説明

無線通信システム

【課題】隣接情報を取得する時における電池駆動端末の電池消費を低減させることができる無線通信システムを提供する。
【解決手段】電池駆動端末2は、端末ID「2」と、宛先ID「6」と、経路情報「2−4−6」と、パケット特定番号「1」とを含む通信パケットS1を端末6へ送信し、端末6には届かず常時給電端末5が傍受した場合に、コントローラに対して送信元ID「5」、電池駆動端末2の端末ID「2」と、パケット特定番号「1」とを含む傍受隣接情報通知S2を送信する。コントローラは、端末ID「2」と、傍受隣接情報通知S2の送信元ID「5」と、パケット特定番号「1」とに基づいて、隣接情報及び経路情報を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線信号を授受する複数の端末を含む無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線端末間で無線通信を行う無線通信システムにおいて、ある端末は電波が届かない場所に位置する端末と、直接通信を行うことはできず、それらの端末間で通信を行うためには、中継機器を介して通信を行う必要がある。
【0003】
特許文献1では、無線通信システムにおいて、コントローラからデバイスへの信号ルートをルーティングする方法について記載されている。このコントローラは、システム内の全てのデバイス間隣接情報を収集し、当該情報から信号ルートを演算している。具体的には、(1)コントローラがデバイスに対して、デバイスの範囲で他のデバイスを発見するように指示する第1の信号を送信する。(2)デバイスが、第1の信号に含まれる各デバイスに対して、応答を要求する第2の信号を送信する。(3)第2の信号を受け取った各デバイスが、応答として第3の信号を第2の信号を送信したデバイスに送信する。(4)第3の信号を受信したデバイスが、第3の信号を送信した元のデバイスのリストを作成し、そのリスト(第4の信号)をコントローラに送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−9261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した無線通信システムにおいて、機器設置が配線不要で行えることがメリットであるため、電池駆動で移動可能な端末が構成要素となることも多い。この電池駆動端末を利用した場合には、電池駆動端末の省消費電力により電池を長寿命化し、電池交換の手間を減らしたいといったニーズがある。
【0006】
一般的に、常時給電されている端末は、常に無線信号の受信が可能である。しかし、電池駆動端末は電池寿命を長くするために、自身の必要なタイミングでのみ無線信号を受信可能とすることが多い。つまり、電池駆動端末は、通信相手が通信したいと時であっても通信できないことが多い。
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の無線通信システムでは、電池駆動端末(デバイス)は、第1の信号を受信してから第4の信号をコントローラに送出するまで、無線回路やコントローラICを省電力モードにすることができず、常にアクティブな状態にしておく必要がある。特にシステム内の端末数が多いときは、第2、第3の信号のやり取りに時間がかかり、電池寿命を短くしてしまう。
【0008】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、隣接情報を取得する時における電池駆動端末の電池消費を低減させることができる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決する第1の発明に係る無線通信システムは、端末群が相互に通信を行う無線通信システムであって、前記端末群が、電池により駆動し、通信不能な電力消費の少ない低電力モードに断続的に切り替わる電池駆動端末と、外部から給電されて駆動し、常に送受信可能な常時給電端末とを含み、前記電池駆動端末は、自身を特定する端末識別情報と、通信相手となる端末を特定する宛先端末識別情報と、当該宛先端末識別情報で特定される宛先端末への経路情報とを有する簡易端末を構成し、前記常時給電端末は、前記簡易端末に隣接する端末を示す隣接情報と前記簡易端末の前記宛先端末識別情報とを有する情報集約端末、もしくは、前記簡易端末を構成するものであり、前記簡易端末は、前記端末識別情報と、前記宛先端末識別情報と、前記経路情報と、通信パケットを特定するパケット特定情報とを含む第1通信パケットを前記宛先端末へ送信し、前記簡易端末として構成された常時給電端末は、前記第1通信パケットを傍受した場合に、前記情報集約端末に対して前記端末識別情報と前記第1通信パケットに含まれる第1通信パケットを送出した簡易端末の端末識別情報と、前記第1通信パケットに含まれるパケット特定情報とを含む第2通信パケットを送信し、前記情報集約端末は、前記第1通信パケットの送信元である簡易端末の端末識別情報と、前記第2通信パケットの送信元である簡易端末の端末識別情報と、前記第1通信パケットに含まれていたパケット特定情報とに基づいて、前記隣接情報及び経路情報を更新することを特徴とする。
【0010】
第1の発明に係る無線通信システムであって、第2の発明は、前記簡易端末は、前記第1通信パケットに、当該簡易端末が電池駆動端末か常時給電端末かの給電状態情報を含め、前記第1通信パケットを傍受した簡易端末は、前記第1通信パケットの給電状態情報が電池駆動端末である場合にのみ、前記第2通信パケットを前記情報集約端末に送信することを特徴とする。
【0011】
第1の発明に係る無線通信システムであって、第3の発明は、前記簡易端末として構成された常時給電端末は、自身に隣接する電池駆動端末を示す隣接電池駆動端末情報を有しており、前記第1通信パケットを傍受した場合に、当該第1通信パケットの送信元の電池駆動端末が自身に保有している隣接電池駆動端末情報に含まれない場合にのみ、前記第2通信パケットを前記情報集約端末に送信することを特徴とする。
【0012】
第3の発明に係る無線通信システムであって、第4の発明は、前記簡易端末は、自身に隣接する電池駆動端末を示す隣接電池駆動端末情報及び有効時間情報を記憶しており、前記第1通信パケットを傍受してから前記有効時間情報が示す時間内に再び第1通信パケットを受信しない場合に、自身の端末識別情報と前記第1通信パケットに含まれた端末識別情報とを含む第3通信パケットを前記情報集約端末に送信し、前記情報集約端末は、前記第3通信パケットに含まれた前記第1通信パケットの送信元である簡易端末の端末識別情報と、前記第3通信パケットの送信元である簡易端末の端末識別情報と、前記第1通信パケットに含まれたパケット特定情報とに基づいて、前記隣接情報及び経路情報を更新することを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
【0013】
第1の発明に係る無線通信システムであって、第5の発明は、前記簡易端末として構成された前記電池駆動端末は、前記第1通信パケットの通信が失敗した後の所定時間に亘り通信パケットを受信可能とし、前記情報集約端末は、前記隣接情報と前記経路情報とを更新した後に、前記第1通信パケットの通信を失敗した簡易端末に、前記更新された経路情報を送信し、前記簡易端末として構成された前記電池駆動端末は、前記情報集約端末から送信された経路情報を受信して、新たに経路情報として設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電池駆動端末が送信した第1通信パケットを常時給電端末が傍受した場合に、情報集約端末に対して自身の端末識別情報と、電池駆動端末の端末識別情報とパケット特定情報とを含む第2通信パケットを送信し、情報集約端末が、電池駆動端末の端末識別情報と常時給電端末の端末識別情報とパケット特定情報とに基づいて、隣接情報及び経路情報を更新する。これにより、この無線通信システムによれば、電池駆動端末の移動により隣接情報が変化した場合でも、電池駆動端末が、隣接情報の収集を行うシーケンスを新たに実行することなく情報の更新ができ、隣接情報を取得する時における電池駆動端末の電池消費を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態として示す無線通信システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態として示す無線通信システムの構成例を示し、(a)は電池駆動端末(2)の移動前の構成例、(b)は電池駆動端末(2)の移動後の構成例、を示す。
【図3】本発明の一実施形態として示す無線通信システムにおける端末が有する情報を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態として示す無線通信システムにおける無線コントローラが有する隣接情報を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態として示す無線通信システムにおける無線コントローラが有する端末の宛先端末IDを示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態として示す無線通信システムにおける各部の動作を示すシーケンス図である。
【図7】本発明の第3実施形態として示す無線通信システムにおける各部の動作を示すシーケンス図である。
【図8】本発明の第3実施形態として示す無線通信システムにおいて、(a)は無線コントローラ(1)が持つ隣接電池駆動端末情報の変化を示し、(b)は常時給電端末(4)が持つ隣接電池駆動端末情報の変化を示し、(c)は常時給電端末(5)が持つ隣接電池駆動端末情報の変化を示す。
【図9】本発明の第4実施形態として示す無線通信システムにおける各部の動作を示すシーケンス図である。
【図10】本発明の第4実施形態として示す無線通信システムにおいて、(a)は無線コントローラ(1)が持つ隣接電池駆動端末情報の変化を示し、(b)は常時給電端末(4)が持つ隣接電池駆動端末情報の変化を示し、(c)は常時給電端末(5)が持つ隣接電池駆動端末情報の変化を示す。
【図11】本発明の第5実施形態として示す無線通信システムにおける各部の動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態として示す無線通信システムは、例えば図1に示すように構成される。この無線通信システムは、無線コントローラ1と複数の無線端末2a〜2d、3,4,5を含む。
【0018】
この無線通信システムは、工場や、事務所又は住宅等の内部に設置された温度、湿度、塵、人の有無情報を検出する無線センサを含むエネルギー管理システムや、衛生管理システムに適用される。また、この無線通信システムは、煙検知センサや窓ガラス破壊センサ、カメラ等を含む防犯・防災システムに適用される。更に、この無線通信システムは、照明スイッチ、調光機器、照明機器等を含む照明制御システムにも適用される。
【0019】
本実施形態における無線通信システムは、無線コントローラ1と、無線端末としての窓センサ2a、煙センサ2b、人感センサ2c、電力センサ2d、照明リモコン3、照明器具4、ブザー5とを含む。
【0020】
無線コントローラ1及び無線端末は、所定の無線通信プロトコルに従って動作することによって、無線通信が可能である。無線コントローラ1は、無線通信を行う場合に、内部の無線通信I/Fを動作させることによって、所定の無線通信範囲内に存在する無線端末と通信可能である。また、無線端末は、無線通信を行う場合に、内部の無線通信I/Fを動作させることによって、所定の無線通信範囲内に存在する無線コントローラ1又は他の無線端末と通信可能である。
【0021】
この無線通信システムは、窓センサ2a、煙センサ2b、人感センサ2c、電力センサ2d、照明器具4が無線コントローラ1と無線通信可能に配置されている。照明リモコン3は、電力センサ2dを介して照明器具4と通信可能となっている。ブザー5は、人感センサ2cを介して無線コントローラ1と通信可能となっている。
【0022】
この無線通信システムは、例えばユーザによって照明リモコン3が操作されたことに応じて、電力センサ2dを介して照明リモコン3と照明器具4とが無線通信を行って照明器具4を点灯又は消灯させる。任意の系統で使用する電力量を計測する電力センサ2dは、計測した電力情報を無線コントローラ1に供給する。無線コントローラ1は、電力情報に基づいて、任意の系統で使用された電力量に基づいて監視・制御等を行うことができる。これにより、無線通信システムは、照明制御システムとして機能する。
【0023】
また、この無線通信システムは、無線コントローラ1から窓センサ2aに対して無線通信によって警戒状態となるよう設定がされる。この状態で、窓センサ2aから窓が開けられたこと等の侵入警報が窓センサ2aから無線コントローラ1に無線通信されると、無線コントローラ1は、人感センサ2cを介して無線通信によってブザー5を警報動作させる。また、無線通信システムは、無線コントローラ1から人感センサ2cに対して無線通信によって警戒状態となるよう設定し、人感センサ2cにより人の存在を検知した時に、無線コントローラ1によって人感センサ2cを介してブザー5を動作させる。これにより、無線通信システムは、防犯システムとして機能する。
【0024】
更に、この無線通信システムは、煙センサ2bから煙検知情報が無線通信によって無線コントローラ1に供給された時に、無線コントローラ1によって、人感センサ2cを介して無線通信によってブザー5を警報動作させる。これにより、無線通信システムは、防災システムとして機能する。
【0025】
このような無線通信システムにおいて、複数の無線端末からなる無線端末群には、電池駆動端末と常時給電端末とが含まれる。電池駆動端末は、電池により駆動し、無線信号が通信不能な電力消費の少ない低電力モードに断続的に切り替わるよう動作する。常時給電端末は、外部から給電されて駆動し、常に無線信号が送受信可能なものである。
【0026】
また、この無線通信システムには、無線信号を中継し、自らもアプリケーション動作を行う簡易端末と、システム全体の情報を集約する情報集約端末とに区分される。簡易端末は、自身を特定する端末識別情報と、通信相手となる端末を特定する宛先端末識別情報と、当該宛先端末識別情報で特定される宛先端末への経路情報とを有する。一方、情報集約端末は、簡易端末に隣接する端末を示す隣接情報と簡易端末の宛先端末識別情報とを有する。
【0027】
この無線通信システムにおいて、電池駆動端末は、簡易端末としてのみ構成される。一方、常時給電端末は、情報集約端末、もしくは、簡易端末として構成される。
【0028】
本実施形態において、無線コントローラ1が常時給電端末であって情報集約端末として機能する。また、無線コントローラ1以外の無線端末が、簡易端末として機能するとする。
【0029】
具体的には、図2(a)に示すように構成される。無線コントローラ(1)は、ID(端末識別情報)が「1」である。電池駆動端末(2)はIDが「2」である。電池駆動端末(3)は、IDが「3」である。常時給電端末(4)は、IDが「4」である。常時給電端末(5)は、IDが「5」である。アプリケーション宛先端末(6)は、IDが「6」であり、電池駆動端末(2)のアプリケーション宛先である。
【0030】
この場合、簡易端末として構成された電池駆動端末(2)には、アプリケーションの宛先端末ID(宛先端末識別情報)として「6」が格納される。この宛先端末IDに対応して、IDが「2」、「1」、「6」順で通信パケットを中継する経路を示す「2−1−6」が格納されている。同様に、宛先端末IDの「6」に対応して、「2−4−6」、「2−4−5−6」が格納されている。
【0031】
また、簡易端末として構成された電池駆動端末(2)には、宛先端末IDとして、の無線コントローラ(1)のID「1」が格納されている。この宛先端末IDに対応して、経路情報としての「2−1」、「2−4−1」、「2−4−6−1」が格納されている。
【0032】
更に、情報集約端末としての無線コントローラ(1)には、図4に示すような隣接情報と、図5に示すような簡易端末の宛先端末IDとが格納されている。図4の隣接情報は、例えば、電池駆動端末(2)が、無線コントローラ(1)と常時給電端末(4)と隣接しており、その他の端末とは隣接していない「×」であることを示している。図5の簡易端末の宛先端末IDは、例えば電池駆動端末(2)のアプリケーション宛先端末のIDが、アプリケーション宛先端末(6)の「6」であることを示している。
【0033】
このような無線通信システムにおいて、例えば、図2(a)に示した状態から電池駆動端末(2)が移動して、図2(b)のように常時給電端末(5)のみと通信可能な状態となったときの動作について、図6を参照して説明する。
【0034】
電池駆動端末(2)が移動し、電池駆動端末(2)は、アプリケーション通信パケットS1をアプリケーション宛先端末(6)に送信する。このアプリケーション通信パケットS1は第1通信パケットに相当する。
【0035】
このアプリケーション通信パケットS1は、送信元情報としての「2」、宛先端末IDとしての「6」、経路情報としての「2−4−6」、アプリケーションシーケンス番号としての「1」を含んでいる。また、アプリケーション通信パケットS1は、アプリケーションデータも含んでいる。ここで、送信元情報は自己の端末識別情報であり、宛先端末IDは宛先端末識別情報であり、アプリケーションシーケンス番号はパケット特定情報である。アプリケーションシーケンス番号は、ある1つのイベントを通知している間は、たとえ経路が変わったとしても変化しない。
【0036】
電池駆動端末(2)が移動して常時給電端末(4)と通信不能となっているために、当該アプリケーション通信パケットS1は常時給電端末(4)には受信されない。しかし、電池駆動端末(2)が移動して、常時給電端末(5)と通信可能であるので、常時給電端末(5)は、アプリケーション通信パケットS1を受信する。この無線通信システムにおいて、アプリケーション通信パケットを受信できた全ての常時給電端末は、パケットを受信したことを無線コントローラ(1)に通知する。
【0037】
常時給電端末(5)は、アプリケーション通信パケットS1を受信した場合、自身が中継ノードに含まれていれば経路情報に従って、アプリケーション通信パケットS1を転送する。一方、自身が中継ノードに含まれていない場合でも、自身が中継ノードに含まれている場合でも、常時給電端末(5)は、アプリケーション通信パケットS1を傍受したことになり、傍受隣接情報(第2通信パケット)S2を無線コントローラ(1)に通知する。この傍受隣接情報S2には、送信元情報としての自身の端末ID「5」、宛先端末IDとしての無線コントローラ(1)のID「1」、経路情報としての自身に記憶している無線コントローラ(1)までの経路「5−4−1」を格納する。更に、傍受隣接情報S2には、傍受したアプリケーション通信パケットに格納されていた送信元IDの「2」、アプリケーションシーケンス番号の「1」を格納する。
【0038】
この傍受隣接情報S2は、常時給電端末(4)によって中継されて、傍受隣接情報S3として無線コントローラ(1)に受信される。無線コントローラ(1)では、アプリケーション通信の送信元IDの電池駆動端末(2)と、傍受隣接情報S3の送信元IDの常時給電端末(5)が隣接しているとして、自身の隣接情報を更新する。さらに、無線コントローラ(1)は、同じアプリケーションシーケンス番号を格納した傍受隣接情報S2を通知しなかった端末と、そのアプリケーション通信の送信元IDの電池駆動端末(2)は隣接していないとして、経路情報を更新する。具体的には、無線コントローラ(1)は、無線コントローラ(1)、電池駆動端末(3)、常時給電端末(4)、アプリケーション宛先端末(6)と電池駆動端末(2)とは隣接していないとして隣接情報を更新する。
【0039】
その後、電池駆動端末(2)は、何らかの手段で、無線コントローラ(1)に対して経路情報の更新を要求する。
【0040】
無線コントローラ(1)は、現時点の隣接情報に従って、アプリケーション宛先端末(6)に通信するためには、「2−5−6」の経路、無線コントローラ(1)に通信するためには「2−5−4−1」の経路を用いる経路情報更新通知S5を出力する。電池駆動端末(2)は、経路情報更新通知S5を受信すると、自己の経路情報を更新して、確認応答S6を無線コントローラ(1)に返信する。
【0041】
その後、電池駆動端末(2)は、アプリケーション宛先端末(6)にアプリケーション通信パケットS7を送信する場合、経路情報を「2−5−6」とする。これにより、常時給電端末(5)は、アプリケーション通信パケットS7を、アプリケーション通信パケットS8としてアプリケーション宛先端末(6)に送信できる。また、アプリケーション宛先端末(6)から無線コントローラ(1)に送信された確認応答S9も、常時給電端末(5)を介して、確認応答S10として電池駆動端末(2)に送信される。
【0042】
以上のように、この無線通信システムによれば、電池駆動端末により送信された通信パケットを常時給電端末が受信した場合に、傍受隣接情報を無線コントローラ(1)に送信する。これにより、無線コントローラ(1)は、傍受隣接情報を用いて、隣接情報及び経路情報を更新できる。
【0043】
このように、無線通信システムは、無線信号を中継して目的とする端末まで送信する場合に、電池駆動端末の移動により隣接情報が変化した場合でも、常時給電端末が移動した電池駆動端末の通信を傍受し、傍受した内容を情報集約端末に送る。これにより、隣接情報の収集を行うシーケンスを新たに実行することなく情報の更新ができ、隣接情報を取得する時における電池駆動端末の電池消費を低減させることができる。
【0044】
すなわち、この無線通信システムによれば、常時給電端末が傍受したアプリケーション通信を元に、常時給電端末の通信のみで無線コントローラ(1)の隣接情報及び電池駆動端末の経路情報を更新できる。これにより、電池駆動端末における通信による電池消費が発生しない。
【0045】
また、この無線通信システムによれば、隣接情報を更新するようなプロトコル情報のための通信量が増えると、アプリケーション通信パケットが阻害されるが、これを抑制できる。
【0046】
[第2実施形態]
つぎに、第2実施形態に係る無線通信システムについて説明する。なお、上述の第1実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0047】
第2実施形態として示す無線通信システムは、簡易端末が、第1通信パケットに、当該簡易端末が電池駆動端末か常時給電端末かの給電状態情報を含める。また、第1通信パケットを傍受した簡易端末は、第1通信パケットの給電状態情報が電池駆動端末である場合にのみ、第2通信パケットを情報集約端末に送信する。
【0048】
具体的には、アプリケーション通信パケットを送信する簡易端末は、当該アプリケーション通信パケットに、自身が電池駆動端末か、常時給電端末かの情報を付加する。そして、当該アプリケーション通信パケットを受信した簡易端末は、送信元の簡易端末が電池駆動端末である場合には、無線コントローラ(1)に傍受隣接情報を送信する。
【0049】
上述した第1実施形態におけるシーケンス例でいうと、図6において、電池駆動端末(2)は、アプリケーション通信パケットS1に自身が電池駆動端末である旨の情報を格納する。そして、常時給電端末(5)は、アプリケーション通信パケットS1を受信すると、電池駆動端末(2)が電池駆動端末であるので、傍受隣接情報を無線コントローラ(1)に送信する。一方、常時給電端末(5)は、常時給電端末(4)からアプリケーション通信パケットを受信しても、当該送信元の常時給電端末(4)が常時給電端末であるので、無線コントローラ(1)に対して傍受隣接情報を送信しない。
【0050】
以上詳細に説明したように、本発明を適用した第2実施形態に係る無線通信システムによれば、移動しないことが仮定される常時給電端末のアプリケーション通信パケットを傍受しても、傍受隣接情報を情報集約端末に送信しない。これにより、システム全体のトラフィックを低減して、システム全体としての消費電力を低減することができる。
【0051】
[第3実施形態]
つぎに、第3実施形態に係る無線通信システムについて説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0052】
第3実施形態としての無線通信システムは、簡易端末として構成された常時給電端末が、自身に隣接する電池駆動端末を示す隣接電池駆動端末情報を有している。簡易端末として構成された常時給電端末は、第1通信パケット(アプリケーション通信パケット)を傍受した場合に、当該第1通信パケットの送信元の電池駆動端末が自身に保有している隣接電池駆動端末情報に含まれているかを判断する。常時給電端末は、受信した第1通信パケットに格納された送信元のIDが隣接電池駆動端末情報に含まれない場合にのみ、第2通信パケット(傍受隣接情報)を情報集約端末に送信する。
【0053】
このような無線通信システムは、上述した図2のように電池駆動端末(2)が移動した場合に、図7に示すように動作する。電池駆動端末(2)は、アプリケーション宛先端末(6)に宛ててアプリケーション通信パケットS11を送信しても、移動したことによってアプリケーション宛先端末(6)には届かない。しかし、このアプリケーション通信パケットS11は、常時給電端末(5)によって傍受される。
【0054】
常時給電端末(5)は、アプリケーション通信パケットS11を受信すると、自己が保有している隣接電池駆動端末情報を参照する。常時給電端末(5)は、隣接電池駆動端末情報に含まれているIDと、アプリケーション通信パケットS11に格納された送信元のIDとを比較する。常時給電端末(5)の隣接電池駆動端末情報には、電池駆動端末(2)のIDが格納されていないので、常時給電端末(5)は、図8(c)のように、隣接電池駆動端末情報に電池駆動端末(2)のIDを追加する。なお、常時給電端末は、自身の隣接電池駆動端末情報に保存されているIDと同じ送信元IDからのアプリケーション通信パケットであれば、何もしない。
【0055】
また、常時給電端末(5)は、電池駆動端末(2)が非隣接端末から隣接端末に変化したため、無線コントローラ(1)に傍受隣接情報S12を通知する。この傍受隣接情報S12には、送信元情報としての自身の端末ID「5」、宛先端末IDとしての無線コントローラ(1)のID「1」、経路情報としての自身に記憶している無線コントローラ(1)までの経路「5−4−1」を格納する。更に、傍受隣接情報S12には、傍受したアプリケーション通信パケットに格納されていた送信元IDの「2」、アプリケーションシーケンス番号の「1」を格納する。傍受隣接情報S12は、常時給電端末(4)によって中継され、傍受隣接情報S13として無線コントローラ(1)に受信される。
【0056】
無線コントローラ(1)は、傍受隣接情報S13を受信する。無線コントローラ(1)は、電池駆動端末(2)からの、アプリケーションシーケンス番号「1」のパケットS11を受信していないので、図8(a)のように、自身に記憶している隣接電池駆動端末情報に格納された電池駆動端末(2)のID「2」を削除する。そして、無線コントローラ(1)は、電池駆動端末(2)の移動前に電池駆動端末(2)と隣接していた常時給電端末(4)に隣接情報更新通知S14を送信する。
【0057】
隣接情報更新通知S14には、「隣接」/「非隣接」の変更内容、変更させる電池駆動端末のID、変更の元となったアプリケーションシーケンス番号を通知する。具体的には、隣接情報更新通知S14には、送信元のIDの「1」、宛先のIDの「4」、経路情報の「1−4」、更新対象端末IDの「2」、隣接/非隣接情報の「非隣接」、アプリケーションシーケンス番号の「1」が格納される。
【0058】
常時給電端末(4)は、隣接情報更新通知S14を受信すると、通知された電池駆動端末のIDと受信したアプリケーションシーケンス番号を確認し、自身が傍受したアプリケーション通信パケットに該当するパケットが無かったか確認する。常時給電端末(4)は、アプリケーション通信パケットを受信していないので、当該更新を受け入れる。これにより、常時給電端末(4)は、図8(b)のように、自己の隣接電池駆動端末情報のうち、電池駆動端末(2)を非隣接に更新する。そして、常時給電端末(4)は、更新受入通知S15を無線コントローラ(1)に送信する。仮に、該当するアプリケーション通信パケットを傍受していた場合は、隣接電池駆動端末情報を更新しない拒否通知を無線コントローラ(1)に通知することとなる。
【0059】
その後の電池駆動端末(2)の経路情報を更新する動作や、電池駆動端末(2)のアプリケーション通信については、上述した図6のメッセージS5〜10と同様に、メッセージS17〜S22を送受信する。
【0060】
以上詳細に説明したように、本発明を適用した第3実施形態に係る無線通信システムによれば、システム構成の更新が必要なときのみ、隣接情報更新のための通信を発生させるので、システム全体における通信負荷を低減できる。
【0061】
[第4実施形態]
つぎに、第4実施形態に係る無線通信システムについて説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0062】
第4実施形態としての無線通信システムは、簡易端末が、自身に隣接する電池駆動端末を示す隣接電池駆動端末情報に加えて、有効時間情報を記憶している。この簡易端末として構成された常時給電端末は、第1通信パケットを傍受してから有効時間情報が示す時間内に再び第1通信パケット(アプリケーション通信パケット)を受信しない場合に、第3通信パケットを情報集約端末に送信する。この第3通信パケットは、自身の端末識別情報と第1通信パケットに含まれた端末識別情報とを含む。情報集約端末は、第3通信パケットに含まれた第1通信パケットの送信元である簡易端末の端末識別情報と、第3通信パケットの送信元である簡易端末の端末識別情報と、第1通信パケットに含まれたパケット特定情報とに基づいて、隣接情報及び経路情報を更新する。
【0063】
このような無線通信システムにおける動作は、図9に示すようになる。
【0064】
電池駆動端末(2)は、図2(a)のような移動前において、アプリケーション通信パケットS31をアプリケーション宛先端末(6)に宛てて送信する。このアプリケーション通信パケットS31には、送信元のIDの「2」、宛先端末IDの「6」、経路情報の「2−4−6」、有効期限情報の「60分」が格納されている。このアプリケーション通信パケットS31は、常時給電端末(4)及び無線コントローラ(1)によって受信される。
【0065】
常時給電端末(4)は、アプリケーション通信パケットS31を受信すると、図10(b)上段のように、隣接電池駆動端末情報に電池駆動端末(2)が隣接していることを記憶する。また、常時給電端末(4)は、隣接電池駆動端末情報に対応付けて、有効期限情報の「60分」を記憶し、タイマにより60分が経過したかの監視を開始する。常時給電端末(4)は、経路情報に従って、アプリケーション通信パケットS32としてアプリケーション宛先端末(6)に転送する。
【0066】
無線コントローラ(1)は、電池駆動端末(2)から送信されたアプリケーション通信パケットS31を傍受する。無線コントローラ(1)は、常時給電端末(4)と同様に、図10(a)上段のように、電池駆動端末(2)が隣接していることと、有効期限情報の「60分」を記憶し、タイマにより60分が経過したかの監視を開始する。
【0067】
その後、電池駆動端末(2)が図2(b)のように移動して、アプリケーション通信パケットS33を送信する。すると、このアプリケーション通信パケットS33は、常時給電端末(4)には受信されず、常時給電端末(5)のみによって受信される。このアプリケーション通信パケットS33は、アプリケーション通信パケットS31と同じ内容のものである。
【0068】
常時給電端末(5)は、アプリケーション通信パケットS33を受信すると、電池駆動端末(2)が非隣接から隣接に変化したため、図10(c)に示すように、隣接電池駆動端末情報を更新する。また、常時給電端末(5)は、無線コントローラ(1)に隣接情報更新通知S34を送信する。この隣接情報更新通知S34には、送信元のIDの「5」、宛先端末IDの「1」、経路情報の「5−4−1」、更新対象端末IDの「2」、隣接/非隣接情報としての「隣接」が格納されている。この隣接情報更新通知S34は、経路情報に従って、常時給電端末(4)から無線コントローラ(1)に転送される。
【0069】
無線コントローラ(1)は、隣接情報更新通知S34を受信すると、電池駆動端末(2)と常時給電端末(5)が隣接であるよう隣接情報を更新する。
【0070】
また、常時給電端末(4)は、電池駆動端末(2)が隣接していることの有効時間が経過したと判断すると、図10(b)のように、電池駆動端末(2)が隣接しているという情報を隣接電池駆動端末情報から削除する。そして、常時給電端末(4)は、隣接電池駆動端末情報を更新したことの隣接情報更新通知S35を無線コントローラ(1)に送信する。この隣接情報更新通知S35には、送信元のIDの「4」、宛先端末IDの「1」、経路情報の「4−1」、更新対象端末IDの「2」、隣接/非隣接情報としての「非隣接」が格納されている。この隣接情報更新通知S35は、第3通信パケットに相当する。
【0071】
無線コントローラ(1)は、隣接情報更新通知S35を受信し、電池駆動端末(2)と常時給電端末(4)とが隣接していないよう隣接情報を更新する。また、無線コントローラ(1)は、電池駆動端末(2)が隣接していることの有効時間が経過したことに応じて、図10(a)のように、自身と電池駆動端末(2)とが隣接していないので隣接電池駆動端末情報を更新する。
【0072】
その後の電池駆動端末(2)の経路情報を更新する動作や、電池駆動端末(2)のアプリケーション通信については、上述した図6のメッセージS5〜10と同様に、メッセージS37〜S41を送受信する。
【0073】
以上詳細に説明したように、本発明を適用した第4実施形態に係る無線通信システムによれば、簡易端末が有効時間情報を送信し、有効時間内に再度通信パケットを受信しない場合に、隣接情報更新通知を行う。これにより、無線コントローラ(1)は、通信がされなくなった端末の情報に基づいて隣接情報を更新することができる。
【0074】
また、この無線通信システムによれば、第3実施形態における無線コントローラ(1)から常時給電端末への隣接情報更新通知S14と、常時給電端末から無線コントローラ(1)への更新受入通知S15又は拒否通知が不要となる。これにより、この無線通信システムによれば、システム内の通信負荷を低減できる。
【0075】
[第5実施形態]
つぎに、第5実施形態に係る無線通信システムについて説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0076】
第5実施形態として示す無線通信システムは、簡易端末として構成された電池駆動端末が、第1通信パケット(アプリケーション通信パケット)の通信が失敗した後の所定時間に亘り通信パケットを受信可能とする。情報集約端末は、隣接情報と経路情報とを更新した後に、第1通信パケットの通信を失敗した簡易端末に、更新された経路情報を送信する。この更新された経路情報は、電池駆動端末によって受信される。簡易端末として構成された電池駆動端末は、新たに経路情報として設定する。
【0077】
このような無線通信システムにおける動作は、図11に示すようになる。
【0078】
電池駆動端末(2)は、図2(a)のような移動前において、アプリケーション通信パケットS51をアプリケーション宛先端末(6)に宛てて送信する。このアプリケーション通信パケットS51には、送信元のIDの「2」、宛先端末IDの「6」、経路情報の「2−4−6」、有効期限情報の「60分」が格納されている。このアプリケーション通信パケットS51は、常時給電端末(4)及び無線コントローラ(1)によって受信される。
【0079】
常時給電端末(4)は、アプリケーション通信パケットS51を受信すると、図10(b)上段のように、隣接電池駆動端末情報に電池駆動端末(2)が隣接していることを記憶する。また、常時給電端末(4)は、隣接電池駆動端末情報に対応付けて、有効期限情報の「60分」を記憶する。常時給電端末(4)は、経路情報に従って、アプリケーション通信パケットS32としてアプリケーション宛先端末(6)に転送する。
【0080】
無線コントローラ(1)は、電池駆動端末(2)から送信されたアプリケーション通信パケットS51を傍受する。無線コントローラ(1)は、常時給電端末(4)と同様に、図10(a)上段のように、電池駆動端末(2)が隣接していることと、有効期限情報の「60分」を記憶する。
【0081】
その後、電池駆動端末(2)が図2(b)のように移動して、アプリケーション通信パケットS53を送信する。すると、このアプリケーション通信パケットS53は、常時給電端末(4)には受信されず、常時給電端末(5)のみによって受信される。このアプリケーション通信パケットS53は、アプリケーション通信パケットS51と同じ内容のものである。
【0082】
このように電池駆動端末(2)は、アプリケーション通信パケットS53の送信に失敗した後であっても、直ぐには通信パケットを受信不能とはせず、失敗した後の所定時間に亘り通信パケットを受信可能とする。この所定期間は、予め設定された時間であり、アプリケーション通信パケットが何れかの端末で受信された結果として無線コントローラ(1)から経路情報更新通知S57が送信されるまでの時間よりも長い時間を設定することが望ましい。
【0083】
常時給電端末(5)は、アプリケーション通信パケットS53を受信すると、電池駆動端末(2)が非隣接から隣接に変化したため、図10(c)に示すように、隣接電池駆動端末情報を更新する。また、常時給電端末(5)は、無線コントローラ(1)に隣接情報更新通知S54を送信する。この隣接情報更新通知S54には、送信元のIDの「5」、宛先端末IDの「1」、経路情報の「5−4−1」、更新対象端末IDの「2」、隣接/非隣接情報としての「隣接」が格納されている。この隣接情報更新通知S54は、経路情報に従って、常時給電端末(4)から無線コントローラ(1)に転送される。
【0084】
無線コントローラ(1)は、隣接情報更新通知S54を受信すると、電池駆動端末(2)と常時給電端末(5)が隣接であるよう隣接情報を更新する。
【0085】
また、常時給電端末(4)は、電池駆動端末(2)が隣接していることの有効時間が経過したと判断すると、図10(b)のように、電池駆動端末(2)が隣接していることの情報を隣接電池駆動端末情報から削除する。そして、常時給電端末(4)は、隣接電池駆動端末情報を更新したことの隣接情報更新通知S55を無線コントローラ(1)に送信する。この隣接情報更新通知S55には、送信元のIDの「4」、宛先端末IDの「1」、経路情報の「4−1」、更新対象端末IDの「2」、隣接/非隣接情報としての「非隣接」が格納されている。この隣接情報更新通知S55は、第3通信パケットに相当する。
【0086】
無線コントローラ(1)は、隣接情報更新通知S55を受信し、電池駆動端末(2)と常時給電端末(4)とが隣接していないよう隣接情報を更新する。また、無線コントローラ(1)は、電池駆動端末(2)が隣接していることの有効時間が経過したことに応じて、図10(a)のように、自身と電池駆動端末(2)とが隣接していないので隣接電池駆動端末情報を更新する。
【0087】
ここで、無線コントローラ(1)は、隣接電池駆動端末情報と経路情報とを更新した後に、アプリケーション通信パケットS53の通信を失敗した電池駆動端末(2)に、更新された経路情報更新通知S57を送信する。この更新された経路情報は、電池駆動端末(2)がアプリケーション通信パケットS53の送信後も通信パケットが受信可能となっているため、電池駆動端末(2)によって受信される。そして、電池駆動端末(2)は、経路情報更新通知S57を受信すると、自己の経路情報を更新して、確認応答S58を無線コントローラ(1)に返信する。
【0088】
その後、電池駆動端末(2)は、アプリケーション宛先端末(6)にアプリケーション通信パケットS59を送信する場合、経路情報を「2−5−6」とする。これにより、常時給電端末(5)は、アプリケーション通信パケットS59を、アプリケーション通信パケットS60としてアプリケーション宛先端末(6)に送信できる。また、アプリケーション宛先端末(6)から無線コントローラ(1)に送信された確認応答S61も、常時給電端末(5)を介して、確認応答S62として電池駆動端末(2)に送信される。
【0089】
以上詳細に説明したように、本発明を適用した第5実施形態に係る無線通信システムによれば、電池駆動端末から無線コントローラ(1)に、経路情報の更新依頼を行う必要がないので、簡易端末への更新が自動的に行える。また、この無線通信システムによれば、ユーザの手間を省けたり、ブロードキャストに対する各端末からの応答を受け取るための仕組みのためのコスト増を抑えることができる。
【0090】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0091】
1 無線コントローラ
2a 窓センサ
2a〜2d 無線端末
2b 煙センサ
2c 人感センサ
2d 電力センサ
3 照明リモコン
4 照明器具
5 ブザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末群が相互に通信を行う無線通信システムであって、
前記端末群が、電池により駆動し、通信不能な電力消費の少ない低電力モードに断続的に切り替わる電池駆動端末と、外部から給電されて駆動し、常に送受信可能な常時給電端末とを含み、
前記電池駆動端末は、自身を特定する端末識別情報と、通信相手となる端末を特定する宛先端末識別情報と、当該宛先端末識別情報で特定される宛先端末への経路情報とを有する簡易端末を構成し、
前記常時給電端末は、前記簡易端末に隣接する端末を示す隣接情報と前記簡易端末の前記宛先端末識別情報とを有する情報集約端末、もしくは、前記簡易端末を構成するものであり、
前記簡易端末は、前記端末識別情報と、前記宛先端末識別情報と、前記経路情報と、通信パケットを特定するパケット特定情報とを含む第1通信パケットを前記宛先端末へ送信し、
前記簡易端末として構成された常時給電端末は、前記第1通信パケットを傍受した場合に、前記情報集約端末に対して前記端末識別情報と前記第1通信パケットに含まれる第1通信パケットを送出した簡易端末の端末識別情報と、前記第1通信パケットに含まれるパケット特定情報とを含む第2通信パケットを送信し、
前記情報集約端末は、前記第1通信パケットの送信元である簡易端末の端末識別情報と、前記第2通信パケットの送信元である簡易端末の端末識別情報と、前記第1通信パケットに含まれていたパケット特定情報とに基づいて、前記隣接情報及び経路情報を更新すること
を特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記簡易端末は、前記第1通信パケットに、当該簡易端末が電池駆動端末か常時給電端末かの給電状態情報を含め、
前記第1通信パケットを傍受した簡易端末は、前記第1通信パケットの給電状態情報が電池駆動端末である場合にのみ、前記第2通信パケットを前記情報集約端末に送信すること
を特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記簡易端末として構成された常時給電端末は、自身に隣接する電池駆動端末を示す隣接電池駆動端末情報を有しており、前記第1通信パケットを傍受した場合に、当該第1通信パケットの送信元の電池駆動端末が自身に保有している隣接電池駆動端末情報に含まれない場合にのみ、前記第2通信パケットを前記情報集約端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記簡易端末は、自身に隣接する電池駆動端末を示す隣接電池駆動端末情報及び有効時間情報を記憶しており、前記第1通信パケットを傍受してから前記有効時間情報が示す時間内に再び第1通信パケットを受信しない場合に、自身の端末識別情報と前記第1通信パケットに含まれた端末識別情報とを含む第3通信パケットを前記情報集約端末に送信し、
前記情報集約端末は、前記第3通信パケットに含まれた前記第1通信パケットの送信元である簡易端末の端末識別情報と、前記第3通信パケットの送信元である簡易端末の端末識別情報と、前記第1通信パケットに含まれたパケット特定情報とに基づいて、前記隣接情報及び経路情報を更新することを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記簡易端末として構成された前記電池駆動端末は、前記第1通信パケットの通信が失敗した後の所定時間に亘り通信パケットを受信可能とし、
前記情報集約端末は、前記隣接情報と前記経路情報とを更新した後に、前記第1通信パケットの通信を失敗した簡易端末に、前記更新された経路情報を送信し、
前記簡易端末として構成された前記電池駆動端末は、前記情報集約端末から送信された経路情報を受信して、新たに経路情報として設定することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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