説明

無線通信基地局システムおよび無線通信端末

【課題】無線品質の変化に応じてメッセージ送信回数を自動的に判断し送信する手段を提供する。
【解決手段】基地局に、端末との間の無線品質を測定する無線品質測定部と、無線品質に応じてメッセージを複数回送信する機能を有するメッセージ送受信部を持つ。メッセージ送受信部は、無線品質測定部にて測定されたデータを用いて無線品質を分析し、メッセージの送信回数を算出する。また、メッセージを複数回送信する際、メッセージに付与するヘッダ内のシーケンス番号を同一にして送信する。無線品質測定部は、端末と基地局間の電波の品質そのものまたは電波の品質を判断するのに必要なデータを測定し、そのデータをメッセージ送受信部に伝える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信基地局システムおよび無線通信端末にかかり、特にシグナリングメッセージの送信に係る無線通信基地局システムおよび無線通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話システムにおける無線通信基地局(以下、基地局と記載)と無線通信端末(以下、端末と記載)とで通信するメッセージには、音声やデータ通信のトラフィックデータと、呼を制御するためのシグナリングメッセージの2種類がある。これらのメッセージは、携帯電話システムに於いて重要な役割を担っており、メッセージの欠落が発生すると、サービスに影響を与えてしまう。従って、携帯電話システムでは、メッセージの欠落を防ぐための手段を講じている。cdma2000 1xEVDOシステムおいては、トラフィックデータは、無線状態に応じて変調方式を変更する適応変調符号化(AMC:Adaptive Modulation and Coding)を採用している。
【0003】
AMCとは、無線状態の良い環境では高い変調方式を用い高いデータレートを提供し、無線状態の悪い環境では確実にデータが届くように低い変調方式を用いることにより、高い通信速度を実現する機能である。
【0004】
また、シグナリングメッセージは、メッセージの順序性を保証するSLP(Signaling Link Protocol)というプロトコルと、併せて一律固定回数送信する機能を採用している。具体的にSLPとは、各メッセージに付与するメッセージにシーケンス番号を付与し、受信側で期待しているシーケンス番号よりも古い番号であれば、古いメッセージとみなして、そのメッセージを破棄することとなっている。SLPは、順序性は保証するがメッセージ欠落に対する保証まではしていない。これらの通信プロトコルについては、非特許文献1で規定されている。
【0005】
また、無線関連における高信頼性を目的とした通信方法としては、ARQ(Automatic Repeat reQuest)やHARQ(Hybrid ARQ)があり、上記シグナリングメッセージもHARQを用いて、一律固定回数だけ同じメッセージを送信することは行っている。
【0006】
ARQとは、送信するデータをさらに小さなブロックに分割して送受信し、受信側で通信途中にエラーが発生した場合、エラーとなったブロックだけを自動的に再送信させることによるエラー訂正方式である。また、HARQは、ARQと同様にエラーとなったブロックを自動的に再送信させるが、エラーとなったブロック自身は破棄せず、再送データをソフト合成することによって、再送時の受信成功率を高める方法である。
【0007】
1つのMACレイヤのパケット(以後、MACパケットと呼ぶ)に複数のシグナリングメッセージを載せることも可能である。このように複数のメッセージを1つのパケットに載せることを、メッセージをバンドルするという。
【0008】
【非特許文献1】3GPP2 C.S0024-A Version 3.0(2.6 Signaling Link Protocol(2-12〜2-21))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
基地局と端末の間のように無線区間における通信の信頼性は、その区間の電波の品質に大きく左右される。よって、背景技術のシグナリングメッセージのように一律固定回数だけメッセージを送信していても、無線品質が悪い環境下では、メッセージが欠落する確率が相対的に高いことには変わりない。
【0010】
だからと言って、通信の信頼性を高めるために、新たなメッセージの追加やシーケンスの変更を行いたいと考えても、基地局と端末間の通信プロトコルについては、標準で決められており、安易には変更出来ない。また、無線リソースは有限であるため、一律の送信回数を増やすにも限度がある。
【0011】
本発明は、無線品質の変化に応じてメッセージ送信回数を自動的に判断し送信する無線通信基地局システムおよび無線通信端末を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題は、無線通信端末を収容し、無線通信基地局と、基地局制御装置とで構成され、無線通信基地局は、無線通信端末との間の無線品質を測定する無線品質測定部を備え、基地局制御装置は、無線通信端末宛のメッセージを送信するメッセージ送信部と、無線品質測定部の測定結果を保持するメモリとを備え、メッセージ送信部は、メモリを参照して、測定結果に応じた回数だけ同じシグナリングメッセージを送信する無線通信基地局システムにより、解決できる。
【0013】
また、無線基地局と接続され、無線基地局との間の無線品質を測定する無線品質測定部と、無線基地局宛のメッセージを送信するメッセージ送信部と、無線品質測定部の測定結果を保持するメモリとを備え、メッセージ送信部は、メモリを参照して、測定結果に応じた回数だけ同じシグナリングメッセージを送信する無線通信端末により、解決できる。
【発明の効果】
【0014】
無線品質の変化に応じて送信する回数を決め、複数回メッセージを送信することにより必要最小限の通信量でメッセージが欠落する確率を低くすることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に付いて、実施例を用い図面を参照しながら説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰りかえさない。
【0016】
まず、図1を参照して、無線通信システムの構成を説明する。ここで、図1は無線通信システムのブロック図である。図1において、無線通信システム200は、端末10と、端末10と通信する基地局20(Base Station)と、基地局20の動作を管理、制御するBSC30(Base Station Controller、基地局制御装置)、インターネット50へ接続するためのパケットを中継するPDSN40(Packet Data Serving Node、パケットデータ中継装置)から構成される。
【0017】
利用者は、端末10を操作することにより、基地局20、BSC30、PDSN40を介してインターネット50に接続し、様々なデータの送受信が可能である。
【0018】
図2を参照して、基地局およびBSCの内部構成を説明する。ここで、図2は基地局およびBSCの要部ブロック図である。図2において、基地局20は、無線信号を送受信するアンテナ21と、端末との間の無線の品質を測定する無線品質測定部22から構成される。BSC30は、基地局20にて測定した無線品質のデータを格納するメモリ31、メッセージの送信回数を算出およびメッセージの送信時に使用するCPU32、端末へのメッセージを送信を制御するメッセージ送受信部33から構成される。無線品質測定部22は、端末10との間の無線信号の品質を測定する。BSC30は、無線品質測定部22の測定結果を保持するメモリ31を参照して、メッセージ送受信部33から基地局20を経由してメッセージを送信する。なお、本明細書において、基地局20およびBSC30とを併せて無線通信基地局システムと呼ぶ。
【0019】
図3を参照して、端末からメッセージを送信する場合の端末の内部構成を説明する。ここで、図3は端末の要部ブロック図である。図3において、無線端末10は、無線信号を送受信するアンテナ15と、端末へのメッセージを送信を制御するメッセージ送受信部11、基地局20との間の無線の品質を測定する無線品質測定部12と、メッセージの送信回数を算出およびメッセージの送信時に使用するCPU13、無線品質測定部12にて測定した無線品質のデータを格納するメモリ14から構成される。なお、基地局20の無線品質測定部22と端末10の無線品質測定部12における無線品質の測定方法は、異なっても構わない。
【0020】
次に送信されるメッセージのパケット構成について説明する。図4を参照して、MAC(Media Access Control)パケットの構成を説明する。ここで、図4はMACパケットのフォーマットである。図4において、MACパケット70は、MACペイロード110と、MACヘッダ111から構成される。MACペイロード110には、図5で説明するStream Layerパケット105が載る。
【0021】
図5を参照して、Stream Layerパケットの構成を説明する。ここで、図5はStream Layerパケットのフォーマットである。図5において、Stream Layerパケット105は、シグナリングメッセージを載せるメッセージ部60と、各プロトコル用のヘッダである、SNP(Signaling Network Protocol)ヘッダ61、SLP−D(SLP delivery layer)ヘッダ62、SLP−F(SLP fragmentation layer)ヘッダ63、Stream Layerヘッダ64から構成される。
【0022】
図6を参照して、SLP−Dヘッダの詳細な構成を説明する。ここで、図6はSLP−Dヘッダのフォーマットである。図6において、SLP−Dヘッダ62は、FullHeaderIncluded84、AckSequenceValid83、AckSequenceNumber82、SequenceValid81、SequenceNumber(以下シーケンス番号と呼ぶ)80の要素から構成される。
【0023】
通常SLPにおける通信の際には、メッセージを送信する毎に、このSLP−Dヘッダ62内のシーケンス番号80をインクリメントする。受信側では、受信したメッセージのシーケンス番号80が期待している番号よりも古い番号であれば、古いメッセージとみなして、そのメッセージを破棄する。よって、シーケンス番号80が同一番号であるメッセージを複数送信するように変更しても、受信側の処理に変更は不要である。
【0024】
以上、cdma2000 1xEVDOシステムにおけるシグナリングメッセージ(Control Channelのメッセージ)のSLP−Dヘッダ62内シーケンス番号80を用いて、複数回のメッセージ送信する実施例を説明した。しかし、適用は、cdma2000 1xEVDOシステムには限らない。メッセージに付与するヘッダ内にメッセージを順序を表すシーケンス番号を有し、かつメッセージ受信側で同一のシーケンス番号のメッセージは破棄する機能を有するものであれば実現可能である。
【0025】
図7を参照して、メッセージ送信時のフローを説明する。ここで、図7はメッセージの送信処理のフローチャートである。ここでは、BSC30、基地局20側から端末10にメッセージを送信するケースを説明する。ただし、端末10から基地局20、BSC30へメッセージを送信するケースでも構わない。
【0026】
図7において、初めに、メッセージ送受信部33は、送信するために必要なヘッダ(SNPヘッダ61、SLP−Dヘッダ62、SLP−Fヘッダ63、Stream Layerヘッダ64)をメッセージ60に付与する(S100)。その後、メッセージ送受信部33は、測定した端末10との間の無線品質に関するデータをメモリ31より取得する(S101)。ここで、無線の品質データとは、無線品質を数値的に表したものを意図している。しかし、無線の品質を直に表す値でなくても、無線品質を算出出来るデータであっても構わない。一例は、RTD(Round Trip Delay、メッセージの遅延時間)または送信タイムアウトによるメッセージ送信のリトライ回数等である。また、無線品質に関するデータは、定期的または必要に応じて無線品質測定部22からメモリ31に格納されるものとする。次に、メッセージ送受信部33は、品質のデータを分析し、メッセージの送信を繰り返す回数を算出する(S102)。算出した回数分メッセージの送信を繰り返す(S103〜S105)。この時、それぞれのメッセージを、別々のMACパケット70にて送信し、バンドルして送信しない。
これらの手順を踏むことにより、無線品質が悪い場合にメッセージの送信回数を多くすることで、メッセージが欠落する確率を減少させることが出来る。
【0027】
図8を参照して、メッセージ送信時の手順を説明する。ここで、図8はBSCと端末間のシーケンス図である。なお、ここでは、BSC30から端末10にメッセージを送信するケースでのBSC30と端末10の動作を説明する。
【0028】
図8において、初めに、BSC30は、メッセージ60にヘッダ付与を付与する(S111)。BSC30は、無線品質に関するデータを取得する(S112)。BSC30は、メッセージ送信回数の算出を行なう(S113)。
【0029】
次に、BSC30は、ステップ112にて算出した回数分、同一メッセージを連続して送信する(S114−1〜S114−3)。この連続送信の間は、端末10からの応答は待たない。なお、ここでは送信回数を3回としているが、3回とは限らない。
【0030】
次に、端末10の受信動作について説明する。ここでは1回目のメッセージ送信(S114−1)が端末10に届かず、2回目および3回目のメッセージ送信(S114−2、S114−3)は端末10に届いたとする。端末10は、2回目のメッセージ送信(S114−2)を受信した際、このメッセージについては、最初の受信となるので、受信は成功となる(S116)。次に、端末10が3回目のメッセージ送信(S114−3)を受信すると、同一シーケンス番号のメッセージは既に受信しているので、端末10は、3回目に送信されたメッセージは破棄する(S117)。これらの処理により、複数回メッセージを送信された場合でも、端末10は、メッセージを正しく受信できる。
【0031】
図9を参照して、無線品質によるメッセージ送信回数の設定を説明する。ここで、図9は無線品質の時間的変化とそれに伴う送信回数の設定を説明するグラフである。図9において、縦軸は、無線の品質を表し、上に行く(値が小さくなる)ほど無線の品質が良好、下に行く(値が大きくなる)ほど無線の品質が劣悪であることを示す。横軸は、右に行くほど時間が経過することを表す。品質の評価基準として閾値(RTD=100ms、RTD=200ms)を設ける。この2値は、「無線の品質が劣悪<RTD=200ms<RTD=100ms<無線の品質が良好」という関係である。
【0032】
この時、メッセージの送信回数を次のように規定する。すなわち、「RTD>200ms」は3回、「100ms<RTD≦200ms」は2回、「RTD≦100ms」は1回とする。
【0033】
図9の曲線のように、無線の品質が推移すると、t0からt1までは1回メッセージを送信し、t1からt2の区間は、無線の品質が悪くなり、2回メッセージを送信する。t2からt3までは、無線の品質がさらに悪くなり、3回となる。その後は、無線品質が改善しt3からt4までの期間は、2回に減少し、t4以降はまた品質が悪くなったので、3回とする。無線品質を評価するための閾値を設け、実際の無線品質のデータ値がその閾値を越えた時に、メッセージの送信回数を変えていくことで、無線品質に応じた最適なメッセージ送信回数を算出することが出来る。ここでは、閾値を2値設けたが、2値だけには限らない。
【0034】
このように、無線品質に応じてメッセージ送信回数を変化させることで、無線品質が悪い状態では送信回数を増やし、無線品質が良い状態の時には送信回数を減らし、メッセージの欠落する確率を効率的に減少させることが出来る
上述した実施例では、無線品質に応じてメッセージの送信回数のみを最適化するとしているが、併せて複数メッセージのバンドルの最適化も実施しても良い。無線品質が良い場合には、複数のメッセージを1つのパケットに載せて送信することで、無線リソースの効率化を実現出来る。
【0035】
図10を参照して、複数のメッセージをバンドルした場合のMACパケットの構成を説明する。ここで、図10は他のMACペイロードのフォーマットである。図10において、MACペイロード110Aは、バンドルした場合、図4で説明したStream Layerパケット105が複数載る構成となる。
【0036】
図11を参照して、バンドルも含めた場合の端末の送信処理を説明する。ここで、図11はメッセージ送受信部11の送信処理のフローチャートである。なお、BSC30から端末10へメッセージを送信するフローチャートも同様である。
【0037】
メッセージ送信処理開始後、初めにメッセージ送受信部11は、送信するために必要なヘッダ(SNPヘッダ61、SLP−Dヘッダ62、SLP−Fヘッダ63、Stream Layerヘッダ64)をメッセージ60に付与する(S121)。その後、メッセージ送受信部11は、測定した基地局20との間の無線品質に関するデータをメモリ14より取得する(S122)。ここで、無線の品質データとは総搬送波電力対雑音電力比(C/I)のように無線品質を数値的に表したものを意図している。しかし、無線の品質を直に表す値でなくても、無線品質を算出出来るデータであっても構わない。また、無線品質に関するデータは、定期的または必要に応じて無線品質測定部12からメモリ14に格納されるものとする。
【0038】
その後、メッセージ送受信部11は、無線の品質をチェックしてその結果によって処理を分割する(S123)。ステップ123において、無線の品質が悪い場合(NO)、メッセージ送受信部11は、メッセージを複数回送信する処理を実行する。ステップ123において、無線の品質が良好な場合(YES)、メッセージ送受信部11は、バンドルする処理を実行する。
【0039】
メッセージを複数回送信する処理の場合、メッセージ送受信部11は、品質のデータを分析し、メッセージの送信を繰り返す回数を算出する(S124)。メッセージ送受信部11は、算出した回数分メッセージの送信を繰り返す(S126〜S128)。この時、メッセージ送受信部11は、それぞれのメッセージを、別々のMACパケットにて送信し、バンドルして送信しない。
【0040】
バンドルする処理の場合、メッセージ送受信部11は、まず初めにメッセージ送受信部11内のバッファ(メッセージ送信用バッファ)に送信するメッセージ(StreamLayerパケット105)を格納するだけの空き容量があるかを確認する(S129)。これは、バンドルして送信しようとしてバッファ内に格納されたままとなっているメッセージ(StreamLayerパケット105)があった場合に、新たに送信しようとしているメッセージ(StreamLayerパケット105)を追加しても、MACペイロード110の最大サイズを超えないかを確認するものである。
【0041】
ステップ129にて、格納するだけの領域があれば(YES)、メッセージ送受信部11は、そのままメッセージをバッファに格納する(S131)。次に、メッセージ送受信部11は、送信待ちのメッセージがまだあるかをチェックする(S132)。送信待ちのメッセージがあれば(YES)、バンドル出来る可能性があるので、バッファにメッセージを格納したまま、ステップ121に遷移する。ステップ132で、送信待ちのメッセージが無ければ(NO)、現在バッファに格納されているメッセージを送信して(S133)、終了する。
【0042】
ステップ129で、MACペイロード110の最大サイズを超えてしまう(バッファに格納出来ない)場合(NO)、メッセージ送受信部11は、現在バッファに格納されているメッセージを送信する(S130)。その後、格納出来なかったメッセージをバッファに格納する(S131)。
【0043】
これらの手順を踏むことにより、無線品質が悪い場合にメッセージの送信回数を多くし、無線品質が良好な場合には、メッセージをバンドルさせることにより、メッセージが欠落する確率を減少させ、しかも無線リソースを効率的に使用できる。
【0044】
図12を参照して、無線品質の変化によるメッセージ送信回数およびバンドルの変化を説明する。ここで、図12は無線品質の時間的変化とそれに伴う送信回数とバンドルの設定を説明するグラフである。
【0045】
図12において、縦軸は無線の品質を表し、上に行く(値が小さくなる)ほど無線の品質が良好、下に行く(値が大きくなる)ほど無線の品質が劣悪であることを示す。横軸は、右に行くほど時間が経過することを表す。品質の評価基準として閾値(RTD=100ms、RTD=200ms、RTD=300ms)を設ける。この3値は、「無線の品質が劣悪<RTD=300ms<RTD=200ms<RTD=100ms<無線の品質が良好」という関係とする。
【0046】
この時、メッセージの送信回数を次のように規定する。すなわち、「RTD>300ms」は4回送信、「200ms<RTD≦300ms」は3回送信、「100ms<RTD≦200ms」は2回送信、「RTD≦100ms」は1回送信する。また、メッセージのバンドルについては、RTD=100msを閾値として、無線品質がRTD=100msよりも高い場合(RTD≦100ms)には、積極的にバンドルするように処理を行い、無線品質がRTD=100msよりも低い場合(RTD>100ms)には、メッセージのバンドルは行わないようにする。このように、メッセージの送信回数と、バンドルの実行可否は独立に設定することが可能である。メッセージをバンドルする際は、無線品質が良い状態なので基本的には、メッセージ送信回数を1とするのが良いが、1より大きくても構わない。
【0047】
図12の曲線のように、無線の品質が推移すると、t0からt1まではバンドルを行いかつ1回メッセージを送信する。t1からt2の区間は、無線の品質が悪くなったので、バンドルを行わずに回数を増やして2回送信する。t2からt3までは、無線の品質がさらに悪くなったので、バンドルを行わずに送信回数を増やして3回送信する。t3からt4までの期間は、バンドルを行わずにさらに送信回数を4回にする、t4以降は品質が良くなったが200ms<RTD≦300msなのでバンドルは行わず、送信回数を減らして3回とする。無線品質を評価するための閾値を設け、実際の無線品質のデータ値がその閾値を越えた時に、メッセージの送信回数を変えていくことで、無線品質に応じた最適なメッセージ送信回数を算出することが出来る。また、バンドルについても閾値を基準に実行可否を判断することで、無線品質に応じて無線リソースを有効に使用することが出来る。なお、本実施例では、閾値を3値設けたが、3値だけには限らない。
【0048】
このように、無線品質に応じてメッセージ送信回数、バンドル可否を変化させることで、無線品質が悪い状態では送信回数を増やし、無線品質が良い状態の時には送信回数を減らしかつ無線リソースを有効に使用することができる。よって、メッセージの欠落する確率を効率的に減少させることができる
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】無線通信システムのブロック図である。
【図2】基地局およびBSCの要部ブロック図である。
【図3】端末の要部ブロック図である。
【図4】MACパケットのフォーマットである。
【図5】Stream Layerパケットのフォーマットである。
【図6】SLP−Dヘッダのフォーマットである。
【図7】メッセージの送信処理のフローチャートである。
【図8】BSCと端末間のシーケンス図である。
【図9】無線品質の時間的変化とそれに伴う送信回数の設定を説明するグラフである。
【図10】他のMACペイロードのフォーマットである。
【図11】メッセージ送受信部11の送信処理のフローチャートである。
【図12】無線品質の時間的変化とそれに伴う送信回数とバンドルの設定を説明するグラフである。
【符号の説明】
【0050】
10…端末、11…メッセージ送受信部、12…無線品質測定部(端末側)、13…CPU、14…メモリ、15…アンテナ20…基地局、21…アンテナ、22…無線品質測定部(基地局側)30…BSC、31…メモリ、32…CPU、33…メッセージ送受信部(BSC側)、40…PDSN、50…インターネット、60…メッセージ、70…MACパケット、102…SLP−Dヘッダ、105…StreamLayerパケット、110…MACペイロード、111…MACヘッダ、200…無線通信システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信端末を収容する無線通信基地局システムにおいて、
無線通信基地局と、基地局制御装置とで構成され、
前記無線通信基地局は、前記無線通信端末との間の無線品質を測定する無線品質測定部を備え、
前記基地局制御装置は、前記無線通信端末宛のメッセージを送信するメッセージ送信部と、前記無線品質測定部の測定結果を保持するメモリとを備え、
前記メッセージ送信部は、前記メモリを参照して、前記測定結果に応じた回数だけ同じシグナリングメッセージを送信することを特徴とする無線通信基地局システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信基地局システムであって、
前記メッセージ送信部は、前記シグナリングメッセージを複数回送信するとき、同じシーケンス番号を付与することを特徴とする無線通信基地局システム。
【請求項3】
無線基地局と接続される無線通信端末において、
前記無線基地局との間の無線品質を測定する無線品質測定部と、前記無線基地局宛のメッセージを送信するメッセージ送信部と、前記無線品質測定部の測定結果を保持するメモリとを備え、
前記メッセージ送信部は、前記メモリを参照して、前記測定結果に応じた回数だけ同じシグナリングメッセージを送信することを特徴とする無線通信端末。
【請求項4】
請求項3に記載の無線通信端末であって、
前記前記メッセージ送信部は、前記シグナリングメッセージを複数回送信するとき、同じシーケンス番号を付与することを特徴とする無線通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−62634(P2010−62634A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223568(P2008−223568)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】