説明

無線通信端末及び無線通信端末の制御方法

【課題】第2のアクセスポイントに対する接続設定後においても、第1のアクセスポイントと接続できる環境にあれば、無線通信端末の使用者が意識することなく、第1のアクセスポイントとの接続を再確立することができる無線通信端末及び無線通信端末の制御方法を提供する。
【解決手段】第1のアクセスポイント101に接続中に第2のアクセスポイント102との接続開始指示を受けると、第1のアクセスポイント101との接続を切断した後、第2のアクセスポイント102に接続し、接続設定処理を行って第2のアクセスポイント102のプロファイルを作成し、当該プロファイルの作成後、第2のアクセスポイント102との接続を切断し、第1のアクセスポイント101と再接続する。したがって、第2のアクセスポイント102との接続設定後でも、第1のアクセスポイント101と接続できる環境にあれば、第1のアクセスポイント101に支障なく接続できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、WLAN(Wireless LAN:無線LAN)などの無線通信機能を有する無線通信端末、該無線通信端末の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、WLAN、赤外線通信、ブルートゥースなどの無線通信機能を有する無線通信端末が普及してきている。例えば、携帯電話とPDA(Personal Digital Assistant)を融合させたスマートフォンと呼ばれるものや、スマートフォンより大型のスマートパッドと呼ばれるものがそれに該当する。
【0003】
スマートフォンやスマートパッドは、スケジュール機能や個人情報管理機能などの多種多様な機能を有し、スマートフォンにおける携帯電話機能は主にセルラーの無線通信方式に準拠する無線通信に対応している。また、スマートフォンには、セルラーの無線通信方式に準拠する無線通信に対応するルータ(以下、“3Gルータ”と呼ぶ)として動作するものもある。
【0004】
スマートパッドでインターネットに接続する場合、WLANでアクセスポイント(以後、“第1のアクセスポイント”と呼ぶ)に接続する方法と、WLANで3Gルータを有するスマートフォンを第2のアクセスポイントとして、それに接続する方法がある。第1のアクセスポイントは有線でインターネットに接続されることから、第1のアクセスポイントに接続する場合、スマートパッドがインターネットに接続できるのは第1のアクセスポイントのWLANの無線がスマートパッドに届く通信圏内に限られる。スマートパッドが第1のアクセスポイントに接続できる通信圏内の外に出たときには、3Gルータを有するスマートフォンを第2のアクセスポイントとしてそれに接続することで、継続してインターネットに接続することができる。このように、第1のアクセスポイントを利用した接続が不可となった場合、3Gルータを有するスマートフォンを第2のアクセスポイントとして利用した接続が行われる。第2のアクセスポイントとの接続中に、第1のアクセスポイントに接続できるようになると(即ちスマートパッドがWLANによる第1のアクセスポイントの通信圏内に入ると)、スマートパッドの使用者が意志的に当該アクセスポイントとの接続を再確立する操作を行う。
【0005】
このような接続環境の変化に応じて通信形態を変えるようにした発明として、例えば特許文献1や特許文献2で開示された発明がある。特許文献1で開示された発明(発明の名称:画像伝送システム)では、画像処理装置と中継通信装置との間の通信において、インフラストラクチャモードでの無線通信を維持できない場合に、アドホックモードに切り替えて、通信を継続し、アクセスポイントの通信が再開した場合は、インフラストラクチャモードに戻って、通信を再開するようにしている。この発明によれば、アクセスポイントとの通信が切断された場合でも、通信の継続が可能となる。特許文献2で開示された発明(発明の名称:デバイス、無線LAN設定システムおよび無線LAN設定方法)では、デバイスとPC(パーソナルコンピュータ)をアドホックモードで接続し、PCから、デバイスにWLAN設定のパラメータを通知し、デバイスは、そのパラメータを用いてアクセスポイントに接続する。この発明によれば、デバイスのWLAN設定を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−239449号公報
【特許文献2】特開2007−088727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したスマートパッドは、第1のアクセスポイント及び第2のアクセスポイントと接続可能とするために、第1のアクセスポイントと接続している状態で、第2のアクセスポイントとの接続設定を行う必要があるが、その際、第2のアクセスポイントに接続設定を行った後、第2のアクセスポイントとの接続をしてしまうため、第1のアクセスポイントとの接続が中断されたままになってしまう。スマートパッドの使用者が、今までの接続環境である第1のアクセスポイントとの接続を維持するためには、意図的に第1のアクセスポイントに再接続の操作をしなければならず、非常に面倒である。
【0008】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、第2のアクセスポイントに対する接続設定後においても、第1のアクセスポイントと接続できる環境にあれば、使用者が意識することなく、第1のアクセスポイントとの接続を再確立することができる無線通信端末及び無線通信端末の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の無線通信端末は、所定の無線通信方式に準拠し、第1のアクセスポイント及び第2のアクセスポイントと接続可能な無線通信部を備えた無線通信端末であって、前記第1のアクセスポイントとの接続中に前記第2のアクセスポイントとの接続開始指示を受けると、前記第1のアクセスポイントとの接続を切断し、前記第2のアクセスポイントと接続し、前記第2のアクセスポイントとの接続設定処理を行い前記第2のアクセスポイントのプロファイルを作成し、前記第2のアクセスポイントとの接続を切断し、前記第1のアクセスポイントと再接続する。
【0010】
上記構成によれば、無線通信端末は、第1のアクセスポイントとの接続中に第2のアクセスポイントとの接続開始指示を受けると、第1のアクセスポイントとの接続を切断し、その後、第2のアクセスポイントと接続を開始する。第2のアクセスポイントとの接続開始後、接続設定し、その後、第2のアクセスポイントのプロファイルを作成する。第2のアクセスポイントのプロファイルを作成した後、第2のアクセスポイントとの接続を切断し、その後、第1のアクセスポイントと再接続する。したがって、第2のアクセスポイントに対する接続設定後においても、第1のアクセスポイントと接続できる環境にあれば、無線通信端末の使用者が意識することなく、第1のアクセスポイントとの接続を再確立することができる。
【0011】
上記構成において、前記第2のアクセスポイントとの接続設定処理を行い前記第2のアクセスポイントのプロファイルを作成した後、前記第2のアクセスポイントのプロファイルを前記第1のアクセスポイントのプロファイルより優先度を下げて記憶し、前記第2のアクセスポイントとの接続を切断し、記憶されている前記第1のアクセスポイントのプロファイル及び前記第2のアクセスポイントのプロファイルの優先度に従って、前記第1のアクセスポイントと再接続する。
【0012】
上記構成によれば、第2のアクセスポイントのプロファイルを第1のアクセスポイントのプロファイルより優先度を下げて記憶することで、優先して第1のアクセスポイントと再接続することができる。つまり、第1のアクセスポイントと第2のアクセスポイントに対してスキャンを実施したときに、両方とも確認できた場合、優先度の高いプロファイルを使用して再接続することになるが、このとき、第1のアクセスポイントのプロファイルの優先度が第2のアクセスポイントのプロファイルの優先度より下であれば、第2のアクセスポイントとの接続が優先され、第1のアクセスポイントと再接続することができない。このため、第2のアクセスポイントのプロファイルを第1のアクセスポイントのプロファイルより優先度を下げておくことで、第1のアクセスポイントと再接続できる環境にあれば、確実に第1のアクセスポイントと再接続することができるようになる。
【0013】
上記構成において、前記第2のアクセスポイントは、前記所定の無線通信方式とは異なる他の無線通信方式にも準拠している。
【0014】
上記構成において、前記所定の無線通信方式はWLANであり、前記他の無線通信方式はセルラーである。
【0015】
上記構成において、前記第2のアクセスポイントは、アクセスポイントの機能を有する携帯端末である。
【0016】
本発明の無線通信端末の制御方法は、所定の無線通信方式に準拠し、第1のアクセスポイント及び第2のアクセスポイントと接続可能な無線通信部を備えた無線通信端末の制御方法であって、前記第1のアクセスポイントとの接続中に前記第2のアクセスポイントとの接続開始指示を受けるステップと、前記第1のアクセスポイントとの接続を切断するステップと、前記第2のアクセスポイントと接続するステップと、前記第2のアクセスポイントとの接続設定処理を行い前記第2のアクセスポイントのプロファイルを作成するステップと、前記第2のアクセスポイントとの接続を切断するステップと、前記第1のアクセスポイントと再接続するステップと、を備えた。
【0017】
上記方法によれば、無線通信端末は、第1のアクセスポイントとの接続中に第2のアクセスポイントとの接続開始指示を受けると、第1のアクセスポイントとの接続を切断し、その後、第2のアクセスポイントと接続を開始する。第2のアクセスポイントとの接続開始後、接続設定し、その後、第2のアクセスポイントのプロファイルを作成する。第2のアクセスポイントのプロファイルを作成した後、第2のアクセスポイントとの接続を切断し、その後、第1のアクセスポイントと再接続する。したがって、第2のアクセスポイントに対する接続設定後においても、第1のアクセスポイントと接続できる環境にあれば、無線通信端末の使用者が意識することなく、第1のアクセスポイントとの接続を再確立することができる。
【0018】
上記方法において、前記第2のアクセスポイントとの接続設定処理を行い前記第2のアクセスポイントのプロファイルを作成するステップの後に、前記第2のアクセスポイントのプロファイルを前記第1のアクセスポイントのプロファイルより優先度を下げて記憶するステップと、前記第2のアクセスポイントとの接続を切断するステップと、記憶されている前記第1のアクセスポイントのプロファイル及び前記第2のアクセスポイントのプロファイルの優先度に従って前記第1のアクセスポイントと再接続するステップと、を備えた。
【0019】
上記方法によれば、第2のアクセスポイントのプロファイルを第1のアクセスポイントのプロファイルより優先度を下げて記憶することで、優先して第1のアクセスポイントと再接続することができる。つまり、第1のアクセスポイントと第2のアクセスポイントのスキャンを実施したときに、両方とも確認できた場合、優先度の高いプロファイルを使用して再接続することになるが、このとき、第1のアクセスポイントのプロファイルの優先度が第2のアクセスポイントのプロファイルの優先度より下であれば、第2のアクセスポイントとの接続が優先され、第1のアクセスポイントと再接続することができない。このため、第2のアクセスポイントのプロファイルを第1のアクセスポイントのプロファイルより優先度を下げておくことで、第1のアクセスポイントと再接続できる環境になれば、確実に第1のアクセスポイントと再接続することができるようになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、第2のアクセスポイントに対する接続設定後においても、第1のアクセスポイントと接続できる環境にあれば、無線通信端末の使用者が意識することなく、第1のアクセスポイントとの接続を再確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態に係る無線通信端末を用いた無線通信システムの概略構成を示すブロック図
【図2】図1の無線通信端末の概略構成を示すブロック図
【図3】図1の無線通信端末が、第2のアクセスポイントに対して接続設定する処理を説明するための図
【図4】図1の無線通信端末において、接続設定処理と該接続設定処理における各表示タイミングを示すシーケンス図
【図5】図1の無線通信端末において、図4の各表示タイミングでの無線通信端末における表示例を示す図
【図6】図1の無線通信端末において、図4の各表示タイミングでの無線通信端末における他の表示例を示す図
【図7】図1の無線通信端末において、第2のアクセスポイントのプロファイルを記憶する際に、第1のアクセスポイントのプロファイルより優先度を下げて記憶するようにした場合の接続設定処理を示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施の形態に係る無線通信端末を用いた無線通信システムの概略構成を示すブロック図である。同図において、本実施の形態の無線通信端末1は、スマートパッドと呼ばれる携帯端末であり、無線LAN(以下、WLANと呼ぶ)(一般的には、ワイファイ(WiFi:Wireless Fidelity)とも呼ばれる)、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標)、以下、BTと呼ぶ)、赤外線通信等の複数の無線通信方式で双方向通信が可能な無線通信部を備えている。無線通信端末1は、インターネット100を利用したデータのやりとりに必要なプロトコルとして、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)及びHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)を用いており、TCP/IPを使用して通信路を開設し、HTTPを使用してデータの送受信を行う。
【0024】
無線通信端末1は、前記プロトコルを用いて、アクセスポイント(“第1のアクセスポイント”に対応し、以下“第1のアクセスポイント”と呼ぶ)101に接続してインターネット100上のWebサーバ(図示略)にアクセスしたり、スマートフォン(“第2のアクセスポイント”に対応し、以下“第2のアクセスポイント”と呼ぶ)102に接続して3G経由でインターネット100上のWebサーバ(図示略)にアクセスしたりすることができる。第1のアクセスポイント101と第2のアクセスポイント102のそれぞれとの間の通信はWLANにて行われる。
【0025】
第2のアクセスポイント102は、セルラーの無線通信方式に準拠する無線通信を行えるとともに、上述したWLAN、BT、赤外線通信等の無線通信も行える携帯端末である。また、第2のアクセスポイント102は、ルータ(“3Gルータ”と呼ぶ)としても動作し、3G基地局103経由でインターネット100に接続できる。無線通信端末1は、第2のアクセスポイント102の3Gルータ機能を利用してインターネット100に接続することができる。
【0026】
無線通信端末1の第1のアクセスポイント101によるインターネット100への接続は、第1のアクセスポイント101の通信圏内でのみ可能であり、当該通信圏内から外に出た場合は当然ながら第1のアクセスポイント101によるインターネット100への接続は不可となる。無線通信端末1が第1のアクセスポイント101の通信圏内から外に出た場合でも第2のアクセスポイント102を3Gルータとして使用することで、インターネット100に接続することができる。無線通信端末1では、第1のアクセスポイント101によるインターネット100への接続ができなくなったときに、第2のアクセスポイント102を使用してインターネット100に接続ができるように、第2のアクセスポイント102に対して接続設定できる機能を有している。以下、無線通信端末1について詳細に説明する。
【0027】
図2は、無線通信端末1の概略構成を示すブロック図である。同図において、無線通信端末1は、無線通信端末1の各部を制御する制御部10と、操作キーなどの入力部11と、液晶表示器とタッチパネルからなる表示部12と、WLANで双方向通信を行うWLAN通信部13と、アクセスポイントのプロファイルを記憶するとともに、接続中のアクセスポイントを特定する情報を記憶する記憶部14と、前記各部10〜14を電気的に接続する内部バス15とを備える。制御部10は、各部11〜14を制御するためのプログラムを記憶している。
【0028】
図3は、無線通信端末1が、第2のアクセスポイント102に対して接続設定する処理を説明するための図である。図3の(a)において、無線通信端末1が第1のアクセスポイント101と接続中に無線通信端末1の使用者が無線通信端末1に対して第2のアクセスポイント102との接続開始指示を与える。なお、現時点では無線通信端末1は第1のアクセスポイント101と接続中なので、接続設定として、第1のアクセスポイント101のプロファイルを記憶している。なお、当該プロファイルは記憶部14に記憶される。これまでは、まだ接続設定処理ではなく定常状態である。
【0029】
図3の(b)において、制御部10は、接続設定処理に移行すると、第1のアクセスポイント101との接続を一旦切るために、第1のアクセスポイント101に切断通知を行う。制御部10は、第1のアクセスポイント101に切断通知を行った後、第2のアクセスポイント102との間で接続開始し、接続設定を行う。その後、第2のアクセスポイント102のプロファイルを作成して記憶部14に記憶する。これにより、第2のアクセスポイント102との間の接続設定が終了する。次いで、図3の(c)において、制御部10は、第2のアクセスポイント102に切断通知を行い、その後、第1のアクセスポイント101と再接続を行う。
【0030】
図3の(d)において、第1のアクセスポイント101との再接続を行うことで定常状態となる。第2のアクセスポイント102のプロファイルを作成しておくことで、無線通信端末1が第1のアクセスポイント101の通信圏内から外へ出たときに、第2のアクセスポイント102にてインターネット100への接続が継続される。
【0031】
図4は、上述した接続設定処理と該接続設定処理における各表示タイミングを示すシーケンス図である。また、図5は、図4の各表示タイミングでの無線通信端末1における表示例を示す図である。図5に示す表示例は、WLANのアンテナピクトをそのまま反映するようにしたものである。
【0032】
まず第2のアクセスポイント102に接続する前は、無線通信端末1の表示部12には、図5の(a)に示すように、第1のアクセスポイント101と接続状態にあることを示すアンテナピクト200が表示される。また、表示部12には、「接続設定しますか?」というメッセージが表示される。このメッセージを見た無線通信端末1の使用者(ユーザ)は、第2のアクセスポイント102に対する接続設定を希望する場合、「はい」のボタンをタッチする。この「はい」のボタンがタッチされると、無線通信端末1の制御部10は、第2のアクセスポイント102に対して接続設定する指示を受信する(ステップS1)。次いで、制御部10は、現在接続中にある第1のアクセスポイント101を特定する情報を記憶部14に記憶する(ステップS2)。
【0033】
制御部10は、記憶部14に第1のアクセスポイント101を特定する情報を記憶した後、第1のアクセスポイント101に対して切断要求を送信する(ステップS3)。この切断要求によって、無線通信端末1と第1のアクセスポイント101との接続が切断される。制御部10は、第1のアクセスポイント101との接続を切断した後、WLAN通信部13を通して第2のアクセスポイント102に対して接続要求を送信する(ステップS4)。この接続要求の送信に対して第2のアクセスポイント102からの接続応答を受信すると(ステップS5)、制御部10は、第2のアクセスポイント102との間で接続設定処理を行う(ステップS6)。この接続設定処理では、(1)暗号キーの共有、(2)ネットワーク識別子の共有、(3)デバイス識別子の共有などの処理が行われる。なお、接続設定処理はWPS(Wi-Fi Protected Setup)、などの標準化技術が存在し、それらを用いることで、プロファイルの共有を行うことは可能である。WPSではPBC方式(プッシュボタンでの接続方式)、PIN方式(アクセスコードによる接続方式)がある。PBC方式を採用する場合は、無線通信端末1が第2のアクセスポイント102に対する接続設定を希望する場合、無線通信端末1に「はい」のボタンタッチによる要求と同時に、第2のアクセスポイント102に対しても、接続設定の開始の要求を与えることで接続設定が可能となる。PIN方式を採用する場合は、無線通信端末1が第2のアクセスポイント102に対する接続設定を希望する場合、無線通信端末1に「はい」のボタンタッチによるトリガを与えるときに、適切なアクセスコードを入力することで、接続設定が可能となる。上述した2つの例はWPS方式を用いたときの例であって、本発明では、適切にプロファイルが共有できれば、接続設定処理の技術内容に制約を設けるものではない。
【0034】
制御部10は、接続設定処理後、第2のアクセスポイント102のプロファイルを作成して記憶部14に記憶する(ステップS7)。一方、第2のアクセスポイント102では、無線通信端末1に対するプロファイルを作成する(ステップS8)。ステップS3からステップS8までの各処理は接続設定中に行われる。接続設定処理が実行されることで、図5の(b)に示すように、無線通信端末1の表示部12から、第1のアクセスポイント101に接続していることを示すアンテナピクト200が消える。また、表示部12には、「接続設定処理です」というメッセージが表示される。このメッセージは接続設定処理が終わるまで継続して表示される。
【0035】
無線通信端末1で第2のアクセスポイント102のプロファイルが作成されるとともに、第2のアクセスポイント102で無線通信端末1のプロファイルが作成されると、接続設定が完了する。接続設定が完了すると、表示部12には、図5の(c)に示すように、「接続設定完了しました」というメッセージが表示される。また、表示部12には、第2のアクセスポイント102が接続設定されたことを示す「L」の文字ピクト201が表示される。この「L」の文字ピクト201は無線通信端末1と第2のアクセスポイント102の接続設定が完了していることを意味しており、第1のアクセスポイントが接続できない環境においては、第2のアクセスポイントに接続が可能な状態を指している。
【0036】
制御部10は、第2のアクセスポイント102のプロファイルを作成した後、第2のアクセスポイント102に対して切断要求を送信する(ステップS9)。これにより、無線通信端末1と第2のアクセスポイント102との接続を切断する。制御部10は、第2のアクセスポイント102との接続を切断した後、記憶部14に記憶している第1のアクセスポイント101を特定する情報を読み出し、その情報に基づいて第1のアクセスポイント101との接続を行う(ステップS10)。即ち、第1のアクセスポイント101に対して接続要求を送信し(ステップS11)、この送信に対して第1のアクセスポイント101から送信される接続応答を受信する(ステップS12)。制御部10は、第1のアクセスポイント101から接続応答があると、第1のアクセスポイント101と通信状態になる。また、制御部10は、第1のアクセスポイント101と通信状態になると、図5の(d)に示すように、第1のアクセスポイント101に接続していることを示すアンテナピクト200を再表示する。
【0037】
このように本実施の形態の無線通信端末1によれば、第1のアクセスポイント101に接続中に、使用者から第2のアクセスポイント102との接続開始指示を受けると、第1のアクセスポイント101との接続を切断し、その後、第2のアクセスポイント102に接続し、接続設定処理を行って、第2のアクセスポイント102のプロファイルを作成し、当該プロファイルの作成後、第2のアクセスポイント102との接続を切断し、第1のアクセスポイント101と再接続する。したがって、第2のアクセスポイント102との接続設定後でも、無線通信端末1の使用者が意識することなく、第1のアクセスポイント101との接続を再確立することができる。
【0038】
なお、本実施の形態の無線通信端末1では、無線通信端末1と第1のアクセスポイント101との接続を切断した場合にアンテナピクト200の表示を消すようにしたが、アンテナピクト200を常時表示させるようにしてもよい。図6は、その表示例を示す図である。このようにアンテナピクト200を常時表示させるようにすることで、無線通信端末1の使用者にWLANの接続の状態を意識させないで済む。
【0039】
また、本実施の形態の無線通信端末1では、接続設定処理において、第2のアクセスポイント102との接続設定を行うように指示を受けたときに、第1のアクセスポイント101を特定する情報を記憶し、第2のアクセスポイント102のプロファイルを作成した後に、記憶している第1のアクセスポイント101を特定する情報を取り出し、該情報に基づいて第1のアクセスポイント101と再接続するようにしたが、これらの処理を省いて、代りに、第2のアクセスポイント102のプロファイルを記憶する際に、第1のアクセスポイント101のプロファイルより優先度を下げて記憶するようにしてもよい。
【0040】
図7は、第2のアクセスポイント102のプロファイルを記憶する際に、第1のアクセスポイント101のプロファイルより優先度を下げて記憶するようにした場合の接続設定処理を示すシーケンス図である。なお、図7において、前述した図4と共通するステップには同一の符号を付けている。
【0041】
無線通信端末1の使用者によって、第2のアクセスポイント102に対する接続設定を行う操作が行われると、無線通信端末1の制御部10は、第2のアクセスポイント102に対して接続設定する指示を受信する(ステップS1)。次いで、制御部10は、第1のアクセスポイント101に対して切断要求を送信する(ステップS3)。この切断要求によって、無線通信端末1と第1のアクセスポイント101との接続が切断される。制御部10は、第1のアクセスポイント101との接続を切断した後、WLAN通信部13を通して第2のアクセスポイント102に対して接続要求を送信する(ステップS4)。この接続要求の送信に対して第2のアクセスポイント102からの接続応答を受信すると(ステップS5)、制御部10は、第2のアクセスポイント102との間で接続設定処理を行う(ステップS6)。この接続設定処理では、(1)暗号キーの共有、(2)ネットワーク識別子の共有、(3)デバイス識別子の共有などの処理が行われる。なお、接続設定処理はWPS(Wi-Fi Protected Setup)、などの標準化技術が存在し、それらを用いることで、プロファイルの共有を行うことは可能である。WPSではPBC方式(プッシュボタンでの接続方式)、PIN方式(アクセスコードによる接続方式)がある。PBC方式を採用する場合は、無線通信端末1が第2のアクセスポイント102に対する接続設定を希望する場合、無線通信端末1に「はい」のボタンタッチによる要求と同時に、第2のアクセスポイント102に対しても、接続設定の開始の要求を与えることで接続設定が可能となる。PIN方式を採用する場合は、無線通信端末1が第2のアクセスポイント102に対する接続設定を希望する場合、無線通信端末1に「はい」のボタンタッチによるトリガを与えるときに、適切なアクセスコードを入力することで、接続設定が可能となる。上述した2つの例はWPS方式を用いたときの例であって、本発明では、適切にプロファイルが共有できれば、接続設定処理の技術内容に制約を設けるものではない。
【0042】
制御部10は、接続設定処理後、第2のアクセスポイント102のプロファイルを作成する(ステップS7)。一方、第2のアクセスポイント102では、無線通信端末1に対するプロファイルを作成する(ステップS8)。制御部10は、第2のアクセスポイント102のプロファイルを作成した後、第2のアクセスポイント102のプロファイルを第1のアクセスポイント101のプロファイルより優先度を下げて記憶部14に記憶する(ステップS13)。次いで、制御部10は、第2のアクセスポイント102に対して切断要求を送信する(ステップS9)。これにより、無線通信端末1と第2のアクセスポイント102との接続が切断する。次いで、制御部10は、接続可能なアクセスポイントのスキャンを実施する(ステップS14)。仮に第1のアクセスポイント101と第2のアクセスポイント102の両方が接続可能である場合は、記憶部14に記憶されているプロファイル(第1のアクセスポイント101のプロファイル及び第2のアクセスポイント102のプロファイル)から、優先度の高い順に接続を試みる。この場合は、第1のアクセスポイント101のプロファイルが第2のアクセスポイント102のプロファイルよりも優先度が高いので、制御部10は第1のアクセスポイント101に対して、接続要求を送信する(ステップS11)。この接続要求の送信に対して第1のアクセスポイント101から送信される接続応答を受信する(ステップS12)。制御部10は、第1のアクセスポイント101から接続応答があると、第1のアクセスポイント101と通信状態になる。
【0043】
このように、第2のアクセスポイント102のプロファイルを第1のアクセスポイント101のプロファイルより優先度を下げて記憶することで、優先して第1のアクセスポイント101と再接続することができる。つまり、第1のアクセスポイント101と第2のアクセスポイント102に対してスキャンを実施したときに、両方とも確認できた場合、優先度の高いプロファイルを使用して再接続することになるが、このとき、第1のアクセスポイント101のプロファイルの優先度が第2のアクセスポイント102のプロファイルの優先度より下であれば、第2のアクセスポイントとの接続が優先され、第1のアクセスポイント101と再接続することができない。このため、第2のアクセスポイント102のプロファイルを第1のアクセスポイント101のプロファイルより優先度を下げておくことで、第1のアクセスポイント101と再接続できる環境にあれば、確実に第1のアクセスポイント101と再接続することができるようになる。
【0044】
図4又は図7のシーケンスで示した接続設定処理をプログラムで記述して、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して配布することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、第2のアクセスポイントに対する接続設定後においても、第1のアクセスポイントと接続できる環境にあれば、無線通信端末の使用者が意識することなく、第1のアクセスポイントとの接続を再確立することができるといった効果を有し、WLANなどの無線通信機能を有する無線通信端末への適用が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 無線通信端末
10 制御部
11 入力部
12 表示部
13 WLAN通信部
14 記憶部
15 内部バス
100 インターネット
101 第1のアクセスポイント
102 第2のアクセスポイント
103 3G基地局
200 アンテナピクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の無線通信方式に準拠し、第1のアクセスポイント及び第2のアクセスポイントと接続可能な無線通信部を備えた無線通信端末であって、
前記第1のアクセスポイントとの接続中に前記第2のアクセスポイントとの接続開始指示を受けると、
前記第1のアクセスポイントとの接続を切断し、
前記第2のアクセスポイントと接続し、
前記第2のアクセスポイントとの接続設定処理を行い前記第2のアクセスポイントのプロファイルを作成し、
前記第2のアクセスポイントとの接続を切断し、
前記第1のアクセスポイントと再接続する無線通信端末。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信端末であって、
前記第2のアクセスポイントとの接続設定処理を行い前記第2のアクセスポイントのプロファイルを作成した後、
前記第2のアクセスポイントのプロファイルを前記第1のアクセスポイントのプロファイルより優先度を下げて記憶し、
前記第2のアクセスポイントとの接続を切断し、
記憶されている前記第1のアクセスポイントのプロファイル及び前記第2のアクセスポイントのプロファイルの優先度に従って、前記第1のアクセスポイントと再接続する無線通信端末。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の無線通信端末であって、
前記第2のアクセスポイントは、前記所定の無線通信方式とは異なる他の無線通信方式にも準拠している無線通信端末。
【請求項4】
請求項3に記載の無線通信端末であって、
前記所定の無線通信方式はWLANであり、前記他の無線通信方式はセルラーである無線通信端末。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の無線通信端末であって、
前記第2のアクセスポイントは、アクセスポイントの機能を有する携帯端末である無線通信端末。
【請求項6】
所定の無線通信方式に準拠し、第1のアクセスポイント及び第2のアクセスポイントと接続可能な無線通信部を備えた無線通信端末の制御方法であって、
前記第1のアクセスポイントとの接続中に前記第2のアクセスポイントとの接続開始指示を受けるステップと、
前記第1のアクセスポイントとの接続を切断するステップと、
前記第2のアクセスポイントと接続するステップと、
前記第2のアクセスポイントとの接続設定処理を行い前記第2のアクセスポイントのプロファイルを作成するステップと、
前記第2のアクセスポイントとの接続を切断するステップと、
前記第1のアクセスポイントと再接続するステップと、を備えた無線通信端末の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の無線通信端末の制御方法であって、
前記第2のアクセスポイントとの接続設定処理を行い前記第2のアクセスポイントのプロファイルを作成するステップの後に、
前記第2のアクセスポイントのプロファイルを前記第1のアクセスポイントのプロファイルより優先度を下げて記憶するステップと、
前記第2のアクセスポイントとの接続を切断するステップと、
記憶されている前記第1のアクセスポイントのプロファイル及び前記第2のアクセスポイントのプロファイルの優先度に従って、前記第1のアクセスポイントと再接続するステップと、を備えた無線通信端末の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−205252(P2012−205252A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70511(P2011−70511)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】