説明

無線通信用タグ、及びアンテナモジュール

【課題】本発明は、管理領域外においては通信を禁止できる無線通信用タグを提供することを目的とする。
【解決手段】無線通信用タグ1が、半導体チップ101を有するタグ11と、アンテナ部201を有するアンテナモジュール12とを、別体として備える。そして、タグ11とアンテナモジュール12とを接続する際に、タグ11の受電部102a,102bに、アンテナモジュール12の給電部202a,202bが電気的に接続されることで、無線通信用タグ1が、外部のリーダ・ライタと通信可能な構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触無線通信用リーダから発信される無線信号を受信することで電力が供給されて当該リーダと無線通信を行う無線通信用タグ及びそのアンテナモジュールに関するものであって、特に、RFID(Radio Frequency IDentification)システムで利用される無線通信用タグ及びそのアンテナモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の通信技術及び半導体産業の発達により、入退室管理や、交通機関や遊技場での利用者管理や、物流管理等の様々な分野において、非接触通信を行う無線通信用タグが使用されている。そして、RFIDシステムで使用されている無線通信用タグは、マイクロ波帯の2.45GHz、UHF帯の950MHz帯、あるいは電磁誘導方式で使用されるHF帯の13.56MHz等のように、広い周波数帯域を利用している。このような非接触通信を行う無線通信用タグは、樹脂シート等の誘電体基板上に積層された導体薄膜によるアンテナパターンと半導体チップとで構成されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1及び特許文献2に開示されている無線通信用タグ(RFIDタグ)は、導体薄膜によるアンテナパターン上に、半導体チップが搭載されて、半導体チップとアンテナパターンとが電気的に接続される。又、アンテナパターンは、半導体チップが搭載される部分に切欠が設けられており、このアンテナパターンの切欠を跨ぐように、半導体チップが搭載される。即ち、半導体チップに設けられた2つの端子がそれぞれ、アンテナパターンにおける切欠両側の端部それぞれに接続される。尚、このアンテナパターンにおける切欠両側の端部は、特許文献1における給電部、特許文献2におけるストラップが配置される部分に相当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4026080号公報
【特許文献2】特開2009−260757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の無線通信用タグは、特許文献1及び特許文献2に開示されているRFIDタグに代表されるように、インレイ又はインレットと呼ばれるアンテナパターンに、通信動作を行う半導体チップが搭載されることで、構成されている。このように構成された無線通信用タグは、リーダ・ライタから放射される電波をそのアンテナパターンで受信し、このアンテナパターンで受信した電波により発生した電力に基づいて、半導体チップが通信動作を行う。換言すれば、従来の無線通信用タグは、リーダ・ライタから放射される電波に基づく電力が半導体チップの動作電力よりも大きければ、半導体チップによる通信動作が可能となる。
【0006】
即ち、管理対象となる物品に無線通信用タグを取り付けている場合、その物品の管理領域外においても、無線通信用タグと通信可能なリーダ・ライタが設置されていれば、無線通信用タグと通信が可能となる。よって、その物品の管理領域外においても、物品に取り付けられた無線通信用タグに記憶された内容が読み取られる、又は、その内容が書き換えられる恐れがある。特に、無線通信用タグに個人情報と連結された個別情報を記憶させる場合、管理領域外で記憶内容の読み出しや書き換えは、個人情報の漏洩だけでなく、管理領域内でのシステムの誤作動を招く恐れがある。
【0007】
このような問題に鑑みて、本発明は、管理領域外においては通信を禁止できる無線通信用タグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の無線通信用タグは、外部の通信装置との通信動作を行う半導体チップを有する無線通信用タグにおいて、前記半導体チップが搭載されるとともに、該半導体チップと電気的に接続された受電部を有するタグと、前記通信装置からの電波を受信するアンテナ部と、該アンテナ部と電気的に接続された給電部と、を有するとともに、前記タグと着脱可能な構成を備えたアンテナモジュールと、を備え、前記タグが前記アンテナモジュールと接続されたときに、前記受電部と前記給電部とが電気的に接続することにより、前記通信装置と通信可能な状態となることを特徴とする。
【0009】
このような無線通信用タグにおいて、前記タグと前記アンテナモジュールとの接続を保持する接続部材を有するものとしてもよい。このとき、前記タグと前記アンテナモジュールとの接続を保持する接続部材を有するものとし、更に、前記受電部及び前記給電部のそれぞれが、前記接続部材を具備しているものとしてもよい。又、前記アンテナモジュールのみが前記接続部材を備えるものとしてもよい。
【0010】
上述の無線通信用タグにおいて、前記アンテナモジュールと前記タグとが接続する際、前記受電部に前記給電部が重なる位置で前記アンテナモジュールが前記タグを挟持して、前記受電部と前記給電部とを電気的に接続させるものとしてもよい。
【0011】
又、前記アンテナモジュールが、指向性の異なる複数のアンテナ部を有するものとしてもよい。このとき、更に、前記アンテナモジュールと前記タグとが接続する際、複数の前記アンテナ部により前記タグが挟まれた状態となるものとしてもよい。
【0012】
又、本発明のアンテナモジュールは、上述のいずれかに記載の無線通信用タグにおける、アンテナモジュールであって、外部の通信装置からの電波を受信するアンテナ部と、該アンテナ部と電気的に接続した給電部と、を備え、前記通信装置との通信動作を行う前記半導体チップを備えた前記タグと接続したとき、前記給電部が前記タグに設けられた前記受電部と電気的に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、アンテナモジュールとタグとを別体とし、タグにアンテナモジュールを接続したときに外部との通信が可能な構成であるため、アンテナモジュールのない管理領域外では、物品に取り付けられたタグを通信不可能とできる。そのため、物品が管理領域外にある場合に、タグに記憶された情報が読み取られることを防ぐことができ、個人情報の漏洩を防止できる。又、管理領域外でタグに記憶される情報の書き換えを防ぐこともできるため、管理領域内での物品管理システムの誤作動などを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】は、本発明の無線通信用タグの基本構成を示す概略図である。
【図2】は、図1に示す無線通信用タグの内部構成を示すブロック図である。
【図3】は、本発明の第1の実施形態の無線通信用タグの概略構成を示す図である。
【図4】は、本発明の第2の実施形態の無線通信用タグの概略構成を示す図である。
【図5】は、本発明の第3の実施形態の無線通信用タグの概略構成を示す図である。
【図6】は、図5の無線通信用タグにおけるタグとアンテナモジュールとを接続する際の状態を示す図である。
【図7】は、図5の無線通信用タグにおけるタグとアンテナモジュールとを接続する際の状態を示す図である。
【図8】は、本発明の第4の実施形態の無線通信用タグの概略構成を示す図である。
【図9】は、図8の無線通信用タグにおけるタグの受電部の構成を示す表面図である。
【図10】は、図8の無線通信用タグにおけるタグの受電部の構成を示す裏面図である。
【図11】は、図8の無線通信用タグにおけるタグとアンテナモジュールとを接続したときの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<基本構成>
本発明の無線通信用タグの基本構成について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の無線通信用タグの外観を示す概略図である。図2は、図1に示す無線通信用タグの構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、本発明の無線通信用タグ1は、物品に取り付けられるタグ11と、タグ11と別体のアンテナモジュール12とによって構成され、タグ11とアンテナモジュール12とが電気的に接続されることで、外部のリーダ・ライタと無線通信可能な構成となる。タグ11は、リーダ・ライタとの無線通信を行う半導体チップ101と、半導体チップ101に設けられた端子103a,103b(図2参照)それぞれと電気的に接続された受電部102a,102bと、を備える。又、アンテナモジュール2は、リーダ・ライタから放射される電波に励振するアンテナ部201と、タグ101の受電部102a,102bと接触させて電気的に接続される給電部202a,202bと、を備える。
【0017】
更に、タグ11に搭載される半導体チップ101は、図2に示すように、受電部102a,102bそれぞれと接続される端子103a,103bと、端子103a,103bに供給された電気信号を整流して電力供給を行う電力供給部104と、電力供給部104から電力が供給されて動作する変復調部105と、半導体チップ101の動作を制御する制御部106と、半導体チップ101固有の識別情報を記憶するメモリ部107と、を備える。このように構成された無線通信用タグ1は、図2の破線で示すように、タグ11の受電部102a,102bとアンテナモジュール2の給電部202a,202bを接続することで、アンテナモジュール2のアンテナ部201が、半導体チップ101のアンテナとして動作する。
【0018】
図1及び図2に示す無線通信用タグ1の動作について、簡単に説明する。上述したように、無線通信用タグ1は、タグ11の受電部102a,102bそれぞれにアンテナモジュール12の給電部202a,202bが接続されることで、外部のリーダ・ライタと通信可能な構成となる。尚、後述する各実施形態で説明するように、タグ11及びアンテナモジュール12はそれぞれ、相互に着脱可能な接続用部材を有する。そして、タグ11及びアンテナモジュール12は、それぞれの接続用部材を接続することで、受電部102a,102bが給電部202a,202bに物理的に接触するとともに電気的に接続される。尚、受電部102a,102bと給電部202a,202bの接続は、タグ11又はアンテナモジュール12の少なくともいずれかの表面を覆う誘電体膜又は絶縁膜を介して接続される場合も含まれる。
【0019】
タグ11とアンテナモジュール12とが接続された無線通信用タグ1は、不図示のリーダ・ライタから放射される電波に対してアンテナモジュール12のアンテナ部201が励振する。このアンテナ部201の励振により、アンテナ部201を流れる電流が、給電部202a,202bを介して、タグ11の受電部102a,102bに供給される。これにより、タグ1では、受電部102a,102bで受けた電流が半導体チップ101に供給される。よって、半導体チップ101において、電力供給部104が、端子103a,103bを介して電流を受けるため、この電流を整流することで、半導体チップ101を駆動させる電力を発生させる。そして、タグ11は、その半導体チップ101内において、変復調部105、制御部106、及びメモリ部107のそれぞれが、電力供給部104から電力が供給される。
【0020】
尚、上述の電力供給動作について、UHF帯等で利用されるマイクロ波方式のように、アンテナモジュール12のアンテナ部201が受信した電波に励振して、半導体チップ101に電力が供給されるものとしたが、HF等で利用される電磁誘導方式のように、アンテナモジュール12のアンテナ部201における電磁誘導により電流が発生し、半導体チップ101に電力が供給されるものとしてもよい。
【0021】
このようにして、タグ11内の半導体チップ101に電力が供給されて、半導体チップ101内の各部が駆動を開始すると、変復調部105は、端子103a,103bにより供給される電気信号を復調して、制御部106に与える。制御部106では、外部のリーダ・ライタから送信される電気信号(質問信号)を確認し、メモリ部107に記憶されている識別情報等を読み出す等して、リーダ・ライタへ返信する電気信号(応答信号)を生成する。この制御部106で生成された応答信号が変復調部105に与えられると、変復調部105は、符号化された応答信号に基づいて変調動作を行い、変調した電気信号を端子103a,103bを通じて出力する。この端子103a,103bから出力された電気信号は、アンテナモジュール12のアンテナ部201より、外部のリーダ・ライタに送信される。
【0022】
尚、無線通信用タグ1と不図示のリーダ・ライタとの間における通信は、リーダ・ライタから放射される電波に対して、無線通信用タグ1及びリーダ・ライタそれぞれが同期した後に、所定のタイミング毎に送信する電気信号に基づく変調を行うことで、確立される。即ち、リーダ・ライタから放射される所定の周波数帯の電波に対して、リーダ・ライタ及び無線通信用タグ1が、送信する電気信号に基づいて変調した信号を重畳させることによって、無線通信用タグ1とリーダ・ライタとの間での通信が実行される。
【0023】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施の形態となる無線通信用タグについて、図面を参照して以下に説明する。図3は、本実施形態の無線通信用タグの構成を示す概略構成図である。尚、図3に示す構成において、図1に示す構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付す。
【0024】
図3に示すように、本実施形態の無線通信用タグ1aは、上述の基本構成の無線通信用タグ1と同様、半導体チップ101と受電部102a,102bとを備えたタグ11aと、アンテナ部201と給電部202a,202bとを備えたアンテナモジュール12aとを別体とした構成を有する。そして、図3に示すように、タグ11aの受電部102a,102bと、アンテナモジュール12の給電部202a,202bとが、相互に接続するための接続部材としても構成される。
【0025】
図3の例では、受電部102a,102bを、その中心部分に凹部21を設けた金属部材で構成し、給電部202a,202bを、その中心部分に凸部22を設けた金属部材で構成する。そして、受電部102a,102bそれぞれの凹部21に、給電部202a,202bそれぞれの凸部22を挿入することで、受電部102a,102bそれぞれを給電部202a,202bそれぞれに物理的に接続すると同時に、電気的にも接続させる。このとき、受電部102a,102bの凹部21が弾性を備えた金属部材で構成し、受電部102a,102bの凹部21が、挿入された給電部202a、202bの凸部22を挟持する構成とすることで、受電部102a,102bと給電部202a,202bとの接続をより確実なものとすることができる。
【0026】
このように構成される無線通信用タグ1において、タグ11aは、例えば、半導体チップ101が搭載されたストラップが載置され、このストラップを構成する樹脂フィルム等の誘電体基板表面に塗布された配線と受電部102a,102bが接続されて構成されるものとしてもよい。即ち、ストラップは、基板表面に塗布された薄膜上の配線に端子103a,103b(図2参照)が接続するように、半導体チップ101が基体上に搭載される。このストラップの配線は、受電部102a,102bが搭載される、別の誘電体基板に塗布された金属薄膜等による導体パターンに接続される。そして、受電部102a,102bは、ストラップの配線と接続される導体パターンと、この導体パターンと半田や導電性接着剤等で接続された接続部材を構成する金属部材とによって、構成されるものとしてもよい。
【0027】
同様に、アンテナモジュール12aは、例えば、アンテナ部201が、誘電体基板上に塗布された金属薄膜等による導体パターンで構成されるものとしてもよい。そして、給電部202a,202bは、このアンテナ部201を構成する導体パターンの端部に半田等で接続された接続部材を構成する金属部材によって、構成されるものとしてもよい。そして、これらのタグ11a及びアンテナモジュール12aは、半導体チップ101、導体パターン、及び配線等を保護するための絶縁性の保護膜で覆われるものとしてもよい。
【0028】
更に、受電部102a,102b及び給電部202a,202bを構成する金属部材については、図3の構成例に限られるものではなく、相互に接続可能な構成であると同時に、物理的に接続したときに電気的にも接続する構成であればよい。よって、例えば、受電部102a,102bに凸部を設けるとともに、給電部202a,202bに凹部を設けるものとしても構わないし、受電部102a,102b及び給電部202a,202bのいずれか一方を、鈎状の構成とすると同時に、他方を、鈎状部分が嵌合される穴を備えた部材で構成されるものとしても構わない。
【0029】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施の形態となる洗濯装置について、図面を参照して以下に説明する。図4は、本実施形態の洗濯装置の構成を示す概略図である。尚、図4に示す構成において、図3に示す構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0030】
図4に示すように、本実施形態の無線通信用タグ1bは、第1の実施形態(図3参照)と同一の構成となるタグ11aと、第1の実施形態のアンテナモジュール12a(図3参照)に導線ケーブル203を追加した構成となるアンテナモジュール12bとによって、構成される。このような構成の無線通信用タグ1bにおいて、タグ11aについては、第1の実施形態の構成と同様であるため、その詳細な説明を省略する。よって、以下では、アンテナモジュール12bの構成について、特に、第1の実施形態の構成と異なる部分を対象にして、以下で説明する
【0031】
アンテナモジュール12bは、アンテナモジュール12aと異なり、アンテナ部201と給電部202a,202bとの間に導線ケーブル203が接続された構成となる。即ち、誘電体基板上に導体パターンを塗布して構成したアンテナ部201と、樹脂等の絶縁材料に搭載された金属部材による給電部202a,202bとが、導線ケーブル203により物理的に接続される。この導線ケーブル203は、絶縁材料で被覆された2本の導線を備え、この2本の導線の一方が、アンテナ部201を構成する導体パターンの一端と給電部202aとを電気的に接続すると同時に、他方が、アンテナ部201を構成する導体パターンの他端と給電部202bとを電気的に接続する。
【0032】
本実施形態の無線通信用タグ1bは、導線ケーブル203を有するアンテナモジュール12bを使用することで、タグ11aの受電部102a,102bにアンテナモジュール12bの給電部202a,202bを接続させたとき、タグ11aと離れた位置に、アンテナ部201を配置することができる。よって、物品に取り付けられたタグ11aが、外部のリーダ・ライタと通信困難な位置にある場合に、アンテナ部201を通信可能な位置に配置することで、確実な通信を実行させることができる。尚、本実施形態において、アンテナモジュール12bの給電部202a,202bを別体の金属部材とするとともに、導体ケーブル203を2本の導線に分離した構成として、2本の分離した導線それぞれに給電部202a,202bそれぞれが独立して接続される構成としても構わない。
【0033】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施の形態となる洗濯装置について、図面を参照して以下に説明する。図5は、本実施形態の洗濯装置の構成を示す概略図である。尚、図5に示す構成において、図3に示す構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0034】
図5に示すように、本実施形態の無線通信用タグ1cは、第1の実施形態の無線通信用タグ1a(図3参照)と異なり、接続部材を具備しないタグ11cと、タグ11cを間に挟持してタグ11cと接続する接続部204を備えたアンテナモジュール12cとによって、構成される。タグ11cは、第1の実施形態のタグ11a(図3参照)と異なり、受電部102a,102bが、誘電体基板上の半導体チップ101の端子103a,103b(図2参照)それぞれと電気的に接続された導体パターンで形成される。
【0035】
又、アンテナモジュール12cは、誘電体基板上のアンテナ部201の両端それぞれに設けられた導体パターンによる給電部202a,202bを有するとともに、誘電体基板の給電部202a,202bの設置部分に近い基板の端辺(側面)200より突出するようにして、接続部204が構成される。この接続部204は、誘電体基板により構成されるものであってもよいし、誘電体基板と異なる絶縁材料による部材で構成されるものであってもよい。
【0036】
そして、給電部202a,202bを中心に、基板の端辺200側とアンテナ部201側のそれぞれに接続部材205が設けられるとともに、この接続部材205と接続する接続部材206が接続部204上に設けられる。即ち、基板の端辺200を中心として、給電部202a,202b近傍に設けられた複数の接続部材205それぞれと、接続部204に設けられた複数の接続部材206それぞれとが対称となる位置に設置される。この接続部材205,206それぞれは、第1の実施形態と同様、一方に凹部を設けるとともに他方に凸部を設けた構成としてもよいし、一方を鈎状の形状とするとともに他方に鈎状部分を嵌合させる穴を設けた形状としてもよい。
【0037】
このような構成のタグ11c及びアンテナモジュール12cを接続させるときの無線通信用タグ1cの状態を、図6及び図7に示す。図6に示すように、タグ11cは、半導体チップ101の両側に配置される受電部102a,102bの外側の端辺部分100a,100bそれぞれが接着されることにより、物品10上に固定される。この物品10へのタグ11cの接着は、接着剤などで貼り付けられるものとしてもよいし、糸などで縫いつけられるものとしてもよい。即ち、タグ11cと物品10とによって、アンテナモジュール12cの接続部204を挿入する穴部が形成される。このタグ11cと物品10によって構成される穴部に、アンテナモジュール12cの接続部204を通したとき、接続部204に設けられた接続部材206は、タグ11cの外側に配置される。
【0038】
そして、図7に示すように、アンテナモジュール12cの誘電体基板の端辺200で屈曲させて、接続部材205,206を接続することで、給電部202a,202bの構成部分と接続部204とによって、タグ11cが挟持される。これにより、タグ11cの受電部102a,102bそれぞれと、アンテナモジュール12cの給電部202a,202bそれぞれとが当接するため、タグ11cとアンテナモジュール12cによる無線通信用タグ1cが、外部のリーダ・ライタと通信可能な状態となる。
【0039】
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施の形態となる洗濯装置について、図面を参照して以下に説明する。図8は、本実施形態の洗濯装置の構成を示す概略図である。尚、図8に示す構成において、図5に示す構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0040】
図8に示すように、本実施形態の無線通信用タグ1dは、第3の実施形態の無線通信用タグ1c(図5参照)と異なり、受電部102a,102bが誘電体基板の両面に設けられた受電パターン102x,102y(図9及び図10参照)で構成されるタグ11dと、そのアンテナ指向性の異なる2つのアンテナ部201a,201bを備えたアンテナモジュール12dとによって、構成される。このとき、アンテナモジュール12dは、図8に示すように、T字形状の誘導体基板上にアンテナ部201a,201bが形成される。そして、このT字形状の誘導体基板において、その長手方向が紙面横方向となる基板領域201xにアンテナ部201aが配置されると、その長手方向が紙面縦方向となる基板領域201yにアンテナ部201bが配置される。
【0041】
基板領域201yには、基板領域201xとの接合部分近傍の領域に、アンテナ部201aの両端それぞれと電気的に接続された給電部202a,202bが配置される。又、この基板領域201yにおいて、アンテナ部201aと接続される給電部202a,202bが配置された領域とアンテナ部201bが配置された領域との間に、破線Xで示すような屈曲部分が設けられる。更に、基板領域201yには、アンテナ部201aの給電部202a,202bそれぞれを挟む位置に接続部材205aが設けられるとともに、アンテナ部201bの給電部202c,202dを挟む位置に接続部材206aが設けられる。この接続部材205a,206aは、破線Xを軸として対称となる位置に設けられる。そして、接続部材205a,206aは、第3の実施形態の接続部材205,206と同様の構成とすることで、アンテナモジュール12dをタグ11dに固定することができる。
【0042】
又、タグ11dの受電部102a,102bのそれぞれは、タグ11dを構成する誘電体基板の両面それぞれに、図9及び図10に示すような、導体パターンによる受電パターン102x,102yを有する。尚、図9が、受電パターン102xの設置面を示す図として、受電パターン102yを破線で図示するとともに、図10が、受電パターン102yの設置面を示す図として、受電パターン102xを破線で図示する。即ち、受電パターン102yは、L字状の導体パターンで構成され、L字を構成する一方の直線パターンに受電パターン102xが重なるように構成される。
【0043】
そして、アンテナモジュール12dをタグ11dに接続したとき、受電パターン102xが給電部202a,202bと当接する場合、受電パターン102yのL字状パターンを構成する他方の直線パターンに、給電部202c,202dが当接する。尚、受電パターン102yは、L字状の導体パターンを誘電体基板の表面に設けたものとしたが、受電パターン102yと電気的に接続させるものであれば、給電部202c,202dと当接させる部分のみを誘電体基板の表面に設けるものとしてもよい。
【0044】
このような構成のタグ11d及びアンテナモジュール12dを接続させたときの無線通信用タグ1dの状態を、図11に示す。図11に示すように、タグ11dは、その端辺部分100a,100bが物品10に接着されて、物品10に固定される。この物品10に固定されたタグ11dにアンテナモジュール12dを接続するとき、第3の実施形態と同様、物品10とタグ11dとで形成された穴部に、アンテナ部201bが形成された基板領域201yが挿入される。そして、この基板領域201yを破線X(図8参照)で屈曲させた後、接続部材205a,206aを接続することで、アンテナモジュール12dがタグ11dを挟持する。これにより、タグ11dの受電部102a,102bそれぞれが、アンテナモジュール12dの給電部202a〜202dそれぞれと当接するため、タグ11dとアンテナモジュール12dによる無線通信用タグ1dが、外部のリーダ・ライタと通信可能な状態となる。
【0045】
尚、第3及び第4の実施形態において、受電部102a,102b及び給電部202a〜202dが導体パターンのみで構成される例をあげて説明するが、導体パターンと半田や導電材料による接着剤等で接続された導体板又は導電性シート等とにより構成されるものであってもよい。又、この受電部102a,102b及び給電部202a〜202dは、その導体部分がタグ11c,11dの表面に露出するものであってもよいし、その表面に誘電体材料などによる保護膜で覆われた構成としてもよい。又、第4の実施形態において、接続部材205aが、第3の実施形態のように、アンテナ部201aが設けられる基板領域201xに設けられるものとしてもよい。一方、第3の実施形態の接続部材205が、第4の実施形態のように、アンテナ部201と接続された受電部202a,202bとともに、接続部204に設置されるものとしても構わない。
【0046】
又、第3及び第4の実施形態において、タグ11cの受電部102a,102bが、貫通穴を有するリング上の導体パターン又は導体板等で構成されるものとしてもよい。このように構成したとき、アンテナモジュール12cの接続部材205を導電性材料で構成し、給電部202a,202bそれぞれと電気的に接続されるものとしてもよいし、更に、アンテナモジュール12cの接続部材206も導電性材料で構成するものとしても構わない。又、アンテナモジュール12dの接続部材205a,206aそれぞれが導電性材料で構成されるとともに、接続部材205a,206aそれぞれが、アンテナ部201a,201bそれぞれと接続される給電部202a〜202dと電気的に接続されるものとしても構わない。
【0047】
第1〜第4の実施形態において、アンテナモジュール12a〜12dのアンテナ部201又は給電部202a〜202dが、樹脂シート等の誘電体基板上に形成された導体パターンで構成されるものとしたが、導電性シートや導体板等の導体片により形成されるものであってもよいし、導電性繊維で形成されるものであってもよい。このとき、アンテナ部201又は給電部202a〜202dを導電性シートで構成する場合、金属薄板、金属テープ、導電性シート等で構成するものとしてもよい。又、アンテナ部201を導線で構成する場合、導線によりループ形状を構成する等により、その無線通信の使用周波数帯に応じた形状に固定させる。更に、アンテナ部201を導電性繊維で構成する場合、炭素繊維や金属繊維等の導電性繊維を絶縁性のシートに対して、その無線通信の使用周波数帯に応じた形状に刺繍させるものであってもよい。
【0048】
更に、第1の実施形態のアンテナモジュール12aを、第4の実施形態のアンテナモジュール12dと同様、指向性の異なる2つのアンテナ部201a,201bを備える構成としても構わない。このとき、アンテナ部201a,201bそれぞれの一端に接続された2つの給電部202a,202cが、タグ11aの受電部102aを挟持するように接続されるとともに、アンテナ部201a,201bそれぞれの他端に接続された2つの給電部202b,202dが、タグ11aの受電部102bを挟持するように接続される。又、第3及び第4の実施形態のアンテナモジュール12c,12dにおいて、第2の実施形態のアンテナモジュール12bと同様、給電部202a〜202dとに接続される導線ケーブルを備えるものとしても構わない。
【0049】
又、本発明の無線通信用タグの一部となるタグは、アンテナモジュールと接続されていない状態にあるとき、外部のリーダ・ライタと通信が不可能な状態であればよく、どのような電波に対しても通信不可能である構成であることが好ましいが、規格範囲外となる大きな電力でなければ通信ができないものであっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、各周波数帯域のRFIDシステムで使用される無線通信用タグに適用できる。又、パッシブ型の無線通信用タグとして適用することができるとともに、アンテナモジュールに電池を付属させることにより、アクティブ型の無線通信用タグとしても適用することができる。更に、アンテナモジュールのアンテナ部の形状によって、電磁誘導方式及びマイクロ波方式それぞれの無線通信用タグとして適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1,1a〜1d 無線通信用タグ
11,11a,11c,11d タグ
12,12a〜12d アンテナモジュール
100a,100b 端辺部分
101 半導体チップ
102a,102b 受電部
102x,102y 受電パターン
103a,103b 端子
104 電力供給部
105 変復調部
106 制御部
107 メモリ部
200 端辺
201,201a,201b アンテナ部
202a〜202d 給電部
203 導線ケーブル
204 接続部
205,205a 接続部材
206,206a 接続部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の通信装置との通信動作を行う半導体チップを有する無線通信用タグにおいて、
前記半導体チップが搭載されるとともに、該半導体チップと電気的に接続された受電部を有するタグと、
前記通信装置からの電波を受信するアンテナ部と、該アンテナ部と電気的に接続された給電部と、を有するとともに、前記タグと着脱可能な構成を備えたアンテナモジュールと、
を備え、
前記タグが前記アンテナモジュールと接続されたときに、前記受電部と前記給電部とが電気的に接続することにより、前記通信装置と通信可能な状態となることを特徴とする無線通信用タグ。
【請求項2】
請求項1において、
前記タグと前記アンテナモジュールとの接続を保持する接続部材を有することを特徴とする無線通信用タグ。
【請求項3】
請求項2において、
前記タグ及び前記アンテナモジュールそれぞれが前記接続部材を備えることを特徴とする無線通信用タグ。
【請求項4】
請求項3において、
前記受電部及び前記給電部のそれぞれが、前記接続部材を具備していることを特徴とする無線通信用タグ。
【請求項5】
請求項2において、
前記アンテナモジュールが前記接続部材を備えることを特徴とする無線通信用タグ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
前記アンテナモジュールと前記タグとが接続する際、前記受電部に前記給電部が重なる位置で前記アンテナモジュールが前記タグを挟持して、前記受電部と前記給電部とを電気的に接続させることを特徴とする無線通信用タグ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記アンテナモジュールが、指向性の異なる複数のアンテナ部を有することを特徴とする無線通信用タグ。
【請求項8】
請求項7において、
前記アンテナモジュールと前記タグとが接続する際、複数の前記アンテナ部により前記タグが挟まれた状態となることを特徴とする無線通信用タグ。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項の無線通信用タグにおける、アンテナモジュールであって、
外部の通信装置からの電波を受信するアンテナ部と、
該アンテナ部と電気的に接続した給電部と、
を備え、
前記通信装置との通信動作を行う前記半導体チップを備えた前記タグと接続したとき、前記給電部が前記タグに設けられた前記受電部と電気的に接続されることを特徴とするアンテナモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−221838(P2011−221838A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91157(P2010−91157)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(306021424)株式会社ハッピー (9)
【Fターム(参考)】