説明

無線通信端末、送信制御方法、およびプログラム

【課題】隠れ端末問題を解消しつつ、ブロードキャストを効率的に行うことができる無線通信端末を提供する。
【解決手段】無線通信端末20は、データ送信に先立ってデータ送信時以上の電力で予告信号を送信し、他の端末から予告信号が送信された場合にはデータ送信を所定期間待機する。予告信号は、無線通信端末20のアドレスを宛先とするRTSフレームであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信によりデータを送信する無線通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、ユニキャスト通信において、RTS/CTS方式を用いることにより、隠れ端末問題を解消する技術が開示されている。RTS/CTS方式では、通信相手のアドレスを宛先アドレスとするRTS(request to send)フレームを送信し、それを受信した通信相手は、RTSフレームの送信元の端末のアドレスを宛先とするCTS(clear to send)フレームを返し、その後、RTSフレームの送信元の端末が、通信相手にデータを送信する。
【0003】
一方、自分宛でないRTSフレームやCTSフレームを受信した他の端末は、RTSフレームの送信元の端末が、データの送信を終了するまでの間、データの送信を待機する。これにより、目的のデータを他のデータと衝突させることなく、通信相手に届けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−235828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、車両間で無線による通信(車々間通信)を行うことにより、事故や渋滞等の情報を、近くの車両を介して離れた位置にいる車両へ順次伝達し、危険の回避や渋滞の緩和に役立てる技術の開発が進められている。このような技術分野では、事故や渋滞等の情報を、周辺の車両にブロードキャストすることで、複数の車両において情報を共有する。
【0006】
しかし、このような車々間通信は、ユニキャスト通信ではないため、上記特許文献1の技術を適用することができない。即ち、ブロードキャストアドレスを宛先とするRTSフレームを送信した場合、RTSフレームを受信した車両は、一斉にCTSフレームを返すための送信動作に入り、乱数に応じた期間だけ待機して無線チャネル上にCTSフレームを送信する。
【0007】
このとき、同一の乱数値を選択した車両によって送信されたCTSフレームは、無線チャネル上で衝突してしまい、RTSフレームの送信元の車両において、情報の読み取りが可能な状態で受信されない。所定期間経過してもデータの送信が開始されない場合に、CTSフレームの送信元の車両は、CTSフレームが正しく受信されなかったものと見なしてCTSフレームを再送することも考えられる。しかし、それでも、RTSフレームの送信元は、いつまで待てば全てのCTSフレームの受信が完了するのか判断できないため、いつまでたってもデータパケットの送信を開始できない。
【0008】
また、RTSフレームの宛先をブロードキャストアドレスのように不特定多数の宛先にすると、RTSフレームの送信元の無線通信端末は、いくつの無線通信端末からCTSフレームを受信した後にデータパケットの送信を開始すればよいかを判断できない。そのため、前述と同様にいつまでたってもデータパケットの送信を開始できない。
【0009】
車々間通信に関する規格であるIEEE802.11Pでは、乱数の個数が4となっており、車両の台数が多くなると同一の乱数が選択される可能性が高くなる。また、IEEE802.11Pでは、数百メートル程度の通信距離が想定されており、事故や渋滞等の現場では、半径数百メートル以内に百台以上の車両が存在する場合が少なくない。そのため、いずれかの乱数が1台の車両によってのみ選択される可能性は極めて低く、CTSフレームの衝突と再送が繰り返され、いつまでたっても全てのCTSフレームの受信が完了しないという事態が発生する。
【0010】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、隠れ端末問題を解消しつつ、ブロードキャストを効率的に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
例えば、本発明は、無線通信によりデータを送受信する無線通信端末であって、
他の無線通信端末と無線通信を行う無線通信手段と、
データの送信に先立って、データの送信を予告する予告信号を、データ送信時の送信電力以上の電力で前記無線通信手段に送信させる予告信号制御手段と、
前記無線通信手段によって前記予告信号が送信された後に、データの送信を前記無線通信手段に指示するデータ送信制御手段と
を備え、
前記予告信号制御手段は、
前記無線通信手段を介して他の無線通信端末から前記予告信号を受信した場合に、当該予告信号を受信してから予め定められた期間が経過するまでの間は、データの送信が必要になった場合であっても、前記予告信号を前記無線通信手段に送信させないことを特徴とする無線通信端末を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の無線通信端末によれば、隠れ端末問題を解消しつつ、ブロードキャストを効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線通信システム10のシステム構成図である。
【図2】無線通信端末20の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】無線通信端末20の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】無線通信システム10全体の動作を説明するためのシーケンス図である。
【図5】無線通信端末20の機能を実現するコンピュータ40の構成の一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システム10のシステム構成図である。無線通信システム10は、複数の車両11のそれぞれに搭載された無線通信端末20を備える。
【0016】
図1において、符号12は、車両11−1に搭載されている無線通信端末20−1から送信された事故等のデータが、復元可能な程度の電波強度で届く範囲の境界を示している。また、符号13は、無線通信端末20−1から送信された予告信号が、復元可能な程度の電波強度で届く範囲の境界を示している。
【0017】
図1に示す例では、無線通信端末20−1から送信されたデータが復元可能な程度の電波強度で届く範囲内に車両11−3および車両11−4が存在し、当該データが復元可能な程度の電波強度で届く範囲の外側であって、無線通信端末20−1から送信された予告信号が復元可能な程度の電波強度で届く範囲内に車両11−2および車両11−5が存在する。
【0018】
本実施形態では、各無線通信端末20が、データの送信を予告する予告信号を、当該データの送信時以上の電力で送信した後に当該データを送信する。無線通信端末20−2から20−5は、予告信号を受信してから所定期間、データの送信を待機する。これにより、無線通信端末20−1からブロードキャストにより送信されたデータは、無線通信端末20−2または無線通信端末20−5から送信されたデータと衝突することなく、無線通信端末20−3および無線通信端末20−4によって確実に受信される。
【0019】
図2は、無線通信端末20の機能構成の一例を示すブロック図である。無線通信端末20は、無線通信部21、予告信号制御部22、データ送信制御部23、およびアプリケーション処理部24を有する。
【0020】
まず、他の無線通信端末20から予告信号を受信していない場合の無線通信端末20の動作について説明する。
【0021】
まず、アプリケーション処理部24は、渋滞情報、路面情報、または自車両11の位置情報等の車両の走行状況に関する情報や、緊急事態の発生を示す緊急情報、テキストや音声等のアプリケーションデータ等を含むデータパケットを生成し、生成したデータパケットの送信要求と共に、当該データパケットおよび当該データパケットの送信期間を示す情報をデータ送信制御部23へ送る。
【0022】
データ送信制御部23は、アプリケーション処理部24から送信要求と共にデータパケットおよび送信期間を示す情報を受け取った場合に、送信期間を示す情報と共に予告信号の送信指示を予告信号制御部22へ送る。
【0023】
予告信号制御部22は、送信期間を示す情報と共に予告信号の送信指示をデータ送信制御部23から受け取った場合に、当該送信期間を送信禁止期間として含む予告信号を作成する。そして、予告信号制御部22は、作成した予告信号を無線通信部21に送信させる。
【0024】
無線通信部21は、予告信号制御部22からの指示に応じて、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access / Collision Avoidance)の制御に従って例えばIFS(Inter-Frame Space)の期間と、CW(Contention Window)の期間だけ送信を待機する処理を実行する。そして、無線通信部21は、予告信号制御部22から受け取った予告信号に対して、符号化や誤り訂正等を施し、符号化や誤り訂正等が施された予告信号に応じて所定の変調を加えた電波を、データ送信制御部23から受け取ったデータを送信する際の送信電力以上の電力で、アンテナ25を介して送信する。予告信号の送信が完了した場合、無線通信部21は、予告信号の送信完了をデータ送信制御部23に通知する。
【0025】
なお、予告信号制御部22から受け取った予告信号を送信する場合、無線通信部21は、データ送信制御部23から受け取ったデータを送信する際の送信電力以上であり、かつ、当該送信電力の4倍以下の電力で、予告信号を送信することが好ましい。この場合、予告信号が復元可能な程度の電波強度で届く距離は、通常のデータ送信時の電波が復元可能な程度の強度で届く距離以上であり、かつ、当該距離の2倍以下となる。
【0026】
また、当該予告信号は、当該予告信号の電波が復元可能な強度以上で届く範囲内(図1における境界13の内側)に存在しない他の無線通信端末20のアドレスを宛先アドレスとするRTSフレームであってもよい。また、当該宛先アドレスは、予告信号の発信元の無線通信端末20(図1の例では無線通信端末20−1)のアドレスであることが好ましい。これは、本方式では必要としない無駄なCTSフレームの送信を無くすためである。
【0027】
そして、予告信号の送信完了を無線通信部21から通知された場合、データ送信制御部23は、アプリケーション処理部24から受け取ったデータパケットを無線通信部21に送信させる。無線通信部21は、データ送信制御部23からの指示に応じて、CSMA/CAの制御に従って例えばSIFS(Short Inter-Frame Space)の期間送信を待機する。
【0028】
そして、無線通信部21は、データ送信制御部23から受け取った予告信号に対して、符号化や誤り訂正等を施し、符号化や誤り訂正等が施された予告信号に応じて所定の変調を加えた電波を、予告信号制御部22から受け取った予告信号を送信する際の送信電力以下の電力で、アンテナ25を介して送信する。
【0029】
次に、他の無線通信端末20から予告信号を受信した後に無線通信端末20がデータを送信する場合の動作について説明する。
【0030】
無線通信部21は、アンテナ25を介して受信した電波を復調し、復号化や誤り訂正等を行う。そして、無線通信部21は、復号化や誤り訂正等が施されたデータパケットをアプリケーション処理部24に提供する。また、アンテナ25を介して他の無線通信端末20から予告信号を含む電波を受信した場合、無線通信部21は、復号化や誤り訂正等が施された予告信号をデータ送信制御部23に提供する。
【0031】
無線通信部21を介して他の無線通信端末20から予告信号を受け取った場合、データ送信制御部23は、当該予告信号に含まれる送信禁止期間を抽出する。そして、データ送信制御部23は、抽出した送信禁止期間のカウントを開始する。送信禁止期間のカウントが終了するまでの間に、送信要求と共にデータパケットおよび送信期間を示す情報をアプリケーション処理部24から受け取った場合、データ送信制御部23は、これらの情報を保持する。
【0032】
そして、受信した予告信号から抽出した送信禁止期間が終了した場合、データ送信制御部23は、送信期間を示す情報と共に、予告信号の送信指示を予告信号制御部22へ送る。
【0033】
予告信号制御部22は、送信期間を示す情報と共に予告信号の送信指示をデータ送信制御部23から受け取った場合に、当該送信期間を送信禁止期間として含む予告信号を作成し、作成した予告信号を無線通信部21に送信させる。
【0034】
無線通信部21は、予告信号制御部22からの指示に応じて、CSMA/CAの制御に従って例えばIFSの期間とCW期間だけ送信を待機する処理を実行する。そして、無線通信部21は、予告信号制御部22から受け取った予告信号に対して、符号化や誤り訂正等を施し、符号化や誤り訂正等が施された予告信号に応じて所定の変調を加えた電波を、データ送信制御部23から受け取ったデータを送信する際の送信電力以上の電力で、アンテナ25を介して送信する。予告信号の送信が完了した場合、無線通信部21は、予告信号の送信完了をデータ送信制御部23に通知する。
【0035】
そして、予告信号の送信完了を無線通信部21から通知された場合、データ送信制御部23は、アプリケーション処理部24から受け取ったデータパケットを無線通信部21に送信させる。無線通信部21は、データ送信制御部23からの指示に応じて、CSMA/CAの制御に従って例えばSIFSの期間送信を待機する処理を実行する。
【0036】
そして、無線通信部21は、データ送信制御部23から受け取った予告信号に対して、符号化や誤り訂正等を施し、符号化や誤り訂正等が施された予告信号に応じて所定の変調を加えた電波を、予告信号制御部22から受け取った予告信号を送信する際の送信電力以下の電力で、アンテナ25を介して送信する。
【0037】
図3は、無線通信端末20の動作の一例を示すフローチャートである。例えば、電源が投入される等の所定のタイミングで、無線通信端末20は本フローチャートに示す動作を開始する。
【0038】
まず、データ送信制御部23は、送信要求と共にデータパケットおよび送信期間を示す情報をアプリケーション処理部24から受け取ったか否かを判定する(S100)。送信要求、データパケット、および送信期間を示す情報をアプリケーション処理部24から受け取った場合(S100:Yes)、データ送信制御部23は、送信期間を示す情報と共に予告信号の送信指示を予告信号制御部22へ送る。
【0039】
次に、予告信号制御部22は、データ送信制御部23から受け取った送信期間を送信禁止期間として含む予告信号を作成し(S101)、作成した予告信号を無線通信部21へ送る。無線通信部21は、CSMA/CAの制御に従ってIFS期間とCW期間待機する予告信号の送信待機処理を実行する(S102)。
【0040】
次に、無線通信部21は、予告信号制御部22から受け取った予告信号に対して符号化や誤り訂正等を施す。そして、無線通信部21は、符号化や誤り訂正等が施された予告信号に応じて所定の変調を加えた電波を、データ送信制御部23から受け取ったデータを送信する際の送信電力以上の電力で、アンテナ25を介して送信し(S103)、予告信号の送信完了をデータ送信制御部23に通知する。
【0041】
次に、データ送信制御部23は、アプリケーション処理部24から受け取ったデータパケットを無線通信部21へ送る。無線通信部21は、CSMA/CAの制御に従ってSIFS期間待機するデータパケットの送信待機処理を実行する(S104)。そして、無線通信部21は、データ送信制御部23から受け取ったデータパケットに対して符号化や誤り訂正等を施し、符号化や誤り訂正等が施されたデータパケットに応じて所定の変調を加えた電波を、予告信号制御部22から受け取った予告信号を送信する際の送信電力以下の電力で、アンテナ25を介して送信し(S105)、データ送信制御部23は、再びステップS100に示した処理を実行する。
【0042】
ステップS100において、送信要求等をアプリケーション処理部24から受け取っていない場合(S100:No)、データ送信制御部23は、無線通信部21を介して他の無線通信端末20から予告信号を受信したか否かを判定する(S106)。予告信号を受信していない場合(S106:No)、データ送信制御部23は、再びステップS100に示した処理を実行する。
【0043】
予告信号を受信した場合(S106:Yes)、データ送信制御部23は、受信した予告信号から送信禁止期間を抽出し、抽出した送信禁止期間をカウントするタイマをスタートさせる(S107)。そして、タイマが終了した場合(S108:Yes)、データ送信制御部23は、再びステップS100に示した処理を実行する。
【0044】
なお、ステップS107においてタイマがスタートしてから、ステップS108においてタイマ終了と判定するまでの間に、アプリケーション処理部24から送信要求等を受け取った場合、データ送信制御部23は、受け取ったこれらの情報を保持し、ステップS108においてタイマ終了と判定した後のステップS100において、アプリケーション処理部24から送信要求等を受け取ったと判定して、保持している送信要求等を処理する。
【0045】
図4は、図1に示した無線通信システム10全体の動作を説明するためのシーケンス図である。図1において、車両11−2に搭載された無線通信端末20−2と、車両11−5に搭載された無線通信端末20−5とは同様に動作し、車両11−3に搭載された無線通信端末20−3と、車両11−4に搭載された無線通信端末20−4とは同様に動作する。そのため、図4では、図1に示した車両11の中で、無線通信端末20−1、無線通信端末20−4、および無線通信端末20−5の動作について示している。
【0046】
無線通信端末20−1では、時刻t0において送信すべきデータが発生し、無線通信端末20−1は、CSMA/CAの制御に従って所定期間待機した後、時刻t2において、データ送信時の電力以上の電力で予告信号の送信を開始する。
【0047】
無線通信端末20−1からの予告信号を受信可能な位置にある無線通信端末20−4および20−5は、時刻t2からt3の期間で無線通信端末20−1からの予告信号を受信する。そして、無線通信端末20−4および20−5は、予告信号の受信が完了した時刻t3から、当該予告信号に含まれている送信禁止期間(図4のΔT)が経過する時刻t6までの間、データの送信を待機する。
【0048】
無線通信端末20−1は、予告信号の送信が完了した時刻t3から、CSMA/CAの制御に従って所定期間待機した後、時刻t4において、予告信号送信時の送信電力以下の電力でデータの送信を開始する。無線通信端末20−4は、時刻t4からt5の期間で無線通信端末20−1からのデータを受信する。
【0049】
図5は、無線通信端末20の機能を実現するコンピュータ40の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ40は、CPU(Central Processing Unit)41、RAM(Random Access Memory)42、ROM(Read Only Memory)43、無線機44、および入出力インターフェイス(I/F)45を備える。
【0050】
CPU41は、ROM43に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM43は、コンピュータ40の起動時にCPU41によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ40のハードウェアに依存するプログラム、CPU41によって実行されるその他のプログラム等を格納する。
【0051】
無線機44は、アンテナ25を介して受信した電波を復調し、復号化や誤り訂正等を行い、復号化や誤り訂正等が施されたデータをCPU41に提供する。また、無線機44は、CPU41が生成したデータに、符号化や誤り訂正等を施し、符号化や誤り訂正等が施されたデータに応じて所定の変調を加えた電波をアンテナ25を介して送信する。
【0052】
入出力インターフェイス45は、キーパッド等の入力装置やLCD等の出力装置を制御し、入力装置から取得したデータをCPU41へ送ると共に、CPU41が生成したデータを出力装置へ送る。また、入出力インターフェイス45は、他の装置からプログラムまたはデータを取得し、RAM42を介してCPU41に提供する。
【0053】
CPU41は、入出力インターフェイス45を介して取得したプログラムをRAM42上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。コンピュータ40のCPU41は、RAM42上にロードされたプログラムを実行することにより、無線通信部21、予告信号制御部22、データ送信制御部23、およびアプリケーション処理部24の各機能を実現する。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0055】
上記説明から明らかなように、本実施形態の無線通信端末20によれば、隠れ端末問題を解消しつつ、ブロードキャストを効率的に行うことができる。
【0056】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0057】
例えば、上記した実施形態では、各無線通信端末20が複数の他の無線通信端末20に対してブロードキャストによりデータを送信する場合を例に説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、各無線通信端末20は、他の1台の無線通信端末20へユニキャストによりデータを送信する際に、データ送信時よりも大きな電力で予告信号を送信し、その後に特定の1台の無線通信端末20宛のデータパケットを送信するようにしてもよい。
【0058】
このような場合であっても、上記した実施形態と同様に隠れ端末問題を解消することができると共に、予告信号に対する応答を待たずにデータの送信を開始できるため、各無線通信端末20は、通常のRTS/CTS方式よりも、より迅速に目的のデータの送信を開始することができる。
【0059】
さらに、各無線通信端末20は、特定の複数の無線通信端末20へマルチキャストによりデータを送信する際に、データ送信時よりも大きな電力で予告信号を送信し、その後に特定の複数の無線通信端末20宛のデータパケットを送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10・・・無線通信システム、11・・・車両、12・・・境界、13・・・境界、20・・・無線通信端末、21・・・無線通信部、22・・・予告信号制御部、23・・・データ送信制御部、24・・・アプリケーション処理部、25・・・アンテナ、40・・・コンピュータ、41・・・CPU、42・・・RAM、43・・・ROM、44・・・無線機、45・・・入出力インターフェイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信によりデータを送受信する無線通信端末であって、
他の無線通信端末と無線通信を行う無線通信手段と、
データの送信に先立って、データの送信を予告する予告信号を、データ送信時の送信電力以上の電力で前記無線通信手段に送信させる予告信号制御手段と、
前記無線通信手段によって前記予告信号が送信された後に、データの送信を前記無線通信手段に指示するデータ送信制御手段と
を備え、
前記予告信号制御手段は、
前記無線通信手段を介して他の無線通信端末から前記予告信号を受信した場合に、当該予告信号を受信してから予め定められた期間が経過するまでの間は、前記無線通信手段に送信させないことを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信端末であって、
前記予告信号は、
予め定められたアドレスを宛先とするRTS(request to send)フレームであることを特徴とする無線通信端末。
【請求項3】
請求項2に記載の無線通信端末であって、
前記予め定められたアドレスとは、
前記予告信号の送信元の無線通信端末のアドレスであることを特徴とする無線通信端末。
【請求項4】
無線通信によりデータを送受信する無線通信端末における送信方法であって、
前記無線通信端末は、
他の無線通信端末と無線通信を行う無線通信手段を備え、
データの送信に先立って、データの送信を予告する予告信号を、データ送信時の送信電力以上の電力で前記無線通信手段に送信させる予告信号制御ステップと、
前記無線通信手段によって前記予告信号が送信された後に、データの送信を前記無線通信手段に指示するデータ送信制御ステップと
を実行し、
前記予告信号制御ステップにおいて、
前記無線通信手段を介して他の無線通信端末から前記予告信号を受信した場合に、当該予告信号を受信してから予め定められた期間が経過するまでの間は、前記無線通信手段に送信させないことを特徴とする送信制御方法。
【請求項5】
コンピュータを、無線通信によりデータを送受信する無線通信端末として機能させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
他の無線通信端末と無線通信を行う無線通信機能、
データの送信に先立って、データの送信を予告する予告信号を、データ送信時の送信電力以上の電力で前記無線通信機能に送信させる予告信号制御機能、および
前記無線通信機能によって前記予告信号が送信された後に、データの送信を前記無線通信機能に指示するデータ送信制御機能
を実現させ、
前記予告信号制御機能は、
前記無線通信機能を介して他の無線通信端末から前記予告信号を受信した場合に、当該予告信号を受信してから予め定められた期間が経過するまでの間は、前記無線通信手段に送信させないことを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−259027(P2011−259027A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129193(P2010−129193)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000233295)日立情報通信エンジニアリング株式会社 (195)
【Fターム(参考)】