説明

無線通信システム

【課題】ホーム基地局装置がマクロ基地局装置によって送信される報知情報に依ることなく、自局の設置位置を基地局制御装置に報告すること。
【解決手段】ホーム基地局装置20において、無線受信部22は、マクロセルのTAを含む信号を通信端末装置10からアンテナ21を介して受信して、位置情報生成部23に出力し、位置情報生成部23は、受信信号からマクロセルのTAを抽出し、マクロセルのTAと自局のTAとを関連付けて自局の位置情報を生成し、この位置情報をインタフェース部24に出力し、インタフェース部24は、位置情報生成部23から出力された位置情報を基地局制御装置30へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマクロ基地局装置(eNB)が形成するマクロセルより通信エリアが小さいフェムトセルの運用が検討されている。例えば、標準化団体3GPP(3rd Generation Partnership Project)で標準化が進められているLTE(Long Term Evolution)/SAE(System Architecture Evolution)システムにおいても、小規模な通信エリアに設置することを想定したホーム基地局装置(HeNB)が検討されている(非特許文献1参照)。ホーム基地局装置は、例えば各家庭に設置され、家族など特定のユーザのみにホーム基地局装置へのアクセスを許可する運用が想定されている。ホーム基地局装置の設置により、1基地局装置あたりの収容端末数が減って通信負荷が低減することができる。また、通信端末装置(UE)とホーム基地局装置との通信距離は、通信端末装置とマクロ基地局装置との通信距離より短いため、通信端末装置の電力消費を低減することができる。
【0003】
通信端末装置は、異なるセル間を移動することができる。これに対し、基地局制御装置(MME)は、通信端末装置がどのセルに在圏しているかは管理せず、トラッキングエリア(TA)と呼ばれる範囲に通信端末装置が属するか否かを管理する。トラッキングエリアは、位置登録エリア、ルーティングエリア、または、ロケーションエリアと呼ばれることもある。例えば通信端末装置宛の着信が発生した場合には、トラッキングエリアに一斉にページングが行われる。通信端末装置は、異なるトラッキングエリアに移動した場合にトラッキングエリアアップデート(TAU)を行い、基地局制御装置は、通信端末装置が属するトラッキングエリアを更新する。
【0004】
トラッキングエリア境界付近においてトラッキングエリアアップデートが頻発することを防ぐために、1通信端末装置に対して通信端末装置周辺の複数のトラッキングエリアを割り当てるマルチトラッキングエリア登録も検討されている。1通信端末装置に対して割り当てられた複数のトラッキングエリアはトラッキングエリアリスト(TAリスト)によって管理される。通信端末装置は、トラッキングエリアリストに含まれないトラッキングエリアに移動した場合にのみ、トラッキングエリアアップデートを行う。
【0005】
ここで、ホーム基地局装置は使用者により有線回線に接続されて設置されることが想定されるため、基地局制御装置は、ホーム基地局装置が無線通信システムのどのエリアに設置されたのかを正確に判断することが難しい。
【0006】
そこで、ホーム基地局装置に対しホーム基地局装置周辺のマクロ基地局装置のトラッキングエリアと異なるトラッキングエリアを割り当てる、または、ホーム基地局装置のトラッキングエリアをマクロ基地局装置のトラッキングエリアが属するトラッキングエリアリストと異なるトラッキングエリアリストに登録する場合、ホーム基地局装置が形成するフェムトセルの通信エリアは小さいため、トラッキングエリアアップデートが頻発することが予想される。
【0007】
一方で、ホーム基地局装置に対しホーム基地局装置周辺のマクロ基地局装置のトラッキングエリアと同一のトラッキングエリアを割り当てる、または、ホーム基地局装置のトラッキングエリアをマクロ基地局装置のトラッキングエリアが属するトラッキングエリアリストに登録するには、ホーム基地局装置は自局の設置位置を認識し、トラッキングエリアを管理する基地局制御装置にその位置を報告する必要がある。そこで、ホーム基地局装置が、ホーム基地局装置周辺のマクロ基地局装置が送信する報知情報を受信し、その報知情報に含まれるマクロ基地局装置の位置情報から自局の設置位置を認識する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2008/136416号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】3GPP TS 24.301 V9.5.0 (2010-12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、マクロ基地局装置が送信する報知情報は、本来、通信端末装置に対するものであるため、ホーム基地局装置がその報知情報を受信するためには、ホーム基地局装置は、マクロ基地局装置−通信端末装置間用のインタフェースと同一のインタフェース、および、通信端末装置の受信機能と同一の受信機能を備える必要があるため、ホーム基地局装置の構成が複雑になるという課題がある。
【0011】
さらに、ホーム基地局装置が地下や屋内など、マクロ基地局装置からの電波が届かない場所に設置された場合には、ホーム基地局装置はそもそもマクロ基地局装置から報知情報を受信することができない。
【0012】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、ホーム基地局装置がマクロ基地局装置によって送信される報知情報に依ることなく、自局の設置位置を基地局制御装置に報告することができる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の無線通信システムは、マクロセルを形成するマクロ基地局装置と、前記マクロセル内において前記マクロセルより小さいフェムトセルを形成するホーム基地局装置と、通信端末装置と、基地局制御装置と、を具備する無線通信システムであって、前記通信端末装置は、前記マクロセルから前記フェムトセルへ移動して前記マクロ基地局装置から前記ホーム基地局装置へ接続先を変更するときに、前記マクロ基地局装置の第1トラッキングエリアを前記ホーム基地局装置へ報告し、前記ホーム基地局装置は、報告された前記第1トラッキングエリアと、前記ホーム基地局装置の第2トラッキングエリアとを関連付けて自局の位置情報として前記基地局制御装置へ報告し、前記基地局制御装置は、前記位置情報により、前記第1トラッキングエリアに前記第2トラッキングエリアが含まれると判断する場合に、トラッキングエリアリスト、または、前記第2トラッキングエリアを更新する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ホーム基地局装置がマクロ基地局装置によって送信される報知情報に依ることなく、自局の設置位置を基地局制御装置に報告することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1に係る無線通信システムを示す図
【図2】本発明の実施の形態1に係る通信端末装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1に係るホーム基地局装置の構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態1に係る基地局制御装置の構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施の形態2に係る無線通信システムを示す図
【図6】本発明の実施の形態3に係る無線通信システムを示す図
【図7】本発明の実施の形態4に係る通信端末装置の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る無線通信システムについて図面を参照しながら説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1(図1A,B)は、本実施の形態に係る無線通信システムを示す図である。
【0018】
図1Aに示すように、eNB#0のトラッキングエリアがTA#0で、eNB#1のトラッキングエリアがTA#1であり、TA#0とTA#1が同一のTAリスト#Aに属するものとする。また、TA#0の一部と重複するエリアにHeNB#2が設置されるものとする。HeNB#2は自局の設置位置を認識できないため、MMEにより新たなTAリスト#Cに属する新たなTA#2が割り当てられる。
【0019】
eNB#0が形成するマクロセルにはUE#00およびUE#01が位置し、eNB#1が形成するマクロセルにはUE#10が位置する。
【0020】
UE#00は、eNB#0のTA#0を含む報知情報をeNB#0から受信する。UE#00は、eNB#0が形成するマクロセルからHeNB#2が形成するフェムトセルへ移動してeNB#0からHeNB#2へ接続先を変更するときに、eNB#0のTA#0をHeNB#2へ報告する。
【0021】
HeNB#2は、UE#00から報告されたTA#0と自局のTAであるTA#2とを関連付けて、自局の位置情報としてTA#0およびTA#2の双方をMMEへ報告する。なお、HeNB#2が自局のTA(TA#2)を事前にMMEと共有できている場合は、HeNB#2がこのタイミングでMMEへ報告するのは、UE#00から報告されたTA#0のみでもよい。
【0022】
次いで、MMEは、HeNB#2の位置情報として、HeNB#2からTA#0およびTA#2の双方が報告されたため、HeNB#2がTA#0のエリア内に設置されたと判断し、図1Bに示すように、TA#0が属するTAリスト#AにTA#2を登録してTAリスト#Aを更新するとともに、TAリスト#CからTA#2を削除してTAリスト#Cを更新する。すなわち、MMEは、HeNB#2からTA#0およびTA#2の双方が報告されたため、TA#0にTA#2が含まれると判断してTAリストを更新する。これにより、HeNB#2のTAは、eNB#0のTAが属するTAリストと同一のTAリストに属することになる。
【0023】
そして、MMEは、更新後のTAリストをeNB#0、eNB#1、および、HeNB#2に通知する。さらに、HeNB#2は更新後のTAリストをUE#00に通知し、eNB#0は更新後のTAリストをUE#01に通知し、eNB#1は更新後のTAリストをUE#10に通知する。
【0024】
このようしてHeNB#2がUE#00からTA#0の報告を受けることにより、HeNB#2は、eNB#0によって送信される報知情報に依ることなく、自局の設置位置をMMEに報告することができる。また、MMEはHeNB#2のTA#2をeNB#0のTA#0が属するTAリスト#Aに含めるため、トラッキングエリアアップデートの頻発を防ぐことができる。
【0025】
次いで、本実施の形態に係る通信端末装置10、ホーム基地局装置20、および、基地局制御装置30の構成について説明する。
【0026】
まず、図2に本実施の形態に係る通信端末装置10の構成を示す。
【0027】
通信端末装置10において、無線受信部12は、アンテナ11を介して、マクロ基地局装置からの信号およびホーム基地局装置20からの信号を受信して、ホーム基地局探索部13、TA抽出部14、および、TAリスト抽出部16に出力する。マクロ基地局装置からの信号には、マクロ基地局装置のTAを含む報知情報が含まれる。また、基地局制御装置30によって生成されるTAリストは、マクロ基地局装置からの信号およびホーム基地局装置20からの信号に含まれる。
【0028】
ホーム基地局探索部13は、通信端末装置10の周辺に存在する、通信端末装置10が接続可能なホーム基地局装置を探索する。すなわち、ホーム基地局探索部13は、マクロ基地局装置からの信号の受信レベルおよびホーム基地局装置20からの信号の受信レベルを測定し、通信端末装置10の移動に伴って、ホーム基地局装置20からの信号の受信レベルがマクロ基地局装置からの信号の受信レベルよりも良好であると判定したときに、通信端末装置10の接続先がマクロ基地局装置からホーム基地局装置20へ変更されると判断し、その旨をTA抽出部14に通知する。このように、ホーム基地局探索部13は、ホーム基地局装置20からの信号の受信レベルを用いてホーム基地局装置の探索を行う。
【0029】
TA抽出部14は、ホーム基地局探索部13からの通知に従って、マクロ基地局装置からの受信信号に含まれる報知情報からマクロ基地局装置のTAを抽出して無線送信部15に出力する。
【0030】
無線送信部15は、TA抽出部14により抽出されたTAを、アンテナ11を介してホーム基地局装置20へ送信する。
【0031】
TAリスト抽出部16は、受信信号からTAリストを抽出してTAリスト記憶部17に出力する。
【0032】
TAリスト記憶部17は、TAリスト抽出部16から出力されたTAリストを記憶する。
【0033】
次いで、図3に本実施の形態に係るホーム基地局装置20の構成を示す。
【0034】
ホーム基地局装置20において、無線受信部22は、マクロ基地局装置のTAを含む信号を通信端末装置10からアンテナ21を介して受信して、位置情報生成部23に出力する。
【0035】
位置情報生成部23は、受信信号からマクロ基地局装置のTAを抽出し、マクロ基地局装置のTAと自局のTAとを関連付けて自局の位置情報を生成し、この位置情報をインタフェース部24に出力する。
【0036】
インタフェース部24は、位置情報生成部23から出力された位置情報を基地局制御装置30へ送信する。また、インタフェース部24は、基地局制御装置30から、基地局制御装置30によって割り当てられたTA、および、基地局制御装置30によって生成されたTAリストを受信してTAリスト記憶部25および無線送信部26に出力する。
【0037】
TAリスト記憶部25は、インタフェース部24から出力されたTAおよびTAリストを記憶する。
【0038】
無線送信部26は、インタフェース部24から出力されたTAおよびTAリストを通信端末装置10へ送信する。
【0039】
次いで、図4に本実施の形態に係る基地局制御装置30の構成を示す。
【0040】
基地局制御装置30において、インタフェース部31は、ホーム基地局装置20から送信された位置情報を受信してTAリスト管理部32に出力する。また、インタフェース部31は、TAリスト管理部32から出力されるTAおよびTAリストをホーム基地局装置20およびマクロ基地局装置へ送信する。
【0041】
TAリスト管理部32は、TAおよびTAリストを記憶しており、上記のように、ホーム基地局装置20から送信された位置情報に基づいてTAリストを更新し、更新後のTAリストをインタフェース部31に出力する。
【0042】
なお、本実施の形態においては、ホーム基地局装置は、通信端末装置から報告される位置情報を、以前に報告された位置情報と異なる場合にのみ、基地局制御装置MMEへ報告してもよい。
【0043】
(実施の形態2)
本実施の形態では、基地局制御装置がTAリストを更新するのではなく、ホーム基地局装置から報告されたTAを更新する点において、実施の形態1と相違する。
【0044】
図5(図5A,B)は、本実施の形態に係る無線通信システムを示す図である。なお、図5Aは図1Aと同一であるため、説明を省略する。以下、図5Bにおいて、図1Bと異なる点についてのみ説明する。
【0045】
MMEは、HeNB#2の位置情報として、HeNB#2からTA#0およびTA#2の双方が報告されたため、HeNB#2がTA#0のエリア内に設置されたと判断し、図5Bに示すように、HeNB#2から報告されたTA#2をTA#0に更新する。すなわち、MMEは、HeNB#2からTA#0およびTA#2の双方が報告されたため、TA#0にTA#2が含まれると判断してTA#2をTA#0に更新する。または、MMEは、TA#2をTA#1に更新してもよい。つまり、MMEは、HeNB#2のTAを、eNB#0のTAが属するTAリストに含まれるいずれかのTAに更新する。これにより、HeNB#2のTAは、eNB#0のTAが属するTAリストと同一のTAリストに属することになる。
【0046】
そして、MMEは、更新後のTAをHeNB#2に通知する。また、HeNB#2は更新後のTAをUE#00に通知する。
【0047】
このようしてHeNB#2がUE#00からTA#0の報告を受けることにより、HeNB#2は、eNB#0によって送信される報知情報に依ることなく、自局の設置位置をMMEに報告することができる。また、MMEはHeNB#2のTAをeNB#0のTAと同一のTAに更新するため、トラッキングエリアアップデートの頻発を防ぐことができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、基地局制御装置30(図4)において、TAリスト管理部32は、TAおよびTAリストを記憶しており、上記のように、ホーム基地局装置20から送信された位置情報に基づいてTAを更新し、更新後のTAをインタフェース部31に出力する。
【0049】
(実施の形態3)
本実施の形態では、更新後のTAリストにおいてTA毎に、ホーム基地局装置のTAであるか否かを示す識別子、すなわち、マクロ基地局装置のTAとホーム基地局装置のTAとを区別する識別子を付与する点において、実施の形態1と相違する。
【0050】
図6は、本実施の形態に係る無線通信システムを示す図である。以下、図6において、図1Bと異なる点についてのみ説明する。
【0051】
MMEは、更新後のTAリストにおいて、さらに、TA毎に、マクロ基地局装置のTAとホーム基地局装置のTAとを区別する識別子を付与する。図6において、TA#0はeNB#0のTA、TA#1はeNB#1のTA、TA#2はHeNB#2のTAであるため、MMEは、TA#0およびTA#1に対し、ホーム基地局装置のTAでないことを示す‘0’を付与する一方で、TA#2に対し、ホーム基地局装置のTAであることを示す‘1’を付与する。
【0052】
そして、MMEは、識別子付与後のTAリストをeNB#0、eNB#1、および、HeNB#2に通知する。さらに、HeNB#2は識別子付与後のTAリストをUE#00に通知し、eNB#0は識別子付与後のTAリストをUE#01に通知し、eNB#1は識別子付与後のTAリストをUE#10に通知する。
【0053】
識別子付与後のTAリストを受信したUE#00は、付与された識別子に基づいてTAリストの各TAがマクロ基地局装置のTAであるか、ホーム基地局装置のTAであるかを判断し、TA#0からTA#2への移動時にはトラッキングエリアアップデートを行う一方で、TA#2からTA#0への移動時にはトラッキングエリアアップデートを行わない。すなわち、UE#00は、マクロ基地局装置のTAからホーム基地局装置のTAへの移動時にはトラッキングエリアアップデートを行い、ホーム基地局装置のTAからマクロ基地局装置のTAへの移動時にはトラッキングエリアアップデートを行わない。よって、UE#00は、HeNB#2を介してMMEに対し、マクロ基地局装置のTAからホーム基地局装置のTAへの移動時にはトラッキングエリアアップデート要求を送信し、ホーム基地局装置のTAからマクロ基地局装置のTAへの移動時にはトラッキングエリアアップデート要求を送信しない。
【0054】
よって、本実施の形態によれば、MMEは、UE#00がHeNB#2が形成するフェムトセルに移動したことを検知することができるため、eNB#0の容量負荷を管理することができる。
【0055】
また、本実施の形態によれば、ホーム基地局装置のTAからマクロ基地局装置のTAへの移動時にはトラッキングエリアアップデートが行われないため、多くの通信端末装置が在圏するマクロセルでのリソースロスを低減することができる。
【0056】
また、本実施の形態では、(1)ホーム基地局装置のTA宛→(2)マクロ基地局装置のTA宛の順にページングを送信することにより、フェムトセルに通信端末装置が在圏している場合にはマクロ基地局装置からのページングを停止できるため、ページング負荷を低減することができる。
【0057】
さらに、本実施の形態によれば、フェムトセルに通信端末装置が在圏しているか否かを判別することができるため、フェムトセルに通信端末装置が在圏していない場合にはホーム基地局装置をスリープさせて電力消費を低減することができる。
【0058】
(実施の形態4)
本実施の形態では、通信端末装置が、マクロ基地局装置のTAとホーム基地局装置のTAとを関連付けて記憶しておく点において、実施の形態1と相違する。
【0059】
図7に本実施の形態に係る通信端末装置40の構成を示す。なお、図7において、図2(実施の形態1)と同一の構成には同一の符合を付し、説明を省略する。
【0060】
図7に示す通信端末装置40において、無線受信部12がマクロ基地局装置から受信する信号には、マクロ基地局装置のTAを含む報知情報が含まれる。また、無線受信部12がホーム基地局装置から受信する信号には、ホーム基地局装置のTAが含まれる。
【0061】
TA抽出部41は、ホーム基地局探索部42からの通知に従って、マクロ基地局装置からの受信信号に含まれる報知情報からマクロ基地局装置のTAを抽出して無線送信部15およびTAリスト記憶部43に出力する。また、TA抽出部41は、ホーム基地局装置からの受信信号に含まれるホーム基地局装置のTAを抽出してTAリスト記憶部43に出力する。さらに、TA抽出部41は、マクロ基地局装置からの受信信号を入力される度に、受信信号に含まれる報知情報からマクロ基地局装置のTAを抽出してホーム基地局探索部42に出力する。
【0062】
TAリスト記憶部43は、実施の形態1同様、TAリスト抽出部41から出力されたTAリストを記憶する。また、TAリスト記憶部43は、マクロ基地局装置のTAとホーム基地局装置のTAとを関連付けて記憶する。
【0063】
ホーム基地局探索部42は、TAリスト記憶部43を参照し、ホーム基地局装置のTAと関連付けられたマクロ基地局装置のTAと、TA抽出部41から入力されたマクロ基地局装置のTAとを比較して、ホーム基地局装置の探索を行うか否かを決定する。
【0064】
すなわち、ホーム基地局探索部42は、TA抽出部41から入力されたマクロ基地局装置のTAが、TAリスト記憶部43においてホーム基地局装置のTAと関連付けられている場合は、通信端末装置40が在圏しているマクロセル内にホーム基地局装置が存在すると判断し、ホーム基地局装置の探索を行う。一方で、ホーム基地局探索部42は、TA抽出部41から入力されたマクロ基地局装置のTAが、TAリスト記憶部43においてホーム基地局装置のTAと関連付けられていない場合は、通信端末装置40が在圏しているマクロセル内にホーム基地局装置が存在しないと判断し、ホーム基地局装置の探索を停止する。つまり、ホーム基地局探索部42は、報知情報に含まれるTAがホーム基地局装置のTAと関連付けられているか否かに応じて、ホーム基地局装置の探索を行うか否かを決定する。
【0065】
例えば、上記図1Aにおいて、UE#00が本実施の形態に係る通信端末装置40であり、UE#00がeNB#0が形成するマクロセルに位置する場合、TAリスト記憶部43には、eNB#0のTA#0とHeNB#2のTA#2とが関連付けられて記憶される。そして、UE#00がeNB#1が形成するマクロセルに移動した場合には、TA抽出部41によりeNB#1のTA#1が抽出されてホーム基地局探索部42に入力される。TA#1はTAリスト記憶部43においてホーム基地局装置のTA#2と関連付けられていないため、この場合にはホーム基地局探索部42はホーム基地局装置の探索を停止する。
【0066】
このように、本実施の形態によれば、通信端末装置は、ホーム基地局装置が存在しないマクロセルに在圏しているとき、ホーム基地局装置の探索を停止することができるため、通信端末装置の消費電力を低減することができる。
【0067】
なお、通信端末装置は、ホーム基地局装置が存在しないマクロセルに在圏しているとき、ホーム基地局装置の探索の優先度を下げてもよい。
【0068】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0069】
なお、上記位置情報には、通信端末装置が直前に在圏したセルのPCI(Physical Cell ID)、通信端末装置が直前に在圏したセルの周辺セル情報、または、通信端末装置が直前に在圏したセルおよび周辺セルの受信電力、を含めてもよい。
【0070】
また、本発明は、LTE/SAEシステム以外の無線通信システムにも上記同様にして適用可能である。
【0071】
また、本発明は、ホーム基地局装置を新たに設置する場合に限らず、フェムト基地局装置またはマクロ基地局装置を新たに設置する場合においても上記同様にして実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、ホーム基地局装置の設置位置を管理する無線通信システム等に好適である。
【符号の説明】
【0073】
10 通信端末装置
20 ホーム基地局装置
23 位置情報生成部
24 インタフェース部
30 基地局制御装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マクロセルを形成するマクロ基地局装置と、前記マクロセル内において前記マクロセルより小さいフェムトセルを形成するホーム基地局装置と、通信端末装置と、基地局制御装置と、を具備する無線通信システムであって、
前記通信端末装置は、
前記マクロセルから前記フェムトセルへ移動して前記マクロ基地局装置から前記ホーム基地局装置へ接続先を変更するときに、前記マクロ基地局装置の第1トラッキングエリアを前記ホーム基地局装置へ報告し、
前記ホーム基地局装置は、
報告された前記第1トラッキングエリアと、前記ホーム基地局装置の第2トラッキングエリアとを関連付けて自局の位置情報として前記基地局制御装置へ報告し、
前記基地局制御装置は、
前記位置情報により、前記第1トラッキングエリアに前記第2トラッキングエリアが含まれると判断する場合に、トラッキングエリアリスト、または、前記第2トラッキングエリアを更新する、
無線通信システム。
【請求項2】
前記基地局制御装置は、
前記第1トラッキングエリアが属するトラッキングエリアリストに前記第2トラッキングエリアを登録してトラッキングエリアリストを更新する、
請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記基地局制御装置は、更新後のトラッキングエリアリストに、マクロ基地局装置のトラッキングエリアとホーム基地局装置のトラッキングエリアとを区別する識別子を付与する、
請求項2記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記基地局制御装置は、
前記第2トラッキングエリアを前記第1トラッキングエリアに更新する、
請求項1記載の無線通信システム。
【請求項5】
マクロ基地局装置が形成するマクロセル内において前記マクロセルより小さいフェムトセルを形成するホーム基地局装置であって、
通信端末装置から報告された前記マクロ基地局装置の第1トラッキングエリアと、自局の第2トラッキングエリアとを関連付けて自局の位置情報を生成する生成手段と、
前記位置情報を基地局制御装置へ送信するインタフェース手段と、
を具備するホーム基地局装置。
【請求項6】
マクロセルを形成するマクロ基地局装置の第1トラッキングエリアと、前記マクロセル内において前記マクロセルより小さいフェムトセルを形成するホーム基地局装置の第2トラッキングエリアとを関連付けて記憶する記憶手段と、
報知情報に含まれるトラッキングエリアが前記記憶手段において前記第2トラッキングエリアと関連付けられているか否かに応じて、前記ホーム基地局装置の探索を行うか否かを決定する探索手段と、
を具備する通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−9028(P2013−9028A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138361(P2011−138361)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】