説明

無線通信システム

【課題】無線通信(移動通信)における周波数設定を高速に行えるようにするための技術を提供する。
【解決手段】端末は、端末カテゴリに関連付けられている、変調方式、上り帯域幅、下り帯域幅、及び最大周波数差のうちの少なくとも1つを端末性能情報として無線基地局に送信する。無線基地局の端末カテゴリ設定部101は、受信された端末性能情報から、その端末性能情報を送信した端末の属する端末カテゴリを特定し、回線設定部87に通知する。回線設定部87は、通知された端末カテゴリに従って、その端末を対象とした回線設定を行うと共に、その端末に送信すべき制御情報を制御信号作成部88に通知することにより、制御信号を作成させて送信させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上りに使用する第1の周波数帯域幅及びその中心周波数、並びに下りに使用する第2の周波数帯域幅及びその中心周波数の両者または一方が可変である端末装置を用いた無線通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信ではより高速な通信速度が要求されるようになっており、例えば携帯電話等の移動通信サービスでは、高速化の要求により、高速広帯域通信方式の検討が進められている。その一つの通信方式としてW−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式が、3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、検討され標準化が進められている。
以下、W−CDMA方式を例として説明する。W−CDMAシステムでは、携帯電話機や自動車電話機などの端末装置(UE:User Equipment)と、端末装置(以後「端末」と略す)と通信を行う基地局(Node B)及び複数の無線基地局(以後「基地局」と略す)を制御する無線制御装置(RNC:Radio Network Controller)で構成される(図5)。
【0003】
上記W−CDMA方式では、FDD(Frequency Division Duplex)またはTDD(Time Division Duplex)を用いより高速な通信速度を広帯域化によって実現させており、FDDモードでは上り/下りリンクに独立の周波数資源を割り当てている。上りリンク(uplink)に使用可能な周波数帯域(上り周波数帯域)、及び下りリンク(downlink)に使用可能な周波数帯域(下り周波数帯域)は法令(電波法等)によって規定されている。例えば、日本においてサービスが提供されている2GHz帯の場合、それらの帯域幅は共に5.0MHz一定であり、上りと下りの帯域の周波数差は190MHzで一定である。このため、W−CDMA方式を採用した無線通信システムでは、上り及び下り周波数帯域のうちの一方を選択すると、周波数差から他方を決定することができる。すなわち、端末には、下り周波数(帯域)を決定し通知すれば良い。
【0004】
図1は、W−CDMAシステムの仕様の一つである非特許文献3で規定されている基地局と端末間で送受信される周波数情報を説明する図である。図1に示すように、FDDモードにおいて、下り周波数情報(図中「UARFCN downlink(Nd)」と表記。UARFCNはUTRA Absolute Radio Frequency Channel Numberの略記である)の移動通信装置への通知は必須(MP)とされ、上り周波数情報(図中「UARFCN uplink(Nu)」と表記)はオプション(OP)とされている。周波数差が一定(固定)でない場合には、上り周波数情報の通知は必須(MP)となる。下り周波数は、無線制御装置が決定し、基地局を介して端末に通知される。
【0005】
上り周波数を示す情報をNu、下り周波数を示す情報をNdと表し、設定範囲が0から16383であることから、これを表現するためには14ビット必要である。よって、14ビットの制御信号として端末に通知される。
【0006】
これらの周波数情報Nu、Ndは、非特許文献1で規定され以下の式で作成される。
Nu=5×(FUL−FUL_offset) (1)
Nd=5×(FDL−FDL_offset) (2)
ここで、FUL、及びFDLはそれぞれ決定された周波数、FUL_offset及びFDL_offsetは図2にて規定されるオフセット周波数を表している。このため、図2は、周波数バンド毎の周波数差を説明する図であり、非特許文献1記載の表に、上り及び下り帯域の中心周波数と上りと下り周波数差の欄を追加したものである。
【0007】
図2に表記の「i」〜「ix」はそれぞれ周波数バンド番号を表している。それにより図2は、周波数バンド毎に、アップリンク(UL:端末(UE)から基地局(Node B)に送信されるリンク)、ダウンリンク(DL:端末に基地局から送信されるリンク)にそれぞれ割り当てられた帯域、及びそれら帯域間の周波数差を示している。
【0008】
上式を用いて、上り周波数が1922.4MHz、下り周波数が2112.4MHzの場合の周波数情報Nu、Nd算出すると以下となる。
【0009】
Nu=5×(FUL−FUL_offset)=5×(1922.4−0)=9612 (3)
Nd=5×(FDL−FDL_offset)=5×(2112.4−0)=10562 (4)
W−CDMA方式では、端末の性能(端末性能)をカテゴリで分けている。ここで端末性能とは、同時通信可能な無線チャネル数など通信を行う上で必須の情報である。この情報を用いて複数のカテゴリに分類することにより、簡易に管理することを目的としている。例えば、図3は非特許文献3に記載されたHSDPA(High-Speed Downlink Packet Access)方式における従来のカテゴリ分けを説明する図、図4は非特許文献3に記載されたHSUPA(High-Speed Uplink Packet Access)方式におけるカテゴリ分けを説明する図である。HSDPA、及びHSUPAは共に、W−CDMAをより高速化させたものである。図3では、カテゴリ毎に、一度に受信可能な最大のHS−DSCH(High-Speed Downlink Shared CHannel)数、間欠受信する最小の伝送時間間隔(Minimum inter-TTI interval)、HS−DSCH送信ブロックの最大ビット数、ソフトチャネルの総ビット数が定められていることを示している。図4では、カテゴリ毎に、一度に送信可能な最大のE−DCH(Enhanced-Dedicated CHannel)数、最小SF(Spreading Factor)、サポートするE−DCHの伝送時間間隔(TTI)(TTIは10、及び2ms)、10msのTTIで送信されるE−DCH送信ブロックの最大ビット数、2msのTTIで送信されるE−DCH送信ブロックの最大ビット数が定められていることを示している。
【0010】
上記のようにカテゴリは、基地局と端末間の通信を適切に行うために必要不可欠な情報である。このため、カテゴリ情報(例えばカテゴリ番号)または端末性能情報は端末から基地局側に通知される。その通知は、送信相手を選択し送信方法を決定するスケジューリングに反映される。
【0011】
最近では、実際に使用する上り周波数帯域幅(以降「上り帯域幅」)と下り周波数帯域幅(以降「下り帯域幅」)は異なるだけでなく、端末性能によっては可変とする通信システムが提案されている。例えば3GPPにおいて仕様化が検討されているE3G(Evolved 3G。S3G(Super 3G)とも称される)システムを挙げることができる。
【0012】
このE3Gシステムにおける、上りと下りの周波数差は、各帯域幅の割り当てや、各帯域の中心周波数に依存して変化する。そのため、従来のW−CDMAシステムとは異なり、下り周波数の選択により上り周波数を自動的に選択できない。即ち、上り周波数、下り周波数の設定を別々に実施しなければならないため、必要な制御情報が多くなって制御がより複雑化し、基地局側は上り周波数、下り周波数の各制御情報を端末に通知しなければならない。
【0013】
上記周波数設定は、伝搬環境やスケジューリング等により通信中でも変更される可能性があるため、周波数設定を高速に行う必要がある。周波数設定を高速に行うためには、送受信する制御情報の数をより少なくする、周波数情報(制御情報)はより少ないビット数で通知する、及び制御をより簡単化する、のうちの少なくとも一方を実現させることが重要と考えられる。従来では、(1)、(2)式により得られる周波数情報Nu、Ndの通知にはそれぞれ14ビット必要であることから、より少ないビット数でそれらの周波数情報Nu、Ndを端末側に通知できるようにすることも重要視すべきと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2005−341432号公報
【特許文献2】特開2000−69544号公報
【特許文献3】特開2000−175254号公報
【特許文献4】特開2006−217173号公報
【特許文献5】特表2004−537875号公報
【特許文献6】特開2006−287754号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】3GPP TS 25.101 V7.4.0(2006−06)
【非特許文献2】3GPP TS 25.306 V6.8.0(2006−06)
【非特許文献3】3GPP TS 25.331 V6.10.0(2006−06)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、無線通信(移動通信)における周波数設定を高速に行えるようにするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1〜第7態様の無線通信システムは共に、無線基地局装置と無線制御装置を備えていることを前提とし、それぞれ以下の手段を具備する。
【0018】
第1の態様の無線通信システムは、上りに使用する第1の周波数帯域幅、及び下りに使用する第2の周波数帯域幅のうちの少なくとも一つを可変する帯域幅可変手段と、無線端末装置(以下「端末」)から送信される、該端末の性能に係わる端末性能情報を受信して抽出する性能情報受信手段と、性能情報受信手段が受信・抽出した端末性能情報に基づいて、端末が属する端末カテゴリを特定するカテゴリ特定手段と、カテゴリ特定手段が特定した端末カテゴリに基づいて、端末との間の回線設定を行うと共に、該回線設定に応じた制御信号を該端末に送信させる回線設定手段と、を具備する。
【0019】
第2の態様の無線通信システムは、上りに使用する第1の周波数帯域幅、及び下りに使用する第2の周波数帯域幅のうちの少なくとも一つを可変する帯域幅可変手段と、端末から送信される、該端末の性能に係わる端末性能情報を受信して抽出する性能情報受信手段と、性能情報受信手段が受信・抽出した端末性能情報に基づいて、端末が属する端末カテゴリを特定するカテゴリ特定手段と、カテゴリ特定手段が特定した端末カテゴリに基づいて、端末のなかで通信対象となる端末を選択するスケジューリングを行うスケジューリング手段と、を具備する。
【0020】
第3の態様の無線通信システムは、上りに使用する第1の周波数帯域幅、及び下りに使用する第2の周波数帯域幅のうちの少なくとも一つを可変する帯域幅可変手段と、端末から送信される、該端末が属する端末カテゴリを示す端末カテゴリ情報を受信して抽出するカテゴリ情報受信手段と、カテゴリ情報受信手段が受信・抽出した端末カテゴリ情報に基づいて、端末との間の回線設定を行うと共に、該回線設定に応じた制御信号を該端末に送信させる回線設定手段と、を具備する。
【0021】
第4の態様の無線通信システムは、端末から送信される、該端末の送信周波数帯域幅または受信周波数帯域幅に係わる端末性能情報を受信して抽出する性能情報受信手段と、性能情報受信手段が受信・抽出した端末性能情報に基づいて、端末が属する端末カテゴリを特定するカテゴリ特定手段と、カテゴリ特定手段が特定した端末カテゴリに基づいて、無線基地局装置と端末との間の回線設定を行うと共に、該回線設定に応じた制御信号を該端末に送信させる回線設定手段と、を具備する。
【0022】
第5の態様の無線通信システムは、端末から送信される、該端末の送信周波数帯域幅または受信周波数帯域幅に係わる端末性能情報を受信して抽出する性能情報受信手段と、性能情報受信手段が受信・抽出した端末性能情報に基づいて、端末が属する端末カテゴリを特定するカテゴリ特定手段と、カテゴリ特定手段が特定した端末カテゴリに基づいて、端末から通信対象となる端末を選択するスケジューリングを行うスケジューリング手段と、を具備する。
【0023】
第6の態様の無線通信システムは、端末から送信される、該端末の送信周波数と受信周波数との差に係わる端末性能情報を受信して抽出する性能情報受信手段と、性能情報受信手段が受信・抽出した端末性能情報に基づいて、端末が属する端末カテゴリを特定するカテゴリ特定手段と、カテゴリ特定手段が特定した端末カテゴリに基づいて、端末から通信対象となる端末を選択するスケジューリングを行うスケジューリング手段と、を具備する。
【0024】
第7の態様の無線通信システムは、端末から送信される、該端末の送信周波数帯域幅または受信周波数帯域幅に基づいて特定された端末カテゴリを示す端末カテゴリ情報を受信して抽出するカテゴリ情報受信手段と、カテゴリ情報受信手段が受信・抽出した端末カテゴリ情報に基づいて、端末との間の回線設定を行うと共に、該回線設定に応じた制御信号を該端末に送信させる回線設定手段と、を具備する。
【0025】
第8の態様の無線通信システムは、上りに使用する第1の周波数帯域幅、及び下りに使用する第2の周波数帯域幅のうちの少なくとも一つが可変の端末に対応していることを前提とし、端末から送信される、該端末の性能に係わる端末性能情報を受信して抽出する性能情報受信手段と、性能情報受信手段が受信・抽出した端末性能情報に基づいて、端末が属する端末カテゴリを特定するカテゴリ特定手段と、カテゴリ特定手段が特定した端末カテゴリに基づいて、端末との間の回線設定を行うと共に、該回線設定に応じた制御信号を該端末に送信させる回線設定手段と、を具備する。
【0026】
本発明では、端末から端末カテゴリと関連付けた端末性能情報、或いはその端末カテゴリを示す端末カテゴリ情報を送信させることにより、無線通信システム側で端末カテゴリを特定し、特定した端末カテゴリに基づいて、端末との間の回線設定を行うと共に、その回線設定に応じた制御信号(情報)をその端末に送信させる。その回線設定(無線通信における周波数設定)は、端末カテゴリと関連付けた1つ以上の設定項目での設定可能範囲を限定させた形で行わせる。そのように限定させることで、周波数設定はより簡易化される。そのため、周波数設定自体、より高速に行えるようになる。これは、スケジューリングの実施に伴う周波数設定を行う場合も同様である。端末性能情報は、上記設定項目のうちの少なくとも一つの内容を示す情報であり、例えば端末が受信可能な周波数帯域幅(送信周波数帯域幅)、及び端末が送信可能な周波数帯域幅(受信周波数帯域幅)の少なくとも一方、或いは端末が送受信可能な周波数の差(送信周波数と受信周波数の差)を採用することができる。
【0027】
本発明では、端末との間の回線設定、或いはスケジューリングの実施による周波数設定を行った場合に、その周波数設定で決定した下り周波数帯域を示す下り周波数、及び上り周波数帯域を示す上り周波数のうちの一方、並びに該下り周波数と該上り周波数の間の周波数差により表現した他方を用いて制御信号(情報)を作成し、端末に送信する。その周波数差を表現するために必要なビット数は、上り周波数や下り周波数の表現に必要なビット数より少なくすることができる。このため、制御信号(情報)をより少ないビット数とすることができる。それにより、周波数設定の高速化もより容易となる。
【0028】
これは、周波数設定により決定した下り周波数帯域を示す下り周波数、及び上り周波数帯域を示す上り周波数のうちの少なくとも一方を、予め基準として定めた基準周波数を示す基準周波数情報、及び該基準周波数と該一方の間の周波数差を用いて制御信号(情報)を作成し端末に送信することで通知する場合、並びに下り周波数、及び上り周波数のうちの少なくとも一方と予め基準として定めた基準周波数の間の周波数差を用いて制御信号(情報)を作成し端末に送信することで通知する場合も同様である。
【発明の効果】
【0029】
本発明では、無線通信(移動通信)における周波数設定を高速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】基地局と端末間で従来、送受信される周波数情報を説明する図である。
【図2】周波数バンド毎の周波数差を説明する図である。
【図3】HSDPA(High-Speed Downlink Packet Access)方式における従来のカテゴリ分けを説明する図である。
【図4】HSUPA(High-Speed Uplink Packet Access)方式における従来のカテゴリ分けを説明する図である。
【図5】第1の実施の形態による無線通信システムの構成を示す図である。
【図6】第1の実施の形態による無線通信システムを利用可能な端末に搭載される無線通信装置の構成図である。
【図7】第1の実施の形態による無線通信システムを利用可能な端末に搭載される無線通信装置の装置設定制御部の構成図である。
【図8】第1の実施の形態による無線通信システムを構成する基地局に搭載される無線通信装置の構成図である。
【図9】第1の実施の形態による無線通信システムを構成する基地局に搭載される無線通信装置の回路設定部の構成図である。
【図10】第1の実施の形態における端末カテゴリに関連付けした端末性能情報を説明する図である。
【図11】第1の実施の形態による無線通信システムを利用可能な端末に搭載される無線通信装置の変形例の構成図である。
【図12】第2の実施の形態による無線通信システムを利用可能な端末に搭載される無線通信装置の構成図である。
【図13】第2の実施の形態による無線通信システムを構成する基地局に搭載される無線通信装置の構成図である。
【図14】第4の実施の形態による無線通信システムを利用可能な端末に搭載される無線通信装置の構成図である。
【図15】第4の実施の形態による無線通信システムを構成する基地局に搭載される無線通信装置の構成図である。
【図16】サブキャリアに対するナンバリング例を示す図である。
【図17】サブキャリアのグループ分けを説明する図である。
【図18】第1の実施の形態における端末カテゴリに関連付けした端末性能情報の変形例を説明する図である。
【図19】使用周波数帯域を移動させる様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図5は、第1の実施の形態による無線通信システムの構成を示す図である。その無線通信システムは、例えばE3Gに対応、つまりOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)に対応の移動通信サービスを実現させるためのものである。図5に示すように、移動端末装置(UE:User Equipment。以降「端末」と略記)52と通信を行う無線基地局(Node B。以降「基地局」と略記)51が複数、配置され、複数の基地局51を無線制御装置(RNC:Radio Network Controller)53により制御するようになっている。
【0032】
図6は、上記端末に搭載された無線通信装置の構成図である。無線通信装置は図6に示すように、アンテナ61、2つの無線部62、及び63、符号化・変調部64、復調・復号部65、端末性能情報を格納した端末性能情報記憶部66、端末情報信号作成部67、制御信号抽出部68、及び装置設定制御部69、を備えている。以降は、端末性能情報にも格納先を明確にするために「66」を付して表記する。
【0033】
送信の対象となる送信データは、符号化・変調部64によって符号化され、変調される。変調によって得られたRF信号が無線部62を介してアンテナ61から送信される。
【0034】
一方、アンテナ61によって受信されたRF信号は、無線部63によって、選択された周波数帯域幅の信号分のみ抽出され、復調・復号部65に送られる。復調・復号部65は、無線部63からのRF信号を復調し、復号し、得られたデータを受信データとして出力する。
【0035】
図7は、上記装置設定制御部の構成図である。図7に示すように、装置制御部69は、変復調方法・符号化復号方法算出部71、送受信周波数算出部72、送受信帯域幅算出部73、復調方法・復号方法設定部74、受信使用周波数設定部75、受信使用帯域幅設定部76、送信使用帯域幅設定部77、送信使用周波数設定部78、及び変調方法・符号化方法設定部79を備えている。
【0036】
図8は、上記基地局に搭載される無線通信装置の構成図である。図8に示すように、通信装置は、アンテナ81、2つの無線部82、及び83、復調・復号部85、符号化・変調部84、端末情報抽出部86、及び制御信号作成部88、を備えている。回線設定部87、及び端末カテゴリ設定部101は、基地局51側(無線通信システム側)に用意されるが、基地局51、及び無線制御装置52の何れに搭載されていても良いものである。本実施の形態による無線通信システムは、図8に示す無線通信装置を用意することで実現される。
【0037】
送信の対象となる送信データは、符号化・変調部85によって符号化され、変調される。変調によって得られたRF信号が無線部83を介してアンテナ81から送信される。
【0038】
一方、アンテナ81によって受信されたRF信号は、無線部83によって、選択された周波数帯域幅毎に抽出され、復調・復号部84に送られる。復調・復号部84は、無線部84からのRF信号を復調し、復号する。それによって得られたデータを受信データとして出力する。
【0039】
図9は、上記回線設定部の構成図である。図9に示すように、その回線設定部87は、変復調方法・符号化復号方法算出部91、送受信周波数算出部92、送受信帯域幅算出部93、復調方法・復号方法設定部94、送信使用周波数設定部95、送信使用帯域幅設定部96、受信使用帯域幅設定部97、受信使用周波数設定部98、及び復調方法・復号方法設定部99を備えている。
【0040】
上記端末52はE3Gに対応の端末カテゴリにより分類されるものである。実際に使用する上り周波数帯域幅(以降「上り帯域幅」)と下り周波数帯域幅(以降「下り帯域幅」)を別々に設定可能である。上り周波数帯域、下り周波数帯域はそれらの帯域幅に依存して変化することから、各帯域幅の情報の他に、帯域毎にその帯域を示す情報が必須となる。結果、各帯域幅が一定の場合と比較して、必要な制御情報は多くなり、制御は複雑化する。本実施の形態では、その制御の複雑化を以下のようにして抑えている。帯域を示す情報として、ここでは便宜的に、その帯域の中心周波数を想定することとする。その情報は、周波数帯域を特定可能であれば別のもの、例えば最小、或いは最大の周波数であっても良い。
【0041】
図10は、本実施の形態における端末カテゴリに関連付けした端末性能情報を説明する図である。
【0042】
本実施の形態では、図10に示すように、端末カテゴリに関連付けて、変調方式、下り帯域幅、上り帯域幅、及びそれら帯域間の最大周波数差を定めている。端末52には、変調方式、上り帯域幅、下り帯域幅、及び最大周波数差のうちの少なくとも一つを端末性能情報66として用意し、その情報66を端末情報信号作成部67により送信データ(端末情報信号)に変換して、予め定めたチャネルを用いて基地局51に送信する。ここでは便宜的に、図10に示す情報を総合端末カテゴリ情報と呼ぶことにする。
【0043】
図10に示すように関連付けた各情報の内容数は、変調方式では2つ、上り/下り帯域幅、及び最大周波数差ではそれぞれ3つである。このため、変調方式の端末性能情報66は1ビットの情報として送信することが可能である。他の情報では、それぞれ2ビットの情報として送信することが可能である。
【0044】
図7に示すように、復調・復号部65は、復調部65a、及び復号部65bを備え、符号化・変調部64は、変調部64a、及び符号化部64bを備えている。端末性能情報66は、装置設定制御部69を構成する各算出部71〜3に送られる。それにより、変復調方法・符号化復号方法算出部71は、端末性能情報66から、復調方法、復号方法を決定し、復調方法・復号方法設定部74を介して復調部65a、及び復号部65bを制御すると共に、変調方法、符号化方法を決定し、変調方法・符号化方法設定部79を介して変調部64a、符号化部64bを制御する。同様に、送受信周波数算出部72は、下り周波数(受信使用周波数(使用する下り周波数帯域の中心周波数))、及び上り周波数(送信使用周波数(使用する上り周波数帯域の中心周波数))を算出する。下り周波数算出結果を基に受信使用周波数設定部75において、受信無線部63内部にあるローカル発振器の発振周波数の設定信号を作成し、受信無線部63を制御する。同様に上り周波数算出結果を基に、送信使用周波数設定部78において、送信無線部62内部にあるローカル発振器の発振周波数の設定信号を作成し、無線部62を制御する。送受信帯域幅算出部73は、制御信号から、下り帯域幅、及び上り帯域幅を算出する。算出した受信帯域幅を基に、受信使用帯域幅設定部76は、受信無線部63内部のフィルタ及び復調部65a内部のフィルタの設定信号を算出し、受信無線部63と復調部65aの制御を行う。更に、復調部内部65a内部のFFTの設定信号を算出し、復調部65aの制御を行う。同様に算出した送信帯域幅を基に、送信使用帯域幅設定部78において、送信無線部62内部のフィルタ及び変調部64a内部のフィルタの設定信号を算出し送信無線部62と変調部64aの制御を行う。更に、変調部64a内部のFFT部の設定信号を算出し、変調部64aの制御を行う。
【0045】
図8に示すように、端末情報信号作成部67を介して基地局51に送信された端末性能情報66は、受信されて復調・復号され、復調・復号部84から受信データとして出力される。端末情報抽出部86は、その受信データ中に存在する端末性能情報66を抽出し、端末カテゴリ設定部101に送る。その設定部101は、例えば図10に示すような総合端末カテゴリ情報を格納した記憶部を備えている。このため、抽出された端末性能情報66を用いて総合端末カテゴリ情報を参照することにより、その端末性能情報66を送信した端末52が属する端末カテゴリを特定し、その結果を回線設定部87に通知する。回線設定部87は、通知された端末カテゴリに従って、その端末52を対象とした回線設定を行うと共に、その端末52に送信すべき制御情報を制御信号作成部88に通知することにより、制御信号を作成させて送信させる。
【0046】
図9に示すように、符号化・変調部85は、変調部85a、及び符号化部85bを備え、復調・復号部84は、復調部84a、及び復号部84bを備えている。回線設定部87は、基本的には図7に示す装置設定制御部69と同様の構成となっている。端末カテゴリ設定部101が特定した端末カテゴリは、回線設定部87を構成する各算出部91〜3に送られる。それにより、変復調方法・符号化復号方法算出部91は、端末カテゴリから、変調方法、符号化方法を決定し、変調方法・符号化方法設定部94を介して符号化部85a、及び変調部85bを制御すると共に、復調方法、復号方法を決定し、復調方法・復号方法設定部99を介して復調部84a、復号部84bを制御する。同様に、送受信周波数算出部92は、下り周波数(受信使用周波数(使用する下り周波数帯域の中心周波数))、及び上り周波数(送信使用周波数(使用する上り周波数帯域の中心周波数))をそれぞれ決定することにより、送信使用周波数設定部95を介して無線部83を制御し、受信使用周波数設定部98を介して無線部82を制御する。送受信帯域幅算出部93は、下り帯域幅、及び上り帯域幅をそれぞれ決定することにより、送信使用帯域幅設定部96を介して無線部93及び変調部85aを制御し、受信使用帯域幅設定部97を介して無線部82及び復調部84aを制御する。
【0047】
各算出部91〜3はそれぞれ、決定した内容を示す情報を制御情報として制御信号作成部88に通知する。それにより、通信に必要な制御情報を端末52に送信する。
【0048】
図7に示すように、基地局51から送信された制御情報は、受信されて復調・復号され、復調・復号部65から受信データとして出力される。制御信号抽出部68は、その受信データ中に存在する制御情報を抽出し、装置設定制御部69に送る。それにより、制御情報を受信した以降、装置設定制御部69は、その制御情報に従って各部を制御する。
【0049】
以上のように本実施の形態では、端末カテゴリに、本来、含まれていない情報を関連付け、関連付けた情報を回線設定に反映させている。関連付ける情報の内容は、端末カテゴリによる分類を逸脱しないものに限定している。このため、端末の管理はより容易化し、その制御はより簡単化される。この結果、回線設定等の周波数設定もより高速に行える。
【0050】
なお、本実施の形態では、端末性能情報66を基地局51に送信しているが、端末性能情報66の代わりに端末カテゴリを通知しても良い。その通知は、例えば図11に示すように、端末性能情報66から端末カテゴリを特定・設定する端末カテゴリ設定部111を用意し、その設定部111に端末情報信号作成部67、及び装置設定制御部69を対応させることで実現できる。
【0051】
ところで、上り/下りの帯域幅の組み合わせは多数、存在する。例えば、上り帯域幅として1.25MHz、2.5MHz、及び5.0MHzを想定し、下り帯域幅として5.0MHz、10MHz、及び20MHzを想定し、システム全体の帯域幅を下り20MHz、上り5MHzと想定した場合2GHz帯では、組み合わせ数は以下のように63通りとなる。
【0052】
4×(4+2+1)+2×(4+2+1)+1×(4+2+1)=9×7=63
日本では、図2に示すように、使用可能周波数帯域が3つある。このため、帯域数を考慮すると、組み合わせ数は189(=63×3)通りとなる。全ての組み合わせを認識できるようにカテゴリ分けを行うと、カテゴリ数が非常に多くなり、その管理も煩雑となり、必要な制御情報の数の増大を招くことになる。これを回避するために、本実施の形態では図10に示すようなカテゴリ分けに抑えている。なお、上記の式における「4」「2」及び「1」はそれぞれ、例えば上り帯域幅では1.25MHzでは4つの位置、2.5MHzでは2つの位置、及び5.0MHzでは1つの位置を取ることが可能なことを意味している。
【0053】
無線技術の一つにMIMOがある。そのMIMOは「Multiple Input Multiple Output」の略称であり、複数のアンテナでデータの送信/受信を行うものである。このことから、端末カテゴリに関連付ける情報として、図18に示すように、MIMOを用いた送信が可能か否かを示すMIMO送信情報、MIMOを用いた受信が可能か否かを示すMIMO受信情報のうちの少なくとも一方をMIMO情報として加えても良い。或いは他の情報の代わりとして加えても良い。
<第2の実施の形態>
移動体通信では、移動体(端末)が異なる基地局がカバーするエリアに移動することがある。そのような移動に対応するためにハンドオーバが実施される。ハンドオーバ実施時には、周波数資源、つまり上り/下り周波数、それらの帯域幅のうちの少なくとも一つの割り当てを変更する場合がある。第2の実施の形態は、そのハンドオーバ実施時における周波数資源の割り当てを変更するために送受信する制御情報のビット数をより抑えるようにしたものである。
【0054】
ハンドオーバ実施時には、端末は既に1つ以上の基地局と通信を行っている。つまり上り/下りの周波数や、それらの帯域幅が既に割り当てられている。第2の実施の形態は、そのことに着目し、制御情報に必要なビット数を削減して、その送信に要する時間をより短縮するようにしたものである。
【0055】
第2の実施の形態における端末、及び基地局の構成は基本的に第1の実施の形態と同じである。このため、第1の実施の形態と同じ、或いは基本的に同じものには第1の実施の形態で付した符号をそのまま用いて、第1の実施の形態から異なる部分にのみ着目する形で説明する。
【0056】
図12は、第2の実施の形態における端末に搭載される無線通信装置の構成図である。図12に示すように、第1の実施の形態における構成に加えて、基地局51毎に受信データから受信電界強度を測定する受信電界強度測定部121、及びその測定部121による測定結果を基地局51側に通知するための受信電界強度情報作成部122を更に備えている。その作成部122により、測定結果が受信電界強度情報として基地局51に送信される。第2の実施の形態による無線端末装置は、端末52に図12に示す無線通信装置を搭載させることによって実現されている。これは後述する他の実施の形態でも同様である。
【0057】
一方、基地局51側は、図13に示すように、第1の実施の形態における構成に加えて、端末52から受信した受信電界強度情報を受信データ中から抽出するための受信電界強度情報抽出部131、及びその抽出部131が抽出した受信電界強度情報によりハンドオーバ実施の必要性を判断するハンドオーバ制御部132を備えている。
【0058】
ハンドオーバ制御部132は、基地局51、或いは無線制御装置53に用意されるものである。端末52から基地局51毎に送信された受信電界強度情報を参照することで、ハンドオーバの必要性を判断し、その判断結果を回線設定部87に通知する。通知を基に受信電界強度が最も大きい基地局51に端末52との通信を行わせる。このことから回線設定部87は、ハンドオーバの必要性が通知された場合に、通信を行うべき端末52との回線設定を行う。その端末52の端末性能情報66を用いて端末カテゴリを特定し回線を設定する。その回線設定の内容が前のものと異なれば、端末52に送信すべき制御情報を制御信号作成部88に送り、制御信号を送信する。
【0059】
その制御信号としては、以下を送信させる。
下り周波数を示す情報をNdとすると、その下り周波数情報Ndは前述の(2)式により作成する。
【0060】
同様に、上り周波数を示す情報をNuとすると、その上り周波数情報Nuは、下り周波数FDL、及び決定された上り周波数FULを用いて次式により作成する。
【0061】
Nu=5×(FDL−FUL) (5)
下り周波数情報Ndは、上述したように14ビット必要である。しかし、上り周波数情報Nuは、図2中、上り/下りの周波数差が最大の490MHzとなる周波数バンド番号ivのUMTS 1.7/2.1の場合でも、
Nu=5×490=2450
となることから、12ビットで表現することができる。このため、上り周波数情報Nuを(2)式により作成する場合と比較して、ビット数を削減することができる。その削減により、回線設定等に伴う周波数設定もより高速に行えるようになる。それらの周波数情報Nu、Ndは、送受信周波数算出部92が算出する。
【0062】
上り/下り周波数情報Nu、Ndは、制御信号として端末52に送信され、制御信号抽出部68によって抽出される。装置設定制御部69は、上り/下り周波数情報Nu、Ndから上り周波数FULを算出し、その算出後に、下り周波数FDLを算出する。それにより、基地局51から送信された制御信号に従った設定を行う。それら周波数FUL、FDLの算出は、図7の送受信周波数算出部72が行う。
【0063】
なお、本実施の形態では、下り周波数情報Ndとして、(5)式により作成される情報を上り周波数情報Nuと共に送信するようにしているが、その逆としても良い。つまり上り周波数情報Nuを(2)式と類似の式を用いて作成し、下り周波数情報Ndを(5)式と類似の式を用いて作成するようにしても良い。また、基地局側が上り/下り周波数のうちの一方を決定して端末52に通知し、端末52が他方を図10に示すような総合端末カテゴリ情報を参照して決定し通知するようにさせても良い。
<第3の実施の形態>
上記第1、及び第2の実施の形態では、上り及び下り周波数のうちの少なくとも一方を直接的に基地局51から端末52に通知するようにしている。これに対し第3の実施の形態は、予め基準として上り及び下り周波数のうちの少なくとも一方を定め、その定めた基準の周波数を用いて上り及び下り周波数を通知するようにして、制御情報(信号)の送信に必要なビット数をより削減するようにしたものである。
【0064】
第3の実施の形態における端末、及び基地局の構成は基本的に第1の実施の形態と同じである。このため、第1の実施の形態と同じ、或いは基本的に同じものには第1の実施の形態で付した符号をそのまま用いて、第1の実施の形態から異なる部分にのみ着目する形で説明する。ここでは、図2に示すように上り/下りの各周波数帯域、及び帯域間の周波数差が定められている場合を例にとって説明する。
【0065】
基地局51側の回線設定部87では、回線使用状況等を考慮して、端末52に割り当てる下り周波数を決定する。この際、予め定められた周波数バンド番号、或いはその中心周波数と、その中心周波数と実際に決定された上り及び下り周波数との間の差のうちの少なくとも一方と、を用いて制御信号を作成する。その中心周波数は基準として用いられるものであることから以降「基準周波数」と呼ぶことにする。
【0066】
1〜9の周波数バンド番号は4ビットで表現可能である。基準周波数と上り周波数との間の差は、最大システム帯域幅として70MHzを想定したとしても、8ビットで表現可能である。これは、例えば基準周波数をfS_DL、決定された下り周波数をfDL、その差を示す下り周波数情報をNdとし、その周波数情報Ndを次式により作成するような場合である。
【0067】
Nd=2×(fS_DL−fDL) (6)
このようなことから、下り周波数を示す制御情報は合計12ビットで表現することができる。このため、その制御情報をより少ないビット数で送信することができる。その結果、周波数設定もより高速に行えることとなる。
【0068】
実際には、UMTS 800(周波数バンド番号vi)を基準にし、877.5MHzを中心周波数とする下り周波数帯域を決定した場合、基準周波数は中心周波数の880MHzとし、877.5MHzとの差分である2.5MHzを用いて制御情報を作成すると、バンド番号が6は“0110”と表現でき、2.5MHzは(6)式より“000000101”となるから、“0110000000101”となる。
【0069】
なお、本実施の形態では、バンド番号+基準周波数の差、により制御情報を作成するようにしているが、その順序は逆としても良い。また、その差は、基準周波数と下り周波数の間の差としているが、基準周波数と上り周波数の間の差としても良い。その差は、周波数情報をNu、上りの基準周波数をfS_UL、決定された上り周波数をfULとすると、例えば
Nu=2×(fS_UL−fUL) (7)
により作成すれば良い。そのような周波数情報Nd、Nuは何れも必要とするビット数をより削減できることから、何れを送信させても良い。基準とする周波数バンドの番号、或いは基準周波数については、記憶装置に予め格納させるようにしても良い。
<第4の実施の形態>
移動体(無線)通信では、送信相手を選択し送信方法を決定するスケジューリングが行われるのが普通である。第4の実施の形態は、そのスケジューリングに対応するようにしたものである。
【0070】
第4の実施の形態における端末、及び基地局の構成は基本的に第1の実施の形態と同じである。このため、上記第2及び第3の実施の形態と同様に、第1の実施の形態と同じ、或いは基本的に同じものには第1の実施の形態で付した符号をそのまま用いて、第1の実施の形態から異なる部分にのみ着目する形で説明する。
【0071】
図14は、第4の実施の形態における端末に搭載される無線通信装置の構成図である。図14に示すように、第1の実施の形態における構成に加えて、基地局51から送信されるパイロット信号の受信により、送信電力及び干渉電力を測定し、SIRを算出してCQI(Channel Quality Indicator)を測定するCQI測定部141、及びその測定結果を基地局51に送信するためのCQI作成部142を更に備えている。その作成部142により、CQIの測定結果がCQI情報として基地局51に送信される。その送信は、HS−DPCCH (Dedicated Physical Control CHannel(uplink) for HS-DSCH)上で行われる。
【0072】
一方、基地局51側は、図15に示すように、第1の実施の形態における構成に加えて、端末52から受信したCQI情報を受信データ中から抽出するためのCQI情報抽出部151、及びその抽出部151が抽出したCQI情報を用いてスケジューリングを行うスケジューラ部152を更に備えている。
【0073】
スケジューラ部152は、CQI情報抽出部151が端末52毎に抽出したCQI情報を参照して、送信対象とする端末52を選択すると共に、変調方式、符号化率、データ長、帯域幅、使用周波数を端末カテゴリから選択する。その端末カテゴリは、端末52から端末情報信号として基地局51側に通知されるか、或いは端末52が送信した端末性能情報66により端末カテゴリ設定部101から通知される。その選択結果を制御信号作成部88に伝達することにより、制御信号として対応する端末52に送信する。そのように端末カテゴリ(端末性能情報66)により端末52を管理するため、第1の実施の形態と同様に、制御は簡易化される。その簡易化により、周波数設定もより高速に行えるようになる。
<第5の実施の形態>
OFDMAでは、周知のように、すべてのサブキャリアを全ユーザ(端末52)が共有し、各ユーザにとって伝送特性のよいサブキャリアを割り当てることにより、周波数利用効率を改善することができる。第5の実施の形態は、サブキャリアに着目して制御情報の作成を行うようにしたものである。
【0074】
第5の実施の形態における端末、及び基地局の構成は基本的に第1の実施の形態と同じである。このため、上記第2〜第4の実施の形態と同様に、第1の実施の形態と同じ、或いは基本的に同じものには第1の実施の形態で付した符号をそのまま用いて、第1の実施の形態から異なる部分にのみ着目する形で説明する。
【0075】
図16は、サブキャリアに対するナンバリング例を示す図である。本実施の形態では、図16に示すように、周波数が低くなる程、小さい数の番号をサブキャリアに割り当てている。周波数が最低のサブキャリアに割り当てる番号は1である。ここでは、基地局51側、及び端末52はサブキャリア番号、その番号が割り当てられたサブキャリアの周波数、及びサブキャリア帯域幅は予め共有していることを前提としている。
【0076】
基地局51側の回線設定部87は、例えば端末52から受信した端末性能情報66により特定される端末カテゴリを用いて総合端末カテゴリ情報(図10)を参照し、割り当てる上り及び下り帯域幅、上り及び下り周波数等、つまりグループを決定する。この際、例えば決定した下り周波数からグループの中心に位置するサブキャリアの番号を特定し、下り帯域幅からサブキャリア数を特定する。サブキャリア番号、及びサブキャリア数の特定は、上り周波数、及び上り帯域幅のときも同様に行われる。そのようにして特定されるサブキャリア番号、及びサブキャリア数を制御情報として制御信号作成部88に通知し送信させる。サブキャリア番号の特定は、送受信周波数算出部92が行い、サブキャリア数の特定は、送受信帯域幅算出部93が行う。
【0077】
一方、端末52の制御信号抽出部68は、基地局51から受信した制御情報(信号)を受信データ中から抽出して装置設定制御部69に通知する。その制御信号中のサブキャリア番号、及びサブキャリア数はそれぞれ送受信周波数算出部72、及び送受信帯域幅算出部73に送られる。それにより、送受信周波数算出部72は、サブキャリア番号に対応する周波数を算出し、送受信帯域幅算出部73は、サブキャリア数に対応する帯域幅を算出する。
【0078】
このようなサブキャリア番号、及びサブキャリア数を制御情報(信号)として採用することにより、サブキャリア単位の資源の割り当てを任意に行うことができる。サブキャリア番号、及びサブキャリア数の表現に必要なビット数は全サブキャリア数に依存する。しかし、サブキャリア番号、及びサブキャリア数により周波数、帯域幅を個別に管理可能なことから、制御は簡単なものとすることができる。それにより、周波数設定もより高速に行えることとなる。
【0079】
なお、本実施の形態では、サブキャリア番号とサブキャリア数の組み合わせを制御信号として送信するようにしているが、別の組み合わせとしても良い。例えばサブキャリア番号の代わりにその周波数を採用しても良い。或いは、第3の実施の形態のように、基準周波数を予め定め、その基準周波数との差を採用しても良い。他には、図17に示すように、複数のサブキャリアをグルーピングし、各グループに固有の番号を割り当て、例えばサブキャリア番号とグループ番号の組み合わせを制御信号として送信するようにしても良い。各グループに割り当てた周波数帯域幅、及びその周波数軸上の位置は普通、固有のものであるから、グループ番号のみを制御信号として送信させても良い。そのグループ番号のみを通知したとしても、グループ毎に周波数帯域幅、及びその位置を特定するための情報を端末52側に用意することにより、端末52はグループ情報から対応する周波数帯域幅、及びその位置を特定することができる。このようなことから、制御信号として採用する情報は各種の変形を行うことができる。その制御信号の送信は、回線設定時に行っても良いが、スケジューリングによって送信する端末が決まった場合に行うようにしても良い。
<第6の実施の形態>
移動体通信では、回線設定時やハンドオーバ時のセル選択、及び待受時の同期は、基地局で使用可能な帯域幅の中心周波数を用いて行う場合がある。この際、基地局から共通パイロット信号を伝送するCPICH(Common Pilot Channel)、同期信号を伝送するSCH(Synchronization CHannel)、待受信号を伝送するPCH(Paging CHannel)、システム情報を伝送するBCH(Broadcast CHannel)、及び端末に対して着信の有無を通知するPICH(Paging Indicator CHannel)には予め定められた周波数(例えばシステム周波数バンドの中心周波数。以降「初期使用周波数」)が用いられる。基地局から端末への送信は予め定められた帯域幅(以降「初期使用帯域幅」)が用いられる。第6の実施の形態は、このことに着目して、制御情報の作成を行うようにしたものである。
【0080】
第6の実施の形態における端末、及び基地局の構成は基本的に第1の実施の形態と同じである。このため、上記第2〜第5の実施の形態と同様に、第1の実施の形態と同じ、或いは基本的に同じものには第1の実施の形態で付した符号をそのまま用いて、第1の実施の形態から異なる部分にのみ着目する形で説明する。
【0081】
上記各信号の送信に用いられる周波数、及び帯域幅は、基地局51から端末52にPCH等を用いて伝送される。その伝送は、例えば第2の実施の形態で説明したような制御信号を作成して行われる。なお、初期使用周波数、及び初期使用帯域幅については、端末側に予め記憶させておいても良い。
【0082】
無線回線を確立した後に周波数帯域を移動させる場合、その移動前に行われる上記信号の送信には周波数バンドの中心周波数が用いられる。第6の実施の形態では、その中心周波数を基準周波数として、第3の実施の形態のように制御信号を作成し送信する。また、使用する帯域幅を示す制御信号を作成して送信する。それにより、制御信号に必要なビット数をより削減できるようにして、周波数設定の高速化をより容易とさせている。図19は、使用周波数帯域を移動させる様子を説明する図である。
【0083】
なお、本実施の形態(第1〜第6の実施の形態)では、基地局51側(無線通信システム側)の回線設定部87、及びスケジューラ部152、並びに端末52の装置設定制御部69は何れも、プログラムを実行するCPU、或いはDSP等によって実現される。既存の無線通信システム、或いは端末の構成によっては、CPU、或いはDSP等に実行させるプログラムの変更により、本発明を適用させることが可能である。このことから、本発明による無線通信システム、或いは端末を実現させるためのプログラムを用意し、そのプログラムをフラッシュメモリ、或いはCD−ROM等の記録媒体に記録して配布するようにしても良い。或いは通信ネットワークを介して配信できるようにしても良い。
【符号の説明】
【0084】
51 無線基地局
52 移動端末装置(UE)
53 無線制御装置
81 アンテナ
82、83 無線部
84 符号化・変調部
85 復調・復号部
86 端末情報抽出部
87 回線設定部
88 制御信号作成部
101 端末カテゴリ設定部
151 CQI情報抽出部
152 スケジューラ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局装置と無線制御装置を備えた無線通信システムにおいて、
上りに使用する第1の周波数帯域幅、及び下りに使用する第2の周波数帯域幅のうちの少なくとも一つを可変する帯域幅可変手段と、
無線端末装置から送信される、該無線端末装置の性能に係わる端末性能情報を受信して抽出する性能情報受信手段と、
前記性能情報受信手段が受信・抽出した端末性能情報に基づいて、前記無線端末装置が属する端末カテゴリを特定するカテゴリ特定手段と、
前記カテゴリ特定手段が特定した端末カテゴリに基づいて、前記無線端末装置との間の回線設定を行うと共に、該回線設定に応じた制御信号を該無線端末装置に送信させる回線設定手段と、
を具備することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
無線基地局装置と無線制御装置を備えた無線通信システムにおいて、
上りに使用する第1の周波数帯域幅、及び下りに使用する第2の周波数帯域幅のうちの少なくとも一つを可変する帯域幅可変手段と、
無線端末装置から送信される、該無線端末装置の性能に係わる端末性能情報を受信して抽出する性能情報受信手段と、
前記性能情報受信手段が受信・抽出した端末性能情報に基づいて、前記無線端末装置が属する端末カテゴリを特定するカテゴリ特定手段と、
前記カテゴリ特定手段が特定した端末カテゴリに基づいて、前記無線端末装置から通信対象となる無線端末装置を選択するスケジューリングを行うスケジューリング手段と、
を具備することを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
無線基地局装置と無線制御装置を備えた無線通信システムにおいて、
上りに使用する第1の周波数帯域幅、及び下りに使用する第2の周波数帯域幅のうちの少なくとも一つを可変する帯域幅可変手段と、
無線端末装置から送信される、該無線端末装置が属する端末カテゴリを示す端末カテゴリ情報を受信して抽出するカテゴリ情報受信手段と、
前記カテゴリ情報受信手段が受信・抽出した端末カテゴリ情報に基づいて、前記無線端末装置との間の回線設定を行うと共に、該回線設定に応じた制御信号を該無線端末装置に送信させる回線設定手段と、
を具備することを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
無線基地局装置と無線制御装置を備えた無線通信システムにおいて、
無線端末装置から送信される、該無線端末装置の送信周波数帯域幅または受信周波数帯域幅に係わる端末性能情報を受信して抽出する性能情報受信手段と、
前記性能情報受信手段が受信・抽出した端末性能情報に基づいて、前記無線端末装置が属する端末カテゴリを特定するカテゴリ特定手段と、
前記カテゴリ特定手段が特定した端末カテゴリに基づいて、前記無線基地局装置と前記無線端末装置との間の回線設定を行うと共に、該回線設定に応じた制御信号を該無線端末装置に送信させる回線設定手段と、
を具備することを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
無線基地局装置と無線制御装置を備えた無線通信システムにおいて、
無線端末装置から送信される、該無線端末装置の送信周波数帯域幅または受信周波数帯域幅に係わる端末性能情報を受信して抽出する性能情報受信手段と、
前記性能情報受信手段が受信・抽出した端末性能情報に基づいて、前記無線端末装置が属する端末カテゴリを特定するカテゴリ特定手段と、
前記カテゴリ特定手段が特定した端末カテゴリに基づいて、前記無線基地局装置と前記無線端末装置から通信対象となる無線端末装置を選択するスケジューリングを行うスケジューリング手段と、
を具備することを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
無線基地局装置と無線制御装置を備えた無線通信システムにおいて、
無線端末装置から送信される、該無線端末装置の送信周波数と受信周波数との差に係わる端末性能情報を受信して抽出する性能情報受信手段と、
前記性能情報受信手段が受信・抽出した端末性能情報に基づいて、前記無線端末装置が属する端末カテゴリを特定するカテゴリ特定手段と、
前記カテゴリ特定手段が特定した端末カテゴリに基づいて、前記無線基地局装置と前記無線端末装置から通信対象となる無線端末装置を選択するスケジューリングを行うスケジューリング手段と、
を具備することを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
無線基地局装置と無線制御装置を備えた無線通信システムにおいて、
無線端末装置から送信される、該無線端末装置の送信周波数帯域幅または受信周波数帯域幅に基づいて特定された端末カテゴリを示す端末カテゴリ情報を受信して抽出するカテゴリ情報受信手段と、
前記カテゴリ情報受信手段が受信・抽出した端末カテゴリ情報に基づいて、前記無線端末装置との間の回線設定を行うと共に、該回線設定に応じた制御信号を該無線端末装置に送信させる回線設定手段と、
を具備することを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
上りに使用する第1の周波数帯域幅、及び下りに使用する第2の周波数帯域幅のうちの少なくとも一つが可変の無線端末装置に対応の無線通信システムにおいて、
前記無線端末装置から送信される、該無線端末装置の性能に係わる端末性能情報を受信して抽出する性能情報受信手段と、
前記性能情報受信手段が受信・抽出した端末性能情報に基づいて、前記無線端末装置が属する端末カテゴリを特定するカテゴリ特定手段と、
前記カテゴリ特定手段が特定した端末カテゴリに基づいて、前記無線端末装置との間の回線設定を行うと共に、該回線設定に応じた制御信号を該無線端末装置に送信させる回線設定手段と、
を具備することを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−90273(P2012−90273A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239338(P2011−239338)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【分割の表示】特願2008−542979(P2008−542979)の分割
【原出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】