〜R6内でフェムト基地局を介して相互通信を行う複数の端末T1〜T9と、複数のフェムト基地局の無線パラメータを制御して、複数のフェムト基地局と複数の端末との間の通信状態を制御する制御装置10とを備る。制御装置10は、複数のフェムト基地局を介して取得される複数の端末からのフィードバック情報に基づき、基地局グループを決定するためのグループ化処理を実行し、基地局グループごとに無線パラメータを決定して複数の端末の相互通信を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多くの基地局が設置されている環境において適用される無線通信システムに関し、特に、基地局の電源制御技術および無線パラメータの制御技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
第4世代移動通信システム(IMT−Advanced)では、より高いマイクロ波帯の周波数を利用することにより高速大容量通信を実現する。
このように高い周波数帯を利用した通信においては、電波の伝搬距離は短くなり、さらに屋内への伝搬を考えた場合に、浸透損失が大きくなることが知られている。
【0003】
そこで、通信性能を改善するために、フェムト基地局(比較的小さな電力で数10メートルの範囲をカバーする小型基地局)を屋内に設置することが考えられるが、屋内における空間の広さおよび壁などの材質が建物によって異なることから、事前に伝搬環境を予測して基地局の送信電力などのパラメータ設計を行うことは困難である。
また、パラメータ設計がなされていないフェムト基地局が設置された場合には、周囲の基地局との間の干渉が問題となることが知られている。
【0004】
そこで、上記干渉を抑制するために、従来のフェムト基地局においては、周囲の環境を測定することにより、フェムト基地局自身の無線パラメータの制御が行われている(たとえば、特許文献1参照)。
また、パラメータ設計を完了した後に設置したフェムト基地局を制御することにより、干渉の回避および消費電力の削減を実現する技術も提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2009/119212号パンフレット
【特許文献2】特開2009−159355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の無線通信システムは、上記特許文献1に記載の制御技術においては、フェムト基地局が隣接設置された場合に、周囲への干渉の影響を小さくするために互いに電力が抑制されてしまうので、フェムト基地局の性能を十分引き出すことが困難となるという課題があった。
また、上記特許文献2に記載の制御技術においては、事前のパラメータ設計が行われていない場合に、対応が困難になるという課題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、十分な設計を行うことなく設置された基地局とその周囲の基地局との間の干渉を低減させた無線通信システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る無線通信システムは、所定位置に設置された複数の基地局と、複数の基地局の通信エリア内で基地局を介して通信を行う複数の端末と、複数の基地局の無線パラメータを制御して、複数の基地局と複数の端末との間の通信状態を制御する制御装置と、を備えた無線通信システムであって、制御装置は、複数の基地局を介して取得される複数の端末からのフィードバック情報に基づき、基地局グループを決定するためのグループ化処理を実行し、基地局グループごとに無線パラメータを決定して複数の端末の相互通信を可能にするものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、複数の基地局を介して取得される複数の端末からのフィードバック情報に基づき、基地局グループを決定するためのグループ化処理を実行することにより、十分な設計を行うことなく設置された基地局とその周囲の基地局との間の干渉を低減させることができる。
また、代表基地局を選定することにより、基地局の消費電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る無線通信システムを概略的に示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1における各端末での各フェムト基地局からの受信電力を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1により代表基地局を選定した後の状態を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る無線通信システムの基地局交代処理を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係る無線通信システムのグループ統合処理を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係る無線通信システムの基地局交代処理を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る無線通信システム100を概略的に示す構成図である。
図1において、無線通信システム100は、システム全体を制御する制御装置10と、通信領域内に存在する複数の端末T1〜T9(たとえば、携帯電話)と、制御装置10との間で通信する単一のマクロ基地局20と、制御装置10との間で通信する複数のフェムト基地局F1〜F6と、により構成されている。
【0012】
フェムト基地局F1〜F6は、それぞれの通信エリアR1〜R6を有しており、マクロ基地局20は、すべてのフェムト基地局F1〜F6および端末T1〜T9を含む通信エリアR20を有している。
【0013】
制御装置10は、フェムト基地局F1〜F6およびマクロ基地局20を制御することにより、フェムト基地局F1〜F6(または、マクロ基地局20)を介して、各端末T1〜T9の相互間の通信を可能にする。
【0014】
なお、図示を省略するが、各フェムト基地局F1〜F9は、基地局よりも上位の有線ネットワーク回線または3GPP(Third Generation Partnership Project)におけるX2インターフェースのように、相互通信可能なインターフェースを備えているものとする。
また、無線通信システム100が接続される有線ネットワークについては、この発明と直接関係しないので図示を省略する。
【0015】
また、以下においては、代表的にフェムト基地局F1〜F9について説明するが、これに限定されることはなく他の基地局であってもよく、本願発明が基地局の種類とは無関係に適用可能な技術であることは言うまでもない。
さらに、ここでは、制御装置10を外部装置のように記載しているが、制御装置10と同等の機能として、他の装置内に含まれていてもよい。
【0016】
次に、図2および図3を参照しながら、図1に示したこの発明の実施の形態1による動作について説明する。
図2は各端末T1〜T9での各フェムト基地局F1〜F6からの受信電力を示す説明図であり、受信電力レベルに応じてグループ化されたグループG1、G2を示している。
図3は代表基地局を選定した後の状態を示す説明図であり、制御装置10がフェムト基地局F2、F6を代表基地局として選定した場合を示している。
【0017】
まず、制御装置10の制御下において、フェムト基地局F1〜F6は、各々の周囲のフェムト基地局からの受信電力を測定し、端末T1〜T9は、各々の周辺のフェムト基地局からの受信電力を測定する。
【0018】
制御装置10は、フェムト基地局F1〜F6による周囲のフェムト基地局からの受信電力測定結果と、端末T1〜T9による周辺フェムト基地局からの受信電力測定結果とをフィードバック入力情報として取り込むことにより、近接しているフェムト基地局の情報や各基地局間の相対的な位置関係を随時取得する。
【0019】
なお、情報取得方法としては、フェムト基地局F1〜F6の各位置情報を取得可能であれば、GPSなどを利用してもよい。
上記のように、制御装置10は、まず、端末T1〜T9に近接するであろうフェムト基地局F1〜F6の受信電力を測定させる。
【0020】
次に、図2に示すように、制御装置10は、各端末T1〜T9について、近接するフェムト基地局F1〜F6からの相対的な位置関係を把握することにより、端末T1〜T9のグループ化を行う。
また、制御装置10は、形成された端末グループの平均受信電力が高いフェムト基地局を探索し、フェムト基地局F1〜F6のグループ化を行う。
【0021】
図2においては、フェムト基地局F1〜F3からの受信電力が高い端末T1〜T3のグループG1と、フェムト基地局F4〜F6からの受信電力が高い端末T7〜T9のグループG2と、にグループ化された場合を示している。
【0022】
制御装置10は、基地局グループの中で端末グループの最も平均受信電力の高いフェムト基地局を代表基地局とする。
図2においては、グループG1内の代表基地局はフェムト基地局F2であり、グループG2内の代表基地局は、フェムト基地局F6であることが分かる。
【0023】
なお、端末T1〜T9のグループ化やフェムト基地局F1〜F6のグループ化、および代表基地局の選定における指標としては、受信電力のみに限定されることはなく、フェムト基地局F1〜F6の処理性能および端末T1〜T9の現在の通信データ量、または統計的な通信データ量などを利用してもよい。
【0024】
制御装置10は、各グループG1、G2内において、代表基地局(フェムト基地局F2、F6)以外の基地局グループ(フェムト基地局F1、F3、F4、F5)内のハンドオーバパラメータや送信電力を制御することにより、端末グループ(端末T1〜T9)を代表基地局(フェムト基地局F2、F6)にハンドオーバさせる。
【0025】
その後、図3に示すように、制御装置10は、グループG1、G2内の代表基地局(フェムト基地局F2、F6)以外の基地局グループ(破線参照)の電源をオフにして、代表基地局(フェムト基地局F2、F6)のみが通信を行うように制御する。
このように、端末T1〜T9への寄与が小さいフェムト基地局F1、F3、F4、F5の電源をオフすることにより、干渉の低減と消費電力の削減との両方を実現する。
【0026】
なお、端末T1〜T9の分布が変化して、代表基地局の負荷が大きくなった場合、または、代表基地局以外のフェムト基地局の近傍に端末が多く存在することが確認できた場合には、代表基地局以外のフェムト基地局の電源をオンにして、再度代表基地局の選定処理およびグループ化処理を実行する。
【0027】
このとき、すべてのフェムト基地局F1〜F6の電源をオンにしてもよく、または、候補となり得るフェムト基地局のみの電源をオンにしてもよい。
また、代表基地局の負荷は、制御装置10に随時報告させることにより確認することができる。また、代表基地局以外のフェムト基地局の近傍に端末が存在することを確認するためには、代表基地局以外のフェムト基地局が定期的なアップリンク電力を測定すればよい。
さらに、上記再グループ化処理は、代表基地局の負荷または端末T1〜T9の分布の変化に応じて実行するのみでなく、定期的に実行してもよい。
【0028】
次に、新規のフェムト基地局が追加設置された場合の動作について説明する。
この場合、追加設置されたフェムト基地局は、制御装置10との間でメッセージの受け渡しを行うことにより、自身が追加設置されたことを制御装置10に通知する。
また、新規のフェムト基地局は、他のフェムト基地局や端末T1〜T9からの受信電力を測定し、その測定結果(メッセージ)を制御装置10に通知することにより、現在の環境を報告する。
【0029】
制御装置10は、この取得情報から、新規のフェムト基地局を加えた相対的な位置関係を算出し、以前の情報から更新する。
その後、制御装置10は、設置されたフェムト基地局の周囲にある基地局グループの代表基地局以外の基地局の電源をオンにして、上記測定を行うことにより再グループ化を実行する。
【0030】
なお、電源をオンにするフェムト基地局は、影響が予想される基地局のみであってもよく、または、すべての基地局であってもよい。
また、新規のフェムト基地局を追加設置した場合のみならず、あらかじめ設置されていた既存のフェムト基地局のいずれかが取り外された場合であっても、同様に周囲の基地局の電源をオンにして測定を行うことにより、再グループ化を実行することができる。
【0031】
このとき、既存のフェムト基地局の取り外し状態を検出するためには、取り外される前に制御装置10との間でメッセージ交換により報告してもよく、定期的な制御メッセージの交換により接続を確認してもよい。
【0032】
また、代表基地局の選定後においても、代表基地局であるフェムト基地局の送信電力および無線パラメータ(アンテナのビーム方向など)を変更してもよい。
この場合、制御装置10は、代表基地局のグループに属する端末、および代表基地局の周囲の基地局グループに属する端末と、基地局グループ内の代表基地局以外のフェムト基地局、および周囲の基地局グループの基地局とに対して受信電力を測定させる制御を行い、測定結果をフィードバックさせることにより、フィードバック情報に基づき、干渉の影響を考慮した無線パラメータを決定して代表基地局に通知する。
以下、代表基地局は、通知された無線パラメータを反映した通信を行う。
このような処理を繰り返し実行することにより、代表基地局の最適な無線パラメータを決定することができる。
【0033】
以上のように、この発明の実施の形態1(図1〜図3)に係る無線通信システムは、所定位置に設置された複数の基地局(フェムト基地局F1〜F6)と、複数の基地局の通信エリアR1〜R6内で基地局を介して通信を行う複数の端末T1〜T9と、複数の基地局の無線パラメータを制御して、複数の基地局と複数の端末T1〜T9との間の通信状態を制御する制御装置10と、を備えている。
【0034】
制御装置10は、複数の基地局(フェムト基地局F1〜F6)を介して取得される複数の端末T1〜T9からのフィードバック情報に基づき、基地局グループを決定するためのグループ化処理を実行し、基地局グループごとに無線パラメータを決定して複数の端末T1〜T9の相互通信を可能にする。
【0035】
また、制御装置10は、基地局グループに対応したグループG1、G2内の各端末T1〜T6、T7〜T9に対する基地局グループ内の各基地局(フェムト基地局F1〜F3、F4〜F6)からの受信電力レベルに基づき、基地局グループ内の基地局から代表基地局(フェムト基地局F2、F6)を選定する。
【0036】
また、制御装置10は、基地局グループ内において、代表基地局(フェムト基地局F2、F6)以外の基地局(フェムト基地局F1、F3〜F5)の電源をオフにして、代表基地局のみが、基地局グループ内の各端末T1〜T6、T7〜T9との間で通信を行うように制御する。
【0037】
さらに、制御装置10は、複数の基地局との間の通信により、新規の基地局の追加設置または既存の基地局の取り外しを確認した場合には、基地局の追加設置または取り外しによって影響を受ける代表基地局以外の基地局の電源をオンにして、グループ化処理を再度実行する。
【0038】
このように、複数の基地局(フェムト基地局F1〜F6)を介して取得される複数の端末T1〜T9からのフィードバック情報に基づき、基地局グループを決定するためのグループ化処理を実行することにより、十分な設計を行うことなく設置された基地局とその周囲の基地局との間の干渉を低減することができる。
【0039】
また、代表基地局を選定することにより、基地局(フェムト基地局F1〜F6)の消費電力を削減することができる。
さらに、フェムト基地局の追加設置時または取り外し時においても、最適なグループ化処理を実現することができる。
【0040】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1(図1〜図3)では、グループごとに最適な代表基地局を一義的に選定したが、図4に示すように、代表基地局を基地局グループ(グループG1)内で順次に変更してもよい。
【0041】
図4はこの発明の実施の形態2に係る無線通信システム100Aの動作を示す説明図であり、前述(図1)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「A」を付して詳述を省略する。
図4においては、一例として、図4内のグループG1のみを特定の基地局グループとして示しているが、図示しない他のグループG2においても同様の変更処理が行われる。また、図4に示されない構成は、図1に示した通りである。
【0042】
図4において、制御装置10Aにより選定された代表基地局は、制御装置10Aの制御下で、フェムト基地局F1から、F2、F3へと、矢印で示すように、基地局グループ内で順次に且つ繰り返し変更させられる。
【0043】
すなわち、グループG1内のフェムト基地局F1〜F3は、順次に交代で代表基地局を担うことになる。
このとき、フェムト基地局F1〜F3の各通信エリアR1’、R2、R3’は、制御装置10Aにより、ほぼ同一エリアとなるように、無線パラメータ(送信電力、アンテナのビーム方向など)が調整される。
【0044】
次に、図4を参照しながら、この発明の実施の形態2による動作について、さらに具体的に説明する。
まず、前述の実施の形態1と同様に、制御装置10Aは、フェムト基地局のグループ化処理、代表基地局の選定処理および送信電力の制御処理を行う。
【0045】
続いて、制御装置10Aは、各フェムト基地局F1〜F3のグループ化処理時、および代表基地局との通信時に得られる、各端末T1〜T6およびフェムト基地局F1〜F3の受信電力情報に基づき、代表基地局以外の各フェムト基地局が、それぞれ、代表基地局の通信エリア(ほぼ同一エリア)を実現するための無線パラメータを算出する。
【0046】
また、制御装置10Aは、算出された無線パラメータを各フェムト基地局F1〜F3に通知するとともに、現在の代表基地局(たとえば、フェムト基地局F1)と、次に代表基地局となるフェムト基地局(たとえば、F2)とに交代を通知し、次に代表基地局となるフェムト基地局(F2)の電源をオンにする。
【0047】
電源がオンされた次の代表基地局(フェムト基地局F2)は、制御装置10Aから通知された無線パラメータを用いて電波を放射する。
現在の代表基地局(F2)は、ハンドオーバパラメータや送信電力制御を行うことにより、次の代表基地局(F3)に対して端末グループをハンドオーバさせる。上記処理により、図4に示した代表基地局の順次変更処理を実現する。
【0048】
以上のように、この発明の実施の形態2(図4)によれば、制御装置10Aは、所定時間の経過ごとに、基地局グループ内で代表基地局を順次に交代させるので、特定のフェムト基地局のみの消費電力が大きくなることを防ぎ、消費電力の均等化により公平性を得ることができる。
【0049】
なお、代表基地局を交代する周期は、同一の時間経過としてもよく、消費電力が同様になるようにしてもよい。
また、端末T1〜T6の分布または通信状況に応じて交代する周期を変更してもよく、他の基地局グループの代表基地局との間の干渉が低くなる組み合わせを測定結果から導出し、干渉が小さくなる組み合わせとなるように、連携して代表基地局を変更してもよい。
【0050】
また、ここでは、制御装置10Aの主導のもとで代表基地局の変更処理を実行したが、現在の代表基地局が自身で判断して各フェムト基地局間のインターフェースを利用して、次の代表基地局に交代してもよい。
【0051】
また、図4においては、他のフェムト基地局や他のグループとの干渉回避を考慮して、基地局グループの通信エリアR1’、R2、R3’をあまり変更しないように設定したが、隣接する通信エリアへの干渉の影響が小さいことが既知である場合には、交代した代表基地局の通信エリアの違いを特に考慮せずに、端末グループ(T1〜T6)が収容可能な範囲で無線パラメータを選定してもよい。
【0052】
さらに、代表基地局の変更時において、フェムト基地局F1〜F3ごとに無駄な位置登録(無線通信システムのネットワークが端末T1〜T6の位置を認識するために端末に報告させるメッセージ)を発生させないために、制御装置10Aにより、基地局グループ(フェムト基地局F1〜F3)を同じ位置登録エリア(ID)に設定してもよい。
【0053】
実施の形態3.
なお、上記実施の形態1、2(図1〜図4)では、1つの基地局グループ内に1台の代表基地局のみを選定したが、図5に示すように、グループG11〜G13を統合した1つのグループG10内に複数(たとえば、3台)の代表基地局F11〜F13を選定してもよい。
【0054】
図5はこの発明の実施の形態3に係る無線通信システムの動作を示す説明図であり、煩雑さを回避するために制御装置および複数の端末を省略して示している。
図5においては、3つのグループG11〜G13を統合して単一のグループG10を設定し、元のグループG11〜G13内の各代表基地局(フェムト基地局F11〜F13)をグループG10内の代表基地局として選定した場合を示している。
【0055】
図5のように、複数の端末(図示せず)および複数のフェムト基地局からなる複数のグループG11〜G13が隣接しているような環境においては、各フェムト基地局の配置関係が交錯するので、前述の基地局グループ(グループG1)内での代表基地局(フェムト基地局F1〜F3)の順次変更(図4参照)が困難になる可能性がある。
【0056】
図5のような基地局配置の場合、制御装置(図示せず)は、矢印で示すように、各グループG11〜G13を統合して再構成し、複数の代表基地局(フェムト基地局F11〜F13)が同時に存在する基地局グループ(グループG10)を生成する。
このとき、基地局グループ(グループG10)の通信エリアR10は、フェムト基地局F11〜F13の各通信エリアR11〜R13の合成エリアとなる。
【0057】
また、制御装置は、図6のように代表基地局を順次変更(矢印参照)し、最初に選定された複数の代表基地局(フェムト基地局F11〜F13)の通信エリアR10と同様の通信エリアR20、R30、R40を実現するための無線パラメータと代表基地局(F21〜F23、F31〜F34、F41〜F43)との組み合わせを複数セット生成する。
【0058】
このとき、代表基地局の組み合わせを選定する際に、フェムト基地局F31〜F34のように、代表基地局の台数が3台から4台に変更されてもよい。
なお、代表基地局の変更は、制御装置の主導のもとで実行してもよいし、各フェムト基地局間のインターフェースを利用してもよい。
【0059】
以上のように、この発明の実施の形態3(図5、図6)によれば、同じ基地局グループ内に複数の代表基地局の選択を可能とすることにより、代表基地局の選択に柔軟性を持たせることが可能となる。
また、この発明の実施の形態3の構成を用いて、複数の代表基地局から送信するデータおよびタイミングを一致させることによって、基地局間ダイバーシチを実現してもよい。
【0060】
実施の形態4.
なお、上記実施の形態1〜3(図1〜図6)では、すべてのフェムト基地局が単独で動作していることを前提として説明したが、ユーザが事前に基地局グループを設定してもよい。
【0061】
このように、ユーザにより事前にグループ化されたフェムト基地局が設置された場合、制御装置は、グループ化された複数のフェムト基地局との間でメッセージの受け渡しを行うことにより、ユーザによりグループが構成されていることを通知させる。
【0062】
すなわち、制御装置は、ユーザにより事前のグループ設定が行われた場合には、複数のフェムト基地局との間のメッセージ交換により事前のグループ設定を確認し、事前に設定されたグループを考慮してグループ化処理を実行することにより、事前のユーザ設定に対応することを可能にする。
【0063】
また、制御装置は、ユーザにより設定されたグループ内のみで、再度のグループ化処理を行うが、このとき、ユーザにより設定されたグループ以外のフェムト基地局とはグループ化を行わないようにする。
また、ユーザによる代表基地局の設定を許容してもよい。これにより、ユーザによる事前のグループ設定および代表基地局の選定が可能となる。
【0064】
実施の形態5.
また、上記実施の形態1〜3では、すべてのフェムト基地局が制御可能な基地局であることを前提として説明したが、外部からの制御を受け付けない制御禁止のフェムト基地局が存在していてもよい。
【0065】
このように、ユーザにより設置されるフェムト基地局のうちのいずれかが制御を受け付けないように設定された場合、制御装置は、制御禁止のフェムト基地局との間でメッセージの受け渡しをすることにより、制御禁止である(制御を受け付けないこと)を報告させる。
【0066】
この場合、制御装置は、制御禁止のフェムト基地局が単体で1つのグループを構成しているものと見なして、前述のグループ化処理を行う。
すなわち、制御装置は、ユーザにより制御禁止と設定された基地局が設置された場合には、制御禁止の基地局との間のメッセージ交換により制御禁止であることを確認し、制御禁止の基地局を制御不可能であって且つ単独でグループを構成しているものと見なして、他の基地局に対するグループ化処理を実行する。
これにより、ユーザが外部からフェムト基地局を制御されないように設定可能となる。
【符号の説明】
【0067】
10、10A 制御装置、20 マクロ基地局、100、100A 無線通信システム、F1〜F6 フェムト基地局、F11〜F13、F21〜F23、F31〜F34、F41〜F43 代表基地局、G1、G2、G10 グループ、R1〜R6、R10、R20、R30、R40 通信エリア、T1〜T9 端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定位置に設置された複数の基地局と、
前記複数の基地局の通信エリア内で基地局を介して通信を行う複数の端末と、
前記複数の基地局の無線パラメータを制御して、前記複数の基地局と前記複数の端末との間の通信状態を制御する制御装置と、
を備えた無線通信システムであって、
前記制御装置は、
前記複数の基地局を介して取得される前記複数の端末からのフィードバック情報に基づき、基地局グループを決定するためのグループ化処理を実行し、
前記基地局グループごとに無線パラメータを決定して前記複数の端末の相互通信を可能にすることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記基地局グループに対応したグループ内の各端末に対する前記基地局グループ内の各基地局からの受信電力レベルに基づき、前記基地局グループ内の基地局から代表基地局を選定することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記基地局グループ内において、前記代表基地局以外の基地局の電源をオフにして、前記代表基地局のみが、前記基地局グループ内の各端末との間で通信を行うように制御することを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記制御装置は、所定時間の経過ごとに、前記基地局グループ内で前記代表基地局を順次に交代させることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記複数の基地局との間の通信により、新規の基地局の追加設置または既存の基地局の取り外しを確認した場合には、基地局の追加設置または取り外しによって影響を受ける前記代表基地局以外の基地局の電源をオンにして、前記グループ化処理を再度実行することを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記制御装置は、ユーザにより事前のグループ設定が行われた場合には、前記複数の基地局との間のメッセージ交換により前記事前のグループ設定を確認し、前記事前に設定されたグループを考慮して前記グループ化処理を実行することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記制御装置は、ユーザにより制御禁止と設定された基地局が設置された場合には、前記制御禁止の基地局との間のメッセージ交換により制御禁止であることを確認し、制御禁止の基地局を制御不可能であって且つ単独でグループを構成しているものと見なして、他の基地局に対する前記グループ化処理を実行することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−169698(P2012−169698A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26410(P2011−26410)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、総務省、「自律的エリア設計運用技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】